説明

インクジェット記録媒体

【課題】インク吸収性が高く、耐水性、帯電防止性、粉落ち防止性に優れ、安全性の高いインクジェット記録媒体を提供すること。
【解決手段】支持体上に、高吸油性無機顔料と結着性樹脂を含有する少なくとも1層のインク受容層を設けたインクジェット記録媒体において、前記インク受容層が、更に、酸化スズで被覆された粒子状酸化チタンを含有するインクジェット記録媒体である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット記録媒体に関し、詳しくは、インク吸収性が高く、耐水性、帯電防止性、粉落ち防止性に優れたインクジェット記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット記録方式は、インクの微小液滴を種々の作動原理により飛翔させて、紙などの被記録媒体に付着させ、画像、文字などの記録を行なうものである。
インクジェット記録方式を適用したプリンタでは、高速低騒音での記録が可能、画像の多色化が容易、記録パターンの融通性が大きい、特別な現像、定着処理が不要であるなどの特長があり、各種画像の記録装置として、情報機器をはじめ各種の用途において急速に普及している。
最近ではさらに、高精細、高画質な画像を得られる技術として急激に進歩してきた。
さらに、パソコンやインターネットの急激な普及や、ビジュアルなプレゼンテーションの必要性等の社会的ニーズから、画像形成技術のかなりの領域を占めるまでに急成長している。
【0003】
一方、近年のインクジェットプリンターの記録速度などの性能向上に伴い、一部のインクジェットプリンターで、静電気の発生が大きいものが出現している。
特に、インク受容層表面付近で発生する静電気が問題となっており、搬送性などの取り扱い性に悪影響をもたらすのみならず、記録時にインクが飛散し、地汚れが発生するという問題がある。
特に近年は、高精細、高画質化への要望からインクの粒子が細かくなっていることから、静電気の影響を受けやすく、地汚れの発生が大きな問題となりつつある。
また、このような静電気の影響は、地汚れ以外にも、枚葉状シートを搬送する際に重送を起こし、搬送系において紙詰まりを起こすなどの問題もあり、その改善が望まれている。
【0004】
このような静電気による不具合に対応するため、インクジェット記録媒体中に帯電防止剤を添加することが行なわれている。
例えば、特許文献1(特開2004−196988号公報)には、インクジェット記録媒体中に導電性共役系高分子を用いることにより、大きさや形状などを変え易いインクジェット記録媒体とすることが報告されている。
【0005】
また、特許文献2(特開2001−11125号公報)や特許文献3(特表2005−511343号公報)には、帯電防止剤としてイオン性の帯電防止剤を用いることで、帯電防止性に優れたインクジェット記録媒体とすることが報告されている。
しかし、このようなイオン伝導性を用いた帯電防止剤は、それ自身が吸湿することによって帯電防止機能を発揮するものであるため、耐水性に弱い。よって、インクジェット記録後に水に浸漬した場合に、記録画像がにじんでしまい、又水濡れ状態でこすると画像がかすれ、濃度低下してしまうという問題があった。
また、その帯電防止効果が湿度に依存し易く、低温低湿環境下では帯電防止機能が弱いという問題点もある。
【0006】
また、特許文献4(特開2005−231095号公報)には、シリカ微粒子を含む高分子バインダー材料からなるインク受容層中に更にアンチモン酸亜鉛等の金属アンチモン酸塩をドープしたインクジェット記録媒体が報告されており、特許文献5(特開2003−182206号公報)には、導電性ポリマーとアンチモン酸亜鉛等の金属アンチモン酸塩を含有するインク受容層を有するインクジェット記録媒体が報告されている。
アンチモン化合物は、その無機系帯電防止剤の中ではその帯電防止効果が高く、古くから用いられている材料であるが、これらのアンチモン化合物は、第一種指定化学物質に指定されており、その安全性を考慮すると、インクジェット記録媒体のような人の手に触れ易い用途では好ましくない。
【0007】
更に、特許文献6(特開2002−356057号公報)では、帯電防止剤として導電性酸化スズゾル微粒子を用いたバック層を有するインク受容体が報告されているが、このような導電性酸化スズゾル微粒子は非常に高価であり、インクジェット記録媒体のような安価で販売される記録媒体用途では採用することができないのが現状である。また、特許文献7(特開2000−250250号公報)には、二酸化チタン、炭酸カルシウム及びホワイトカーボンから選択された少なくとも2種の白色体質顔料を含むパルプスラリーから抄紙し、帯電防止剤とバインダー高分子材料を含む表面サイズ剤でサイズプレスされてなる記録用紙が記載されているが、この記録用紙は、裏移り防止効果がありブリーディングのない点で優れている。
【0008】
そのため、インク吸収性が高く、耐水性、帯電防止性、粉落ち防止性に優れ、安全性の高いインクジェット記録媒体の提供が強く求められているのが現状である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、インク吸収性が高く、耐水性、帯電防止性、粉落ち防止性に優れ、安全性の高いインクジェット記録媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するため本発明者らが鋭意検討を重ねた結果、支持体上に、高吸油性無機顔料と結着性樹脂を含有する少なくとも1層のインク受容層を設けたインクジェット記録媒体において、前記インク受容層が、更に、酸化スズで被覆された粒子状酸化チタンを含有することにより、インク吸収性が高く、耐水性、帯電防止性、粉落ち防止性に優れ、安全性の高いインクジェット記録媒体が得られることを知見した。
【0011】
本発明は、本発明者らによる前記知見に基づくものであり、前記課題を解決するための
手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> 支持体上に、高吸油性無機顔料と結着性樹脂を含有する少なくとも1層のインク受容層を設けたインクジェット記録媒体において、
前記インク受容層が、更に、酸化スズで被覆された粒子状酸化チタンを含有することを特徴とするインクジェット記録媒体である。
<2> 酸化スズで被覆された粒子状酸化チタンの体積平均粒子径が、0.2μm〜5.0μmである前記<1>に記載のインクジェット記録媒体である。
