説明

イオン発生装置および電気機器

【課題】塵埃の多い環境でもイオン発生効率の低下を防止できるイオン発生装置および電気機器を提供する。
【解決手段】放電電極3a〜3dは、針状の先端を有し、その先端においてイオンを発生させるためのものである。清掃スライダー9は、清掃部9a〜9dが放電電極3a〜3dを清掃するために放電電極3a〜3dに接触した接触状態と接触しない非接触状態との間で移動可能である。モータ14は、清掃スライダー9を移動可能とするものである。清掃スライダー9はラックギヤ9eを有し、モータ14はラックギヤ9eに噛み合うピニオンギヤ14bを有している。放電電極3a〜3dの針状の一方端とは反対側の他方端は対向電極8の下側に位置し、かつ清掃スライダー9は対向電極8の下側に位置している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イオン発生装置および電気機器の放電部の汚れ除去に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、室内の空気の浄化、殺菌あるいは消臭などを行なうために、イオン発生装置が使用されている。これらの多くは、イオン発生電極を備えてコロナ放電により発生する正イオンと負イオン(以下、併せて正負イオンという)を、筐体に孔設されたイオン放出口から放出させるものである。これらの正負イオンには空気の浄化や消臭あるいは殺菌を行なう作用がある。
【0003】
イオン発生素子には、特に針形状の金属などを放電電極とし、これに対向する金属板やグリッドなどを配置したもの(たとえば特開2005−13649号公報参照)、あるいは対向電極を大地として特に対向電極を配置しないものがある。この種類のイオン発生素子では、放電電極と対向電極もしくは大地との間の空気が絶縁体の役割を果たす。このイオン発生素子では、電極に高電圧を印加した際に、鋭角部をした電極の先端で電界集中が生じ、その先端の極近部分の空気が絶縁破壊することで放電現象が得られる。
【0004】
放電現象を利用した多くのイオン発生装置が実用化されているが、これらのイオン発生装置は通常、イオンを発生させるためのイオン発生素子と、イオン発生素子に高電圧を供給するための高圧トランスと、高圧トランスを駆動するための高圧トランス駆動回路と、コネクタなどの電源入力部とにより構成されている。
【0005】
放電現象を利用したイオン発生装置としては、たとえば特開2002−374670号公報に記載されたものがある。この公報に記載されたイオン発生装置ではイオン発生電極に高電圧を供給する高圧トランスと、その高圧トランスを駆動するための駆動回路とが、ケース内に搭載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−13649号公報
【特許文献2】特開2002-374670号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のようなイオン発生装置を長期間使用していると、気流に含まれている埃やその他の汚れ物質がイオン発生電極に付着し、やがては放電面がそれらの汚れ物質にて覆われてしまう。このような状態になると、イオン発生のためのコロナ放電が妨げられ、イオン発生効率が低下する場合がある。
【0008】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、塵埃の多い環境でもイオン発生効率の低下を防止できるイオン発生装置および電気機器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のイオン発生装置は、放電電極と、清掃部材と、モータとを備えている。放電電極は、針状の先端を有し、その先端においてイオンを発生させるためのものである。清掃部材は、放電電極を清掃するために放電電極に接触した接触状態と接触しない非接触状態との間で移動可能に構成されている。モータは、清掃部材を移動可能とするものである。
【0010】
本発明のイオン発生装置によれば、清掃部材が接触状態と非接触状態との間で移動可能であるため、放電電極の清掃時には清掃部材を放電電極に接触させることで放電電極の清掃が可能になる。また放電電極による放電時には清掃部材を放電電極に接触させないことで清掃部材が放電の障害となることも防止できる。このように清掃部材で放電電極の汚れを除去することができ、かつ清掃部材が放電の障害になることもないため、塵埃の多い環境下においてもイオン発生効率の低下を防止することができる。
【0011】
また清掃部材を移動可能とするための駆動源がモータであるため、移動スピードのコントロールが容易である。これにより、清掃部材が放電電極に接触する時間を長くとることが可能となるため、付着物の除去が容易となる。また駆動源をモータとすることで清掃部材の移動距離を長く取れるため、清掃部材が放電電極に接触する部分の面積を大きく確保することができ、付着物の除去が容易となる。
【0012】
上記のイオン発生装置において好ましくは、清掃部材はラックギヤを有し、モータはラックギヤに噛み合うピニオンギヤを有している。
【0013】
これによりモータの回転運動を清掃部材の直線運動に変換することができる。
上記のイオン発生装置において好ましくは、イオン発生装置は放電電極と対向して配置された誘導電極をさらに備えている。放電電極の針状の一方端とは反対側の他方端は誘導電極の下側に位置し、かつ清掃部材は誘導電極の上側に位置している。
【0014】
上記のイオン発生装置において好ましくは、誘導電極はイオン放出用の貫通孔を有し、貫通孔は円形部と矩形部とを組み合わせた鍵穴形状を有している。
【0015】
これにより清掃部材が誘導電極の上側にあっても誘導電極の下側に位置する放電電極を清掃することが可能となる。
【0016】
上記のイオン発生装置において好ましくは、イオン発生装置は放電電極と対向して配置された誘導電極をさらに備えている。放電電極の針状の一方端とは反対側の他方端は誘導電極の下側に位置し、かつ清掃部材は誘導電極の下側に位置している。
