インキ吸入機構
【課題】軸筒の長さを短くすることや、インキ収容室41の容量を大きくすることを可能とし、また吸入弁5の耐久性を低下させず、加工や組立てが複雑にならないインキ吸入機構3を得る。
【解決手段】前方回転筒7と後方回転筒8とを、摺動筒10の摺動凸部10cを第二雌螺子部11aに形成した摺動溝11bへ軸心に沿って進入させながら、前方回転筒7の後端部を後方回転筒8の前方に設けた大径開口部8cに圧入して回転部材9を形成することにより、螺子山の巻き方向が逆方向の関係にある第一雄螺子部6aと第一雌螺子部7aおよび第二雄螺子部8aと第二雌螺子部11aを定位置に螺合させる。
【解決手段】前方回転筒7と後方回転筒8とを、摺動筒10の摺動凸部10cを第二雌螺子部11aに形成した摺動溝11bへ軸心に沿って進入させながら、前方回転筒7の後端部を後方回転筒8の前方に設けた大径開口部8cに圧入して回転部材9を形成することにより、螺子山の巻き方向が逆方向の関係にある第一雄螺子部6aと第一雌螺子部7aおよび第二雄螺子部8aと第二雌螺子部11aを定位置に螺合させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、万年筆など筆記具のインキ吸入機構に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、インキ収容室にインキを吸入する手段として、例えば特開2002−331790号公報にも開示されているように、操作部8(回転操作部材)を回転操作することで液体収容室6(インキ収容室)の内部に配した弁部材10(吸入弁)を押棒9で前後動させ、液体収容室6(インキ収容室)にインキの吸入を行う構造のインキ吸入機構はよく知られている。このようなインキ吸入機構では、液体収容室6の後方に押棒9が後退できる空間が必要であり、したがって液体収容室6の長さと液体収容室6の後方部の長さとが同じ位である必要性が生じ、この機構的な長さの制約から、軸筒の長さを短くすることや、液体収容室6の容量を大きくすることに不都合が生じていた。
【0003】
特開平7−290873号公報には、前記問題を解消する構造として、吸引ピストン8(吸入弁)を前後動させるピストンロッド9,10(押棒)が二段式に延びる二重構造となっており、その結果、インキ受入れ室6(インキ収容室)の後方部の長さを短くすることができる構造が記載されている。この特開平7−290873号公報に記載の構造は、操作部分4を回転操作することで回転しながら前進する第2ピストンロッド10に対し、第2ピストンと螺合関係にある第1ピストンロッド9を空回りさせないようにする必要があるが、当該公報の記載では、第1ピストンロッド9の前方端に圧嵌された吸引ピストン8を、インキ受入れ室6の壁部に摩擦係合されるようにして回動不能にするか、インキ受入れ室6および吸引ピストン8の横断面形状を非円形にして互いをはめ合わせて回動不能にする旨の記載がある。
【0004】
ところで、前記した特開平7−290873号公報の構造では、吸引ピストン8がインキ受入れ室6の壁部に摩擦係合した際の摩擦抵抗の増大により操作性が低下する虞や、摩擦により吸引ピストン8が摩耗して気密性が低下する虞がある。またインキ受入れ室6および吸引ピストン8の横断面形状を非円形にして回動させないようにする場合には、その加工やインキ吸入機構部の組立てが複雑になるといった問題が生じてくる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−331790号公報
【特許文献2】特開平7−290873号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明はこうした問題点を解消するために、軸筒の長さを短くすることや、インキ収容室の容量を大きくすることを可能とし、また吸入弁の耐久性を低下させず、加工や組立てが複雑にならないインキ吸入機構を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、
「インキ収容筒の内部に吸入弁を配し、前記インキ収容筒の後方部に設けた回転部材が回転することにより、該回転部材に形成した雌螺子部と螺合する雄螺子部を有した押棒を前後動させ、前記インキ収容筒のインキ収容室にインキを吸入する構造のインキ吸入機構において、前記回転部材を前方回転筒と後方回転筒とで構成し、前記前方回転筒に形成した第一雌螺子部に螺合する第一雄螺子部を外面に有した押棒の前方にインキ収容室の内壁を摺動する吸入弁を装着し、前方に形成した突起部に前記前方回転筒の前端を当接させると共に前記押棒を回動不能に係止させ且つ内部に前記前方回転筒を回動可能に収容した摺動筒の後方に摺動凸部を形成し、前記摺動筒の外方に固定筒を配し、該固定筒