説明

インクジェット用インク

【課題】インクジェットヘッドの耐久性を低下させない溶媒を使用できるポリアミド酸を含むインクジェット用インク、1回のジェッティングで比較的厚い膜を形成できる、ポリアミド酸を高濃度で含有するインクジェット用インクを提供する。
【解決手段】少なくとも、モノアミン(a3)と酸無水物基を1つ有する化合物(a4)とからなる群から選ばれる1以上と、酸無水物基を2つ以上有する化合物(a1)と、ジアミン(a2)とを反応させる工程を有する、ポリアミド酸(A)を含むインクジェット用インクの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はインクジェット用インクに関し、例えば電子部品製作において絶縁膜層を形成するためのポリアミド酸組成物、該組成物を用いて形成されるポリイミド膜、および該ポリイミド膜を形成したフィルム基板、該フィルム基板を有する電子部品に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリイミドは耐熱性、電気絶縁性に優れるため、電子通信分野で広く用いられている材料である[例えば、特開2000−039714号公報(特許文献1)、特開2003−238683号公報(特許文献2)、特開2004−094118号公報(特許文献3)]。
ポリイミドを所望のパターン膜として使用する場合、従来はエッチングや感光性ポリイミドを用いてパターンを形成することが一般的であったが、フォトレジスト、現像液、エッチング液、剥離液などの多種大量の薬液が必要であり、さらに煩雑な工程を要するものであった。
そこで、近年、インクジェットにより所望のパターン膜を形成する方法が検討されている。
インクジェット用インクは各種提案されているが[例えば、特開2003−213165号公報(特許文献4)、特開2006−131730号公報(特許文献5)]、ポリイミド系のインクジェット用インクを調製しようとすると、インク組成物に含まれる溶媒がN−メチル−2−ピロリドン等のアミド系溶媒に限定されてしまうため、インクジェットヘッドの耐久性低下やジェッティングの精度低下を招く。
【0003】
また、ポリアミド酸が比較的高分子であるため、インクジェット用インクとして最適な粘度のインクを調製するためには、溶媒の割合を増やしてインク中のポリアミド酸含有量を少なくする必要がある。これによって、1回のインクジェッティングで得られる膜の厚さが薄くなってしまうという問題があった。
【0004】
【特許文献1】特開2000−039714号公報
【特許文献2】特開2003−238683号公報
【特許文献3】特開2004−094118号公報
【特許文献4】特開2003−213165号公報
【特許文献5】特開2006−131730号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
インクジェットヘッドの耐久性を低下させない溶媒を使用できるポリアミド酸を含むインクジェット用インクが求められていた。また、1回のジェッティングで比較的厚い膜(1μm以上)を形成できる、ポリアミド酸を高濃度で含有するインクジェット用インクが求められてきた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者等は、たとえば、少なくとも、モノアミン(a3)と酸無水物基を1つ有する化合物(a4)とからなる群から選ばれる1以上と、酸無水物基を2つ以上有する化合物(a1)と、ジアミン(a2)とを反応させる工程を有する、ポリアミド酸(A)を含むインクジェット用インクの製造方法、およびその製造方法を用いて製造されたインクジェット用インクを見出した。
本発明は以下のようなインクジェット用インク等を提供する。
[1] 下記一般式(1)
【化6】

(式中、RとRはそれぞれ独立して炭素数2〜100の有機基である。)
で表される構成単位を有し、
下記一般式(21)および一般式(22)
−NH−R (21)
【化7】

(式中、RとRはそれぞれ独立して、炭素数2〜100の有機基である。)
で表される分子末端基の群から選ばれる1以上の分子末端基を有するポリアミド酸(A)を含むインクジェット用インク。
前記インクジェット用インク中のポリアミド酸(A)の重量平均分子量は、1,000〜10,000が好ましく、1,000〜4,500がさらに好ましく、1,000〜3,500が特に好ましい。
[2] さらに溶媒(B)を含む[1]に記載のインクジェット用インク。
[3] 溶媒(B)が、乳酸エチル、エタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、シクロヘキサノンおよびγ―ブチロラクトンからなる群から選ばれる1以上である、[2]に記載のインクジェット用インク。
[4] 溶媒(B)が、溶媒全重量に対してアミド系溶媒を20重量%以上含まない、[2]または3に記載のインクジェット用インク。
【0007】
[5] 溶媒(B)が、アミド系溶媒を含まない、[2]または[3]に記載のインクジェット用インク。
[6] さらにエポキシ樹脂(C)を含む、[1]〜[5]のいずれかに記載のインクジェット用インク。
[7] エポキシ樹脂(C)が、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−4,4’−ジアミノジフェニルメタンおよび下記式(4)〜(7)で表される化合物
【化8】

(式中、nは0〜10の整数である。)
からなる群から選ばれる1以上の化合物である、[6]に記載のインクジェット用インク。
【0008】
[8] インクジェット用インク100重量部に対して、ポリアミド酸(A)5〜60重量部を含む[1]〜[7]のいずれかに記載のインクジェット用インク。
[9] インクジェット用インク100重量部に対して、ポリアミド酸(A)5〜55重量部を含む[1]〜[7]のいずれかに記載のインクジェット用インク。
[10] インクジェット用インク100重量部に対して、ポリアミド酸(A)20〜50重量部を含む[1]〜[7]のいずれかに記載のインクジェット用インク。
[8]〜[10]のいずれかに記載のインクジェット用インクにおいて、25℃の粘度が1〜50mPa・sであることが好ましい。また、[8]〜[10]のいずれかに記載のインクジェット用インクにおいて、40℃の粘度が1〜50mPa・sが好ましい。[8]〜[10]のいずれかに記載のインクジェット用インクにおいて、120℃の粘度が1〜50mPa・sが好ましい。
[11] インクジェット用インクに含まれる水分量が10,000ppm以下である、[1]〜[10]のいずれかに記載のインクジェット用インク。
[12] インクジェット用インクに含まれる水分量が5,000ppm以下である、[1]〜[10]のいずれかに記載のインクジェット用インク。
【0009】
[13] 少なくとも、モノアミン(a3)と酸無水物基を1つ有する化合物(a4)とからなる群から選ばれる1以上と、酸無水物基を2つ以上有する化合物(a1)と、ジアミン(a2)とを反応させる工程を有する、ポリアミド酸(A)を含むインクジェット用インクの製造方法。
[13−1] 少なくとも、モノアミン(a3)と酸無水物基を1つ有する化合物(a4)とからなる化合物の群から選ばれる1以上と、酸無水物基を2つ以上有する化合物(a1)と、ジアミン(a2)とを反応させてポリアミド酸(A)を合成する工程を有する、ポリアミド酸(A)を含むインクジェット用インクの製造方法であって、
ポリアミド酸(A)が、酸無水物基を2つ以上有する化合物(a1)1モルに対して、ジアミン(a2)0.01〜0.5モルおよびモノアミン(a3)1〜1.98モルを用いて得られたインクジェット用インクの製造方法。
[13−2] ポリアミド酸(A)が、酸無水物基を2つ以上有する化合物(a1)1モルに対して、ジアミン(a2)0.15〜0.25モルおよびモノアミン(a3)1.5〜1.7モルを用いて得られた、[13−1]に記載のインクジェット用インクの製造方法。
[13−3] 少なくとも、モノアミン(a3)と酸無水物基を1つ有する化合物(a4)とからなる化合物の群から選ばれる1以上と、酸無水物基を2つ以上有する化合物(a1)と、ジアミン(a2)とを反応させてポリアミド酸(A)を合成する工程を有する、ポリアミド酸(A)を含むインクジェット用インクの製造方法であって、
ポリアミド酸(A)が、ジアミン(a2)1モルに対して、酸無水物基を2つ以上有する化合物(a1)0.01〜0.5モルおよび酸無水物基を1つ有する化合物(a4)1〜1.98モルを用いて得られた、インクジェット用インクの製造方法。
[13−4] ポリアミド酸(A)が、ジアミン(a2)1モルに対して、酸無水物基を2つ以上有する化合物(a1)0.15〜0.25モルおよび酸無水物基を1つ有する化合物(a4)1.5〜1.7モルを用いて得られた、[13−3]に記載のインクジェット用インクの製造方法。
【0010】
[14] 酸無水物基を2つ以上有する化合物(a1)が、下記一般式(8)
【化9】

(式中、Rは炭素数2〜100の有機基である。)
で表されるテトラカルボン酸二無水物、および、酸無水物基を有するモノマーと他の重合性モノマーとの共重合体からなる群から選ばれる1以上である、[13]に記載のインクジェット用インクの製造方法。
[15] 前記テトラカルボン酸二無水物が、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、2,2−[ビス(3,4ージカルボキシフェニル)]ヘキサフルオロプロパン二無水物、エチレングリコールビス(アンヒドロトリメリテート)、シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、メチルシクロブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、エタンテトラカルボン酸二無水物およびブタンテトラカルボン酸二無水物からなる群から選ばれる1以上である、[14]に記載のインクジェット用インクの製造方法。
[16] 酸無水物基を有するモノマーが無水マレイン酸である、[14]または[15]に記載のインクジェット用インクの製造方法。
[17] 他の重合性モノマーが、スチレン、メチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、N−シクロヘキシルマレイミドおよびN−フェニルマレイミドからなる群から選ばれる1以上である、[14]〜[16]のいずれかに記載のインクジェット用インクの製造方法。
【0011】
[18] 酸無水物基を2つ以上有する化合物(a1)が、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、2,2−[ビス(3,4ージカルボキシフェニル)]ヘキサフルオロプロパン二無水物、シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物およびブタンテトラカルボン酸二無水物からなる群から選ばれる1以上である、[13]に記載のインクジェット用インクの製造方法。
[19] ジアミン(a2)が下記一般式(9)
NH−R−NH (9)
(式中、Rはそれぞれ独立して炭素数2〜100の有機基である。)
で表されるジアミンである、[13]〜[18]のいずれかに記載のインクジェット用インクの製造方法。
[20] ジアミン(a2)が、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、2,2’−ジアミノジフェニルプロパン、ベンジジン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]シクロヘキサン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−4−メチルシクロヘキサン、ビス[4−(4−アミノベンジル)フェニル]メタン、1,1−ビス[4−(4−アミノベンジル)フェニル]シクロヘキサン、1,1−ビス[4−(4−アミノベンジル)フェニル]4−メチルシクロヘキサン、1,1−ビス[4−(4−アミノベンジル)フェニル]メタンおよび下記式(3)
【化10】


