イオン発生器並びにそれを備えた空気清浄機及び空気調和機
【課題】埃等の汚れ又は湿度の影響を受けることを抑止して高感度及び高精度にイオンを検出し、イオン検出装置を含めて占有空間を狭小化することが可能なイオン発生器並びに空気清浄機及び空気調和機を提供する。
【解決手段】プラスのイオン発生部52a,52b及びマイナスのイオン発生部51a,51bの並設方向と交差する一方の側に、マイナスのイオン発生部51a,51bと一体化してイオン検出部53を並設し、マイナスのイオン発生部51a,51bからイオン検出部53に向かう方向を、気流の通流方向と略一致させる。イオン発生部51a,51b側に開いたコの字状をなすイオン検出部53の保護電極533が、イオンを捕集する捕集電極532を包囲する。
【解決手段】プラスのイオン発生部52a,52b及びマイナスのイオン発生部51a,51bの並設方向と交差する一方の側に、マイナスのイオン発生部51a,51bと一体化してイオン検出部53を並設し、マイナスのイオン発生部51a,51bからイオン検出部53に向かう方向を、気流の通流方向と略一致させる。イオン発生部51a,51b側に開いたコの字状をなすイオン検出部53の保護電極533が、イオンを捕集する捕集電極532を包囲する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イオン検出機能を有するイオン発生器、並びに該イオン発生器を備える空気清浄機及び空気調和機に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、空気中の水分子を正(プラス)及び/又は負(マイナス)のイオンで帯電させることにより、居住空間内の空気を清浄化する技術が盛んに用いられている。例えば、空気清浄機及び空気調和機では、内部の通風路の途中に正及び負のイオンを発生させるイオン発生器を配設し、発生させたイオンを空気と共に外部の空間へ放出するようにしている。
【0003】
空気中の水分子を帯電させているイオンは、居住空間において浮遊粒子を不活性化させ、浮遊細菌を死滅させると共に臭気成分を変性させるため、居住空間全体の空気が清浄化される。
【0004】
標準的なイオン発生器は、針電極と対向電極との間、又は放電電極と誘電電極との間に高電圧交流の駆動電圧を印加することにより、コロナ放電を発生させて正及び負のイオンを発生させる。イオン発生器の稼動が長期にわたる場合、コロナ放電に伴うスパッタ蒸発による放電電極の損耗、及び化学物質、塵埃等の異物の放電電極への付着が高じてイオンの発生量が減少することが避けられない。
【0005】
この場合、イオン発生器の保守が必要であることを使用者に報知するには、イオンセンサ又はイオン検出装置で空気中のイオンを検出する必要がある。これに対し、例えば特許文献1では、空気中のイオンを集電する電極を備えてイオンを検出し、検出結果を発光ダイオードに表示して報知する技術が開示されている。
【特許文献1】特開2004−3885号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来のイオンセンサ又はイオン検出装置では、空気中のイオンを集電又は捕集する電極を保持する部材の絶縁度がイオンを検出する精度に大きな影響を与えるため、埃等の汚れが付着した場合又はイオンを検出されるべき空気が高湿度の場合に、前記部材の絶縁度が低下してイオンの検出が不正確になるという問題があった。また、イオンセンサ又はイオン検出装置がイオン発生器から離隔された場合、イオンを検出する感度が指数関数的に低下するという問題もあった。更に、イオン発生器とイオンセンサ又はイオン検出装置とが別々に配設されることで、占有空間の増大を招いていた。
【0007】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、埃等の汚れ又は湿度の影響を受けることを抑止して高感度及び高精度にイオンを検出し、イオン検出装置を含めて占有空間を狭小化することが可能なイオン発生器並びに空気清浄機及び空気調和機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るイオン発生器は、プラス及びマイナスのイオン発生部を並設してあり、該イオン発生部の夫々が発生させたプラス及び/又はマイナスのイオンを捕集する捕集電極と、該捕集電極の電位を計測する計測部とを備えるイオン発生器において、前記捕集電極を囲繞しており、所定電位に接続されるべき保護電極を備え、前記捕集電極及び前記保護電極は、前記並設方向と交差する方向の一方の側に、前記プラスのイオン発生部及び/又は前記マイナスのイオン発生部と一体化して並設してあることを特徴とする。
【0009】
本発明にあっては、イオン発生部から捕集電極及び保護電極に向かう方向を、イオン発生部の近傍を通流する気流の方向と略一致させたときは、プラス及び/又はマイナスのイオン発生部が発生させたイオンをイオン発生部の直近で捕集する。また、捕集電極に捕集されたイオンが有する電荷が、埃等の汚れ又は周囲の空気中の湿気によって絶縁度が低下した部分を伝導して保護電極の包囲の外側に移動することを抑止する。
【0010】
本発明に係るイオン発生器は、前記保護電極は、前記並設方向のイオン発生部側に電極の欠落部を有することを特徴とする。
【0011】
本発明にあっては、イオン発生部から保護電極の欠落部に向かう方向を、イオン発生部の近傍を通流する気流の方向と略一致させたときは、検出されるべきでないイオンが、捕集電極に捕集されることを抑止しつつ、検出されるべきイオンが、保護電極に捕集されることを抑止する。従って、目的とするイオンを検出する精度が向上する。
【0012】
本発明に係るイオン発生器は、前記計測部は、前記捕集電極のインピーダンスを変換する変換器と、該変換器及び前記捕集電極の間に接続された回路素子とを有し、前記保護電極は、前記変換器の出力端子に接続して前記捕集電極の電位と略同電位となるようにしてあり、前記回路素子の両端子を囲繞するように構成してあることを特徴とする。
【0013】
本発明にあっては、捕集電極及び変換器の間に回路素子、例えば変換器を保護するための抵抗を有し、捕集電極の電位と略同電位にした保護電極が、前記回路素子の両端子と該両端子に接続されている部分とを囲繞する。
これにより、捕集電極に捕集されたイオンが有する電荷が、保護電極の包囲の内側を伝導して保護電極に移動することを抑止する。また、静電気等による高電圧が変換器に直接印加されることを防止する。更にまた、捕集電極から変換器に至る部分が保護電極で包囲されるため、捕集電極に捕集されたイオンが有する電荷が、前記部分から保護電極の包囲の外側に移動することを抑止する。
【0014】
本発明に係るイオン発生器は、前記捕集電極が一面に配されており、前記計測部が他面に配されている回路基板を備え、前記保護電極は、前記計測部を囲繞するように構成してあることを特徴とする。
【0015】
本発明にあっては、捕集電極及び計測部が最短で接続されて、電荷の不要な移動が抑制されると共にイオン発生器への収容効率が高まる。また、捕集電極に捕集されたイオンが有する電荷が、回路基板の周縁部を越えて計測部に移動することを抑止する。
【0016】
本発明に係る空気清浄機及び空気調和機は、本発明に係るイオン発生器と、前記計測部が計測した電位に基づいてプラス及び/又はマイナスのイオンを検出する手段と、該手段がイオンを検出した結果に基づいて警告を発する手段とを備えることを特徴とする。
【0017】
本発明にあっては、イオンの発生量が低下した場合に使用者へ報知し、イオン発生部の清掃又はイオン発生器の交換を促す。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、イオン発生部から捕集電極及び保護電極に向かう方向を、イオン発生部の近傍を通流する気流の方向と略一致させたときは、プラス及び/又はマイナスのイオン発生部が発生させたイオンをイオン発生部の直近で捕集する。また、捕集電極に捕集されたイオンが有する電荷が、埃等の汚れ又は周囲の空気中の湿気によって絶縁度が低下した部分を伝導して保護電極の包囲の外側に移動することを抑止する。従って、高感度及び高精度にイオンを検出し、イオン検出装置を含めて占有空間を狭小化することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る空気清浄機の構成を示す縦断側面図、図2は要部の構成を示す正面図、図3は要部の構成を示す側面図、図4はイオン発生器の外観を模式的に示す正面図である。
【0020】
図1に示した空気清浄機は、後壁1aに吸込口11を有し、天壁1bに放出口12を有するハウジング1と、該ハウジング1内の下部に配されている送風機2と、吸込口11の内側に配され、送風機2が吸込口11から吸込む空気を通過させ、該空気中の異物を除去して清浄空気にするフィルタ3と、送風機2及び放出口12の間に配され、前記清浄空気を前記放出口12へ導風する導風路としてのダクト4と、送風機2が送風する清浄空気中にプラスイオン及びマイナスイオンを発生させるイオン発生器5とを備え、イオン発生器5が発生させるプラスイオン及びマイナスイオンを、送風機2が送風する清浄空気とともに放出口12から外部へ放出するように構成されている。
