説明

インク、インクジェット用インク、インクジェット記録方法、及び着色画像材料の耐候性改良方法

【課題】色再現性に優れ、且つ光、熱、湿度、活性ガスに十分な堅牢性を有するインクをて提供する。
【解決手段】下記一般式(I)で表される色素を少なくとも一種含有するインク。
一般式(1)
【化1】


一般式(1)中、Rは、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルファモイル基を示す。Xは、−CR=又は窒素原子を表す。Rは、水素原子又は置換基を表す。Xは、−CR=または窒素原子を表す。Rは、σp値が0.20以上の電子吸引性基を表す。R、R、R、Aを介して色素が2量体、3量体を形成しても良い。Aは、特定の、アリール基、ヘテロ環基等を表す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インク、インクジェット用インク、インクジェット記録方法、及び形成した着色画像材料の耐候性改良方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、画像記録材料としては、特にカラー画像を形成するための材料が主流であり、具体的には、インクジェット方式の記録材料、感熱転写方式の記録材料、電子写真方式の記録材料、転写式ハロゲン化銀感光材料、印刷インク、記録ペン等が盛んに利用されている。また、撮影機器ではCCDなどの撮像素子において、ディスプレーではLCDやPDPにおいて、カラー画像を記録・再現するためにカラーフィルターが使用されている。これらのカラー画像記録材料やカラーフィルターでは、フルカラー画像を表示あるいは記録する為に、いわゆる加法混色法や減法混色法の3原色の色素(染料や顔料)が使用されているが、好ましい色再現域を実現出来る吸収特性を有し、且つさまざまな使用条件、環境条件に耐えうる堅牢な色素がないのが実状であり、改善が強く望まれている。
【0003】
上記の各用途で使用する色素には、共通して次のような性質を具備している必要がある。即ち、色再現性上好ましい吸収特性を有すること、使用される環境条件下における堅牢性、例えば耐光性、耐熱性、耐湿性、オゾンなどの酸化性ガスに対する耐性、その他亜硫酸ガスなどの耐薬品堅牢性が良好であること、インクでの保存安定性に優れること等であり、良好なイエロー色相を有し、光、湿熱及び環境中の活性ガスに対して堅牢で、保存安定性に優れた色素が強く望まれている。
【0004】
しかし、従来、含窒素5員環をアゾ成分とするアゾ染料が多く開示されているが、いずれも色相、堅牢性、分子吸光係数を満足させるものではなかった(例えば、特許文献3〜6参照。)。また、5員環の複素環アゾ染料の合成方法も開示されているが色相、分光吸光係数等を満足するものではなかった(例えば、非特許文献4参照。)。
【0005】
特に、インクジェット記録用インクに用いられるイエローの色素骨格としてはアゾ系が代表的である。代表的なアゾ色素としては、特開2003−277662号に堅牢なトリアジニルピラゾール骨格を有する色素が記載されているがさらにインクでの保存安定性に優れた色素が望まれている(例えば、特許文献7参照)。更に、溶液安定性改良を付与したものとして、特開2005−225979号に堅牢なトリアジニルピラゾール骨格を有する色素の改良例が記載されているが、色再現性上好ましい吸収特性を有しない点で色相の改善が望まれる(例えば、特許文献8参照)。
【特許文献1】特開昭55−161856号公報
【特許文献2】特開平6−145543号公報
【特許文献3】特開平7−224230号公報
【特許文献4】特開平9−234964号公報
【特許文献5】特開平9−277703号公報
【特許文献6】特開2003−246942号公報
【特許文献7】特開2003−277662号公報
【特許文献8】特開2005−225979号公報
【非特許文献1】J.Fabian and H.Hartmann著「Light Absorption of Organic Colorants」,Springer−Verlag, Berline,1980年
【非特許文献2】Heinrich Zollinger著「Color Chemistry」 Weinheim・New York・Basel・Cambridge
【非特許文献3】野口博著「合成染料」、三共出版株式会社、1970年
【非特許文献4】「Journal of Heterocyclic Chemistry」22巻813〜816頁、1985年
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、前記従来における問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。 即ち、本発明は、1)三原色の色素として色再現性に優れた吸収特性を有し、且つ光、熱、湿度および環境中の活性ガスに対して十分な堅牢性を有し、インク中での保存安定性に優れた色素を提供し、2)色相と堅牢性に優れた着色画像や着色材料を与える、インクジェットなどの印刷用のインクを提供し、3)特に、インク中での保存安定性に優れ、良好な色相を有し、光、湿熱及び環境中の活性ガス、特にオゾンガスに対して堅牢性の高い画像を形成することができるインクジェット記録用インク及びインクジェット記録方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、インク安定性に優れ、良好な色相を有し、且つ光、オゾンおよび湿熱に対する堅牢性の高い色素を目指してピラゾリルアゾ色素誘導体を詳細に検討したところ、下記一般式(1)〜(2)で表される化合物により、前記課題を解決することができることを見出し、本発明を完成するに至った。前記課題を解決するための手段は、以下の通りである。
<1>
下記一般式(I)で表される色素を少なくとも一種含有することを特徴とする、インクである。
一般式(1)
【0008】
【化1】

【0009】
一般式(1)中、Rは、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、またはスルファモイル基を示す。これらの基は更に置換基を有していても良い。Xは、−CR=または窒素原子を表す。Rは、水素原子または置換基を表す。Rが置換基を表す場合は、それらの基は更に置換基を有していても良い。Xは、−CR=または窒素原子を表す。Rは、σp値が0.20以上の電子吸引性基を表す。Xが−CR=を表すときは、RとR、及びまたは、Xが−CR=を表すときはRとR、は互いに結合して5〜7員環を形成しても良い。R、R、R、Aを介して色素が2量体、3量体を形成しても良い。
Aは、下記一般式(2)中の一価の置換基の群から選ばれる、置換基を有していても良い、いずれかの基を表す。
一般式(2)
【0010】
【化2】

【0011】
【化3】

【0012】
【化4】

【0013】
一般式(2)で表される一価の置換基の群(A−1)〜(A−42)中、R11〜R115は、それぞれ独立に水素原子または置換基を表す。また、(A−12)中のQ、(A−41)中のQおよび(A−42)中のQは各々窒素原子と共に5員環〜7員環の炭化水素環、ヘテロ環を形成するのに必要な非金属原子群を表す。Rは置換基を表す。rは0〜4の整数を表す。置換基Rが複数個存在する時は、Rはそれぞれ独立に同じであっても異なっていても良い。
【0014】
<2>
上記一般式(1)で表される色素が下記一般式(3)で表されることを特徴とする上記<1>に記載のインクである。
一般式(3)
【0015】
【化5】

【0016】
一般式(3)中、R、R、R、Aは、上記一般式(1)中のR、R、R、Aと同義である。
【0017】
<3>
上記一般式(1)で表される色素が下記一般式(4)で表されることを特徴とする上記<1>に記載のインクである。
一般式(4)
【0018】
【化6】

【0019】
一般式(4)中、R、R、Aは、上記一般式(1)中のR、R、Aと同義である。
【0020】
<4>
下記一般式(5)で表される色素を少なくとも一種含有することを特徴とするインクである。
一般式(5)
【0021】
【化7】

【0022】
一般式(5)中、R、R、Aは、上記一般式(1)中のR、R、Aと同義である。
【0023】
<5>
下記一般式(6)で表される色素を少なくとも一種含有することを特徴とするインク。
一般式(6)
【0024】
【化8】

【0025】
一般式(6)中、R、R、Aは、上記一般式(1)中のR、R、Aと同義である。
【0026】
<6>
上記一般式(1)、一般式(3)、一般式(4)、一般式(5)、一般式(6)で表される色素が少なくとも1つのイオン性親水性基を有することを特徴とする、上記<1>〜<5>に記載のインクである。
【0027】
<7>
上記<1>〜<6>に記載のインクを含有することを特徴とするインクジェット記録用インクである。
【0028】
<8>
上記<7>に記載のインクを用いて画像形成するインクジェット記録方法である。
【0029】
<9>
支持体上に白色無機顔料粒子を含有するインク受像層を有する受像材料上に、上記<7>に記載のインクを用いて画像形成することを特徴とするインクジェット記録方法である。
【0030】
<10>
上記<7>に記載のインクを用いて形成した着色画像材料の耐候性改良方法である。
【発明の効果】
【0031】
本発明の色素はインク中での保存安定性に優れ、三原色の色素として色再現性に優れた吸収特性を有し、且つ光、熱、湿度および環境中の活性ガスに対して十分な堅牢性を有する。また、この色素は色相と堅牢性に優れた着色画像や着色材料を与える、インクジェットなどの印刷用のインク、各種繊維の染色の為の染色液などの各種着色組成物用として好適である。特に、該色素の使用によりインクの保存安定性に優れ、良好な色相を有し、光及び環境中の活性ガス、特にオゾンガスに対して堅牢性の高い画像を形成することができるインクジェット記録用インク及びインクジェット記録方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、本発明について詳細に説明する。
〔アゾ色素〕
ここで、本明細書中で用いられるハメットの置換基定数σp値について若干説明する。ハメット則はベンゼン誘導体の反応または平衡に及ぼす置換基の影響を 定量的に論ずるために1935年 L.P.Hammettにより提唱された経験則であるが、これは今日広く妥当性が認められている。ハメット則に求められた置換基定数にはσp値とσm値があり、これらの値は多くの一般的な成書に見出すことができるが、例えば、J.A.Dean編、「Lange’s Handbook of Chemistry」第12版、1979年(Mc Graw−Hill)や「化学の領域」増刊、122号、96〜103頁、1979年(南光堂)に詳しい。なお、本発明において各置換基をハメットの置換基定数σpにより限定したり、説明したりするが、これは上記の成書で見出せる、文献既知の値がある置換基にのみ限定されるという意味ではなく、その値が文献未知であってもハメット則に基づいて測定した場合にその範囲内に包まれるであろう置換基をも含むことはいうまでもない。本発明の一般式(1)及び(3)〜(6)で表される化合物はベンゼン誘導体ではないが、置換基の電子効果を示す尺度として、置換位置に関係なくσp値を使用する。本発明においては今後、σp値をこのような意味で使用する。
【0033】
本発明におけるアゾ色素は前記一般式(1)及び(3)〜(6)で表されるアゾ色素である。
【0034】
以下、一般式(1)について詳細に説明する。
【0035】
一般式(1)
【0036】
【化9】