<3> 酸化スズで被覆された粒子状酸化チタンの含有量が、重量比でインク受容層中の5%〜50%である前記<1>から<2>のいずれかに記載のインクジェット記録媒体である。
<4> 結着性樹脂に対する高吸油性無機顔料の割合が、重量比で80%〜200%である前記<1>から<3>のいずれかに記載のインクジェット記録媒体である。
<5> 高吸油性無機顔料が、吸油量150ml/100g〜350ml/100gのシリカ粒子である前記<1>から<4>のいずれかに記載のインクジェット記録媒体である。
<6> 結着性樹脂が、イタコン酸変性ポリビニルアルコールである前記<1>から<5>のいずれかに記載のインクジェット記録媒体である。
<7> インク受容層が、酸化スズで被覆された粒子状酸化チタンを含む導電機能層と、酸化スズで被覆された粒子状酸化チタンを含まないインクジェット機能層の二層で構成される前記<1>から<6>のいずれかに記載のインクジェット記録媒体である。
<8> インク受容層に、酸化スズで被覆された粒子状酸化チタンを0.1g/m以上1.0g/m以下含有する前記<1>から<7>のいずれかに記載のインクジェット記録媒体である。
<9> 支持体が、紙基材、不織布基材、合成紙基材、及び樹脂フィルム基材のいずれかである前記<1>から<8>のいずれかに記載のインクジェット記録媒体である。
<10> 支持体の一方の面に高吸油性無機顔料と結着性樹脂を含有する少なくとも1層のインク受容層を有し、前記支持体のインク受容層を有する面と反対の面に感熱記録層を有する感熱記録/インクジェット記録ハイブリッド記録媒体において、
前記インク受容層が、更に、酸化スズで被覆された粒子状酸化チタンを含有することを特徴とする感熱記録/インクジェット記録ハイブリッド記録媒体である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によると、従来における問題を解決することができ、インク吸収性が高く、耐水性、帯電防止性、粉落ち防止性に優れ、安全性の高いインクジェット記録媒体を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(インクジェット記録媒体)
本発明のインクジェット記録媒体は、支持体上にインク受容層を少なくとも有し、更に必要に応じてその他の層を有する。
【0014】
<インク受容層>
前記インク受容層は、酸化スズで被覆された粒子状酸化チタンと、高吸油性無機顔料と、結着性樹脂とを少なくとも含有し、更に必要に応じてその他の成分を含有する。
前記インク受容層は、1層であってもよいし、2層以上の複層であってもよい。
【0015】
−酸化スズで被覆された粒子状酸化チタン―
前記酸化スズで被覆された粒子状酸化チタンは、帯電防止剤として用いられる。
前記酸化スズで被覆された粒子状酸化チタンは、電子伝導性の導電性無機顔料であり、有機系帯電防止剤のように、前記のような濃度低下や耐水性低下の問題が起こらず、温湿度の環境に影響されることなく効果を発揮することができる点で、有利である。
また、前記酸化スズで被覆された粒子状酸化チタンは、アンチモンフリーの導電性金属化合物であり、安全性の面でも、有利である。
前記酸化スズで被覆された粒子状酸化チタンを用いると、酸化スズの使用量が少なくて済む点で、有利である。導電性機能を有するのは酸化スズであり、この酸化スズ粒子同士が接触することで通電経路が発現し、帯電防止機能を持つ。いわば粒子内部は導電性にあまり寄与しないことから、粒子内部は安全性の高い酸化チタンを用いることにより、酸化スズの使用量を減らすことができる。
また、前記酸化スズで被覆された粒子状酸化チタンを用いると、酸化チタンの比重が大きいことから、WET状態で塗布したとき、層中で比重の重い酸化スズ被覆酸化チタンが下に集まりやすく、その分、酸化スズで被覆された粒子状酸化チタン粒子同士の接触点が増えるので帯電防止機能も発揮し易くなる。
【0016】
前記酸化スズで被覆された酸化チタンの製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、酸化チタン微粉末懸濁液中に、塩化スズのような加水分解性のスズ化合物材料の水溶液、水混和性有機溶媒を混和した水溶液、又は、水混和性有機溶媒の溶液(特に、加水分解性スズ化合物としてアルコキシ化スズ化合物使用の場合に適している)を添加し、必要に応じて、水混和性有機溶媒を混和(加水分解反応をマイルドにし、均一な水酸化物の析出を図るため)した水溶液を添加し、アルカリを添加し、酸化チタン粉末の表面上で、加水分解して水酸化物を形成し、これを焼成等により酸化物に変換処理する方法、などが挙げられる。
酸化スズで被覆された酸化チタンは、安価で安全性にも問題がなく、帯電効果を得ることが可能である。
【0017】
前記インク受容層に酸化スズで被覆された粒子状酸化チタンを含有させることにより、インクジェット記録媒体の帯電量を低減することができる。前記インク受容層における、酸化スズで被覆された粒子状酸化チタンの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.1g/m以上1.0g/m以下が好ましい。
前記インク受容層における、酸化スズで被覆された粒子状酸化チタンの含有量が、0.1g/mよりも少ない場合には、帯電防止効果が小さくなりやすく、1.0g/mを超えて添加しても、それ以上の帯電防止効果向上は小さく、高吸油性無機顔料の割合が少なくなってしまい画像にじみが大きくなってしまうことがある。
【0018】
更に、前記酸化スズで被覆された粒子状酸化チタンの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、重量比でインク受容層中の5%〜50%であることが好ましい。
前記のとおり、酸化スズで被覆された粒子状酸化チタンは、含有層中で粒子同士が接触していることで通電経路が発現し、導電効果を得られるが、5%より少ないと粒子同士の接触点が少なくなり、帯電防止機能が低下する。また、50%を超えてくると、高吸油性無機顔料の割合が少なくなるため、インクジェット記録時のにじみが大きくなったり、結着性樹脂の割合が少なくなるために、結着力不足により顔料成分が欠落(以下、粉落ちと称することがある)したりするため、好ましくない。
【0019】
また、前記酸化スズで被覆された粒子状酸化チタンの体積平均粒子径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.2μm〜5.0μmが好ましい。
前記体積平均粒子径は、分散液にした状態にてレーザー散乱式粒度分布測定装置によって測定した値である。
