インクジェット記録装置及びインクジェット記録方法
【課題】 搬送可能な最大幅の記録媒体の幅よりも、記録ヘッドの幅の方が広い場合に、記録ヘッド全域の吐出口に対応した記録画像に補正を行うことができない。
【解決手段】 記録ヘッドの全域ではなく一部を用いて、複数回補正用テストパターンを記録し、その測色結果に基づいて、全域の吐出口に対応した画像を補正するための補正データを生成する。これにより、記録ヘッド全域の吐出口に対して記録すべき画像データの補正を行うことが可能である。
【解決手段】 記録ヘッドの全域ではなく一部を用いて、複数回補正用テストパターンを記録し、その測色結果に基づいて、全域の吐出口に対応した画像を補正するための補正データを生成する。これにより、記録ヘッド全域の吐出口に対して記録すべき画像データの補正を行うことが可能である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクを吐出して記録媒体に画像を記録し、記録した画像の測色結果に基づいて補正データを生成するインクジェット記録装置及びインクジェット記録方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複数のインク吐出口(ノズル)を有する記録ヘッドを備えたインクジェット記録装置では、ノズルが持つ吐出特性のばらつきによって、記録画像に濃度ムラ(濃度不均一)が生じる。記録媒体の所定領域に対して記録ヘッドを複数回走査させて画像記録を行うシリアルスキャン方式の場合は、いわゆるマルチパス記録によって比較的容易に濃度ムラを回避することが可能である。一方、用紙幅に対応したノズル列を有する広幅ラインヘッドを用いて1回の走査で画像記録を行うラインヘッド方式のシングルパス記録では、濃度ムラを回避することが困難である。
【0003】
このラインヘッドを用いる記録において画像品質を向上させるためには、濃度均一特性を正しく測定、解析し、その結果に基づいて記録時の補正(出力補正)を行う事が重要である。具体的には、各ノズルを用いたテストパターンを記録し、画像解析により濃度を測定して記録濃度を把握することで、高品位な画像を提供する技術である。このような技術として、特許文献1には、各インク吐出ノズルから吐出されるインク量情報を取得し、インク量情報に応じて記録ドット数を変調するヘッドシェーディング技術が記載されている。また、特許文献2には、異常ノズルを検出し、異常ノズルを避けて使用することで均一性を保つ技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−13674号公報
【特許文献2】特開2000−334935号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述したノズルの吐出特性のばらつきによって生じる記録画像の濃度ムラに対して補正を行うためには、使用する記録媒体に補正用テストパターンを記録し、補正データを生成するための濃度データを取得する必要がある。このとき、使用可能な記録媒体の大きさには制約があり、記録ヘッドの全てのノズルを補正するための濃度データを一度に取得することができない場合がある。これについて以下に説明する。
【0006】
図1は、記録ヘッドと記録媒体の模式図である。本図において、記録媒体の搬送方向をx方向、記録ヘッドのノズル列方向をy方向とする。111はインクジェット記録ヘッドであり、構成や制御の詳細は後述する。112、113は記録媒体であり、y方向の幅は扱う商材等により変更される。この記録ヘッド111は、記録媒体の幅よりも広い領域を記録可能となっている。これは、記録媒体の全域を記録する所謂「縁なし記録」を行う場合や、記録媒体の搬送条件の誤差、記録媒体の幅の製造公差などを考慮したことによる。このため、記録ヘッド111のノズル幅は、通紙可能な記録媒体の最大の幅(最大保証幅)よりも長く設計されている。
【0007】
一方、前述した理由により、記録ヘッド111のノズルに対応する画像データに対して補正を行う必要があり、補正用テストパターンを記録、測色して濃度データを得る。記録ヘッドのノズル幅が最大保証幅よりも大きい場合、一回の記録では、この最大保証幅に対応したノズル分しか濃度データを得ることができない。記録媒体の搬送条件の誤差により補正を行ったノズルと記録媒体の位置が合わない場合や、縁なし記録を行う場合を考慮すると、最大保証幅に対応したノズルにのみ補正を行うのでは不十分であるという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明は、インクを吐出するための複数の吐出口が所定方向に沿って配列された記録ヘッドを、記録媒体に対して前記所定方向と交差する方向に相対走査させながらインクを吐出して前記記録媒体に画像を記録するインクジェット記録装置であって、前記記録ヘッドの複数の吐出口のうち、一方の端部から連続する、前記複数の吐出口より少ない数の吐出口で構成される第1の吐出口群を用いて第1の補正用テストパターンを記録する第1の補正用テストパターン記録手段と、前記記録ヘッドの複数の吐出口のうち、前記第1の吐出口群の一部の吐出口と前記第1の吐出口群に含まれない吐出口とからなり、前記所定方向に連続する複数の吐出口で構成される第2の吐出口群を用いて第2の補正用テストパターンを記録する第2の補正用テストパターン記録手段と、前記第1の補正用テストパターンの測色結果と、前記第2の補正用テストパターンの測色結果とに基づき、前記第1の吐出口群及び第2の吐出口群からなる吐出口に対応した前記画像データを補正するための補正データを生成する補正データ生成手段とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、補正用テストパターンを記録ヘッドと記録媒体との相対位置が異なる位置で複数回記録し、この補正用テストパターンを用いて補正を行う。これにより、通紙可能な記録媒体の幅よりも広い幅を有する記録ヘッドのノズルを補正するためのデータを得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】インクジェットプリンタと記録媒体の関係を表す図
【図2】カラー画像を形成するインクジェットプリンタを表す図
【図3】プリンタの内部構成を示す概略図
【図4】片面プリント時の動作を説明するための図
【図5】両面プリント時の動作を説明するための図
【図6】システム構成例を示す図
【図7】処理全体フローを説明する図
【図8】画像処理部の構成例を示すブロック図
【図9】フローを説明する図
【図10】テストパターンと位置検出に必要なパターン例を説明する図
【図11】複数のヘッド位置でテストチャートの記録を説明する図
【図12】テストチャートプリントチャートのスキャン濃度の例を示す図
【図13】テストチャートプリントチャート濃度特性を示す図
【図14】重複領域への処理を示す図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。まず、インクジェット記録装置によるプリント濃度の解析と出力値補正への適用例について説明する。
【0012】
(インクジェット記録装置の基本構成)
図1は、インクジェット記録装置と記録媒体との関係を表す図である。インクジェット記録ヘッド111は、115に示す方向(y方向)へ移動可能な構成となっている。112、113は記録媒体であり、y方向の幅が異なる例を図示している。以後、記録媒体を記録紙と記載するが、本発明は記録媒体が紙に限定されるものではない。本実施形態において、記録紙112は、インクジェット記録装置が搬送可能な最大サイズの記録媒体であり、紙幅は12インチである。そして、記録ヘッド111は、紙裁断時の誤差や温度湿度による記録紙の伸縮による変動、搬送誤差を考慮し、12.9インチのノズル幅を備える。読み取りデバイスであるスキャナ317は、上記条件が同じであれば記録ヘッド111と同じ幅があればよい。
【0013】
図2はカラー画像を記録可能なインクジェット記録装置を表す。図中、100はインクジェット記録装置(プリンタ)本体を示している。記録ヘッド101〜104は、記録ヘッド111のうち、それぞれK(ブラック)・C(シアン)・M(マゼンタ)・Y(イエロー)のインクを吐出して記録紙106に画像を記録する記録ヘッドを示している。105は、記録紙106を矢印で示すx方向に搬送するラインフィードモータであり、x方向はy方向とは交差した方向である。本実施形態において、記録ヘッド101〜104は、インクを吐出する最小単位である吐出口(ノズル)をKCMYのインク別に図のy方向(所定方向)に複数配列した構成となっており、記録紙106の横幅分(y方向)の領域の記録が可能である。このような構成の記録ヘッドを、以下では「長尺ヘッド」と呼ぶ。このようなCMYKの各記録ヘッドは、一回のインク吐出によって出力画像の1ラスタ分を形成する。そして、ラインフィードモータによる記録紙の搬送に同期してインク吐出動作を繰り返すことで、一頁分の画像を記録する。
【0014】
図3はインクジェット記録装置の内部構成を示す断面の概略図である。本実施形態のインクジェット記録装置は、記録媒体としてロール状に巻かれた連続シートを使用し、片面プリント及び両面プリントの両方に対応した高速ラインプリンタである。プリンタ内部には、大きくは、シート供給部1、デカール部2、斜行矯正部3、プリント部4、検査部5、カッタ部6、情報記録部7、乾燥部8、シート巻取部9、排出搬送部10、ソータ部11、排出トレイ12、制御部13の各ユニットを備える。シートは、図中の実線で示したシート搬送経路に沿ってローラ対やベルトからなる搬送機構で搬送され、各ユニットで処理がなされる。
【0015】
シート供給部1は、ロール状に巻かれた連続シートを収納して供給するユニットである。シート供給部1は、2つのロールR1、R2を収納することが可能であり、択一的にシートを引き出して供給する構成となっている。なお、収納可能なロールは2つであることに限定はされず、1つ、あるいは3つ以上を収納するものであってもよい。
【0016】
デカール部2は、シート供給部1から供給されたシートのカール(反り)を軽減させるユニットである。デカール部2では、1つの駆動ローラに対して2つのピンチローラを用いて、カールの逆向きの反りを与えるようにシートを湾曲させてしごくことでカールを軽減させる。斜行矯正部3は、デカール部2を通過したシートの斜行(本来の進行方向に対する傾き)を矯正するユニットである。基準となる側のシート端部をガイド部材に押し付けることにより、シートの斜行が矯正される。
【0017】
プリント部4は、搬送されるシートに対して記録ヘッド111によりシートの上に画像を形成するユニットである。プリント部4は、シートを搬送する複数の搬送ローラも備えている。記録ヘッド111は、使用が想定されるシートの最大幅をカバーする範囲でインクジェット方式のノズル列が形成されたライン型記録ヘッド111を有する。記録ヘッド111は、複数の記録ヘッドが搬送方向に沿って平行に並べられている。インクジェット方式は、発熱素子を用いた方式、ピエゾ素子を用いた方式、静電素子を用いた方式、MEMS素子を用いた方式等を採用することができる。各色のインクは、インクタンクからそれぞれインクチューブを介して記録ヘッド111に供給される。また、記録ヘッド111は紙面上下方向(z方向)へ移動しキャップ動作をおこなう。さらに、紙面垂直方向(y方向)へ移動する。この動作を行う為の機構と駆動するモーターを備える。
【0018】
検査部5は、プリント部4でシートにプリントされた検査パターンや画像を光学的に読み取って、記録ヘッドのノズルの状態、シート搬送状態、画像位置等を検査するユニットである。カッタ部6は、プリント後のシートを所定の長さにカットする機械的なカッタを備えたユニットである。カッタ部6は、シートを次工程に送り出すための複数の搬送ローラも備えている。情報記録部7は、カットされたシートの裏面にプリントのシリアル番号や日付などのプリント情報を記録するユニットである。乾燥部8は、プリント部4でプリントされたシートを加熱して、付与されたインクを短時間に乾燥させるユニットである。乾燥部8は、シートを次工程に送り出すための搬送ベルト及び搬送ローラも備えている。
【0019】
シート巻取部9は、両面プリントを行う際に表面プリントが終了した連続シートを一時的に巻き取るユニットである。シート巻取部9はシートを巻き取るための回転する巻取ドラムを備えている。表面のプリントが済んでカットされていない連続シートは巻取ドラムに一時的に巻き取られる。巻き取りが終わったら、巻取ドラムが逆回転して巻き取り済みシートはデカール部2に供給され、プリント部4に送られる。このシートは表裏反転しているのでプリント部4で裏面にプリントを行うことができる。両面プリントのより具体的な動作については後述する。
【0020】
