説明

イオン溶出装置、洗濯機及びイオン溶出方法

【課題】水に溶出する金属イオンの濃度を長く維持することができるイオン溶出装置及びイオン溶出方法、並びに、該イオン溶出装置を備える洗濯機の提供。
【解決手段】制御部60は、対向電極7a,7bが浸漬している間、電圧印加部65に指示して、所定時間毎に正極及び負極を切替えながら、対向電極7a,7b間に電圧を印加する。カウンタ部68は、電圧印加部65が正極及び負極を切替えた切替回数をカウントする。切替回数は対向電極7a,7bから溶出する金属イオンの減少度合を特定するための指標値である。制御部60は、カウンタ部68がカウントした切替回数に応じて対向電極7a,7b間に電圧を印加する時間を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水に浸漬された対向電極間に電圧を印加して対向電極から水に金属イオンを溶出するイオン溶出装置及びイオン溶出方法、並びに、該イオン溶出装置を備える洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、最終回の濯ぎ工程で濯ぎ水として洗濯槽に供給される水に、抗菌作用を有する銀イオン(Ag+ イオン)等の金属イオンを溶出するイオン溶出装置が搭載された洗濯機が実用化されている(例えば、特許文献1及び2参照)。金属イオンによる抗菌作用は、細胞膜を構成する呼吸鎮酵素がSH基を持つ雑菌、例えば黄色ブドウ状球菌に接触したとき、SH基のHが金属イオンにより置換され、菌細胞が不活性化することにより生じるものである。
【0003】
特許文献1又は2に開示されているイオン溶出装置は、洗濯槽に供給される水に浸漬する対向電極間に電圧を印加して対向電極から水に金属イオンを溶出し、溶出した金属イオンを含む水を洗濯槽に供給する。
【0004】
洗濯槽に供給した水に含まれる金属イオンは、洗濯槽内の洗濯物に接触して、洗濯物に付着する雑菌を分解して除去する。また、金属イオンは、洗濯物の表面をコーティングし、仕上がり後の雑菌の付着を抑制し、雑菌に起因する臭いの発生を防止することができる。
【0005】
更に、洗濯槽に供給された水に含まれる金属イオンは、洗濯槽にも作用するため、洗濯槽の表面に黒カビ等のカビが発生することを抑制することができ、洗濯槽を清潔に保つことができる。このように、金属イオンを含む水を洗濯槽に供給することによって、洗濯物の仕上がり品質を高めることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−105692号公報
【特許文献2】特開2007−203117号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
金属イオンは対向電極からの溶出によって発生するため、金属イオンの溶出に伴って対向電極の体積は小さくなる。対向電極の体積が所定体積よりも小さくなった場合、対向電極から溶出される金属イオンの減少度合が大きくなり、金属イオンの濃度が低下する。
【0008】
特許文献1及び2に開示されたイオン溶出装置においては、対向電極の体積の減少による金属イオンの減少度合の増加が考慮されていないため、長期間の使用によって金属イオンの濃度が低下した場合、抗菌作用が低下するという問題がある。
【0009】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、水に溶出する金属イオンの濃度を長く適正に維持することができるイオン溶出装置及びイオン溶出方法、並びに、該イオン溶出装置を備える洗濯機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係るイオン溶出装置は、水に浸漬される対向電極間に電圧を印加して該対向電極から前記水に金属イオンを溶出するイオン溶出装置において、前記対向電極から溶出する金属イオンの減少度合を特定するための指標値を求める手段と、該手段が求めた指標値に応じて前記対向電極間に電圧を印加する時間を制御する制御手段とを備えることを特徴とする。
【0011】
本発明に係るイオン溶出装置は、正極及び負極を所定時間毎に切替えて前記対向電極間に電圧を印加するように構成してあり、前記指標値は前記正極及び負極の切替回数であることを特徴とする。
【0012】
本発明に係るイオン溶出装置は、前記指標値は、前記対向電極間に電圧を印加した時間を積算した積算時間であることを特徴とする。
【0013】
本発明に係るイオン溶出装置は、前記指標値を閾値と比較する比較手段を備え、前記制御手段は、該比較手段が比較した結果、前記指標値が前記閾値以上である場合、前記対向電極間に電圧を印加する時間を、前記指標値が前記閾値未満である場合に前記対向電極間に電圧を印加する時間よりも長い時間に制御するように構成してあることを特徴とする。
【0014】
本発明に係るイオン溶出装置は、前記対向電極間を通過する電流の値を検出する電流検出手段と、該電流検出手段が検出した電流の値が所定電流値以下であるか否かを判定する判定手段とを更に備え、前記比較手段は、該判定手段が所定電流値以下であると判定した場合に前記指標値及び閾値を比較するように構成してあることを特徴とする。
【0015】
本発明に係るイオン溶出装置は、前記判定手段が所定電流値以下であると判定し、かつ、前記比較手段が比較した結果、前記指標値が前記閾値未満である場合に、異常を報知する報知手段を更に備えることを特徴とする。
【0016】
本発明に係るイオン溶出装置は、前記比較手段は、前記指標値を複数の閾値夫々と小さい閾値から順次比較し、前記指標値が比較対象の閾値未満である場合に比較を終了するように構成してあることを特徴とする。
【0017】
本発明に係るイオン溶出装置は、前記指標値は、前記対向電極間を通過する電流の値であることを特徴とする。
【0018】
本発明に係るイオン溶出装置は、前記指標値を閾値と比較する比較手段を備え、前記制御手段は、該比較手段が比較した結果、前記指標値が前記閾値以下である場合、前記対向電極間に電圧を印加する時間を、前記指標値が前記閾値を超える場合に前記対向電極間に電圧を印加する時間よりも長い時間に制御するように構成してあることを特徴とする。
【0019】
本発明に係るイオン溶出装置は、前記比較手段は、前記指標値を複数の閾値夫々と大きい閾値から順次比較し、前記指標値が比較対象の閾値を超える場合に比較を終了するように構成してあることを特徴とする。
【0020】
本発明に係る洗濯機は、洗濯槽に給水する給水路を備える洗濯機において、前述のイオン溶出装置を備え、前記対向電極は前記給水路内に配置されていることを特徴とする
【0021】
本発明に係るイオン溶出方法は、水に浸漬される対向電極間に電圧を印加して該対向電極から前記水に金属イオンを溶出させる方法において、該対向電極から溶出する金属イオンの減少度合を特定するための指標値を求め、求めた指標値に応じて前記対向電極間に電圧を印加する時間を制御することを特徴とする。
【0022】
本発明にあっては、水に浸漬される対向電極から溶出する金属イオンの減少度合を特定するための指標値を求め、求めた指標値に応じて対向電極に電圧を印加する時間を制御する。例えば、金属イオンの減少度合が大きくなり、対向電極から溶出する金属イオンの量が減少した場合に電圧を印加する時間を長くする。これにより、水に溶出する金属イオンの濃度を低下することなく長く適正に維持することができる。
