説明

イオン交換樹脂用のカートリッジハウジング

【課題】キャップの体格の増大を抑制しつつキャップとケースとのシール性を確保することができるイオン交換樹脂用のカートリッジハウジングを提供する。
【解決手段】カートリッジハウジングは、筒状をなし、一方の開口部がフィルタ13により被覆されるとともに、他方の開口部が開放されたケース10と、筒状をなし、一方の開口部が開放されるとともに、他方の開口部がフィルタ23により被覆されたキャップ20とを備え、ケース10の開口部側にキャップ20が嵌められる。ケース10にはその開放側の端部の外周面に径方向外側に突出する突部15が形成されている。また、キャップ20には突部15が嵌合される嵌合孔25が貫通形成されている。また、キャップ20の嵌合孔25を介した開放側の部位には嵌合孔25を介したフィルタ23側の部位(上底部22)よりも剛性の低い低剛性部30が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イオン交換樹脂と冷却液とのイオン交換を通じて冷却液に含まれるイオンを除去するようにしたイオン交換樹脂用のカートリッジハウジングに関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池システムでは、発電に伴って発熱する燃料電池を冷却すべく、ポンプにより冷却液(例えば、エチレングリコール)を強制的に循環させるための冷却回路が設けられている。また、燃料電池システムの内部に冷却液を流通させると、冷却回路の管壁内面等との化学反応により冷却液が化学変化することでイオンが生成される。そして、冷却液中のイオン濃度が上昇すると、これに伴って冷却液の電気伝導度が上昇するようになる。その結果、燃料電池によって発生した電流が冷却液を通じて外部に漏れ、ひいては燃料電池の発電効率の低下を招くといった問題が生じる。
【0003】
そこで、従来、冷却回路中に、粒状(例えば粒径が数百μm)のイオン交換樹脂が収容されたイオン交換器を設け、このイオン交換器の内部に冷却液を通過させることで、冷却液に含まれるイオンの除去を図るようにしている。
【0004】
こうしたイオン交換器としては例えば特許文献1に記載のものがある。特許文献1に記載の構成では、筒状のケースの内部には袋体内に樹脂を封入したパックが収納されており、ケースの開口部は蓋により閉塞されている。また、ケースの底部には冷却液をケース内に導入するための導入口が形成されるとともに、蓋にはケース内の冷却液を排出するための排出口が形成されている。ちなみに、導入口及び排出口は共にケースの中心軸線上においてその中心軸線の延長方向を指向するように設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007―122906号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1に記載のイオン交換器では、イオン交換樹脂を収納したパックが冷却液の流れの圧力を受けて変形する。このため、冷却液の流れ方向におけるパックの厚みが小さくなった部位ではイオン交換樹脂と冷却液とが接触する時間が短くなり、その分だけ冷却液に含まれるイオンの除去が行なわれにくくなる。
【0007】
そこで、こうした不都合を解消すべく、イオン交換樹脂を収納するユニットとして変形しにくいカートリッジを採用することが考えられる。すなわち、カートリッジは、比較的高い剛性を有する樹脂製或いは金属製の筒状のケース及びキャップからなり、内部にイオン交換樹脂が収容される。
【0008】
ここで、ケースとキャップとの組み付けが容易であることや、熱溶着時の熱の影響によるイオン交換樹脂の交換基の脱落のおそれがないこと等の理由から、熱溶着することなくケースとキャップとを互いに凹凸の関係で係合させて組み付ける構造を採用することが望ましい。
【0009】
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、キャップの体格の増大を抑制しつつキャップとケースとのシール性を確保することができるイオン交換樹脂用のカートリッジハウジングを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
以下、上記課題を解決するための手段及びその作用効果について記載する。
請求項1に記載の発明は、筒状をなし、一方の開口部がフィルタにより被覆されるとともに、他方の開口部が開放されたケースと、筒状をなし、一方の開口部が開放されるとともに、他方の開口部がフィルタにより被覆されたキャップとを備え、前記ケースの開口部側に前記キャップが嵌められるイオン交換樹脂用のカートリッジハウジングにおいて、前記ケースの開放側の端部の外周面から外方に突出する突部が形成され、前記キャップには前記突部が嵌合される嵌合孔が貫通形成され、前記キャップにおいて前記嵌合孔を介した開放側の部位には同嵌合孔を介したフィルタ側の部位よりも剛性の低い低剛性部を形成したことをその要旨としている。
