説明

イオン交換クロマトグラフィー用グラフトコポリマー

本発明は、改善された特性を有する修飾された分離材料、その調製および液体からの荷電バイオポリマーの分離への使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、修飾された分離材料、その調製、および液体からの荷電バイオポリマーの分離へのその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術
イオン交換クロマトグラフィーは、おそらく医薬用タンパク質、ペプチドおよび他のバイオポリマーを精製するために最も頻繁に用いられる方法である。ほぼすべての工業的精製プロセスは、1つまたは2つ以上のイオン交換段階を含む。標的分子に対し高い結合能力を有するイオン交換樹脂は、特に関心が高い。
【0003】
直線状グラフトポリマー上にイオン性基が専ら局所化し、次いでその線状グラフトポリマーが担体表面に共有結合した好適な分離材料を使用することは、特に有利である(W. Mueller, J. Chromatography 1990, 510, 133-140)。
対応する官能性モノマーを多数の異なる表面上にグラフトさせることによって得られる官能性ポリマーが、長年にわたり知られている。官能化が化学的に結合したイオン性基を伴う場合には、対応する材料は、イオン交換クロマトグラフィーに用いられることができる。
【0004】
バイオポリマーの分画を意図した比較的多数のあり得るグラフトポリマー構造が、特許明細書EP 0 337 144またはUS 5,453,186中に見出される。1種より多いモノマー単位(共重合)を含むグラフトポリマーがまた、当該特許においてクレームされている。このグラフト共重合について、好適な交換体を得るために、両方のモノマーが塩基性もしくは酸性の基を含むかまたは1種のモノマーが中性であるようにモノマーを選択しなければならない。グラフト共重合のために好ましいモノマーの組み合わせおよび種類は明らかにされておらず、これは、当業者が、医薬用タンパク質、ペプチドおよび他のバイオポリマーの精製に適した分離材料を得る前に多数の実験を行わなければならないことを意味する。
【0005】
EP 1 473 075 Aには、イオン交換クロマトグラフィー用の材料が記載されている。当該材料を調製するために、2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸、N(イソブトキシメチル)アクリルアミドおよびヒドロキシメチルメタクリレートからなるポリマー溶液を、ヒドロキシル含有担体、例えば多孔性硝酸セルロース上に吸着させる。しかし、この「吸着」は、担体材料と塗布されたコーティングとの間の化学的結合を伴わない。吸着では、水膨潤した架橋ポリマーであるヒドロゲルを、担体の孔中で重合させる。孔中における重合によってのみ、材料は、それが使用中に圧力に対し安定である(pressure-stable)ように、十分に寸法的に安定となる。少なくとも3種のモノマーが、用いるヒドロゲルを調製するために必要であり;また少なくとも5種の構成要素、即ち担体、モノマー1、モノマー2および架橋剤およびデキストランが、実際の分離材料を調製するために必要である。
【0006】
次に、Kobayashi et al. [Journal of Chromatography, vol. 958,No. 1-2, 109 - 119, (2002)]には、イソプロピルアクリルアミドおよびアクリル酸を含むポリマーをシリカまたはシリカゲル上にグラフトさせることによって得られるクロマトグラフィー材料が記載されている。このグラフトの目的は、非荷電モノマーを導入することによって疎水特性を生じさせることにある。ポリマーの無機シリカへの結合は、脂肪族水酸基が担体表面上に存在せず、シリカが加水分解に対して安定であるという事実によって、より困難になる。
【0007】
US 2004/203149 A1には、担体材料およびゲルからなるクロマトグラフィー材料が記載されている。担体により担持された多孔性の架橋ゲルが、得られる。またEP 1 473 075 Aに述べられているように、ヒドロゲルは担体の孔中で重合し、使用中圧力に対し安定な、十分に寸法的に安定な材料を与える。担体への共有結合は起こらないが、代わりにヒドロゲルは、担体と絡み合っている。疎水性担体材料が、好ましくは用いられる。またKobayashiによって述べられているように、すべての場合における所望の分離材料の調製には、架橋剤が必要であり、それは、材料の適用において結合挙動に対して顕著な影響を有する。さらに、好ましく用いられるアクリルアミドは、加水分解に対して十分に安定でない。
【発明の概要】
【0008】
目的
したがって、本発明の目的は、タンパク質および他のバイオポリマーを高い能力で結合し、分取用途に工業規模で用いることができる、イオン性基を有する担体材料を調製することにある。
この担体材料は、pH≧13にて分離材料の精製(purification)または再生を可能にするために、担体の必須の特性を維持した状態で、加水分解に対して安定であり、特にアルカリに対して安定であるべきである。
【0009】
発明の主題
本発明は、無機または有機担体材料を含む分離材料であって、少なくとも2種のモノマー単位から構成されるポリマーが担体材料に結合しており、ここで少なくとも2種の異なる繰り返し単位が分離材料中に出現し、同時にこれらの単位の1種が電荷を有し、これらの単位の少なくとも1種が中性の基を有することを特徴とする、前記分離材料に関する。
【0010】
実験により、中性コモノマーとしてのN−アルコキシアルキルアクリルアミドで誘導体化された担体材料が、荷電生体分子、特に荷電バイオポリマーを分離するための分離材料として適することが示された。N−アルコキシアルキルアクリルアミドとのグラフト共重合のために、表面上の低い電荷密度を好適に利用することが達成される。
【0011】
したがって、本目的はまた、多孔性粒子または他の成形品のヒドロキシル含有表面上に対応するグラフトコポリマーを処理することによって達成される。反応によってこれらの表面に結合したグラフトポリマーは、本発明において2種または3種以上の繰り返し単位から構成され、ここでこれらの単位の少なくとも1種は電荷を有し、少なくとも1種の単位は中性基に結合しており、したがってこれらのグラフトポリマーは、荷電物質にイオン相互作用によって結合することができる。
【0012】
したがって、本発明はさらに、荷電物質、特にバイオポリマーをイオン相互作用によって結合することのできる分離材料に関する。これらの担体材料を調製するために、2種または3種以上の繰り返されたモノマー単位から構成されており、ここでこれらの単位の少なくとも1種が電荷を有し、これらの単位の少なくとも1種が中性基と結合したグラフトポリマーを、多孔性粒子または他の成形品のヒドロキシル含有表面に化学反応によって結合させることができる。
【0013】
本発明は特に、架橋合成ポリマーまたは架橋アガロースもしくはデキストランを有する対応する分離材料、あるいは有機コーティングを有する無機の担体をベース担体として含む複合材料に関する。
【0014】
その表面にコポリマーが共有結合した、対応するヒドロキシル含有ベース担体をベースとするイオン交換クロマトグラフィー用のこの種類の分離材料は、以下の事実によって区別される。
a)ベース担体が、脂肪族水酸基を含み、
