説明

イメージセンサユニット、及び、画像読取装置

【課題】漏れ光の発生を防止すると共に、導光体に生じる傷や磨耗等を防止できるイメージセンサユニット、及び、画像読取装置を提供する。
【解決手段】導光体11における第一の入光面100側の端部に凸状の係止爪17を設けると共に、フレーム15に導光体11の係止爪17に係止される凹状の係止部18を設け、導光体11の長手方向における第二の入光面101側の端部を覆う位置に遮光部材16を滑動自在に遊挿される構成とすることにより、雰囲気温度、及び/又は、雰囲気湿度の変動等に起因する伸縮が導光体11の長手方向に生じても第一の入光面100と第一の光源9との間に設けられた第一の間隙A、及び、第二の入光面101と第二の光源10との間に設けられた第二の間隙Bの設計寸法を維持できることから、漏れ光の発生を防止できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明は、密着型イメージセンサユニット、及び、密着型イメージセンサユニットを用いた画像読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光源を導光体の長手方向(主走査方向)における両端部に設置するイメージセンサユニットにおいては、雰囲気温度、及び/又は、雰囲気湿度の変動等によって漏れ光が生じる虞があった。
【0003】
そこで、特許文献1に記載された画像読取装置(イメージセンサ)が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−146870号広報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1記載のイメージセンサは、導光体を覆う導光体カバーを備えることによりイメージセンサが大型化するばかりでなく、導光体カバーを用いないイメージセンサの場合、追加部品が必要となりコストが増大する問題があった。
また、雰囲気温度、及び/又は、雰囲気湿度の変動等による導光体の伸縮時に傷等が発生する虞があった。
【0006】
本発明はかかる実情に鑑みてなされたものであり、イメージセンサユニットを大型化することなく漏れ光の発生を防止すると共に、導光体に生じる傷や磨耗等を防止できるイメージセンサユニット、及び、画像読取装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載のイメージセンサユニットは、光源と、光電変換素子が複数実装されるセンサ基板と、前記光源を長手方向における両端部近傍に備え、前記光源からの光を導光して被照明体を照明する棒状の導光体と、前記センサ基板に被照明体からの反射光を結像する結像素子と、これらを夫々取り付ける支持体とを備えたメージセンサユニットにおいて、前記導光体の一方の端部と前記支持体とが夫々係止する係止手段を有すると共に、前記導光体の他方の端部を覆う遮光部材を有することを特徴とする。
【0008】
請求項4記載のイメージセンサユニットは、光源と、光電変換素子が複数実装されるセンサ基板と、前記光源を長手方向における両端部近傍に備え、前記光源からの光を導光して被照明体を照明する棒状の導光体と、前記センサ基板に被照明体からの反射光を結像する結像素子と、これらを夫々取り付ける支持体とを備えたメージセンサユニットにおいて、前記導光体の略中央部と前記支持体とが夫々係止する係止手段を有すると共に、前記導光体の両端部を覆う遮光部材を夫々有することを特徴とする。
【0009】
請求項9記載の画像読取装置は、光源と、光電変換素子が複数実装されるセンサ基板と、前記光源を長手方向における両端部近傍に備え、前記光源からの光を導光して被照明体を照明する棒状の導光体と、前記センサ基板に被照明体からの反射光を結像する結像素子と、これらを夫々取り付ける支持体とを備えたメージセンサユニットを用いた画像読取装置において、前記導光体の一方の端部と前記支持体とが夫々係止する係止手段を有すると共に、前記導光体の他方の端部を覆う遮光部材を有することを特徴とする。
【0010】
請求項12記載の画像読取装置は、光源と、光電変換素子が複数実装されるセンサ基板と、前記光源を長手方向における両端部近傍に備え、前記光源からの光を導光して被照明体を照明する棒状の導光体と、前記センサ基板に被照明体からの反射光を結像する結像素子と、これらを夫々取り付ける支持体とを備えたメージセンサユニットを用いた画像読取装置において、前記導光体の略中央部と前記支持体とが夫々係止する係止手段を有すると共に、前記導光体の両端部を覆う遮光部材を夫々有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