読取部17はプリント部4でプリントされたプリンタヘッドのメンテナンス用のテストパターンを読み取る処理を行う。排出搬送部10は、カッタ部6でカットされ乾燥部8で乾燥させられたシートを搬送して、ソータ部11までシートを受け渡すためのユニットである。ソータ部11は必要に応じてプリント済みシートをグループ毎に排出トレイ12の異なるトレイに振り分けて排出するユニットである。制御部13は、プリンタ全体の各部の制御を司るユニットである。制御部13は、CPU、メモリ、各種I/Oインターフェースを備えたコントローラ15及び電源を有する。プリンタの動作は、コントローラ15又はコントローラ15にI/Oインターフェースを介して接続されるホストコンピュータ等の外部機器16からの指令に基づいて制御される。
【0021】
(プリント時の記録媒体の動作/片面・両面)
次に、プリント時の基本動作について説明する。片面プリントと両面プリントとでは動作が異なるので、それぞれについて説明する。図4は片面プリント時の動作を示している。シート供給部1から供給されたシートがプリントされて排出トレイ12に排出されるまでの搬送経路を太線で示している。シート供給部1から供給され、デカール部2、斜行矯正部3でそれぞれ処理されたシートは、プリント部4において表面のプリントがなされる。プリントされたシートは検査部5を経て、カッタ部6において予め設定されている所定の単位長さ毎にカットされる。カットシートは、必要に応じて情報記録部7でシートの裏面にプリント情報が記録される。そして、カットシートは一枚ずつ乾燥部8に搬送され乾燥が行なわれる。その後、排出搬送部10を経由して、ソータ部11のトレイ12に順次排出され積載されていく。
【0022】
図5は両面プリント時の動作を示している。両面プリントでは、表面プリントシーケンスに次いで裏面プリントシーケンスを実行する。最初の表面プリントシーケンスでは、シート供給部1から検査部5までの各ユニットでの動作は上述の片面プリントの動作と同じである。カッタ部6ではカット動作は行わずに、連続シートのまま乾燥部8に搬送される。乾燥部8での表面のインク乾燥の後、排出搬送部10の側の経路ではなく、シート巻取部9の側の経路にシートが導入される。導入されたシートは、順方向(図面では逆時計回り方向)に回転するシート巻取部9の巻取ドラムに巻き取られていく。記録部4において、予定された表面のプリントが全て終了すると、カッタ部6にて連続シートのプリント領域の後端がカットされる。カット位置を基準に、搬送方向下流側(プリントがされた側)の連続シートは乾燥部8を経てシート巻取部9でシート後端(カット位置)まで全て巻き取られる。一方、カット位置よりも搬送方向上流側の連続シートは、シート先端(カット位置)がデカール部2の残らないように、シート供給部1に巻き戻される。
【0023】
以上の表面プリントシーケンスの後に、裏面プリントシーケンスに切り替わる。シート巻取部9の巻取ドラムが巻き取り時とは逆方向(図面では時計回り方向)に回転する。巻き取られたシートの端部(巻き取り時のシート後端は、送り出し時にはシート先端になる)はデカール部2に送り込まれる。デカール部2では先とは逆向きのカール矯正がなされる。これは、巻取ドラムに巻かれたシートは、シート供給部1でのロールとは表裏反転して巻かれ、逆向きのカールとなっているためである。その後は、斜行矯正部3を経て、プリント部4で連続シートの裏面にプリントが行われる。プリントされたシートは検査部5を経て、カッタ部6において予め設定されている所定の単位長さ毎にカットされる。カットされたカットシートは両面にプリントされているので、情報記録部7での記録はなされない。カットシートは一枚ずつ乾燥部8に搬送され、排出搬送部10を経由して、ソータ部11のトレイ12に順次排出され積載されていく。
【0024】
また、前述した出力補正を含むメンテナンス時は、片面プリント時の動作と同様である。シート供給部1から供給され、デカール部2、斜行矯正部3でそれぞれ処理されたシートは、プリント部4においてプリンタヘッドメンテナンス用のテストパターンがプリントされる。プリントされたシートはカッタ部6において予め設定されている所定の単位長さ毎にカットされる。カットシートは一枚ずつ乾燥部8に搬送され乾燥が行われる。乾燥後、読取部17でテストパターンを読み取り、排出搬送部10を経由して、ソータ部11のトレイ12に順次排出され積載されていく。
【0025】
(システム構成)
図6は本発明のシステム構成例を示す図である。図中100は、図1のインクジェット記録装置本体100であり、300はインクジェット記録装置に対してプリントデータを送るホストPCである。
【0026】
ホストPC300は主に以下のブロックから構成される。CPU301は、HDD303やRAM302に保持されているプログラムに基づいて処理を実行する。RAM302は、揮発性のストレージであり、プログラムやデータを一時的に保持する。HDD303は、不揮発性のストレージであり、プログラムやデータを保持する。DATA TRANSFER I/F304は、記録装置本体100とデータを送受信する。物理的な接続方法としては、USB、IEEE1394、LAN等がある。KEYBOARD MOUSE I/F305は、キーボードやマウス等のHID(Human Interface Device)を制御するI/Fであり、ユーザからの入力を受け付ける。DISPLAY I/F306は、ディスプレイに表示する。
【0027】
記録装置本体100は主に以下のブロックから構成される。CPU311は、ROM313やRAM312に保持されているプログラムに基づいて処理を実行する。RAM312は、揮発性のストレージであり、プログラムやデータを一時的に保持する。ROM313は、不揮発性のストレージであり、プログラムやデータを保持する。DATA TRANSFER I/F314は、ホストPC300とデータを送受信する。HEAD Controller315は、実際にプリントを行う記録ヘッドに対してプリントデータを供給し、プリント制御を行う。具体的には、HEAD Controller315をRAM312の所定のアドレスから必要なパラメータとデータを読み込む設計とする方法がある。CPU311が必要なパラメータとデータをRAM312の上記所定のアドレスに書き込むと、HEAD Controller315が起動され、実際のプリントが行われる。Image Processing Accelerator316は、画像処理をCPU311よりも高速に行う。具体的には、Image Processing Accelerator316をRAM312の所定のアドレスから必要なパラメータとデータを読み込む設計とする方法がある。CPU311が必要なパラメータとデータをRAM312の上記所定のアドレスに書き込むと、Image Processing Accelerator316が起動され、実際のプリントが行われる。Image Processing Accelerator316は必ずしも必要ではなく、CPU311による処理のみで画像処理を実現しても良い。SCANNER(スキャナ)317は、図3の検査部5や同図の読取部17を制御し、読取データをRAMへ格納する。さらに、濃度を読み取って解析し、記録装置の出力特性に補正をかける為に必要な、読取デバイスの色空間からの色空間変換を行う。高速処理のためにLUT方式を用いても良いし、高精度処理のために演算処理を用いても良い。MOTOR DRIVER318は、記録紙の搬送、図3の記録ヘッド111のy方向やz方向の移動を行う。
【0028】
(メンテナンス動作)
次に本実施形態のメンテナンス動作について説明する。本実施形態におけるメンテナンス動作とは、前述した記録ヘッドの吐出量ばらつきや、後述する多次色の色ズレ、スキャナの読み取りムラ、乾燥ムラなどによる画質低下を抑制するためのものである。このため、本実施形態では、補正用テストパターンを記録し、その測色結果から補正データを生成するための濃度データを取得する。
【0029】
図7は本実施形態のメンテナンス動作の処理フローを示している。まず、ステップS701から処理がスタートする。ステップS702では、メンテナンス要件が発生しているかどうか、条件判断を行う。メンテナンス要件としては、電源立上げ時に行う。さらに、電源立上げ時にメンテナンスの必要性があるかの自己診断を行ってから判断するようにすると、メンテナンス不要時のダウンタイム、記録紙、インクの消費を低減させる効果がある。また、ユーザの指示によりメンテナンスを行えるようなユーザインターフェイスを持つことで、メンテナンス性向上の効果も得られる。また、装置内で持つタイマーを使用し特性が劣化する予め決められた時間間隔でメンテナンスを実施する様にするとメンテナンス性が向上する効果がある。さらに、インクドットの吐出回数に依存するのであれば時間ではなく吐出ドット数をカウントし所定の閾値を越えた事を基準としてメンテナンスに移行するようにすると更に好ましい。メンテナンス要件が発生しておらず、メンテナンスが不要であればステップS703を省略してステップS704へすすむ。メンテナンスを行う場合は、ステップS703において、図9で後述する方法で出力補正値T−1[Y]を算出し、データを更新する。ステップS704では、あらかじめ決められた補正データに従った出力補正値T−1[Y]を適用し、記録を行う。この出力補正値の適用例を図8に示す。
【0030】
(画像処理の流れ)
図8はインクジェットプリンタ用の画像処理を行う画像処理部の構成例を示すブロック図である。画像処理部402は入力部401から画像処理対象の注目画素の画像データを入力し、画像処理を施した画像データを出力部409に出力する。画像処理部402は、入力色変換処理部403、MCS処理部404、インク色変換処理部405、HS処理部406、TRC処理部407、量子化処理部408から構成される。
【0031】
入力処理変換処理部403は、入力画像データをデバイス色画像データに変換する。入力画像データは3要素から構成される色信号であり、具体的にはモニタの表現色であるsRGBなどの色空間座標中の色座標を示す情報形式で入力される。この入力画像を、特許文献1に記載のマトリクス演算処理や三次元ルックアップテーブル処理等の既知の手法によって、3要素から構成される色信号であるデバイス色画像データに変換する。ここで、三次元ルックアップテーブルとは、入力画像データ(R,G,B)と変換後のデバイス色画像データ(R’,G’,B’)の組み合わせが保持されたテーブルである。例えばR=0,128,255、G=0,128,255、B=0,128,255という様に、各色要素が独立に3段階に変化した場合には、全部で3×3×3=27の組み合わせから構成される。
【0032】
MCS(Multi Color Shading)処理部404は、入力処理変換処理済みのデバイス色画像データに対して補正処理を行い、色ムラを低減したデバイス色画像データを出力する。
【0033】
インク色変換処理部405は、MSC処理済みのデバイス色画像データを、複数のインク色信号から構成されるインク色データに変換する。具体的には、デバイス色画像データを入力し、特許文献1に記載のマトリクス演算処理や三次元ルックアップテーブル処理、下色除去処理等の既知の手法によってインク色分のインク色データに変換する。図1に記載のプリンタの場合、記録ヘッド111はブラック101・シアン102・マゼンタ103・イエロー104の計4本を搭載しているので、4色分のインク色データに変換する。
【0034】
HS(Head Shading)処理部406は、入力されたインク色データから、インク色毎に各記録ヘッドを構成するノズルの吐出量に応じたインク色データに変換を行い、各インク単色記録時の濃度ムラを低減したインク色データを出力する。具体的なHS処理内容にとしては、特許文献1に記載の一次元ルックアップテーブル処理等、既知の手法によってHS処理が行われる。
【0035】
TRC(Tone Reproduction Curve)処理部407は、HS処理された各インク色データを入力して、インク色毎にインクドット数データに変換する。具体的なTRC処理内容としては、特許文献1に記載の一次元ルックアップテーブル処理等、既知の手法によってHS処理が行われる。
【0036】
量子化処理部408は、TRC処理された各インクドット数データを入力して、量子化処理を行い、各インクの量子化済みデータを出力するブロックである。量子化処理には二値化や三値化〜十六値化等、様々な量子化レベルが存在する。一般的に二値化処理時には、CMYKのインクドット数データをCMYK各1ビットのインクドット有り・無しデータに変換する。量子化処理方法としては、既知のディザマトリクス法や誤差拡散法などの疑似中間調処理を用いるが、出力画像の用途によって単純量子化を用いることもできる。量子化されたインクデータは出力部409に送られる。
【0037】
出力部409では、量子化されたインクデータに基づいて、各色のインクをノズルから吐出して記録媒体に記録を行う。具体的には図1の記録ヘッド101〜104からインクを吐出して記録紙106に画像を記録する。
【0038】
以上が、本実施形態の出力値補正の基本的な処理である。本発明はここで示した処理順序に限られるものではなく、順序を変更しても良く、高速処理のために合成してLUTとしても良い。