【0023】
本発明にあっては、指標値として、正極及び負極の切替回数を求める。切替回数は対向電極から金属イオンが溶出している時間と比例するため、切替回数によって対向電極から溶出する金属イオンの減少度合を特定することができる。正極及び負極の切替えを認識して切替回数をカウントする回路については容易に構成できるため、全体の回路構成も容易に構成することができる。
【0024】
本発明にあっては、指標値として、電圧印加部が対向電極間に電圧を印加した時間を積算した積算時間を求める。積算時間は対向電極から金属イオンが溶出した時間に相当するため、積算時間によって対向電極から溶出される金属イオンの減少度合を正確に特定することができる。従って、積算時間を指標値とすることによって、対向電極に印加する電圧の時間を適切に制御することができる。
【0025】
本発明にあっては、切替回数又は積算時間である指標値と閾値とを比較する。切替回数が多い程、又は、積算時間が長い程、対向電極から溶出される金属イオンの量は少なく、金属イオンの減少度合が大きい。従って、指標値が閾値以上である場合に、対向電極間に電圧を印加する時間を、指標値が閾値未満である場合に対向電極間に電圧を印加する時間よりも長い時間に制御することによって、水に溶出する金属イオンの濃度を長く適正に維持することができる。
【0026】
本発明にあっては、対向電極から溶出される金属イオンの減少度合が大きい場合、対向電極間を通過する電流の値も低下している。従って、指標値と対向電極間を通過する電流の値とに応じて対向電極間に電圧を印加する時間をより適切に制御することができる。
【0027】
本発明にあっては、電圧を印加された対向電極間を通過する電流の値が所定電流値以下であるが、切替回数又は積算時間である指標値が閾値未満である場合、対向電極の体積が減少したのではなく、対向電極の位置ズレ等の問題により、電流の値が低下している確率が高い。従って、この場合には使用者に異常を報知して、位置ズレ等の問題を解消するように促すことによって、電圧を印加する時間の不要な延長を防止することができる。
【0028】
本発明にあっては、指標値を複数の閾値夫々と小さい閾値から順次比較し、指標値が比較対象の閾値未満となった場合に比較を終了する。対向電極間に電圧を印加する時間は、指標値がより大きな閾値以上となる都度、より長い時間に制御され、指標値以下の最大閾値に応じたより適切な時間に制御される。
【0029】
本発明にあっては、指標値として、電圧を印加された対向電極間を通過する電流の値を求める。対向電極間を通過する電流の値は、対向電極から溶出される金属イオンの減少度合が大きくなると共に低下するため、対向電極間を通過する電流の値によって金属イオンの減少度合を正確に特定することができる。従って、対向電極間の通過する電流の値を指標値とすることによって、対向電極に印加する電圧の時間を適切に制御することができる。
【0030】
本発明にあっては、対向電極間を通過する電流の値である指標値と閾値とを比較する。対向電極間を通過する電流の値が低い程、対向電極から溶出される金属イオンの量は少なく、金属イオンの減少度合が大きい。従って、指標値が閾値以下である場合に、対向電極間に電圧を印加する時間を、指標値が閾値を超える場合に対向電極間に電圧を印加する時間よりも長い時間に制御することによって、水に溶出する金属イオンの濃度を長く適正に維持することができる。
【0031】
本発明にあっては、指標値を複数の閾値夫々と大きい閾値から順次比較し、指標値が比較対象の閾値を超える場合に比較を終了する。対向電極間に電圧を印加する時間は、指標値がより小さな閾値以下になる都度、より長い時間に制御され、指標値以上の最小閾値に応じたより適切な時間に制御される。
【0032】
本発明にあっては、対向電極は洗濯槽に給水する給水路内に配置されているため、洗濯槽に供給する水に金属イオンが対向電極から溶出される。また、前述のイオン溶出装置を備えるため、洗濯物の最終回の濯ぎを、金属イオンの濃度が適正である水を用いて長期間行うことができる。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、対向電極から溶出する金属イオンの減少度合を特定するための指標値に応じて対向電極間に電圧を印加する時間を制御するため、水に溶出する金属イオンの濃度を長く適正に維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明に係る洗濯機の外観を略示する斜視図である。
【図2】洗濯機の内部構成を略示する縦断面図である。
【図3】対向電極の外観を略示する斜視図である。
【図4】本発明に係る洗濯機の実施の形態1における制御系の要部構成を示すブロック図である。
【図5】正極及び負極の切替回数と対向電極間の通電電流値との関係を示すグラフである。
【図6】実施の形態1に係る最終回の濯ぎ工程において制御部が実行する動作の手順を示すフローチャートである。
【図7】実施の形態1に係る最終回の濯ぎ工程において制御部が実行する動作の手順を示すフローチャートである。
【図8】実施の形態1に係る最終回の濯ぎ工程において制御部が実行する動作の手順を示すフローチャートである。
【図9】本発明に係る洗濯機の実施の形態2における制御系の要部構成を示すブロック図である。
【図10】対向電極間に電圧を印加する時間の積算時間と対向電極間の通電電流値との関係を示すグラフである。
【図11】実施の形態2に係る最終回の濯ぎ工程において制御部が実行する動作の手順を示すフローチャートである。
【図12】実施の形態2に係る最終回の濯ぎ工程において制御部が実行する動作の手順を示すフローチャートである。
【図13】実施の形態2に係る最終回の濯ぎ工程において制御部が実行する動作の手順を示すフローチャートである。
【図14】本発明に係る洗濯機の実施の形態3における制御系の要部構成を示すブロック図である。
【図15】実施の形態3に係る最終回の濯ぎ工程において制御部が実行する動作の手順を示すフローチャートである。
【図16】実施の形態3に係る最終回の濯ぎ工程において制御部が実行する動作の手順を示すフローチャートである。
【図17】実施の形態3に係る最終回の濯ぎ工程において制御部が実行する動作の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。
(実施の形態1)
図1は本発明に係る洗濯機の外観を略示する斜視図、図2は洗濯機の内部構成を略示する縦断面図である。
【0036】
図2に示すように、本発明に係る洗濯機は、外装を構成する外箱1の内部に、洗濯槽2及び回転ドラム3を備えている。洗濯槽2は、一側に開口20を備える大径の有底円筒体であり、外箱1の底面に立設された複数本の支持脚(図示を省略する)により、開口20の側を上とし、軸心を斜め横向きとして弾性支持されている。
【0037】
外箱1の前面(図2の左側面)には、洗濯槽2の開口20を臨む位置に、前蓋10により開閉自在に洗濯物を投入するための投入口11が開設されており、投入口11と洗濯槽2の開口20との間は、ゴム等の弾性材料製のベローズ(図示を省略する)により液密に封止されている。
