説明

イオン選択性単電極複合体、その製造方法、およびイオン活量測定器具

【課題】 製造工程が簡略化され、製造コストが低減されたイオン選択性電極、その製造方法、およびそれを用いたイオン活量測定器具を提供する。
【解決手段】 金属銀層、ハロゲン化銀層、電解質層、そしてイオン選択性膜がこの順に積層された電極積層体、そして電極積層体の金属銀層に電気的に接続された状態で隣接し、表面に金属銀露出面を有する電気的接続端子層から構成されているイオン選択性単電極が複数個、共通の非導電性支持体の上に、互いに電気的に絶縁された状態で、各イオン選択性単電極の電極積層体と電気的接続端子層とが直列状態となるように順次隣接して配置したイオン選択性単電極複合体、そしてこの構成の変形。上記のイオン選択性単電極複合体は、多数個同時に製造することができる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水性液体、特に血液、尿など体液中の特定イオン種の活量をポテンシオメトリカルに測定するのに適した乾式のイオン選択性電極、その製造方法およびそれを用いた、複数種のイオン種の活量測定のためイオン活量測定器具に関する。
【0002】
【従来の技術】液体(水道水、河川水、下水、産業排水など)や生物体液(血液、尿、唾液など)の中に含まれる特定のイオンの活量(または濃度)を、イオン選択性電極を備えたイオン活量測定器具を用いて測定する方法は既に知られている。
【0003】イオン活量測定方法には湿式法と乾式法とがあり、湿式法では一般に、電極内部に標準液を有する針状のバレル型電極を用いるが、電極の保守、洗浄、コンディショニング、寿命、破損などの点で電極の管理が厄介であり、また針状のバレル型電極を試料液に浸漬して測定するために数百μL以上もの試料液を必要とするなどの欠点がある。
【0004】このような不便を排除するために、フィルム状のイオン選択性電極が内部に組み込まれたイオン活量測定器具を用いる乾式法が提案され、これまでに既に利用されている。イオン活量測定器具は、水性液体、特に血液、尿、唾液などの生物体液を液滴量用いて、その中に含まれる特定イオン種の活量(濃度)をポテンシオメトリカルに測定するための測定器具であり、その基本的構成については既に特公平3−54788号公報および同4−50530号公報などに記載されていて周知である。
【0005】添付図面の第1図に、一般的なイオン活量測定器具の構成と、その製造方法を示す。すなわち、イオン活量測定器具は、非導電性支持体11、導電性金属の層(例えば、銀層)12a、12b、該金属の水不溶性塩を含む層(例えば、塩化銀層)13a、13b、該水不溶性塩の陰イオンと同じ陰イオンと陽イオン(例えば、カリウムイオン、ナトリウムイオン)との電解質塩(例えば、塩化カリウム、塩化ナトリウム)とバインダーとを含む電解質層14、およびイオン選択性膜15がこの順に一体化された基本構成を有する一対の単電極フィルムの上に、試料液(被検液)と標準液(参照液)を付与するための開口部17a、17bを有する非導電性部材16と、両液を電気的に導通させるためのブリッジ(架橋部材)18を備えたものである。導電性金属の層12a、12bは、切り込み部21により電気的に接触しないように互いに分離され、そして各導電性金属層の端部は、発生する電位の測定に用いる電位差計19の電気端子の接触が可能なように、露出して電極端子面10a、10bを形成している。
【0006】上記の構成のイオン活量測定器具の導電性金属層12a、12bの端部に電位差計19を接続した後、被検液と参照液をそれぞれ、開口部17a、17bより各電極フィルムの上に点着し、発生する電位差を測定することにより、試料液中の特定イオン種の活量を求めることができる。
【0007】イオン選択性電極は、イオン選択性膜の種類を変えることにより、水素イオン(H+)、リチウムイオン(Li+)、ナトリウムイオン(Na+)、カリウムイオン(K+)、マグネシウムイオン(Mg2+)、カルシウムイオン(Ca2+)、塩素イオン(Cl-)、炭酸水素イオン(HCO3-)、炭酸イオン(CO32-)など各種のイオン種の活量を測定することができる。
【0008】上記の構成のイオン活量測定器具の代表的な製造方法の工程を順を追って第2図に示す。
(1)イオン活量測定器具製造に際しては、先ず、テープ状の非導電性支持体11の表面に金属銀層12を備えた金属銀層付きテープを有するを用意する。この金属銀層付きテープは通常、ポリマー材料からなる長尺状シートの表面に銀を蒸着させて蒸着シートを作成し、次いでその蒸着シートをテープ状にスリットすることにより製造する。
(2)次いで、金属銀層付きテープの金属銀層12の両側端部表面のそれぞれに、テープ長手方向に沿って、ポリマー溶液を塗布し、乾燥して、剥離可能な部分被覆層20a、20bを形成する。また、その部分被覆層の形成の前、あるいは後にテープの中心線に沿って金属銀層12の表面側から支持体11の表面層にまで到達するV型の切り込み21を入れて、金属銀層12を、互いに電気的に絶縁された金属銀層12aと金属銀層12bとに分離する。