の内面に形成した前記前方回転筒の第一雌螺子部の螺子山と巻き方向が反対である第二雌螺子部へ設けた軸心に沿った摺動溝に前記摺動筒の摺動凸部を前後摺動可能に係止させ、前記後方回転筒の外面に形成した第二雄螺子部と前記固定筒の第二雌螺子部とを螺合し、前記前方回転筒と前記後方回転筒とを圧入嵌合して前記固定筒内で当該前方回転筒と後方回転筒とからなる回転部材を回動可能且つ前後動可能に配設し、前記インキ収容筒の後方に連結した保持筒に対し回動可能に装着した回転操作部材を、当該回転操作部材の内面に形成した回転止部に前記後方回転筒の外面に形成した回転止受部を回動不能且つ前後摺動可能に係止して、前記回転操作部材を回転させて該回転操作部材に係止した前記後方回転筒を回転させた際に、該後方回転筒の第二雄螺子部が前記固定筒の第二雌螺子部に沿って回転し、前記前方回転筒の前端が前記摺動筒の突起部を押動して、前記回転部材と共に前記摺動筒を前進させて、前記前方回転筒の第一雌螺子部と螺合した前記押棒が前記摺動筒の突起部により回転を規制されながら前記吸入弁を前進させ、前記回転操作部材を逆回転することにより、前記押棒および吸入弁を後退させて負圧とした前記インキ収容室にインキを吸入する構造のインキ吸入機構。」である。
【0008】
回転操作部材の内面に形成した回転止部と後方回転筒の外面に形成した回転止受部との関係は、例えば、回転操作部材の内面に軸心に沿った凸部又は凹部を形成し、後方回転筒の外面に軸心に沿った凹部又は凸部を形成して、互いを係止させることにより回転操作部材に対し後方回転筒を回動不能且つ前後摺動可能にすることができる。
【0009】
またインキ吸入機構における回転部材は、内部に第一雌螺子部を形成した前方回転筒の外方に摺動筒を配し、摺動筒の前方に形成した突起部に前方回転筒の前端を当接させ、前方回転筒の第一雌螺子部に押棒の第一雄螺子部を前方より螺入させて締め込み、且つ固定筒の内面に形成した第二雌螺子部に後方回転筒の第二雄螺子部を前方より螺入させて締め込んだ状態で、前方回転筒と後方回転筒とを嵌着させて回転部材を形成することにより、前方回転筒の第一雌螺子部と固定筒の第二雌螺子部とが反対の螺子山の巻き方向であっても、それぞれを所定の状態にしてから連結することで、螺子山の巻き方向が逆方向の関係にある第一雄螺子部と第一雌螺子部および第二雄螺子部と第二雌螺子部を定位置に螺合させる組立てが容易となる。
【0010】
前方回転筒の第一雌螺子部と固定筒の第二雌螺子部とが反対の螺子山の巻き方向であることから、回転操作部材を回転させて固定筒に対し後方回転筒が回転しながら前進した場合には、後方回転筒に連結された前方回転筒の第一雄螺子部も回転して押棒の第一雌螺子部を回転させ、このとき押棒および吸入弁は摺動筒の突起部により押棒の回転が規制されていることから回転せずに前進する構造である。したがって回転操作部材の回転が行われると、回転部材の前進に伴い押棒も前進し、回転部材の後退に伴い押棒も後退して吸入弁でインキを吸入することができる。
【0011】
吸入弁を前後進させる押棒は、従来技術のように吸入弁をインキ収容室の内壁に摩擦係合させたり、インキ収容室および吸入弁の横断面形状を非円形にして回動しないようにせずとも、前述の通り、摺動筒の突起部で押棒の回転を規制できる構造であるため、インキ収容筒の内壁と吸入弁との摩擦抵抗の増大により操作性が低下したり、加工や組立てが複雑になるといった問題が生じ難い構造である。さらにインキ収容室の内壁にグリスやオイルを塗布して、インキ吸入の操作性を滑らかにすることを可能にできる。
【発明の効果】
【0012】
軸筒の長さを短くすることや、インキ収容室の容量を大きくすることが可能であり、吸入弁の耐久性が低下せず、加工や組立てが容易なインキ吸入機構を得ることができた。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、本実施例のインキ吸入機構付き万年筆の断面図である。
【図2】図2は、図1の万年筆でインキ吸入を行っている状態の図である。
【図3】図3は、本実施例のインキ吸入機構の要部拡大図である。
【図4】図4は、図3のX−X線断面図である。
【図5】図5は、図3のY−Y線断面図である。
【図6】図6は、図3のZ−Z線断面図である。
【図7】図7は、回転操作部材を操作して吸入弁を前進させている状態を示す図である。
【図8】図8は、回転操作部材を操作して吸入弁を前進させた状態を示す図である。
【図9】図9は、本実施例のインキ吸入機構を組立てている状態を示す図である。
【図10】図10は、図9の次工程を示す図である。