b)コポリマーが、担体に共有結合し、
c)コポリマーが、少なくとも2種の異なるモノマー単位を含み、
d)モノマー単位が、直線状に結合し、
【0015】
e)コポリマーが、スルホン酸もしくはカルボン酸の形態で、またはアミンもしくはアンモニウム基の形態で電荷を有し、さらにアルキルおよび/またはアルキレン基ならびに任意にアミド基を含むが、アリール基を含まない、
あるいは、
スルホン酸もしくはカルボン酸の形態で、またはアミンもしくはアンモニウム基の形態で負電荷を有し、さらにアルキルおよび/またはアルキレン基を含むが、アリール基を含まない、
少なくとも1種のモノマー単位を有し、
【0016】
f)コポリマーが、一般式(1)
【化1】

式中
は、水素を示し、
は、水素またはメチルを示し、
およびYは、互いに独立して、
水素、4個までのC原子を有する直鎖状アルキル、メトキシプロピル、エトキシエチルまたはメトキシエチルを示す、
で表される少なくとも1種の非荷電モノマー単位を有し、
【0017】
g)1種より多い、電荷を有するモノマーが存在する場合には、同一の電荷を有するモノマー単位のみが組み合わされ、
h)電荷を有するモノマー単位対電荷を有しないモノマー単位の比率が、1:99〜90:10の範囲内にある。
【0018】
本発明は、好ましくはまた、その表面にコポリマーが共有結合したヒドロキシル含有ベース担体をベースとするイオン交換クロマトグラフィー用の対応する分離材料であって、
a)ベース担体は、脂肪族水酸基を含み、
b)コポリマーは、担体に共有結合し、
c)コポリマーは、少なくとも2種の異なるモノマー単位を含み、
d)モノマー単位は、直線状に結合し、
【0019】
e)コポリマーは、一般式(1)で表され、式中
は、水素を示し、
Yは、水素を示し、
は、R−SOM、R−COO、R−NR10またはR−NR1011Xを示し、
ここで、
は、2〜4個のC原子を有する直鎖状または分枝状アルキレンを示し、
、R10およびR11は、互いに独立して水素、メチル、エチル、プロピル、フェニルまたはベンジルを示し、
Mは、水素、Na、KまたはNHを示し、
Xは、Cl、Br、Iまたはメチルスルフェートを示す、
電荷を有する少なくとも1種のモノマー単位を有し、
【0020】
あるいは、コポリマーは、一般式(2)
【化2】

式中、
は、水素を示し、
は、メチルを示し、
Zは、水素、Na、KまたはNHを示す、
で表される少なくとも1種のモノマー単位を有する
ことを特徴とする、前記分離材料に関する。
【0021】
好ましくは、本発明の分離材料であって、
f)結合したコポリマーが、一般式(1)
【化3】

式中、
は、水素を示し、
は、水素またはメチルを示し、
は、メチル、エチル、プロピル、メトキシプロピル、メトキシエチルを示し、ここで
Yは、水素を示し、または、
は、メチルもしくはエチルを示し、ここで
Yは、メチルを示す、
で表される少なくとも1種の非荷電モノマー単位を有する
ことを特徴とする、前記分離材料である。
【0022】
本発明の分離材料の特に好ましい変形は、以下の事実によって区別される。c)コポリマーが、少なくとも2種の異なるモノマー単位から構成され、
e)コポリマーが、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−アクリルアミドエタンスルホン酸、カルボキシメチルアクリルアミド;カルボキシエチルアクリルアミド、カルボキシプロピルアクリルアミド、カルボキシメチルメタクリルアミド、カルボキシエチルメタクリルアミド、カルボキシプロピルメタクリルアミド、アクリル酸およびメタクリル酸の群から選択される、負電荷を有する少なくとも1種のモノマー単位を有し、
ならびに
f)コポリマーが、ジメチルアクリルアミド、エトキシエチルアクリルアミド、メトキシエチルアクリルアミドおよびメトキシプロピルアクリルアミドの群から選択される少なくとも1種の非荷電モノマー単位を含む。
【0023】
本発明に基づき記載される分離材料の他の好ましい態様は、以下の事実によって区別される。
c)コポリマーが、少なくとも2種の異なるモノマー単位を含み、
e)コポリマーが、塩化2−(アクリロイルアミノエチル)トリメチルアンモニウム、塩化3−(アクリロイルアミノプロピル)トリメチルアンモニウム、2−(ジエチルアミノエチル)アクリルアミド、2−(ジエチルアミノエチル)メタクリルアミド、2−(ジメチルアミノエチル)アクリルアミド、2−(ジメチルアミノエチル)メタクリルアミド、3−(ジエチルアミノプロピル)アクリルアミド、3−(ジエチルアミノプロピル)メタクリルアミド、3−(ジエチルアミノプロピル)アクリルアミド、3−(ジエチルアミノプロピル)メタクリルアミド、塩化2−(メタクリロイルアミノエチル)トリメチルアンモニウムおよび塩化3−(アクリロイル−アミノプロピル)トリメチルアンモニウムの群から選択される、正電荷を有する少なくとも1種のモノマー単位を有し、
ならびに
f)コポリマーは、ジメチルアクリルアミド、エトキシエチルアクリルアミド、メトキシエチルアクリルアミドおよびメトキシプロピルアクリルアミドの群から選択される、少なくとも1種の非荷電モノマー単位を含む。
【0024】
本発明はさらに、本発明の分離材料、好ましくは多孔性粒子または他の成形品のヒドロキシル含有表面上のグラフトコポリマーの調製方法であって、グラフトポリマーを、2種または3種以上の繰り返しモノマー単位から構成し、ここでこれらの単位の少なくとも1種が電荷を有し、これらの単位の少なくとも1種が、化学反応によってヒドロキシル含有表面に結合した非荷電基を有し、荷電物質、特にバイオポリマーをイオン相互作用によって結合することができる材料を得ることを特徴とする、前記方法に関する。
【0025】
発明の詳細な説明
担体表面にイオン交換基として結合した柔軟なグラフトポリマー(「触手(tentacle)」)を用いることは、知られている。したがって、商業的に入手できるカチオン交換体Fractogel(登録商標)EMD SO3-(M)中のグラフトポリマーは、スルホン酸基を有する1種の繰り返し単位のみから構成される。
【0026】
特許明細書EP 0 337 144またはUS 5,453,186には、イオン交換体の合成において好ましいモノマーの組み合わせに関する情報が示されていない。例にはまた、イオン交換体を直接生じる1種のモノマーでのグラフト重合が記載されているに過ぎない。
【0027】
特に、官能化アクリルアミドおよびアクリル酸のグラフトが、それらから生成されたポリマーがアルカリ性条件下で加水分解に対して安定であるため、調査されてきた。さらに、ポリ(アクリルアミド)は、水溶液中でのより良好な膨潤性(swellability)およびしたがってそれらの親水性のために利用するのに有利な水素結合を形成することができる。
【0028】
本発明の分離材料を調製するために、親水性クロマトグラフィー担体、例えばFractogel TSK HW65(M)または商業的に入手できるToyopearl HW-65(S)を用いることができる。これらの担体は、グラフトコポリマーで修飾される。
【0029】
本発明の材料を調製するために、他のクロマトグラフィー担体もまた用いることができる。しかし、用いる材料が、グラフト重合反応に利用しやすい反応性基、好ましくはOH基を有することが好ましい。したがって、好適な担体材料はまた、例えば有機ポリマーからなり得る。
【0030】