【0039】
(特徴構成:分割プリント)
次に、本発明の特徴的構成である、記録ヘッドの補正データを生成する方法について説明する。前述したように、記録ヘッドの製造公差としてノズル毎に吐出量のばらつきが生じるため、ノズル毎(吐出口毎)もしくは所定単位のノズル数毎に記録すべき画像データに対して補正を行う必要がある。本実施形態では、複数の補正用テストパターンを有するテストチャートを記録し、そのテストチャートをスキャナ等の読み取りデバイスで測色し、得られた測色結果に基づいて補正データを生成する。
【0040】
このとき、記録ヘッドと記録媒体の幅により、必要なノズル分のテストパターンが一回の記録で得られない場合がある。本実施形態の記録ヘッド111は、記録媒体の搬送誤差や縁なし記録を行うことを考慮して、記録媒体の最大通紙幅12インチよりも長い12.9インチのノズル幅を備えている。記録ヘッドの補正は、記録媒体の最大通紙幅である12インチよりも長い領域のノズルを補正する必要があるが、テストパターンは最大12インチの記録となるため、補正が必要なノズルのテストパターンを得ることができない。このような課題に対し、本発明は、記録ヘッドと記録媒体の相対位置を異ならせて、複数回の記録でテストパターンの分割プリントを行うことで、複数の補正用テストパターンに基づいて補正が必要なノズルの補正データを生成する。
【0041】
さらに、本発明では、記録ヘッドと記録媒体の異なる相対位置で分割プリントした、複数のテストチャートを用いた際に発生する繰り返し誤差を低減可能であるという効果もある。理想的な系では、それぞれの位置で分割プリントし得られた解析結果を適用しても、出力補正後のプリントに問題はない。ところが、分割プリント後、解析が行われるまでには、吐出量ばらつき以外のノイズ成分が発生する。本明細書では、このノイズを繰り返し誤差と呼ぶ。この繰り返し誤差が重畳されると、分割して作成した補正データを用いて出力補正したの記録画像において、境界部に色味の差が発生する。この色差が視覚限界を上回る程度になると、画像弊害として視認されてしまうのである。この繰り返し誤差を発生させる要因としては、記録紙表面特性の不均一性、記録紙高速搬送時の気流ムラ、ヘッド表面インクの乾燥による濃度上昇、乾燥機の赤外線ヒータ面の不均一性、乾燥風のムラ、記録紙表面特性の不均一性による乾燥ムラ等が挙げられる。また、テストパターンを読み取るスキャナにおいても、光電変換時のノイズやアナログ回路での電気的ノイズが発生する。
【0042】
不吐ノズルなどの記録ヘッドの吐出不良に対する解析であれば、不良ノズルか否か、及び不良ノズルの位置を特定できればよいため、分割プリント間のデータの差分に対する要求精度は低い。しかし、本実施形態のように濃度出力特性を制御する場合には、吐出量や吐出タイミングなどの吐出特性による濃度を高精度で解析する必要があり、繰り返し誤差が問題となってしまうのである。本発明は、分割プリント間で補正を行うことにより、このような繰り返し誤差に対しても低減可能であるという効果を有している。以降、分割プリントについて図9のフロー図を用いてより詳細に説明する。
【0043】
図9は、図7のステップS703の出力補正値T−1[Y]を算出をする工程である。まず、ステップS901では、カウンタをクリアし、処理をスタートする。ステップS902では、メンテナンスを行う記録媒体の記録ヘッドのノズル配列方向の紙幅と、記録ヘッドのノズル幅とに基づいて、分割数Ndを決定する。この分割数Ndは、以下の式で求められる。
分割数Nd=int(記録媒体の幅/ノズル幅+1.0) (ただし、intは切捨て処理)・・・(式1)
【0044】
具体的には、5インチから12インチまでの幅の記録紙を使用する場合は、5インチ幅の記録紙の場合3回、12インチの記録紙幅場合2回となる。紙幅や搬送誤差の課題だけではなく、小さな幅の紙でも記録ヘッドのノズル幅全域をメンテナンスすることが可能である。次に、ステップS903では、指定された場所へ、ヘッドを移動させる。以降、記録媒体と記録ヘッドの相対位置をヘッドポジション(HP)と呼ぶ。3回移動を行う場合はそれぞれの位置をヘッドポジション1(HP1)、ヘッドポジション2(HP2)、ヘッドポジション3(HP3)とする。ステップS904では、一様な入力色画像データI[Y]に必要な処理を施し、補正用テストパターンを記録紙表面上に記録する。このとき、HP1で記録されたテストパターンを第1の補正用テストパターン(HP2)で記録されたテストパターンを第2の補正用テストパターンと呼ぶ。
【0045】
図10(a)に補正用テストパターンの一例を示す。RGBの色空間における8bitデータを用いて説明する。(255,255,255)は白、(255,255,0)は黄色、(255,0,255)はマゼンダ、(0,255,255)はシアンの色を示している。必要に応じて途中の階調のパターンをプリントしても良い。また、インクドットの組み合わせである2次色、3次色、4次色などの混色パッチを用いても良い。本実施形態では、インクノズルの吐出量ばらつきや変動に対応でき、かつ、必要なテストパターンのプリント量を最適化するため、1次色と2次色の例を図示する。
【0046】
ステップS905では、図3の読取部17を用いてステップS904で記録したテストチャートを読み取り、記録紙上の各エリアを測定して色情報B[Y]を得る。このとき、テストチャートを読取った値が、記録ヘッドに配列されたノズルのうち、どの位置のノズルに相当するかを解析する必要がある。従来は、搬送誤差やスキャナの収差などの影響により、ノズルまたはノズルを補正するための微小な位置を特定するのが困難であった。そこで、本実施形態では、補正用テストパターンに対し、図10(b)に示すノズル位置検出のためのパターンを同時に記録することで、この課題を解決している。
【0047】
図10(b)は、図10(a)の補正用テストパターンのうち、106011の拡大図である。1101は一様な色の入力データで作成されたパターン、1103は、パターン1102付近の読取データの位置検出を行う為の位置検出マークである。1104は特定ノズルとの位置関係を検出する為のマークである。
【0048】
検出マークはエッジ探索処理などを行い、座標を計算する。位置検出パターンをプリントする特定のノズルを予め定めておけば位置検出パターンのノズル位置と読取パターンを作成したノズルの相対関係を求める事が出来、これより読取パターンを作成したノズルの絶対位置を算出する事ができる。
【0049】
搬送精度やスキャナの光学系の収差などを元に位置検出マーク1103の間隔は決定すればよい。また、より精度を向上するために位置検出マーク1103と位置検出マーク1107の様に両側で挟むようにすると更に良い。また、分割解析時の合成の様に、位置精度の信頼性が必要な場合は、不吐などの異常時に位置検出の精度を確保する為に位置検出マーク1104の端部である1105と1106から、所定の幅が存在するかの確認をするようにしても良い。
【0050】
スキャナで読み取られた情報は、必要に応じてスキャナのシェーディング補正、トリミングなどの前処理がされる。出力値補正を行うy方向の最小単位以上の分解能で読み取る事ができる場合は、この段階で複数画素のデータを用いて処理すると、信頼性の低い突発ノイズや記録紙表面や読取スキャナ表面に付着した紙紛のようなごみによる影響を低減できるため、より好ましい。そして、出力値補正に必要なエリアを上限として加算又は平均化処理を行う。出力値補正はノズル方向(y方向)に対して算出する為、y方向の加算回数とx方向の加算回数を異なる値にすると良い。x方向の加算回数はx方向の搬送精度を考慮し、隣接する補正単位に重複しない様にすることが好ましい。
【0051】
以上のような処理を行った後、輝度データから濃度データへ変換される。変換式はlog変換でも構わないし、スキャナデバイスの特性をプロファイルとして用いて変換しても良い。
【0052】
次に、ステップS906では、分割数と処理回数を比較し、必要な回数処理を行う。分割数Nd回の処理が終了すると、ステップS907へ進む。ステップS907では、後述する方法で、分割して取得した色情報B[Y]を結合する。そして、ステップS908では、各色情報を元に各領域のズレ量T[Y]を記録ヘッドのノズル幅全域に渡り、作成する。ステップS909では、各色情報を元に各領域の出力補正値T−1[Y]をノズル幅全域に渡り、算出し、ステップS910で、決定した出力補正をメモリに格納し、終了する。
【0053】
(Y移動プリントと測定)
ここで、ステップS907において、分割して取得した色情報B[Y]を結合する方法を更に詳しく説明する。図11は、記録ヘッドの位置を示すための模式図である。図11(a)は、記録ヘッド111において、y方向の位置を示している。図11(b)は、記録媒体116に対する記録ヘッド111の位置を示しており、記録ヘッドのa〜c領域、b〜d領域のノズルを用いて補正用テストパターンを記録するときの様子である。記録ヘッド111に配列されたノズルのうち、端部aから連続するa〜c領域のノズルを第1ノズル群(第1の吐出口群)とし、このノズル群を用いて記録する位置をヘッドポジション1(HP1)とする。同様に、b〜d領域のノズルを第2ノズル群(第2の吐出口群)とし、このノズル群を用いて記録する位置をヘッドポジション2とする。117はHP1で記録されたテストチャートであり、118はHP2で記録されたテストチャートである。317は、本実施形態の読取デバイスであるスキャナの相対位置を示した模式図である。y方向の位置を説明するために、スキャナ317が記録ヘッド111とx方向に隣接した図を用いている。
【0054】
図12は、それぞれのヘッドポジション(HP)でのテストチャートのテストパターンをスキャンし、濃度変換したデータを示している。横軸は、スキャナで読み込んだ記録ヘッドのy方向の位置に対応している。縦軸は濃度を示す。テストチャートにおいて、複数の色、濃度のテストパターンを記録した場合はその個数分のデータが作成される。図12(a)は、ヘッドポジション1(HP1)で記録したテストパターンの測色結果であり、第1ノズル群(第1の吐出口群)を用いて記録した濃度データである。同様に、図12(b)はヘッドポジション2(HP2)で記録したテストパターンの測色結果であり、第2ノズル群(第2の吐出口群)を用いて記録した濃度データである。それぞれに、記録ヘッド上のノズルa〜dの対応位置を示す。
【0055】
ここで、テストパターンを読み込んだデータに基づき、分割して得たデータを結合するが、スキャナ読み取り時の課題として、記録媒体の端部は地色に影響されやすいために正しく読めないという課題がある。これに対し本実施形態では、記録媒体端部の影響が充分無視できる位置のデータを用いて結合を行う。これについて、図13を用いて説明する。
【0056】
図13(a)は、算出されたヘッドポジション1(HP1)でのテストパターンの濃度データ131と、ヘッドポジション2(HP2)でのテストパターンの濃度データ132を重ね合わせた図である。各ヘッドポジションにおいて、第1ノズル群と第2ノズル群のうち、b〜c領域のノズルが重複して使用される。この重複したb〜cのノズル群を第3ノズル群(第3の吐出口群)と呼ぶ。この重複した第3ノズル群を用いて記録された領域の濃度データに基づき、濃度データを結合して補正データを生成する。尚、本実施形態において、HP1におけるf〜cの領域は、スキャナで記録したテストパターンを読み取る際に信頼性が保障されない領域を示している。HP2におけるb〜eの領域も同様である。従って、e〜fの領域の濃度データを用いて結合することで、記録媒体端部の影響を抑制することができる。このように、分割してテストパターンを記録する場合は、この保証できない領域の分を考慮してb〜c領域の重複使用ノズル(第3の吐出口群)を持つように記録媒体のサイズを選択することが好ましい。
【0057】
また、複数回記録された濃度データが一致せず、大きくずれている場合には、スキャナの読み取り時の信頼性が保障できない領域を外したとしても正確なデータを得ることができない。図13(a)のe〜f領域において、濃度データ131及び132はずれが生じており、これは前述の繰り返し誤差によるものである。この要因として、インクの吐出精度、インクが記録媒体に着弾する際の位置精度、記録媒体の面内ばらつき、乾燥の変動、読取スキャナ時の変動、光電変換された際の電気的ノイズなどが考えられる。特に、乾燥ムラはプリントされたインクの位置、記録メディアの均一性、熱風および赤外光の均一性により発生し、ランダム性が高い傾向がある。この繰り返し誤差は、1回でテストパターンを記録して出力補正を行った場合には品質上問題にならないが、複数回の分割記録で記録したテストパターンを結合して出力補正を行った場合には色差が発生してしまう可能性がある。
【0058】
ここで、本実施形態において、ランダムに発生する要因に対して分散の加法性により必要な回数分データ数を積算する。
積算回数=(発生誤差/目標誤差)2・・・(式2)
【0059】