【0009】(3)次に、金属銀層12a、12bを塩素イオンを含有する酸化剤溶液に接触させて、それぞれの表面に塩化銀層13a、13bを形成させる。
(4)次いで、塩化銀層13a、13bとV型切り込み21の表面を被覆するように電解質溶液を塗布し、乾燥して、電解質層14を形成させる。
(5)次に、金属銀層12a、12bの表面から、部分被覆層20a、20bを剥離させて電極端子面10a、10bを露出させ、続いて電解質層14の表面に、イオン選択性化合物を含む溶液を塗布し、乾燥してイオン選択性膜15を形成する。
(6)最後に、イオン選択性膜15の上に、金属銀層12a、12bのそれぞれに対応する位置に開口部17a、17bを有する非導電性部材16を載せ、それぞれの開口部に点着される試料液(被検液)と参照液(標準液)を電気的に導通させるためのブリッジ(架橋部材)18を配置する。ブリッジ18は、予め非導電性部材16に固定しておいてもよい。すなわち、上記の方法に代表される方法により第1図の構成のイオン活量測定器具が得られる。
【0010】上述したように、イオン選択性電極を用いる乾式のイオン活量測定器具は基本的には単純な構成からなる微小なチップであるので、試料液の必要量が極めて少なくて済み、従って血液などのように試料液の量に制限がある場合のイオン種の測定に非常に有用である。さらに、このように単純かつ微小な構成のイオン活量測定器具は、電位差測定機とは独立に取り扱うことができるとの利点もある。
【0011】一方、イオン活量測定装置に複数対のイオン活量測定器具を組み込んで、被検液と参照液をそれぞれ一回あるいは複数回付与することにより複数のイオン種の活量を同時に測定できるようにした複合型(ワンチップ型)のイオン活量測定装置も知られており、例えば特公平3−70780号公報および同5−56819号公報に記載されている。
【0012】複合型のイオン活量測定装置を得るためには、複数の異なるイオン選択性電極を備えた測定器具が必要であり、そのような複数の異なるイオン選択性電極を備えた測定器具を製造しようとする場合には、各イオン選択性電極を別個に製造するか、あるいはイオン選択性膜形成のための塗布操作をその種類の数だけ独立に繰り返すことが行なわれており、製造工程が煩雑となっている。また、電極対の数が多くなるほど、測定器具製造のための組み込み工程で位置合せなどの複雑な操作が必要となる。
【0013】さらに、イオン選択性膜の材料は高価なものであるが、上記のようにイオン選択性膜は、一対の金属銀層(電極層)を覆う電解質層の表面全体に塗布により形成され、そして製造時のハンドリング性、塗布精度、および測定時における被検液と参照液の保持性(被検液と参照液が混り合うことなく保持され、かつ架橋部材によって液絡が充分に形成されなければならない)などの理由から、一対の電極に対して長さ約20〜30mm、幅約10〜20mmの大きさで設けられている。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、複数種のイオン種の活量測定のためイオン活量測定器具を構成するために有利に用いられるイオン選択性単電極複合体、その製造方法、そしてイオン活量測定器具を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】[第一の態様]本発明は、金属銀層、ハロゲン化銀層、電解質層、そしてイオン選択性膜がこの順に積層されてなる電極積層体、そして該電極積層体の金属銀層に電気的に接続された状態で隣接し、表面に金属銀露出面を有する電気的接続端子層から構成されているイオン選択性単電極が複数個、共通の非導電性支持体の上に、互いに電気的に絶縁された状態で、各イオン選択性単電極の電極積層体と電気的接続端子層とが直列状態となるように順次隣接して配置されていることを特徴とするイオン選択性単電極複合体にある。
【0016】上記の本発明のイオン選択性単電極複合体において、複数個のイオン選択性単電極は、それぞれ互いに異なるイオン種に選択的に電位応答するイオン選択性単電極であることが好ましい。
【0017】上記の本発明のイオン選択性単電極複合体では、イオン選択性単電極が三個以上配置され、それらの内の少なくとも一個のイオン選択性電極の電極積層体が、隣接するイオン選択性単電極の電気的接続端子層と、電気的に絶縁された状態を保ちながら配置されており、また該イオン選択性単電極の電気的接続端子層が、隣接するイオン選択性単電極の電極積層体と、電気的に絶縁された状態を保ちながら配置されている構成をとることが好ましい。また、複数個のイオン選択性単電極の間の電気的な絶縁状態は、各単電極の間に充填された電解質層により実現されていることが好ましい。
【0018】上記の本発明のイオン選択性単電極複合体は下記の方法を利用することにより有利に製造することができる。
1)表面に金属銀層を有する長尺状非導電性シートの長さ方向に沿って、金属銀層の表面から非導電性シートの表面層にまで到達する直線状の切り込みを二箇所以上形成すると共に、該切り込みに沿う位置に、帯状のポリマー層を金属銀層の表面の一部を露出させた状態にて被覆するように設ける工程;
