説明

インクジェット記録装置

【課題】2つの搬送路が形成されたインクジェット記録装置において、各搬送路に対するプラテンの位置決め精度の向上が可能な構造を提供する。
【解決手段】搬送路65上の記録用紙を上面でガイドする第1ガイド部材71と、第1ガイド部材71の下側に配置され、反転搬送路68上の記録用紙を下面でガイドする第2ガイド部材72と、インクを吸収し弾性変形可能なインク吸収部材85と、各ガイド部材71、72を位置決めする第2搬送ローラ62とを備える。各ガイド部材71、72は、上下方向7にスライド可能に相互に組み付けられている。インク吸収部材85は、各ガイド部材71、72に挟まれて配置されることで弾性変形されている。インク吸収部材85の弾性力によって、第1ガイド部材71の第1当接部120は第2搬送ローラ62に下側から圧接され、第2ガイド部材72の第2当接部121は第2搬送ローラ62に上側から圧接される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラテンに支持された被記録媒体に画像を記録するインクジェット記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、入力信号に基づいて被記録媒体に画像記録を行う画像記録装置が知られている。このような画像記録装置としては、例えばインクジェット記録方式で被記録媒体に画像を記録するインクジェット記録装置がある。
【0003】
インクジェット記録装置においては、被記録媒体を支持するプラテンに対向して設けられた記録ヘッドが、プラテン上の被記録媒体に向かってインク滴を吐出する。これにより、被記録媒体に画像が記録される。(特許文献1)。
【0004】
インクジェット記録装置においては、プラテンの上面の高さが一定に保持されることが望ましい。プラテンの上面の高さが一定に保持されることにより、プラテンの上面に支持された被記録媒体と記録ヘッドとの距離が一定に保持され、被記録媒体へ記録される画像の画質を良好に維持することができるからである。
【0005】
従来、プラテンの上面の高さを一定に保持するため、プラテンは、搬送路に設けられた被記録媒体を搬送するためのローラなどに圧接されていた。当該ローラなどは、装置のフレームなどに支持されており安定した高さを維持している。そのため、当該ローラに圧接されたプラテンも、安定した高さを維持することができる。その結果、被記録媒体へ記録される画像の画質を良好に維持することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−103849号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
また、被記録媒体の両面に画像記録可能なインクジェット記録装置も知られている。このようなインクジェット記録装置には、表面に画像記録された被記録媒体を再び搬送路における記録ヘッドの上流側に搬送するための両面印刷用の搬送路が形成される。
【0008】
この両面印刷用の搬送路がプラテンの下側に形成される場合、プラテンの下面が両面印刷用の搬送路の上側のガイド面を構成することが考えられる。
【0009】
プラテンの下面が両面印刷用の搬送路の上側のガイド面を構成する場合、プラテンの下面の高さが一定に保持されることが望ましい。プラテンの下面の高さが一定に保持されない場合、両面印刷用の搬送路を搬送される被記録媒体がプラテンの下面に引っかかることなどにより、被記録媒体が安定して搬送されないおそれがあるからである。
【0010】
しかしながら、上述したようにプラテンは上面の高さを一定に保持するために、搬送路に設けられたローラなどに圧接されている。そのため、プラテンの下面は、上面を基準として高さが決定される。その結果、プラテンの下面の高さが一定に保持されないおそれがあった。
【0011】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、第1搬送路に加えて、両面印刷用の第2搬送路が形成されたインクジェット記録装置において、第1搬送路及び第2搬送路の双方に対するプラテンの位置決めを精度よく実行できる構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
(1) 本発明のインクジェット記録装置は、第1搬送路を案内される被記録媒体にインク滴を吐出する記録ヘッドと、上記記録ヘッドと対向して配置されており、上記第1搬送路を案内される被記録媒体をガイドする第1ガイド面を有する第1ガイド部材と、上記第1ガイド部材とは上記記録ヘッドに対して反対側に対向して配置されており、第2搬送路を案内される被記録媒体をガイドする第2ガイド面を有する第2ガイド部材と、インクを吸収し且つ弾性変形可能なインク吸収部材と、上記第1ガイド部材及び上記第2ガイド部材を位置決めする位置決め部材と、を備える。上記第1ガイド部材及び上記第2ガイド部材は、相互に対向する方向にスライド可能に組み付けられている。上記インク吸収部材は、上記第1ガイド部材及び上記第2ガイド部材に挟まれて配置されており、且つ上記第1ガイド部材及び上記第2ガイド部材によって弾性変形されている。上記第1ガイド部材は、上記位置決め部材に対して当接可能であって、上記インク吸収部材の弾性力によって、当該位置決め部材を付勢する第1当接部を有する。上記第2ガイド部材は、上記位置決め部材に対して当接可能であって、上記インク吸収部材の弾性力によって、当該位置決め部材を付勢する第2当接部を有する。
【0013】
インク吸収部材は、第1ガイド部材及び第2ガイド部材の間に圧縮された状態で配置される。これにより、インク吸収部材が元の状態に戻ろうとする復元力が、第1ガイド部材及び第2ガイド部材に作用する。当該復元力の作用によって、第1当接部は第2ガイド部材側から位置決め部材に圧接される。つまり、第1ガイド部材は位置決め可能である。また、当該復元力の作用によって、第2当接部は記録ヘッド側から位置決め部材に圧接される。つまり、第2ガイド部材は位置決め可能である。
【0014】
(2) 本発明のインクジェット記録装置は、上記第1搬送路に配置されており、回転することによって被記録媒体を搬送し、周面が被記録媒体と当接する大径部、及び上記大径部よりも径が小さい小径部を有するローラを更に備える。上記ローラは、上記位置決め部材である。上記第1当接部は、上記大径部または上記小径部の少なくとも一方に上記第2ガイド部材側から当接する。上記第2当接部は、上記小径部に上記記録ヘッド側から当接する。
【0015】
第1当接部及び第2当接部が大径部よりも径が小さい小径部と当接される場合、第1当接部及び第2当接部は第1搬送路を搬送される被記録媒体と当接されない。よって、第1当接部及び第2当接部は、ローラの幅方向における端部(搬送路の幅方向において被記録媒体が搬送される領域外)だけでなく、ローラの幅方向における中央部(搬送路の幅方向において被記録媒体が搬送される領域内)にも配置可能である。その結果、第1ガイド部材及び第2ガイド部材は、より精度よく位置決め可能である。