【0037】
一般式(1)中、Rは、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、またはスルファモイル基を示す。これらの基は更に置換基を有していても良い。
【0038】
前記Rが、更に置換基を有することが可能な基であるときは、以下に挙げたような置換基を更に有してもよい。
【0039】
炭素数1〜12の直鎖又は分岐鎖アルキル基、炭素数7〜18の直鎖又は分岐鎖アラルキル基、炭素数2〜12の直鎖又は分岐鎖アルケニル基、炭素数2〜12の直鎖又は分岐鎖アルキニル基、炭素数3〜12の直鎖又は分岐鎖シクロアルキル基、炭素数3〜12の直鎖又は分岐鎖シクロアルケニル基(以上の各基は分岐鎖を有するものが染料の溶解性及びインクの安定性を向上させる理由から好ましく、不斉炭素を有するものが特に好ましい。例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、sec−ブチル、t−ブチル、2−エチルヘキシル、2−メチルスルホニルエチル、3−フェノキシプロピル、トリフルオロメチル、シクロペンチル)、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子)、アリール基(例えば、フェニル、4−t−ブチルフェニル、2,4−ジ−t−アミルフェニル)、ヘテロ環基(例えば、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、2−フリル、2−チエニル、2−ピリミジニル、2−ベンゾチアゾリル)、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシ基、アミノ基、アルキルオキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、2−メトキシエトキシ、2−メチルスルホニルエトキシ)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ、2−メチルフェノキシ、4−t−ブチルフェノキシ、3−ニトロフェノキシ、3−t−ブチルオキシカルボニルフェノキシ、3−メトキシカルボニルフェニルオキシ)、アシルアミノ基(例えば、アセトアミド、ベンズアミド、4−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシフェノキシ)ブタンアミド)、アルキルアミノ基(例えば、メチルアミノ、ブチルアミノ、ジエチルアミノ、メチルブチルアミノ)、アリールアミノ基(例えば、フェニルアミノ、2−クロロアニリノ)、ウレイド基(例えば、フェニルウレイド、メチルウレイド、N,N−ジブチルウレイド)、スルファモイルアミノ基(例えば、N,N−ジプロピルスルファモイルアミノ)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ、オクチルチオ、2−フェノキシエチルチオ)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ、2−ブトキシ−5−t−オクチルフェニルチオ、2−カルボキシフェニルチオ)、アルキルオキシカルボニルアミノ基(例えば、メトキシカルボニルアミノ)、アルキルスルホニルアミノ基及びアリールスルホニルアミノ基(例えば、メチルスルホニルアミノ、フェニルスルホニルアミノ、p−トルエンスルホニルアミノ)、カルバモイル基(例えば、N−エチルカルバモイル、N,N−ジブチルカルバモイル)、スルファモイル基(例えば、N−エチルスルファモイル、N,N−ジプロピルスルファモイル、N−フェニルスルファモイル)、スルホニル基(例えば、メチルスルホニル、オクチルスルホニル、フェニルスルホニル、p−トルエンスルホニル)、アルキルオキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル、ブチルオキシカルボニル)、ヘテロ環オキシ基(例えば、1−フェニルテトラゾール−5−オキシ、2−テトラヒドロピラニルオキシ)、アゾ基(例えば、フェニルアゾ、4−メトキシフェニルアゾ、4−ピバロイルアミノフェニルアゾ、2−ヒドロキシ−4−プロパノイルフェニルアゾ)、アシルオキシ基(例えば、アセトキシ)、カルバモイルオキシ基(例えば、N−メチルカルバモイルオキシ、N−フェニルカルバモイルオキシ)、シリルオキシ基(例えば、トリメチルシリルオキシ、ジブチルメチルシリルオキシ)、アリールオキシカルボニルアミノ基(例えば、フェノキシカルボニルアミノ)、イミド基(例えば、N−スクシンイミド、N−フタルイミド)、ヘテロ環チオ基(例えば、2−ベンゾチアゾリルチオ、2,4−ジ−フェノキシ−1,3,5−トリアゾール−6−チオ、2−ピリジルチオ)、スルフィニル基(例えば、3−フェノキシプロピルスルフィニル)、ホスホニル基(例えば、フェノキシホスホニル、オクチルオキシホスホニル、フェニルホスホニル)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェノキシカルボニル)、アシル基(例えば、アセチル、3−フェニルプロパノイル、ベンゾイル)、イオン性親水性基(例えば、カルボキシル基、スルホ基、ホスホノ基及び4級アンモニウム基)が挙げられる。
【0040】
一般式(1)中、Rの好ましい置換基例を詳細に説明する。
【0041】
が表すアルキル基は、直鎖、分岐鎖、環状の置換もしくは無置換のアルキル基が含まれる。総炭素数は、1〜30であることが好ましく、さらに1〜12が好ましく、その中でも1〜8が特に好ましい。、置換基の例としては、ヒドロキシ基、アルコキシ基、シアノ基、およびハロゲン原子、スルホ基(塩の形でもよい) またはカルボキシル基(塩の形でもよい)が好ましい。前記アルキル基の例には、メチル、エチル、ブチル、t−ブチル、n−オクチル、エイコシル、2−クロロエチル、ヒドロキシエチル、シアノエチル、4−スルホブチル、シクロヘキシル、シクロペンチル、または4−n−ドデシルシクロヘキシルを挙げることが出来る。
【0042】
が表すアルケニル基は、直鎖、分岐、環状の置換もしくは無置換のアルケニル基が含まれる。総炭素数は、2〜30が好ましい。前記アルケニル基の例には、ビニル、アリル、プレニル、ゲラニル、オレイル、2−シクロペンテンー1−イル、2−シクロヘキセンー1−イルなどを挙げることが出来る。
【0043】
が表すアルキニル基は、総炭素数が、2〜30の置換又は無置換のアルキニル基が好ましい。前記アルキニル基の例には、エチニル、またはプロパルギルを挙げることが出来る。
【0044】
が表すアラルキル基は、総炭素数が、7〜30の置換もしくは無置換のアラルキル基が好ましい。前記アラルキル基の例にはベンジルまたは2−フェネチルを挙げることが出来る。
【0045】
が表すアリール基は、単環であっても縮合環であってもよく、総炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリール基が好ましく、更に総炭素数6〜18の置換もしくは無置換のアリール基が好ましく、特に総炭素数6〜12の置換もしくは無置換のアリール基が好ましい。前記アリール基の例にはフェニル、p−トリル、ナフチル、m−クロロフェニル、またはo−ヘキサデカノイルアミノフェニルを挙げることが出来る。
【0046】
が表すヘテロ環基は、環内にヘテロ原子(例えば、窒素原子、硫黄原子、酸素原子)を有するものであり、非芳香族(飽和)環であっても芳香族(不飽和)環であってもよい。また上記へテロ環は、単環であっても縮合環であってもよく、無置換であっても置換基を有していてもよい。更に上記へテロ環基は、5又は6員の置換もしくは無置換の、芳香族もしくは非芳香族のヘテロ環基が好ましく、特に好ましくは、炭素数3〜30の5もしくは6員の芳香族のヘテロ環基である。前記ヘテロ環基の例には、置換位置を限定しないで例示すると、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、ピリミジン、トリアジン、キノリン、イソキノリン、キナゾリン、シンノリン、フタラジン、キノキサリン、ピロール、インドール、フラン、ベンゾフラン、チオフェン、ベンゾチオフェン、ピラゾール、イミダゾール、ベンズイミダゾール、トリアゾール、オキサゾール、ベンズオキサゾール、チアゾール、ベンゾチアゾール、イソチアゾール、ベンズイソチアゾール、チアジアゾール、イソオキサゾール、ベンズイソオキサゾール、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、イミダゾリジン、チアゾリン、スルホランなどが挙げられる。
【0047】
が表すアシル基は、ホルミル基、炭素数2から30の置換又は無置換のアルキルカルボニル基、炭素数7から30の置換もしくは無置換のアリールカルボニル基、炭素数4から30の置換もしくは無置換の炭素原子でカルボニル基と結合しているヘテロ環カルボニル基が好ましい。上記アシル基としては、アセチル、ピバロイル、2−クロロアセチル、ステアロイル、ベンゾイル、p−n−オクチルオキシフェニルカルボニル、2―ピリジルカルボニル、2―フリルカルボニルなどが挙げられる。
が表すアルキルオキシカルボニル基は、炭素数2〜30の置換もしくは無置換アルキルオキシカルボニル基が好ましい。前記アルコキシカルボニル基としては、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、t−ブトキシカルボニル、n−オクタデシルオキシカルボニルなどが挙げられる。
【0048】
が表すアリールオキシカルボニル基は、炭素数7〜30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニル基が好ましい。前記アリールオキシカルボニル基としては、フェノキシカルボニル、o−クロロフェノキシカルボニル、m−ニトロフェノキシカルボニル、p−t−ブチルフェノキシカルボニルなどが挙げられる。
【0049】
が表すカルバモイル基は、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のカルバモイル基が好ましい。前記カルバモイル基としては、カルバモイル、N−メチルカルバモイル、N,N−ジメチルカルバモイル、N,N−ジ−n−オクチルカルバモイル、N−(メチルスルホニル)カルバモイルなどが挙げられる。
【0050】
が表すアルキルスルホニル基及びアリールスルホニル基は、炭素数1〜30の置換又は無置換のアルキルスルホニル基、6から30の置換又は無置換のアリールスルホニル基が好ましい。前記アルキル及びアリールスルホニル基としては、メチルスルホニル、エチルスルホニル、フェニルスルホニル、p−トルエンスルホニルなどが挙げられる。
【0051】
が表すスルファモイル基は、炭素数0〜30の置換もしくは無置換のスルファモイル基が好ましい。前記スルファモイル基としては、N−エチルスルファモイル、N−(3−ドデシルオキシプロピル)スルファモイル、N,N−ジメチルスルファモイル、N−アセチルスルファモイル、N−ベンゾイルスルファモイル、N−(N‘−フェニルカルバモイル)スルファモイル)などが挙げられる。
【0052】
一般式(1)中、Xは−CR=または窒素原子を表す。
【0053】
一般式(1)中、Xが−CR=を表す場合の、Rの好ましい置換基例を詳細に説明する。
【0054】
が一価の基を示す場合、一価の基としては、水素原子、または一価の置換基を表す。
【0055】
一価の置換基を更に詳しく説明する。この一価の置換基の例としては、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基(アルキルアミノ基、アリールアミノ基)、アシルアミノ基(アミド基)、アミノカルボニルアミノ基(ウレイド基)、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルファモイル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、シリル基、アゾ基、またはイミド基を挙げることができ、各々はさらに置換基を有していてもよい。
【0056】
中でも特に好ましいものは、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、アルコキシ基、アミド基、ウレイド基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、スルファモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、カルバモイル基、またはアルコキシカルボニル基であり、特に水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、シアノ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、またはヘテロ環基が好ましく、水素原子、アルキル基、アリール基、シアノ基、またはアルキルスルホニル基が最も好ましい。
【0057】
以下に、前記Rを更に詳しく説明する。
【0058】
で表されるハロゲン原子は、塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子を表す。中でも塩素原子、または臭素原子が好ましく、特に塩素原子が好ましい。
【0059】
で表されるアルキル基は、置換もしくは無置換のアルキル基が含まれる。
置換又は無置換のアルキル基は、炭素原子数が1〜30のアルキル基が好ましい。置換基の例としては、上記Rが更に置換基を有することが可能な基であるときに挙げたような置換基と同じものが挙げられる。
【0060】
中でも、ヒドロキシ基、アルコキシ基、シアノ基、およびハロゲン原子、スルホ基(塩の形でもよい) またはカルボキシル基(塩の形でもよい)が好ましい。前記アルキル基の例には、メチル、エチル、ブチル、t−ブチル、n−オクチル、エイコシル、2−クロロエチル、ヒドロキシエチル、シアノエチルまたは4−スルホブチルを挙げることが出来る。
【0061】
で表されるシクロアルキル基は、置換もしくは無置換のシクロアルキル基が含まれる。置換基又は無置換のシクロアルキル基は、炭素原子数が5〜30のシクロアルキル基が好ましい。置換基の例としては、上記Rが更に置換基を有することが可能な基であるときに挙げたような置換基と同じものが挙げられる。前記シクロアルキル基の例にはシクロヘキシル、シクロペンチル、または4−n−ドデシルシクロヘキシルを挙げることができる。
【0062】
で表されるアラルキル基は、置換もしくは無置換のアラルキル基が含まれる。置換もしくは無置換のアラルキル基としては、炭素原子数が7〜30のアラルキル基が好ましい。置換基の例としては、上記Rが更に置換基を有することが可能な基であるときに挙げたような置換基と同じものが挙げられる。前記アラルキルの例にはベンジルおよび2−フェネチルを挙げることが出来る。
【0063】
で表されるアルケニル基は、直鎖、分岐、環状の置換もしくは無置換のアルケニル基を表す。好ましくは炭素数2−30の置換又は無置換のアルケニル基、例えば、ビニル、アリル、プレニル、ゲラニル、オレイル、2−シクロペンテンー1−イル、2−シクロヘキセンー1−イルなどを挙げることが出来る。
【0064】
で表されるアルキニル基は、炭素数2から30の置換又は無置換のアルキニル基であり、例えば、エチニル、またはプロパルギルを挙げることが出来る。
【0065】
で表されるアリール基は、炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリール基、例えばフェニル、p−トリル、ナフチル、m−クロロフェニル、またはo−ヘキサデカノイルアミノフェニルである。置換基の例としては、上記Rが更に置換基を有することが可能な基であるときに挙げたような置換基と同じものが挙げられる。
【0066】
で表されるヘテロ環基は、5又は6員の置換もしくは無置換の、芳香族もしくは非芳香族のヘテロ環化合物から一個の水素原子を取り除いた一価の基であり、それらは更に縮環していてもよい。更に好ましくは、炭素数3から30の5もしくは6員の芳香族のヘテロ環基である。置換基の例としては、上記Rが更に置換基を有することが可能な基であるときに挙げたような置換基と同じものが挙げられる。前記ヘテロ環基の例には、置換位置を限定しないで例示すると、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、ピリミジン、トリアジン、キノリン、イソキノリン、キナゾリン、シンノリン、フタラジン、キノキサリン、ピロール、インドール、フラン、ベンゾフラン、チオフェン、ベンゾチオフェン、ピラゾール、イミダゾール、ベンズイミダゾール、トリアゾール、オキサゾール、ベンズオキサゾール、チアゾール、ベンゾチアゾール、イソチアゾール、ベンズイソチアゾール、チアジアゾール、イソオキサゾール、ベンズイソオキサゾール、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、イミダゾリジン、チアゾリンなどが挙げられる。
【0067】
で表されるアルコキシ基は、置換もしくは無置換のアルコキシ基が含まれる。置換もしくは無置換のアルコキシ基としては、炭素原子数が1〜30のアルコキシ基が好ましい。置換基の例としては、上記Rが更に置換基を有することが可能な基であるときに挙げたような置換基と同じものが挙げられる。前記アルコキシ基の例には、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、n−オクチルオキシ、メトキシエトキシ、ヒドロキシエトキシおよび3−カルボキシプロポキシなどを挙げることが出来る。
【0068】
で表されるアリールオキシ基は、炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリールオキシ基が好ましい。置換基の例としては、Rが更に置換基を有することが可能な基であるときに挙げたような置換基と同じものが挙げられる。前記アリールオキシ基の例には、フェノキシ、2−メチルフェノキシ、4−t−ブチルフェノキシ、3−ニトロフェノキシ、2−テトラデカノイルアミノフェノキシなどを挙げることが出来る。
【0069】
で表されるシリルオキシ基は、炭素数3から20のシリルオキシ基が好ましく、例えば、トリメチルシリルオキシ、t−ブチルジメチルシリルオキシなどを挙げることが出来る。
【0070】
で表されるで表されるヘテロ環オキシ基は、炭素数2から30の置換もしくは無置換のヘテロ環オキシ基が好ましい。置換基の例としては、Rが更に置換基を有することが可能な基であるときに挙げたような置換基と同じものが挙げられる。前記ヘテロ環オキシ基の例には、例えば、1−フェニルテトラゾールー5−オキシ、2−テトラヒドロピラニルオキシなどを挙げることが出来る。
【0071】
で表されるアシルオキシ基は、ホルミルオキシ基、炭素数2から30の置換もしくは無置換のアルキルカルボニルオキシ基、炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリールカルボニルオキシ基が好ましく、置換基の例としては、Rが更に置換基を有することが可能な基であるときに挙げたような置換基と同じものが挙げられる。前記アシルオキシ基の例には、例えば、ホルミルオキシ、アセチルオキシ、ピバロイルオキシ、ステアロイルオキシ、ベンゾイルオキシ、p−メトキシフェニルカルボニルオキシなどを挙げることが出来る。
【0072】
で表されるカルバモイルオキシ基は、炭素数1から30の置換もしくは無置換のカルバモイルオキシ基が好ましく、置換基の例としては、Rが更に置換基を有することが可能な基であるときに挙げたような置換基と同じものが挙げられる。前記カルバモイルオキシ基の例には、例えば、N,N−ジメチルカルバモイルオキシ、N,N−ジエチルカルバモイルオキシ、モルホリノカルボニルオキシ、N,N−ジ−n−オクチルアミノカルボニルオキシ、N−n−オクチルカルバモイルオキシなどを挙げることが出来る。
