説明

イオンビーム加工装置及び方法

【課題】試料の裏面からイオンビームを照射して断面加工する場合に、試料の表面における加工場所を正確に特定し、さらに加工進行状況を把握することのできるイオンビーム加工装置及び方法を提供する。
【解決手段】本発明は、イオン源(イオン銃)から試料の裏面にイオンビームを照射して試料を加工するものであり、加工の状態を監視するための監視手段(例えば、カメラ、イオン電流検出器)を備える。また、監視手段は、試料に関してイオン源とは反対側に設置するようにし、さらに、試料位置が正確に調整するためのスケール付き透明な素材のスケール板を設置して、カメラによって可視的に試料表面構造及び試料位置が目視することが可能となるようにしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試料にイオンビームを繰り返し照射して試料を削り(スパッタし)、試料断面を作製する等、試料を加工するイオンビーム加工装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子顕微鏡試料作製法として、加速されたアルゴンイオンを試料に照射し、表面を物理的に削ったり、試料をカットしたりする手法がある。この手法に用いられる装置は、イオンシニング装置もしくはイオンミリング装置と呼ばれている。この装置には試料表面を低角度イオン照射で試料表面を削るタイプと、本発明にかかわる、試料表面から高角度(垂直)にイオンを照射し断面を作製するタイプに分けられる。
【0003】
通常試料に対し高角度にイオン照射するタイプのイオンビーム加工装置では、例えば特許文献1に示されるように、試料の加工位置上にイオン遮蔽板(マスクともいう)を設置し、イオンビーム照射領域を制御し余分な場所にイオンビームが照射されない構造となっている。
【0004】
【特許文献1】特開平6−231719号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に示される方法で試料表面に凹凸がある試料や粉黛試料さらにはイオンダメージの著しい試料を加工する場合、試料とマスクの密着性が悪くなる。これにより、イオンビームの回折波等の影響によってビームが試料とマスクの隙間に入り込み、目的場所以外にもイオンビームが照射されて試料表面が余分に削れたり荒れたりして、加工面の荒れなどを引き起こす要因となっていた。このため従来のイオン加工装置では、試料表面形状を断面方向から見る目的で加工される断面試料の作製及び表面積層膜の観察が困難であり、また、粉体試料等の断面形状観察のための加工や著しくイオン照射に弱い試料の加工の際に元の形状を保持したまま試料を加工することは困難であった。
【0006】
このような現象を回避するために、試料を樹脂で包埋し、この樹脂で試料を覆うことによりマスクとの隙間を防ぐことにより目的位置以外のイオン照射を防ぐ方法や試料の裏面からイオンビームを照射して断面を作製するなどの方法もある。
【0007】
しかしながら、いずれの方法も試料表面における加工場所を正確に特定することは困難であり、試料の特定箇所の断面を精密に作製には用いることができなかった。また、イオンビーム加工装置は時間的加工状態の変化の把握が困難であった。つまり、これまでは経験則に基づいてイオンビームの照射時間等の加工条件を決めていたが、この加工条件は必ずしも最適なものではなかった。特に照射時間が長すぎたりした場合にはエネルギーロスを引き起こしており、その分試料加工のコストが高くなっていた。
【0008】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、試料の裏面からイオンビームを照射して断面加工する場合に、試料の表面における加工場所を正確に特定し、さらに加工進行状況を把握することのできるイオンビーム加工装置及び方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明では、イオン源(イオン銃或いはイオンビーム照射手段)から試料の裏面にイオンビームを照射して試料を加工する。そして、その加工の状態を監視するための監視手段(例えば、カメラ)を備えるようにしている。また、イオンビームの照射軸上に、イオン電流をモニタリングする機構(イオン電流検出器を含む)を設置し、加工中にイオン電流を測定することによっても試料の加工状態を確認するようにしている。上記監視手段は、試料に関してイオン源とは反対側に設置するようにし、さらに、試料位置が正確に調整するためのスケール付き透明な素材のスケール板を設置して、上記監視手段(カメラ)によって可視的に試料表面構造及び試料位置が目視することが可能となるようにしている。
