インクジェットプリンタ用のフィルタ装置、フィルタ装置の製造方法、およびフィルタ
【課題】フィルタの皺を抑制できるインクジェットプリンタ用のフィルタ装置を提供する。
【解決手段】一つの実施の形態に係るインクジェットプリンタ用のフィルタ装置は、第1のホルダ部材と、前記第1のホルダ部材に固定される第2のホルダ部材と、前記第1のホルダ部材と前記第2のホルダ部材とに囲まれたフィルタ室と、を有したホルダと、複数の孔が形成された濾過部と、前記濾過部と一体に設けられるとともに前記濾過部を囲んだ外周部と、を有し、前記フィルタ室を仕切った金属膜であるフィルタと、を具備する。前記フィルタの前記外周部は、前記濾過部よりも厚く形成され、互いに隙間を介して配置されるとともに前記第1のホルダ部材と前記第2のホルダ部材とに挟持された複数の第1の部分と、前記複数の第1の部分の間で潰れることで、前記複数の第1の部分の間の隙間の断面積を前記濾過部の前記孔の断面積よりも狭くする第2の部分と、を含む。
【解決手段】一つの実施の形態に係るインクジェットプリンタ用のフィルタ装置は、第1のホルダ部材と、前記第1のホルダ部材に固定される第2のホルダ部材と、前記第1のホルダ部材と前記第2のホルダ部材とに囲まれたフィルタ室と、を有したホルダと、複数の孔が形成された濾過部と、前記濾過部と一体に設けられるとともに前記濾過部を囲んだ外周部と、を有し、前記フィルタ室を仕切った金属膜であるフィルタと、を具備する。前記フィルタの前記外周部は、前記濾過部よりも厚く形成され、互いに隙間を介して配置されるとともに前記第1のホルダ部材と前記第2のホルダ部材とに挟持された複数の第1の部分と、前記複数の第1の部分の間で潰れることで、前記複数の第1の部分の間の隙間の断面積を前記濾過部の前記孔の断面積よりも狭くする第2の部分と、を含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、インクジェットプリンタ用のフィルタ装置、フィルタ装置の製造方法、およびフィルタに関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェットプリンタは、インクジェットヘッドに供給されるインクを濾過するためのフィルタ装置を備える。このフィルタ装置は、インクタンクとインクジェットヘッドとの間に介在し、例えば金属メッシュや不織布のようなフィルタによってインク中の不純物を取り除く。
【0003】
金属膜フィルタの一例として、電鋳によって形成されたニッケル薄膜がある。電鋳によってフィルタを形成することにより、フィルタにバリが発生せず、フィルタの孔を小さく形成できる。このため、濾過特性の優れたフィルタを形成できる。
【0004】
フィルタ装置は、樹脂製のホルダの内部に上述のフィルタを配置して形成される。ホルダは例えばインクタンクに通じる部材とインクジェットヘッドに通じる部材とによって構成され、この2つの部材がフィルタを挟み込むことでフィルタがホルダの内部に固定される。フィルタを挟み込んだ2つの部材を例えば超音波溶接によって溶着することにより、フィルタ装置が形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−210960号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
金属膜によって形成されるフィルタの線膨張係数は、樹脂で形成されるホルダの線膨張係数との間に差がある。このため、例えば溶着時の発熱によるホルダの膨張および収縮のため、ホルダに固定されたフィルタに皺が生じるおそれがある。
【0007】
フィルタに生じた皺によって、フィルタとホルダとの間に隙間ができる。この隙間がフィルタの孔より大きいと、隙間を通って未濾過のインクがインクジェットヘッドに供給されてしまう。このため、フィルタに皺が生じた場合、そのフィルタは不良品として廃棄することとなり、歩留まりが悪化してしまう。
【0008】
本発明の目的は、フィルタの皺を抑制できるインクジェットプリンタ用のフィルタ装置、その製造方法、および皺の発生を抑制できるインクジェットプリンタ用のフィルタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一つの実施の形態に係るインクジェットプリンタ用のフィルタ装置は、
第1のホルダ部材と、前記第1のホルダ部材に固定される第2のホルダ部材と、前記第1のホルダ部材と前記第2のホルダ部材とに囲まれたフィルタ室と、を有したホルダと、複数の孔が形成された濾過部と、前記濾過部と一体に設けられるとともに前記濾過部を囲んだ外周部と、を有し、前記フィルタ室を仕切った金属膜であるフィルタと、を具備する。前記フィルタの前記外周部は、前記濾過部よりも厚く形成され、互いに隙間を介して配置されるとともに前記第1のホルダ部材と前記第2のホルダ部材とに挟持された複数の第1の部分と、前記複数の第1の部分の間で潰れることで、前記複数の第1の部分の間の隙間の断面積を前記濾過部の前記孔の断面積よりも狭くする第2の部分と、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】第1の実施の形態に係るフィルタ装置とインクタンクとインクジェットヘッドとを概略的に示す斜視図。
【図2】第1の実施形態のフィルタ装置を図1のF2−F2線に沿って示す断面図。
【図3】第1の実施形態のフィルタ装置が組立てられる前のフィルタを示す平面図。
【図4】第1の実施形態のフィルタの製造工程の一部を概略的に示す断面図。
【図5】図4の状態の後における第1の実施形態のフィルタの製造工程の一部を概略的に示す断面図。
【図6】図5の状態の後における第1の実施形態のフィルタの製造工程の一部を概略的に示す断面図。
【図7】図6の状態の後における第1の実施形態のフィルタの製造工程の一部を概略的に示す断面図。
【図8】図7の状態の後における第1の実施形態のフィルタの製造工程の一部を概略的に示す断面図。
【図9】図8の状態の後における第1の実施形態のフィルタの製造工程の一部を概略的に示す断面図。
【図10】第1の実施形態のフィルタ装置の製造工程の一部を概略的に示す断面図。
【図11】図10の後の状態における第1の実施形態のフィルタ装置の製造工程の一部を概略的に示す断面図。
【図12】第2の実施の形態に係るフィルタ装置が組立てられる前のフィルタの一部を概略的に示す平面図。
【図13】第2の実施形態のフィルタの一部を図12のF13−F13線に沿って概略的に示す断面図。
【図14】第2の実施形態のホルダ装置の製造工程の一部を概略的に示す断面図。
【図15】図14の状態の後における第2の実施形態のフィルタ装置の製造工程の一部を概略的に示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、第1の実施の形態について、図1から図11を参照して説明する。図1は、インクジェットプリンタ用のフィルタ装置10と、インクタンク11と、インクジェットヘッド12とを概略的に示す斜視図である。フィルタ装置10と、インクタンク11と、インクジェットヘッド12とは、インクジェットプリンタに内蔵されている。
【0012】
フィルタ装置10は、インクタンク11からインクジェットヘッド12にインクを供給する配管13の途中に配置されている。インクタンク11に貯蔵されたインクは、フィルタ装置10によって濾過されてインクジェットヘッド12に供給される。
【0013】
インクタンク11には、例えばオイル系のインクが貯蔵されている。なお、インクはこれに限らず、他の種類のインクでも良い。
【0014】