【0038】
回転ドラム3は、洗濯槽2よりもやや小径の有底円筒体であり、回転ドラム3の一側には洗濯物の投入のための開口30が開設されている。回転ドラム3の駆動源となるドラムモータ4は、洗濯槽2の底面の外側に固設してある。ドラムモータ4は、洗濯槽2の底板の中央を液密に貫通し、洗濯槽2の内側に突出するモータ軸40を有している。回転ドラム3は、開口30を洗濯槽2の開口20の内側に臨ませ、モータ軸40の突出端部に底部を連結して、洗濯槽2内に同軸上に支持されており、ドラムモータ4の駆動により、洗濯槽2の内部で回転するように構成されている。
【0039】
回転ドラム3の周壁には、小径の通水孔32が全面に亘って多数貫通形成されており、更に、回転ドラム3の周壁内面には、軸長方向に延びるバッフル33が、周方向に等配をなして複数突設されている。なお図2中には、多数の通水孔32,32,・・・のうち一部と、上下に位置する2つのバッフル33,33が図示されている。
【0040】
図1に示すように、前蓋10は、横位置に設けたヒンジを中心として開閉可能に取り付けてある。外箱1の前面には、前蓋10の近傍にドア開ボタン13が設けてあり、前蓋10は、ドア開ボタン13の操作により開放される。また前蓋10は、周縁部を把持して投入口11に合わせ、前記ヒンジの逆位置に設けた押圧部14を外側から押すことにより閉止される。
【0041】
外箱1前面の上部には、各種の操作のための操作キー及び各種の表示のための表示部を備える操作パネル15が設けてある。操作パネル15は、外箱1の内部の前面の下側に設けた制御装置6に接続してあり、後述する洗い運転、濯ぎ運転及び脱水運転は、操作パネル15の操作に応じた制御装置6の動作により、個々に独立した運転、又は相互に関連した一連の運転として実行される。
【0042】
外箱1の後部上面には、給水口50が設けてある。図2に示すように給水口50は、外箱1の内側において、給水弁51及び給水管52を介して、洗濯槽2に連結してある。給水口50は、耐圧ホースを介して給水源(水道)に接続可能に構成してある。給水弁51は、洗い又は濯ぎ運転前に制御装置6から与えられる指示に従って開放される電磁弁である。給水弁51が開放された場合、給水口50に接続された給水源から供給される水は、給水管52を経て洗濯槽2の内部に供給され、前述した通水孔32,32,・・・を経て回転ドラム3内に浸入して、図2に示すように、洗濯槽2及び回転ドラム3の底部に貯留水Wとして溜まる。
【0043】
洗濯槽2には、最下位置となる底板近傍の周面に導水管22が接続されており、導水管22はフィルタ装置23に接続されている。図2中に円形のブロックにより略示するフィルタ装置23は、繊維屑を捕捉するリントフィルタを筒形のフィルタケース内に収容保持してなる公知の構成を有している。フィルタ装置23の一側は、循環ポンプ24を介して循環水管25に接続されている。循環水管25は、洗濯槽2の前部に沿って上方に延長され、洗濯槽2の前上部に回転ドラム3の内側に臨ませて設けられた噴射ヘッド26に接続してある。またフィルタ装置23の他側は、排水弁27を介して排水管28に接続されている。
【0044】
洗濯槽2内の貯留水Wは、導水管22を経てフィルタ装置23内に導入され、フィルタ装置23の内部に充満する。循環ポンプ24は、給水後の洗い又は濯ぎ運転中に制御装置6からの指示に従って駆動される。この駆動により洗濯槽2内の貯留水Wは、循環ポンプ24に吸込まれて加圧され、図2中の矢符が示すように循環水管25内を上昇し、噴射ヘッド26から噴射されて回転ドラム3の内部の洗濯物に降り注ぎ、回転ドラム3内の洗濯物の洗い、又は濯ぎ効果を高めるべく作用する。フィルタ装置23は、以上のような循環水中に含まれる繊維屑を補足、除去する作用をなす。
【0045】
排水弁27は、洗い又は濯ぎ運転中に制御装置6から与えられる指示に従って閉止する電磁弁である。排水弁27は、洗い又は濯ぎ運転の終了後に開放され、洗濯槽2内の貯留水Wは、排水管28を介して機外に排出される。フィルタ装置23は、このような排水中に含まれる繊維屑も捕捉、除去し、排水管28を経て排出される排水を清浄に保つ作用をなす。
【0046】
また、給水管52には水溜め部53が介装され、水溜め部53内部に、電圧の印加によって金属イオンを溶出する対向電極7a,7b(図3参照)が配置されている。
【0047】
図3は対向電極7a,7bの外観を略示する斜視図である。対向電極7a,7bが配置されている水溜め部53は、箱体状をなすケーシング53aと、蓋53bとからなる。ケーシング53aでは、対向する2つの側面が開放されており、開放された一方の側面に水が流入する流入口54が、もう一方の側面に水が流出する流出口55が設けられている。
【0048】
対向電極7a,7bは、板状をなし、長手方向が流入口54から流出口55に向かう方向であり、板面がケーシング53aの底面と垂直をなすように配置されている。対向電極7a,7b間の間隔は、流入口54側よりも流出口55側に縮幅するようにしてある。対向電極7a,7b夫々は、流入口54側に電圧を印加するための端子70a,70bを有する。
【0049】
給水管52を流れる水は、流入口54から水溜め部53内に流入し、流出口55から流出する。給水弁51が開放され水溜め部53に水が滞留している状態で、制御装置6が端子70a,70b間、即ち対向電極7a,7b間に電圧を印加することによって、対向電極7a,7b夫々から水溜め部53の滞留水に銀イオン(Ag+ イオン)等の金属イオンが溶出される。
【0050】
次に洗い運転、濯ぎ運転及び脱水運転を説明する。洗い運転は、前蓋10の開操作により投入口11を開放して洗濯物を投入し、前蓋10を閉じた後、排水弁27を閉止し、給水弁51を開放して、水位センサ17の検出結果に基づいて洗濯槽2の内部を適量の洗濯水を供給し、ドラムモータ4を駆動して、回転ドラム3を低速度で反復回転せしめて実施される。
【0051】
前述のようにバッフル33が突設されているため、回転ドラム3の内部の洗濯物は、通水孔32を経て回転ドラム3内に流入する洗濯水中に浸され、バッフル33の作用による持ち上げ及び落下を繰り返し、回転ドラム3の内面に繰り返し叩きつけられることで叩き洗いされる。この洗い運転の間、循環ポンプ24は、洗濯水を循環させて洗い効果を高めるべく駆動される。洗濯水を排水して洗い運転は終了する。
【0052】
濯ぎ運転は、洗い運転終了後、洗剤成分を含まない濯ぎ水に入れ換えて、回転ドラム3を低速回転せしめて実施される。洗濯物は、回転ドラム3内に溜まる濯ぎ水中に浸され、洗い運転時と同様に、回転ドラム3内での持ち上げ、落下を繰り返すことで濯がれる。このような濯ぎ運転は、濯ぎ水を入れ換えて、通常複数回実施される。この濯ぎ運転の間においても、循環ポンプ24は、濯ぎ水を循環させて濯ぎ効果を高めるために駆動される。
【0053】
最終回の濯ぎ工程で、対向電極7a,7bは、洗濯槽2が給水されて水溜め部53に水が滞留している間に、制御装置6によって電圧を印加される。これにより、最終回の濯ぎ運転では金属イオンを含む水が濯ぎ水として洗濯槽2に供給され、洗濯槽2内の洗濯物は、濯ぎ水中の金属イオンと接触して抗菌処理される。本発明の特徴は最終回の濯ぎ工程にあり、最終回の濯ぎ工程を詳細に後述する。
