説明

インクジェット記録装置およびインクジェット記録方法

【課題】インクジェット記録装置において、記録する画像に応じて記録ヘッドが走査する領域幅が変化する場合でも、高速記録と高画質記録を適切に両立させる。
【解決手段】走査による吐出時間間隔の違いなどによる記録画質の低下が生じやすい走査領域の両端部について記録モードの判断を行う領域1と、その他の領域2との間で高画質モードとするか否かに関する記録ドット数の閾値を異ならせる。これにより、例えば、走査領域の端部でない領域2に、一律な判断であれば高画質記録を行うように判断される判断領域が存在しても、高画質記録とする閾値が領域1よりも高いことによって、不要な高画質記録を行わずに済む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット記録装置およびその記録方法に関し、詳しくは、複数の記録ヘッド相互の使用ノズル範囲を切り替えることにより高速記録および高画質記録の両立を実現する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、この種の技術を開示しており、ここでは、記録ヘッドの双方向の走査によって記録を行うことによって一定の高速記録を担保するとともに、この双方向記録に起因した色ムラなどを低減して高画質をも実現している。具体的には、同一の記録領域に重ねてインクを吐出し記録を行うための複数の記録ヘッドないしノズル列のノズル使用範囲を、上記同一領域に対して相互に1走査分おいてインク吐出が行われるような範囲とする。これにより、複数の記録ヘッドないしノズル列から吐出されるインクの重なり順序や吐出時間差を記録領域に係わらず一定にすることができ、上記重なり順序や吐出時間差に起因した色ムラなどを低減するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−307672号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載される技術では、実際に記録媒体に記録する画像の幅に応じて記録ヘッドの走査範囲を設定する構成に対して適切に対応できず、双方向記録による高速記録とノズル使用範囲の制御による高画質記録を良好に両立できない場合がある。例えば、記録する画像に応じて記録ヘッドが走査する領域の幅が変化すれば、それに応じて複数の記録ヘッドからの吐出時間差も変化し、順次重ねて吐出されるインクのにじみ(浸透)の程度が異なる場合がある。その結果、記録する画像の幅に応じて複数のインクを重ねて記録される画像の色味が異なることがある。特許文献1では、設定された高画質または高速の記録モードに応じて一律にノズル使用範囲を設定するものである。このため、記録ヘッドの走査領域幅の変化に起因した色味の変化に対処することができず、走査領域間で色味が異なるといった色ムラを適切に低減できない場合がある。
【0005】
なお、特許文献1には、一実施形態として、記録する画像に応じて記録ヘッドが走査する領域の幅が変化する場合に、より長い走査幅に合わせることにより各走査領域の走査時間を一定として走査領域間の色ムラを低減することが記載されている。しかし、この場合には、走査幅の短い領域についても本来の走査時間より長い時間の走査をすることになり、双方向記録による高速記録の効果が損なわれるという問題を派生する。
【0006】
本発明は、記録する画像に応じて記録ヘッドが走査する領域幅が変化する場合でも、高速記録と高画質記録を良好に両立させることが可能なインクジェット記録装置およびインクジェット記録方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は、複数のノズル列を配列した記録ヘッドを走査し、該走査の間に記録データに基づいて前記複数のノズル列におけるノズルから記録媒体にインクを吐出して記録を行うインクジェット記録装置であって、複数のノズル列が記録媒体の同じ記録領域を走査して当該記録領域にそれぞれインクを吐出するときの、複数のノズル列の吐出時間差に対応した時間差情報を、前記記録領域に対応する記録データから取得する情報取得手段と、前記記録領域に対応する記録データにおいて、所定の大きさの記録領域に対応した判断領域ごとに記録データ量を取得する記録量取得手段と、複数の記録モードの中から1つの記録モードを選択するためのモード選択情報を、前記複数のノズル列の吐出時間差に対応した時間差情報ごとに、前記判断領域における記録データ量に対応させて保持するモード選択情報保持手段と、前記モード選択情報保持手段において、前記情報取得手段が取得した時間差情報および前記記録量取得手段が取得した判断領域ごとの記録データ量に基づいてモード選択情報を選択し、該選択された記録モードで記録を実行する記録制御手段と、を具えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
以上の構成によれば、記録する画像に応じて記録ヘッドが走査する領域幅が変化する場合でも、高速記録と高画質記録を良好に両立させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】インクジェット記録装置を示す外観斜視図である。
【図2】インクジェット記録装置の制御構成を示すブロック図である。
【図3】記録ヘッドの構成を説明するための模式図である。
【図4】(a)および(b)は、本発明の第1実施形態を説明するための模式図である。
【図5】(a)および(b)は、同じく本発明の第1実施形態を説明するための模式図である。
【図6】(a)および(b)は、同じく本発明の第1実施形態を説明するための模式図である。
【図7】第1実施形態を説明するためのフローチャートである。
【図8】(a)および(b)は、第1実施形態の閾値設定の一例を示す図である。
【図9】(a)および(b)は、記録モードに応じて設定される使用ノズル範囲を示す図である。
【図10】(a)および(b)は、第1実施形態の領域の変形例を説明する模式図である。
【図11】(a)および(b)は、第1実施形態の使用ノズル範囲の変形例を示す模式図である。
【図12】(a)および(b)は、同じく第1実施形態の使用ノズル範囲の変形例を示す模式図である。
【図13】同じく第1実施形態の使用ノズル範囲の変形例を示す模式図である。
【図14】(a)および(b)は、本発明の第2実施形態を説明するための模式図である。
【図15】(a)および(b)は、同じく本発明の第2実施形態を説明するための模式図である。
【図16】(a)および(b)は、同じく本発明の第2実施形態を説明するための模式図である。
【図17】(a)および(b)は、同じく本発明の第2実施形態を説明するための模式図である。
【図18】第2実施形態を説明するためのフローチャートである。
【図19】(a)および(b)は、第2実施形態の閾値設定の一例を示す図である。
【図20】本発明の第3実施形態を説明するための模式図である。
【図21】(a)および(b)は、同じく本発明の第3実施形態を説明するための模式図である。
【図22】同じく本発明の第3実施形態を説明するための模式図である。
【図23】(a)および(b)は、同じく本発明の第3実施形態を説明するための模式図である。
【図24】(a)および(b)は、同じく本発明の第3実施形態を説明するための模式図である。
【図25】(a)および(b)は、同じく本発明の第3実施形態を説明するための模式図である。
【図26】(a)および(b)は、同じく本発明の第3実施形態を説明するための模式図である。
【図27】(a)および(b)は、同じく本発明の第3実施形態を説明するための模式図である。
【図28】(a)および(b)は、同じく本発明の第3実施形態を説明するための模式図である。
【図29】(a)および(b)は、同じく本発明の第3実施形態を説明するための模式図である。