このような有機ポリマーは、多糖類、例えばアガロース、デキストラン、デンプン、セルロースなど、または合成ポリマー、例えばポリ(アクリルアミド)、ポリ(メタクリルアミド)、ポリ(アクリレート)、ポリ(メタクリレート)、親水的に置換されたポリ(アルキルアリルエーテル)、親水的に置換されたポリ(アルキルビニルエーテル)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(n−ビニル尿素)、ポリ(N−ビニルピロリドン)、ポリ(スチレン)および対応するモノマーのコポリマーであり得る。
【0031】
これらの有機ポリマーは、好ましくはまた架橋した親水性ネットワークの形態で用いられることができる。これらの架橋した親水性ポリマーはまた、好ましくは他の疎水性ポリマーと同様に親水化(hydrophilised)形態で用いられることのできるスチレンおよびジビニルベンゼンを含むものを包含する。
【0032】
あるいは、無機材料、例えばシリカ、酸化ジルコニウム、二酸化チタン、酸化アルミニウムなどを、担体として用いることができる。同様に、複合材料を、好適な担体材料として用いることができる。即ち、例えば、本発明の分離材料は、表面、例えば、本発明の方法で誘導体化される無機粒子または成形材料、を誘導体化することにより、得られることができる。その例としては、磁化可能な粒子の、または磁化可能な磁心の共重合によってそれら自体が磁化され得る粒子である。
【0033】
しかし、本発明の材料は長期の使用期間にわたってpH≧13におけるアルカリ性での精製または再生に耐えなければならないため、好ましくは、加水分解に対して安定であるかまたはかろうじて加水分解することができるに過ぎない親水性担体材料を用いる。担体は、低分子量の配位子をすでに担持していてもよい。配位子は、1種または2種以上の荷電基、疎水性基または水素結合を形成することができる基を担持していてもよい。好ましくは、グラフトポリマーと同一の電荷を有する配位子である。
【0034】
担体材料はまた、粒径が2〜1000μmであり得る、不規則な形状であるかまたは球状の粒子からなっていてもよい。好ましくは、3〜300μmの粒径である。
担体材料は、特に無孔の、または好ましくは多孔性の粒子状であり得る。孔の大きさは、2〜300nmであり得る。好ましくは、5〜200nmの孔の大きさである。
同様に、担体材料はまた、膜、繊維、中空繊維、コーティングまたはモノリシック成形材料状であり得る。モノリシック成形材料は、三次元物体、例えば円筒形状である。
【0035】
好ましいグラフト重合には、少なくとも1種の正または負に荷電したモノマーを用いる。複数種の荷電モノマーを用いる場合には、本発明に基づき改善された特性を有する分離材料を得るために、同一の電荷を有するモノマーのみを混合できる。陰性基を有するモノマーは、例えばスルホン酸基またはカルボキシル基を有することができる。
【0036】
スルホン酸基を有する好適なモノマーは、例えば、式(2)で表され、式中Z=R−SOMであり、ここでRおよびRが、互いに独立して水素または6個までのC原子を有するアルキル、好ましくは水素またはメチル、カルボキシルまたはカルボキシメチルの意味を有することができ、またここでRが、1〜8個のC原子を有する直鎖状アルキレン基、例えばメチレン、エチレン、プロピレンもしくはヘキシレン、または1〜8個のC原子を有する分枝状アルキレン基、例えばイソプロピレンもしくはイソブチレンであることのできる、アクリレートである。
【0037】
Mは、水素原子または金属カチオン、例えばナトリウムもしくはカリウム、またはアンモニウムカチオンである。Mは、モノマーが水溶性であるように選択される。
例として、スルホアルキルアクリレート、例えば3−スルホプロピルアクリレートまたは2−スルホエチルアクリレート、およびスルホアルキルメタクリレート、例えば3−スルホプロピルメタクリレートまたは2−スルホエチルメタクリレートが挙げられる。
【0038】
好ましくは、一般式(1)
【化4】

式中、R=R−SOMであり、ここでR、RおよびYは、互いに独立して水素または6個までのC原子を有するアルキルの意味を有することができ、好ましくは水素またはメチルであることができる、
で表されるアクリルアミドを用いる。RおよびRは、同様に、互いに独立してカルボキシルまたはカルボキシメチルであることができる。
【0039】
はまた、R−SOMであることができ、ここで、Rは、1〜8個のC原子を有する直鎖状アルキレン基、例えばメチレン、エチレン、プロピレンもしくはヘキシレン、または1〜8個のC原子を有する分枝状アルキレン基、例えばイソプロピレンもしくはイソブチレンであることができる。
【0040】
Mは、水素原子または金属カチオン、例えばナトリウムもしくはカリウム、またはアンモニウムカチオンである。Mは、モノマーが水溶性であるように選択される。
本明細書中で例として挙げることのできる好適なアクリルアミドは、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(AMPS)および2−アクリルアミドエタンスルホン酸である。
【0041】
カルボキシル基を有する好適なモノマーはまた、例えば一般式(2)
【化5】

式中、Z=R−COOMであり、ここでRおよびRは、互いに独立して水素または6個までのC原子を有するアルキル、好ましくは水素またはメチル、カルボキシルまたはカルボキシメチルの意味を有することができ、またここで、Rは、1〜8個のC原子を有する直鎖状アルキレン基、例えばメチレン、エチレン、プロピレンもしくはヘキシレン、または1〜8個のC原子を有する分枝状アルキレン基、例えばイソプロピレンもしくはイソブチレンであることができる、
で表されるアクリレートであることができる。
【0042】
Mは、水素原子または金属カチオン、例えばナトリウムもしくはカリウム、またはアンモニウムカチオンである。Mは、モノマーが水溶性であるように選択される。
【0043】
例として、カルボキシアルキルアクリレート、例えばカルボキシエチルアクリレートおよびカルボキシアルキルメタクリレートが挙げられる。好ましくは、式(1)で表され、式中R=R−COOMであり、ここでR、RおよびYが、互いに独立して水素または6個までのC原子を有するアルキル、好ましくは水素またはメチルの意味を有し、RおよびRが同様に、互いに独立してカルボキシルまたはカルボキシメチルであることのできる、アクリルアミドを用いる。
【0044】
はまた、R−COOMであることができ、またここで、Rは、1〜8個のC原子を有する直鎖状アルキレン基、例えばメチレン、エチレン、プロピレンもしくはヘキシレン、または1〜8個のC原子を有する分枝状アルキレン基、例えばイソプロピレンもしくはイソブチレンであることができる。
Mは、水素原子または金属カチオン、例えばナトリウムもしくはカリウム、またはアンモニウムカチオンである。Mは、モノマーが水溶性であるように選択される。
【0045】
特に好ましくは、一般式(2)で表され、式中Z=Mであり、ここでRおよびRが、互いに独立して水素または6個までのC原子を有するアルキル、好ましくは水素またはメチル、カルボキシルまたはカルボキシメチルの意味を有することができる不飽和カルボン酸を用いる。Mは、水素原子または金属カチオン、例えばナトリウムもしくはカリウム、またはアンモニウムカチオンである。Mは、モノマーが水溶性であるように選択される。例として、マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸またはフマル酸を挙げることができる。これらの中でも、特に好ましくは、式(2)で表され、式中Z=Mであり、ここでRが水素を示し、Rが水素または3個までのC原子を有するアルキルを示すモノマーである。このために、例として、アクリル酸およびメタクリル酸を挙げることができる。
