説明

インクジェットプリンタ

【課題】厚みの異なる記録媒体が搬送されても、記録媒体の浮きを防止する性能と搬送性能とを維持することができるインクジェットプリンタを提供する。
【解決手段】記録媒体を搬送する搬送ベルト21と、記録媒体に対してインクを吐出するラインヘッド31と、ラインヘッド31を保持するヘッド保持部材32と、ヘッド保持部材32に取り付けられ、記録媒体2の浮きを抑制する媒体押さえ機構と、記録媒体の厚みに応じて搬送ベルト21とラインヘッド31との間隔を可変する可変機構と、を具備し、媒体押さえ機構は、ラインヘッド31より搬送方向上流に設けられ、ヘッド保持部材32に回転可能に支持された回転シャフト101aと、回転シャフト101aの両端側に嵌合され、搬送ベルト21に当接して従動するベルト当接部材101bと、を備えた媒体押さえローラを有し、ベルト当接部材101bが変形可能な材質で形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラインヘッドの上流側に設けられ、搬送される記録媒体の浮きを抑制する媒体押さえ機構を備えたインクジェットプリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、複数のノズルからインクを吐出して記録媒体に画像記録を行うインクヘッドを備えたインクジェットプリンタが知られている。このようなインクジェットプリンタの中には、搬送される記録媒体の幅以上となるように、1つ又は複数のインクヘッドによってラインヘッドを構成し、記録媒体のみを移動させて記録媒体上への画像記録を行うフルライン型インクジェットプリンタ(以下、ラインプリンタと称する)がある。
【0003】
このようなラインプリンタでは、搬送される記録媒体が浮き上がった場合に、記録媒体の表面(画像記録面)とラインヘッドのノズル面とが接触する虞がある。そこで、例えば、特許文献1に開示されているプリンタでは、ラインヘッドの上流側に拍車を設けている。この拍車は、搬送される記録媒体の表面よりも所定の高さだけ浮いている。また、この拍車は、該拍車と同軸上に設けられたプーリを拍車駆動ベルトと当接させることで回転している。これにより、記録媒体が浮き上がったときだけ、拍車がその浮き上がり部分を抑えて、記録媒体の表面とインクヘッドのノズル面との接触を防止すると共に、拍車が浮き上がり部分と接触したときでも、拍車が搬送の負荷にならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3816550号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上述の特許文献1のプリンタでは、厚みの異なる記録媒体が搬送された際、記録媒体の表面と拍車との間隔(ギャップ)が記録媒体毎に変化する。従って、例えば、比較的厚みのある記録媒体が搬送された際には、拍車と媒体表面とのギャップが小さくなり、比較的薄い記録媒体が搬送された際は、拍車と媒体表面とのギャップが大きくなってしまう。このため、特許文献1のプリンタでは、記録媒体の厚みによって、記録媒体の浮きを防止する性能や搬送性能が低下してしまう。
【0006】
そこで、本発明は、厚みの異なる記録媒体が搬送されても、記録媒体の浮きを防止する性能と搬送性能とを維持することができるインクジェットプリンタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による一実施形態は、記録媒体を搬送する搬送ベルトと、前記搬送ベルトと対向して配置され、前記記録媒体に対してインクを吐出することで画像記録を行うラインヘッドと、前記ラインヘッドを保持するヘッド保持部材と、前記ヘッド保持部材に取り付けられ、搬送される前記記録媒体の浮きを抑制する媒体押さえ機構と、前記記録媒体の厚みに応じて前記搬送ベルトと前記ラインヘッドとの間隔を可変する可変機構と、を具備し、前記媒体押さえ機構は、前記ラインヘッドより前記記録媒体の搬送方向上流側に設けられ、前記ヘッド保持部材に回転可能に支持された回転シャフトと、前記回転シャフトの両端側に嵌合され、前記搬送ベルトに当接して従動するベルト当接部材と、を備えた媒体押さえローラを有し、前記ベルト当接部材が変形可能な材質で形成されているインクジェットプリンタである。
【0008】
また、本発明による一実施形態は、記録媒体を搬送する搬送ベルトと、前記搬送ベルトと対向して配置され、前記記録媒体に対してインクを吐出することで画像記録を行うラインヘッドと、前記ラインヘッドを保持するヘッド保持部材と、前記ヘッド保持部材に取り付けられ、搬送される前記記録媒体の浮きを抑制する媒体押さえ機構と、前記記録媒体の厚みに応じて前記搬送ベルトと前記ラインヘッドとの間隔を可変する可変機構と、を具備し、前記媒体押さえ機構は、前記ラインヘッドより前記記録媒体の搬送方向上流側に設けられた回転シャフトと、前記回転シャフトの両端側に嵌合され、前記搬送ベルトに当接して従動するベルト当接部材と、を備えた媒体押さえローラと、前記媒体押さえローラの前記回転シャフトを前記ヘッド保持部材に回転可能に支持する軸受け部と、前記軸受け部を前記搬送ベルト側に付勢する付勢部材と、を有し、前記ベルト当接部材の内部が弾性部材で形成されているインクジェットプリンタである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、厚みの異なる記録媒体が搬送されても、記録媒体の浮きを防止する性能と搬送性能とを維持することができるインクジェットプリンタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1(a)は、本発明のインクジェットプリンタにおいて、搬送部が画像記録位置にあるときの概略的な正面図、図1(b)は、搬送部が退避位置にあるときの概略的な正面図である。
