説明

インクジェット記録材料

【課題】本発明は、ホウ酸又はホウ酸塩の含有量を軽減しREACH規制の対象とならない環境負荷の小さい、更にホウ酸又はホウ酸塩の含有量を軽減しても表面亀裂の発生を抑制し、高い白紙光沢及び顔料インクの優れたインク発色性を有し、且つ染料インクでも充分なインク吸収性を有するインクジェット記録材料を提供する。
【解決手段】吸収性支持体上に、下塗り層、上塗り層が塗布されており、塗布面側のISO 8254−1による白紙光沢が50%以上のインクジェット記録材料において、下塗り層に、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸から選ばれる何れか一種以上の酸のアルカリ金属塩を0.15g/m以上含有し、上塗り層に無機微粒子、ポリビニルアルコール及び上塗り層のポリビニルアルコールに対して1〜5質量%の範囲でホウ酸を含有し、且つホウ酸又はホウ酸塩含有量がインクジェット記録材料全体で0.1g/m以下となることを特徴とするインクジェット記録材料によって達成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、環境負荷が小さく、高い白紙光沢且つ特に顔料インクで良好なインク発色性を有し、且つ染料インクでも優れたインク吸収性を有するインクジェット記録材料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
優れたインク吸収性を有するインクジェット記録材料を得るためには、塗層にインクを受容できるだけ充分な総空隙量を有し、インクジェットインクが塗層内空隙に速やかに吸収される必要がある。
【0003】
インクジェットインクは、色材に染料を適用した染料インクと、顔料を適用した顔料インクに大別される。
【0004】
染料インクを用いたインクジェットプリンターは、色材がインク溶媒と共に塗層深部や支持体に浸透することを考慮して、高い色濃度を確保するために顔料インクに比べて染料インクを多量に吐出して記録材料に描画する傾向にある。従って、インクジェット記録材料には優れたインク吸収性が要求される。
【0005】
顔料インクを用いたインクジェットプリンターは、色材がインク溶媒に分散しているためにインク溶媒と共に塗層深部や支持体に浸透することが少なく、染料インクに比べて少量の色材で高い色濃度を得ることができる。一方、記録材料の塗層表面に亀裂を有する場合は色材が亀裂に落下し、色材不足状態となって色濃度が低下し、インク発色性の低下をもたらす。従って、インクジェット記録材料には塗層表面に亀裂が無く良好なインク発色性が要求される。
【0006】
優れたインク吸収性を有する塗層を形成させる方法として、支持体の少なくとも片面に、平均粒径が0.5μm以下である湿式法により製造される微細シリカと、電解質、及びポリビニルアルコールを含有する多孔質インク受容層を設け、更にインク受容層上に光沢発現層を設けたインクジェット記録シートが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
又、支持体上に気相法シリカ等の無機微粒子、バインダーとしてポリビニルアルコール、更に架橋剤としてホウ酸又はホウ酸塩を含有するインクジェット記録材料により、塗層に微細な空隙を形成させて、顔料インクの良好なインク発色性や高い白紙光沢を得る方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0008】
しかしながら、特許文献1の如き方法では光沢発現層の表面亀裂抑制が不充分なことがあり、顔料インクのインク発色性が不足することがある。
【0009】
又、特許文献2記載の如き方法では、表面亀裂抑制が可能で、高い白紙光沢や顔料インクで良好なインク発色性が得ることができるが、このような方法では、ホウ酸又はホウ酸塩をインクジェット記録材料に大量に含有する必要がある。
【0010】
ホウ酸又はホウ酸塩は、例えば「欧州連合における人の健康や環境の保護のための欧州議会及び欧州理事会規則(REACH規則;Registration,Evaluation,Authorisation and Restriction of Chemicals)」において高懸念物質候補として挙げられており、化学物質により引き起こされうる人の健康と環境保護への懸念が高まりつつあることから、その使用量削減が望まれている(例えば、非特許文献1参照)。
【0011】
例えば、前記REACH規制においては、高懸念物質の含有量は成形品中の0.1質量%未満に制限されている(例えば、非特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2004−1463号公報
【特許文献2】特開2003−63135号公報
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】(社)日本化学工業協会 REACHタスクフォース事務局、「ECHA REACH・CLP最新状況 2010年12月2日」、12頁及び27頁、[online]、平成23年1月31日、(社)日本化学工業協会、[平成23年2月1日検索]、インターネット<http://www.nikkakyo.org/reach/_userdata/V1/_documents/NEWS110131.pdf>
【非特許文献2】(社)産業環境管理協会、「欧州の新たな化学品規制(REACH規制)に関する解説書 Ver.1.1」、17頁、[online]、2008年11月4日、経済産業省化学課、[平成23年2月1日検索]、インターネット<http://www.meti.go.jp/policy/chemical_management/int/081104kaisetusyo.pdf>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
染料インクを用いたインクジェットインクジェットプリンターで優れたインク吸収性、顔料インクを用いたインクジェットプリンターで良好なインク発色性、及び高い白紙光沢を得るために、インクジェット記録材料の塗層表面は、白紙光沢を劣化させる程度及び顔料インクの色材が落下する程度の表面亀裂を有さない、且つ高い白紙光沢を維持しつつ優れたインク吸収性のために微細な空隙を有する必要がある。
【0015】
このような塗層表面を形成するための従来方法では、ホウ酸又はホウ酸塩を0.1質量%以上の範囲で含有するインクジェット記録材料となる場合がある。しかしながら、REACH規則の高懸念物質の候補であるホウ酸又はホウ酸塩をインクジェット記録材料中に0.1質量%以上の範囲で含有するため、REACH規制の対象となってくる。
【0016】
従って、本発明の目的は、ホウ酸又はホウ酸塩の含有量を軽減しREACH規制の対象とならない環境負荷の小さい、更にホウ酸又はホウ酸塩の含有量を軽減しても表面亀裂の発生を抑制し、高い白紙光沢を維持しつつ、しかも染料インクにおける優れたインク吸収性、顔料インクにおける良好なインク発色性を有するインクジェット記録材料を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の上記目的は、吸収性支持体上に、下塗り層、上塗り層が塗布されており、塗布面側のISO 8254−1による白紙光沢が50%以上のインクジェット記録材料において、下塗り層に、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸から選ばれる何れか一種以上の酸のアルカリ金属塩を0.15g/m以上含有し、上塗り層に無機微粒子、ポリビニルアルコール及び上塗り層のポリビニルアルコールに対して1〜5質量%の範囲でホウ酸を含有し、且つホウ酸又はホウ酸塩含有量がインクジェット記録材料全体で0.1g/m以下となることを特徴とするインクジェット記録材料によって、達成された。