【化6】

【0046】
陽性基を有するモノマーは、例えば第一、第二もしくは第三アミノ基を有することができるか、または第四級アンモニウム塩であることができる。アミノ基を有する好適なモノマーは、例えば式(2)で表され、式中Z=R−NR10であり、ここでRおよびRが、互いに独立して水素または6個までのC原子を有するアルキル、好ましくは水素またはメチルの意味を有することができ、またここでRが、1〜8個のC原子を有する直鎖状アルキレン基、例えばメチレン、エチレン、プロピレンもしくはヘキシレン、または1〜8個のC原子を有する分枝状アルキレン基、例えばイソプロピレンもしくはイソブチレンであることができ、またここでRおよびR10が、互いに独立して水素、アルキル、フェニルまたはアルキルフェニル、例えばメチル、エチルまたはベンジルの意味を有する、アクリレートである。
【0047】
例として、アミノアルキルアクリレート、例えば2−(ジエチルアミノエチル)アクリレート、2−(ジメチルアミノエチル)アクリレートまたは2−(ジメチルアミノプロピル)アクリレート、およびアミノアルキルメタクリレート、例えば2−(ジエチルアミノエチル)メタクリレート、2−(ジメチルアミノエチル)メタクリレートまたは3−(ジエチルアミノプロピル)メタクリレートが挙げられる。
【0048】
好ましくは、式(1)で表され、式中R=R−R−NR10であり、ここでR、RおよびYが、互いに独立して水素または6個までのC原子を有するアルキル、好ましくは水素またはメチルの意味を有し、またここでRが、1〜8個のC原子を有する直鎖状アルキレン基、例えばメチレン、エチレン、プロピレンもしくはヘキシレン、または1〜8個のC原子を有する分枝状アルキレン基、例えばイソプロピレンもしくはイソブチレンであることができ、またここで、RおよびR10が、互いに独立して水素、アルキル、フェニルまたはアルキルフェニル、例えばメチル、エチルまたはベンジルの意味を有する、アクリルアミドを用いる。
【0049】
本明細書中で例として挙げることのできる好適なアクリルアミドは、2−(ジエチルアミノエチル)アクリルアミド、2−(ジメチルアミノエチル)アクリルアミド、3−(ジエチルアミノプロピル)アクリルアミドまたは3−(ジエチルアミノプロピル)アクリルアミドであり、本明細書中で例として挙げることができる好適なメタクリルアミドは、2−(ジエチルアミノエチル)メタクリルアミド、2−(ジメチルアミノエチル)メタクリルアミド、3−(ジエチルアミノプロピル)メタクリルアミドまたは3−(ジエチルアミノプロピル)メタクリルアミドである。
【0050】
第四級アンモニウム塩である好適なモノマーは、例えば一般式(2)で表され、式中ZがR−NR1011Xの意味を有し、またここでRおよびRが互いに独立して水素または6個までのC原子を有するアルキル、好ましくは水素またはメチルの意味を有することができ、またここでRが、1〜8個のC原子を有する直鎖状アルキレン基、例えばメチレン、エチレン、プロピレンもしくはヘキシレン、または1〜8個のC原子を有する分枝状アルキレン基、例えばイソプロピレンもしくはイソブチレンであり得、またここでR、R10およびR11が、互いに独立して水素、アルキル、フェニルまたはアルキルフェニル、例えばメチル、エチルまたはベンジルの意味を有する、アクリレートである。
【0051】
Xはアニオンであり、モノマーが水溶性であるように選択され、例えば塩化物、臭化物、ヨウ化物またはメチルスルフェートであることができる。例として、アクリルオキシアルキルアンモニウム塩、例えば塩化[2−(アクリルオキシ)エチル]トリメチルアンモニウムおよびメタクリルオキシアルキルアンモニウム塩、例えば塩化[2−(メタクリルオキシ)エチル]トリメチルアンモニウムが挙げられる。
【0052】
好ましくは、一般式(1)で表され、式中R=R−NR1011Xであり、ここでR、RおよびYが互いに独立して水素または6個までのC原子を有するアルキル、好ましくは水素またはメチルの意味を有し、またここでRが1〜8個のC原子を有する直鎖状アルキレン基、例えばメチレン、エチレン、プロピレンもしくはヘキシレン、または1〜8個のC原子を有する分枝状アルキレン基、例えばイソプロピレンもしくはイソブチレンであることができ、またここでR、R10およびR11が、互いに独立して水素、アルキル、フェニルまたはアルキルフェニル、例えばメチル、エチルまたはベンジルの意味を有するアクリルアミドを用いる。
【0053】
Xはアニオンであり、モノマーが水溶性であるように選択され、例えば塩化物、臭化物、ヨウ化物またはメチルスルフェートであることができる。本明細書中で例として挙げることのできる好適なアクリルアミドは、塩化2−(アクリロイルアミノエチル)トリメチルアンモニウムおよび塩化3−(アクリロイルアミノプロピル)トリメチルアンモニウムである。本明細書中で例として挙げることのできる好適なメタクリルアミドは、塩化2−(メタクリロイルアミノエチル)トリメチルアンモニウムおよび塩化3−(メタクリロイルアミノプロピル)トリメチルアンモニウムである。
【0054】
他の構成成分として、好ましくは親水性である、少なくとも1種の非荷電モノマーが、必要である。この目的に適する中性のモノマーは、例えば低級アルキルアクリレート、例えばメチルアクリレート、低級アルキルメタクリレート、例えばメチルメタクリレートである。好ましくは、一般式1で表され、式中Y=Rであり、ここでRおよびRが、互いに独立して水素またはメチルであり、またここでRおよびRが、互いに独立して水素または4個までのC原子を有するアルキルを示す、アクリルアミドを用いる。
【0055】
したがって、Rおよび/またはRは、水素または低級アルキルを示す。後者は、本明細書中で好ましくはメチル、エチル、ブチル、イソプロピル、3−ブチルまたはイソブチルの意味、およびさらに4個までのC原子を有するアルコキシアルキル、例えばメトキシエチルまたはエトキシエチルの意味を有する。本明細書中で、例としてアクリルアミド(AAm)、ジメチルアクリルアミド、エトキシエチルアクリルアミド、メタクリルアミド、メトキシエチルアクリルアミドおよびメトキシプロピルアクリルアミドを挙げることができる。好ましくは、N置換アミドである。その理由は、それらがエステルおよび非置換アミドよりも加水分解に対して安定であるからである。
【0056】
現実のポリマーを、種々の方法で調製することができる。「上にグラフトする(grafting onto)」場合において、ポリマー鎖を、先ずモノマーから形成し、第2の段階において表面に結合させなければならない。「からグラフトする(grafting from)」場合において、重合反応を、表面上で開始し、グラフトポリマーを、個々のモノマーから直接構成する。担体材料の表面に結合するのを可能にする他の重合方法もまた、用いることができる。
【0057】
