説明

インクジェット記録装置

【課題】 インク受け部近傍の画像品位低下を抑制する。
【解決手段】 インクを吐出する記録ヘッドを用いて記録を行うインクジェット記録装置において、前記記録ヘッドと対向した位置において記録媒体を支持するプラテンと、前記プラテンに設けられ、記録媒体の側端部から外にはみ出したインクを受ける1つ以上のインク受け部と、前記インク受け部から流体を吸引する吸引力発生手段と、記録媒体が前記インク受け部で沈むのを抑制するために、前記インク受け部で前記記録媒体を支持する支持部材と、を有するインクジェット記録装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノズル開口部分から液体を吐出して記録媒体に記録を行う記録部に対向した位置で記録媒体を搬送支持するプラテンおよびそのプラテンを備えた記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図14、図15はインクジェット記録装置の従来例を示す。自動給紙装置からロール紙搬送通路を通って搬送されてきたロール状記録媒体P1の進行方向には、搬送ローラ1およびピンチローラ2、プラテン3、カッター10が順次配置されている。搬送ローラ1およびピンチローラ2は、ロール紙搬送通路を通って搬送されてきたロール状記録媒体P1を画像記録部へ搬送して記録を行う。
【0003】
画像記録部は、記録媒体P1を吸引支持するプラテン3と、このプラテン3と対向して配置された走査方向に移動してプラテン3上の記録媒体P1にインクを吐出して記録を行う記録ヘッド4を備える。記録ヘッド4には、記録媒体P1と対向する面に、インクを吐出する複数のノズル列(不図示)を備える。これらノズル列は副走査方向に並んでおり、ノズル列ごとに異なる色のインクを吐出するようになっている。各色のノズル列には、それぞれ供給チューブを介してインクタンクより対応する色のインクが供給されるようになっている。
【0004】
記録ヘッド4を搭載したキャリッジ16は、両端部がプリンタ本体17のフレームに固定された、互いに平行なガイドシャフト18とガイドレール19に摺動可能に支持されている。キャリッジ16は不図示のベルト駆動装置およびモータによってガイドシャフト18とガイドレール19に沿った主走査方向に往復移動が可能である。
【0005】
画像記録動作は、記録ヘッド4による1走査分の記録を行い、一旦印字動作を中断し、ロール紙を搬送ローラ1にて所定量だけ搬送し、再び次の1走査分の記録を行う、といった手順で行われる。このようにして、キャリッジ16を往復移動させながら、記録ヘッド4からインクを吐出することにより、記録媒体P1上に所望の画像が記録される。なお、カット紙を搬送する場合、カット紙後端部は排紙ローラ30で搬送する。
【0006】
次に図16を用いてプラテンの構成について説明する。
【0007】
プラテン3上に記録媒体を吸着支持するための記録媒体吸着部5にはキャリッジ4の主走査方向に間隔をあけてリブ11が形成されている。リブ11とリブ11の間の凹部12の底面には吸引孔7が設けられている。吸引孔7は吸引力発生手段に連通して記録媒体に覆われた凹部12を負圧にして記録媒体P1の浮き上がりを防止する。このリブ11とリブ11の間隔を広くすると、記録媒体がリブ間に沈み込む為に記録ヘッドが記録媒体に擦れにくくなる。しかし記録媒体がリブ間に沈み込み過ぎると、その時の痕が印刷後の記録媒体に残り画像品位低下につながる。従って、リブとリブの間隔の最適化は画像品位に非常に重要なパラメータである。
【0008】
その一方で、プラテン上には縁なし印刷を可能とする為にインク受け部が設けられている。インク受け部の構成としては、特許文献1に開示されている。このインク受け部の主走査方向幅は、記録媒体をセットした時の記録媒体縁のズレ等を考慮し、一定幅が必要となる。
【0009】
また、インク受け部は記録媒体幅に応じて複数個設けられており、幅広の記録媒体印刷時には幅小用のインク受け部は記録媒体に覆われるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2006−231612号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