【図2】図2(a)は、画像記録部を上方から見た図、図2(b)は、画像記録部を下方から見た図である。
【図3】図3は、画像記録部の側面図である。
【図4】図4(a)は、媒体押さえ機構の斜視図、図4(b)は、媒体押さえローラの側面図である。
【図5】図5(a)は、比較的厚い記録媒体が搬送されたときの媒体押さえ機構の状態を示す側面図、図5(b)は、図5(a)のときの搬送ベルトとベルト当接ローラとの当接状態を示す拡大図、図5(c)は、比較的薄い記録媒体が搬送されたときの媒体押さえ機構の状態を示す側面図、図5(d)は、図5(c)のときの搬送ベルトとベルト当接ローラとの当接状態を示す拡大図である。
【図6】図6(a)は、変形例1における媒体押さえローラを示す断面図、図6(b)は、この媒体押さえローラを示す側面図である。
【図7】図7(a)は、変形例2における媒体押さえローラを示す断面図、図7(b)は、この媒体押さえローラを示す側面図である。
【図8】図8(a)は、変形例3における媒体押さえローラを示す斜視図、図8(b)は、この媒体押さえ機構を示す側面図である。
【図9】図9(a)は、変形例4における媒体押さえ機構を示す斜視図、図9(b)は、この媒体押さえ機構を示す側面図である。
【図10】図10(a)は、第2の実施形態の媒体押さえ機構を概略的に示す図、図10(b)は、第2の実施形態において記録媒体が搬送されたときの媒体押さえ機構の状態を示す側面図である。
【図11】図11(a)は、第2の実施形態の媒体押さえ機構において、付勢力が強い状態を概略的に示す図、図11(b)は、図11(a)のときのベルト当接ローラの概略的な断面図、図11(c)は、第2の実施形態の媒体押さえ機構における付勢力が弱い状態を概略的に示す図、図11(d)は、図11(c)のときのベルト当接ローラの概略的な断面図である。
【図12】図12は、第2の実施形態のベルト当接ローラの一例を示す概略的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態について、図1乃至図9を参照して説明する。
図1は、本発明のインクジェットプリンタ1を概略的に示す図であり、図1(a)は、インクジェットプリンタ1における画像記録時の状態を示し、図1(b)は、インクジェットプリンタ1における非画像記録時の状態を示している。
【0012】
インクジェットプリンタ1は、大別すると、媒体供給部10と、搬送部20と、画像記録部30と、昇降機構(移動機構)40と、媒体収納部50と、プリンタ全体を制御する制御部34と、により構成されている。なお、本実施形態では、本発明の要旨に関わる構成部のみを示して説明するが、プリンタ1は、不図示のインク供給部、クリーニング部、これら構成部を収容しているプリンタ本体フレーム等の通常のプリンタが備えている構成部を有しているものとする。
【0013】
また、以下の説明では、記録媒体2の搬送方向をX方向(副走査方向)、X方向と直交する方向をY方向又は幅方向(主走査方向)、X方向及びY方向に直交する方向をZ方向又は上下方向と称する。
【0014】
まず、媒体供給部10について説明する。
媒体供給部10は、記録媒体2の搬送方向の最上流側に位置している。この媒体供給部10は、媒体供給トレイ11と、媒体供給ローラ12と、レジストローラ対13と、を有している。
【0015】
媒体供給トレイ11は、記録紙、フィルム等の記録媒体2を収納している。なお、図1では、便宜上、比較的厚い記録媒体2a(本実施形態では、1.5mm程度の厚みとする)が収納されているトレイと、比較的薄い記録媒体2b(本実施形態では、0.1mm程度の厚みとする)が収納されているトレイとの2つの媒体供給トレイ11を示しているが、媒体供給トレイ11は、1つであっても、3つ以上であってもよい。
媒体供給ローラ12は、ピックアップローラとも称されるもので、媒体供給トレイ11内に収納されている記録媒体2と当接して、その当接した記録媒体2を1枚ずつ取り出す。取り出された記録媒体2は、レジストローラ対13へと受け渡される。
【0016】
レジストローラ対13は、記録媒体2の搬送方向(X軸方向)に対する傾き(斜行)を補正(矯正)するためのローラ対である。このレジストローラ対13は、上下一対のレジストローラ13a、13bにより構成されている。上方のレジストローラ13aは、不図示のばねによって下方のレジストローラ13bに向けて付勢され、レジストローラ13bと当接している。また、下方のレジストローラ13bは、その上面が記録媒体2の搬送経路延長線上と略同一面となるように配置されている。
【0017】
