説明

インクジェット記録材料用樹脂被覆紙

【課題】インク受像層の塗布、乾燥時に生じる微細なワレを抑えることが可能なインクジェット記録材料用樹脂被覆紙を提供する。
【解決手段】インク受容層塗布面側が、JIS−B−0601で規定される中心面平均粗さSRaが基準長さ8mm、カットオフ0.8mmで測定したときの条件で1.0〜3.0μmであるとき、そのインク受容層塗布面側の十点平均粗さSRzが基準長2mm、カットオフ0.08mmで測定したときの条件で8.0μm以下であるインクジェット記録材料用樹脂被覆紙。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インク受容層を有するインクジェット記録材料に関し、更に詳しくは、インク受像層の塗布、乾燥時に生じる微細なワレを抑えることが可能なインクジェット記録材料用樹脂被覆紙に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット記録方式に使用される記録材料として、通常の紙や原紙の両面がポリオレフィン樹脂で被覆された支持体上に、水等の溶剤に対して膨潤性を有するバインダーからなる膨潤性インク受容層や、非晶質シリカ等の顔料とポリビニルアルコール等の水溶性バインダーからなる多孔性インク受容層を設けてなる記録材料が知られている。
【0003】
多孔性インク受容層を設けてなる記録材料としては、例えば、特開昭55−51583号公報、特開昭56−157号公報、特開昭57−107879号公報、特開昭57−107880号公報、特開昭59−230787号公報、特開昭62−160277号公報、特開昭62−184879号公報、特開昭62−183382号公報、及び特開昭64−11877号公報等に開示のごとく、シリカ等の含珪素顔料を水系バインダーと共に紙支持体に塗布して得られる記録材料が提案されている。
【0004】
また、特公平3−56552号公報、特開平2−188287号公報、特開平10−81064号公報、特開平10−119423号公報、特開平10−175365号公報、特開平10−203006号公報、特開平10−217601号公報、特開平11−20300号公報、特開平11−20306号公報、特開平11−34481号公報等には、気相法による合成シリカ微粒子(以降、気相法シリカと称す)を用いた記録材料が開示されている。気相法シリカは、一次粒子の平均粒子径が数nm〜数十nmの超微粒子であり、高い光沢と高いインク吸収性が得られるという特徴がある。
【0005】
しかし、上記したような極微細な無機微粒子を使用すると高い光沢が得られる反面、インク受容層の塗布、乾燥時にひび割れや微細な亀裂等の表面欠陥(以下微細ワレとも記載する。)が発生しやすくなる。特に、高い光沢や良好な質感を得るためにポリオレフィン樹脂被覆紙(紙の両面にポリエチレン等のポリオレフィン樹脂をラミネートしたもの)やポリエステルフィルム等の非吸水性支持体を使用した場合、支持体がインクを吸収できないため、支持体上に設けられたインク受容層のインク吸収性が重要である。従って、インク受容層の空隙率及び空隙容量を高めるために、インク受容層は多量の顔料と低比率のバインダーで構成する必要があり、その結果、インク受容層の塗布・乾燥時にひび割れ及び亀裂等が益々発生しやすくなる。特に、インク受容層塗布面が、JIS−B−0601で規定される中心面平均粗さSRaが基準長さ8mm、カットオフ0.8mmで測定したときの条件で1.0〜3.0μmである凹凸のある面質、いわゆる絹目面等(以下型付け面とも記載する)では上記した微細ワレはより顕著に発生する。
【0006】
このような表面欠陥を防止するため、インク受容層塗布面の光沢度を規定したインクジェット用記録シートが開示されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。また、絹目調の面の粗さ、個数を規定したインクジェット用記録シートが開示されている(例えば、特許文献3参照)。しかし、この技術は僅かな乾燥温度の変化でひび割れや微細な亀裂等の表面欠陥の発生が顕著になる場合があり、改善が求められていた。
【0007】
また、架橋剤を含むインク受容層の塗布液を支持体に塗布した後、乾燥を比較的穏やかな条件で行う方法が知られている。例えば、ポリビニルアルコールの架橋剤としてほう酸、ほう酸塩、ほう砂等のほう素化合物を用い、塗布液を塗布し一度冷却して塗布液の粘度を上昇させた後、比較的低温で乾燥する方法が開示されている。(例えば、特許文献4、特許文献5参照)しかし、この技術においても僅かな乾燥条件の変化でひび割れや微細な亀裂等の表面欠陥が発生しやすく、型付け面ではとりわけ顕著に発生し、改善が求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2000−296667号公報
【特許文献2】特開2006−231567号公報
【特許文献3】特開2005−246836号公報
【特許文献4】特開平10−119423号公報
