説明

インクジェットプリンタ用紫外線硬化装置

【課題】 インクジェットプリンタ用紫外線硬化装置の内部温度を低く抑えることができ、ワークの表面のインクを効率的に硬化することができるインクジェットプリンタ用紫外線硬化装置を提供することを課題とする。
【解決手段】 紫外線照射器本体1の内部に装着し、且つ頂部にスリット6を有する反射鏡2の上部に、逆裁頭角錐型の風量調整板12を配置し、また紫外線照射器本体の前端に前面ガラス4を設け、さらに紫外線照射器本体の内側面に対応して排風筒11を設けて構成してある。冷却風は風量調整板の内壁から反射鏡のスリットをとおって、反射鏡の内部に位置する光源を冷却する系統のものと、風量調整板の内壁から反射鏡の外壁をとおって、前面ガラスに当たり、排風筒より外部に排出される系統のものとを有して構成してある。また反射鏡の上部に、反射鏡のスリットと間隔を有して遮風板10を設けて構成してある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はインクジェットプリンタ用紫外線硬化装置の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、印刷時の音が静かで、豊かな色彩を表現できるインクジェットプリンタが印刷分野で多用される傾向にある。インクジェットプリンタにより被着したインクを乾燥するには、従来は一般に自然乾燥することが行われている。
またインクジェットプリンタでは、印刷媒体に被着した紫外線硬化用インクを紫外線光源から照射される紫外線で硬化することが実施されている。(特許文献1 図1)
またインクジェットプリンタ用紫外線硬化装置は、印字ヘッドの両端に配置し、インクジェットプリンタの内部で可動自在に配置して構成したものがある。そして、紫外線硬化用インクをワークに被着した後、インクジェットプリンタ用紫外線硬化装置で硬化することが実施されている。
【0003】
【特許文献1】特開2004−155047
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところでインクジェットプリンタ用紫外線硬化装置は、近年はインクジェットプリンタに組み込み印字ヘッドと一緒に高速で可動するので、小型で且つ軽量化が望まれている。
しかし、インクジェットプリンタ用紫外線硬化装置を小型に構成すると、インクジェットプリンタ用紫外線硬化装置の内部が高温となり、印字ヘッド周辺装置が高熱で劣化し易い欠点がある。さらにインクジェットプリンタ用紫外線硬化装置に組み込み使用する紫外線光源は、硬化効率を向上するために最近は高出力のものを用いる傾向にあり、インクジェットプリンタ用紫外線硬化装置の内部は、より高温となり易い欠点がある。
【0005】
本発明は上記した諸点に鑑み発明したものであって、装置全体を小型に構成し、高出力の紫外線光源を用いた場合も、インクジェットプリンタ用紫外線硬化装置の内部温度を低く抑えることができ、ワークの表面のインクを効率的に硬化することができるインクジェットプリンタ用紫外線硬化装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の本発明は、上記した課題を解決するために、紫外線照射器本体の内部に装着し、且つ頂部にスリットを有する反射鏡の上部に、逆裁頭角錐型の風量調整板を配置し、また紫外線照射器本体の前端に前面ガラスを設け、さらに紫外線照射器本体の内側面に対応して排風筒を設けて構成してある。
そして冷却風は風量調整板の内壁から反射鏡のスリットをとおって、反射鏡の内部に位置する光源を冷却する系統のものと、風量調整板の内壁から反射鏡の外壁をとおって、前面ガラスに当たり、排風筒より外部に排出される系統のものとを有して構成してある。
【0007】
請求項2に記載の発明は、反射鏡の上部に、反射鏡のスリットと間隔を有して遮風板を設け、反射鏡の内部に位置して装着される光源に直接冷却風があたらないように構成してある。
【0008】
請求項3に記載の発明は、反射鏡の上部に位置して、冷却ファンを直接設け、冷却風が風量調整板をとおって、反射鏡の外壁に向って吹き出すように構成してある。
【0009】
