説明

イネおよび水生ベースの雑草の選択的防除のためのサクストミンの使用

例えば水田における、広葉、スゲ、およびイネ科植物の雑草に対する、ならびに水生ベースの雑草に対する、イネへの植物毒性のない有効な除草剤としての細菌の二次代謝産物であるサクストミンの使用を記載する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、活性成分としてストレプトマイセス属(Streptomyces sp.)によって生成される環状ジペプチドであるサクストミンを含む化合物を用いた、特にイネの生育システムにおける、広葉、スゲ、およびイネ科植物の雑草、ならびに/あるいは水生ベースの雑草の発芽および生育を防除するための組成物および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
米国では、直播イネは、影響を受けやすい水生生息地において生育する。このため、水田に用いられる除草剤の環境上の安全性についての懸念が高まっており、従来のイネおよび有機イネの生育システムの両方において、より安全でかつより有効なイネ用除草剤の必要がある。水質懸念が原因による生産制限に直面しているカリフォルニアの農業従事者は、他の作物に対する35〜70ドル/エーカーと比較して、除草剤処理に対して150ドル/エーカーの費用を報告している。現在までのところ、有機イネにおける雑草を防除するために利用可能な選択的除草剤はない。有機的に生育させたイネにおける広葉およびイネ科植物の雑草のいずれも、水管理によってのみ防除することができ、ゆえに雑草が原因による有機イネの収穫の損失は50%を上回り得る。
【0003】
天然生成物とは、微生物、植物、および他の生物によって生成される物質である。微生物による天然生成物は、豊富な化学的多様性の供給源を与え、製薬目的のために天然生成物を利用する長い歴史がある。しかしながら、微生物によって生成される二次代謝産物を、農業応用において、雑草および害虫の防除のために上手く使用することもできる。
【0004】
最もよく知られている微生物による天然生成物由来の除草剤は、ホスフィノトリシンの合成型であり、ストレプトマイセス・ビリドクロモゲネス(Streptomyces viridichromogenes)およびストレプトマイセス・ハイグロスコピカス(Streptomyces hygroscopicus)によって生成されるビアラホス(bialophos)の分解産物であるグルホシネートである(Duke,Dayanら,2000)および(Hoagland,2001)。ストレプトマイセス・ハイグロスコピカスの特定株由来のヌクレオチド類似体であるヒダントシジン(Hydantoicidin)は、農薬会社による構造・活性および特許取得の研究の対象であるが、市場に出ている商品はない。(Duke,Dayanら,2000)。担子菌ペシロマイセス・バリオッチ(Paecilomyces variotii)由来の非ノナドリド植物毒素であるコルネキシスチンは、単子葉性および双子葉性の雑草に対して良好な除草活性を有する。それは、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼの少なくとも1種のアイソザイムの阻害剤にインビボで変換される除草剤前駆体(proherbicide)であるように思われる。(Duke,Dayanら,2000)。近年、Dow AgroSciencesは、Mycosynthetix社によって単離された2種の菌類であるフザリウム(Fusarium)属およびノジュリスポリウム(Nodulosporum)属由来の化合物を見出した。広域スペクトルの浸透性(systemic)化合物であるメバロシジン(mevalocidin)は、3〜4週間で雑草を枯殺する(Gerwick,Graupnerら,2005)。
【0005】
