説明

インクジェット記録装置とそのインク吐出回復方法

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、インクタンクからインクを供給されて記録処理をなしうるインクジェット記録装置とそのインク吐出回復方法の技術分野に属するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の装置としては、例えば特開平9−29991号公報(公知例1)のものが開示されており、その要点はインク補給タンク14からインクを補給される印字タンク1を往復移動可能に装備させ、インク量を検出するセンサ9、10の出力によりインク補給ノズル17を操作してインクの補給を行うものである。
【0003】又、例えば特開平9−11489号公報(公知例2)のものは記録ヘッド10とインクタンク11とを一体化したカートリッヂ1をキャリッヂ2上に装着し、記録操作するものであってインクタンク11内の負圧力によりプールタンク9からインクを補給させるものである。
【0004】更に、特開平2−63746号公報(公知例3)のものはサブタンク103内を減圧させ、サブタンク103に連結したメインタンク118からインクの補給を行うものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】前記の公知例1乃至3のものにあっては補給タンクからサブタンクへインクを補給して長期にわたって記録処理に供しうるようにしたものであるが、尚改善が望まれる不具合が残されていた。
【0006】即ち、公知例1のものにあってはインクの重力(水頭差)を利用して補給を行うものであるから補給速度が遅いばかりでなく、補給タンク14内のインクを使い切ることは困難であり、又インクの補給中において記録ヘッドには水頭差分の正圧が作用することになり、ノズルからインク漏れを発生するおそれがあった。
【0007】又、公知例2のものでもヘッドのインク吐出口から吸引してインク補給を行うものであるため、吐出口からインクが排出される一方で補給が行われ、補給速度が低下することは回避出来なかった。
【0008】更に、公知例3のものではサブタンク内へインクが記録ヘッドから逆流し、記録処理に支障を来すおそれがあった。
【0009】この発明が解決しようとする第1の課題点は、公知例1乃至2のものの不具合を解消し、円滑にインクの補給をなしうるものを提供することである。
【0010】この発明が解決しようとする第2の課題点は、第1のタンクにインクを補給する際に記録ヘッドからインク室方向へインクが逆流するおそれがないものを提供することである。
【0011】この発明が解決しようとする第3の課題点は、第1のタンクにインクを補給し、もしくは記録ヘッドの回復処理をなしうるものを提供することである。
【0012】この発明が解決しようとする第4の課題点は、第1のタンクのインクに空気が混入されるのを未然防止して有効に記録ヘッドを回復処理しうるものを提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】前記の各課題点を解消しうるこの発明の具体的な対応手段は次の如くである。
【0014】(1) 記録ヘッドを備えた第1のタンクと当該第1のタンクにインクを補給しうる第2のタンクとを装着可能としたインクジェット記録装置におけるインク吐出回復方法であって、予め第1のタンクからインクを排出し、第2のタンクから第1のタンクにインクを補給した後、第1のタンクの記録ヘッドにおけるインクの吐出回復処理を実行するようにしたインク吐出回復方法。
【0015】
【0016】
【0017】
【0018】
【0019】
【0020】
【0021】
【0022】
【0023】
【0024】
【0025】
【0026】即ち、この発明によれば第1のタンクに円滑にインクの補給が出来るばかりでなく、空気が混入されるのを阻止して効果的に記録ヘッドを回復処理しうるものである。
【0027】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0028】(実施の形態1)
