説明

インクジェット記録要素及び方法

支持体上に、順に、(a)元の重量の0.67未満の量の水によって膨潤可能である水溶性ポリマーを含む透明無孔質層、及び(b)可融性多孔質画像受容層を含んで成るインクジェット記録要素。このインクジェット記録要素は、改善された接着および優れた画質を示す。また、インクジェット印刷法も開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、支持体上の少なくとも2つの層、即ち、2つのタイプの可融性ポリマー粒子を含有する最も外側の多孔質層、及び支持体により近くに在り、水膨潤性が制御され制限されている下側無孔質層、から成る多孔質インクジェット記録要素に関する。
【背景技術】
【0002】
典型的なインクジェット記録又は印刷システムにおいて、インク液滴が高速でノズルから記録要素又は記録媒体に向かって射出されることにより、媒体上に画像が生成される。インク液滴又は記録液は一般に、記録剤、例えば色素又は顔料、及び多量の溶剤を含む。溶剤、又はキャリヤ液は典型的には、水及び有機溶剤、例えば一価アルコール、多価アルコール、又はこれらの混合物から形成される。
【0003】
インクジェット記録要素は典型的には、その支持体の少なくとも1つの表面上に、インク受容層又は画像受容層を有し、そして不透明支持体を有する、反射を観察するように意図された要素と、透明支持体を有する、透過光によって観察するように意図された要素とを含む。
【0004】
インクジェット記録要素の望ましい特徴は、印刷後に迅速に乾く性能である。これを目的として、液状インクを効果的に含有するのに十分な厚さ及び孔容積を有する限り、ほぼ瞬時の乾燥を可能にする多孔質記録要素が開発されている。例えば、多孔質記録要素は流延塗布によって製造することができる。流延塗布の場合、粒子含有塗膜が支持体に塗布され、そして研磨された平滑な表面と接触した状態で乾燥させられる。
【0005】
インクジェット記録要素上に印刷を施すことにより調製されたインクジェット・プリントは、潜在的に環境によって劣化されやすい。これらは特に、水及び大気中のガス、例えばオゾンとの接触から生じる損傷を受けやすい。画像形成後の水との接触から生じる損傷は、トップコートの艶消し、望ましくない色素拡散による色素のスミア、及び画像記録層の著しい分解からも生じる水スポットの形態を成すおそれがある。オゾンはインクジェット色素を漂白し、これにより濃度が失われる。
【0006】
これらの欠点を克服するために、インクジェット・プリントはしばしばラミネート加工される。しかし、ラミネート加工は、これが別個の材料ロールを必要とするので高価である。画像が形成された後、インクジェット要素表面上にポリマー溶液又は分散体を塗布することにより、プリントを保護することもできる。水性塗布溶液は、しばしば、水が除去されると皮膜形成することができるポリマー分散体である。しかし、多種多様な表面特性により、全てのインクジェット受容体に広く適合可能であるように水性ポリマー溶液を調製することは難しい。
【0007】
溶融前の高速インク吸収及び溶融後の画像保護を達成するための、インクジェット記録媒体のオーバーコート層としての可融性有機粒子の概念が、数多くの刊行物において教示されている。
【0008】
例えば、欧州特許第0858905号明細書には、粒子状熱可塑性樹脂を、そのガラス転移温度(Tg)を上回るがしかし、最低皮膜形成温度(MFFT)を下回る温度で塗布して乾燥させることにより、多孔質最外層を含む記録媒体を調製することが開示されている。印刷後の記録媒体の熱処理は、最外層を無孔質又は融着状態にする。欧州特許第0858906号明細書には、ベース材料と、熱可塑性樹脂の粒子を含有する多孔質表面層とを含む記録媒体が開示されている。熱可塑性樹脂の粒子の粒子サイズ分布の幅は、3σ以内であり、そして、熱可塑性樹脂の粒子の平均粒子サイズの最大5分の1の粒子サイズを有する粒子の比率は10%以下である。
【0009】