以上のように、導光体の一方の端部と支持体とが夫々係止する係止手段を有すると共に、導光体の他方の端部を覆う遮光部材を有することにより、雰囲気温度、及び/又は、雰囲気湿度の変動等に起因する伸縮が導光体の長手方向に生じても導光体と光源との間の設計寸法を維持できることから漏れ光の発生を防止できるため、主走査方向の全域に亘って照度特性を安定できる。
【0012】
また、導光体の略中央部と支持体とが夫々係止する係止手段を有すると共に、導光体の両端部を覆う遮光部材を夫々有することにより、雰囲気温度、及び/又は、雰囲気湿度の変動等に起因する伸縮が導光体の長手方向に生じても導光体と光源との間の設計寸法を維持できることから漏れ光の発生を防止できるため、主走査方向の全域に亘って照度特性をより安定できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、本発明を適用できるイメージスキャナーの構造を示す斜視図である。
【図2】図2は、イメージセンサユニット4を示す概略図である。
【図3】図3は、導光体11の副走査方向における断面図である。
【図4】図4は、本発明を適用できる第一の実施形態におけるイメージセンサユニット4の構成を示す斜視図である。
【図5】図5は、第一の実施形態における遮光部材16の詳細な形状を示す斜視図である。
【図6】図6は、本発明を適用できる第一の実施形態におけるイメージセンサユニット4について、第一の間隙A、及び、第二の間隙Bを示した模式図である。
【図7】図7は、従来のイメージセンサユニット4について、第一の間隙A、及び、第二の間隙Bを示した模式図である。
【図8】図8は、本発明を適用できる第二の実施形態におけるイメージセンサユニット4の構成を示す斜視図である。
【図9】図9は、第二の実施形態における遮光部材16の詳細な形状を示す斜視図である。
【図10】図10は、本発明を適用できる第二の実施形態におけるイメージセンサユニット4について、第一の間隙A、及び、第二の間隙Bを示した模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について図面に基づき詳細に説明する。図1は本発明を適用できるフラットベッド方式のスキャナ(画像読取装置)の構造を示す斜視図である。
1は筐体であり、この筐体1には原稿載置部としてのガラス製の透明板からなるプラテンガラス2と、このプラテンガラス2上に載置された図示しない被照明体としての原稿を覆うように開閉自在設けられたプラテンカバー3とが設けられている。
【0015】
また、筐体1の内部には、イメージセンサユニット4が収納されており、イメージセンサユニット4は、例えば、密着型イメージセンサ(CIS;Contact Image Sensor)ユニットである。5はイメージセンサユニット4を囲むように保持する保持部材であり、6は保持部材5をプラテンガラス2に沿って移動可能に設けられたスライドシャフト、7は駆動モータ、8はワイヤである。
【0016】
この構成により、駆動モータ7を駆動して保持部材5に取り付けられたワイヤ8を機械的に動かすことにより、イメージセンサユニット4をスライドシャフト6に沿って読取方向(副走査方向)に移動するものである。
【0017】
図2はイメージセンサユニット4の構造を示す概略図である。
9は原稿照明用の第一の光源であり、この第一の光源9には、例えば、赤緑青(以下、RGBと略す)3色の発光波長を持つLEDからなる発光素子9r、9g、9bが備えられており、これらの発光素子9r、9g、9bを順次点灯駆動することにより光を照射する構成である。
また、10は原稿照明用の第二の光源であり、この第二の光源10には、例えば、赤緑青3色の発光波長を持つLEDからなる発光素子10r、10g、10bが備えられており、これらの発光素子10r、10g、10bを順次点灯駆動することにより光を照射する構成である。
尚、第一の光源9、及び、第二の光源10は白色光源であっても構わない。
【0018】
11は第一の光源9、及び、第二の光源10からの照射光を原稿へと導く棒状(長尺状)の導光体であり、主走査方向において略均等な断面形状を有している。
導光体11は射出成形によって、アクリル等の透明樹脂から成形されるものである。
射出成形とは、ノズルから溶融した樹脂を流入口(ゲート)を通して成形品となる空洞部分へ射出することにより、成形品を成形するものである。
また、導光体11の長手方向の両端部近傍には、第一の間隙A、及び、第二の間隙Bを介して夫々第一の光源9、及び、第二の光源10が配置されている。
【0019】