2)金属銀層の露出表面をハロゲン化して、該表面にハロゲン化銀層を形成させる工程;
3)該ハロゲン化銀層とポリマー層の表面に電解質材料を塗布して、それぞれの表面を電解質層で被覆する工程;
4)金属銀層の表面から、ポリマー層を、該ポリマー層の上部を被覆している電解質層と共に剥がし取る工程;
5)ハロゲン化銀層を被覆している電解質層の表面にイオン選択性膜を塗布形成する工程;そして、6)上記の工程を経た長尺状非導電性シートを幅方向に裁断する工程。
【0019】本発明はまた、複数個のイオン選択性単電極を、それぞれ互いに異なるイオン種に選択的に電位応答するイオン選択性単電極とした以外は、互いに同一の構成を有する本発明のイオン選択性単電極複合体を二個、電気的に絶縁させた状態で隣接配置し、各複合体の互いに同一のイオン種に電位応答するイオン選択性単電極のイオン選択性膜の上部に、それぞれのイオン選択性膜の表面に電解質含有水溶液を接触させた場合に各イオン選択性膜の間の電気的な接続を可能にするブリッジを配置してなる、複数種のイオン種の活量測定のためのイオン活量測定器具にある。
【0020】[第二の態様]本発明はさらに、金属銀層、ハロゲン化銀層、電解質層、そしてイオン選択性膜がこの順に積層されてなる単電極積層体が複数個、各単電極積層体の金属銀層が互いに電気的に接続された状態で直列的に配置され、かつ、それらの単電極積層体の少なくとも一つに、表面に金属銀露出面を有する電気的接続端子層が該単電極積層体の金属銀層と電気的に接続された状態で接続されていて、各単電極積層体と電気的接続端子層とが、共通の非導電性支持体の上に直列状態となるように順次隣接して配置されていることを特徴とするイオン選択性単電極複合体にもある。
【0021】上記の本発明の複数個の単電極積層体は、それぞれ互いに異なるイオン種に選択的に応答するイオン選択膜が積層された構成を有することが好ましい。
【0022】また、上記の本発明の複数個の単電極積層体では、電気的接続端子層が共通の非導電性支持体の一方の端部側に配置されていることが好ましい。
【0023】上記の本発明のイオン選択性単電極複合体は下記の方法により有利に製造することができる。
1)表面に金属銀層を有する長尺状非導電性シートの長さ方向に沿って、帯状のポリマー層を金属銀層の表面の一部を露出させた状態にて被覆するように設ける工程;
2)金属銀層の露出表面をハロゲン化して、該表面にハロゲン化銀層を形成させる工程;
3)該ハロゲン化銀層とポリマー層の表面に電解質材料を塗布して、それぞれの表面を電解質層で被覆する工程;
4)金属銀層の表面から、ポリマー層を、該ポリマー層の上部を被覆している電解質層と共に剥がし取る工程;
5)ハロゲン化銀層を被覆している電解質層の表面に二以上のイオン選択性膜を互いに接触させないようにして塗布形成する工程;そして、6)上記の工程を経た長尺状非導電性シートを幅方向に裁断する工程。
【0024】本発明はまた、複数個のイオン選択性単電極を、それぞれ互いに異なるイオン種に選択的に電位応答するイオン選択性単電極とした以外は、互いに同一の構成を有する上記のイオン選択性単電極複合体を二個、電気的に絶縁させた状態で隣接配置し、各複合体の互いに同一のイオン種に電位応答するイオン選択性単電極のイオン選択性膜の上部に、それぞれのイオン選択性膜の表面に電解質含有水溶液を接触させた場合に各イオン選択性膜の間の電気的な接続を可能にするブリッジを配置してなる、複数種のイオン種の活量測定のためのイオン活量測定器具にもある。
【0025】
【発明の実施の形態】本発明のイオン選択性単電極複合体、その製造法、そして複数種のイオン種の活量測定のためのイオン活量測定器具について、第一の態様、ついで第二の態様の順に、次に詳しく説明する。
【0026】[第一の態様]第3図に、本発明の第一の態様の、複数種のイオン種の活量測定のためのイオン活量測定器具に電位測定用メータが組込まれたイオン活量測定装置の斜視図を示す。この測定装置は、例えば、ナトリウム(Na)イオン、カリウム(K)イオン、そして塩素(Cl)イオンの合計三種のイオンを並行して、ほぼ同時に測定することができるイオン活量測定装置である。
【0027】すなわち、第3図のイオン活量測定装置は、金属銀層112a、112b、112c、ハロゲン化銀層113a、113b、113c、電解質層114a、114b、114c、そしてイオン選択性膜115a、115b、115cがこの順に積層されてなる電極積層体、そして該電極積層体の金属銀層に電気的に接続された状態で隣接し、表面に金属銀露出面を有する電気的接続端子層110a、110b、110cから構成されている、イオン選択性単電極が三個(それぞれが、ナトリウムイオン選択性単電極、カリウムイオン選択性単電極、塩素イオン選択性単電極)、共通の非導電性支持体111の上に、V型の切り込みにより互いに電気的に絶縁された状態で、各イオン選択性単電極の電極積層体と電気的接続端子層とが直列状態となるように順次隣接して配置されているイオン選択性単電極複合体(互いに実質的に同一の構成を有するもの)を二個併設して構成したイオン活量測定装置である。