【特許文献5】特開2000−27093号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、インク受像層の塗布、乾燥時に生じる微細なワレを抑制することが可能なインクジェット記録材料用樹脂被覆紙を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、上記の問題点を解決するために鋭意検討を重ねた結果、原紙の両面をポリオレフィン樹脂で被覆した支持体上にインク受容層が塗設されるインクジェット記録材料用樹脂被覆紙において、前記支持体のインク受容層塗布面側が、JIS−B−0601で規定される中心面平均粗さSRaが基準長さ8mm、カットオフ0.8mmで測定したときの条件で1.0〜3.0μmであるとき、そのインク受容層塗布面側の十点平均粗さSRzが基準長2mm、カットオフ0.08mmで測定したときの条件で8.0μm以下であるインクジェット記録材料用樹脂被覆紙により、上記課題を解決するに至った。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、インク受像層の塗布、乾燥時に生じる微細なワレを抑制することが可能なインクジェット記録材料用樹脂被覆紙を提供することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明であるインクジェット記録材料用樹脂被覆紙は、インク受容層塗布面側が、JIS−B−0601で規定される中心面平均粗さSRaが基準長さ8mm、カットオフ0.8mmで測定したときの条件で1.0〜3.0μmであるとき、十点平均粗さSRzが基準長2mm、カットオフ0.08mmで測定したときの条件で8.0μm以下である。より好ましくは6.4μm以下である。8.0μmを超えると、受像層塗布、乾燥時に微細なワレが発生する。また下限は0.5μm以上であることが望ましい。
【0013】
十点平均粗さSRzが基準長2mm、カットオフ0.08mmで測定すると、型付け面の大きな凹凸成分の影響をカットすることとなり、型付け面の凸部に発生するクレーターの深さを測定することができる。このクレーターが8.0μmを超えると、インク受像層塗布、乾燥時に、クレーター部分ではインク受像層塗布液が多くなり、部分的に乾燥ムラとなることからインク受容層に微細な亀裂が発生すると考えられる。
【0014】
本クレーターは、原紙の両面を押出コーティング法によりポリオレフィン樹脂で被覆する際に発生する。本発明であるインクジェット記録材料用樹脂被覆紙は、中心面平均粗さSRaが基準長さ8mm、カットオフ0.8mmで測定したときの条件で1.0〜3.0μmであり比較的大きな凹凸を有する。この凹凸は押出コーティング法により被覆する際、凹凸を有したクーリングロールによって型付けされる。原紙にポリオレフィン樹脂を被覆する際、このクーリングロールの凹部分に空気が同伴することにより、インクジェット記録材料用樹脂被覆紙にクレーターが発生すると考えられる。
【0015】
本クレーターは、原紙の両面を押出コーティング法によりポリオレフィン樹脂で被覆する際の加工速度、及び原紙をポリオレフィン溶融樹脂で被覆するときのクーリングロールと樹脂ロールのニップ圧力で変更することができる。好ましい加工速度は50〜300m/minであり、加工速度が50m/min未満であると、押出コーティング法により押出されたポリオレフィン樹脂の押出量が少なくなることにより、厚みプロファイルが悪くなり、型付のムラが発生しやすくなり商品価値を損ねる場合がある。加工速度が300m/minを超えるとクーリングロールの凹部に空気同伴しやすくインクジェット記録材料用樹脂被覆紙のクレーター深さが深くなり、インク受像層塗布、乾燥時に、インク受容層に微細な亀裂が発生しやすくなる。また好ましいニップ圧は30kg/cm以上であり、30kg/cm未満であると、クーリングロールの凹部分に同伴した空気が逃げつらくインクジェット記録材料に発生するクレーター深さが深くなりインク受像層塗布、乾燥時に、インク受容層に微細な亀裂が発生しやすくなる。ニップ圧の上限は特に規定はないが、クーリングロール、樹脂ロールに耐久性、巾方向のたわみ等問題ない範囲で選択できる。
【0016】
本発明で使用するクーリングロールについては特に規定はないが、クーリングロールに型を設ける方法としては、サンドブラスト法、製版技術にエッジング法や電子彫刻法やレーザービーム法等があり、表面の大きさを適宜選択することができる。
【0017】
溶融ポリオレフィン樹脂を原紙に被覆する際、クーリングロールと樹脂ロールでニップして被覆する。この時使用される樹脂ロールについても特に規定はないが、硬度80〜90(JIS−K−6301)、かつゴム厚10〜25mmのものが好ましい。樹脂ロールに使用される表面ゴムの材質は、エチレンプロピレンゴムが好ましい。
【0018】
樹脂被覆紙を構成する原紙は、特に制限はなく、一般に用いられている紙が使用できるが、より好ましくは例えば写真用支持体に用いられているような平滑な原紙が好ましい。原紙を構成するパルプとしては天然パルプ、再生パルプ、合成パルプ等を1種もしくは2種以上混合して用いられる。
【0019】
この原紙には一般に製紙で用いられているサイズ剤、紙力増強剤、填料、帯電防止剤、蛍光増白剤、染料等の添加剤が配合される。