(式中、R33およびR34は独立して炭素数1〜3のアルキルまたはフェニルであり、R35は独立してはメチレン、フェニレンまたはアルキル置換されたフェニレンであり、xは独立して1〜6の整数であり、yは1〜70の整数である。)
で表される化合物からなる群から選ばれる1以上である、[13]〜[18]のいずれかに記載のインクジェット用インクの製造方法。
[21] モノアミン(a3)が、アミノシリコン化合物である、[13]〜[20]のいずれかに記載のインクジェット用インクの製造方法。
前記アミノシリコン化合物としては、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、4−アミノブチルトリメトキシシラン、4−アミノブチルトリエトキシシラン、4−アミノブチルメチルジエトキシシラン、p−アミノフェニルトリメトキシシラン、p−アミノフェニルトリエトキシシラン、p−アミノフェニルメチルジメトキシシラン、p−アミノフェニルメチルジエトキシシラン、m−アミノフェニルトリメトキシシランおよびm−アミノフェニルメチルジエトキシシランからなる群から選ばれる1以上が好ましい。
[22] 酸無水物基を1つ有する化合物(a4)が、下記式(23)
【化11】

(式中、R91はSiを含む炭素数2〜100の有機基であり、R92は炭素数2〜100の有機基であり、R91とR92は互いに結合して環を形成してもよい。)
で表されるシリコン含有化合物である、[13]〜[21]のいずれかに記載のインクジェット用インクの製造方法。
前記シリコン含有化合物としては、p−(トリメトキシシリル)フェニルサクシニックアンヒドリド、p−(トリエトキシシリル)フェニルサクシニックアンヒドリド、m−(トリメトキシシリル)フェニルサクシニックアンヒドリド、m−(トリエトキシシリル)フェニルサクシニックアンヒドリド、トリメトキシシリルプロピルサクシニックアンヒドリド、トリエトキシシリルプロピルサクシニックアンヒドリド、下記式(α)で表される化合物、および、下記式(β)で表される化合物
【化12】





からなる群から選ばれる1以上が好ましい。
【0012】
[23] インクジェット用インクが溶媒(B)をさらに含む、[13]〜[22]のいずれかに記載のインクジェット用インクの製造方法。
[24] 溶媒(B)が、乳酸エチル、エタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、シクロヘキサノンおよびγ―ブチロラクトンからなる群から選ばれる1以上である、[23]に記載のインクジェット用インクの製造方法。
[25] 酸無水物基を2つ以上有する化合物(a1)が、3,3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物およびスチレン−無水マレイン酸共重合体からなる群から選ばれる1以上であり、
ジアミン(a2)が、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2’−ジアミノジフェニルプロパンおよび式(3)
【化13】

(式中、R33およびR34は独立して炭素数1〜3のアルキルまたはフェニルであり、R35は独立してはメチレン、フェニレンまたはアルキル置換されたフェニレンであり、xは独立して1〜6の整数であり、yは1〜70の整数である。)
の化合物からなる群から選ばれる1以上であり、
モノアミン(a3)が、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、4−アミノブチルトリメトキシシラン、4−アミノブチルトリエトキシシラン、4−アミノブチルメチルジエトキシシラン、p−アミノフェニルトリメトキシシラン、p−アミノフェニルトリエトキシシラン、p−アミノフェニルメチルジメトキシシラン、p−アミノフェニルメチルジエトキシシラン、m−アミノフェニルトリメトキシシランおよびm−アミノフェニルメチルジエトキシシランからなる群から選ばれる1以上であり、
酸無水物基を1つ有する化合物(a4)が、p−(トリメトキシシリル)フェニルサクシニックアンヒドリド、p−(トリエトキシシリル)フェニルサクシニックアンヒドリド、m−(トリメトキシシリル)フェニルサクシニックアンヒドリド、m−(トリエトキシシリル)フェニルサクシニックアンヒドリド、トリメトキシシリルプロピルサクシニックアンヒドリド、トリエトキシシリルプロピルサクシニックアンヒドリド、下記式(α)で表される化合物、および、下記式(β)で表される化合物からなる群から選ばれる1以上を、
【化14】





であり、
溶媒(B)が、乳酸エチル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシプロピオン酸メチルおよびγ―ブチロラクトンからなる群から選ばれる1以上である、[23]または[24]に記載のインクジェット用インクの製造方法。
【0013】
[26] 酸無水物基を2つ以上有する化合物(a1)が、3,3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物およびスチレン−無水マレイン酸共重合体からなる群から選ばれる1以上であり、
ジアミン(a2)が、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、および式(3)
【化15】


(式中、R33およびR34は独立して炭素数1〜3のアルキルまたはフェニルであり、R35は独立してはメチレン、フェニレンまたはアルキル置換されたフェニレンであり、xは独立して1〜6の整数であり、yは1〜15の整数である。)
の化合物からなる群から選ばれる1以上であり、
モノアミン(a3)が、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシランおよび3−アミノプロピルメチルジエトキシシランからなる群から選ばれる1以上であり、
酸無水物基を1つ有する化合物(a4)として、トリメトキシシリルプロピルサクシニックアンヒドリドおよびトリエトキシシリルプロピルサクシニックアンヒドリドからなる群から選ばれる1つ以上であり、
溶媒(B)が、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテルおよびγ―ブチロラクトンからなる群から選ばれる1以上である、[23]または[24]に記載のインクジェット用インクの製造方法。
[27] 溶媒(B)が、溶媒全重量に対してアミド系溶媒を20重量%以上含まないことを特徴とする[23]〜[26]のいずれかに記載のインクジェット用インクの製造方法。
[28] 溶媒(B)が、アミド系溶媒を含まない[23]〜[26]のいずれかに記載のインクジェット用インクの製造方法。
【0014】
[29] インクジェット用インク100重量部に対して、ポリアミド酸(A)5〜60重量部を含む[13]〜[28]のいずれかに記載のインクジェット用インクの製造方法。
[30] インクジェット用インクがエポキシ樹脂(C)をさらに含む、[13]〜[29]のいずれかに記載のインクジェット用インクの製造方法。
[31] エポキシ樹脂(C)が、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−4,4’−ジアミノジフェニルメタンおよび下記式(4)〜(7)で表される化合物
【化16】