1.手段1−1.全体装置図1に示すこの実施の形態のフルカラーインクジェットプリンタ等の記録装置(以下プリンタ)1000については、このプリンタ1000上のプリント部にイエロー、シアン、マゼンタ及びブラック等のインクを供給しうる可動状の第1のタンク1100と、第1のタンク1100にインクを補給しうる固定状の第2のタンク1200とを連通手段1300によって連通させて装填可能に構成しており、後述する補給手段1400によって第1のタンク1100を減圧させて第2のタンク1200から第1のタンク1100へインクを補給しうるようになしている。
【0029】1−2.各部の構成1−2−1.第1のタンク1100図2及び図3に示す第1のタンク1100はその一例であってケース1101内には注入ニードル1102を経て第2のタンク1200からインクを注入されうるインク室1103を形成すると共に、隔壁1104で仕切られた記録ヘッド1105を形成しており、ノズル1106からインク滴を吐出しうるものであり、隔壁1104の開閉孔1107は逆流防止弁1109によって開閉可能に構成している。
【0030】逆流防止弁1109は隔壁1104に対し、ある差圧が生じると開閉孔1107が開くよう構成されたもので、例えば特開平8−174860号がその1つの実施例である。
【0031】又、インク室1103の頂部に開放された吸引通路1110に続く吸引口1111を記録ヘッド1105のノズル1106に隣接させて開放させており、ノズル1106と吸引口1111とは後述する回復手段1500及び補給手段1400に臨ませうるものである。
【0032】図3において1112、1113、1114はインク上限、下限検出用及び共通の電極ピンであり、電極間の抵抗値により第1のタンク内のインク残量の上下限を検出するものである。
【0033】1−2−2.第2のタンク1200図1及び図4に示すように第2のタンク1200は第1のタンク1100に対応するように各インクを個別的に収容したインク袋1201を外箱1202内に収容させ、そのノズル1203を後述する連通手段1300に連結可能としている。
【0034】1−2−3.連通手段1300図2及び図3に示す第1、第2のタンク1100、1200を連通させる連通手段1300は、第1のタンク1100に突設した注入ニードル1102を、往復連結具1301のゴムシール1302に突入可能に対向させ、ラック歯1303を歯輪1304に係合させており、連通ノズル1305に嵌着させた可撓性のチューブ1306の他端を第2のタンク1200のノズル部1203に挿着して第1、第2のタンク1100、1200を連結可能としている。
【0035】1307は、歯輪1304を旋回させるリバーシブルモータである。
【0036】1−2−4.補給手段1400第1のタンク1100の吸引口1111に図示していない駆動機構によって係合しうる吸引口キャップ1503をベース1501上に設け、これに連結された補給パイプ1401は排インク吸収材1506に連通させると共に、この補給パイプ1401上にインク室1103を減圧する補給ポンプ1402を配設したものである。
【0037】1−2−5.回復手段1500図1乃至図3に示すようにノズル1106のインク滴吐出を回復させるためにベース1501上にはノズルキャップ1502を配設すると共に、その側部にはノズルクリーナ1504並びに吸引口クリーナ1505を連設しており、ノズルキャップ1502を排出パイプ1508を介して排インク吸収材1506に連通させると共に、排出パイプ1508上には回復ポンプ1507を配設してインクを吸引しうるように構成している。
【0038】1−2−6.キャリッヂ1600図1に示すキャリッヂ1600はプリンタ1000のフレーム1001に横架したガイド軸1002上に図示しない駆動手段により記録位置もしくは補給・回復位置へ駆動される駆動ベルト1003によって往復移動可能としており、その側枠1601と底枠1602によってコ字形状に形成し、側枠1601間に第1のタンク1100を挿着可能とすると共に、底枠1602の開放部(図示略)から第1のタンク1100のノズル1106並びに吸引口1111を露呈させインク補給位置もしくは回復位置に選択的に臨ませうるように構成している。
【0039】1−2−7.ポンプ(補給ポンプ1402、回復ポンプ1507)P図5に示すように支持枠P1 に軸支した駆動軸P2 上に回転板P4 を固設し、回転板P4 上に遊着した一対のローラP5 の外周を回転板P4 の外周の外側に部分的に突出させて配置し、ガイド枠P6 に沿って誘導されたチューブP7 内でインクを給送可能としており、図示しない駆動手段によって駆動軸P2 を旋回させてチューブP7 を押圧するローラP5 の位置を変更させてチューブP7 の偏平化される位置を移動させてインクもしくは空気を給送しうるように構成したものである。