サクストミン(4−ニトロインドール−3−イル含有2,5−ジオキソピペラジン)は、ポテト(ジャガイモ(Solanum tuberosum))において赤カビ病を引き起こす植物病原性のストレプトマイセス属(ストレプトマイセス・スカビエス(S.scabies)、ストレプトマイセス・アシディスカビエス(S.acidiscabies))によって生成されるジペプチド植物毒素のファミリーである(King,Lawrenceら,1992)。毒素生成は、病変組織において生じ、かつオートブランを含有する最適生育培地中でインビトロ誘発することもできる(Loria,Bukhalidら,1995;Beausejour,Goyerら,1999)。Kingおよび彼女の共同研究者ら(King,Lawrenceら,2001)は、ストレプトマイセス科のすべての植物病原性種は、除草活性を有する1種以上のサクストミンを生成することを示した。Hiltunenら(Hiltunen,Laaksoら,2006)は、ストレプトマイセス・スカビエスおよびストレプトマイセス・タージディスカビエス(S.turbidiscabies)の培養物から4種のサクストミン類似体(サクストミンA、サクストミンAオルト異性体、サクストミンB、およびサクストミンD)を精製し、かつ4種の化合物すべてが、ポテトの微細繁殖させたインビトロ培養物に対して、新芽および根の生育の低下、根の膨張(10〜200ppbで)、ならびに壊死(200〜1000ppbで)という同様の症状を誘導することを示した。さらに、組み合わせて適用されたサクストミンは、相加的効果を示したが、相乗的ではなかった(Hiltunen,Laaksoら,2006)。Dukeら(Duke,Baersonら,2003)によれば、サクストミンA(図1)およびサクストミンDのいずれも、発芽前および発芽後の非浸透性除草剤として著しい活性を有し、1μM未満の濃度のサクストミンAは、単子葉性および双子葉性の苗において、細胞膨張、壊死、および生育阻害を引き起こす(Healy,Wachら,2000)。サクストミンは、Dow Agro Sciences社によって除草剤として評価されており、活性を有するが、それは浸透性作用に欠けるものであった(King,Lawrenceら,2001)。ジケトピペラジンのL,L−立体配置に必要なインドール環中のニトロ基の存在は、植物毒性の最低要件であると思われる。インドール環中のニトロ基の位置は、非常に部位特異的であり、フェニルアラニンのフェニル部分は、植物毒性の構造的要件において必須の役割を果たす(King,Lawrenceら,1989;King,Lawrenceら,1992;King,Lawrenceら,2003)。除草様式の作用は、細胞壁合成の崩壊に基づくものであり(FryおよびLoria,2002)、セルロース生合成の阻害が主な標的である(Kingら,2001;Duvalら,2005;Johnsonら,2007)。近年、Kangら(Kang,Semonesら,2008)は、水環境における藻類を防除するための殺藻剤としてのサクストミンの使用およびサクストミン組成物を記載している。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、イネの生育システムにおいて最も一般的な雑草に対する、発芽前または発芽後の除草剤としてのサクストミンの使用を開示する。それは、現在市場に出ている合成除草剤に代わるより安全なものとして機能し得る。本発明の第一の目的は、活性成分としてサクストミンを含有する、広葉、スゲ、およびイネ科植物のイネの雑草のいずれにも対する新規な除草剤組成物を提供することである。別の目的は、イネ(オリザ・サティバ(Oryza sativa)L)に害を及ぼさない安全な非毒性の除草剤組成物、および環境に害を及ぼさないであろう方法を提供することである。上記および他の目的を、あるキャリアとともにサクストミンを含有する除草剤組成物に向けられた本発明によって達成して、イネの生態系における雑草の生育を防除する。
【0007】
したがって、本発明は、イネの生育システムにおける単子葉性、双子葉性、およびスゲの雑草の生育を調節するための方法であって、該雑草または該イネの生育システムにおける土壌に、該雑草の生育を調節するのに有効な量のサクストミンを適用する工程を含む方法に向けられている。さらに、本発明は、アマニア属(Ammania sp.)、アリスマ・プランタゴアクアティカ(Alisma plantago−aquatica)、シペルス属(Cyperus sp.)、アゼガヤ属(Leptochloa sp.)からなる群より選択される水生ベースの雑草の生育を調節するための方法であって、該水生ベースの雑草または土壌に、該雑草の該生育を調節するのに有効な量のサクストミンまたはその塩を適用する工程を含む方法に向けられている。