【0021】
ハウジング1は平面視矩形をなす底壁1cと、該底壁1cの二辺に連なる前壁1d、後壁1a及び底壁1cの他の二辺に連なる側壁と、天壁1bとを有する略直方体をなす。天壁1bの前部及び前壁1dの上部には、後述する操作部35及び表示部36が夫々配されている(図示せず)。後壁1aにはその長手方向が上下となり、長方形をなす吸込口11が設けられ、天壁1bにはその長手方向が両側壁側となり、長方形をなす放出口12が設けられている。
【0022】
送風機2は、円筒形状をなし、回転軸が前後となるように配される羽根車21及び該羽根車21を回転自在に収容してあるケーシング22を有する遠心形であり、羽根車21を駆動するモータ6が、ケーシング22の前側部に取り付けられている。
【0023】
羽根車21は、外縁に対し回転中心側が回転方向へ変位する複数の羽根21aを有する多翼羽根車、換言すると円筒形状をなすシロッコファンであり、一端に軸受板を有し、該軸受板の中心に開設されている軸孔にモータ6の出力軸が取り付けられ、他端の開口から中心部の空洞へ吸込んだ空気を外周部の羽根21a間から放出するように構成されている。
【0024】
ケーシング22は、羽根車21の回転により発生する気流を羽根車21の回転方向へ誘導し、気流の速度を増すための円弧形誘導壁22aと、該円弧形誘導壁22aの一部から円弧形誘導壁22aの接線方向の一方へ上向きに開放された吹出口22bとを有する。吹出口22bは円弧形誘導壁22aの一部から円弧形誘導壁22aの接線方向の一方へ突出する角筒形状をなしている。また、ケーシング22は、深皿形をなし、円弧形誘導壁22a及び吹出口22b用の開放部を有するケーシング本体2aと、羽根車21の前記開口と対応する箇所が開放され、ケーシング本体2aの開放側を閉塞する蓋板2bとを備え、該蓋板2bがケーシング本体2aに複数本の雄螺子により取り付けられている。
【0025】
ダクト4は、その下端が吹出口22bに連なり、その上端が開放されている角筒形をなし、ケーシング本体2a及び蓋板2bと一体に成形されている。また、ダクト4は、吹出口22bの一側から円弧形誘導面22aの接線方向の一方に沿って配された一側壁4aと、吹出口22bの他側から前記一側壁との離隔距離が漸次長くなる他側壁4bと、一側壁4a及び他側壁4bに連なり、鉛直方向に配された後壁4c及び吹出口22bから後壁4cとの離隔距離が漸次短くなる前壁4dとを有し、吹出口22bから吹出された清浄空気を、一側壁4a、後壁4c及び前壁4dに沿って層流に誘導するように構成されている。また、前壁4dにはイオン発生器5に対応する貫通孔及び貫通孔と離隔する取付孔が開設されており、該取付孔に捩込まれる雄螺子により、イオン発生器5を固定する押え部材5aが取り付けられている。
【0026】
イオン発生器5は、略直方体のケース50に収納されており、羽根車21の回転により発生する空気の通流方向と交差する方向へ離隔して並設されたイオン発生部51a,51b,及びイオン発生部52a,52bを備える。イオン発生部51a,51b、52a,52bの夫々は、内奥側に尖鋭状をなす放電電極、及び該放電電極を囲繞する対向電極を有し、高電圧を印加された放電電極がコロナ放電を発生する。これにより、イオン発生部51a,51bがマイナスのイオンを、イオン発生部52a,52bがプラスのイオンを夫々発生させるように構成されている。
尚、イオン発生器5は、プラス及びマイナスのイオン発生部を夫々1つずつ有するものであってもよい。
【0027】
イオン発生器5のイオン発生部51a,51bには、該イオン発生部51a,51bが発生させたイオンを検出するためのイオン検出部53を、前記並設方向と交差する方向に僅かに離隔して並設してある。イオン検出部53は、イオンを捕集する捕集電極532と、イオン発生部51a,51b側に開いたコの字状をなしており前記捕集電極532を包囲する保護電極533とを備える。また、イオン検出部53は、イオン発生部51a,51bが開口する面に開設された取付口に、後述する回路基板(図7参照)を嵌め込んで取り付けてある。これにより、イオン発生部51a,51b、52a,52b及びイオン検出部53が一体化される。
【0028】
イオン検出部53、及びイオン発生部51a,51b、52a,52bの夫々は、前記貫通孔からダクト4内に臨んでいる。この場合、イオン検出部53は、ダクト4内を通流する気流に対して、イオン発生部51a,51bの風下側となるように配されている。
尚、イオン検出部53をイオン発生部52a,52bに並設して、プラスのイオンを検出するようにしてもよい。また、プラス及びマイナスのイオンを検出するためにイオン検出部53を2つ備えてもよい。
【0029】
以上のように構成された空気清浄機は、吸込口11が壁側となるように居住室内の壁の近くに据えられる。送風機2の駆動により、羽根車21が回転し、室内の空気が吸込口11からハウジング1内へ吸込まれ、吸込口11及び放出口12間に風の通風路が発生し、吸込まれた空気中の塵埃等の異物はフィルタ3により除去されて清浄空気となる。
【0030】
フィルタ3を通過した清浄空気は、送風機2のケーシング22内に吸込まれる。この際、ケーシング22内に吸込まれた清浄空気は、羽根車21周りの円弧形誘導壁22aにより層流となり、この層流部が円弧形誘導壁22aに沿って吹出口22bへ誘導され、該吹出口22bからダクト4内へ送風される。ダクト4の前壁4dにはイオン発生器5を配してあるため、該イオン発生器5が前壁4dに沿って流通する清浄空気中にイオンを発生させる。イオン発生部51a,51bが発生させたマイナスのイオンは、イオン検出部53の捕集電極532によって、イオン発生部51a,51bの直近で捕集されるようになっている。
【0031】
図5は、空気清浄機の制御系の概略構成を示すブロック図である。制御系の中枢となるのはCPU30であり、CPU30は、プログラム等の情報を記憶するROM31、一時的に発生した情報を記憶するRAM32、及び時間を計時するためのタイマ33と互いにバス接続されている。CPU30は、ROM31に予め格納されている制御プログラムに従って入出力、演算等の処理を実行する。
【0032】
CPU30には、更に、空気清浄機の運転、停止等の操作を受け付けるための操作部35と、操作の内容、運転状態等の情報を表示するLCDからなる表示部36と、送風機2のモータ6を駆動するための送風機駆動回路37とがバス接続されている。
【0033】
CPU30にバス接続された出力インタフェース34の出力側は、イオン発生器駆動回路38の制御入力PC1に接続されている。イオン発生器駆動回路38の出力の一端は、陽極がイオン発生器5の電源入力V1に接続されている直流電源E1の陰極に接続されており、他端は、イオン発生器5の接地入力G1に接続されている。イオン発生器5には、更に、イオン検出部53が計測したアナログの電圧をデジタルの電圧に変換するためのA/D変換回路39が接続されている。該A/D変換回路39はCPU30とバス接続されている。
【0034】
イオンの検出に際し、CPU30は、出力インタフェース34を介し、タイマ33の計時に合わせてイオン発生器駆動回路38の制御入力PC1をオン/オフさせる。これにより、イオン発生器駆動回路38が、イオン発生器5の接地入力G1と直流電源E1の陰極との接続を接/断する。
【0035】
図6は、イオン検出部53の構成を示す回路図である。イオン検出部53は、後述する回路基板の部品側(表面)及び検出側(裏面)に夫々配された計測部531及び捕集電極532を備える。
計測部531は、捕集電極532を5Vの直流電源にプルアップする抵抗R4を有し、抵抗R4の両端子は、コンデンサC1と並列接続されている。捕集電極532は、計測部531の保護抵抗R1を介して、反転入力及び出力の間に抵抗R2が接続された演算増幅器IC1の非反転入力I1に接続されている。
【0036】
演算増幅器IC1の出力は、接地電位に接続されたコンデンサC2及びC4の夫々と直列接続された抵抗R3及びR5に接続されている。コンデンサC2及び抵抗R3の接続点は、保護電極533に接続されており、コンデンサC4及び抵抗R5の接続点は、コネクタCN5の出力端子に接続されている。コネクタCN5は、イオン検出部53が計測した電位をA/D変換回路39に与えるためのものである。保護電極533は、捕集電極532の一部を除く周囲を包囲すると共に、保護抵抗R1及び該保護抵抗R1の両端子に夫々接続された部分を包囲するようにしてある。
【0037】