【0016】
(3) 本発明のインクジェット記録装置は、上記第1搬送路において上記記録ヘッドよりも被記録媒体の搬送向きの下流側に配置されており、上記記録ヘッドによってインク滴を吐出された被記録媒体を上記搬送向きに搬送する搬送部を更に備える。上記第1搬送路は、上記搬送部よりも上記搬送向きの下流側において上記第2搬送路と連接されている。上記搬送部は、上記位置決め部材である。
【0017】
本構成においては、搬送部は記録ヘッドよりも搬送向きの下流側に位置している。また、第1搬送路は、搬送部よりも搬送向きの下流側において第2搬送路と連接されている。また、搬送部は、位置決め部材として機能する。以上より、第2当接部は、第2搬送路の第1搬送路との連接位置に近い位置において、位置決め部材と当接されて位置決めされる。つまり、当該連接位置に近い位置において、第2ガイド部材は精度よく位置決めされる。その結果、第1搬送路から第2搬送路へ搬送される被記録媒体が第2ガイド部材に引っかかる可能性を低くすることができる。
【0018】
(4) 上記第1ガイド面には、上記記録ヘッドから吐出されたインク滴が着弾可能な被着弾面が形成されている。上記インク吸収部材は、上記第1搬送路に沿った方向において、上記被着弾面よりも上記位置決め部材の側に配置されている。上記被着弾面には、上記記録ヘッドから吐出されたインク滴を上記インク吸収部材へ誘導する第1インク流路が形成されている。
【0019】
本構成においては、インク吸収部材が位置決め部材に近い位置に配置される。これにより、位置決め部材に当接される第1当接部及び第2当接部に、インク吸収部材の復元力を、より多く作用させることができる。
【0020】
(5) 本発明のインクジェット記録装置は、上記第1ガイド部材に形成された複数のスリットを更に備える。上記被着弾面は、上記複数のスリットの間に形成されている。上記第1インク流路は、上記記録ヘッドから吐出されたインク滴を上記スリットへ誘導する。本発明のインクジェット記録装置は、上記第1ガイド面の裏面に形成されており、上記第1インク流路によって上記スリットへ誘導されたインク滴を上記インク吸収部材へ誘導する第2インク流路を更に備える。
【0021】
本構成において、インク吸収部材は、第1ガイド部材の裏面に圧接された状態で配置されている。よって第1インク流路、第2インク流路、及びスリットを備えた本構成においては、記録ヘッドから吐出されたインク滴を第2インク流路からインク吸収部材へ効率よく誘導することができる。
【0022】
(6) 上記第1当接部または上記第2当接部の少なくとも一方は複数形成されている。
【0023】
本構成によれば、位置決め部材は、複数の箇所において、第1当接部または第2当接部の少なくとも一方と当接される。これにより、第1ガイド部材及び第2ガイド部材は、位置決め部材によって、より正確に位置決めされることが可能である。
【発明の効果】
【0024】
本発明においては、インク吸収部材の復元力によって、第1ガイド部材には上記第2ガイド部材から上記第1ガイド部材の向きの第1の力の成分が作用し、第2ガイド部材には第1ガイド部材から上記第2ガイド部材の向きの第2の力の成分が作用する。当該第1の力の成分によって、第1当接部は第2ガイド部材側から位置決め部材に圧接され、当該第2の力の成分によって、第2当接部は記録ヘッド側から位置決め部材に圧接される。これにより、第1ガイド部材及び第2ガイド部材の位置決め、つまり第1搬送路及び第2搬送路の双方に対するプラテンの位置決めを精度よく実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】図1は、複合機10の斜視図である。
【図2】図2は、プリンタ部11の内部構造を模式的に示す縦断面図である。
【図3】図3は、プリンタ部11の内部に配置されたプラテン42及びその周辺を示す斜視図である。
【図4】図4は、プラテン42の分解斜視図である。
【図5】図5は、プラテン42の斜視図であり、(A)には第1ガイド部材71及び第2ガイド部材72の分解斜視図が示されており、(B)にはプラテン42を斜め下から見た斜視図が示されている。
【図6】図6は、第1ガイド部材71を斜め下から見た斜視図である。
【図7】図7は、プラテン42の平面図が示されており、(A)にはプラテン42から第1ガイド部材71が取り除かれた状態の平面図が示されており、(B)にはプラテン42から第1ガイド部材71が取り除かれていない状態の平面図が示されている。
【図8】図8は、図7(B)に内側ガイド部材19が加えられた状態の平面図が示されている。
【図9】図9は、プラテン42の縦断面図であり、(A)には図8におけるD−D断面図が示されており、(B)には図8におけるC−C断面図が示されており、(C)には図7におけるA−A断面図が示されており、(D)には図7におけるB−B断面図が示されている。
【図10】図10は、記録部24とプラテン42と位置決め部材とを模式的に示す縦断面図であり、(A)には図9の構成が示されており、(B)には変形例2の構成が示されており、(C)には変形例3の構成が示されている。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明される実施形態は本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、本発明の実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。また、以下の説明では、ベクトルにおいて矢印を考慮して起点から終点に向かう進みが向きと表現され、ベクトルにおいて矢印を考慮せずに起点と終点とを結ぶ線上の往来が方向と表現される。また、以下の説明では、複合機10が使用可能に設置された状態(図1の状態)を基準として上下方向7が定義され、開口13が設けられている側を手前側(正面)として前後方向8が定義され、複合機10を手前側(正面)から見て左右方向9が定義される。
【0027】
[複合機10]
図1に示されるように、本発明のインクジェット記録装置の一例である複合機10は、概ね薄型の直方体に形成されており、下部にプリンタ部11が設けられている。複合機10は、ファクシミリ機能及びプリント機能などの各種の機能を有している。プリンタ部11は、正面に開口13が形成された筐体14を有している。給紙トレイ20及び排紙トレイ21が、開口13から前後方向8に挿抜可能である。給紙トレイ20には、所望のサイズの記録用紙12(本発明の被記録媒体の一例)が載置される。
【0028】
