説明

イオン活性による混成燃料ガス発生装置

【課題】燃焼装置における燃料の燃焼効率を高めようとするものである。
【解決手段】電気分解槽部11における電気分解処理によって生成したイオン合成液(H+OH)を、混合槽部12において吸着作用させることにより気化させてイオン化活性ガス(H:OH)を生成し、当該イオン化活性ガス(H:OH)のイオン化活性機能を利用して反応槽部13において燃料M13を反応させることによって燃料M13に酸素を含む混成燃料ガスW1を生成させるようにしたことにより、燃焼装置2において効率良く燃料M13を燃焼させることができるイオン活性による混成燃料ガス発生装置1を実現し得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はイオン活性による混成燃料ガス発生装置に関し、特にガソリン、LPGなどの燃料原料を燃焼装置において効率よく燃焼させ得るようにしたものである。
【背景技術】
【0002】
燃料原料を効率よく燃焼させる手法として、酸素と水素を1:2の比率で含む混合ガスでなるいわゆる酸水素炎ガスを燃料に混合する手法が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−320416公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この酸水素炎ガスを用いる燃料燃焼手法は、燃焼装置における燃料の燃焼状態を安定に制御することが難しく、燃料原料に混成燃料ガスを混成させて燃焼装置において燃焼させる際に、特に高温高圧条件を必要とせず、しかも物理的、化学的安定性ができるだけ高い混成燃料ガスを発生できることが望まれる。
【0005】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、低温低圧力の下でも安定に燃料を活性化できるようなイオン活性による混成燃料ガス発生装置を提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる課題を解決するため本発明においては、燃焼させるべき燃料原料に対してイオン化活性ガスM11(H:OH)を反応させてなる混成燃料ガスW1を燃焼装置21に供給する混成ガス発生装置1であって、電気分解用原液20を電気分解することにより、解離結合した(H+OH)イオンを含むイオン合成液M1を生成する電気分解槽部11と、電気分解槽部11から送出されるイオン合成液M1を液化層32として貯留することにより、解離結合した(H+OH)イオンを含むイオン合成液M1から(H)イオンと(OH)イオンとが吸着してなるイオン化活性ガス(H:OH)を気化させる混合槽部12と、混合槽部12から送出されるイオン活性ガス(H:OH)を受けて当該イオン活性ガスのイオン化活性機能を利用して燃料原料を反応させることにより、燃焼装置2に供給する混成燃料W1を生成する反応槽部13とを設ける。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、電気分解槽部における電気分解処理によって生成したイオン合成液(H+OH)を、混合槽部において吸着作用させることにより気化させてイオン化活性ガス(H:OH)を生成し、当該イオン化活性ガス(H:OH)のイオン活性作用を利用して反応槽部において燃料原料を反応させることによって酸素を含む混成燃料ガスを生成させるようにしたことにより、燃焼装置において安定かつ効率良く燃料を燃焼させることができるイオン活性による混成燃料ガス発生装置を実現し得る。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施の形態によるイオン活性による混成燃料ガス発生装置を示す略線的ブロック図である。
【図2】図1の電気分解槽部11の詳細構成を示す略線的ブロック図である。
【図3】図1の混合槽部12の詳細構成を示す略線的ブロック図である。
【図4】図1の反応槽部13の詳細構成を示す略線的ブロック図である。
【図5】図1の電気分解槽部11におけるイオンの授受作用の説明に供する略線図である。
【図6】図1の混合槽部12におけるイオンの授受作用の説明に供する略線図である。
【図7】図1の反応槽部13におけるイオンの授受作用の説明に供する略線図である。
【図8】第2の実施の形態の反応槽部3におけるイオンの授受作用の説明に供する略線図である。
【図9】他の実施の形態によるイオン活性による混成燃料ガス発生装置を示す略線的ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下図面について、本発明の一実施の形態を詳述する。