【図30】(a)および(b)は、同じく本発明の第3実施形態を説明するための模式図である。
【図31】同じく本発明の第3実施形態を説明するための模式図である。
【図32】(a)および(b)は、第3実施形態の閾値設定の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0011】
1.記録装置構成
図1は、本発明の一実施形態に係るインクジェット記録装置の構成を示す外観斜視図である。図1に示すように、インクジェット記録装置1は、インクジェット方式に従ってインク滴を吐出する記録ヘッド3を搭載するキャリッジ2を備え、これにより、記録ヘッドを矢印A方向(以下、主走査方向とも言う)において往復移動させることができる。このキャリッジ2の移動とともに、例えば記録紙などの記録媒体Pについて、給紙機構5によって記録位置に対する給紙を行う。そして、この搬送の間に記録ヘッド3から記録媒体Pにインクを吐出することによって記録データに応じた画像の記録を行う。
【0012】
上記構成において、キャリッジ2はキャリッジモータM1の駆動力を伝達する伝達機構4の駆動ベルト7の一部に連結されており、また、ガイドシャフト13に沿って矢印A方向に摺動自在に案内支持されている。これにより、キャリッジ2は、キャリッジモータM1の正転及び逆転によってガイドシャフト13に沿って往復移動することができる。キャリッジ2には、また、記録ヘッド3に供給するインクを貯留するインクカートリッジ6も着脱自在に装着される。また、記録ヘッド3に設けられた複数の吐出口(ノズルともいう)のそれぞれに対応して電気熱変換素子(記録素子)が設けられる。これにより、この電気熱変換素子に記録信号に応じて電気エネルギーを供給することにより、対応するノズルからインクが吐出される。
【0013】
図1において、14は記録媒体Pを搬送方向(矢印B方向。副走査方向とも称する)に搬送するために搬送モータM2によって駆動される搬送ローラを示す。また、15はバネ(不図示)により記録媒体Pを搬送ローラ14に当接するピンチローラを示す。また、16はピンチローラ15を回転自在に支持するピンチローラホルダ、17は搬送ローラ14の一端に固着された搬送ローラギアをそれぞれ示す。そして、搬送ローラギア17に中間ギア(不図示)を介して伝達された搬送モータM2の回転により、搬送ローラ14が駆動される。
【0014】
さらに、20は記録ヘッド3によって画像が形成された記録媒体Pを記録装置外へ排出するための排出ローラを示し、搬送モータM2の回転が伝達されることによって回転駆動される。なお、排出ローラ20に対して記録媒体Pをバネ(不図示)の力が作用する拍車ローラ(不図示)によって当接させる。
【0015】
2.制御構成
図2は、図1に示した記録装置1の制御構成を示すブロック図である。図2に示すように、コントローラ200は、MPU201、ROM202、特殊用途集積回路(ASIC)203、RAM204、システムバス205、A/D変換器206などで構成される。ROM202は後述する記録位置調整を実行するためのプログラム等を格納ており、特殊用途集積回路(ASIC)203はキャリッジモータM1の制御、搬送モータM2の制御、及び、記録ヘッド3の制御のための制御信号を生成する。ROM202は、また、図7にて後述される処理手順のプログラムや図8(a)および(b)にて後述されるテーブルが格納されている。また、RAM204には画像データの展開領域やプログラム実行のための作業用領域等が設けられており、また、記録位置調整制御により取得された調整値を格納する。システムバス205は、MPU201、ASIC203、RAM204を相互に接続してデータの授受を行う。さらに、A/D変換器206は、以下に説明するセンサ群からのアナログ信号を入力してA/D変換し、デジタル信号をMPU201に供給する。
【0016】
図2において、210は画像データの供給源となるコンピュータ(或いは、画像読取り用のリーダやデジタルカメラなど)であり、ホスト装置と総称される。ホスト装置210と記録装置1との間ではインタフェース(I/F)211を介して画像データ、コマンド、ステータス信号等を送受信する。
【0017】
220はスイッチ群を示す。このスイッチ群220は、電源スイッチ221、プリント開始を指令するためのプリントスイッチ222、及び記録ヘッド3のインク吐出性能を良好な状態に維持するための処理(回復処理)の起動を指示するための回復スイッチ223などから構成される。230はセンサ群を示し、このセンサ群は、ホームポジションを検出するためのフォトカプラなどの位置センサ231、環境温度を検出するために記録装置の適宜の箇所に設けられた温度センサ232等から構成される。
【0018】
240はキャリッジ2を矢印A方向に往復移動させるためのキャリッジモータM1を駆動させるキャリッジモータドライバ、242は記録媒体Pを搬送するための搬送モータM2を駆動させる搬送モータドライバをそれぞれ示す。
【0019】
以上の構成により、記録装置1はインタフェース211を介して転送された記録データのコマンドを解析し、記録に用いる記録データをRAM202に展開する。ASIC203は、記録ヘッド3のインク吐出を伴う移動の際にRAM202の記憶領域に直接アクセスしながら記録ヘッドに対して記録素子の駆動データ(DATA)を転送する。
【0020】
3.記録ヘッド構成
図3(a)および(b)は、図1に示した記録装置1で用いられる記録ヘッド3のノズル列の配置を示す模式図である。図3(a)に示すように、記録ヘッド3を構成するチップ301には、4列の吐出口列(以下、ノズル列とも言う)310、311、312、313が配列されている。ノズル列310は、ブラックインクを吐出するための2560個の吐出口(以下、ノズルとも言う)302がB方向に沿って42μm間隔(吐出口配列解像度:600dpiに相当)で配列されている。ノズル列311はシアンインク、ノズル列312はマゼンタインク、ノズル列313はイエローインクをそれぞれ吐出するためのノズル列である。これらノズル列311〜313のノズル配列解像度はブラックノズル列310に等しく、また、ノズルの数は1600個である。
【0021】
これらのノズル列310〜313は、この記録ヘッドにおいて、記録ヘッドが記録装置に装着されたときに主走査方向(図中、A方向)に並ぶよう配置される。また、図3(b)により詳細に示すように、シアンインクのノズル列311(およびマゼンタ、イエローインクのノズル列)とブラックインクのノズル列310とは、それぞれの一部の吐出口である960個分の吐出口がA方向に重なるよう、図中B方向にずれて配置される。このシアン、マゼンタ、イエローインクのノズル列(以下、カラーインクのノズル列とも言う)とブラックインクのノズル列とがずれた配置を利用して、以下の各実施形態で説明されるように、ノズルの使用範囲が定められる。このノズルの使用範囲設定に際して、図2に示すコントローラ200は、各ノズル列において設定したノズルの使用範囲情報に応じて記録データを供給するノズルを変更する。
【0022】
4.実施形態1
本発明の第1の実施形態の記録方法は、図3(b)に示したブラックインクのノズル列310とカラーインクのノズル列311(代表的に参照符号「311」で示す)を備えた記録ヘッド3を往復走査させ、往復それぞれでインクを吐出して記録を行う双方向記録に関するものである。そして、本実施形態は、記録すべき画像の主走査方向(A方向)における両端それぞれから所定距離内にある領域(以下、「領域1」と言う)と、それ以外の領域(以下、「領域2」と言う)ごとに、高速記録か高画質記録かを決定する。また、この決定では、その領域の記録において形成されるブラックおよびカラーインクのドット数に応じて高速記録または高画質記録を選択する。すなわち、高速記録か高画質記録かを決定するドット数の閾値を、領域1と領域2との間で異ならせる。
【0023】