【図11】図11は、図10の次工程を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、図面を参照しながら説明を行うが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。また図中の同じ部材、同じ部品については、同じ符号としてある。
【0015】
図1に示すように、本実施例のインキ吸入機構付きの万年筆1は、軸筒本体2の前方に首部材21を配設し、首部材21にペン芯22と重ねたペン先23を装着してある。軸筒本体2の後方には尾冠24を装着してあり、軸筒本体2の内部にはインキ吸入機構3を設けてある。インキ吸入機構3は、内側をインキ収容室41とするインキ収容筒4の内壁に摺動可能に配した吸入弁5と、吸入弁5の後方に連接した押棒6と、押棒6に螺合する前方回転筒7と該前方回転筒7に嵌着させた後方回転筒8とで構成する回転部材9と、前方回転筒7の外方に配した摺動筒10と、摺動筒10の外方に配した固定筒11と、後方回転筒8の外方に配した回転操作部材12と、回転操作部材12を回動可能に係止する保持筒13をインキ収容筒4の後方に設けて構成してある。
【0016】
また、本実施例のインキ吸入機構3を設けた万年筆1は、図2に示すように、軸筒本体2を首部材21から螺脱させ、回転操作部材12の回転操作を行うことで、インキ瓶200内に入れたペン芯22からインキ300をインキ収容室41に吸入することができる構造である。
【0017】
次に、図3〜図6を用いて本実施例のインキ吸入機構の詳細について説明を行う。図3はインキ吸入機構の要部拡大図であり、図4〜図6は図3で示したXYZの横断面である。本実施例の回転部材9は、前方回転筒7と後方回転筒8とを嵌着させることで構成してある。また、前方回転筒7の内面には第一雌螺子部7aを形成して、押棒6の外面に形成した第一雄螺子部6aと螺合させてあり、押棒6の前方部にはインキ収容室41の内壁を摺動する吸入弁5を開口部5aに嵌合して装着して固定してある。摺動筒10の前方には内方へ突出する突起部10aを形成してあり、前方回転筒7の前端が当接するようにしてある。
【0018】
本実施例の押棒6は断面形状を扁平形状に形成すると共に、図4の横断面で示したように、摺動筒10の前方の突起部10aに形成した同じく扁平形状に開口した開口窓10bに遊嵌させることで、摺動筒10に対する押棒6の回転を規制している。また摺動筒10の後方部には摺動凸部10cを形成してあり、摺動凸部10cは、摺動筒10の外方に配した固定筒11の内面に形成した前方回転筒7の第一雌螺子部7aの螺子山と巻き方向が反対である第二雌螺子部11aに形成した軸心に沿った摺動溝11bへ前後摺動可能に係止させてある。後方回転筒8の外面に形成した第二雄螺子部8aは、固定筒11の第二雌螺子部11aと螺合してある。
【0019】
インキ収容筒4の後方には保持筒13を螺合により連結してあり、回転操作部材12を、保持筒13の係止凸部13aに回転操作部材12の大径部12aを係止させると共に、該大径部12aを固定筒11の後端に当接させることで、保持筒13に対し回動可能に係止してある。回転操作部材12の内面に形成した回転止凸部12bは、軸心に沿って形成してあり、後方回転筒8の外面に同じく軸心に沿って形成した回転止受凹部8bに回動不能および前後摺動可能に係止してある。
【0020】
したがって、本実施例のインキ吸入機構3は、図3の状態の回転操作部材12を回転操作して回転操作部材12に係止した後方回転筒8を回転させることにより、後方回転筒8の第二雄螺子部8aが固定筒11の第二雌螺子部11aに沿って回転して回転部材9が摺動筒10と共に前進すると共に、前方回転筒7の第一雌螺子部7aと螺合した押棒6が摺動筒10の突起部10aにより回転を規制されながら吸入弁5と共に前進し(図7参照)、吸入弁5がインキ収容筒4の内面に形成した突起42に当接した図8の状態となり(図8参照)、回転操作部材12を逆回転して回転部材9および押棒6を後退させることで、負圧になったインキ収容筒4のインキ収容室41にインキを吸入させることができた。
【0021】
次に本実施例のインキ吸入機構の組立てについて図9〜図11を用いて説明を行う。図9は、本実施例のインキ吸入機構を組立ている状態を示す図であり、図に示す回転部材9は、前方回転筒7と後方回転筒8とが分離した状態になっており、前方回転筒7を摺動筒10の後方から挿通し、前方回転筒7の第一雌螺子部7aに摺動筒10の前方から進入させた押棒6の第一雄螺子部6aを螺合させ、押棒6の前方鍔部6bと前方回転筒7の前端部とで摺動筒10の突起部10aを挟持するよう締め込んである。また、後方回転筒8は固定筒11の前方から挿通し、第二雄螺子部8aと第二雌螺子部11aとを螺合させながら、後方回転筒8の第二雄螺子部8aが固定筒11の第二雌螺子部11aの末端部11cに当接するまで締め込んである。
【0022】