本実施形態では、目標誤差に対して、ノイズなどに起因するS/Nから発生誤差を製品設計時に見積もる事が可能であり、それに応じて必要な重ね合わせ幅を算出する。前述した搬送精度や位置検出、補正処理における制限の範囲内において、x方向に積算回数を割りつけることにより、ヘッドノズルの性能解析補正の分解能が低下しない効果がある。実際の使用中の状態を測定して必要な加算回数を求め、必要な重ね合わせ幅を変更するようにしても良い。
【0060】
図14は、本実施形態の補正の流れを説明するフローである。まず、各ヘッドポジション(HP)間の繰り返し誤差を補正するための解析・補正処理を行い、次に各ヘッドポジション(HP)間のつなぎ部分(ノズルの重複領域)に発生する色差を低減するための解析・補正処理である端部処理を行う。
【0061】
ステップS1401でスタートし、ステップS1402〜ステップS1403で各ヘッドポジション(HP)における重複領域の特性差を算出する。本実施形態では、ノズルのe〜fの領域におけるそれぞれの濃度データの平均値から、その比を求める。
【0062】
ヘッドポジション1(HP1)の位置で記録したパターンを読み取った濃度データをD[P1][Y](a≦Y≦c)とし、同様に、ヘッドポジション2(HP2)の位置で記録したパターンを読み取った濃度データをD[P2][Y](b≦Y≦d)とする。このとき、Yはy方向の記録ヘッドのノズル位置を示している。そして、これらの濃度データから、HP1でのe−f領域の濃度データの平均値をDave[P1][e−f]とし、HP2でのe−f領域の濃度データの平均値をDave[P2][e−f]として算出する。そして、2つの平均値の比を取り、係数Kを決定する。
K=Dave[P1][e−f]/Dave[P2][e−f]・・・(式3)
【0063】
次に、ステップS1404では、求めた係数Kを記録ヘッドのノズル全域に乗ずる。本実施形態では、HP2の平均値をHP1の平均値に合わせる。
Dp1[P2][Y]=K×Dave[P2][Y]・・・(式4)
この処理により、HP1とHP2での濃度差を低減することができる。
【0064】
このように比を算出して補正することで、乾燥によるダイナミックレンジの違いやスキャナの輝度信号の違いの様な濃度差を低減することが可能である。一方、センサの暗電流やアナログ回路のドリフトの様な要因には、式5及び式6に示すように、2式の差を取って係数K’を決定し、HP2での記録ヘッドのノズル全域に加算することで低減可能である。
K’=Dave[P1][e−f]−Dave[P2][e−f]・・・(式5)
Dp1[P2][Y]=K+D[P2][Y] ・・・(式6)
ただし,YはHP2でのy方向の記録ヘッドのノズル位置を示す。
【0065】
以上が、各ヘッドポジション(HP)間の濃度データの繰り返し誤差を補正するための解析/補正処理である。このように、HP1とHP2での濃度データの重なり部分を全域で加算することで、テストチャートの端部をスキャナで読み取る際に、光学系のMTFや照明の散乱光によって受ける光の影響を抑制する効果もある。
【0066】
次に、重複領域の濃度データを結合する際の補正処理について、図13(b)を用いて説明する。ステップS1404の処理により、繰り返し誤差が低減できるため、各ヘッドポジションにおいて重複する領域のノズルの平均濃度は一致している。しかしながら、各ヘッドポジションで記録・解析等を行った際に発生する、繰り返し誤差以外の要因によって残存するノイズ成分により、記録ヘッドのy方向の位置によっては差分が発生する。この繰り返し誤差以外の要因とは、ランダムに発生する要因のほか、乾燥、スキャナなどの不均一性である。繰り返し誤差を補正する処理により平均濃度が一致しているので、どちらのヘッドポジションで作成した解析値を使用しても問題ない。しかし、各ヘッドポジションの境界部分では、それぞれのヘッドポジションで発生するノイズとの相関性の低いノイズ成分が含まれると、変化が不連続になり、補正誤差が画像弊害に繋がる原因となる。そこで、重複領域のうち、ヘッドポジション1との境界部である位置bではヘッドポジション1のデータの重みを高くし、ヘッドポジション2との境界部である位置cではヘッドポジション2のデータの重みを高くする処理を行う。
【0067】
ステップS1406において、b〜c領域に発生する色差を低減させる為には、記録ヘッドの各ヘッドポジションでの濃度データを、y方向の位置に応じた比で加重平均する。
Dwa[Y]=αD[P1][Y]+(1−α)Dp1[P2][Y] (0≦α≦1,b≦Y≦c)・・・(式7)
ここで、Y=bのときα=1であり、Y=cのときα=0である。
【0068】
以上より、補正処理を行った濃度データD[Y]はy方向の位置Yにより下記のように算出される(ステップS1407)。
【0069】
【数1】
【0070】
以上の処理は、ステップS904で記録した一様な入力画像のうち、1つの色値のデータについての処理である。従って、全てのテストパターンのバンド数分の処理を行い、全てのテストパターンについてDn[Y]を求める(ステップS1408)。そして、パッチそれぞれで解析補正を行ったD1[Y]、D2[Y]…Dn[Y]をもとに、B[Y]を算出する。本実施形態においてDn[Y]は濃度B[Y]は輝度データであるため、輝度データに換算するlog変換の後処理を行い(ステップS1409)、処理を終了する(ステップS1410)。
【0071】
以上のように、本実施形態では、繰り返し誤差を低減するための補正処理と、乾燥ムラやスキャナの読み取り誤差などの繰り返し誤差では低減できない誤差を低減するための補正処理を行う。そして、重複して使用されるノズル領域に対応する濃度データを結合する際に、各ヘッド位置での濃度データに重み付けをすることで、補正結果に色差が生じる画質低下を抑制し、適正な補正処理を行うことができる。
【0072】
尚、前述したように、補正用テストパターンを記録する記録媒体のサイズは、重複領域であるb−c領域ができるだけ長くなるようにすることが好ましい。濃度差を変化量Δとし、勾配をtanΘ、変化が発生するy方向の長さをdyとすると、
Δ/dy=tanΘ・・・(式9)
の関係が成り立つ。変化量すなわち勾配が緩やかになるほど、視覚特性的には検知する事が困難になることから、変化量Δが小さくなるか、変化がy方向の長い区間で発生するようにすると良い。従って、必要な長さdyは、発生する濃度差(変化量Δ)とtanΘの関係から求めることができる。このdyに対し、重複領域の長さを長くするほど、前述した加重平均での緩和処理の効果が高まる。
【0073】
また、位置Yの単位は、y方向で補正を行う最小単位とすることで、処理データが低減される効果がある。ただし、位置Yの単位は、補正が必要な変動の原因に依存する。ノズル単位の吐出量の検出補正では1ノズル単位となり、ノズルを駆動するヒータの特性を補正するのであればヒータの単位となる。また、ヘッドチップ単位の特性を補正するのであればヘッドチップの単位となり、インク供給系の冷却特性を補正するのであればインク供給流路の単位となる。また、視覚特性上分解できない大きさを満たすようにすると、必要以上の高解像度のデータを処理せずに済む効果がある。
【0074】
また、本実施形態は、ロール紙を使用する場合の例を用いたが、カット紙を使用する方式であっても構わない。また、本実施形態は、記録ヘッドを走査せずに記録媒体を搬送して記録を行う方法を用いて説明したが、本発明はこれに限るものではない。すなわち、記録ヘッドと記録媒体が相対走査するものであればよく、記録媒体に対して記録ヘッドを走査させて記録を行う形態であってもよい。このとき、記録媒体を走査する方向は、記録ヘッドのノズルが配列する方向と交差する方向である。
【0075】
また、本実施形態はCMYKの4色のインクを吐出する記録ヘッドを用いたが、これに限るものではなく、Lc(ライトシアン)、Lm(ライトマゼンタ)、Ly(ライトイエロー)、Gy(グレー)などのインクを吐出する記録ヘッドを用いてもよい。また、記録ヘッド111は、CMYKのインクを吐出する101〜104の4つの記録ヘッドを備えているが、1つの記録ヘッドで複数色のインクを吐出するような形態であってもよい。
【0076】
また、本実施形態では、インクジェット記録装置本体100にスキャナ317を備える形態で説明を行ったが、記録装置とは別にスキャナを備え、測定結果を取得する形態であってもよい。尚、補正データを生成する処理は、インクジェット記録装置本体100とホストPC300のいずれで行ってもよく、処理の一部を一方で行う形態であってもよい。
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクを吐出して記録媒体に画像を記録し、記録した画像の測色結果に基づいて補正データを生成するインクジェット記録装置及びインクジェット記録方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複数のインク吐出口(ノズル)を有する記録ヘッドを備えたインクジェット記録装置では、ノズルが持つ吐出特性のばらつきによって、記録画像に濃度ムラ(濃度不均一)が生じる。記録媒体の所定領域に対して記録ヘッドを複数回走査させて画像記録を行うシリアルスキャン方式の場合は、いわゆるマルチパス記録によって比較的容易に濃度ムラを回避することが可能である。一方、用紙幅に対応したノズル列を有する広幅ラインヘッドを用いて1回の走査で画像記録を行うラインヘッド方式のシングルパス記録では、濃度ムラを回避することが困難である。
【0003】
このラインヘッドを用いる記録において画像品質を向上させるためには、濃度均一特性を正しく測定、解析し、その結果に基づいて記録時の補正(出力補正)を行う事が重要である。具体的には、各ノズルを用いたテストパターンを記録し、画像解析により濃度を測定して記録濃度を把握することで、高品位な画像を提供する技術である。このような技術として、特許文献1には、各インク吐出ノズルから吐出されるインク量情報を取得し、インク量情報に応じて記録ドット数を変調するヘッドシェーディング技術が記載されている。また、特許文献2には、異常ノズルを検出し、異常ノズルを避けて使用することで均一性を保つ技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−13674号公報
【特許文献2】特開2000−334935号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述したノズルの吐出特性のばらつきによって生じる記録画像の濃度ムラに対して補正を行うためには、使用する記録媒体に補正用テストパターンを記録し、補正データを生成するための濃度データを取得する必要がある。このとき、使用可能な記録媒体の大きさには制約があり、記録ヘッドの全てのノズルを補正するための濃度データを一度に取得することができない場合がある。これについて以下に説明する。
【0006】
図1は、記録ヘッドと記録媒体の模式図である。本図において、記録媒体の搬送方向をx方向、記録ヘッドのノズル列方向をy方向とする。111はインクジェット記録ヘッドであり、構成や制御の詳細は後述する。112、113は記録媒体であり、y方向の幅は扱う商材等により変更される。この記録ヘッド111は、記録媒体の幅よりも広い領域を記録可能となっている。これは、記録媒体の全域を記録する所謂「縁なし記録」を行う場合や、記録媒体の搬送条件の誤差、記録媒体の幅の製造公差などを考慮したことによる。このため、記録ヘッド111のノズル幅は、通紙可能な記録媒体の最大の幅(最大保証幅)よりも長く設計されている。
【0007】
一方、前述した理由により、記録ヘッド111のノズルに対応する画像データに対して補正を行う必要があり、補正用テストパターンを記録、測色して濃度データを得る。記録ヘッドのノズル幅が最大保証幅よりも大きい場合、一回の記録では、この最大保証幅に対応したノズル分しか濃度データを得ることができない。記録媒体の搬送条件の誤差により補正を行ったノズルと記録媒体の位置が合わない場合や、縁なし記録を行う場合を考慮すると、最大保証幅に対応したノズルにのみ補正を行うのでは不十分であるという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明は、インクを吐出するための複数の吐出口が所定方向に沿って配列された記録ヘッドを、記録媒体に対して前記所定方向と交差する方向に相対走査させながらインクを吐出して前記記録媒体に画像を記録するインクジェット記録装置であって、前記記録ヘッドの複数の吐出口のうち、一方の端部から連続する、前記複数の吐出口より少ない数の吐出口で構成される第1の吐出口群を用いて第1の補正用テストパターンを記録する第1の補正用テストパターン記録手段と、前記記録ヘッドの複数の吐出口のうち、前記第1の吐出口群の一部の吐出口と前記第1の吐出口群に含まれない吐出口とからなり、前記所定方向に連続する複数の吐出口で構成される第2の吐出口群を用いて第2の補正用テストパターンを記録する第2の補正用テストパターン記録手段と、前記第1の補正用テストパターンの測色結果と、前記第2の補正用テストパターンの測色結果とに基づき、前記第1の吐出口群及び第2の吐出口群からなる吐出口に対応した前記画像データを補正するための補正データを生成する補正データ生成手段とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、補正用テストパターンを記録ヘッドと記録媒体との相対位置が異なる位置で複数回記録し、この補正用テストパターンを用いて補正を行う。これにより、通紙可能な記録媒体の幅よりも広い幅を有する記録ヘッドのノズルを補正するためのデータを得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】インクジェットプリンタと記録媒体の関係を表す図
