説明

イオン発生装置及び空気清浄装置

【課題】イオン発生部が発生したイオンを、送風機により吸込まれた空気に効率的に含ませることができ、イオン発生部が発生するイオン量と室内のイオン量との差を低減でき、室内のイオン量を多くすることができるイオン発生装置及び空気清浄装置を提供する。
【解決手段】吸込口及び放出口を有するハウジングと、羽根車21及び該羽根車21を収容してあるケーシング22を有し、前記ハウジング内に収容されている送風機2と、該送風機2が前記吸込口から吸込む空気を通過させるフィルタと、プラスイオン及びマイナスイオンを発生させる二つのイオン発生部とを備え、該イオン発生部を、ケーシング22の円弧形誘導壁22aに配し、イオン発生部が発生したプラスイオン及びマイナスイオンを、円弧形誘導壁22aに沿って層流の状態で通流する空気に効率的に含ませることができるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はイオン発生部が発生したイオンを、送風機により吸込まれた空気とともに室内へ放出し、室内の空気を清浄にするためのイオン発生装置及び空気清浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
居住室内の空気は、ダニの粉じん、花粉等のアレル物質、浮遊するカビ菌、ウイルス、異臭等の様々の物質で汚染されており、また、近年では住宅の高密度化が進んだこともあり、汚染物質が室内に留まりやすいので、積極的に換気を行う必要がある。しかし、大気汚染のひどい地域の室内、花粉症の居住者が入居、労働する室内では、窓を開放して換気することが思うに任せないことが多く、空気清浄装置が使用される。
【0003】
空気清浄装置は、後面に吸込口を有し、上部に放出口を有するハウジング内に収容されている送風機と、該送風機が前記吸込口から吸込む空気を通過させるフィルタと、イオンを発生させるイオン発生部とを備える。そして、イオン発生部が発生したイオンを、前記送風機により吸込まれた空気とともに前記放出口から室内へ放出し、室内の汚染物質をイオンが分解し、室内空気を清浄化するように構成されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
イオン発生部は、離隔して並置されたプラス電極及びマイナス電極を有し、プラス電極及びマイナス電極間に電位を与えることにより、プラス電極からプラスイオンが放出され、マイナス電極からマイナスイオンが放出される。放出されたプラスイオン及びマイナスイオンが、前記送風機により吸込まれた空気に含まされ、この空気とともに放出口から室内へ放出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−257408号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の空気清浄装置において、イオン発生部が発生するイオン量と、空気とともに放出口から放出された室内のイオン量とを測定したところ、イオン発生部が発生するイオン量に比べて室内のイオン量が比較的少ないことが分かった。
【0007】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、主たる目的は、送風機により吸込まれた空気の通流が層流となるようになしてある層流部にイオン発生部を配することにより、イオン発生部が発生したイオンを、送風機により吸込まれた空気に効率的に含ませることができ、イオン発生部が発生するイオン量と室内のイオン量との差を低減でき、室内のイオン量を多くすることができるイオン発生装置及び空気清浄装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るイオン発生装置は、吸込口及び放出口を有するハウジングと、該ハウジング内に収容されている送風機と、該送風機が前記吸込口から吸込む空気を通過させるフィルタと、イオンを発生させるイオン発生部とを備え、該イオン発生部が発生したイオンを、前記送風機により吸込まれた空気とともに前記放出口から放出するようになしてある空気清浄装置において、前記イオン発生部は、前記空気の通流が層流となる層流部に配してあることを特徴とする。
【0009】