(式中、nは0〜10の整数である。)
からなる群から選ばれる1以上の化合物である、[30]に記載のインクジェット用インクの製造方法。
[32]
インクジェット用インク100重量部に対して、ポリアミド酸(A)5〜55重量部を含む、[13]〜[31]のいずれかに記載のインクジェット用インクの製造方法。
[33]
インクジェット用インク100重量部に対して、ポリアミド酸(A)20〜50重量部を含む、[13]〜[31]のいずれかに記載のインクジェット用インクの製造方法。
また、インクジェット用インクに含まれる水分量は10,000ppm以下が好ましく、5,000ppm以下がさらに好ましい。
【0015】
[34] [13]〜[33]のいずれかに記載されたインクジェット用インクの製造方法を用いて製造されたインクジェット用インク。
【0016】
[35] [1]〜[12]および[34]のいずれかに記載されたインクジェット用インクをインクジェット塗布方法によって塗布してポリアミド酸膜を形成する工程、および、
ポリアミド酸膜を加熱処理してポリイミド膜を形成する工程、を経て得られたポリイミド膜またはパターン状ポリイミド膜。
[36] [1]〜[12]および[34]のいずれかに記載されたインクジェット用インクをインクジェット塗布方法によって塗布してから乾燥させてポリアミド酸膜を形成する工程、および、ポリアミド酸膜を加熱処理してポリイミド膜を形成する工程を含むインク塗布方法。
[37] [36]に記載のインク塗布方法を用いてポリイミド膜を形成する、ポリイミド膜形成方法。
[38] [37]に記載されたポリイミド膜形成方法で基板上にポリイミド膜が形成されたフィルム基板。
[39] [38]に記載されたフィルム基板を有する電子部品。
【0017】
上記式(1)中のRはそれぞれ独立して4価の炭素数2〜100の有機基、上記式(1)中のRおよび上記式(22)中のRはそれぞれ独立して2価の炭素数2〜100の有機基、上記式(21)中のRおよび上記式(23)中のR92はそれぞれ独立して1価の炭素数2〜100の有機基であれば特に限定されるものではない。また、上記式(23)中のR91はSiを含む炭素数2〜100の有機基であれば特に限定されるものではない。
【0018】
本明細書中、「有機基」とは特に限定されるものではないが、例えば、炭素数2〜100の炭化水素が挙げられる。
【0019】
また、一価の有機基としては、具体的には、置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアルコキシ、置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリールオキシ、置換基を有していてもよいアミノ、置換基を有していてもよいシリル、置換基を有していてもよいアルキルチオ(−SY、式中、Yは置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアルキルを示す。)、置換基を有していてもよいアリールチオ(−SY、式中、Yは置換基を有していてもよい炭素数6〜18のアリールを示す。)、置換基を有していてもよいアルキルスルホニル(−SO、式中、Yは置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアルキルを示す。)、置換基を有していてもよいアリールスルホニル(−SO、式中、Yは置換基を有していてもよい炭素数6〜18のアリールを示す。)が挙げられる。
【0020】
本明細書において、「炭素数2〜20の炭化水素」の炭化水素は、飽和若しくは不飽和の非環式であってもよいし、飽和若しくは不飽和の環式であってもよい。炭素数2〜20の炭化水素が非環式の場合には、直鎖状でもよいし、枝分かれでもよい。「炭素数2〜20の炭化水素」には、炭素数2〜20のアルキル、炭素数2〜20のアルケニル、炭素数2〜20のアルキニル、炭素数4〜20のアルキルジエニル、炭素数6〜18のアリール、炭素数7〜20のアルキルアリール、炭素数7〜20のアリールアルキル、炭素数4〜20のシクロアルキル、炭素数4〜20のシクロアルケニルなどが含まれる。
【0021】
本明細書において、「炭素数2〜20のアルキル」は、炭素数2〜10のアルキルであることが好ましく、炭素数2〜6のアルキルであることが更に好ましい。アルキルの例としては、制限するわけではないが、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ドデカニル等を挙げることができる。
【0022】
本明細書において、「炭素数2〜20のアルケニル」は、炭素数2〜10のアルケニルであることが好ましく、炭素数2〜6のアルケニルであることが更に好ましい。アルケニルの例としては、制限するわけではないが、ビニル、アリル、プロペニル、イソプロペニル、2−メチル−1−プロペニル、2−メチルアリル、2−ブテニル等を挙げることができる。
【0023】
本明細書において、「炭素数2〜20のアルキニル」は、炭素数2〜10のアルキニルであることが好ましく、炭素数2〜6のアルキニルであることが更に好ましい。アルキニルの例としては、制限するわけではないが、エチニル、プロピニル、ブチニル等を挙げることができる。
【0024】
本明細書において、「炭素数4〜20のアルキルジエニル」は、炭素数4〜10のアルキルジエニルであることが好ましく、炭素数4〜6のアルキルジエニルであることが更に好ましい。アルキルジエニルの例としては、制限するわけではないが、1,3−ブタジエニル等を挙げることができる。
【0025】
本明細書において、「炭素数6〜18のアリール」は、炭素数6〜10のアリールであることが好ましい。アリールの例としては、制限するわけではないが、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、インデニル、ビフェニリル、アントリル、フェナントリル等を挙げることができる。
【0026】
本明細書において、「炭素数7〜20のアルキルアリール」は、炭素数7〜12のアルキルアリールであることが好ましい。アルキルアリールの例としては、制限するわけではないが、o−トリル、m−トリル、p−トリル、2,3−キシリル、2,4−キシリル、2,5−キシリル、o−クメニル、m−クメニル、p−クメニル、メシチル等を挙げることができる。
【0027】
本明細書において、「炭素数7〜20のアリールアルキル」は、炭素数7〜12のアリールアルキルであることが好ましい。アリールアルキルの例としては、制限するわけではないが、ベンジル、フェネチル、ジフェニルメチル、トリフェニルメチル、1−ナフチルメチル、2−ナフチルメチル、2,2−ジフェニルエチル、3−フェニルプロピル、4−フェニルブチル、5−フェニルペンチル等を挙げることができる。
【0028】
本明細書において、「炭素数4〜20のシクロアルキル」は、炭素数4〜10のシクロアルキルであることが好ましい。シクロアルキルの例としては、制限するわけではないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル等を挙げることができる。
【0029】
本明細書において、「炭素数4〜20のシクロアルケニル」は、炭素数4〜10のシクロアルケニルであることが好ましい。シクロアルケニルの例としては、制限するわけではないが、シクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル等を挙げることができる。
【0030】
本明細書において、「炭素数2〜20のアルコキシ」は、炭素数2〜10のアルコキシであることが好ましく、炭素数2〜6のアルコキシであることが更に好ましい。アルコキシの例としては、制限するわけではないが、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペンチルオキシ等がある。
【0031】
本明細書において、「炭素数6〜20のアリールオキシ」は、炭素数6〜10のアリールオキシであることが好ましい。アリールオキシの例としては、制限するわけではないが、フェニルオキシ、ナフチルオキシ、ビフェニルオキシ等を挙げることができる。
【0032】
本明細書において、「アルキルチオ(−SY、式中、Yは置換を有してもよい炭素数2〜20のアルキルを示す。)」および「アルキルスルホニル(−SO、式中、Yは置換を有してもよい炭素数1〜20のアルキルを示す。)」において、YおよびYは、炭素数2〜10のアルキルであることが好ましく、炭素数2〜6のアルキルであることが更に好ましい。アルキルの例としては、制限するわけではないが、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ドデカニル等を挙げることができる。
【0033】
本明細書において、「アリールチオ(−SY、式中、Yは置換を有してもよい炭素数6〜18のアリールを示す。)」および「アリールスルホニル(−SO、式中、Yは置換を有してもよい炭素数6〜18のアリールを示す。)」において、YおよびYは、炭素数6〜10のアリールであることが好ましい。アリールの例としては、制限するわけではないが、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、インデニル、ビフェニリル、アントリル、フェナントリル等を挙げることができる。
【0034】
「炭素数1〜20の炭化水素」、「炭素数2〜20のアルコキシ」、「炭素数6〜20のアリールオキシ」、「アミノ」、「シリル」、「アルキルチオ」、「アリールチオ」、「アルキルスルホニル」、「アリールスルホニル」には、置換基が導入されていてもよい。この置換としては、例えば、エステル、カルボキシル、アミド、アルキン、トリメチルシリル、アミノ、ホスホニル、チオ、カルボニル、ニトロ、スルホ、イミノ、ハロゲノ、またはアルコキシなどを挙げることができる。この場合、置換基は、置換可能な位置に1個以上、置換可能な最大数まで導入されていてもよく、好ましくは1個〜4個導入されていてもよい。置換基数が2個以上である場合、各置換基は同一であっても異なっていてもよい。
【0035】
本明細書において、「置換基を有してもよいアミノ」の例としては、制限するわけではないが、アミノ、ジメチルアミノ、メチルアミノ、メチルフェニルアミノ、フェニルアミノ等がある。
【0036】
本明細書において、「置換基を有していてもよいシリル」の例としては、制限するわけではないが、ジメチルシリル、ジエチルシリル、トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリメトキシシリル、トリエトキシシリル、ジフェニルメチルシリル、トリフェニルシリル、トリフェノキシシリル、ジメチルメトキシシリル、ジメチルフェノキシシリル、メチルメトキシフェニル等がある。
【0037】
以上、1価の有機基の具体例を挙げたが、本明細書中、2価の有機基の具体例としては、本明細書中に記載された1価の有機基においてさらに価数を1つ増やした基が挙げられる。同様に、本明細書中、4価の有機基の具体例としては、本明細書中に記載された1価の有機基においてさらに価数を3つ増やした基が挙げられる。
【発明の効果】
【0038】
本発明の好ましい態様に係るインクジェット用インクは、例えば、インクジェットヘッドの耐久性が低下しにくい。また、本発明の好ましい態様に係るインクジェット用のインクのポリアミド酸組成を用いると、1回のジェッティングで比較的厚い膜厚を有するポリイミド膜を形成できる。
また、パターン状ポリイミド膜の形成のために、本発明の好ましい態様に係るインクジェット用インクを用いる場合、インクジェット印刷により必要な部分のみに描画するため材料使用量は圧倒的に少なく、フォトマスクを使用する必要がないので多品種大量生産が可能であり、また、製造に要する工程数が少ないとものである。
本発明のインクジェット用インクから形成されたポリイミド膜は、例えば、耐熱性、電気絶縁性が高く、電子部品の信頼性、歩留まりを向上させる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
本発明は、ポリアミド酸(A)と溶媒(B)とを含むインクジェット用インク、当該インクを用いたインク塗布方法、当該塗布方法を用いたポリイミド膜形成方法等を提供する。
【0040】
1 ポリアミド酸(A)
【0041】
本発明のインクジェット用インクに含まれるポリアミド酸(A)は、少なくとも、モノアミン(a3)と酸無水物基を1つ有する化合物(a4)とからなる群から選ばれる1以上と、酸無水物基を2つ以上有する化合物(a1)と、ジアミン(a2)とを反応させる工程を用いて得ることができるが、当該製法で得られたポリアミド酸に限定されるものではない。
【0042】
以下に、ポリアミド酸(A)を得るために用いることができる、酸無水物基を2つ以上有する化合物(a1)と酸無水物基を1つ有する化合物(a4)とジアミン(a2)とモノアミン(a3)を説明する。
【0043】
1.1 酸無水物基を2つ以上有する化合物(a1)
本発明でポリアミド酸(A)の合成に用いられる酸無水物基を2つ以上有する化合物(a1)の具体例としては、スチレン−無水マレイン酸共重合体、メタクリル酸メチル−無水マレイン酸共重合体等の無水物基を有するラジカル重合性モノマーと他のラジカル重合性モノマーとの共重合体や上記一般式(8)で表されるテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。テトラカルボン酸二無水物としては、例えば2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、エチレングリコールビス(アンヒドロトリメリテート)、エタンテトラカルボン酸二無水物、4―(2,5−ジオキソテトラヒドロフラン−3−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1,2−ジカルボン酸無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフリル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、下記式a1−1〜a1-73で表される化合物等のテトラカルボン酸二無水物が挙げられる。
【化17】



【化18】






【化19】


【化20】



【化21】


【化22】


【化23】


【化24】


【化25】



【化26】


【化27】


【化28】

【0044】
酸無水物を2つ以上有する化合物の上記具体例の中でも、スチレン−無水マレイン酸共重合体、式a1−1、a1−5、a1−6、a1−7、a1−8、a1−9、a1−14、a1−18、a1−20で表される化合物が溶媒への溶解性が高く高濃度のインクを調製できるので好ましい。また、インクジェット用インクの用途によっては高い透明性が必要とされるが、このような場合には、スチレン−無水マレイン酸共重合体、a1−6、a1−7、a1−8、a1−9、a1−14、a1−18等で表される化合物を用いるが特に好ましい。
【0045】
また、上記記載の酸無水物基を有する化合物は一種単独でも、または二種以上組み合わせて使用してもよい。
【0046】
1.2 ジアミン(a2)
本発明において、ポリアミド酸(A)の合成に用いられるジアミン(a2)はアミノ基を2つ有していれば特に限定されるものではないが、例えば上記一般式(9)で表される化合物が挙げられる。上記一般式(9)で表される化合物の具体例としては、下記一般式(II)〜(VIII)で表される化合物が挙げられる。
【化29】



[式(II)中、
は、−(CH2m−であり、ここでmは1〜6の整数であり、
式(III)〜(VII)中、
は、単結合、−O−、−S−、−S−S−、−SO−、−CO−、−CONH−、−NHCO−、−C(CH−、−C(CF−、−(CH2m−、−O−(CH2m−O−、−S−(CH2m−S−であり、ここでmは1〜6の整数であり、
は、単結合、−O−、−S−、−CO−、−C(CH−、−C(CF−または炭素数1〜3のアルキレンであり、
シクロヘキサン環またはベンゼン環に結合している水素は、−F、−CH3と置き換えられていてもよい。]
【0047】
一般式(II)で表されるジアミンとしては、例えば式(II−1)〜(II−3)で表されるジアミンが挙げられる。
【0048】
【化30】

【0049】
一般式(III)で表されるジアミンとしては、例えば式(III−1)、(III−2)で表されるジアミンが挙げられる。
【化31】

【0050】
一般式(IV)で表されるジアミンとしては、例えば式(IV−1)〜(IV−3)で表されるジアミンが挙げられる。
【化32】

【0051】
一般式(V)で表されるジアミンとしては、例えば式(V−1)〜(V−5)で表されるジアミンが挙げられる。
【化33】

【0052】
一般式(VI)で表されるジアミンとしては、例えば式(VI−1)〜(VI−30)で表されるジアミンが挙げられる。
【化34】




【化35】

【化36】






【化37】








【0053】
一般式(VII)で表されるジアミンとしては、例えば式(VII−1)〜(VII−6)で表されるジアミンが挙げられる。
【化38】







【0054】
一般式(VIII)で表されるジアミンとしては、例えば式(VIII−1)〜(VIII−11)で表されるジアミンが挙げられる。
【化39】

【0055】
一般式(II)〜(VIII)で表されるジアミン(a2)の上記具体例の中でも、より好ましくは、式(V−1)〜(V−5)、式(VI−1)〜(VI−12)、式(VI−26)、式(VI−27)、式(VII−1)、式(VII−2)、式(VII−6)、式(VIII−1)〜(VIII−5)で表されるジアミンが挙げられ、さらに好ましくは式(V−6)、式(V−7)、式(VI−1)〜(VI−12)で表されるジアミンが挙げられる。
【0056】
本発明において、ポリアミド酸(A)の合成に用いられるジアミン(a2)としては、さらに一般式(IX)で表されるジアミンが挙げられる。
【化40】