【図2】カラー画像を形成するインクジェットプリンタを表す図
【図3】プリンタの内部構成を示す概略図
【図4】片面プリント時の動作を説明するための図
【図5】両面プリント時の動作を説明するための図
【図6】システム構成例を示す図
【図7】処理全体フローを説明する図
【図8】画像処理部の構成例を示すブロック図
【図9】フローを説明する図
【図10】テストパターンと位置検出に必要なパターン例を説明する図
【図11】複数のヘッド位置でテストチャートの記録を説明する図
【図12】テストチャートプリントチャートのスキャン濃度の例を示す図
【図13】テストチャートプリントチャート濃度特性を示す図
【図14】重複領域への処理を示す図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。まず、インクジェット記録装置によるプリント濃度の解析と出力値補正への適用例について説明する。
【0012】
(インクジェット記録装置の基本構成)
図1は、インクジェット記録装置と記録媒体との関係を表す図である。インクジェット記録ヘッド111は、115に示す方向(y方向)へ移動可能な構成となっている。112、113は記録媒体であり、y方向の幅が異なる例を図示している。以後、記録媒体を記録紙と記載するが、本発明は記録媒体が紙に限定されるものではない。本実施形態において、記録紙112は、インクジェット記録装置が搬送可能な最大サイズの記録媒体であり、紙幅は12インチである。そして、記録ヘッド111は、紙裁断時の誤差や温度湿度による記録紙の伸縮による変動、搬送誤差を考慮し、12.9インチのノズル幅を備える。読み取りデバイスであるスキャナ317は、上記条件が同じであれば記録ヘッド111と同じ幅があればよい。
【0013】
図2はカラー画像を記録可能なインクジェット記録装置を表す。図中、100はインクジェット記録装置(プリンタ)本体を示している。記録ヘッド101〜104は、記録ヘッド111のうち、それぞれK(ブラック)・C(シアン)・M(マゼンタ)・Y(イエロー)のインクを吐出して記録紙106に画像を記録する記録ヘッドを示している。105は、記録紙106を矢印で示すx方向に搬送するラインフィードモータであり、x方向はy方向とは交差した方向である。本実施形態において、記録ヘッド101〜104は、インクを吐出する最小単位である吐出口(ノズル)をKCMYのインク別に図のy方向(所定方向)に複数配列した構成となっており、記録紙106の横幅分(y方向)の領域の記録が可能である。このような構成の記録ヘッドを、以下では「長尺ヘッド」と呼ぶ。このようなCMYKの各記録ヘッドは、一回のインク吐出によって出力画像の1ラスタ分を形成する。そして、ラインフィードモータによる記録紙の搬送に同期してインク吐出動作を繰り返すことで、一頁分の画像を記録する。
【0014】
図3はインクジェット記録装置の内部構成を示す断面の概略図である。本実施形態のインクジェット記録装置は、記録媒体としてロール状に巻かれた連続シートを使用し、片面プリント及び両面プリントの両方に対応した高速ラインプリンタである。プリンタ内部には、大きくは、シート供給部1、デカール部2、斜行矯正部3、プリント部4、検査部5、カッタ部6、情報記録部7、乾燥部8、シート巻取部9、排出搬送部10、ソータ部11、排出トレイ12、制御部13の各ユニットを備える。シートは、図中の実線で示したシート搬送経路に沿ってローラ対やベルトからなる搬送機構で搬送され、各ユニットで処理がなされる。
【0015】
シート供給部1は、ロール状に巻かれた連続シートを収納して供給するユニットである。シート供給部1は、2つのロールR1、R2を収納することが可能であり、択一的にシートを引き出して供給する構成となっている。なお、収納可能なロールは2つであることに限定はされず、1つ、あるいは3つ以上を収納するものであってもよい。
【0016】
デカール部2は、シート供給部1から供給されたシートのカール(反り)を軽減させるユニットである。デカール部2では、1つの駆動ローラに対して2つのピンチローラを用いて、カールの逆向きの反りを与えるようにシートを湾曲させてしごくことでカールを軽減させる。斜行矯正部3は、デカール部2を通過したシートの斜行(本来の進行方向に対する傾き)を矯正するユニットである。基準となる側のシート端部をガイド部材に押し付けることにより、シートの斜行が矯正される。
【0017】
プリント部4は、搬送されるシートに対して記録ヘッド111によりシートの上に画像を形成するユニットである。プリント部4は、シートを搬送する複数の搬送ローラも備えている。記録ヘッド111は、使用が想定されるシートの最大幅をカバーする範囲でインクジェット方式のノズル列が形成されたライン型記録ヘッド111を有する。記録ヘッド111は、複数の記録ヘッドが搬送方向に沿って平行に並べられている。インクジェット方式は、発熱素子を用いた方式、ピエゾ素子を用いた方式、静電素子を用いた方式、MEMS素子を用いた方式等を採用することができる。各色のインクは、インクタンクからそれぞれインクチューブを介して記録ヘッド111に供給される。また、記録ヘッド111は紙面上下方向(z方向)へ移動しキャップ動作をおこなう。さらに、紙面垂直方向(y方向)へ移動する。この動作を行う為の機構と駆動するモーターを備える。
【0018】
検査部5は、プリント部4でシートにプリントされた検査パターンや画像を光学的に読み取って、記録ヘッドのノズルの状態、シート搬送状態、画像位置等を検査するユニットである。カッタ部6は、プリント後のシートを所定の長さにカットする機械的なカッタを備えたユニットである。カッタ部6は、シートを次工程に送り出すための複数の搬送ローラも備えている。情報記録部7は、カットされたシートの裏面にプリントのシリアル番号や日付などのプリント情報を記録するユニットである。乾燥部8は、プリント部4でプリントされたシートを加熱して、付与されたインクを短時間に乾燥させるユニットである。乾燥部8は、シートを次工程に送り出すための搬送ベルト及び搬送ローラも備えている。
【0019】
シート巻取部9は、両面プリントを行う際に表面プリントが終了した連続シートを一時的に巻き取るユニットである。シート巻取部9はシートを巻き取るための回転する巻取ドラムを備えている。表面のプリントが済んでカットされていない連続シートは巻取ドラムに一時的に巻き取られる。巻き取りが終わったら、巻取ドラムが逆回転して巻き取り済みシートはデカール部2に供給され、プリント部4に送られる。このシートは表裏反転しているのでプリント部4で裏面にプリントを行うことができる。両面プリントのより具体的な動作については後述する。
【0020】
読取部17はプリント部4でプリントされたプリンタヘッドのメンテナンス用のテストパターンを読み取る処理を行う。排出搬送部10は、カッタ部6でカットされ乾燥部8で乾燥させられたシートを搬送して、ソータ部11までシートを受け渡すためのユニットである。ソータ部11は必要に応じてプリント済みシートをグループ毎に排出トレイ12の異なるトレイに振り分けて排出するユニットである。制御部13は、プリンタ全体の各部の制御を司るユニットである。制御部13は、CPU、メモリ、各種I/Oインターフェースを備えたコントローラ15及び電源を有する。プリンタの動作は、コントローラ15又はコントローラ15にI/Oインターフェースを介して接続されるホストコンピュータ等の外部機器16からの指令に基づいて制御される。
【0021】
(プリント時の記録媒体の動作/片面・両面)
次に、プリント時の基本動作について説明する。片面プリントと両面プリントとでは動作が異なるので、それぞれについて説明する。図4は片面プリント時の動作を示している。シート供給部1から供給されたシートがプリントされて排出トレイ12に排出されるまでの搬送経路を太線で示している。シート供給部1から供給され、デカール部2、斜行矯正部3でそれぞれ処理されたシートは、プリント部4において表面のプリントがなされる。プリントされたシートは検査部5を経て、カッタ部6において予め設定されている所定の単位長さ毎にカットされる。カットシートは、必要に応じて情報記録部7でシートの裏面にプリント情報が記録される。そして、カットシートは一枚ずつ乾燥部8に搬送され乾燥が行なわれる。その後、排出搬送部10を経由して、ソータ部11のトレイ12に順次排出され積載されていく。
【0022】
図5は両面プリント時の動作を示している。両面プリントでは、表面プリントシーケンスに次いで裏面プリントシーケンスを実行する。最初の表面プリントシーケンスでは、シート供給部1から検査部5までの各ユニットでの動作は上述の片面プリントの動作と同じである。カッタ部6ではカット動作は行わずに、連続シートのまま乾燥部8に搬送される。乾燥部8での表面のインク乾燥の後、排出搬送部10の側の経路ではなく、シート巻取部9の側の経路にシートが導入される。導入されたシートは、順方向(図面では逆時計回り方向)に回転するシート巻取部9の巻取ドラムに巻き取られていく。記録部4において、予定された表面のプリントが全て終了すると、カッタ部6にて連続シートのプリント領域の後端がカットされる。カット位置を基準に、搬送方向下流側(プリントがされた側)の連続シートは乾燥部8を経てシート巻取部9でシート後端(カット位置)まで全て巻き取られる。一方、カット位置よりも搬送方向上流側の連続シートは、シート先端(カット位置)がデカール部2の残らないように、シート供給部1に巻き戻される。
【0023】
以上の表面プリントシーケンスの後に、裏面プリントシーケンスに切り替わる。シート巻取部9の巻取ドラムが巻き取り時とは逆方向(図面では時計回り方向)に回転する。巻き取られたシートの端部(巻き取り時のシート後端は、送り出し時にはシート先端になる)はデカール部2に送り込まれる。デカール部2では先とは逆向きのカール矯正がなされる。これは、巻取ドラムに巻かれたシートは、シート供給部1でのロールとは表裏反転して巻かれ、逆向きのカールとなっているためである。その後は、斜行矯正部3を経て、プリント部4で連続シートの裏面にプリントが行われる。プリントされたシートは検査部5を経て、カッタ部6において予め設定されている所定の単位長さ毎にカットされる。カットされたカットシートは両面にプリントされているので、情報記録部7での記録はなされない。カットシートは一枚ずつ乾燥部8に搬送され、排出搬送部10を経由して、ソータ部11のトレイ12に順次排出され積載されていく。
【0024】
また、前述した出力補正を含むメンテナンス時は、片面プリント時の動作と同様である。シート供給部1から供給され、デカール部2、斜行矯正部3でそれぞれ処理されたシートは、プリント部4においてプリンタヘッドメンテナンス用のテストパターンがプリントされる。プリントされたシートはカッタ部6において予め設定されている所定の単位長さ毎にカットされる。カットシートは一枚ずつ乾燥部8に搬送され乾燥が行われる。乾燥後、読取部17でテストパターンを読み取り、排出搬送部10を経由して、ソータ部11のトレイ12に順次排出され積載されていく。
【0025】
(システム構成)
図6は本発明のシステム構成例を示す図である。図中100は、図1のインクジェット記録装置本体100であり、300はインクジェット記録装置に対してプリントデータを送るホストPCである。
【0026】
ホストPC300は主に以下のブロックから構成される。CPU301は、HDD303やRAM302に保持されているプログラムに基づいて処理を実行する。RAM302は、揮発性のストレージであり、プログラムやデータを一時的に保持する。HDD303は、不揮発性のストレージであり、プログラムやデータを保持する。DATA TRANSFER I/F304は、記録装置本体100とデータを送受信する。物理的な接続方法としては、USB、IEEE1394、LAN等がある。KEYBOARD MOUSE I/F305は、キーボードやマウス等のHID(Human Interface Device)を制御するI/Fであり、ユーザからの入力を受け付ける。DISPLAY I/F306は、ディスプレイに表示する。
【0027】