【0010】
即ち、本発明によるイオンビーム加工装置は、イオンビームを試料に照射して試料を加工するイオンビーム加工装置であって、イオンビームを発生し、試料の裏面からイオンビームを照射するイオンビーム照射手段と、イオンビームの一部を遮蔽するビーム遮蔽手段と、試料とビーム遮蔽手段とを保持する保持手段と、試料の加工表面における特定の位置とイオンビームの光軸との位置関係を確認する位置確認手段と、を備えることを特徴とする。この位置確認手段は、イオンビームの光軸に沿って、かつ試料に関してイオンビーム照射手段の反対側に配置される。また、この位置確認手段は、スケールが設けられた透明板と、イオンビームのスケールにおける照射位置を撮像するカメラと、を備える。カメラは、位置確認手段として機能する他に、試料の加工状態をリアルタイムで監視するようにしてもよい。
【0011】
また、本発明によるイオンビーム加工装置は、イオンビームを試料に照射して試料を加工するイオンビーム加工装置であって、イオンビームを発生し、試料にイオンビームを照射するイオンビーム照射手段と、イオンビームの一部を遮蔽するビーム遮蔽手段と、試料とビーム遮蔽手段とを保持する保持手段と、試料及びビーム遮蔽手段によって遮られないイオンビームのイオン電流値を検出するイオン電流検出手段と、イオン電流検出手段によって検出されたイオン電流値によって試料の加工条件及び加工状態を監視する状態監視手段と、を備えることを特徴としている。この状態監視手段は、検出されたイオン電流値が飽和状態に達した場合に試料の加工が終了したと判断するようにしている。また、イオン電流検出手段は、イオンビームの中心部の電流値を検出する第1のイオン電流検出部と、イオンビームの中心部以外である周辺部の電流値を検出する第2のイオン電流検出部とを有し、状態監視手段は、第1及び第2のイオン電流検出部のそれぞれで検出された電流値によって、照射されるイオンビームの光軸と試料の加工位置とが合致しているかを確認するようにする。
【0012】
本発明によるイオンビーム加工方法は、イオンビームを試料に照射して試料を加工するイオンビーム加工方法であって、裏面をイオンビーム照射手段に対面させた試料とイオンビームの一部を遮蔽するビーム遮蔽手段とを保持手段によって保持する試料保持工程と、イオンビーム照射手段によってイオンビームを発生し、試料の裏面にイオンビームを照射するイオンビーム照射工程と、試料の加工表面における特定の位置とイオンビームの光軸との位置関係を位置確認手段によって確認する位置確認工程と、を備えることを特徴とする。
【0013】
また、別の態様のイオンビーム加工方法は、イオンビームを試料に照射して試料を加工するイオンビーム加工方法であって、裏面をイオンビーム照射手段に対面させた試料とイオンビームの一部を遮蔽するビーム遮蔽手段とを保持手段によって保持する試料保持工程と、イオンビーム照射手段によってイオンビームを発生し、試料に前記イオンビームを照射するイオンビーム照射工程と、試料及びビーム遮蔽手段によって遮られないイオンビームのイオン電流値をイオン電流検出手段によって検出するイオン電流検出工程と、イオン電流検出手段によって検出されたイオン電流値によって試料の加工条件及び加工状態を状態監視手段によって監視する状態監視工程と、を備えることを特徴とする。
【0014】
さらなる本発明の特徴は、以下本発明を実施するための最良の形態および添付図面によって明らかになるものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、試料の裏からイオンビームを照射して断面加工する場合に、試料の表面における加工場所を正確に特定することができる。また、本発明によれば、加工進行状況を把握することのでき照射終了時期も把握できるので、無駄なイオンビームの照射を抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明は、試料裏側から試料の特定場所のイオンビーム加工が可能な装置に関するものであり、加工状態のリアルタイムの観察およびイオン電流のモニタリングが可能な装置に関するものである。以下、添付図面を参照して本発明による実施形態について説明する。
【0017】
<第1の実施形態>