【0020】
乾燥紙力増強剤として、アニオン性、カチオン性あるいは両性のポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、カチオン化澱粉、植物性ガラクトマンナン等、湿潤紙力増強剤として、ポリアミンポリアミドエピクロルヒドリン樹脂等、填料として、クレー、カオリン、炭酸カルシウム、酸化チタン等、定着剤として、塩化アルミニウム、硫酸バン土等の水溶性アルミニウム塩等、pH調節剤として、苛性ソーダ、炭酸ソーダ、硫酸等、着色顔料、着色染料、蛍光増白剤等を適宜組み合わせて含有せしめるのが有利である。
【0021】
また、原紙中には、各種の水溶性ポリマーもしくは親水性コロイドまたはラテックス、帯電防止剤、添加剤からなる組成物をサイズプレスもしくはタブサイズプレスあるいはブレード塗工、エアーナイフ塗工等の塗工によって含有せしめることができる。水溶性ポリマーもしくは親水性コロイドとして、澱粉系ポリマー、ポリビニルアルコール系ポリマー、ゼラチン系ポリマー、ポリアクリルアミド系ポリマー、セルロース系ポリマー等、エマルジョン、ラテックス類として、石油樹脂エマルジョン、エチレンとアクリル酸(またはメタクリル酸)とを少なくとも構成要素とする共重合体のエマルジョンもしくはラテックス、スチレン−ブタジエン系、スチレン−アクリル系、酢酸ビニル−アクリル系、エチレン−酢酸ビニル系、ブタジエン−メチルメタクリレート系共重合体及びそれらのカルボキシ変性共重合体のエマルジョンもしくはラテックス等、帯電防止剤として、塩化ナトリウム、塩化カリウム等のアルカリ金属塩、塩化カルシウム、塩化バリウム等のアルカリ土類金属塩、コロイド状シリカ等のコロイド状金属酸化物、ポリスチレンスルホン酸塩等の有機帯電防止剤等、顔料として、クレー、カオリン、炭酸カルシウム、タルク、硫酸バリウム、酸化チタン等、pH調節剤として、塩酸、リン酸、クエン酸、苛性ソーダ等、そのほか前記した着色顔料、着色染料、蛍光増白剤等の添加剤を適宜組み合わせて含有せしめるのが有利である。
【0022】
更に、表面サイズ剤、表面紙力剤、蛍光増白剤、帯電防止剤、染料、アンカー剤等が表面塗布されていてもよい。
【0023】
原紙を被覆するポリオレフィン樹脂としては、例えば低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリペンテン等のオレフィンのホモポリマーまたはエチレン−プロピレン共重合体等のオレフィンの2つ以上からなる共重合体が挙げられ、各種の密度、溶融粘度指数(メルトインデックス)のものを単独にあるいはそれらを混合して使用できる。
【0024】
また、樹脂被覆紙の樹脂中には、酸化チタン、酸化亜鉛、タルク、炭酸カルシウム等の白色顔料、ステアリン酸アミド、アラキジン酸アミド等の脂肪酸アミド、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸マグネシウム等の脂肪酸金属塩、イルガノックス1010、イルガノックス1076等の酸化防止剤、コバルトブルー、群青、セシリアンブルー、フタロシアニンブルー等のブルーの顔料や染料、コバルトバイオレット、ファストバイオレット、マンガン紫等のマゼンタの顔料や染料、蛍光増白剤、紫外線吸収剤等の各種の添加剤を適宜組み合わせて加えるのが好ましい。
【0025】
樹脂被覆紙の製造方法としては、走行する原紙上にポリオレフィン樹脂を加熱溶融した状態で流延する、いわゆる押出コーティング法により製造され、一般的にはその両面が樹脂により被覆される。また、樹脂を原紙に被覆する前に、原紙にコロナ放電処理、火炎処理等の活性化処理を施すこともできる。本発明である支持体のインク受容層が塗布される面(表面)は、型付け面を有する。型付け面は、押出コーティング法により製造する際、型を有したクーリングロールと樹脂ロールで原紙と溶融した樹脂を圧着することによって型付けされる。裏面にはカール防止の点から樹脂を被覆し裏面は通常無光沢面である。また、樹脂被覆層の厚みとしては特に制限はないが、一般に15〜40μmの厚みに表裏両面にコーティングされる。
【0026】
本発明に用いられる樹脂被覆紙のインク受容層が塗設される面に下引き層を設けてもよい。この下引き層は、インク受容層が塗設される前に、予め支持体の樹脂層表面に塗布乾燥されたものである。この下引き層は、皮膜形成可能な水溶性ポリマーやポリマーラテックス等を主体に含有する。好ましくは、ゼラチン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、水溶性セルロース等の水溶性ポリマーであり、特に好ましくはゼラチンである。これらの水溶性ポリマーの付着量は、10〜500mg/mが好ましく、20〜300mg/mがより好ましい。更に、下引き層には、他に界面活性剤や硬膜剤を含有するのが好ましい。また、樹脂被覆紙に下引き層を塗布する前には、コロナ放電することが好ましい。
【0027】
