説明

インクジェット記録装置

【課題】 インクビームの調整機構に使用する部品点数を削減し構造を簡素化することで、組立て性およびメンテナンス性を向上させたインクジェット記録装置を提供する。
【解決手段】 ハウジング保持部材にバネ鋼等の弾性力を持った素材を適用し、切り起こし部を構成し切り起こし部の弾性力をノズルハウジングに加える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット記録装置に関し、インクジェット記録装置のインク噴出方向の調整を行なう調整機構に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のインクジェット記録装置のノズルは、ノズルハウジングは、ハウジング保持部材と別部品で構成した弾性体であるコイルバネを、調整ネジのネジ部の同軸上に設置することで、コイルバネの弾性力によって常にノズルハウジングとハウジング保持部材との間に一定方向の力を加えており、噴出するインクビームの位置すなわちノズル中心軸方向の調整機構は、ノズルハウジングとハウジング保持部材の位置を調整ネジとコイルバネの反力により移動させる手段をとっていた(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−202582号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述したインクビームの調整機構は部品点数が多くなり組立て作業性が低下していた。また、メンテナンス等において調整ネジを取外した際にコイルバネが別部品で構成されているため、紛失する要因もあった。
【0005】
本発明の課題は、インクビームの調整機構に使用する部品点数を削減し構造を簡素化することで、組立て性およびメンテナンス性を向上させたインクジェット記録装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、例えば、インクを加圧又は吸引するポンプ圧送されたインクを連続的に粒子化するノズルと、噴出したインク粒子に印字に必要とする電荷を帯電させる帯電電極と、帯電したインク粒子を偏向させる電界を形成する偏向電極と、印字に使用しないインク粒子を補足し回収経路へ搬送するガターと、を備える印字ヘッドを有するインクジェット記録装置において、前記ノズルは前記ノズルが収納されるノズルハウジングに固定された状態で、前記ノズルハウジングをインク噴出方向の調整機能を有したハウジング保持部材に弾性体を介して取り付け、前記ノズルハウジングが固定された前記ハウジング保持部材を締結部材により前記印字ヘッドに取り付けられているという構成をとる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、インクビームの調整機構に使用する部品点数を削減し構造を簡素化することで、組立て性およびメンテナンス性を向上させたインクジェット記録装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の一実施例に係るインクビーム鉛直方向調整機構の構成図である。
【図2】本発明の一実施例に係るハウジング保持部材の構成図である。
【図3】本発明の一実施例に係るハウジング保持部材のB-B 断面図断面図である。
【図4】本発明の一実施例に係るハウジング保持部材の側面図である。
【図5】本発明の一実施例に係るノズルハウジングを示す図である。
【図6】本発明の一実施例に係るノズルハウジングの側面図である。
【図7】本発明の一実施例に係るインクビーム鉛直方向調整動作の一例である。
【図8】図1のインクビーム鉛直方向調整機構のA-A 断面図である。
【図9】インクビーム水平方向調整機構の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施例に係るインクジェット記録装置について図を用いて説明する。なお、本発明は、図示例に限定されるものではない。また、本発明に係るインクジェット記録装置は、インクを加圧又は吸引するポンプから圧送されたインクを連続的に粒子化するノズルから噴出されたインク粒子に帯電電極で印字に必要とする電荷を帯電させ、帯電されたインク粒子を偏向電極により飛翔方向を偏向させ、印字に使用しないインク粒子を補足し回収経路へ搬送するガターを備える、いわゆるコンティニュアス方式のインクジェット記録装置に関する技術である。