12は結像素子としてのロッドレンズアレイであり、このロッドレンズアレイ12は、正立等倍結像型レンズ素子が複数配列されたものである。
13はロッドレンズアレイ12にて結像された反射光(原稿画像)を電気信号に変換する光電変換素子であり、14は光電変換素子13(kは1から11の自然数)が実装されたセンサ基板である。
15は構成部材を支持する支持体としてフレームであり、このフレーム15に、第一の光源9、及び、第二の光源10、導光体11、ロッドレンズアレイ12、光電変換素子13の実装されたセンサ基板14等の構成部材が所定の位置関係で夫々取り付け支持される構成である。
尚、本実施形態では、光電変換素子13の数は11個であるが、光電変換素子13の数は特に限定されない。
【0020】
以上の構成により、イメージセンサユニット4はプラテンガラス2の直下の読取位置において、第一の光源9、及び、第二の光源10に設けられた発光素子10r、10g、10bを夫々順次点灯駆動することにより光を照射する。照射された照射光は導光体11を通して原稿の表面に主走査方向においてライン状に略均一に照射される。この照射光は原稿によって反射され、ロッドレンズアレイ12により、センサ基板14上に設けられた光電変換素子13上に集束結像する。反射光は光電変換素子13により電気信号に変換され、図示しない信号処理部により処理される。
【0021】
このようにRGB全ての反射光を1走査ライン分読み取ることで、原稿の主走査方向における1走査ラインの読取動作を終了するものである。
【0022】
1走査ラインの読取動作終了後、イメージセンサユニット4はさらに1走査ライン分副走査方向へ移動しつつ、原稿に照射光を照射しながら同様に1走査ラインの読取動作を行う。この読取動作を繰り返すことで原稿の全面を走査するものである。
【0023】
図3は導光体11の構造を示す側面図である。
導光体11は、例えば、アクリル等の透明な合成樹脂から成形されるものである。
100は長手方向(主走査方向)の一方の側端面に設けられた第一の入光面であり、この第一の入光面100近傍に第一の間隙Aを介して第一の光源9が配置されることにより、第一の光源9からの照射光が入光するものである。
【0024】
101は長手方向における第一の入光面100に対向する他方の側端面に設けられた第二の入光面であり、この第二の入光面101近傍に第二の間隙Bを介して第二の光源10が配置されることにより、第二の光源10からの照射光が入光するものである。
【0025】
102は導光体11の長手方向に沿って設けられた出射面であり、導光体11内で反射・拡散された第一の光源9、及び、第二の光源10からの照射光を原稿の方向へ出射するものである。出射面102は集光効果のため凸状に形成されている。
103は出射面102と対向する面に設けられた反射面であり、この反射面103には、例えば、シルク印刷等による光反射性の塗料からなる図示しない光拡散パターンが形成されている。この光拡散パターンの分布密度は、光源10からの距離に応じて、光源10に近い部分は低密度に、遠方では高密度に配置された構成である。
また、他の面は夫々図示しない反射面である。
【0026】
この構成により、導光体11に設けられた第一の入光面100、及び、第二の入光面101より導光体11内に入光した第一の光源9、及び、第二の光源10からの照射光は、導光体11内にて反射面103、及び、図示しない内面により全反射しながら導光体内を伝搬しつつ、出射面102より出射する。同時に、導光体11内にて反射面103に設けられた光拡散パターンにより拡散しつつ、出射面102より出射することで、原稿に対し主走査方向においてライン状に略均一に照射するものである。
【0027】
この時、第一の光源9からの照射光は、導光体11に設けられた第一の入光面100より導光体11内に入光する光と、導光体11内に入光することなく第一の間隙Aを通って原稿の方向に直接照射する光とで構成される。
また、第二の光源10からの照射光は、導光体11に設けられた第二の入光面101より導光体11内に入光する光と、導光体11内に入光することなく第二の間隙Bを通って原稿の方向に直接照射する光とで構成される。
【0028】
導光体11内に入光することなく原稿の方向に直接照射する光は漏れ光となるが、例えば、図示しない遮光部を備えることにより、間隙部分からの漏れ光を導光体側に戻す、及び/又は、吸収することで漏れ光を防止するものである。
【0029】
(第一の実施形態)
図4は本発明を適用できる第一の実施形態におけるイメージセンサユニット4の構成を示す斜視図、図5は第一の実施形態における遮光部材16の詳細な形状を示す斜視図である。