本発明における裏塗り層としてはポリオレフィン樹脂被覆紙支持体に筆記性、帯電防止性、カール防止性等のために、本発明の効果を低下させない範囲で各種の裏塗り層を塗設したものも本発明に含める。裏塗り層は、好ましくはバインダー主体であり、塗設量は固形分で100〜2000mg/mが好ましい。裏塗り層には親水性バインダー、ラテックス、有機顔料、無機顔料、無機帯電防止剤、有機帯電防止剤、硬化剤、界面活性剤等を適宜組み合わせて含有せしめることができる。
【0028】
本発明におけるインク受容層は、無機微粒子を含有するインク受容層であることが好ましい。無機微粒子としては、非晶質合成シリカ、アルミナ、アルミナ水和物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、二酸化チタン等公知の各種微粒子が挙げられるが、インク吸収性と生産性の点で非晶質合成シリカ、アルミナまたはアルミナ水和物が好ましい。また本発明のインク受容層は、無機微粒子を主体に含有する空隙タイプのインク受容層であることが好ましい。ここで主体とは、無機微粒子の含有比率がインク受容層の全固形分に対して50質量%以上であることを意味し、60〜95質量%の範囲がより好ましい。
【0029】
非晶質合成シリカは、製造法によって湿式法シリカ、気相法シリカ、及びその他に大別することができる。湿式法シリカは、更に製造方法によって沈降法シリカ、ゲル法シリカ、ゾル法シリカに分類される。沈降法シリカは珪酸ソーダと硫酸をアルカリ条件で反応させて製造され、粒子成長したシリカ粒子が凝集・沈降し、その後濾過、水洗、乾燥、粉砕・分級の行程を経て製品化される。沈降法シリカとしては、例えば東ソー・シリカ(株)からニップシールとして、(株)トクヤマからトクシールとして市販されている。ゲル法シリカは珪酸ソーダと硫酸を酸性条件下で反応させて製造する。熟成中に微小粒子は溶解し、他の一次粒子どうしを結合するように再析出するため、明確な一次粒子は消失し、内部空隙構造を有する比較的硬い凝集粒子を形成する。例えば、東ソー・シリカ(株)からニップゲルとして、グレースジャパン(株)からサイロイド、サイロジェットとして市販されている。ゾル法シリカは、コロイダルシリカとも呼ばれ、珪酸ソーダの酸等による複分解やイオン交換樹脂層を通して得られるシリカゾルを加熱熟成して得られ、例えば日産化学工業(株)からスノーテックスとして市販されている。
【0030】
気相法シリカは、湿式法に対して乾式法とも呼ばれ、一般的には火炎加水分解法によって作られる。具体的には四塩化ケイ素を水素及び酸素と共に燃焼して作る方法が一般的に知られているが、四塩化ケイ素の代わりにメチルトリクロロシランやトリクロロシラン等のシラン類も、単独または四塩化ケイ素と混合した状態で使用することができる。気相法シリカは日本アエロジル(株)からアエロジル、(株)トクヤマからQSタイプとして市販されている。
【0031】
本発明には、特に気相法シリカが好ましく使用できる。本発明に用いられる気相法シリカの平均一次粒子径は30nm以下が好ましく、より高い光沢を得るためには、15nm以下が好ましい。更に好ましくは平均一次粒子径が3〜15nm(特に3〜10nm)でかつBET法による比表面積が200m/g以上(好ましくは250〜500m/g)のものを用いることである。なお、本発明でいう平均一次粒子径とは、微粒子の電子顕微鏡観察により一定面積内に存在する100個の一次粒子各々の投影面積に等しい円の直径を粒子径として平均粒子径を求めたものであり、本発明でいうBET法とは、気相吸着法による粉体の表面積測定法の一つであり、吸着等温線から1gの試料の持つ総表面積、即ち比表面積を求める方法である。通常吸着気体としては、窒素ガスが多く用いられ吸着量を被吸着気体の圧、または容積の変化から測定する方法が最も多く用いられている。多分子吸着の等温線を表すのに最も著名なものは、Brunauer、Emmett、Tellerの式であってBET式と呼ばれ表面積決定に広く用いられている。BET式に基づいて吸着量を求め、吸着分子1個が表面で占める面積を掛けて表面積が得られる。
【0032】
本発明のインク受容層が含有する気相法シリカの平均二次粒子径は500nm以下であることが好ましく、より好ましくは10〜30nmである。また気相法シリカは、カチオン性化合物の存在下で、平均二次粒子径が500nm以下、好ましくは10〜300nmに分散したものが好ましく利用される。分散方法としては、通常のプロペラ撹拌、タービン型撹拌、ホモミキサー型撹拌等で気相法シリカと分散媒を予備混合し、次にボールミル、ビーズミル、サンドグラインダー等のメディアミル、高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザー等の圧力式分散機、超音波分散機、及び薄膜旋回型分散機等を使用して分散を行うことが好ましい。なお、本発明でいう平均二次粒子径とは、得られた記録材料のインク受容層を電子顕微鏡で観察することにより、観察される分散された凝集粒子の粒子径の平均値を求めたものである。
【0033】
