説明

イヤホーン

【課題】イヤホーンの磁気エネルギーに対する利用率を向上する。
【解決手段】外殻と、外殻の中に配置された磁場システム、振動システムと、を含む。前記磁場システムは、磁石とコイルとを含む。前記振動システムは、アーマチュアと、振動膜と、アーマチュアと振動膜を接続するためのリンクロッドとを含み、前記磁石及びコイルの一方はアーマチュアに固定され、他方は外殻に固定され、前記磁石の磁場の極性軸は、コイルが通電後に生じた磁場の極性軸と平行する。前記構成により、磁石とコイルの相対運動方向を、アーマチュアでの作用力の方向と一致させることにより、振動偏差を有効に回避可能であり、磁場の利用率が向上され、音の歪みを制御するには役立つ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イヤピースの分野に属し、特にイヤホーンに関する。
【背景技術】
【0002】
図1は従来のイヤホーンの磁場モデルを示す図である。前記磁場モデルは、バランスド・アーマチュア11’、磁石12’及びコイル13’を含んでいる。バランスド・アーマチュア11’は、固定部分112’と延出部分114’とを含み、固定部分112’はバランスド・アーマチュア11’全体を位置決めるように外殻(図に示していない)に貼り付けられている。延出部分114’は振動に用いられ、リンクロッドにより振動を振動膜(図に示していない)に伝える。磁石12’は平行に配置された二つの磁石122’、124’を含み、二つの磁石122’、124’の間に均一な磁場が形成され、バランスド・アーマチュア11’の延出部分114’は該均一な磁場の中心位置に位置決められている。コイル13’は、コイル本体132’と、極性を有する引き出し線134’、136’とを含んでいる。
【0003】
前記コイル13’が通電後に形成した磁場の極性軸方向(図1において水平方向)は、磁石12’による磁場の極性軸方向(図1において鉛直方向)とは垂直しているので、磁石12’とコイル13’との相対的な運動方向は、力が作用される方向とは、位相差があり、磁気エネルギーに対する利用率は低い。同じ周波数応答性要求に対して、体積が大きくなり、周波数応答性と構成適応性に対する要求に影響を及ぼすので、音響学上に歪みが起こしやすい。
【発明の概要】
【0004】
本発明が解決しようとする技術的な課題は、イヤホーンを提供して、従来のイヤホーンの磁気エネルギーに対する利用率が低いとの課題を解決することを目的とする。
【0005】
本発明はこのように実現されている。外殻と、外殻の中に配置された磁場システム、振動システムとを含み、前記磁場システムは、磁石とコイルとを含み、前記振動システムは、アーマチュアと、振動膜と、アーマチュアと振動膜を接続するためのリンクロッドとを含み、前記磁石及びコイルの一方は前記アーマチュアに固定され、他方は前記外殻に固定されているイヤホーンであって、前記磁石の磁場の極性軸は、コイルが通電後に生じた磁場の極性軸と平行する。
【0006】
従来技術と比べて、前記技術案では、磁石の磁場の極性軸は、コイルが通電後に生じた磁場の極性軸と平行するので、磁石とコイルとの相対的な運動方向は、アーマチュアでの作用力の方向と一致している。これにより、振動偏差を有効に回避可能であり、磁場の利用率が向上され、音の歪みを制御するには役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】従来のイヤホーンの磁場モデルを示す図である。
【図2】本発明によるイヤホーンの第1の実施形態の断面図である。
【図3】図2に示すイヤホーンの磁場モデルを示す図である。
【図4】本発明によるイヤホーンの第2の実施形態の断面図である。
【図5】本発明によるイヤホーンの第3の実施形態の断面図である。
【図6】本発明によるイヤホーンの第4の実施形態の断面図である。
【図7】本発明によるイヤホーンの第5の実施形態の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明が解決しようとする技術的な課題、技術案及び有益な効果をさらに明瞭にさせるためには、以下、図面及び実施例を参照して、本発明に対してさらに詳細に説明する。ここで記述された具体的な実施例は本発明を解釈するためだけであり、本発明を限定するためのものではないと考えられるべきである。
【0009】