図10は、図9の次工程の状態を示す図である。図9に示す状態にあった前方回転筒7と後方回転筒8とを、摺動筒10の摺動凸部10cを固定筒11の第二雌螺子部11aに形成した摺動溝11bへ軸心に沿って進入させながら、前方回転筒7の後端部を後方回転筒8の前方に設けた大径開口部8cに嵌着して回転部材9を形成することにより、螺子山の巻き方向が逆方向の関係にある第一雄螺子部6aと第一雌螺子部7aおよび第二雄螺子部8aと第二雌螺子部11aを定位置に螺合させることが容易にできた。尚、図9で示すように本実施例の回転部材9は、前方回転筒7の後方外面に放射状に形成した凹凸部7bを設けると共に、後方回転筒8の大径開口部8cの内面に同じく放射状に形成した凸凹部8dを設け、凹凸部7bと凸凹部8dとを噛み合わすことにより、前方回転筒7と後方回転筒8との回転方向の滑りを強固に防止している。
【0023】
図11は、図10の次工程を示す図である。図10に示す状態にあった押棒6の前方部に対し吸入弁5を装着し、回転操作部材12の回転止凸部12bを後方回転筒8の回転止受凹部8bに摺動させながら、後方回転筒8の後端部に回転操作部材12を遊嵌させた状態である。本実施例では、図11の状態から、インキ収容筒4のインキ収容室41の内壁に吸入弁5を摺動させながら挿通すると共に、固定筒11の前端に形成した角状の突起部11dをインキ収容筒4の後端面に形成した角状のキー溝43に係止することでインキ収容筒4に対する固定筒11の回転を確実に防ぎ(図4参照)、結果的にインキ収容室41の内壁に対して吸入弁5が回転しない構造とすることができ、回転操作部材12の後方より保持筒13を被せ、インキ収容筒4の後方外面に形成した雄螺子部4aと保持筒13の前方内面に形成した雌螺子部13bとを螺合させて、図1に示すインキ吸入機構3を完成した。
【産業上の利用可能性】
【0024】
本発明のインキ吸入機構は、軸筒本体内にインキ吸入機構をコンバーターとして装着する構造や、軸筒本体自体がインキ収容筒を兼ねた構造の万年筆やマーキングペンなどの筆記具に採用することが可能である。
【符号の説明】
【0025】
1…万年筆、
2…軸筒本体、21…首部材、22…ペン芯、23…ペン先、24…尾冠、
3…インキ吸入機構、
4…インキ収容筒、41…インキ収容室、42…突起、43…キー溝、
4a…雄螺子部、
5…吸入弁、5a…開口部、
6…押棒、6a…第一雄螺子部、
7…前方回転筒、7a…第一雌螺子部、7b…凹凸部、
8…後方回転筒、8a…第二雄螺子部、8b…回転止受凹部、
8c…大径開口部、8d…凸凹部、
9…回転部材、
10…摺動筒、10a…突起部、10b…開口窓、10c…摺動凸部、
11…固定筒、11a…第二雌螺子部、11b…摺動溝、11c…末端部、
12…回転操作部材、12a…大径部、12b…回転止凸部、
13…保持筒、13a…係止凸部、13b…雌螺子部、
200…インキ瓶、300…インキ。
【技術分野】
【0001】
本発明は、万年筆など筆記具のインキ吸入機構に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、インキ収容室にインキを吸入する手段として、例えば特開2002−331790号公報にも開示されているように、操作部8(回転操作部材)を回転操作することで液体収容室6(インキ収容室)の内部に配した弁部材10(吸入弁)を押棒9で前後動させ、液体収容室6(インキ収容室)にインキの吸入を行う構造のインキ吸入機構はよく知られている。このようなインキ吸入機構では、液体収容室6の後方に押棒9が後退できる空間が必要であり、したがって液体収容室6の長さと液体収容室6の後方部の長さとが同じ位である必要性が生じ、この機構的な長さの制約から、軸筒の長さを短くすることや、液体収容室6の容量を大きくすることに不都合が生じていた。
【0003】
特開平7−290873号公報には、前記問題を解消する構造として、吸引ピストン8(吸入弁)を前後動させるピストンロッド9,10(押棒)が二段式に延びる二重構造となっており、その結果、インキ受入れ室6(インキ収容室)の後方部の長さを短くすることができる構造が記載されている。この特開平7−290873号公報に記載の構造は、操作部分4を回転操作することで回転しながら前進する第2ピストンロッド10に対し、第2ピストンと螺合関係にある第1ピストンロッド9を空回りさせないようにする必要があるが、当該公報の記載では、第1ピストンロッド9の前方端に圧嵌された吸引ピストン8を、インキ受入れ室6の壁部に摩擦係合されるようにして回動不能にするか、インキ受入れ室6および吸引ピストン8の横断面形状を非円形にして互いをはめ合わせて回動不能にする旨の記載がある。
【0004】