「Inkjet Printing Method」と題される、Yau他によって2002年11月7日付けで出願された同一譲受人による係属中の米国特許出願第10/289,607号明細書、及び「Inkjet Recording Element」と題される、Yau他によって2002年11月7日付けで出願された同一譲受人による係属中の米国特許出願第10/289,862号明細書(引用することにより両明細書全体を本明細書中に組み入れる)には、急速インク吸収を示すインクジェット媒体を提供するために、インク受容層内で低Tg疎水性バインダーとの組み合わせにおいて、高Tg単分散粒子を使用することが開示されている。このような印刷済媒体を溶融させると、インク受容層は透明耐水性・耐ステイン性層に変換される。しかし、可融性ポリマー-粒子層から成る単層が基体上に配置されるインクジェット記録要素と関連して、或る問題が生じている。第1に、支持体に対した溶融された層の十分でない付着が発生するおそれがあり、第2に、溶融された層が、塗布されたインクに由来する成分、例えば界面活性剤との相互作用又は不適合性により、時間とともに曇り、又は光沢のある外観を失うおそれがある。
【0010】
支持体上に多層塗膜構造を有するインクジェット記録要素が知られている。例えば、欧州特許第0858905号明細書、同第0858906号明細書、欧州特許出願公開第1160097号明細書(米国特許出願公開第2002008747号明細書)、欧州特許第1188574号明細書、JP59222381、米国特許第6114020号明細書、及び同第6357871号明細書には、全て、多孔質インク保持層上に存在する熱溶融性粒子から成る多孔質インク輸送用トップコートが教示されている。印刷時には、インクジェット中の着色剤は、トップコートを通りぬけ、そしてインク保持層内に入るようになっている。次いでトップコート層をシールすることにより、耐水性・耐ステイン性プリントを提供する。熱可融性粒子を含有するこのようなトップコートは典型的には、バインダーを含有するか、あるいは、熱焼結されることにより、画像形成工程及び溶融工程の前の層に、所定の機械的完全性レベルを提供する。多孔質インク保持層は光拡散性であり、従って透明媒体には適していない。さらに、反射性支持体に塗布された、このような多層構造上に印刷された画像の光学濃度は、着色剤が多孔質インク保持層内に浸透するときに損なわれる。
【0011】
米国特許第4785313号明細書、同第4832984号明細書、及び同第6013354号明細書には、ベースと、透明なインク受容層と、可融性微粒子から成るオーバーコート層とを含む記録媒体が開示される。このタイプの多層構造の利点は、透過性及び反射性双方の用途に適することである。両層は、溶融後の光散乱がなく、従って、画像は、前段落に記載された多孔質インク保持層から成る多層構造よりも高い光学濃度を提供する。しかし、このような媒体により直面しているのは、透明下側層の組成物が、可融性トップ層の塗膜品質、基体に対するトップ層の付着、及び長期保存時の画像の定着に不都合な影響を与えるおそれがあることである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、インクを瞬時に吸収し、そして画像形成後、良好な品質を有し、そして耐水性且つ耐摩耗性である画像を提供する新規の多孔質インクジェット要素を提供することである。本発明の別の目的は、顧客の取り扱いによる剥離に対して、そして長期保存による画像変化に対して抵抗性がある多孔質インクジェット記録要素を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
これらの及びその他の目的は、 支持体上に、順に(1) 元の重量の0.67未満の量の水によって膨潤可能である水溶性ポリマーを含む透明無孔質層、及び(2)可融性多孔質画像受容層を含んで成るインクジェット記録要素を含む本発明に従って達成される。
【0014】
本発明の1つの好ましい実施態様において、該可融性多孔質層は、ガラス転移温度が異なる2つ以上のタイプの疎水性ポリマー粒子を含み、第1のタイプの疎水性ポリマー粒子は、約60℃を上回るTgを有し、実質的に単分散であり、第2のタイプの疎水性ポリマー粒子は、約25℃を下回るTgを有する。
【発明の効果】
【0015】
本発明を用いることにより、インクジェット・インクで印刷すると、「瞬時」に指触乾燥状態となり、良好な画質を有し、そして溶融後、申し分のない耐摩耗性及び耐水性、耐久性及び画像安定性を有する、多孔質インクジェット記録要素が得られる。
【0016】