【0028】各イオン選択性単電極複合体のナトリウムイオン選択性単電極、カリウムイオン選択性単電極、そして塩素イオン選択性単電極の各々の電極の上部には、それぞれ、被検液と参照液とを点着するための開口部117aを備えた非導電性部材116a、開口部117bを備えた非導電性部材116b、そして開口部117cを備えた非導電性部材116cが置かれ、また被検液と参照液との点着後の開口部間の電気的な接続を実現するためのブリッジ118a、118b、118cが非導電性部材116a、116b、116cの上に固定されている。
【0029】上記の二個のイオン選択性単電極複合体を併設したイオン活量測定装置は、それぞれ一対のナトリウムイオン選択性単電極、カリウムイオン選択性単電極、塩素イオン選択性単電極が電気的に絶縁された状態で隣接して配置された状態となるため、ナトリウムイオン選択電極対、カリウムイオン選択性電極対、そして塩素イオン選択性電極対をそれぞれ一組づつ備えたイオン活量測定装置として機能する。
【0030】電気的接続端子層110a、110b、110cの表面には、電位差計119a、119b、119cの電気端子が接触しており、ナトリウムイオン選択電極対、カリウムイオン選択性電極対、そして塩素イオン選択性電極対のそれぞれに被検液と参照液とを点着した際に発生する電位を各々独立して測定できるようにされている。
【0031】すなわち、本発明の異種イオン種のイオン活量測定装置は、従来技術において一般的であった、ナトリウムイオン選択電極対、カリウムイオン選択性電極対、そして塩素イオン選択性電極対などの複数の電極対を予め作製し、それらを組合わせて構成した異種イオン種のイオン活量測定装置とは異なり、ナトリウムイオン選択単電極、カリウムイオン選択性単電極、そして塩素イオン選択性単電極などの複数の単電極が一体となったイオン選択性単電極複合体を予め作製して、それらを組合わせることにより、測定装置内で各々のイオン種用の電極対を形成させて構成するものである。
【0032】本発明の異種イオン種のイオン活量測定装置(第一の態様)は、第3図に例示した合計三種のイオン種の測定装置の場合は、互いに同一構成のイオン選択性単電極複合体を一対用意すればよい。この点は、第3図の合計三種のイオン種の測定装置を、第1図に示した従来技術のイオン選択性電極対を用いて作製する場合には、それぞれのイオン種別に三種のイオン選択性電極対を容易しなければならないことを考慮すると非常に有利である。本発明のイオン活量測定装置の有利性は、さらに多数種の異種イオンを同時に測定するためのイオン活量測定装置を製造する場合において、さらに有利となる。
【0033】本発明のイオン選択性単電極複合体(第一の態様)を製造する場合、第4図に示す製造方法を利用することにより、同一構成の多数個のものが比較的単純な工程の組合わせで容易に得られるため好ましい。第4図は、第3図に示した、ナトリウムイオン選択単電極、カリウムイオン選択性単電極、そして塩素イオン選択性単電極の三種類の単電極が一体となったイオン選択性単電極複合体の多数個を連続的に製造する方法を図によって説明するための工程説明図である。
【0034】(1)第3図のイオン選択性単電極複合体の製造に際しては、まず表面に金属銀層112を有する長尺状非導電性シート111を用意する。
(2)次に、長尺状非導電性シート111の長さ方向に沿って、ナイフあるいはレーザ光を利用して、金属銀層の表面から非導電性シートの表面層にまで到達する直線状の二本の切り込み121a、121bを形成すると共に、該切り込みに沿う位置に、帯状のポリマー層(仮被覆層)120a、120b、120cを金属銀層112の表面の一部を露出させた状態にて被覆するように設ける。
【0035】(3)続いて、金属銀層112の露出表面をハロゲン化して、該表面にハロゲン化銀層113a、113b、113cを形成させる。金属銀層の表面ハロゲン化技術は、前述のように、既に公知である。すなわち、例えば、金属銀層とポリマー層とが設けられた長尺状非導電性シートを、酸化作用を有する反応液(例、重クロム酸溶液、PDTA・Fe(III)溶液)に浸漬して、銀層の露出した部分をハロゲン化する方法を利用することができる。あるいは、ハロゲン化銀とバインダーを含む分散液を金属銀層の表面に塗布乾燥することにより、ハロゲン化銀層を形成してもよい。
【0036】(4)次いで、ハロゲン化銀層113a、113b、113cとポリマー層120a、120b、120cの表面に電解質材料を塗布して、それぞれの表面を電解質層114で被覆する。なお、この電解質層は、ハロゲン化銀層113a、113b、113cについて、後に設置するイオン選択膜のイオン感応特性を考慮して、それぞれ異なる電解質層で被覆してもよい。
(5)次に、金属銀層の表面から、ポリマー層120a、120b、120cのそれぞれを、該ポリマー層の上部を被覆している電解質層114と共に剥がし取る。