【0040】2.作用2−1.記録行程このプリンタ1000による記録行程については、図示しない操作手段をオペレータによって操作して記録動作を指令すると、ガイド軸1002上で矢印イ−イ’方向に適宜キャリッヂ1600が移動され、記録位置(X)において記録紙S上の所要の位置に臨まされた第1のタンク1100の記録ヘッド1105により円滑に記録処理が実行されるものであり、記録装置停止中はキャリッヂ1600はホーム位置(H)に停止して、ノズル1106及び吸引口1111は各々ノズルキャップ1502及び吸引口キャップ1503によってキャッピングされる。
【0041】2−2.インク補給行程次に、記録処理の継続によって第1のタンク1100内のインクが消費され、第2のタンク1200からインクの補給を行う場合については、図6のフローチャートをも参照してその手順を説明する。
【0042】即ち、第1のタンク1100の下限検出用の電極ピン1113によりインク室1103内のインクの消費が検出され、インク補給指令が操作されると、まずキャリッヂ1600位置が検出され、インク補給位置にあるか否かが判定され(S1)、ホーム位置(H)になければガイド軸1002上でキャリッヂ1600をホーム位置(H)に移動させて第1のタンク1100の注入ニードル1102を連通手段1300の往復連結具1301に整列させる(S2)。
【0043】尚、ここではホーム位置(H)とインク補給位置は同位置である。
【0044】この状態で吸引口1111と吸引口キャップ1503を経口させた後、補給手段1400の補給ポンプ1402を駆動させる(S3)。
【0045】この場合、図5に示す回転板P4 と共に、ローラP5 が回動され、ガイド枠P6 上でチューブP7 が脈動状に変形され、作動時間(Tb)を経る。
【0046】次いで、連通手段1300のリバーシブルモータ1307を始動させて歯輪1304を旋回させ、往復連結具1301上に設けたゴムシール1302を矢印(ロ)方向に前進させてニードル1102を挿入させることによって第1と第2のタンク1100、1200を接続する(S5)。
【0047】接続に際し、第1のタンク1100に連通した補給ポンプ1402は既にTb時間動作状態にあるから、ゴムシール1302が開放されても第2タンク1100側へインクが逆流して空気が侵入することがなく、スムーズにインクの補給が開始される。
【0048】第1のタンク1100が減圧状態となって、第2のタンク1200からチューブ1306を経由してインクを第1のタンク1100内に補給するものであるが、この場合のインク補給量についてはインク室1103内のインクが上限検出用の電極ピン1112によって検出されてインク量の上限が検知されると(S6)、リバーシブルモータ1307を作動させて往復連結具1301を矢印(ロ’)方向に後退させてゴムシール1302をニードル1102から離脱させることによって第1と第2のタンク1100と1200とを分離させる(S9)。
【0049】更に、所要の時間Taにわたってポンプ1402を駆動させた後(S10)、停止させる(S11)。
【0050】これによって、第1のタンク1100のインク室1103内と吸引口1111間の通路及びニードル1102にインクが残っていたとしても時間Ta中に取り除くことが出来、目詰まり等を防止出来、記録処理のために待機することとなる。
【0051】又、インク室1103内のインク量が所要の補給時間TSにわたってインクの補給が継続されるても上限値に未達である限りは、第2のタンク1200内のインク不足を示すエンプティ信号を出し、次いで第1と第2のタンク1100、1200を分離させ(S9)、第2のタンク1200の交換を待つことになる。
【0052】尚、このインクの補給に際してはインク室1103は隔壁1104によって記録ヘッド1105と区画され、開閉孔1107は逆流防止弁1109によって閉止されているのでインクは逆流することがなく、安全に補給しうるものである。
【0053】又、インク補給中にはノズル1106はキャップ1502でキャップされているため、インク補給中にノズル1106内のインク粘度の上昇を抑えうるようになっている。
【0054】更に、ポンプ1402を廃インク吸収材1506に連通させたことでインクしぶきの流れ込みやインク量上限検出の万一のトラブル時のオーバーフローがあっても被害を最小限に抑えることが出来るようになっている。