上述した回路において、捕集電極532にマイナスのイオンが捕集された場合、マイナスのイオンが有する負の電荷が、捕集電極532と接続されたコンデンサC1を充電するため、コンデンサC1及び保護抵抗R1の接続点の電位が低下し、低下した電位が、保護抵抗R1を介して演算増幅器IC1の非反転入力I1に与えられる。一方、演算増幅器IC1は、出力が反転入力に帰還されて増幅度1のインピーダンス変換器を形成しており、前記出力の電位は、非反転入力I1に与えられた電位と同電位となる。この電位は、接地電位に対するアナログの電圧値として、抵抗R5を介しコネクタCN5の出力端子から出力される。
【0038】
また、演算増幅器IC1の出力インピーダンスは、抵抗R3の抵抗値に比して十分小さい値となっており、保護電極533は、捕集電極532をプルアップする抵抗R4(1GΩ)の1/10万の抵抗値を有する抵抗R3(10kΩ)を介して捕集電極532と同電位に保たれることになる。従って、捕集電極532に捕集されたイオンが有する電荷は、捕集電極532から演算増幅器IC1に至る間に回路基板の表面を伝導して保護電極533の包囲の外側に移動することが抑止される。
尚、保護抵抗R1は、抵抗に限定されるものではなく、例えば保護以外の目的で、抵抗、コイル等の回路素子の直並列回路を有するようにしてもよい。
【0039】
図7は、イオン検出部53の回路基板の導体パターンを示す平面図である。図7(a)は、回路素子が実装される表面の導体パターンを示し、図7(b)は、捕集電極532及び保護電極533が形成された裏面の導体パターンを示す。
尚、図7は回路基板を例示したものであり、基板の寸法、縦横比等の外形は、イオン検出部53が嵌め込まれるべき取付口に合致させればよい。
【0040】
捕集電極532は、スルーホール532a,532bにより、表面の導体パターンと電気的に接続されており、前記導体パターンには、保護抵抗R1、抵抗R4及びコンデンサC1夫々の一端子が取着されるようになっている。裏面の捕集電極532を包囲する保護電極533は、略矩形の回路基板の長手方向の一辺に欠落部を有して平面視略コの字状をなしており、スルーホール533a,533bによって、表面の回路素子の周囲を包囲する保護電極533と電気的に接続されている。表面の保護電極533は、また、前記導体パターンと、保護抵抗R1及び非反転入力I1を接続する導体パターンとを包囲している。
【0041】
図8は、マイナスのイオンを検出した結果に基づいて警告を発するCPU30の処理手順を示すフローチャートである。以下の処理は、ROM31に予め格納されている制御プログラムに従って周期的に(例えば10分周期で)実行される。尚、実行の周期は10分に限定されるものではなく、任意の時間とすることができる。また、検出電圧値1,検出電圧2はRAM32に記憶するものとする。
【0042】
CPU30は、イオンの検出に先立ち、イオン発生器5の駆動を停止させるために、出力I/F34を介して制御入力PC1をオフする(ステップS11)。その後、CPU30は、タイマ33に5秒の計時を開始させ(ステップS12)、タイマ33が計時を終了したか否かを判定する(ステップS13)。尚、このときの5秒は、捕集電極532の電位が抵抗R4で十分にプルアップされるまで待機する時間であり、5秒に限定されるものではない。計時を終了していないと判定した場合(ステップS13:NO)、CPU30は、タイマ33が計時を終了するまで待機する。
【0043】
計時を終了したと判定した場合(ステップS13:YES)、CPU30は、A/D変換回路39を介して計測部531が計測した電位を検出電圧値1として取り込む(ステップS14)。そして、イオン発生器5を駆動させるために出力I/F34を介して制御入力PC1をオンする(ステップS15)。次いで、CPU30は、タイマ33に5秒の計時を開始させ(ステップS16)、タイマ33が計時を終了したか否かを判定する(ステップS17)。尚、このときの5秒は、捕集電極532の電位が定常値に達するまで待機する時間であり、5秒に限定されるものではない。
【0044】
計時を終了していないと判定した場合(ステップS17:NO)、CPU30は、タイマ33が計時を終了するまで待機する。計時を終了したと判定した場合(ステップS17:YES)、CPU30は、A/D変換回路39を介して計測部531が計測した電位を検出電圧値2として取り込み(ステップS18)、出力I/F34を介して制御入力PC1をオフする(ステップS19)。
【0045】
次いで、CPU30は、検出電圧値1から検出電圧値2を減算して(ステップS20)、算出した値が0.5V以下であるか否かを判定する(ステップS21)。0.5V以下でないと判定した場合(ステップS21:NO)、CPU30は処理を終了する。0.5V以下であると判定した場合(ステップS21:YES)、CPU30は、マイナスイオンの検出レベルが閾値以下となった旨を報知するために表示部36の青ランプを消灯させる(ステップS22)と共に、警告を示す赤ランプを点灯させて(ステップS23)処理を終了する。
【0046】
以上のように、本実施の形態1によれば、プラス及びマイナスのイオン発生部の並設方向と交差する方向の一方の側にイオン発生部と一体化してイオン検出部を並設してあり、イオン検出部の保護電極が捕集電極を包囲する。また、イオン発生部からイオン検出部に向かう方向を、イオン発生部の近傍を通流する気流の方向と略一致させてある。
これにより、イオン発生部が発生させたイオンをイオン発生部の直近で捕集する。また、捕集電極に捕集されたイオンが有する電荷が、埃等の汚れ又は周囲の空気中の湿気によって絶縁度が低下した部分を伝導して保護電極の包囲の外側に移動することを抑止する。
従って、埃等の汚れ又は湿度の影響を受けることを抑止して高感度及び高精度にイオンを検出し、イオン検出部を含めてイオン発生器全体が占有する空間を狭小化することが可能となる。
【0047】
また、回路基板上に形成された略矩形の捕集電極を包囲するコの字状の保護電極が長手方向の一辺に有する欠落部を、マイナスのイオンを検出されるべき空気が通流する方向に向けてあるため、プラスのイオンが、捕集電極に捕集されることを抑止しつつ、マイナスのイオンが、保護電極に捕集されることを抑止する。
従って、イオンを検出する精度を向上させることが可能となる。
【0048】
更にまた、インピーダンス変換器を形成する演算増幅器の出力端子に保護電極を接続して捕集電極の電位と略同電位としてあり、捕集電極及び演算増幅器の間に保護抵抗を有し、該保護電極の導体パターンが、保護抵抗の両端子と該両端子に接続されている導体パターンとを包囲する。
従って、静電気等による高電圧が演算増幅器に直接印加されることを防止し、イオンを検出する精度を向上させることが可能となる。
【0049】
更にまた、回路基板の表面に計測部を、裏面に捕集電極を配し、保護電極が計測部を包囲する。
従って、捕集電極及び計測部が最短で接続されて、電荷の不要な移動が抑制されると共にイオン検出部を小型化することが可能となる。また、捕集電極に捕集されたイオンが有する電荷が計測部に移動することを抑止するため、イオンを検出する精度を向上させることが可能となる。
【0050】
更にまた、イオン発生器が発生させたイオンを検出した結果に基づいて、表示部のLEDにより使用者に警告を発する。
従って、イオンの発生量が低下した場合に使用者へ報知し、イオン発生部の清掃又はイオン発生器の交換を促すことが可能となる。
【0051】
尚、本実施の形態1にあっては、捕集電極をDC5Vに抵抗でプルアップしてマイナスのイオンを検出しているが、これに限定するものではなく、接地電位に抵抗でプルダウンしてプラスのイオンを検出するようにしてもよい。この場合は、捕集電極をプラスのイオン発生部に近接させて配設し、図8のステップS20では、算出した値の符号を反転させればよい。
【0052】
更にまた、警告として表示部の赤ランプを点灯させているが、これに限定するものではなく、ブザーを備えて警告音を発するようにしてもよく、また、音声合成回路及びスピーカを備えて警告音声を発するようにしてもよい。
【0053】
更にまた、保護電極は、捕集電極及び計測部を包囲しているが、これに限定するものではなく、例えばダクトの静電気を除去するために、捕集電極の近傍の部分を保護電極に接続するようにしてもよい。
【0054】
(実施の形態2)
実施の形態1では、本発明に係るイオン発生器5を空気清浄機に搭載しているのに対し、実施の形態2では、本発明に係るイオン発生器5を空気調和機に搭載している。図9は、本発明の実施の形態2に係る空気調和機の概略構成を示すブロック図である。図中、矢印なしの二重線は冷媒の流路を示し、矢印付きの二重線は空気の通流方向を示す。空気調和機は、室外から吸入した外気との間で熱交換を行う室外熱交換器71を有する室外ユニット7と、室内から吸入した被処理空気との間で熱交換を行う室内熱交換器81a,81b、81c,81dを有する室内ユニット8とで構成される。
【0055】