16は遮光部材であり、全体として導光体11の副走査方向における断面形状と略同一な開口形状を備えることで、導光体11が挿入可能な筒形状に形成されている。
この遮光部材16は、導光体11の長手方向における第二の入光面101側の端部を覆う位置に設けられると共に、図示しない固定方法によりフレーム15に固定されるものである。
【0030】
17は導光体11における長手方向の両端部の内、第一の入光面100側の端部に一体に設けられた凸状の係止爪であり、出射面102と反射面103との間の側面から導光体11の長手方向に対して直交する方向に突出して形成されている。18はフレーム15に設けられた導光体保持部19における長手方向の両端部の内、第二の光源10側の端部に設けられた凹状の係止部である。凸状の係止爪17と凹状の係止部18とを係止することにより、導光体11をフレーム15に設けられた導光体保持部19に位置決めしつつ取り付ける係止手段として作用するものである。これにより、導光体11がフレーム15に取り付けられる際、係止爪17のある側の端部が固定端となり、他方の端部が自由端となるように構成されるものである。
この時、遮光部材16は、導光体11の長手方向における第二の入光面101側の端部を覆う位置に滑動自在に遊挿される構成である。
【0031】
この構成により、導光体11の端部を遮光部材16に収納した場合、遮光部材16は導光体11とフレーム15との間に間挿され、導光体11はその端部周辺において、導光体11と遮光部材16とが空気層Cを介して滑動自在とするものである。
この時、空気層Cにより遮光部材16と導光体11とを密着した場合に生じる密着面での光の吸収がなくなり、遮光部材16に覆われた導光体11の端部における出射面102を反射面として用いることができる。このため、導光体11内部において第二の光源10からの光を効率よく導光可能となる。
尚、係止爪17と係止部18とのガタツキを抑えることで、第一の間隙Aの寸法変動を低減できるため、係止爪17と係止部18との隙間を極力小さくすることが好ましい。
【0032】
また、遮光部材16は、自己潤滑性を有する合成樹脂から形成されるものであり、例えば、超高分子量ポリエチレン、ポリアセタール、ポリアミド、ポリブチレンテレフタレート等から形成される。或いは、自己潤滑性を有する固体潤滑剤を含んだ合成樹脂から形成されたものであり、例えば、フッ素樹脂、二硫化モリブデン等をコーティングした合成樹脂から形成される。
ここで自己潤滑性とは、自身が潤滑性を有することで、他の潤滑剤等を使用することなく摩擦・摩耗を低減できる性質を言うものである。
【0033】
図6における(a)、乃至、(c)は本発明を適用できる第一の実施形態におけるイメージセンサユニット4について、導光体11の長手方向への伸縮による第一の間隙A、及び、第二の間隙Bの寸法変動を示した模式図である。即ち、(a)は導光体1の長手方向への収縮による第一の間隙A、及び、第二の間隙Bの寸法変動を示した模式図、(b)は第一の間隙A、及び、第二の間隙Bを示した模式図、(c)は導光体11の長手方向への伸長による第一の間隙A、及び、第二の間隙Bの寸法変動を示した模式図である。
【0034】
また、図7における(a)、乃至、(c)は従来のイメージセンサユニット4について、導光体11の長手方向への伸縮による第一の間隙A、及び、第二の間隙Bの寸法変動を示した模式図である。即ち、(a)は導光体11の長手方向への収縮による第一の間隙A、及び、第二の間隙Bの寸法変動を示した模式図、(b)は第一の間隙A、及び、第二の間隙Bを示した模式図、(c)は導光体11の長手方向への伸長による第一の間隙A、及び、第二の間隙Bの寸法変動を示した模式図である。
【0035】
図6、及び、図7に示すように、導光体11における第一の入光面100と第一の光源9との間には第一の間隙Aが設けられ、第二の入光面101と第二の光源10と間には第二の間隙B設けられている。また、遮光部材16と導光体11の端部における出射面102との間には空気層Cが設けられている。
【0036】
この構成において、イメージセンサユニット4にあっては、読取動作時には高温になり、停止時には室温付近まで冷却される。このため、雰囲気温度、及び/又は、雰囲気湿度に起因する導光体11の長手方向への伸縮によって第一の間隙A、及び、第二の間隙Bに寸法変動が生じるものである。
これは、一般に、フレーム15の素材としてはポリカーボネートが用いられると共に、導光体11の材料としてはアクリルが用いられることから、フレーム15と導光体11の伸縮率に違いが生じるためである。
【0037】