【0010】
(1)全体構成
図1において、1は全体としてイオン活性による混成燃料ガス発生装置を示し、発生した混成燃料ガスW1を出力ポートP1から燃焼装置2に供給する。
【0011】
混成燃料ガス発生装置1は、電気分解槽部11と、混合槽部12と、反応槽部13とを有する。
【0012】
(2)電気分解槽部
電気分解槽部11は、図2に示すように、電気分解原液20として濃度が30[%]の水酸化カリウム(KOH)を入れた電気分解槽本体21内に設けられた積層された複数例えば111枚の電極板層22の両端から導出された陽極端子24A及び陰極端子24Bに対して電気分解用電源25を接続することにより、電気分解用原液20を、次式
【0013】
KOH → K+OH ……(1)
【0014】
によって、多量のカリウムイオン(K)と水酸基イオン(OH)とを生成する。
【0015】
この実施の形態の場合、積層された電極板層22の各電極は「SUS316」でなり、両面間に臨界電圧を越える電圧が印加されたとき電気分解用原液20に陽イオン及び陰イオンが溶出することにより、隣合う電極間に電気分解用原液20を電気分解する電界を形成する。
【0016】
電気分解槽部本体21内の電気分解作用は、さらに水酸基イオン(OH)について、次式
【0017】
OH → H+O−− ……(2)
【0018】
のように水素イオン(H)と酸素イオン(O−−)とに電気分解をする。
【0019】
かかる電気分解槽本体21における電気分解状態において、これと同時に次式
【0020】
4H+2O−− →2HO ……(3)
【0021】
のように、4個の水素イオン(4H)と、2個の酸素イオン(2O−−)とが正規結合することにより水の分子(2HO)が生成されたり、当該水の分子(2HO)が次式
【0022】
2HO=H+OH ……(4)
【0023】
のように、さらに電気分解されてオキソニウムイオン(H)と水酸基イオン(OH)とが生成するような作用も生ずる。
【0024】
このように、電気分解槽部11の電気分解槽本体21の内部では、いろいろな分子が電気分解により複数のイオンに分離したり、正規結合をしたりしているが、特に水酸基イオン(OH)について見れば、図5に示すように、各分子間のイオンの授受作用によって、2個の水の分子(2HO)が電気分解によりオキソニウムイオン(H)と水酸基イオン(OH)とに分離すると共に、両者が解離結合状態(H+OH)で共存するような作用をする。
【0025】
これらの作用は一般的には可逆的に行われるが、電気分解槽本体21に対する電気分解用電源25からの電源として、電圧200[V]、かつ電流75[A]を選定することにより、上記(4)式によるオキソニウムイオン(H)と水酸基イオン(OH)の解離結合状態への進行が最も顕著に生ずる(これを共振状態という)。
【0026】
かくして電気分解槽部11が共振条件を維持している状態において、カリウムイオン(K)、水の分子(2HO)と共に、オキソニウムイオン(H)と水酸基イオン(OH)とを解離結合してなるイオン合成液(H+OH)を含む電気分解液M1が電気分解槽部11に設けられた出力ポートP11から出力バルブV11を介して外部に送出され、これが電気分解液循環部26の入力ポートP12に対して入力バルブV12を介して供給される。
【0027】
電気分解液循環部26は循環ポンプ27を有し、電気分解槽部11から供給される電気分解液M1を純水用フィルタ28を介して出力ポートP13から出力バルブV13を介して循環用の電気分解液M2として混合槽部12の入力ポートP14に押し出す。
【0028】
(3)混合槽部
混合槽部12は、図3に示すように、供給された循環用の電気分解液M2を混合槽本体31の下層部分に液化層32として貯留する。
【0029】
かくして液化層32として貯留されたイオン合成液(H+OH)を含む電気分解液は、混合槽部12の貯留電気分解液循環ポートP15から、出力バルブV14を介して電気分解返送液M3として電気分解槽部11の循環入力ポートP16に送り返される。
【0030】
かくして電気分解液循環部26の循環ポンプ27は、電気分解槽部11の電気分解槽本体21から得た電気分解液を、出力ポートP11−出力バルブV11−電気分解液循環部26の入力バルブV12−入力ポートP12−循環ポンプ27−純水用フィルタ28−出力ポートP13−出力バルブV13−混合槽部12の入力ポートP14−混合槽部12の液化層32−貯留電気分解液循環ポートP15−出力バルブV14−電気分解槽部11の循環入力ポートP16−電気分解槽部11の循環ループを通って循環させる。
【0031】