[式(IX)中、
は、単結合、−O−、−COO−、−OCO−、−CO−、−CONH−または−(CH2m−(式中、mは1〜6の整数である)であり、
6は、ステロイド骨格を有する基、シクロヘキサン環とベンゼン環とからなる群から選ばれる1以上を有する基、または、ベンゼン環に結合している2つのアミノ基の位置関係がパラ位のときは炭素数2〜30のアルキル、もしくは該位置関係がメタのときは炭素数1〜10のアルキルまたはフェニルであり、
該アルキルにおいては、任意の−CH2−が−CF2−、−CHF−、−O−、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられていてもよく、−CHが−CH2F、−CHF2または−CFで置き換えられていてもよく
該フェニルの環形成炭素に結合している水素は、−F、−CH3、−OCH3、−OCH2F、−OCHF2または−OCF3と置き換えられていてもよい。]
【0057】
一般式(IX)において、2つのアミノ基はフェニル環炭素に結合しているが、好ましくは、2つのアミノ基の結合位置関係は、メタ位またはパラ位であることが好ましい。さらに2つのアミノ基はそれぞれ、「R−A−」の結合位置を1位としたときに3位と5位、または2位と5位に結合していることが好ましい。
一般式(IX)で表されるジアミンとしては、例えば下記式(IX−1)〜(IX−11)で表されるジアミンが挙げられる。
【化41】

【化42】

【0058】
上記式(IX−1)、(IX−2)、(IX−7)および(IX−8)中、R18は炭素数2〜30の有機基であるが、これらの中でも炭素数3〜12のアルキルまたは炭素数3〜12のアルコキシが好ましく、炭素数5〜12のアルキルまたは炭素数5〜12のアルコキシがさらに好ましい。また、上記式(IX−3)〜(IX−6)および(IX−9)〜(IX−11)中、R19は炭素数2〜30の有機基であるが、これらの中でも炭素数1〜10のアルキルまたは炭素数1〜10のアルコキシが好ましく、炭素数3〜10のアルキルまたは炭素数3〜10のアルコキシがさらに好ましい。
【0059】
一般式(IX)で表されるジアミンとしては、さらに、例えば下記式(IX−12)〜(IX−17)で表されるジアミンが挙げられる。
【化43】

【0060】
上記式(IX-12)〜(IX-15)においてR20は炭素数2〜30の有機基であり、炭素数4〜16のアルキルが好ましく、炭素数6〜16のアルキルがさらに好ましい。式(IX-16)と式(IX-17)においてR21は炭素数2〜30の有機基であり、炭素数6〜20のアルキルが好ましく、炭素数8〜20のアルキルがさらに好ましい。
【0061】
一般式(IX)で表されるジアミンとしては、さらに、例えば下記式(IX−18)〜(IX−38)で表されるジアミンが挙げられる。
【0062】
【化44】

【化45】

【化46】

【0063】
上記式(IX-18)、(IX-19)、(IX-22)、(IX-24)、(IX-25)、(IX-28)、(IX-30)、(IX-31)、(IX-36)および(IX-37)においてR22は炭素数2〜30の有機基であり、炭素数1〜12のアルキル、炭素数1〜12のアルコキシが好ましく、炭素数3〜12のアルキルまたは炭素数3〜12のアルコキシがさらに好ましい。また、上記式(IX-20)、(IX-21)、(IX-23)、(IX-26)、(IX-27)、(IX-29)、(IX-32)〜(IX-35)および(IX-38)において、R23は−H、−F、炭素数1〜12のアルキル、炭素数1〜12のアルコキシ、−CN、−OCH2F、−OCHF2または−OCF3であり、炭素数3〜12のアルキルまたは炭素数3〜12のアルコキシがさらに好ましい。上記式(IX-33)と(IX-34)において、Aは炭素数1〜12のアルキレンである。
【0064】
一般式(IX)で表されるジアミンとしては、さらに、例えば下記式(IX−39)〜(IX−48)で表されるジアミンが挙げられる。
【化47】

【化48】

【0065】
一般式(IX)で表されるジアミン(a2)のうち、式(IX−1)〜式(IX−11)で表されるジアミンが好ましく、式(IX−2)、式(IX−4)、式(IX−5)、式(IX−6)で表されるジアミンがさらに好ましい。
【0066】
本発明において、ポリアミド酸(A)の合成に用いられるジアミン(a2)は、さらに下記一般式(XI)〜(XII)で表される化合物が挙げられる。
【化49】





[式(XI)と(XII)中、
10は−Hまたは−CH3であり、
11はそれぞれ独立して、−Hまたは炭素数1〜20のアルキルもしくは炭素数2〜20アルケニルであり、Aはそれぞれ独立して、単結合、−C(=O)−または−CH2−であり、R13およびR14はそれぞれ独立して、−H、炭素数1〜20のアルキルまたはフェニルである。]
【0067】
前記一般式(XI)において、2つの「NH−Ph−A−O−」の一方はステロイド核の3位に結合し、もう一方は6位に結合していることが好ましい。また、2つのアミノ基はそれぞれ、フェニル環炭素に結合しており、Aの結合位置に対して、メタ位またはパラ位に結合していることが好ましい。
一般式(XI)で表されるジアミンとしては、例えば式(XI−1)〜(XI−4)で表されるジアミンが挙げられる。
【化50】

【0068】
一般式(XII)において、2つの「NH−(R14−)Ph−A−O−」は、それぞれフェニル環炭素に結合しているが、好ましくはステロイド核が結合している炭素に対してメタ位またはパラ位の炭素に結合している。また、2つのアミノ基はそれぞれフェニル環炭素に結合しているが、Aに対してメタ位またはパラ位に結合していることが好ましい。
一般式(XII)で表されるジアミンとしては、例えば式(XII−1)〜(XII−8)で表されるジアミンが挙げられる。
【化51】

【化52】

【0069】
本発明において、ポリアミド酸(A)の合成に用いられるジアミン(a2)は、さらに一般式(XIII)、(XIV)で表される化合物が挙げられる。
【化53】


[式(XIII)中、R15は−Hまたは炭素数1〜20のアルキルであり、該アルキルのうち炭素数2〜20のアルキルの任意の−CH2−は、−O−、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよく、
はそれぞれ独立して−O−または炭素数1〜6のアルキレンであり、
は単結合または炭素数1〜3のアルキレンであり、
環Tは1,4−フェニレンまたは1,4−シクロヘキシレンであり、
hは0または1である。]
【化54】


[式(XIV)中、
16は炭素数2〜30のアルキルであり、これらの中でも炭素6〜20のアルキルが好ましい。R17は−Hまたは炭素数1〜30のアルキルであり、これらの中でも炭素1〜10のアルキルが好ましい。
はそれぞれ独立して−O−または炭素数1〜6のアルキレンである。
【0070】
前記一般式(XIII)において、2つのアミノ基はそれぞれフェニル環炭素に結合しているが、Aに対してメタ位またはパラに結合していることが好ましい。
一般式(XIII)で表されるジアミンとしては、例えば式(XIII−1)〜(XIII−9)で表されるジアミンが挙げられる。
【化55】

【化56】

上記式(XIII-1)〜(XIII-3)において、R24は−H、炭素数1〜20のアルキル基が好ましく、(XIII-4)〜(XIII-9)においてR25は−H、炭素数1〜10のアルキル基がさらに好ましい。
【0071】
前記一般式(XIV)において、2つのアミノ基はそれぞれフェニル環炭素に結合しているが、Aに対してメタ位またはパラ位に結合していることが好ましい。
一般式(XIV)で表されるジアミンとしては、例えば(XIV−1)〜(XIV−3)で表されるジアミンが挙げられる。
【化57】

【0072】
(XIV−1)〜(XIV−3)式中、R26は炭素数2〜30のアルキルであり、これらの中でも炭素数6〜20のアルキル基が好ましく、R27は−Hまたは炭素数1〜30のアルキルであり、これらの中でも(−Hまたは炭素数1〜10のアルキルが好ましい)である。
【0073】
上述のとおり、本発明において、ポリアミド酸(A)の合成に用いられるジアミン(a2)は、例えば、一般式(I)〜(XIV)で表されるジアミンを用いることができるが、これらのジアミン以外のジアミンも用いることができる。例えば、ナフタレン構造を有するナフタレン系ジアミン、フルオレン構造を有するフルオレン系ジアミン、またはシロキサン結合を有するシロキサン系ジアミンなどを単独または他のジアミンと混合して用いることができる。
【0074】
シロキサン系ジアミンは特に限定されるものではないが、下記式(3)で表されるものが本発明において、好ましく使用され得る。
【化58】

(式中、RおよびRは独立して炭素数1〜3のアルキルまたはフェニルであり、Rは、独立してはメチレン、フェニレンまたはアルキル置換されたフェニレンであり、xは独立して1〜6の整数であり、yは1〜70の整数である。ここで、より好ましいyは1〜15の整数である。)
【0075】
さらに、好ましくは、本発明において、ポリアミド酸(A)の合成に用いられるジアミン(a2)として、下記式(11)〜(18)で表されるジアミンが使用され得る。
【化59】