そして、レジストローラ対13は、媒体供給ローラ12によって供給された記録媒体2の先端をレジストローラ対13のニップ部に当接させ、記録媒体2の搬送方向(X軸方向)に対する傾き(斜行)を補正(矯正)してから、後述する画像記録部30における画像記録タイミングに合わせて記録媒体2を搬送部20へと搬送する。
【0018】
次に、搬送部20について説明する。
搬送部20は、媒体供給部10よりも搬送方向下流側に、画像記録部30と対向して配置されている。この搬送部20は、搬送ベルト21と、プラテン22と、吸引ファン23と、駆動ローラ24と、従動ローラ25と、テンションローラ26(26a、26b)と、搬送部フレーム27と、を有している。
【0019】
搬送ベルト21は、無端で帯状に形成され、かつ、その表面に複数の孔が設けられている。この搬送ベルト21は、駆動ローラ24、従動ローラ25及びテンションローラ26によってテンションが掛けられた状態で保持されている。駆動ローラ24、従動ローラ25及びテンションローラ26は、搬送部フレーム27に回転可能に保持されている。なお、駆動ローラ24には、不図示のモータが接続されており、モータが駆動されることによって、搬送ベルト21が所定方向に回転(移動)する。
【0020】
また、搬送ベルト21の下方には、プラテン22及び吸引ファン23が設けられている。これらプラテン22及び吸引ファン23も、搬送部フレーム27によって保持されている。プラテン22は、少なくとも画像記録部30と対向する領域が平面となるように加工されており、複数の孔が形成されている。吸引ファン23は、プラテン22の下方に配置され、搬送ベルト21及びプラテン22に形成された複数の孔を通してエアを吸引する。これにより、レジストローラ対13から搬送された記録媒体2は、搬送ベルト21上に吸着され、所定の搬送速度で下流側の媒体収納部50へと搬送される。
【0021】
なお、搬送部20は、後述の昇降機構40によって図1(a)に示す位置(画像記録位置)と、図1(b)に示す位置(退避位置)と、に移動する。
【0022】
次に、画像記録部30について説明する。
図2(a)は、画像記録部を上方から見た図であり、図2(b)は、画像記録部を下方から見た図である。また、図3は、画像記録部の側面図である。
【0023】
画像記録部30は、例えば、シアン(C)、ブラック(K)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の4色のインクを吐出するラインヘッド31(31C、31K、31M、31Y)と、ラインヘッド31を保持するヘッド保持部材32と、間隔調整部材33(33a、33b 、33c、33d)と、を有している。
【0024】
ラインヘッド31(31C、31K、31M、31Y)は、記録媒体2の幅方向における画像記録が行われる記録領域と同等、又はそれ以上の幅を有している。このラインヘッド31(31C、31K、31M、31Y)は、複数のノズルが形成されたノズル面31aを有しており、不図示のインク供給部から供給されたインクをこれらノズルから記録媒体2に吐出して画像を記録する。なお、本実施形態では、各ラインヘッド31(31C、31K、31M、31Y)は、6個の短尺なインクヘッドを記録媒体2の幅方向(搬送方向と直交する主走査方向)に沿って、互い違いに2列のライン状に(千鳥状に)配置することで構成されている。もちろん、ラインヘッド31を構成するにあたって、インクヘッドの数は6個に限定されることなく、1個の長尺なインクヘッドであってもよし、6個以上のインクヘッドであってもよい。また、インクヘッドの配置は、互い違いの2列の配置に限定されることなく、3列以上の配置であってもよい。
【0025】
ヘッド保持部材32には、図2(a)、(b)に示すように、複数の開口35が設けられている。これら開口35には、ラインヘッド31を構成するインクヘッドが挿入され、位置決めされて固定される。なお、本実施形態では、前述したように1色あたり6個のインクヘッドによってラインヘッドを構成しているため、ヘッド保持部材32には、24個の開口35が設けられている。
【0026】
また、図2(b)並びに図3に示すように、搬送部20と対向しているヘッド保持部材32の対向面32aには、可変機構としての間隔調整部材33(33a、33b、33c、33d)が設けられている。具体的には、対向面32aにおける搬送方向上流側(ラインヘッド31Cよりも搬送方向上流側)に間隔調整部材33a、33cが設けられ、搬送方向下流側(ラインヘッド31Yよりも搬送方向下流側)に間隔調整部材33b、33dが設けられている。この間隔調整部材33は、搬送部20に向けて突出するように形成されたピンの形態であり、搬送部20のプラテン22と当接する。これによって、搬送部20と画像記録部30との間隔を所定の値に設定している。換言すれば、間隔調整部材33は、搬送ベルト21とラインヘッド31のノズル面31aとの間隔が所定の値となるように規制する。
【0027】
また、間隔調整部材33は、制御部34によって、Z方向下方に突出している量を変化させることができる。つまり、間隔調整部材33は、搬送ベルト21とラインヘッド31のノズル面31aとの間隔を記録媒体2の厚みに応じて設定することができる。
本実施形態では、間隔調整部材33の突出量を可変とし、搬送ベルト21とラインヘッド31のノズル面31aとの間隔を、比較的厚い記録媒体2aに記録を行う第1の記録間隔と、比較的薄い記録媒体2bに記録を行うための第2の記録間隔とに設定する。