【0055】2−3.回復行程次に、記録ヘッド1105の回復処理について図7をも参照して説明する。
【0056】即ち、オペレータ又は予め定められたようにシーケンスに基づいて発生する回復処理指令に基づいてキャリッヂ1600がホーム位置(H)に配置されているか否かを検出し(K1)、ホーム位置(H)へ移動させるが(K2)、その動作については前記したS1、S2と同様であるから重ねての説明は省略する。
【0057】次いで、電極ピン1112によって検出された第1のタンク1100のインクのフルから吐出及び回復動作による消費量を差し引いたインク残量と回復動作に必要なインク消費量を比較し(K3)、回復動作のインク消費量が小であれば回復動作が指令され(K6)、ポンプ1507が始動され、ノズルキャップ1502においてノズル1106に負圧を与えて記録ヘッド1105を回復処理させ、次いで記録位置(X)へ移動させるものである(K7)。
【0058】又、インク残量が回復動作消費量以下であればインクを第2のタンク1200から補給し(K4)、電極ピン1112で検出されるまで補給済みか否かを検出し(K5)、補給が完了していれば回復動作に入るものである(K6)。
【0059】以上により、第1のタンクのインク残量不足に起因して回復動作中に記録ヘッド内へ気泡を入れてしまうことを回避出来る。
【0060】(実施の形態2)図8に示す実施の形態の特徴点は、第1のタンク2100にインクを補給する補給位置(Y)と、ノズルからのインク滴吐出を回復させるための回復位置(Z)とを併設した点である。
【0061】3−1.各部の構成即ち、補給位置(Y)における補給手段2400の第1のベース2401には有底状のノズルキャップ2402と補給ポンプ2404に連通された吸引口キャップ2403を設け、回復手段2500の第2のベース2501には回復ポンプ2506に連通されたノズルキャップ2502と有底状の吸引口キャップ2503を設けたものであって、その他の構成については実施の形態1と共通しているので必要に応じて2000番台の符号により説明する。
【0062】従って、第1のタンク2100は補給位置(Y)においてインクを補給され、又回復位置(Z)においてはノズル2106を回復処理されるものであって、その詳細な内容は以下の如くである。
【0063】3−2.記録行程前記2−1項における「ホーム位置(H)」を「補給位置(Y)もしくは回復位置(Z)」と読み替える以外は同項の記載と共通する。
【0064】3−3.インク補給行程前記2−2項における「ホーム位置(H)」を「補給位置(Y)もしくは回復位置(Z)」と読み替える以外は同項の記載と共通する。
【0065】3−4.回復行程ところで、ヘッド2105内の小さな気泡の除去、粘度アップしたノズル部インクの除去、ノズル口に付いた紙粉やケバの除去に起因する吐出不良を回復するには、ノズル2106から吸引ポンプ(Pr)2506で回復させるが、この場合、第1のタンク2100にインクが不十分であると空気が侵入するおそれがあるので、予めインク補給後に回復動作を行うことが望ましい。
【0066】又、第1のタンク2100中のインクにある泡は浮力で上昇してインクの表面にあることが多く、キャリッヂ2600の加減速を伴う移動によってインク表面(空気との界面)は波立ち、気泡を巻き込んだり、泡立てたりして結果、表面付近に気泡が多いが、このインク表面付近の気泡をヘッド側へ吸い込まないよう、まず第1のタンク2100を脱気処理済みのインクで満たしてヘッド2105から気泡等を遠ざけた状態で回復動作を行うのが良いものである。
【0067】この点、回復行程は以下に説明する如くに少なくとも3種類の行程が挙げられる。
【0068】3−4−1.回復行程(1)
図9に示すように、オペレータ又は予め定められたようにシーケンスに基づいて発生する回復信号に基づいてキャリッヂ2600が位置(Y)に配置されているか否かを検出し(L1)、補給位置(Y)へ移動させるが(L2)、その動作については前記したS1、S2と同様であるから重ねての説明は省略する。
【0069】次いで、吸引口2111を吸引口キャップ2403に密接させ(L3)、補給ポンプ(PS)2404を動作させ(L4)、所定時間(Tb)が経過し(L5)、第1のタンク2100内の減圧状態が所定のレベルに達した状態でリバーシブルモータ2307を作動させてゴムシール2302をニードル2102に係合させて第1のタンク2100と第2のタンク2200を接続する(L6)。