【0054】
脱水運転は、濯ぎ運転の終了後、排水弁27を開放し、回転ドラム3を高速回転せしめて行われる。回転ドラム3内の洗濯物は、回転ドラム3の内周面に張り付いた状態で回転し、洗濯物に含まれる水は、遠心力の作用により洗濯物から離脱して、回転ドラム3の周壁に設けた通水孔32から排出され、導水管22、フィルタ装置23及び排水管28を経て機外に排出される。このような脱水運転は、複数回の濯ぎ運転の前にも、洗濯物に含まれる水を一旦脱水し、濯ぎ効果を高めるべく実施される。
【0055】
図4は、本発明に係る洗濯機の実施の形態1における制御系の要部構成を示すブロック図である。
制御装置6は、制御部60、第1計時部61、第2計時部62、第3計時部63、入出力部64、電圧印加部65、電流検出部66、記憶部67及びカウンタ部68に共通のバスを介して接続されている。
【0056】
電圧印加部65は、対向電極7aの端子70aに電流検出部66を介して接続され、更に、対向電極7bの端子70bに接続されている。また、入出力部64は、操作パネル15、水位センサ17、ドラムモータ4、給水弁51、排水弁27及び循環ポンプ24に共通のバスを介して接続されている。
【0057】
操作パネル15には、電源スイッチ、運転開始を指示するスタートスイッチ、運転内容を洗濯するためのスイッチ等の各種の操作スイッチが設けられており、使用者が操作スイッチを操作した場合に操作内容が入出力部64を介して制御部60に通知される。
【0058】
また、操作パネル15には、図1に示すように、金属イオンによる抗菌処理の実行を選択する際に操作される抗菌実行スイッチ16が設けられており、抗菌実行スイッチ16の操作の有無も、入出力部64を介して制御部60に通知される。更に、操作パネル15は、対向電極7a,7bの位置ズレ等の異常を、入出力部64を介して制御部60から通知された場合、操作パネル15が有する表示部にメッセージを表示して異常を使用者に報知する。
【0059】
水位センサ17は、フィルタ装置23に付設されたエアトラップ内の圧力に基づいて、フィルタ装置23を基準として洗濯槽2内の貯留水Wの水位を検出するように構成されたエアトラップ式の水位センサである。水位センサ17により検出される貯留水Wの水位は、入出力部64を介して制御部60に通知する。
【0060】
制御部60は、マイクロコンピュータを用いて構成され、図示しないRAMを作業領域として用い、図示しないROMに記憶されたコンピュータプログラムに従って本発明に係る洗濯機の各部を制御し、洗い運転、濯ぎ運転及び脱水運転を実行する。制御部60は、最終回の濯ぎ工程において、対向電極7a,7b間を通過する電流の値と、電圧印加部65が電圧を印加する正極及び負極を切替えた回数とに応じて、電圧印加部65が電圧を印加する時間を制御する。
【0061】
第1計時部61、第2計時部62及び第3計時部63夫々は、制御部60の指示に従って、計時の開始、終了及びリセットを行う。
第1計時部61は、最終回の濯ぎの工程で、給水弁51が開放されて洗濯槽2に給水している間に、対向電極7a,7b間に電圧印加部65が電圧を印加している時間を計時する。第2計時部62は、電圧印加部65が正極及び負極を切替える時間間隔を計時する。第3計時部63は濯ぎ運転を行っている時間を計時する。
【0062】
入出力部64は、操作パネル15から操作に関する情報、及び、水位センサ17が検出した貯留水Wの水位を受け付け、制御部60に通知する。また、入出力部64は、制御部60から受け付けた指示を操作パネル15、ドラムモータ4、給水弁51、排水弁27及び循環ポンプ24に通知する。
【0063】
電圧印加部65は、制御部60の指示に従って、端子70a,70b間、即ち、対向電極7a,7b間に電圧を印加して、対向電極7a,7bから金属イオンを溶出させる。また、電圧印加部65は、制御部60の指示に従って、端子70a,70b間に電圧を印加する正極及び負極を所定時間毎に切替える。
【0064】
電流検出部66は、電圧印加部65が対向電極7a,7b間に電圧を印加した場合に対向電極7a,7b間を通過する電流の値、即ち、対向電極7a,7b間の通電電流値を検出し、検出した通電電流値を制御部60に通知する。対向電極7a,7b間の通電電流値は金属イオンの減少度合が大きくなると共に低下する。
【0065】
記憶部67は、最終回の濯ぎ工程で対向電極7a,7b間に電圧を印加すべき印加時間T1、T2及びT3と、電圧印加部65が電圧を印加する正極及び負極を切替える時間間隔である切替時間と、濯ぎを行う濯ぎ時間とを記憶している。ここで、印加時間はT1を最短としてT1、T2、T3の順に長く、切替時間は印加時間T1,T2及びT3のいずれよりも短い。例えば、印加時間T1は90秒であり、切替時間は20秒である。
【0066】
また、記憶部67は、対向電極7a,7b間の通電電流値について対向電極7a,7bから溶出する金属イオンの量が所定量低下したことを示す基準電流値(所定電流値)と、正極及び負極の切替回数の2つの閾値とを記憶している。ここで、2つの閾値夫々を第1及び第2回数とし、第1回数は第2回数よりも多いとする。
【0067】
切替回数は、対向電極7a,7bから金属イオンが溶出している時間と比例するため、切替回数によって金属イオンの減少度合を特定することができる指標値である。切替回数が多い程、対向電極から溶出される金属イオンの量は少なく、金属イオンの減少度合が大きいと特定することができる。
【0068】
カウンタ部68は、制御部60の指示に従って、電圧印加部65が初めて対向電極7a,7b間に電圧を印加してから、正極及び負極の切替回数をカウントし、カウントした切替回数を制御部60に通知する。
なお、カウンタ部68は回数をカウントすることによって切替回数である指標値を求める。
【0069】
図5は、正極及び負極の切替回数と対向電極7a,7b間の通電電流値との関係を示すグラフである。通電電流値は、切替回数が少ない場合に一定であり、単位時間当たりに対向電極7a,7bから溶出される金属イオンの量は一定である。通電電流値は、切替回数が基準回数を超えた場合に低下し、通電電流値の低下と共に単位時間当たりに対向電極7a,7bから溶出される金属イオンの量も低下する。
【0070】
第1及び第2回数は、基準回数を超えた切替回数に設定されている。第1回数は例えば1万7千回に設定される。また、基準電流値は、切替回数が基準回数未満である場合における通電電流値よりも低く、第1回数における通電電流値の近傍にある値に設定されている。
【0071】
図6、図7及び図8は実施の形態1に係る最終回の濯ぎ工程において制御部60が実行する動作の手順を示すフローチャートである。
【0072】
制御部60は、まず、入出力部64を介して給水弁51及び排水弁27に指示して、給水弁51を開放し、排水弁27を閉止する(ステップS1)。これにより、給水管52及び水溜め部53を介して給水源から洗濯槽2に給水され、水溜め部53内に水が滞留する。次に、制御部60は抗菌処理を実行するか否かを判定する(ステップS2)。制御部60は、操作パネル15の抗菌実行スイッチ16が使用者から抗菌処理の実行を選択する操作を受け付けているか否かによって抗菌処理を実行するか否かを判定する。