このため、遮光部材16を用いないイメージセンサユニット4にあっては、導光体11の伸縮により第一の間隙A、及び、第二の間隙Bに寸法変動が生じることから設計寸法を保てなくなるものである。これにより、両端の照度特性が不安定となり、特に、導光体11が収縮した場合、第一の間隙A、及び、第二の間隙Bが広がることから光源で発生した光の一部が漏れ、漏れ光となるものである。
【0038】
一方、本発明を適用できる第一の実施形態におけるイメージセンサユニット4にあっては、導光体11における第一の入光面100側の端部に凸状の係止爪17を設けると共に、フレーム15に導光体11の係止爪17に係止される凹状の係止部18を設ける構成である。これは、導光体11において第一の入光面100側を固定端に、第二の入光面101側を自由端にすることを示している。
さらに、導光体11の長手方向における第二の入光面101側の端部を覆う位置に遮光部材16を滑動自在に遊挿される構成である。
【0039】
この構成により、係止爪17と係止部18との係止位置が固定端となることから、温度、及び/又は、湿度の変動による導光体11の長手方向への伸縮による寸法変動は、係止爪17と係止部18との係止位置を起点として生じることとなるものである。
【0040】
これは、自由端側のみに寸法変動を生じさせることで、第一の入光面100側においては、伸縮による影響を自由端側へ逃がしつつ、固定端側となる第一の間隙Aの寸法変動を無くすことで、設計寸法を維持できることを示している。
また、第二の入光面101側においては、遮光部材16内で自由端側の寸法変動が生じる(自由端側に生じる寸法変動を遮光部材16内に保持できる)ことから、第二の光源10と導光体11に設けられた遮光部材16の端面との第二の間隙Bの寸法変動を無くすことで、実質設計寸法を維持できることを示している。
尚、第二の入光面101側における導光体11端面と遮光部材16端部との内径寸法は、導光体11に対する温度、及び、湿度の変動によって生じる寸法変動による伸縮幅以上としている。
【0041】
尚、幅方向は長手方向に対して十分小さいことから、空気層Cの寸法変動は軽微である。
【0042】
本実施形態では、雰囲気温度、及び/又は、雰囲気湿度の変動等に起因する伸縮が導光体11の長手方向に生じても第一の間隙A、及び、第二の間隙Bの設計寸法を維持できることから、漏れ光の発生を防止でき、第一の入光面100、及び、第二の入光面101近傍の照度を略均一に保つことができるようになる。これにより、主走査方向の全域に亘って照度特性を安定できることから、安定した画像品質が得られるものである。
【0043】
また、遮光部材16を略筒形状とすることにより、導光体11端部の全周を覆うことが可能となるため、遮光効率を向上できる。
【0044】
加えて、遮光部材16と導光体11の間に空気層Cを設けたことにより、遮光部材16と導光体11とを密着した場合に生じる密着面での光の吸収がなくなり、導光体11内部において光を反射できるため、第二の光源10からの光を効率よく導光できる。
また、遮光部材16を滑動自在に遊挿することにより、導光体11が熱膨張・吸湿等により膨張した場合においても遮光部材16と導光体11との接触を低減でき、導光体11に生じる傷や磨耗等を防止できるものである。
【0045】
また、導光体11の端部に遮光部材16を取り付けた状態において、第一の入光面100と遮光部材16端部との内寸を、温度、及び、湿度の変動によって生じる寸法変動による伸縮幅以上としている。このため、雰囲気温度、及び/又は、雰囲気湿度の変動等によって導光体11の長手方向に寸法変動が生じても第二の入光面101と第二の光源10との干渉を回避することができ、破損を防止することができる。
また、導光体11の長手方向における第二の入光面101側の端部を覆う位置に遮光部材16を設けた構造であるため、第一の光源9、及び、第二の光源10に用いるLEDにコスト的にも安価な市販品を用いることが可能となり、コスト低減を図ることができる。
【0046】
さらには、遮光部材16を、例えば、超高分子量ポリエチレン、ポリアセタール、ポリアミド、ポリブチレンテレフタレート等の自己潤滑性を有する合成樹脂から形成することにより、遮光部材16と導光体11との摩擦・磨耗を低減できるものである。これにより、導光体11に生じる傷や磨耗等を防止できる。
また、遮光部材16を、例えば、フッ素樹脂、二硫化モリブデン等をコートすることによる固体潤滑剤を含んだ合成樹脂から形成することにより、コストを押さえつつ、導光体11に生じる傷や磨耗等を防止できる。
【0047】
(第二の実施形態)
図8は本発明を適用できる第二の実施形態におけるイメージセンサユニット4の構成を示す斜視図、図9は第二の実施形態における遮光部材16の詳細な形状を示す斜視図である。