この発明にあっては、イオン発生部が発生したイオンを、空気の通流が層流となるようになしてある層流部で空気に含ませることができるため、イオン発生部が発生したイオンを空気に効率的に含ませることができ、空気に含まれるイオン量を増すことができ、室内へ放出されたイオン量を多くすることができる。因って、室内空気の清浄化をより一層高めることができる。
【0010】
また、本発明に係るイオン発生装置は、前記送風機は羽根車を有し、該羽根車の回転により発生する気流を整風する整風体を備え、該整風体に前記イオン発生部を配してある構成とするのが好ましい。
この発明にあっては、整風体により整風にされて層流に通流する空気にイオンを効率的に含ませることができるため、空気とともに放出口から放出されるイオン量をより一層増すことができる。
【0011】
また、本発明に係るイオン発生装置は、前記整風体は前記羽根車を収容してあるケーシングである構成とするのが好ましい。
この発明にあっては、ケーシング内の比較的狭い通路を通流する層流の空気にイオンを含ませることができるため、イオン発生部が発生したイオンを効率的に空気に含ませることができ、空気とともに放出口から放出されるイオン量をより一層増すことができる。
【0012】
また、本発明に係るイオン発生装置は、前記送風機は、羽根車及び該羽根車を収容してあるケーシングを有し、該ケーシング及び前記放出口の間に配され、前記空気を前記放出口へ通流させる通流路を有し、該通流路及び前記ケーシングに前記イオン発生部を配してある構成とするのが好ましい。
この発明にあっては、ケーシング内の比較的狭い通路を通流する層流の空気にイオンを含ませることができ、さらに、ケーシングの吹出口から通流路へ吹出された空気に、イオン発生部が発生したイオンを含ませることができる。因って、イオン発生部が発生したイオンをより一層効率的に空気に含ませることができ、空気とともに放出口から放出されるイオン量をより一層増すことができる。
【0013】
また、本発明に係るイオン発生装置は、前記ケーシングは、前記羽根車の回転により発生する気流を誘導する円弧形誘導面及び該円弧形誘導面の一部から円弧形誘導面の接線方向一方へ開放されている吹出口を有し、前記円弧形誘導面に前記イオン発生部を配してある構成とするのが好ましい。
この発明にあっては、ケーシング内の比較的狭い通路を高風速で通流する層流の空気にイオンを含ませることができる。因って、イオン発生部が発生したイオンをより一層効率的に空気に含ませることができ、空気とともに放出口から放出されるイオン量をより一層増すことができる。
【0014】
また、本発明に係るイオン発生装置は、前記イオン発生部は、前記空気が通流する通流方向と交差する方向に離隔して複数配してある構成とするのが好ましい。
この発明にあっては、ケーシング内の比較的狭い通路で層流の空気にイオンを含ませる箇所を多くすることができる。因って、イオン発生部が発生したイオンをより一層効率的に空気に含ませることができ、空気とともに放出口から放出されるイオン量をより一層増すことができる。
【0015】
また、本発明に係るイオン発生装置は、前記イオン発生部は、前記通流方向へ離隔し、且つ前記通流方向と交差する方向へ相対的に偏倚した位置に複数配してある構成とするのが好ましい。
この発明にあっては、ケーシング内の比較的狭い通路で層流の空気にイオンを含ませる箇所を、既存のケーシングで多くすることができる。因って、イオン発生部が発生したイオンをより一層効率的に空気に含ませることができ、空気とともに放出口から放出されるイオン量をより一層増すことができる。
【0016】
また、本発明に係るイオン発生装置は、前記イオン発生部夫々は、前記通流方向の重なりがないように配してある構成とするのが好ましい。
この発明にあっては、イオン発生部夫々が発生したイオンが打ち消されることなく層流の空気に含ませることができ、イオンをより一層効率的に空気に含ませることができ、空気とともに放出口から放出されるイオン量をより一層増すことができる。
【0017】
また、本発明に係るイオン発生装置は、前記イオン発生部夫々を保持する保持体を有し、該保持体は、前記通流方向へ湾曲し、且つ前記イオン発生部夫々に対応する箇所が開口している湾曲面を有し、該湾曲面の前記開口に前記イオン発生部夫々を配してある構成とするのが好ましい。
この発明にあっては、ケーシングの、羽根車の回転により発生する気流を誘導する円弧形誘導面に保持体の湾曲面を対接させることができるため、複数のイオン発生部を同形状にすることができ、イオン発生部夫々のイオン発生量を均等にすることができる。