【0070】かくして第1のタンク2100にインクが補給され、上限検出用の電極ピン2112によってインクが十分に補給されたことが検出されると(L7)、ゴムシール2302を後退させて第1のタンク2100と第2のタンク2200とを分離する(L8)。
【0071】次いで、所定時間(Ta)経過後に(L9)、補給ポンプ(PS)2404を停止させると共に(L10)、吸引口2111を吸引口キャップ2403から離脱させ(L11)、第1のタンクを回復位置(Z)に移動させ(L12)、ノズル2106をノズルキャップ2402に密接させる(L13)。
【0072】この状態で、吸引時間に相当する所要回復時間(TR)にわたって回復ポンプ(Pr)2506を作動させてノズル2106を回復処理させ(L14)、回復動作を完了するものである。
【0073】次いで記録位置(X)へ復帰させ、記録動作をなしうるものである。
【0074】尚、図9においてTs時間補給しても第1のタンク2100のインク量が上限に達しない場合には図6に示すフローと同様にS7〜S11の行程を実行し、第2のタンク2200のエンプティ信号を表示し(S8、S13)、交換が完了すると再びL4の行程に復帰させ、引き続いて回復処理に係わるようにしている。
【0075】3−4−2.回復行程(2)
第1のインクタンク2100に供給されるインクは予め十分に脱気処理し、溶け込んだ空気量を少なくしておくことが良質のプリント処理には不可欠であるが、止むを得ず使用中の第1のインクタンク2100もしくはその流路中のインクについては気泡が溶け込み、又乾燥によって粘度が上昇して回復処理に支障を来すおそれもあった。
【0076】そこで、図10に示す回復行程の特徴点は、第1のタンク2100の回復動作前にその最小量(下限値)まで予めインクを排出し、次いで第2のタンク2200から最大量(上限値)までインクを補給した後に、回復動作を実行する点であり、その他の点では実施の形態2と共通している。
【0077】即ち、図10に示すようにその回復行程は、回復信号によりキャリッヂ2600が回復位置(Z)に移動され(M1)、次いで吸引口キャップ2503に吸引口2111を当接させ(M2)、回復ポンプ(PS)2506を動作させ(M3)、第1のタンク2100からその下限値までインクを排出させて十分空虚にさせる(M4)。
【0078】その後、第1のタンク2100を補給位置(Y)に移動させて第2のタンク2200から上限値までインクを補給した後、再度回復動作を実行するものであるが、回復行程(1)と共通するのでその説明は省略する。
【0079】従って、この回復行程(2)によれば、第1のタンク2100内の残留インクは十分に排出され、脱気処理されたインクが第2のタンク2200から大量に供給されることとなって、プリント処理並びに回復処理を有効に実効出来るものである。
【0080】3−4−3.回復行程(3)
この回復行程の特徴点は、通常の回復処理によっては十分な回復状態を達成することが出来ない場合の回復処理行程とした点である。
【0081】即ち、図11に示すように回復信号によって前回の回復動作後の印刷ライン数がP1以上であるかを検出し(N1)、P1以上であれば回復動作(1)を実行し(N2)、終了する。
【0082】P1未満であれば、前々回回復動作からの印刷ライン数がP2以上であるかを検出し(N3)、P2以上であれば回復動作(2)を実行し(N4)、終了する。
【0083】しかしながら、P2未満であれば回復動作(3)を実行し(N5)、終了する。
【0084】ここで、回復動作(1)とは回復行程(1)における図9に示すものである。
【0085】ここで、回復動作(2)とは回復行程(1)における図9に示すものにおいて回復ポンプの動作時間TRより長いTR2を設定した場合である。
【0086】ここで、回復動作(3)とは回復行程(2)における図10に示すものである。
【0087】又、印刷ライン数P1は例えば60、P2は100であるがP1及びP2を印刷ライン数の代わりに、印刷負数、印刷文字数、印刷時間等を設定することも出来る。
【0088】この実施の形態によれば、記録装置停止中はキャリッヂは回復位置(Z)に停止しており、ノズルにはノズルキャップ2502が、吸引口2111には吸引口キャップ2503が施される。
【0089】記録停止中、記録ヘッド2105のノズル2106のみならず吸引口2111にもキャップが実施されるので、吸引口2111から乾燥するのを防止することが出来る。