【0028】
さらに、ヘッド保持部材32の対向面32aには、搬送される記録媒体の浮きを抑制するための媒体押さえ機構100が取り付けられている。この媒体押さえ機構100は、媒体押さえローラ101と、軸受け部102と、プレート104と、を有している。
【0029】
図4(a)並び図4(b)は、媒体押さえ機構100を概略的に示す斜視図及び側面図である。
プレート104は、図4(a)に示すように、ヘッド保持部材32の複数の開口35に対応した位置にそれぞれ開口が設けられている。このプレート104は、ヘッド保持部材32(対向面32a)にねじ留めやフック等の係止部材により固定されている。また、プレート104には、媒体押さえローラ101を支持するための軸受け部102が設けられている。
【0030】
媒体押さえローラ101は、図3に示すように、各ラインヘッド31(31C、31K、31M、31Y)の搬送方向上流側に配置されている。この媒体押さえローラ101は、図4(b)に示すように、回転シャフト101aと、ベルト当接部材(ベルト当接ローラ)101bと、を有している。
【0031】
回転シャフト101aは、Y方向に延びており、両端が軸受け部102によって回転可能に支持されている。この回転シャフト101aの両端側には、環状のベルト当接ローラ101bが嵌合されている。
具体的には、回転シャフト101aの両端側に設けられた2つのベルト当接ローラ101b間の間隔Dが搬送ベルト21によって搬送される記録媒体2の幅以上の間隔となるように、ベルト当接ローラ101bは、回転シャフト101aの外周面に取り付けられている。これにより、ベルト当接ローラ101bは、搬送ベルト21によって搬送される記録媒体2に対して接触することがない。
【0032】
また、ベルト当接ローラ101bの外周面と回転シャフト101aの外周面とは、上下(高さ)方向に隙間Aが形成されるように、Z方向の高さが異なっている。つまり、ベルト当接ローラ101bの径が回転シャフト101aの径よりもAだけ大きく設定されている。これにより、回転シャフト101aは、搬送ベルト21に対して隙間Aだけ浮いた状態となっている。
【0033】
なお、本実施形態では、隙間Aを2mm程度とし、間隔DをA3サイズの記録媒体を通過可能とするために297mm以上に設定している。
【0034】
ベルト当接ローラ101bは、ゴムやスポンジ等の弾性素材又は低反発素材によって形成されている。このベルト当接ローラ101bは、画像記録時に搬送ベルト21と接触(当接)する。これによって、媒体押さえローラ101は、搬送ベルト21の回転に従動して回転する。このとき、前述したように回転シャフト101aとベルト当接ローラ101bとは、高さ方向に隙間Aを形成しているため、少なくとも間隔D内では、回転シャフト101aは、搬送ベルト21と非接触となる。このようにすることで、記録媒体2が搬送ベルト21に正常に吸着されていた場合、記録媒体2が回転シャフト101aに接触することなく通過し、搬送されることができる。
【0035】
また、媒体押さえローラ101は、搬送ベルト21の回転に従動して回転するため、記録媒体2が回転シャフト101aと接触したとしても、記録媒体2の搬送負荷になりにくい。なお、回転シャフト101aにおける間隔Dの部分を記録媒体2に対する摩擦抵抗を意図的に大きくしてもよい。これによって、記録媒体2が回転シャフト101aと接触したとしても記録媒体2を積極的に搬送することができる。
【0036】
また、本実施形態の媒体押さえ機構100は、プレート104に軸受け部102を設けて、媒体押さえローラ101(回転シャフト101a)を回転可能に軸支する構成である。しかし、媒体押さえ機構100は、この構成に限定されるものではない。例えば、プレート104を省略し、ヘッド保持部材32の対向面、又は側面に直接軸受け部102を設けて、媒体押さえローラ101を回転可能に軸支する構成であってもよい。
【0037】
次に、昇降機構40について説明する。
昇降機構40は、本実施形態では、搬送部20を画像記録位置(図1(a))と退避位置(図1(b))とに移動させる機構である。この昇降機構40は、図2(a)に示すように、4本のワイヤ41(41a、41b、41c、41d)と、駆動源としてのモータ42と、ワイヤ41を巻き取るプーリ43及びトルクリミッタ44を有する巻き取り部45と、モータ42の駆動力を巻き取り部45に伝達する巻き取り軸46と、を有している。
【0038】
モータ42は、図2(a)に示すように、ヘッド保持部材32に取り付けられており、図示されないギア等を介して、搬送方向に延存する巻き取り軸46を回転させる。この巻き取り軸46には、各ワイヤ41a、41b、41c、41dを巻き上げるための4個の巻き取り部45が取り付けられている。この巻き取り部45は、プーリ43とトルクリミッタ44により構成されている。そして、プーリ43には、各ワイヤ41a、41b、41c、41dの一端が固定されている。また、各ワイヤ41a、41b、41c 、41dの他端は、前述した搬送部20に固定されている。このように、ワイヤ41は、画像記録部30に対して搬送部20を吊り下げた状態としている。
【0039】