【0008】
特に、本発明は、除草剤として有効な量でのサクストミン、ならびにキャリアおよび/または希釈剤を含む除草剤組成物に向けられており、場合によっては、それを、イネの生育システムにおける単子葉性、双子葉性、およびスゲの雑草の生育を調節する、ならびに/あるいはアマニア属、アリスマ・プランタゴアクアティカ、シペルス属、アゼガヤ属からなる群より選択される水生ベースの雑草の生育を調節するのに用いてよい。特定の実施形態では、組成物は水性組成物である。別の特定の実施形態では、組成物中のサクストミンは、エタノール、イソプロパノールなどの有機溶媒、またはアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどの脂肪族ケトンを含む希釈剤中に溶解している。
【0009】
さらに別の実施形態では、本発明は、単子葉性、双子葉性、およびスゲの雑草の生育を調節するための方法であって、該雑草に、該雑草の生育を調節する量のサクストミンを適用する工程を含む方法に向けられている。特定の実施形態では、サクストミンAを0.05mg/ml〜約0.4mg/mlに及ぶ量で適用する。より特定の実施形態では、オートブラン・ブロス中でのストレプトマイセス・スカビエイー(S.scabiei)の発酵でサクストミンを生成し、部分的に精製したサクストミンAを0.065mg/mLに相当する濃度で適用する。特定の実施形態では、前記雑草の葉、茎、花、群葉、および/または根にサクストミンを適用する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、サクストミンAの構造を示す。
【図2】図2は、種々のサクストミン誘導体の構造を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の詳細な説明
値の範囲が提示されている場合、別様に文脈ではっきりと指示されていない限り下限の単位の10分の1まで、その範囲の上限および下限の間にある各介在値、ならびにその規定範囲にある任意の他の規定値または介在値は、本発明の範囲内に包含されると理解される。これらのより小さな範囲の上限および下限は、規定範囲にある具体的に除外された任意の限度に従って、該より小さな範囲に独立して含まれてよく、かつ本発明の範囲内に包含もされる。規定範囲が限度の一方または両方を含む場合、その含まれた限度のいずれかまたは両方を除外した範囲も本発明に含まれる。
【0012】
別様に定義されていない限り、本明細書において用いられるすべての技術的および科学的用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に記載されているものと同様のまたは同等の任意の方法および材料も、本発明の実践または試験に用いることができるが、好ましい方法および材料をここで記載する。
【0013】
本明細書および添付の特許請求の範囲において使用するとき、単数形には、別様に文脈ではっきりと指示されていない限り、複数形の指示対象が含まれることに留意しなければならない。
【0014】
本発明において利用されるサクストミンを、以下の放線菌培養物:ストレプトマイセス・スカビエス−ATCC49173、ストレプトマイセス・アシディスカビエス−ATCC49003、およびストレプトマイセス・スカビエイー−BL37−EQ−010の発酵に由来するものであってよく、またはそれを商業的供給源から購入することができる。
【0015】
本発明において利用されるサクストミンには、シクロ−(L−4−ニトロトリプトフィル−L−フェニルアラニル)の基本構造を有する環状ジペプチドとして記載される薬剤が含まれるが、これらに限定されない。実施形態では、適切なジケトピペラジン(diketopiperazne)部分は、N−メチル化されていてよく、かつフェニルアラニルαおよび環炭素ヒドロキシル基を担持した同族のものを含んでいてよい。本発明に従った使用のための適切なサクストミンの限定しない例には、サクストミンA、サクストミンAオルト異性体、サクストミンB、およびサクストミンD、ならびにこれらのうちのいずれかの誘導体が含まれるが、これらに限定されない(図2を参照されたい)。化学組成は、
【化1】

[式中、RはメチルまたはHであり、RはヒドロキシまたはHであり、RはメチルまたはHであり、RはヒドロキシまたはHであり、RはヒドロキシまたはHであり、RはヒドロキシまたはHである]、およびそれらの組み合わせを含む。