【0018】
好ましくは、前記アルカリ金属塩が、酢酸ナトリウム、酢酸カリウムから選ばれる何れか一種以上である。
【0019】
好ましくは、前記上塗り層のホウ酸がオルトホウ酸である。
【0020】
好ましくは、前記上塗り層のポリビニルアルコールが平均重合度2700〜5000である。
【発明の効果】
【0021】
本発明により、インクジェット記録材料中に含まれるホウ酸又はホウ酸塩の含有量を軽減することにより環境負荷が小さく、高い白紙光沢を維持しつつ、且つ染料インクにおける優れたインク吸収性を有し、且つ顔料インクにおける良好なインク発色性を有するインクジェット記録材料の提供が可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明において、下塗り層に、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸から選ばれる何れか一種以上の酸のアルカリ金属塩を0.15g/m以上含有するとともに、上塗り層は、上塗り層のポリビニルアルコールの含有量に対して1〜5質量%の範囲でホウ酸を含有する。
【0023】
本発明において、インクジェット記録材料全体のホウ酸又はホウ酸塩の含有量は0.1g/m以下である。ホウ酸又はホウ酸塩の全含有量をこの範囲にすることによって、下塗り層及び上塗り層を有する白紙光沢が50%以上のインクジェット記録材料では、坪量が通常100g/mを超えるため、REACH規制の対象外となり、環境負荷も充分に小さくできる。
【0024】
下塗り層の蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸から選ばれる何れか一種以上の酸のアルカリ金属塩及び上塗り層のホウ酸がそれぞれ上記の含有量範囲であると、インクジェット記録材料全体におけるホウ酸又はホウ酸塩の含有量が0.1g/m以下であっても上塗り層の表面亀裂抑制に優れ、高い白紙光沢、染料インクの優れたインク吸収性及び顔料インクの良好なインク発色性を得ることができる。
【0025】
この理由は明らかではないが、上塗り層塗布液を塗布する際に上塗り層のホウ酸が本発明にかかる下塗り層に含まれる蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸から選ばれる何れか一種以上の酸のアルカリ金属塩と相互作用し、ポリビニルアルコールを強く架橋することができるホウ酸塩に類する化合物を形成すると考えられる。上塗り層塗布液に、表面亀裂抑制効果が得られる程のホウ酸塩をあらかじめ含有する場合、上塗り層塗布液にゲル化が発生し易く、操業性に悪影響を与えてしまう。
【0026】
本発明において、下塗り層は、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸から選ばれる何れか一種以上の酸のアルカリ金属塩を0.15g/m以上含有する。下塗り層に含有される、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸から選ばれる何れか一種以上の酸のアルカリ金属塩が0.15g/m未満であると上塗り層の表面亀裂抑制の効果が不十分となり白紙光沢や顔料インクのインク発色性が低下する。上限は、特に限定されないが、下塗り層塗布液の操業安定性やコスト面から25g/m以下が好ましく、より好ましくは10g/m以下、更に好ましくは2g/m以下である。
【0027】
本発明に用いられる、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸から選ばれる何れか一種以上の酸のアルカリ金属塩において、アルカリ金属としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウムが挙げられる。又、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸から選ばれる何れか一種以上の酸は1種又は2種以上を組み合わせて含有してもよく、アルカリ金属塩として1種又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。本発明に用いられる、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸から選ばれる何れか一種以上の酸のアルカリ金属塩は、インクジェット記録材料の品質、設備の腐食や下塗り層塗布液の安定性の点及び染料インクにおける優れたインク吸収性の点から、酢酸ナトリウム、酢酸カリウムがもっとも好ましい。
【0028】
本発明において、下塗り層には、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸から選ばれる何れか一種以上の酸のアルカリ金属塩以外に無機微粒子やバインダー等の公知の添加剤を適宜含有しても構わない。インク吸収性の点で、下塗り層は無機微粒子及びバインダーを含有することが好ましい。
【0029】
本発明において、下塗り層に用いることができる無機微粒子としては、例えば、湿式合成シリカ、コロイダルシリカ、気相法シリカ、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、カオリン、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、ケイソウ土、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、酸化スズゾル、酸化ニオブゾル、酸化セリウムゾル、酸化ランタンゾル、酸化イットリウムゾル、コロイダルアルミナ、水酸化アルミニウム、アルミナ、アルミナ水和物、リトポン、ゼオライト、加水ハロイサイト、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム等が挙げられる。又、これらの平均二次粒子径としては100μm以下のものが好ましく用いられる。
【0030】
本発明において、下塗り層に用いることができるバインダーとしては、例えば、酸化澱粉、エーテル化澱粉、リン酸エステル化澱粉等の澱粉誘導体、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体、カゼイン、ゼラチン、大豆蛋白、プルラン、アラビアゴム、カラヤゴム、アルブミン等の天然高分子樹脂又はその誘導体、ポリビニルアルコール及びその変性誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリエチレンイミン、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、無水マレイン酸樹脂やスチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体等の共役ジエン系共重合体ラテックス、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステルの重合体又は共重合体等のアクリル系共重合体ラテックス、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のビニル系共重合体ラテックス、或いはこれらの各種共重合体のカルボキシ基等の官能基含有単量体による官能基変性共重合体ラテックス、メラミン樹脂、尿素樹脂等の熱硬化合成樹脂等のバインダー、ポリウレタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリビニルブチラール、アルキッド樹脂ラテックス等が挙げられる。