ところで、前記した特開平7−290873号公報の構造では、吸引ピストン8がインキ受入れ室6の壁部に摩擦係合した際の摩擦抵抗の増大により操作性が低下する虞や、摩擦により吸引ピストン8が摩耗して気密性が低下する虞がある。またインキ受入れ室6および吸引ピストン8の横断面形状を非円形にして回動させないようにする場合には、その加工やインキ吸入機構部の組立てが複雑になるといった問題が生じてくる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−331790号公報
【特許文献2】特開平7−290873号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明はこうした問題点を解消するために、軸筒の長さを短くすることや、インキ収容室の容量を大きくすることを可能とし、また吸入弁の耐久性を低下させず、加工や組立てが複雑にならないインキ吸入機構を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、
「インキ収容筒の内部に吸入弁を配し、前記インキ収容筒の後方部に設けた回転部材が回転することにより、該回転部材に形成した雌螺子部と螺合する雄螺子部を有した押棒を前後動させ、前記インキ収容筒のインキ収容室にインキを吸入する構造のインキ吸入機構において、前記回転部材を前方回転筒と後方回転筒とで構成し、前記前方回転筒に形成した第一雌螺子部に螺合する第一雄螺子部を外面に有した押棒の前方にインキ収容室の内壁を摺動する吸入弁を装着し、前方に形成した突起部に前記前方回転筒の前端を当接させると共に前記押棒を回動不能に係止させ且つ内部に前記前方回転筒を回動可能に収容した摺動筒の後方に摺動凸部を形成し、前記摺動筒の外方に固定筒を配し、該固定筒の内面に形成した前記前方回転筒の第一雌螺子部の螺子山と巻き方向が反対である第二雌螺子部へ設けた軸心に沿った摺動溝に前記摺動筒の摺動凸部を前後摺動可能に係止させ、前記後方回転筒の外面に形成した第二雄螺子部と前記固定筒の第二雌螺子部とを螺合し、前記前方回転筒と前記後方回転筒とを圧入嵌合して前記固定筒内で当該前方回転筒と後方回転筒とからなる回転部材を回動可能且つ前後動可能に配設し、前記インキ収容筒の後方に連結した保持筒に対し回動可能に装着した回転操作部材を、当該回転操作部材の内面に形成した回転止部に前記後方回転筒の外面に形成した回転止受部を回動不能且つ前後摺動可能に係止して、前記回転操作部材を回転させて該回転操作部材に係止した前記後方回転筒を回転させた際に、該後方回転筒の第二雄螺子部が前記固定筒の第二雌螺子部に沿って回転し、前記前方回転筒の前端が前記摺動筒の突起部を押動して、前記回転部材と共に前記摺動筒を前進させて、前記前方回転筒の第一雌螺子部と螺合した前記押棒が前記摺動筒の突起部により回転を規制されながら前記吸入弁を前進させ、前記回転操作部材を逆回転することにより、前記押棒および吸入弁を後退させて負圧とした前記インキ収容室にインキを吸入する構造のインキ吸入機構。」である。
【0008】
回転操作部材の内面に形成した回転止部と後方回転筒の外面に形成した回転止受部との関係は、例えば、回転操作部材の内面に軸心に沿った凸部又は凹部を形成し、後方回転筒の外面に軸心に沿った凹部又は凸部を形成して、互いを係止させることにより回転操作部材に対し後方回転筒を回動不能且つ前後摺動可能にすることができる。
【0009】
またインキ吸入機構における回転部材は、内部に第一雌螺子部を形成した前方回転筒の外方に摺動筒を配し、摺動筒の前方に形成した突起部に前方回転筒の前端を当接させ、前方回転筒の第一雌螺子部に押棒の第一雄螺子部を前方より螺入させて締め込み、且つ固定筒の内面に形成した第二雌螺子部に後方回転筒の第二雄螺子部を前方より螺入させて締め込んだ状態で、前方回転筒と後方回転筒とを嵌着させて回転部材を形成することにより、前方回転筒の第一雌螺子部と固定筒の第二雌螺子部とが反対の螺子山の巻き方向であっても、それぞれを所定の状態にしてから連結することで、螺子山の巻き方向が逆方向の関係にある第一雄螺子部と第一雌螺子部および第二雄螺子部と第二雌螺子部を定位置に螺合させる組立てが容易となる。
【0010】
前方回転筒の第一雌螺子部と固定筒の第二雌螺子部とが反対の螺子山の巻き方向であることから、回転操作部材を回転させて固定筒に対し後方回転筒が回転しながら前進した場合には、後方回転筒に連結された前方回転筒の第一雄螺子部も回転して押棒の第一雌螺子部を回転させ、このとき押棒および吸入弁は摺動筒の突起部により押棒の回転が規制されていることから回転せずに前進する構造である。したがって回転操作部材の回転が行われると、回転部材の前進に伴い押棒も前進し、回転部材の後退に伴い押棒も後退して吸入弁でインキを吸入することができる。
【0011】