図2に示されるように、プリンタ部11は、記録用紙12を給送する給紙部15と、記録用紙12に画像を記録するインクジェット記録方式の記録部24などを備えている。プリンタ部11は、外部機器から受信した印刷データなどに基づいて、記録用紙12に画像を記録する。
【0029】
[給紙部15]
図2に示されるように、給紙部15は、給紙トレイ20の上側に設けられている。給紙部15は、給紙ローラ25、給紙アーム26、及び複数のギヤが噛合されてなる駆動伝達機構27を備えている。給紙ローラ25は、給紙アーム26の先端部で軸支されている。給紙アーム26は、基端部に設けられた軸28を中心として、矢印29の方向に回動する。これにより、給紙ローラ25は給紙トレイ20に当接及び離間が可能である。給紙ローラ25は、駆動伝達機構27によって、給紙用モータ(不図示)の駆動力が伝達されて回転する。給紙ローラ25は、給紙トレイ20上に積載された記録用紙12のうち、一番上側の記録用紙12に当接された状態で、当該記録用紙12を他の記録用紙12から分離して以下で説明する湾曲路66へ供給する。
【0030】
[搬送路65]
図2に示されるように、プリンタ部11の内部には、給紙トレイ20の先端(後方側の端部)から記録部24を経て排紙トレイ21に至るまでの間、記録用紙12を案内可能な搬送路65(本発明の第1搬送路の一例)が形成されている。
【0031】
搬送路65は、給紙トレイ20の先端から後述する第1ローラ対58に至る間に形成された湾曲路66と、第1ローラ対58から記録部24の直下を介して排紙トレイ21に至る間に形成された直線路67とに区分される。
【0032】
湾曲路66は、給紙トレイ20の先端付近から第1ローラ対58に亘って延設された湾曲状の通路である。記録用紙12は、湾曲路66を搬送方向(図2において一点鎖線で示される方向)に沿って搬送向き(図2において一点鎖線に付された矢印の向き、本発明の搬送向きに相当)に湾曲されて案内される。湾曲路66は、第1ローラ対58を挟んで直線路67と連続している。記録用紙12は、湾曲路66を介して直線路67に案内される。湾曲路66は、所定間隔を隔てて互いに対向する内側ガイド部材19及び外側ガイド部材18によって区画されている。
【0033】
直線路67は、湾曲路66における搬送向きの下流端、つまり第1ローラ対58から排紙トレイ21に亘って前後方向8に延設された直線状の通路である。記録用紙12は、直線路67を搬送向きに案内される。記録用紙12は、記録部24によって画像を記録された後に排紙トレイ21に排出される。直線路67は、上側を上側ガイド部材52及び後述する記録部24によって区画されており、下側を第1下側ガイド部材53及び後述するプラテン42によって区画されている。上側ガイド部材52及び記録部24と、第1下側ガイド部材53及びプラテン42とは、所定間隔を隔てて互いに対向している。
【0034】
記録部24よりも搬送向きの下流側に分岐位置36が存在する。両面画像記録の際、搬送路65を搬送される記録用紙12は、分岐位置36の下流側でスイッチバックされ、後述する反転搬送路68へ向けて搬送される。
【0035】
[記録部24]
図2に示されるように、記録部24は、直線路67の上側に設けられている。記録部24は、記録ヘッド38(本発明の記録ヘッドの一例)を搭載して主走査方向、つまり図2の紙面に垂直な方向である左右方向9へ往復移動するキャリッジ40を備えている。
【0036】
キャリッジ40は、プリンタ部11の内部に設けられたフレーム(不図示)に取り付けられたガイドレール(不図示)によって支持されている。詳細には、ガイドレールは、記録用紙12の搬送向きに所定間隔をあけて配置されており、キャリッジ40は、ガイドレールを跨ぐようにして、ガイドレール上を左右方向9(主走査方向)に摺動可能に設けられている。
【0037】
キャリッジ40に搭載された記録ヘッド38には、インクカートリッジ(不図示)からインクが供給される。記録ヘッド38の下面には、ノズル39が形成されている。記録ヘッド38は、ノズル39からインクを微小なインク滴(本発明のインク滴に相当)として吐出する。ノズル39は、直線路67の下方に記録部24と所定間隔を空けて対向して設けられているプラテン42に向けて、インク滴を吐出する。搬送向きに搬送される記録用紙12は、プラテン42の上面によって支持される。
【0038】
以上より、キャリッジ40が主走査方向へ往復動されながら、記録ヘッド38に形成されたノズル39から、プラテン42上を直線路67に沿って案内される記録用紙12に向けてインク滴が吐出される。これにより、記録用紙12に画像が記録される。なお、プラテン42については、後述される。
【0039】
[第1ローラ対58及び第2ローラ対59]
図2に示されるように、直線路67における記録部24より搬送向きの上流側には、直線路67の上側に配置された第1搬送ローラ60と、直線路67の下側に第1搬送ローラ60に対向して配置されたピンチローラ61とよりなる第1ローラ対58が設けられている。ピンチローラ61は、バネなどの弾性部材(不図示)によって第1搬送ローラ60のローラ面に圧接されている。
【0040】
直線路67における記録部24よりも搬送向きの下流側には、直線路67の下側に配置された第2搬送ローラ62(本発明の搬送部の一例であり、本発明のローラに相当)と、直線路67の上側に第2搬送ローラ62に対向して配置された拍車63とよりなる第2ローラ対59が設けられている。拍車63は、バネなどの弾性部材(不図示)によって第2搬送ローラ62のローラ面に圧接されている。
【0041】
図3及び図4に示されるように、第2搬送ローラ62は、軸64(本発明の小径部の一例)及び軸64よりも径が大きいローラ部54(本発明の大径部の一例)で構成されている。ローラ部54は、左右方向9において互いに離間して複数(本実施形態では8個)設けられている。各ローラ部54には、軸64が挿通されている。記録用紙12が第2搬送ローラ62によって搬送向きに搬送されるとき、各ローラ部54の周面が記録用紙12と当接する。
【0042】
図3に示されるように、第1搬送ローラ60、ピンチローラ61、第2搬送ローラ62(詳細には第2搬送ローラ62の軸64)、及び拍車63は、各々の左右方向9の両端を、複合機10のフレーム78に、回転可能であるが前後左右上下には動かないように取り付けられている。つまり、これらのローラ60〜62及び拍車63の位置は固定されている。よって、これらのローラ60〜62及び拍車63は、後述するプラテン42(詳細には第1ガイド部材71及び第2ガイド部材72)を位置決めする本発明の位置決め部材として使用可能である。本実施形態においては、第2搬送ローラ62が、第1ガイド部材71及び第2ガイド部材72を位置決めする。
【0043】