本発明のインク受容層が含有する湿式法シリカは平均二次粒子径が500nm以下であることが好ましく、20〜200nmであることがより好ましい。またカチオン性化合物の存在下で平均二次粒子径が500nm以下、より好ましくは20〜200nmに粉砕した湿式法シリカも好ましく使用できる。本発明に用いられる湿式法シリカとしては、平均一次粒子径50nm以下、好ましくは3〜40nmであり、かつ平均凝集粒子径が5〜50μmである湿式法シリカが好ましく、これをカチオン性化合物の存在下で微粉砕した湿式法シリカを使用することが好ましい。
【0034】
通常の方法で製造された湿式法シリカは、1μm以上の平均凝集粒子径を有するため、これを微粉砕して使用する。粉砕方法としては、水性媒体中に分散したシリカを機械的に粉砕する湿式分散法が好ましく使用できる。この際、分散液の初期粘度上昇が抑制され、高濃度分散が可能となり、粉砕・分散効率が上昇してより微粒子に粉砕することができることから、吸油量が210ml/100g以下、平均凝集粒子径5μm以上の沈降法シリカを使用することが好ましい。高濃度分散液を使用することによって、記録材料の生産性も向上する。吸油量は、JIS−K−5101の記載に基づき測定される。
【0035】
本発明における平均二次粒子径が500nm以下の湿式法シリカを得る具体的な方法としては、まず、シリカ粒子とカチオン性化合物を混合した予備分散液を作製する。予備分散液は、のこぎり歯状ブレード型分散機、プロペラ羽根型分散機、またはローターステーター型分散機等の分散装置の少なくとも1つを用いて、シリカ粒子とカチオン性化合物を混合・分散する。必要であれば更に適度の低沸点溶剤等を添加してもよい。シリカ予備分散液の固形分濃度は高いほうが好ましいが、あまり高濃度になると分散不可能となるため、好ましい範囲としては15〜40質量%、より好ましくは20〜35質量%である。次に、より強い機械的手段を与えることによって平均二次粒子径が500nm以下の湿式法シリカの分散液が得られる。機械的手段としては公知の方法が採用でき、例えば、ボールミル、ビーズミル、サンドグラインダー等のメディアミル、高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザー等の圧力式分散機、超音波分散機及び薄膜旋回型分散機等を使用することができる。
【0036】
上記気相法シリカ及び湿式法シリカの分散に使用するカチオン性化合物としては、カチオン性ポリマーが好ましく使用できる。カチオン性ポリマーとしては、ポリエチレンイミン、ポリジアリルアミン、ポリアリルアミン、アルキルアミン重合物、特開昭59−20696号公報、特開昭59−33176号公報、特開昭59−33177号公報、特開昭59−155088号公報、特開昭60−11389号公報、特開昭60−49990号公報、特開昭60−83882号公報、特開昭60−109894号公報、特開昭62−198493号公報、特開昭63−49478号公報、特開昭63−115780号公報、特開昭63−280681号公報、特開平1−40371号公報、特開平6−234268号公報、特開平7−125411号公報、特開平10−193776号公報等に記載された1〜3級アミノ基、4級アンモニウム塩基を有するポリマーが好ましく用いられる。特に、カチオン性ポリマーとしてジアリルアミン誘導体が好ましく用いられる。分散性及び分散液粘度の面で、これらのカチオン性ポリマーの分子量は2,000〜10万程度が好ましく、特に2,000〜3万程度が好ましい。カチオン性ポリマーの添加量は、シリカに対して1〜10質量%の範囲が好ましい。
【0037】
本発明に使用するアルミナとしては、酸化アルミニウムのγ型結晶であるγ−アルミナが好ましく、中でもδグループ結晶が好ましい。γ−アルミナは一次粒子を10nm程度まで小さくすることが可能であるが、通常は数千から数万nmの二次粒子結晶を超音波や高圧ホモジナイザー、対向衝突型ジェット粉砕機等で粉砕したものが使用できる。アルミナの好ましい平均二次粒子径は500nm以下であり、より好ましくは20〜30nmである。
【0038】
本発明のアルミナ水和物はAl・nHO(n=1〜3)の構成式で表される。アルミナ水和物は、アルミニウムイソプロポキシド等のアルミニウムアルコキシドの加水分解、アルミニウム塩のアルカリによる中和、アルミン酸塩の加水分解等の公知の製造方法により得られる。本発明に使用されるアルミナ水和物の好ましい平均二次粒子径は500nm以下、より好ましくは20〜300nmである。
【0039】
本発明に用いられる上記のアルミナ、及びアルミナ水和物は、酢酸、乳酸、ぎ酸、硝酸等の公知の分散剤によって分散された分散液の形態から使用される。
【0040】
本発明のインク受容層において、上記無機微粒子は5〜50g/m含有させることが好ましく、より好ましくは8〜30g/mである。またインク受容層は、インク受容層の皮膜としての特性を維持するためにバインダーを有していることが好ましい。
【0041】
本発明のインク受容層には、親水性バインダーを用いることが好ましい。好ましく使用される親水性バインダーは完全または部分ケン化のポリビニルアルコールまたはカチオン変性ポリビニルアルコールである。
【0042】
ポリビニルアルコールの中でも特に好ましいのは、ケン化度が80%以上の部分または完全ケン化したもので、皮膜形成性及び皮膜脆弱性を改良する観点から平均重合度200〜5,000、好ましくは500〜4,000のものが用いられる。