【0011】
同構成によれば、ケースにキャップを被せて突部が嵌合孔に嵌合されると、キャップに形成された低剛性部が他の部分に優先して弾性変形する。このため、嵌合孔に突部を嵌合させることに起因してキャップのフィルタ側の端部が変形することを抑制することができ、ケースとキャップとのシール面に隙間が生じることを抑制することができる。従って、キャップの体格の増大を抑制しつつキャップとケースとのシール性を確保することができる。
【0012】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のイオン交換樹脂用のカートリッジハウジングにおいて、前記キャップには前記嵌合孔から前記キャップの開放側に向けて切欠部が形成され、前記低剛性部は前記切欠部と前記キャップの開放側の端部との間の部位に形成されていることをその要旨としている。
【0013】
同構成によれば、キャップに切欠部を形成することにより同切欠部とキャップの開放側の端部との間の部位により低剛性部が構成されるため、低剛性部を容易に形成することができる。
【0014】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のイオン交換樹脂用のカートリッジハウジングにおいて、前記突部は前記ケースの周方向に延びる細長形状とされ、前記嵌合孔は前記キャップの周方向に延びる細長形状とされ、前記切欠部は前記キャップの周方向における前記嵌合孔の両端にそれぞれ形成されていることをその要旨としている。
【0015】
同構成によれば、キャップに形成された一対の切欠部とその開放側の端部との間の部位により構成される低剛性部が弾性変形して同開放側に変位する。そして、これら低剛性部の間の部位も開放側に変位する。従って、突部に圧接される部位全体を開放側に適切に弾性変形させることができる。
【0016】
請求項4に記載の発明は、筒状をなし、一方の開口部がフィルタにより被覆されるとともに、他方の開口部が開放されたケースと、筒状をなし、一方の開口部が開放されるとともに、他方の開口部がフィルタにより被覆されたキャップとを備え、前記ケースの開口部側に前記キャップが嵌められるイオン交換樹脂用のカートリッジハウジングにおいて、前記ケースの開放側の端部の外周面から外方に突出するとともにその軸線方向に変形可能な突部が形成され、前記キャップには前記突部が嵌合される嵌合孔が貫通形成されていることをその要旨としている。
【0017】
同構成によれば、ケースにキャップを被せて突部が嵌合孔に嵌合されると、突部がケースの軸線方向に圧縮される。このため、嵌合孔に突部を嵌合させることに起因してキャップのフィルタ側の端部が変形することを抑制することができ、ケースとキャップとのシール面に隙間が生じることを抑制することができる。従って、キャップの体格の増大を抑制しつつキャップとケースとのシール性を確保することができる。
【0018】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載のイオン交換樹脂用のカートリッジハウジングにおいて、前記突部には周方向に延びる溝が形成されていることをその要旨としている。
【0019】
同構成によれば、突部において溝を挟む部位が同溝側に撓むようになるため、同突部をキャップの軸線方向において変形可能なものとすることができる。
請求項6に記載の発明は、請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載のイオン交換樹脂用のカートリッジハウジングにおいて、前記キャップには前記嵌合孔に連通する孔であって、前記ケースの突部を同嵌合孔に案内するガイド孔が貫通形成され、前記ガイド孔の内縁に傾斜面が形成されて、ガイド孔は前記嵌合孔側に向けて先細とされるとともに同嵌合孔との連通部の開口幅が前記突部の幅よりも小さくされ、嵌合孔のガイド孔側の端面には嵌合孔内の突部が当接されて、突部のガイド孔側への移動が阻止されるように構成したことをその要旨としている。
【0020】
同構成によれば、ガイド孔において嵌合孔との連通部の開口幅がケースの突部の幅よりも小さくされているため、同嵌合孔のガイド孔側の端面が障壁となることで嵌合孔に嵌合されている突部がガイド孔側に抜けることを抑制することができる。また、ガイド孔は傾斜面により嵌合孔側に向けて先細とされているため、ガイド孔から嵌合孔に突部を容易に嵌めることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、キャップの体格の増大を抑制しつつキャップとケースとのシール性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に係る一実施形態の冷却回路の概略図。
【図2】同実施形態のカートリッジの正面図。
【図3】(a)同実施形態のケースの正面図、(b)同ケースの平面図。
【図4】(a)同実施形態のキャップの正面図、(b)同キャップの平面図。