図17に示すように、インク受け部の主走査方向の両側にもリブが配置されているが、その間隔は記録媒体吸着部(プラテン上でインク受け部以外の部分)の最適化されたリブの間隔に比べて長くなってしまう。インク受け部は、縁なし印刷時にわざと記録媒体からはみ出すように吐出されるインクを受けるために必要な幅が必要である。その他に、ロール紙のセットずれのために記録媒体が幅方向にずれた状態で搬送される場合も考慮して幅に余裕を持たせる必要がある。さらにインクが溢れて記録媒体吸着部に流れ込むのを防止するための幅も最低限必要だからである。
【0012】
従って幅広の記録媒体を印刷した時に、小幅の記録媒体用のインク受け部の両側のリブとリブの間にメディアが沈み込んでしまう。そして沈み込んだ反動で隣接箇所が浮き上がりやすくなる。また、沈み込まないにしてもリブピッチが急激に変化する為、インクによって膨潤した記録媒体の伸び分が集まってくる。これらによって、インク受け部付近に凹凸の波打ち状の痕が残ったり、インク着弾精度が落ちる為に画像ムラを生じたり、印刷ヘッドに記録媒体が擦れたり等の問題が生じていた。
【0013】
一方でインク受け部にリブを形成すると、縁なし印刷時にリブ上にインクを滴下し汚してしまう為、リブを形成する事ができなかった。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するための本発明の構成は、インクを吐出する記録ヘッドを用いて記録を行うインクジェット記録装置において、前記記録ヘッドと対向した位置において記録媒体を支持するプラテンと、前記プラテンに設けられ、記録媒体の側端部から外にはみ出したインクを受ける1つ以上のインク受け部と、前記インク受け部から流体を吸引する吸引力発生手段と、記録媒体が前記インク受け部で沈むのを抑制するために、前記インク受け部で前記記録媒体を支持する支持部材と、を有するインクジェット記録装置である。
【発明の効果】
【0015】
インク受け部近傍の画像品位低下を抑制する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】実施形態1のプラテンの下の吸引機構の概略図である。
【図2】実施形態1の可動リブ構成図である。
【図3】実施形態1の可動リブ構成図である。
【図4】実施形態1の可動リブ構成図である。
【図5】実施形態1の可動リブユニット構成図である。
【図6】実施形態1の駆動ユニット構成図である。
【図7】実施形態1の可動リブのブロック図である。
【図8】実施形態1の可動リブの動作に関わる図である。
【図9】実施形態1の可動リブの動作に関わる図である。
【図10】実施形態1の可動リブのフローチャート図である。
【図11】他の実施形態の可動リブ構成図である。
【図12】他の実施形態の可動リブ構成図である。
【図13】他の実施形態の可動リブ構成図である。
【図14】インクジェット記録装置の従来例を示す図。
【図15】インクジェット記録装置の従来例を示す図。
【図16】従来のインクジェット記録装置のプラテンの拡大図である。
【図17】インク受け部の従来例に関わる構成図である。
【図18】インク受け部の従来例に関わる構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明のインクジェット記録装置の実施形態を説明する。従来例と共通する部分は説明を省略する。
【0018】
図1は記録ヘッド4と対向するプラテン3の下側の吸引機構を示す。プラテンの下側は、吸引力発生手段であるシロッコファン6を備えた負圧室13が設けられている。シロッコファン6によって負圧室13を負圧にし、吸引孔7を負圧室13に連通させることによってプラテン3に高い吸引力を発生させている。シロッコファン6を採用することによって吸引力発生手段の省スペース化を実現している。
【0019】
また、記録媒体左右側端に対応する位置には通紙面に対して凹のインク受け部8が1つ以上設けられている。このインク受け部8によって縁なし記録のために記録媒体の側端の外側に吐出されたインクを受けて回収する。またインク受け部8もインク吸引穴9によって負圧室13に連通されていて、インク吸引穴9によって空気及び浮遊ミストを含む流体の吸引を行う。インク受け部8の底面は斜面となっており、記録媒体の外側に吐出されたインクは斜面を流れてインク吸引口9に流れ落ちて回収される。インク吸引口9は本実施例内ではエアー吸引口も兼ねるが、別々に設けてもよい。このインク受け部8はインクジェット記録装置が余白なし記録に対応する各記録媒体幅のそれぞれの左右端に設ける。そして、記録を終えた記録媒体P1は、搬送ローラ1によって搬送され、記録画像後端の所望の位置でカッター10によってカットされる。