なお、本実施形態においては、ローラ60〜62及び拍車63は、前後左右上下に動かず、位置が固定されているが、ローラ60〜62及び拍車63は、移動可能であってもよい。例えば、記録用紙12よりも厚みのある光ディスクなどの被記録媒体が直線路67を搬送可能であるように、複合機10が構成されている場合、第1搬送ローラ60またはピンチローラ61の少なくとも一方、及び第2搬送ローラ62または拍車63の少なくとも一方は、上下方向7に移動可能に構成される。当該移動により、第1ローラ対58及び第2ローラ対59は、記録用紙12を挟持可能な姿勢と、光ディスクなどの被記録媒体を挟持可能な姿勢とに姿勢変化される。ローラ60〜62及び拍車63が移動可能な構成の場合であっても、ローラ60〜62及び拍車63は、複合機10のフレームなどに圧接されることなどによって、配置位置にがたつきが生じることが防止されている。
【0044】
図2に示されるように、直線路67における第2ローラ対59よりも搬送向きの下流側には、直線路67の下側に配置された第3搬送ローラ45と、直線路67に上側に第3搬送ローラ45に対向して配置された拍車44とよりなる第3ローラ対43が設けられている。拍車44は、バネなどの弾性部材(不図示)によって第3搬送ローラ45のローラ面に圧接されている。
【0045】
第1搬送ローラ60及び第2搬送ローラ62は、搬送用モータ(不図示)から駆動伝達機構(不図示)を介して回転駆動力が伝達されて回転される。駆動伝達機構は、遊星ギヤなどから構成されており、搬送用モータが正転または逆転のいずれに回転されても、記録用紙12を搬送向きへ搬送させるべく、第1搬送ローラ60及び第2搬送ローラ62を一回転方向へ回転させる。これにより、第1ローラ対58は、記録用紙12を狭持してプラテン42上へ搬送する。また、第2ローラ対59は、記録部24を通過した記録用紙12、つまり記録ヘッド38によってインク滴を吐出された記録用紙12を狭持して第3ローラ対43へ向けて、つまり搬送向きに搬送する。
【0046】
第3搬送ローラ45は、搬送用モータから正逆回転方向の駆動力が伝達されて、正回転方向又は逆回転方向に回転駆動される。例えば、片面記録が行われる場合は、第3搬送ローラ45は正回転方向へ回転される。これにより、記録用紙12は第3搬送ローラ45及び拍車44に挟持されて下流側へ搬送され、排紙トレイ21に排紙される。一方、両面記録が行われる場合は、第3搬送ローラ45及び拍車44が記録用紙12の後端部を挟持した状態で、第3搬送ローラ45の回転方向が正回転方向から逆回転方向へ切り換えられる。これにより、記録用紙12は、搬送向きと逆向きに搬送され、以下で説明する経路切換部41によって後述する反転搬送路68へ向けて搬送される。
【0047】
[経路切換部41]
図2に示されるように、経路切換部41は、第2搬送ローラ対59よりも搬送向きの下流側、且つ分岐位置36よりも搬送向きの上流側に配置されている。経路切換部41は、補助ローラ47、48、フラップ49、及び支軸46で構成されている。
【0048】
プリンタ部11のフレーム(不図示)などに、図2の紙面垂直方向(図1の左右方向9)へ延びる支軸46が設けられている。フラップ49は、支軸46から概ね搬送向きの下流側へ延出されており、支軸46に回動可能に軸支されている。フラップ49には、補助ローラ47、48が軸支されている。補助ローラ47、48のローラ面は、記録用紙12の画像記録面に当接されるため、拍車63及び拍車44と同様に拍車状に形成されている。
【0049】
フラップ49は、姿勢変化可能に構成されており、下側ガイド部材83よりも上方に位置する排出姿勢(図2に破線で示される姿勢)と、延出端部49Aが分岐位置36よりも下方へ進入する反転姿勢(図2に実線で示される姿勢)との間で回動する。
【0050】
フラップ49は、通常、自重によって反転姿勢を維持するが、記録部24の直下より搬送されてきた記録用紙12に持ち上げられることによって、反転姿勢から排出姿勢に姿勢変化される。その後、記録用紙12の後端が補助ローラ47の直下を通過すると、フラップ49は、再び自重によって排出姿勢から反転姿勢に姿勢変化する。これにより、記録用紙12の後端は、反転搬送路68の方角を向く。この状態において、第3搬送ローラ45が正回転方向へ回転されると、記録用紙12は排紙トレイ21に排出される。一方、第3搬送ローラ45が逆回転方向へ回転されると、記録用紙12は反転搬送路68へ搬送される。
【0051】
[反転搬送路68]
図2に示されるように、反転搬送路68(本発明の第2搬送路の一例)は、分岐位置36で搬送路65から分岐され、記録部24の下側且つ給紙アーム26の上側を通って、記録部24よりも搬送向きの上流側の合流位置37で搬送路65と合流するように延びている。つまり、反転搬送路68は、第2搬送ローラ対59よりも搬送向きの下流側において直線路67と連接されている。記録用紙12は、反転搬送路68を図2における矢印付きの二点鎖線で示される向きに搬送される。
【0052】
反転搬送路68の上側は、内側ガイド部材19及び以下で説明するプラテン42によって区画されている。また、反転搬送路68の下側は、第2下側ガイド部材31によって区画されている。つまり、内側ガイド部材19及びプラテン42の下面と第2下側ガイド部材31とは、記録用紙12が通過可能な所定間隔を隔てて互いに対向するように配置されている。
【0053】
[プラテン42]
図2及び図3に示されるように、プラテン42は、その上面が記録ヘッド38の下面と対向されて配置されている。図5(B)及び図7に示されるように、プラテン42は、概ね平板形状である。プラテン42は、左右方向9を長手方向として配置されている。図4及び図5(A)に示されるように、プラテン42は、第1ガイド部材71(本発明の第1ガイド部材の一例)、及び第2ガイド部材72(本発明の第2ガイド部材の一例)を備えている。
【0054】
[第1ガイド部材71]
図4及び図5(A)に示されるように、第1ガイド部材71は、概ね平板形状である。
【0055】
図4、図7(B)、及び図8に示されるように、第1ガイド部材71の上面73(本発明の第1ガイド面に相当)には、上側リブ90と、スリット91(本発明のスリットの一例、図4参照)と、第1インク流路92(本発明の第1インク流路の一例、図4参照)とが形成されている。
【0056】
上側リブ90は、第1ガイド部材71の上面73のうち、スリット91及び第1インク流路92が形成されている位置を除いた位置から上方に向かって突出されている。具体的には、上側リブ90は、第1ガイド部材71の上面73の前端部及び後端部において上側に突出されている。
【0057】
上側リブ90は、左右方向9に所定の間隔をおいて複数形成されている。各上側リブ90は、前後方向8に沿って延設されている。複数の上側リブ90は、第1ガイド部材71の直上の直線路67を搬送される記録用紙12を支持可能である。つまり、第1ガイド部材71の上面73は、直線路67を搬送される記録用紙12をガイドする。