また、「高速記録」では、図9(a)に示すように、カラーノズル列311の総てのノズルを使用し、ブラックノズル列310では、カラーノズルとA方向において重なるノズルを除いた総てのノズルを使用するよう、それぞれの使用範囲を定める。そして、実際の記録動作では、先ず、図9(a)に示される、ブラックインクのノズル列310のうち使用ノズルと定められた16ノズル×10単位のノズルを用いて例えば往方向に走査を行い記録媒体に上記10単位幅の画像を記録する。そして、上記10単位幅分の記録媒体をB方向に搬送した後、カラーノズル列の使用ノズルと定められた総てのノズルを用いて復方向に走査を行い上記10単位幅の同じ領域に記録を行う。一方、「高画質記録」では、ブラックノズル列を用いた走査による記録の後、その記録幅分の記録媒体の搬送を経て1回の走査分記録が行われないようにノズルの使用範囲を定める。すなわち、図9(b)に示すように、ブラックノズル列とカラーノズル列との間で、ブラックノズル列の使用範囲と同じ範囲の不使用ノズルを定める。そして、カラーノズル列においては、上記ブラックノズル列の使用範囲と同じ範囲の使用ノズルを定める。
【0024】
なお、上述のノズルの使用範囲の設定は基本的なものであり、高速記録もしくは高画質記録が連続して選択された場合のノズル使用範囲を示しており、高速記録から高画質記録または高画質記録から高速記録への遷移する際は必ずしも上述のとおりではない。一般には、高速記録は、ある記録領域に着目したとき、ブラックインクのノズル列を用いた走査による記録の後、直後の走査でカラーインクのノズル列による記録を行うものである。一方、高画質記録は、ある記録領域に着目したとき、ブラックインクのノズル列を用いた走査による記録の後、1回以上の走査をおいて記録を行うものである。
【0025】
図4(a)、(b)、図5(a)、(b)および図6(a)、(b)は、記録すべき画像データと上記領域1、2との関係、およびこの関係に応じたノズル使用範囲を説明する図である。具体的には、図4(a)、(b)、図5(a)、(b)および図6(a)、(b)は、この順序で行われる、画像データに対する領域1、2の決定およびそれに応じた使用ノズル範囲、従って、高画質記録/高速記録の決定に関する処理を示している。
【0026】
図4(a)、(b)、図5(a)、(b)および図6(a)、(b)において、(A−1)、(B−1)、(C−1)、(D−1)、(E−1)、(F−1)は、それぞれ画像データ401を複数の判断領域402に分割した状態で示している。画像データは、600dpi(dot per Inch)の解像度の画素のデータによって構成され、図において最小の単位として示される判断領域402は、A方向に200画素、B方向に16画素の大きさを有している。A4サイズ(横8インチ)に対応する画像では、この判断領域402は横方向(A方向)に24個分となる。また、判断領域の画像における位置は、A方向についてH1〜H24、B方向についてV1〜V42の座標値によって特定される。例えば、図において一番左上の判断領域は(H1、V1)の座標によって特定することができる。
【0027】
B方向において高速記録動作時に使用する可能性のあるノズル数に対応した上記判断領域の10個分の領域(例えば、網掛けにしたH1V1〜H1V10)を「判定領域」403と言う。また、この判定領域403を1走査分まとめたもの(例えば、図4(a)において、H1V1〜H1V10〜H24V10〜H24V1で囲まれた矩形領域)を「処理領域」と言う。以下の説明では、矩形領域を座標で示す際、左上と右下の判断領域の座標で示すこととし、例えば、「H1V1〜H1V10〜H24V10〜H24V1」で囲まれた矩形領域は、「H1V1〜H24V10」と表記する。
【0028】
図4(a)、(b)、図5(a)、(b)および図6(a)、(b)では、画像データは、インクを吐出する/吐出しない、を示す記録データとして表され、このうち、インクを吐出する記録データが存在する判断領域をグレーで示す(例えば、判断領域H2V1)。
【0029】
なお、グレー領域のうち、特に、図において「×」で示される判断領域(H15V12〜H15V42)は、図7および図8(a)および(b)にて後述される処理によって、これら判断領域が領域2内に有る場合は高速記録が、領域1内にある場合は高画質記録がそれぞれ選択される領域の例として、以下の説明で用いられる。
【0030】
また、図4(b)、図5(a)、(b)および図6(a)、(b)において、(B−2)、(C−2)、(D−2)、(E−2)、(F−2)は、ノズル列310、311それぞれが対応する処理領域の画像を記録するための走査が、何番目の走査であるかを数字で示している。また、(B−3)、(C−3)、(D−3)、(E−3)、(F−3)は、上記何番目の走査かが示される走査それぞれで使用するノズル範囲を処理領域に対応させて示しており、ここでは、各ノズル列のうちハッチングを施したノズルを使用することを示している。
【0031】
以上の事項を示す図4(b)、図5(a)、(b)および図6(a)、(b)を参照して、画像データに対する領域1、2の決定およびそれに応じた使用ノズル範囲、従って、高画質記録/高速記録の判断に関する処理を以下に説明する。
【0032】
図4(a):第1記録走査の判断
図4(a)は、第1走査(以下、記録走査とも言う)で記録する画像データについて、使用ノズルの範囲、すなわち高画質記録または高速記録のいずれを実施するかを決定する処理を示している。画像データ401の第1記録走査に対応した処理領域H1V1〜H24V10のうち、インクを吐出する記録データが存在する領域H1V1〜H19V10に対して領域1、2を用い、高画質記録または高速記録のいずれを行うかを判断する。具体的には、領域H1V1〜H19V10の左右端それぞれから2インチすなわち6つの判断領域分ずつを領域1(411、413)に、残りを領域2(412)に割り当てる。このように、記録モード判断のための領域の割り当てでは、端部およびその近傍の領域を構成する「領域1」を優先する。これは、端部およびその近傍の領域では、走査幅に応じた走査時間差などに起因した画質低下を生じ易いからである。
【0033】
領域1、2の割り当てると、領域H1V1〜H19V10において、判断領域402を、B方向と逆方向およびA方向における右方向に1つずつ移動させながらその判断領域のインク吐出を示す記録データ(以下、ドットとも言う)の数をカウントする。これとともに、その判断領域402が存在する領域が領域1か領域2であるかに応じて、上記カウントしたドット数が高画質記録を実行する値になっているか否かを判断する。領域H1V1〜H19V10において判断領域402を1つずつ移動して行き、その判断領域のドット数が高画質記録を実行するドット数であるときは、第1走査では高画質記録を行うべく、高画質記録のノズル使用範囲を設定する。一方、領域H1V1〜H19V10において判断領域402を1つずつ移動して行き、最後まで高画質記録を実行するドット数の判断領域がなかったときは、第1走査では高速記録を行うべく、高速記録のノズル使用範囲を設定する。図4(a)に示す例では、高速記録であると判断され、このモードに対応するノズル使用範囲の設定が行われる。
【0034】
図4(b):第1記録走査の実施および第2記録走査の判断
図4(b)は、図4(a)にて上述したように第1記録走査で高速記録が実行されること示している。すなわち、第1記録走査では、先ずブラックインクのノズル列310を用いて領域H1V1〜H19V10に対応する記録媒体上の領域に対して一方向の走査を行い、この領域の記録を実行する。すなわち、(B−2)に示されるように、ノズル列310列における上記領域V1〜V10に対応する範囲のノズルが第1走査で用いられる。
【0035】