記録装置本体100は主に以下のブロックから構成される。CPU311は、ROM313やRAM312に保持されているプログラムに基づいて処理を実行する。RAM312は、揮発性のストレージであり、プログラムやデータを一時的に保持する。ROM313は、不揮発性のストレージであり、プログラムやデータを保持する。DATA TRANSFER I/F314は、ホストPC300とデータを送受信する。HEAD Controller315は、実際にプリントを行う記録ヘッドに対してプリントデータを供給し、プリント制御を行う。具体的には、HEAD Controller315をRAM312の所定のアドレスから必要なパラメータとデータを読み込む設計とする方法がある。CPU311が必要なパラメータとデータをRAM312の上記所定のアドレスに書き込むと、HEAD Controller315が起動され、実際のプリントが行われる。Image Processing Accelerator316は、画像処理をCPU311よりも高速に行う。具体的には、Image Processing Accelerator316をRAM312の所定のアドレスから必要なパラメータとデータを読み込む設計とする方法がある。CPU311が必要なパラメータとデータをRAM312の上記所定のアドレスに書き込むと、Image Processing Accelerator316が起動され、実際のプリントが行われる。Image Processing Accelerator316は必ずしも必要ではなく、CPU311による処理のみで画像処理を実現しても良い。SCANNER(スキャナ)317は、図3の検査部5や同図の読取部17を制御し、読取データをRAMへ格納する。さらに、濃度を読み取って解析し、記録装置の出力特性に補正をかける為に必要な、読取デバイスの色空間からの色空間変換を行う。高速処理のためにLUT方式を用いても良いし、高精度処理のために演算処理を用いても良い。MOTOR DRIVER318は、記録紙の搬送、図3の記録ヘッド111のy方向やz方向の移動を行う。
【0028】
(メンテナンス動作)
次に本実施形態のメンテナンス動作について説明する。本実施形態におけるメンテナンス動作とは、前述した記録ヘッドの吐出量ばらつきや、後述する多次色の色ズレ、スキャナの読み取りムラ、乾燥ムラなどによる画質低下を抑制するためのものである。このため、本実施形態では、補正用テストパターンを記録し、その測色結果から補正データを生成するための濃度データを取得する。
【0029】
図7は本実施形態のメンテナンス動作の処理フローを示している。まず、ステップS701から処理がスタートする。ステップS702では、メンテナンス要件が発生しているかどうか、条件判断を行う。メンテナンス要件としては、電源立上げ時に行う。さらに、電源立上げ時にメンテナンスの必要性があるかの自己診断を行ってから判断するようにすると、メンテナンス不要時のダウンタイム、記録紙、インクの消費を低減させる効果がある。また、ユーザの指示によりメンテナンスを行えるようなユーザインターフェイスを持つことで、メンテナンス性向上の効果も得られる。また、装置内で持つタイマーを使用し特性が劣化する予め決められた時間間隔でメンテナンスを実施する様にするとメンテナンス性が向上する効果がある。さらに、インクドットの吐出回数に依存するのであれば時間ではなく吐出ドット数をカウントし所定の閾値を越えた事を基準としてメンテナンスに移行するようにすると更に好ましい。メンテナンス要件が発生しておらず、メンテナンスが不要であればステップS703を省略してステップS704へすすむ。メンテナンスを行う場合は、ステップS703において、図9で後述する方法で出力補正値T−1[Y]を算出し、データを更新する。ステップS704では、あらかじめ決められた補正データに従った出力補正値T−1[Y]を適用し、記録を行う。この出力補正値の適用例を図8に示す。
【0030】
(画像処理の流れ)
図8はインクジェットプリンタ用の画像処理を行う画像処理部の構成例を示すブロック図である。画像処理部402は入力部401から画像処理対象の注目画素の画像データを入力し、画像処理を施した画像データを出力部409に出力する。画像処理部402は、入力色変換処理部403、MCS処理部404、インク色変換処理部405、HS処理部406、TRC処理部407、量子化処理部408から構成される。
【0031】
入力処理変換処理部403は、入力画像データをデバイス色画像データに変換する。入力画像データは3要素から構成される色信号であり、具体的にはモニタの表現色であるsRGBなどの色空間座標中の色座標を示す情報形式で入力される。この入力画像を、特許文献1に記載のマトリクス演算処理や三次元ルックアップテーブル処理等の既知の手法によって、3要素から構成される色信号であるデバイス色画像データに変換する。ここで、三次元ルックアップテーブルとは、入力画像データ(R,G,B)と変換後のデバイス色画像データ(R’,G’,B’)の組み合わせが保持されたテーブルである。例えばR=0,128,255、G=0,128,255、B=0,128,255という様に、各色要素が独立に3段階に変化した場合には、全部で3×3×3=27の組み合わせから構成される。
【0032】
MCS(Multi Color Shading)処理部404は、入力処理変換処理済みのデバイス色画像データに対して補正処理を行い、色ムラを低減したデバイス色画像データを出力する。
【0033】
インク色変換処理部405は、MSC処理済みのデバイス色画像データを、複数のインク色信号から構成されるインク色データに変換する。具体的には、デバイス色画像データを入力し、特許文献1に記載のマトリクス演算処理や三次元ルックアップテーブル処理、下色除去処理等の既知の手法によってインク色分のインク色データに変換する。図1に記載のプリンタの場合、記録ヘッド111はブラック101・シアン102・マゼンタ103・イエロー104の計4本を搭載しているので、4色分のインク色データに変換する。
【0034】
HS(Head Shading)処理部406は、入力されたインク色データから、インク色毎に各記録ヘッドを構成するノズルの吐出量に応じたインク色データに変換を行い、各インク単色記録時の濃度ムラを低減したインク色データを出力する。具体的なHS処理内容にとしては、特許文献1に記載の一次元ルックアップテーブル処理等、既知の手法によってHS処理が行われる。
【0035】
TRC(Tone Reproduction Curve)処理部407は、HS処理された各インク色データを入力して、インク色毎にインクドット数データに変換する。具体的なTRC処理内容としては、特許文献1に記載の一次元ルックアップテーブル処理等、既知の手法によってHS処理が行われる。
【0036】
量子化処理部408は、TRC処理された各インクドット数データを入力して、量子化処理を行い、各インクの量子化済みデータを出力するブロックである。量子化処理には二値化や三値化〜十六値化等、様々な量子化レベルが存在する。一般的に二値化処理時には、CMYKのインクドット数データをCMYK各1ビットのインクドット有り・無しデータに変換する。量子化処理方法としては、既知のディザマトリクス法や誤差拡散法などの疑似中間調処理を用いるが、出力画像の用途によって単純量子化を用いることもできる。量子化されたインクデータは出力部409に送られる。
【0037】
出力部409では、量子化されたインクデータに基づいて、各色のインクをノズルから吐出して記録媒体に記録を行う。具体的には図1の記録ヘッド101〜104からインクを吐出して記録紙106に画像を記録する。
【0038】
以上が、本実施形態の出力値補正の基本的な処理である。本発明はここで示した処理順序に限られるものではなく、順序を変更しても良く、高速処理のために合成してLUTとしても良い。
【0039】
(特徴構成:分割プリント)
次に、本発明の特徴的構成である、記録ヘッドの補正データを生成する方法について説明する。前述したように、記録ヘッドの製造公差としてノズル毎に吐出量のばらつきが生じるため、ノズル毎(吐出口毎)もしくは所定単位のノズル数毎に記録すべき画像データに対して補正を行う必要がある。本実施形態では、複数の補正用テストパターンを有するテストチャートを記録し、そのテストチャートをスキャナ等の読み取りデバイスで測色し、得られた測色結果に基づいて補正データを生成する。
【0040】
このとき、記録ヘッドと記録媒体の幅により、必要なノズル分のテストパターンが一回の記録で得られない場合がある。本実施形態の記録ヘッド111は、記録媒体の搬送誤差や縁なし記録を行うことを考慮して、記録媒体の最大通紙幅12インチよりも長い12.9インチのノズル幅を備えている。記録ヘッドの補正は、記録媒体の最大通紙幅である12インチよりも長い領域のノズルを補正する必要があるが、テストパターンは最大12インチの記録となるため、補正が必要なノズルのテストパターンを得ることができない。このような課題に対し、本発明は、記録ヘッドと記録媒体の相対位置を異ならせて、複数回の記録でテストパターンの分割プリントを行うことで、複数の補正用テストパターンに基づいて補正が必要なノズルの補正データを生成する。
【0041】
さらに、本発明では、記録ヘッドと記録媒体の異なる相対位置で分割プリントした、複数のテストチャートを用いた際に発生する繰り返し誤差を低減可能であるという効果もある。理想的な系では、それぞれの位置で分割プリントし得られた解析結果を適用しても、出力補正後のプリントに問題はない。ところが、分割プリント後、解析が行われるまでには、吐出量ばらつき以外のノイズ成分が発生する。本明細書では、このノイズを繰り返し誤差と呼ぶ。この繰り返し誤差が重畳されると、分割して作成した補正データを用いて出力補正したの記録画像において、境界部に色味の差が発生する。この色差が視覚限界を上回る程度になると、画像弊害として視認されてしまうのである。この繰り返し誤差を発生させる要因としては、記録紙表面特性の不均一性、記録紙高速搬送時の気流ムラ、ヘッド表面インクの乾燥による濃度上昇、乾燥機の赤外線ヒータ面の不均一性、乾燥風のムラ、記録紙表面特性の不均一性による乾燥ムラ等が挙げられる。また、テストパターンを読み取るスキャナにおいても、光電変換時のノイズやアナログ回路での電気的ノイズが発生する。
【0042】
不吐ノズルなどの記録ヘッドの吐出不良に対する解析であれば、不良ノズルか否か、及び不良ノズルの位置を特定できればよいため、分割プリント間のデータの差分に対する要求精度は低い。しかし、本実施形態のように濃度出力特性を制御する場合には、吐出量や吐出タイミングなどの吐出特性による濃度を高精度で解析する必要があり、繰り返し誤差が問題となってしまうのである。本発明は、分割プリント間で補正を行うことにより、このような繰り返し誤差に対しても低減可能であるという効果を有している。以降、分割プリントについて図9のフロー図を用いてより詳細に説明する。
【0043】
図9は、図7のステップS703の出力補正値T−1[Y]を算出をする工程である。まず、ステップS901では、カウンタをクリアし、処理をスタートする。ステップS902では、メンテナンスを行う記録媒体の記録ヘッドのノズル配列方向の紙幅と、記録ヘッドのノズル幅とに基づいて、分割数Ndを決定する。この分割数Ndは、以下の式で求められる。
分割数Nd=int(記録媒体の幅/ノズル幅+1.0) (ただし、intは切捨て処理)・・・(式1)
【0044】
具体的には、5インチから12インチまでの幅の記録紙を使用する場合は、5インチ幅の記録紙の場合3回、12インチの記録紙幅場合2回となる。紙幅や搬送誤差の課題だけではなく、小さな幅の紙でも記録ヘッドのノズル幅全域をメンテナンスすることが可能である。次に、ステップS903では、指定された場所へ、ヘッドを移動させる。以降、記録媒体と記録ヘッドの相対位置をヘッドポジション(HP)と呼ぶ。3回移動を行う場合はそれぞれの位置をヘッドポジション1(HP1)、ヘッドポジション2(HP2)、ヘッドポジション3(HP3)とする。ステップS904では、一様な入力色画像データI[Y]に必要な処理を施し、補正用テストパターンを記録紙表面上に記録する。このとき、HP1で記録されたテストパターンを第1の補正用テストパターン(HP2)で記録されたテストパターンを第2の補正用テストパターンと呼ぶ。
【0045】
図10(a)に補正用テストパターンの一例を示す。RGBの色空間における8bitデータを用いて説明する。(255,255,255)は白、(255,255,0)は黄色、(255,0,255)はマゼンダ、(0,255,255)はシアンの色を示している。必要に応じて途中の階調のパターンをプリントしても良い。また、インクドットの組み合わせである2次色、3次色、4次色などの混色パッチを用いても良い。本実施形態では、インクノズルの吐出量ばらつきや変動に対応でき、かつ、必要なテストパターンのプリント量を最適化するため、1次色と2次色の例を図示する。
【0046】