【図5】(a)〜(d)同実施形態のケースとキャップとの組付態様の説明図。
【図6】同実施形態の作用を説明する説明図。
【図7】ケースの変形例について、(a)突部の正面図、(b)突部の側面図。
【図8】同変形例の作用を説明する説明図。
【図9】キャップに切欠部を形成しない構成の作用を説明する説明図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図1〜図5を参照して、本発明を具体化した一実施形態について詳細に説明する。尚、以降において図面中の上下方向をそのまま上下方向として説明するが、本実施形態の構成の方向はこれに限定されるものではない。
【0024】
図1に示すように、燃料電池システムの冷却回路9には上流側から順に、冷却液(例えばエチレングリコール)を吸引して吐出するポンプ81、燃料電池82、及び冷却液を熱交換により冷却するための熱交換器83が設けられている。また、冷却回路9には熱交換器83を迂回する迂回路91が設けられており、同迂回路91の途中には冷却液に含まれるイオンをイオン交換により除去するためのイオン交換樹脂を収容したカートリッジハウジング1が設けられている。
【0025】
図2〜図4に示すように、カートリッジハウジング1は粒状(例えば粒径が数百μm程度)のイオン交換樹脂3を収容するためのものであり、合成樹脂製の円筒状をなすケース10及び短円筒状をなすキャップ20を備えている。カートリッジハウジング1は迂回路91に着脱可能に接続される。
【0026】
ケース10は、上部側(一方)の開口部19が円盤状のフィルタ13により被覆され、下部側(他方)の開口部18は開放されている。フィルタ13は、網目構造或いは多孔質構造をなすものであり、冷却液の通過を許容する一方、イオン交換樹脂3の通過を阻止する機能を有する。
【0027】
ケース10にはその上端部の外周面11に径方向外側に突出するとともに周方向に延びる細長状、具体的には正面視四角形状の突部15がケース10の周方向において等角度間隔に3つ形成されている。
【0028】
キャップ20は、下部側(一方)の開口部29が開放され、上部側(他方)の開口部28は円盤状のフィルタ23により被覆されている。フィルタ23は、上記フィルタ13と同様な構造を有している。
【0029】
キャップ20の上端部には同キャップ20の径方向内側に延びて円環状をなす上底部22が設けられている。上底部22の内周面に上記フィルタ23が固設されている。
ここで、キャップ20の周壁には、突部15が嵌合可能な周方向に延びる細長状の嵌合孔25が貫通形成されている。嵌合孔25は周方向における長さAが上記突部15の長さBよりも長くされるとともに(A>B)、軸線方向Lにおける長さ、つまり上下幅Cは上記突部15の厚さDよりも僅かに短くされている(C<D)。
【0030】
また、キャップ20には嵌合孔25の周方向両端からキャップ20の下方側に向けて一対の切欠部26が形成されている。この切欠部26の下端部は正面半円弧状をなしている。キャップ20の下端部と切欠部26の底部との間の幅d1は、上底部22の厚さd2よりも小さくされている(d1<d2)。従って、キャップ20の切欠部26を介して下側、つまり開口側の部位は、嵌合孔25を介してフィルタ23側の部位(上底部22)よりも剛性の低い低剛性部30とされている。
【0031】
キャップ20の周壁の内周面には周方向において等角度間隔に3つのガイド溝24が上下方向(軸線方向L)に沿って凹設されている。ガイド溝24は周壁の軸線方向Lの全体にわたって形成されている。
【0032】
また、キャップ20の周壁には、上記嵌合孔25とガイド溝24とを接続するガイド孔27が貫通形成されている。ガイド孔27の下縁は嵌合孔25に近接するほど上昇傾斜されており、嵌合孔25との連通部の開口幅は突部15の厚さDよりも小さくされている。
【0033】
さて、こうした構成を備えるカートリッジハウジング1の組み付けに際しては、まず、ケース10の内部にイオン交換樹脂3を収容し、その後、図5(a),(b)に示すように、キャップ20のガイド溝24内をケース10の突部15が移動するようにしてケース10の上端部にキャップ20の開口部29を被せる。そして、ケース10の上端面14にキャップ20の上底部22の底面22aを当接させる。次に、図5(c)に示すように、ケース10に対してキャップ20を周方向に回転させてキャップ20のガイド孔27内にケース10の突部15を移動させる。このとき、突部15がガイド孔27の傾斜した縁部27aに当たるが、縁部27aが弾性変形することで嵌合孔25内に突部15を移動させることができる。そして、図5(d)に示すように、突部15が嵌合孔25に嵌合されると、突部15はキャップ20によりその軸線方向Lにおいて挟持されるようになる。このようにしてキャップ20とケース10とが互いに係合される。突部15が嵌合孔25に嵌合された後においては、嵌合孔25とガイド孔27との連通部を構成するキャップ20の縁部27aによって突部15がガイド孔27に移動することが阻止される。従って、キャップ20は閉蓋状態に維持される。