好ましくは、第2の方法であり、特に好ましくは、分離しなければならない数種のみの副産物、例えば非共有結合したポリマーが生成する変法である。制御されたフリーラジカル重合、例えば原子移動フリーラジカル重合(ATRP)の方法を用いたプロセスは、特に興味深く思われる。本明細書中において、開始剤基は、最初の段階において担体表面に所望の密度で共有結合する。開始剤基は、例えば、2−ブロモ−2−メチルプロピオン酸エステルにおけるようにエステル官能を介して結合したハロゲン化物であることができる。
【0058】
グラフト重合は、第2の段階において銅(I)塩の存在下で行なわれる。好ましい1段階グラフト重合反応は、ヒドロキシル含有担体に対して、担体が活性化されることを必要とせずに、セリウム(IV)によって開始することができる。この反応は、通常は希薄な鉱酸中で行われる。このグラフト重合を行うために、酸は、水溶液中、通常、1〜0.00001mol/l、好ましくは0.1〜0.001mol/lの範囲内の濃度で用いられる。極めて特に好ましくは、希硝酸を用い、それは、0.1〜0.001mol/lの範囲内の濃度で用いられる。
【0059】
グラフトに関する実験的系について、好ましくは、官能化されたアクリルアミドおよびアクリル酸を用いることであった。その理由は、それから生成したポリマーが、アルカリ性条件下で加水分解に対して安定であるからである。好適な担体材料が、以下の表中に挙げたモノマーとグラフト重合された場合には、本発明に係る改善された特性を有するグラフト重合によって誘導体化された分離材料が得られることが見出された。
【0060】
2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(AMPS)
2−アクリルアミドエタンスルホン酸
アクリル酸

塩化2−(アクリロイルアミノエチル)トリメチルアンモニウム
2−(ジエチルアミノエチル)アクリルアミド
ジメチルアクリルアミド
メトキシエチルアクリルアミド
【0061】
例として、以下の担体に結合したグラフトコポリマーを、好適な担体、例えばFractogel TSK HW65(M)または(S)上に、2種のモノマーの組み合わせによって調製し、カチオン交換体としてのそれらの特性、特にそれらの結合能力に関して調査する:
ポリ(AMPS、ジメチルアクリルアミド)、
ポリ(AMPS、メトキシエチルアクリルアミド)。
【0062】
有利な特性を有するグラフトポリマーを得るために、荷電モノマーおよび非荷電モノマーを、好ましくは、荷電した構成成分の比率がモノマーの合計量に対して1〜90mol%となる互いの比率で加え、好ましくは、モノマーの合計量を基準として3〜70mol%の範囲内の比率である。本発明の分離材料を調製するために、モノマーを、通常担体材料に過剰に加える。0.05〜100molの全モノマーを、1リットルの沈殿した(sedimented)ポリマー材料あたり用い、好ましくは0.05〜25mol/lを用いる。
【0063】
荷電、および非荷電アクリルアミドを混合物としてグラフト重合することができ、用いるモノマー濃度に対応する取込比率が得られる(表1)ことが見出された。
【0064】
本発明に基づいて荷電非荷電モノマーから調製したグラフトポリマーは、その中に存在するそれぞれのイオン化可能な基のpH値に対応して、および水環境の現状のpHに依存して、水性媒体中で幾分強くイオン化された形態にあり、カルボキシレートもしくはスルホン酸基またはプロトン化された第二もしくは第三アミノ基または第四級アンモニウム基の形態にある。
【0065】
したがって、本発明の材料は、特にイオン交換クロマトグラフィーにおける使用に適する。非荷電モノマー単位により、グラフトポリマーに対する2種の電荷間の平均の分離が1つの荷電モノマー単位のみからなるグラフトポリマーにおける分離よりも大きいことが保証される。グラフトポリマーはすべて表面に結合しているため、それらはその上に、中性の基が存在するために、1つの荷電モノマー単位のみからなるヒドロゲルよりも低い電荷密度を対応して有するヒドロゲルを形成する。
【0066】
カチオン交換体を評価するために、先ず、リゾチームおよびポリクローナルヒトIgG(Gammanorm)の静的結合能力を、pH5〜7の範囲において調査する。当該結合能力は、塩濃度を約1MのNaClに増大させることによるタンパク質の溶出後に、測定される。
【0067】
動的結合能力を、カラム中に充填されたカチオン交換体が2分または8分の接触時間にてタンパク質で荷電するように、種々の流量にて測定する。このために、荷電を、pH5.0にて25mMのリン酸ナトリウムおよび25mMの酢酸ナトリウムを含む緩衝液に溶解したIgG(Gammanorm)を用いて、10%のブレイクスルーまで行う。溶出を、結合緩衝液のpHにおいて、塩濃度を約1MのNaClまで増大させることによって行う。結合能力を、溶離液中のタンパク質濃度(280nM)から算出する。対応する実験の結果を、表2に示す。
【0068】
驚くべきことに、より少ない非荷電モノマーがグラフト重合のために供されるにも関わらず、遜色ない静的結合能力を達成することができことが見出された。したがって、07PP221に用いるAMPSの量の66%のみが08PP063に用られているけれども、08PP063と称され、AMPSおよびジメチルアクリルアミドを含む製品は、製品07PP221と比較してリゾチームおよびIgGについてのより高い静的結合能力を尚有する。。
【0069】
驚くべきことに、さらに、グラフトコポリマーを含む本発明の分離材料は、比較のゲルよりも顕著に高い動的結合能力を達成することが見出された。これは、特に、大きい分子、例えばIgGの結合へ、および荷電する間における高い流量(短い接触時間)に適用される。例えば、荷電モノマー単位対中性モノマー単位のモル比が約1:0.9であり、AMPSおよびメトキシエチルアクリルアミドを含む(例を参照)グラフトコポリマー07SW261は、pH5.0および2分の接触時間にて、商業的に入手できるFractogel(登録商標)EMD SO3 Mよりも30%高い結合能力を達成する。
【0070】
担体表面より上方の空間における負電荷の新規な配列により、特に、比較的大きく荷電した分子がより容易にヒドロゲル中に拡散するのが可能になる。したがって、IgGは、結合が調査されたpH5.0において、負電荷より多くの正電荷を有する(pH<pI)。おそらく、負電荷を有するグラフトポリマーのIgGに対するより低い反発相互作用が、発生する。したがって、多孔質担体に対する本発明のグラフトにより、大きい分子が担体の外面から内部の孔系中により迅速に輸送され、それにもかかわらずイオン交換クロマトグラフィーのために十分強力に結合するのが可能になる。
【0071】