前記体積平均粒子径が、0.2μmを下回った場合には、酸化チタンに被覆している酸化スズが剥がれてしまうことから帯電効果が低下し、5.0μmを超えた場合には、酸化チタンのような高比重顔料は分散液中で沈降してしまい、塗布液の安定性がなくなることがある。
また、前記のように酸化スズで被覆された酸化チタンは、含有層内にて、粒子同士が接触していることで、導電効果を得ることから、粒子径が小さすぎても、大きすぎても粒子間接触が損なわれることからも、酸化スズで被覆された酸化チタンの体積平均粒子径としては、0.2μm〜5.0μmが好ましい。
なお、前記耐水性や画像濃度、帯電防止性、コストUPに悪影響を与えない少量の範囲で、アニオン系、カチオン系、ノニオン系のイオン導電性帯電防止剤や導電性共役系高分子、その他のアンチモンフリー導電性無機顔料を添加してもよい。
【0020】
−高吸油性無機顔料−
前記高吸油性無機顔料としては、特に制限はなく、従来からフィラーとして用いられている公知の無機顔料を用いることができる。
前記無機顔料としては、例えば、二酸化ケイ素、カオリン、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸亜鉛、無定形シリカ等のケイ酸塩や、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、二酸化チタン、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、タルク、クレー、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の無機顔料が挙げられる。これらの顔料は必要に応じて2種以上を併用することも可能である。
【0021】
特に、二酸化ケイ素やカオリン、炭酸カルシウム等の吸油量が大きなフィラーが、インクジェットインクを吸収するために望ましく、好ましくは吸油量150ml/100g〜350ml/100gのシリカ粒子である。
吸油量が150ml/100gよりも小さいとインク吸収量が少なくなるため、インクジェット画像が滲んだり、ひどい場合には乾燥が遅いためにかすれて地汚れを起こしたりする。
また、吸油量が350ml/100gよりも大きいものは、インクジェット特性としてはよいが、製造時に支持体に塗布するための塗布液を調合する際、吸水量が大きすぎて液安定性が悪くなることがある。
また、この高吸油性無機顔料は、重量比で結着性樹脂に対して80%〜200%であることが好ましい。
80%よりも小さいとインク吸収量が少ないためインクジェット画像がにじみ易く、逆に200%よりも大きい場合には、結着力不足により粉落ちしてしまうことがある。
【0022】
−結着性樹脂−
前記結着性樹脂としては、特に制限はなく、従来公知の水溶性高分子及び/又は水溶性高分子エマルジョンを目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリビニルアルコール、ジアセトン変性ポリビニルアルコール、イタコン酸変性ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、でん粉及びその誘導体、ヒドロキシメチルセルロース、メトキシセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロースなどのセルロース誘導体、ポリアクリル酸ソーダ、ポリビニルピロリドン、アクリルアミド/アクリル酸エステル共重合体、アクリルアミド/アクリル酸エステル/メタクリル酸三元共重合体、スチレン/無水マレイン酸共重合体アルカリ塩、イソブチレン/無水マレイン酸共重合体アルカリ塩、ポリアクリルアミド、アルギン酸ソーダ、ゼラチン、カゼインなどの水溶性高分子の他、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、ポリブチルメタクリレート、エチレン/酢酸ビニル共重合体などのエマルジョンやスチレン/ブタジエン共重合体、スチレン/ブタジエン/アクリル系共重合体などのラテックスなどが挙げられる。これらの中でも、イタコン酸変性ポリビニルアルコールが、粉落ち防止の点で、好ましい。
前記イタコン酸変性ポリビニルアルコールは、変性基としてカルボキシル基を有するためにナトリウム塩等を形成し易く、イオンを含有するポリビニルアルコールであることから、前記酸化スズで被覆された粒子状酸化チタンと併用した場合には、導電性をさらに増加させることができる。
【0023】
−その他の成分−
前記その他の成分としては、本発明の効果を損なわない限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、塗工性や分散安定性を高めるための界面活性剤、インクジェット画像を定着するための媒染剤、搬送性や磨耗耐性を高めるための滑剤等が挙げられる。
界面活性剤としては、例えば、脂肪酸の金属石鹸類、ポリカルボン酸型高分子活性剤類、高級アルコールの硫酸エステル塩類、アルキルポリエーテルの硫酸エステル塩類、高級アルコールのエチレンオキサイド付加物類、アルキルアリールスルホン酸塩類、アルキルスルホン酸類、アリールスルホン酸類、リン酸エステル類、脂肪族リン酸エステル類、芳香族リン酸エステル類、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル類、ポリオキシエチレンアリール硫酸エステル類、ポリオキシエチレンアルキルアリール硫酸エステル類、ジアルキルスルホコハク酸エステル類、アルキルベンゼンスルホン酸塩類、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステル、ポリオキシアルキレンアリールエーテルリン酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルアリールエーテルリン酸エステル、アルキル硫酸ナトリウム、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム塩、ポリアルキレングリコール(例えば、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル)、アセチレングリコール、アセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物、アセチレングリコールのプロピレンオキサイド付加物、アセチレングリコールのエチレンオキサイド及びプロピレンオキサイド付加物等が挙げられる。