図1〜図7に示すように、本発明の実施例によるイヤホーンは外殻1と、外殻1の中に配置された磁場システム、振動システムとを含む。前記磁場システムは、磁石10とコイル20とを含む。前記振動システムは、アーマチュア30a−dと、振動膜40と、アーマチュア30a−dと振動膜40を接続するためのリンクロッド50と、を含む。磁石10及びコイル20の一方はアーマチュア30a−dに固定され、他方は外殻1に固定されている。磁石10の磁場の極性軸101は、コイル20が通電後に生じた磁場の極性軸201と平行する。
【0010】
外殻1は、出音口11、外ハウジング部12、及び外ハウジング部12と係合する後ハウジング部13を順次に含み、磁場システムと振動システムは外ハウジング部12と後ハウジング部13により形成された内部空間に位置している。磁石10は単独な磁石素子である。コイル20、コイル本体202と、それぞれコイル本体202から引き出された極性を有する引き出し線204、206とを含む。アーマチュア30a−dは、外殻1に固定された固定部分302a−dと、固定部分302a−dから延出され、振動に用いられる延出部分304a−dとを含む。振動膜40は、リンクロッド50により延出部分304a−dに接続され、磁石10及びコイル20の一方は延出部分304a−dに固定されている。振動膜40は、張り合われたプラスチック層402と金属箔層404と含み、プラスチック層402の外縁は外殻1に固定され、プラスチック層402は、リンクロッド50によりアーマチュア30a−dの延出部分304a−dに接続され、金属箔層404はプラスチック層402における出音口11に向かう側に位置している。
【0011】
同時に、図3を参照すると、電流は引き出し線204、206を介してコイル20に出力すると、コイル本体202は磁場が生じて、前記磁場は極性軸201を備える。このとき、磁石10とコイル20は磁力を受けて、磁石10とコイル20のアーマチュア30a−dに固定された部材は磁力の大きさの変化により振動を生じる。アーマチュア30a−dの延出部分304a−dは、該部材と一緒に固定されているので、一緒に振動して、リンクロッド50により、振動を振動膜40に伝えて、音が生ずる。
【0012】
磁石10の磁場は、コイル20が通電後に生ずる磁場の極性軸201と平行する極性軸101を備えるので、磁石10とコイル20との相対的な運動方向を、アーマチュア30a−bへの作用力の方向と一致させる。これにより、振動偏差を有効に回避可能であり、磁場の利用率が向上され、音の歪みを抑えるには役立つ。
【0013】
前記アーマチュア30a−dが振動アーマチュアであることは好ましい。そうすると、従来のバランスド・アーマチュアと比べて、磁場強度と位置が同様な空間では、振動膜40は、より大きい駆動力を得ることができ、音声変換率が向上され、結果的にはイヤホーンの周波数応答性は、従来の磁気回路方式のイヤホーンによる周波数応答性より向上されると共に、全体の体積も小さくなったので、よりよい性能とより強い構成適応性を備えることができる。
【0014】
図2に示すのは、本発明によるイヤホーンの第1の実施例である。第1の実施例では、アーマチュア30aの延出部分304aは固定部分302aの一端から延出され、固定部分302aとの接続部分は90度のアークである。コイル20は、コイルボルダ208により外殻1に固定され、磁石10は延出部分304aの一方側に固定され、且つコイル20と延出部分304aとの間に位置し、振動膜40は、延出部分304a他方側に位置する。
【0015】
コイル20が通電されると、磁石10に振動が生じて、アーマチュア30aの延出部分304aも一緒に振動して、リンクロッド50により振動を振動膜40に伝えて、音が生じる。
【0016】
図4には、本発明によるイヤホーンの第2の実施例を示す。第2の実施例は、第1の実施例との主な相違点は、アーマチュア30bの延出部分304bは、二つの反対方向に曲げたU字状のアーム3042b、3042b’を含み、一方のアーム3042bはコイル20のホルダとして、コイル20は該アーム3042bに固定され、磁石10は、磁石ホルダ102を介して外殻1に固定され、他方のアーム3042b’により囲まれている。磁石10とリンクロッド50はそれぞれアーム3042b’の両側に位置する。
【0017】
コイル20が通電されると、コイル20に振動が生じて、アーマチュア30bの延出部分304bは一緒に振動して、リンクロッド50により振動を振動膜40に伝えて、音が生じる。