【0058】
第1ガイド部材71の上面73の一部は、記録ヘッド38の下面においてノズル39が配置されている領域と対向されている。詳細には、当該領域は、図7(B)に示されるように、第1ガイド部材71の上面73の前後方向8における符号S1、及び第1ガイド部材71の上面73の左右方向9における符号S2で示された範囲に囲まれた領域である。つまり、符号S1及び符号S2で囲まれた領域は、記録ヘッド38のノズル39から吐出されたインク滴が着弾可能な被着弾面(本発明の被着弾面に相当)である。
【0059】
図4に示されるように、被着弾面には、前後方向8に沿って延設された複数のスリット91が設けられている。各スリット91は、左右方向9に所定の間隔をおいて設けられている。つまり、被着弾面は、複数のスリット91の間に形成されている。
【0060】
被着弾面における各スリット91の間には、第1インク流路92が形成されている。第1インク流路92は、左右方向9に沿って延びている。第1インク流路92は、一方の端部から他方の端部まで斜め下向きに傾斜している流路と、他方の端部から一方の端部まで斜め下向きに傾斜している流路とが、前後方向8に沿って交互に設けられている。第1インク流路92に吐出されたインクは、傾斜している第1インク流路92に沿ってスリット91へ誘導される。
【0061】
図6に示されるように、第1ガイド部材71の下面74(本発明の第1ガイド面の裏面に相当)には、第2インク流路93(本発明の第2インク流路の一例)が形成されている。第2インク流路93は、左右インク流路81及び前後インク流路82で構成されている。左右インク流路81は、各スリット91の左右端の縁部から左右方向9に延設されている溝である。前後インク流路82は、一端を左右インク流路81と連接され、他端を後述するインク吸収部材85(本発明のインク吸収部材の一例)と対向する位置79まで延設されている。
【0062】
第1ガイド部材71の被着弾面に吐出されたインクは、第1インク流路92に沿って左右方向9に流れてスリット91に到達する。次に、当該インク滴は、スリット91を通って第1ガイド部材71の下面74に到達する。最終的に、当該インク滴は、第2インク流路93に沿って流れてインク吸収部材85に誘導される。つまり、被着弾面には、記録ヘッド38から吐出されたインク滴をインク吸収部材85へ誘導する第1インク流路92が形成されている。
【0063】
[第1当接部120]
図4に示されるように、第1ガイド部材71の前側面101には、第1当接部120(本発明の第1当接部120の一例)が形成されている。第1当接部120は、前側面101の下端部から前側へ突出された突起である。第1当接部120は、左右方向9に所定の間隔をおいて複数(本実施形態では6個)形成されている。本実施形態において、第1当接部120の左右方向9の位置は、第2搬送ローラ62の軸64と対向する位置である。なお、第1当接部120の個数は複数でなく1個でもよい。また、第1当接部120の個数は、6個以外、つまり5個以下或いは7個以上であってもよい。
【0064】
[第2ガイド部材72]
図4及び図5(A)に示されるように、第2ガイド部材72は、概ね平板形状である。
【0065】
第2ガイド部材72は、第1ガイド部材71とは記録ヘッド38に対して反対側、つまり本実施形態では第1ガイド部材71の下側に、第1ガイド部材71と対向して配置されている。
【0066】
第1ガイド部材71及び第2ガイド部材72は、相互に対向する方向、つまり上下方向7にスライド可能に組み付けられている。以下に詳述する。第1ガイド部材71の後側面102には、4箇所に突起110が設けられている。一方、第2ガイド部材72の後側面103には、左右方向9において突起110と同位置に被係合部111が設けられている。各被係合部111には、スリット112が設けられている。第1ガイド部材71が第2ガイド部材72に組み付けられるとき、第1ガイド部材71の各突起110が当該スリット112の各々に挿入される。これにより、第2ガイド部材72は、自重によって第1ガイド部材71に対して下方へスライド可能である。但し、当該スライドは、突起110の上面が被係合部111のスリット112の天面に当接すると停止される。
【0067】
図5(B)及び図7(A)に示されるように、第2ガイド部材72の下面76(本発明の第2ガイド面に相当)には、下側リブ94が形成されている。下側リブ94は、第2ガイド部材72の下面76から下方に向かって突出されている。下側リブ94は、左右方向9に所定の間隔をおいて複数形成されている。各下側リブ94は、前後方向8に沿って延設されている。複数の下側リブ94は、第2ガイド部材72の直下の反転搬送路68を搬送される記録用紙12を上側からガイド可能である。
【0068】
なお、図7(A)に示されるように、本実施形態において、下側リブ94は、第2ガイド部材72の前端を介して第2ガイド部材72の上面の前端近傍にまで延びている。これにより、第2ガイド部材72は、第2ガイド部材72の上面の前端近傍において、第2ガイド部材72の上面から上方に向かって突出されている。そして、上方に向かって突出された下側リブ94は、図7(B)に示されるように、上側リブ90と協働して、直線路67を搬送される記録用紙12を支持可能である。
【0069】
図4に示されるように、第2ガイド部材72の上面75に、右端近傍から左端近傍まで左右方向9に延びた凹部84が形成されている。凹部84には、後述するインク吸収部材85が装着される。凹部84は、前後方向8において、第1ガイド部材71の上面73の被着弾面よりも前側、つまり第2搬送ローラ62の側に配置されている。具体的には、図7(B)に示されるように、凹部84は、前後方向8において、符号S3で示された範囲に形成されている。
【0070】
[第2当接部121]
図4に示されるように、第2ガイド部材72の上面75には、第2ガイド部材72の前端よりも後側且つ上述した凹部84の前側に、右端近傍から左端近傍まで左右方向9に延びた開口86が形成されている。なお、本実施形態では、第2ガイド部材72に開口86が形成されているが、開口86の代わりに凹部が形成されていてもよい。
【0071】
第2ガイド部材72の開口86を区画する側面のうちの前側面87には、第2当接部121(本発明の第2当接部の一例)が形成されている。第2当接部121は、前側面87の上端部から後側へ突出された突起である。第2当接部121は、左右方向9に所定の間隔をおいて複数(本実施形態では4個)形成されている。なお、本実施形態において、第2当接部121は、左右方向9において、第1当接部120と異なる位置に形成されているが、第1当接部120と同位置に形成されていてもよい。また、第2当接部121の個数は複数でなく1個でもよい。また、第1当接部120の個数は、4個以外、つまり3個以下或いは5個以上であってもよい。