請求項4に記載の発明は、紫外線照射器本体の前面に支持してなる前面ガラスの外周辺を、立上片を有し、表面を反射面に構成してなる支持板で固定してある。
【発明の効果】
【0010】
上記した請求項1乃至請求項3に記載のインクジェットプリンタ用紫外線硬化装置によると、装置全体を小型に構成し、高出力の紫外線光源を用いた場合も、装置の内部温度を低く抑えることができ、ワークの表面のインクを効率的に硬化することができる特別な効果がある。また請求項4に記載のインクジェットプリンタ用紫外線硬化装置によると、支持板に投射された紫外線がワークに反射されるので、さらにワークの表面のインクを効率的に硬化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
次に本発明の最良の形態を図1乃至図5について説明する。
【実施例1】
【0012】
図1は本発明にかかるインクジェットプリンタ用紫外線硬化用照射装置の正面断面図である。図2は図1の側面断面図である。図1及び図2において、1は紫外線照射器本体であって、箱型に構成してある。2は紫外線照射器本体1の内部に設けてなる反射鏡であって、例えば紫外線を反射し、熱線を透過するいわゆるコールドミラーを用いて構成してある。また反射鏡2の頂部にはスリット6を設け、冷却風が通過するように構成してある。3は反射鏡2の内部に位置して装着してなる光源であって、例えば400W乃至3000Wの紫外線光源を用いて構成してある。400W乃至3000Wの紫外線光源を用いた装置においては、ファンを用いて冷却風を噴出させ、光源を冷却させる。4は紫外線照射器本体1の例えば前端に配置してなる前面ガラスである。紫外線照射器本体1は例えば、縦寸法は13.5cm、横寸法33cm、高さ19cm程度に構成してある。反射鏡2は例えば、縦寸法は10cm、横寸法15cm、高さ7.5cm程度に構成してある。また前面ガラス4例えば、縦寸法は12cm、横寸法20cm、厚さ0.3cm程度に構成してある。
【0013】
10は反射鏡の頂部に形成したスリット6と間隔を有して構成した遮風板であって、反射鏡の内部に位置して装着される光源に直接冷却風があたらないように構成してある。11は紫外線照射器本体1の対向する両側の内部に設けてなる排風筒である。図1乃至図4において、12は紫外線照射器本体1の内部で、反射鏡2の上部に位置して配置してなる逆裁頭角錐型の風量調整板であって、例えばアルミニウムで構成してある。13は風量調整板の傾斜壁の一部に形成した複数の空孔であって、同空孔より反射鏡2の外側と紫外線照射器本体の内側との間を冷却風が通過するように構成してある。14は紫外線照射器本体1の短尺方向であって、紫外線照射器本体1と反射鏡2の間に位置して配置してなる仕切り板である。
【0014】
30は反射鏡の上部に位置して設けた冷却ファンであって、冷却風が反射鏡の外壁に向って吹き出すように構成してある。
【0015】
上記した構造のインクジェットプリンタ用紫外線硬化用照射装置によると、冷却風は風量調整板12の内壁から反射鏡2のスリット6をとおって、反射鏡の内部に位置する光源3を冷却する。この場合、遮風板10がスリット6と間隔を有して配置してあるので、光源の上側のみが過冷されることはない。また、別の系統では冷却風は風量調整板12の内壁から反射鏡2の外壁をとおって、前面ガラスに当たり、排風筒11より外部に排出される。
【0016】
40は前面ガラスの外周辺を押圧支持してなる支持板であって、立上片41を有して構成し、表面を反射面に構成してある。表面を反射面に構成することにより、支持板に投射された紫外線がワークに反射されるので、さらにワークの表面のインクを効率的に硬化することができる。
【0017】
図5は、図1及び図2に示すインクジェットプリンタ用紫外線硬化用照射装置をインクジェットプリンタの印字ヘッド50の両端に組み込んだときの概略図である。別の装置として、インクジェットプリンタ用紫外線硬化用照射装置をインクジェットプリンタの印字ヘッド50の片側に配置したものも実施されている。
【0018】
次に上記したインクジェットプリンタ用紫外線硬化用照射装置の動作について説明する。
<インクジェットプリンタ用紫外線硬化用照射装置をインクジェットプリンタの印字ヘッドの両端に組み込んだときの動作>