【0017】
これにより誘導電極のイオン放出孔の形状に関わりなく清掃部材で放電電極を清掃することができる。
【0018】
上記のイオン発生装置において好ましくは、イオン発生装置は放電電極を支持する支持基板をさらに備えている。清掃部材は、放電電極の清掃と同時に支持基板の表面も清掃できるように構成されている。
【0019】
これにより放電電極の清掃だけでなく、放電電極を支持する支持基板表面の清掃も同時に行なうことが可能となる。
【0020】
上記のイオン発生装置において好ましくは、イオン発生装置は少なくとも放電電極を内部に収納するケースをさらに備えている。ケースは、モータから清掃部材へ駆動力を伝達する部分を収納する領域と、放電電極を含むイオン発生部を収納する領域とに平面的に区画されている。イオン発生部を収納する領域の一部は絶縁性の樹脂によりモールドされている。
【0021】
このように駆動力を伝達する部分を収納する領域とイオン発生部を収納する領域とが平面的に区画されているため、イオン発生部の収納領域内の高電圧部のみを選択的に絶縁性樹脂でモールドし絶縁を強化することが容易となる。
【0022】
上記のイオン発生装置において好ましくは、イオン発生装置は清掃部材の移動位置を検出するための検出部材をさらに備えている。検出部材により検出された清掃部材の位置に基づいて、清掃部材と放電電極との位置関係を制御できるようにイオン発生装置は構成されている。
【0023】
これにより効率的に放電電極の清掃を行なうことが可能となる。
上記のイオン発生装置において好ましくは、清掃部材は少なくとも2つのブラシ部材を含んでいる。2つのブラシ部材の各々は、清掃部材の移動方向に延びる軸と、その軸を中心として外周側に延びるブラシとを有している。清掃部材は、2つのブラシ部材で放電電極の先端を挟み込んだ状態で放電電極の清掃を行なえるよう構成されている。
【0024】
本発明の電気機器は、上記のいずれかに記載のイオン発生装置と、そのイオン発生装置で生じたイオンを送風気流に乗せて電気機器の外部に送るための送風部とを備えている。
【0025】
本発明の電気機器によれば、イオン発生装置で生じたイオンを送風部により気流に乗せて送ることができるため、たとえば空調機器において機外にイオンを放出することができ、また冷蔵機器において庫内または庫外にイオンを放出することができる。
【発明の効果】
【0026】
以上説明したように本発明のイオン発生装置および電気機器によれば、塵埃の多い環境でもイオン発生効率の低下を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施の形態1におけるイオン発生装置の構成を概略的に示す平面図である。
【図2】本発明の実施の形態1におけるイオン発生装置の構成を概略的に示す正面図である。
【図3】本発明の実施の形態1におけるイオン発生装置の構成を概略的に示す側面図である。
【図4】本発明の実施の形態1におけるイオン発生装置の構成から蓋体を取り外した状態を概略的に示す平面図である。
【図5】図4のV−V線に対応した断面を示す概略断面図である。
【図6】図4のVI−VI線に対応した断面を示す概略断面図である。
【図7】本発明の実施の形態1におけるイオン発生装置の構成を概略的に示す底面図である。
【図8】図4のVIII−VIII線に対応した断面であって蓋体を取り付けた状態を示す概略断面図である。
【図9】本発明の実施の形態1におけるイオン発生装置に用いられるイオン発生回路部の構成を概略的に示す平面図である。
【図10】本発明の実施の形態1におけるイオン発生装置に用いられるイオン発生回路部の構成を概略的に示す正面図である。
【図11】本発明の実施の形態1におけるイオン発生装置に用いられるイオン発生回路部の構成を概略的に示す底面図である。
【図12】本発明の実施の形態1におけるイオン発生装置に用いられるイオン発生回路部の構成を概略的に示す側面図である。
【図13】本発明の実施の形態1におけるイオン発生装置に用いられるモータ制御回路部および付着物除去部の構成を概略的に示す正面図である。
【図14】本発明の実施の形態1におけるイオン発生装置に用いられるモータ制御回路部および付着物除去部の構成を概略的に示す底面図である。
【図15】本発明の実施の形態1におけるイオン発生装置に用いられるモータ制御回路部および付着物除去部の構成を概略的に示す側面図である。
【図16】本発明の実施の形態1におけるイオン発生装置に用いられる清掃スライダーの構成を概略的に示す平面図である。
【図17】図16のXVII−XVII線に対応した断面を示す概略断面図である。
【図18】図16のXVIII−XVIII線に対応した断面を示す概略断面図である。
【図19】本発明の実施の形態1におけるイオン発生装置に用いられるケースの構成を概略的に示す斜視図である。
【図20】本発明の実施の形態1におけるイオン発生装置の機能ブロック図であり、各機能素子の電気的接続を示す図である。
【図21】本発明の実施の形態1におけるイオン発生装置での清掃動作を説明するための部分拡大断面図である。
【図22】本発明の実施の形態2におけるイオン発生装置に用いられる清掃スライダーの構成を概略的に示す平面図である。
【図23】図22のXXIII−XXIII線に対応した断面を示す概略断面図である。
【図24】図22のXXIV−XXIV線に対応した断面を示す概略断面図である。
【図25】本発明の実施の形態3におけるイオン発生装置の構成から蓋体を取り外した状態を概略的に示す平面図である。
【図26】図25のXXVI−XXVI線に対応した断面を示す概略断面図である。
【図27】図25のXXVII−XXVII線に対応した断面を示す概略断面図である。
【図28】本発明の実施の形態3におけるイオン発生装置に用いられる清掃スライダーの構成を概略的に示す平面図である。
【図29】図28のXXIX−XXIX線に対応した断面を示す概略断面図である。