インクジェットヘッド12は、いわゆるエッジシュータ式のインクジェットヘッドである。インクジェットヘッド12は、圧電素子によって形成された複数の圧力室を有しており、これらの圧力室に供給されたインクを複数のノズル12aからそれぞれ吐出する。
【0015】
図2は、フィルタ装置10を図1のF2−F2線に沿って示す断面図である。図2に示すように、フィルタ装置10は、ホルダ21と、フィルタ22とを備えている。ホルダ21は、第1のホルダ部材25と、第2のホルダ部材26と、フィルタ室27とを有している。フィルタ室27は、第1のホルダ部材25と第2のホルダ部材26とに囲まれている。
【0016】
第1のホルダ部材25に、流入口31と、上流室32と、第1の圧接部33と、第1の固定部34とが設けられている。流入口31は上流室32に開口するとともに、配管13を介してインクタンク11に接続されている。インクタンク11に貯蔵されたインクは、配管13を通って流入口31から上流室32に流入する。上流室32は、フィルタ室27の一部である。
【0017】
第1の圧接部33は、上流室32を囲むような枠状の面であり、高い平面度を有している。第1の圧接部33は、フィルタ22を保持するために形成されている。第1の固定部34は、第1の圧接部33を囲むような枠状の面である。
【0018】
第2のホルダ部材26に、流出口36と、下流室37と、第2の圧接部38とが設けられている。流出口36は下流室37に開口するとともに、配管13を介してインクジェットヘッド12に接続されている。下流室37は、フィルタ室27の一部であり、フィルタ22を挟んで上流室32の反対側に設けられている。言い換えると、ホルダ21内のフィルタ室27は、フィルタ22によって上流室32と下流室37とに仕切られている。
【0019】
第2の圧接部38は、下流室37を囲むような枠状の面であり、高い平面度を有している。第2の圧接部38は、フィルタ22を保持するために形成されており、フィルタ22を間に挟んで第1の圧接部33と対向している。第2の固定部39は、第2の圧接部38を囲むような枠状の面であり、第1の固定部34に例えば溶着されて固定されている。
【0020】
図3は、フィルタ装置10が組立てられる前のフィルタ22を示す平面図である。フィルタ22は、金属膜の一種であるニッケル薄膜によって略矩形状に形成されており、濾過部41と、外周部42とを有している。
【0021】
図3に示すように、濾過部41には、複数の孔45が設けられている。孔45の直径は、例えば5μmである。なお、インクタンク11に貯蔵されたインクの粒子径は孔45の直径よりも小さく、インクは孔45を通過できる。一方、インクに混ざっている除去されるべき不純物は、この濾過部41に捕獲されて取り除かれる。
【0022】
外周部42は、濾過部41と一体に設けられており、濾過部41を囲んでいる。外周部42は、複数の第1の部分47と、複数の第2の部分48とを有している。
【0023】
第1の部分47は、濾過部41よりも厚く形成され、図2に示すように第1のホルダ部材25に向かって張り出している。第1の部分47の厚みは、例えば10μmである。複数の第1の部分47は、互いに隙間49を介して配置されている。
【0024】
図2に示すように、第1の部分47は、第1のホルダ部材25の第1の圧接部33と、第2のホルダ部材26の第2の圧接部38によって挟持されている。これにより、フィルタ22がホルダ21の内部に固定されている。
【0025】
図3に示すように、複数の第1の部分47の間に形成された複数の隙間49は、それぞれ溝状に形成されている。複数の隙間49は、外周部42の外縁42aから濾過部41に向かう方向にそれぞれ延びている。
【0026】
複数の第2の部分48は、複数の第1の部分47の間にそれぞれ配置されている。フィルタ装置10が組立てられる前の第2の部分48は、濾過部41と同一平面を形成している。第2の部分48の厚さは、濾過部41の厚さと同じく5μmである。すなわち、第2の部分48は、第1の部分47よりも薄く形成されている。
【0027】
図2に示すように、フィルタ装置10が組立てられた状態において、第2の部分48は隣り合う第1の部分47どうしが近づく方向に潰れている。第2の部分48は潰れることで、隙間49を狭め、または隙間49を分割する。潰れた第2の部分48により、上流室32に開口する隙間49の断面積は、濾過部41の孔45の断面積よりも狭くなる。
【0028】
以下に、フィルタ装置10の製造方法の一例について説明する。図4は、フィルタ22の製造工程の一部を概略的に示す断面図である。フィルタ22は、電鋳によって製造される。図4に示すように、まず、導電性の基板51の表面51aに、第1のレジスト52を均一に塗布する。塗布された第1のレジスト52の厚さは、製造されるフィルタ22の濾過部41の厚さおよび外周部42の第2の部分48の厚さと同じ5μmである。
【0029】
次に、第1のレジスト52を第1のパターンフィルム53で覆い、第1のレジスト52にパターンを焼き付ける。第1のパターンフィルム53には、濾過部41の複数の孔45に対応した複数の第1のパターン孔54が設けられており、第1のレジスト52の一部を露出している。パターンを焼き付けることにより、第1のパターン孔54に対応した位置の第1のレジスト52がそれぞれ硬化する。
【0030】
図5は、図4の状態の後におけるフィルタ22の製造工程の一部を概略的に示す断面図である。第1のレジスト52を硬化させた後、硬化した箇所以外の第1のレジスト52を除去する。第1のパターンフィルム53によって覆われることで硬化しなかった第1のレジスト52は、例えばアルカリ溶液のような現像液によって溶かされ、除去される。これにより、硬化した複数の第1のレジスト52が基板51の表面51aに残る。この複数の硬化済みの第1のレジスト52は、第1のパターン孔54に対応した柱状に形成されている。
【0031】
次に、硬化済みの第1のレジスト52が残った基板51の表面51aにニッケルを電鋳する。ニッケルは硬化済みの第1のレジスト52が残った以外の箇所で成長し、ニッケル薄膜であるフィルタ22の第1層22aを形成する。
【0032】
第1層22aは、フィルタ22の中間生産物であり、濾過部41と、外周部42の第1の部分47の一部および第2の部分48とを含んでいる。第1層22aの厚さは、第1のレジスト52の厚さと同じ5μmである。
【0033】
図6は、図5の状態の後におけるフィルタ22の製造工程の一部を概略的に示す断面図である。フィルタ22の第1層22aが形成された後、第1層22aおよび残った第1のレジスト52の上に、第2のレジスト61を均一に塗布する。塗布された第2のレジスト61の厚さは、製造されるフィルタ22の外周部42の第1の部分47の厚さと第2の部分48の厚さとの差である5μmである。
【0034】
次に、第2のレジスト61を第2のパターンフィルム62で覆い、第2のレジスト61にパターンを焼き付ける。第2のパターンフィルム62には、第2のパターン孔63が設けられ、第2のレジスト61の一部を露出している。第2のパターン孔63は、濾過部41と、外周部42の第2の部分48に対応している。パターンを焼き付けることにより、第2のパターン孔63に対応した位置の第2のレジスト61が硬化する。
【0035】
図7は、図6の状態の後におけるフィルタ22の製造工程の一部を概略的に示す断面図である。パターンを焼き付けた後、硬化した箇所以外の第2のレジスト61を除去する。第2のパターンフィルム62によって覆われることで硬化しなかった第2のレジスト61は、例えばアルカリ溶液のような現像液によって溶かされ、除去される。これにより、硬化した第2のレジスト61がフィルタ22の第1層22aの上に残る。この硬化済みの第2のレジスト61は、第2のパターン孔63に対応した形状に形成されている。