【0073】
で表されるアルコキシカルボニルオキシ基は、炭素数2から30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニルオキシ基が好ましく、置換基の例としては、Rが更に置換基を有することが可能な基であるときに挙げたような置換基と同じものが挙げられる。前記アルコキシカルボニルオキシ基の例には、例えばメトキシカルボニルオキシ、エトキシカルボニルオキシ、t−ブトキシカルボニルオキシ、n−オクチルカルボニルオキシなどを挙げることが出来る。
【0074】
で表されるで表されるアリールオキシカルボニルオキシ基は、炭素数7から30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニルオキシ基が好ましく、置換基の例としては、Rが更に置換基を有することが可能な基であるときに挙げたような置換基と同じものが挙げられる。前記アリールオキシカルボニルオキシ基の例には、例えば、フェノキシカルボニルオキシ、p−メトキシフェノキシカルボニルオキシ、p−n−ヘキサデシルオキシフェノキシカルボニルオキシなどを挙げることが出来る。
【0075】
で表されるアミノ基は、炭素数1から30の置換もしくは無置換のアルキルアミノ基、炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリールアミノ基が好ましく、置換基の例としては、Rが更に置換基を有することが可能な基であるときに挙げたような置換基と同じものが挙げられる。前記アミノ基の例には、例えば、アミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、アニリノ、N−メチル−アニリノ、ジフェニルアミノ、ヒドロキシエチルアミノ、カルボキシエチルアミノ、スルフォエチルアミノ、3,5−ジカルボキシアニリノなどを挙げることが出来る。
【0076】
で表されるアシルアミノ基は、ホルミルアミノ基、炭素数1から30の置換もしくは無置換のアルキルカルボニルアミノ基、炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリールカルボニルアミノ基が好ましく、置換基の例としては、Rが更に置換基を有することが可能な基であるときに挙げたような置換基と同じものが挙げられる。前記アシルアミノ基の例には、例えば、ホルミルアミノ、アセチルアミノ、ピバロイルアミノ、ラウロイルアミノ、ベンゾイルアミノ、3,4,5−トリ−n−オクチルオキシフェニルカルボニルアミノなどを挙げることが出来る。
【0077】
で表されるアミノカルボニルアミノ基は、炭素数1から30の置換もしくは無置換のアミノカルボニルアミノ基が好ましく、置換基の例としては、Rが更に置換基を有することが可能な基であるときに挙げたような置換基と同じものが挙げられる。前記アミノカルボニルアミノ基の例には、例えば、カルバモイルアミノ、N,N−ジメチルアミノカルボニルアミノ、N,N−ジエチルアミノカルボニルアミノ、モルホリノカルボニルアミノなどを挙げることが出来る。
【0078】
で表されるアルコキシカルボニルアミノ基は、炭素数2から30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニルアミノ基が好ましく、置換基の例としては、Rが更に置換基を有することが可能な基であるときに挙げたような置換基と同じものが挙げられる。前記アルコキシカルボニルアミノ基の例には、例えば、メトキシカルボニルアミノ、エトキシカルボニルアミノ、t−ブトキシカルボニルアミノ、n−オクタデシルオキシカルボニルアミノ、N−メチルーメトキシカルボニルアミノなどを挙げることが出来る。
【0079】
で表されるアリールオキシカルボニルアミノ基は、炭素数7から30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニルアミノ基が好ましく、置換基の例としては、Rが更に置換基を有することが可能な基であるときに挙げたような置換基と同じものが挙げられる。前記アリールオキシカルボニルアミノ基の例には、例えば、フェノキシカルボニルアミノ、p−クロロフェノキシカルボニルアミノ、m−n−オクチルオキシフェノキシカルボニルアミノなどを挙げることが出来る。
【0080】
で表されるスルファモイルアミノ基は、炭素数0から30の置換もしくは無置換のスルファモイルアミノ基が好ましく、置換基の例としては、Rが更に置換基を有することが可能な基であるときに挙げたような置換基と同じものが挙げられる。前記スルファモイルアミノ基の例には、例えば、スルファモイルアミノ、N,N−ジメチルアミノスルホニルアミノ、N−n−オクチルアミノスルホニルアミノなどを挙げることが出来る。
【0081】
で表されるアルキル及びアリールスルホニルアミノ基は、炭素数1から30の置換もしくは無置換のアルキルスルホニルアミノ基、炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリールスルホニルアミノ基が好ましく、置換基の例としては、Rが更に置換基を有することが可能な基であるときに挙げたような置換基と同じものが挙げられる。前記アルキルスルホニルアミノ基及びアリールスルホニルアミノ基の例には、例えば、メチルスルホニルアミノ、ブチルスルホニルアミノ、フェニルスルホニルアミノ、2,3,5−トリクロロフェニルスルホニルアミノ、p−メチルフェニルスルホニルアミノなどを挙げることが出来る。
【0082】
で表されるアルキルチオ基は、炭素数1から30の置換もしくは無置換のアルキルチオ基が好ましく、置換基の例としては、Rが更に置換基を有することが可能な基であるときに挙げたような置換基と同じものが挙げられる。前記アルキルチオ基の例には、例えばメチルチオ、エチルチオ、n−ヘキサデシルチオなどを挙げることが出来る。
【0083】
で表されるアリールチオ基は、炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリールチオ基が好ましく、置換基の例としては、Rが更に置換基を有することが可能な基であるときに挙げたような置換基と同じものが挙げられる。前記アリールチオ基の例には、例えば、フェニルチオ、p−クロロフェニルチオ、m−メトキシフェニルチオなどを挙げることが出来る。
【0084】
で表されるヘテロ環チオ基は、炭素数2から30の置換又は無置換のヘテロ環チオ基が好ましく、置換基の例としては、Rが更に置換基を有することが可能な基であるときに挙げたような置換基と同じものが挙げられる。前記ヘテロ環チオ基の例には、例えば、2−ベンゾチアゾリルチオ、1−フェニルテトラゾール−5−イルチオなどを挙げることが出来る。
【0085】
で表されるスルファモイル基は、炭素数0から30の置換もしくは無置換のスルファモイル基が好ましく、置換基の例としては、Rが更に置換基を有することが可能な基であるときに挙げたような置換基と同じものが挙げられる。前記スルファモイル基の例には、例えば、N−エチルスルファモイル、N−(3−ドデシルオキシプロピル)スルファモイル、N,N−ジメチルスルファモイル、N−アセチルスルファモイル、N−ベンゾイルスルファモイル、N−(N‘−フェニルカルバモイル)スルファモイル)などを挙げることが出来る。
【0086】
で表されるアルキル及びアリールスルフィニル基は、炭素数1から30の置換又は無置換のアルキルスルフィニル基、6から30の置換又は無置換のアリールスルフィニル基が好ましく、置換基の例としては、Rが更に置換基を有することが可能な基であるときに挙げたような置換基と同じものが挙げられる。前記アルキル及びアリールスルフィニル基の例には、例えば、メチルスルフィニル、エチルスルフィニル、フェニルスルフィニル、p−メチルフェニルスルフィニルなどを挙げることが出来る。
【0087】
で表されるアルキル及びアリールスルホニル基は、炭素数1から30の置換又は無置換のアルキルスルホニル基、6から30の置換又は無置換のアリールスルホニル基が好ましく、置換基の例としては、Rが更に置換基を有することが可能な基であるときに挙げたような置換基と同じものが挙げられる。前記アルキル及びアリールスルホニル基の例には、例えば、メチルスルホニル、エチルスルホニル、フェニルスルホニル、p−トルエンスルホニルなどを挙げることが出来る。
【0088】
で表されるアシル基は、ホルミル基、炭素数2から30の置換又は無置換のアルキルカルボニル基、炭素数7から30の置換もしくは無置換のアリールカルボニル基、炭素数4から30の置換もしくは無置換の炭素原子でカルボニル基と結合しているヘテロ環カルボニル基が好ましく、置換基の例としては、Rが更に置換基を有することが可能な基であるときに挙げたような置換基と同じものが挙げられる。前記アシル基の例には、例えば、アセチル、ピバロイル、2−クロロアセチル、ステアロイル、ベンゾイル、p−n−オクチルオキシフェニルカルボニル、2―ピリジルカルボニル、2―フリルカルボニルなどを挙げることが出来る。
【0089】
で表されるアリールオキシカルボニル基は、炭素数7から30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニル基が好ましく、置換基の例としては、Rが更に置換基を有することが可能な基であるときに挙げたような置換基と同じものが挙げられる。前記アリールオキシカルボニル基の例には、例えば、フェノキシカルボニル、o−クロロフェノキシカルボニル、m−ニトロフェノキシカルボニル、p−t−ブチルフェノキシカルボニルなどを挙げることが出来る。
【0090】
で表されるアルコキシカルボニル基は、炭素数2から30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニル基が好ましく、置換基の例としては、Rが更に置換基を有することが可能な基であるときに挙げたような置換基と同じものが挙げられる。前記アルコキシカルボニル基の例には、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、t−ブトキシカルボニル、n−オクタデシルオキシカルボニルなどを挙げることが出来る。
【0091】
で表されるカルバモイル基は、炭素数1から30の置換もしくは無置換のカルバモイル基が好ましく、置換基の例としては、Rが更に置換基を有することが可能な基であるときに挙げたような置換基と同じものが挙げられる。前記カルバモイル基の例には、例えば、カルバモイル、N−メチルカルバモイル、N,N−ジメチルカルバモイル、N,N−ジ−n−オクチルカルバモイル、N−(メチルスルホニル)カルバモイルなどを挙げることが出来る。
【0092】
で表されるホスフィノ基は、炭素数2から30の置換もしくは無置換のホスフィノ基が好ましく、置換基の例としては、Rが更に置換基を有することが可能な基であるときに挙げたような置換基と同じものが挙げられる。前記ホスフィノ基の例には、例えば、ジメチルホスフィノ、ジフェニルホスフィノ、メチルフェノキシホスフィノなどを挙げることが出来る。
【0093】
で表されるホスフィニル基は、炭素数2から30の置換もしくは無置換のホスフィニル基が好ましく、置換基の例としては、Rが更に置換基を有することが可能な基であるときに挙げたような置換基と同じものが挙げられる。前記ホスフィニル基の例には、例えば、ホスフィニル、ジオクチルオキシホスフィニル、ジエトキシホスフィニルなどを挙げることが出来る。
【0094】
で表されるホスフィニルオキシ基は、炭素数2から30の置換もしくは無置換のホスフィニルオキシ基が好ましく、置換基の例としては、Rが更に置換基を有することが可能な基であるときに挙げたような置換基と同じものが挙げられる。前記ホスフィニルオキシ基の例には、例えば、ジフェノキシホスフィニルオキシ、ジオクチルオキシホスフィニルオキシなどを挙げることが出来る。
【0095】
で表されるホスフィニルアミノ基は、炭素数2から30の置換もしくは無置換のホスフィニルアミノ基が好ましく、置換基の例としては、Rが更に置換基を有することが可能な基であるときに挙げたような置換基と同じものが挙げられる。前記ホスフィニルアミノ基の例には、例えば、ジメトキシホスフィニルアミノ、ジメチルアミノホスフィニルアミノなどを挙げることが出来る。
【0096】
で表されるシリル基は、炭素数3から30の置換もしくは無置換のシリル基が好ましく、置換基の例としては、Rが更に置換基を有することが可能な基であるときに挙げたような置換基と同じものが挙げられる。前記シリル基の例には、例えば、トリメチルシリル、t−ブチルジメチルシリル、フェニルジメチルシリルなどを挙げることが出来る。
【0097】
で表されるアゾ基は、例えば、フェニルアゾ、4−メトキシフェニルアゾ、4−ピバロイルアミノフェニルアゾ、2−ヒドロキシ−4−プロパノイルフェニルアゾなどを挙げることが出来る。
【0098】
で表されるイミド基は、例えば、N−スクシンイミド、N−フタルイミドなどを挙げることが出来る。
【0099】
が二価の基を示す場合、二価の基としては、アルキレン基(例、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン)、アルケニレン基(例、エテニレン、プロぺニレン)、アルキニレン基(例、エチニレン、プロピニレン)、アリーレン基(例、フェニレン、ナフチレン)、二価のヘテロ環基(例、6ークロロー1、3、5ートリアジンー2、4ージイル基、ピリミジンー2、4ージイル基、ピリミジンー4、6ージイル基、キノキサリンー2、3ージイル基、ピリダジンー3,6−ジイル)、−O−、−CO−、−NR’−(R’は水素原子、アルキル基又はアリール基)、−S−、−SO−、−SO−又はこれらの組み合わせ(例えば−NHCHCHNH−、−NHCONH−等)であることが好ましい。
【0100】
更に、上記アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、アリーレン基、二価のヘテロ環基、Rのアルキル基又はアリール基は、置換基を有していてもよい。
【0101】
置換基の例としては、Rで説明したの置換基と同義である。
【0102】
上記R’のアルキル基およびアリール基は、Rの置換基例と同義である。
【0103】
さらに好ましくは、炭素数10以下のアルキレン基、炭素数10以下のアルケニレン基、炭素数10以下のアルキニレン基、炭素数6以上10以下のアリーレン基、二価のヘテロ環基、−S−、−SO−、―SO−又はこれらの組み合わせ(例えば−SCHCHS−、−SCHCHCHS−等)であることがさらに好ましい。
【0104】
二価の連結基の総炭素数は0〜50であることが好ましく、0〜30であることがより好ましく、0〜10であることが最も好ましい。
【0105】
が三価の基を示す場合、三価の基としては、3価の炭化水素基、三価のヘテロ環基、>N−、又はこれと2価の基の組み合わせ(例えば>NCHCHNH−、>NCONH−等)であることが好ましい。
【0106】
三価の連結基の総炭素数は0〜50であることが好ましく、0〜30であることがより好ましく、0〜10であることが最も好ましい。
【0107】
一般式(1)中のXは、Rが水素原子、アルキル基、アリール基、シアノ基、炭素数1〜12のアルキルスルホニル基、炭素数6〜18のアリールスルホニル基、または炭素数0〜12のスルファモイル基である場合の−CR=基及び窒素原子であることが好ましく、更にRが水素原子、アルキル基、アリール基、シアノ基、炭素数1〜12のアルキルスルホニル基、または炭素数0〜12のスルファモイル基である場合の−CR=基及び窒素原子であることが好ましく、その中でもRが水素原子、アルキル基、アリール基、シアノ基、または炭素数1〜12のアルキルスルホニル基である場合の−CR=基及び窒素原子であることが好ましく、特にRが水素原子、アルキル基である場合の−CR=基が最も好ましい。
【0108】
は、−CR=または窒素原子を表す。
【0109】
が−CR=を表す場合の、Rの好ましい置換基例を詳細に説明する。
【0110】
は、水素原子または置換基を表す。Rが置換基を表す場合は、それらの基は更に置換基を有していても良い。
【0111】
一般式(1)中、Xが−CR=を表す場合の、Rの好ましい置換基例を詳細に説明する。
【0112】
は、水素原子または置換基を表す。
【0113】
が置換基を表す場合は、上記一般式(1)中のRの特に好ましい例は、ハメットの置換基定数σp値が0.20以上の電子吸引性基であり、より好ましくは、σp値が0.30以上の電子吸引性基であることが好ましい。上限としては1.0以下の電子吸引性基である。
【0114】
σp値が0.20以上の電子吸引性基であるRの具体例としては、アシル基、アシルオキシ基、カルバモイル基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、シアノ基、ニトロ基、ジアルキルホスホノ基、ジアリールホスホノ基、ジアリールホスフィニル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルホニルオキシ基、アシルチオ基、スルファモイル基、チオシアネート基、チオカルボニル基、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アルコキシ基、ハロゲン化アリールオキシ基、ハロゲン化アルキルアミノ基、ハロゲン化アルキルチオ基、σp値が0.20以上の他の電子吸引性基で置換されたアリール基、ヘテロ環基、ハロゲン原子、アゾ基、又はセレノシアネート基が挙げられる。
【0115】
の好ましいものとしては、炭素数2〜12のアシル基、炭素数2〜12のアシルオキシ基、炭素数1〜12のカルバモイル基、炭素数2〜12のアルキルオキシカルボニル基、炭素数7〜18のアリールオキシカルボニル基、シアノ基、ニトロ基、炭素数1〜12のアルキルスルフイニル基、炭素数6〜18のアリールスルフイニル基、炭素数1〜12のアルキルスルホニル基、炭素数6〜18のアリールスルホニル基、炭素数0〜12のスルファモイル基、炭素数1〜12のハロゲン化アルキル基、炭素数1〜12のハロゲン化アルキルオキシ基、炭素数1〜12のハロゲン化アルキルチオ基、炭素数7〜18のハロゲン化アリールオキシ基、2つ以上のσp0.20以上の他の電子吸引性基で置換された炭素数7〜18のアリール基、及び窒素原子、酸素原子、またはイオウ原子を有する5〜8員環で炭素数1〜18のヘテロ環基を挙げることができる。
【0116】
更に好ましくは、シアノ基、炭素数1〜12のアルキルスルホニル基、炭素数6〜18のアリールスルホニル基、または炭素数0〜12のスルファモイル基である。
【0117】
として特に好ましいものは、シアノ基、炭素数1〜12のアルキルスルホニル基、または炭素数0〜12のスルファモイル基であり、最も好ましいものは、シアノ基、または炭素数1〜12のアルキルスルホニル基である。
【0118】
一般式(1)中のXは、Rがシアノ基、炭素数1〜12のアルキルスルホニル基、炭素数6〜18のアリールスルホニル基、または炭素数0〜12のスルファモイル基である場合の−CR=基及び窒素原子であることが好ましく、更にRがシアノ基、炭素数1〜12のアルキルスルホニル基、または炭素数0〜12のスルファモイル基である場合の−CR=基及び窒素原子であることが好ましく、その中でもRがシアノ基、または炭素数1〜12のアルキルスルホニル基である場合の−CR=基及び窒素原子であることが好ましく、特にRがシアノ基である場合の−CR=基が最も好ましい。
【0119】
Aは、下記一般式(2)中の一価の置換基の群から選ばれる、置換基を有していても良い、いずれかの基を表す。
一般式(2)
【0120】
【化10】