吸入弁を前後進させる押棒は、従来技術のように吸入弁をインキ収容室の内壁に摩擦係合させたり、インキ収容室および吸入弁の横断面形状を非円形にして回動しないようにせずとも、前述の通り、摺動筒の突起部で押棒の回転を規制できる構造であるため、インキ収容筒の内壁と吸入弁との摩擦抵抗の増大により操作性が低下したり、加工や組立てが複雑になるといった問題が生じ難い構造である。さらにインキ収容室の内壁にグリスやオイルを塗布して、インキ吸入の操作性を滑らかにすることを可能にできる。
【発明の効果】
【0012】
軸筒の長さを短くすることや、インキ収容室の容量を大きくすることが可能であり、吸入弁の耐久性が低下せず、加工や組立てが容易なインキ吸入機構を得ることができた。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、本実施例のインキ吸入機構付き万年筆の断面図である。
【図2】図2は、図1の万年筆でインキ吸入を行っている状態の図である。
【図3】図3は、本実施例のインキ吸入機構の要部拡大図である。
【図4】図4は、図3のX−X線断面図である。
【図5】図5は、図3のY−Y線断面図である。
【図6】図6は、図3のZ−Z線断面図である。
【図7】図7は、回転操作部材を操作して吸入弁を前進させている状態を示す図である。
【図8】図8は、回転操作部材を操作して吸入弁を前進させた状態を示す図である。
【図9】図9は、本実施例のインキ吸入機構を組立てている状態を示す図である。
【図10】図10は、図9の次工程を示す図である。
【図11】図11は、図10の次工程を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、図面を参照しながら説明を行うが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。また図中の同じ部材、同じ部品については、同じ符号としてある。
【0015】
図1に示すように、本実施例のインキ吸入機構付きの万年筆1は、軸筒本体2の前方に首部材21を配設し、首部材21にペン芯22と重ねたペン先23を装着してある。軸筒本体2の後方には尾冠24を装着してあり、軸筒本体2の内部にはインキ吸入機構3を設けてある。インキ吸入機構3は、内側をインキ収容室41とするインキ収容筒4の内壁に摺動可能に配した吸入弁5と、吸入弁5の後方に連接した押棒6と、押棒6に螺合する前方回転筒7と該前方回転筒7に嵌着させた後方回転筒8とで構成する回転部材9と、前方回転筒7の外方に配した摺動筒10と、摺動筒10の外方に配した固定筒11と、後方回転筒8の外方に配した回転操作部材12と、回転操作部材12を回動可能に係止する保持筒13をインキ収容筒4の後方に設けて構成してある。
【0016】
また、本実施例のインキ吸入機構3を設けた万年筆1は、図2に示すように、軸筒本体2を首部材21から螺脱させ、回転操作部材12の回転操作を行うことで、インキ瓶200内に入れたペン芯22からインキ300をインキ収容室41に吸入することができる構造である。
【0017】
次に、図3〜図6を用いて本実施例のインキ吸入機構の詳細について説明を行う。図3はインキ吸入機構の要部拡大図であり、図4〜図6は図3で示したXYZの横断面である。本実施例の回転部材9は、前方回転筒7と後方回転筒8とを嵌着させることで構成してある。また、前方回転筒7の内面には第一雌螺子部7aを形成して、押棒6の外面に形成した第一雄螺子部6aと螺合させてあり、押棒6の前方部にはインキ収容室41の内壁を摺動する吸入弁5を開口部5aに嵌合して装着して固定してある。摺動筒10の前方には内方へ突出する突起部10aを形成してあり、前方回転筒7の前端が当接するようにしてある。
【0018】
本実施例の押棒6は断面形状を扁平形状に形成すると共に、図4の横断面で示したように、摺動筒10の前方の突起部10aに形成した同じく扁平形状に開口した開口窓10bに遊嵌させることで、摺動筒10に対する押棒6の回転を規制している。また摺動筒10の後方部には摺動凸部10cを形成してあり、摺動凸部10cは、摺動筒10の外方に配した固定筒11の内面に形成した前方回転筒7の第一雌螺子部7aの螺子山と巻き方向が反対である第二雌螺子部11aに形成した軸心に沿った摺動溝11bへ前後摺動可能に係止させてある。後方回転筒8の外面に形成した第二雄螺子部8aは、固定筒11の第二雌螺子部11aと螺合してある。
【0019】
インキ収容筒4の後方には保持筒13を螺合により連結してあり、回転操作部材12を、保持筒13の係止凸部13aに回転操作部材12の大径部12aを係止させると共に、該大径部12aを固定筒11の後端に当接させることで、保持筒13に対し回動可能に係止してある。回転操作部材12の内面に形成した回転止凸部12bは、軸心に沿って形成してあり、後方回転筒8の外面に同じく軸心に沿って形成した回転止受凹部8bに回動不能および前後摺動可能に係止してある。