尚、前述した第一の実施形態と同一機能を有する部材については、同一符号を付して説明を省略する。
【0048】
遮光部材16は、第一の遮光部材16a、及び、第二の遮光部材16bとして、イメージセンサユニット4の長手方向における両端部を覆う位置に夫々設けられるものである。
【0049】
17は導光体11における長手方向の略中央部に一体に設けられた凸状の係止爪であり、18はフレーム15に設けられた導光体保持部19における略中央部に設けられた凹状の係止部である。これにより、導光体11がフレーム15に取り付けられる際、係止爪17のある中央部が固定部となり、両端部が自由端となるように構成されるものである。
20は突起であり、第一の遮光部材16a、及び、第二の遮光部材16bの上面に夫々設けられている。
【0050】
突起20の高さは、導光体11をフレーム15に取り付けた際にフレーム15の上面より突出する高さである。
【0051】
この構成において、第一の遮光部材16a、及び、第二の遮光部材16bは、導光体11の長手方向における両端部を覆う位置に夫々空気層Cを介して滑動自在に遊挿される構成である。
【0052】
このため、イメージセンサユニット4を筐体1に収納した場合、第一の遮光部材16a、及び、第二の遮光部材16bはプラテンガラス2とイメージセンサユニット4との間に夫々配設されることになる。
【0053】
この時、イメージセンサユニット4はその上面の両端部において、第一の遮光部材16a、及び、第二の遮光部材16bは突起20を介してプラテンガラス2の下面に当接するものである。
【0054】
これは、第一の遮光部材16a、及び、第二の遮光部材16bにスペーサの機能を持たせることを意味している。
【0055】
尚、突起20の数・形状は本実施形態に限定されるものではない。
【0056】
図10における(a)、乃至、(c)は本発明を適用できる第二の実施形態におけるイメージセンサユニット4について、導光体11の長手方向への伸縮による第一の間隙A、及び、第二の間隙Bの寸法変動を示した模式図である。即ち、(a)は導光体11の長手方向への収縮による第一の間隙A、及び、第二の間隙Bの寸法変動を示した模式図、(b)は第一の間隙A、及び、第二の間隙Bを示した模式図、(c)は導光体11の長手方向への伸長による第一の間隙A、及び、第二の間隙Bの寸法変動を示した模式図である。
【0057】
図10に示すように、導光体11における第一の入光面100と第一の光源9との間には第一の間隙Aが設けられ、第二の入光面101と第二の光源10と間には第二の間隙B設けられている。この時、第一の間隙A、及び、第二の間隙Bは同一間隔である。
【0058】
本発明を適用できる第二の実施形態におけるイメージセンサユニット4にあっては、導光体11における中央部に凸状の係止爪17を設けると共に、フレーム15に導光体11の係止爪17に係止される凹状の係止部18を設ける構成である。これは、導光体11において中央部を固定部に、両端部を自由端にすることを示している。
さらに、導光体11の長手方向における両端部を覆う位置に第一の遮光部材16a、及び、第二の遮光部材16bを夫々滑動自在に遊挿される構成である。
【0059】
この構成により、係止爪17と係止部18との係止位置が固定部となることから、温度、及び/又は、湿度の変動による導光体11の長手方向への伸縮による寸法変動は、係止爪17と係止部18との係止位置を起点として生じることとなるものである。
【0060】
これは、両端に均等に寸法変動を生じさせることで、第一の入光面100、及び、第二の入光面101において、夫々遮光部材16内で寸法変動が生じる(自由端側に生じる寸法変動を第一の遮光部材16a、及び、第二の遮光部材16b内に保持できる)ことから、第一の光源9と導光体11に設けられた第一の遮光部材16aの端面との第一の間隙A、及び、第二の光源10と導光体11に設けられた第二の遮光部材16bの端面との第二の間隙Bの寸法変動を無くすことで、実質設計寸法を維持できることを示している。
尚、第一の入光面100、及び、第二の入光面101における導光体11端面と第一の遮光部材16a、及び、第二の遮光部材16b端部との内径寸法は、導光体11に対する温度、及び、湿度の変動によって生じる寸法変動による伸縮幅以上としている。
【0061】
また、導光体11に生じる伸縮は両端部において分散されることから、夫々の端部に生じる伸縮の幅は導光体11に生じる伸縮の幅の半分となる。このため、一方の端部のみを自由端とした場合と比較し、第一の遮光部材16a、及び、第二の遮光部材16bは主走査方向において短縮できるものである。