【0121】
【化11】

【0122】
【化12】

【0123】
一般式(2)で表される一価の置換基の群(A−1)〜(A−42)中、R11〜R115は、それぞれ独立に水素原子または置換基を表す。
【0124】
ここでの置換基は、上述Rの置換基の項で挙げた基と同義である。
【0125】
また、(A−12)中のQ、(A−41)中のQおよび(A−42)中のQは各々窒素原子と共に5員環〜7員環の炭化水素環、ヘテロ環を形成するのに必要な非金属原子群を表す。
【0126】
Rは置換基を表す。
【0127】
ここでの置換基は、上述Rの置換基の項で挙げた基と同義である。
【0128】
rは0〜4の整数を表す。
【0129】
置換基Rが複数個存在する時は、Rはそれぞれ独立に同じであっても異なっていても良い。
【0130】
が−CR=を表すときは、RとR、及びまたは、Xが−CR=を表すときはRとR、は互いに結合して5〜7員環を形成しても良い。
【0131】
、R、R、Aを介して色素が2量体、3量体を形成しても良い。
【0132】
一般式(1)で表される色素の好ましい形態は、単量体から多量体の制約はないが、好ましくは単量体〜3量体がであり、更に単量体〜2量体が好ましく、その中でも特に2量体が最も好ましい。
【0133】
以下、一般式(3)について詳細に説明する。
【0134】
一般式(3)
【0135】
【化13】