【0020】
したがって、本実施例のインキ吸入機構3は、図3の状態の回転操作部材12を回転操作して回転操作部材12に係止した後方回転筒8を回転させることにより、後方回転筒8の第二雄螺子部8aが固定筒11の第二雌螺子部11aに沿って回転して回転部材9が摺動筒10と共に前進すると共に、前方回転筒7の第一雌螺子部7aと螺合した押棒6が摺動筒10の突起部10aにより回転を規制されながら吸入弁5と共に前進し(図7参照)、吸入弁5がインキ収容筒4の内面に形成した突起42に当接した図8の状態となり(図8参照)、回転操作部材12を逆回転して回転部材9および押棒6を後退させることで、負圧になったインキ収容筒4のインキ収容室41にインキを吸入させることができた。
【0021】
次に本実施例のインキ吸入機構の組立てについて図9〜図11を用いて説明を行う。図9は、本実施例のインキ吸入機構を組立ている状態を示す図であり、図に示す回転部材9は、前方回転筒7と後方回転筒8とが分離した状態になっており、前方回転筒7を摺動筒10の後方から挿通し、前方回転筒7の第一雌螺子部7aに摺動筒10の前方から進入させた押棒6の第一雄螺子部6aを螺合させ、押棒6の前方鍔部6bと前方回転筒7の前端部とで摺動筒10の突起部10aを挟持するよう締め込んである。また、後方回転筒8は固定筒11の前方から挿通し、第二雄螺子部8aと第二雌螺子部11aとを螺合させながら、後方回転筒8の第二雄螺子部8aが固定筒11の第二雌螺子部11aの末端部11cに当接するまで締め込んである。
【0022】
図10は、図9の次工程の状態を示す図である。図9に示す状態にあった前方回転筒7と後方回転筒8とを、摺動筒10の摺動凸部10cを固定筒11の第二雌螺子部11aに形成した摺動溝11bへ軸心に沿って進入させながら、前方回転筒7の後端部を後方回転筒8の前方に設けた大径開口部8cに嵌着して回転部材9を形成することにより、螺子山の巻き方向が逆方向の関係にある第一雄螺子部6aと第一雌螺子部7aおよび第二雄螺子部8aと第二雌螺子部11aを定位置に螺合させることが容易にできた。尚、図9で示すように本実施例の回転部材9は、前方回転筒7の後方外面に放射状に形成した凹凸部7bを設けると共に、後方回転筒8の大径開口部8cの内面に同じく放射状に形成した凸凹部8dを設け、凹凸部7bと凸凹部8dとを噛み合わすことにより、前方回転筒7と後方回転筒8との回転方向の滑りを強固に防止している。
【0023】
図11は、図10の次工程を示す図である。図10に示す状態にあった押棒6の前方部に対し吸入弁5を装着し、回転操作部材12の回転止凸部12bを後方回転筒8の回転止受凹部8bに摺動させながら、後方回転筒8の後端部に回転操作部材12を遊嵌させた状態である。本実施例では、図11の状態から、インキ収容筒4のインキ収容室41の内壁に吸入弁5を摺動させながら挿通すると共に、固定筒11の前端に形成した角状の突起部11dをインキ収容筒4の後端面に形成した角状のキー溝43に係止することでインキ収容筒4に対する固定筒11の回転を確実に防ぎ(図4参照)、結果的にインキ収容室41の内壁に対して吸入弁5が回転しない構造とすることができ、回転操作部材12の後方より保持筒13を被せ、インキ収容筒4の後方外面に形成した雄螺子部4aと保持筒13の前方内面に形成した雌螺子部13bとを螺合させて、図1に示すインキ吸入機構3を完成した。
【産業上の利用可能性】
【0024】
本発明のインキ吸入機構は、軸筒本体内にインキ吸入機構をコンバーターとして装着する構造や、軸筒本体自体がインキ収容筒を兼ねた構造の万年筆やマーキングペンなどの筆記具に採用することが可能である。
【符号の説明】
【0025】
1…万年筆、
2…軸筒本体、21…首部材、22…ペン芯、23…ペン先、24…尾冠、
3…インキ吸入機構、
4…インキ収容筒、41…インキ収容室、42…突起、43…キー溝、
4a…雄螺子部、
5…吸入弁、5a…開口部、
6…押棒、6a…第一雄螺子部、
7…前方回転筒、7a…第一雌螺子部、7b…凹凸部、
8…後方回転筒、8a…第二雄螺子部、8b…回転止受凹部、
8c…大径開口部、8d…凸凹部、
9…回転部材、
10…摺動筒、10a…突起部、10b…開口窓、10c…摺動凸部、
11…固定筒、11a…第二雌螺子部、11b…摺動溝、11c…末端部、
12…回転操作部材、12a…大径部、12b…回転止凸部、
13…保持筒、13a…係止凸部、13b…雌螺子部、