【0036】
図8は、図7の状態の後におけるフィルタ22の製造工程の一部を概略的に示す断面図である。硬化しなかった第2のレジスト61を除去した後、硬化済みの第2のレジスト61が残ったフィルタ22の第1層22aに、ニッケルを電鋳する。ニッケルは硬化済みの第2のレジスト61が残った以外の箇所で成長する。これにより、第1層22aによって一部が生成されていた外周部42の第1の部分47を形成する。第1層22aによって生成されていた第1の部分47の一部と、後のメッキによって生成された第1の部分47の一部とは、一体に設けられる。
【0037】
図9は、図8の状態の後におけるフィルタ22の製造工程の一部を概略的に示す断面図である。外周部42の第1の部分47が形成された後、硬化済みの第1のレジスト52および第2のレジスト61を除去する。第1および第2のレジスト52,61は、例えばアルカリ溶液のような剥離液によって溶かされ、除去される。
【0038】
次に、フィルタ22を基板51から取り外す。以上の手順により、フィルタ22が形成される。
【0039】
図10は、フィルタ装置10の製造工程の一部を概略的に示す断面図である。なお、図10において、フィルタ22は側面図として示されている。図10に示すように、形成されたフィルタ22を、第1のホルダ部材25と第2のホルダ部材26との間に配置する。フィルタ装置10が組立てられる前の第2のホルダ部材26の第2の固定部39には、突出部66が設けられている。突出部66は、第1のホルダ部材25の第1の固定部34に向かって突出している。
【0040】
第1のホルダ部材25の第1の圧接部33と、第2のホルダ部材26の第2の圧接部38とで、フィルタ22の外周部42の第1の部分47を挟み込む。第1の部分47が第1および第2の圧接部33,38に挟まれると、第2の固定部39の突出部66が、第1の固定部34に当接する。
【0041】
突出部66が第1の固定部34に接触した状態で、第1の固定部34と第2の固定部39とを超音波溶接によって溶着する。突出部66は、超音波溶接によって溶け、第1の固定部34を第2の固定部39に固定する。これにより、第2のホルダ部材26が第1のホルダ部材25に固定され、ホルダ21が形成される。超音波溶接による発熱のため、ホルダ21とフィルタ22とが加熱され、それぞれ膨張する。
【0042】
図11は、図10の状態の後におけるフィルタ装置10の製造工程の一部を概略的に示す断面図である。図11の矢印で示すように、超音波溶接の後、ホルダ21とフィルタ22とが冷却されて収縮する。樹脂製のホルダ21は、金属製のフィルタ22よりも線膨張係数が大きいので、フィルタ22よりも大きく収縮する。
【0043】
ホルダ21とフィルタ22との収縮量の差によって、フィルタ22の外周部42の第2の部分48は、隣り合う第1の部分47が互いに近づく方向に圧縮される。第2の部分48は、第1の部分47よりも薄く形成されているため、この圧縮により変形して潰れる。第2の部分48が潰れることにより、第1の部分47の間の隙間49が狭まる。これにより、上流室32に開口する隙間49の断面積が、濾過部41の孔45の断面積よりも狭くなる。以上により、フィルタ装置10が製造される。
【0044】
上記構成のフィルタ装置10によれば、ホルダ21とフィルタ22とが収縮した際に、フィルタ22の外周部42の第2の部分48が、第1の部分47の間で潰れる。すなわち、第2の部分48は、ホルダ21とフィルタ22との線膨張係数の差によってフィルタ22にかかる外力についての緩衝帯となる。これにより、ホルダ21とフィルタ22との収縮量の差によってフィルタ22に皺が生じ、この皺によってできる隙間を通ってフィルタ22の濾過部41によって取り除かれるべき不純物が下流室37に流れ込むことを抑制できる。したがって、フィルタ装置10の歩留まりを改善できる。
【0045】
さらに、フィルタ22の外周部42の第1の部分の間の隙間49は、潰れた第2の部分48によって狭められる。これにより、フィルタ22の濾過部41によって取り除かれるべき不純物が、隙間49を通って下流室37に流れ込むことが防止される。
【0046】
一方、このフィルタ22以外のフィルタにも使用できる汎用のホルダ21を使用する場合、第1の圧接部33と第2の圧接部38との間の距離によって、使用できるフィルタの厚さが決定される。このフィルタ22において、濾過部41よりも厚く形成された外周部42の第1の部分47が、第1および第2の圧接部33,38によって挟持される。このため、汎用のホルダ21に使用される規定のフィルタの厚さに対し、濾過部41を薄く形成することができる。濾過部41の孔45の直径は濾過部41の厚さによって決まるため、孔45を小さくすることができる。
【0047】
さらに、濾過部41よりも厚く形成された外周部42を設けることによって、フィルタ22の強度を向上させるとともに、第1のホルダ部材25と第2のホルダ部材26との溶着を容易にすることができる。
【0048】
なお、図2ないし図11において、第2の部分48および隙間49は、フィルタ22の各辺に数個ずつ設けられているが、第2の部分48および隙間49の個数はこれに限らない。例えば、第2の部分48および隙間49は、外周部42の全周に満遍なく設けられても良い。
【0049】
次に、図12ないし図15を参照して、第2の実施の形態について説明する。なお、以下に開示する実施形態において、第1の実施形態のフィルタ装置10と同一の機能を有する構成部分には同一の参照符号を付してその説明を省略する。
【0050】
図12は、第2の実施形態におけるフィルタ装置10が組立てられる前のフィルタ22の一部を概略的に示す平面図である。図13は、図12のF13−F13線に沿ってフィルタ22の一部を概略的に示す断面図である。フィルタ22は、第1のホルダ部材25に向く第1の面22bと、第2のホルダ部材26に向く第2の面22cとを有している。第2の面22cは、第1の面22bの反対側に位置している。
【0051】
フィルタ22の外周部42の第1の部分47は、マトリクス状に配置されるとともに、第1の凸部71と、第2の凸部72とを含んでいる。第1の凸部71と第2の凸部72とは、互いに隣り合って配置されている。フィルタ装置10が組立てられる前において、第1の凸部71は、フィルタ22の第1の面22bから張り出している。フィルタ装置10が組立てられる前において、第2の凸部72は、フィルタ22の第2の面22cから張り出している。
【0052】
以下に、第2の実施形態のフィルタ装置10の製造方法の一例について説明する。図14は、フィルタ装置の製造工程の一部を概略的に示す断面図である。なお、図14において、フィルタ22は側面図として示されている。図14に示すように、形成されたフィルタ22を、第1のホルダ部材25と第2のホルダ部材26との間に配置する。
【0053】
図15は、図14の状態の後におけるフィルタ装置10の製造工程の一部を概略的に示す断面図である。第1のホルダ部材25の第1の圧接部33と、第2のホルダ部材26の第2の圧接部38とで、フィルタ22の外周部42の第1の部分47を挟み込む。図15に示すように、第1の部分47が第1および第2の圧接部33,38に挟まれると、第2の部分48が変形し、フィルタ22の厚み方向に潰れる。
【0054】
第2の部分48が潰れることで、第1の凸部71と第2の凸部72とは、フィルタ22の厚み方向において揃う。言い換えると、第1の凸部71と第2の凸部72とは、第1および第2の圧接部33,38との間に並んで配置される。これにより、第1および第2の凸部71,72が、第1および第2の圧接部33,38にそれぞれ挟持される。さらに、第1の部分47の間の隙間49が狭まる。