(式中、R30およびR31は独立して炭素数3〜20のアルキル基である。)
【0076】
なお、本発明のインクジェット用組成物に含まれるポリアミド酸(A)を合成するために用いることができるジアミン(a2)は、本明細書のジアミンに限定されることなく、本発明の目的が達成される範囲内で他にも種々の形態のジアミンを用いることができる。
また、本発明のインクジェット用組成物に含まれるポリアミド酸(A)を合成するために用いることができるジアミン(a2)は、1種単独、または、2種以上を組み合わせて用いることができる。すなわち、2種以上の組み合わせとしては、上記ジアミン同士、上記ジアミンとそれ以外のジアミン、または、上記ジアミン以外のジアミン同士を用いることができる。
【0077】
また、インクジェット用インクの用途によっては高い透明性が必要とされるが、そのような場合には、3,3’−ジアミノジフェニルスルホンおよび一般式(3)においてy=1〜15の整数であるジアミンを用いることが特に好ましい。
【0078】
1.3 モノアミン(a3)
本発明のインクジェット用組成物に含まれるポリアミド酸(A)の合成に任意に用いることができるモノアミン(a3)は、そのような性質を有していれば特に限定されないが、具体例としては、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、4−アミノブチルトリメトキシシラン、4−アミノブチルトリエトキシシラン、4−アミノブチルメチルジエトキシシラン、p−アミノフェニルトリメトキシシラン、p−アミノフェニルトリエトキシシラン、p−アミノフェニルメチルジメトキシシラン、p−アミノフェニルメチルジエトキシシラン、m−アミノフェニルトリメトキシシランおよびm−アミノフェニルメチルジエトキシシラン、2−アミノ安息香酸、3−アミノ安息香酸、4−アミノ安息香酸、モノエタノールアミン、n−ブチルアミン、アニリンなどを挙げることができる。
これらの中でも、得られる膜の耐久性が優れるという点から、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、p−アミノフェニルトリメトキシシランが好ましく、3−アミノプロピルトリエトキシシランが特に好ましい。
これらのモノアミンは一種単独でまたは二種以上組み合わせても使用できる。
【0079】
1.4 酸無水物基を1つ有する化合物(a4)
本発明のインクジェット用組成物に含まれるポリアミド酸(A)の合成に任意に用いることができる酸無水物基を1つ有する化合物(a4)は、酸無水物基を1つ有していれば特に限定されないが、具体例としては、上記式(23)で表されるシリコン含有化合物が好ましい。このようなシリコン含有化合物の中でも、p−(トリメトキシシリル)フェニルサクシニックアンヒドリド、p−(トリエトキシシリル)フェニルサクシニックアンヒドリド、m−(トリメトキシシリル)フェニルサクシニックアンヒドリド、m−(トリエトキシシリル)フェニルサクシニックアンヒドリド、トリメトキシシリルプロピルサクシニックアンヒドリド、トリエトキシシリルプロピルサクシニックアンヒドリド、上記式(α)で表される化合物、上記式(β)で表される化合物が好ましい。上記式(α)で表される化合物は、たとえば、5−ノルボルネン−2,3―ジカルボン酸無水物とトリメトキシシランとを反応させて得ることができる。また、上記式(β)で表される化合物は、たとえば、アリルナジック酸無水物とトリメトキシシランとを反応させて得ることができる。
【0080】
1.5 ポリアミド酸(A)を合成するための反応条件
ポリアミド酸(A)は、たとえば、モノアミン(a3)と酸無水物基を1つ有する化合物(a4)とからなる化合物の群から選ばれる1以上と、酸無水物基を2つ以上有する化合物(a1)と、ジアミン(a2)とを反応させて合成できる。
ポリアミド酸(A)の合成にモノアミン(a3)を用いる場合、酸無水物基を2つ以上有する化合物(a1)1モルに対して、ジアミン(a2)0.01〜0.5モルおよびモノアミン(a3)1〜1.98モル用いることが好ましく、酸無水物基を2つ以上有する化合物(a1)1モルに対して、ジアミン(a2)0.15〜0.25モルおよびモノアミン(a3)1.5〜1.7モル用いることがさらに好ましい。
また、ポリアミド酸(A)の合成に酸無水物基を1つ有する化合物(a4)を用いる場合、ジアミン(a2)1モルに対して、酸無水物基を2つ以上有する化合物(a1)0.01〜0.5モルおよび酸無水物基を1つ有する化合物(a4)1〜1.98モル用いることが好ましく、ジアミン(a2)1モルに対して、酸無水物基を2つ以上有する化合物(a1)0.15〜0.25モルおよび酸無水物基を1つ有する化合物(a4)1.5〜1.7モル用いることがさらに好ましい。
【0081】
1.5.1 反応溶媒
たとえば、モノアミン(a3)と酸無水物基を1つ有する化合物(a4)とからなる化合物の群から選ばれる1以上と、酸無水物基を2つ以上有する化合物(a1)と、ジアミン(a2)とを反応させてポリアミド酸(A)を合成するために用いられる溶媒は、当該ポリアミド酸(A)が合成できれば特に限定されるものではないが、例えば、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、シクロヘキサノン、γ―ブチロラクトン、N−メチル−2−ピロリドン、およびN,N−ジメチルアセトアミド、などを挙げることができる。
これらの中でもプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシプロピオン酸メチル、シクロヘキサノン、ジエチレングリコールメチルエチルエーテルおよびジエチレングリコールジメチルエーテルを用いると、インクジェットヘッドへのダメージが少ないインクとすることができるので好ましい。
これらの反応溶媒は単独でも、2種以上の混合溶媒としても使用できる。また、上記反応溶媒以外に他の溶媒を混合して用いることもできる。
【0082】
反応溶媒は、酸無水物基を2つ以上有する化合物(a1)とジアミン(a2)とモノアミン(a3)と酸無水物基を1つ有する化合物(a4)との合計100重量部に対し100重量部以上使用すると、反応がスムーズに進行するので好ましい。反応は0℃〜100℃で、0.2〜20時間反応させるのが好ましい。
【0083】
1.5.2 反応系への添加順序
また、反応原料の反応系への添加順序に特に限定されない。すなわち、酸無水物基を2つ以上有する化合物(a1)とジアミン(a2)とモノアミン(a3)と酸無水物基を1つ有する化合物(a4)とを同時に反応溶媒に加える、ジアミン(a2)とモノアミン(a3)を反応溶媒中に溶解させた後に酸無水物基を2つ以上有する化合物(a1)または酸無水物基を2つ以上有する化合物(a1)と酸無水物基を1つ有する化合物(a4)を添加する、酸無水物基を2つ以上有する化合物(a1)と酸無水物基を1つ有する化合物(a4)を反応溶媒中に溶解させた後にモノアミン(a3)をあらかじめ反応させた後にジアミン(a2)を添加する、酸無水物基を2つ以上有する化合物(a1)とジアミン(a2)とをあらかじめ反応させて共重合体を合成した後に、その共重合体にモノアミン(a3)を添加する、などいずれの方法も用いることができる。
【0084】
1.6 ポリアミド酸(A)の構成
本発明のインクジェット用インクに含まれるポリアミド酸(A)は、たとえば、上記一般式(1)で表される構成単位を有し、上記一般式(21)および一般式(22)で表される分子末端基の群から選ばれる1以上の分子末端基を有する。
このポリアミド酸(A)は、例えば、上述した、モノアミン(a3)と酸無水物基を1つ有する化合物(a4)とからなる化合物の群から選ばれる1以上と、酸無水物基を2つ以上有する化合物(a1)と、ジアミン(a2)とを反応させることによって合成できる。すなわち、ポリアミド酸(A)の繰り返し単位となる上記一般式(1)は、重合基を2つ以上有する酸無水物基を2つ以上有する化合物(a1)と重合基を2つ有するジアミン(a2)との反応によって得ることができる。他方、モノアミン(a3)と酸無水物基を1つ有する化合物(a4)は重合基を1つしか有さないので、これらの化合物はポリアミド酸(A)において分子末端基を構成する。すなわち、上記式(21)のRはモノアミン(a3)の残基であり、上記式(22)のRは酸無水物基を1つ有する化合物(a4)の残基である。なお、当該のポリアミド酸(A)の構成とモノマーとの関係は一例に過ぎない。また、ポリアミド酸(A)の製造方法も当該方法に限定されない。
【0085】
1.7 ポリアミド酸(A)の重量平均分子量
重量平均分子量が1,000〜20,000であるポリアミド酸(A)が特に溶媒に対する溶解性が優れていてインクジェット用インクとして好ましい。
本発明において、ポリアミド酸(A)の溶媒に対する「溶解性」をさらに向上させるために、その重量平均分子量は1,000〜10,000であることが好ましく、1,000〜5,000であることがさらに好ましい。
そして、ポリアミド酸(A)の重量平均分子量が、1,000〜4,500であることがさらに好ましく、この中でも、1,000〜3,500であることが特に好ましい。
また、1,000以上の重量平均分子量を有するポリアミド酸(A)は、加熱処理によってポリイミド膜を形成するステップにおいて蒸発することがなく、化学的・機械的に安定であり、2,000以下の重量平均分子量を有するポリアミド酸(A)は、溶媒に対する溶解性を向上させることができるので、得られる塗膜の膜厚を大きくすることが可能であり、インクジェット用インクとして好ましく用いることができるから、ポリアミド酸(A)の重量平均分子量が1,000〜2,000であることが最も好ましい。
【0086】
ポリアミド酸(A)の重量平均分子量はゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)法により測定することができる。具体的には、得られたポリアミド酸(A)をテトラヒドロフラン(THF)でポリアミド酸の濃度が約1重量%になるように希釈し、東ソー株式会社製カラムG4000HXL、G3000HXL、G2500HXLおよびG2000HXLを用いて、THFを展開剤としてゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)法により測定し、ポリスチレン換算することにより求めることができる。
【0087】
2 溶媒(B)
本発明のインクジェット用インクは、例えば、ポリアミド酸(A)を溶媒(B)に溶解して得ることができる。したがって、本発明のインクジェット用インクに含まれる溶媒は、ポリアミド酸(A)を溶解することができる溶媒であれば特に制限されない。また、単独ではポリアミド酸(A)を溶解しない溶媒であっても、他の溶媒と混合することによって、インクジェット用インクに含まれる溶媒(B)として用いることが可能である。
【0088】
インクジェット用インクに含まれる溶媒(B)の具体例としては、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルイミダゾリジノン、N−メチルカプロラクタム、N−メチルプロピオンアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、ジエチルアセトアミド、γ−ブチロラクトン、乳酸エチル、3−メチル−3−メトキシブタノール、テトラリン、イソホロン、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、マロン酸ジエチル、エタノール、2−プロパノール、ジオキサン、エチレングリコール等を挙げることができる。
【0089】
これらの溶媒の中でも、例えばインクジェットヘッドの耐久性向上の点で、乳酸エチル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシプロピオン酸メチル、γ−ブチロラクトンを溶媒(B)として含むことが好ましい。
【0090】
また、本発明のインクジェット用インクに含まれる溶媒(B)において、溶媒(B)の全重量に対して、アミド系溶媒を20重量%以上含まないことが好ましく、全く含まないことがさらに好ましい。ここで、アミド系溶媒としては、例えばN−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジエチルアセトアミド、N−メチルプロピオンアミド、N,N,N’,N’−テトラメチル尿素、2-ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、ε−カプロラクタム、N−メチルカプロラクタム、カルバミド酸エステル等が挙げられる。
【0091】
これらの溶媒は、一種のみを用いてもよく、また、二種以上を混合して用いてもよい。また、溶媒は、インクジェット用インクにおける固形分濃度が10〜50重量%となるように添加されて用いられることが好ましい。
【0092】
3 エポキシ樹脂(C)
本発明のインクジェット用インクは、エポキシ樹脂(C)をさらに含んでもよい。本発明のインクジェット用インクに含まれるエポキシ樹脂(C)は、オキシランを有すれば特に限定されないが、オキシランを2つ以上有する化合物が好ましい。
【0093】
本発明においてインクジェット用インク中のエポキシ樹脂(C)の濃度は特に限定されないが、0.1〜20重量%が好ましく、1〜10重量%がさらに好ましい。この濃度範囲であると、インクジェット用インクから形成された塗膜の耐熱性、耐薬品性、平坦性が良好である。
【0094】
エポキシ樹脂(C)としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、オキシランを有するモノマーの重合体、および、オキシランを有するモノマーと他のモノマーとの共重合体、などが挙げられる。
【0095】
オキシランを有するモノマーの具体例としては、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、およびメチルグリシジル(メタ)アクリレートを挙げることができる。
また、オキシランを有するモノマーと共重合を行う他のモノマーとの具体例としては、(メタ)アクリル酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、iso−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、スチレン、メチルスチレン、クロルメチルスチレン、(3−エチル−3−オキセタニル)メチル(メタ)アクリレート、N−シクロヘキシルマレイミドおよびN−フェニルマレイミドなどを挙げることができる。
【0096】
オキシランを有するモノマーの重合体およびオキシランを有するモノマーと他のモノマーとの共重合体の好ましい具体例としては、ポリグリシジルメタクリレート、メチルメタクリレート−グリシジルメタクリレート共重合体、ベンジルメタクリレート−グリシジルメタクリレート共重合体、n−ブチルメタクリレート−グリシジルメタクリレート共重合体、2−ヒドロキシエチルメタクリレート−グリシジルメタクリレート共重合体、(3−エチル−3−オキセタニル)メチルメタクリレート−グリシジルメタクリレート共重合体およびスチレン−グリシジルメタクリレート共重合体を挙げることができる。本発明のインクジェット用インクがこれらのエポキシ樹脂(C)を含有すると、インクジェット用インクから形成された塗膜の耐熱性が良好となるため好ましい。
【0097】
本発明のインクジェット用インクに含まれ得るエポキシ樹脂(C)の具体例としては、商品名「エピコート807」、「エピコート815」、「エピコート825」、「エピコート827」、上記式(7)の化合物である商品名「エピコート828」、「エピコート190P」、「エピコート191P」(以上、油化シェルエポキシ(株)製)、商品名「エピコート1004」、「エピコート1256」(以上、ジャパンエポキシレジン(株)製)、商品名「アラルダイトCY177」、上記式(4)の化合物である商品名「アラルダイトCY184」(日本チバガイギー(株)製)、上記式(5)の化合物である商品名「セロキサイド2021P」、「セロキサイド3000」、「EHPE−3150」(ダイセル化学工業(株)製)、上記式(6)の化合物である商品名「テクモアVG3101L」(三井化学(株)製)、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−4,4’−ジアミノジフェニルメタンなどを挙げることができる。