【0136】
一般式(3)中、R、R、Rは、上記一般式(1)中のR、R、Rと同義であり好ましい例も同じである。
【0137】
一般式(3)中、Aは、上記一般式(2)中の一価の置換基群から選ばれる、置換基を有していても良い、いずれかの基を表す。その中でも(A−3)、(A−5)、(A−6)、(A−7)、(A−18)、(A−27)、(A−41)、または(A−42)が好ましく、更に(A−3)、(A−6)、(A−18)、(A−27)、または(A−41)が好ましく、特に(A−3)、(A−6)、(A−18)、または(A−41)が好ましく、(A−3)、(A−6)、または(A−41)が最も好ましい。
【0138】
本発明の一般式(3)で表される色素の好ましい置換基の組み合わせについては、種々の置換基の少なくとも1つが前記の好ましい基である化合物が好ましく、より多くの種々の置換基が前記好ましい基である化合物がより好ましく、全ての置換基が前記好ましい基である化合物が最も好ましい。
【0139】
本発明の一般式(3)で表される色素として特に好ましい組み合わせは、以下の(イ)〜(ニ)を含むものである。
【0140】
(イ)Rの好ましい例は、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアルケニル基、置換もしくは無置換のアルキニル基、置換もしくは無置換のアラルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のヘテロ環基、置換もしくは無置換のアシル基、置換もしくは無置換のアルキルオキシカルボニル基、置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニル基、置換もしくは無置換のカルバモイル基、置換もしくは無置換のアルキルスルホニル基、置換もしくは無置換のアリールスルホニル基、または置換もしくは無置換のスルファモイル基を示す。その中でも置換アルキル基、置換アルケニル基、置換アルキニル基、置換アラルキル基、置換アリール基、または置換ヘテロ環基が好ましく、更に、置換アルキル基、置換アリール基、または置換ヘテロ環基が好ましく、特に置換アリール基、または置換へテロ環基が好ましく、イオン性親水性基を置換基として有するへテロ環基が最も好ましい。
【0141】
(ロ)Rの好ましい例は、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、アルコキシ基、アミド基、ウレイド基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、スルファモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、カルバモイル基、またはアルコキシカルボニル基であり、その中でも水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、シアノ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、またはヘテロ環基が好ましく、更に水素原子、アルキル基、アリール基、シアノ基、またはアルキルスルホニル基が好ましく、特に水素原子、またはアルキル基(例えばメチル基、エチル基)が最も好ましい。
【0142】
(ハ)Rの好ましい例は、炭素数2〜12のアシル基、炭素数2〜12のアシルオキシ基、炭素数1〜12のカルバモイル基、炭素数2〜12のアルキルオキシカルボニル基、炭素数7〜18のアリールオキシカルボニル基、シアノ基、ニトロ基、炭素数1〜12のアルキルスルフイニル基、炭素数6〜18のアリールスルフイニル基、炭素数1〜12のアルキルスルホニル基、炭素数6〜18のアリールスルホニル基、炭素数0〜12のスルファモイル基、炭素数1〜12のハロゲン化アルキル基、炭素数1〜12のハロゲン化アルキルオキシ基、炭素数1〜12のハロゲン化アルキルチオ基、炭素数7〜18のハロゲン化アリールオキシ基、2つ以上のσp0.20以上の他の電子吸引性基で置換された炭素数7〜18のアリール基、及び窒素原子、酸素原子、またはイオウ原子を有する5〜8員環で炭素数1〜18のヘテロ環基を挙げることができる。その中でも、シアノ基、炭素数1〜12のアルキルスルホニル基、炭素数6〜18のアリールスルホニル基、または炭素数0〜12のスルファモイル基が好ましく、更に、シアノ基、炭素数1〜12のアルキルスルホニル基、または炭素数0〜12のスルファモイル基が好ましく、特にシアノ基、または炭素数1〜12のアルキルスルホニル基が好ましく、シアノ基が最も好ましい。
【0143】
(ニ)Aの好ましい例は、前記一般式(2)中の一価の置換基群から選ばれる、置換基を有していても良い、いずれかの基を表す。その中でも(A−3)、(A−5)、(A−6)、(A−7)、(A−18)、(A−27)、(A−41)、または(A−42)が好ましく、更に(A−3)、(A−6)、(A−18)、(A−27)、または(A−41)が好ましく、特に(A−3)、(A−6)、(A−18)、または(A−41)が好ましく、(A−3)、(A−6)、または(A−41)が最も好ましい。
【0144】
以下、一般式(4)について詳細に説明する。
一般式(4)
【0145】
【化14】

【0146】
一般式(4)中、R、Rは、上記一般式(1)中のR、Rと同義であり好ましい例も同じである。
【0147】
一般式(4)中、Aは、上記一般式(2)中の一価の置換基群から選ばれる、置換基を有していても良い、いずれかの基を表す。その中でも(A−3)、(A−5)、(A−6)、(A−7)、(A−18)、(A−27)、(A−41)、または(A−42)が好ましく、更に(A−3)、(A−6)、(A−18)、(A−27)、または(A−41)が好ましく、特に(A−3)、(A−6)、(A−18)、または(A−41)が好ましく、(A−3)、(A−6)、または(A−41)が最も好ましい。
【0148】
本発明の一般式(4)で表される色素の好ましい置換基の組み合わせについては、種々の置換基の少なくとも1つが前記の好ましい基である化合物が好ましく、より多くの種々の置換基が前記好ましい基である化合物がより好ましく、全ての置換基が前記好ましい基である化合物が最も好ましい。
【0149】
本発明の一般式(4)で表される色素として特に好ましい組み合わせは、以下の(イ)〜(ハ)を含むものである。
【0150】
(イ)Rの好ましい例は、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアルケニル基、置換もしくは無置換のアルキニル基、置換もしくは無置換のアラルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のヘテロ環基、置換もしくは無置換のアシル基、置換もしくは無置換のアルキルオキシカルボニル基、置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニル基、置換もしくは無置換のカルバモイル基、置換もしくは無置換のアルキルスルホニル基、置換もしくは無置換のアリールスルホニル基、または置換もしくは無置換のスルファモイル基を示す。その中でも置換アルキル基、置換アルケニル基、置換アルキニル基、置換アラルキル基、置換アリール基、または置換ヘテロ環基が好ましく、更に、置換アルキル基、置換アリール基、または置換ヘテロ環基が好ましく、特に置換アリール基、置換へテロ環基が好ましく、イオン性親水性基を置換基として有するへテロ環基が最も好ましい。
【0151】
(ロ)Rの好ましい例は、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、アルコキシ基、アミド基、ウレイド基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、スルファモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、カルバモイル基、またはアルコキシカルボニル基であり、その中でも水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、シアノ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、またはヘテロ環基が好ましく、水素原子、アルキル基、アリール基、シアノ基、またはアルキルスルホニル基がより好ましく、特に水素原子、またはアルキル基が更に好ましく、水素原子が最も好ましい。
【0152】
(ハ)Aの好ましい例は、前記一般式(2)中の一価の置換基群から選ばれる、置換基を有していても良い、いずれかの基を表す。その中でも(A−3)、(A−5)、(A−6)、(A−7)、(A−18)、(A−27)、(A−41)、または(A−42)が好ましく、更に(A−3)、(A−6)、(A−18)、(A−27)、または(A−41)が好ましく、特に(A−3)、(A−6)、(A−18)、または(A−41)が好ましく、(A−3)、(A−6)、(A−41)が最も好ましい。
【0153】
以下、一般式(5)について詳細に説明する。
一般式(5)
【0154】
【化15】

【0155】
一般式(5)中、R、Rは、上記一般式(1)中のR、Rと同義であり好ましい例も同じである。
【0156】
一般式(5)中、Aは、上記一般式(2)中の一価の置換基群から選ばれる、置換基を有していても良い、いずれかの基を表す。その中でも(A−3)、(A−5)、(A−6)、(A−7)、(A−18)、(A−27)、(A−41)、または(A−42)が好ましく、(A−3)、(A−6)、(A−18)、(A−27)、または(A−41)がより好ましく、(A−3)、(A−6)、(A−18)、または(A−41)が更に好ましく、(A−18)、または(A−41)が特に好ましく、(A−18)が最も好ましい。
【0157】
本発明の一般式(5)で表される色素の好ましい置換基の組み合わせについては、種々の置換基の少なくとも1つが前記の好ましい基である化合物が好ましく、より多くの種々の置換基が前記好ましい基である化合物がより好ましく、全ての置換基が前記好ましい基である化合物が最も好ましい。
【0158】
本発明の一般式(5)で表される色素として特に好ましい組み合わせは、以下の(イ)〜(ハ)を含むものである。
【0159】
(イ)Rの好ましい例は、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアルケニル基、置換もしくは無置換のアルキニル基、置換もしくは無置換のアラルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のヘテロ環基、置換もしくは無置換のアシル基、置換もしくは無置換のアルキルオキシカルボニル基、置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニル基、置換もしくは無置換のカルバモイル基、置換もしくは無置換のアルキルスルホニル基、置換もしくは無置換のアリールスルホニル基、または置換もしくは無置換のスルファモイル基を示す。その中でも置換アルキル基、置換アルケニル基、置換アルキニル基、置換アラルキル基、置換アリール基、または置換ヘテロ環基が好ましく、更に、置換アルキル基、置換アリール基、または置換ヘテロ環基が好ましく、特に置換アリール基、または置換へテロ環基が好ましく、イオン性親水性基を置換基として有するアリール基が最も好ましい。
【0160】
(ロ)Rの好ましい例は、炭素数2〜12のアシル基、炭素数2〜12のアシルオキシ基、炭素数1〜12のカルバモイル基、炭素数2〜12のアルキルオキシカルボニル基、炭素数7〜18のアリールオキシカルボニル基、シアノ基、ニトロ基、炭素数1〜12のアルキルスルフイニル基、炭素数6〜18のアリールスルフイニル基、炭素数1〜12のアルキルスルホニル基、炭素数6〜18のアリールスルホニル基、炭素数0〜12のスルファモイル基、炭素数1〜12のハロゲン化アルキル基、炭素数1〜12のハロゲン化アルキルオキシ基、炭素数1〜12のハロゲン化アルキルチオ基、炭素数7〜18のハロゲン化アリールオキシ基、2つ以上のσp0.20以上の他の電子吸引性基で置換された炭素数7〜18のアリール基、及び窒素原子、酸素原子、またはイオウ原子を有する5〜8員環で炭素数1〜18のヘテロ環基を挙げることができる。その中でも、シアノ基、炭素数1〜12のアルキルスルホニル基、炭素数6〜18のアリールスルホニル基、または炭素数0〜12のスルファモイル基が好ましく、更に、シアノ基、炭素数1〜12のアルキルスルホニル基、または炭素数0〜12のスルファモイル基が好ましく、特にシアノ基、または炭素数1〜12のアルキルスルホニル基が好ましく、シアノ基が最も好ましい。
【0161】
(ハ)Aの好ましい例は、前記一般式(2)中の一価の置換基群から選ばれる、置換基を有していても良い、いずれかの基を表す。その中でも(A−3)、(A−5)、(A−6)、(A−7)、(A−18)、(A−27)、(A−41)、または(A−42)が好ましく、(A−3)、(A−6)、(A−18)、(A−27)、または(A−41)がより好ましく、(A−3)、(A−6)、(A−18)、または(A−41)が更に好ましく、(A−18)、または(A−41)が特に好ましく、(A−18)が最も好ましい。
【0162】
以下、一般式(6)について詳細に説明する。
一般式(6)
【0163】
【化16】

【0164】
一般式(6)中、R、Rは、上記一般式(1)中のR、Rと同義であり好ましい例も同じである。
【0165】
一般式(6)中、Aは、上記一般式(2)中の一価の置換基群から選ばれる、置換基を有していても良い、いずれかの基を表す。その中でも(A−3)、(A−5)、(A−6)、(A−7)、(A−18)、(A−27)、(A−41)、または(A−42)が好ましく、(A−3)、(A−6)、(A−18)、(A−27)、または(A−41)がより好ましく、特に(A−3)、(A−6)、(A−18)、または(A−41)が更に好ましく、(A−18)、または(A−41)が特に好ましく、(A−18)が最も好ましい。
【0166】
本発明の一般式(6)で表される色素の好ましい置換基の組み合わせについては、種々の置換基の少なくとも1つが前記の好ましい基である化合物が好ましく、より多くの種々の置換基が前記好ましい基である化合物がより好ましく、全ての置換基が前記好ましい基である化合物が最も好ましい。
【0167】
本発明の一般式(6)で表される色素として特に好ましい組み合わせは、以下の(イ)〜(ハ)を含むものである。
【0168】
(イ)Rの好ましい例は、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアルケニル基、置換もしくは無置換のアルキニル基、置換もしくは無置換のアラルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のヘテロ環基、置換もしくは無置換のアシル基、置換もしくは無置換のアルキルオキシカルボニル基、置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニル基、置換もしくは無置換のカルバモイル基、置換もしくは無置換のアルキルスルホニル基、置換もしくは無置換のアリールスルホニル基、または置換もしくは無置換のスルファモイル基を示す。その中でも置換アルキル基、置換アルケニル基、置換アルキニル基、置換アラルキル基、置換アリール基、または置換ヘテロ環基が好ましく、更に、置換アルキル基、置換アリール基、または置換ヘテロ環基が好ましく、特に置換アリール基、または置換へテロ環基が好ましく、イオン性親水性基を置換基として有するアリール基が最も好ましい。
【0169】
(ロ)Rの好ましい例は、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、アルコキシ基、アミド基、ウレイド基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、スルファモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、カルバモイル基、アルキルチオ基またはアルコキシカルボニル基であり、その中でも水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、シアノ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アルキルチオ基またはヘテロ環基が好ましく、更に水素原子、アルキル基、アリール基、シアノ基、アルキルチオ基またはアルキルスルホニル基が好ましく、特にアルキルチオ基が最も好ましい。
【0170】
(ハ)Aの好ましい例は、前記一般式(2)中の一価の置換基群から選ばれる、置換基を有していても良い、いずれかの基を表す。その中でも(A−3)、(A−5)、(A−6)、(A−7)、(A−18)、(A−27)、(A−41)、または(A−42)が好ましく、(A−3)、(A−6)、(A−18)、(A−27)、または(A−41)がより好ましく、特に(A−3)、(A−6)、(A−18)、または(A−41)が更に好ましく、(A−18)、または(A−41)が特に好ましく、(A−18)が最も好ましい。
【0171】
前記一般式(1)で表される色素の中でも、本発明の効果の観点から、下記一般式(2−1)で表される色素がより好ましい。
一般式(2−1)
【0172】
【化17】