【0020】
記録媒体P1を吸引するための各吸引孔7のそれぞれは吸引力発生手段6に連通しており、記録媒体吸着部5に吸引力が発生する。同じように、各記録媒体幅のそれぞれ左右端に設けられたインク受け部8も吸引力発生手段6に連通しており吸引力が発生する。
【0021】
吸引力発生手段6により吸引した空気は不図示のフィルターを介してインクジェット記録装置の機外へと排気される。
【0022】
次に本発明の特徴部となる、各インク受け部8に移動可能に設置された支持部材である可動リブ21aについて、図2、図3、図4、図13を用いながら説明する。
【0023】
図2はインク受け部8を主走査方向の面で切断した断面図、図3がインク受け部8を上から見た平面図である。21は、リブ11および凹部12の下方に設けられ、主走査方向に摺動可能な摺動部材である。摺動部材21は記録媒体を支持する可動リブ21aを備えている。
【0024】
図2(a)、図3(a)はインク受け部8に対応したサイズの記録媒体P2に縁あり印刷(側端部にマージンのある印刷)をするとき、または、インク受け部8を覆うサイズの記録媒体P1に記録を行うときの摺動部材21の位置を示している。このとき、摺動部材21は支持部材である可動リブ21aがインク受け部の主走査方向の略中央に、または中央の近傍に位置するように移動する(以下、「記録媒体支持位置」とする)。インク受け部8を覆うサイズの記録媒体P1(図2(a)の破線)に記録を行う場合、記録媒体P1に覆われたインク受け部8の内部は負圧となるが、可動リブ21aが記録媒体P1を下から支持する。同時に摺動部材21はインク吸引口9を小さなクリアランスを保った状態で塞ぐ。このため記録媒体がインク受け部8に大きく沈み込むことが防止できる。
【0025】
インク受け部8に対応したサイズの記録媒体P2(側端部がインク受け部8に位置するサイズの記録媒体)の場合は可動リブ21aは記録媒体P2の側端部の外側に位置する。
【0026】
図2(b)、図3(b)は側端部がインク受け部8に位置するサイズの記録媒体P2に対して縁なし印刷をするときの摺動部材21の位置を示している。図示するように可動リブ21aがインク受け部端部に退避し(以下、「退避位置」とする)、インク受け部8を大きく開口する。同時に摺動部材21はインク吸引口9を開口する。記録媒体縁からはみ出す位置に吐出されたインクはインク受け部8によって回収される。
【0027】
本実施例での「退避位置」は図2(b)に示すように可動リブ21のリブ部21aが記録媒体P2の下に隠れる位置をいう。これにより縁なし印刷中に、記録媒体端部からはみ出したインクで可動リブ部21aが汚れる事がなくなる。記録媒体P2に隠れる位置ならば、図2(b)で向かって右側のリブに突き当たるまで移動した位置や、右側のリブの下に潜り込んでもよい(上から見ると、摺動部材21の可動リブ部21aが右側リブとオーバーラップする)。
【0028】
摺動部材21は図4で示すように、アーム22を介してクランク23につながっている。アーム22の一方の端部は摺動部材21に回動自在に連結され、他方の端部はクランク23から延びるアーム23aに回動可能に連結されている。クランク23はクランク軸23bを軸として回動可能に支持され、クランク軸23bから直角にのびるアーム部23cにクランク軸23bと平行に延びるクランクピン23dが形成されている。アーム23a、クランク軸23b、アーム部23c、クランクピン23dは一体に形成されている。クランクピン23dをリンク部材24に形成されたリンク溝25に貫通させることによって、クランク23とリンク部材は区係合する。
【0029】
リンク部材24は駆動ユニット25によって図4の矢印A1方向及び矢印A2方向に往復直線運動する。動作原理としては、リンク部材24が往復直進運動することでアーム部23dが回転運動し、アーム23aがクランク軸23bを中心に回動し、アーム22を介してアーム23aに連結されている摺動部材21が摺動する。
【0030】
ちなみに図4(a)は可動リブ21aが矢印B1方向に進んで「記録媒体支持位置」に移動する場合を示しており、図4(b)は可動リブ21bが矢印B2方向に進んで「退避位置」に移動する場合を示す。
【0031】