【0034】
ここで、図6に示すように、キャップ20の低剛性部30の剛性が上底部22に比して低くされているため、ケース10にキャップ20を被せて突部15が嵌合孔25に嵌合されると、上底部22はほとんど変形しないが、低剛性部30は二点鎖線にて示した状態から実線にて示した状態へと大きくキャップ20の開放側に変位する。このため、これら低剛性部30の間に位置する部位31も開放側に変位する。従って、突部15と上底部22とのシール面(14,22a)に隙間が生じることが抑制される。
【0035】
こうしたカートリッジハウジング1を冷却回路9の迂回路91に接続すれば、カートリッジハウジング1の内部のイオン交換樹脂3に冷却液を通過させることにより同冷却液に含まれるイオンが除去される。
【0036】
以上説明した本実施形態に係るイオン交換樹脂用のカートリッジハウジングによれば、以下に示す作用効果が得られるようになる。
(1)ケース10の上端部の外周面11には径方向外側に突出する突部15が形成されている。また、キャップ20には突部15が嵌合される嵌合孔25が貫通形成されている。また、キャップ20において嵌合孔25を介した開放側の部位に上底部22よりも剛性の低い低剛性部30が形成されている。こうした構成によれば、キャップ20の体格の増大を抑制しつつキャップ20とケース10とのシール性を確保することができる。
【0037】
一方、上記実施形態を採用することなく、カートリッジハウジングの体格を小さくするためにキャップの底部の厚さを薄くすると、以下の問題が生じるおそれがある。すなわち、図9に示すように、キャップ120の底部122の厚さを薄くするほどその剛性が低くなる。そのため、キャップ120の嵌合孔125にケース110の突部115が嵌合されると、底部122が弾性変形することで、底部122と突部115とのシール面に隙間S1が生じる。その結果、キャップ120とケース110とのシール性を確保することができなくなる。
【0038】
(2)キャップ20には嵌合孔25からキャップ20の開放側に向けて切欠部26が形成されている。また、低剛性部30は切欠部26とキャップ20の開放側の端部との間の部位に形成されている。こうした構成によれば、低剛性部30を容易に形成することができる。
【0039】
(3)突部15及び嵌合孔25は周方向に延びる細長形状とされている。また、切欠部26は嵌合孔25の周方向両端にそれぞれ形成されている。こうした構成によれば、低剛性部30が容易に弾性変形して、低剛性部30の間の部位31も開放側に変位する。従って、突部15に圧接される部位全体を開放側に適切に弾性変形させることができ、キャップ20を容易に閉蓋状態にすることができる。
【0040】
(4)キャップ20には嵌合孔25に連通する孔であって、ケース10の突部15を同嵌合孔25に案内するガイド孔27が貫通形成されている。また、ガイド孔27の内縁に傾斜面が形成されて、ガイド孔27は嵌合孔25側に向けて先細とされるとともに同嵌合孔25との連通部の開口幅が突部15の幅よりも小さくされている。嵌合孔25のガイド孔27側の端面には嵌合孔内の突部が当接されて、突部15のガイド孔27側への移動が阻止されるように構成した。こうした構成によれば、ガイド孔27において嵌合孔25との連通部の開口幅がケース10の突部15の幅よりも小さくされているため、同嵌合孔25のガイド孔27側の端面が障壁となることで嵌合孔25に嵌合されている突部15がガイド孔27側に抜けることを抑制することができる。また、ガイド孔27は傾斜面により嵌合孔25側に向けて先細とされているため、ガイド孔27から嵌合孔25に突部を容易に嵌めることができる。
【0041】
尚、本発明に係るイオン交換樹脂用のカートリッジハウジングは、上記実施形態にて例示した構成に限定されるものではなく、これを適宜変更した例えば次のような形態として実施することもできる。
【0042】
・上記実施形態では、切欠部26がキャップ20の周方向における嵌合孔25の両端にそれぞれ隣接して形成されるものとしたが、これに加えて、嵌合孔の両端の間に更に切欠部を形成するようにしてもよい。
【0043】
・上記実施形態及びその変形例では、切欠部とキャップの開放側の端部との間の部位により低剛性部を構成するようにしたが、本発明の低剛性部はこれに限定されない。他に例えば、キャップにおいて嵌合孔の縁部と開放側の端部との間に小径の貫通孔を周方向に複数列設することにより低剛性部を具現化するようにしてもよい。また、嵌合孔と開放側の端部との間の部位を他の部位に比して肉厚を薄くすることによって形成することで低剛性部を具現化するようにしてもよい。
【0044】