【0072】
[インク吸収部材85]
図4及び図7(A)に示されるように、第2ガイド部材72の凹部84には、発泡ポリウレタンなどの多孔材料からなるインク吸収部材85が配置される。多孔材料に形成された孔にインクが進入することにより、インクはインク吸収部材85に吸収される。また、インク吸収部材85は、弾性変形可能である。
【0073】
上述したように、第1ガイド部材71及び第2ガイド部材72は相互に対向して配置されている。よって、第1ガイド部材71は、第2ガイド部材72に配置されたインク吸収部材85に対して上側から覆い被さるようにして、第2ガイド部材72に組み付けられる。つまり、インク吸収部材85は、第1ガイド部材71及び第2ガイド部材72に挟まれて配置されている。
【0074】
また、上述したように、前後インク流路82の他端は、インク吸収部材85と対向する位置79まで延設されている。これにより、第1ガイド部材71及び第2ガイド部材72が相互に組み付けられたとき、前後インク流路82の他端は、インク吸収部材85に連通されている。
【0075】
また、上述したように、凹部84は、前後方向8において、第1ガイド部材71の上面73の被着弾面よりも前側に配置されている。つまり、凹部84に装着されるインク吸収部材85も、前後方向8(直線路67に沿った方向)において、第1ガイド部材71の上面73の被着弾面よりも前側に配置されている。
【0076】
[第1ガイド部材71及び第2ガイド部材72の位置決め]
以下、第1ガイド部材71、第2ガイド部材72、インク吸収部材85、及び第2搬送ローラ62の組み付け、及び当該組み付けによる第1ガイド部材71及び第2ガイド部材72の位置決めが詳述される。
【0077】
図4及び図7(A)に示されるように、当該組み付けにおいて、インク吸収部材85が第2ガイド部材72の凹部84に装着される。
【0078】
また、第2搬送ローラ62が第2ガイド部材72に組み付けられる。第2搬送ローラ62は開口86に挿入される。第2搬送ローラ62の左右方向9の両端は、第2ガイド部材72の左右方向9の外側に位置するフレーム78(図3参照)に回転可能に取り付けられる。第2搬送ローラ62が開口86に挿入されると、開口86の前側面87の上端部に形成されている第2当接部121は、第2搬送ローラ62よりも上側に位置される。
【0079】
また、第1ガイド部材71が、第2ガイド部材72の上側から覆い被さるように第2ガイド部材72に組み付けられる。第1ガイド部材71の突起110が第2ガイド部材72の被係合部111のスリット112に挿入されることによって、第1ガイド部材71及び第2ガイド部材72は組み付けられる。ここで、突起110から第1当接部120までの前後方向8の距離は、被係合部111から開口86までの前後方向8の距離と同じである。よって、第1ガイド部材71及び第2ガイド部材72が組み付けられたとき、第1当接部120は前後方向8において開口86と同じ位置となる。これにより、第1ガイド部材71が第2ガイド部材72に組み付けられたとき、第1当接部120は開口86に挿入された状態となる。また、上述したように、第1当接部120は、第1ガイド部材71の前側面101の下端部から前側へ突出されている。よって、開口86に挿入された第1当接部120は、開口86に挿入された第2搬送ローラ62よりも下側に位置される。
【0080】
ここで、インク吸収部材85の上下方向7の長さは、第1ガイド部材71及び第2ガイド部材72が相互に組み付けられたときの、第2ガイド部材72の凹部84の底面から第1ガイド部材71の下面74(図6参照)までの長さよりも長い。つまり、第1ガイド部材71が第2ガイド部材72に覆い被されるように組み付けられるとき、第1ガイド部材71の下面74がインク吸収部材85を押しつける。これにより、第1ガイド部材71及び第2ガイド部材72が相互に組み付けられたとき、インク吸収部材85は圧縮された状態となっている。つまり、インク吸収部材85は、第1ガイド部材71及び第2ガイド部材72に挟まれることによって、弾性変形されている。このとき、インク吸収部材85が元の状態に戻ろうとする復元力が、第1ガイド部材71及び第2ガイド部材72に作用される。具体的には、図10(A)に矢印131で示されるように、上向きの力が第1ガイド部材71に作用され、図10(A)に矢印132で示されるように、下向きの力が第2ガイド部材72に作用される。
【0081】
以上のように、第1ガイド部材71、第2ガイド部材72、インク吸収部材85、及び第2搬送ローラ62が相互に組み付けられることにより、図9(A)、(C)及び図10(A)に示されるように、第2搬送ローラ62の下側には第1当接部120が位置する。また、図9(B)、(D)及び図10(A)に示されるように、第2搬送ローラ62の上側には第2当接部121が位置する。つまり、第2搬送ローラ62は、側面視で、第1当接部120及び第2当接部121に挟まれた状態となる。
【0082】
また、第1当接部120は、インク吸収部材85による上向きの力に押されることによって、図10(A)に矢印133で示されるように、第2ガイド部材72側、つまり下側から、フレーム78(図3参照)によって位置が固定された第2搬送ローラ62の軸64に圧接する。これにより、第1ガイド部材71は位置決めされる。以上より、第1当接部120は、インク吸収部材85の弾性力によって上向きの力が第2搬送ローラ62に作用するように、第2搬送ローラ62に対して当接可能である。つまり、第1当接部120は、第2搬送ローラ62に対して当接可能であって、インク吸収部材85の弾性力によって、当該第2搬送ローラ62を付勢する。
【0083】
また、第2当接部121は、インク吸収部材85による下向きの力に押されることによって、図10(A)に矢印134で示されるように、記録ヘッド38側、つまり上側からフレーム78(図3参照)によって位置が固定された第2搬送ローラ62の軸64に圧接する。これにより、第2ガイド部材72は位置決めされる。以上より、第2当接部121は、インク吸収部材85の弾性力によって下向きの力が第2搬送ローラ62に作用するように、第2搬送ローラ62に対して当接可能である。つまり、第2当接部120は、第2搬送ローラ62に対して当接可能であって、インク吸収部材85の弾性力によって、当該第2搬送ローラ62を付勢する。
【0084】