この記録動作とともに、第2記録走査の判断を行う。すなわち、第1記録走査に関する図4(a)にて上述したのと同様に、吐出を示す記録データが存在する領域H1V11〜H22V20に対して、領域1、2の割り当てを行う。なお、領域H1V11〜H22V20のうち、領域H22V20には記録データは存在していないが、本実施形態では矩形領域で扱う。そして、領域H1V11〜H22V20において判断領域402を1つずつ移動して行く。このときに、判断領域402が領域1または領域2のいずれかに移動して存在するかに応じて、その判断領域402でカウントされるドット数に基づき高画質記録または高速記録のいずれを行うかを判断する。図4(b)に示す例では、判断領域402が左側の領域1、その右側の領域2、そして右側の領域1に順次移動して行ってもいずれの領域でもその判断領域402で高画質記録を実行するドット数をカウントしない例であり、従って、高速記録が選択される。
【0036】
図5(a):第2記録走査の実施および第3記録走査の判断
図5(a)は、図4(b)にて上述したように第2記録走査で高速記録が実行されること示している。すなわち、第2記録走査では、先ず、第1記録動作の後、記録ヘッドに対して記録媒体を図中B方向にノズル配列の10単位分(16×10ノズルのピッチに相当)の搬送を行う。この搬送によって、ブラックインクのノズル列310は、領域H11V11〜H22V20に対応する記録媒体上の領域に対応させられる。そして、記録ヘッドを第1記録走査とは反対方向に走査を行い、ブラックインクのノズル列310によってこの領域の記録を実行する。すなわち、(C−2)に示されるように、ノズル列310列における上記領域V11〜V20に対応する範囲のノズルが第2走査で用いられる。また、同じ走査で、カラーインクのノズル列311を上記搬送によって対応させられた、領域H1V1〜H22V10に対応した記録媒体上の領域を走査しその領域の記録を実行する。つまり、(C−2)に示されるように、ノズル列311列における上記領域V1〜V10に対応する範囲のノズルが第2走査で用いられる。
【0037】
この記録動作とともに、第3記録走査の判断を行う。すなわち、吐出を示す記録データが存在する領域H1V21〜H19V30に対して、領域1、2の割り当てを行う。この割り当ても上記と同様、領域における走査方向の両方の端それぞれから判断領域分402の6つ分を領域1とし、残りを領域2とする。そして、上記と同様、領域H1V21〜H19V30において判断領域402を1つずつ移動して行く。このとき、判断領域402が領域1または領域2のいずれかに移動して存在するかに応じて、その判断領域402でカウントされるドット数に基づき高画質記録または高速記録のいずれを行うかを判断する。図5(a)に示す例では、「×」で示される判断領域の記録ドット数が、領域1で高画質記録と判断する所定値を超え、その結果、高画質記録が選択されるとともに、高画質記録用の使用ノズルの設定を行う。
【0038】
図5(b):第3記録走査の実施および第4記録走査の判断
図5(b)は、図5(a)にて上述したように第3記録走査で高画質記録が実行されること示している。第3記録走査では、先ず、第2記録動作の後、記録ヘッドに対して記録媒体を図中B方向にノズル配列の6単位分の搬送を行う。高画質記録が選択されたことから、基本的に図9(b)に示すようなノズルの使用範囲を設定する。すなわち、ブラックノズル列310とカラーノズル列311との間で、搬送方向(B方向)において6単位分の不使用範囲を設定する。これにより、この6単位幅の領域に対して、インクを吐出しない1回の走査が行われるとともに、その前後の走査でブラックノズル列310とカラーノズル列311による記録走査(インクを吐出する走査)を行うことができる。ただし、図5(b)に示す例では、その前の第2記録動作が高速記録であることから、その遷移状態を補うべくカラーノズル列311については、領域V11〜V14に対応するノズルを使用範囲とする。
【0039】
記録走査の判断に関し、上述した第3記録走査の判断で領域V30までの処理が行われているが、判断処理で高画質が選択されたためその記録走査ではB方向の領域V26まで記録が行われる。従って、第4記録走査の判断では、その処理領域は、一つ前の処理と重複する領域H1V27〜H24V36となる。重複箇所(V27〜V30)を再度処理するのは、領域1、2の位置が変化する可能性があるためである。領域H1V27〜H24V36においてインクを吐出する記録データが存在するのは総ての領域H1V27〜H24V36である。この領域に対し、両側にそれぞれ判断領域6つ分の領域1を割り当て、残りの領域に領域2を割り当てる。図5(b)に示す例では、判断領域の記録ドット数が、領域1および領域2のいずれでも高画質記録と判断する所定値(閾値)未満であり、その結果、第4記録走査では、高速記録が選択されるとともに、高速記録用の使用ノズルの設定を行う。図5(b)に「×」で示される判断領域は、その記録ドット数が、領域2用に設定された上記閾値未満である判断領域の一例を示している。
【0040】
図6(a):第4記録走査の実施および第5記録走査の判断
図6(a)は、図5(b)にて上述したように第4記録走査で高画質記録が実行されること示している。第4記録走査では、先ず、第3記録動作の後、記録ヘッドに対して記録媒体を図中B方向にノズル配列の6単位分の搬送を行う。そして、高速記録が選択されたことから、ブラックノズル列310における領域V27〜V32に対応するノズルと、カラーノズル列311における領域V15〜V20に対応するノズルを用いて記録を行う。第4記録走査は第3記録走査の高画質記録から高速記録に遷移する際の記録であることから、図9(a)に示す基本的なノズル使用範囲とは異なる。
【0041】
第5記録走査の判断では、処理領域はH1V33〜H24V42であり、前の処理と一部が重複する。インクを吐出する記録データが存在する領域は、上記処理領域と同じH1V33〜H24V42である。この領域に対し、上記と同様、領域1、領域2を割り当てる。そして、判断の結果、図6(a)に示す例では、高速記録が選択される。
【0042】
図6(b):第5記録走査の実施および第6記録走査の判断
図6(b)に示す例でも、図4(a)〜図6(a)にて上述した例と同様にして、第5記録走査の実施および第6記録走査の判断を行う。以降も同様に記録走査の実施と判断を行う。
【0043】
図5(a)〜図6(b)に示すように、本実施形態では、高画質記録が選択されたときは、ある領域に対する、ブラックノズル列310とカラーノズル列311による記録を、1回の走査をおいた記録走査によって行うことができる。これにより、双方向記録による高速記録の効果をそれほど損なうことなく高画質の記録を行うことができる。その際、本実施形態は、走査による吐出時間間隔の違いなどによる記録画質の低下が生じやすい走査領域の両端部について記録モードの判断を行う領域1と、その他の領域2との間で高画質モードとするか否かに関する記録ドット数の閾値を異ならせる。これにより、例えば、図4(b)に示す、走査領域の端部でない領域2に、一律な判断であれば高画質記録を行うように判断される「×」の判断領域が存在しても、高画質記録とする閾値が領域1よりも高いことによって、不要な高画質記録を行わずに済ませることができる。その結果、双方向記録による高速記録とノズル使用範囲の制御による高画質記録を適切に両立することができる。なお、記録ドット数をカウントしてそれを閾値と比較するのは、例えば、単位面積当たりの記録ドット数が多いほど、上述した画質の低下が顕著となるからである。
【0044】
図7は、上述した処理領域における記録モードの判断処理を示すフローチャートであり、図8(a)および(b)は、領域1および2それぞれの、記録ドット数に応じて設定された閾値を示すテーブルを示す図である。
【0045】