図1は、本発明の第1の実施形態によるイオンビーム加工装置100の概略構成を示している。イオンビーム加工装置100は、例えばアルゴンイオンやガリウムイオン等のイオンを照射するイオン銃1と、イオン遮蔽板2及び試料3を保持する保持部材12と、イオン電流を検出するイオン電流検出器4と、イオン電流検出器4の検出結果に基づいてイオン銃1によるイオン照射を自動停止する自動停止装置11と、スケール5を有するガラス板6と、カメラ7と、を備えている。
【0018】
図1に示されるように、イオン銃1から照射された、例えばアルゴンイオンは、イオン光軸上に設置されたイオン遮蔽板2により一部遮蔽される。イオン遮蔽板2で遮蔽されなかったイオンは、試料3に照射され、試料3はイオン遮蔽板2のエッジに沿ってエッチングされる。しかし、イオン遮蔽板2と試料3の密着性が確保できない試料では、イオンの回りこみが発生し、イオン遮蔽板2で隠れた部分にも少量のイオンが照射されてしまう。長時間の加工を行う場合、この回り込んだイオンにより、試料表面が削れてしまい、精度の良い加工が困難となる。
【0019】
そこで、このように試料表面にダメージが発生してしまう試料3に対しては、試料3の裏面からイオンビームを照射し、加工を行うことが有効な手段である。第1の実施形態では、図1に示されるように、イオン銃1、イオン遮蔽板2、試料3の延長線上にイオン電流検出が出来るイオン電流検出器4、スケール5が刻み込まれた硝子板6及びカメラ7を設置し、カメラ7を用いて試料表面の特定の加工位置を合わせることにより、裏面から特定箇所の加工を可能にするものである。つまり、裏面から加工する際の手順として、まず微動装置8を用いて、イオン銃1の光軸上に位置合わせされたイオン遮蔽板2のエッジ部分にカメラ7を用い、ガラス板6のスケール5にスケール微動装置9(X軸、Y軸、回転軸)を用いて位置合わせを行う。そして、試料微動装置10(X軸、Y軸、回転軸)を用いて、試料3の加工目的場所をスケール5のイオン遮蔽板2の位置に合わせる。これにより、マスクの位置と試料の加工場所との位置が精度良く調整できるようになる。従って、図2に示すように、仮にイオンの回りこみによって試料裏面であってイオン遮蔽板2によって隠れた部分が削られたとしても、試料表面の特定位置の断面が得られるのである。
【0020】
また、イオン電流検出器4は、イオン銃1から照射されてイオン遮蔽板2及び試料3で遮蔽されないイオンビームの電流を検出するものであり、加工時にこのイオン電流をモニタリングすることにより試料の加工状態を監視することができる。つまり、図3に示すように、イオンビーム照射開始からイオン電流検出器4によって検出されるイオン電流は徐々に増加し始める。イオンビーム照射によって試料3によって遮られる部分が徐々に削られて検出器4に到達するインビーム量が増えるからである。そして、完全に試料3が削り取られると検出されるイオン電流値は飽和状態に達するため、この飽和状態に達したことを検知することにより、試料3の特定位置における断面の作製完了が分かるのである。よって、イオン電流検出器4で検出された電流をモニタリングすることにより、イオン電流の変化を経時的にとらえることができ、飽和状態(加工終了)に達した時点で自動停止装置11により自動的にイオンビーム照射を停止させることが可能となる。なお、図3に示すイオン電流の経時的変化を図1に図示しない表示装置に表示すればユーザに刻々変化する試料の加工状態を知らせることができる。
【0021】
さらに、加工時にイオン電流検出器4を光軸から外せば、加工状態をカメラ7によって確認することが可能となる。従って、試料表面の特定の加工位置と照射しているレーザ光の光軸がずれていないかを目視で確認することができる。
【0022】
<第2の実施形態>
図4は、本発明の第2の実施形態によるイオンビーム加工装置200の概略構成を示している。図4においては、図1と同じ構成要素については同じ参照番号が付されており、また、試料及びイオン遮蔽板を保持する保持部材は省略されている。さらに、他の動作についても第1の実施形態と同様なので、異なる部分のみ以下説明する。
【0023】
第2の実施形態によるイオンビーム加工装置200では、図1に示す第1の実施形態によるイオンビーム加工装置100(図1)におけるイオン電流検出器4の代わりに、第1及び第2のイオン電流検出器13及び14が設けられている。
【0024】