これらの中でも、上記式(4)の化合物である「アラルダイトCY184」、上記式(5)の化合物である商品名「セロキサイド2021P」、上記式(6)の化合物である商品名「テクモアVG3101L」、上記式(7)の化合物である商品名「エピコート828」は、得られるポリイミド膜の平坦性が特に良好であるため好ましい。
【0098】
エポキシ樹脂(C)は一種のみを用いてもよく、また、二種以上を混合して用いてもよい。
【0099】
4 本発明のインクジェット用インクにおけるポリアミド酸(A)の濃度と水分量
本発明においてインクジェット用インク中のポリアミド酸(A)の濃度は特に限定されないが、インクジェット用インク100重量部に対して、ポリアミド酸(A)を5〜60重量部含むことが好ましく、5〜55重量部含むことがさらに好ましく、20〜50重量%が特に好ましい。これらの濃度範囲であると、1回のインクジェッティングで得られる膜の厚さが最適となり、ジェッティング精度が高いので好ましい。
本発明においてインクジェット用インク中の水分量は特に限定されないが、10,000ppm以下が好ましく、5,000ppm以下がさらに好ましい。これらの水分量であると、インクジェット用インクの粘度変化が少なく保存安定性に優れるので好ましい。
【0100】
5 本発明のインクジェット用インクに添加される添加剤
本発明のインクジェット用インクは、たとえば、ポリアミド酸(A)と溶媒(B)とを混合して得られるが、必要により、さらにエポキシ樹脂(C)を含んでもよい。
さらに、目的とする特性によっては、本発明のインクジェット用インクは、界面活性剤、帯電防止剤、カップリング剤、トリメリット酸等のエポキシ硬化剤、アミノシリコン化合物、溶媒、pH調整剤、防錆剤、防腐剤、防黴剤、酸化防止剤、還元防止剤、蒸発促進剤、キレート化剤、水溶性ポリマー等の添加剤を必要により選択して添加し、それらを均一に混合溶解することにより得ることができる。
【0101】
(1)界面活性剤
インクジェット用インクの塗布性の向上を望むときには、かかる目的に沿った界面活性剤を添加できる。本発明のインクジェット用インクに添加される界面活性剤の具体例としては、商品名「Byk−300」、「Byk−306」、「Byk−335」、「Byk−310」、「Byk−341」、「Byk−344」、「Byk−370」(ビック・ケミー(株)製)などのシリコン系界面活性剤;商品名「Byk−354」、「ByK−358」、「Byk−361」(ビック・ケミー(株)製)などのアクリル系界面活性剤、商品名「DFX−18」、「フタージェント250」、「フタージェント251」(ネオス(株)製)などのフッ素系界面活性剤を挙げることができる。
これらの界面活性剤は、一種のみを用いてもよく、また、二種以上を混合して用いてもよい。
界面活性剤は、下地基板への濡れ性、レベリング性、または塗布性を向上させるために使用するものであり、インクジェット用インク100重量部に対し0.01〜1重量部添加して用いられることが好ましい。
【0102】
(2)帯電防止剤
本発明のインクジェット用インクに添加される帯電防止剤は、特に限定されるものではなく、公知の帯電防止剤を用いることができる。具体的には、酸化錫、酸化錫・酸化アンチモン複合酸化物、酸化錫・酸化インジウム複合酸化物等の金属酸化物や四級アンモニウム塩等が挙げられる。
これらの帯電防止剤は、一種のみを用いてもよく、また、二種以上を混合して用いてもよい。
帯電防止剤は、帯電を防止するために使用するものであり、インクジェット用インク100重量部に対し0.01〜1重量部添加して用いられることが好ましい。
【0103】
(3)カップリング剤
本発明のインクジェット用インクに添加されるカップリング剤は、特に限定されるものではなく、公知のカップリング剤を用いることができる。添加されるカップリング剤はシランカップリング剤が好ましく、具体的には、トリアルコキシシラン化合物またはジアルコキシシラン化合物等を挙げることができる。好ましくは、例えば、γ−ビニルプロピルトリメトキシシラン、γ−ビニルプロピルトリエトキシシラン、γ−アクリロイルプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アクリロイルプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロイルプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アクリロイルプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロイルプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロイルプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロイルプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−アミノエチル−γ−イミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−アミノエチル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、 N−アミノエチル−γ−アミノプロピルトジエトキシシラン、 N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、 N−フェニル−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、 N−フェニル−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、 N−フェニル−γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−イソシアナートプロピルメチルジエトキシシラン、γ−イソシアナートプロピルトリエトキシシラン等が例示できる。これらの中でも、γ−ビニルプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロイルプロピルトリメトキシシラン、γ-メタクリロイルプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアナートプロピルトリエトキシシランなどが挙げられる。
【0104】
これらのカップリング剤は、一種のみを用いてもよく、また、二種以上を混合して用いてもよい。
カップリング剤は、インクジェット用インク100重量部に対し0.01〜3重量部添加して用いられることが好ましい。
【0105】
(4)エポキシ硬化剤
本発明のインクジェット用インクに添加されるエポキシ硬化剤は、特に限定されるものではなく、公知のエポキシ硬化剤を用いることができる。具体的には、有機酸ジヒドラジド化合物、イミダゾールおよびその誘導体、ジシアンジアミド、芳香族アミン、多価カルボン酸、多価カルボン酸無水物等が挙げられる。さらに具体的には、ジシアンジアミド等のジシアンジアミド類、アジピン酸ジヒドラジド、1,3−ビス(ヒドラジノカルボエチル)−5−イソプロピルヒダントイン等の有機酸ジヒドラジド、2,4−ジアミノ―6―[2’−エチルイミダゾリル−(1’)]−エチルトリアジン、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール等のイミダゾール誘導体、無水フタル酸、無水トリメリット酸、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸―1,2−無水物等の酸無水物等が挙げられる。
中でも透明性が良好な無水トリメリット酸および1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸―1,2−無水物が好ましい。
【0106】
これらのエポキシ硬化剤は、一種のみを用いてもよく、また、二種以上を混合して用いてもよい。
エポキシ硬化剤は、インクジェット用インク100重量部に対し0.2〜5重量部添加して用いられることが好ましい。
【0107】
(5)アミノシリコン化合物
本発明のインクジェット用インクにおいてアミノシリコン化合物を添加することができる。アミノシリコン化合物としては、パラアミノフェニルトリメトキシシラン、パラアミノフェニルトリエトキシシラン、メタアミノフェニルトリメトキシシラン、メタアミノフェニルトリエトキシシラン、アミノプロピルトリメトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
これらのアミノシリコン化合物は、一種のみを用いてもよく、また、二種以上を混合して用いてもよい。
アミノシリコン化合物は、基板への密着性を良くするために使用するものであり、インクジェット用インク100重量部に対し0.05〜2重量部添加して用いられることが好ましい。
【0108】
(6)その他の添加剤
本発明のインクジェット用インクは、本発明の特性を損なわない範囲(好ましくはインクジェット用インク100重量部に対して20重量部以内)で、可溶性ポリイミド、ポリエステル、アクリル酸ポリマー、アクリレートポリマー等のポリマー成分と混合して使用することも可能である。
また、本発明のインクジェット用インクには、ジカルボン酸もしくはその誘導体とジアミンとの反応生成物であるポリアミドやテトラカルボン酸二無水物、ジカルボン酸もしくはその誘導体とジアミンとの反応生成物であるポリアミドイミド等のポリマー成分を本発明の目的を損なわない範囲で添加することができる。
【0109】
6 インクジェット用インクの粘度
本発明においてインクジェット用インクの粘度は特に限定されないが、常温(25℃)でジェッティングを行う場合は、その粘度が1〜50mPa・sであると、インクジェット塗布方法によるジェッティング精度が向上する点で好ましい。また、25℃におけるインクジェット用インクの粘度は、より好ましくは5〜30mPa・s、さらに好ましくは8〜20mPa・s(25℃)である。
インクヘッドを加熱してジェッティングを行う場合は、加熱温度(好ましくは40〜120℃)におけるインクジェット用インクの粘度は1〜50mPa・sが好ましく、5〜30mPa・sであればさらに好ましく、8〜20mPa・sが特に好ましい。
【0110】
7 ポリイミド膜
本発明のインクジェット用インクを、基板表面にインクジェットにより塗布し、ホットプレート、またはオーブンなどで加熱処理して全面または所定のパターン状(たとえばライン状)のポリイミド膜が形成される。また、本発明のポリイミド膜の形成は、加熱処理に限定されず、UV処理やイオンビーム、電子線、ガンマ線などの処理でもよい。
【0111】
7.1 インクジェット方法によるインクジェット用インクの塗布
インクジェット塗布方法には、インクの吐出方法により各種のタイプがある。吐出方法としては、たとえば圧電素子型、バブルジェット(登録商標)型、連続噴射型、静電誘導型などが挙げられる。本発明にかかるインクは、インクに含まれる各成分を適正に選択することにより、様々な方法でジェッティングが可能であり、インクジェット用インクを予め定められたパターン状に塗布することができる。
【0112】
本発明にかかるインクを用いて塗布を行うのに好ましい吐出方法は、圧電素子型である。この圧電素子型のヘッドは、複数のノズルを有するノズル形成基板と、ノズルに対向して配置される圧電材料と導電材料からなる圧力発生素子と、この圧力発生素子の周囲を満たすインクとを備えた、オンデマンドインクジェット塗布ヘッドであり、印加電圧により圧力発生素子を変位させ、インクの小液滴をノズルから吐出させる。
【0113】
インクジェット塗布装置は、塗布ヘッドとインク収容部とが別体となったものに限らず、それらが分離不能に一体になったものを用いるものでもよい。また、インク収容部は塗布ヘッドに対し分離可能または分離不能に一体化されてキャリッジに搭載されるもののほか、装置の固定部位に設けられて、インク供給部材、例えばチューブを介して塗布ヘッドにインクを供給する形態のものでもよい。
【0114】
また、塗布ヘッドに対し好ましい負圧を作用させるための構成をインクタンクに設ける場合には、インクタンクのインク収納部に吸収体を配置した形態、あるいは可撓性のインク収容袋とこれに対しその内容積を拡張する方向の付勢力を作用するばね部とを有した形態などを採用することができる。塗布装置は、上述のようにシリアル塗布方式を採るもののほか、塗布媒体の全幅に対応した範囲にわたって塗布素子を整列させてなるラインプリンタの形態をとるものであってもよい。
【0115】
7.2 ポリアミド酸の膜の形成
インクジェット塗布方法を用いて、基板上に、本発明のインクジェット用インクをインクジェットによって塗布した後、ホットプレート、またはオーブンなどでの加熱により溶媒を気化等させて除去する、すなわち乾燥することによってポリアミド酸の膜を形成することができる。
加熱条件は各成分の種類および配合割合によって異なるが、通常70〜120℃で、オーブンを用いた場合5〜15分間、ホットプレートを用いた場合1〜5分間でポリアミド酸の膜が形成される。
【0116】
7.3 ポリイミドの膜の形成
ポリアミド酸の膜を形成後、ポリアミド酸をイミド化させるために180〜350℃、好ましくは200〜300℃で、オーブンを用いた場合30〜90分間、ホットプレートを用いた場合5〜30分間加熱処理することによってポリイミド膜を得ることができる。
ポリアミド酸の膜がパターン状に形成されている場合には、パターン状のポリイミド膜が形成される。本明細書では、特に言及のない限り、ポリイミド膜は、パターン状のポリイミド膜を含むものとする。
【0117】
このようにして得られたポリイミド膜は、耐熱性、電気絶縁性に優れた絶縁膜である。また、原料のインクジェット用インクがエポキシ樹脂(C)を含む場合、上記イミド化と同時にポリアミド酸のカルボン酸とエポキシ樹脂とが反応し、比較的強靭で、耐薬品性、平坦性、密着性および耐スパッタ性に優れた絶縁膜となるので好ましい。
【0118】
8 フィルム基板
本発明のフィルム基板は、例えば、インクジェット等の方法により配線が形成されたポリイミドフィルム等の基板上に、本発明のインクジェット用インクをインクジェット塗布方法によって全面または所定のパターン状(ライン状等)に塗布し、その後、当該基板を乾燥し、さらに加熱してポリイミド膜が形成されて得られる。
【0119】
9 電子部品
例えば、予め配線が形成されたポリイミドフィルム等のフィルム基板上に、本発明のインクジェット用インクをインクジェット塗布方法によって塗布し、その後、当該フィルム基板を乾燥し、さらに加熱することによって、絶縁性を有するポリイミド膜で被覆されたフレキシブルな電子部品が得られる。
【実施例】
【0120】
以下、本発明を実施例および比較例により説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0121】
実施例および比較例で用いる、酸無水物基を2つ以上有する化合物(a1)、ジアミン(a2)、モノアミン(a3)および溶媒(B)の名称を略号で示す。以下の記述にはこの略号を使用する。
【0122】
酸無水物基を2つ以上有する化合物(a1)
3,3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物:ODPA
3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物:BTDA
2,2−[ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)]ヘキサフルオロプロパン二無水物:6FDA