【0031】
本発明に用いられるホウ酸としては、例えばオルトホウ酸、メタホウ酸や次ホウ酸等のホウ酸が挙げられる。又、ホウ酸塩としては例えば、オルトホウ酸塩(例えば、InBO、ScBO、YBO、LaBO、Mg(BO、Co(BO)、二ホウ酸塩(例えば、Mg、Co)、メタホウ酸塩(例えば、LiBO、Ca(BO、NaBO、KBO)、四ホウ酸塩(例えば、Na、K)、五ホウ酸塩(例えば、KB)、八ホウ酸塩(例えば、Na13)等が挙げられ、これらのホウ酸類やホウ酸塩類を併用しても構わない。上塗り層に用いられるホウ酸としては、製造コスト、操業性及び表面亀裂抑制の点でオルトホウ酸が好ましく用いられる。
【0032】
本発明において、上塗り層のホウ酸の含有量は、上塗り層のポリビニルアルコールに対して1〜5質量%の範囲である。上塗り層のポリビニルアルコールに対して1質量%未満であると、上塗り層の表面亀裂抑制が不十分となり、又、5質量%を超える場合には、上塗り層塗布液にゲル化が発生することがあり、上塗り層を形成する工程で表面亀裂が発生し、白紙光沢や顔料インクのインク発色性に悪影響を与える。
【0033】
上塗り層塗布液にホウ酸ではなくホウ酸塩を含有させる方法もあるが、上塗り層塗布液に表面亀裂抑制効果が得られる程のホウ酸塩を含有する場合、ホウ酸塩はポリビニルアルコールとホウ酸に比べて容易に架橋し上塗り層塗布液にゲル化が発生し易く、塗布液の安定性を損ない操業性に悪影響を与えることがある。
【0034】
本発明において、上塗り層にはホウ酸に加えてポリビニルアルコール及び無機微粒子を含有する。これにより、表面亀裂抑制された上塗り層は、染料インクの優れたインク吸収性、高い白紙光沢、顔料インクの良好なインク発色性を得ることができる。
【0035】
本発明において用いられるポリビニルアルコールとして例えば、完全又は部分ケン化のポリビニルアルコール或いはカチオン変性、シラノール変性等の変性ポリビニルアルコール等の公知のものを用いることができる。これらの各種ポリビニルアルコールの中でも好ましいのは、ケン化度が80%以上の部分又は完全ケン化したポリビニルアルコールであり、平均重合度200〜5000のものがより好ましい。更に、表面亀裂抑制の点から平均重合度2700〜5000の高重合度のものが特に好ましい。
【0036】
本発明において、表面亀裂抑制の点で、ポリビニルアルコールは上塗り層の無機微粒子に対して5質量%〜30質量%の範囲が好ましい。
【0037】
本発明において、染料インクのインク吸収性の点で、無機微粒子は上塗り層の固形分の50質量%以上であることが好ましい。
【0038】
本発明において、上塗り層に用いることができる公知の無機微粒子としては、例えば、湿式合成シリカ、コロイダルシリカ、気相法シリカ、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、カオリン、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、ケイソウ土、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、酸化スズゾル、酸化ニオブゾル、酸化セリウムゾル、酸化ランタンゾル、酸化イットリウムゾル、コロイダルアルミナ、水酸化アルミニウム、アルミナ、アルミナ水和物、リトポン、ゼオライト、加水ハロイサイト、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム等が挙げられる。又、これらの平均二次粒子径としては、白紙光沢の点から100μm以下のものが好ましく用いられる。白紙光沢や顔料インクのインク発色性の点からアルミナ水和物が特に好ましい。
【0039】
本発明において、上塗り層に用いることができるポリビニルアルコール以外の公知のバインダーとしては、例えば、酸化澱粉、エーテル化澱粉、リン酸エステル化澱粉等の澱粉誘導体、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体、カゼイン、ゼラチン、大豆蛋白、プルラン、アラビアゴム、カラヤゴム、アルブミン等の天然高分子樹脂又はその誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリエチレンイミン、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、無水マレイン酸樹脂やスチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体等の共役ジエン系共重合体ラテックス、アクリル酸エステル又はメタクリル酸エステルの重合体又は共重合体等のアクリル系共重合体ラテックス、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のビニル系共重合体ラテックス、或いはこれらの各種共重合体のカルボキシ基等の官能基含有単量体による官能基変性共重合体ラテックス、メラミン樹脂、尿素樹脂等の熱硬化合成樹脂等のバインダー、ポリウレタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリビニルブチラール、アルキッド樹脂ラテックス等が挙げられる。
【0040】
本発明において、下塗り層、上塗り層には、添加剤として、染料定着剤、顔料分散剤、増粘剤、流動性改良剤、粘度安定剤、pH調整剤、界面活性剤、消泡剤、抑泡剤、離型剤、発泡剤、浸透剤、着色染料、着色顔料、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、レベリング剤、防腐剤、防バイ剤、耐水化剤、湿潤紙力増強剤、乾燥紙力増強剤等を適宜含有することもできる。
【0041】
本発明において、吸収性支持体は、LBKP、NBKP等の化学パルプ、GP、PGW、RMP、TMP、CTMP、CMP、CGP等の機械パルプ、DIP等の古紙パルプ等の木材パルプと従来公知の顔料を主成分として、バインダー又はサイズ剤や定着剤、歩留まり向上剤、カチオン化剤、紙力増強剤等の各種添加剤を必要に応じて用い、長網抄紙機、円網抄紙機、ツインワイヤー抄紙機等の各種装置で製造された原紙が好ましい。
【0042】
更に吸収性支持体には、澱粉、ポリビニルアルコール等でのサイズプレスやアンカーコート層を設けても構わない。このような吸収性支持体にそのまま本発明における下塗り層を設けても良いし、白紙光沢をコントロールする目的でマシンカレンダー、TGカレンダー、ソフトカレンダー等のカレンダー装置を使用しても良い。
【0043】
本発明において、下塗り層は吸収性支持体上に塗布される塗層であり、上塗り層は下塗り層上に塗布される塗層である。本発明において、本発明の効果を阻害しない範囲内で、吸収性支持体と下塗り層の間、下塗り層と上塗り層の間、上塗り層の上にそれぞれ一層以上の塗層を設けても特に構わない。
【0044】
本発明において、下塗り層又は上塗り層を設ける際に、塗布する方法は、特に限定されず、公知の塗布方法を用いることができる。例えば、エアーナイフコーター、カーテンコーター、スライドリップコーター、ダイコーター、ブレードコーター、ビルブレードコーター、ショートドエルブレードコーター、ゲートロールコーター、バーコーター、ロッドコーター、ロールコーター、サイズプレス等の各種装置により塗布することができる。
【0045】