【0010】
図2は、本発明の一実施例に係るハウジング保持部材の構成を示す。
【0011】
ハウジング保持部材1に勘合するノズルハウジングの幅方向の動きを抑制する側壁2および側壁3と、弾性力によって常にノズルハウジングとハウジング保持部材1との間に一定方向の力を加える切り起こし部4、切り起こし部4の弾性力の向きと同じ方向に垂直方向調整ネジを取り付けるネジ穴5、ハウジング保持部材1をネジ等の締結部材により印字ヘッドに取り付ける締結部材に勘合する穴6aおよび6b、インクビームの水平方向調整時の回転軸と勘合する水平方向基準穴7、水平方向調整用のカムと勘合する溝8を設けた構成とする。
【0012】
図3は、本発明の一実施例に係るハウジング保持部材の B-B 断面を示す。
【0013】
ハウジング保持部材1の切り起こし部4は矢印10の向きにh1の高さ起こしている。
【0014】
図4は、本発明の一実施例に係るハウジング保持部材1の側面を示す。
【0015】
側壁2の一部にノズルハウジングを固定するネジを通す穴11、側壁3の一部にインクビームの垂直方向調整時の回転軸を兼ねたノズルハウジング結合用のピンを取り付ける穴12を設けた構成とする。
【0016】
図5は本発明の一実施例に係るノズルハウジングを示す。
ノズル9を取り付けたノズルハウジング13には、ハウジング保持部材1の側壁2および側壁3と勘合する勘合部14を形成している。また、勘合部14にはハウジング保持部材1に設けたネジ穴5と同軸上にインクビームの垂直方向調整ネジを通す穴15を設ける。
【0017】
図6は本発明の一実施例に係るノズルハウジングの側面図を示す。
【0018】
ノズルハウジング13の側壁にはハウジング保持部材1に設けた穴12と同軸上にハウジング保持部材1との結合用のピンと勘合する穴16、ハウジング保持部材1の側壁2に設けた穴11と同軸上に形成したノズルハウジング13をハウジング保持部材1に固定するネジと勘合するネジ穴17を設けた構成とする。
【0019】
図1は、本発明の一実施例に係るインクビーム鉛直方向調整機構の構成を示す。
【0020】
ノズル9を固定したノズルハウジング13をハウジング保持部材1の側壁2および側壁3の間に組込み、ハウジング保持部材1に設けた穴12とノズルハウジング13に設けた穴16を結合用のピン18を使用し、ハウジング保持部材1とノズルハウジング13を結合する。
【0021】
次に、インクビームの鉛直方向調整ネジ19をノズルハウジング13に設けたインクビームの垂直方向調整ネジを通す穴15に通しハウジング保持部材1に設けたネジ穴5に組み込む。
【0022】
インクビームの垂直方向調整においては鉛直方向調整ネジ19を締めていくと、鉛直方向調整ネジ19のネジ頭がノズルハウジング13を押し下げ矢印20の方向にノズルハウジング13を押す力を生じノズルハウジング13はピン18を回転軸とした反時計方向の回転移動をすることでインクビーム23が鉛直方向の移動をする。
【0023】
またハウジング保持部材1の切り起こし部4は初期的には破線で表している形状であるが鉛直方向調整ネジ19がノズルハウジング13を押す力を受け実線で表す位置までたわみ、バネ力が発生する。バネ力は、ノズルハウジング13を押し上げ矢印21の方向にノズルハウジング13を押す力となり、ノズルハウジング13の鉛直方向の位置を一定に保つようになる。
【0024】
調整が終わった後は、固定ネジ22をハウジング保持部材1の側壁2に設けた穴11に通しノズルハウジング13に設けたネジ穴17に組み込みノズルハウジング13をハウジング保持部材1に固定する。
【0025】
図7に本発明の一実施例に係るインクビーム鉛直方向調整動作の一例を示す。
【0026】
図1の状態から鉛直方向調整ネジ19を緩めていくと、ハウジング保持部材1の切り起こし部4はバネ力により初期的な位置まで戻ろうとするのでノズルハウジング13に対し矢印21の方向に押し上げる力を生じ、鉛直方向調整ネジ19のネジ頭がノズルハウジング13と接触する位置までノズルハウジング13はピン18を回転軸とした時計方向の回転移動をすることでインクビーム23が鉛直方向の移動をする。
【0027】
図8は、図1の A-A 断面を示す。
【0028】
本機構は、前記したようにノズルハウジング13はインクビームの鉛直方向調整時にハウジング保持部材1に対しピン18を回転軸とした回転移動をする必要があるため、ピン18に対しハウジング保持部材1に設けた穴12もしくはノズルハウジング13に設けた穴16のいずれかの穴径を、ピン18に対しギャップを持たせ、また一方の穴はピン18に対し固定する構成とする必要がある。