また、媒染剤としてはインクジェットインクがマイナス電荷を持っているものが多いために、カチオン系樹脂、あるいは界面活性剤を添加することが多く、その具体例としては、例えば特許文献特開2006−240287号公報などに具体的に挙げられている。
また、滑剤としては高級脂肪酸及びその金属塩、高級脂肪酸アミド、高級脂肪酸エステル、動物性、植物性、鉱物性又は石油系の各種ワックス類などが挙げられる。
【0024】
−導電機能層、インクジェット機能層−
前記インク受容層は、導電機能層と、インクジェット機能層の2層で構成されることが、インクジェット適正および帯電防止性の効果を高めることができる点で、好ましい。
前記導電機能層は、前記酸化スズで被覆された粒子状酸化チタンを含む層である。
前記インクジェット機能層は、酸化スズで被覆された粒子状酸化チタンを含まない層である。
前記2層の構成にすることにより、高価な導電性無機顔料が少なくても高い帯電防止機能を発揮することが可能となる。より好ましいのは、支持体上にまず導電機能層を設け、次いでその上にインクジェット機能層を設けた構成とすることである。
【0025】
<支持体>
前記支持体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、紙基材、不織布基材、合成紙基材、及び樹脂フィルム基材のいずれかであることが好ましい。
前記支持体としては、パルプを主原料とする紙基材が多く用いられているが、他に、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステルフィルム、三酢酸セルロース等のセルロース誘導体フィルム、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィンフィルム、ポリスチレンフィルム又は不織布、或いはこれらを貼り合わせたものが用いられる。
ポリプロピレンを主体とする合成紙等のプラスチック基材を支持体として用いても構わない。
特に、プラスチック基材を用いた支持体はプリンタ搬送において静電気が発生しやすいことから、本発明におけるインク受容層により、静電気を低減する効果は大きい。
【0026】
(感熱記録/インクジェット記録ハイブリッド記録媒体)
前記支持体のインク受容層を有する面と反対の面に感熱記録層を設けることにより、インクジェット記録と感熱記録の両方の印字記録特性をもったハイブリッド型記録媒体となる。
【0027】
<感熱記録層>
前記感熱記録層は、ロイコ染料及び顕色剤を少なくとも含有し、必要に応じて更にその他の成分を含有する。
本発明における感熱記録層としては、熱により発色反応を起こす発色成分が適宜使用し得るが、通常無色又は淡色のロイコ染料と該染料を熱時発色せしめる顕色剤とからなる発色成分を主成分とする感熱記録層が、発色感度および発色濃度などに優れており、より好ましい。
【0028】
−ロイコ染料−
このようなロイコ染料としては、この種の感熱記録層に適用されているものが任意に使用でき、例えば、トリフェニルメタン系、フルオラン系、フェノチアジン系、オーラミン系、スピロピラン系、インドリノフタリド系等の染料のロイコ化合物が好ましく用いられる。
【0029】
ロイコ染料の具体例としては、例えば、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−フタリド、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド(別名クリスタルバイオレットラクトン)、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジエチルアミノフタリド、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−クロルフタリド、3,3−ビス(p−ジブチルアミノフェニル)フタリド、3−シクロヘキシルアミノ−6−クロルフルオラン、3−ジメチルアミノ−5,7−ジメチルフルオラン、3−(N−メチル−N−イソブチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−メチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7,8−ベンズフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−クロルフルオラン、8−(N−p−トリル−N−エチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ピロリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、2−〔N−(3’−トリフルオルメチルフェニル)アミノ〕−6−ジエチルアミノフルオラン、2−〔3,6−ビス(ジエチルアミノ)−9−(o−クロルアニリノ)キサンチル〕安息香酸ラクタム、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(m−トリクロロメチルアニリノ)フルオラン、3−ジメチルアミノ−7−(o−クロルアニリノ)フルオラン、3−ジブチルアミノ−7−(o−クロルアニリノ)フルオラン、3−N−メチル−N−アミルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−N−メチル−N−シクロヘキシルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(2’,4’−ジメチルアニリノ)フルオラン、3−(N,N−ジエチルアミノ)−5−メチル−7−(N,N−ジベンジルアミノ)フルオラン、ベンゾイルロイコメチレンブルー、6’−クロロ−8’−メトキシ−ベンゾインドリノ−スピロピラン、6’−ブロモ−3’−メトキシ−ベンゾインドリノ−スピロピラン、3−(2’−ヒドロキシ−4’−ジメチルアミノフェニル)−3−(2’−メトキシ−5’−クロルフェニル)フタリド、3−(2’−ヒドロキシ−4’−ジメチルアミノフェニル)−3−(2’−メトキシ−5’−ニトロフェニル)フタリド、3−(2’−ヒドロキシ−4’−ジエチルアミノフェニル)−3−(2’−メトキシ−5’−メチルフェニル)フタリド、3−(2’−メトキシ−4’−ジメチルアミノフェニル)−3−(2’−ヒドロキシ−4’−クロル−5’−メチルフェニル)フタリド、3−モルホリノ−7−(N−プロピル−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン、3−ピロリジノ−7−トリフルオロメチルアニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