ジアミン(a2)
3,3’−ジアミノジフェニルスルホン:DDS
上記式(3)において、R、Rがともにメチルであり、Rがメチレンであり、xが3でありyが10〜15程度の混合物である、平均分子量が1,000である化合物(商品名「FM3311」(チッソ(株)製)):FM3311
p−フェニレンジアミン:PDA
2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン:HFBA
【化60】

上記式(10)で表される化合物:7H2H

モノアミン(a3)
3−アミノプロピルトリエトキシシラン:S330
酸無水物基を1つ有する化合物(a4)
トリエトキシシリルプロピルサクシニックアンヒドリド:TESA
溶媒(B)
ジエチレングリコールメチルエチルエーテル:EDM
N−メチル−2−ピロリドン:NMP
γ―ブチロラクトン:GBL
【0123】
[実施例1]インクジェット用インク(1)
温度計、攪拌機、原料投入仕込み口および窒素ガス導入口を備えた500mlの四つ口フラスコに、表1に示すとおりに原料を仕込み、乾燥窒素気流下40℃で5hr攪拌したところ、淡黄色透明なポリアミド酸の25重量%溶液を得た。この溶液の粘度は9.6mPa・s(25℃)であった。GPCで測定した重量平均分子量は2,100であった。この溶液をそのままインクジェット用インク(1)として使用した。
【0124】
溶液の粘度は、E型粘度計(TOKYO KEIKI製 VISCONIC ELD)で測定した。また、ポリアミド酸の重量平均分子量は、得られたポリアミド酸をテトラヒドロフラン(THF)でポリアミド酸濃度が約1重量%になるように希釈し、GPC装置:日本分光株式会社製、JASCO GULLIVER 1500 (インテリジェント示差屈折率計 RI-1530)を用いて、上記希釈液を展開剤としてGPC法により測定し、ポリスチレン換算することにより求めた。カラムは、東ソー株式会社製カラムG4000HXL、G3000HXL、G2500HXLおよびG2000HXLの4本をこの順序に接続して使用し、カラム温度40℃、流速1.0ml/minの条件で測定した。
【0125】
[実施例2]インクジェット用インク(2)
実施例1で用いた四つ口フラスコに、表1に示すとおりに原料を仕込み、乾燥窒素気流下40℃で5hr攪拌したところ、ポリアミド酸の25重量%溶液を得た。この溶液をそのままインクジェット用インク(2)として使用した。
このインクジェット用インク(2)の粘度と重量平均分子量を実施例1と同じ条件で測定した。その結果、粘度は7.3mPa・s(25℃)であり、重量平均分子量は3,400であった。
【0126】
[実施例3〜11]インクジェット用インク(3)〜(11)
表1に示すとおりに原料を仕込むこと以外は実施例1と同じ条件でインクジェット用インクを調製し、それぞれをインクジェット用インク(3)〜(11)として使用した。
得られたインクジェット用インク(3)〜(11)の25℃における粘度を実施例1と同じ条件で測定した。また、インクジェット用インク(3)〜(11)の水分量を、メトロームシバタ社製KFティトリーノ787型水分計(カールフィッシャー法)により測定した。これらの測定結果は表1に示すとおりであった。
【0127】
【表1】

【0128】
[比較例1]インクジェット用インク(C1)
実施例1で用いた500mlの四つ口フラスコに、以下に示すとおりに原料を仕込み、乾燥窒素気流下40℃で10hr攪拌した後、70℃に昇温して8hr攪拌して減粘し、黄色透明なポリアミド酸の8重量%溶液を得た。この溶液をそのままインクジェット用インク(C1)とした。
このインクジェット用インク(C1)の粘度を実施例1と同じ条件で測定した。その結果、粘度は9.1mPa・s(25℃)であった。
また、インクジェット用インク(C1)では、溶媒としてEDMを使用すると反応生成物が析出するため、NMPを使用して、GPCで測定した重量平均分子量は25,000であった。
ODPA 20.0g
DDS 16.0g
NMP 414.0g
【0129】
[実施例12]ポリイミド膜(12)の形成
実施例1で合成されたインクジェット用インク(1)をインクジェット用インクとして使用し、デージアイ社製インクジェット塗布装置NANO JET R2Rでポリイミド基板上に幅500μm、長さ5cmのライン&スペース塗布を行った。塗布回数は1回で、ノズルからのジェッティング速度は10回/sとした。基板を80℃のホットプレートで5分間乾燥した後、250℃のオーブンで30分間加熱し、ライン状に形成された絶縁性のポリイミド膜(12)を得た。
得られたポリイミド膜のライン幅、エッジの直線性を光学顕微鏡で観察し、膜厚を測定した。膜厚はKLA−Tencor Japan株式会社製触針式膜厚計αステップ200を使用し、3箇所の測定値の平均値を膜厚とした。その結果を表2に示す。ライン幅はほぼ塗布したときの幅を維持しており、ラインのエッジの直線性も良好であり、ラインは十分な厚みを有している。
【0130】
[実施例13]ポリイミド膜(13)の形成
実施例2で合成されたインクジェット用インク(2)をインクジェット用インクとして使用した以外は、実施例12と同じ条件でポリイミド膜(13)を得た。
得られたポリイミド膜について、実施例12と同じ条件で評価を行った。その結果を表2に示す。ライン幅はほぼ塗布したときの幅を維持しており、ラインのエッジの直線性も良好であり、ラインは十分な厚みを有している。
【0131】
【表2】

【0132】
[実施例14〜22]ポリイミド膜の形成(14)〜(22)
実施例3〜11で調製された、それぞれのインクジェット用インク(3)〜(11)をインクジェット用インクとして使用し、FUJIFILM Dimatix社製インクジェット塗布装置DMP−2831で1.5mm厚のガラスエポキシ樹脂両面銅張り板上に1ドット幅でドットピッチ40ミクロンに設定し、長さ5cmのライン塗布を常温(25℃)で行った。インクジェットヘッドのヒーターの設定をOFFとし、ピエゾ電圧は16V、駆動周波数は5kHzとした。基板を80℃のホットプレートで5分間乾燥した後、230℃のオーブンで30分間加熱し、ライン状に形成された絶縁性のポリイミド膜(14)〜(22)を得た。
各インクジェット用インク(3)〜(11)を塗布して得られたポリイミド膜(14)〜(22)のライン幅およびこのライン幅の均一性を光学顕微鏡で観察し、膜厚を測定した。膜厚は実施例12と同じ条件で測定した。その結果を表3に示す。
表3に示されるように、実施例14〜22のポリイミド膜は、ラインのエッジの直線性も良好であり、ラインは十分な厚みを有している。
また、実施例21で得られたポリイミド膜(21)の光学顕微鏡写真は、図1のとおりであった。
【0133】
【表3】

【0134】
[比較例2]ポリイミド膜(C2)の形成
比較例1で合成されたインクジェット用インク(C1)をインクジェット用インクとして使用した以外は、実施例12と同じ条件でポリイミドの絶縁膜(C2)を得た。
得られたポリイミド膜(C2)について、実施例12と同じ条件で評価を行った。その結果、ポリイミド膜(C2)のライン幅は610〜680μmとなり、塗布したときの幅より大幅に広がってしまった。また、得られたポリイミド膜(C2)のラインのエッジの直線性も不十分でギザギザがあった。得られたポリイミド膜(C2)のラインの膜厚は0.4μmであり、充分な厚さが得られなかった。
【0135】
[実施例23]インクジェット用インク(12)
原料の仕込み量を下記に示すとおりとし、濃度30%溶液として仕込むこと以外は実施例1と同じ条件でインクジェット用インク(12)を調製し、実施例3と同じ条件で粘度および水分量を測定した。この溶液の粘度は12.1mPa・s(40℃)であり、水分量は1750ppmであった。
【0136】
得られたインクジェット用インク(12)を用い、インクジェットヘッドのヒーターの温度を40℃で設定した以外は、実施例14と同じ条件でポリイミド膜を得て、ライン幅および膜厚を測定した。その結果、ライン幅55μm、膜厚1.22μmであり、ラインは十分な厚みを有していた。
ODPA 27.5g
DDS 5.5g
S330 29.5g
EDM 87.5g
GBL 87.5g
【産業上の利用可能性】
【0137】
本発明の活用法として、例えば、フレキシブル配線基板用絶縁膜、それを用いた電子部品を挙げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0138】
【図1】実施例21で得られたポリイミド膜(21)の光学顕微鏡写真