なお、本実施形態においては、第1ガイド部材71及び第2ガイド部材72がインク吸収部材85を間に挟むことなく組み付けられた場合、第2当接部121は第2ガイド部材72の自重によって第2搬送ローラ62の軸64と当接している。一方、第1当接部120と軸64との間には間隔がある。この場合、第1ガイド部材71及び第2ガイド部材72の間にインク吸収部材85が挟まれると、軸64と当接している第2当接部121は、インク吸収部材85に付勢されることによって軸64を下向きに付勢する。一方、第1当接部120は、インク吸収部材85に付勢されることによって初めて軸64と当接して、当該軸64を上向きに付勢する。これにより、上述したように、第1ガイド部材71及び第2ガイド部材72は位置決めされる。
【0085】
しかし、第1ガイド部材71及び第2ガイド部材72がインク吸収部材85を間に挟むことなく組み付けられた場合に、第1当接部120と第2搬送ローラ62の軸64との間には間隔がなくてもよい。つまり、第1当接部120が軸64と当接されていてもよい。この場合、第1ガイド部材71及び第2ガイド部材72の間にインク吸収部材85が挟まれると、軸64と当接している第2当接部121は、インク吸収部材85に付勢されることによって軸64を下向きに付勢する。同様に、軸64と当接している第1当接部120は、インク吸収部材85に付勢されることによって軸64を上向きに付勢する。これにより、上述したように、第1ガイド部材71及び第2ガイド部材72は位置決めされる。
【0086】
[実施形態の効果]
上述の実施形態によれば、インク吸収部材85は、第1ガイド部材71及び第2ガイド部材72の間に圧縮された状態で配置される。これにより、インク吸収部材85が元の状態に戻ろうとする復元力が、第1ガイド部材71及び第2ガイド部材72に作用する。当該復元力の作用によって、第1当接部120は下側から第2搬送ローラ62に圧接される。つまり、第1ガイド部材71は位置決め可能である。また、当該復元力の作用によって、第2当接部121は上側から第2搬送ローラ62に圧接される。つまり、第2ガイド部材72は位置決め可能である。以上より、上述の実施形態によれば、第1ガイド部材71及び第2ガイド部材72の位置決め、つまり搬送路65及び反転搬送路68の双方に対するプラテン42の位置決めを精度よく実行することができる。
【0087】
また、上述の実施形態によれば、第1当接部120及び第2当接部121が第2搬送ローラ62のローラ部54よりも径が小さい第2搬送ローラ62の軸64と当接される場合、第1当接部120及び第2当接部121は搬送路65を搬送される記録用紙12と当接されない。よって、第1当接部120及び第2当接部121は、第2搬送ローラ62の左右方向9における端部(搬送路65の左右方向9において記録用紙12が搬送される領域外)だけでなく、第2搬送ローラ62の左右方向9における中央部(搬送路65の左右方向9において記録用紙12が搬送される領域内)にも配置可能である。その結果、第1ガイド部材71及び第2ガイド部材72は、より精度よく位置決め可能である。
【0088】
また、上述の実施形態によれば、第2搬送ローラ62は記録ヘッド38よりも搬送向きの下流側に位置している。また、搬送路65は、第2搬送ローラ62よりも搬送向きの下流側において反転搬送路68と連接されている。また、第2搬送ローラ62は、位置決め部材として機能する。以上より、第2ガイド部材72の第2当接部121は、反転搬送路68の搬送路65との分岐位置36に近い位置において、第2搬送ローラ62と当接されて位置決めされる。つまり、当該分岐位置36に近い位置において、第2ガイド部材72は精度よく位置決めされる。その結果、搬送路65から反転搬送路68へ搬送される記録用紙12が第2ガイド部材72に引っかかる可能性を低くすることができる。
【0089】
また、上述の実施形態によれば、インク吸収部材85が第2搬送ローラ62に近い位置に配置される。これにより、第2搬送ローラ62に当接される第1当接部120及び第2当接部121に、インク吸収部材85の復元力を、より多く作用させることができる。
【0090】
また、上述の実施形態によれば、インク吸収部材85は、第1ガイド部材71の下面74に圧接された状態で配置されている。よって第1インク流路92、第2インク流路93、及びスリット91を備えた本構成においては、記録ヘッド38から吐出されたインク滴を第2インク流路93からインク吸収部材85へ効率よく誘導することができる。
【0091】
また、上述の実施形態によれば、第2搬送ローラ62は、複数の箇所において、第1当接部120及び第2当接部121と当接される。これにより、第1ガイド部材71及び第2ガイド部材72は、第2搬送ローラ62によって、より正確に位置決めされることが可能である。
【0092】
[変形例1]
上述の実施形態では、第2搬送ローラ62が本発明の位置決め部材として機能したが、本発明の位置決め部材は、第2搬送ローラ62でなくてもよい。
【0093】
例えば、本発明の位置決め部材は、第1搬送ローラ60でもよい。この場合、上述の実施形態と異なり、第1搬送ローラ60及びピンチローラ61の位置が上下方向7に逆となる。つまり、ピンチローラ61が直線路67の上側に配置され、第1搬送ローラ60が直線路67の下側に配置される。
【0094】
記録ヘッド38よりも搬送向きの上流側に位置している第1搬送ローラ60が本発明の位置決め部材として機能することにより、第1ガイド部材71は搬送向きの上流側、つまり複合機10の後側において、位置がより安定する。これにより、湾曲路66から搬送されてくる記録用紙12が第1ガイド部材71に引っかかる可能性を低くすることができる。
【0095】
[変形例2]
本発明の位置決め部材は、ローラに限らず、例えば、複合機10のフレームであってもよい。また、本発明の位置決め部材の位置は、上述の実施形態で示された位置に限らない。例えば、図10(B)に示されるように、記録部24よりも上側に配置されたフレーム77が、本発明の位置決め部材として機能してもよい。なお、この場合も、上述の実施形態と同様に、第1当接部120が位置決め部材であるフレーム77を上方に押すようにフレーム77に圧接され(図10(B)の矢印135)、第2当接部121がフレーム77を下方に押すようにフレーム77に圧接される(図10(B)の矢印136)。
【0096】
[変形例3]
第1当接部120が位置決め部材を押す向きは、第2ガイド部材72から第1ガイド部材71の向きの力の成分が位置決め部材に作用するならば、上向きに限らない。また、第2当接部121が位置決め部材を押す向きは、第1ガイド部材71から第2ガイド部材72の向きの力の成分が位置決め部材に作用するならば、下向きに限らない。なお、以下の例においては、位置決め部材が第2搬送ローラ62であるとして説明される。
【0097】