(1)印字ヘッド50が、図5に示す左方向に移動するときは、印字ヘッド50よりインクがワーク表面に噴射される。このとき、進行方向側のインクジェットプリンタ用紫外線硬化用照射装置は、例えば蓋体で表面を閉じ、紫外線が照射されないように構成され、後側のインクジェットプリンタ用紫外線硬化用照射装置から照射される紫外線でワーク表面に噴射されたインクが硬化する。
(2)また印字ヘッド50が、図5に示す右方向に移動するときは、(1)と同様に、進行方向側のインクジェットプリンタ用紫外線硬化用照射装置は、例えば蓋体で表面を閉じ、紫外線が投射されないように構成され、他側のインクジェットプリンタ用紫外線硬化用照射装置から照射される紫外線でワーク表面に噴射されたインクが硬化するように構成してある。
(3)ワーク表面のインクを硬化するときの印字ヘッドのスピードは、40乃至60m/min程度である。
【0019】
<インクジェットプリンタ用紫外線硬化用照射装置をインクジェットプリンタの印字ヘッドの片側に組み込んだときの動作>
(1)インクがワーク表面に噴射されるときは、必ず印字ヘッド50の後行側にインクジェットプリンタ用紫外線硬化用照射装置が位置し、インクジェットプリンタ用紫外線硬化用照射装置から照射される紫外線でワーク表面に噴射されたインクが硬化される。
(2)かかる後、組み合わされたインクジェットプリンタ用紫外線硬化用照射装置と、インクジェットプリンタの印字ヘッドは元の位置に戻る。このとき、インクは噴射されず、
インクジェットプリンタ用紫外線硬化用照射装置は、たとえば蓋体で表面を閉じた状態で移動する。
(3)印字ヘッドのスピードは、紫外線を照射するときも、照射しないで元に戻るときも同じく、40乃至60m/min程度である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係るインクジェットプリンタ用紫外線硬化用照射装置の正面断面図。
【図2】図1のインクジェットプリンタ用紫外線硬化用照射装置の側面断面図。
【図3】インクジェットプリンタ用紫外線硬化用照射装置における風量調整板の平面図。
【図4】インクジェットプリンタ用紫外線硬化用照射装置における風量調整板の正面図。
【図5】図1のインクジェットプリンタ用紫外線硬化用照射装置をインクジェットプリンタに組み込んだときの正面図。
【符号の説明】
【0021】
1 紫外線照射器本体
2 反射鏡
3 光源
4 前面ガラス
6 スリット
10 遮風板
11 排風筒
12 風量調整板
13 空孔
14 仕切り板
30 冷却ファン
40 支持板
50 印字ヘッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紫外線照射器本体の内部に装着し、且つ頂部にスリットを有する反射鏡の上部に、逆裁頭角錐型の風量調整板を配置し、また紫外線照射器本体の前端に前面ガラスを設け、さらに紫外線照射器本体の内側面に対応して排風筒を設けて構成し、
冷却風は風量調整板の内壁から反射鏡のスリットをとおって、反射鏡の内部に位置する光源を冷却する系統のものと、風量調整板の内壁から反射鏡の外壁をとおって、前面ガラスに当たり、排風筒より外部に排出される系統のものとを有して構成したことを特徴とするインクジェットプリンタ用紫外線硬化装置。
【請求項2】
反射鏡の上部に、反射鏡のスリットと間隔を有して遮風板を設け、反射鏡の内部に位置して装着される光源に直接冷却風が直接あたらないように構成したことを特徴とする請求項1記載のインクジェットプリンタ用紫外線硬化装置。
【請求項3】
反射鏡の上部に位置して、冷却ファンを直接設け、冷却風が風量調整板をとおって反射鏡の外壁に向って吹き出すように構成したことを特徴とする請求項1及び請求項2記載のインクジェットプリンタ用紫外線硬化装置。
【請求項4】
紫外線照射器本体の前面に支持してなる前面ガラスの外周辺を、立上片を有し、表面を反射面に構成してなる支持板で固定したことを特徴とする請求項1乃至請求項3記載のインクジェットプリンタ用紫外線硬化装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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