【0043】
また、カチオン変性ポリビニルアルコールとしては、例えば特開昭61−10483号公報に記載されているような、第1、3級アミノ基や第4級アンモニウム基をポリビニルアルコールの主鎖あるいは側鎖中に有するポリビニルアルコールである。
【0044】
これらのバインダーの使用量としては無機微粒子の固形分に対して、5〜30質量%の範囲が好ましく、特に10〜25質量%の範囲が好ましい。
【0045】
本発明において、耐水性を向上させるためにカチオンポリマーを含有させるのが好ましい。カチオンポリマーとしては、ポリエチレンイミン、ポリジアリルアミン、ポリアリルアミン、特開昭59−20696号公報、特開昭59−33176号公報、特開昭59−33177号公報、特開昭59−155088号公報、特開昭60−11389号公報、特開昭60−49990号公報、特開昭60−83882号公報、特開昭60−109894号公報、特開昭62−198493号公報、特開昭63−49478号公報、特開昭63−115780号公報、特開昭63−280681号公報、特開平1−40371号公報、特開平6−234268号公報、特開平7−125411号公報、特開平10−193776号公報等に記載された1〜3級アミノ基、4級アンモニウム塩基を有するポリマーが好ましく用いられる。これらのカチオンポリマーの分子量は5000以上が好ましく、更に5000〜10万程度が好ましい。
【0046】
これらのカチオンポリマーの使用量は無機微粒子に対して1〜10質量%、好ましくは2〜7質量%である。
【0047】
本発明において好ましくは、インク受容層に皮膜の脆弱性を改良するために各種油滴を含有することができる。そのような油滴としては室温における水に対する溶解性が0.01質量%以下の疎水性高沸点有機溶媒(例えば、流動パラフィン、ジオクチルフタレート、トリクレジルホスフェート、シリコンオイル等)や重合体粒子(例えば、スチレン、ブチルアクリレート、ジビニルベンゼン、ブチルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート等の重合性モノマーを1種以上重合させた粒子)を含有させることができる。そのような油滴は好ましくは親水性バインダーに対して10〜50質量%の範囲で用いることができる。
【0048】
本発明において、インク受容層には、親水性バインダーと共に硬膜剤を含有するのが好ましい。硬膜剤の具体的な例としては、ホルムアルデヒド、グルタルアルデヒドの如きアルデヒド系化合物、ジアセチル、クロルペンタンジオンの如きケトン化合物、ビス(2−クロロエチル尿素)、2−ヒドロキシ−4,6−ジクロロ−1,3,5−トリアジン、米国特許第3,288,775号記載の如き反応性のハロゲンを有する化合物、ジビニルスルホン、米国特許第3,635,718号記載の如き反応性のオレフィンを持つ化合物、米国特許第2,732,316号記載の如きN−メチロール化合物、米国特許第3,103,437号記載の如きイソシアナート類、米国特許第3,017,280号、同2,983,611号記載の如きアジリジン化合物類、米国特許第3,100,704号記載の如きカルボジイミド系化合物類、米国特許第3,091,537号記載の如きエポキシ化合物、ムコクロル酸の如きハロゲンカルボキシアルデヒド類、ジヒドロキシジオキサンの如きジオキサン誘導体、クロム明ばん、硫酸ジルコニウム、ほう酸及びほう酸塩の如き無機硬膜剤等があり、これらを1種または2種以上組み合わせて用いることができる。これらの中でも、特にほう酸あるいはほう酸塩が好ましい。硬膜剤の添加量はインク受容層を構成する親水性バインダーに対して0.1〜40質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜30質量%である。
【0049】
本発明において、インク受容層には、更に、界面活性剤、硬膜剤の他に着色染料、着色顔料、インク染料の定着剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、顔料の分散剤、消泡剤、レベリング剤、防腐剤、蛍光増白剤、粘度安定剤、pH調節剤等の公知の各種添加剤を添加することもできる。
【0050】
本発明において、下引き層、裏塗り層及びインク受容層の塗布方法は、特に限定されず、公知の塗布方法を用いることができる。例えば、スライドビード方式、カーテン方式、エクストルージョン方式、エアーナイフ方式、ロールコーティング方式、ロッドバーコーティング方式、バーコーター方式、ディップ方式等がある。
【実施例】
【0051】
以下、実施例により本発明を詳しく説明するが、本発明の内容は実施例に限られるものではない。なお記載中の%は、特にことわりのない限り質量%を示す。
【0052】
〈ポリオレフィン樹脂被覆紙の作製〉