混合槽部12の液化層32に貯留された電気分解液M2の液面32Aの液位レベルは、液量検出器33によって検出され、当該液量検出信号S1が混成燃料ガス発生装置1の中央制御装置部34に送信される。
【0032】
中央制御装置部34は、この液量検出信号S1に基づいて液化槽32の液面32Aを所定の基準液位にするような液位制御信号S2を給水バルブV29に与えることにより、液化層32の液面32Aが基準液位より低下したとき、給水バルブV29を開いて純水M5を混合槽部12の入力バルブV26を介して温度液位制御入力ポートP28に補充することにより、液化層32の液面32Aを常に基準液位に保持させるようになされている。
【0033】
この実施の形態の場合、混合槽部12の液面32Aの位置には、のぞき窓33が設けられ、これによりオペレータが液化層32の液面32Aの液位を目視確認できるようになされている。
【0034】
混合槽部12は、電気分解液循環部26から押し出されて来る電気分解液M2を貯留して液化層32を形成すると共に、当該液化層32を構成するイオン合成液(H+OH)を含む電気分解液について、これを恒温制御出力ポートP25から出力バルブV25を介して温度調整部35の入力ポートP26に送ると共に、その出力ポートP27に得られる温度調整された電気分解液を出力バルブV27及び入力バルブV26を介して混合槽部12の温度液位制御入力ポートP28に戻すようになされている。
【0035】
混合槽部12には液化層32を構成する電気分解液の温度を検出する温度検出器36が設けられ、その温度検出信号S11を中央制御装置部34(図2)に送信する。
【0036】
中央制御装置部34は、当該温度検出信号S11に基づいて、液化層32の電気分解液を所定の反応温度にするような温度制御信号S12を温度調整部35に送り返し、これにより温度調整部35が中央制御装置部34において設定された所定反応温度(例えば20〜22[℃])に温度を調整する。
【0037】
かくして混合槽部12は、液化層32に貯留された電気分解液について、その温度を所定の反応温度に維持し、これにより図6に示すように、液化層32に貯留された電気分解液に含まれるイオン合成液(H+OH)についてイオンの授受作用を生じさせることにより、イオン合成液(H+OH)からオキソニウムイオン(H)と水酸基イオン(OH)とが分離した状態と、当該分離したオキソニウムイオン(H)と水酸基イオン(OH)とがイオン電荷によって吸着した吸着分子でなるイオン活性ガス(H:OH)になる状態とを、共存させるような条件を作る。
【0038】
かくして混合槽部12は液化層32内においてイオン化活性ガス(H:OH)が生成すると、これが気化状態になることにより液化層32内において気泡となって液面32Aから気化層41に飛び出す。
【0039】
かくして気化層41には、オキソニウムイオン(H)と、水酸基イオン(OH)とが吸着したイオン化活性ガス(H:OH)が生成されて行く状態が得られ(相互保護作用によって)、これがイオン化活性ガスM11としてイオン活性ガス出力ポートP31から出力バルブV31を介して圧力調整部42に送出される。
【0040】
圧力調整部42は、気化層41内にイオン化活性ガス(H:OH)が生成されると、これを直ちに引き出すと共に、当該イオン化活性ガスM11の圧力を反応槽部13の反応最適値に調整して調整圧力イオン化活性ガスM12として、反応槽部13のイオン化活性ガス入力中間ポートP32(図4)に与える。
【0041】
この実施の形態の場合、気化層41内のイオン化活性ガス(H:OH)の濃度が高くなると、相互保護作用ができなくなって、イオン化活性ガス(H:OH)の成分が縮爆して水の成分(2HO)に戻る現象が生ずる結果になる。
【0042】
(4)反応槽部
図4において、イオン化活性ガス入力中間ポートP32は反応槽部13の低い位置に設けられたイオン化活性ガス入力ポートP33より高いレベル位置に設けられ、これにより圧力調整部42からの調整圧力イオン化活性ガスM12をイオン化活性ガス入力中間ポートP32の高いレベル位置から一旦イオン化活性ガス入力ポートP33の低いレベル位置に下げて反応槽部13に供給する。
【0043】
反応槽部13には調整圧力イオン化活性ガスM2の供給の仕方と同様に、燃焼対象であるガソリンでなる燃料原料M13を入力バルブV35を介して高いレベル位置にある燃料原料入力中間ポートP35に受けると共に、当該燃料原料M13を反応槽部13の下部に設けられた燃料原料入力ポートP36から取り込む。
【0044】
これにより、イオン化活性ガス入力ポートP33から導入された調整圧力イオン化活性ガスが、反応槽部13の下半部に貯留された燃料原料41内を、負圧を利用して通過する間に、燃料原料41と反応して混成燃料ガス42が燃料原料41の液面43上に生成される。