イオン加工装置200において、イオン銃1から照射されたイオンビームによるイオン電流は、図5に示されるように、光軸中心付近の電流密度が高く光軸から離れるほど電流密度は弱くなっている。このイオンビームの性質を利用すれば光軸合わせ及び試料加工状態のモニタリングをすることができる。つまり、本実施形態では、光軸中心付近及び周辺付近のイオン電流、さらに試料電流(遮蔽板電流)を検出して光軸合わせ及び試料加工状態のモニタリングをする。
【0025】
より詳しく説明すると、まず、イオン銃1から照射されるイオンは、イオン遮蔽板2により遮蔽されながら試料3に照射される。イオン遮蔽板2および試料にさえぎられずに透過したイオンビームは第1のイオン電流検出器13および第2のイオン電流検出器14に照射され、それぞれの部分におけるイオン電流が測定される。第1のイオン電流検出器13はメインビーム(図5に示す光軸中心の強いイオンビーム)検出用の検出器で、第2のイオン電流検出器14は周辺イオン電流検出用の検出器である。
【0026】
また、本実施形態において、光軸合わせおよびイオン遮蔽板2の位置調整は、まずイオン遮蔽板2を光軸から外した状態で、第1のイオン電流検出器13の電流値(A2)が最大になるように第1のイオン電流検出器13の位置を調整する。次に、イオン遮蔽板2から試料3を出さない状態で、第1のイオン電流検出器13の電流(A2)が約半分になるように位置調整を行なう。これにより、遮蔽板の位置は光軸の中心にセットされる。ただし、イオン遮蔽板の側面等によるイオンの反射の影響で、装置固有の補正値で補正する必要がある場合はある。
【0027】
加工の進行状態は、第1のイオン電流検出器13および第2のイオン電流検出器14の電流変化をモニタリングすることにより確認することができる。まず、加工開始時は、第2のイオン電流検出器14の電流(A3)は多く検出されるが、第1のイオン電流検出器13の電流(A2)は少ない状態である。照射されるイオンビームの中心は試料3によって遮断されるからである。そして、加工が進むに従い、電流A3及びA2は共に増加し、さらに加工が進むと、電流A2が飽和状態となる。その後A3が飽和状態になり加工終了となる。このように、イオン加工において電流A1、A2及びA3の電流値をモニタリングすることにより試料の加工の進行状態を確認することができ、最適な加工条件(イオンビームの軸が試料の特定位置に合った状態)での試料加工が可能となる。また、各検出器で検出された電流をモニタリングし、モニタリング結果(各電流値)に基づいて自動加工制御装置15がイオンビーム加工装置の状態、イオンビームの照射強度、加工時間などを自動制御するようにしてもよい。例えば、加工開始後一定時間はイオンビームの照射強度を一定値以上強く設定して一気に試料を削り、加工終了一定時間前から徐々に照射強度を弱くするように自動制御することもできる。これにより、試料に特定の加工位置における断面が露出していない段階ではある程度粗く試料を削り、断面が露出し始めたら丁寧な加工に移行して断面観察に最適な試料断面を作製することができる。また、図示してはいないが、イオンビーム加工装置内にメモリを設け、過去に行った加工の条件(試料の種類、加工位置に関する情報、照射強度等)をそのメモリに記憶しておくことにより、同様の加工を実行する場合にはメモリから加工の条件を読み出すだけで初期設定や加工手順を設定することができるようにしてもよい。
【0028】
なお、図4には示されていないが、第1の実施形態と同様に、第2の実施形態でもカメラ7を設けるようにしてもよい。
【0029】
<まとめ>
本実施形態のイオンビーム加工装置は、イオンビームを発生し、その一部を遮蔽しながら試料の裏面からイオンビームを照射して試料を加工するものである。そして、試料の加工表面における特定の位置とイオンビームの光軸との位置関係をカメラによって確認するようにしている。これにより、イオンビームを試料裏面から目的場所に正確に照射を行うための位置調整が容易にでき、試料の加工状態も目視で確認できるようになる。
【0030】
カメラは、イオンビームの光軸に沿って、かつ試料に関してイオン銃の反対側に配置される。よって、イオンビームの光軸と試料加工表面における特定位置がずれていないか確認することができる。より具体的には、スケールが設けられた透明板を設置し、イオンビームのスケールにおける照射位置をカメラによって撮像する。
【0031】
また、本実施形態のイオンビーム加工装置では、試料及びビーム遮蔽板によって遮られないイオンビームのイオン電流値をイオン電流検出部によって検出する。そして、検出されたイオン電流値によって試料の加工条件(光軸のズレや照射強度等)及び加工状態(スパッタの状態)を監視する。これにより、加工進行状態の把握が容易になり、イオンビーム加工装置の応用範囲が大きく広がる。