図7において、ステップS501では、画像データ幅取得と領域決定を行う。すなわち、図4(a)〜図6(b)にて上述したように、判断領域402の10個分に当たる領域ごとに画像データを取得することにより、処理領域ならびに判断領域の情報を決定する。次に、ステップS502では、ドットカウント値を取得する。ステップS501で決定した処理領域における判断領域402のブラックおよびカラー(シアン、マゼンタ、イエロー)の記録ドット数である、D_PigならびにD_Col、すなわちドットカウント値を取得する。処理領域の左上の判断領域から処理を開始し、以下のステップS508またはS510の判断によって判断領域位置を変えながら順次処理を行う。次に、ステップS503で、ステップS502の処理に係わる判断領域402が領域1(すなわち、記録画像端から2インチ以内)内か否かを判断する。領域1であるときはステップS504へ、それ以外の場合(領域2の場合)はステップS505へ進む。
【0046】
領域1であると判断すると、ステップS504で、図8(a)に示す領域1用テーブルから、ステップS502で取得されたドットカウント値に基づき、高画質記録とするか否かを定める閾値A_thを取得する。一方、領域2であると判断すると、ステップS505で、図8(b)に示す領域2用テーブルから、ドットカウント値に基づき、高画質記録とするか否かを定める閾値A_thを取得する。
【0047】
図8(a)は、領域1用の閾値テーブルを示し、図8(b)は領域2用の閾値テーブルを示す。それぞれのテーブルにおいて、横軸はブラックのドット数、縦軸はカラーのドット数を示す。また、このドット数は、上述してきたように、縦16画素×横200画素からなる判断領域402においてカウントされるカウント値に対応している。例えば、図8(a)に示す領域1用のテーブルによれば、(ブラックドット数、カラードット数)=(960、1280)の場合、閾値A_th=「1」が得られ、一方、図8(b)に示す領域2用のテーブルによれば、閾値A_th=「0」が得られる。このように、走査領域の端部に対応する領域1では、同じドット数でも領域2よりも高画質記録を行うための閾値を低く(より高画質になり易く)設定している。これにより、端部で顕著となる画質低下を防止することができる。
【0048】
ステップS506では、ステップS504ないしS505で得られた閾値A_thが0か否かを判断する。閾値が「0」と判断された場合は、ステップS507へ、「0ではない」と判断された場合はステップS512へ進む。
【0049】
ステップS507では、処理を実施している判断領域402で判定領域403が終了か否か、すなわち、判断領域が属する判定領域の一番下まで処理を完了したか否かを判断する。判定領域が終了している場合はステップS509へ、終了していない場合はステップS508へ進む。また、ステップS508では、判断領域402を1つ下(B方向と逆方向)へ移動させ、ステップS502へ戻る。
【0050】
ステップS509では、処理を実施している判断領域402で1走査分の処理が終了か否か、すなわち処理実施している判断領域が処理領域内左下まで終了したかを判断する。1記録走査分終了していないときはステップS510へ進む。1記録走査分(すなわち処理領域全て)を終了しているときはステップS511へ進む。このとき閾値A_thは「0」である。ステップS510では、判定領域は処理終了したが処理領域全体の処理は終了していない状態である。このため判断領域を横に移動する。より正確には現在の判断領域は判定領域の一番下にあり、1つ右の判定領域中一番上の判断領域へ移動し、ステップS502へ戻る。
【0051】
ステップS511では、次の記録走査を「高速記録動作」と判断する。これによって、当該処理領域の記録動作判断処理は終了する。一方、ステップS512では、次の記録走査を「高画質記録動作」と判断する。これによって当該処理領域の記録動作判断処理は終了する。
【0052】
なお、「領域1」、「領域2」の設定は上例に限られない。上述した例では記録データ幅に従ってそれぞれの領域を割り当てる位置を決定しているが、記録ヘッドにおいてノズル列310とノズル列311とはB方向にずれて配置されている。このため、記録データ幅と記録走査幅とは必ずしも一致しない。この点から、領域を割り当てる位置を記録走査幅に従って決定してもよい。
【0053】
また、判断領域402のサイズは、上述の例では、縦:16画素、横:200画素としたが、このサイズに限定されないことはもちろんである。
【0054】
さらに、判断を行う領域として、上述の例では「領域1」と「領域2」の2つとしたがこの例に限られないことはもちろんである。例えば、領域1、2、3、・・・というように、より細かな領域に分割してもよい。図10(a)および(b)は、領域1、領域2および領域3の3つの領域を用いる例におけるそれぞれの領域の割り当てを示す図である。この例では、「領域1」は記録すべき画像の両端部それぞれから判断領域402の4個分、「領域2」は端部からの距離で判断領域402の5個目から8個目までの4個分とし、残りを「領域3」としている。
【0055】
図10(a)に示す例は、インクを吐出する記録データが領域H1V1〜H19V10に存在する例を示し、記録データ存在する領域の横幅が十分に広いため領域は端部からの距離によって領域1〜3がそれぞれ割り当てられ、記録データが存在する処理領域内において左右対称になる。また、図10(b)に示す例は、インクを吐出する記録データがH12V1〜H19V10に存在する例を示している。この例は記録データの横幅が狭いため、端部に近い領域が優先して設定された結果全て領域1となる。端部近傍領域を優先するのは、上述したように端部ほど画質低下が生じやすいためである。例えば、端部近傍領域では、ノズル列310とノズル列311との間の吐出時間差が記録ヘッドが走査方向を反転させる時間だけであり、ノズル列310から吐出されるブラックインクとノズル列311から吐出されるカラーインクのにじみが最も顕著に発生する。また、ノズル列310とノズル列311間の吐出時間が最も短くなる領域と、B方向またはその逆方向に隣接する、ノズル列310とノズル列311間の吐出時間が最も長くなる領域と、の間で色味の差、すなわち時間差のムラが発生する。このため、端部近傍領域を記録モード判断の領域として優先する。さらに、図8(a)および(b)に示す閾値テーブルのように、領域ごとに閾値を異ならせたテーブルを用意するとともに、端部に近い領域ほど、高画質記録を選択し易い閾値の設定とする。
【0056】
記録ドットのカウントは、上述の例では記録データにおいてインク吐出を示すデータをドット値としてそのまま用いることとしているが、この形態に限定されない。例えば、特定のインク間での画質低下害が顕著に現れる場合には、特定のインクとその他のインクとの間でカウントするドット数に対して重み付けをしてもよい。
【0057】
また、高速記録と高画質記録とを切り替える際の使用ノズルの位置および範囲は、上述した例に限られないことはもちろんである。例えば、図11(a)、(b)、図12(a)、(b)および図13に示すような使用ノズルの位置および範囲であってもよい。ここで、図11(a)、(b)、図12(a)は、図5(b)、図6(a)、図6(b)に対応している。
【0058】
上述の例では、総ての記録データを取り込んだ後、判断処理の位置を移動して行く形態であるが、処理領域分の画像データを取り込み、記録データを逐次的に処理する形態でもよい。また、処理領域のB方向幅は、記録ヘッドの吐出列口数、位置関係に応じて決定することができる。上述した例では、記録走査を実施している領域の次の1走査分について判断を行うものであるが、例えば、2走査分の判断を実施してもよい。図5(b)のに示す段階で2走査後に高速記録に移行することがわかるので、図12(b)に示すように、高速記録動作へ移行する前にノズル列310の使用ノズルを一部限定することができる。これにより、図6(b)に示す例では、領域V31、V32だけ、ノズル列310とノズル列311それぞれの記録走査の間に1回の記録走査が入るところを、図13に示すように、高速記録の基本的使用ノズル範囲である、連続した記録走査で記録を行うノズル使用範囲とすることできる。