室外ユニット7の室外熱交換器71は、圧縮機72及び室内熱交換器81a,81bに接続されており冷媒が循環する方向を切り替える四方弁73と、室内熱交換器81c,81dに接続された減圧器74との間に接続されている。室内熱交換器81a,81bと、室内熱交換器81c,81dとの間には、減圧器82及び該減圧器82を通流する冷媒の流量を調整するための電磁弁83が並列に接続されている。減圧器74,82は、高温・高圧の冷媒を断熱膨張させて、低温・低圧の冷媒にするためのものである。
【0056】
室外ユニット7は、マイクロコンピュータからなる室外制御部75を備える。室外制御部75は、四方弁73、室外ユニット7に吸入された外気の温度を検出する外気温度センサ76、及び室外熱交換器71で熱交換された空気を室外に排出する室外ファン77と接続されている。
室外制御部75は、外気温度センサ76が検出した検出値を取り込み、圧縮機72の圧縮力及び室外ファン77の回転数を制御すると共に、空気調和機の冷暖房運転の切り替えに際し、四方弁73を切り替えるように制御する。
【0057】
室内ユニット8は、CPU、バスインタフェース及び入出力インタフェースからなる室内制御部84を備える。室内制御部84のバスインタフェースには、プログラム等の情報を記憶するROM及び一時的に発生した情報を記憶するRAMからなるメモリ85と、時間を計時するためのタイマ86とがバス接続されている。室内制御部84のCPUは、メモリ85のROMに予め格納されている制御プログラムに従って入出力、演算等の処理、及び室外制御部75との通信を実行する。
【0058】
室内制御部84の入出力インタフェースには、リモコン100から送信された赤外線信号を受信する受信部87と、室内の温度及び湿度を夫々検出する室内温度センサ88及び湿度センサ89と、運転状態、警報等の情報を表示するLCDからなる表示部36aとが接続されている。
室内制御部84の入出力インタフェースには、更に、電磁弁83、イオン発生器5を駆動するイオン発生器駆動回路38、室内ユニット8に空気を通流させる室内ファン90、及び室内の換気を行う換気装置91が接続されている。
【0059】
室内制御部84は、受信部87で受信した赤外線信号に基づいて各種操作を受け付け、電磁弁83を開閉すると共に室内ファン90の回転数を制御し、室外ユニット7に室外ユニット7の各構成部を制御するのに必要な情報を送信する。情報を受取った室外制御部75は、例えば、受け取った情報に含まれる設定温度及び室内温度センサ88の検出温度が一致するように圧縮機72及び室外ファン77を制御する。
【0060】
冷房運転時及び暖房運転時には、室内制御部84によって電磁弁83は開にされる。電磁弁83が開の場合、冷媒は減圧器82側を極小量しか通過せず、冷媒の大部分は電磁弁83側を通過する。また、四方弁73は、室外制御部75によって、冷房運転時には室外熱交換器71側が高圧に、暖房運転時には室内熱交換器81a,81b、81c,81d側が高圧となるように冷媒の流路が切り替えられる。従って、冷房運転時及び暖房運転時に、室内熱交換器81a,81b、81c,81dは、夫々蒸発器及び凝縮器として動作する。除湿運転時の動作については、説明を省略する。
【0061】
室内ファン90の回転により、室内ユニット8に吸入された被処理空気は、室内熱交換器81a,81b、81c,81dによって冷却、加熱又は除湿され、イオン発生器5が発生させたプラス及びマイナスのイオンと共に室内に吹出されるようになっている。
【0062】
図10は、空気調和機の室内ユニット8を模式的に示す右側断面図である。図中8aはケースであり、ケース8aの天面一面には、被処理空気を吸入する吸込口92が開設されている。吸入口92の下方には、被処理空気に含まれる埃、微粒子等の異物を除去するフィルタ93が配されている。室内ユニット8の略中央部には、長手方向に回転軸を有する室内ファン90が設けられ、該室内ファン90の前方と、前方及び後方の斜め上方とには、室内ファン90を取り囲むように室内熱交換器81a,81b、81c,81dが配設されている。尚、室内ファン90は、本実施の形態2ではシロッコファンである。
【0063】
室内ファン90の前方の斜め下方には吹出口94が開設されており、吹出口94は、ケース8aの前面の中央部に回動自在に枢支されたルーバー95によって開度が調整されるようになっている。室内熱交換器のうち最も下部に位置する室内熱交換器81bの下方から吹出口94の開口の上縁部に延びる壁面には、イオン発生部51a,51b、52a,52bの並設方向が室内ファン90の回転軸と略平行となるようにイオン発生器5が下向きに取着されている。ケース8aの前面の上部には、警報を表示する表示部36aが設けられている。
尚、イオン発生器5には、人体に対する安全のために、空気の通流の妨げとならないスリットを有するカバーが被せられている。
【0064】
上述した構成において、室内の被処理空気は、室内ファン90の回転動作によって生じる負圧により、吸入口92及びフィルタ93を経由して室内ユニット8の内部に吸入される。吸入された空気は、室内熱交換器81a,81b、81c,81dにより冷却又は加熱される。冷却又は加熱された空気は、室内ファン90の回転動作により、イオン発生器5が発生させたイオンと共に、吹出口94を経由して再び室内へ吹出される。また、マイナスイオンの検出レベルが閾値以下となった場合、室内制御部84が表示部36aに警報を表示して使用者に警告を発するようにしてある。
【0065】
その他、実施の形態1に対応する箇所には同様の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0066】
以上のように、本実施の形態2によれば、イオン発生器が発生させたイオンを検出した結果に基づいて、表示部のLEDにより使用者に警告を発する。
従って、イオンの発生量が低下した場合に使用者へ報知し、イオン発生部の清掃又はイオン発生器の交換を促すことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明の実施の形態1に係る空気清浄機の構成を示す縦断側面図である。
【図2】要部の構成を示す正面図である。
【図3】要部の構成を示す側面図である。
【図4】イオン発生器の外観を模式的に示す正面図である。
【図5】空気清浄機の制御系の概略構成を示すブロック図である。
【図6】イオン検出部の構成を示す回路図である。
【図7】イオン検出部の回路基板の導体パターンを示す平面図である。
【図8】マイナスのイオンを検出した結果に基づいて警告を発するCPUの処理手順を示すフローチャートである。
【図9】本発明の実施の形態2に係る空気調和機の概略構成を示すブロック図である。
【図10】空気調和機の室内ユニットを模式的に示す右側断面図である。
【符号の説明】
【0068】
1 ハウジング
12 放出口
2 送風機
21 羽根車
30 CPU
31 ROM
32 RAM
33、86 タイマ
36、36a 表示部(警告を発する手段)
38 イオン発生器駆動回路
39 A/D変換回路
4 ダクト
5 イオン発生器
51a,51b (マイナスの)イオン発生部
52a,52b (プラスの)イオン発生部
53 イオン検出部
531 計測部
532 捕集電極
533 保護電極
6 モータ
7 室外ユニット
8 室内ユニット
84 室内制御部
IC1 演算増幅器(変換器)
R1 保護抵抗(回路素子)
【技術分野】
【0001】
本発明は、イオン検出機能を有するイオン発生器、並びに該イオン発生器を備える空気清浄機及び空気調和機に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、空気中の水分子を正(プラス)及び/又は負(マイナス)のイオンで帯電させることにより、居住空間内の空気を清浄化する技術が盛んに用いられている。例えば、空気清浄機及び空気調和機では、内部の通風路の途中に正及び負のイオンを発生させるイオン発生器を配設し、発生させたイオンを空気と共に外部の空間へ放出するようにしている。
【0003】
空気中の水分子を帯電させているイオンは、居住空間において浮遊粒子を不活性化させ、浮遊細菌を死滅させると共に臭気成分を変性させるため、居住空間全体の空気が清浄化される。
【0004】
標準的なイオン発生器は、針電極と対向電極との間、又は放電電極と誘電電極との間に高電圧交流の駆動電圧を印加することにより、コロナ放電を発生させて正及び負のイオンを発生させる。イオン発生器の稼動が長期にわたる場合、コロナ放電に伴うスパッタ蒸発による放電電極の損耗、及び化学物質、塵埃等の異物の放電電極への付着が高じてイオンの発生量が減少することが避けられない。
【0005】
この場合、イオン発生器の保守が必要であることを使用者に報知するには、イオンセンサ又はイオン検出装置で空気中のイオンを検出する必要がある。これに対し、例えば特許文献1では、空気中のイオンを集電する電極を備えてイオンを検出し、検出結果を発光ダイオードに表示して報知する技術が開示されている。