【0032】
また、検出されたイオン電流値が飽和状態に達した場合には、試料の加工が終了したと判断する。これにより、イオンビーム照射によるエネルギーロスを最小限に抑えることができ、イオンビーム加工装置の運用によるコストを削減することができる。また、照射を余分に照射する必要がなくなるので、試料を余分に削らないで済むという効果もある。
【0033】
なお、イオン電流検出部として、イオンビームの中心部の電流値を検出する第1のイオン電流検出部と、イオンビームの中心部以外である周辺部の電流値を検出する第2のイオン電流検出部(ドーナツ形状)とによって構成されるようにしてもよい。そして、第1及び第2のイオン電流検出部のそれぞれで検出された電流値によって、照射されるイオンビームの光軸と試料の加工位置とが合致しているかを確認する。これにより、容易にイオンビームの照射軸を訂正することができ、よって試料加工が効率的になる。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明に係る構成を一体化し、イオンビーム加工装置から取り外すことが出来るようにすれば、大気中での調整も可能となる。また本発明を、集束イオンビーム加工観察装置の試料室に組み込むことにより、Gaイオンを用いた加工観察装置でも同様の効果を与えることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】第1の実施形態に係るイオンビーム加工装置の概略構成を示す図である。
【図2】試料裏面であってイオン遮蔽板によって隠れた部分がイオンの回りこみによって削られる様子を示した図である。
【図3】イオンビーム照射開始からイオン電流検出器4によって検出されるイオン電流の値を示すグラフである。
【図4】第2の実施形態に係るイオンビーム加工装置の概略構成を示す図である。
【図5】イオンビームの強度特性を示す図である。
【符号の説明】
【0036】
1・・・イオン銃
2・・・イオン遮蔽板
3・・・試料
4・・・イオン電流検出器(第1の実施形態)
5・・・スケール
6・・・硝子板
7・・・カメラ
8・・・イオン遮蔽板微動装置
9・・・スケール微動装置
10・・・試料微動装置
11・・・制御装置
12・・・保持部材
13・・・第1のイオン電流検出器(第2の実施形態)
14・・・第2のイオン電流検出器(第2の実施形態)
15・・・自動加工制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
イオンビームを試料に照射して試料を加工するイオンビーム加工装置であって、
イオンビームを発生し、試料の裏面からイオンビームを照射するイオンビーム照射手段と、
前記イオンビームの一部を遮蔽するビーム遮蔽手段と、
前記試料と前記ビーム遮蔽手段とを保持する保持手段と、
前記試料の加工表面における特定の位置と前記イオンビームの光軸との位置関係を確認する位置確認手段と、
を備えることを特徴とするイオンビーム加工装置。
【請求項2】
前記位置確認手段は、前記イオンビームの光軸に沿って、かつ前記試料に関して前記イオンビーム照射手段の反対側に配置されることを特徴とする請求項1に記載のイオンビーム加工装置。
【請求項3】
前記位置確認手段は、スケールが設けられた透明板と、前記イオンビームの前記スケールにおける照射位置を撮像するカメラと、を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載のイオンビーム加工装置。
【請求項4】
前記カメラは、前記位置確認手段として機能する他に、前記試料の加工状態をリアルタイムで監視することを特徴とする請求項3に記載のイオンビーム加工装置。
【請求項5】
イオンビームを試料に照射して試料を加工するイオンビーム加工装置であって、
イオンビームを発生し、試料にイオンビームを照射するイオンビーム照射手段と、
前記イオンビームの一部を遮蔽するビーム遮蔽手段と、
前記試料と前記ビーム遮蔽手段とを保持する保持手段と、
前記試料及び前記ビーム遮蔽手段によって遮られないイオンビームのイオン電流値を検出するイオン電流検出手段と、
前記イオン電流検出手段によって検出されたイオン電流値によって前記試料の加工条件及び加工状態を監視する状態監視手段と、
を備えることを特徴とするイオンビーム加工装置。
【請求項6】