【図30】本発明の実施の形態3におけるイオン発生装置での清掃動作を説明するための部分拡大断面図である。
【図31】本発明の実施の形態におけるイオン発生装置を用いた空気清浄機の構成を概略的に示す斜視図である。
【図32】図31に示す空気清浄機にイオン発生装置を配置した様子を示す空気清浄機の分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施の形態について図に基づいて説明する。
(実施の形態1)
まず図1〜図8および図19を用いて、本発明の実施の形態1におけるイオン発生装置の全体構成について説明する。
【0029】
図1〜図8を参照して、本発明の実施の形態1におけるイオン発生装置1は、電源入力コネクタ2と、ケース5と、蓋体6と、イオン発生回路部7と、モータ制御回路部13と、付着物除去部24とを主に有している。
【0030】
図1〜図3を参照して、ケース5および蓋体6は、イオン発生装置1の外殻を構成している。蓋体6には、複数個(たとえば4個)の貫通孔4a〜4dが形成されている。この貫通孔4a〜4dは、コロナ放電により発生するイオンをケース5の外部へ放出するための開口部である。
【0031】
図4〜図7を参照して、電源入力コネクタ2、イオン発生回路部7、モータ制御回路部13および付着物除去部24は、ケース5内に収納されている。
【0032】
図19を参照して、このケース5は中板5dにより上下2段に分割されている。中板5dにより分割されたケース5の上段側は、ストッパー部(壁部)5b、5cにより、イオン発生回路部収納領域(右上がりのハッチング部)と駆動力伝達部収納領域とに平面的に区画されている。
【0033】
図4〜図7を参照して、イオン発生回路部7はケース5の上記イオン発生回路部収納領域に配置されている。モータ制御回路部13は、中板5dにより分割されたケース5の下段側の領域に配置されている。付着物除去部24は、ケース5の下段側の領域、駆動力伝達部収納領域およびイオン発生回路部収納領域にまたがって配置されている。
【0034】
次に、図9〜図12を用いて上記のイオン発生回路部7の構成について説明する。
図9〜図12を参照して、イオン発生回路部7は、支持基板20と、イオン発生部3a〜3d、8と、高圧回路(高圧ダイオード)22、23と、高圧トランス10と、高圧トランス駆動回路11とを主に有している。イオン発生部3a〜3d、8は、たとえばコロナ放電により正イオンおよび負イオンの少なくともいずれかを生じさせるためのものであり、複数の放電電極3a〜3dと、対向電極(誘導電極)8とを有している。
【0035】
対向電極8は支持基板20に支持されている。対向電極8は一体の金属板からなっており、かつ放電電極3a〜3dの個数に対応して天板部に設けられた複数の貫通孔8a〜8dを有している。この貫通孔8a〜8dの円状端面部と放電電極3a〜3dとの間でコロナ放電を発生させることよりイオンが発生する。この貫通孔8a〜8dの各々は、このコロナ放電により発生するイオンをケース5の外部へ放出するための開口部である。
【0036】
本実施の形態では、貫通孔8a〜8dの個数はたとえば4個であり、貫通孔8a〜8dの各々の平面形状はたとえば円形部と長方形部(矩形部)とを組み合わせた鍵穴形状である。
【0037】
放電電極3a〜3dの各々は針状の先端を有している。支持基板20は、放電電極3a〜3dの各々を挿通させるための貫通孔(図示せず)と、対向電極8の取り付け足8eを挿通させるための貫通孔(図示せず)とを有している。
【0038】
針状の放電電極3a〜3dの各々は、支持基板20の貫通孔に挿入または圧入されて支持基板20を貫通した状態で支持されている。これにより、放電電極3a〜3dの各々の針状の一方端は支持基板20の表面側に突き出しており、また支持基板20の裏面側に突き出した他方端には、半田付けにより支持基板20裏面の配線パターンに電気的に接続されている。
【0039】
また対向電極8は、取り付け足8eが支持基板20の貫通孔に挿入または圧入されて支持基板20を貫通した状態で支持されている。またこの取り付け足8eは支持基板20の裏面側の突き出した端部で半田付けにより支持基板20裏面の配線パターンに電気的に接続されている。
【0040】
対向電極8および放電電極3a〜3dが支持基板20に取り付けられた状態で、図9に示すように放電電極3a〜3dの各々は、その針状の先端が対向電極8のイオン放出孔8a〜8dの各々の円形部中心に位置するように配置されている。また支持基板20の裏面(半田面)には、高圧トランス10、高圧トランス駆動回路11、及び高圧ダイオード22、23などの構成素子が取付けられている。
【0041】
また支持基板20には貫通孔20a、20bが設けられており、リードピン12a、12bのそれぞれが貫通孔20a、20bの各々を貫通して支持基板20に支持されている。このリードピン12a、12bの各々は、支持基板20裏面の配線パターンにより高圧トランス駆動回路11に電気的に接続されている。
【0042】
対向電極8、放電電極3a〜3dなどを支持した状態で、図4および図5に示すように支持基板20はケース5の上記イオン発生回路部収納領域に配置されている。この際、支持基板20は基板保持壁5aにより規定の高さに位置決めされている。また対向電極8は、図12に示すように支持基板20の表面に対して規定の高さに位置決めされている。このように支持基板20と対向電極8とが規定の高さに位置決めされることにより、対向電極8を支持基板20に対してその厚み方向に位置決めすることが可能である。
【0043】
次に、図13〜図15を用いて上記のモータ制御回路部13および付着物除去部24の構成について説明する。
【0044】
図13〜図15を参照して、モータ制御回路部13は、モータ14と、モータ制御回路15と、清掃スライダー位置検出回路17と、位置検出素子18と、基板19とを主に有している。これらのモータ14、モータ制御回路15、清掃スライダー位置検出回路17および位置検出素子18は、基板19の裏面側に取り付けられている。また基板19には、接続ピン取付け部21a、21bおよび電源入力コネクタ2も取り付けられている。