−5−クロロ−7−(N−ベンジル−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン、3−ピロリジノ−7−(ジ−p−クロルフェニル)メチルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−5−クロル−7−(α−フェニルエチルアミノ)フルオラン、3−(N−エチル−p−トルイジノ)−7−(α−フェニルエチルアミノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(o−メトキシカルボニルフェニルアミノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−5−メチル−7−(α−フェニルエチルアミノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−ピペリジノフルオラン、2−クロロ−3−(N−メチルトルイジノ)−7−(p−n−ブチルアニリノ)フルオラン、3−(N−メチル−N−イソプロピルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3,6−ビス(ジメチルアミノ)フルオレンスピロ(9,3’)−6’−ジメチルアミノフタリド、3−(N−ベンジル−N−シクロヘキシルアミノ)−5,6−ベンゾ−7−α−ナフチルアミノ−4’−ブロモフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−クロル−7−アニリノフルオラン、3−N−エチル−N−(2−エトキシジプロピル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−N−エチル−N−テトラヒドロフルフリルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−メジチジノー4’,5’−ベンゾフルオラン、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−〔1,1−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)エチレン−2−イル〕フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−〔1,1−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)エチレン−2−イル〕−6−ジメチルアミノフタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(1−p−ジメチルアミノフェニルエチレン−2−イル)フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(1−p−ジメチルアミノフェニル−1−p−クロロフェニルエチレン−2−イル)−6−ジメチルアミノフタリド、3−(4’−ジメチルアミノ−2’−メトキシ)−3−(1”−p−ジメチルアミノフェニル−1”−p−クロロフェニル−1”,3”−ブタジエン−4”−1−イル)ベンゾフタリド、3−(4’−ジメチルアミノ−2’−ベンジルオキシ)−3−(1”−p−ジメチルアミノフェニル−1”−フェニル−1”,3”−ブタジエン−4”−イル)ベンゾフタリド、3−ジメチルアミノ−6−ジメチルアミノ−フルオレン−9−スピロ−3’−(6’−ジメチルアミノ)フタリド、3,3−ビス〔2−(p−ジメチルアミノフェニル)−2−(p−メトキシフェニル)エテニル〕−4,5,6,7−テトラクロロフタリド、3−ビス〔1,1−ビス(4−ピロリジノフェニル)エチレン−2−イル〕−5,6−ジクロロ−4,7−ジブロモフタリド、ビス(p−ジメチルアミノスチリル)−1−ナフタレンスルホニルメタン等が挙げられる。
ロイコ染料は単独又は2種以上混合して用いてもよい。
【0030】
−顕色剤−
また、本発明において用いられる顕色剤としては、電子受容性の種々の化合物、例えばフェノール性化合物、チオフェノール性化合物、チオ尿素誘導体、有機酸及びその金属塩等を使用することができ、その具体例としては、4,4’−イソプロピリデンビスフェノール)、4,4’−イソプロピリデンビス(o−メチルフェノール)、4,4’−セカンダリーブチリデンビスフェノール、4,4’−イソプロビリデンビス(2−ターシャリーブチルフェノール)、4,4’−シクロヘキシリデンジフェノール、4,4’−イソプロビリデンビス(2−クロロフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−ターシャリーブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−ターシャリーブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(6−ターシャリーブチル−2−メチルフェノール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−ターシャリーブチルフェニル)ブタン、1,1−3−トリス(2−メチルー4−ヒドロキシ−5−シクロヘキシルフェニル)ブタン、4,4’−チオビス(6−ターシャリーブチル−2−メチルフェノール)、4,4’−ジフェノールスルホン、4−イソプロポキシ−4’−ヒドロキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4’−アリルオキシジフェニルスルホン、4−ヘンジロキシ−4’−ヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジフェノールスルホキシド、p−ヒドロキシ安息香酸イソプロピル、p−ヒドロキシ安息香酸ベンジル、プロトカテキユ酸ベンジル、没食子酸ステアリル、没食子酸ラウリル、没食子酸オクチル、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェニルチオ)−プロパン、1,8−ビス(4−ヒドロキシフェニルチオ)−2−ヒドロキシプロパン、N,N’−ジフェニルチオ尿素、N,N’−ジ(m−クロロフェニル)チオ尿素、サリチルアニリド、5−クロロ−サリチルアニリド、ビス−(4−ヒドロキジフェニル)酢酸メチルエステル、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)酢酸ベンジルエステル、1,3−ビス(4−ヒドロキシクミル)ベンゼン、1,4−ビス(4−ヒドロキシクロル)ベンゼン、2,4’−ジフェニルスルホン、2,2’−ジアリル−4,4’−ジフェノールスルホン、3,4−ジヒドロキシ−4’−メチルジフェニルスルホン、1−アセチルオキシ−2−ナフトエ酸亜鉛、2−アセチルオキシ−1,ナフトエ酸亜鉛、2−アセチルオキシ−3−ナフトエ酸亜鉛、α,α−ビス(4−ヒドロキジフェニル)−α−メチルトルエン、チオシアン酸亜鉛のアンチピリン錯体、テトラブロモビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールSや、以下の一般式(1)で示される様なジフェニルスルホン架橋型化合物、以下の一般式(2)で示される様なウレアーウレタン誘導体化合物等が挙げられる。