【0173】
前記一般式(2−1)中、R、R、およびXは、上記の一般式(1)中のR、R、およびXと同義であり、各々の好ましい例も同じである。
【0174】
一般式(2−1)中において、Bは−CR=または窒素原子を、Bは−CR=または窒素原子を表し、BおよびBは同時に窒素原子を表すことはない。RおよびRは、水素原子または置換基を表す。一般式(2−1)において、RとR、Xが−CR=を表す場合はRとR、Bが−CR=を表し且つBが−CR=を表す場合はRとR、およびBが−CR=を表す場合はRとGは、互いに結合して5員環〜7員環を形成してもよい。
【0175】
前記RまたはRで表される置換基は、上述の一般式(1)が表すRが更に置換基を有することが可能な基であるときに挙げた置換基と同義であって、置換可能な基であればよい。
【0176】
本発明の効果をより効果的に奏する点から、RおよびRは各々、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アシルアミノ基、アルキルオキシ基、アルキルオキシカルボニル基、カルバモイル基、スルファモイル基、アルキルスルホンアミド基、アリールスルホンアミド基、アミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、ヘテロ環アミノ基、ヒドロキシ基、シアノ基、スルホ基、またはカルボキシル基を表す場合が好ましく、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、ヘテロ環アミノ基、アラルキル基、またはシアノ基を表す場合がより好ましい。
【0177】
一般式(2−1)において、Bは−CR=を、Bは−CR=または窒素原子を表す場合が好ましく、Bが−CR=を、Bは−CR=を表す場合及びまたはBが−CR=を、Bは窒素原子を表す場合がより好ましい。
【0178】
が−CR=を、Bが−CR=を表すときには、Rはアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基を表す場合が好ましく、特に、Rがアルキル基を表し、Rが水素原子またはシアノ基を表す場合が好ましく、その中でもRがアルキル基を表し、Rがシアノ基を表す場合が最も好ましい。
【0179】
が−CR=を、Bが窒素原子を表すときには、Rはアルキルアミノ基、アリールアミノ基、ヘテロ環アミノ基を表す場合が好ましく、特に、Rがアルキルアミノ基、アリールアミノ基を場合が好ましく、その中でもRがアルキルアミノ基を表す場合が最も好ましい。
【0180】
前記一般式(2−1)中において、GおよびGは各々独立に、水素原子または置換基を表す。GまたはGで表される置換基は、上述の一般式(1)が表すRが更に置換基を有することが可能な基であるときに挙げた置換基と同義であって、置換可能な基であればよい。
【0181】
およびGとしては各々、本発明の効果をより効果的に奏する点から、水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アルキルスルホンアミド基、アリールスルホンアミド基、ヘテロ環スルホンアミド基、アミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、ヘテロ環アミノ基、アルキルオキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、ヘテロ環オキシカルボニルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヒドロキシ基、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、カルバモイルアミノ基、スルファモイルアミノ基、またはハロゲン原子を表す場合が好ましく、水素原子、アルキル基、ヘテロ環基、アシルアミノ基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、アルキルスルホンアミド基、アリールスルホンアミド基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、ヘテロ環アミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、またはハロゲン原子を表す場合がより好ましく、アルキルオキシ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、またはアルキルチオ基を表す場合が最も好ましく、さらにGおよびGの両方が、各々独立にアルキルアミノ基、アリールアミノ基またはヘテロ環アミノ基を表す態様が好ましい。
【0182】
とR、RとR、RとRおよびRとGは互いに結合して5〜7員環(芳香環であっても非芳香環であってもよく、炭素環であってもヘテロ環であってもよく、例えばベンゼン環、ピリジン環など)を形成してもよい。
【0183】
本発明においては、下記一般式(3−1)または下記一般式(3−2)で表される色素(アゾ染料)が特に好ましい。
一般式(3−1)
【0184】
【化18】

【0185】
前記一般式(3−1)において、R、R、R、R、X、G、およびGは、上述の一般式(2−1)におけるR、R、R、R、X、G、およびGと同義であり、これらの好ましい例も同じである
【0186】
前記一般式(3−1)において、本発明の効果をより効果的に奏する点から、Rがアルキル基、アリール基、またはヘテロ環基を表し、Rが水素原子、アルキル基、アリール基、アシルオキシ基、アルキルオキシ基、アルキルスルホニルオキシ基、アリールスルホニルオキシ基、ヒドロキシ基、またはシアノ基を表し、Xが−CR=を表し、Rがアシル基、アルキルオキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、またはシアノ基、カルボキシル基を表し、RおよびRがそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、またはシアノ基を表し、GおよびGがそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、ヘテロ環基、アシルアミノ基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、アルキルスルホンアミド基、アリールスルホンアミド基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、ヘテロ環アミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヒドロキシ基、またはハロゲン原子を表す場合が好ましく、Rがアリール基、またはヘテロ環基を表し、Rが水素原子、またはアルキル基を表し、Rがアルキルオキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、またはシアノ基を表し、Rがアルキル基を表し、Rが水素原子、またはシアノ基を表し、GおよびGがそれぞれ独立にアルキルオキシ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、ヘテロ環アミノ基、またはアルキルチオ基を表す場合が最も好ましい。
【0187】
本発明の一般式(3−1)で表される色素の好ましい置換基の組み合わせについては、種々の置換基の少なくとも1つが前記の好ましい基である化合物が好ましく、より多くの種々の置換基が前記好ましい基である化合物がより好ましく、全ての置換基が前記好ましい基である化合物が最も好ましい。
【0188】
本発明の一般式(3−1)で表される色素として特に好ましい組み合わせは、以下の(イ)〜(ト)を含むものである。
【0189】
(イ)Rの好ましい例は、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアルケニル基、置換もしくは無置換のアルキニル基、置換もしくは無置換のアラルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のヘテロ環基、置換もしくは無置換のアシル基、置換もしくは無置換のアルキルオキシカルボニル基、置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニル基、置換もしくは無置換のカルバモイル基、置換もしくは無置換のアルキルスルホニル基、置換もしくは無置換のアリールスルホニル基、または置換もしくは無置換のスルファモイル基を示す。その中でも置換アルキル基、置換アルケニル基、置換アルキニル基、置換アラルキル基、置換アリール基、または置換ヘテロ環基が好ましく、更に、置換アルキル基、置換アリール基、または置換ヘテロ環基が好ましく、特に置換アリール基、または置換へテロ環基が好ましく、イオン性親水性基を置換基として有するアリール基、またはイオン性親水性基を置換基として有するヘテロ環基が最も好ましい。
【0190】
(ロ)Rの好ましい例は、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、アルコキシ基、アミド基、ウレイド基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、スルファモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、カルバモイル基、またはアルコキシカルボニル基であり、その中でも水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、シアノ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、またはヘテロ環基が好ましく、更に水素原子、アルキル基、アリール基、シアノ基、またはアルキルスルホニル基が好ましく、特に水素原子、またはアルキル基が最も好ましい。
【0191】
(ハ)Xの好ましい例は、−CR=または窒素原子を挙げることができる。その中でも、−CR=の場合が特に好ましい。
【0192】
(ニ)Rの好ましい例は、炭素数2〜12のアシル基、炭素数2〜12のアシルオキシ基、炭素数1〜12のカルバモイル基、炭素数2〜12のアルキルオキシカルボニル基、炭素数7〜18のアリールオキシカルボニル基、シアノ基、ニトロ基、炭素数1〜12のアルキルスルフイニル基、炭素数6〜18のアリールスルフイニル基、炭素数1〜12のアルキルスルホニル基、炭素数6〜18のアリールスルホニル基、炭素数0〜12のスルファモイル基、炭素数1〜12のハロゲン化アルキル基、炭素数1〜12のハロゲン化アルキルオキシ基、炭素数1〜12のハロゲン化アルキルチオ基、炭素数7〜18のハロゲン化アリールオキシ基、2つ以上のσp0.20以上の他の電子吸引性基で置換された炭素数7〜18のアリール基、及び窒素原子、酸素原子、またはイオウ原子を有する5〜8員環で炭素数1〜18のヘテロ環基を挙げることができる。その中でも、シアノ基、炭素数1〜12のアルキルスルホニル基、炭素数6〜18のアリールスルホニル基、または炭素数0〜12のスルファモイル基が好ましく、更に、シアノ基、炭素数1〜12のアルキルスルホニル基、または炭素数0〜12のスルファモイル基が好ましく、特にシアノ基、または炭素数1〜12のアルキルスルホニル基が好ましく、シアノ基が最も好ましい。
【0193】
(ホ)Rの好ましい例は、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アシルアミノ基、アルキルオキシ基、アルキルオキシカルボニル基、カルバモイル基、スルファモイル基、アルキルスルホンアミド基、アリールスルホンアミド基、アミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、ヘテロ環アミノ基、ヒドロキシ基、シアノ基、スルホ基、またはカルボキシル基を表す場合が好ましく、その中でも水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基、アリール基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、またはヘテロ環アミノ基を表す場合が好ましく、更に水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、またはヘテロ環アミノ基を表す場合が好ましく、特に水素原子、アルキル基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、またはヘテロ環アミノ基を表す場合が好ましく、アルキル基、またはアルキルアミノ基を表す場合が最も好ましい。
【0194】
(ヘ)Rの好ましい例は、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アシルアミノ基、アルキルオキシ基、アルキルオキシカルボニル基、カルバモイル基、スルファモイル基、アルキルスルホンアミド基、アリールスルホンアミド基、アミノ基、アルキルアミノ基、ヒドロキシ基、シアノ基、スルホ基、またはカルボキシル基を表す場合が好ましく、その中でもアルキルオキシカルボニル基、カルバモイル基、スルファモイル基、シアノ基、またはカルボキシル基を表す場合が好ましく、更にアルキルオキシカルボニル基、カルバモイル基、シアノ基、またはカルボキシル基を表す場合が好ましく、特にカルバモイル基、シアノ基、またはカルボキシル基を表す場合が好ましく、シアノ基を表す場合が最も好ましい。
【0195】
(ト)G、Gの好ましい例は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、ヘテロ環基、アシルアミノ基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、アルキルスルホンアミド基、アリールスルホンアミド基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、ヘテロ環アミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヒドロキシ基、またはハロゲン原子を表す場合が好ましく、その中でもアルキルアミノ基、アリールアミノ基、またはヘテロ環アミノ基が好ましく、更にアリールアミノ基、またはヘテロ環アミノ基が好ましく、特にG及びGが、それぞれ独立にイオン性親水性基を有するアリールアミノ基を表す場合が最も好ましい。
一般式(3−2)
【0196】
【化19】