【0073】
制御部60は、抗菌処理を実行すると判定した場合(ステップS2:YES)、電圧印加部65に指示して、対向電極7a,7b間への電圧印加を開始する(ステップS3)。制御部60は、抗菌処理を実行しないと判定した場合(ステップS2:NO)、後述のステップS23に処理を移す。
【0074】
制御部60は、ステップS3を実行した後、カウンタ部68に指示して切替回数を1だけインクリメントし(ステップS4)、第1計時部61及び第2計時部62夫々に指示して計時を開始し(ステップS5)、電流検出部66に指示して対向電極7a,7b間の通電電流値を検出する(ステップS6)。
【0075】
次に、制御部60は、ステップS6で検出した通電電流値が記憶部67に記憶してある基準電流値以下であるか否かを判定する(ステップS7)。制御部60は、通電電流値が基準電流値を超えていると判定した場合(ステップS7:NO)、対向電極7a,7bから適量の金属イオンが溶出していると判断して、対向電極7a,7b間に印加すべき印加時間を最短のT1に設定する(ステップS8)。
【0076】
制御部60は、通電電流値が基準電流値以下であると判定した場合(ステップS7:YES)、カウンタ部68がカウントしている切替回数を、記憶部67に記憶してある第1回数と比較し、切替回数が第1回数以上であるか否かを判定する(ステップS9)。
【0077】
制御部60は、切替回数が第1回数未満であると判定した場合(ステップS9:NO)、操作パネル15に指示して、対向電極7a,7bの位置ズレ等の問題によって通電電流値が低下している旨のメッセージを操作パネル15の表示部に表示して、使用者に異常を報知する(ステップS10)。
【0078】
通電電流値は基準電流値以下であるが、切替回数が第1回数未満である場合、対向電極の体積が減少したのではなく、対向電極7a,7bの位置ズレ等の問題により、通電電流値が低下している確率が高い。従って、使用者に異常を報知することによって、位置ズレ等の問題を解消するように促し、対向電極7a,7b間に電圧を印加する時間の不要な延長を防止することができる。
制御部60は、ステップS10を実行した後、処理を後述のステップS21に移す。
【0079】
制御部60は、切替回数が第1回数以上であると判定した場合(ステップS9:YES)、切替回数を第2回数と比較して切替回数が第2回数以上であるか否かを判定する(ステップS11)。
【0080】
制御部60は、切替回数が第2回数未満であると判定した場合(ステップS11:NO)、対向電極7a,7b間に電圧を印加すべき印加時間をT1よりも長いT2に設定する(ステップS12)。
【0081】
制御部60は、切替回数が第2回数以上であると判定した場合(ステップS11:YES)、対向電極7a、7b間に電圧を印加すべき印加時間をT2よりも長いT3に設定する(ステップS13)。
【0082】
制御部60は、ステップS8、S12又はS13を実行した後、第2計時部62が計時している第2計時時間が、記憶部67に記憶してある切替時間以上である否かを判定する(ステップS14)。制御部60は、第2計時時間が切替時間未満であると判定した場合(ステップS14:NO)、第2計時時間が切替時間以上となるまでステップS14の判定を繰り返し、正極及び負極を切替えずに電圧印加部65に電圧を印加し続ける。
【0083】
制御部60は、第2計時時間が切替時間以上であると判定した場合(ステップS14:YES)、第2計時部62に指示して、計時の終了及びリセットを行って第2計時時間をゼロに設定し(ステップS15)、電圧印加部65に指示して、対向電極7a,7b間に電圧を印加している正極及び負極を切替える(ステップS16)。
【0084】
そして、制御部60は、カウンタ部68に指示して、切替回数を1だけインクリメントし(ステップS17)、第2計時部62に指示して、計時を開始する(ステップS18)。次に、制御部60は、第1計時部61が計時している第1計時時間が、ステップS8、S12又はS13で設定した印加時間以上であるか否かを判定する(ステップS19)。
【0085】
制御部60は、第1計時時間が印加時間未満であると判定した場合(ステップS19:NO)、第2計時時間が切替時間以上であるか否かを判定する(ステップS20)。制御部60は、第2計時時間が切替時間未満であると判定した場合(ステップS20:NO)、ステップS19に処理を戻す。
【0086】
これにより、制御部60は、第1計時時間が印加時間以上となるか、又は、第2計時時間が切替時間以上になるまで、電圧印加部65に指示して、正極及び負極を切替えずに対向電極7a,7b間に電圧を印加する。
【0087】
制御部60は、第2計時時間が切替時間以上であると判定した場合(ステップS20)、ステップS15に処理を戻す。これにより、制御部60は、電圧印加部65に指示して正極及び負極を切替え、再び、第1計時時間が印加時間以上となるか、又は、ゼロに再設定された第2計時時間が切替時間以上になるまで、対向電極7a,7b間に電圧を印加する。
【0088】
制御部60は、第1計時時間が印加時間以上であると判定した場合(ステップS19:YES)、電圧印加部65に指示して対向電極7a,7b間の電圧印加を停止する(ステップS21)。次に、制御部60は、第1計時部61及び第2計時部62夫々に指示して、計時の終了及びリセットを行って第1及び第2計時時間夫々をゼロに設定する(ステップS22)。
【0089】
次に、制御部60は、貯留水Wの水位を検出する水位センサ17が所定水位を検出したか否かを判定する(ステップS23)。制御部60は、所定水位を検出していないと判定した場合(ステップS23:NO)、貯留水Wの水位が所定水位となるまで給水弁51から洗濯槽2への給水を続け、ステップS23の判定を繰り返す。なお、所定水位は記憶部67に記憶してあり、制御部60によって読み出される。
【0090】
制御部60は、所定水位を検出したと判定した場合(ステップS23:YES)、入出力部64を介して給水弁51に指示を与えて給水弁51を閉止する(ステップS24)。これにより、給水弁51から洗濯槽2への給水が停止する。
なお、本発明に係る洗濯機は、制御部60がステップS2〜S22までの動作を貯留水Wの水位が所定水位になるまでに行うように構成されている。
【0091】
次に、制御部60は、ドラムモータ4に指示して、回転ドラム3に低速回転を開始させ(ステップS25)、第3計時部63に指示して計時を開始する(ステップS26)。
【0092】
次に、制御部60は、第3計時部63が計時している第3計時時間が、記憶部67に記憶してある濯ぎ時間以上であるか否かを判定する(ステップS27)。制御部60は、第3計時時間が濯ぎ時間未満であると判定した場合(ステップS27:NO)、ステップS27の判定を繰り返し、第3計時時間が濯ぎ時間以上となるまで回転ドラム3を低速回転せしめて濯ぎを行わせる。
【0093】
制御部60は、第3計時時間が濯ぎ時間以上であると判定した場合(ステップS27:YES)、ドラムモータ4に指示して回転ドラム3の回転を停止させ(ステップS28)、第3計時部63に指示して、計時の終了及びリセットを行って第3計時時間をゼロに設定する(ステップS29)。制御部60は、ステップS29を実行した後、動作を終了し、最終回の濯ぎ工程を終了する。