【0018】
また、本発明に係る空気清浄装置は、前述に記載のイオン発生装置を備えることを特徴とする。
この発明にあっては、イオン発生部が発生したイオンを、空気の通流が層流となるようになしてある層流部で空気に含ませることができる。因って、イオン発生部が発生したイオンを空気に効率的に含ませることができ、空気に含まれるイオン量を増すことができ、室内へ放出されたイオン量を多くすることができ、室内空気の清浄化をより一層高めることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、イオン発生部が発生したイオンを、空気の通流が層流となるようになしてある層流部で空気に含ませることができるため、イオン発生部が発生したイオンを空気に効率的に含ませることができ、空気に含まれるイオン量を増すことができる。因って、室内へ放出されるイオン量を多くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係る空気清浄装置の構成を示す縦断側面図である。
【図2】本発明に係る空気清浄装置の要部の構成を示す正面図である。
【図3】本発明に係る空気清浄装置の要部の構成を示す側面図である。
【図4】本発明に係る空気清浄装置のイオン発生器の構成を示すもので、(a) は正面図、(b) は側面図である。
【図5】室内の床に据えられた本発明に係る空気清浄装置の放出口から吹出された空気を室内で測定する見取図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。ここでは、空気清浄装置を例に説明する。図1は本発明に係る空気清浄装置の構成を示す縦断側面図、図2は要部の構成を示す正面図、図3は要部の構成を示す側面図、図4はイオン発生器の構成を示すもので、(a) は正面図、(b) は側面図である。
【0022】
図1に示した空気清浄装置は、後壁1aに吸込口11を有し、天壁1bに放出口12を有するハウジング1と、該ハウジング1内の下部に配されている送風機2と、吸込口11の内側に配され、送風機2が吸込口11から吸込む空気を通過させ、該空気中の異物を除去して清浄の空気にするフィルタ3と、送風機2及び放出口12の間に配され、前記空気を前記放出口12へ通流させる通流路としてのダクト4と、二つのイオン発生部51,52を有し、送風機2が送風する空気にプラスイオン及びマイナスイオンを含ませるイオン発生器5とを備える。この空気清浄装置は、イオン発生部51,52が発生するプラスイオン及びマイナスイオンを、送風機2が送風する空気に含ませ、空気とともにプラスイオン及びマイナスイオンを放出口12から外部へ放出すように構成されている。
【0023】
ハウジング1は平面視矩形をなす底壁1cと、該底壁1cの二辺に連なる前壁1d、後壁1a及び底壁1cの他の二辺に連なる側壁と、天壁1bとを有する略直方体をなす。後壁1aにはその長手方向が上下となり、長方形をなす吸込口11が設けられ、天壁1bにはその長手方向が両側壁側となり、長方形をなす放出口12が設けられている。
【0024】
送風機2は、円筒形状をなし、回転軸が前後となるように配される羽根車21及び該羽根車21を回転自在に収容してあるケーシング22を有する遠心形であり、羽根車21を駆動するモータ6が、ケーシング22の前側部に取付けられている。
【0025】
羽根車21は、外縁に対し回転中心側が回転方向へ変位する複数の羽根21aを有する多翼羽根車、換言すると円筒形状をなすシロッコ羽根車である。この羽根車21の一端には軸受板を有し、該軸受板の中心に開設されている軸孔にモータ6の出力軸が取付けられ、他端の開口から中心部の空洞へ吸込んだ空気を外周部の羽根21a間から放出するように構成されている。
【0026】