【0197】
前記一般式(3−2)において、R、R、X、G、およびGは、上述の一般式(2−1)におけるR、R、X、G、およびGと同義であり、これらの好ましい例も同じである。
【0198】
前記一般式(3−2)において、Gは上述の一般式(2−1)におけるG及びGと同義であり、好ましい例も同じである。
【0199】
前記一般式(3−2)において、本発明の効果をより効果的に奏する点から、Rがアルキル基、アリール基、またはヘテロ環基を表し、Rが水素原子、アルキル基、アリール基、アシルオキシ基、アルキルオキシ基、アルキルスルホニルオキシ基、アリールスルホニルオキシ基、ヒドロキシ基、またはシアノ基を表し、Xが−CR=を表し、Rがアシル基、アルキルオキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、シアノ基、またはカルボキシル基を表し、G、GおよびGがそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、ヘテロ環基、アシルアミノ基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、アルキルスルホンアミド基、アリールスルホンアミド基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、ヘテロ環アミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヒドロキシ基、またはハロゲン原子を表す場合が好ましく、Rがアリール基、またはヘテロ環基を表し、Rが水素原子、またはアルキル基を表し、Rがアルキルオキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、またはシアノ基を表し、G、GおよびGがそれぞれ独立にアルキルアミノ基、アリールアミノ基、またはヘテロ環アミノ基を表す場合が最も好ましい。
【0200】
本発明の一般式(3−2)で表される色素の好ましい置換基の組み合わせについては、種々の置換基の少なくとも1つが前記の好ましい基である化合物が好ましく、より多くの種々の置換基が前記好ましい基である化合物がより好ましく、全ての置換基が前記好ましい基である化合物が最も好ましい。
【0201】
本発明の一般式(3−2)で表される色素として特に好ましい組み合わせは、以下の(イ)〜(ホ)を含むものである。
【0202】
(イ)Rの好ましい例は、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアルケニル基、置換もしくは無置換のアルキニル基、置換もしくは無置換のアラルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のヘテロ環基、置換もしくは無置換のアシル基、置換もしくは無置換のアルキルオキシカルボニル基、置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニル基、置換もしくは無置換のカルバモイル基、置換もしくは無置換のアルキルスルホニル基、置換もしくは無置換のアリールスルホニル基、または置換もしくは無置換のスルファモイル基を示す。その中でも置換アルキル基、置換アルケニル基、置換アルキニル基、置換アラルキル基、置換アリール基、置換ヘテロ環基が好ましく、更に、置換アルキル基、置換アリール基、または置換ヘテロ環基が好ましく、特に置換アリール基、または置換へテロ環基が好ましく、イオン性親水性基を置換基として有するアリール基、またはイオン性親水性基を置換基として有するヘテロ環基が最も好ましい。
【0203】
(ロ)Rの好ましい例は、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、アルコキシ基、アミド基、ウレイド基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、スルファモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、カルバモイル基、またはアルコキシカルボニル基であり、その中でも水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、シアノ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、またはヘテロ環基が好ましく、更に水素原子、アルキル基、アリール基、シアノ基、またはアルキルスルホニル基が好ましく、特に水素原子、またはアルキル基が最も好ましい。
【0204】
(ハ)Xの好ましい例は、−CR=または窒素原子を挙げることができる。その中でも、−CR=の場合が特に好ましい。
【0205】
(ニ)Rの好ましい例は、炭素数2〜12のアシル基、炭素数2〜12のアシルオキシ基、炭素数1〜12のカルバモイル基、炭素数2〜12のアルキルオキシカルボニル基、炭素数7〜18のアリールオキシカルボニル基、シアノ基、ニトロ基、炭素数1〜12のアルキルスルフイニル基、炭素数6〜18のアリールスルフイニル基、炭素数1〜12のアルキルスルホニル基、炭素数6〜18のアリールスルホニル基、炭素数0〜12のスルファモイル基、炭素数1〜12のハロゲン化アルキル基、炭素数1〜12のハロゲン化アルキルオキシ基、炭素数1〜12のハロゲン化アルキルチオ基、炭素数7〜18のハロゲン化アリールオキシ基、2つ以上のσp0.20以上の他の電子吸引性基で置換された炭素数7〜18のアリール基、及び窒素原子、酸素原子、またはイオウ原子を有する5〜8員環で炭素数1〜18のヘテロ環基を挙げることができる。その中でも、シアノ基、炭素数1〜12のアルキルスルホニル基、炭素数6〜18のアリールスルホニル基、または炭素数0〜12のスルファモイル基が好ましく、更に、シアノ基、炭素数1〜12のアルキルスルホニル基、または炭素数0〜12のスルファモイル基が好ましく、特にシアノ基、または炭素数1〜12のアルキルスルホニル基が好ましく、シアノ基が最も好ましい。
【0206】
(ホ)G、G、Gの好ましい例は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、ヘテロ環基、アシルアミノ基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、アルキルスルホンアミド基、アリールスルホンアミド基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、ヘテロ環アミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヒドロキシ基、またはハロゲン原子を表す場合が好ましく、その中でもアルキルアミノ基、アリールアミノ基、またはヘテロ環アミノ基が好ましく、更にアルキルアミノ基、またはアリールアミノ基が好ましく、特にGがアリールアミノ基、Gがアルキルアミノ基、及びGが、アルキルアミノ基を表す場合が最も好ましい。
【0207】
本発明において、一般式(1)、(3)、(4)、(5)、(6)、(2−1)、(3−1)および(3−2)で表される化合物が親水性を必要とする場合は、分子内に2個以上のイオン性親水性基を有することが好ましく、2〜10個のイオン性親水性基を有することがさらに好ましく、3〜6個のイオン性親水性基を有することが特に好ましい。
【0208】
但し、媒体として水を使用しない場合はイオン性親水性基を有していなくてよい。
【0209】
イオン性親水性基としては、イオン性解離基である限りいかなるものであってもよい。具体的にはスルホ基、カルボキシル基(それらの塩を含む)、水酸基(塩でもよい)、ホスホノ基(塩でもよい)又は4級アンモニウムを挙げることが出来る。
【0210】
好ましくはスルホ基、カルボキシル基、または水酸基(それらの塩を含む)である。
イオン性親水性基が塩の場合、好ましいカウンターカチオンはアルカリ金属(例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム)、アンモニウム、及び有機のカチオン(例えばピリジニウム、テトラメチルアンモニウム、グアニジニウム)を挙げることができ、その中でもアルカリ金属が好ましく、特にスルホ基の場合はリチウム塩、カルボキシ基の場合はナトリウム塩及びまたはカリウム塩が好ましい。
【0211】
前記一般式(1)、(3)、(4)、(5)、(6)、(2−1)、(3−1)および(3−2)で表される水溶性色素の場合は、色再現性の観点から、HO中で380〜490nmの最大吸収波長(λmax)を有することが好ましく、400〜480nmのλmaxを有することがさらに好ましく、420〜460nmにλmaxを有することが特に好ましい。
【0212】
前記一般式(1)、(3)、(4)、(5)、(6)、(2−1)、(3−1)および(3−2)で表される色素の具体例を以下に示すが、本発明に用いられる色素は、下記の例に限定されるものではない。
【0213】
また、以下の具体例の構造は遊離の酸の形で示されるが、任意の塩として用いても良いことは言うまでもない。
【0214】
好ましいカウンターカチオンとしては、アルカリ金属(例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム)、アンモニウム、または有機のカチオン(例えばピリジニウム、テトラメチルアンモニウム、グアニジニウム)を挙げることができる。
【0215】
【化20】

【0216】
【化21】

【0217】
【化22】

【0218】
【化23】

【0219】
【化24】

【0220】
【化25】

【0221】
【化26】

【0222】
【化27】

【0223】
【化28】

【0224】
【化29】

【0225】
【化30】

【0226】
【化31】

【0227】
【化32】

【0228】
【化33】

【0229】
【化34】

【0230】
【化35】

【0231】
【化36】

【0232】
【化37】

【0233】
【化38】

【0234】
【化39】

【0235】
【化40】

【0236】
【化41】

【0237】
【化42】

【0238】
【化43】

【0239】
【化44】

【0240】
【化45】

【0241】
【化46】

【0242】
【化47】

【0243】
【化48】

【0244】
本発明の色素の用途としては、画像、特にカラー画像を形成するための画像記録材料が挙げられ、好ましくはインクジェット方式記録材料である。
【0245】
本発明の色素は、その用途に適した溶解性、分散性、熱移動性などの物性を、置換基で調整して使用する。また、本発明の色素は、用いられる系に応じて溶解状態、乳化分散状態、さらには固体分散状態でも使用する事が出来る。
【0246】
[インク]
本発明のインクは、少なくとも一種の本発明の色素を含有するインクを意味する。
【0247】
本発明のインクは、媒体を含有させることができるが、媒体として溶媒を用いた場合は特にインクジェット記録用インクとして好適である。本発明のインクは、媒体として、親油性媒体や水性媒体を用いて、それらの中に、本発明の色素を溶解及び/又は分散させることによって作製することができる。
【0248】
好ましくは、水性媒体を用いる場合である。本発明のインクには、媒体を除いたインク用組成物も含まれる。本発明のインクは、必要に応じてその他の添加剤を、本発明の効果を害しない範囲内において含有しうる。その他の添加剤としては、例えば、乾燥防止剤(湿潤剤)、褪色防止剤、乳化安定剤、浸透促進剤、紫外線吸収剤、防腐剤、防黴剤、pH調整剤、表面張力調整剤、消泡剤、粘度調整剤、分散剤、分散安定剤、防錆剤、キレート剤等の公知の添加剤(特開2003−306623号公報に記載)が挙げられる。これらの各種添加剤は、水溶性インクの場合にはインク液に直接添加する。油溶性染料を分散物の形で用いる場合には、染料分散物の調製後分散物に添加するのが一般的であるが、調製時に油相又は水相に添加してもよい。
【0249】
本発明の色素を水性媒体に分散させる場合は、特開平11−286637号、特開2001−240763(特願2000−78491)号、特開2001−262039(特願2000−80259)号、特開2001−247788(特願2000−62370)号のように色素と油溶性ポリマーとを含有する着色微粒子を水性媒体に分散したり、特開2001−262018(特願2000−78454)号、特開2001−240763(特願2000−78491)号、特開2001−335734(特願2000−203856) 号のように高沸点有機溶媒に溶解した本発明の色素を水性媒体中に分散することが好ましい。 本発明の色素を水性媒体に分散させる場合の具体的な方法、使用する油溶性ポリマー、高沸点有機溶剤、添加剤及びそれらの使用量は、前記特許文献に記載されたものを好ましく使用することができる。あるいは、前記アゾ色素を固体のまま微粒子状態に分散してもよい。分散時には、分散剤や界面活性剤を使用することができる。
【0250】
分散装置としては、簡単なスターラーやインペラー攪拌方式、インライン攪拌方式、ミル方式(例えば、コロイドミル、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、アジテーターミル等)、超音波方式、高圧乳化分散方式(高圧ホモジナイザー;具体的な市販装置としてはゴーリンホモジナイザー、マイクロフルイダイザー、DeBEE2000等)を使用することができる。上記のインクジェット記録用インクの調製方法については、先述の特許文献以外にも特開平5−148436号、同5−295312号、同7−97541号、同7−82515号、同7−118584号、特開平11−286637号、特開2001−271003(特願2000−87539)号の各公報に詳細が記載されていて、本発明のインクジェット記録用インクの調製にも利用できる。
【0251】
前記水性媒体は、水を主成分とし、所望により、水混和性有機溶剤を添加した混合物を用いることができる。前記水混和性有機溶剤の例は特開2003−306623号公報に記載のものが使用できる。尚、前記水混和性有機溶剤は、二種類以上を併用してもよい。
【0252】
本発明のインクジェット記録用インク100質量部中に、本発明の色素を0.1質量部以上20質量部以下含有するのが好ましく、0.2質量部以上10質量部以下含有するのがより好ましく、0.5〜9質量部含有するのがさらに好ましい。また、本発明のインクジェット用インクには、本発明の色素とともに、他の色素を併用してもよい。2種類以上の色素を併用する場合は、色素の含有量の合計が前記範囲となっているのが好ましい。
【0253】
本発明のインクは、単色の画像形成のみならず、フルカラーの画像形成に用いることができる。フルカラー画像を形成するために、マゼンタ色調インク、シアン色調インク、及びイエロー色調インクを用いることができ、また、色調を整えるために、更にブラック色調インクを用いてもよい。
【0254】
さらに、本発明におけるインクジェット記録用インクは、上記本発明における色素の他に別のイエロー染料を同時に用いることが出来る。適用できるイエロー染料、適用できるマゼンタ染料、適用できるシアン染料としては、各々任意のものを使用する事が出来るが、特開2003−306623号公報の段落番号0090〜0092に記載の各染料が利用できる。適用できる黒色材としては、ジスアゾ、トリスアゾ、テトラアゾ染料のほか、カーボンブラックの分散体を挙げることができる。
【0255】
[インクジェット記録方法]
本発明のインクジェット記録方法は、前記インクジェット記録用インクにエネルギーを供与して、公知の受像材料、即ち普通紙、樹脂コート紙、例えば特開平8−169172号公報、同8−27693号公報、同2−276670号公報、同7−276789号公報、同9−323475号公報、特開昭62−238783号公報、特開平10−153989号公報、同10−217473号公報、同10−235995号公報、同10−337947号公報、同10−217597号公報、同10−337947号公報等に記載されているインクジェット専用紙、フィルム、電子写真共用紙、布帛、ガラス、金属、陶磁器等に画像を形成する。なお、本発明のインクジェット記録方法として特開2003−306623号公報の段落番号0093〜0105の記載が適用できる。
【0256】
画像を形成する際に、光沢性や耐水性を与えたり耐候性を改善する目的からポリマーラテックス化合物を併用してもよい。ラテックス化合物を受像材料に付与する時期については、着色剤を付与する前であっても、後であっても、また同時であってもよく、したがって添加する場所も受像紙中であっても、インク中であってもよく、あるいはポリマーラテックス単独の液状物として使用しても良い。具体的には、特開2002−166638(特願2000−363090)号、特開2002−121440(特願2000−315231)号、特開2002−154201(特願2000−354380)号、特開2002−144696(特願2000−343944)号、特開2002−080759(特願2000−268952)号、特開2002−187342(特願2000−299465)号、特開2002−172774(特願2000−297365)号に記載された方法を好ましく用いることができる。
【0257】
[実施例]
以下、本発明を実施例によって説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【実施例1】
【0258】
下記の成分に超純水(抵抗値18MΩ以上)を加え1リッターとした後、50〜60℃で加熱しながら1時間撹拌した。その後、平均孔径0.25μmのミクロフィルターで減圧濾過してイエローインク液Y−101を調製した。
【0259】
〔イエローインクY−101処方〕
(固形分)
本発明のイエロー染料 (DYE−3のリチウム塩) 50g/l
プロキセルXL2(S)(アベシア製) 5g/l
尿素 10g/l
(液体成分)
トリエチレングリコールモノブチルエーテル 101g/l
グリセリン(GR) 118g/l
トリエチレングリコール 95g/l
2−ピロリドン 20g/l
トリエタノールアミン(TEA) 10g/l
サーフィノール465(SW) (エアープロダクツ製) 10g/l
【0260】
前記色素を、下記表−1に示すように変更した以外は、インク液Y−101の調製と同様にして、インク液Y−102〜107を作製した。
【0261】
この際に、比較用のインク液として表1中の比較色素aを用いてインク液201を作成した。
比較色素a
【0262】
【化49】