例えば、図10(C)に示されるように、第1当接部120が第1ガイド部材71の前側面101で、当該前側面101が傾斜面であってもよい。この場合、第1当接部120は、インク吸収部材85の弾性力によって、第2搬送ローラ62を前方斜め上向きに押す。つまり、前方斜め上向きの力F1が発生している。なお、図10(C)においては、説明の便宜のため、力を示す矢印が長く表示されている。ここで、力F1は、前向きの力の成分F2と、上向きの力の成分F3とに分解することができる。つまり、本例の場合であっても、第1当接部120は、インク吸収部材85の弾性力によって、上向きの力の成分F3が第2搬送ローラ62に作用するように、当該第2搬送ローラ62に対して当接している。
【0098】
また、図10(C)に示されるように、第2当接部121が第2ガイド部材72の開口86を区画する側面のうちの前側面87で、当該前側面87が傾斜面であってもよい。この場合、第2当接部121は、インク吸収部材85の弾性力によって、第2搬送ローラ62を後方斜め下向きに押す。つまり、後方斜め下向きの力F4が発生している。ここで、力F4は、後向きの力の成分F5と、下向きの力の成分F6とに分解することができる。つまり、本例の場合であっても、第2当接部121は、インク吸収部材85の弾性力によって、下向きの力の成分F6が第2搬送ローラ62に作用するように、当該第2搬送ローラ62に対して当接している。
【0099】
[変形例4]
上述の実施形態では、第1当接部120の左右方向9の位置は、第2搬送ローラ62の軸64と対向する位置であったが、第1当接部120の左右方向9の位置は、第2搬送ローラ62のローラ部54と対向する位置であってもよい。この場合、第1当接部120は、第2ガイド部材72側、つまり下側から第2搬送ローラ62のローラ部54に当接される。
【0100】
[変形例5]
上述の実施形態では、インク吸収部材85は、前後方向8において、第1ガイド部材71の上面73の被着弾面よりも前側に配置されていたが、インク吸収部材85の前後方向8における配置位置は、被着弾面よりも前側に限らない。
【0101】
例えば、インク吸収部材85は、前後方向8において、被着弾面の真下、或いは被着弾面よりも後側に配置されていてもよい。また、インク吸収部材85は、第2ガイド部材72の上面75のうち、第2ガイド部材72の被着弾面と対向する領域の全体に亘って配置されていてもよい。また、インク吸収部材85は、第2ガイド部材72の上面75の全体に亘って配置されていてもよい。
【0102】
[変形例6]
上述の実施形態及び変形例1〜5においては、本発明の位置決め部材が単一の部材(第2搬送ローラ62やフレーム77など)で構成されていた。しかし、本発明の位置決め部材は複数の部材で構成されていてもよい。例えば、変形例2において、フレーム77の代わりに、異なる部材である第1フレーム及び第2フレームの2つの部材が配置されてもよい。この場合、第1当接部120が位置決め部材である第1フレームを上方に押すように第1フレームに圧接され、第2当接部121が位置決め部材である第2フレームを下方に押すように第2フレームに圧接される。
【符号の説明】
【0103】
10・・・複合機
12・・・記録用紙
38・・・記録ヘッド
62・・・第2搬送ローラ
65・・・搬送路
67・・・反転搬送路
71・・・第1ガイド部材
72・・・第2ガイド部材
85・・・インク吸収部材
120・・・第1当接部
121・・・第2当接部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1搬送路を案内される被記録媒体にインク滴を吐出する記録ヘッドと、
上記記録ヘッドと対向して配置されており、上記第1搬送路を案内される被記録媒体をガイドする第1ガイド面を有する第1ガイド部材と、
上記第1ガイド部材とは上記記録ヘッドに対して反対側に対向して配置されており、第2搬送路を案内される被記録媒体をガイドする第2ガイド面を有する第2ガイド部材と、
インクを吸収し且つ弾性変形可能なインク吸収部材と、
上記第1ガイド部材及び上記第2ガイド部材を位置決めする位置決め部材と、を備え、
上記第1ガイド部材及び上記第2ガイド部材は、相互に対向する方向にスライド可能に組み付けられており、
上記インク吸収部材は、上記第1ガイド部材及び上記第2ガイド部材に挟まれて配置されており、且つ上記第1ガイド部材及び上記第2ガイド部材によって弾性変形されており、
上記第1ガイド部材は、上記位置決め部材に対して当接可能であって、上記インク吸収部材の弾性力によって、当該位置決め部材を付勢する第1当接部を有し、
上記第2ガイド部材は、上記位置決め部材に対して当接可能であって、上記インク吸収部材の弾性力によって、当該位置決め部材を付勢する第2当接部を有するインクジェット記録装置。
【請求項2】
上記第1搬送路に配置されており、回転することによって被記録媒体を搬送し、周面が被記録媒体と当接する大径部、及び上記大径部よりも径が小さい小径部を有するローラを更に備え、
上記ローラは、上記位置決め部材であり、
上記第1当接部は、上記大径部または上記小径部の少なくとも一方に上記第2ガイド部材側から当接し、
上記第2当接部は、上記小径部に上記記録ヘッド側から当接する請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項3】
上記第1搬送路において上記記録ヘッドよりも被記録媒体の搬送向きの下流側に配置されており、上記記録ヘッドによってインク滴を吐出された被記録媒体を上記搬送向きに搬送する搬送部を更に備え、
上記第1搬送路は、上記搬送部よりも上記搬送向きの下流側において上記第2搬送路と連接されており、
上記搬送部は、上記位置決め部材である請求項1または2に記載のインクジェット記録装置。
【請求項4】
上記第1ガイド面には、上記記録ヘッドから吐出されたインク滴が着弾可能な被着弾面が形成されており、
上記インク吸収部材は、上記第1搬送路に沿った方向において、上記被着弾面よりも上記位置決め部材の側に配置されており、
上記被着弾面には、上記記録ヘッドから吐出されたインク滴を上記インク吸収部材へ誘導する第1インク流路が形成されている請求項1から3のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
【請求項5】
上記第1ガイド部材に形成された複数のスリットを更に備え、
上記被着弾面は、上記複数のスリットの間に形成されており、
上記第1インク流路は、上記記録ヘッドから吐出されたインク滴を上記スリットへ誘導し、
上記第1ガイド面の裏面に形成されており、上記第1インク流路によって上記スリットへ誘導されたインク滴を上記インク吸収部材へ誘導する第2インク流路を更に備える請求項4に記載のインクジェット記録装置。
【請求項6】
上記第1当接部または上記第2当接部の少なくとも一方は複数形成されている請求項1から5のいずれかに記載のインクジェット記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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