本発明において、下塗り層又は上塗り層塗布液を塗布後に乾燥する方法は、特に限定されず、公知の乾燥方法を用いることができるが、特に熱風を吹きつける方法、赤外線を照射する方法等、加熱により乾燥する方法は、生産性が良く好ましく用いられる。
【0046】
本発明において、インクジェット記録材料の下塗り層及び上塗り層が塗布された面側の白紙光沢を50%以上に調整する方法として、カレンダー処理が挙げられる。その際のカレンダー処理装置としては、グロスカレンダー、スーパーカレンダー、ソフトカレンダー等が挙げられる。又、公知のキャストコート法を用いて白紙光沢が50%以上の光沢面を形成することもできる。又、カレンダー処理を行わずに、上塗り層の組成変更或いは塗布量の制御によって、白紙光沢を50%以上に調整することもできる。
【実施例】
【0047】
以下に本発明について、実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。又、実施例において示す「質量部」又は「質量%」は特に明示しない限り、固形分の「質量部」又は「質量%」を示す。
【0048】
<吸収性支持体の作製>
広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP、濾水度370mlcsf)80質量部と針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP、濾水度400mlcsf)20質量部、タルク13質量部、硫酸バンド3質量部、市販ロジンサイズ剤0.2質量部、カチオン澱粉0.3質量部を水に混合してなる濃度1質量%のスラリーから、長網抄紙機にて坪量100g/mの原紙を抄造し、抄造時にサイズプレス装置で酸化澱粉を固形分で2g/m付着させて吸収性支持体を製造した。
【0049】
<下塗り層塗布液1の調製>
コロイダルシリカ(スノーテックス40:日産化学工業株式会社製)50質量部及び湿式合成シリカ(ミズカシルP−78A:水澤化学工業株式会社製)100質量部を濃度21質量%となるように水に分散して分散液を得た。その分散液にウレタンエマルジョンバインダー(ハイドランWLS207:DIC株式会社製)50質量部、増粘剤(アルコガムL289HV:アクゾノーベル株式会社製)1質量部を添加し、22質量%になるように塗布液濃度を調節し、下塗り層塗布液1を得た。
【0050】
<下塗り層塗布液2の調製>
酢酸ナトリウム(無水)2質量部、コロイダルシリカ(スノーテックス40:日産化学工業株式会社製)50質量部及び湿式合成シリカ(ミズカシルP−78A:水澤化学工業株式会社製)100質量部を濃度21質量%となるように水に分散して分散液を得た。その分散液にウレタンエマルジョンバインダー(ハイドランWLS207:DIC株式会社製)50質量部、増粘剤(アルコガムL289HV:アクゾノーベル株式会社製)1質量部を添加し、22質量%になるように塗布液濃度を調節し、下塗り層塗布液2を得た。
【0051】
<下塗り層塗布液3の調製>
酢酸ナトリウム(無水)2.5質量部、コロイダルシリカ(スノーテックス40:日産化学工業株式会社製)50質量部及び湿式合成シリカ(ミズカシルP−78A:水澤化学工業株式会社製)100質量部を濃度21質量%となるように水に分散して分散液を得た。その分散液にウレタンエマルジョンバインダー(ハイドランWLS207:DIC株式会社製)50質量部、増粘剤(アルコガムL289HV:アクゾノーベル株式会社製)1質量部を添加し、22質量%になるように塗布液濃度を調節し、下塗り層塗布液3を得た。
【0052】
<下塗り層塗布液4の調製>
酢酸ナトリウム(無水)10質量部、コロイダルシリカ(スノーテックス40:日産化学工業株式会社製)50質量部及び湿式合成シリカ(ミズカシルP−78A:水澤化学工業株式会社製)100質量部を濃度21質量%となるように水に分散して分散液を得た。その分散液にウレタンエマルジョンバインダー(ハイドランWLS207:DIC株式会社製)50質量部、増粘剤(アルコガムL289HV:アクゾノーベル株式会社製)1質量部を添加し、22質量%になるように塗布液濃度を調節し、下塗り層塗布液4を得た。
【0053】
<下塗り層塗布液5の調製>
酢酸ナトリウム(無水)35質量部、コロイダルシリカ(スノーテックス40:日産化学工業株式会社製)50質量部及び湿式合成シリカ(ミズカシルP−78A:水澤化学工業株式会社製)100質量部を濃度21質量%となるように水に分散して分散液を得た。その分散液にウレタンエマルジョンバインダー(ハイドランWLS207:DIC株式会社製)50質量部、増粘剤(アルコガムL289HV:アクゾノーベル株式会社製)1質量部を添加し、22質量%になるように塗布液濃度を調節し、下塗り層塗布液5を得た。
【0054】
<下塗り層塗布液6の調製>
メタ珪酸ナトリウム(無水)2.5質量部、コロイダルシリカ(スノーテックス40:日産化学工業株式会社製)50質量部及び湿式合成シリカ(ミズカシルP−78A:水澤化学工業株式会社製)100質量部を濃度21質量%となるように水に分散して分散液を得た。その分散液にウレタンエマルジョンバインダー(ハイドランWLS207:DIC株式会社製)50質量部、増粘剤(アルコガムL289HV:アクゾノーベル株式会社製)1質量部を添加し、22質量%になるように塗布液濃度を調節し、下塗り層塗布液6を得た。
【0055】
<下塗り層塗布液7の調製>
塩化ナトリウム2.5質量部、コロイダルシリカ(スノーテックス40:日産化学工業株式会社製)50質量部及び湿式合成シリカ(ミズカシルP−78A:水澤化学工業株式会社製)100質量部を濃度21質量%となるように水に分散して分散液を得た。その分散液にウレタンエマルジョンバインダー(ハイドランWLS207:DIC株式会社製)50質量部、増粘剤(アルコガムL289HV:アクゾノーベル株式会社製)1質量部を添加し、22質量%になるように塗布液濃度を調節し、下塗り層塗布液7を得た。
【0056】
<下塗り層塗布液8の調製>
酢酸カルシウム2.5質量部、コロイダルシリカ(スノーテックス40:日産化学工業株式会社製)50質量部及び湿式合成シリカ(ミズカシルP−78A:水澤化学工業株式会社製)100質量部を濃度21質量%となるように水に分散して分散液を得た。その分散液にウレタンエマルジョンバインダー(ハイドランWLS207:DIC株式会社製)50質量部、増粘剤(アルコガムL289HV:アクゾノーベル株式会社製)1質量部を添加し、22質量%になるように塗布液濃度を調節し、下塗り層塗布液8を得た。
【0057】
<下塗り層塗布液9の調製>
蟻酸ナトリウム2.5質量部、コロイダルシリカ(スノーテックス40:日産化学工業株式会社製)50質量部及び湿式合成シリカ(ミズカシルP−78A:水澤化学工業株式会社製)100質量部を濃度21質量%となるように水に分散して分散液を得た。その分散液にウレタンエマルジョンバインダー(ハイドランWLS207:DIC株式会社製)50質量部、増粘剤(アルコガムL289HV:アクゾノーベル株式会社製)1質量部を添加し、22質量%になるように塗布液濃度を調節し、下塗り層塗布液9を得た。
【0058】
<下塗り層塗布液10の調製>
プロピオン酸ナトリウム2.5質量部、コロイダルシリカ(スノーテックス40:日産化学工業株式会社製)50質量部及び湿式合成シリカ(ミズカシルP−78A:水澤化学工業株式会社製)100質量部を濃度21質量%となるように水に分散して分散液を得た。その分散液にウレタンエマルジョンバインダー(ハイドランWLS207:DIC株式会社製)50質量部、増粘剤(アルコガムL289HV:アクゾノーベル株式会社製)1質量部を添加し、22質量%になるように塗布液濃度を調節し、下塗り層塗布液10を得た。