昇降機構40のモータ42によって巻き取り軸46が所定の方向に回転すると、巻き取り部45(プーリ43及びトルクリミッタ44)も巻き取り軸46の回転に従って回転し、各ワイヤ41a、41b、41c、41dは、プーリ43に同時に巻き取られる。このとき、トルクリミッタ44によって、ワイヤ41(41a、41b、41c、41d)に過度な張力が働かないようにしている。これにより、巻き取り部45でワイヤ41を巻き取る際に、ワイヤ41に過度な力がかかって切れたり伸びたりするのを防止している。
【0040】
なお、本実施形態では、昇降機構40が搬送部20を移動させることにより搬送ベルト21とラインヘッド31との間隔を画像記録位置と退避位置とに設定したが、昇降機構40により移動される部材は、搬送部20に限定されない。例えば、画像記録部30を移動させてもよいし、搬送部20及び画像記録部30の両方を移動させてもよい。つまり、昇降機構40は、搬送部20と画像記録部30との少なくとも一方を移動させて、搬送ベルト21とラインヘッド31との間隔を画像記録位置と退避位置とに設定する。
【0041】
次に、媒体収納部50について説明する。
媒体収納部50は、搬送部20よりも搬送方向下流側に配置されている。この媒体収納部50は、媒体排出ローラ対51と、ストッカ52と、を有している。媒体排出ローラ対51は、画像記録部30により画像記録済みの記録媒体2を搬送部20から排出させる。ストッカ52は、媒体排出ローラ対51により排出された記録媒体2をストックする。
【0042】
次に、本実施形態のインクジェットプリンタ1の記録動作について説明する。なお、以下の記録動作は、制御部34によって制御されている。
まず、インクジェットプリンタ1の図示されない操作パネルから画像形成の指示が入力操作される、又は信号線で接続された図示されないホスト機器から画像形成の指示信号が入力される。この指示信号を受けて、搬送部20は、昇降機構40によって退避位置から上昇して画像記録位置に移動する。なお、画像記録位置では、昇降機構40によって搬送部20を上昇させた際に、前述した間隔調整部材33がプラテン22と当接することによって、搬送部20と画像記録部30との間隔が記録媒体2の厚みに応じた所定の間隔になる。
【0043】
その後、レジストローラ対13、駆動ローラ24、媒体排出ローラ対51が駆動された状態で、媒体供給ローラ12が駆動される。そして、駆動された媒体供給ローラ12により媒体供給トレイ11から最上部の1枚の記録媒体2が取り出される。そして、レジストローラ対13のレジストローラ13a、13bの対向部で形成されている把持部に、記録媒体2が到達する。
【0044】
このとき、レジストローラ対13は、図示されないレジストクラッチによって回転が一時静止されている。この一時静止により、レジストローラ対13に向けて搬送されてきた記録媒体2の先端部分が把持部に突き当たり、いったん進行が制止されて湾曲し、被搬送姿勢が矯正される。すなわち、記録媒体2に斜行があれば、その斜行が修正される。そして、突き当たった後、所定時間経過すると、レジストクラッチによる回転制止が解除され、レジストローラ対13の回転を開始することにより、記録媒体2が所定の速度で搬送部20の搬送ベルト21上へと送り出される。
【0045】
搬送ベルト21上には、搬送ベルト21及びプラテン22に設けられた複数の孔を介して、吸引ファン23による吸引力が加わっている。レジストローラ対13から搬送ベルト21上に送り出された記録媒体2は、図1において時計回り方向に循環移動する搬送ベルト21上に、前述した吸引力により吸着された状態で、所定の搬送速度でX方向へと搬送される。
【0046】
媒体押さえローラ101は、記録媒体2における搬送ベルト21の上面から浮き上がってしまった部分を上方から搬送ベルト21に向けて押さえ付けることによって搬送ベルト21に記録媒体2を確実に吸着させると共に、各ラインヘッド31へ記録媒体2が接触するのを回避する。
【0047】
そして、搬送ベルト21によって搬送される記録媒体2は、ヘッド保持部材32に搭載・配置されている各ラインヘッド31C、31K、31M、31Yの下方を通過する。このとき、各ラインヘッド31C、31K、31M、31Yから記録媒体2上にインク滴が吐出され、記録媒体2に画像が記録される。このようにして、各色の画像が重ねてカラー記録された記録媒体2が、媒体排出ローラ対51によって不図示のプリンタ本体フレームの外に排出され、ストッカ52内に収容される。
【0048】
次に、本発明のインクジェットプリンタ1において、厚みの異なる記録媒体2(2a、2b)に画像記録を行うときの記録媒体2(2a、2b)、搬送部20、画像記録部30及び媒体押さえ機構100の位置関係について、図5(a)乃至図5(d)を参照して説明する。
【0049】
図5(a)は、比較的厚い記録媒体2aに画像記録を行うときの各構成部の位置関係を示す図であり、図5(b)は、このときの搬送ベルト21とベルト当接ローラ101bとの当接状態を示す図である。図5(c)は、比較的薄い記録媒体2bに画像記録を行うときの各構成部の位置関係を示す図であり、図5(d)は、このときの搬送ベルト21とベルト当接ローラ101bとの当接状態を示す図である。
【0050】