【0045】
モータ14はモータ端子14aにより基板19の回路に電気的に接続されている。位置検出素子18は、たとえば反射型フォトインタラプタのように赤外線の反射を検出して移動体の有無を検出するものである。
【0046】
基板19には、ネジなどを通すための基板取り付け孔19a、19bと、モータ14に取り付けたピニオンギヤ14bを通すための孔19cと、位置検出素子18から発した光(たとえば赤外線)を通すための位置検出用孔19dとが形成されている。
【0047】
モータ14などを支持した状態で、図5および図6に示すように基板19はケース5の下段側に配置されている。この基板19は、ネジなどを基板取り付け孔19a、19bを通してケース5に螺合することによりケース5に固定されている。基板19をケース5に固定した状態において、接続ピン取付け部21a、21bはそれぞれリードピン12a、12bに電気的に接続されている。これにより、電源入力コネクタ2から入力された電源の一部が接続ピン取付け部21a、21bからリードピン12a、12bを通じてイオン発生回路部7へ供給可能である。
【0048】
図13〜図15を参照して、付着物除去部24は、ピニオンギヤ14bと、清掃スライダー9とを主に有している。ピニオンギヤ14bはモータ14に取り付けられており、モータ14の回転駆動力によって回転可能である。清掃スライダー9は、このピニオンギヤ14bに噛み合うラックギヤ9eと、放電電極3a〜3dを清掃するための清掃部9a〜9dと、位置検出部9fとを主に有している。
【0049】
次に、図16〜図18を用いて清掃スライダー9の構成について説明する。
図16〜図18を参照して、清掃スライダー9は、天板部9kと、その天板部9kの側部から下方に延びる側板部9mとを有している。天板部9kは、円形部と矩形部とが組み合わされた鍵穴形状の貫通孔9i、9jを有している。その貫通孔9i、9jの各々の矩形部の端部から円形部に向かうように延出部が延びており、その延出部の先端に清掃部9b、9cが取り付けられている。また天板部9kの両端部の各々には矩形の切欠部が設けられている。その切欠部から端部外方へ向かうように延出部が延びており、その延出部の先端に清掃部9a、9dが取り付けられている。
【0050】
これらの清掃部9a〜9dは、ある程度柔軟性を有するブラシ(歯ブラシと同様の清掃部材)からなっている。清掃部9a〜9dをなすブラシは清掃スライダー9の天板部9kの底面から下方に延びている。清掃スライダー9の側板部9mの下端にはラックギヤ9eが形成されている。また清掃スライダー9の側板部9m下端のラックギヤ9eが形成されていない部分には、図13に示すように位置検出部9fが設けられている。
【0051】
清掃スライダー9は、図4〜図6に示すように、その天板部9kがケース5の上記イオン発生回路部収納領域に位置するように、かつ側板部9mがケース5の上記駆動力伝達部収納領域に位置するように配置されている。その配置状態において、天板部9kは対向電極8の天板部の上側に位置し、かつ対向電極8の天板部の上方を跨ぐように配置されている。この状態で、清掃スライダー9の各清掃部9a〜9dの各々は対向電極8の鍵穴形状の貫通孔8a〜8dの各々を挿通するように位置している。
【0052】
また複数本の放電電極3a〜3dは平面視において一直線上に並んでおり、その同一直線上に各清掃部9a〜9dも配置されている。
【0053】
上記の配置状態において、図6に示すように、側板部9m下端のラックギヤ9eはケース5の上記駆動力伝達部収納領域においてピニオンギヤ14bと噛み合っている。これによりモータ14の回転運動が清掃スライダー9の直線運動に変換可能である。その清掃スライダー9の直線運動の方向は、複数本の放電電極3a〜3dが平面視において並ぶ直線方向と同じである。この清掃スライダー9の直線方向の往復運動により、清掃部9a〜9dの各々を放電電極3a〜3dの各々に接触させることが可能であり、それにより放電電極3a〜3dを清掃することが可能である。
【0054】
上記の配置状態において、図6に示すように、位置検出部9fが位置検出用孔19dを通して位置検出素子18と対向可能である。位置検出素子18から発した赤外線が位置検出用孔19dを通って清掃スライダー9に達し、その際に清掃スライダー9の位置検出部9fが位置検出素子18と対向した場合のみに赤外線が反射されて、清掃スライダー9の位置を検出することが可能である。
【0055】
上記のようにして直線運動をする清掃スライダー9の位置を検出することが可能である。なお清掃スライダー9の位置検出方式は上記に限定されるものではなく、たとえばマクロスイッチを利用した検出方式や磁石とリードスイッチとを利用した方式などでも可能である。
【0056】
図5および図6を参照して、電源入力コネクタ2は、ケース5の外部に電気的に接続できるようにイオン発生装置1の背面側に設けられている。
【0057】
図1を参照して、ケース5の蓋体6は、対向電極8の貫通孔8a〜8dに対向する壁部にイオン放出用の貫通孔4a〜4dを有している。これにより、イオン発生回路部7で生じたイオンがこの貫通孔4a〜4dを通じてイオン発生装置1の外部へ放出可能である。イオン発生回路部7の放電電極3a、3dはたとえば正イオンを発生させるものであり、イオン発生回路部7の放電電極3b、3cはたとえば負イオンを発生させるものである。このため、蓋体6に設けられた一方の貫通孔4a、4dは正イオン発生部となり、他方の貫通孔4b、4cは負イオン発生部となる。
【0058】
イオン放出用の貫通孔4a〜4dのそれぞれは、感電防止のために、通電部である対向
電極8に直接手が触れないように対向電極8の貫通孔8a〜8dの孔径よりも小さい径に設定されている。
【0059】
次に、図20を用いてイオン発生装置の機能ブロックについて説明する。