融合後のインク受容層内に光散乱材料がないことにより、本発明の要素は、インクジェット透明媒体及び医療用画像形成媒体に特に適している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明において使用される透明無孔質層は、層に何らかの膨潤性を提供するための水溶性高分子材料を含む。この層はこうして、インクジェット・インク組成物からキャリヤ流体のいくらかを吸収するために機能することができる。この層はまた、層の膨潤性を制限する1種又は2種以上のその他の成分を含む。層が膨潤しすぎると、層上に亀裂が形成されるおそれがあることが判っている。他方において、膨潤性が低すぎると、付着があまり良好でなくなるおそれがある。具体的には、透明無孔質層は水によって膨潤可能であるが、しかし25℃において透明無孔質層が吸収する脱イオン水は、透明無孔質層の重量の約0.67未満である。好ましくは、要素内の元の重量の約0.64未満で、この層は膨潤されることができる。より好ましくは、元の層の重量の約0.60以下で、この層は膨潤されることができる。好ましくは元の層の重量の0.30以上で、より好ましくは元の層の重量の0.35以上で、この層は膨潤されることができる。膨潤性は水溶性ポリマーによって提供することができる。1実施態様の場合、層は、15重量パーセント以上、より好ましくは20重量パーセント以上の水溶性ポリマーを含む。
【0018】
本発明の1実施態様の場合、透明無孔質層は、水溶性高分子材料及び水分散性高分子材料を含む。「水溶性」という用語は本明細書中において、溶液中で光を散乱させない材料を定義するものとする。「水分散性」という用語は本明細書中において、水に可溶性でなく光散乱粒子を形成する材料を定義するものとする。
【0019】
透明無孔質層内に使用することができる水溶性ポリマーの例は、ゼラチン、部分及び完全加水分解型ポリ(ビニルアセテート/ビニルアルコール)、ポリ(ビニルピロリドン)、セルロースエーテル、ポリ(N-ビニルアミド)、ポリ(オキサゾリン)、ポリ(ビニルアセトアミド)、ポリアクリルアミド、ポリエステル、ポリ(アルキレンオキシド)、ポリ(アクリル酸)、ポリ(エチルオキサゾリン)、アルギネート、ガム、ポリ(メタクリル酸)、ポリ(オキシメチレン)、ポリ(エチレンイミン)、ポリ(エチレングリコールメタクリレート)、ポリ(ヒドロキシ-エチルメタクリレート)、ポリ(ビニルメチルエーテル)、スルホン化又はリン酸化ポリエステル、及びポリスチレン、ポリ(マレイン酸)、デキストラン、澱粉、ホエイ、アルブミン、カゼイン、ゼイン、アルブミン、キチン、キトサン、デキストラン、ペクチン、コラーゲン誘導体、コロジオン、寒天、クズウコン、グアールガム、カラギナン、トラガカント、キサンタン、及びラムサンなどを含む。このような材料は、Robert 1. Davidsonの「Handbook of Water-Soluble Gums and Resins」(McGraw-Hill Book Company, 1980)、又はBruno Jirgensonsの「Organic Colloids」(Elsvier Publishing Company, 1958)に含まれる。好ましい実施態様の場合、水溶性ポリマーはゼラチンである。
【0020】
好ましい実施態様の場合、透明無孔質層内に使用することができる水分散性ポリマーは、ラテックス、又は水性媒質中で安定化することができる任意の組成物の疎水性ポリマーである。このような水分散性ポリマーは一般に、縮合ポリマー又は付加ポリマーとして分類される。縮合ポリマーは、例えばポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリ尿素、ポリエーテル、ポリカーボネート、多酸無水物、及び上述のタイプの組み合わせを含むポリマーを含む。付加ポリマーは、例えばアリル化合物、ビニルエーテル、ビニル複素環化合物、スチレン、オレフィン及びハロゲン化オレフィン、これらから誘導された不飽和型酸及びエステル、不飽和型ニトリル、ビニルアルコール、アクリルアミド及びメタクリルアミド、ビニルケトン、多官能性モノマー、及びこれらのモノマーの種々の組み合わせから形成されたコポリマーを含む、ビニル・タイプのモノマーの重合から形成されたポリマーである。