【0094】
なお、実施の形態1においては、制御装置6、対向電極7a,7b及び操作パネル15によってイオン溶出装置を構成し、特許請求の範囲において、制御部60は比較手段及び判定手段に、操作パネル15は報知手段に、カウンタ部68は指標値を求める手段に該当する。
【0095】
実施の形態1にあっては、制御部60は、カウンタ部68に指示して、金属イオンの減少度合を特定するための指標値である切替回数を求め、求めた切替回数に応じて対向電極7a,7b間に電圧を印加する時間をT1、T2又はT3に制御する。更に、制御部60は、切替回数が第1回数(又は第2回数)以上である場合、対向電極7a,7b間に電圧を印加する時間を、指標値が第1回数(又は第2回数)未満である場合に対向電極7a,7b間に電圧を印加する時間よりも長い時間に制御する。これにより、水溜め部53に滞留する水に対向電極7a,7bから溶出する金属イオンの濃度を低下することなく長く適正に維持することができる。
【0096】
また、電圧印加部65が行う正極及び負極の切替を制御部60が認識してカウンタ部68に切替回数をカウントさせる回路については容易に構成できるため、イオン溶出装置も容易に構成することができる。
【0097】
更に、制御部60は、切替回数と対向電極7a,7b間の通電電流値とに応じて対向電極7a,7b間に電圧を印加する時間をより適切に制御している。また、制御部60は、切替回数を2つの閾値、第1回数及び第2回数夫々と小さい閾値から順次比較し、切替回数が比較対象の閾値未満となった場合に比較を終了する。従って、対向電極7a,7b間に電圧を印加する時間は、切替回数がより大きな閾値以上となる都度、より長い時間となり、切替回数以下の最大閾値に応じたより適切な時間に制御される。
【0098】
なお、制御部60は、対向電極7a,7b間の通電電流値を検出せず、正極及び負極の切替回数に応じて印加時間を設定しても良い。この場合、制御装置6は電流検出部66を備えなくてもよく、制御部60は、ステップS7及びS10を実行せず、ステップS9で切替回数が第1回数未満であると判定した場合(ステップS9:NO)、ステップS8に処理を戻す。
【0099】
また、対向電極7a,7bから溶出する金属イオンの減少度合を特定するための指標値の閾値の数は、第1及び第2回数の2つに限定されず、1又は3以上であってもよい。閾値の数が3以上である場合、制御部60は、切替回数を小さい閾値から順次比較する。
【0100】
(実施の形態2)
図9は、本発明に係る洗濯機の実施の形態2における制御系の要部構成を示すブロック図である。実施の形態2において、実施の形態1における制御系の要部構成(図4参照)と同様の構成部分については、同様の符号を付して説明を省略する。
【0101】
実施の形態2について実施の形態1と異なる点は、対向電極7a,7bから溶出する金属イオンの減少度合を特定するための指標値として、電圧印加部65が対向電極7a,7b間に電圧を印加した時間を積算した積算時間を使用する点にある。
【0102】
実施の形態2における制御装置6は、カウンタ部68の代わりに第4計時部80を有している。第4計時部80は、制御部60、第1計時部61、第2計時部62、第3計時部63、入出力部64、電圧印加部65、電流検出部66及び記憶部67に共通のバスを介して接続している。
【0103】
第4計時部80は、制御部60の指示に従って、計時の開始、終了及びリセットを行い、電圧印加部65が対向電極7a,7b間に電圧を印加している時間を積算した積算時間を計時する。第4計時部80は、計時することによって積算時間である指標値を求める。積算時間は、対向電極7a,7bから金属イオンが溶出した時間に相当するため、対向電極7a,7bから溶出される金属イオンの減少度合を正確に特定することができる指標値である。
【0104】
制御部60は、最終回の濯ぎの工程において、対向電極7a,7b間を通過する電流の値と、積算時間とに応じて、電圧印加部65が最終回の濯ぎ工程で電圧を印加する時間を制御する。
【0105】
記憶部67は、実施の形態1で説明した印加時間T1、T2及びT3、切替時間、濯ぎ時間、並びに、対向電極7a,7b間の通電電流値の基準電流値を記憶している。また、記憶部67は、切替回数の2つの閾値の代わりに、積算時間の2つの閾値を記憶している。ここで、2つの閾値夫々を第1及び第2時間とし、第1時間は第2時間よりも長いとする。
【0106】
図10は、対向電極7a,7b間に電圧を印加する時間の積算時間と対向電極7a,7b間の通電電流値との関係を示すグラフである。通電電流値は、積算時間が少ない場合に一定であり、単位時間当たりに対向電極7a,7bから溶出される金属イオンの量は一定である。通電電流値は、積算時間が基準時間を超えた場合に低下し、通信電流値の低下と共に単位時間当たりに対向電極7a,7bから溶出される金属イオンの量も低下する。
【0107】
第1及び第2時間は、基準時間よりも大きい時間に設定されている。対向電極7a,7b間の通電電流値の基準電流値は、積算時間が基準時間未満である場合における通電電流値よりも小さく、第1時間における通電電流値近傍の値に設定されている。
【0108】
以下に、最終回の濯ぎ工程を説明する。図11、図12及び図13は実施の形態2に係る最終回の濯ぎ工程において制御部60が実行する動作の手順を示すフローチャートである。
【0109】
図11、図12及び図13に示すステップS31〜S33、S35〜S38、S40、S42〜S46、S47〜S51及びS53〜S59夫々は、ステップS1〜S3、S5〜S8、S10、S12〜16、S18〜S22及びS23〜S29と同様であるので説明を省略する。
【0110】
制御部60は、ステップS33で電圧印加部65に指示して対向電極7a,7b間への電圧印加を開始した後、第4計時部80に指示して計時を再開する(ステップS34)。具体的には、第4計時部80は、電圧印加部65が対向電極7a,7b間に初めて電圧を印加してから、対向電極7a,7b間に電圧が印加されている時間の積算を再開する。続いて、制御部60はステップS35に処理を移す。
【0111】
制御部60は、ステップS36で検出した通電電流値が記憶部67に記憶してある基準電流値以下であると判定した場合(ステップS37:YES)、第4計時部80が計時している積算時間を、記憶部67に記憶してある第1時間と比較して積算時間が第1時間以上であるか否かを判定する(ステップS39)。
【0112】
制御部60は、積算時間が第1時間未満であると判定した場合(ステップS39:NO)、ステップS40を実行し、使用者に異常を報知する。これは、通電電流値が基準電流値以下であるが、積算時間が第1時間未満である場合、対向電極の体積が減少したのではなく、対向電極7a,7bの位置ズレ等の問題により、通電電流値が低下している確率が高いためである。使用者に異常を報知することによって、電圧を印加する時間の不要な延長が防止される。
【0113】
制御部60は、積算時間が第1時間以上であると判定した場合(ステップS39:YES)、積算時間を第2時間と比較して積算時間が第2時間以上であるか否かを判定する(ステップS41)。制御部60は、積算時間が第2時間未満であると判定した場合(ステップS41:NO)、ステップS42を実行し、対向電極7a,7b間に印加すべき印加時間をT1よりも長いT2に設定する。