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)
【化1】

(式中、RとRはそれぞれ独立して炭素数2〜100の有機基である。)
で表される構成単位を有し、
下記一般式(21)および一般式(22)
−NH−R (21)
【化2】

(式中、RとRはそれぞれ独立して、炭素数2〜100の有機基である。)
で表される分子末端基の群から選ばれる1以上の分子末端基を有する、重量平均分子量が1,000〜10,000のポリアミド酸(A)と、
溶媒(B)とを含むインクジェット用インク。
【請求項2】
ポリアミド酸(A)の重量平均分子量が1,000〜4,500のである、請求項1に記載のインクジェット用インク。
【請求項3】
ポリアミド酸(A)の重量平均分子量が1,000〜3,500のである、請求項1に記載のインクジェット用インク。
【請求項4】
溶媒(B)が、乳酸エチル、エタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、シクロヘキサノンおよびγ―ブチロラクトンからなる群から選ばれる1以上である、請求項1〜3のいずれかに記載のインクジェット用インク。
【請求項5】
溶媒(B)が、溶媒全重量に対してアミド系溶媒を20重量%以上含まない、請求項1〜4のいずれかに記載のインクジェット用インク。
【請求項6】
溶媒(B)が、アミド系溶媒を含まない、請求項1〜4のいずれかに記載のインクジェット用インク。
【請求項7】
さらにエポキシ樹脂(C)を含む、請求項1〜6のいずれかに記載のインクジェット用インク。
【請求項8】
エポキシ樹脂(C)が、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−4,4’−ジアミノジフェニルメタンおよび下記式(4)〜(7)で表される化合物
【化3】

(式中、nは0〜10の整数である。)
からなる群から選ばれる1以上の化合物である、請求項7に記載のインクジェット用インク。
【請求項9】
インクジェット用インク中のポリアミド酸(A)の濃度が5〜60重量%であり、25℃の粘度が1〜50mPa・sである、請求項1〜8のいずれかに記載のインクジェット用インク。
【請求項10】
インクジェット用インク中のポリアミド酸(A)の濃度が5〜60重量%であり、40℃の粘度が1〜50mPa・sである、請求項1〜8のいずれかに記載のインクジェット用インク。
【請求項11】
インクジェット用インク中のポリアミド酸(A)の濃度が5〜60重量%であり、120℃の粘度が1〜50mPa・sである、請求項1〜8のいずれかに記載のインクジェット用インク。
【請求項12】
インクジェット用インクに含まれる水分量が10,000ppm以下である、請求項1〜11のいずれかに記載のインクジェット用インク。
【請求項13】
インクジェット用インクに含まれる水分量が5,000ppm以下である、請求項1〜11のいずれかに記載のインクジェット用インク。
【請求項14】
少なくとも、モノアミン(a3)と酸無水物基を1つ有する化合物(a4)とからなる化合物の群から選ばれる1以上と、酸無水物基を2つ以上有する化合物(a1)と、ジアミン(a2)とを反応させてポリアミド酸(A)を合成する工程を有する、ポリアミド酸(A)を含むインクジェット用インクの製造方法であって、
ポリアミド酸(A)が、酸無水物基を2つ以上有する化合物(a1)1モルに対して、ジアミン(a2)0.01〜0.5モルおよびモノアミン(a3)1〜1.98モルを用いて得られたインクジェット用インクの製造方法。
【請求項15】
ポリアミド酸(A)が、酸無水物基を2つ以上有する化合物(a1)1モルに対して、ジアミン(a2)0.15〜0.25モルおよびモノアミン(a3)1.5〜1.7モルを用いて得られた、請求項14に記載のインクジェット用インクの製造方法。
【請求項16】
少なくとも、モノアミン(a3)と酸無水物基を1つ有する化合物(a4)とからなる化合物の群から選ばれる1以上と、酸無水物基を2つ以上有する化合物(a1)と、ジアミン(a2)とを反応させてポリアミド酸(A)を合成する工程を有する、ポリアミド酸(A)を含むインクジェット用インクの製造方法であって、
ポリアミド酸(A)が、ジアミン(a2)1モルに対して、酸無水物基を2つ以上有する化合物(a1)0.01〜0.5モルおよび酸無水物基を1つ有する化合物(a4)1〜1.98モルを用いて得られた、インクジェット用インクの製造方法。
【請求項17】
ポリアミド酸(A)が、ジアミン(a2)1モルに対して、酸無水物基を2つ以上有する化合物(a1)0.15〜0.25モルおよび酸無水物基を1つ有する化合物(a4)1.5〜1.7モルを用いて得られた、請求項16に記載のインクジェット用インクの製造方法。
【請求項18】
酸無水物基を2つ以上有する化合物(a1)が、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、2,2−[ビス(3,4ージカルボキシフェニル)]ヘキサフルオロプロパン二無水物、エチレングリコールビス(アンヒドロトリメリテート)、シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、メチルシクロブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、エタンテトラカルボン酸二無水物およびブタンテトラカルボン酸二無水物からなる群から選ばれる1以上である請求項14〜17のいずれかに記載のインクジェット用インクの製造方法。
【請求項19】
ジアミン(a2)が、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、2,2’−ジアミノジフェニルプロパン、ベンジジン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]シクロヘキサン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−4−メチルシクロヘキサン、ビス[4−(4−アミノベンジル)フェニル]メタン、1,1−ビス[4−(4−アミノベンジル)フェニル]シクロヘキサン、1,1−ビス[4−(4−アミノベンジル)フェニル]4−メチルシクロヘキサン、1,1−ビス[4−(4−アミノベンジル)フェニル]メタンおよび下記式(3)
【化4】


(式中、RおよびRは独立して炭素数1〜3のアルキルまたはフェニルであり、Rは独立してはメチレン、フェニレンまたはアルキル置換されたフェニレンであり、xは独立して1〜6の整数であり、yは1〜50の整数である。)
で表される化合物からなる群から選ばれる1以上である、請求項14〜18のいずれかに記載のインクジェット用インクの製造方法。
【請求項20】
モノアミン(a3)が、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、4−アミノブチルトリメトキシシラン、4−アミノブチルトリエトキシシラン、4−アミノブチルメチルジエトキシシラン、p−アミノフェニルトリメトキシシラン、p−アミノフェニルトリエトキシシラン、p−アミノフェニルメチルジメトキシシラン、p−アミノフェニルメチルジエトキシシラン、m−アミノフェニルトリメトキシシランおよびm−アミノフェニルメチルジエトキシシランからなる群から選ばれる1以上である、請求項14〜19のいずれかに記載のインクジェット用インクの製造方法。
【請求項21】
酸無水物基を1つ有する化合物(a4)が、p−(トリメトキシシリル)フェニルサクシニックアンヒドリド、p−(トリエトキシシリル)フェニルサクシニックアンヒドリド、m−(トリメトキシシリル)フェニルサクシニックアンヒドリド、m−(トリエトキシシリル)フェニルサクシニックアンヒドリド、トリメトキシシリルプロピルサクシニックアンヒドリド、トリエトキシシリルプロピルサクシニックアンヒドリド、下記式(α)で表される化合物、および、下記式(β)で表される化合物





からなる群から選ばれる1以上である、請求項14〜20のいずれかに記載のインクジェット用インクの製造方法。
【請求項22】
インクジェット用インクが溶媒(B)をさらに含む、請求項14〜21のいずれかに記載のインクジェット用インクの製造方法。
【請求項23】
溶媒(B)が、乳酸エチル、エタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、シクロヘキサノンおよびγ―ブチロラクトンからなる群から選ばれる1以上である、請求項22に記載のインクジェット用インクの製造方法。
【請求項24】
溶媒(B)が、溶媒全重量に対してアミド系溶媒を20重量%以上含まないことを特徴とする請求項22または23に記載のインクジェット用インクの製造方法。
【請求項25】
溶媒(B)が、アミド系溶媒を含まない請求項22または23に記載のインクジェット用インクの製造方法。
【請求項26】
インクジェット用インクが、さらにエポキシ樹脂(C)を含む、請求項14〜25のいずれかに記載のインクジェット用インクの製造方法。
【請求項27】
エポキシ樹脂(C)が、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−4,4’−ジアミノジフェニルメタンおよび下記式(4)〜(7)で表される化合物
【化5】

(式中、nは0〜10の整数である。)
からなる群から選ばれる1以上の化合物である、請求項26に記載のインクジェット用インクの製造方法。
【請求項28】
インクジェット用インク100重量部に対して、ポリアミド酸(A)10〜55重量部を含む、請求項14〜27のいずれかに記載のインクジェット用インクの製造方法。
【請求項29】
インクジェット用インク100重量部に対して、ポリアミド酸(A)20〜50重量部を含む、請求項14〜27のいずれかに記載のインクジェット用インクの製造方法。
【請求項30】
インクジェット用インクに含まれる水分量が10000ppm以下である、請求項14〜29のいずれかに記載のインクジェット用インクの製造方法。
【請求項31】
インクジェット用インクに含まれる水分量が5000ppm以下である、請求項14〜29のいずれかに記載のインクジェット用インクの製造方法。
【請求項32】
請求項14〜31に記載されたインクジェット用インクの製造方法を用いて製造されたインクジェット用インク。
【請求項33】
請求項1〜13および32のいずれかに記載されたインクジェット用インクをインクジェット塗布方法によって塗布してポリアミド酸膜を形成する工程、および、
ポリアミド酸膜を加熱処理してポリイミド膜を形成する工程、を経て得られたポリイミド膜またはパターン状ポリイミド膜。
【請求項34】
請求項1〜13および32のいずれかに記載されたインクジェット用インクをインクジェット塗布方法によって塗布してから乾燥させてポリアミド酸膜を形成する工程、および、ポリアミド酸膜を加熱処理してポリイミド膜を形成する工程を含むインク塗布方法。
【請求項35】
請求項34に記載のインク塗布方法を用いてポリイミド膜を形成する、ポリイミド膜形成方法。
【請求項36】
請求項35に記載されたポリイミド膜形成方法で基板上にポリイミド膜が形成されたフィルム基板。
【請求項37】
請求項36に記載されたフィルム基板を有する電子部品。

【図1】
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【公開番号】特開2009−35702(P2009−35702A)
【公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−242821(P2007−242821)
【出願日】平成19年9月19日(2007.9.19)
【分割の表示】特願2007−212382(P2007−212382)の分割
【原出願日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【出願人】(000002071)チッソ株式会社 (658)
【Fターム(参考)】