このようなラテックス・ポリマーは、よく知られたラジカル・エマルジョン重合法を使用して、水性媒質中で調製することができ、そして、上記モノマーのうちの1つのタイプから形成されたホモポリマー、又は上記モノマーのうちの2つ以上のタイプから形成されたコポリマーから成ることができる。水不溶性ホモポリマーを形成するモノマーを含むポリマーが、このようなモノマーのコポリマーと同様に好ましい。好ましいポリマーは、ポリマー組成物全体がラテックスを形成するのに十分に水不溶性であるならば、水溶性ホモポリマーを提供するモノマーを含んでもよい。付加タイプのポリマーに適したモノマーの更なるリストは、米国特許第5,594,047号明細書に見いだされる。これを参考のため本明細書中に引用する。ポリマーは、エマルジョン重合、溶液重合、懸濁重合、分散重合、イオン重合(カチオン、アニオン)、原子移動ラジカル重合、及び重合の分野において知られているその他の重合方法によって調製することができる。本発明の好ましい実施態様の場合、水分散性ポリマーの平均粒子サイズは1 μm未満であり、そしてガラス転移は好ましくは25℃未満である。本発明の別の好ましい実施態様の場合、水分散性ポリマーはポリウレタンである。
【0021】
本発明の透明層の膨潤は、上記バインダーに対して作用する架橋剤によって制御することもできる。このような架橋剤は少量で添加することができる。カルボジイミド、多官能性アジリジン、アルデヒド、イソシアネート、エポキシド、多価金属カチオン、ビニルスルホン、ピリジニウム、ピリジリウムジカチオンエーテル、メトキシアルキルメラミン、トリアジン、ジオキサン誘導体、クロムアルム、ジルコニウムスルフェートなど、及びこれらの組み合わせのような架橋剤を使用することができる。好ましくは、架橋剤は、ビス(ビニルスルホン)、アルデヒド、アセタール又はケタール、例えば2,3-ジヒドロキシ-1,4-ジオキサンである。
【0022】
着色剤を定着させ、そして画像鮮鋭度を改善するために、特に水溶性色素の場合、対向電荷を有するポリマー、錯生成剤、色素媒染剤(例えばカチオン性高分子ラテックス)、又は凝集剤を透明無孔質層に添加することができる。顔料含有インクの場合、特に顔料粒子のサイズが十分に小さく、そして孔サイズが十分に大きいならば、着色剤は典型的には可融性多孔質画像受容層内に残ることになる。可融性多孔質画像受容層が十分に厚いならば、水溶性色素でさえも可融性多孔質画像受容層内に実質的に残ることになる。しかし、可融性多孔質層又は透明無孔質層内に媒染剤又は他の色素定着剤を使用することにより、色素が水平方向に広がるのを防止又は制限することができる。色素の水平方向における広がりは、画像を損なうか又は不鮮明にする傾向がある。インク着色剤が、可融性多孔質画像受容層内に実質的に残り、そして透明無孔質層内に実質的に浸透しないか、あるいは、少なくともあまりにも多量に又はあまりにも遠くには浸透しないことが望ましい。他方において、キャリヤ液、溶剤、又は界面活性剤などは、透明無孔質層又は可融性多孔質画像受容層の両方によって吸収することができる。
【0023】
界面活性剤、粘度改質剤、及び艶消し粒子などのような添加剤を、これらが当該特性を劣化させない範囲で、透明無孔質層に添加することができる。
【0024】
本発明の好ましい実施態様の場合、可融性多孔質層は、ガラス転移温度が異なる2つ以上のタイプの疎水性ポリマー粒子を含み、第1のタイプの疎水性ポリマー粒子は、約60℃を上回るTgを有し、実質的に単分散である。この好ましい実施態様の場合、実質的に単分散された第1のタイプの疎水性ポリマー粒子は、例えば界面活性剤を伴って又は伴わずにエチレン系不飽和型モノマーをエマルジョン重合することにより、調製することができる。単分散ポリマー粒子を形成する際には、任意の好適なエチレン系不飽和型モノマー又はモノマー混合物を使用することができる。