ステップS905では、図3の読取部17を用いてステップS904で記録したテストチャートを読み取り、記録紙上の各エリアを測定して色情報B[Y]を得る。このとき、テストチャートを読取った値が、記録ヘッドに配列されたノズルのうち、どの位置のノズルに相当するかを解析する必要がある。従来は、搬送誤差やスキャナの収差などの影響により、ノズルまたはノズルを補正するための微小な位置を特定するのが困難であった。そこで、本実施形態では、補正用テストパターンに対し、図10(b)に示すノズル位置検出のためのパターンを同時に記録することで、この課題を解決している。
【0047】
図10(b)は、図10(a)の補正用テストパターンのうち、106011の拡大図である。1101は一様な色の入力データで作成されたパターン、1103は、パターン1102付近の読取データの位置検出を行う為の位置検出マークである。1104は特定ノズルとの位置関係を検出する為のマークである。
【0048】
検出マークはエッジ探索処理などを行い、座標を計算する。位置検出パターンをプリントする特定のノズルを予め定めておけば位置検出パターンのノズル位置と読取パターンを作成したノズルの相対関係を求める事が出来、これより読取パターンを作成したノズルの絶対位置を算出する事ができる。
【0049】
搬送精度やスキャナの光学系の収差などを元に位置検出マーク1103の間隔は決定すればよい。また、より精度を向上するために位置検出マーク1103と位置検出マーク1107の様に両側で挟むようにすると更に良い。また、分割解析時の合成の様に、位置精度の信頼性が必要な場合は、不吐などの異常時に位置検出の精度を確保する為に位置検出マーク1104の端部である1105と1106から、所定の幅が存在するかの確認をするようにしても良い。
【0050】
スキャナで読み取られた情報は、必要に応じてスキャナのシェーディング補正、トリミングなどの前処理がされる。出力値補正を行うy方向の最小単位以上の分解能で読み取る事ができる場合は、この段階で複数画素のデータを用いて処理すると、信頼性の低い突発ノイズや記録紙表面や読取スキャナ表面に付着した紙紛のようなごみによる影響を低減できるため、より好ましい。そして、出力値補正に必要なエリアを上限として加算又は平均化処理を行う。出力値補正はノズル方向(y方向)に対して算出する為、y方向の加算回数とx方向の加算回数を異なる値にすると良い。x方向の加算回数はx方向の搬送精度を考慮し、隣接する補正単位に重複しない様にすることが好ましい。
【0051】
以上のような処理を行った後、輝度データから濃度データへ変換される。変換式はlog変換でも構わないし、スキャナデバイスの特性をプロファイルとして用いて変換しても良い。
【0052】
次に、ステップS906では、分割数と処理回数を比較し、必要な回数処理を行う。分割数Nd回の処理が終了すると、ステップS907へ進む。ステップS907では、後述する方法で、分割して取得した色情報B[Y]を結合する。そして、ステップS908では、各色情報を元に各領域のズレ量T[Y]を記録ヘッドのノズル幅全域に渡り、作成する。ステップS909では、各色情報を元に各領域の出力補正値T−1[Y]をノズル幅全域に渡り、算出し、ステップS910で、決定した出力補正をメモリに格納し、終了する。
【0053】
(Y移動プリントと測定)
ここで、ステップS907において、分割して取得した色情報B[Y]を結合する方法を更に詳しく説明する。図11は、記録ヘッドの位置を示すための模式図である。図11(a)は、記録ヘッド111において、y方向の位置を示している。図11(b)は、記録媒体116に対する記録ヘッド111の位置を示しており、記録ヘッドのa〜c領域、b〜d領域のノズルを用いて補正用テストパターンを記録するときの様子である。記録ヘッド111に配列されたノズルのうち、端部aから連続するa〜c領域のノズルを第1ノズル群(第1の吐出口群)とし、このノズル群を用いて記録する位置をヘッドポジション1(HP1)とする。同様に、b〜d領域のノズルを第2ノズル群(第2の吐出口群)とし、このノズル群を用いて記録する位置をヘッドポジション2とする。117はHP1で記録されたテストチャートであり、118はHP2で記録されたテストチャートである。317は、本実施形態の読取デバイスであるスキャナの相対位置を示した模式図である。y方向の位置を説明するために、スキャナ317が記録ヘッド111とx方向に隣接した図を用いている。
【0054】
図12は、それぞれのヘッドポジション(HP)でのテストチャートのテストパターンをスキャンし、濃度変換したデータを示している。横軸は、スキャナで読み込んだ記録ヘッドのy方向の位置に対応している。縦軸は濃度を示す。テストチャートにおいて、複数の色、濃度のテストパターンを記録した場合はその個数分のデータが作成される。図12(a)は、ヘッドポジション1(HP1)で記録したテストパターンの測色結果であり、第1ノズル群(第1の吐出口群)を用いて記録した濃度データである。同様に、図12(b)はヘッドポジション2(HP2)で記録したテストパターンの測色結果であり、第2ノズル群(第2の吐出口群)を用いて記録した濃度データである。それぞれに、記録ヘッド上のノズルa〜dの対応位置を示す。
【0055】
ここで、テストパターンを読み込んだデータに基づき、分割して得たデータを結合するが、スキャナ読み取り時の課題として、記録媒体の端部は地色に影響されやすいために正しく読めないという課題がある。これに対し本実施形態では、記録媒体端部の影響が充分無視できる位置のデータを用いて結合を行う。これについて、図13を用いて説明する。
【0056】
図13(a)は、算出されたヘッドポジション1(HP1)でのテストパターンの濃度データ131と、ヘッドポジション2(HP2)でのテストパターンの濃度データ132を重ね合わせた図である。各ヘッドポジションにおいて、第1ノズル群と第2ノズル群のうち、b〜c領域のノズルが重複して使用される。この重複したb〜cのノズル群を第3ノズル群(第3の吐出口群)と呼ぶ。この重複した第3ノズル群を用いて記録された領域の濃度データに基づき、濃度データを結合して補正データを生成する。尚、本実施形態において、HP1におけるf〜cの領域は、スキャナで記録したテストパターンを読み取る際に信頼性が保障されない領域を示している。HP2におけるb〜eの領域も同様である。従って、e〜fの領域の濃度データを用いて結合することで、記録媒体端部の影響を抑制することができる。このように、分割してテストパターンを記録する場合は、この保証できない領域の分を考慮してb〜c領域の重複使用ノズル(第3の吐出口群)を持つように記録媒体のサイズを選択することが好ましい。
【0057】
また、複数回記録された濃度データが一致せず、大きくずれている場合には、スキャナの読み取り時の信頼性が保障できない領域を外したとしても正確なデータを得ることができない。図13(a)のe〜f領域において、濃度データ131及び132はずれが生じており、これは前述の繰り返し誤差によるものである。この要因として、インクの吐出精度、インクが記録媒体に着弾する際の位置精度、記録媒体の面内ばらつき、乾燥の変動、読取スキャナ時の変動、光電変換された際の電気的ノイズなどが考えられる。特に、乾燥ムラはプリントされたインクの位置、記録メディアの均一性、熱風および赤外光の均一性により発生し、ランダム性が高い傾向がある。この繰り返し誤差は、1回でテストパターンを記録して出力補正を行った場合には品質上問題にならないが、複数回の分割記録で記録したテストパターンを結合して出力補正を行った場合には色差が発生してしまう可能性がある。
【0058】
ここで、本実施形態において、ランダムに発生する要因に対して分散の加法性により必要な回数分データ数を積算する。
積算回数=(発生誤差/目標誤差)2・・・(式2)
【0059】
本実施形態では、目標誤差に対して、ノイズなどに起因するS/Nから発生誤差を製品設計時に見積もる事が可能であり、それに応じて必要な重ね合わせ幅を算出する。前述した搬送精度や位置検出、補正処理における制限の範囲内において、x方向に積算回数を割りつけることにより、ヘッドノズルの性能解析補正の分解能が低下しない効果がある。実際の使用中の状態を測定して必要な加算回数を求め、必要な重ね合わせ幅を変更するようにしても良い。
【0060】
図14は、本実施形態の補正の流れを説明するフローである。まず、各ヘッドポジション(HP)間の繰り返し誤差を補正するための解析・補正処理を行い、次に各ヘッドポジション(HP)間のつなぎ部分(ノズルの重複領域)に発生する色差を低減するための解析・補正処理である端部処理を行う。
【0061】
ステップS1401でスタートし、ステップS1402〜ステップS1403で各ヘッドポジション(HP)における重複領域の特性差を算出する。本実施形態では、ノズルのe〜fの領域におけるそれぞれの濃度データの平均値から、その比を求める。
【0062】
ヘッドポジション1(HP1)の位置で記録したパターンを読み取った濃度データをD[P1][Y](a≦Y≦c)とし、同様に、ヘッドポジション2(HP2)の位置で記録したパターンを読み取った濃度データをD[P2][Y](b≦Y≦d)とする。このとき、Yはy方向の記録ヘッドのノズル位置を示している。そして、これらの濃度データから、HP1でのe−f領域の濃度データの平均値をDave[P1][e−f]とし、HP2でのe−f領域の濃度データの平均値をDave[P2][e−f]として算出する。そして、2つの平均値の比を取り、係数Kを決定する。
K=Dave[P1][e−f]/Dave[P2][e−f]・・・(式3)
【0063】
次に、ステップS1404では、求めた係数Kを記録ヘッドのノズル全域に乗ずる。本実施形態では、HP2の平均値をHP1の平均値に合わせる。
Dp1[P2][Y]=K×Dave[P2][Y]・・・(式4)
この処理により、HP1とHP2での濃度差を低減することができる。
【0064】
このように比を算出して補正することで、乾燥によるダイナミックレンジの違いやスキャナの輝度信号の違いの様な濃度差を低減することが可能である。一方、センサの暗電流やアナログ回路のドリフトの様な要因には、式5及び式6に示すように、2式の差を取って係数K’を決定し、HP2での記録ヘッドのノズル全域に加算することで低減可能である。
K’=Dave[P1][e−f]−Dave[P2][e−f]・・・(式5)
Dp1[P2][Y]=K+D[P2][Y] ・・・(式6)
ただし,YはHP2でのy方向の記録ヘッドのノズル位置を示す。
【0065】
以上が、各ヘッドポジション(HP)間の濃度データの繰り返し誤差を補正するための解析/補正処理である。このように、HP1とHP2での濃度データの重なり部分を全域で加算することで、テストチャートの端部をスキャナで読み取る際に、光学系のMTFや照明の散乱光によって受ける光の影響を抑制する効果もある。
【0066】
次に、重複領域の濃度データを結合する際の補正処理について、図13(b)を用いて説明する。ステップS1404の処理により、繰り返し誤差が低減できるため、各ヘッドポジションにおいて重複する領域のノズルの平均濃度は一致している。しかしながら、各ヘッドポジションで記録・解析等を行った際に発生する、繰り返し誤差以外の要因によって残存するノイズ成分により、記録ヘッドのy方向の位置によっては差分が発生する。この繰り返し誤差以外の要因とは、ランダムに発生する要因のほか、乾燥、スキャナなどの不均一性である。繰り返し誤差を補正する処理により平均濃度が一致しているので、どちらのヘッドポジションで作成した解析値を使用しても問題ない。しかし、各ヘッドポジションの境界部分では、それぞれのヘッドポジションで発生するノイズとの相関性の低いノイズ成分が含まれると、変化が不連続になり、補正誤差が画像弊害に繋がる原因となる。そこで、重複領域のうち、ヘッドポジション1との境界部である位置bではヘッドポジション1のデータの重みを高くし、ヘッドポジション2との境界部である位置cではヘッドポジション2のデータの重みを高くする処理を行う。
【0067】
ステップS1406において、b〜c領域に発生する色差を低減させる為には、記録ヘッドの各ヘッドポジションでの濃度データを、y方向の位置に応じた比で加重平均する。
Dwa[Y]=αD[P1][Y]+(1−α)Dp1[P2][Y] (0≦α≦1,b≦Y≦c)・・・(式7)
ここで、Y=bのときα=1であり、Y=cのときα=0である。
【0068】
以上より、補正処理を行った濃度データD[Y]はy方向の位置Yにより下記のように算出される(ステップS1407)。
【0069】
【数1】
【0070】
以上の処理は、ステップS904で記録した一様な入力画像のうち、1つの色値のデータについての処理である。従って、全てのテストパターンのバンド数分の処理を行い、全てのテストパターンについてDn[Y]を求める(ステップS1408)。そして、パッチそれぞれで解析補正を行ったD1[Y]、D2[Y]…Dn[Y]をもとに、B[Y]を算出する。本実施形態においてDn[Y]は濃度B[Y]は輝度データであるため、輝度データに換算するlog変換の後処理を行い(ステップS1409)、処理を終了する(ステップS1410)。