【化1】

前記一般式(1)中、nは、1〜7の整数を表す。
【化2】

【0031】
−その他の成分−
本発明においては、ロイコ染料及び顕色剤を支持体上に結合支持させるために、慣用の種々の結合剤を適宜用いることができる。
その具体例としては、例えば、ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、でん粉及びその誘導体、メトキシセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース等のセルロース誘導体、ポリアクリル酸ソーダ、ポリビニルピロリドン、アクリルアミド/アクリル酸エステル共重合体、アクリルアミド/アクリル酸エステメ/メタクリル酸三元共重合体、スチレン/無水マレイン酸共重合体アルカリ塩、イソブチレン/無水マレイン酸共重合体アルカリ塩、ポリアクリルアミド、アルギン酸ソーダ、ゼラチン、カゼイン等の水溶性高分子の他、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体等のエマルジョンやスチレン/ブタジエン共重合体、スチレン/ブタジエン/アクリル系共重合体等のラテックス等が挙げられる。
【0032】
また、本発明においては、前記ロイコ染料、顕色剤と共に、必要に応じ、更に、この種の感熱記録層に慣用される補助添加成分、例えば、填料、界面活性剤、熱可融性物質(又は滑剤)等を併用することができる。
この場合、填料としては、例えば、炭酸カルシウム、シリカ、酸化亜鉛、酸化チタン、水酸化アルミニウム、水酸化亜鉛、硫酸バリウム、クレー、タルク、表面処理されたカルシウムやシリカ等の無機系微粉末の他、尿素−ホルマリン樹脂、スチレン/メタクリル酸共重合体、ポリスチレン樹脂等の有機系の微粉末を挙げることができる。
【0033】
熱可融性物質としては、例えば、高級脂肪酸又はそのエステル、アミドもしくは金属塩の他、各種ワックス類、芳香族カルボン酸とアミンとの縮合物、安息香酸フェニルエステル、高級直鎖グリコール、3,4−エポキシ−ヘキサヒドロフタル酸ジアルキル、高級ケトン、その他の熱可融性有機化合物等の50℃〜200℃の程度の融点を持つものが挙げられる。
【0034】
本発明における感熱記録層を形成するには、感熱発色成分、例えば通常無色又は淡色のロイコ染料、顕色剤及び結合剤と必要に応じ補助添加成分を加えて水に分散し感熱記録層形成用塗布液を調製し、これを支持体上に塗布し、乾燥させればよい。
【0035】
<オーバー層(保護層)>
更に、本発明の感熱記録/インクジェット記録ハイブリッド記録媒体においては、発色画像の耐可塑剤性、耐油性を向上させるために感熱記録層上に水溶性樹脂を主成分とするオーバー層を設けることが好ましく、水溶性高分子の具体例としては、前記感熱記録層との関連で水溶性高分子結合剤として例示されたものが挙げられる。
前記オーバー層は、酸化スズで被覆された粒子状酸化チタンを含有することができる。
【0036】
またオーバー層の耐水性を向上させるために、水溶性高分子は、これを耐水化する慣用の耐水化剤と共に用いることが特に好ましく、耐水化剤の具体例としては、例えばホルムアルデヒド、グリオキザール、クロル明ばん、メラミン、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミド−エピクロルヒドリン樹脂等が挙げられる。更にオーバー層にはサーマルヘッドヘのスティッキング防止のために必要に応じ慣用の補助添加成分、例えば填料(フィラー)、熱可融性物質(滑剤)、界面活性剤等を含有させることが好ましく、填料及び熱可融性物質の具体例としては、前記感熱記録層との関連で例示されたものが挙げられる。本発明におけるオーバー層を形成するには、水溶性樹脂の水溶液、或いはこれに耐水化剤、填料、熱可融性物質(滑剤)、界面活性剤等を加えて塗布液を調製し、これを感熱記録層上に塗布し乾燥させればよい。
【0037】
<アンダー層(断熱層)>
また本発明においては、先に触れたように発色層の感度を上げるために、中空粒子を主成分とするアンダー層を設けることが好ましい。
中空粒子としては、例えば熱可塑性樹脂を殻として中空率30%以上(33%〜99%の範囲)で重量平均粒子径0.4μm〜10μmのものが利用可能である。
ここでいう中空率とは中空粒子の外径と内径の比であり、(中空粒子の内径/中空粒子の外径)×100%で表わされる。
該アンダー層は乾燥時の重量が2g/m〜10g/mで設けられるが、好ましくは、該中空率80%以上で重量平均粒子径2μm〜10μmの大きさの中空粒子を含有し、該アンダー層は乾燥時の重量が2.5g/m〜7g/mの範囲が挙げられる。
このような中空粒子については、アンダー層組成中の重量比で35%〜80%を含有し、一つには中空率による比重変化で中空率の高いものほど含有重量比は小さくなるが、35%を下回ると感度効果が得られ難くなり、80%を超えると層結着性が損なわれてくる。
中空粒子含有アンダー層を設けることで、感度を上げることが可能となるが、同時に感熱記録/インクジェット記録ハイブリッド記録媒体における帯電量の蓄積が大きくなるため、本発明の帯電防止剤である酸化スズで被覆された粒子状酸化チタンを含有するインク受容層及びオーバー層を用いることは、効果的である。
【実施例】
【0038】
以下、実施例及び比較例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
なお、以下に示す部及び%は何れも重量基準である。
【0039】
[実施例1]
<インク受容層塗布液の作製>
下記組成から成る混合物をホモミキサーを用いて分散して、〔A1液〕を調製した。
〔A1液〕
非晶質シリカ(富士シリシア社製;サイリシア430、吸油量220ml/100g)
20部
界面活性剤 1部
水 80部