例えば、エチレン、プロピレン、1-ブテン、ブタジエン、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、t-ブチルスチレン;脂肪酸のモノエチレン系不飽和型エステル(例えばビニルアセテート、アリルアセテート、ビニルステアレート、ビニルピバレート);脂肪酸のモノエチレン系不飽和型アミド(例えばN-ビニルアセトアミド、N-ビニルピロリドン);エチレン系不飽和型モノカルボン酸又はジカルボン酸エステル(例えばメチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、2-クロロエチルアクリレート、2-シアノエチルアクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、メチルメタクリレート、n-ブチルメタクリレート、ベンジルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、イソボルニルアクリレート、イソボルニルメタクリレート、n-オクチルアクリレート、ジエチルマレエート、ジエチルイタコネート);エチレン系不飽和型モノカルボン酸アミド(例えばアクリルアミド、t-ブチルアクリルアミド、イソブチルアクリルアミド、n-プロピルアクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、アクリロイルモルホリン);及びこれらの混合物を使用することができる。水溶性モノマーの総モノマー混合物を基準として最大5重量%を共重合することにより、粒子安定性を改善することもできる。好ましい水溶性コモノマーの例は、スルホネート又はスルフェート(例えばナトリウムアクリルアミド-2-メチルプロパン-スルホネート、ナトリウムビニルベエンゼンスルホネート、カリウムビニルベンジルスルホネート、ナトリウムビニルスルホネート)のエチレン系不飽和型塩;モノエチレン系不飽和型化合物(例えばアクリロニトリル、メタクリロニトリル)、及びモノエチレン系不飽和型カルボン酸(例えばアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸)である。
【0025】
所望の場合には、単分散ポリマー粒子を形成する際に、UV吸収分、抗酸化分又は架橋分を含有するモノマーを使用することにより、画像の光堅牢性又はその他の性能を改善することができる。使用することができるUV吸収モノマーの例は、下記のものを含む:
【0026】
【化1】

【0027】
単分散ポリマー粒子を形成する際に使用することができる典型的な架橋モノマーは、芳香族ジビニル化合物、例えばジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン又はこれらの誘導体;ジエチレンカルボキシレートエステル及びアミド、例えばエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、及びその他のジビニル化合物、例えばジビニルスルフィド又はジビニルスルホン化合物を含む。ジビニルベンゼン及びエチレングリコールジメタクリレートが特に好ましい。
【0028】
単分散ポリマー粒子の調製例は、「Emulsion Polymerization and Emulsion Polymers」P. A. Lovell及びM. S. El-Aasser, John Wiley & Sons, Ltd., 1997及び米国特許第4,415,700号明細書に見いだすことができる。これらの開示内容を引用することにより本明細書中に組み入れる。
【0029】
本発明の可融性多孔質インク受容層内に使用される単分散ポリマー粒子は、好ましくは無孔質である。「無孔質」という用語は、ボイドがないか又は液体を通さない粒子を定義するのに使用される。これらの粒子は平滑な又は粗い表面を有することができる。
【0030】
この好ましい実施態様の場合、約25℃を下回るTgを有する第2のタイプの疎水性ポリマーが、本発明の可融性多孔質画像受容層内に使用される。このようなポリマーは、ラテックス、又は水性媒質中で安定化することができる任意の組成物の疎水性ポリマー、例えば本発明の透明層内で使用される水分散性ポリマーに関して前述した材料であってよい。
【0031】
本発明の好ましい実施態様の場合、可融性多孔質インク受容層内に使用される第1のタイプのポリマー粒子のTgは、約60℃〜約140℃である。別の実施態様の場合、可融性多孔質インク受容層内に使用される第2の疎水性ポリマーのTgは、約-60℃〜約25℃である。さらに別の実施態様の場合、可融性多孔質インク受容層内に使用される、Tgが約60℃〜約140℃の単分散ポリマー粒子の平均粒子サイズは、約0.2 μm〜約2 μmである。平均粒子サイズは、50容積%の粒子がそれよりも小さいサイズ(又は直径)として定義される。