ケーシング22は、羽根車21の回転により発生する気流を羽根車21の回転方向へ誘導して層流とし、気流の速度を速めるための円弧形誘導壁22aと、該円弧形誘導壁22aの一部から円弧形誘導壁22aの接線方向一方へ上向きに開放された吹出口22bと、羽根車21の周面及び円弧形誘導壁22a間に配されている円弧形仕切壁22cとを有する。吹出口22bは円弧形誘導壁22aの一部から円弧形誘導壁22aの接線方向一方へ突出する角筒形状をなしている。また、ケーシング22は、深皿形をなし、円弧形誘導壁22aと円弧形仕切壁22c及び吹出口22b用の開放部とを有するケーシング本体2aと、羽根車21の前記開口と対応する箇所が開放され、ケーシング本体2aの開放側を閉塞する蓋板2bとを備え、該蓋板2bがケーシング本体2aに複数本の雄螺子により取付けられている。尚、円弧形誘導壁22aが、羽根車21の回転により発生する気流を整風する整風体を構成しており、また、円弧形誘導壁22aと円弧形仕切壁22cとの間の円弧状通流路22dが層流部Fになっている。
【0027】
このように構成されたケーシング22の円弧形誘導壁22aには、イオン発生部51,52に対応する貫通孔及び貫通孔と離隔する取付孔が開設されており、該取付孔に捩込まれる雄螺子によりイオン発生器5が取付けられている。
【0028】
ダクト4は、その下端が吹出口22bに連なり、その上端が開放されている角筒形をなし、ケーシング本体2a及び蓋板2bと一体に成形されている。また、ダクト4は、吹出口22bから円弧形誘導面22aの接線方向一方に沿って配された一側壁4aと、吹出口22bから前記一側壁との離隔距離が漸次長くなる他側壁4bと、一側壁4a及び他側壁4bに連なり、鉛直に配された後壁4c及び吹出口22bから後壁4cとの離隔距離が漸次短くなる前壁4dとを有する。ダクト4は、前壁4dの羽根車21に面する側が層流部Fになっており、吹出口22bから吹出された空気を、一側壁4a、後壁4c及び前壁4dに沿って層流に誘導するように構成されている。また、前壁4dにはイオン発生部51,52に対応する貫通孔及び貫通孔と離隔する取付孔が開設されている。イオン発生器5は、層流部Fに臨ませて前壁の貫通孔にはめ込まれ、取付孔に挿入される雄螺子により固定される。
【0029】
イオン発生器5は、送風機2が送風する空気の通流方向と交差する方向へ離隔した二つのイオン発生部51,52と、イオン発生部51,52に電圧を供給する給電部と、イオン発生部51,52及び給電部を保持する保持体53とを備える。イオン発生器5は、給電部がイオン発生部51,52に電圧を供給することにより、イオン発生部51,52がコロナ放電し、イオンを発生するように構成されている。
【0030】
イオン発生部51,52は、尖鋭状をなす放電電極凸部51a,52a、及び該放電電極凸部51a,52aを囲繞する誘導電極環51b,52bを有し、誘導電極環51b,52b夫々の中心部に放電電極凸部51a,52aを配してある。イオン発生器5は、一方のイオン発生部51がプラスのイオンを発生し、他方のイオン発生部52がマイナスのイオンを発生するように構成されている。
【0031】
イオン発生器5は、ケーシング22の整風体を構成する円弧形誘導壁22aと、ダクト4の前壁4dとに取付けられ、空気が通流する通流方向と交差する位置に二つのイオン発生部51,52を配してある。
【0032】
ケーシング22の円弧形誘導壁22aに取付けられるイオン発生器5は、3個を一つの保持体53に保持してある。3個のイオン発生器5は、前記通流方向(円弧形誘導壁22aの円弧方向)へ離隔して並置され、且つ前記通流方向と交差する方向(羽根車21の回転軸方向)へ相対的に偏倚している。また、3個のイオン発生器5のイオン発生部51,52は、相対的に偏倚する方向の極性を等しくし、且つ前記通流方向の重なりがないように配してあり、イオン発生器5夫々のイオン発生部51,52が前記貫通孔からケーシング22内に臨んでいる。また、保持体53のケーシング22への取付側は前記通流方向へ湾曲し、且つイオン発生部51,52夫々に対応する3箇所が開口53aされている湾曲面53bを有し、該湾曲面53bの夫々の開口53aに前記イオン発生部51,52を配してある。
【0033】
以上のように構成された空気清浄装置は吸込口11が壁側となるように居住室内の壁の近くに据えられる。
【0034】
送風機2の駆動により、羽根車21が回転し、室内の空気が吸込口11からハウジング1内へ吸込まれ、吸込口11及び放出口12間に空気の通流路が発生し、吸込まれた空気中の塵埃等の異物はフィルタ3により除去されて清浄の空気となる。
【0035】