【0055】
第1および第2の圧接部33,38の平面度が低い場合であっても、第2の部分48は、第1および第2の圧接部33,38の形状に応じて柔軟に変形する。このため、第1および第2の凸部71,72は、第1および第2の圧接部33,38の平面度にかかわらず挟持される。
【0056】
第1および第2の凸部71,72が挟持された状態で、第1の固定部34と第2の固定部39とを超音波溶接によって溶着する。これにより、ホルダ21が形成される。超音波溶接によって、ホルダ21とフィルタ22とが加熱され、それぞれ膨張する。
【0057】
超音波溶接の後、ホルダ21とフィルタ22とが冷却されて収縮する。樹脂製のホルダ21は、金属製のフィルタ22よりも線膨張係数が大きいので、フィルタ22よりも大きく収縮する。
【0058】
フィルタ22の外周部42の第2の部分48は、第1の部分47よりも薄く形成されている。このため、ホルダ21とフィルタ22との収縮量の差によって、第2の部分48が変形し、隣り合う第1の部分47どうしが近づく方向に潰れる。第2の部分48が潰れることにより、第1の凸部71と第2の凸部72との間の隙間49が狭まる。これにより、上流室32に開口する隙間49の断面積が、濾過部41の孔45の断面積よりも狭くなる。以上により、フィルタ装置10が製造される。
【0059】
前記構成のフィルタ装置10によれば、第1のホルダ部材25の第1の圧接部33と第2のホルダ部材26の第2の圧接部38とで、フィルタ22の外周部42の第1の部分47を挟み込むことにより、第2の部分48がフィルタ22の厚み方向につぶれる。第1の部分47の第1および第2の凸部71,72は、第1および第2の圧接部33,38の平面度にかかわらず挟持される。言い換えると、フィルタ22は、擬似的な弾性を有し、厚み方向に潰れる。これにより、第1および第2の圧接部33,38の平面度が低い場合であっても、フィルタ22と第1および第2の圧接部33,38との間に、濾過部41の孔45よりも大きい隙間が生ずることを抑制できる。
【0060】
なお、上記の実施形態において、第1の固定部34と第2の固定部39とは超音波溶接によって固定されていたが、これに限らず接着剤のような他の手段によって固定されても良い。
【0061】
さらに、上記の実施形態において、超音波溶接時の発熱による膨張および収縮により第2の部分48が潰れていたが、これに限らず振動やその他の要因によって第2の部分48が潰れても良い。
【0062】
加えて、上記の実施形態において、フィルタ22は電鋳により形成されていたが、これに限らず、ハーフエッチングや拡散接合のような他の手段によってフィルタ22を形成しても良い。
【0063】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0064】
10…フィルタ装置,21…ホルダ,22…フィルタ,22b…第1の面,22c…第2の面,25…第1のホルダ部材,26…第2のホルダ部材,27…フィルタ室,41…濾過部,42…外周部,42a…外縁,45…孔,47…第1の部分,48…第2の部分,49…隙間,71…第1の凸部,72…第2の凸部。
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、インクジェットプリンタ用のフィルタ装置、フィルタ装置の製造方法、およびフィルタに関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェットプリンタは、インクジェットヘッドに供給されるインクを濾過するためのフィルタ装置を備える。このフィルタ装置は、インクタンクとインクジェットヘッドとの間に介在し、例えば金属メッシュや不織布のようなフィルタによってインク中の不純物を取り除く。
【0003】
金属膜フィルタの一例として、電鋳によって形成されたニッケル薄膜がある。電鋳によってフィルタを形成することにより、フィルタにバリが発生せず、フィルタの孔を小さく形成できる。このため、濾過特性の優れたフィルタを形成できる。
【0004】
フィルタ装置は、樹脂製のホルダの内部に上述のフィルタを配置して形成される。ホルダは例えばインクタンクに通じる部材とインクジェットヘッドに通じる部材とによって構成され、この2つの部材がフィルタを挟み込むことでフィルタがホルダの内部に固定される。フィルタを挟み込んだ2つの部材を例えば超音波溶接によって溶着することにより、フィルタ装置が形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−210960号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
金属膜によって形成されるフィルタの線膨張係数は、樹脂で形成されるホルダの線膨張係数との間に差がある。このため、例えば溶着時の発熱によるホルダの膨張および収縮のため、ホルダに固定されたフィルタに皺が生じるおそれがある。
【0007】
フィルタに生じた皺によって、フィルタとホルダとの間に隙間ができる。この隙間がフィルタの孔より大きいと、隙間を通って未濾過のインクがインクジェットヘッドに供給されてしまう。このため、フィルタに皺が生じた場合、そのフィルタは不良品として廃棄することとなり、歩留まりが悪化してしまう。
【0008】
本発明の目的は、フィルタの皺を抑制できるインクジェットプリンタ用のフィルタ装置、その製造方法、および皺の発生を抑制できるインクジェットプリンタ用のフィルタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一つの実施の形態に係るインクジェットプリンタ用のフィルタ装置は、
第1のホルダ部材と、前記第1のホルダ部材に固定される第2のホルダ部材と、前記第1のホルダ部材と前記第2のホルダ部材とに囲まれたフィルタ室と、を有したホルダと、複数の孔が形成された濾過部と、前記濾過部と一体に設けられるとともに前記濾過部を囲んだ外周部と、を有し、前記フィルタ室を仕切った金属膜であるフィルタと、を具備する。前記フィルタの前記外周部は、前記濾過部よりも厚く形成され、互いに隙間を介して配置されるとともに前記第1のホルダ部材と前記第2のホルダ部材とに挟持された複数の第1の部分と、前記複数の第1の部分の間で潰れることで、前記複数の第1の部分の間の隙間の断面積を前記濾過部の前記孔の断面積よりも狭くする第2の部分と、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】第1の実施の形態に係るフィルタ装置とインクタンクとインクジェットヘッドとを概略的に示す斜視図。
【図2】第1の実施形態のフィルタ装置を図1のF2−F2線に沿って示す断面図。
【図3】第1の実施形態のフィルタ装置が組立てられる前のフィルタを示す平面図。
【図4】第1の実施形態のフィルタの製造工程の一部を概略的に示す断面図。
【図5】図4の状態の後における第1の実施形態のフィルタの製造工程の一部を概略的に示す断面図。
【図6】図5の状態の後における第1の実施形態のフィルタの製造工程の一部を概略的に示す断面図。
【図7】図6の状態の後における第1の実施形態のフィルタの製造工程の一部を概略的に示す断面図。
【図8】図7の状態の後における第1の実施形態のフィルタの製造工程の一部を概略的に示す断面図。
【図9】図8の状態の後における第1の実施形態のフィルタの製造工程の一部を概略的に示す断面図。
【図10】第1の実施形態のフィルタ装置の製造工程の一部を概略的に示す断面図。