図20を参照して、イオン発生装置1においては、上述したようにケース5内に、電源入力コネクタ2と、イオン発生回路部7と、モータ制御回路部13と、付着物除去部24とが主に配置されている。
【0060】
電源入力コネクタ2は、入力電源としての直流電源や商用交流電源の供給を受ける部分である。電源入力コネクタ2は高圧トランス駆動回路11に電気的に接続されている。この高圧トランス駆動回路11は高圧トランス10の1次側に電気的に接続されている。この高圧トランス10は、1次側に入力された電圧を昇圧して2次側に出力するためのものである。高圧トランス10の2次側の一方は対向電極8に電気的に接続されている。高圧トランス10の2次側の他方は高圧ダイオード22を通じて放電電極3a、3dに電気的に接続され、かつ高圧ダイオード23を通じて放電電極3b、3cに電気的に接続されている。
【0061】
また電源入力コネクタ2は、モータ制御回路部13に電源を供給する部分である。具体的には電源入力コネクタ2は、モータ制御回路15を介してモータ14へ電源を供給するとともに、清掃スライダー9の位置を検出する清掃スライダー位置検出回路17へ電源を供給する。モータ14に電源が供給されると、ピニオンギヤ14b、ラックギヤ9eおよび清掃スライダー9が動作して、清掃部9a〜9dで放電電極3a〜3dの清掃が行なわれる。これにより、放電電極3a〜3dに付着した付着物が除去される。
【0062】
また清掃スライダー位置検出回路17および位置検出素子18へ電源が供給されることで、位置検出素子18から発した赤外線が清掃スライダー9の位置検出部9fで反射されるか否かにより、清掃スライダー9の位置を検出することが可能である。
【0063】
上記に説明したように、イオン発生回路部7とモータ制御回路部13へは同じ電源入力コネクタ2を通じて電源の供給を行なうが、供給系統は独立しているので、それぞれ別に制御することが可能である。またこのイオン発生装置1は各種電気機器に組み込まれて、その電気機器から全体を制御することが可能となっているため、それぞれの電気機器に応じた制御を行なうことができる。付着物除去動作時に、清掃部9a〜9dが放電電極3a〜3dに接近、接触すると不要な異常放電の可能性があるので、付着物除去動作時には、放電電極3a〜3dへの通電を停止することが望ましい。
【0064】
次に、モールドについて説明する。
上記のように各機能素子がケース5内に収容されて電気的に接続された状態で適宜モールドが施されている。ここで、高圧トランス10、高圧ダイオード22、23、高圧ダイオード22、23から放電電極3a〜3dへの回路、および高圧トランス10から対向電極8への回路、および放電電極3a〜3dは高電圧部であるため、イオン発生部分(支持基板20の表面側)を除き、支持基板20の裏面側を樹脂モールド(たとえばエポキシ樹脂)により絶縁を強化することが望ましい。
【0065】
図19に示すように、ケース5の中板5dの上段側は、ストッパー部5b、5cによりイオン発生回路部収納領域(右上がりのハッチング部)と駆動力伝達部収納領域とに平面的に区画されている。このため、上記の樹脂モールドの際に、イオン発生回路部収納領域に樹脂を注入すれば、支持基板20の裏面側が樹脂モールドできるとともに、イオン発生回路部収納領域から駆動力伝達部収納領域へ樹脂が流れることを防止できる。
【0066】
次に、本実施の形態のイオン発生装置1における清掃動作について図5、図6、図20および図21を用いて説明する。
【0067】
図5、図6および図20を参照して、まず電源入力コネクタ2から信号がモータ制御回路15に入力されるとモータ14が駆動する。これにより、モータ14に直結されたピニオンギヤ14bが回転し、ピニオンギヤ14bに噛み合うラックギヤ9eに駆動力が伝達されて、清掃スライダー9が右または左の直線移動を始める。右か左かはモータ14の回転方向で決定される。以上により清掃動作が始まる。
【0068】
上記の動作により、たとえば図21(A)に示すように清掃部9a〜9dが放電電極3a〜3dに接触しない状態から、図21(B)に示すように清掃部9b、9dが放電電極3b、3dに接触した状態へ清掃スライダー9を移動させることができる。
【0069】
清掃スライダー9の移動距離は、モータ14がたとえばステッピングモータであれば、印加したパルス数のカウントで制御でき、またたとえば単純な直流モータであれば、通電時間を制御することで制御できる。もし清掃スライダー9が行き過ぎたとしても左右のストッパー部5b、5cに清掃スライダー9がぶつかりそれ以上移動できないようになっている。
【0070】
次にたとえば右方向の終端まで移動完了すれば、モータ14を逆転して清掃スライダー9を左方向に移動させる。これにより清掃部9b、9dが放電電極3b、3dに接触した状態から、清掃部9a、9cが放電電極3a、3cに接触した状態へ清掃スライダー9を移動させることができる。そして、清掃スライダー9が左方向の終端まで移動したら、同様にモータ14を逆転させて、清掃スライダー9を右方向に移動させる。
【0071】
そして、清掃スライダー9に設けられた、位置検出部9fが基板19に設けられた位置検出用孔19dの位置に来たときに、位置検出素子18がそれを検出して位置信号を電源入力コネクタ2を通じて電気機器へ送り出す。その信号を検出して電気機器がモータ14への駆動信号を停止しモータ14がその位置で停止する。これにより図21(A)に示すように清掃部9a〜9dが放電電極3a〜3dに接触しない状態で停止させることができる。
【0072】
この位置(図21(A)に示す位置)が通常イオン発生時の清掃スライダー9の位置となる。
【0073】
以上の清掃動作は1回1往復して清掃スライダー9が元の位置に戻ることで終了する。これで、放電電極3a〜3dの各々は1往復分、清掃部9a〜9dで擦られて付着物が除去されて清掃されたことになる。
【0074】