【特許文献1】特開2004−3885号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来のイオンセンサ又はイオン検出装置では、空気中のイオンを集電又は捕集する電極を保持する部材の絶縁度がイオンを検出する精度に大きな影響を与えるため、埃等の汚れが付着した場合又はイオンを検出されるべき空気が高湿度の場合に、前記部材の絶縁度が低下してイオンの検出が不正確になるという問題があった。また、イオンセンサ又はイオン検出装置がイオン発生器から離隔された場合、イオンを検出する感度が指数関数的に低下するという問題もあった。更に、イオン発生器とイオンセンサ又はイオン検出装置とが別々に配設されることで、占有空間の増大を招いていた。
【0007】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、埃等の汚れ又は湿度の影響を受けることを抑止して高感度及び高精度にイオンを検出し、イオン検出装置を含めて占有空間を狭小化することが可能なイオン発生器並びに空気清浄機及び空気調和機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るイオン発生器は、プラス及びマイナスのイオン発生部を並設してあり、該イオン発生部の夫々が発生させたプラス及び/又はマイナスのイオンを捕集する捕集電極と、該捕集電極の電位を計測する計測部とを備えるイオン発生器において、前記捕集電極を囲繞しており、所定電位に接続されるべき保護電極を備え、前記捕集電極及び前記保護電極は、前記並設方向と交差する方向の一方の側に、前記プラスのイオン発生部及び/又は前記マイナスのイオン発生部と一体化して並設してあることを特徴とする。
【0009】
本発明にあっては、イオン発生部から捕集電極及び保護電極に向かう方向を、イオン発生部の近傍を通流する気流の方向と略一致させたときは、プラス及び/又はマイナスのイオン発生部が発生させたイオンをイオン発生部の直近で捕集する。また、捕集電極に捕集されたイオンが有する電荷が、埃等の汚れ又は周囲の空気中の湿気によって絶縁度が低下した部分を伝導して保護電極の包囲の外側に移動することを抑止する。
【0010】
本発明に係るイオン発生器は、前記保護電極は、前記並設方向のイオン発生部側に電極の欠落部を有することを特徴とする。
【0011】
本発明にあっては、イオン発生部から保護電極の欠落部に向かう方向を、イオン発生部の近傍を通流する気流の方向と略一致させたときは、検出されるべきでないイオンが、捕集電極に捕集されることを抑止しつつ、検出されるべきイオンが、保護電極に捕集されることを抑止する。従って、目的とするイオンを検出する精度が向上する。
【0012】
本発明に係るイオン発生器は、前記計測部は、前記捕集電極のインピーダンスを変換する変換器と、該変換器及び前記捕集電極の間に接続された回路素子とを有し、前記保護電極は、前記変換器の出力端子に接続して前記捕集電極の電位と略同電位となるようにしてあり、前記回路素子の両端子を囲繞するように構成してあることを特徴とする。
【0013】
本発明にあっては、捕集電極及び変換器の間に回路素子、例えば変換器を保護するための抵抗を有し、捕集電極の電位と略同電位にした保護電極が、前記回路素子の両端子と該両端子に接続されている部分とを囲繞する。
これにより、捕集電極に捕集されたイオンが有する電荷が、保護電極の包囲の内側を伝導して保護電極に移動することを抑止する。また、静電気等による高電圧が変換器に直接印加されることを防止する。更にまた、捕集電極から変換器に至る部分が保護電極で包囲されるため、捕集電極に捕集されたイオンが有する電荷が、前記部分から保護電極の包囲の外側に移動することを抑止する。
【0014】
本発明に係るイオン発生器は、前記捕集電極が一面に配されており、前記計測部が他面に配されている回路基板を備え、前記保護電極は、前記計測部を囲繞するように構成してあることを特徴とする。
【0015】
本発明にあっては、捕集電極及び計測部が最短で接続されて、電荷の不要な移動が抑制されると共にイオン発生器への収容効率が高まる。また、捕集電極に捕集されたイオンが有する電荷が、回路基板の周縁部を越えて計測部に移動することを抑止する。
【0016】
本発明に係る空気清浄機及び空気調和機は、本発明に係るイオン発生器と、前記計測部が計測した電位に基づいてプラス及び/又はマイナスのイオンを検出する手段と、該手段がイオンを検出した結果に基づいて警告を発する手段とを備えることを特徴とする。
【0017】
本発明にあっては、イオンの発生量が低下した場合に使用者へ報知し、イオン発生部の清掃又はイオン発生器の交換を促す。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、イオン発生部から捕集電極及び保護電極に向かう方向を、イオン発生部の近傍を通流する気流の方向と略一致させたときは、プラス及び/又はマイナスのイオン発生部が発生させたイオンをイオン発生部の直近で捕集する。また、捕集電極に捕集されたイオンが有する電荷が、埃等の汚れ又は周囲の空気中の湿気によって絶縁度が低下した部分を伝導して保護電極の包囲の外側に移動することを抑止する。従って、高感度及び高精度にイオンを検出し、イオン検出装置を含めて占有空間を狭小化することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る空気清浄機の構成を示す縦断側面図、図2は要部の構成を示す正面図、図3は要部の構成を示す側面図、図4はイオン発生器の外観を模式的に示す正面図である。
【0020】
図1に示した空気清浄機は、後壁1aに吸込口11を有し、天壁1bに放出口12を有するハウジング1と、該ハウジング1内の下部に配されている送風機2と、吸込口11の内側に配され、送風機2が吸込口11から吸込む空気を通過させ、該空気中の異物を除去して清浄空気にするフィルタ3と、送風機2及び放出口12の間に配され、前記清浄空気を前記放出口12へ導風する導風路としてのダクト4と、送風機2が送風する清浄空気中にプラスイオン及びマイナスイオンを発生させるイオン発生器5とを備え、イオン発生器5が発生させるプラスイオン及びマイナスイオンを、送風機2が送風する清浄空気とともに放出口12から外部へ放出するように構成されている。
【0021】
ハウジング1は平面視矩形をなす底壁1cと、該底壁1cの二辺に連なる前壁1d、後壁1a及び底壁1cの他の二辺に連なる側壁と、天壁1bとを有する略直方体をなす。天壁1bの前部及び前壁1dの上部には、後述する操作部35及び表示部36が夫々配されている(図示せず)。後壁1aにはその長手方向が上下となり、長方形をなす吸込口11が設けられ、天壁1bにはその長手方向が両側壁側となり、長方形をなす放出口12が設けられている。
【0022】
送風機2は、円筒形状をなし、回転軸が前後となるように配される羽根車21及び該羽根車21を回転自在に収容してあるケーシング22を有する遠心形であり、羽根車21を駆動するモータ6が、ケーシング22の前側部に取り付けられている。
【0023】
羽根車21は、外縁に対し回転中心側が回転方向へ変位する複数の羽根21aを有する多翼羽根車、換言すると円筒形状をなすシロッコファンであり、一端に軸受板を有し、該軸受板の中心に開設されている軸孔にモータ6の出力軸が取り付けられ、他端の開口から中心部の空洞へ吸込んだ空気を外周部の羽根21a間から放出するように構成されている。
【0024】
ケーシング22は、羽根車21の回転により発生する気流を羽根車21の回転方向へ誘導し、気流の速度を増すための円弧形誘導壁22aと、該円弧形誘導壁22aの一部から円弧形誘導壁22aの接線方向の一方へ上向きに開放された吹出口22bとを有する。吹出口22bは円弧形誘導壁22aの一部から円弧形誘導壁22aの接線方向の一方へ突出する角筒形状をなしている。また、ケーシング22は、深皿形をなし、円弧形誘導壁22a及び吹出口22b用の開放部を有するケーシング本体2aと、羽根車21の前記開口と対応する箇所が開放され、ケーシング本体2aの開放側を閉塞する蓋板2bとを備え、該蓋板2bがケーシング本体2aに複数本の雄螺子により取り付けられている。
【0025】
ダクト4は、その下端が吹出口22bに連なり、その上端が開放されている角筒形をなし、ケーシング本体2a及び蓋板2bと一体に成形されている。また、ダクト4は、吹出口22bの一側から円弧形誘導面22aの接線方向の一方に沿って配された一側壁4aと、吹出口22bの他側から前記一側壁との離隔距離が漸次長くなる他側壁4bと、一側壁4a及び他側壁4bに連なり、鉛直方向に配された後壁4c及び吹出口22bから後壁4cとの離隔距離が漸次短くなる前壁4dとを有し、吹出口22bから吹出された清浄空気を、一側壁4a、後壁4c及び前壁4dに沿って層流に誘導するように構成されている。また、前壁4dにはイオン発生器5に対応する貫通孔及び貫通孔と離隔する取付孔が開設されており、該取付孔に捩込まれる雄螺子により、イオン発生器5を固定する押え部材5aが取り付けられている。