厚みの異なる記録媒体2(2a、2b)に画像記録を行う場合、記録媒体2の厚みに応じてラインヘッド31のノズル面31aから搬送ベルト21の上面(表面)までの距離(間隔)を変える必要がある。つまり、比較的厚い記録媒体2aに画像記録を行うときは、比較的薄い記録媒体2bに画像記録を行うときよりもラインヘッド31のノズル面31aから搬送ベルト21の表面までの距離を大きくする必要がある。そのため、本実施形態では、前述した間隔調整部材33によって搬送ベルト21の上面とラインヘッド31のノズル面31aとの間隔を調整している。
【0051】
まず、記録媒体2aに画像記録を行う場合について説明する。
記録媒体2aに画像記録を行う場合、図5(a)に示すように、搬送ベルト21の上面とラインヘッド31のノズル面31aとの間隔が所定の間隔(以下、第1の間隔と称す)となるように調整された間隔調整部材33がプラテン22と当接する。このとき、ベルト当接ローラ101bは、図5(b)に示すように、搬送ベルト21とほぼ変形せずに当接している。この状態において、上述のように回転シャフト101aとベルト当接ローラ101bとの隙間Aを2mmとし、記録媒体2aの厚みを1.5mmとすると、記録媒体2aの表面(画像記録面)と回転シャフト101aとの間隔Cは、0.5mmとなる。
【0052】
そして、搬送ベルト21が移動すると、ベルト当接ローラ101bが搬送ベルト21と当接しているため回転シャフト101aは、記録媒体2aの表面と間隔Cを有した状態で回転する。
【0053】
次に、記録媒体2bに画像記録を行う場合について説明する。
記録媒体2bに画像記録を行う場合、記録媒体2aの厚みと記録媒体2bの厚みの差分だけ間隔調整部材33の突出長さを可変する必要がある。そのため、記録媒体2bに画像記録を行う場合、図5(c)に示すように、間隔調整部材33をZ方向に変化量Bだけ短くする。この変化量Bは、上述のように記録媒体2aの厚みが1.5mm、記録媒体2bの厚みが0.1mmである場合、1.4mmとなる。
【0054】
このようにして、記録媒体2bに画像記録を行う場合は、図5(c)に示すように、搬送ベルト21の上面とラインヘッド31のノズル面31aとの間隔が所定の間隔(以下、第2の間隔と称す)となるように調整された間隔調整部材33がプラテン22と当接する。
【0055】
ここで、間隔調整部材33及び媒体押さえ機構100は、ヘッド保持部材32に固定されているが、本実施形態では、ベルト当接ローラ101bが変形可能な材質(弾性素材や低反発素材)で形成されているため、図5(d)に示すようにベルト当接ローラ101bが変化量Bと同じ量だけ弾性変形した状態で搬送ベルト21と当接する。具体的には、記録媒体2bの厚みが0.1mm、ベルト当接ローラ101bの変形量が1.4mmとなるため、記録媒体2bの表面(画像記録面)と回転シャフト101aとの間隔Cは、記録媒体2aの場合と同様に0.5mmとなる。つまり、記録媒体2(2a、2b)と媒体押さえローラ101の回転シャフト101aの外周面との間隔は、記録媒体2の厚みに因らず変化することなく、一定に保たれる。なお、ラインヘッド31もヘッド保持部材32に固定されているため、ラインヘッド31のノズル面31aと記録媒体2の表面との間隔は、記録媒体2の厚みに因らず一定に保たれている。そして、搬送ベルト21が移動すると、ベルト当接ローラ101bが搬送ベルト21と当接しているため回転シャフト101aは、記録媒体2bの表面と間隔Cを有した状態で回転する。
【0056】
以上のように、本実施形態によれば、ベルト当接ローラ101bをゴムやスポンジ等の弾性素材又は低反発素材によって形成している。これによって、記録媒体2の厚みに応じて搬送ベルト21の上面とラインヘッド31のノズル面31aとの間隔を第1の間隔、又は第2の間隔に可変しても、記録媒体2の表面と回転シャフト101aの外周面との間隔を常に同じ間隔に保つことができる。つまり、ベルト当接ローラ101bが搬送ベルト21と当接することによって形状が変化し、記録媒体2の表面と回転シャフト101aの外周面との間隔を常に同じ間隔に保つことができる。
【0057】
また、記録媒体2の厚みに応じて搬送ベルト21の上面とラインヘッド31のノズル面31aとの間隔を第1の間隔、又は第2の間隔に可変しても、ベルト当接ローラ101bを常に搬送ベルト21と当接した状態に保つことができる。かくして、媒体押さえ機構100は、記録媒体2の厚みが変わっても記録媒体の浮きを防止する性能と記録媒体の搬送性能との両方を維持することができる。
【0058】
なお、本実施形態では、厚紙や薄紙等の記録媒体に画像記録を行うために、搬送ベルト21とラインヘッド31のノズル面31aとの間隔を間隔調整部材33によって変化させているが、間隔調整部材33を設けずに昇降機構40を可変機構とし、この昇降機構40を制御することによって上記間隔を設定してもよい。
【0059】
図6(a)並びに図6(b)は、変形例1として、媒体押さえローラ101の構成を示している。変形例1では、回転シャフト101aに取り付けられたベルト当接ローラ101bが第1の実施形態と異なる。変形例1のベルト当接ローラ101bは、回転シャフト101aの外周面に密着している密着部分と、回転シャフト101aの外周面から径方向に離間している中空部分と、を有している。このような構成であっても、ベルト当接ローラ101bが搬送ベルト21に当接した際、ベルト当接ローラ101bの中空部分が径方向に変形するため、記録媒体2の表面と回転シャフト101aの外周面との間隔を常に同じ間隔に保つことができる。なお、本変形例においてもベルト当接ローラ101bは、変形可能な材質(弾性素材や低反発素材)で形成されている。