広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)に、アルキルケテンダイマーを対パルプ0.7%、ポリアクリルアミドを対パルプ1.0%、カチオン化澱粉を対パルプ2.0%、ポリアミドエピクロロヒドリン樹脂を対パルプ0.5%添加し、水で希釈して0.2%スラリーとした。このスラリーを長網抄紙機で坪量170g/mになるように抄造し、乾燥調湿してポリオレフィン樹脂被覆紙の原紙とした。抄紙した原紙のインク受容層塗布面側については、密度0.918g/cm、数平均分子量120,000の低密度ポリエチレン80部、数平均分子量150,000の高密度ポリエチレン樹脂20部のブレンド樹脂組成物に対して、5%のアナターゼ型チタンを均一に分散したポリエチレン樹脂組成物を320℃で溶融し、200m/分で厚さ25μmになるように押出コーティングし、JIS−B−0601で規定される中心面平均粗さSRaが基準長さ8mm、カットオフ0.8mmで測定したときの条件で約2.0μmのインクジェット記録材料用樹脂被覆紙の表面になるような型付け面加工されたクーリングロールを用い、クーリングロールとプレスロールとのニップ圧は、線圧で50kg/cmにて押出被覆し表面とした。もう一方の面には密度0.962g/cm、数平均分子量150,000の高密度ポリエチレン樹脂70部と密度0.918g/cm、数平均分子量120,000の低密度ポリエチレン樹脂30部のブレンド樹脂組成物を同様に320℃で溶融し、厚さ30μmになるように押出コーティングし、粗面加工されたクーリングロールを用いて押出被覆し裏面とした。更にインク受容層との接着性を増すため表面に高周波コロナ放電処理を施してインクジェット記録材料用樹脂被覆紙1を作製した。得られたインクジェット記録材料用樹脂被覆紙1の厚さは225μmであった。得られたインクジェット記録材料用樹脂被覆紙1を下記の方法で評価し、その結果を表1に示す。
【0053】
上記インクジェット記録材料用樹脂被覆紙1の表面に下記組成のインク受容層塗布液をスライド塗布装置で塗布、乾燥し、インク受容層面を外側に巻き取った。なお、下記に示すインク受容層塗布液は、気相法シリカが9%の固形分濃度になるように調製した。この塗布液を気相法シリカの塗布量が固形分で20g/mになるように塗布、乾燥して巻き取りインクジェット記録材料1を得た。得られたインクジェット記録材料1を下記の方法で評価し、その結果を表1に示す。
【0054】
〈インク受容層塗布液〉
気相法シリカ 100部(平均一次粒子径7nm、平均二次粒子径110nm、BET法による比表面積300m/g)、ジメチルジアリルアンモニウムクロライドホモポリマー 4部(第一工業製薬(株)製、シャロールDC902P、分子量9,000)、ほう酸 3部、ポリビニルアルコール 20部(ケン化度88%、平均重合度3,500)、両性界面活性剤 0.5部(ベタイン系;日本サーファクタント工業(株)製、スワノールAM)。
【0055】
(インクジェット記録材料用樹脂被覆紙の表面評価)
上記のようにして作製されたインクジェット記録材料用樹脂被覆紙1の表面を、(株)東京精密製の表面粗さ解析装置Surfcom E−RM−S27A型で行った。中心面平均粗さSRaについては、基準長さ8mm、カットオフ0.8mmで測定し、十点平均粗さSRzについては、基準長2mm、カットオフ0.08mmで測定した。
【0056】
(インクジェット記録材料の表面評価)
上記のようにして作製されたインクジェット記録材料1のインク受容層表面7cmを10倍ルーペで観察し、微細ワレの個数をカウントし、下記の基準によって評価した。
0〜10個:画像印字しても実用上問題ないレベルである。
11〜20個:画像印字して若干白抜け部分が確認できるが、実用上問題ないレベルである。
21個以上:画像印字すると明らかに白抜けしており、外観上問題があり実用上不可である。
【0057】
インクジェット記録材料1で用いたインクジェット記録材料用樹脂被覆紙1の作製において、表面のポリエチレン樹脂組成物を300m/分で押出コーティングした以外は同様にしてインクジェット記録材料用樹脂被覆紙2を作製し、またインクジェット記録材料1と同様にしてインクジェット記録材料2を作製した。得られたインクジェット記録材料用樹脂被覆紙2とインクジェット記録材料2を、上記したインクジェット記録材料用樹脂被覆紙1及びインクジェット記録材料1と同様にして評価した。この結果を表1に示す。
【0058】
インクジェット記録材料1で用いたインクジェット記録材料用樹脂被覆紙1の作製において、クーリングロールと樹脂ロールとのニップ圧を、線圧で30kg/cmにて押出被覆した以外は同様にしてインクジェット記録材料用樹脂被覆紙3を作製し、またインクジェット記録材料1と同様にしてインクジェット記録材料3を作製した。得られたインクジェット記録材料用樹脂被覆紙3とインクジェット記録材料3を、上記したインクジェット記録材料用樹脂被覆紙1及びインクジェット記録材料1と同様にして評価した。この結果を表1に示す。
【0059】
インクジェット記録材料1で用いたインクジェット記録材料用樹脂被覆紙1の作製において、ポリエチレン樹脂組成物を150m/分で押出コーティングし、クーリングロールと樹脂ロールとのニップ圧を、線圧で90kg/cmにて押出被覆した以外は同様にしてインクジェット記録材料用樹脂被覆紙4を作製し、またインクジェット記録材料1と同様にしてインクジェット記録材料4を作製した。得られたインクジェット記録材料用樹脂被覆紙4とインクジェット記録材料4を、上記したインクジェット記録材料用樹脂被覆紙1及びインクジェット記録材料1と同様にして評価した。この結果を表1に示す。