図4〜図8においてはモータ14がイオン発生装置1に組み込まれているが、清掃スライダー9を駆動するだけであれば、モータ14はイオン発生装置1の外部に配置されておりイオン発生装置1に組み込まれてなくてもよい。この場合、ラックギヤ9eの軸がイオン発生装置1の外部に延長されて、イオン発生装置1の外部でモータ14に取り付けられたピニオンギヤ14bと噛み合うように構成されれば、モータ14によって清掃スライダー9を駆動させることができる。またイオン発生装置1を組み込む電気機器側に何らかの駆動源があればこれを利用して清掃スライダー9を駆動することはコスト的に有利となる。
【0075】
以上のように、モータ14の回転からピニオンギヤ14bが回転してラックギヤ9eを左右に動かすことにより、清掃スライダー9が左右に直線状に動いて、放電電極3a〜3dの針状先端部に清掃部9a〜9dを接触させて擦ることにより、放電電極3a〜3dの先端部に付着した付着物を擦り落とすことができる。
【0076】
このような清掃動作は、一般的な居住空間では頻繁に行なう必要はなく、たとえば月に1回程度でも十分であり、たとえば、自動的に一定運転時間毎、イオン発生装置の通電ON−OFFに連動する、または発生イオンの量をイオン量センサーで検出して、一定量以下になった場合に付着物を除去して、イオン発生量の低下を防止することができる。
【0077】
イオン発生部において、板状の対向電極8と針状の放電電極3a〜3dとを上記のように所定の距離を確保して配置し、対向電極8と放電電極3a〜3dとの間に高電圧を印加すると、針状の放電電極3a〜3dの各々の先端でコロナ放電が生じる。このコロナ放電により正イオンおよび負イオンの少なくともいずれかのイオンが発生し、このイオンがイオン発生装置1の本体に設けられたイオン放出孔4a〜4dから外部に放出される。さらに送風を加えることで、より効果的にイオンを放出することが可能となる。
【0078】
正イオンと負イオンとの双方を生じさせる場合、一方の放電電極3a、3dの先端では正コロナ放電を発生させて正イオンを発生させ、他方の放電電極3b、3cの先端では負コロナ放電を発生させて負イオンを発生させる。印加する波形はここでは特に問わず、直流、正負にバイアスされた交流波形や正負にバイアスされたパルス波形などの高電圧とする。電圧値は放電を発生させるに十分かつ、所定のイオン種を生成させる電圧領域を選定する。
【0079】
ここで、正イオンは、水素イオン(H+)の周囲に複数の水分子が付随したクラスターイオンであり、H+(H2O)m(mは0または任意の自然数)として表される。また負イオンは、酸素イオン(O2-)の周囲に複数の水分子が付随したクラスターイオンであり、O2-(H2O)n(nは0または任意の自然数)として表される。
【0080】
正イオンおよび負イオンの両極性のイオンを放出する場合には、空気中の正イオンであるH+(H2O)m(mは0または任意の自然数)と、負イオンであるO2-(H2O)n(nは0または任意の自然数)とを略同等量発生させることにより、両イオンが空気中を浮遊するカビ菌やウィルスの周りを取り囲み、その際に生成される活性種の水酸化ラジカル(・OH)の作用により、浮遊カビ菌などを除去することが可能となる。
【0081】
次に、本実施の形態のイオン発生装置の作用効果について説明する。
本実施の形態のイオン発生装置1によれば、図21(A)、(B)に示すように清掃部9a〜9dが放電電極3a〜3dに接触する接触状態と接触しない非接触状態との間で清掃スライダー9は移動可能である。このため、放電電極3a〜3dの清掃時には清掃部9a〜9dを放電電極3a〜3dに接触させることで放電電極3a〜3dの清掃が可能になる。また放電電極3a〜3dによる放電時には清掃部9a〜9dを放電電極3a〜3dに接触させないことで清掃部9a〜9dが放電の障害となることも防止できる。このように清掃部9a〜9dで放電電極3a〜3dの汚れを除去することができ、かつ清掃部9a〜9dが放電の障害になることもないため、塵埃の多い環境下においてもイオン発生効率の低下を防止することができる。
【0082】
また清掃スライダー9を移動可能とするための駆動源がモータ14であるため、移動スピードのコントロールが容易である。これにより、清掃部9a〜9dが放電電極3a〜3dに接触する時間を長くとることが可能となるため、付着物の除去が容易となる。また駆動源をモータ14とすることで清掃スライダー9の移動距離を長く取れるため、清掃部9a〜9dが放電電極3a〜3dに接触する部分の面積を大きく確保することができ、付着物の除去が容易となる。
【0083】
またモータ14の回転運動を、ピニオンギヤ14bとラックギヤ9eとの噛み合わせにより清掃スライダー9の直線運動に変換することができる。
【0084】
以上説明したように本実施の形態によれば、簡単な構成からなる付着物除去装置によって自動的に、ある所定の周期、一定運転時間毎、イオン発生装置のON-OFFに連動して、または発生イオンの量をイオンセンサーで検出して、一定量以下になった場合に付着物を除去して、イオン発生量の低下を防止することができる。
【0085】
このため、イオン発生装置1が搭載された電気機器の寿命に対して、イオン発生量を維持していくことが可能であるため、各種電気機器への搭載への可能性が広がり、イオン発生装置1を搭載した電気機器への用途を拡大することが可能となる。
【0086】
(実施の形態2)
上述した実施の形態1においては清掃部9a〜9dが清掃スライダー9の天板部9kの底面から下方に延びるブラシである場合について説明したが、清掃部の構成はこれに限定されるものではなく、放電電極3a〜3dの塵埃を清掃できるものであれば他の構成であってもよい。
【0087】
そこで、他の構成の清掃部を有するイオン発生装置を実施の形態2として、図22〜図24を用いて以下に説明する。
【0088】
図22〜図24を参照して、本実施の形態では清掃部は、いわゆるねじりブラシよりなっている。このねじりブラシとは、中心の補強材(軸)にブラシ材を巻きつけて、そのブラシ材を補強材の外周側へ延ばして円柱状に構成したものである。1本の放電電極に対して2本のねじりブラシが設けられている。