【0114】
制御部60は、積算時間が更に第2時間以上であると判定した場合(ステップS41:YES)、ステップS43を実行し、対向電極7a,7b間に印加すべき印加時間をT2よりも長いにT3に設定する。
制御部60は、ステップS46で電圧印加部65に指示して、対向電極7a,7b間に電圧を印加している正極及び負極を切り替えた後、ステップS47に処理を移す。
【0115】
制御部60は、ステップS50及びS51で電圧印加部65に指示して電圧の印加を停止し、第1及び第2計時時間をゼロに設定した後、第4計時部80に指示して計時を停止する。このとき、第4計時部80は、計時している積算時間をゼロにせずに、次に電圧印加部65が対向電極7a,7bに電圧を印加した場合に、積算時間の計時を前回の続きから再開する。
【0116】
なお、実施の形態2においても、制御装置6、対向電極7a,7b及び操作パネル15によってイオン溶出装置を構成し、特許請求の範囲において、制御部60は比較手段及び判定手段に、操作パネル15は報知手段に、第4計時部80は指標値を求める手段に該当する。
【0117】
実施の形態2にあっては、制御部60は、第4計時部80に指示して、金属イオンの減少度合を特定するための指標値である積算時間を求め、求めた積算時間に応じて対向電極7a,7b間に電圧を印加する時間をT1、T2又はT3に制御する。更に、制御部60は、積算時間が第1時間(又は第2時間)以上である場合、対向電極7a,7b間に電圧を印加する時間を、指標値が第1時間(又は第2時間)未満である場合よりも長い時間に制御する。これにより、水溜め部53に滞留する水に対向電極7a,7bから溶出する金属イオンの濃度を低下することなく長く適正に維持することができる。
【0118】
また、積算時間は、対向電極7a,7bから金属イオンが溶出した時間に相当するため、対向電極7a,7bから溶出される金属イオンの減少度合を正確に特定することができる指標値である。従って、制御部60は、積算時間に応じて対向電極7a,7b間に電圧を印加する時間を適切に制御することができる。
【0119】
更に、制御部60は、積算時間と対向電極7a,7b間の通電電流値とに応じて対向電極7a,7b間に電圧を印加する時間をより適切に制御している。また、制御部60は、積算時間を2つの閾値、第1及び第2時間夫々と小さい閾値から順次比較し、積算時間が比較対象の閾値未満となった場合に比較を終了する。従って、対向電極7a,7b間に電圧を印加する時間は、積算時間がより大きな閾値以上となる都度、より長い時間となり、積算時間以下の最大閾値に応じたより適切な時間に制御される。
【0120】
なお、制御部60は、対向電極7a,7b間の通電電流値を検出せず、正極及び負極の積算時間に応じて印加時間を設定しても良い。この場合、制御装置6は電流検出部66を備えなくてもよく、制御部60は、ステップS37及びS40を実行せず、ステップS39で積算時間が第1時間未満であると判定した場合(ステップS39:NO)、ステップS42に処理を移す。
【0121】
また、対向電極7a,7bから溶出する金属イオンの減少度合を特定するための指標値の閾値の数は、第1及び第2時間の2つに限定されず、1又は3以上であってもよい。閾値の数が3以上である場合、制御部60は、積算時間を小さい閾値から順次比較する。
【0122】
(実施の形態3)
図14は、本発明に係る洗濯機の実施の形態3における制御系の要部構成を示すブロック図である。実施の形態3において、実施の形態1における制御系の要部構成(図4参照)と同様の構成部分については、同様の符号を付して説明を省略する。
【0123】
実施の形態3について実施の形態1及び2と異なる点は、対向電極7a,7bから溶出する金属イオンの減少度合を特定するための指標値として、対向電極7a,7b間の通電電流値を使用する点にある。
【0124】
実施の形態3における制御装置6の構成は、実施の形態1における制御装置6からカウンタ部68を除いた構成である。
制御部60は、最終回の濯ぎの工程において、対向電極7a,7b間を通過する電流の値、即ち、対向電極7a,7b間の通電電流値に応じて、電圧印加部65が最終回の濯ぎ工程で電圧を印加する時間を制御する。
【0125】
記憶部67は、実施の形態1で記載した印加時間T1、T2及びT3、切替時間、並びに、濯ぎ時間を記憶している。また、記憶部67は、切替回数の2つの閾値の代わりに、通電電流値の2つ閾値を記憶している。ここで、2つの閾値夫々を第1及び第2電流値とし、第1電流値は第2電流値よりも高いとする。
【0126】
図5で示したように、対向電極7a,7b間の通電電流値は、切替回数が少ない場合、即ち、対向電極7a,7b間に初めて電圧を印加してからの電圧印加時間が短い場合に一定である。そして、対向電極7a,7b間の通電電流値は、切替回数が基準回数を超えた場合に、即ち、印加時間が所定時間よりも長くなった場合に低下する。第1及び第2電流値は、共に、切替回数が基準回数未満である場合における通電電流値よりも低い電流値に設定される。
【0127】
以下に、最終回の濯ぎ工程を説明する。図15、図16及び図17は実施の形態3に係る最終回の濯ぎ工程において制御部60が実行する動作の手順を示すフローチャートである。
【0128】
図15、図16及び図17に示すステップS61〜S63、S64、S65、S67、S69〜S73、及び、S74〜S85夫々は、ステップS1〜S3、S5、S6、S8、S12〜S16、及び、S18〜S29と同様であるので説明を省略する。
【0129】
制御部60は、ステップS63で電圧印加部65に指示して、対向電極7a,7b間への電圧印加を開始した後、ステップS64で第1計時部61及び第2計時部62夫々に指示して計時を開始する。
【0130】
制御部60は、ステップS65で電流検出部66に指示して、対向電極7a,7b間の通電電流値を検出した後、検出した通電電流値を、記憶部67に記憶している第1電流値と比較して通電電流値が第1電流値以下であるか否かを判定する(ステップS66)。制御部60は、通電電流値が第1電流値を超えていると判定した場合(ステップS66:NO)、ステップS67を実行し、対向電極7a,7b間に印加すべき印加時間をT1に設定する。
【0131】
制御部60は、通電電流値が第1電流値以下であると判定した場合(ステップS66:YES)、通電電流値を第2電流値と比較して通電電流値が第2電流値以下であるか否かを判定する(ステップS68)。制御部60は、通電電流値が第2電流値を超えていると判定した場合(ステップS68:NO)、ステップS69を実行し、印加時間をT1よりも長いT2に設定する。制御部60は、通電電流値が第2電流値以下であると判定した場合(ステップS68:YES)、ステップS70を実行し、印加時間をT1及びT2よりも長いT3に設定する。
【0132】
制御部60は、ステップS73で電圧印加部65に指示して、対向電極7a,7b間に電圧を印加している正極及び負極を切替えた後、ステップS74を実行し、第2計時部62に計時を開始させる。