200…インキ瓶、300…インキ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インキ収容筒の内部に吸入弁を配し、前記インキ収容筒の後方部に設けた回転部材が回転することにより、該回転部材に形成した雌螺子部と螺合する雄螺子部を有した押棒を前後動させ、前記インキ収容筒のインキ収容室にインキを吸入する構造のインキ吸入機構において、前記回転部材を前方回転筒と後方回転筒とで構成し、前記前方回転筒に形成した第一雌螺子部に螺合する第一雄螺子部を外面に有した押棒の前方にインキ収容室の内壁を摺動する吸入弁を装着し、前方に形成した突起部に前記前方回転筒の前端を当接させると共に前記押棒を回動不能に係止させ且つ内部に前記前方回転筒を回動可能に収容した摺動筒の後方に摺動凸部を形成し、前記摺動筒の外方に固定筒を配し、該固定筒の内面に形成した前記前方回転筒の第一雌螺子部の螺子山と巻き方向が反対である第二雌螺子部へ設けた軸心に沿った摺動溝に前記摺動筒の摺動凸部を前後摺動可能に係止させ、前記後方回転筒の外面に形成した第二雄螺子部と前記固定筒の第二雌螺子部とを螺合し、前記前方回転筒と前記後方回転筒とを圧入嵌合して前記固定筒内で当該前方回転筒と後方回転筒とからなる回転部材を回動可能且つ前後動可能に配設し、前記インキ収容筒の後方に連結した保持筒に対し回動可能に装着した回転操作部材を、当該回転操作部材の内面に形成した回転止部に前記後方回転筒の外面に形成した回転止受部を回動不能且つ前後摺動可能に係止して、前記回転操作部材を回転させて該回転操作部材に係止した前記後方回転筒を回転させた際に、該後方回転筒の第二雄螺子部が前記固定筒の第二雌螺子部に沿って回転し、前記前方回転筒の前端が前記摺動筒の突起部を押動して、前記回転部材と共に前記摺動筒を前進させて、前記前方回転筒の第一雌螺子部と螺合した前記押棒が前記摺動筒の突起部により回転を規制されながら前記吸入弁を前進させ、前記回転操作部材を逆回転することにより、前記押棒および吸入弁を後退させて負圧とした前記インキ収容室にインキを吸入する構造のインキ吸入機構。
【請求項1】
インキ収容筒の内部に吸入弁を配し、前記インキ収容筒の後方部に設けた回転部材が回転することにより、該回転部材に形成した雌螺子部と螺合する雄螺子部を有した押棒を前後動させ、前記インキ収容筒のインキ収容室にインキを吸入する構造のインキ吸入機構において、前記回転部材を前方回転筒と後方回転筒とで構成し、前記前方回転筒に形成した第一雌螺子部に螺合する第一雄螺子部を外面に有した押棒の前方にインキ収容室の内壁を摺動する吸入弁を装着し、前方に形成した突起部に前記前方回転筒の前端を当接させると共に前記押棒を回動不能に係止させ且つ内部に前記前方回転筒を回動可能に収容した摺動筒の後方に摺動凸部を形成し、前記摺動筒の外方に固定筒を配し、該固定筒の内面に形成した前記前方回転筒の第一雌螺子部の螺子山と巻き方向が反対である第二雌螺子部へ設けた軸心に沿った摺動溝に前記摺動筒の摺動凸部を前後摺動可能に係止させ、前記後方回転筒の外面に形成した第二雄螺子部と前記固定筒の第二雌螺子部とを螺合し、前記前方回転筒と前記後方回転筒とを圧入嵌合して前記固定筒内で当該前方回転筒と後方回転筒とからなる回転部材を回動可能且つ前後動可能に配設し、前記インキ収容筒の後方に連結した保持筒に対し回動可能に装着した回転操作部材を、当該回転操作部材の内面に形成した回転止部に前記後方回転筒の外面に形成した回転止受部を回動不能且つ前後摺動可能に係止して、前記回転操作部材を回転させて該回転操作部材に係止した前記後方回転筒を回転させた際に、該後方回転筒の第二雄螺子部が前記固定筒の第二雌螺子部に沿って回転し、前記前方回転筒の前端が前記摺動筒の突起部を押動して、前記回転部材と共に前記摺動筒を前進させて、前記前方回転筒の第一雌螺子部と螺合した前記押棒が前記摺動筒の突起部により回転を規制されながら前記吸入弁を前進させ、前記回転操作部材を逆回転することにより、前記押棒および吸入弁を後退させて負圧とした前記インキ収容室にインキを吸入する構造のインキ吸入機構。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−183643(P2012−183643A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−46165(P2011−46165)
【出願日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【出願人】(303022891)株式会社パイロットコーポレーション (647)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【出願人】(303022891)株式会社パイロットコーポレーション (647)
【Fターム(参考)】
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