【0037】(6)続いて、ハロゲン化銀層113a、113b、113cのそれぞれを被覆している電解質層114a、114b、114cの表面に、所定のイオン種に対して感応性を有するイオン選択性膜115a、115b、115cを塗布形成する。
(7)最後に、上記の工程を経た長尺状非導電性シートを幅方向に順次裁断することにより、第4図の(7)に平面図で図示されたイオン選択性単電極複合体が多数個得られる。
【0038】本発明のイオン選択性単電極複合体の製造のための各種材料と技術は、公知の各種材料と技術を利用することができる。そのようなイオン選択性電極の構成、材料および製造法については、例えば特公昭58−4981号、特開昭52−142584号、同57−17852号、同58−211648号、特公平3−52824号、同3−70780号、同4−50530号の各公報;米国特許第4053381号、同第4171246号、同第4214968号の各明細書;および「Research Disclosure」誌報文No.16113(1977年9月号)に詳細に記載されている。
【0039】本発明のイオン選択性単電極複合体は二個1組として、例えば、第3図に示したような並行に配置する構成として異種イオン種のイオン活量を測定するための器具あるいは装置とすることが一般には有利である。この第3図の構成を第5図に平面図として示す。
【0040】ただし、所望により、本発明のイオン選択性単電極複合体は二個1組として、例えば、第6図に示したような長さ方向に直列するように配置構成として異種イオン種のイオン活量を測定するための器具あるいは装置とすることもできる。
【0041】[第二の態様]第7図に、本発明の第二の態様の、複数種のイオン種の活量測定のためのイオン活量測定器具に電位測定用メータが組込まれたイオン活量測定装置の斜視図を示す。この測定装置は、例えば、ナトリウム(Na)イオン、カリウム(K)イオン、そして塩素(Cl)イオンの合計三種のイオン種のうちの任意の一種のイオン種のイオン活量を測定することができるイオン活量測定装置である。ただし、一種のイオン種の測定が終了し、点着した被検液と参照液とが乾燥した後であれば、他のイオン種についてもイオン活量の測定が可能である。
【0042】すなわち、第7図のイオン活量測定装置は、金属銀層212、ハロゲン化銀層213、電解質層214、そしてイオン選択性膜215a、215b、215cがこの順に積層されてなる単電極積層体(それぞれが、ナトリウムイオン選択性単電極、カリウムイオン選択性単電極、塩素イオン選択性単電極)が三個、各単電極積層体の金属銀層212が互いに電気的に接続された状態で直列的に配置され、かつ、それらの単電極積層体の少なくとも一つに、表面に金属銀露出面を有する電気的接続端子層210が該単電極積層体の金属銀層212と電気的に接続された状態で接続されていて、各単電極積層体と電気的接続端子層210とが、共通の非導電性支持体211の上に直列状態となるように順次隣接して配置されているイオン選択性単電極複合体(互いに実質的に同一の構成を有するもの)を二個併設して構成したイオン活量測定装置である。
【0043】各イオン選択性単電極複合体のナトリウムイオン選択性単電極、カリウムイオン選択性単電極、そして塩素イオン選択性単電極の各々の電極の上部には、それぞれ、被検液と参照液とを点着するための開口部217a、217b、217cを備えた非導電性部材216が置かれ、また被検液と参照液との点着後の開口部間の電気的な接続を実現するためのブリッジ218a、218b、218cが非導電性部材116の上に固定されている。
【0044】上記の二個のイオン選択性単電極複合体を併設したイオン活量測定装置は、それぞれ一対のナトリウムイオン選択性単電極、カリウムイオン選択性単電極、塩素イオン選択性単電極が電気的に絶縁された状態で隣接して配置された状態となるため、ナトリウムイオン選択電極対、カリウムイオン選択性電極対、そして塩素イオン選択性電極対をそれぞれ一組づつ備えたイオン活量測定装置として機能する。
【0045】電気的接続端子層210の表面には、電位差計219の電気端子が接触しており、ナトリウムイオン選択電極対、カリウムイオン選択性電極対、そして塩素イオン選択性電極対のいずれかに被検液と参照液とを点着した際に発生する電位を測定できるようにされている。
【0046】すなわち、本発明の異種イオン種のイオン活量測定装置(第二の態様)は、従来技術において一般的であった、ナトリウムイオン選択電極対、カリウムイオン選択性電極対、そして塩素イオン選択性電極対などの複数の電極対を予め作製し、それらを組合わせて構成した異種イオン種のイオン活量測定装置とは異なり、ナトリウムイオン選択単電極、カリウムイオン選択性単電極、そして塩素イオン選択性単電極などの複数の単電極が一体となったイオン選択性単電極複合体を予め作製して、それらを組合わせることにより、測定装置内で各々のイオン種用の電極対を形成させて構成するものである。