下記組成から成る混合物を、サンドグラインダーを用いて体積平均粒子径が0.9μmとなるように分散して、〔B1液〕を調製した。
〔B1液〕
酸化スズで被覆された粒子状酸化チタン(三菱マテリアル社製;W−4) 20部
ポリビニルアルコールの10%水溶液 20部
水 60部
次に、前記〔A1液〕と〔B1液〕を用いて以下の組成比にて混合撹拌してインク受容層塗布液を調製し、市販の上質紙(坪量80g/m)上に、乾燥付着量が5.0g/mになるようにラボコーティングマシンで塗布乾燥し、インク受容層塗布済み紙を作製した。
〔インク受容層塗布液〕
〔A1液〕 50部
〔B1液〕 20部
完全ケン化ポリビニルアルコールの10%水溶液 100部
ポリアミドエピクロルヒドリンの25%水溶液 12部
【0040】
[実施例2]
実施例1において、〔B1液〕の体積平均粒子径を0.2μmとしたこと以外は実施例1と同様にして、実施例2のインクジェット記録媒体を作製した。
【0041】
[実施例3]
実施例1において、〔B1液〕の体積平均粒子径を0.1μmとしたこと以外は実施例1と同様にして、実施例3のインクジェット記録媒体を作製した。
【0042】
[実施例4]
実施例1において、〔B1液〕の体積平均粒子径を5μmとしたこと以外は実施例1と同様にして、実施例4のインクジェット記録媒体を作製した。
【0043】
[実施例5]
実施例1において、〔B1液〕の体積平均粒子径を7μmとしたこと以外は実施例1と同様にして、実施例5のインクジェット記録媒体を作製した。
【0044】
[実施例6]
実施例1において、〔B1液〕の添加量を6部としたこと以外は実施例1と同様にして、実施例6のインクジェット記録媒体を作製した。
【0045】
[実施例7]
実施例1において、〔B1液〕の添加量を4部としたこと以外は実施例1と同様にして、実施例7のインクジェット記録媒体を作製した。
【0046】
[実施例8]
実施例1において、〔B1液〕の添加量を125部としたこと以外は実施例1と同様にして、実施例8のインクジェット記録媒体を作製した。
【0047】
[実施例9]
実施例1において、〔B1液〕の添加量を200部としたこと以外は実施例1と同様にして、実施例9のインクジェット記録媒体を作製した。
【0048】
[実施例10]
実施例1において、〔A1液〕の添加量を40部としたこと以外は実施例1と同様にして、実施例10のインクジェット記録媒体を作製した。
【0049】
[実施例11]
実施例1において、〔A1液〕の添加量を30部としたこと以外は実施例1と同様にして、実施例11のインクジェット記録媒体を作製した。
【0050】
[実施例12]
実施例1において、〔A1液〕の添加量を100部としたこと以外は実施例1と同様にして、実施例12のインクジェット記録媒体を作製した。
【0051】
[実施例13]
実施例1において、〔A1液〕の添加量を125部としたこと以外は実施例1と同様にして、実施例13のインクジェット記録媒体を作製した。
【0052】
[実施例14]
実施例1において、〔A1液〕の非晶質シリカを吸油量150ml/100gのもの(水澤化学社製;ミズカシルP−527)に変更したこと以外は実施例1と同様にして、実施例14のインクジェット記録媒体を作製した。
【0053】
[実施例15]
実施例1において、〔A1液〕の非晶質シリカを吸油量110ml/100gのもの(水澤化学社製;ミズカシルP−603)に変更したこと以外は実施例1と同様にして、実施例15のインクジェット記録媒体を作製した。
【0054】
[実施例16]
実施例1において、〔A1液〕の非晶質シリカを吸油量350ml/100gのもの(富士シリシア社製;サイリシア350)に変更したこと以外は実施例1と同様にして、実施例16のインクジェット記録媒体を作製した。
【0055】
[実施例17]
実施例1において、〔A1液〕の非晶質シリカを吸油量400ml/100gのもの(試作品)に変更した以外は実施例1と同様にして、実施例17のインクジェット記録媒体を作製した。
【0056】
[実施例18]
実施例1において、〔インク受容層塗布液〕の完全ケン化ポリビニルアルコールをイタコン酸変性ポリビニルアルコールに変更したこと以外は実施例1と同様にして、実施例18のインクジェット記録媒体を作製した。
【0057】
[実施例19]
まず、以下の組成で各薬液を混合・攪拌することにより、〔導電機能層塗布液〕及び〔インクジェット機能層塗布液〕をそれぞれ調製した。
〔導電機能層塗布液〕
〔A1液〕 20部
〔B1液〕 30部
イタコン酸変性ポリビニルアルコールの10%水溶液 100部
ポリアミドエピクロルヒドリンの25%水溶液 12部
〔インクジェット機能層塗布液〕
〔A1液〕 50部
イタコン酸変性ポリビニルアルコールの10%水溶液 100部
ポリアミドエピクロルヒドリンの25%水溶液 12部
市販の上質紙(坪量80g/m)上に、〔導電機能層塗布液〕を乾燥付着量が1.6g/mになるようにラボコーティングマシンで塗布乾燥し、次いで、その上に〔インクジェット機能層塗布液〕を乾燥付着量が3.4g/mになるようにラボコーティングマシンで塗布乾燥して、インク受容層を2層構成で機能分離した実施例19のインクジェット記録媒体を作製した。
【0058】
[実施例20]
まず、実施例18と同様にして、インク受容層を有する記録媒体を作製した。次いで、支持体の前記インク受容層を有する面と反対の面に以下のようにして、支持体の側から順に、アンダー層、感熱記録層、オーバー層を形成して感熱記録/インクジェット記録ハイブリッド記録媒体を作製した。
<アンダー層の形成>
プラスチック中空粒子(スチレン/アクリル共重合体 中空率50% 平均粒子径1.0μm)100重量部に対し、ポリビニールアルコール(部分ケン化カルボキシ変性)を5重量部添加し、希釈水を加え30分間攪拌し、液固形分22.0%の塗液を作成した。
上記アンダー層塗工液を市販品上質紙(坪量80g/m)の片面に、バーコート塗工により塗布し、100℃の乾燥工程を経て、アンダー層乾燥付着重量が3.5g/mとなるアンダー層を形成した。
<感熱記録層の形成>
−感熱記録層塗工液の調製−
下記組成の混合物をサンドミルを用いて、平均粒径が1μmとなるように粉砕分散した。
(A2液)
3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン 20部
10%ポリビニルアルコール溶解液 20部
水 60部
(B2液)
4−ヒドロキシフェニル−4’−イソプロポキシフェニルスルホン 10部
シュウ酸ジ(p−メチルベンジル) 4部
10%ポリビニルアルコール溶解液 10部
水 76部