前記状態監視手段は、前記検出されたイオン電流値が飽和状態に達した場合に前記試料の加工が終了したと判断すること特徴とする請求項5に記載のイオンビーム加工装置。
【請求項7】
前記イオン電流検出手段は、前記イオンビームの中心部の電流値を検出する第1のイオン電流検出部と、前記イオンビームの中心部以外である周辺部の電流値を検出する第2のイオン電流検出部とを有し、
前記状態監視手段は、前記第1及び第2のイオン電流検出部のそれぞれで検出された電流値によって、前記照射されるイオンビームの光軸と前記試料の加工位置とが合致しているかを確認することを特徴とする請求項5又は6に記載のイオンビーム加工装置。
【請求項8】
さらに、前記試料の加工表面における特定の位置と前記イオンビームの光軸との位置関係を目視で確認可能とする位置確認手段を備えることを特徴とする請求項5乃至7の何れか1項に記載のイオンビーム加工装置。
【請求項9】
イオンビームを試料に照射して試料を加工するイオンビーム加工方法であって、
裏面をイオンビーム照射手段に対面させた試料とイオンビームの一部を遮蔽するビーム遮蔽手段とを保持手段によって保持する試料保持工程と、
前記イオンビーム照射手段によって前記イオンビームを発生し、前記試料の裏面に前記イオンビームを照射するイオンビーム照射工程と、
前記試料の加工表面における特定の位置と前記イオンビームの光軸との位置関係を位置確認手段によって確認する位置確認工程と、
を備えることを特徴とするイオンビーム加工方法。
【請求項10】
前記位置確認工程において、前記位置確認手段は、前記イオンビームの光軸に沿って、かつ前記試料に関して前記イオンビーム照射手段の反対側に配置されることを特徴とする請求項9に記載のイオンビーム加工方法。
【請求項11】
前記位置確認手段は、スケールが設けられた透明板と、前記イオンビームの前記スケールにおける照射位置を撮像するカメラと、を備えることを特徴とする請求項9又は10に記載のイオンビーム加工方法。
【請求項12】
さらに、前記カメラによって前記試料の加工状態をリアルタイムで監視する監視工程を備えること特徴とする請求項11に記載のイオンビーム加工方法。
【請求項13】
イオンビームを試料に照射して試料を加工するイオンビーム加工方法であって、
裏面をイオンビーム照射手段に対面させた試料とイオンビームの一部を遮蔽するビーム遮蔽手段とを保持手段によって保持する試料保持工程と、
前記イオンビーム照射手段によって前記イオンビームを発生し、前記試料に前記イオンビームを照射するイオンビーム照射工程と、
前記試料及び前記ビーム遮蔽手段によって遮られないイオンビームのイオン電流値をイオン電流検出手段によって検出するイオン電流検出工程と、
前記イオン電流検出手段によって検出されたイオン電流値によって前記試料の加工条件及び加工状態を状態監視手段によって監視する状態監視工程と、
を備えることを特徴とするイオンビーム加工方法。
【請求項14】
前記状態監視工程において、前記検出されたイオン電流値が飽和状態に達した場合に前記状態監視手段によって前記試料の加工が終了したと判断されること特徴とする請求項13に記載のイオンビーム加工方法。
【請求項15】
前記イオン電流検出手段は、前記イオンビームの中心部の電流値を検出する第1のイオン電流検出部と、前記イオンビームの中心部以外である周辺部の電流値を検出する第2のイオン電流検出部とを有し、
前記状態監視工程において、前記状態監視手段は、前記第1及び第2のイオン電流検出部のそれぞれで検出された電流値によって、前記照射されるイオンビームの光軸と前記試料の加工位置とが合致しているかを確認することを特徴とする請求項13又は14に記載のイオンビーム加工方法。
【請求項16】
さらに、前記試料の加工表面における特定の位置と前記イオンビームの光軸との位置関係を位置確認手段によって目視で確認可能とする位置確認工程を備えることを特徴とする請求項13乃至15の何れか1項に記載のイオンビーム加工方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−91221(P2008−91221A)
【公開日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−271186(P2006−271186)
【出願日】平成18年10月2日(2006.10.2)
【出願人】(000233550)株式会社日立ハイテクサイエンスシステムズ (112)
【Fターム(参考)】