【0059】
さらに、上述の例では、1ノズル列については、1回の記録走査により画像を形成する1パス記録について説明したが、複数回の記録走査により画像を形成するマルチパス記録でも同様に本発明を適用することができる。
【0060】
5.実施形態2
本発明の第2の実施形態は、上述した第1実施形態とは異なり、記録動作を片方向の走査、例えば左から右へ向かう方向の走査でのみ記録を行う形態に関する。具体的には、画像データの走査方向における幅に応じて、高画質記録/高速記録の判断のための閾値を異ならせる形態に関する。
【0061】
図14(a)、(b)、図15(a)、(b)、図16(a)、(b)、および図17(a)、(b)は、本実施形態に係る、画像データの幅に基づく記録モードの判断と、それに応じた使用ノズル範囲を説明する図であり、図4(a)、(b)、図5(a)、(b)、および図6(a)、(b)と同様の図である。
【0062】
これらの図に示す例では、インクを吐出する記録データの領域であるグレー領域のうち、「×」で示される判断領域402は、図19(a)および(b)に示す閾値のテーブルに従えば、記録データ幅が判断領域21個分以上では高速記録を、判断領域の20個分以下では高画質記録を選択する記録ドット数の判断領域である。また、その他の判断領域は、記録データ幅の如何によらず高速記録動作を選択すべき記録ドット数の領域である。
【0063】
図18は、本実施形態に係る記録モードの判断処理を示すフローチャートであり、第1実施形態に係る図7と同様の処理を示している。図18において、図7に示す工程と同じ工程には同じ符号を付しその詳細な説明は省略する。以下では、異なる工程を主に説明する。
【0064】
図18のステップS1101で、画像データの主走査方向の幅を取得する。詳しくは、次の記録走査の使用ノズル数を判断するために処理領域の画像データを取得し、画像データの主走査方向の幅を決定する。
【0065】
次に、ステップS1102で、ステップS1101で決定した画像データ幅が、判断領域402の横幅20個分以下か否かを判断する。この判断で、記録データ幅が判断領域の20個分以下と判断したときは、ステップS1103で、ステップS1102で判断した結果に対応する、図19(a)に示す閾値テーブルを用いることを決定する。一方、ステップS1102で記録データ幅が判断領域の20個分以上と判断したときは、ステップS1104で、図19(b)に示す閾値テーブルを用いることを決定する。
【0066】
ステップS502で処理に係る判断領域402においてカウントされるドット数を取得すると、ステップS1105で、ステップS1103またはS1104で設定したテーブルにおいて、上記取得したカウントドット数に基づき、高画質記録/高速記録のいずれかを定める閾値A_thを取得する。
【0067】
図14(a)、(b)、図15(a)、(b)、図16(a)、(b)、および図17(a)、(b)は、以上の図18を参照して説明した処理の一例を示すものであり、第1の実施形態と基本的に異なる点は、画像データ幅に基づいて、高画質記録か高速記録化を判断する点である。例えば、図15(a)に示す例では、次の第3記録走査について判断が行われる。ここでは、記録データ幅が判断領域の20個分以下の場合であるから、図19(a)に示す20個分以下用の閾値テーブルが用いられる。図19(a)に示すように、記録データ幅が小さい場合は、図19(a)に示す21個分以上用の閾値テーブルと比較して、高画質記録(A_th=1)が選択され易くする。片方向記録において記録データ幅が小さいときは、ノズル列310とノズル列311との間の吐出の時間差は短くなるが、高画質記録が選択され易くなることによって、高画質記録に対応したノズル使用範囲(図9(b))が設定されることになる。これにより、1単位の記録領域に対するノズル列310とノズル列311それぞれの記録走査の間に1回のインク吐出をしない走査が置かれることになり、ノズル列間の吐出時間差が短くなることを防止でき、にじみなどの画質低下を低減することが可能となる。また、インクの重なり順序の違いによる色味の違いも解消することができる。
【0068】
なお、図19(a)、(b)に示す閾値テーブルは一例であり、この内容は、ノズル列310とノズル列311間の吐出時間差を基準として、インク間のにじみ具合に応じて設定すればよいことはもちろんである。
【0069】
6.実施形態3
本発明の第3の実施形態は、上述した2つの実施形態とは、閾値テーブルを設定する情報として、ある同じ領域をノズル列310とノズル列311とが走査する実際の時間差を用いる点が異なる。すなわち、ノズル列間の走査時間差に応じて用いる閾値を異ならせることにより、特に、画質低下が生じやすい領域で高画質記録を選択するようにする。
【0070】
図20、図21(a)および(b)、図22、図23(a)および(b)、図24(a)および(b)、図25(a)および(b)、図26(a)および(b)、図27(a)および(b)、図28(a)および(b)、図29(a)および(b)、図30(a)および(b)および図31は、本実施形態に係る、ノズル列間の走査時間差に基づく記録モードの判断と、それに応じた使用ノズル範囲を説明する図である。本実施形態では、第1実施形態と同様、双方向の走査で記録を行う。
【0071】
これらの図において、インクを吐出する記録データの領域であるグレー領域のうち、「×」で示される判断領域402は、図32(a)および(b)に示す閾値のテーブルに従えば、走査時間差(走査間時間)が10以上では高速記録を、9以下では高画質記録を選択する記録ドット数の判断領域である。また、その他の判断領域は、記録データ幅の如何によらず高速記録選択すべき記録ドット数の領域である。なお、本実施形態では、判断領域402を2個分移動させるごとに、走査時間を示す数値を1増加させ、また、記録ヘッド(ノズル列)のB方向と逆方向への移動でも走査時間を示す数値を1増加させる。また、この数値は、記録ヘッドの走査時間のある単位を示しており、数値「1」が例えば、走査時間のX秒に対応している。
【0072】
図20:第1記録走査の判断(その1)
図20は、ノズル列310の第1記録走査を同図の左から右に向かう方向で走査した場合の走査時間を、同図に示す記録データを記録する際の走査時間として示している。また、B方向と逆方向では、高速記録を選択した場合を想定しV1〜V10行それぞれに走査時間を設定する。A(左→右)方向では上述のとおり、判断領域を2個分移動させるごとに走査時間が1だけ増加する。
【0073】
図21(a)および(b)、図22:第1記録走査の判断(その2)
第1記録走査が、ノズル列310によって、図20に示された記録データおよびそのための走査時間で記録されたとして、次の記録走査時間を想定(セット)する。ノズル列310は、図20に示す場合と走査方向が反転し、この際記録媒体搬送に時間「1」が必要とする。このため、図21(a)に示すように、H22V11〜H22V20で示される判断領域それぞれに走査時間「12」をセットする。以降、図中右から左に向かう走査方向において、同様に、ノズル列310の走査時間をセットする。ノズル列311については、この走査から想定が開始され、図21(b)に示すように、H22V1〜H22V10で示される判断領域それぞれに走査時間「12」を設定し、以降左向きにノズル列310の走査時間と同じ走査時間をセットする。
【0074】