【0263】
色素を変更する場合は、色素の添加量がインク液Y−101に対して等モルとなるように使用した。
【0264】
また、インクの比較タイプとしてエプソン(株)社製のPM−G800のイエローインクカートリッジを使用した。
【0265】
なお、表−1において、「吐出安定性」、「光堅牢性」、「熱堅牢性」、「耐オゾン(ガス)性」、「溶液安定性」は、各インクをEPSON社製インクジェットプリンターPM−G800のイエローインクのカートリッジに装填し、その他の色のインクはPM−G800のインクを用い、受像シートはEPSON写真用紙<光沢>、およびEPSON 写真用紙クリスピア<高光沢>に階段状に濃度が変化したイエローの単色画像パターンならびにグリーン、レッド、グレーの画像パターンを印字させ、画像品質ならびにインクの吐出性と画像堅牢性の評価を行った。
【0266】
上記実施例(インク液Y101、102、103、104、105、106、107)及び比較例(インク液101及びPM−G800のイエローインク)のインクジェット用インクについて、下記評価を行った。その結果を表−1に示した。
【0267】
(評価実験)
1)吐出安定性については、カートリッジをプリンターにセットし全ノズルからのインクの突出を確認した後、A4 20枚出力し、以下の基準で評価した。
A:印刷開始から終了まで印字の乱れ無し
B:印字の乱れのある出力が発生する
C:印刷開始から終了まで印字の乱れあり
【0268】
2)イエロー色素の画像保存性については、印字サンプルを用いて、以下の評価を行った。
【0269】
[1]光堅牢性は印字直後の画像濃度CiをX−rite310にて測定した後、アトラス社製ウェザーメーターを用い画像にキセノン光(10万ルックス)を14日照射した後、再び画像濃度Cfを測定し染料残存率Cf/Ci×100を求め評価を行った。染料残像率について反射濃度が1、1.5、2の3点にて評価し、いずれの濃度でも染料残存率が80%以上の場合をA、2点が80%未満の場合をB、全ての濃度で80%未満の場合をCとした。
【0270】
[2] 熱堅牢性については、80℃60%RHの条件下に7日間、試料を保存する前後での濃度を、X−rite310にて測定し染料残存率を求め評価した。染料残像率について反射濃度が1、1.5及び2の3点にて評価し、いずれの濃度でも染料残存率が95%以上の場合をA、2点が95%未満の場合をB、全ての濃度で95%未満の場合をCとした。
【0271】
[3] 耐オゾン性については、オゾンガス濃度が5ppmに設定されたボックス内に14日間放置し、オゾンガス下放置前後の画像濃度を反射濃度計(X−Rite310TR)を用いて測定し、色素残存率として評価した。尚、前記反射濃度は、1、1.5及び2.0の3点で測定した。ボックス内のオゾンガス濃度は、APPLICS製オゾンガスモニター(モデル:OZG−EM−01)を用いて設定した。
何れの濃度でも染料残存率が80%以上の場合をA、1又は2点が80%未満をB、全ての濃度で70%未満の場合をCとして、三段階で評価した。
【0272】
3)色調:階段状に濃度が変化したイエローの単色画像パターンをGretagMacbeth製SpectroEyeにてCIE L*a*b*色空間系に基づいてa*b*を算出した。イエローとして好ましい色調を以下に用に定義し、下記A,B,Cの三段階評価を行った結果を下記表−1に示す。
好ましいL*:90以上の時
好ましいa*:−5〜−11
好ましいb*:80〜95
【0273】
4)溶液安定性:染料の10質量%水溶液を60℃(pH≒8.0)で10日間経時した後、吸光度を測定し室温(23℃)に対する変化率を下記表−1に示した。
【0274】
【表1】

【0275】
表−1の結果から明らかなように、本発明のインクを使用した系ではすべての性能に優れていることがわかる。特に比較例に対して、特に画像堅牢性が優れている。
【実施例2】
【0276】
実施例1で作製した同じインクを、実施例1の同機にて画像を富士写真フイルム製インクジェットペーパー 画彩(写真仕上げ)にプリントし、実施例1と同様な評価を行ったところ、同様な結果が得られた。
【実施例3】
【0277】
(インク液Y−301の作製)
本発明の色素(DYE−5)2.5g、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム7.04gを、下記高沸点有機溶媒(s−2)4.22g、下記高沸点有機溶媒(s−11)5.63g及び酢酸エチル50ml中に70℃にて溶解させた。この溶液中に500mlの脱イオン水をマグネチックスターラーで撹拌しながら添加し、水中油滴型の粗粒分散物を作製した。次にこの粗粒分散物を、マイクロフルイダイザー(MICROFLUIDEX INC)にて600barの圧力で5回通過させることで微粒子化を行った。更にでき上がった乳化物をロータリーエバポレーターにて酢酸エチルの臭気が無くなるまで脱溶媒を行った。こうして得られた疎水性染料の微細乳化物に、ジエチレングリコール140g、グリセリン50g、SURFYNOL465(AirProducts&Chemicals社)7g、脱イオン水900mlを添加してインク液Y−301を作製した。このインクのpH8.3、粘度4.2mPa・S、表面張力31mN/mであった。
【0278】
【化50】

【0279】
(インク液の作製)
インク液Dの本発明の色素を等モルの下記表−2の比較色素に変更した以外は、インク液301Dと同様にインク液401を作製した。インク液のpH、粘度、表面張力はインク液301と同じであった。
【0280】
(画像記録及び評価)
インク液301及び比較用インク液401について下記評価を行った。その結果を下記表3に示す。
尚、表−2において、「光堅牢性」、「耐熱性」、「オゾン(ガス)堅牢性」、「色調」および「インク安定性」の内容はそれぞれ実施例1で述べたものと同じである。
【0281】
【表2】

【0282】
【化51】

【0283】
表−2から明らかなように、本発明のインクジェット用インクは光堅牢性、熱堅牢性、オゾンガス堅牢性、色調に優れおよびインク安定性に優れるものであった。
【実施例4】
【0284】
実施例3で作製した同じインクを、実施例3の同機にて画像を富士写真フイルム製インクジェットペーパー 画彩(写真仕上げ)にプリントし、実施例3と同様な評価を行ったところ、実施例3と同様な結果が得られた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(I)で表される色素を少なくとも一種含有することを特徴とするインク。
一般式(1)
【化1】

一般式(1)中、Rは、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、またはスルファモイル基を示す。これらの基は更に置換基を有していても良い。Xは、−CR=または窒素原子を表す。Rは、水素原子または置換基を表す。Rが置換基を表す場合は、それらの基は更に置換基を有していても良い。Xは、−CR=または窒素原子を表す。Rは、σp値が0.20以上の電子吸引性基を表す。Xが−CR=を表すときは、RとR、及びまたは、Xが−CR=を表すときはRとR、は互いに結合して5〜7員環を形成しても良い。R、R、R、Aを介して色素が2量体、3量体を形成しても良い。Aは、下記一般式(2)中の一価の置換基の群から選ばれる、置換基を有していても良い、いずれかの基を表す。
一般式(2)
【化2】

【化3】

【化4】

一般式(2)で表される一価の置換基の群(A−1)〜(A−42)中、R11〜R115は、それぞれ独立に水素原子または置換基を表す。また、(A−12)中のQ、(A−41)中のQおよび(A−42)中のQは各々窒素原子と共に5員環〜7員環の炭化水素環、ヘテロ環を形成するのに必要な非金属原子群を表す。Rは置換基を表す。rは0〜4の整数を表す。置換基Rが複数個存在する時は、Rはそれぞれ独立に同じであっても異なっていても良い。
【請求項2】
上記一般式(1)で表される色素が下記一般式(3)で表されることを特徴とする請求項1に記載のインク。
一般式(3)
【化5】

一般式(3)中、R、R、R、Aは、上記一般式(1)中のR、R、R、Aと同義である。
【請求項3】
上記一般式(1)で表される色素が下記一般式(4)で表されることを特徴とする請求項1に記載のインク。
一般式(4)
【化6】

一般式(4)中、R、R、Aは、上記一般式(1)中のR、R、Aと同義である。
【請求項4】
下記一般式(5)で表される色素を少なくとも一種含有することを特徴とするインク。
一般式(5)
【化7】

一般式(5)中、R、R、Aは、上記一般式(1)中のR、R、Aと同義である。
【請求項5】
下記一般式(6)で表される色素を少なくとも一種含有することを特徴とするインク。
一般式(6)
【化8】

一般式(6)中、R、R、Aは、上記一般式(1)中のR、R、Aと同義である。
【請求項6】
上記一般式(1)、一般式(3)、一般式(4)、一般式(5)、一般式(6)で表される色素が少なくとも1つのイオン性親水性基を有することを特徴とする、請求項1〜5に記載のインク。
【請求項7】
請求項1〜6に記載のインクを含有することを特徴とするインクジェット記録用インク。
【請求項8】
請求項7に記載のインクを用いて画像形成するインクジェット記録方法。
【請求項9】
支持体上に白色無機顔料粒子を含有するインク受像層を有する受像材料上に、請求項7に記載のインクを用いて画像形成することを特徴とするインクジェット記録方法。
【請求項10】
請求項7に記載のインクを用いて形成した着色画像材料の耐候性改良方法。

【公開番号】特開2007−191589(P2007−191589A)
【公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−11427(P2006−11427)
【出願日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】