【0045】
反応槽部13には、オペレータが液面43の液位レベルを目視確認するためののぞき窓44が設けられている。
【0046】
反応槽部13は、図7に示すように、燃料原料であるガソリン(C14)に対してイオン化活性ガスのオキソニウムイオン(H)と水酸基イオン(OH)とのイオン授受作用によってオキソオプタン(C18)を可逆的に生成するような反応を生じさせる。
【0047】
この反応は低い圧力(0.1[MPa])において活発に行われ、この圧力の調整を圧力調整部42によって行う。
【0048】
かくして反応槽部13におけるイオンの授受作用によって生成されたオキソオプタン(C18)は、混成燃料出力ポートP37から出力バルブV37を介してイオン活性による混成燃料ガス発生装置1の出力ポートP1から混成燃料ガスW1として燃焼装置2に送出される。
【0049】
(5)混成燃料ガス生成動作
以上の構成において、電気分解槽部11に電気分解用原液20として入れられた水酸化カリウム(KOH)は、電気分解用電源25から陽極端子24A及び陰極端子24Bに与えられる電圧・電流の作用によって、(1)式〜(4)式に示すように、水酸基イオン(OH)が電気分解作用を受けることにより、図5に示すように、2個の水の分子(2HO)を正規結合作用により生成する。
【0050】
この水の分子(2HO)は、電気分解槽11において、電気分解による分離作用によって可逆的にオキソニウムイオン(H)及び水酸基イオン(OH)に分解される共に、各イオンの電気的な吸引力による解離結合作用によって可逆的にイオン合成液(H+OH)を生成する。
【0051】
これらの正規結合作用、分離作用及び解離結合作用は、同時並行的に生ずるもので、かくしてカリウムイオン(K)、オキソニウムイオン(H)、水酸基イオン(OH)及び水の分子(2HO)を含む電気分解液M1が電気分解槽部11の出力ポートP11から電気分解液循環部26の循環ポンプ27によって引き出されて、混合槽部12の入力ポートP14及び貯留電気分解液循環ポートP15を通って電気分解槽部11の循環入力ポートP16に循環される。
【0052】
この電気分解液の循環動作において、電気分解液に含まれるイオン合成液(H+OH)の生成量は、電気分解槽部11の電気分解条件に基づいて、電気分解用電源25から陽極端子24A及び陰極端子24B間に印加される直流電流・電圧が所定の共振値(この実施の形態の場合、印加電圧200[V]、かつ印加電流75[A])のとき、共振作用が生じて、当該イオン合成液(H+OH)の生成量が顕著に多量になる。
【0053】
このようにして電気分解槽部11から引き出された電気分解液M1に含まれるイオン合成液(H+OH)は、混合槽部12の下層部を通って電気分解槽部11との間で循環されるが、循環ポンプ27の押し込み圧力によって、イオン合成液(H+OH)は循環液の一部が混合槽部12の下層部分に液化層32として貯留される。
【0054】
当該混合槽部12の液化層32は、イオン合成液(H+OH)を含む電気分解液を停滞状態に貯留すると共に、当該貯留されたイオン合成液(H+OH)を恒温出力ポートP25から引き出して温度調整部35において所定の反応温度に制御した後恒温入力ポートP28に戻すような温度調整動作の下で、液化層32に貯留されたイオン合成液(H+OH)について図6に示すようなイオンの授受作用を行わせる。
【0055】
この混合槽部12におけるイオンの授受作用は、イオン合成液(H+OH)を可逆的にオキソニウムイオン(H)と水酸基イオン(OH)に分離させると共に、当該分離されたオキソニウムイオン(H)と水酸基イオン(OH)とが吸着作用によって一体化したとき相互保護作用によって液化層32の液面32Aからイオン化活性ガス(H:OH)として気化させる。
【0056】
この図6による混合槽部12におけるイオンの授受作用は、同時かつ可逆的に行われるが、温度調整部35による温度設定条件(この実施の形態の場合、20〜22[℃])によってオキソニウムイオン(H)と水酸基イオン(OH)との吸着分子であるイオン化活性ガス(H:OH)への遷移作用が顕著になる。
【0057】
かくして混合槽部12の気化層41には、液化層32から気化したイオン化活性ガス(H:OH)が出て来る。
【0058】