【0059】
<下塗り層塗布液11の調製>
酪酸ナトリウム2.5質量部、コロイダルシリカ(スノーテックス40:日産化学工業株式会社製)50質量部及び湿式合成シリカ(ミズカシルP−78A:水澤化学工業株式会社製)100質量部を濃度21質量%となるように水に分散して分散液を得た。その分散液にウレタンエマルジョンバインダー(ハイドランWLS207:DIC株式会社製)50質量部、増粘剤(アルコガムL289HV:アクゾノーベル株式会社製)1質量部を添加し、22質量%になるように塗布液濃度を調節し、下塗り層塗布液11を得た。
【0060】
<下塗り層塗布液12の調製>
乳酸ナトリウム2.5質量部、コロイダルシリカ(スノーテックス40:日産化学工業株式会社製)50質量部及び湿式合成シリカ(ミズカシルP−78A:水澤化学工業株式会社製)100質量部を濃度21質量%となるように水に分散して分散液を得た。その分散液にウレタンエマルジョンバインダー(ハイドランWLS207:DIC株式会社製)50質量部、増粘剤(アルコガムL289HV:アクゾノーベル株式会社製)1質量部を添加し、22質量%になるように塗布液濃度を調節し、下塗り層塗布液12を得た。
【0061】
<下塗り層塗布液13の調製>
リンゴ酸ナトリウム2.5質量部、コロイダルシリカ(スノーテックス40:日産化学工業株式会社製)50質量部及び湿式合成シリカ(ミズカシルP−78A:水澤化学工業株式会社製)100質量部を濃度21質量%となるように水に分散して分散液を得た。その分散液にウレタンエマルジョンバインダー(ハイドランWLS207:DIC株式会社製)50質量部、増粘剤(アルコガムL289HV:アクゾノーベル株式会社製)1質量部を添加し、22質量%になるように塗布液濃度を調節し、下塗り層塗布液13を得た。
【0062】
<下塗り層塗布液14の調製>
クエン酸ナトリウム2.5質量部、コロイダルシリカ(スノーテックス40:日産化学工業株式会社製)50質量部及び湿式合成シリカ(ミズカシルP−78A:水澤化学工業株式会社製)100質量部を濃度21質量%となるように水に分散して分散液を得た。その分散液にウレタンエマルジョンバインダー(ハイドランWLS207:DIC株式会社製)50質量部、増粘剤(アルコガムL289HV:アクゾノーベル株式会社製)1質量部を添加し、22質量%になるように塗布液濃度を調節し、下塗り層塗布液14を得た。
【0063】
<下塗り層塗布液15の調製>
酒石酸ナトリウム2.5質量部、コロイダルシリカ(スノーテックス40:日産化学工業株式会社製)50質量部及び湿式合成シリカ(ミズカシルP−78A:水澤化学工業株式会社製)100質量部を濃度21質量%となるように水に分散して分散液を得た。その分散液にウレタンエマルジョンバインダー(ハイドランWLS207:DIC株式会社製)50質量部、増粘剤(アルコガムL289HV:アクゾノーベル株式会社製)1質量部を添加し、22質量%になるように塗布液濃度を調節し、下塗り層塗布液15を得た。
【0064】
<下塗り層塗布液16の調製>
四ホウ酸二ナトリウム(無水)2.5質量部、コロイダルシリカ(スノーテックス40:日産化学工業株式会社製)50質量部及び湿式合成シリカ(ミズカシルP−78A:水澤化学工業株式会社製)100質量部を濃度21質量%となるように水に分散して分散液を得た。その分散液にウレタンエマルジョンバインダー(ハイドランWLS207:DIC株式会社製)50質量部、増粘剤(アルコガムL289HV:アクゾノーベル株式会社製)1質量部を添加し、22質量%になるように塗布液濃度を調節し、下塗り層塗布液16を得た。
【0065】
<下塗り層塗布液17の調製>
四ホウ酸二ナトリウム(無水)10質量部、コロイダルシリカ(スノーテックス40:日産化学工業株式会社製)50質量部及び湿式合成シリカ(ミズカシルP−78A:水澤化学工業株式会社製)100質量部を濃度21質量%となるように水に分散して分散液を得た。その分散液にウレタンエマルジョンバインダー(ハイドランWLS207:DIC株式会社製)50質量部、増粘剤(アルコガムL289HV:アクゾノーベル株式会社製)1質量部を添加し、22質量%になるように塗布液濃度を調節し、下塗り層塗布液17を得た。
【0066】
<下塗り層塗布液18の調製>
酢酸ナトリウム(無水)1.25質量部、四ホウ酸二ナトリウム(無水)1.25質量部、コロイダルシリカ(スノーテックス40:日産化学工業株式会社製)50質量部及び湿式合成シリカ(ミズカシルP−78A:水澤化学工業株式会社製)100質量部を濃度21質量%となるように水に分散して分散液を得た。その分散液にウレタンエマルジョンバインダー(ハイドランWLS207:DIC株式会社製)50質量部、増粘剤(アルコガムL289HV:アクゾノーベル株式会社製)1質量部を添加し、22質量%になるように塗布液濃度を調節し、下塗り層塗布液18を得た。
【0067】
<下塗り層塗布液19の調製>
酢酸カリウム(無水)2.5質量部、コロイダルシリカ(スノーテックス40:日産化学工業株式会社製)50質量部及び湿式合成シリカ(ミズカシルP−78A:水澤化学工業株式会社製)100質量部を濃度21質量%となるように水に分散して分散液を得た。その分散液にウレタンエマルジョンバインダー(ハイドランWLS207:DIC株式会社製)50質量部、増粘剤(アルコガムL289HV:アクゾノーベル株式会社製)1質量部を添加し、22質量%になるように塗布液濃度を調節し、下塗り層塗布液19を得た。
【0068】
<上塗り層塗布液1の調製>
アミド硫酸1.5質量部を分散剤とし、アルミナ水和物(DISPERAL HP14:サソールジャパン株式会社製)100質量部を濃度28質量%となるように水に分散して分散液を得た。その分散液に濃度8質量%のポリビニルアルコール(PVA235:株式会社クラレ製)を10質量部添加し、20質量%になるように塗布液濃度を調節し、上塗り層塗布液1を得た。
【0069】
<上塗り層塗布液2の調製>
アミド硫酸1.5質量部を分散剤とし、アルミナ水和物(DISPERAL HP14:サソールジャパン株式会社製)100質量部を濃度28質量%となるように水に分散して分散液を得た。その分散液にオルトホウ酸を0.075質量部、濃度8質量%のポリビニルアルコール(PVA235:株式会社クラレ製)を10質量部添加し、20質量%になるように塗布液濃度を調節し、上塗り層塗布液2を得た。
【0070】
<上塗り層塗布液3の調製>
アミド硫酸1.5質量部を分散剤とし、アルミナ水和物(DISPERAL HP14:サソールジャパン株式会社製)100質量部を濃度28質量%となるように水に分散して分散液を得た。その分散液にオルトホウ酸を0.1質量部、濃度8質量%のポリビニルアルコール(PVA235:株式会社クラレ製)を10質量部添加し、20質量%になるように塗布液濃度を調節し、上塗り層塗布液3を得た。
【0071】
<上塗り層塗布液4の調製>
アミド硫酸1.5質量部を分散剤とし、アルミナ水和物(DISPERAL HP14:サソールジャパン株式会社製)100質量部を濃度28質量%となるように水に分散して分散液を得た。その分散液にオルトホウ酸を0.3質量部、濃度8質量%のポリビニルアルコール(PVA235:株式会社クラレ製)を10質量部添加し、20質量%になるように塗布液濃度を調節し、上塗り層塗布液4を得た。
【0072】
<上塗り層塗布液5の調製>