【0062】
本実施形態では、雰囲気温度、及び/又は、雰囲気湿度の変動等に起因する伸縮が導光体11の長手方向に生じても第一の間隙A、及び、第二の間隙Bの設計寸法を維持できることから、漏れ光の発生を防止でき、第一の入光面100、及び、第二の入光面101近傍の照度を略均一に保つことができるようになる。これにより、一方の端部のみを自由端とした場合と比較し、導光体11に生じる伸縮は両端部において分散されることから、夫々の端部に生じる伸縮の幅は導光体11に生じる伸縮の幅の半分となる。このため、さらなる雰囲気温度、及び/又は、雰囲気湿度に対応できるようになり、主走査方向の全域に亘って両端の照度特性の均一性を安定できることから、より安定した画像品質が得られるものである。
【0063】
また、第一の遮光部材16a、及び、第二の遮光部材16bを略筒形状とすることにより、導光体11両端部の全周を覆うことが可能となるため、遮光効率をより向上できる。
加えて、第一の遮光部材16a、及び、第二の遮光部材16bと導光体11の間に夫々空気層Cを設けたことにより、第一の遮光部材16a、及び、第二の遮光部材16bと導光体11とを密着した場合に生じる密着面での光の吸収がなくなる。これにより、導光体11内部において光を反射できるため、第一の光源9、及び、第二の光源10からの光をより効率よく導光できる。
また、第一の遮光部材16a、及び、第二の遮光部材16bを夫々滑動自在に遊挿することにより、導光体11が熱膨張・吸湿等により膨張した場合においても第一の遮光部材16a、及び、第二の遮光部材16bと導光体11との接触を低減でき、導光体11に生じる傷や磨耗等を防止できるものである。
【0064】
また、導光体11の両端部に第一の遮光部材16a、及び、第二の遮光部材16bを取り付けた状態において、第一の入光面100と遮光部材16端部との内寸第一の入光面100、及び、第二の入光面101と第一の遮光部材16a、及び、第二の遮光部材16bの夫々の端部との内寸を、温度、及び、湿度の変動によって生じる寸法変動による伸縮幅以上としている。このため、雰囲気温度、及び/又は、雰囲気湿度の変動等によって導光体11の長手方向に寸法変動が生じても第一の入光面101と第一の光源9、及び、第二の入光面101と第二の光源10との干渉を回避することができ、破損を防止することができる。
また、導光体11の長手方向における両端部を覆う位置に第一の遮光部材16a、及び、第二の遮光部材16bを夫々設けた構造であるため、第一の光源9、及び、第二の光源10に用いるLEDにコスト的にも安価な市販品を用いることが可能となり、コスト低減を図ることができる。
【0065】
また、第一の遮光部材16a、及び、第二の遮光部材16bの上面に突起20を設け、導光体11をフレーム15に取り付けた際にフレーム15の上面より突出する高さとしたことにより、第一の遮光部材16a、及び、第二の遮光部材16bにスペーサの機能を持たせることができる。これにより、スペーサを用いることなくプラテンガラス2の下面との接触面積を低減することにより、摩擦抵抗を低減できると共に、接触位置を固定できる。このため、イメージセンサユニット4の動作を安定できるばかりでなく、プラテンガラス2の下面とイメージセンサユニット4との距離を一定にできる。
【0066】
さらに、係止爪17を導光体11における長手方向の略中央部に一体に設けたことにより、係止爪17を射出成形時の樹脂の流入口とすることができる。これにより、導光体11の形成時に導光体11の略中央部を中心として両端方向に均等に樹脂を注入できるようになり成形性を向上できる。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明はイメージスキャナー、ファクシミリ、複写機等の画像読取装置として有効な技術である。
【符号の説明】
【0068】
2 プラテンガラス
4 イメージセンサユニット
9 第一の光源
10 第二の光源
11 導光体
12 ロッドレンズアレイ
13 光電変換素子
14 センサ基板
15 フレーム
16 遮光部材
16a 第一の遮光部材
16b 第二の遮光部材
17 係止爪
18 係止部
20 突起
A 第一の間隙
B 第二の間隙
C 空気層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、
光電変換素子が複数実装されるセンサ基板と、
前記光源を長手方向における両端部近傍に備え、前記光源からの光を導光して被照明体を照明する棒状の導光体と、
前記センサ基板に被照明体からの反射光を結像する結像素子と、
これらを夫々取り付ける支持体と