このとき液化層32から気化層41に気化した分のイオン合成液(H+OH)は電気分解槽部11及び混合槽部12間を循環する電気分解液から消費されることにより、電気分解槽部11内の電気分解用原液である水酸化カリウム(KOH)の濃度が高くなるが、このとき中央制御装置部34は液量検出器33の液量検出信号S1に基づいて給水バルブV29に液位制御信号S2を与えることにより純水M5を温度液位入力ポートP28を介して混合槽部12に給水することにより、液化層32の液面32Aを所定の一定値に制御すると共に、当該液化層32内のイオン合成液(H+OH)を電気分解槽11部に循環させることにより、電気分解槽部11内の電気分解原液(KOH)の濃度を一定値に制御する。
【0059】
このようにして、気化層41に充満するイオン化活性ガス(H:OH)は、混合槽部12から圧力調整部42を介して反応槽部13にイオン化活性ガス入力ポート33から送り込まれる。
【0060】
反応槽部13は当該送り込まれた調整圧力イオン化活性ガスM12を、燃料入力ポートP36から送り込まれる燃料原料M13(この実施の形態の場合、ガソリン(C14))とを反応させることにより、図7に示すイオン授受作用を生じさせる。
【0061】
この結果反応槽部13は、それ自体は活性化されてない通常の燃料原料であるガソリン(C14)に対して、イオン化されることにより活性化されたオキソニウムイオン(H)と水酸基イオン(OH)の吸着分子でなるイオン化活性ガス(H:OH)を反応させることにより、低圧力下(この実施の形態の場合最大0.1MPa)の下で、活発な反応を生じさせることにより、オキソオプタン(C18)を生成でき、これを燃焼装置2に供給することができる。
【0062】
当該オキソオプタン(C18)は、ガソリン(C14)と比較して酸素原子(O)を含んでいることにより、燃焼装置2における燃焼効率を通常のガソリン(C14)と比較して格段的に高くすることができる。
【0063】
以上の構成によれば、イオン化活性ガス(H:OH)のイオン化活性機能を利用して、酸素を燃焼させるべき燃料原料としてのガソリン(C14)に正規結合反応させることにより、効率良く燃焼できるイオン活性による混成燃料ガスを得ることができる。
【0064】
かくするにつき、イオン化活性ガス(H:OH)を燃料としてのガソリン(C14)に反応させるための反応条件を低温・低圧に安定化し得る。
【0065】
(6)第2の実施の形態
図8は第2の実施の形態を示すもので、図7の場合は、燃料原料M13としてガソリン(C14)を用いたが、図8の場合は、これに代え、反応槽部13に供給する燃料原料M13としてLPG(C)を用いる。
【0066】
この場合、反応槽部13は、イオン化活性ガス(H:OH)をLPG(C)と反応させて、混成燃料ガスW1として、1−Nプロパノール(CH―OH−CH−CH)を生成して、混成燃料出力ポートP37から出力バルブV37を介して燃焼装置2に送出する。
【0067】
図8の構成によれば、イオン化されたオキソニウムイオン(H)と水酸基イオン(OH)との吸着分子でなるイオン化活性ガス(H:OH)をLPG(C)と反応させるようにしたことにより、イオン化活性ガス(H:OH)がイオン活性化されていることにより、本来の燃料原料であるLPG(C)と比較して酸素元素を含んだ構成になっていることにより、当該混成燃料ガスである1−Nプロパノール(CH―OH−CH−CH)を燃焼装置2において燃焼させる際の燃焼効率を一段と高めることができる。
【0068】
かくして、イオン化活性ガス(H:OH)のイオン化活性機能を利用して酸素を燃焼させるべき燃料としてのLPG(C)に正規結合反応させることにより、効率良く燃焼する混成燃料を得ることができる。
【0069】
かくするにつき、イオン化活性ガス(H:OH)を燃料としてのLPG(C)に反応させるための反応条件を低温・低圧に安定化し得る。
【0070】
(7)他の実施の形態
(7−1) 上述の実施の形態においては、燃焼させるべき燃料原料として、ガソリン(C14)及びLPG(C)を用いた場合について述べたが、燃料としてはこれに限らずエタノール、メタノールなどの炭化水素を含んだものを用いても良い。
【0071】
(7−2) 図9は他の実施の形態のイオン活性による混成燃料ガス発生装置1Xを示すもので、図1との対応部分に同一符号を付して示すように、電気分解液循環部26Xを、混合槽部12から電気分解槽部11への電気分解返送液M3の流路に挿入し、これにより混合槽部12の貯留電気分解液循環ポートP15(図3)から液化層32のイオン合成液(H+OH)を循環液として引き出して電気分解槽部11の循環入力ポートP16(図2)に押し出す。
【0072】
このようにしても、電気分解槽部11から混合槽部12の液化層32を通って電気分解槽部11に戻る循環流を生成できることにより、図1について上述したと同様に、混合槽部12内に貯留するイオン合成液(H+OH)から相互保護作用に基づくイオン化活性ガス(H:OH)の気化現象を生じさせることができる。