アミド硫酸1.5質量部を分散剤とし、アルミナ水和物(DISPERAL HP14:サソールジャパン株式会社製)100質量部を濃度28質量%となるように水に分散して分散液を得た。その分散液にオルトホウ酸を0.5質量部、濃度8質量%のポリビニルアルコール(PVA235:株式会社クラレ製)を10質量部添加し、20質量%になるように塗布液濃度を調節し、上塗り層塗布液5を得た。
【0073】
<上塗り層塗布液6の調製>
アミド硫酸1.5質量部を分散剤とし、アルミナ水和物(DISPERAL HP14:サソールジャパン株式会社製)100質量部を濃度28質量%となるように水に分散して分散液を得た。その分散液にオルトホウ酸を0.6質量部、濃度8質量%のポリビニルアルコール(PVA235:株式会社クラレ製)を10質量部添加し、20質量%になるように塗布液濃度を調節し、上塗り層塗布液6を得た。
【0074】
<上塗り層塗布液7の調製>
アミド硫酸1.5質量部を分散剤とし、アルミナ水和物(DISPERAL HP14:サソールジャパン株式会社製)100質量部を濃度28質量%となるように水に分散して分散液を得た。その分散液にオルトホウ酸を0.15質量部、四ホウ酸二ナトリウム(無水)を0.15質量部、濃度8質量%のポリビニルアルコール(PVA235:株式会社クラレ製)を10質量部添加し、20質量%になるように塗布液濃度を調節し、上塗り層塗布液7を得た。
【0075】
(実施例1)
吸収性支持体上に下塗り層塗布液3をエアーナイフコーターにて固形分塗布量12.5g/mとなるように塗布、乾燥し、酢酸ナトリウムが0.154g/mとなる下塗り層を設けた。次に下塗り層上に上塗り層塗布液4をエアーナイフコーターにて固形分塗布量15g/mとなるよう塗布、乾燥し、上塗り層を設けた。次に線圧20kN/m、速度5m/minの条件で光沢発現層面が金属ロール面に2回当たるようにソフトカレンダー処理を行い、実施例1のインクジェット記録材料を得た。このインクジェット記録材料のホウ酸又はホウ酸塩含有量は0.040g/mとなる。
【0076】
(実施例2)
吸収性支持体上に下塗り層塗布液4をエアーナイフコーターにて固形分塗布量12.5g/mとなるように塗布、乾燥し、酢酸ナトリウムが0.592g/mとなる下塗り層を設けた。次に下塗り層上に上塗り層塗布液4をエアーナイフコーターにて固形分塗布量15g/mとなるよう塗布、乾燥し、上塗り層を設けた。次に線圧20kN/m、速度5m/minの条件で光沢発現層面が金属ロール面に2回当たるようにソフトカレンダー処理を行い、実施例2のインクジェット記録材料を得た。このインクジェット記録材料のホウ酸又はホウ酸塩含有量は0.040g/mとなる。
【0077】
(実施例3)
吸収性支持体上に下塗り層塗布液5をエアーナイフコーターにて固形分塗布量12.5g/mとなるように塗布、乾燥し、酢酸ナトリウムが1.854g/mとなる下塗り層を設けた。次に下塗り層上に上塗り層塗布液4をエアーナイフコーターにて固形分塗布量15g/mとなるよう塗布、乾燥し、上塗り層を設けた。次に線圧20kN/m、速度5m/minの条件で光沢発現層面が金属ロール面に2回当たるようにソフトカレンダー処理を行い、実施例3のインクジェット記録材料を得た。このインクジェット記録材料のホウ酸又はホウ酸塩含有量は0.040g/mとなる。
【0078】
(実施例4)
吸収性支持体上に下塗り層塗布液9をエアーナイフコーターにて固形分塗布量12.5g/mとなるように塗布、乾燥し、蟻酸ナトリウムが0.154g/mとなる下塗り層を設けた。次に下塗り層上に上塗り層塗布液4をエアーナイフコーターにて固形分塗布量15g/mとなるよう塗布、乾燥し、上塗り層を設けた。次に線圧20kN/m、速度5m/minの条件で光沢発現層面が金属ロール面に2回当たるようにソフトカレンダー処理を行い、実施例4のインクジェット記録材料を得た。このインクジェット記録材料のホウ酸又はホウ酸塩含有量は0.040g/mとなる。
【0079】
(実施例5)
吸収性支持体上に下塗り層塗布液10をエアーナイフコーターにて固形分塗布量12.5g/mとなるように塗布、乾燥し、プロピオン酸ナトリウムが0.154g/mとなる下塗り層を設けた。次に下塗り層上に上塗り層塗布液4をエアーナイフコーターにて固形分塗布量15g/mとなるよう塗布、乾燥し、上塗り層を設けた。次に線圧20kN/m、速度5m/minの条件で光沢発現層面が金属ロール面に2回当たるようにソフトカレンダー処理を行い、実施例5のインクジェット記録材料を得た。このインクジェット記録材料のホウ酸又はホウ酸塩含有量は0.040g/mとなる。
【0080】
(実施例6)
吸収性支持体上に下塗り層塗布液11をエアーナイフコーターにて固形分塗布量12.5g/mとなるように塗布、乾燥し、酪酸ナトリウムが0.154g/mとなる下塗り層を設けた。次に下塗り層上に上塗り層塗布液4をエアーナイフコーターにて固形分塗布量15g/mとなるよう塗布、乾燥し、上塗り層を設けた。次に線圧20kN/m、速度5m/minの条件で光沢発現層面が金属ロール面に2回当たるようにソフトカレンダー処理を行い、実施例6のインクジェット記録材料を得た。このインクジェット記録材料のホウ酸又はホウ酸塩含有量は0.040g/mとなる。
【0081】
(実施例7)
吸収性支持体上に下塗り層塗布液12をエアーナイフコーターにて固形分塗布量12.5g/mとなるように塗布、乾燥し、乳酸ナトリウムが0.154g/mとなる下塗り層を設けた。次に下塗り層上に上塗り層塗布液4をエアーナイフコーターにて固形分塗布量15g/mとなるよう塗布、乾燥し、上塗り層を設けた。次に線圧20kN/m、速度5m/minの条件で光沢発現層面が金属ロール面に2回当たるようにソフトカレンダー処理を行い、実施例7のインクジェット記録材料を得た。このインクジェット記録材料のホウ酸又はホウ酸塩含有量は0.040g/mとなる。
【0082】
(実施例8)
吸収性支持体上に下塗り層塗布液13をエアーナイフコーターにて固形分塗布量12.5g/mとなるように塗布、乾燥し、リンゴ酸ナトリウムが0.154g/mとなる下塗り層を設けた。次に下塗り層上に上塗り層塗布液4をエアーナイフコーターにて固形分塗布量15g/mとなるよう塗布、乾燥し、上塗り層を設けた。次に線圧20kN/m、速度5m/minの条件で光沢発現層面が金属ロール面に2回当たるようにソフトカレンダー処理を行い、実施例8のインクジェット記録材料を得た。このインクジェット記録材料のホウ酸又はホウ酸塩含有量は0.040g/mとなる。
【0083】
(実施例9)
吸収性支持体上に下塗り層塗布液14をエアーナイフコーターにて固形分塗布量12.5g/mとなるように塗布、乾燥し、クエン酸ナトリウムが0.154g/mとなる下塗り層を設けた。次に下塗り層上に上塗り層塗布液4をエアーナイフコーターにて固形分塗布量15g/mとなるよう塗布、乾燥し、上塗り層を設けた。次に線圧20kN/m、速度5m/minの条件で光沢発現層面が金属ロール面に2回当たるようにソフトカレンダー処理を行い、実施例9のインクジェット記録材料を得た。このインクジェット記録材料のホウ酸又はホウ酸塩含有量は0.040g/mとなる。
【0084】
(実施例10)
吸収性支持体上に下塗り層塗布液15をエアーナイフコーターにて固形分塗布量12.5g/mとなるように塗布、乾燥し、酒石酸ナトリウムが0.154g/mとなる下塗り層を設けた。次に下塗り層上に上塗り層塗布液4をエアーナイフコーターにて固形分塗布量15g/mとなるよう塗布、乾燥し、上塗り層を設けた。次に線圧20kN/m、速度5m/minの条件で光沢発現層面が金属ロール面に2回当たるようにソフトカレンダー処理を行い、実施例10のインクジェット記録材料を得た。このインクジェット記録材料のホウ酸又はホウ酸塩含有量は0.040g/mとなる。
【0085】
(実施例11)