【0032】
さらに別の好ましい実施態様の場合、可融性多孔質インク受容層内に使用される単分散ポリマー粒子のディケード比は約2未満である。ディケード比は、単分散性の指数であり、粒子サイズ分布曲線の第10パーセンタイルにおける粒子サイズに対する、該粒子サイズ分布曲線の第90パーセンタイルにおける粒子サイズの比として定義される。パーセンタイルは、示されたサイズよりも小さな容積の所与のパーセントとして定義される。さらに別の好ましい実施態様の場合、可融性多孔質インク受容層内の高Tg単分散ポリマー粒子と、低Tg疎水性ポリマーとの重量比は、約10:1〜約2.5:1である。
【0033】
本発明において使用される要素上に印刷を施した後、可融性多孔質インク受容層を熱及び/又は圧力で溶融することにより、実質的に連続的な透明層を表面上に形成する。溶融すると、この層は非光散乱性にさせられる。意図される目的において効果的である任意の様式で、溶融を達成することができる。溶融ベルトを採用する溶融方法の説明が、米国特許第5,258,256号明細書に見いだすことができ、また溶融ローラーを採用する溶融方法の説明が、米国特許第4,913,991号明細書に見いだすことができる。これらの開示内容を参考のため本明細書中に引用する。
【0034】
好ましい実施態様の場合、要素の表面と熱溶融部材、例えば溶融ローラー又は溶融ベルトと接触させることにより、溶融が達成される。こうして、例えば要素を、加熱されたローラー対に通し、温度を約60℃〜約160℃に加熱し、輸送速度約0.005 m/秒〜約0.5 m/秒で5〜約15 MPaの圧力を用いることにより、溶融を達成することができる。
【0035】
画像受容層は添加剤、例えばpH改質剤、レオロジー改質剤、界面活性剤、UV吸収剤、殺生剤、滑剤、ワックス、色素、蛍光増白剤などを含有することもできる。
【0036】
画像受容層は、コンベンショナルな前計量式又は後計量式塗布法、例えばブレード、エアナイフ、ロッド、ロール、スロットダイ、カーテン、スライドなどによって、一方又は両方のサブストレート表面に塗布することができる。作業の経済性から選択して塗布法が決定され、その塗布法は、配合物の仕様、例えば塗布固形物、塗布粘度、及び塗布速度を決定することになる。
【0037】
本発明の透明無孔質層は、0.2 μm〜2 μm、好ましくは5 μm〜15 μmであってよい。溶融前の可融性多孔質画像受容層厚は、10 μm〜100 μm、好ましくは20 μm〜70 μmであってよい。所要塗膜厚は、塗膜がインク溶剤の吸収溜めとして作用することの必要性によって決定される。一般に、画像受容層は、約10 g/m2〜約60 g/m2の量で塗布される。さらに、一般的な可融性多孔質画像受容層の孔容積は、約5〜約50 ml/m2である。
【0038】
本発明のインクジェット記録用紙において使用される支持体は、不透明、半透明、又は透明であってよい。例えば普通紙、樹脂コート紙、ラミネート紙、例えば米国特許第5,853,965号;同第第5,866,282号;第5,874,205号;第5,888,643号;第5,888,681号;第5,888,683号;及び第5,888,714号の各明細書に記載されているもの、ポリエステル樹脂を含む種々のプラスチック、例えばポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(エチレンナフタレート)及びポリ(エステルジアセテート);セルロース誘導体、例えばセルロースアセテート、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート;ポリカーボネート樹脂;フッ素樹脂、例えばポリ(テトラ-フルオロエチレン);金属フォイル;種々のガラス材料などを使用することができる。支持体は、ボイド含有ポリオレフィン、ポリエステル又は膜であってもよい。ボイド含有ポリエステル調製の例は、米国特許第5,354,601号明細書及び同第6,379,780号明細書に見いだすことができる。周知の位相反転技術に従って、ボイド含有膜を形成することができる。本発明において使用される支持体の厚さは、12 μm〜500 μm、好ましくは75 μm〜300 μmであってよい。
【0039】
本発明の別の観点は、インクジェット印刷方法であって:
A)デジタルデータ信号に応答するインクジェット・プリンターを用意し;
B)可融性多孔質画像受容層、及び該支持体と該可融性層との間に位置する、元の重量の0.67未満の量の水によって膨潤されることができる透明無孔質層を含む上記インクジェット記録要素を前記プリンターにローディングし、;
C)前記プリンターにインクジェット・インクをローディングし;
D)前記デジタルデータ信号に応答して、前記インクジェット・インクを使用して、該インクジェット記録要素上に印刷を施し;そして、
E)該可融性多孔質画像受容層を溶融させる
工程を含む、インクジェット印刷方法に関する。
【0040】
好ましくは、この方法は、顔料含有インクジェット・インクの使用を含み、そして好ましくは、顔料含有インクは、要素に塗布された後に画像受容層内に保持されるようになっている。
【0041】
本明細書に開示された記録要素を、主としてインクジェット・プリンターのために有用なものであると述べたが、これらの記録要素は、ペン・プロッター集成体のための記録媒体として使用することもできる。ペン・プロッターは、インク・リザーバーと接触した毛管束から成るペンを使用して、記録媒体の表面上に直接筆記することにより動作する。
【0042】
インクジェット印刷プロセス中、インク液滴は毛管作用によって急速に多孔質層内に吸収され、そして画像はプリンターから出た直後に指触乾燥状態になる。従って、多孔質層はインクの高速「乾燥」を可能にし、耐スミア性画像を生成する。
【0043】
画像記録要素が他の画像記録物品、又は画像記録デバイスの駆動又は輸送メカニズムと接触し得るので、添加剤、例えば界面活性剤、滑剤、及び艶消し粒子などを、これらが当該特性を劣化させない程度に要素に添加することができる。
【0044】
本発明の記録要素を画像形成するために使用されるインクジェット・インクが当業者によく知られている。インクジェット印刷において使用されるインク組成物は典型的には、溶剤又はキャリヤ液、色素又は顔料、界面活性剤、有機溶剤、洗剤、増粘剤、及び保存剤などを含む液体組成物である。溶剤又はキャリヤ液は水だけであってよく、あるいは、他の水混和性溶剤、例えば多価アルコールと混合された水であってもよい。有機溶剤、例えば多価アルコールが主要なキャリヤ又は溶剤液体であるインクを使用することもできる。特に有用なのは、水と多価アルコールとの混合溶剤である。このような組成物中に使用される色素は、典型的には水溶性の直接タイプ又は酸タイプの色素である。このような液状組成物は、例えば米国特許第4,381,946号;同第4,239,543号;及び同第4,781,758号の各明細書を含む従来技術において広範囲に記載されている。これらの開示内容を参考のため本明細書中に引用する。
本発明を説明するために、下記の例を提供する。
【実施例】
【0045】
ポリマー粒子の特徴付け
ガラス転移温度-加熱速度20℃/分を用いて、示差走査熱量計(DSC)によって、乾燥ポリマー材料のTgを測定した。Tgはここでは、ガラス転移の変曲点として定義される。
【0046】
粒子サイズ測定-Leeds & Northrup製のUltrafine(商標) Particle Analyzer(UPA)によって、ポリマー粒子を特徴付けた。粒子サイズデータを提供するためのグラフの2つの形態、すなわちヒストグラム及び累積プロットを得る。パーセンタイル点は、示されたサイズよりも小さい容積の所与のパーセントを示す。50%は、「平均粒子サイズ」として使用される。ディケード比は、第10パーセンタイル点における粒子サイズに対する、第90パーセンタイル点における粒子サイズの比として定義される。ディケード比が小さければ小さいほど、粒子サイズ分布は狭くなる。
単分散ポリマー粒子P-1の調製
脱塩水2000 gを添加することにより、12リットルのMorton反応フラスコを調製した。窒素雰囲気中で150 RPMで撹拌しながら、フラスコ内容物を80℃まで加熱した。第1水性相添加フラスコを、脱塩水1987 gとメタ重亜硫酸ナトリウム13.2 gとで形成した。第2水性相添加フラスコを、脱塩水1973 gと過硫酸ナトリウム26.4 gとで形成した。エチルメタクリレート2418.7 gとメチルメタクリレート127.3 gとを添加することによって、モノマー相添加フラスコを調製した。次いで、各添加フラスコから反応フラスコへのチャージを、1分当たり5 gで開始した。添加フラスコを、必要に応じて再チャージした。試料を種々の時点で採取し、そして、所望のラテックス粒子サイズに達したときに、モノマー相供給をストップさせた。モノマー相添加の終了から30分間延長して、レドックス開始剤溶液をチャージすることにより、残留モノマーを追跡した。反応フラスコ内容物を1時間にわたって80℃で撹拌し、これに続いて、20℃まで冷却し、そして200 μmのポリクロス材料を通して濾過した。限外濾過によって、ラテックスを50%固形分まで濃縮した。