【0090】又、装置を逆さまにした時等、吸引口2111からのインク漏れを防止出来る。
【0091】又、この実施の形態によれば、補給動作中ノズル2106は有底状のキャップ2402でカバーされ、回復動作中には吸引口2111が有底状のキャップ2503でカバーされ、補給及び回復動作中での乾燥防止や空気の逆流を防止出来る。
【0092】更に、インク補給時のみ移動する補給位置(Y)を外方に配置することで通常は回復位置(Z)への移動のみで良く、スループットの低下を防止している。
【0093】
【発明の効果】以上説明したこの発明による特有の効果は次の通りである。
【0094】■ 第1のタンクに第2のタンクからタイムリにインクを補給し、長期にわたって記録処理を供しうるものである。
【0095】■ 第1のタンク内を減圧してインク補給を行う際に記録ヘッドからインク室方向にインクが逆流されることがなく、空気の混入等による記録不良等が発生するおそれがない。
【0096】■ 第1のタンク内のいんくに空気が混入しないようにして記録ヘッドを効果的に回復処理を施し、高品質な記録処理をなしうるものである。
【0097】■ 第1のタンク内のインクにおける粘度の上昇による記録ヘッドの回復処理での不具合を防止しうるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態1のインクジェット記録装置の斜視図。
【図2】図1の要部の斜視図。
【図3】図1の第1のインクタンクと補給手段並びに回復手段の一部側面図。
【図4】図1の第1及び第2のタンクと連通手段の側面図。
【図5】図1のポンプの側面図。
【図6】図1のインク補給動作のフローチャート。
【図7】図1の記録ヘッドの回復動作のフローチャート。
【図8】この発明の実施の形態2のインクジェット記録装置におけるインク補給・回復手段を示す斜視図。
【図9】図8の記録ヘッドの回復行程(1)のフローチャート。
【図10】図8の記録ヘッドの回復行程(2)のフローチャート。
【図11】図8の記録ヘッドの回復行程(3)のフローチャート。
【符号の説明】
1000 インクジェット記録装置
1100(2100) 第1のタンク
1103 インク室
1104 隔壁
1105(2105) 記録ヘッド
1106(2106) ノズル
1109 逆流防止手段
1111(2111) 吸引口
1200(2200) 第2のタンク
2402、2502 ノズルキャップ
2403、2503 吸引口キャップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】 記録ヘッドを備えた第1のタンクと当該第1のタンクにインクを補給しうる第2のタンクとを装着可能としたインクジェット記録装置におけるインク吐出回復方法であって、予め第1のタンクからインクを排出し、第2のタンクから第1のタンクにインクを補給した後、第1のタンクの記録ヘッドにおけるインクの吐出回復処理を実行するようにしたインク吐出回復方法。

【図1】
image rotate


【図2】
image rotate


【図3】
image rotate


【図4】
image rotate


【図5】
image rotate


【図6】
image rotate


【図7】
image rotate


【図8】
image rotate


【図10】
image rotate


【図11】
image rotate


【図9】
image rotate


【特許番号】特許第3478127号(P3478127)
【登録日】平成15年10月3日(2003.10.3)
【発行日】平成15年12月15日(2003.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平10−175341
【出願日】平成10年6月9日(1998.6.9)
【公開番号】特開平11−348315
【公開日】平成11年12月21日(1999.12.21)
【審査請求日】平成14年10月24日(2002.10.24)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【参考文献】
【文献】特開 平10−128999(JP,A)
【文献】特開 平9−20013(JP,A)
【文献】特開 平8−11319(JP,A)