本発明の材料をまた、分離エフェクターが付与されたポリマーとして表すことができる。それらを、マトリックスから分離する目的での1種もしくは2種以上の標的構成成分の選択的、部分的に選択的もしくは非選択的な結合もしくは吸着のために、または二次的な構成成分をマトリックスから分離する目的での1種もしくは2種以上の二次的な構成成分の選択的、部分的に選択的もしくは非選択的な結合もしくは吸着のためのみならず、物質混合物の1種もしくは2種以上の構成要素の結合もしくは吸着のない単に分子の大きさに基づいたサイズ排除クロマトグラフィーによる分離、天然源からのバイオポリマーの単離、濃縮および/または除去、組換え型(recombinant)の源からのバイオポリマーの単離、濃縮および/または除去、不死化細胞株およびその培養上清からのバイオポリマーの単離、濃縮および/または除去、B細胞株およびその派生体、リンパ細胞およびハイブリドーマ細胞系ならびにそれらの培養上清からのバイオポリマーの単離、濃縮および/または除去、タンパク質およびペプチドの単離、濃縮および/または除去、酵素の単離、濃縮および/または除去、モノクローナル抗体およびポリクローナル抗体ならびに天然に存在するもしくは組換え型の抗体断片の単離、濃縮および/または除去、リン酸化ペプチド/タンパク質および核酸の単離、濃縮および/または除去、食品添加物の単離、濃縮および/または除去、単糖類および多糖類の単離、濃縮および/または除去、グリコシル化タンパク質の単離、濃縮および/または除去、一本鎖または二本鎖DNAの単離、濃縮および/または除去、プラスミドDNAの単離、濃縮および/または除去、RNAの単離、濃縮および/または除去、ウイルスの単離、濃縮および/または除去、宿主細胞タンパク質の単離、濃縮および/または除去、オリゴヌクレオチドおよびポリヌクレオチドの単離、濃縮および/または除去、リポソームの単離、濃縮および/または除去、血液および乳汁からの産物の単離、濃縮および/または除去、低分子量の薬剤活性化合物(API:原薬(active pharmaceutical ingredient))の単離、濃縮および/または除去、APIのAPI薬剤担体(例えばAPI/リポソーム付加体またはAPI/ナノ粒子付加体)からの分離、鏡像異性体の単離、濃縮および/または除去のためにも用いることができる。
【0072】
バイオポリマーは主に、しかし限定されずに、液体源、例えば体液、例えば血液、血清、唾液または尿、器官抽出物、乳汁、乳清、植物抽出物、細胞抽出物、細胞培養物、発酵ブロス、動物抽出物中から生じるまたはその中に存在する。抗体は、例えば齧歯動物の哺乳動物細胞またはハイブリドーマ細胞から生じることができる。
【0073】
標的分子を含む試料を、液体に溶解し、それを本発明の材料と接触させて標的分子を、試料からの少なくとも1種または2種以上の他の物質から分離する。接触時間は、通常30秒〜24時間の範囲内にある。液体を、本発明による分離材料を含むクロマトグラフィーカラムに通すことによって液体クロマトグラフィーの原理に基づいて作業することが、有利である。液体は、単にその重力によってカラムに通すか、またはポンプによって送り込み通すことができる。
【0074】
代替の方法はバッチクロマトグラフィーであり、ここで標的の分子またはバイオポリマーが分離材料に結合することができることが必要である限りは、分離材料を液体と、撹拌するかまたは振盪することによって混合する。分離されるべき液体を、例えば分離材料を含む懸濁液中に導入し、ここで分離材料がその高い密度および/または磁心のために所望される分離に適切となるように選択されることによってクロマトグラフ流動層(chromatographic fluidised bed)の原理に基づいて作業することが、同様にできる。
【0075】
標的分子は通常、本発明の材料に結合する。分離材料をその後、好ましくはその中で標的分子が分離材料と接触される液体と同一のイオン強度および同一のpHを有する洗浄緩衝液で洗浄することができる。洗浄緩衝液は、分離材料に結合しないすべての物質を除去する。他の好適な緩衝液でのさらなる洗浄段階を、標的分子を脱着させずに続けてもよい。結合した標的分子の脱着を、溶離剤中のイオン強度を増大させることによって、または溶離剤中のpHを変化させることによって行う。したがって標的分子を、精製され、濃縮された状態で溶離剤中に得ることができる。標的分子は通常、脱着後に70%〜99%、好ましくは85%〜99%、特に好ましくは90%〜99%の純度を有する。
【0076】
しかし、標的分子が液体中に残留するが、他の付随する物質が分離材料に結合することもまた、可能である。その後、標的分子を、カラム溶出液を収集することによってスルーフロー(through-flow)で直接得る。当業者が特定のバイオポリマーを分離材料に結合させるために、条件、特にpHおよび/または伝導性をいかにして適応させなければならないか、または精製作業で標的分子を結合させないことが有利であるか否かは、当業者に知られている。
【0077】
本発明の分離材料を、バイオポリマーについての精製操作(work-up)プロセスの最初のクロマトグラフィー精製段階(捕獲段階)において用いることができる。捕獲段階を他の分離材料を用いて行う場合には、それを、残留する不純物を除去するために捕獲段階の後のクロマトグラフィー精製段階の1つにおいて用いることができる。
【0078】
本明細書によって、当業者が本発明を包括的に適用することが可能になる。したがって、さらなる説明がなくても、当業者が上記の記載を最も広い範囲において利用することができることが推測される。
【0079】
何かが不明瞭である場合には、引用した刊行物および特許文献を参照しなければならないことは言うまでもない。したがって、これらの文献は、本明細書の開示内容の一部と見なされる。
より良好に理解するために、および本発明を説明するために、本発明の保護の範囲内にある例を、以下に示す。これらの例はまた、可能な変法を例示する役割を果たす。
【0080】
さらに、より高い値が示したパーセント範囲から生じ得る場合であっても、示した例およびまた明細書の残りの両方において、組成物中に存在する構成成分量は常に、全体としての組成物を基準として100重量%または100mol%まで加えられるに過ぎず、これを超過し得ないことは、当業者にはいうまでもない。したがって、他に示さない限り、%データは、重量%またはmol%であり、ただし比率は例外であり、それを容積データにおいて示す。
例および明細書、ならびに特許請求の範囲において示す温度は、常に℃である。
【0081】

2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸および2−メトキシエチルアクリルアミドを含むグラフトコポリマーの調製の手順(バッチ07SW261)
30mlの脱イオン水中の4.2gのメトキシエチルアミンを、パドル攪拌機を備えたガラス反応装置中で0〜5℃に冷却する。6.6gの32%水酸化ナトリウム溶液を、滴下漏斗を介して計量して加え、4.8gの塩化アクリロイルを、第2の滴下漏斗から激しく撹拌しながら0〜5℃の内部温度にて計量して加える。添加が完了した際に、溶液を、5℃にてさらに30分間撹拌し、65%硝酸を用いてpH6に調整し、脱イオン水で180mlの合計容積とする。
【0082】
懸濁液を、この溶液、78gのフィルター湿潤(filter-moist)Fractogel TSK HW65(M)(希鉱酸および脱イオン水で洗浄した)ならびに16.4gの2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(AMPS)および9.9gの32%水酸化ナトリウム溶液を30mlの脱イオン水中に含む溶液から調製する。pHを、32%水酸化ナトリウム溶液および65%硝酸を用いて6に調整する。
【0083】
1.6gの硝酸アンモニウムセリウム(IV)および0.4gの65%硝酸を40mlの脱イオン水中に含む開始剤溶液を、先ず滴下漏斗中に圧力を平衡にして導入する。装置全体を、窒素での繰り返しの(3回)排気および減圧によって不活性とする。その後、懸濁液を、装置中で40℃に加温する。
【0084】
開始剤溶液を、不活性化された懸濁液に40℃の内部温度にて撹拌しながら加える。窒素の穏やかな流れの下で、懸濁液を40℃にて18時間撹拌する。次に、反応溶液を、ガラスフィルターフリット(P2)を通して吸引により濾別し、ゲルを、以下のようにフリット上で各々の場合において100mlの洗浄溶液で洗浄する:
3回 脱イオン水
8回 1M硫酸、0.2Mアスコルビン酸
3回 脱イオン水
2回 1M NaOH
3回 脱イオン水
【0085】
ゲルを、200mlの脱イオン水に懸濁させ、25%塩酸を用いてpH7に調整する。保存を、20%エタノール中で室温にて行う。
【0086】
2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸およびジメチルアクリルアミドを含むグラフトコポリマーの調製(バッチ07PP221)
懸濁液を、78gのフィルター湿潤Fractogel TSK HW65(M)(希鉱酸および脱イオン水で洗浄した)ならびに5.1gのジメチルアクリルアミド、16.7gの2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸および10.4gの32%水酸化ナトリウム溶液を97mlの脱イオン水中に含む溶液から、パドル攪拌機を備えたガラス製反応装置中で調製する。pHを、32%水酸化ナトリウム溶液および65%硝酸を用いて6に調整し、混合物を、脱イオン水で200mlの合計容積とする。
【0087】
1.6gの硝酸アンモニウムセリウム(IV)および0.4gの65%硝酸を15mlの脱イオン水中に含む開始剤溶液を、先ず滴下漏斗中に圧力を平衡にして導入する。装置全体を、窒素での繰り返しの(3回)排気および減圧によって不活性とする。その後、懸濁液を、装置中で40℃に加温する。
【0088】
開始剤溶液を、不活性化された懸濁液に40℃の内部温度にて撹拌しながら加える。窒素の穏やかな流れの下で、懸濁液を40℃にて22時間撹拌する。次に、反応溶液を、ガラスフィルターフリット(P2)を通して吸引により濾別し、ゲルを、以下のようにフリット上で各々の場合において100mlの洗浄溶液で洗浄する:
7回 脱イオン水
10回 1M硫酸、0.2Mアスコルビン酸
5回 脱イオン水
2回 1M水酸化ナトリウム溶液
3回 脱イオン水
1回 50mMリン酸緩衝液pH7
2回 脱イオン水
生成物を、20%エタノール中に室温にて保存する。
【0089】
2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸およびジメチルアクリルアミドを含むグラフトコポリマーの調製(バッチ08PP063)
懸濁液を、100gのフィルター湿潤Fractogel TSK HW65(S)(希鉱酸および脱イオン水で洗浄した)ならびに8.0gのジメチルアクリルアミド、11.1gの2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸および6.9gの32%水酸化ナトリウム溶液を60mlの脱イオン水中に含む溶液から、パドル攪拌機を備えたガラス製反応装置中で調製する。pHを、32%水酸化ナトリウム溶液および65%硝酸を用いて6.2に調整し、混合物を、脱イオン水で190mlの合計容積とする。
【0090】
1.6gの硝酸アンモニウムセリウム(IV)および0.4gの65%硝酸を25mlの脱イオン水中に含む開始剤溶液を、先ず滴下漏斗中に圧力を平衡にして導入する。装置全体を、窒素での繰り返しの(3回)排気および減圧によって不活性とする。その後、懸濁液を、装置中で40℃に加温する。
【0091】
開始剤溶液を、不活性化された懸濁液に40℃の内部温度にて撹拌しながら加える。窒素の穏やかな流れの下で、懸濁液を40℃にて22時間撹拌する。次に、反応溶液を、ガラスフィルターフリット(P2)を通して吸引により濾別し、ゲルを、以下のようにフリット上で各々の場合において100mlの洗浄溶液で洗浄する:
7回 脱イオン水
10回 1M硫酸、0.2Mアスコルビン酸
5回 脱イオン水
2回 1M水酸化ナトリウム溶液
3回 脱イオン水
1回 50mMリン酸緩衝液pH7.0
2回 脱イオン水
2回 20%エタノール/150mM NaCl
生成物を、20%エタノール中に室温にて保存する。
【0092】
グラフトポリマーの化学的組成の測定
官能基を、ポリアクリルアミド鎖であるグラフトポリマーから、酸加水分解によって切断することができる。官能基を、アミンとして遊離させる。第一アミンを、オルト−フタルアルデヒドおよびメルカプトエタノールで誘導体化した後に、HPLCによって定量的に分析することができる。較正のために、市販のアミンまたは、グラフトポリマーと同様にその後加水分解しなければならない合成において用いたモノマーを用いる。
【0093】
1000μlの5M塩酸を、10mgの乾燥ゲルに加え、混合物を超音波浴中で処理し、その後1mlの圧力容器中で125℃にて10時間加熱する。
室温に冷却した後、圧力容器を開放する。約200μlの上清をピペットで採取して除去し、5分間遠心分離する(8000rpm)。
【0094】
40μlの透明な上清を、176μlの1M水酸化ナトリウム溶液を用いて中和し、325μlの0.5Mホウ酸緩衝液、pH9.5および119μlのアセトニトリル/水8:2(V/V)を加え、混合する。100mgのオルト−フタルアルデヒド、9mlのメタノール、1mlの0.5Mホウ酸緩衝液、pH9.5および100μlのメルカプトエタノールから調製した100μlのOPA試薬を加え、混合物を激しく振盪する。2分の反応時間の後、試料を、HPLCによって分析する(UV検出330nm)。
【0095】
表1:用いたモノマーの量と比較した、07SW261のグラフトポリマーの分析(AMPSおよびエタノールアミンを用いた較正)。
【表1】

【0096】
静的IgG結合能力の測定(マイクロタイタープレートフォーマット)
すべてのゲル懸濁液を、水中の20%エタノールを用いて、50%のゲル沈殿物容積(gel sediment volume)に調整する。フィルタープレートを、結合緩衝液および各々の場合において20μlの均質化したゲル懸濁液で満たす。次に、フィルタープレートを、真空ステーションにおいて吸引する。
【0097】
深いウェルのプレートを、結合緩衝液で満たし、タンパク質原液(水中のポリクローナルヒトIgG、Gammanorm, Octapharmaまたはリゾチーム)を加え、濃度が1mlあたり9.3mgのpIgGまたは1mlあたり12.5mgのリゾチームであるように混合する。
【0098】
200μlのタンパク質溶液を、フィルタープレート中のゲルに加え、15分間シェーカー中で振盪する。フィルタープレートを、真空ステーション中で吸引する。各々の回における100μlの結合緩衝液での洗浄および吸引を、2回行う。各々の場合において、200μlの溶離緩衝液(20mMのリン酸塩、1Mの塩化ナトリウム、pH7)を次に、フィルタープレートに加え、振盪を5分間行う。上清を、真空ステーション中でUVプレート中に吸引し、プレートを、光度計において280nmにて測定する。
【0099】
1mlのゲル沈殿物容積あたりの、溶離液から計算したIgG結合能力(IgG SBC)を、表2に列挙する。用いた結合緩衝液は、pIgGについて25mMのリン酸ナトリウム、25mMの酢酸ナトリウム、pH5およびリゾチームについて25mMのリン酸ナトリウム、25mMの酢酸ナトリウム、pH7である。
【0100】
動的IgG結合能力の測定