【0060】
図7(a)並びに図7(b)は、変形例2として、媒体押さえローラ101の構成を示している。変形例2では、回転シャフト101aに取り付けられたベルト当接ローラ101bが第1の実施形態と異なる。変形例2のベルト当接ローラ101bには、外周面に間欠的に歯のような複数の突出部が形成されている。このような構成では、ベルト当接ローラ101bが搬送ベルト21に当接した際、これら突出部のみが搬送ベルト21に当接する。そして、突出部が変形することで記録媒体2の表面と回転シャフト101aの外周面との間隔を常に同じ間隔に保つことができる。なお、本変形例においてもベルト当接ローラ101bは、変形可能な材質(弾性素材や低反発素材)で形成されている。
【0061】
図8(a)並びに図8(b)は、変形例3として、媒体押さえローラ101の構成を示している。変形例3では、回転シャフト101aの両端に設けられたベルト当接ローラ101bの間に、拍車200を設けた点が第1の実施形態と異なる。それ以外については、前述した第1の実施形態と同様である。
【0062】
図9(a)並びに図9(b)は、変形例4として、媒体押さえ機構100の構成を示している。変形例4では、ラインヘッド31を構成する各インクヘッドの上流に媒体押さえローラ101を配置した点が第1の実施形態と異なる。つまり、本変形例では、インクヘッド列毎に媒体押さえローラ101を配置している。それ以外については、前述した第1の実施形態と同様である。
【0063】
[第2の実施形態]
本発明の第2の実施形態について、図10乃至図12を参照して説明する。
第2の実施形態におけるインクジェットプリンタ1の基本構成は、第1の実施形態と同様であり、説明は省略する。以下では、本実施形態の媒体押さえ機構100の構成及び動作について説明する。
【0064】
媒体押さえ機構100は、回転シャフト101aとベルト当接ローラ101bとにより構成されている媒体押さえローラ101と、軸受け部102と、プレート104と、に加えて、付勢部材としてのコイルばね103を有している。
【0065】
軸受け部102は、図10(a)に示すように、プレート104に対して上下方向に摺動可能に設けられている。コイルばね103は、図10(b)に示すように、一端側がヘッド保持部材32の対向面32aに取り付けられ、他端側が軸受け部102に取り付けられている。これにより、軸受け部102は、コイルばね103によって下方(搬送部)に向けて付勢されている。また、回転シャフト101aの外周面とベルト当接ローラ101bの内周面とは、図11に示すように、連結部材301によって連結されている。この連結部材301は、ゴムやスポンジなど、変形しても元に戻ろうとする復元力が発生する弾性部材でできている。このような構成により、搬送ベルト21の上面とラインヘッド31のノズル面31aとの間隔(図10乃至図12は示されないが、図5と同様に構成されている)が変化すると、コイルばね103による付勢力が変化する。
【0066】
図11(a)乃至図11(d)は、コイルばね103による付勢力を示す概略図である。例えば、搬送ベルト21の上面とラインヘッド31のノズル面31aとの間隔が狭いときは、図11(a)並びに図11(b)に示すように、付勢力は大きくなる。すると、連結部材301の変形量も大きくなり、この結果、回転シャフト101aがベルト当接ローラ101b内で搬送ベルト21の上面に近づく方向に移動する。つまり、回転シャフト101aの外周面と搬送ベルト21の上面との間隔が小さくなる。また、搬送ベルト21とラインヘッド31のノズル面31aとの間隔が広がれば、図11(c)並びに図11(d)に示すように、その逆の作用が発生する。
【0067】
このようにして、コイルばね103からの付勢力により弾性部材である連結部材301の弾性変形量を変更してベルト当接ローラ101b内の回転シャフト101aの位置を変化させることにより、記録媒体の厚みに応じて搬送ベルト21の表面とラインヘッド31のノズル面31aとの間隔を変える。
つまり、搬送ベルト21とラインヘッド31のノズル面31aとの間隔が狭いとき(図11(a))、換言すれば比較的薄い記録媒体2bを通過させるときは、コイルばね103の付勢力によって回転シャフト101aとベルト当接ローラ101bとによる隙間が狭くなる。逆に、搬送ベルト21とラインヘッド31のノズル面31aとの間隔が広いとき(図11(c))、すなわち比較的厚い記録媒体2aを通過させるときは、コイルばね103の付勢力によって回転シャフト101aとベルト当接ローラ101bとによる隙間が広くなる。これにより、記録媒体2(2a、2b)の表面と回転シャフト101aとの間隔を、記録媒体の厚みに因らず一定に保ち、第1の実施形態と同じ効果を得ることができる。
【0068】