(C2液)
炭酸カルシウム 20部
10%ポリビニルアルコール 10部
水 70部
A2液:B2液:C2液を2:7:6の割合に混合した感熱記録層塗工液を、前記アンダー層上にバーコート塗工により塗布し、100℃の乾燥工程を経て、染料乾燥付着重量が0.5g/mとなる感熱記録層を形成した。
<オーバー層の形成>
下記オーバー層塗工液を用いて、前記感熱記録層上に、バーコート塗工により塗布し乾燥付着量が3.0g/mになるようにオーバー層を形成した。
−オーバー層塗工液の調製−
ポリビニルアルコール10%水溶液 10部
水分散水酸化アルミニウム10%液 3部
ポリアミド−エピクロルヒドリン樹脂10%水溶液 3部
【0059】
[比較例1]
実施例1において、〔B1液〕添加しないこと以外は実施例1と同様にして、比較例1のインクジェット記録媒体を作製した。
【0060】
[比較例2]
実施例1において、〔B1液〕の酸化スズで被覆された粒子状酸化チタンの代わりに、アルミニウムドープ酸化亜鉛(ハクスイテック社製;23−K)を用いること以外は実施例1と同様にして、比較例2のインクジェット記録媒体を作製した。
【0061】
[比較例3]
実施例1において、〔B1液〕の代わりにカチオン系帯電防止剤樹脂(三洋化成社製;ケミスタット7005、固形分濃度40%)を10部用いること以外は実施例1と同様にして、比較例3のインクジェット記録媒体を作製した。
【0062】
[比較例4]
実施例1において、〔B1液〕の代わりに界面活性剤タイプ(低分子量)の非イオン性帯電防止剤(花王社製;エマルゲン404、固形分濃度100%)を4部用いること以外は実施例1と同様にして、比較例4のインクジェット記録媒体を作製した。
【0063】
以上、これら実施例1〜20および比較例1〜4の材料構成を表にまとめると、以下の表1のようになる。
【0064】
【表1】

【0065】
以上のようにして作製したインクジェット記録媒体について、下記の評価を実施した。その結果を表2に示す。
【0066】
<インクジェット適正>
得られたインクジェット記録媒体について、市販のインクジェットプリンター(エプソン社製;PM−A700)を用いて黒べたパターン、印字率50%の格子状パターン、及びバーコードパターンのインクジェット印字を行ない、乾燥させた後に以下の評価を行なった。
1.画像濃度
黒べたパターン印字部の画像濃度をマクベス反射濃度計RD−914にて測定し、その濃度値を記録した。
2.にじみ
格子状パターン印字サンプルについて、印字された部分のにじみ具合を以下のようにランク付けした。
ランク◎:にじみ、インク流れがない。
ランク○:にじみ、インク流れが若干あるが画質上問題ないレベル。
ランク×:にじみ、インク流れがあり、画質上問題である。
3.耐水性
バーコードパターン印字サンプルを20℃環境下で水に10分間浸漬した後、指で表面を10回こすり、その画像カスレ状態と濃度低下状態について以下のようにランク付けした。
ランク◎:全くインクが落ちず、にじみやかすれなし。
ランク○:インク落ちはないが、わずかににじみがみられる。
ランク△:インク落ちがあり、濃度が少し低下する。
ランク×:インクが落ち、濃度が大きく低下する。
【0067】
<帯電量>
作成したインクジェット記録媒体を、感熱プリンター(96 Xi IIIplus;ゼブラ社製)を用いて搬送速度4ipsにて搬送した際の、排出ローラー部での帯電量(V)をELECTROSTATIC VOLTMETER(MODEL542;トレック社製)を用いて測定した。
この時の測定環境は、23℃湿度50%環境下にて実施した。
【0068】
<粉落ち>
作製したインクジェット記録媒体を3cm巾にカットし、それを手で200回裂いた時に発生する紙粉量を目視で観察した。
ランク◎:紙粉発生がない。
ランク○:紙粉発生が若干ある。
ランク×:紙粉発生が多い。
【0069】
【表2】

【先行技術文献】
【特許文献】
【0070】
【特許文献1】特開2004−196988号公報
【特許文献2】特開2001−11125号公報
【特許文献3】特表2005−511343号公報
【特許文献4】特開2005−231095号公報
【特許文献5】特開2003−182206号公報
【特許文献6】特開2002−356057号公報
【特許文献7】特開2000−250250号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体上に、高吸油性無機顔料と結着性樹脂を含有する少なくとも1層のインク受容層を設けたインクジェット記録媒体において、
前記インク受容層が、更に、酸化スズで被覆された粒子状酸化チタンを含有することを特徴とするインクジェット記録媒体。
【請求項2】
酸化スズで被覆された粒子状酸化チタンの体積平均粒子径が、0.2μm〜5.0μmである請求項1に記載のインクジェット記録媒体。
【請求項3】
酸化スズで被覆された粒子状酸化チタンの含有量が、重量比でインク受容層中の5%〜50%である請求項1から2のいずれかに記載のインクジェット記録媒体。
【請求項4】
結着性樹脂に対する高吸油性無機顔料の割合が、重量比で80%〜200%である請求項1から3のいずれかに記載のインクジェット記録媒体。
【請求項5】
高吸油性無機顔料が、吸油量150ml/100g〜350ml/100gのシリカ粒子である請求項1から4のいずれかに記載のインクジェット記録媒体。
【請求項6】
結着性樹脂が、イタコン酸変性ポリビニルアルコールである請求項1から5のいずれかに記載のインクジェット記録媒体。
【請求項7】
インク受容層が、酸化スズで被覆された粒子状酸化チタンを含む導電機能層と、酸化スズで被覆された粒子状酸化チタンを含まないインクジェット機能層の二層で構成される請求項1から6のいずれかに記載のインクジェット記録媒体。
【請求項8】
支持体の一方の面に高吸油性無機顔料と結着性樹脂を含有する少なくとも1層のインク受容層を有し、前記支持体のインク受容層を有する面と反対の面に感熱記録層を有する感熱記録/インクジェット記録ハイブリッド記録媒体において、
前記インク受容層が、更に、酸化スズで被覆された粒子状酸化チタンを含有することを特徴とする感熱記録/インクジェット記録ハイブリッド記録媒体。


【公開番号】特開2010−94987(P2010−94987A)
【公開日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−216107(P2009−216107)
【出願日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】