【0016】
本発明の組成物を、植物に噴霧してもまたは水に適用してもよい。特定の実施形態を以下の実施例に記載する。これらの組成物は、粉末、粗粉末、微小顆粒、顆粒、加湿性粉末、乳化性濃縮物、液体調製物、濃縮懸濁液、水分解性顆粒、または油懸濁液の形態であってよい。
【0017】
本発明の組成物は、キャリアおよび/または希釈剤を含む。本明細書において使用する「キャリア」という用語は、活性成分が混合されている、あるいは処理される植物もしくは他の物体へのその適用、またはその保存、輸送、および/または取り扱いが容易になるように製剤されている、不活性の、有機の、または無機の材料を意味する。発芽後の除草剤のための希釈剤またはキャリアの例には、水、ミルク、エタノール、鉱油、グリセロールが含まれるが、これらに限定されない。
【0018】
組成物は、さらに、乳化、分散、湿潤、拡散、統合、崩壊制御、活性成分の安定化、流動性の改善、またはサビ防止の目的のために用いられる界面活性剤を含んでいてもよい。非イオン性、陰イオン性、両性、および陽イオン性の分散剤および乳化剤などの分散剤および乳化剤の選択、ならびに用いる量は、組成物の性質および本発明の除草剤組成物の分散を促すための薬剤の能力によって決定される。
【0019】
発芽後の製剤に対して、用いられる製剤構成成分は、スメクタイト粘土、アタパルジャイト粘土、および同様の膨潤粘土、キサンタンガム、アラビアガム、および他の増粘多糖類などの増粘剤、ならびに非イオン性界面活性剤(例えば、ポリオキシエチレン(20)モノラウレート)などの分散安定剤を含有していてよい。粘土の濃度は製剤全体の0〜2.5%重量/重量の間で変化してよく、増粘多糖類は製剤全体の0〜0.5%重量/重量の間に及んでよく、かつ界面活性剤は製剤全体の0〜5%重量/重量の間に及んでよい。
【0020】
本発明の組成物および方法を、以下の限定しない実施例においてさらに例証する。実施例は、種々の実施形態を例証するものにすぎず、本明細書に記述されている材料、条件、重量比、プロセスパラメーターに関して、特許請求される発明を限定するものではない。
【実施例】
【0021】
本発明の組成物および方法を、以下の限定しない実施例においてさらに例証する。実施例は、種々の実施形態を例証するものにすぎず、本明細書に記述されている材料、条件、重量比、プロセスパラメーターに関して、特許請求される発明を限定するものではない。
【0022】
実施例1
第一の調査において、海洋放線菌BL37−EQ2−010由来のサクストミンAを、1ヘクタールあたり64〜1000gの活性成分(a.i.)で試験し、アマニア属、Ducksalad、およびタマガヤツリ(Cyperus difformis)の優れた(95〜100%)防除を示した。サクストミンは、試験したすべての割合で、移植イネに対して完全な安全性も示したが、1ヘクタールあたり最高750g a.i.の割合では、直播イネに対するほんのわずかな生育減退が観察された。より高い割合(1ヘクタールあたり500〜1000g a.i.)では、サクストミンAは、イヌビエ(barnyardgrass)に対する中程度の活性とともに、コヒメビエ(Echinochloa colonum)の90〜100%の防除も示した。
【0023】
実施例2
温室条件での第二のポット調査試験において、1ヘクタールあたり500g a.i.でのサクストミンAの処理は、直播イネに対する最小限の生育阻害(15%)とともに、「M202」ジャポニカ型の移植イネに対する優れたイネ選択性と、コナギ(Monochoria vaginalis)、アマニア属、アメリカコナギ(Heteranthera limosa)、タマガヤツリ、ナガボノウルシ(Sphenoclea zeylanica)、アリスマ・プランタゴアクアティカ、およびコゴメガヤツリ(Cyperus iria)の100%の防除を示した。
【0024】
1ヘクタールあたり500g a.i.では、多年生種のデンジソウ(Marsilea quadrifolia)およびシログワイ(Eleocharis dulcis)も、それぞれ70〜85%の中程度から非常に良好な雑草抑制を示した。ヒメカンガレイ(Scirpus mucronatus)の感受性および抵抗性バイオタイプに対する活性は、本調査における他のスゲの雑草に対して観察されたものよりもいくらか弱かった(70〜75%)。