なお、回転シャフト101aとベルト当接ローラ101bとの隙間は、連結部材301によって全て充填されている必要はない。例えば、図12に示すように、回転シャフト101aをベルト当接ローラ101bに連結しているばねのような弾性支持体である連結部材301が対称的に接続されていれば、効果はほぼ同等であるうえに、剛性の設定範囲の自由度が広がる。
【0069】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内でさまざまな改良及び変更が可能である。
【符号の説明】
【0070】
1…インクジェットプリンタ、2…記録媒体、10…媒体供給部、11…媒体供給トレイ、12…媒体供給ローラ、13…レジストローラ対、20…搬送部、21…搬送ベルト、22…プラテン、23…吸引ファン、24…駆動ローラ、25…従動ローラ、26…テンションローラ、27…搬送フレーム、30…画像記録部、31…インクヘッド、32…ヘッド保持部材、33…間隔調整部材、34…制御部、35…開口、40…昇降機構、41…ワイヤ、42…モータ、43…プーリ、44…トルクリミッタ、45…巻き取り部、46…巻き取り軸、50…媒体収納部、51…媒体排出ローラ対、52…ストッカ、100…媒体押さえ機構、101…媒体押さえローラ、101a…回転シャフト、101b…ベルト当接ローラ、102…軸受け部、103…コイルばね、104…プレート、200…拍車、301…連結部材。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体を搬送する搬送ベルトと、
前記搬送ベルトと対向して配置され、前記記録媒体に対してインクを吐出することで画像記録を行うラインヘッドと、
前記ラインヘッドを保持するヘッド保持部材と、
前記ヘッド保持部材に取り付けられ、搬送される前記記録媒体の浮きを抑制する媒体押さえ機構と、
前記記録媒体の厚みに応じて前記搬送ベルトと前記ラインヘッドとの間隔を可変する可変機構と、を具備し、
前記媒体押さえ機構は、前記ラインヘッドより前記記録媒体の搬送方向上流側に設けられ、前記ヘッド保持部材に回転可能に支持された回転シャフトと、前記回転シャフトの両端側に嵌合され、前記搬送ベルトに当接して従動するベルト当接部材と、を備えた媒体押さえローラを有し、前記ベルト当接部材が変形可能な材質で形成されていることを特徴とするインクジェットプリンタ。
【請求項2】
前記ベルト当接部材は、弾性部材で形成されており、
前記可変機構によって前記搬送ベルトと前記ラインヘッドとの間隔を可変した際、前記ベルト当接部材が前記搬送ベルトとの当接によって形状が変形し、前記記録媒体と前記回転シャフトとの間隔を一定に保つことを特徴とする請求項1に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項3】
前記ベルト当接部材は、前記回転シャフトの外周面に密着している密着部分と、前記回転シャフトの外周面から径方向に離間している中空部分と、を有し、
前記ベルト当接部材において前記搬送ベルトと当接する部分は、前記中空部分であることを特徴とする請求項1又は2に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項4】
前記ベルト当接部材の外周面には、突出部が間欠的に形成されており、
前記ベルト当接部材において前記搬送ベルトと当接する部分は、前記突出部であることを特徴とする請求項1又は2に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項5】
記録媒体を搬送する搬送ベルトと、
前記搬送ベルトと対向して配置され、前記記録媒体に対してインクを吐出することで画像記録を行うラインヘッドと、
前記ラインヘッドを保持するヘッド保持部材と、
前記ヘッド保持部材に取り付けられ、搬送される前記記録媒体の浮きを抑制する媒体押さえ機構と、
前記記録媒体の厚みに応じて前記搬送ベルトと前記ラインヘッドとの間隔を可変する可変機構と、を具備し、
前記媒体押さえ機構は、
前記ラインヘッドより前記記録媒体の搬送方向上流側に設けられた回転シャフトと、前記回転シャフトの両端側に嵌合され、前記搬送ベルトに当接して従動するベルト当接部材と、を備えた媒体押さえローラと、
前記媒体押さえローラの前記回転シャフトを前記ヘッド保持部材に回転可能に支持する軸受け部と、
前記軸受け部を前記搬送ベルト側に付勢する付勢部材と、を有し、前記ベルト当接部材の内部が弾性部材で形成されていることを特徴とするインクジェットプリンタ。
【請求項6】
前記可変機構によって前記搬送ベルトと前記ラインヘッドとの間隔を可変した際、前記付勢部材からの付勢力によって前記ベルト当接部材内における前記回転シャフトの位置が変わり、前記記録媒体と前記回転シャフトとの間隔を一定に保つことを特徴とする請求項5に記載のインクジェットプリンタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−16929(P2012−16929A)
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−157125(P2010−157125)
【出願日】平成22年7月9日(2010.7.9)
【出願人】(000250502)理想科学工業株式会社 (1,191)
【出願人】(511050985)オルテック株式会社 (24)
【Fターム(参考)】