・上記実施形態及びその変形例では、キャップの嵌合孔を介して開放側の部位を弾性変形させることによりケースとキャップとのシール面に隙間が生じることを抑制するようにした。これに代えて、突部をケースの軸線方向に変形可能なものとしてもよい。すなわち、図7に示すように、突部215には上下方向(軸線方向L)における中間部に周方向に延びるスリット溝216が形成されている。こうした構成によれば、図8に示すように、ケース210にキャップ220を被せて突部215が嵌合孔225に嵌合されると、突部215が上下方向に薄くなるように変形する。このため、嵌合孔225に突部215を嵌合させることに起因してキャップ220のフィルタ側の端部222が変形することを抑制することができ、ケース210とキャップ220とのシール面に隙間が生じることを抑制することができる。また、図7及び図8に示した突部215の構成に代えて、突部を軸線方向に対して圧縮可能な弾性部材により形成するようにしてもよい。この場合であっても、上記作用効果に準じた作用効果を奏することができるようになる。
【符号の説明】
【0045】
1…カートリッジハウジング、3…イオン交換樹脂、10…ケース、11…外周面、13…フィルタ、14…上端面、15,115,215…突部、18…開口部、19…開口部、20…キャップ、21…外周面、22,122…上底部、22a…底面、23…フィルタ、24…ガイド溝、25,225…嵌合孔、26…切欠部、27…ガイド孔、27a…縁部、28……開口部、29…開口部、30…低剛性部、31…部位、81…ポンプ、82…燃料電池、83…熱交換器、9…冷却回路、91…迂回路、216…スリット溝、222…端部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状をなし、一方の開口部がフィルタにより被覆されるとともに、他方の開口部が開放されたケースと、筒状をなし、一方の開口部が開放されるとともに、他方の開口部がフィルタにより被覆されたキャップとを備え、前記ケースの開口部側に前記キャップが嵌められるイオン交換樹脂用のカートリッジハウジングにおいて、
前記ケースの開放側の端部の外周面から外方に突出する突部が形成され、
前記キャップには前記突部が嵌合される嵌合孔が貫通形成され、
前記キャップにおいて前記嵌合孔を介した開放側の部位には同嵌合孔を介したフィルタ側の部位よりも剛性の低い低剛性部を形成した
ことを特徴とするイオン交換樹脂用のカートリッジハウジング。
【請求項2】
請求項1に記載のイオン交換樹脂用のカートリッジハウジングにおいて、
前記キャップには前記嵌合孔から前記キャップの開放側に向けて切欠部が形成され、
前記低剛性部は前記切欠部と前記キャップの開放側の端部との間の部位により形成されている
ことを特徴とするイオン交換樹脂用のカートリッジハウジング。
【請求項3】
請求項2に記載のイオン交換樹脂用のカートリッジハウジングにおいて、
前記突部は前記ケースの周方向に延びる細長形状とされ、
前記嵌合孔は前記キャップの周方向に延びる細長形状とされ、
前記切欠部は前記キャップの周方向における前記嵌合孔の両端にそれぞれ形成されている
ことを特徴とするイオン交換樹脂用のカートリッジハウジング。
【請求項4】
筒状をなし、一方の開口部がフィルタにより被覆されるとともに、他方の開口部が開放されたケースと、筒状をなし、一方の開口部が開放されるとともに、他方の開口部がフィルタにより被覆されたキャップとを備え、前記ケースの開口部側に前記キャップが嵌められるイオン交換樹脂用のカートリッジハウジングにおいて、
前記ケースの開放側の端部の外周面から外方に突出するとともにその軸線方向に変形可能な突部が形成され、
前記キャップには前記突部が嵌合される嵌合孔が貫通形成されている
ことを特徴とするイオン交換樹脂用のカートリッジハウジング。
【請求項5】
請求項4に記載のイオン交換樹脂用のカートリッジハウジングにおいて、
前記突部には周方向に延びる溝が形成されている
ことを特徴とするイオン交換樹脂用のカートリッジハウジング。
【請求項6】
請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載のイオン交換樹脂用のカートリッジハウジングにおいて、
前記キャップには前記嵌合孔に連通する孔であって、前記ケースの突部を同嵌合孔に案内するガイド孔が貫通形成され、
前記ガイド孔の内縁に傾斜面が形成されて、ガイド孔は前記嵌合孔側に向けて先細とされるとともに同嵌合孔との連通部の開口幅が前記突部の幅よりも小さくされ、
嵌合孔のガイド孔側の端面には嵌合孔内の突部が当接されて、突部のガイド孔側への移動が阻止されるように構成した
ことを特徴とするイオン交換樹脂用のカートリッジハウジング。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−161740(P2012−161740A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−24194(P2011−24194)
【出願日】平成23年2月7日(2011.2.7)
【出願人】(000241500)トヨタ紡織株式会社 (2,945)
【Fターム(参考)】