【図11】図10の後の状態における第1の実施形態のフィルタ装置の製造工程の一部を概略的に示す断面図。
【図12】第2の実施の形態に係るフィルタ装置が組立てられる前のフィルタの一部を概略的に示す平面図。
【図13】第2の実施形態のフィルタの一部を図12のF13−F13線に沿って概略的に示す断面図。
【図14】第2の実施形態のホルダ装置の製造工程の一部を概略的に示す断面図。
【図15】図14の状態の後における第2の実施形態のフィルタ装置の製造工程の一部を概略的に示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、第1の実施の形態について、図1から図11を参照して説明する。図1は、インクジェットプリンタ用のフィルタ装置10と、インクタンク11と、インクジェットヘッド12とを概略的に示す斜視図である。フィルタ装置10と、インクタンク11と、インクジェットヘッド12とは、インクジェットプリンタに内蔵されている。
【0012】
フィルタ装置10は、インクタンク11からインクジェットヘッド12にインクを供給する配管13の途中に配置されている。インクタンク11に貯蔵されたインクは、フィルタ装置10によって濾過されてインクジェットヘッド12に供給される。
【0013】
インクタンク11には、例えばオイル系のインクが貯蔵されている。なお、インクはこれに限らず、他の種類のインクでも良い。
【0014】
インクジェットヘッド12は、いわゆるエッジシュータ式のインクジェットヘッドである。インクジェットヘッド12は、圧電素子によって形成された複数の圧力室を有しており、これらの圧力室に供給されたインクを複数のノズル12aからそれぞれ吐出する。
【0015】
図2は、フィルタ装置10を図1のF2−F2線に沿って示す断面図である。図2に示すように、フィルタ装置10は、ホルダ21と、フィルタ22とを備えている。ホルダ21は、第1のホルダ部材25と、第2のホルダ部材26と、フィルタ室27とを有している。フィルタ室27は、第1のホルダ部材25と第2のホルダ部材26とに囲まれている。
【0016】
第1のホルダ部材25に、流入口31と、上流室32と、第1の圧接部33と、第1の固定部34とが設けられている。流入口31は上流室32に開口するとともに、配管13を介してインクタンク11に接続されている。インクタンク11に貯蔵されたインクは、配管13を通って流入口31から上流室32に流入する。上流室32は、フィルタ室27の一部である。
【0017】
第1の圧接部33は、上流室32を囲むような枠状の面であり、高い平面度を有している。第1の圧接部33は、フィルタ22を保持するために形成されている。第1の固定部34は、第1の圧接部33を囲むような枠状の面である。
【0018】
第2のホルダ部材26に、流出口36と、下流室37と、第2の圧接部38とが設けられている。流出口36は下流室37に開口するとともに、配管13を介してインクジェットヘッド12に接続されている。下流室37は、フィルタ室27の一部であり、フィルタ22を挟んで上流室32の反対側に設けられている。言い換えると、ホルダ21内のフィルタ室27は、フィルタ22によって上流室32と下流室37とに仕切られている。
【0019】
第2の圧接部38は、下流室37を囲むような枠状の面であり、高い平面度を有している。第2の圧接部38は、フィルタ22を保持するために形成されており、フィルタ22を間に挟んで第1の圧接部33と対向している。第2の固定部39は、第2の圧接部38を囲むような枠状の面であり、第1の固定部34に例えば溶着されて固定されている。
【0020】
図3は、フィルタ装置10が組立てられる前のフィルタ22を示す平面図である。フィルタ22は、金属膜の一種であるニッケル薄膜によって略矩形状に形成されており、濾過部41と、外周部42とを有している。
【0021】
図3に示すように、濾過部41には、複数の孔45が設けられている。孔45の直径は、例えば5μmである。なお、インクタンク11に貯蔵されたインクの粒子径は孔45の直径よりも小さく、インクは孔45を通過できる。一方、インクに混ざっている除去されるべき不純物は、この濾過部41に捕獲されて取り除かれる。
【0022】
外周部42は、濾過部41と一体に設けられており、濾過部41を囲んでいる。外周部42は、複数の第1の部分47と、複数の第2の部分48とを有している。
【0023】
第1の部分47は、濾過部41よりも厚く形成され、図2に示すように第1のホルダ部材25に向かって張り出している。第1の部分47の厚みは、例えば10μmである。複数の第1の部分47は、互いに隙間49を介して配置されている。
【0024】
図2に示すように、第1の部分47は、第1のホルダ部材25の第1の圧接部33と、第2のホルダ部材26の第2の圧接部38によって挟持されている。これにより、フィルタ22がホルダ21の内部に固定されている。
【0025】
図3に示すように、複数の第1の部分47の間に形成された複数の隙間49は、それぞれ溝状に形成されている。複数の隙間49は、外周部42の外縁42aから濾過部41に向かう方向にそれぞれ延びている。
【0026】
複数の第2の部分48は、複数の第1の部分47の間にそれぞれ配置されている。フィルタ装置10が組立てられる前の第2の部分48は、濾過部41と同一平面を形成している。第2の部分48の厚さは、濾過部41の厚さと同じく5μmである。すなわち、第2の部分48は、第1の部分47よりも薄く形成されている。
【0027】
図2に示すように、フィルタ装置10が組立てられた状態において、第2の部分48は隣り合う第1の部分47どうしが近づく方向に潰れている。第2の部分48は潰れることで、隙間49を狭め、または隙間49を分割する。潰れた第2の部分48により、上流室32に開口する隙間49の断面積は、濾過部41の孔45の断面積よりも狭くなる。
【0028】
以下に、フィルタ装置10の製造方法の一例について説明する。図4は、フィルタ22の製造工程の一部を概略的に示す断面図である。フィルタ22は、電鋳によって製造される。図4に示すように、まず、導電性の基板51の表面51aに、第1のレジスト52を均一に塗布する。塗布された第1のレジスト52の厚さは、製造されるフィルタ22の濾過部41の厚さおよび外周部42の第2の部分48の厚さと同じ5μmである。
【0029】
次に、第1のレジスト52を第1のパターンフィルム53で覆い、第1のレジスト52にパターンを焼き付ける。第1のパターンフィルム53には、濾過部41の複数の孔45に対応した複数の第1のパターン孔54が設けられており、第1のレジスト52の一部を露出している。パターンを焼き付けることにより、第1のパターン孔54に対応した位置の第1のレジスト52がそれぞれ硬化する。
【0030】
図5は、図4の状態の後におけるフィルタ22の製造工程の一部を概略的に示す断面図である。第1のレジスト52を硬化させた後、硬化した箇所以外の第1のレジスト52を除去する。第1のパターンフィルム53によって覆われることで硬化しなかった第1のレジスト52は、例えばアルカリ溶液のような現像液によって溶かされ、除去される。これにより、硬化した複数の第1のレジスト52が基板51の表面51aに残る。この複数の硬化済みの第1のレジスト52は、第1のパターン孔54に対応した柱状に形成されている。
【0031】
次に、硬化済みの第1のレジスト52が残った基板51の表面51aにニッケルを電鋳する。ニッケルは硬化済みの第1のレジスト52が残った以外の箇所で成長し、ニッケル薄膜であるフィルタ22の第1層22aを形成する。
【0032】
第1層22aは、フィルタ22の中間生産物であり、濾過部41と、外周部42の第1の部分47の一部および第2の部分48とを含んでいる。第1層22aの厚さは、第1のレジスト52の厚さと同じ5μmである。