次に、図21(a)および(b)にて上述したように、ノズル列310、311それぞれについて設定(素定)した走査時間に基づき、ブラックインクのノズル列310とカラーインクのノズル列311との間の領域H1V1〜H22V10の画像データを記録する際の走査時間差(走査間時間)を求める。具体的には、図22に示すように、領域H1V1〜H22V10におけるそれぞれの判断領域402ごとに走査間時間を算出する。例えば、判断領域H1V1とH22V1の走査間時間はそれぞれ「21」と「1」となる。領域H1V1は、ノズル列310による走査時間が「1」で、ノズル列311による走査時間が「22」であると想定されることから、走査間時間(走査時間差)は「21」(=22−1)となる。他方、判断領域H22V1は、ノズル列310の走査時間が「11」で、ノズル列311の走査時間が「12」であることから、走査間時間は「1」となる。このように、走査領域の両端で走査時間差に差が生じるのは、ノズル列310とノズル列311の走査の間に、領域H1列付近では記録ヘッドの1往復の走査が必要であるのに対し、H22列付近ではB方向移動に要する時間のみであるためである。
【0075】
上述した判断領域ごとの走査間時間の算出結果に基づき、図32(a)または(b)に示す閾値テーブルのいずれかを選択し、その判断領域でカウントされる記録ドット数に応じて高画質記録(閾値「1」)または高速記録(閾値「0」)を判断する。そして、領域H1V1〜H22V10において総ての判断領域402で高速記録と判断されたときは、高速記録としてそのためのノズル使用範囲を設定する。一方、領域H1V1〜H22V10において判断領域402の1つでも高画質記録と判断されたときは、領域H1V1〜H22V10の記録は高画質記録としそのためのノズル使用範囲を設定する。図22に示す例では、高速記録が設定される。なお、図20において領域H20V1〜H22V10は空白であるのに対し、図21(a)および(b)では、同一の判断領域に数値の設定がなされている。これは、次回の記録走査の幅に影響されるためであり、A方向端部については以下でも必要に応じて同様の処理を実施する。
【0076】
図23(a)および(b)、図24(a)および(b):第1記録走査の実施および第2記録走査の判断
図23(a)に示すように、図21(a)および(b)、図22にて上述した判断に従い、領域H1V1〜H22V10に対して、ノズル列310を図中矢印の方向に走査し高速記録動作を実施する。図23(a)において、参照符号C−2、C−3によって、ノズル列310の記録走査回ならびに使用ノズル範囲が示される。
【0077】
また、図23(b)、図24(a)および(b)に示すように、上述の第1記録走査の場合と同様にして、第2記録走査用にノズル列310、311の走査時間情報を想定し、走査間時間を算出する。この例でも、高速記録動作が選択され、それに対応するノズル使用範囲が設定される。
【0078】
図25(a)および(b)、図26(a)および(b):第2記録走査の実施および第3記録走査の判断
図25(a)に示すように、図23(b)、図24(a)および(b)にて上述した判断に従い、領域H1V11〜H22V20に対して、ノズル列310を図中矢印の方向に走査し高速記録動作を実施する。また、領域H1V1〜H22V10に対して、ノズル列311を図中矢印の方向に走査し高速記録動作を実施する。図25(a)において、ノズル列310、311それぞれの記録走査回ならびに使用ノズル範囲が示される。
【0079】
また、図25(b)、図26(a)および(b)に示すように、上述の第1、2記録走査の場合と同様にして、第3記録走査用にノズル列310、311の走査時間情報を想定し、走査間時間を算出する。この例では、図26(b)に示すように、「×」で示される判断領域H15V21〜H15V30それぞれで走査間時間「9」が算出され、図32(a)に示すテーブルに従い、高画質記録が選択される。
【0080】
図27(a)および(b)、図28(a)および(b):第3記録走査の実施および第4記録走査の判断
図25(b)、図26(a)および(b)にて上述した判断に従い、ノズル列310およびノズル列311によって高画質記録を実施する。図27(a)に、ノズル列310および311による記録領域と走査方向が示される。高画質記録動作の基本使用ノズル範囲と位置は、図9(b)と同様である。このため、記録ヘッドの相対移動量はノズル列310により制限され判断領域6個分となる。これに伴い、図27(a)に示すように、吐出列口311の使用ノズル範囲は判断領域4個分となる。
【0081】
また、第4記録走査用にノズル列310、311の走査時間情報を想定する。このとき第3記録走査で使用ノズル数が制限されたため、ノズル列310の走査間時間算出およびノズル列311の走査間時間算出は、図27(b)および図28(a)に示すように、それぞれ領域H1V27〜H24V36と領域H1V15〜H24V24となる。そして、図28(b)に示すように、上記走査時間の算出結果をもとに走査間時間を算出する。また、この例でも、「×」で示される判断領域H15V21〜H15V24それぞれで走査間時間「9」が算出され、図32(a)に示すテーブルに従い、高画質記録が選択される。
【0082】
図29(a)および(b)、図30(a)および(b):第4記録走査の実施および第5記録走査の判断
図27(b)、図28(a)および(b)にて上述した判断に従い、ノズル列310およびノズル列311によって高画質記録を実施する。図29(a)に、ノズル列310および311による記録領域と走査方向が示される。すなわち、高画質記録動作が連続するため、ノズル列310、311ともに判断領域6個分のノズル使用範囲で記録動作を行う。
【0083】
また、図29(b)および図30(a)に示すように、第5記録走査用にノズル列310、311の走査時間情報を想定する。このとき、第4記録走査で使用ノズル数が制限されたため、ノズル列310の走査間時間算出およびノズル列311の走査間時間算出は、それぞれ領域H1V33〜H24V42およびH1V21〜H24V30に対して行われる。さらに、図30(b)に示すように、上記走査時間の算出結果をもとに走査間時間を算出する。この走査間時間の算出結果に基づき、図32(a)または(b)のテーブルを参照することにより、本例では高速記録動作が選択される。
【0084】
図31:第5記録走査の実施
図31に示すように、図29(b)、図30(a)および(b)にて上述した判断によって、ノズル列310およびノズル列311により高速記録動作を実施する。
【0085】
以降、同様に記録走査の実施および次回の記録走査の記録モードの判断を実施する。
【0086】
以上説明したように、本実施形態のようにノズル列それぞれの走査時間から算出される走査間時間を用いることにより、高画質記録が必ずしも必要ない領域の記録を適切に判断することができ、不要な高画質記録を行わずに済む。
【0087】
なお、上述の例における時間情報は数値であり時間そのものではないが、時間情報を時間そのものとしてもよいことはもちろんである。キャリッジ速度を25[inch/sec]とすると、本実施形態では、判断領域の横幅200画素、判断領域2つ分で数値1増加のため、数値「1」は「約17[msec](=1/(25[inch/sec]×600[dpi]×200[画素]×2×10^3))に対応する。
【0088】
例えば、プリンタドライバにおいて、「速い:CR50inch/sec」、「標準:25inch/sec」といったキャリッジ速度が異なる設定を選択でき、かつ「速い」、「標準」のいずれが選択されても、その設定において記録動作を切替える場合を考える。この場合、時間情報を数値として設定するならば、図32(a)、(b)に示す切替時間([9]以下、または[10]以上)を「速い」、「標準」の選択に応じて変更することにより、閾値設定テーブル自体を増加させることなく本発明を適用できる。キャリッジ速度が倍のとき切替閾値を半分、すなわち、「速い([9]以下、または[10]以上)」、「標準([4]以下、または[5]以上)」とすればよい。また、時間そのものとして扱う場合においては、特に何も考慮することなく対応可能である。