【0026】
イオン発生器5は、略直方体のケース50に収納されており、羽根車21の回転により発生する空気の通流方向と交差する方向へ離隔して並設されたイオン発生部51a,51b,及びイオン発生部52a,52bを備える。イオン発生部51a,51b、52a,52bの夫々は、内奥側に尖鋭状をなす放電電極、及び該放電電極を囲繞する対向電極を有し、高電圧を印加された放電電極がコロナ放電を発生する。これにより、イオン発生部51a,51bがマイナスのイオンを、イオン発生部52a,52bがプラスのイオンを夫々発生させるように構成されている。
尚、イオン発生器5は、プラス及びマイナスのイオン発生部を夫々1つずつ有するものであってもよい。
【0027】
イオン発生器5のイオン発生部51a,51bには、該イオン発生部51a,51bが発生させたイオンを検出するためのイオン検出部53を、前記並設方向と交差する方向に僅かに離隔して並設してある。イオン検出部53は、イオンを捕集する捕集電極532と、イオン発生部51a,51b側に開いたコの字状をなしており前記捕集電極532を包囲する保護電極533とを備える。また、イオン検出部53は、イオン発生部51a,51bが開口する面に開設された取付口に、後述する回路基板(図7参照)を嵌め込んで取り付けてある。これにより、イオン発生部51a,51b、52a,52b及びイオン検出部53が一体化される。
【0028】
イオン検出部53、及びイオン発生部51a,51b、52a,52bの夫々は、前記貫通孔からダクト4内に臨んでいる。この場合、イオン検出部53は、ダクト4内を通流する気流に対して、イオン発生部51a,51bの風下側となるように配されている。
尚、イオン検出部53をイオン発生部52a,52bに並設して、プラスのイオンを検出するようにしてもよい。また、プラス及びマイナスのイオンを検出するためにイオン検出部53を2つ備えてもよい。
【0029】
以上のように構成された空気清浄機は、吸込口11が壁側となるように居住室内の壁の近くに据えられる。送風機2の駆動により、羽根車21が回転し、室内の空気が吸込口11からハウジング1内へ吸込まれ、吸込口11及び放出口12間に風の通風路が発生し、吸込まれた空気中の塵埃等の異物はフィルタ3により除去されて清浄空気となる。
【0030】
フィルタ3を通過した清浄空気は、送風機2のケーシング22内に吸込まれる。この際、ケーシング22内に吸込まれた清浄空気は、羽根車21周りの円弧形誘導壁22aにより層流となり、この層流部が円弧形誘導壁22aに沿って吹出口22bへ誘導され、該吹出口22bからダクト4内へ送風される。ダクト4の前壁4dにはイオン発生器5を配してあるため、該イオン発生器5が前壁4dに沿って流通する清浄空気中にイオンを発生させる。イオン発生部51a,51bが発生させたマイナスのイオンは、イオン検出部53の捕集電極532によって、イオン発生部51a,51bの直近で捕集されるようになっている。
【0031】
図5は、空気清浄機の制御系の概略構成を示すブロック図である。制御系の中枢となるのはCPU30であり、CPU30は、プログラム等の情報を記憶するROM31、一時的に発生した情報を記憶するRAM32、及び時間を計時するためのタイマ33と互いにバス接続されている。CPU30は、ROM31に予め格納されている制御プログラムに従って入出力、演算等の処理を実行する。
【0032】
CPU30には、更に、空気清浄機の運転、停止等の操作を受け付けるための操作部35と、操作の内容、運転状態等の情報を表示するLCDからなる表示部36と、送風機2のモータ6を駆動するための送風機駆動回路37とがバス接続されている。
【0033】
CPU30にバス接続された出力インタフェース34の出力側は、イオン発生器駆動回路38の制御入力PC1に接続されている。イオン発生器駆動回路38の出力の一端は、陽極がイオン発生器5の電源入力V1に接続されている直流電源E1の陰極に接続されており、他端は、イオン発生器5の接地入力G1に接続されている。イオン発生器5には、更に、イオン検出部53が計測したアナログの電圧をデジタルの電圧に変換するためのA/D変換回路39が接続されている。該A/D変換回路39はCPU30とバス接続されている。
【0034】
イオンの検出に際し、CPU30は、出力インタフェース34を介し、タイマ33の計時に合わせてイオン発生器駆動回路38の制御入力PC1をオン/オフさせる。これにより、イオン発生器駆動回路38が、イオン発生器5の接地入力G1と直流電源E1の陰極との接続を接/断する。
【0035】
図6は、イオン検出部53の構成を示す回路図である。イオン検出部53は、後述する回路基板の部品側(表面)及び検出側(裏面)に夫々配された計測部531及び捕集電極532を備える。
計測部531は、捕集電極532を5Vの直流電源にプルアップする抵抗R4を有し、抵抗R4の両端子は、コンデンサC1と並列接続されている。捕集電極532は、計測部531の保護抵抗R1を介して、反転入力及び出力の間に抵抗R2が接続された演算増幅器IC1の非反転入力I1に接続されている。
【0036】
演算増幅器IC1の出力は、接地電位に接続されたコンデンサC2及びC4の夫々と直列接続された抵抗R3及びR5に接続されている。コンデンサC2及び抵抗R3の接続点は、保護電極533に接続されており、コンデンサC4及び抵抗R5の接続点は、コネクタCN5の出力端子に接続されている。コネクタCN5は、イオン検出部53が計測した電位をA/D変換回路39に与えるためのものである。保護電極533は、捕集電極532の一部を除く周囲を包囲すると共に、保護抵抗R1及び該保護抵抗R1の両端子に夫々接続された部分を包囲するようにしてある。
【0037】
上述した回路において、捕集電極532にマイナスのイオンが捕集された場合、マイナスのイオンが有する負の電荷が、捕集電極532と接続されたコンデンサC1を充電するため、コンデンサC1及び保護抵抗R1の接続点の電位が低下し、低下した電位が、保護抵抗R1を介して演算増幅器IC1の非反転入力I1に与えられる。一方、演算増幅器IC1は、出力が反転入力に帰還されて増幅度1のインピーダンス変換器を形成しており、前記出力の電位は、非反転入力I1に与えられた電位と同電位となる。この電位は、接地電位に対するアナログの電圧値として、抵抗R5を介しコネクタCN5の出力端子から出力される。
【0038】
また、演算増幅器IC1の出力インピーダンスは、抵抗R3の抵抗値に比して十分小さい値となっており、保護電極533は、捕集電極532をプルアップする抵抗R4(1GΩ)の1/10万の抵抗値を有する抵抗R3(10kΩ)を介して捕集電極532と同電位に保たれることになる。従って、捕集電極532に捕集されたイオンが有する電荷は、捕集電極532から演算増幅器IC1に至る間に回路基板の表面を伝導して保護電極533の包囲の外側に移動することが抑止される。
尚、保護抵抗R1は、抵抗に限定されるものではなく、例えば保護以外の目的で、抵抗、コイル等の回路素子の直並列回路を有するようにしてもよい。
【0039】
図7は、イオン検出部53の回路基板の導体パターンを示す平面図である。図7(a)は、回路素子が実装される表面の導体パターンを示し、図7(b)は、捕集電極532及び保護電極533が形成された裏面の導体パターンを示す。
尚、図7は回路基板を例示したものであり、基板の寸法、縦横比等の外形は、イオン検出部53が嵌め込まれるべき取付口に合致させればよい。
【0040】
捕集電極532は、スルーホール532a,532bにより、表面の導体パターンと電気的に接続されており、前記導体パターンには、保護抵抗R1、抵抗R4及びコンデンサC1夫々の一端子が取着されるようになっている。裏面の捕集電極532を包囲する保護電極533は、略矩形の回路基板の長手方向の一辺に欠落部を有して平面視略コの字状をなしており、スルーホール533a,533bによって、表面の回路素子の周囲を包囲する保護電極533と電気的に接続されている。表面の保護電極533は、また、前記導体パターンと、保護抵抗R1及び非反転入力I1を接続する導体パターンとを包囲している。
【0041】
図8は、マイナスのイオンを検出した結果に基づいて警告を発するCPU30の処理手順を示すフローチャートである。以下の処理は、ROM31に予め格納されている制御プログラムに従って周期的に(例えば10分周期で)実行される。尚、実行の周期は10分に限定されるものではなく、任意の時間とすることができる。また、検出電圧値1,検出電圧2はRAM32に記憶するものとする。
【0042】