【0033】
図6は、図5の状態の後におけるフィルタ22の製造工程の一部を概略的に示す断面図である。フィルタ22の第1層22aが形成された後、第1層22aおよび残った第1のレジスト52の上に、第2のレジスト61を均一に塗布する。塗布された第2のレジスト61の厚さは、製造されるフィルタ22の外周部42の第1の部分47の厚さと第2の部分48の厚さとの差である5μmである。
【0034】
次に、第2のレジスト61を第2のパターンフィルム62で覆い、第2のレジスト61にパターンを焼き付ける。第2のパターンフィルム62には、第2のパターン孔63が設けられ、第2のレジスト61の一部を露出している。第2のパターン孔63は、濾過部41と、外周部42の第2の部分48に対応している。パターンを焼き付けることにより、第2のパターン孔63に対応した位置の第2のレジスト61が硬化する。
【0035】
図7は、図6の状態の後におけるフィルタ22の製造工程の一部を概略的に示す断面図である。パターンを焼き付けた後、硬化した箇所以外の第2のレジスト61を除去する。第2のパターンフィルム62によって覆われることで硬化しなかった第2のレジスト61は、例えばアルカリ溶液のような現像液によって溶かされ、除去される。これにより、硬化した第2のレジスト61がフィルタ22の第1層22aの上に残る。この硬化済みの第2のレジスト61は、第2のパターン孔63に対応した形状に形成されている。
【0036】
図8は、図7の状態の後におけるフィルタ22の製造工程の一部を概略的に示す断面図である。硬化しなかった第2のレジスト61を除去した後、硬化済みの第2のレジスト61が残ったフィルタ22の第1層22aに、ニッケルを電鋳する。ニッケルは硬化済みの第2のレジスト61が残った以外の箇所で成長する。これにより、第1層22aによって一部が生成されていた外周部42の第1の部分47を形成する。第1層22aによって生成されていた第1の部分47の一部と、後のメッキによって生成された第1の部分47の一部とは、一体に設けられる。
【0037】
図9は、図8の状態の後におけるフィルタ22の製造工程の一部を概略的に示す断面図である。外周部42の第1の部分47が形成された後、硬化済みの第1のレジスト52および第2のレジスト61を除去する。第1および第2のレジスト52,61は、例えばアルカリ溶液のような剥離液によって溶かされ、除去される。
【0038】
次に、フィルタ22を基板51から取り外す。以上の手順により、フィルタ22が形成される。
【0039】
図10は、フィルタ装置10の製造工程の一部を概略的に示す断面図である。なお、図10において、フィルタ22は側面図として示されている。図10に示すように、形成されたフィルタ22を、第1のホルダ部材25と第2のホルダ部材26との間に配置する。フィルタ装置10が組立てられる前の第2のホルダ部材26の第2の固定部39には、突出部66が設けられている。突出部66は、第1のホルダ部材25の第1の固定部34に向かって突出している。
【0040】
第1のホルダ部材25の第1の圧接部33と、第2のホルダ部材26の第2の圧接部38とで、フィルタ22の外周部42の第1の部分47を挟み込む。第1の部分47が第1および第2の圧接部33,38に挟まれると、第2の固定部39の突出部66が、第1の固定部34に当接する。
【0041】
突出部66が第1の固定部34に接触した状態で、第1の固定部34と第2の固定部39とを超音波溶接によって溶着する。突出部66は、超音波溶接によって溶け、第1の固定部34を第2の固定部39に固定する。これにより、第2のホルダ部材26が第1のホルダ部材25に固定され、ホルダ21が形成される。超音波溶接による発熱のため、ホルダ21とフィルタ22とが加熱され、それぞれ膨張する。
【0042】
図11は、図10の状態の後におけるフィルタ装置10の製造工程の一部を概略的に示す断面図である。図11の矢印で示すように、超音波溶接の後、ホルダ21とフィルタ22とが冷却されて収縮する。樹脂製のホルダ21は、金属製のフィルタ22よりも線膨張係数が大きいので、フィルタ22よりも大きく収縮する。
【0043】
ホルダ21とフィルタ22との収縮量の差によって、フィルタ22の外周部42の第2の部分48は、隣り合う第1の部分47が互いに近づく方向に圧縮される。第2の部分48は、第1の部分47よりも薄く形成されているため、この圧縮により変形して潰れる。第2の部分48が潰れることにより、第1の部分47の間の隙間49が狭まる。これにより、上流室32に開口する隙間49の断面積が、濾過部41の孔45の断面積よりも狭くなる。以上により、フィルタ装置10が製造される。
【0044】
上記構成のフィルタ装置10によれば、ホルダ21とフィルタ22とが収縮した際に、フィルタ22の外周部42の第2の部分48が、第1の部分47の間で潰れる。すなわち、第2の部分48は、ホルダ21とフィルタ22との線膨張係数の差によってフィルタ22にかかる外力についての緩衝帯となる。これにより、ホルダ21とフィルタ22との収縮量の差によってフィルタ22に皺が生じ、この皺によってできる隙間を通ってフィルタ22の濾過部41によって取り除かれるべき不純物が下流室37に流れ込むことを抑制できる。したがって、フィルタ装置10の歩留まりを改善できる。
【0045】
さらに、フィルタ22の外周部42の第1の部分の間の隙間49は、潰れた第2の部分48によって狭められる。これにより、フィルタ22の濾過部41によって取り除かれるべき不純物が、隙間49を通って下流室37に流れ込むことが防止される。
【0046】
一方、このフィルタ22以外のフィルタにも使用できる汎用のホルダ21を使用する場合、第1の圧接部33と第2の圧接部38との間の距離によって、使用できるフィルタの厚さが決定される。このフィルタ22において、濾過部41よりも厚く形成された外周部42の第1の部分47が、第1および第2の圧接部33,38によって挟持される。このため、汎用のホルダ21に使用される規定のフィルタの厚さに対し、濾過部41を薄く形成することができる。濾過部41の孔45の直径は濾過部41の厚さによって決まるため、孔45を小さくすることができる。
【0047】
さらに、濾過部41よりも厚く形成された外周部42を設けることによって、フィルタ22の強度を向上させるとともに、第1のホルダ部材25と第2のホルダ部材26との溶着を容易にすることができる。
【0048】
なお、図2ないし図11において、第2の部分48および隙間49は、フィルタ22の各辺に数個ずつ設けられているが、第2の部分48および隙間49の個数はこれに限らない。例えば、第2の部分48および隙間49は、外周部42の全周に満遍なく設けられても良い。
【0049】
次に、図12ないし図15を参照して、第2の実施の形態について説明する。なお、以下に開示する実施形態において、第1の実施形態のフィルタ装置10と同一の機能を有する構成部分には同一の参照符号を付してその説明を省略する。
【0050】
図12は、第2の実施形態におけるフィルタ装置10が組立てられる前のフィルタ22の一部を概略的に示す平面図である。図13は、図12のF13−F13線に沿ってフィルタ22の一部を概略的に示す断面図である。フィルタ22は、第1のホルダ部材25に向く第1の面22bと、第2のホルダ部材26に向く第2の面22cとを有している。第2の面22cは、第1の面22bの反対側に位置している。
【0051】