【0018】
図5には、本発明によるイヤホーンの第3の実施例を示す。第3の実施例は、第2の実施例との主な相違点は、アーマチュア30cの延出部分304cは、二つの同じ方向に曲げたU字状のアーム3042c、3042c’を含み、二つのアーム3042c’、3042c’の位置の順位は異なる。一方のアーム3042cはコイル20のホルダとして、コイル20は該アーム3042cに固定され、磁石10は、磁石ホルダ102を介して外殻1に固定され、二つのアーム3042c、3042c’との間に位置する。
【0019】
図6には、本発明によるイヤホーンの第4の実施例を示す。第4の実施例は、第1の実施例との主な相違点は、アーマチュア30dの延出部分304dはU字状に曲げられ、磁石10はアーマチュア30dの延出部分304dに固定され、リンクロッド50とコイル20との間に位置し、磁石10とコイル20は、U字状の延出部分304dに囲まれている。
【0020】
図7には、本発明によるイヤホーンの第5の実施例を示す。第5の実施例は、第4の実施例との主な相違点は、コイル20は、リンクロッド50と磁石10との間に位置する。
【0021】
上述の説明は本発明の好ましい実施の形態のみであり、本発明を限定するためのものではない。本発明の精神と原則内での修正、同等な置換や改善などは何れも本発明の保護範囲に含まれるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外殻と、外殻の中に配置された磁場システム、振動システムと、を含み、前記磁場システムは、磁石とコイルとを含み、前記振動システムは、アーマチュアと、振動膜と、前記アーマチュアと振動膜を接続するためのリンクロッドとを含み、前記磁石及びコイルの一方は前記アーマチュアに固定され、他方は前記外殻に固定されているイヤホーンであって、
前記磁石の磁場の極性軸は、コイルが通電後に生じた磁場の極性軸と平行することを特徴とする、イヤホーン。
【請求項2】
前記アーマチュアは振動アーマチュアであることを特徴とする、請求項1に記載のイヤホーン。
【請求項3】
前記アーマチュアは、前記外殻に固定された固定部分と、前記固定部分から延出され振動に用いられた延出部分とを含み、前記振動膜は前記リンクロッドにより前記延出部分に接続され、前記磁石及びコイルの一方は前記延出部分に固定されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載のイヤホーン。
【請求項4】
前記延出部分は、固定部分の一端から延出され、前記固定部分との接続部分は90度のアークに形成され、前記コイルは前記外殻に固定され、前記磁石は前記延出部分の一方側に固定され、且つ前記コイルと延出部分との間に位置し、前記振動膜は前記延出部分の他方側に位置していることを特徴とする、請求項3に記載のイヤホーン。
【請求項5】
前記延出部分は、二つの曲げられたU字状のアームを備え、前記コイルは前記の一方のアームに固定され、前記磁石は前記外殻に固定され、且つ前記の他方のアームに囲まれていることを特徴とする、請求項3に記載のイヤホーン。
【請求項6】
前記二つのアームは同じ方向に又は反対方向に曲げられていることを特徴とする、請求項5に記載のイヤホーン。
【請求項7】
前記アーマチュアの延出部分はU字状に曲げられ、前記磁石及びコイルは前記延出部分に囲まれていることを特徴とする、請求項3に記載のイヤホーン。
【請求項8】
前記コイルは前記外殻に固定され、前記磁石は前記延出部分に固定されていることを特徴とする、請求項7に記載のイヤホーン。
【請求項9】
前記磁石は前記リンクロッドとコイルとの間に位置していることを特徴とする、請求項8に記載のイヤホーン。
【請求項10】
前記コイルは前記リンクロッドと磁石との間に位置していることを特徴とする、請求項8に記載のイヤホーン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−28813(P2010−28813A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−166477(P2009−166477)
【出願日】平成21年7月15日(2009.7.15)
【出願人】(505327398)ビーワイディー カンパニー リミテッド (52)
【氏名又は名称原語表記】BYD COMPANY LIMITED
【Fターム(参考)】