なお本実施例では、可動リブ21aが「記録媒体支持位置」へ移動するのに併せてインク吸引口9を閉じ、退避位置へ移動するのに併せてインク吸引口9が開くように構成している。このようにインク吸引口9の開閉も併せる事で、インク受け部8の風速が弱まり近傍のインク着弾精度が向上する効果が得られる。
【0032】
ちなみに記録媒体に覆われるインク受け部8の可動リブ21がインク吸引口9を塞いだとしても、記録媒体を吸着させる吸引力は低下しない。なぜなら図3(a)の点線囲み部イによって示されるように、インク受け部8は吸引経路8aによって凹部12と接続され、吸引孔7によって負圧になるからである。さらに、摺動部材21とインク吸引口9の間には多少のクリアランスが存在するからである。
【0033】
図5に示すように、インク受け部8は複数種類の紙幅に対応するように複数個所に設けられている。各々のインク受け部8がリンク部材24と連結しており、駆動ユニット25によって各摺動部材が21が同時に移動する。
【0034】
駆動ユニット25の詳細は図6(a)に示している。モータ26がウォーム27、ウォームホイール28を介しカム29を回転させる。そのカム29と付勢バネ30によってリンク部材21は往復直進運動する。なおカム29の回転位置はセンサー31で読み取っている。
【0035】
また、駆動ユニット25は図6(b)で示すような駆動構成をとってもよい。図6(b)はカム29に代わりに、ラック32とピニオンギア33による構成をとっている。またカム29とラック32・ピニオンギア33を併用してもよい。
【0036】
図7は本体制御ブロック図である。制御部100はCPU101を備え、CPU101はアイオー(I/O)102および各種の駆動回路を介して各種のモータに接続されている。103はキャリッジ駆動回路、104はキャリッジ16を往復移動させるキャリッジ駆動モータである。105は紙送り駆動回路、106は搬送ローラ1を駆動する紙送り駆動モータである。107はプラテンファン駆動回路、108はシロッコファン6を駆動するプラテンファンモータである。109は駆動ユニット25のモータ26を駆動する駆動回路である。
【0037】
操作パネル110、マルチセンサ111はそれぞれドライバIC112、113を介してアイオー102に接続されている。ホストPC99はドライバIC114を介してアイオー102に接続されている。
【0038】
ホストPC99より画像データを本体CPU101が受信すると、その画像品位に応じてキャリッジ走査速度や紙送りパス数やプラテンファン吸引duty、および可動リブ21位置が決定される。この際に、通常印刷/縁無し印刷の情報や、ロール紙/カット紙情報も画像データとともにPCより送信される。
【0039】
次に、可動リブの具体的な動作方法について図8、9、10を用いて説明する。
【0040】
可動リブ21aは印刷条件によって異なった位置に移動される。図8は各印刷条件における各インク受け部8−1、8−2、8−3、8−4の可動リブ21aが「記録媒体支持位置」、「退避位置」のどちらに移動するのかを表している。以下、それぞれのモードでの可動記録媒体支持位置について説明する。
【0041】
図8(a)に示すモード1は縁あり印刷時を示している。この場合は紙幅に関わらず、インク受け部8として機能する必要がない為、可動リブ21はすべて図2(a)および図3(a)に示す記録媒体支持位置(図8中は「支持」と示す)に移動する。図8(b)に示すモード2は縁なし印刷時で記録媒体幅大の場合に用いられる。この時、記録媒体縁に位置する左右端のインク受け部8−1、8−4に設けられていた可動リブだけが退避位置(図8中は「退避」と示す)に移動する。一方で記録媒体に覆われたインク受け部8−2、8−3は記録媒体支持位置にある為、記録媒体の沈み込みを防ぎながらの縁なし印刷が可能となる。図8(c)はモード3で縁なし印刷時で紙幅中の場合である。このとき、記録媒体P2の左右端に位置するインク受け部8−1、8−3の可動リブは退避位置に移動し、記録媒体P2に覆われているインク受け部8−2の可動リブは記録媒体支持位置のままである。記録媒体P2から離れた位置のインク受け部8−4の可動リブは退避位置に移動する。図8(d)はモード4で紙幅小の記録媒体P3に縁なし印刷を行う場合である。記録媒体P3の左右端に位置するインク受け部8−1、8−2の可動リブは退避位置に移動し、記録媒体P3から離れた位置のインク受け部8−3、8−4の可動リブも退避位置に移動する。
【0042】