【0089】
本実施形態では、B方向に隣接する領域において発生する時間差ムラについては考慮していない。時間差ムラは、例えば、図28(b)に示す判断領域H1V10の走査間時間「21」に対し、判断領域H1V11では「1」が算出されている。用いるインクによっては、記録間の時間によって発色が異なり、本図のように走査間時間が大きく異なる(すなわち発色が異なる)領域がB方向に隣接すると時間差ムラが発生する。閾値テーブル選択の判断に走査間時間に加えてB方向の走査間時間差を考慮するのが効果的である。すなわち、時間差ムラも考慮する必要がある場合は、本実施形態に加えて走査間時間と走査間時間差(上記「1」と「21」の差「20」)の2つにより閾値テーブルを切り替えることがより望ましい。
【0090】
以上説明したように、本発明は、複数のノズル列が記録媒体の同じ記録領域を走査してその記録領域にそれぞれインクを吐出するときの、複数のノズル列の吐出時間差に対応した時間差情報を、上記記録領域に対応する記録データから取得する情報取得部を有する。この時間差情報としては、上述した「領域1」や「領域2」の位置情報、「記録データ幅」、あるいは「走査間時間差(吐出時間差)」である。また、上記記録領域に対応する記録データにおいて、所定の大きさの記録領域に対応した判断領域ごとに記録データ量を取得する記録量取得部を有する。そして、複数の記録モードの中から1つの記録モードを選択するためのモード選択情報(上記実施形態の閾値)を、上記複数のノズル列の吐出時間差に対応した時間差情報ごとに、上記判断領域における、記録データ量に対応させて保持する。さらに、上記モード選択情報保持手段において、取得した時間差情報および判断領域ごとの記録データ量に基づいてモード選択情報を選択し、この選択された記録モードで記録を実行する記録制御部を有する。
【0091】
また、本発明は、上記複数の記録モードは高画質記録モードを含み、上記モード選択情報の保持は、上記時間差情報に対応する吐出時間差が短いほどより少ない記録データ量で上記高画質記録モードを選択するモード選択情報を保持する。さらに、上記高画質記録モードでは、複数のノズル列のうちの2つのノズル列がそれぞれ前記記録媒体の同じ記録領域を走査する2回の走査の間に、少なくとも1回のインクを吐出しない走査が介在するよう2つのノズル列におけるノズルの使用範囲が定められる。
【0092】
以上により、記録する画像に応じて記録ヘッドが走査する領域幅が変化する場合でも、高速記録と高画質記録を良好に両立させることが可能となる。
【符号の説明】
【0093】
3 記録ヘッド
310 ブラック吐出口列(ノズル列)
311 シアン吐出口列(ノズル列)
200 コントローラ
201 MPU
202 ROM
203 ASIC
P 記録媒体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のノズル列を配列した記録ヘッドを走査し、該走査の間に記録データに基づいて前記複数のノズル列におけるノズルから記録媒体にインクを吐出して記録を行うインクジェット記録装置であって、
複数のノズル列が記録媒体の同じ記録領域を走査して当該記録領域にそれぞれインクを吐出するときの、複数のノズル列の吐出時間差に対応した時間差情報を、前記記録領域に対応する記録データから取得する情報取得手段と、
前記記録領域に対応する記録データにおいて、所定の大きさの記録領域に対応した判断領域ごとに記録データ量を取得する記録量取得手段と、
複数の記録モードの中から1つの記録モードを選択するためのモード選択情報を、前記複数のノズル列の吐出時間差に対応した時間差情報ごとに、前記判断領域における記録データ量に対応させて保持するモード選択情報保持手段と、
前記モード選択情報保持手段において、前記情報取得手段が取得した時間差情報および前記記録量取得手段が取得した判断領域ごとの記録データ量に基づいてモード選択情報を選択し、該選択された記録モードで記録を実行する記録制御手段と、
を具えたことを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項2】
前記複数の記録モードは高画質記録モードを含み、前記モード選択情報保持手段は、前記時間差情報に対応する吐出時間差が短いほどより少ない前記記録データ量で前記高画質記録モードを選択するモード選択情報を保持することを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項3】
前記高画質記録モードでは、前記複数のノズル列のうちの2つのノズル列がそれぞれ前記記録媒体の同じ記録領域を走査する2回の走査の間に、少なくとも1回のインクを吐出しない走査が介在するよう当該2つのノズル列におけるノズルの使用範囲が定められることを特徴とする請求項2に記載のインクジェット記録装置。
【請求項4】
前記時間差情報は、記録領域に対応させた記録データの両端からの距離によって定められる領域の位置情報であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
【請求項5】
前記時間差情報は、記録ヘッドの走査領域の両端からの距離によって定められる領域の位置情報であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
【請求項6】
前記時間差情報は、記録領域に対応させた記録データの走査方向の幅であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
【請求項7】
前記時間差情報は、記録ヘッドの走査領域の幅であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
【請求項8】
前記時間差情報は、前記記録媒体の同じ記録領域を走査して当該記録領域にそれぞれインクを吐出するときの、複数のノズル列の吐出時間差であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
【請求項9】
複数のノズル列を配列した記録ヘッドを走査し、該走査の間に記録データに基づいて前記複数のノズル列におけるノズルから記録媒体にインクを吐出して記録を行うためのインクジェット記録方法であって、
複数のノズル列が記録媒体の同じ記録領域を走査して当該記録領域にそれぞれインクを吐出するときの、複数のノズル列の吐出時間差に対応した時間差情報を、前記記録領域に対応する記録データから取得する情報取得工程と、
前記記録領域に対応する記録データにおいて、所定の大きさの記録領域に対応した判断領域ごとに記録データ量を取得する記録量取得工程と、
複数の記録モードの中から1つの記録モードを選択するためのモード選択情報を、前記複数のノズル列の吐出時間差に対応した時間差情報ごとに、前記判断領域における記録データ量に対応させて保持するモード選択情報保持手段を用意する工程と、
前記モード選択情報保持手段において、前記情報取得工程で取得した時間差情報および前記記録量取得工程で取得した判断領域ごとの記録データ量に基づいてモード選択情報を選択し、該選択された記録モードで記録を実行する記録制御工程と、
を具えたことを特徴とするインクジェット記録方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図18】
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【図19】
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【図32】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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