フィルタ22の外周部42の第1の部分47は、マトリクス状に配置されるとともに、第1の凸部71と、第2の凸部72とを含んでいる。第1の凸部71と第2の凸部72とは、互いに隣り合って配置されている。フィルタ装置10が組立てられる前において、第1の凸部71は、フィルタ22の第1の面22bから張り出している。フィルタ装置10が組立てられる前において、第2の凸部72は、フィルタ22の第2の面22cから張り出している。
【0052】
以下に、第2の実施形態のフィルタ装置10の製造方法の一例について説明する。図14は、フィルタ装置の製造工程の一部を概略的に示す断面図である。なお、図14において、フィルタ22は側面図として示されている。図14に示すように、形成されたフィルタ22を、第1のホルダ部材25と第2のホルダ部材26との間に配置する。
【0053】
図15は、図14の状態の後におけるフィルタ装置10の製造工程の一部を概略的に示す断面図である。第1のホルダ部材25の第1の圧接部33と、第2のホルダ部材26の第2の圧接部38とで、フィルタ22の外周部42の第1の部分47を挟み込む。図15に示すように、第1の部分47が第1および第2の圧接部33,38に挟まれると、第2の部分48が変形し、フィルタ22の厚み方向に潰れる。
【0054】
第2の部分48が潰れることで、第1の凸部71と第2の凸部72とは、フィルタ22の厚み方向において揃う。言い換えると、第1の凸部71と第2の凸部72とは、第1および第2の圧接部33,38との間に並んで配置される。これにより、第1および第2の凸部71,72が、第1および第2の圧接部33,38にそれぞれ挟持される。さらに、第1の部分47の間の隙間49が狭まる。
【0055】
第1および第2の圧接部33,38の平面度が低い場合であっても、第2の部分48は、第1および第2の圧接部33,38の形状に応じて柔軟に変形する。このため、第1および第2の凸部71,72は、第1および第2の圧接部33,38の平面度にかかわらず挟持される。
【0056】
第1および第2の凸部71,72が挟持された状態で、第1の固定部34と第2の固定部39とを超音波溶接によって溶着する。これにより、ホルダ21が形成される。超音波溶接によって、ホルダ21とフィルタ22とが加熱され、それぞれ膨張する。
【0057】
超音波溶接の後、ホルダ21とフィルタ22とが冷却されて収縮する。樹脂製のホルダ21は、金属製のフィルタ22よりも線膨張係数が大きいので、フィルタ22よりも大きく収縮する。
【0058】
フィルタ22の外周部42の第2の部分48は、第1の部分47よりも薄く形成されている。このため、ホルダ21とフィルタ22との収縮量の差によって、第2の部分48が変形し、隣り合う第1の部分47どうしが近づく方向に潰れる。第2の部分48が潰れることにより、第1の凸部71と第2の凸部72との間の隙間49が狭まる。これにより、上流室32に開口する隙間49の断面積が、濾過部41の孔45の断面積よりも狭くなる。以上により、フィルタ装置10が製造される。
【0059】
前記構成のフィルタ装置10によれば、第1のホルダ部材25の第1の圧接部33と第2のホルダ部材26の第2の圧接部38とで、フィルタ22の外周部42の第1の部分47を挟み込むことにより、第2の部分48がフィルタ22の厚み方向につぶれる。第1の部分47の第1および第2の凸部71,72は、第1および第2の圧接部33,38の平面度にかかわらず挟持される。言い換えると、フィルタ22は、擬似的な弾性を有し、厚み方向に潰れる。これにより、第1および第2の圧接部33,38の平面度が低い場合であっても、フィルタ22と第1および第2の圧接部33,38との間に、濾過部41の孔45よりも大きい隙間が生ずることを抑制できる。
【0060】
なお、上記の実施形態において、第1の固定部34と第2の固定部39とは超音波溶接によって固定されていたが、これに限らず接着剤のような他の手段によって固定されても良い。
【0061】
さらに、上記の実施形態において、超音波溶接時の発熱による膨張および収縮により第2の部分48が潰れていたが、これに限らず振動やその他の要因によって第2の部分48が潰れても良い。
【0062】
加えて、上記の実施形態において、フィルタ22は電鋳により形成されていたが、これに限らず、ハーフエッチングや拡散接合のような他の手段によってフィルタ22を形成しても良い。
【0063】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0064】
10…フィルタ装置,21…ホルダ,22…フィルタ,22b…第1の面,22c…第2の面,25…第1のホルダ部材,26…第2のホルダ部材,27…フィルタ室,41…濾過部,42…外周部,42a…外縁,45…孔,47…第1の部分,48…第2の部分,49…隙間,71…第1の凸部,72…第2の凸部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のホルダ部材と、前記第1のホルダ部材に固定される第2のホルダ部材と、前記第1のホルダ部材と前記第2のホルダ部材とに囲まれたフィルタ室と、を有したホルダと、
複数の孔が形成された濾過部と、前記濾過部と一体に設けられるとともに前記濾過部を囲んだ外周部と、を有し、前記フィルタ室を仕切った金属膜であるフィルタと、
を具備し、
前記フィルタの前記外周部は、
前記濾過部よりも厚く形成され、互いに隙間を介して配置されるとともに前記第1のホルダ部材と前記第2のホルダ部材とに挟持された複数の第1の部分と、
前記複数の第1の部分の間で潰れることで、前記複数の第1の部分の間の隙間の断面積を前記濾過部の前記孔の断面積よりも狭くする第2の部分と、
を含むことを特徴とするインクジェットプリンタ用のフィルタ装置。
【請求項2】
前記複数の第1の部分の間の隙間は、前記外周部の外縁から前記濾過部に向かう方向に延びた溝状に形成されたことを特徴とする請求項1に記載のインクジェットプリンタ用のフィルタ装置。
【請求項3】
前記フィルタは、前記第1のホルダ部材に向いた第1の面と、前記第2のホルダ部材に向いた第2の面とを有し、
前記外周部の前記第1の部分は、前記第1の面から張り出した第1の凸部と、前記第1の凸部と隣り合って配置されるとともに前記第2の面から張り出した第2の凸部と、を含み、
前記外周部の前記第2の部分が潰れることで、前記第1の凸部と前記第2の凸部とが揃って前記第1のホルダ部材と前記第2のホルダ部材とに挟持され、前記第1の凸部と前記第2の凸部との間の隙間の断面積が前記濾過部の前記孔の断面積よりも狭く形成されたことを特徴とする請求項1に記載のインクジェットプリンタ用のフィルタ装置。
【請求項4】
第1のホルダ部材と、前記第1のホルダ部材に固定される第2のホルダ部材と、前記第1のホルダ部材と前記第2のホルダ部材とに囲まれたフィルタ室と、を有したホルダと、
複数の孔が形成された濾過部と、前記濾過部と一体に設けられるとともに前記濾過部を囲んだ外周部と、を有し、前記フィルタ室を仕切った金属膜であるフィルタと、
を備え、
前記フィルタの前記外周部は、
前記濾過部よりも厚く形成され、互いに隙間を介して配置された複数の第1の部分と、
前記複数の第1の部分の間に設けられた前記第1の部分よりも薄い第2の部分と、
を含んだインクジェットプリンタ用のフィルタ装置の製造方法であって、
前記外周部の前記第1の部分を、前記第1のホルダ部材と前記第2のホルダ部材とで挟持し、
前記外周部の前記第2の部分を潰すことで、前記第1の部分の間の隙間の断面積を前記濾過部の前記孔の断面積よりも狭くすることを特徴とするインクジェットプリンタ用のフィルタ装置の製造方法。
【請求項5】
電鋳によって、前記濾過部と、前記外周部の前記第1の部分の一部と、前記第2の部分とを含む前記フィルタの中間生産物である第1層を形成し、