【0025】
1ヘクタールあたり250g a.i.では、サクストミンAは、以前確認されたアマニア属、タマガヤツリ、およびアリスマ・プランタゴアクアティカの抵抗性バイオタイプの95〜100%の防除を示した。サクストミンは、試験した最高率である1ヘクタールあたり1000g a.i.まで、ヒエ属(Echinochloa spp)の大部分に対して弱さを示した。1ヘクタールあたり500g a.i.では、コヒメビエに対して中程度の抑制(60%)が認められた。
【0026】
試験した最高率である1000g a.i.では、サクストミンは、移植イネに対して優れた選択性を示す一方で、抵抗性バイオタイプを含むすべての一年生および多年生の広葉およびスゲの雑草の85〜100%の防除を提供した。直播イネは、この割合で40%の生育阻害を示した。表1に提示した結果は、サクストミンがイネにおける有効な雑草管理ツールであることを示唆している。
【表1】

【0027】
実施例3
広葉、スゲ、およびイネ科植物の雑草に対する、サクストミンAの植物毒性を試験するために、ポット調査を行った。2種の最も一般的な広葉(赤茎;アマニア属、および一般的ウォーター・プランテーン;アリスマ・プランタゴアクアティカ)、スゲ(タマガヤツリ(smallflower umbrella sedge);タマガヤツリ(Cyperus difformis))、およびイネ科植物(アゼガヤ(sprangletop);ニセアゼガヤ(Leptochloa uninervia))の雑草の種子を、それぞれ、重粘土を詰めたプラスチック製のポットに植えた。28℃にて生育用照明(12時間の明/12時間の暗)の下で生育させた1インチ未満の高さの植物に、1mLの溶媒(4%エタノールおよび0.2%非イオン性界面活性剤)あたり0.05、0.1、0.2、および0.4mgのサクストミンAを含有する純粋なサクストミンA溶液を噴霧した。サクストミンAを含まない4%エタノール+0.2%非イオン性界面活性剤の溶液を、コントロール処理として用いた。28℃にて生育用照明の下で沈水させて生育させた3インチの高さのイネ植物に、同じ処理を適用した。異なる粒長および生育期間を示す3種の異なる品種のイネを用いた(S102、M104、M206)。すべての処理を3回反復して適用した。処理した植物を28℃で生育用照明の下に維持し、処理後5、12、および21日目の3つの時点で、植物毒性の目で見える症状および%防除について観察した。
【0028】
植物毒性の症状は、高含量のサクストミンAの溶液で処理した植物において、処理の5日後に目に見えた。異なる濃度のサクストミンを用いて得られた%雑草防除を、表2Aおよび2Bに一覧にする。各評価の時点で、増大する濃度のサクストミンAで処理した3種のイネ栽培品種のいずれにおいても植物毒性は観察されなかった。
【表2】

【表3】

【0029】
0.2mg/mLでのサクストミンAは、イネにおける一般的な広葉雑草の代表としても用いた一般的ウォーター・プランテーン(アリスマ・プランタゴアクアティカ)の完全な防除をもたらした。サクストミンAは、赤茎(アマニア属)およびスゲ(タマガヤツリ)を防除することにおいてわずかに効果が低く、最高濃度(0.4mg/mL)で約75〜80%の防除をもたらした。サクストミンAは、最高濃度(0.4mg/mL)で17%のみの防除という、アゼガヤ(アゼガヤ属)のほんの部分的な防除をもたらした。
【0030】
実施例4
ストレプトマイセス・スカビエイーの株(BL37−EQ2−010)をオートブラン・ブロス中で5日間増殖させた(25℃、200rpm)。4.3μg/mLの濃度のサクストミンAを含む全細胞ブロスを、XAD樹脂を用いて抽出した。乾燥した粗抽出物を4%エタノールおよび0.2%非イオン性界面活性剤中に10mg/mLの濃度で懸濁し、1mLあたりおよそ0.065mgのサクストミンAを含む溶液を、4種の雑草種(赤茎;アマニア属、一般的ウォーター・プランテーン;アリスマ・プランタゴアクアティカ、タマガヤツリ(smallflower umbrella sedge);タマガヤツリ(Cyperus difformis)、およびアゼガヤ;ニセアゼガヤ)に対してそれぞれ3回反復して試験した。処理した植物を、温室で12時間の明/12時間の暗の条件下に維持した。処理後5、12、および21日目の3つの時点における評価からのデータを表3に提示する。