CPU30は、イオンの検出に先立ち、イオン発生器5の駆動を停止させるために、出力I/F34を介して制御入力PC1をオフする(ステップS11)。その後、CPU30は、タイマ33に5秒の計時を開始させ(ステップS12)、タイマ33が計時を終了したか否かを判定する(ステップS13)。尚、このときの5秒は、捕集電極532の電位が抵抗R4で十分にプルアップされるまで待機する時間であり、5秒に限定されるものではない。計時を終了していないと判定した場合(ステップS13:NO)、CPU30は、タイマ33が計時を終了するまで待機する。
【0043】
計時を終了したと判定した場合(ステップS13:YES)、CPU30は、A/D変換回路39を介して計測部531が計測した電位を検出電圧値1として取り込む(ステップS14)。そして、イオン発生器5を駆動させるために出力I/F34を介して制御入力PC1をオンする(ステップS15)。次いで、CPU30は、タイマ33に5秒の計時を開始させ(ステップS16)、タイマ33が計時を終了したか否かを判定する(ステップS17)。尚、このときの5秒は、捕集電極532の電位が定常値に達するまで待機する時間であり、5秒に限定されるものではない。
【0044】
計時を終了していないと判定した場合(ステップS17:NO)、CPU30は、タイマ33が計時を終了するまで待機する。計時を終了したと判定した場合(ステップS17:YES)、CPU30は、A/D変換回路39を介して計測部531が計測した電位を検出電圧値2として取り込み(ステップS18)、出力I/F34を介して制御入力PC1をオフする(ステップS19)。
【0045】
次いで、CPU30は、検出電圧値1から検出電圧値2を減算して(ステップS20)、算出した値が0.5V以下であるか否かを判定する(ステップS21)。0.5V以下でないと判定した場合(ステップS21:NO)、CPU30は処理を終了する。0.5V以下であると判定した場合(ステップS21:YES)、CPU30は、マイナスイオンの検出レベルが閾値以下となった旨を報知するために表示部36の青ランプを消灯させる(ステップS22)と共に、警告を示す赤ランプを点灯させて(ステップS23)処理を終了する。
【0046】
以上のように、本実施の形態1によれば、プラス及びマイナスのイオン発生部の並設方向と交差する方向の一方の側にイオン発生部と一体化してイオン検出部を並設してあり、イオン検出部の保護電極が捕集電極を包囲する。また、イオン発生部からイオン検出部に向かう方向を、イオン発生部の近傍を通流する気流の方向と略一致させてある。
これにより、イオン発生部が発生させたイオンをイオン発生部の直近で捕集する。また、捕集電極に捕集されたイオンが有する電荷が、埃等の汚れ又は周囲の空気中の湿気によって絶縁度が低下した部分を伝導して保護電極の包囲の外側に移動することを抑止する。
従って、埃等の汚れ又は湿度の影響を受けることを抑止して高感度及び高精度にイオンを検出し、イオン検出部を含めてイオン発生器全体が占有する空間を狭小化することが可能となる。
【0047】
また、回路基板上に形成された略矩形の捕集電極を包囲するコの字状の保護電極が長手方向の一辺に有する欠落部を、マイナスのイオンを検出されるべき空気が通流する方向に向けてあるため、プラスのイオンが、捕集電極に捕集されることを抑止しつつ、マイナスのイオンが、保護電極に捕集されることを抑止する。
従って、イオンを検出する精度を向上させることが可能となる。
【0048】
更にまた、インピーダンス変換器を形成する演算増幅器の出力端子に保護電極を接続して捕集電極の電位と略同電位としてあり、捕集電極及び演算増幅器の間に保護抵抗を有し、該保護電極の導体パターンが、保護抵抗の両端子と該両端子に接続されている導体パターンとを包囲する。
従って、静電気等による高電圧が演算増幅器に直接印加されることを防止し、イオンを検出する精度を向上させることが可能となる。
【0049】
更にまた、回路基板の表面に計測部を、裏面に捕集電極を配し、保護電極が計測部を包囲する。
従って、捕集電極及び計測部が最短で接続されて、電荷の不要な移動が抑制されると共にイオン検出部を小型化することが可能となる。また、捕集電極に捕集されたイオンが有する電荷が計測部に移動することを抑止するため、イオンを検出する精度を向上させることが可能となる。
【0050】
更にまた、イオン発生器が発生させたイオンを検出した結果に基づいて、表示部のLEDにより使用者に警告を発する。
従って、イオンの発生量が低下した場合に使用者へ報知し、イオン発生部の清掃又はイオン発生器の交換を促すことが可能となる。
【0051】
尚、本実施の形態1にあっては、捕集電極をDC5Vに抵抗でプルアップしてマイナスのイオンを検出しているが、これに限定するものではなく、接地電位に抵抗でプルダウンしてプラスのイオンを検出するようにしてもよい。この場合は、捕集電極をプラスのイオン発生部に近接させて配設し、図8のステップS20では、算出した値の符号を反転させればよい。
【0052】
更にまた、警告として表示部の赤ランプを点灯させているが、これに限定するものではなく、ブザーを備えて警告音を発するようにしてもよく、また、音声合成回路及びスピーカを備えて警告音声を発するようにしてもよい。
【0053】
更にまた、保護電極は、捕集電極及び計測部を包囲しているが、これに限定するものではなく、例えばダクトの静電気を除去するために、捕集電極の近傍の部分を保護電極に接続するようにしてもよい。
【0054】
(実施の形態2)
実施の形態1では、本発明に係るイオン発生器5を空気清浄機に搭載しているのに対し、実施の形態2では、本発明に係るイオン発生器5を空気調和機に搭載している。図9は、本発明の実施の形態2に係る空気調和機の概略構成を示すブロック図である。図中、矢印なしの二重線は冷媒の流路を示し、矢印付きの二重線は空気の通流方向を示す。空気調和機は、室外から吸入した外気との間で熱交換を行う室外熱交換器71を有する室外ユニット7と、室内から吸入した被処理空気との間で熱交換を行う室内熱交換器81a,81b、81c,81dを有する室内ユニット8とで構成される。
【0055】
室外ユニット7の室外熱交換器71は、圧縮機72及び室内熱交換器81a,81bに接続されており冷媒が循環する方向を切り替える四方弁73と、室内熱交換器81c,81dに接続された減圧器74との間に接続されている。室内熱交換器81a,81bと、室内熱交換器81c,81dとの間には、減圧器82及び該減圧器82を通流する冷媒の流量を調整するための電磁弁83が並列に接続されている。減圧器74,82は、高温・高圧の冷媒を断熱膨張させて、低温・低圧の冷媒にするためのものである。
【0056】
室外ユニット7は、マイクロコンピュータからなる室外制御部75を備える。室外制御部75は、四方弁73、室外ユニット7に吸入された外気の温度を検出する外気温度センサ76、及び室外熱交換器71で熱交換された空気を室外に排出する室外ファン77と接続されている。
室外制御部75は、外気温度センサ76が検出した検出値を取り込み、圧縮機72の圧縮力及び室外ファン77の回転数を制御すると共に、空気調和機の冷暖房運転の切り替えに際し、四方弁73を切り替えるように制御する。
【0057】
室内ユニット8は、CPU、バスインタフェース及び入出力インタフェースからなる室内制御部84を備える。室内制御部84のバスインタフェースには、プログラム等の情報を記憶するROM及び一時的に発生した情報を記憶するRAMからなるメモリ85と、時間を計時するためのタイマ86とがバス接続されている。室内制御部84のCPUは、メモリ85のROMに予め格納されている制御プログラムに従って入出力、演算等の処理、及び室外制御部75との通信を実行する。
【0058】
室内制御部84の入出力インタフェースには、リモコン100から送信された赤外線信号を受信する受信部87と、室内の温度及び湿度を夫々検出する室内温度センサ88及び湿度センサ89と、運転状態、警報等の情報を表示するLCDからなる表示部36aとが接続されている。
室内制御部84の入出力インタフェースには、更に、電磁弁83、イオン発生器5を駆動するイオン発生器駆動回路38、室内ユニット8に空気を通流させる室内ファン90、及び室内の換気を行う換気装置91が接続されている。
【0059】
室内制御部84は、受信部87で受信した赤外線信号に基づいて各種操作を受け付け、電磁弁83を開閉すると共に室内ファン90の回転数を制御し、室外ユニット7に室外ユニット7の各構成部を制御するのに必要な情報を送信する。情報を受取った室外制御部75は、例えば、受け取った情報に含まれる設定温度及び室内温度センサ88の検出温度が一致するように圧縮機72及び室外ファン77を制御する。
【0060】
冷房運転時及び暖房運転時には、室内制御部84によって電磁弁83は開にされる。電磁弁83が開の場合、冷媒は減圧器82側を極小量しか通過せず、冷媒の大部分は電磁弁83側を通過する。また、四方弁73は、室外制御部75によって、冷房運転時には室外熱交換器71側が高圧に、暖房運転時には室内熱交換器81a,81b、81c,81d側が高圧となるように冷媒の流路が切り替えられる。従って、冷房運転時及び暖房運転時に、室内熱交換器81a,81b、81c,81dは、夫々蒸発器及び凝縮器として動作する。除湿運転時の動作については、説明を省略する。