吸収性支持体上に下塗り層塗布液4をエアーナイフコーターにて固形分塗布量12.5g/mとなるように塗布、乾燥し、酢酸ナトリウムが0.592g/mとなる下塗り層を設けた。次に下塗り層上に上塗り層塗布液3をエアーナイフコーターにて固形分塗布量15g/mとなるよう塗布、乾燥し、上塗り層を設けた。次に線圧20kN/m、速度5m/minの条件で光沢発現層面が金属ロール面に2回当たるようにソフトカレンダー処理を行い、実施例11のインクジェット記録材料を得た。このインクジェット記録材料のホウ酸又はホウ酸塩含有量は0.013g/mとなる。
【0086】
(実施例12)
吸収性支持体上に下塗り層塗布液4をエアーナイフコーターにて固形分塗布量12.5g/mとなるように塗布、乾燥し、酢酸ナトリウムが0.592g/mとなる下塗り層を設けた。次に下塗り層上に上塗り層塗布液5をエアーナイフコーターにて固形分塗布量15g/mとなるよう塗布、乾燥し、上塗り層を設けた。次に線圧20kN/m、速度5m/minの条件で光沢発現層面が金属ロール面に2回当たるようにソフトカレンダー処理を行い、実施例12のインクジェット記録材料を得た。このインクジェット記録材料のホウ酸又はホウ酸塩含有量は0.067g/mとなる。
【0087】
(実施例13)
吸収性支持体上に下塗り層塗布液3をエアーナイフコーターにて固形分塗布量12.5g/mとなるように塗布、乾燥し、酢酸ナトリウムが0.154g/mとなる下塗り層を設けた。次に下塗り層上に上塗り層塗布液3をエアーナイフコーターにて固形分塗布量15g/mとなるよう塗布、乾燥し、上塗り層を設けた。次に線圧20kN/m、速度5m/minの条件で光沢発現層面が金属ロール面に2回当たるようにソフトカレンダー処理を行い、実施例13のインクジェット記録材料を得た。このインクジェット記録材料のホウ酸又はホウ酸塩含有量は0.013g/mとなる。
【0088】
(実施例14)
吸収性支持体上に下塗り層塗布液4をエアーナイフコーターにて固形分塗布量12.5g/mとなるように塗布、乾燥し、酢酸ナトリウムが0.592g/mとなる下塗り層を設けた。次に下塗り層上に上塗り層塗布液7をエアーナイフコーターにて固形分塗布量15g/mとなるよう塗布、乾燥し、上塗り層を設けた。次に線圧20kN/m、速度5m/minの条件で光沢発現層面が金属ロール面に2回当たるようにソフトカレンダー処理を行い、実施例14のインクジェット記録材料を得た。このインクジェット記録材料のホウ酸又はホウ酸塩含有量は0.040g/mとなる。
【0089】
(実施例15)
吸収性支持体上に下塗り層塗布液19をエアーナイフコーターにて固形分塗布量12.5g/mとなるように塗布、乾燥し、酢酸カリウムが0.154g/mとなる下塗り層を設けた。次に下塗り層上に上塗り層塗布液4をエアーナイフコーターにて固形分塗布量15g/mとなるよう塗布、乾燥し、上塗り層を設けた。次に線圧20kN/m、速度5m/minの条件で光沢発現層面が金属ロール面に2回当たるようにソフトカレンダー処理を行い、実施例15のインクジェット記録材料を得た。このインクジェット記録材料のホウ酸又はホウ酸塩含有量は0.040g/mとなる。
【0090】
(比較例1)
吸収性支持体上に下塗り層塗布液1をエアーナイフコーターにて固形分塗布量12.5g/mとなるように塗布、乾燥し、アルカリ金属塩が0g/mとなる下塗り層を設けた。次に下塗り層上に上塗り層塗布液4をエアーナイフコーターにて固形分塗布量15g/mとなるよう塗布、乾燥し、上塗り層を設けた。次に線圧20kN/m、速度5m/minの条件で光沢発現層面が金属ロール面に2回当たるようにソフトカレンダー処理を行い、比較例1のインクジェット記録材料を得た。このインクジェット記録材料のホウ酸又はホウ酸塩含有量は0.040g/mとなる。
【0091】
(比較例2)
吸収性支持体上に下塗り層塗布液2をエアーナイフコーターにて固形分塗布量12.5g/mとなるように塗布、乾燥し、酢酸ナトリウムが0.123g/mとなる下塗り層を設けた。次に下塗り層上に上塗り層塗布液4をエアーナイフコーターにて固形分塗布量15g/mとなるよう塗布、乾燥し、上塗り層を設けた。次に線圧20kN/m、速度5m/minの条件で光沢発現層面が金属ロール面に2回当たるようにソフトカレンダー処理を行い、比較例2のインクジェット記録材料を得た。このインクジェット記録材料のホウ酸又はホウ酸塩含有量は0.040g/mとなる。
【0092】
(比較例3)
吸収性支持体上に下塗り層塗布液6をエアーナイフコーターにて固形分塗布量12.5g/mとなるように塗布、乾燥し、メタ珪酸ナトリウムが0.154g/mとなる下塗り層を設けた。次に下塗り層上に上塗り層塗布液4をエアーナイフコーターにて固形分塗布量15g/mとなるよう塗布、乾燥し、上塗り層を設けた。次に線圧20kN/m、速度5m/minの条件で光沢発現層面が金属ロール面に2回当たるようにソフトカレンダー処理を行い、比較例3のインクジェット記録材料を得た。このインクジェット記録材料のホウ酸又はホウ酸塩含有量は0.040g/mとなる。
【0093】
(比較例4)
吸収性支持体上に下塗り層塗布液7をエアーナイフコーターにて固形分塗布量12.5g/mとなるように塗布、乾燥し、塩化ナトリウムが0.154g/mとなる下塗り層を設けた。次に下塗り層上に上塗り層塗布液4をエアーナイフコーターにて固形分塗布量15g/mとなるよう塗布、乾燥し、上塗り層を設けた。次に線圧20kN/m、速度5m/minの条件で光沢発現層面が金属ロール面に2回当たるようにソフトカレンダー処理を行い、比較例4のインクジェット記録材料を得た。このインクジェット記録材料のホウ酸又はホウ酸塩含有量は0.040g/mとなる。
【0094】
(比較例5)
吸収性支持体上に下塗り層塗布液8をエアーナイフコーターにて固形分塗布量12.5g/mとなるように塗布、乾燥し、酢酸カルシウムが0.154g/mとなる下塗り層を設けた。次に下塗り層上に上塗り層塗布液4をエアーナイフコーターにて固形分塗布量15g/mとなるよう塗布、乾燥し、上塗り層を設けた。次に線圧20kN/m、速度5m/minの条件で光沢発現層面が金属ロール面に2回当たるようにソフトカレンダー処理を行い、比較例5のインクジェット記録材料を得た。このインクジェット記録材料のホウ酸又はホウ酸塩含有量は0.040g/mとなる。
【0095】
(比較例6)
吸収性支持体上に下塗り層塗布液4をエアーナイフコーターにて固形分塗布量12.5g/mとなるように塗布、乾燥し、酢酸ナトリウムが0.592g/mとなる下塗り層を設けた。次に下塗り層上に上塗り層塗布液1をエアーナイフコーターにて固形分塗布量15g/mとなるよう塗布、乾燥し、上塗り層を設けた。次に線圧20kN/m、速度5m/minの条件で光沢発現層面が金属ロール面に2回当たるようにソフトカレンダー処理を行い、比較例6のインクジェット記録材料を得た。このインクジェット記録材料のホウ酸又はホウ酸塩含有量は0g/mとなる。
【0096】
(比較例7)
吸収性支持体上に下塗り層塗布液4をエアーナイフコーターにて固形分塗布量12.5g/mとなるように塗布、乾燥し、酢酸ナトリウムが0.592g/mとなる下塗り層を設けた。次に下塗り層上に上塗り層塗布液2をエアーナイフコーターにて固形分塗布量15g/mとなるよう塗布、乾燥し、上塗り層を設けた。次に線圧20kN/m、速度5m/minの条件で光沢発現層面が金属ロール面に2回当たるようにソフトカレンダー処理を行い、比較例7のインクジェット記録材料を得た。このインクジェット記録材料のホウ酸又はホウ酸塩含有量は0.010g/mとなる。
【0097】
(比較例8)