【0060】
インクジェット記録材料1で用いたインクジェット記録材料用樹脂被覆紙1の作製において、JIS−B−0601で規定される中心面平均粗さSRaが基準長さ8mm、カットオフ0.8mmで測定したときの条件で約1.0μmのインクジェット記録材料用樹脂被覆紙の表面になるような型付け面加工されたクーリングロールを用いた以外は同様にしてインクジェット記録材料用樹脂被覆紙5を作製し、またインクジェット記録材料1と同様にしてインクジェット記録材料5を作製した。得られたインクジェット記録材料用樹脂被覆紙5とインクジェット記録材料5を、上記したインクジェット記録材料用樹脂被覆紙1及びインクジェット記録材料1と同様にして評価した。この結果を表1に示す。
【0061】
インクジェット記録材料1で用いたインクジェット記録材料用樹脂被覆紙1の作製において、JIS−B−0601で規定される中心面平均粗さSRaが基準長さ8mm、カットオフ0.8mmで測定したときの条件で約3.0μmのインクジェット記録材料用樹脂被覆紙の表面になるような型付け面加工されたクーリングロールを用いた以外は同様にしてインクジェット記録材料用樹脂被覆紙6を作製し、またインクジェット記録材料1と同様にしてインクジェット記録材料6を作製した。得られたインクジェット記録材料用樹脂被覆紙6とインクジェット記録材料6を、上記したインクジェット記録材料用樹脂被覆紙1及びインクジェット記録材料1と同様にして評価した。この結果を表1に示す。
【0062】
インクジェット記録材料1で用いたインクジェット記録材料用樹脂被覆紙1の作製において、クーリングロールとプレスロールとのニップ圧を、線圧で20kg/cmにて押出被覆した以外は同様にしてインクジェット記録材料用樹脂被覆紙7を作製し、またインクジェット記録材料1と同様にしてインクジェット記録材料7を作製した。得られたインクジェット記録材料用樹脂被覆紙7とインクジェット記録材料7を、上記したインクジェット記録材料用樹脂被覆紙1及びインクジェット記録材料1と同様にして評価した。この結果を表1に示す。
【0063】
インクジェット記録材料1で用いたインクジェット記録材料用樹脂被覆紙1の作製において、ポリエチレン樹脂組成物を150m/分で押出コーティングし、クーリングロールとプレスロールとのニップ圧を、線圧で20kg/cmにて押出被覆した以外は同様にしてインクジェット記録材料用樹脂被覆紙8を作製し、またインクジェット記録材料1と同様にしてインクジェット記録材料8を作製した。得られたインクジェット記録材料用樹脂被覆紙8とインクジェット記録材料8を、上記したインクジェット記録材料用樹脂被覆紙1及びインクジェット記録材料1と同様にして評価した。この結果を表1に示す。
【0064】
インクジェット記録材料1で用いたインクジェット記録材料用樹脂被覆紙1の作製において、ポリエチレン樹脂組成物を300m/分で押出コーティングし、クーリングロールとプレスロールとのニップ圧を、線圧で30kg/cmにて押出被覆した以外は同様にしてインクジェット記録材料用樹脂被覆紙9を作製し、またインクジェット記録材料1と同様にしてインクジェット記録材料9を作製した。得られたインクジェット記録材料用樹脂被覆紙9とインクジェット記録材料9を、上記したインクジェット記録材料用樹脂被覆紙1及びインクジェット記録材料1と同様にして評価した。この結果を表1に示す。
【0065】
【表1】

【0066】
本発明のインクジェット記録材料1,4,5では、微細ワレが少なく良好な結果であった。インクジェット記録材料2,3,6では、微細ワレが若干多めであり、画像印字して若干白抜け部分が確認できるが、実用上問題ないレベルであった。インクジェット記録材料7,8,9では微細ワレが多く、明らかに白抜けしており、外観上問題があり実用上不可であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原紙の両面をポリオレフィン樹脂で被覆した支持体上にインク受容層が塗設されるインクジェット記録材料用樹脂被覆紙において、前記支持体のインク受容層塗布面側が、JIS−B−0601で規定される中心面平均粗さSRaが基準長さ8mm、カットオフ0.8mmで測定したときの条件で1.0〜3.0μmであるとき、そのインク受容層塗布面側の十点平均粗さSRzが基準長2mm、カットオフ0.08mmで測定したときの条件で8.0μm以下であることを特徴とするインクジェット記録材料用樹脂被覆紙。

【公開番号】特開2012−183683(P2012−183683A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−47229(P2011−47229)
【出願日】平成23年3月4日(2011.3.4)
【出願人】(000005980)三菱製紙株式会社 (1,550)
【Fターム(参考)】