【0089】
具体的には、鍵穴形状の貫通孔9i内には2本のねじりブラシ27b、28bが設けられており、鍵穴形状の貫通孔9j内には2本のねじりブラシ27c、28cが設けられている。
【0090】
また清掃スライダー9に設けられた両端部の矩形の切欠部内のうち図中左側の矩形の切欠部内には2本のねじりブラシ27a、28aが設けられており、図中右側の矩形の切欠部内には2本のねじりブラシ27d、28dが設けられている。
【0091】
ねじりブラシ27a、27b、28a、28bの各々は、清掃スライダー9に設けられた清掃部材取付部26aに挿入固着されている。またねじりブラシ27c、27d、28c、28dの各々は、清掃スライダー9に設けられた清掃部材取付部26bに挿入固着されている。各ねじりブラシ27a〜27d、28a〜28dの各々の補強材(軸)は清掃スライダー9の直線状の移動方向に延びるように配置されている。
【0092】
ねじりブラシ27aと28aとは互いに密着並行して取り付けられており、その間に電極3aを通すことで清掃を行なうことができる。ねじりブラシ(清掃部)27aと28aとはブラシの先端が若干重複する程度密接させた方が、清掃効果が向上する。
【0093】
ねじりブラシ27bと28b、ねじりブラシ27cと28c、およびねじりブラシ27dと28dについても、上記のねじりブラシ27aと28aと同様に構成されている。
【0094】
なお、本実施の形態のイオン発生装置のこれ以外の構成については上述した実施の形態1の構成とほぼ同じであるため、同一の要素については同一の符号を付し、その説明を繰り返さない。
【0095】
このようにブラシを構成することで、ブラシの繊維方向は放電電極とほぼ直角方向になるため、清掃スライダーがスライドした場合の電極付着物に対する清掃効果が高くなる。
【0096】
(実施の形態3)
上述した実施の形態1および2では、清掃スライダー9の天板部9kが対向電極8の天板部の上側に位置する構成について説明したが、清掃スライダー9の天板部9kは対向電極8の天板部の下側に位置していてもよい。
【0097】
そこで、清掃スライダー9の天板部9kが対向電極8の天板部の下側に位置するイオン発生装置を実施の形態3として、図25〜図30を用いて以下に説明する。
【0098】
図25〜図29を参照して、本実施の形態では清掃スライダー9の天板部9kは対向電極8の天板部の下側に位置している。つまり清掃スライダー9の天板部9kは、対向電極8の天板部に対して、放電電極3a〜3dの針状の一方端とは反対側の他方端側に位置している。
【0099】
清掃スライダー9の天板部9kの側板部9mとは反対側には、突起部9g、9hが設けられている。この突起部9g、9hが対向電極8の開口部に保持されることで清掃スライダー9は対向電極8にガイドされるようになっている。
【0100】
清掃スライダー9の天板部9kを対向電極8の天板部の下に配置することで、対向電極8の貫通孔(イオン放出孔)8a〜8dの平面形状を円形状にしても、清掃スライダー9が対向電極8に設けられた貫通孔8a〜8dの形状に全く関係なく左右にスライドできるようになる。そうすることでブラシ(清掃部)9a〜9dのそれぞれを支持基板20の表面に達するように伸ばして、放電電極3a〜3dだけでなく支持基板20表面上も清掃することが可能となる。
【0101】
なお、本実施の形態のイオン発生装置のこれ以外の構成については上述した実施の形態1の構成とほぼ同じであるため、同一の要素については同一の符号を付し、その説明を繰り返さない。
【0102】
支持基板20の表面上に堆積した塵埃29は、高湿度により吸湿してその絶縁性を低下させる。この絶縁性の低下した塵埃29により、放電電極3a〜3d→支持基板20表面→空間→対向電極8の経路で異常な放電が発生するおそれがある。本実施の形態では、図30(A)、(B)に示すように、放電電極3a〜3dだけでなく支持基板20の表面もブラシ(清掃部)9a〜9dで適宜清掃することができるため、このような異常な放電を抑制することができる。
【0103】
(実施の形態4)
実施の形態4として、上記実施の形態1〜3のイオン発生装置を用いた電気機器の一例として空気清浄機の構成について説明する。
【0104】
図31および図32を参照して、空気清浄機60は前面パネル61と本体62とを有している。本体62の後方上部には吹き出し口63が設けられており、この吹き出し口63からイオンを含む清浄な空気が室内に供給される。本体62の中心には空気取り入れ口64が形成されている。空気清浄機60の前面の空気取り入れ口64から取り込まれた空気が、図示しないフィルターを通過することで清浄化される。清浄化された空気は、ファン用ケーシング65を通じて、吹き出し口63から外部へ供給される。
【0105】
清浄化された空気の通過経路を形成するファン用ケーシング65の一部に、上記実施の形態1〜3に記載したイオン発生装置1が取り付けられている。イオン発生装置1は、そのイオン発生部となる孔4a〜4dからイオンを上記の空気流に放出できるように配置されている。イオン発生装置1の配置の例として、空気の通過経路内であって、吹き出し口63に比較的近い位置P1、比較的遠い位置P2などの位置が考えられる。このようにイオン発生装置1のイオン発生部4a〜4dに送風を通過させることにより、吹き出し口63から清浄な空気とともに外部にイオンを供給するイオン発生機能を空気清浄機60に持たせることが可能になる。
【0106】
本実施の形態の空気清浄機60によれば、イオン発生装置1で生じたイオンを送風部(空気の通過経路)により気流に乗せて送ることができるため、機外にイオンを放出することができる。
【0107】