これらモード1乃至4とリンク溝25の関係を示したのが、図9である。インク受け部8−1、8−2、8−3、8−4の各可動リブに接続されたクランク軸のクランクピンが23d−1、23d−2、23d−3、23d−4である。各クランクピン23d−1、23d−2、23d−3、23d−4が係合するリンク溝が25−1、25−2、25−3、25−4である。クランクピンがリンク溝の高い位置(第1の位置)にあるとき可動リブは記録媒体支持位置にあり、低い位置(第2の位置)にあるとき可動リブは退避位置にある。図9のようなリンク溝形状にする事で図8の可動リブ移動が可能となる。
【0043】
次に図10にフローチャート図を示す。印刷前待機状態はモード1である。ステップS1で後印刷データが転送され、ステップS2では印刷データから通常印刷、すなわち縁あり印刷か、縁なし印刷かを判別する。通常印刷、すなわち縁あり印刷の場合はステップS3のモード1に移行する。待機状態と同じモードなので、可動リブ21を移動させることもなく、印刷処理が行われる(ステップS4、S5)。
【0044】
ステップS2において縁なし印刷と判断された場合は、ステップS6で記録媒体の幅の判別が行われる。幅が大の場合はステップS7に移行し、各可動リブ21aをモード2の配置(図8(b))になるように移動する。その後印刷処理が行われる(ステップS8、S9)。印刷終了後は、ステップS10にて各可動リブ21aをモード1の配置(図8(a))になるように移動して待機状態となる。
【0045】
ステップS6で記録媒体の幅が中と判断された場合はステップS11に移行し、各可動リブ21aをモード3の配置(図8(c))になるように移動する。その後印刷処理が行われる(ステップS12、S13)。印刷終了後は、ステップS14にて各可動リブ21aをモード1の配置(図8(a))になるように移動して待機状態となる。
【0046】
ステップS6で記録媒体の幅が小と判断された場合はステップS15に移行し、各可動リブ21aをモード4の配置(図8(d))になるように移動する。その後印刷処理が行われる(ステップS16、S17)。印刷終了後は、ステップS18にて各可動リブ21aをモード1の配置(図8(a))になるように移動して待機状態となる。
【0047】
なお、可動リブは図11で示す可動リブ121の形状でも良い。この形状の利点について図11、図18を使って説明する。図18(a)は従来構成の印刷開始直後の状況を示している。インク受け部8の下流側端部が記録媒体P1の先端よりも下流側に露出している。図18(b)はカット紙の印刷終了直前の状況を示している。インク受け部8の上流側端部が記録媒体P1の後端よりも上流側に露出している。これらの場合、インク受け部8の中に流れ込むそよ風によって、記録媒体P1の先端または後端でインクの着弾精度が低下する。そこで、図11に示す可動リブ121を用いる。可動リブ121はインク受け部8の開口の下流側端部を塞ぐ下流側遮蔽部121a及び上流側端部を塞ぐ上流側遮蔽部121bを備えている。下流側遮蔽部121a及び上流側遮蔽部121bによって記録媒体の先端近傍また後端近傍に記録を行っているときにインク受け部8に流れ込む気流が抑制され、インク着弾精度低下を防止する事が出来る。一方で記録媒体縁に位置するインク受け部8は図11(b)のように可動リブ121が退避位置に移動することで、縁なし印刷が可能となる。
【0048】
次に他の実施形態について説明する。上記実施形態では可動リブを主走査方向にスライドさせていたが、図12に示すようなインク受け部8の可動板221が回転可能に支持された構成をとってもよい(図12は断面図)。図12(a)は「記録媒体支持位置」の状態であってモード1の場合に用いられる。一方、図12(b)は可動リブ121が略180度回転した「退避位置」の状態であってモード2〜4で用いられる。
【0049】
さらに、図13に示す固定リブ321のような構成をとって、可動式でなく固定式リブでも十分に効果を発揮する。固定リブ321は記録媒体端部からはみ出したインクで汚れないように、印刷中に記録媒体の下に隠れる位置におく。従ってインクはみ出し領域よりも内側(記録媒体のセットずれ等の考慮領域)に設けるとよい。但し、汚れたとしてもユーザーのクリーニングが容易である為、インクはみ出し領域に固定リブ321を設ける事も可能である。
【0050】