【0073】
(7−3) 上述の実施の形態においては、電気分解槽部11の電気分解用原液20として(KOH)を用いた場合について述べたが、これに代え、Li水溶液、(NaOH)、クエン酸水溶液を用いても良い。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明はイオン化活性ガス(H:OH)と反応する燃料原料を燃焼させる燃焼装置に利用できる。
【符号の説明】
【0075】
1、1X……イオン活性による混成燃料ガス発生装置、2……燃焼装置、11……電気分解槽部、12……混合槽部、13……反応槽部、20……電気分解用原液、21……電気分解槽本体、22……陽極板、23……陰極板、24A、24B……陽極、陰極端子、25……電気分解用電源、26、26X……電気分解液循環部、27……循環ポンプ、28……純水用フィルタ、31……混合槽本体、32……液化層、33……液量検出器、34……中央制御装置部、35……温度調整部、36……温度検出器、41……気化層、42……圧力調整部。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼させるべき燃料に対してイオン化活性ガスを反応させてなる混成燃料ガスを燃焼装置に供給するイオン活性による混成燃料ガス発生装置であって、
電気分解用原液を電気分解することにより、解離結合した(H+OH)イオンを含むイオン合成液を生成する電気分解槽部と、
上記電気分解槽部から送出される上記イオン合成液を液化層として貯留することにより、解離結合した(H+OH)イオンを含む上記イオン合成液から(H)イオンと(OH)イオンとが吸着してなるイオン化活性ガス(H:OH)を気化させる混合槽部と、
上記混合槽部から送出される上記イオン化活性ガス(H:OH)を受けて当該イオン化活性ガスのイオン化活性機能を利用して燃料と反応させることにより、上記燃焼装置に供給する混成燃料を生成する反応槽部
とを具えることを特徴とするイオン活性による混成燃料ガス発生装置。
【請求項2】
上記電気分解槽部において生成された上記イオン合成液を、循環ポンプを用いて、上記混合槽部を通って上記電気分解槽部に循環させる電気分解液循環部を有する
ことを特徴とする請求項1に記載のイオン活性による混成燃料ガス発生装置。
【請求項3】
上記混合槽部に液化層として貯留された上記イオン合成液の温度を、上記イオン合成液の(H+OH)イオンからイオン化活性ガス(H:OH)に気化させる所定温度に維持する温度調整部を有する
ことを特徴とする請求項1に記載のイオン活性による混成燃料ガス発生装置。
【請求項4】
上記混合槽部において生成された上記イオン化活性ガス(H:OH)の圧力を、上記反応槽部において当該イオン化活性ガス(H:OH)が上記燃料と反応する圧力に調整する圧力調整部を有する
ことを特徴とする請求項1に記載のイオン活性による混成燃料ガス発生装置。
【請求項5】
燃焼させるべき燃料に対してイオン化活性ガスを反応させてなる混成燃料ガスを燃焼装置に供給するイオン活性による混成燃料ガス発生方法であって、
電気分解槽部において、電気分解用原液を電気分解することにより、解離結合した(H+OH)イオンを含むイオン合成液を生成するステップと、
混合槽部において、上記電気分解槽部から送出される上記イオン合成液を液化層として貯留することにより、解離結合した(H+OH)イオンを含む上記イオン合成液から(H)イオンと(OH)イオンとが吸着してなるイオン化活性ガス(H:OH)を気化させるステップと、
上記混合槽部から送出される上記イオン化活性ガス(H:OH)を反応槽部に受けて当該イオン化活性ガスのイオン化活性機能を利用して燃料原料と反応させることにより、上記燃焼装置に供給する混成燃料を生成するステップと
を具えることを特徴とするイオン活性による混成燃料ガス発生方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−203649(P2010−203649A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−48173(P2009−48173)
【出願日】平成21年3月2日(2009.3.2)
【出願人】(509055459)株式会社ワールドエネテック (1)
【出願人】(507170251)
【出願人】(509055828)
【出願人】(509055817)
【出願人】(509055806)
【出願人】(309018973)
【Fターム(参考)】