を備えたメージセンサユニットにおいて、
前記導光体の一方の端部と前記支持体とが夫々係止する係止手段を有すると共に、
前記導光体の他方の端部を覆う遮光部材を有する
ことを特徴とするイメージセンサユニット。
【請求項2】
前記遮光部材は前記導光体の幅方向における断面形状と略同一な開口形状を備える筒形状である
ことを特徴とする請求項1に記載のイメージセンサユニット。
【請求項3】
前記遮光部材と前記導光体との間に空気層を設けた
ことを特徴とする請求項1、又は、2に記載のイメージセンサユニット。
【請求項4】
光源と、
光電変換素子が複数実装されるセンサ基板と、
前記光源を長手方向における両端部近傍に備え、前記光源からの光を導光して被照明体を照明する棒状の導光体と、
前記センサ基板に被照明体からの反射光を結像する結像素子と、
これらを夫々取り付ける支持体と
を備えたメージセンサユニットにおいて、
前記導光体の略中央部と前記支持体とが夫々係止する係止手段を有すると共に、
前記導光体の両端部を覆う遮光部材を夫々有する
ことを特徴とするイメージセンサユニット。
【請求項5】
前記遮光部材は前記導光体の幅方向における断面形状と略同一な開口形状を備える筒形状である
ことを特徴とする請求項4に記載のイメージセンサユニット。
【請求項6】
前記遮光部材は夫々前記遮光部材と前記導光体との間に空気層を設けた
ことを特徴とする請求項4、又は、5に記載のイメージセンサユニット。
【請求項7】
前記遮光部材は、自己潤滑性を有する合成樹脂によって形成される
ことを特徴とする請求項1、乃至6のいずれか1項に記載のイメージセンサユニット。
【請求項8】
前記遮光部材は、固体潤滑剤を含んだ合成樹脂によって形成される
ことを特徴とする請求項1、乃至、6のいずれか1項に記載のイメージセンサユニット。
【請求項9】
光源と、
光電変換素子が複数実装されるセンサ基板と、
前記光源を長手方向における両端部近傍に備え、前記光源からの光を導光して被照明体を照明する棒状の導光体と、
前記センサ基板に被照明体からの反射光を結像する結像素子と、
これらを夫々取り付ける支持体と
を備えたメージセンサユニットを用いた画像読取装置において、
前記導光体の一方の端部と前記支持体とが夫々係止する係止手段を有すると共に、
前記導光体の他方の端部を覆う遮光部材を有する
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項10】
前記遮光部材は前記導光体の幅方向における断面形状と略同一な開口形状を備える筒形状である
ことを特徴とする請求項9に記載の画像読取装置。
【請求項11】
前記遮光部材と前記導光体との間に空気層を設けた
ことを特徴とする請求項9、又は、10に記載の画像読取装置。
【請求項12】
光源と、
光電変換素子が複数実装されるセンサ基板と、
前記光源を長手方向における両端部近傍に備え、前記光源からの光を導光して被照明体を照明する棒状の導光体と、
前記センサ基板に被照明体からの反射光を結像する結像素子と、
これらを夫々取り付ける支持体と
を備えたメージセンサユニットを用いた画像読取装置において、
前記導光体の略中央部と前記支持体とが夫々係止する係止手段を有すると共に、
前記導光体の両端部を覆う遮光部材を夫々有する
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項13】
前記遮光部材は前記導光体の幅方向における断面形状と略同一な開口形状を備える筒形状である
ことを特徴とする請求項12に記載の画像読取装置。
【請求項14】
前記遮光部材は夫々前記遮光部材と前記導光体との間に空気層を設けた
ことを特徴とする請求項12、又は、14に記載の画像読取装置。
【請求項15】
前記遮光部材は、自己潤滑性を有する合成樹脂によって形成される
ことを特徴とする請求項9、乃至、14のいずれか1項に記載の画像読取装置。
【請求項16】
前記遮光部材は、固体潤滑剤を含んだ合成樹脂によって形成される
ことを特徴とする請求項9、乃至、14のいずれか1項に記載の画像読取装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−142738(P2012−142738A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−293227(P2010−293227)
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【出願人】(000104629)キヤノン・コンポーネンツ株式会社 (49)
【Fターム(参考)】