これまで述べてきた可動または固定リブの高さはプラテンの記録媒体保持面と同等以下であればよく、多少の突起があれば記録媒体の沈み込みを軽減できる為、そのような構成をとってもよい。また、リブ状は搬送方向に一本の直線である必要はなく、図13(b)に示すように角度を持った斜め形状で数本に分けてもよい。
【0051】
上記実施形態のように、インク受け部に設けた可動リブを移動させることで、必要に応じてインク受け部の溝ピッチを狭くすることができる。
【0052】
これによって、縁なし印刷を実現しながら、記録媒体の凹凸痕等の弊害を軽減し画像品位を向上させることができる。加えて、インク吸引口の開閉機能も備えた可動リブにする事で、記録媒体縁近傍の風速を絞り記録媒体縁の画像流れを防止できる。さらに記録媒体搬送方向の可動リブ形状を工夫することで、記録媒体先後端部の画像流れを防止することもできる。
【符号の説明】
【0053】
1 搬送ローラ
2 ピンチローラ
3 プラテン
4 記録ヘッド
5 記録媒体吸着部
6 吸引力発生手段
7 吸引孔
8 インク受け部
9 インク吸引口
10 カッター
11 吸引力発生手段
12 シャッター手段
13 フィルター
14 供給チューブ
15 インクタンク
16 キャリッジ
17 プリンタ本体
18 ガイドシャフト
19 ガイドレール
21 可動リブ
P1 記録媒体


【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクを吐出する記録ヘッドを用いて記録を行うインクジェット記録装置において、
前記記録ヘッドと対向した位置において記録媒体を支持するプラテンと、
前記プラテンに設けられ、記録媒体の側端部から外にはみ出したインクを受ける1つ以上のインク受け部と、
前記インク受け部から流体を吸引する吸引力発生手段と、
記録媒体が前記インク受け部で沈むのを抑制するために、前記インク受け部で前記記録媒体を支持する支持部材と、
を有するインクジェット記録装置。
【請求項2】
前記支持部材は前記記録媒体を支持する支持位置と、前記インク受け部がインクを受けるために前記支持位置から退避した退避位置とに移動可能である請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項3】
前記支持位置は前記インク受け部の略中央であり、前記記録ヘッドが移動する方向である主走査方向に移動することによって前記支持部材は前記退避位置に移動する請求項2に記載のインクジェット記録装置。
【請求項4】
前記退避位置はインク受け部の端部である請求項3に記載のインクジェット記録装置。
【請求項5】
前記支持部材の高さは、前記プラテンの記録媒体保持面と同等以下である請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項6】
前記インク受け部は前記吸引力発生手段に連通するインク吸引口を有し、前記支持部材が前記支持位置にあるとき前記インク吸引口は塞がれる請求項2に記載のインクジェット記録装置。
【請求項7】
前記支持部材は駆動ユニットによって移動可能である請求項2に記載のインクジェット記録装置。
【請求項8】
前記支持部材は複数あり、1つの駆動ユニットによって移動可能であることを特徴とする請求項2に記載のインクジェット記録装置。
【請求項9】
前記支持部材は複数あり、記録媒体の側端部にマージンを形成する印刷において、複数の前記支持部材は支持位置に移動し、記録媒体に覆われた前記インク受け部の内部は前記吸引力発生手段によって負圧にされる請求項2に記載のインクジェット記録装置。
【請求項10】
前記支持部材は複数あり、縁無し印刷時において、複数の前記支持部材のうち、記録媒体の側端部の近傍のインク受け部の支持部材は退避位置へ移動し、記録媒体に覆われるインク受け部の支持部材は支持位置に移動する請求項2に記載のインクジェット記録装置。
【請求項11】
前記支持部材は可動リブは、前記インク受け部の記録媒体搬送方向の上流側端部または下流側の端部を覆う事が可能な形状である請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項12】
前記支持部材は回転可能に支持され、回転することによって前記支持位置と前記退避位置に移動する請求項2に記載のインクジェット記録装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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