【0061】
室内ファン90の回転により、室内ユニット8に吸入された被処理空気は、室内熱交換器81a,81b、81c,81dによって冷却、加熱又は除湿され、イオン発生器5が発生させたプラス及びマイナスのイオンと共に室内に吹出されるようになっている。
【0062】
図10は、空気調和機の室内ユニット8を模式的に示す右側断面図である。図中8aはケースであり、ケース8aの天面一面には、被処理空気を吸入する吸込口92が開設されている。吸入口92の下方には、被処理空気に含まれる埃、微粒子等の異物を除去するフィルタ93が配されている。室内ユニット8の略中央部には、長手方向に回転軸を有する室内ファン90が設けられ、該室内ファン90の前方と、前方及び後方の斜め上方とには、室内ファン90を取り囲むように室内熱交換器81a,81b、81c,81dが配設されている。尚、室内ファン90は、本実施の形態2ではシロッコファンである。
【0063】
室内ファン90の前方の斜め下方には吹出口94が開設されており、吹出口94は、ケース8aの前面の中央部に回動自在に枢支されたルーバー95によって開度が調整されるようになっている。室内熱交換器のうち最も下部に位置する室内熱交換器81bの下方から吹出口94の開口の上縁部に延びる壁面には、イオン発生部51a,51b、52a,52bの並設方向が室内ファン90の回転軸と略平行となるようにイオン発生器5が下向きに取着されている。ケース8aの前面の上部には、警報を表示する表示部36aが設けられている。
尚、イオン発生器5には、人体に対する安全のために、空気の通流の妨げとならないスリットを有するカバーが被せられている。
【0064】
上述した構成において、室内の被処理空気は、室内ファン90の回転動作によって生じる負圧により、吸入口92及びフィルタ93を経由して室内ユニット8の内部に吸入される。吸入された空気は、室内熱交換器81a,81b、81c,81dにより冷却又は加熱される。冷却又は加熱された空気は、室内ファン90の回転動作により、イオン発生器5が発生させたイオンと共に、吹出口94を経由して再び室内へ吹出される。また、マイナスイオンの検出レベルが閾値以下となった場合、室内制御部84が表示部36aに警報を表示して使用者に警告を発するようにしてある。
【0065】
その他、実施の形態1に対応する箇所には同様の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0066】
以上のように、本実施の形態2によれば、イオン発生器が発生させたイオンを検出した結果に基づいて、表示部のLEDにより使用者に警告を発する。
従って、イオンの発生量が低下した場合に使用者へ報知し、イオン発生部の清掃又はイオン発生器の交換を促すことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明の実施の形態1に係る空気清浄機の構成を示す縦断側面図である。
【図2】要部の構成を示す正面図である。
【図3】要部の構成を示す側面図である。
【図4】イオン発生器の外観を模式的に示す正面図である。
【図5】空気清浄機の制御系の概略構成を示すブロック図である。
【図6】イオン検出部の構成を示す回路図である。
【図7】イオン検出部の回路基板の導体パターンを示す平面図である。
【図8】マイナスのイオンを検出した結果に基づいて警告を発するCPUの処理手順を示すフローチャートである。
【図9】本発明の実施の形態2に係る空気調和機の概略構成を示すブロック図である。
【図10】空気調和機の室内ユニットを模式的に示す右側断面図である。
【符号の説明】
【0068】
1 ハウジング
12 放出口
2 送風機
21 羽根車
30 CPU
31 ROM
32 RAM
33、86 タイマ
36、36a 表示部(警告を発する手段)
38 イオン発生器駆動回路
39 A/D変換回路
4 ダクト
5 イオン発生器
51a,51b (マイナスの)イオン発生部
52a,52b (プラスの)イオン発生部
53 イオン検出部
531 計測部
532 捕集電極
533 保護電極
6 モータ
7 室外ユニット
8 室内ユニット
84 室内制御部
IC1 演算増幅器(変換器)
R1 保護抵抗(回路素子)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラス及びマイナスのイオン発生部を並設してあり、該イオン発生部の夫々が発生させたプラス及び/又はマイナスのイオンを捕集する捕集電極と、該捕集電極の電位を計測する計測部とを備えるイオン発生器において、
前記捕集電極を囲繞しており、所定電位に接続されるべき保護電極を備え、
前記捕集電極及び前記保護電極は、前記並設方向と交差する方向の一方の側に、前記プラスのイオン発生部及び/又は前記マイナスのイオン発生部と一体化して並設してあること
を特徴とするイオン発生器。
【請求項2】
前記保護電極は、前記並設方向のイオン発生部側に電極の欠落部を有することを特徴とする請求項1に記載のイオン発生器。
【請求項3】
前記計測部は、前記捕集電極のインピーダンスを変換する変換器と、該変換器及び前記捕集電極の間に接続された回路素子とを有し、
前記保護電極は、前記変換器の出力端子に接続して前記捕集電極の電位と略同電位となるようにしてあり、前記回路素子の両端子を囲繞するように構成してあること
を特徴とする請求項1又は2に記載のイオン発生器。
【請求項4】
前記捕集電極が一面に配されており、前記計測部が他面に配されている回路基板を備え、
前記保護電極は、前記計測部を囲繞するように構成してあること
を特徴とする請求項1から3までの何れか1項に記載のイオン発生器。
【請求項5】
請求項1から4までの何れか1項に記載のイオン発生器と、
前記計測部が計測した電位に基づいてプラス及び/又はマイナスのイオンを検出する手段と、
該手段がイオンを検出した結果に基づいて警告を発する手段と
を備えることを特徴とする空気清浄機。
【請求項6】
請求項1から4までの何れか1項に記載のイオン発生器と、
前記計測部が計測した電位に基づいてプラス及び/又はマイナスのイオンを検出する手段と、
該手段がイオンを検出した結果に基づいて警告を発する手段と
を備えることを特徴とする空気調和機。
【請求項1】
プラス及びマイナスのイオン発生部を並設してあり、該イオン発生部の夫々が発生させたプラス及び/又はマイナスのイオンを捕集する捕集電極と、該捕集電極の電位を計測する計測部とを備えるイオン発生器において、
前記捕集電極を囲繞しており、所定電位に接続されるべき保護電極を備え、
前記捕集電極及び前記保護電極は、前記並設方向と交差する方向の一方の側に、前記プラスのイオン発生部及び/又は前記マイナスのイオン発生部と一体化して並設してあること
を特徴とするイオン発生器。
【請求項2】
前記保護電極は、前記並設方向のイオン発生部側に電極の欠落部を有することを特徴とする請求項1に記載のイオン発生器。
【請求項3】
前記計測部は、前記捕集電極のインピーダンスを変換する変換器と、該変換器及び前記捕集電極の間に接続された回路素子とを有し、
前記保護電極は、前記変換器の出力端子に接続して前記捕集電極の電位と略同電位となるようにしてあり、前記回路素子の両端子を囲繞するように構成してあること
を特徴とする請求項1又は2に記載のイオン発生器。
【請求項4】
前記捕集電極が一面に配されており、前記計測部が他面に配されている回路基板を備え、
前記保護電極は、前記計測部を囲繞するように構成してあること
を特徴とする請求項1から3までの何れか1項に記載のイオン発生器。
【請求項5】
請求項1から4までの何れか1項に記載のイオン発生器と、
前記計測部が計測した電位に基づいてプラス及び/又はマイナスのイオンを検出する手段と、
該手段がイオンを検出した結果に基づいて警告を発する手段と
を備えることを特徴とする空気清浄機。
【請求項6】
請求項1から4までの何れか1項に記載のイオン発生器と、
前記計測部が計測した電位に基づいてプラス及び/又はマイナスのイオンを検出する手段と、
該手段がイオンを検出した結果に基づいて警告を発する手段と
を備えることを特徴とする空気調和機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2010−62036(P2010−62036A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−227426(P2008−227426)
【出願日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
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