なお本実施の形態においては電気機器の一例として空気清浄機について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、電気機器は、これ以外に空気調和機(エアコンディショナー)、冷蔵機器、掃除機、加湿器、除湿機、電気ファンヒータなどであってもよく、イオンを気流に乗せて送るための送風部を有する電気機器であればよい。
【0108】
また上記においてイオン発生装置1に入力される電源(入力電源)は商用交流電源および直流電源のいずれであってもよい。入力電源が商用交流電源である場合、1次側回路である高圧トランス駆動回路11を構成する部品間やプリント基板のパターン間には法的距離をとる必要がある。
【0109】
また部品としては電源電圧に対し耐圧確保できる部品が必要となり、大型化を招くが回路構成は簡素化でき、部品点数は少なくできる。一方、入力電源が直流電源である場合、1次側回路となる高圧トランス駆動回路11を構成する部品間やプリント基板のパターン間の距離は上記商用交流電源の場合と比べると大きく緩和され、近距離で配置でき、かつ部品自体もチップ部品などの小型品が採用でき、高密度配置が可能となるものの、高電圧駆動回路実現のための回路が複雑になり、部品点数が上記商用交流電源の場合と比べて多くなる。
【0110】
なお上記の実施の形態1〜4では、正負イオン発生部が2組でのイオン発生装置1の例で説明したが、正負イオン発生部は2組に限定されることはなく、1組および3組以上であっても同様の構造で展開することが可能である。
【0111】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0112】
本発明は、イオン発生電極にイオンを発生させるために電圧を昇圧して供給するイオン発生装置およびそれを搭載した電気機器に特に有利に適用され得る。
【符号の説明】
【0113】
1 イオン発生装置、2 電源入力コネクタ、3a〜3d 放電電極、4a〜4d,8a〜8d,9i,9j,20a,20b 貫通孔、5 ケース、5a 基板保持壁、5b,5c ストッパー部、5d 中板、6 蓋体、7 イオン発生回路部、8 対向電極、8e 取り付け足、9 清掃スライダー、9a〜9d 清掃部、9e ラックギヤ、9f 位置検出部、9g 突起部、9k 天板部、9m 側板部、10 高圧トランス、11 高圧トランス駆動回路、12a リードピン、13 モータ制御回路部、14 モータ、14a モータ端子、14b ピニオンギヤ、15 モータ制御回路、17 清掃スライダー位置検出回路、18 位置検出素子、19 基板、19a,19b 基板取り付け孔、19c 孔、19d 位置検出用孔、20 支持基板、21a,21b 接続ピン取付け部、22,23 高圧ダイオード、24 付着物除去部、26a,26b 清掃部材取付部、27a〜27d,28a〜28d ねじりブラシ、60 空気清浄機、61 前面パネル、62 本体、63 吹き出し口、64 空気取り入れ口、65 ファン用ケーシング。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
針状の先端を有し、前記先端においてイオンを発生させるための放電電極と、
前記放電電極を清掃するために前記放電電極に接触した接触状態と接触しない非接触状態との間で移動可能に構成された清掃部材と、
前記清掃部材を移動可能とするモータとを備え、
前記清掃部材はラックギヤを有し、前記モータは前記ラックギヤに噛み合うピニオンギヤを有し、
前記放電電極と対向して配置された誘導電極をさらに備え、
前記放電電極の前記針状の一方端とは反対側の他方端は前記誘導電極の下側に位置し、かつ前記清掃部材は前記誘導電極の下側に位置している、イオン発生装置。
【請求項2】
複数の前記放電電極と、前記放電電極の個数に対応した複数の前記清掃部材とを備えた、請求項1に記載のイオン発生装置。
【請求項3】
前記放電電極を支持する支持基板をさらに備え、
前記清掃部材は、前記放電電極の清掃と同時に前記支持基板の表面も清掃できるように構成されている、請求項1または2に記載のイオン発生装置。
【請求項4】
少なくとも前記放電電極を内部に収納するケースをさらに備え、
前記ケースは、前記モータから前記清掃部材へ駆動力を伝達する部分を収納する領域と、前記放電電極を含むイオン発生部を収納する領域とに平面的に区画されており、
前記イオン発生部を収納する領域の一部は絶縁性の樹脂によりモールドされている、請求項1〜3のいずれかに記載のイオン発生装置。
【請求項5】
前記清掃部材の移動位置を検出するための検出部材をさらに備え、
前記検出部材により検出された前記清掃部材の位置に基づいて、前記清掃部材と前記放電電極との位置関係を制御できるよう構成されている、請求項1〜4のいずれかに記載のイオン発生装置。
【請求項6】
前記清掃部材は少なくとも2つのブラシ部材を含み、
2つの前記ブラシ部材の各々は、
前記清掃部材の移動方向に延びる軸と、
前記軸を中心として外周側に延びるブラシとを有しており、
前記清掃部材は、2つのブラシ部材で前記放電電極の前記先端を挟み込んだ状態で前記放電電極の清掃を行なえるよう構成されている、請求項1〜5のいずれかに記載のイオン発生装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載のイオン発生装置と、
前記イオン発生装置で生じたイオンを送風気流に乗せて電気機器の外部に送るための送風部とを備えた、電気機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【公開番号】特開2011−129504(P2011−129504A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−163159(P2010−163159)
【出願日】平成22年7月20日(2010.7.20)
【分割の表示】特願2009−289339(P2009−289339)の分割
【原出願日】平成21年12月21日(2009.12.21)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】