【0047】本発明の異種イオン種のイオン活量測定装置は、第7図に例示した合計三種のイオン種の測定装置の場合は、互いに同一構成のイオン選択性単電極複合体を一対用意すればよい。この点は、第7図の合計三種のイオン種の測定装置を、第1図に示した従来技術のイオン選択性電極対を用いて作製する場合には、それぞれのイオン種別に三種のイオン選択性電極対を容易しなければならないことを考慮すると非常に有利である。本発明のイオン活量測定装置の有利性は、さらに多数種の異種イオンの内の所望のイオンを測定するためのイオン活量測定装置を製造する場合において、さらに有利となる。
【0048】本発明のイオン選択性単電極複合体(第二の態様)を製造する場合、第8図に示す製造方法を利用することにより、同一構成の多数個のものが比較的単純な工程の組合わせで容易に得られるため好ましい。第8図は、第7図に示した、ナトリウムイオン選択単電極、カリウムイオン選択性単電極、そして塩素イオン選択性単電極の三種類の単電極が一体となったイオン選択性単電極複合体の多数個を連続的に製造する方法を図によって説明するための工程説明図である。
【0049】(1)第7図のイオン選択性単電極複合体の製造に際しては、まず表面に金属銀層212を有する長尺状非導電性シート211を用意する。
(2)次に、金属銀層212の表面に、長尺状非導電性シートの長さ方向に沿って、帯状のポリマー層220を、金属銀層212の表面の一部を露出させた状態にて被覆するように設ける。
(3)続いて、金属銀層212の露出表面をハロゲン化して、該表面にハロゲン化銀層213を形成させる工程;
【0050】(4)次に、ハロゲン化銀層213とポリマー層220の表面に電解質材料を塗布して、それぞれの表面を電解質層で被覆する。
(5)次いで、金属銀層212の表面から、ポリマー層220を、該ポリマー層の上部を被覆している電解質層214と共に剥がし取る。
【0051】(6)続いて、ハロゲン化銀層213を被覆している電解質層214の表面に所定のイオン種に対して感応性を有するイオン選択性膜215a、215b、215cを互いに接触させないようにして塗布形成する。
(7)最後に、上記の工程を経た長尺状非導電性シートを幅方向に順次裁断することにより、第8図の(7)に平面図で図示されたイオン選択性単電極複合体が多数個得られる。
【0052】本発明のイオン選択性単電極複合体は二個1組として、例えば、第7図に示したような並行に配置する構成として異種イオン種のイオン活量を測定するための器具あるいは装置とすることが一般には有利である。この第7図の構成を第9図に平面図として示す。
【0053】ただし、所望により、本発明のイオン選択性単電極複合体についても、二個1組として、例えば、第10図に示したような長さ方向に直列するように配置構成として異種イオン種のイオン活量を測定するための器具あるいは装置とすることもできる。
【0054】本発明のイオン選択性単電極複合体は、第一の態様のものも、また第二の態様のものも、第3図や第7図に図示した異種イオン種のイオン活量測定装置以外にも、たとえば、イオン選択膜側を下側に向けて配置するなどの、さまざまな公知の任意の異種イオン種のイオン活量測定装置の構成に利用することができることは勿論である。
【0055】
【実施例】[実施例1]長尺状のポリエチレンテレフタレートフィルム(厚み:180μm、長さ:300m、幅1300mm)の上に、真空蒸着により厚み約8000オングスロームの金属銀層(連続蒸着膜、長さ:300m)を形成した。このフィルムを幅24mmにスリット加工した。
【0056】この金属銀層の長さ方向に幅4mm、間隔4mmでストライプ状に三箇所に、剥離可能な皮膜形成性液状レジスト(塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体のトルエン−メチルエチルケトン混合溶剤溶液)を塗布し、乾燥して、厚み30μmのポリマー層を形成した。ポリマー層の左端部を長さ方向にバイトを用いて深さ70μmで溝状に削り取り、互いに絶縁された3つの銀層とした。
【0057】次に、この積層体を酸化ハロゲン化処理液(塩酸60mMと重クロム酸カリウム12mMを含む水溶液)に90秒間浸漬して、接触酸化塩化処理を行った。処理終了後、積層体を水洗、乾燥して、ストライプ状のAg/AgCl電極フィルム(支持体、銀層、塩化銀層からなる積層体)を得た。
【0058】塩化ナトリウム2.975gを、水性有機溶媒42.5g(アセトン2.5gとエタノール20gと水20gの混合溶媒)に溶解して塗布液を調製した。この塗布液を、Ag/AgCl電極フィルムの表面全体に乾燥後の重量が2.2g/m2となるように塗布し、乾燥して、電解質層を形成した。ポリマー層とその上の電解質層を除去して、銀層をストライプ状に露出させた。
【0059】下記の組成からなるナトリウム、カリウムおよび塩素イオン選択性膜形成用塗布液をそれぞれ調製した。
[ナトリウムイオン選択性膜用塗布液の組成]
塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体(VYNS、 ユニオンカーバイド社製) 0.9g フェニルジクレジルホスフェート 1.2g メチルモネンシン 0.1g ナトリウムテトラフェニルボレート 2mg メチルエチルケトン 4g