吸収性支持体上に下塗り層塗布液4をエアーナイフコーターにて固形分塗布量12.5g/mとなるように塗布、乾燥し、酢酸ナトリウムが0.592g/mとなる下塗り層を設けた。次に下塗り層上に上塗り層塗布液6をエアーナイフコーターにて固形分塗布量15g/mとなるよう塗布、乾燥し、上塗り層を設けた。次に線圧20kN/m、速度5m/minの条件で光沢発現層面が金属ロール面に2回当たるようにソフトカレンダー処理を行い、比較例8のインクジェット記録材料を得た。このインクジェット記録材料のホウ酸又はホウ酸塩含有量は0.080g/mとなる。
【0098】
(比較例9)
吸収性支持体上に下塗り層塗布液16をエアーナイフコーターにて固形分塗布量12.5g/mとなるように塗布、乾燥し、四ホウ酸二ナトリウム(無水)が0.154g/mとなる下塗り層を設けた。次に下塗り層上に上塗り層塗布液1をエアーナイフコーターにて固形分塗布量15g/mとなるよう塗布、乾燥し、上塗り層を設けた。次に線圧20kN/m、速度5m/minの条件で光沢発現層面が金属ロール面に2回当たるようにソフトカレンダー処理を行い、比較例9のインクジェット記録材料を得た。このインクジェット記録材料のホウ酸又はホウ酸塩含有量は0.154g/mとなる。
【0099】
(比較例10)
吸収性支持体上に下塗り層塗布液17をエアーナイフコーターにて固形分塗布量12.5g/mとなるように塗布、乾燥し、四ホウ酸二ナトリウム(無水)が0.592g/mとなる下塗り層を設けた。次に下塗り層上に上塗り層塗布液1をエアーナイフコーターにて固形分塗布量15g/mとなるよう塗布、乾燥し、上塗り層を設けた。次に線圧20kN/m、速度5m/minの条件で光沢発現層面が金属ロール面に2回当たるようにソフトカレンダー処理を行い、比較例10のインクジェット記録材料を得た。このインクジェット記録材料のホウ酸又はホウ酸塩含有量は0.592g/mとなる。
【0100】
(比較例11)
吸収性支持体上に下塗り層塗布液18をエアーナイフコーターにて固形分塗布量12.5g/mとなるように塗布、乾燥し、酢酸ナトリウムが0.077g/m、四ホウ酸二ナトリウム(無水)が0.077g/mとなる下塗り層を設けた。次に下塗り層上に上塗り層塗布液3をエアーナイフコーターにて固形分塗布量15g/mとなるよう塗布、乾燥し、上塗り層を設けた。次に線圧20kN/m、速度5m/minの条件で光沢発現層面が金属ロール面に2回当たるようにソフトカレンダー処理を行い、比較例11のインクジェット記録材料を得た。このインクジェット記録材料のホウ酸又はホウ酸塩含有量は0.090g/mとなる。
【0101】
以上のようにして、作製した実施例及び比較例のインクジェット記録材料について、下記の試験を行った。その結果を表1に示す。
【0102】
<白紙光沢>
白紙光沢は、(株)村上色彩技術研究所製「デジタル光沢計 GM−26D型(75°−75°)」にて、ISO 8254−1に準じた測定を行った。白紙光沢50%以上であると光沢感が高く、望ましい。
【0103】
<顔料インクのインク発色性>
顔料インク大判プリンター、セイコーエプソン(株)製「PX−9000(プリンター設定:用紙種類=MC写真用紙<光沢>、印刷品質=スーパーファイン、双方向印刷=オン、カラー設定=色補正なし)」を用いて、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック各色のベタ印刷を行い、光学濃度をポータブル分光光度計・SpectoroEye(GretagMacbeth社)で測定し、各色の光学濃度の合計値により、下記の基準で評価を行った。尚、光学濃度の数値は大きい方が、良好なインク発色性であることを意味する。
○:光学濃度の合計値が8.0以上。良好なインク発色性、実用上全く問題ない。
△:光学濃度の合計値が7.0以上〜8.0未満。若干くすんだ色合いで、実用上やや問題が見られる。
×:光学濃度の合計値が7.0未満。かなりくすんだ色合いとなり、実用上もかなり問題となる。
【0104】
<染料インクのインク吸収性>
染料インク大判プリンター、セイコーエプソン(株)製「PM−10000(プリンター設定:用紙種類=フォトプリント紙、印刷品質=スーパーファイン、双方向印刷=オン、カラー設定=色補正なし)」を用いて画像を印刷し、インク吸収性について下記の基準で、総合的に評価を行った。尚、評価に用いた画像は黒、シアン、マゼンタ、イエロー、ブルー、レッド、グリーン各色のベタ印刷部及びその中に白抜き文字を設けたパターンからなる。
◎:倍率25倍の顕微鏡観察で各色のベタ印刷部境界や白抜き文字部に滲みが観察されず問題なし。
○:倍率25倍の顕微鏡観察で各色のベタ印刷部境界や白抜き文字部に僅かに滲みが観察されるが実使用上問題なし。
△:目視観察で各色のベタ印刷部境界や白抜き文字部に僅かに滲みがあり実使用困難。
×:目視観察で各色のベタ印刷部境界や白抜き文字部に明確な滲みがあり実使用不可。
【0105】
<表面亀裂観察>
インクジェット記録材料の塗層表面のひび割れの有無は、作製したインクジェット記録材料の表面を倍率100倍の顕微鏡観察により下記の基準で評価を行った。
◎:表面亀裂が、観察されず問題なし。
○:表面亀裂が、実用上問題ないレベル。
△:表面亀裂が、実使用困難なレベル。
×:表面亀裂が、特に実使用困難なレベル。
【0106】
<環境影響性>
環境負荷については下記の基準にて判定を行った。
○:インクジェット記録材料のホウ酸又はホウ酸塩含有量が0.1g/m以下。
×:インクジェット記録材料のホウ酸又はホウ酸塩含有量が0.1g/mを超えている。
【0107】
【表1】

【0108】
表1の結果から明らかなように本発明の実施例1〜15のインクジェット記録材料は、環境負荷が小さく、高い白紙光沢で表面亀裂性が良好、且つ染料インクでも優れたインク吸収性を有するインクジェット記録材料であることがわかる。実施例1及び実施例15と実施例4〜実施例10との対比から、本発明にかかるアルカリ金属塩が酢酸ナトリウム又は酢酸カリウムであるとき染料インクのインク吸収性の点でより好ましいことがわかる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸収性支持体上に、下塗り層、上塗り層が塗布されており、塗布面側のISO 8254−1による白紙光沢が50%以上のインクジェット記録材料において、下塗り層に、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸から選ばれる何れか一種以上の酸のアルカリ金属塩を0.15g/m以上含有し、上塗り層に無機微粒子、ポリビニルアルコール及び上塗り層のポリビニルアルコールに対して1〜5質量%の範囲でホウ酸を含有し、且つホウ酸又はホウ酸塩含有量がインクジェット記録材料全体で0.1g/m以下となることを特徴とするインクジェット記録材料。
【請求項2】
前記アルカリ金属塩が、酢酸ナトリウム、酢酸カリウムから選ばれる何れか一種以上である請求項1記載のインクジェット記録材料。
【請求項3】
前記上塗り層のホウ酸がオルトホウ酸である請求項1又は2記載のインクジェット記録材料。
【請求項4】
前記上塗り層のポリビニルアルコールが平均重合度2700〜5000である請求項1〜3のいずれか記載のインクジェット記録材料。

【公開番号】特開2012−210803(P2012−210803A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−2716(P2012−2716)
【出願日】平成24年1月11日(2012.1.11)
【出願人】(000005980)三菱製紙株式会社 (1,550)
【Fターム(参考)】