【表4】

【0031】
ストレプトマイセス・アシディスカビエスの細菌培養物由来の抽出物は、カリフォルニアの水田における最も一般的な雑草種の3種に対して、良好な有効性(>70%)を示したようである。この抽出物濃度において、アゼガヤ(ニセアゼガヤ)に対する有効性は満足のいくものではなかった。サクストミン含有抽出物の除草効果は、本調査で試験した任意の他の雑草よりも赤茎に対してより遅いものであった。
【0032】
本発明は、具体的な実施形態に関して記載しているが、種々の同等物、変化、および修正を用いることができ、それでも本発明の範囲内にあることは明白であるため、それらの詳細は限定的なものとして見なされるべきではない。
【0033】
本明細書を通して種々の参考文献が引用されており、そのそれぞれは参照することによりその全体として本明細書に組み入れられている。
【0034】
引用した参考文献:
【表5】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
イネの生育システムにおける単子葉性、双子葉性、およびスゲの雑草の生育を調節するための方法であって、該雑草または該イネの生育システムにおける土壌に、該雑草の生育を調節するのに有効な量のサクストミンを適用する工程を含む、方法。
【請求項2】
アマニア属(Ammania sp.)、アリスマ・プランタゴアクアティカ(Alisma plantago−aquatica)、シペルス属(Cyperus sp.)、アゼガヤ属(Leptochloa sp.)からなる群より選択される水生ベースの雑草の生育を調節するための方法であって、該水生ベースの雑草または土壌に、該雑草の該生育を調節するのに有効な量のサクストミンまたはその塩を適用する工程を含む、方法。
【請求項3】
前記サクストミンが、以下の組成およびそれらの組み合わせを有し、
【化1】

式中、RはメチルまたはHであり、RはヒドロキシまたはHであり、RはメチルまたはHであり、RはヒドロキシまたはHであり、RはヒドロキシまたはHであり、RはヒドロキシまたはHである、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記サクストミンが、サクストミンA、サクストミンAオルト異性体、サクストミンB、またはサクストミンD、あるいはそれらの誘導体である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項5】
イネの生育システムにおける単子葉性および/または双子葉性および/またはスゲの雑草の生育を調節するための、ならびに/あるいはアマニア属、アリスマ・プランタゴアクアティカ、シペルス属、アゼガヤ属からなる群より選択される水生ベースの雑草の生育を調節するための除草剤の製剤におけるサクストミンの使用であって、該水生ベースの雑草に適用する工程を含む、使用。
【請求項6】
場合によってはイネの生育システムにおける単子葉性、双子葉性、およびスゲの雑草の生育を調節することにおける、ならびに/あるいはアマニア属、アリスマ・プランタゴアクアティカ、シペルス属、アゼガヤ属からなる群より選択される水生ベースの雑草の生育を調節することにおける使用のための、サクストミンならびに場合によってはキャリアおよび/または希釈剤を含む除草剤組成物。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2012−524069(P2012−524069A)
【公表日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−505945(P2012−505945)
【出願日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際出願番号】PCT/US2010/031317
【国際公開番号】WO2010/121079
【国際公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【出願人】(510022440)マローネ  バイオ イノベーションズ,インコーポレイテッド (6)
【Fターム(参考)】