【0071】
以上のように、本実施形態では、繰り返し誤差を低減するための補正処理と、乾燥ムラやスキャナの読み取り誤差などの繰り返し誤差では低減できない誤差を低減するための補正処理を行う。そして、重複して使用されるノズル領域に対応する濃度データを結合する際に、各ヘッド位置での濃度データに重み付けをすることで、補正結果に色差が生じる画質低下を抑制し、適正な補正処理を行うことができる。
【0072】
尚、前述したように、補正用テストパターンを記録する記録媒体のサイズは、重複領域であるb−c領域ができるだけ長くなるようにすることが好ましい。濃度差を変化量Δとし、勾配をtanΘ、変化が発生するy方向の長さをdyとすると、
Δ/dy=tanΘ・・・(式9)
の関係が成り立つ。変化量すなわち勾配が緩やかになるほど、視覚特性的には検知する事が困難になることから、変化量Δが小さくなるか、変化がy方向の長い区間で発生するようにすると良い。従って、必要な長さdyは、発生する濃度差(変化量Δ)とtanΘの関係から求めることができる。このdyに対し、重複領域の長さを長くするほど、前述した加重平均での緩和処理の効果が高まる。
【0073】
また、位置Yの単位は、y方向で補正を行う最小単位とすることで、処理データが低減される効果がある。ただし、位置Yの単位は、補正が必要な変動の原因に依存する。ノズル単位の吐出量の検出補正では1ノズル単位となり、ノズルを駆動するヒータの特性を補正するのであればヒータの単位となる。また、ヘッドチップ単位の特性を補正するのであればヘッドチップの単位となり、インク供給系の冷却特性を補正するのであればインク供給流路の単位となる。また、視覚特性上分解できない大きさを満たすようにすると、必要以上の高解像度のデータを処理せずに済む効果がある。
【0074】
また、本実施形態は、ロール紙を使用する場合の例を用いたが、カット紙を使用する方式であっても構わない。また、本実施形態は、記録ヘッドを走査せずに記録媒体を搬送して記録を行う方法を用いて説明したが、本発明はこれに限るものではない。すなわち、記録ヘッドと記録媒体が相対走査するものであればよく、記録媒体に対して記録ヘッドを走査させて記録を行う形態であってもよい。このとき、記録媒体を走査する方向は、記録ヘッドのノズルが配列する方向と交差する方向である。
【0075】
また、本実施形態はCMYKの4色のインクを吐出する記録ヘッドを用いたが、これに限るものではなく、Lc(ライトシアン)、Lm(ライトマゼンタ)、Ly(ライトイエロー)、Gy(グレー)などのインクを吐出する記録ヘッドを用いてもよい。また、記録ヘッド111は、CMYKのインクを吐出する101〜104の4つの記録ヘッドを備えているが、1つの記録ヘッドで複数色のインクを吐出するような形態であってもよい。
【0076】
また、本実施形態では、インクジェット記録装置本体100にスキャナ317を備える形態で説明を行ったが、記録装置とは別にスキャナを備え、測定結果を取得する形態であってもよい。尚、補正データを生成する処理は、インクジェット記録装置本体100とホストPC300のいずれで行ってもよく、処理の一部を一方で行う形態であってもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクを吐出するための複数の吐出口が所定方向に沿って配列された記録ヘッドを、記録媒体に対して前記所定方向と交差する方向に相対走査させながらインクを吐出して前記記録媒体に画像を記録するインクジェット記録装置であって、
前記記録ヘッドの複数の吐出口のうち、一方の端部から連続する、前記複数の吐出口より少ない数の吐出口で構成される第1の吐出口群を用いて第1の補正用テストパターンを記録する第1の補正用テストパターン記録手段と、
前記記録ヘッドの複数の吐出口のうち、前記第1の吐出口群の一部の吐出口と前記第1の吐出口群に含まれない吐出口とからなり、前記所定方向に連続する複数の吐出口で構成される第2の吐出口群を用いて第2の補正用テストパターンを記録する第2の補正用テストパターン記録手段と、
前記第1の補正用テストパターンの測色結果と、前記第2の補正用テストパターンの測色結果とに基づき、前記第1の吐出口群及び第2の吐出口群からなる吐出口に対応した前記画像データを補正するための補正データを生成する補正データ生成手段と
を有することを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項2】
前記補正データ生成手段は、前記第1の吐出口群のうち前記第2の吐出口群にも含まれる吐出口で構成される第3の吐出口群に対応した画像データを補正するための補正データを、前記第1の補正用テストパターン及び第2の補正用テストパターンの測色結果のそれぞれに基づいて生成することを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項3】
前記補正データ生成手段は、前記第3の吐出口群に含まれる吐出口を補正するための補正データは、前記第1の補正用テストパターンの測色結果と前記第2の補正用テストパターンの測色結果とに基づいて重み付けを変えて生成することを特徴とする請求項2に記載のインクジェット記録装置。
【請求項4】
前記補正データ生成手段は、前記第3の吐出口群に含まれる所定の吐出口を補正するための補正データを、前記第3の吐出口群に含まれる吐出口であって前記所定の吐出口よりも前記一方の端部に近い吐出口を補正するための補正データよりも、前記第2の補正用テストパターンの測色結果に基づく重み付けが大きくなるように生成することを特徴とする請求項3に記載のインクジェット記録装置。
【請求項5】
前記補正データ生成手段は、前記第3の吐出口群に対応する前記第1の補正用テストパターンの測色結果と、前記第2の補正用テストパターンの測色結果との違いに基づいて、前記第1の補正用テストパターンと前記第2の補正用テストパターンの少なくとも一方の測色結果を補正してから、補正データを生成することを特徴とする請求項2から4のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
【請求項6】
前記補正データ生成手段は、1つの吐出口毎に補正データを生成することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
【請求項7】
前記第1の補正用テストパターン及び前記第2の補正用テストパターンを測色して測色結果を取得するための測色手段をさらに有することを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
【請求項8】
インクを吐出するための複数の吐出口が所定方向に沿って配列された記録ヘッドを、記録媒体に対して前記所定方向と交差する方向に相対走査させながらインクを吐出して前記記録媒体に画像を記録するインクジェット記録方法であって、
前記記録ヘッドの複数の吐出口のうち、一方の端部から連続する、前記複数の吐出口より少ない数の吐出口で構成される第1の吐出口群を用いて第1の補正用テストパターンを記録する第1の補正用テストパターン記録工程と、
前記記録ヘッドの複数の吐出口のうち、前記第1の吐出口群の一部の吐出口と前記第1の吐出口群に含まれない吐出口とからなり、前記所定方向に連続する複数の吐出口で構成される第2の吐出口群を用いて第2の補正用テストパターンを記録する第2の補正用テストパターン記録工程と、
前記第1の補正用テストパターンの測色結果と、前記第2の補正用テストパターンの測色結果とに基づき、前記第1の吐出口群及び第2の吐出口群からなる吐出口に対応した前記画像データを補正するための補正データを生成する補正データ生成工程と
を有することを特徴とするインクジェット記録方法。
【請求項1】
インクを吐出するための複数の吐出口が所定方向に沿って配列された記録ヘッドを、記録媒体に対して前記所定方向と交差する方向に相対走査させながらインクを吐出して前記記録媒体に画像を記録するインクジェット記録装置であって、
前記記録ヘッドの複数の吐出口のうち、一方の端部から連続する、前記複数の吐出口より少ない数の吐出口で構成される第1の吐出口群を用いて第1の補正用テストパターンを記録する第1の補正用テストパターン記録手段と、
前記記録ヘッドの複数の吐出口のうち、前記第1の吐出口群の一部の吐出口と前記第1の吐出口群に含まれない吐出口とからなり、前記所定方向に連続する複数の吐出口で構成される第2の吐出口群を用いて第2の補正用テストパターンを記録する第2の補正用テストパターン記録手段と、
前記第1の補正用テストパターンの測色結果と、前記第2の補正用テストパターンの測色結果とに基づき、前記第1の吐出口群及び第2の吐出口群からなる吐出口に対応した前記画像データを補正するための補正データを生成する補正データ生成手段と
を有することを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項2】
前記補正データ生成手段は、前記第1の吐出口群のうち前記第2の吐出口群にも含まれる吐出口で構成される第3の吐出口群に対応した画像データを補正するための補正データを、前記第1の補正用テストパターン及び第2の補正用テストパターンの測色結果のそれぞれに基づいて生成することを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項3】
前記補正データ生成手段は、前記第3の吐出口群に含まれる吐出口を補正するための補正データは、前記第1の補正用テストパターンの測色結果と前記第2の補正用テストパターンの測色結果とに基づいて重み付けを変えて生成することを特徴とする請求項2に記載のインクジェット記録装置。
【請求項4】
前記補正データ生成手段は、前記第3の吐出口群に含まれる所定の吐出口を補正するための補正データを、前記第3の吐出口群に含まれる吐出口であって前記所定の吐出口よりも前記一方の端部に近い吐出口を補正するための補正データよりも、前記第2の補正用テストパターンの測色結果に基づく重み付けが大きくなるように生成することを特徴とする請求項3に記載のインクジェット記録装置。
【請求項5】
前記補正データ生成手段は、前記第3の吐出口群に対応する前記第1の補正用テストパターンの測色結果と、前記第2の補正用テストパターンの測色結果との違いに基づいて、前記第1の補正用テストパターンと前記第2の補正用テストパターンの少なくとも一方の測色結果を補正してから、補正データを生成することを特徴とする請求項2から4のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
【請求項6】
前記補正データ生成手段は、1つの吐出口毎に補正データを生成することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
【請求項7】
前記第1の補正用テストパターン及び前記第2の補正用テストパターンを測色して測色結果を取得するための測色手段をさらに有することを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
【請求項8】
インクを吐出するための複数の吐出口が所定方向に沿って配列された記録ヘッドを、記録媒体に対して前記所定方向と交差する方向に相対走査させながらインクを吐出して前記記録媒体に画像を記録するインクジェット記録方法であって、
前記記録ヘッドの複数の吐出口のうち、一方の端部から連続する、前記複数の吐出口より少ない数の吐出口で構成される第1の吐出口群を用いて第1の補正用テストパターンを記録する第1の補正用テストパターン記録工程と、
前記記録ヘッドの複数の吐出口のうち、前記第1の吐出口群の一部の吐出口と前記第1の吐出口群に含まれない吐出口とからなり、前記所定方向に連続する複数の吐出口で構成される第2の吐出口群を用いて第2の補正用テストパターンを記録する第2の補正用テストパターン記録工程と、
前記第1の補正用テストパターンの測色結果と、前記第2の補正用テストパターンの測色結果とに基づき、前記第1の吐出口群及び第2の吐出口群からなる吐出口に対応した前記画像データを補正するための補正データを生成する補正データ生成工程と
を有することを特徴とするインクジェット記録方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2012−101441(P2012−101441A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−251900(P2010−251900)
【出願日】平成22年11月10日(2010.11.10)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月10日(2010.11.10)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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