【0029】
一例としてピン18の径に対しハウジング保持部材1に設けた穴12の径を小さくし圧入関係とし、逆にノズルハウジング13に設けた穴16はピン18の径に対しギャップを持たす。
【0030】
別の例としてピン18はオネジを用いハウジング保持部材1に設けた穴12をメネジとし、ノズルハウジング13に設けた穴16はピン18のオネジの径に対しギャップを持たす構成としても良い。
【0031】
図9はインクビーム水平方向調整機構の一例を示す。
【0032】
保持部材1に形成した印字ヘッドに取り付ける締結部材24に勘合する穴6aおよび
6b、インクビームの水平方向調整時の回転軸と勘合する水平方向基準穴7と、印字ヘッドに形成した穴6aおよび6bと同軸上に形成した締結部材24固定用穴、及び水平方向基準穴7に勘合する水平方向基準軸25を各々勘合させ、締結部材24でノズルハウジング13を搭載したハウジング保持部材1を印字ヘッド26に取り付ける。
【0033】
印字ヘッド26には水平方向調整用のカム27を備えておりハウジング保持部材1に形成した溝8がカム27と勘合する。
【0034】
水平方向調整時には締結部材24を緩め、カム27を回転させると水平方向基準軸25を中心とした回転移動をすることでインクビーム23が水平方向の移動をする。
【0035】
インクビーム23が所望の位置に調整出来たら締結部材24でハウジング保持部材1を印字ヘッド26に固定する。
【0036】
かかるインクビーム水平方向調整機構によれば、インクビームの調整機構に使用する部品点数を削減し構造を簡素化することで、組立て性およびメンテナンス性を向上させたインクジェット記録装置を提供することができる。
【符号の説明】
【0037】
1・・・ハウジング保持部材、2・・・側壁、3・・・側壁、4・・・切り起こし部、5・・・ネジ穴、6a・・・穴、6b・・・穴、7・・・水平方向基準穴7、8・・・溝、9・・・ノズル、10・・・矢印、11・・・穴、12・・・穴、13・・・ノズルハウジング、14・・・勘合部、15・・・穴、16・・・穴、17・・・ネジ穴、18・・・ピン、19・・・鉛直方向調整ネジ、20・・・矢印、21・・・矢印、22・・・固定ネジ、23・・・インクビーム、24・・・締結部材、25・・・水平方向基準軸、26・・・印字ヘッド、27・・・カム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクを加圧又は吸引するポンプ圧送されたインクを連続的に粒子化するノズルと、
噴出したインク粒子に印字に必要とする電荷を帯電させる帯電電極と、
帯電したインク粒子を偏向させる電界を形成する偏向電極と、
印字に使用しないインク粒子を補足し回収経路へ搬送するガターと、
を備える印字ヘッドを有するインクジェット記録装置において、
前記ノズルは前記ノズルが収納されるノズルハウジングに固定された状態で、前記ノズルハウジングをインク噴出方向の調整機能を有したハウジング保持部材に弾性体を介して取り付け、前記ノズルハウジングが固定された前記ハウジング保持部材を締結部材により前記印字ヘッドに取り付けられていることを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項2】
前記ノズルハウジングは、弾性体を介して前記ハウジング保持部材に取り付けられ、前記弾性体は弾性力によって、前記ノズルハウジングと前記ハウジング保持部材との間に一定方向の力を加えていることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項3】
前記弾性体は前記ハウジング保持部材と一体化していることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のインクジェット記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−73411(P2011−73411A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−230158(P2009−230158)
【出願日】平成21年10月2日(2009.10.2)
【出願人】(502129933)株式会社日立産機システム (1,140)
【Fターム(参考)】