1mlの容量を有するカラムを充填した(19mmの床深さ(bed depth)および20%の圧縮を有するProteo-Cartカラム)。カラムに、10%のブレイクスルーまで緩衝液A中に1g/lの含有量を有するIgG溶液(ポリクローナルヒトIgG、Gammanorm, Octapharmaから調製した)を投入する。流量を、カラムに対する接触時間が2分または8分となるように選択する。緩衝液Aで洗浄した後、カラムを、緩衝液Bで溶出する。
緩衝液A:25mMのリン酸ナトリウム、25mMの酢酸ナトリウム、pH5.0
緩衝液B:25mMのリン酸ナトリウム、25mMの酢酸ナトリウム、1MのNaCl、pH5.0
【0101】
ポリクローナルヒトIgGの動的結合能力(DBC)を、タンパク質の溶離液中の光度的に(280nm)測定した量から計算し、1mlの充填ゲルあたりで示す(表2)。
【0102】
表2:1mlの沈殿または充填ゲルあたりの1mgのタンパク質中のpH5.0におけるポリクローナルヒトIgG(Gammanorm)の静的および動的結合能力(SBCおよびDBC)。
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
架橋合成ポリマーまたは架橋アガロースもしくは架橋デキストランを含む、イオン交換クロマトグラフィー用分離材料、
あるいは有機コーティングを有する無機担体を担体材料として含み、その表面にコポリマーが共有結合された複合材料であって、
a)ベース担体が、脂肪族水酸基を含み、
b)コポリマーが、担体に共有結合し、
c)コポリマーが、少なくとも2種の異なるモノマー単位を含み、
d)モノマー単位が、直線状に結合し、
e)コポリマーが、スルホン酸、カルボン酸の形態で、またはアミンもしくはアンモニウム基の形態で電荷を有し、アルキルおよび/またはアルキレン基ならびに任意にアミド基を含むがアリール基を含まない、少なくとも1種のモノマー単位を有し、
f)コポリマーが、一般式(1)
【化1】

式中
は、水素を示し、
は、水素またはメチルを示し、
およびYは、互いに独立して、
水素、4個までのC原子を有する直鎖状アルキル、メトキシプロピル、エトキシエチルまたはメトキシエチルを示す、
で表される少なくとも1種の非荷電モノマー単位を有し、
g)1種より多い、電荷を有するモノマーが存在する場合には、同一の電荷を有するモノマー単位のみが組み合わされ、
h)電荷を有するモノマー単位対電荷を有しないモノマー単位の比率が、1:99〜90:10の範囲内にある
ことを特徴とする、前記分離材料または複合材料。
【請求項2】
e)コポリマーが、一般式(1)で表され、式中
は、水素を示し、
Yは、水素を示し、
は、R−SOM、R−COO、R−NR10またはR−NR1011Xを示し、
ここで、
は、2〜4個のC原子を有する直鎖状または分枝状アルキレンを示し、
、R10およびR11は、互いに独立して水素、メチル、エチル、プロピル、フェニルまたはベンジルを示し、
Mは、水素、Na、KまたはNHを示し、
Xは、Cl、Br、Iまたはメチルスルフェートを示す、
電荷を有する少なくとも1種のモノマー単位を有し、
あるいは、コポリマーが、一般式(2)
【化2】

式中、
は、水素を示し、
は、メチルを示し、
Zは、水素、Na、KまたはNHを示す、
で表される少なくとも1種のモノマー単位を有する
ことを特徴とする、請求項1に記載のイオン交換クロマトグラフィー用分離材料。
【請求項3】
f)コポリマーが、一般式(1)で表され、式中、
は、水素を示し、
は、水素またはメチルを示し、
は、メチル、エチル、プロピル、メトキシプロピル、メトキシエチルを示し、ここで
Yは、水素を示し、または、
は、メチルもしくはエチルを示し、ここで
Yは、メチルを示す、
少なくとも1種の非荷電モノマー単位を有する
ことを特徴とする、請求項1に記載のイオン交換クロマトグラフィー用分離材料。
【請求項4】
e)コポリマーが、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−アクリルアミドエタンスルホン酸、カルボキシメチルアクリルアミド;カルボキシエチルアクリルアミド、カルボキシプロピルアクリルアミド、カルボキシメチルメタクリルアミド、カルボキシエチルメタクリルアミド、カルボキシプロピルメタクリルアミド、アクリル酸およびメタクリル酸の群から選択される、負電荷を有する少なくとも1種のモノマー単位を有し、
f)コポリマーは、ジメチルアクリルアミド、エトキシエチルアクリルアミド、メトキシエチルアクリルアミドおよびメトキシプロピルアクリルアミドの群から選択される少なくとも1種の非荷電モノマー単位を含む
ことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の分離材料。
【請求項5】
e)コポリマーが、塩化2−(アクリロイルアミノエチル)トリメチルアンモニウム、塩化3−(アクリロイルアミノプロピル)トリメチルアンモニウム、2−(ジエチルアミノエチル)アクリルアミド、2−(ジエチルアミノエチル)メタクリルアミド、2−(ジメチルアミノエチル)アクリルアミド、2−(ジメチルアミノエチル)メタクリルアミド、3−(ジエチルアミノプロピル)アクリルアミド、3−(ジエチルアミノプロピル)メタクリルアミド、3−(ジエチルアミノプロピル)アクリルアミド、3−(ジエチルアミノプロピル)メタクリルアミド、塩化2−(メタクリロイルアミノエチル)トリメチルアンモニウムおよび塩化3−(アクリロイルアミノプロピル)トリメチルアンモニウムの群から選択される、正電荷を有する少なくとも1種のモノマー単位を有し、
f)コポリマーが、ジメチルアクリルアミド、エトキシエチルアクリルアミド、メトキシエチルアクリルアミドおよびメトキシプロピルアクリルアミドの群から選択される、少なくとも1種の非荷電モノマー単位を含む
ことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の分離材料。
【請求項6】
多孔性粒子または他の成形品のヒドロキシル含有表面上のグラフトコポリマーの調製方法であって、グラフトポリマーを、2種または3種以上の繰り返しモノマー単位から構成し、ここでこれらの単位の少なくとも1種が電荷を有し、これらの単位の少なくとも1種が、化学反応によってヒドロキシル含有表面に結合したモノもしくはジアルキルおよび/またはアルコキシエチルもしくはアルコキシプロピル置換アミド基を有する非荷電基を有し、荷電物質、特にバイオポリマーをイオン相互作用によって結合することができる材料を得ることを特徴とする、前記方法。

【公表番号】特表2011−529508(P2011−529508A)
【公表日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−520344(P2011−520344)
【出願日】平成21年7月8日(2009.7.8)
【国際出願番号】PCT/EP2009/004952
【国際公開番号】WO2010/012358
【国際公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【出願人】(591032596)メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (1,043)
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D−64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
【Fターム(参考)】