【0060】
[カリウムイオン選択性膜用塗布液の組成]
VYNS 0.9g アジピン酸ジオクチル 1.2g パリノマイジン 44mg テトラキスパラクロロフェニルホウ酸カリウム 18mg メチルエチルケトン 5g 1%SH510(ポリシロキサン、メチルエチルケトン溶液) 50mg
【0061】
[塩素イオン選択性膜用塗布液の組成]
VYNS 0.9g カポリコート 1.3g ジドデシルフタレート 0.05g 塩化トリオクチルプロピルアンモニウム 0.05g
【0062】これらの塗布液をストライプ状の電解質層の表面に送り速度15m/分で同時に塗布し、乾燥して幅4mmの3種類のイオン選択性膜を形成した。この積層体を4mm間隔で幅方向に切断して、大きさ24mm×4mmの2枚の電極シート(イオン選択性単電極複合体)を得て、これを第3図に示した構成として、Na、KおよびClイオン分析用のワンチップ型イオン活量測定器具を得た。
【0063】
【発明の効果】本発明によれば、一つの工程で複数の異なるイオン選択性膜を同時に塗布形成することにより、一体化された複合型のイオン選択性電極(イオン選択性単電極複合体)を製造することができる。これにより、製造工程を大幅に簡略化することができるとともに、イオン活量測定器具作製の際に位置合せなどの複雑な機構を省くことができる。また、高価なイオン選択性膜を所望の幅で単電極ごとに設けることができるので、イオン選択性膜材料の使用量を減らすことができ、イオン選択電極の製造コストの低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来技術のイオン選択性電極対の構成の例を示す斜視図である。
【図2】第1図のイオン選択性電極対の代表的な製造工程を示す工程図である。
【図3】本発明のイオン選択性単電極複合体(第一の態様)を用いたイオン活量測定器具の構成の例を示す斜視図である。
【図4】第3図に示した本発明の選択性単電極複合体の代表的な製造工程を示す工程図である。
【図5】第3図に示した本発明のイオン活量測定器具(第一の態様)の構成の平面図である。
【図6】本発明のイオン選択性単電極複合体(第一の態様)を用いたイオン活量測定器具の構成の別の例を示す平面図である。
【図7】本発明のイオン選択性単電極複合体(第二の態様)を用いたイオン活量測定器具の構成の例を示す斜視図である。
【図8】第7図に示した本発明の選択性単電極複合体の代表的な製造工程を示す工程図である。
【図9】第7図に示した本発明のイオン活量測定器具(第二の態様)の構成の平面図である。
【図10】本発明のイオン選択性単電極複合体(第二の態様)を用いたイオン活量測定器具の構成の別の例を示す平面図である。
【符号の説明】
10a,10b 電極端子面
11 非導電性支持体
12,12a,12b 金属銀層
13a,13b ハロゲン化銀層
14 電解質層
15 イオン選択性膜
16 非導電性部材
17a,17b 開口部
18 ブリッジ
19 電位差計
20a,20b ポリマー層(仮被覆層)
21 切り込み(電気的絶縁溝)
110a,110b,110c 電極端子面
111 非導電性支持体
112,112a,112b,112c 金属銀層
113a,113b,112c ハロゲン化銀層
114,114a,114b,114c 電解質層
115a,115b,115c イオン選択性膜
116a,116b,116c 非導電性部材
117a,117b,117c 開口部
118a,118b,118c ブリッジ
119a,119b,119c 電位差計
120a,120b,120c ポリマー層(仮被覆層)
121a,121b 切り込み(電気的絶縁溝)
210 電極端子面
211 非導電性支持体
212 金属銀層
213 ハロゲン化銀層
214 電解質層
215a,215b,215c イオン選択性膜
216 非導電性部材
217a,217b,217c 開口部
218a,218b,218c ブリッジ
219 電位差計
220 ポリマー層(仮被覆層)

【特許請求の範囲】
【請求項1】 金属銀層、ハロゲン化銀層、電解質層、そしてイオン選択性膜がこの順に積層されてなる電極積層体、そして該電極積層体の金属銀層に電気的に接続された状態で隣接し、表面に金属銀露出面を有する電気的接続端子層から構成されているイオン選択性単電極が複数個、共通の非導電性支持体の上に、互いに電気的に絶縁された状態で、各イオン選択性単電極の電極積層体と電気的接続端子層とが直列状態となるように順次隣接して配置されていることを特徴とするイオン選択性単電極複合体。
【請求項2】 複数個のイオン選択性単電極が、それぞれ互いに異なるイオン種に選択的に電位応答するイオン選択性単電極であることを特徴とする請求項1に記載のイオン選択性単電極複合体。
【請求項3】 イオン選択性単電極が三個以上配置され、それらの内の少なくとも一個のイオン選択性電極の電極積層体が、隣接するイオン選択性単電極の電気的接続端子層と、電気的に絶縁された状態を保ちながら配置されており、また該イオン選択性単電極の電気的接続端子層が、隣接するイオン選択性単電極の電極積層体と、電気的に絶縁された状態を保ちながら配置されていることを特徴とする請求項1もしくは2に記載のイオン選択性単電極複合体。