また、制御部60は、ステップS75で第1計時時間が印加時間以上であると判定した場合に、ステップS77に処理を移す。
【0133】
なお、実施の形態3においては、制御装置6及び対向電極7a,7bによってイオン溶出装置を構成し、特許請求の範囲において、制御部60は比較手段及び判定手段に、電流検出部66は指標値を求める手段に該当する。
【0134】
実施の形態3にあっては、制御部60は、電流検出部66に指示して、金属イオンの減少度合を特定するための指標値である通電電流値を求め、求めた通電電流値に応じて対向電極7a,7b間に電圧を印加する時間をT1,T2又はT3に制御する。更に、制御部60は、通電電流値が第1電流値(又は第2電流値)以下である場合、対向電極7a,7b間に電圧を印加する時間を、指標値が第1電流値(又は第2電流値)を超える場合に対向電極7a,7b間に電圧を印加する時間よりも長い時間に制御する。これにより、水溜め部53に滞留する水に対向電極7a,7bから溶出する金属イオンの濃度を長く適正に維持することができる。
【0135】
また、通電電流値は、対向電極7a,7bから溶出される金属イオンの減少度合が大きくなると共に低下するので、金属イオンの減少度合を正確に特定することができる指標値である。従って、制御部60は、通電電流値に応じて対向電極7a,7b間に電圧を印加する時間を適切に制御することができる。
【0136】
更に、制御部60は、通電電流値を2つの閾値、第1及び第2電流値夫々と大きい閾値から順次比較し、通電電流値が比較対象の閾値を超える場合に比較を終了する。従って、対向電極7a,7b間に電圧を印加する時間は、通電電流値がより小さい閾値以下になる都度、より長い時間に制御され、通電電流値以上の最小閾値に応じたより適切な時間に制御される。
【0137】
なお、対向電極7a,7bから溶出する金属イオンの減少度合を特定するための指標値の閾値の数は、第1及び第2電流値の2つに限定されず、1又は3以上であってもよい。閾値の数が3以上である場合、制御部60は、通電電流値を大きい閾値から順次比較する。
【0138】
実施の形態1、2又は3におけるイオン溶出装置を備える洗濯機は、洗濯物の最終回の濯ぎを、金属イオンの濃度が適正である水を用いて長期間行うことができる。
【0139】
なお、実施の形態1、2又は3におけるイオン溶出装置を搭載する機器は洗濯機に限定されない。該イオン溶出装置を、例えば、浴槽に水を供給する給水路の途中に配置してもよい。浴槽に供給する水に金属イオンを溶出し、浴槽の内周面を金属イオンの濃度が適正である水を用いて長期間抗菌することができる。
【0140】
また、単位時間に対向電極7a,7bから溶出する金属イオンの量は、対向電極7a,7b間に印加する電圧を高くする程、増加する。このため、実施の形態1、2及び3では、制御部60は、電圧印加部65が対向電極7a,7b間に電圧を印加する時間の長短ではなく、電圧印加部65が対向電極7a,7b間に印加する電圧の高低を制御してもよく、時間の長短及び電圧の高低の両方を制御してもよい。
【符号の説明】
【0141】
15 操作パネル
2 洗濯槽
52 給水管
53 水溜め部
6 制御装置
60 制御部
65 電圧印加部
66 電流検出部
68 カウンタ部
7a,7b 対向電極
80 第4計時部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水に浸漬される対向電極間に電圧を印加して該対向電極から前記水に金属イオンを溶出するイオン溶出装置において、
前記対向電極から溶出する金属イオンの減少度合を特定するための指標値を求める手段と、
該手段が求めた指標値に応じて前記対向電極間に電圧を印加する時間を制御する制御手段と
を備えることを特徴とするイオン溶出装置。
【請求項2】
正極及び負極を所定時間毎に切替えて前記対向電極間に電圧を印加するように構成してあり、
前記指標値は前記正極及び負極の切替回数であること
を特徴とする請求項1に記載のイオン溶出装置。
【請求項3】
前記指標値は、前記対向電極間に電圧を印加した時間を積算した積算時間であること
を特徴とする請求項1に記載のイオン溶出装置。
【請求項4】
前記指標値を閾値と比較する比較手段を備え、
前記制御手段は、
該比較手段が比較した結果、前記指標値が前記閾値以上である場合、前記対向電極間に電圧を印加する時間を、前記指標値が前記閾値未満である場合に前記対向電極間に電圧を印加する時間よりも長い時間に制御するように構成してあること
を特徴とする請求項2又は請求項3に記載のイオン溶出装置。
【請求項5】
前記対向電極間を通過する電流の値を検出する電流検出手段と、
該電流検出手段が検出した電流の値が所定電流値以下であるか否かを判定する判定手段と
を更に備え、
前記比較手段は、該判定手段が所定電流値以下であると判定した場合に前記指標値及び閾値を比較するように構成してあること
を特徴とする請求項4に記載のイオン溶出装置。
【請求項6】
前記判定手段が所定電流値以下であると判定し、かつ、前記比較手段が比較した結果、前記指標値が前記閾値未満である場合に、異常を報知する報知手段
を更に備えることを特徴とする請求項5に記載のイオン溶出装置。
【請求項7】
前記比較手段は、
前記指標値を複数の閾値夫々と小さい閾値から順次比較し、前記指標値が比較対象の閾値未満である場合に比較を終了するように構成してあること
を特徴とする請求項4から請求項6のいずれか1つに記載のイオン溶出装置。
【請求項8】
前記指標値は、前記対向電極間を通過する電流の値であること
を特徴とする請求項1に記載のイオン溶出装置。
【請求項9】
前記指標値を閾値と比較する比較手段を備え、
前記制御手段は、
該比較手段が比較した結果、前記指標値が前記閾値以下である場合、前記対向電極間に電圧を印加する時間を、前記指標値が前記閾値を超える場合に前記対向電極間に電圧を印加する時間よりも長い時間に制御するように構成してあること
を特徴とする請求項8に記載のイオン溶出装置。
【請求項10】
前記比較手段は、
前記指標値を複数の閾値夫々と大きい閾値から順次比較し、前記指標値が比較対象の閾値を超える場合に比較を終了するように構成してあること
を特徴とする請求項9に記載のイオン溶出装置。
【請求項11】
洗濯槽に給水する給水路を備える洗濯機において、
請求項1から請求項10のいずれか1つに記載のイオン溶出装置を備え、
前記対向電極は前記給水路内に配置されていること
を特徴とする洗濯機。
【請求項12】
水に浸漬される対向電極間に電圧を印加して該対向電極から前記水に金属イオンを溶出させる方法において、
該対向電極から溶出する金属イオンの減少度合を特定するための指標値を求め、
求めた指標値に応じて前記対向電極間に電圧を印加する時間を制御すること
を特徴とするイオン溶出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2013−90663(P2013−90663A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−232977(P2011−232977)
【出願日】平成23年10月24日(2011.10.24)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】