前記第1層の上に電鋳することにより前記フィルタを形成することを特徴とする請求項4に記載のインクジェットプリンタ用のフィルタ装置の製造方法。
【請求項6】
前記フィルタは、前記第1のホルダ部材に向いた第1の面と、前記第2のホルダ部材に向いた第2の面とを有し、
前記外周部の前記第1の部分は、前記第1の面から張り出した第1の凸部と、前記第1の凸部と隣り合って配置されるとともに前記第2の面から張り出した第2の凸部と、を含み、
前記第1の部分を前記第1のホルダ部材と前記第2のホルダ部材とで挟持することで前記第2の部分を潰し、前記第1の凸部と前記第2の凸部とを揃えることを特徴とする請求項4に記載のインクジェットプリンタ用のフィルタ装置の製造方法。
【請求項7】
複数の孔が形成された金属膜である濾過部と、
前記濾過部と一体に形成されるとともに前記濾過部を囲んだ外周部と、
を具備し、
前記外周部は、
前記濾過部よりも厚く形成され、互いに隙間を介して配置された複数の第1の部分と、
前記第1の部分よりも薄く形成され、隣り合う第1の部分どうしが近づく方向に圧縮されたときに潰れる第2の部分と、
を備えることを特徴とするインクジェットプリンタ用のフィルタ。
【請求項8】
前記複数の第1の部分の間の隙間は、前記外周部の外縁から前記濾過部に向かう方向に延びた溝状に形成されたことを特徴とする請求項7に記載のインクジェットプリンタ用のフィルタ。
【請求項9】
前記フィルタは、第1の面と、前記第1の面の反対側に位置する第2の面とを有し、
前記外周部の前記第1の部分は、前記第1の面から張り出した第1の凸部と、前記第1の凸部と隣り合って配置されるとともに前記第2の面から張り出した第2の凸部と、を含み、
前記外周部の前記第2の部分が前記フィルタの厚み方向に潰れると、前記第1の凸部と前記第2の凸部とが揃い、前記第1の凸部と前記第2の凸部との間の隙間の断面積が前記濾過部の前記孔の断面積よりも狭くなることを特徴とする請求項7に記載のインクジェットプリンタ用のフィルタ。
【請求項1】
第1のホルダ部材と、前記第1のホルダ部材に固定される第2のホルダ部材と、前記第1のホルダ部材と前記第2のホルダ部材とに囲まれたフィルタ室と、を有したホルダと、
複数の孔が形成された濾過部と、前記濾過部と一体に設けられるとともに前記濾過部を囲んだ外周部と、を有し、前記フィルタ室を仕切った金属膜であるフィルタと、
を具備し、
前記フィルタの前記外周部は、
前記濾過部よりも厚く形成され、互いに隙間を介して配置されるとともに前記第1のホルダ部材と前記第2のホルダ部材とに挟持された複数の第1の部分と、
前記複数の第1の部分の間で潰れることで、前記複数の第1の部分の間の隙間の断面積を前記濾過部の前記孔の断面積よりも狭くする第2の部分と、
を含むことを特徴とするインクジェットプリンタ用のフィルタ装置。
【請求項2】
前記複数の第1の部分の間の隙間は、前記外周部の外縁から前記濾過部に向かう方向に延びた溝状に形成されたことを特徴とする請求項1に記載のインクジェットプリンタ用のフィルタ装置。
【請求項3】
前記フィルタは、前記第1のホルダ部材に向いた第1の面と、前記第2のホルダ部材に向いた第2の面とを有し、
前記外周部の前記第1の部分は、前記第1の面から張り出した第1の凸部と、前記第1の凸部と隣り合って配置されるとともに前記第2の面から張り出した第2の凸部と、を含み、
前記外周部の前記第2の部分が潰れることで、前記第1の凸部と前記第2の凸部とが揃って前記第1のホルダ部材と前記第2のホルダ部材とに挟持され、前記第1の凸部と前記第2の凸部との間の隙間の断面積が前記濾過部の前記孔の断面積よりも狭く形成されたことを特徴とする請求項1に記載のインクジェットプリンタ用のフィルタ装置。
【請求項4】
第1のホルダ部材と、前記第1のホルダ部材に固定される第2のホルダ部材と、前記第1のホルダ部材と前記第2のホルダ部材とに囲まれたフィルタ室と、を有したホルダと、
複数の孔が形成された濾過部と、前記濾過部と一体に設けられるとともに前記濾過部を囲んだ外周部と、を有し、前記フィルタ室を仕切った金属膜であるフィルタと、
を備え、
前記フィルタの前記外周部は、
前記濾過部よりも厚く形成され、互いに隙間を介して配置された複数の第1の部分と、
前記複数の第1の部分の間に設けられた前記第1の部分よりも薄い第2の部分と、
を含んだインクジェットプリンタ用のフィルタ装置の製造方法であって、
前記外周部の前記第1の部分を、前記第1のホルダ部材と前記第2のホルダ部材とで挟持し、
前記外周部の前記第2の部分を潰すことで、前記第1の部分の間の隙間の断面積を前記濾過部の前記孔の断面積よりも狭くすることを特徴とするインクジェットプリンタ用のフィルタ装置の製造方法。
【請求項5】
電鋳によって、前記濾過部と、前記外周部の前記第1の部分の一部と、前記第2の部分とを含む前記フィルタの中間生産物である第1層を形成し、
前記第1層の上に電鋳することにより前記フィルタを形成することを特徴とする請求項4に記載のインクジェットプリンタ用のフィルタ装置の製造方法。
【請求項6】
前記フィルタは、前記第1のホルダ部材に向いた第1の面と、前記第2のホルダ部材に向いた第2の面とを有し、
前記外周部の前記第1の部分は、前記第1の面から張り出した第1の凸部と、前記第1の凸部と隣り合って配置されるとともに前記第2の面から張り出した第2の凸部と、を含み、
前記第1の部分を前記第1のホルダ部材と前記第2のホルダ部材とで挟持することで前記第2の部分を潰し、前記第1の凸部と前記第2の凸部とを揃えることを特徴とする請求項4に記載のインクジェットプリンタ用のフィルタ装置の製造方法。
【請求項7】
複数の孔が形成された金属膜である濾過部と、
前記濾過部と一体に形成されるとともに前記濾過部を囲んだ外周部と、
を具備し、
前記外周部は、
前記濾過部よりも厚く形成され、互いに隙間を介して配置された複数の第1の部分と、
前記第1の部分よりも薄く形成され、隣り合う第1の部分どうしが近づく方向に圧縮されたときに潰れる第2の部分と、
を備えることを特徴とするインクジェットプリンタ用のフィルタ。
【請求項8】
前記複数の第1の部分の間の隙間は、前記外周部の外縁から前記濾過部に向かう方向に延びた溝状に形成されたことを特徴とする請求項7に記載のインクジェットプリンタ用のフィルタ。
【請求項9】
前記フィルタは、第1の面と、前記第1の面の反対側に位置する第2の面とを有し、
前記外周部の前記第1の部分は、前記第1の面から張り出した第1の凸部と、前記第1の凸部と隣り合って配置されるとともに前記第2の面から張り出した第2の凸部と、を含み、
前記外周部の前記第2の部分が前記フィルタの厚み方向に潰れると、前記第1の凸部と前記第2の凸部とが揃い、前記第1の凸部と前記第2の凸部との間の隙間の断面積が前記濾過部の前記孔の断面積よりも狭くなることを特徴とする請求項7に記載のインクジェットプリンタ用のフィルタ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2012−121214(P2012−121214A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−273250(P2010−273250)
【出願日】平成22年12月8日(2010.12.8)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月8日(2010.12.8)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】
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