フィルタ3を通過した空気は、送風機2のケーシング22内に吸込まれる。この際、ケーシング22内に吸込まれた空気は、羽根車21周りの円弧形仕切壁22cに沿う気流となりつつ円弧形仕切壁22c及び円弧形誘導壁22a間の円弧状通流路22dへ送出される。気流は円弧形誘導壁22aにより整流され、円弧状通流路22dの層流部Fにて層流となる。層流部Fにて層流に通流する空気が円弧形誘導壁22aに沿って図2の2点鎖線の矢印Xで示す如く、吹出口22bへ誘導され、該吹出口22bからダクト4内へ吹出される。
【0036】
送風機2におけるケーシング22の円弧形誘導壁22aにはイオン発生部51,52を配してあるため、イオン発生部51,52が発生したイオンを、円弧形誘導壁22aに沿って比較的狭い層流部Fの通路を層流に通流する空気に効率的に含ませることができる。また、円弧形誘導壁22aに沿って通流する空気は高風速で通流するため、イオンをより一層効率的に空気に含ませることができる。
【0037】
また、イオン発生器5は、空気の通流方向と交差する位置に二つのイオン発生部51,52を配し、空気に初めてイオンを含ませる箇所を多くしてあるため、イオンをより一層効率的に空気に含ませることができる。
【0038】
また、イオン発生器5は、清浄空気の通流方向へ離隔して3個を配し、且つ3個のイオン発生器5を前記通流方向と交差する方向へ相対的に偏倚させ、イオン発生器5夫々のイオン発生部51,52を前記通流方向の重なりがないように配してある。このイオン発生器5の配置により、空気に初めてイオンを含ませる箇所を多くし、イオン発生器5夫々のイオン発生部51,52が発生したプラスイオンと、マイナスイオンとが打ち消されるのを防ぐようにしてある。因って、ケーシング22を大形にすることなく、イオンをより一層効率的に空気に含ませることができる。
【0039】
以上のように層流に通流する空気に含ませたプラスイオン及びマイナスイオンは、空気がケーシング22の吹出口22bからダクト4内へ吹出される際に混じり合う。
【0040】
ダクト4は、一側壁4a、後壁4c及び前壁4dに沿って空気を層流に通流させるように構成されており、この層流に通流させる前壁4dにイオン発生部51,52を配してある。因って、送風機2のケーシング22内でプラスイオン及びマイナスイオンを含ませてある空気に、さらにダクト4に配してあるイオン発生部51,52が発生したプラスイオン及びマイナスイオンを含ませることができ、空気中のイオン量を増すことができる。
【0041】
図5は室内の床に据えられた本発明に係る空気清浄装置の放出口から吹出された空気を室内で測定する見取図である。表1は室内でのイオン量を測定した結果を示すデータである。イオン発生器を備える従来の空気清浄装置と、本発明に係る空気清浄装置との室内A〜E点でのイオン量を測定したところ、表1に示す結果が得られた。図5において、室内は、5.1m×5.7mの床面積であり、空気清浄装置は5.7m側の一の壁に対し0.3m離隔した床に据えてある。また、測定点Aは室内の5.1m側の一の壁に対し0.1m離隔した箇所で、5.7m側の1,3,5点の箇所である。測定点Cは室内の5.1m側の中央で、5.7m側の1,3,5点の箇所である。測定点Eは室内の5.1m側の他の壁に対し0.1m離隔した箇所で、5.7m側の1,3,5点の箇所である。また、測定時間は吹出開始から20分間、イオン量は空気中のプラスイオン数(個/cm3)、マイナスイオン数(個/cm3)である。
【0042】
【表1】

【0043】
表1の測定結果により、測定点平均の除菌イオン量は39,611(個/cm3 )、増加率は154%であり、室内へ放出されたイオン量を多くすることができることを実証することができた。
また、従来から正イオンH+ (H2 O)m(mは任意の整数)、負イオンO2 - (H2 O)n(nは任意の整数)を空気中に送出し、イオンの反応によって浮遊細菌等を殺菌することは知られていた。しかし、前記イオンは各々が再結合して消滅するため、イオン発生素子の極近傍では高濃度が実現できても、送出する距離が遠くなればなるほど急激にその濃度が減少してしまっていた。従って、実験装置のような小容量の空間ではイオン濃度を数万個/cm3 とすることが出来ても、実際の居住空間や作業空間等の大きな空間ではせいぜい2〜3,000個/cm3 の濃度とするのが限度であった。