【請求項4】 複数個のイオン選択性単電極の間の電気的な絶縁状態が、各単電極の間に充填された電解質層により実現されている請求項1乃至3のうちのいずれかの項に記載のイオン選択性単電極複合体。
【請求項5】 下記の工程を含む請求項1に記載のイオン選択性単電極複合体の製造方法:表面に金属銀層を有する長尺状非導電性シートの長さ方向に沿って、金属銀層の表面から非導電性シートの表面層にまで到達する直線状の切り込みを二箇所以上形成すると共に、該切り込みに沿う位置に、帯状のポリマー層を金属銀層の表面の一部を露出させた状態にて被覆するように設ける工程;金属銀層の露出表面をハロゲン化して、該表面にハロゲン化銀層を形成させる工程;該ハロゲン化銀層とポリマー層の表面に電解質材料を塗布して、それぞれの表面を電解質層で被覆する工程;金属銀層の表面から、ポリマー層を、該ポリマー層の上部を被覆している電解質層と共に剥がし取る工程;ハロゲン化銀層を被覆している電解質層の表面にイオン選択性膜を塗布形成する工程;そして、上記の工程を経た長尺状非導電性シートを幅方向に裁断する工程。
【請求項6】 互いに同一の構成を有する請求項2に記載のイオン選択性単電極複合体を二個、電気的に絶縁させた状態で隣接配置し、各複合体の互いに同一のイオン種に電位応答するイオン選択性単電極のイオン選択性膜の上部に、それぞれのイオン選択性膜の表面に電解質含有水溶液を接触させた場合に各イオン選択性膜の間の電気的な接続を可能にするブリッジを配置してなる、複数種のイオン種の活量測定のためのイオン活量測定器具。
【請求項7】 金属銀層、ハロゲン化銀層、電解質層、そしてイオン選択性膜がこの順に積層されてなる単電極積層体が複数個、各単電極積層体の金属銀層が互いに電気的に接続された状態で直列的に配置され、かつ、それらの単電極積層体の少なくとも一つに、表面に金属銀露出面を有する電気的接続端子層が該単電極積層体の金属銀層と電気的に接続された状態で接続されていて、各単電極積層体と電気的接続端子層とが、共通の非導電性支持体の上に直列状態となるように順次隣接して配置されていることを特徴とするイオン選択性単電極複合体。
【請求項8】 複数個の単電極積層体が、それぞれ互いに異なるイオン種に選択的に応答するイオン選択膜が積層された構成を有することを特徴とする請求項7に記載のイオン選択性単電極複合体。
【請求項9】 電気的接続端子層が共通の非導電性支持体の一方の端部側に配置されていることを特徴とする請求項7もしくは8に記載のイオン選択性単電極複合体。
【請求項10】 下記の工程を含む請求項7に記載のイオン選択性単電極複合体の製造方法:表面に金属銀層を有する長尺状非導電性シートの長さ方向に沿って、帯状のポリマー層を金属銀層の表面の一部を露出させた状態にて被覆するように設ける工程;金属銀層の露出表面をハロゲン化して、該表面にハロゲン化銀層を形成させる工程;該ハロゲン化銀層とポリマー層の表面に電解質材料を塗布して、それぞれの表面を電解質層で被覆する工程;金属銀層の表面から、ポリマー層を、該ポリマー層の上部を被覆している電解質層と共に剥がし取る工程;ハロゲン化銀層を被覆している電解質層の表面に二以上のイオン選択性膜を互いに接触させないようにして塗布形成する工程;そして、上記の工程を経た長尺状非導電性シートを幅方向に裁断する工程。
【請求項11】 互いに同一の構成を有する請求項8に記載のイオン選択性単電極複合体を二個、電気的に絶縁させた状態で隣接配置し、各複合体の互いに同一のイオン種に電位応答するイオン選択性単電極のイオン選択性膜の上部に、それぞれのイオン選択性膜の表面に電解質含有水溶液を接触させた場合に各イオン選択性膜の間の電気的な接続を可能にするブリッジを配置してなる、複数種のイオン種の活量測定のためのイオン活量測定器具。

【図1】
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【図3】
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【図10】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図9】
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【図8】
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【公開番号】特開2002−122563(P2002−122563A)
【公開日】平成14年4月26日(2002.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2000−316977(P2000−316977)
【出願日】平成12年10月17日(2000.10.17)
【出願人】(000005201)富士写真フイルム株式会社 (7,609)