一方発明者らは、実験室レベルで前記イオン濃度が7000個/cm3 の時には、トリインフルエンザウイルスが10分間で99%、50,000個/cm3 においては99.9%除去できることを発見した。双方の除去率が持つ意味は、空気中に1,000個/cm3のウイルスが存在したと仮定すると、各々10個/cm3 及び1個/cm3 が残留することを示す。つまり、イオン濃度を7,000個/cm3 から50,000個/cm3 に高めることによって、残留するウイルスが1/10になるのである。
このことから、人などが生活する居住空間や作業空間において、高濃度のイオンを送出するだけではなく、空間全体にイオン濃度を高濃度にすることが感染症予防や環境浄化において非常に重要なことであることがわかる。
【0044】
尚、以上説明した実施例の形態では、空気の通流が層流となる層流部Fを有するケーシングの円弧形誘導壁22aに3個のイオン発生器5を配し、空気の通流が層流となる層流部Fを有するダクト4の前壁4dに1個のイオン発生器5を配してある。その他、イオン発生器5は空気の通流が層流となるようになしてある層流部Fに配する構成であればよく、イオン発生器5を配する箇所は特に制限されない。例えば、吹出口22bの円弧形誘導壁22aに連なる箇所、及び円弧形誘導壁22a、ダクト4の前壁4dの少なくとも1箇所に配する構成とする。
【符号の説明】
【0045】
1 ハウジング
11 吸込口
12 放出口
2 送風機
21 羽根車
22 ケーシング
22a 円弧形誘導壁
22b 吹出口
3 フィルタ
4 ダクト
5 イオン発生器
51,52 イオン発生部
53 保持体
F 層流部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸込口及び放出口を有するハウジングと、該ハウジング内に収容されている送風機と、該送風機が前記吸込口から吸込む空気を通過させるフィルタと、イオンを発生させるイオン発生部とを備え、該イオン発生部が発生したイオンを、前記送風機により吸込まれた空気とともに前記放出口から放出するようになしてある空気清浄装置において、前記イオン発生部は、前記空気の通流が層流となる層流部に配してあることを特徴とするイオン発生装置。
【請求項2】
前記送風機は羽根車を有し、該羽根車の回転により発生する気流を整風する整風体を備え、該整風体に前記イオン発生部を配してある請求項1記載のイオン発生装置。
【請求項3】
前記送風機は、羽根車及び該羽根車を収容してあるケーシングを有し、該ケーシング及び前記放出口の間に配され、前記空気を前記放出口へ通流させる通流路を有し、該通流路及び前記ケーシングに前記イオン発生部を配してある請求項1記載のイオン発生装置。
【請求項4】
前記ケーシングは、前記羽根車の回転により発生する気流を誘導する円弧形誘導壁及び該円弧形誘導壁の一部から円弧形誘導壁の接線方向一方へ開放されている吹出口を有し、前記円弧形誘導壁に前記イオン発生部を配してある請求項3記載のイオン発生装置。
【請求項5】
前記イオン発生部は、前記空気が通流する通流方向と交差する方向に離隔して複数配してある請求項1から4のいずれか一つに記載のイオン発生装置。
【請求項6】
前記イオン発生部は、前記通流方向へ離隔し、且つ前記通流方向と交差する方向へ相対的に偏倚した位置に複数配してある請求項1から4のいずれか一つに記載のイオン発生装置。
【請求項7】
前記イオン発生部夫々は、前記通流方向の重なりがないように配してある請求項6記載のイオン発生装置。
【請求項8】
前記イオン発生部夫々を保持する保持体を有し、該保持体は、前記通流方向へ湾曲し、且つ前記イオン発生部夫々に対応する箇所が開口している湾曲面を有し、該湾曲面の前記開口に前記イオン発生部夫々を配してある請求項7記載のイオン発生装置。
【請求項9】
請求項1から8までのいずれか一つに記載のイオン発生装置を備える空気清浄装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−75664(P2010−75664A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−100125(P2009−100125)
【出願日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【特許番号】特許第4406673号(P4406673)
【特許公報発行日】平成22年2月3日(2010.2.3)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】