P-1は、Tg 80℃、平均粒子サイズ753 nm、及びディケード比1.322を有する。
【0047】
低Tg粒子分散体P-2
P-2は、ポリウレタン分散体Witcobond W-320(商標)(CK Witco Corporation: Sistersville, West Virginia)である。この分散体は、非イオン性であり、ひいてはアニオン性又はカチオン性ポリマー粒子分散体と適合性がある。分散体の平均粒子サイズは、3 μmであり、Tgは-12℃である。これらは両方ともCK Witco Corporationから引用したものである。
【0048】
低Tg粒子分散体P-3
P-3は、ポリウレタン分散体Witcobond W-213(商標)(CK Witco Corporation)である。この分散体は、カチオン性であり、ひいてはカチオン性単分散ポリマー粒子P-1と適合性がある。分散体の平均粒子サイズは、UPAによって測定して33.7 nmであり、Tgは-27.5℃である。
【0049】
水性ワックス・エマルジョンW-1
W-1は、改質シリコーン流体GP-50-Aの水性ワックス・エマルジョン(Genesee Polymers Corporation; Flint, Michigan)である。
【0050】
色素媒染剤M-1
M-1は、組成物中、(ビニルベンジル)トリメチルアンモニウムクロリド及びジビニルベンゼン(87:13モル比)のカチオン性ポリマー・ラテックスである。
【0051】
ゼラチン-1
ゼラチン-1は、Eastman Kodak Company;Rochester, New Yorkの一部門であるEastman Gelから入手可能なタイプ4(骨)TCG-IIIクラス30ゼラチンである。
【0052】
ゼラチン-2
ゼラチン-2は、KIND & KNOX、Johnstown, New Yorkから入手可能なタイプ5(豚の皮)脱イオンゼラチン・コード55である。
【0053】
PVA
PVAは、ポリ(ビニルアルコール)、日本国Nippon Synthetic Chemical Industry Co., Ltd(Nippon Gohsei)から入手可能な商品名GH-23である。
【0054】
対照要素Aの調製
アクリロニトリル、塩化ビニリデン及びアクリル酸のターポリマー・ラテックス0.1 μm厚、次いでゼラチン0.1 μm厚を下塗りされている180 μm(7ミル)厚の二軸延伸ポリエチレンテレフタレート・フィルム支持体上に、粒子P-1、P-2及びW-1を含む水溶液を塗布することにより、可融性多孔質画像受容層を含有するインクジェット媒体を調製した。P-1、P-2及びW-1の濃度は、それぞれ37.5重量%、7.19重量%及び0.31重量%であった。非イオン性界面活性剤Zonyl FSN(商標)(DuPont; Wilmington, Delaware)を0.25%の量で、塗布溶液中に使用することにより、塗膜形成中の表面張力を制御した。塗布溶液を87.1 cc/m2(8 cc/ft2)でレイダウンし、そして強制空気循環によって10分間にわたって21℃でこの塗布溶液を乾燥させた。
【0055】
要素1-12の調製
対照要素Aと同様に要素1-12を調製した。ただしこの場合、フィルム支持体上には、透明無孔質層を塗布し、そして可融性多孔質画像受容層をその上側に塗布する前にこれを乾燥させた。透明層のための各塗布溶液を87.1 cc/m2(8 cc/ft2)でレイダウンし、2分間にわたって49℃で、続いて強制空気循環によって6分間にわたって25℃でこの塗布溶液を乾燥させた。非イオン性界面活性剤Olin 10G(商標)(0.075%)を塗布溶液中に使用することにより、塗膜形成中の表面張力を制御した。透明層が塗布された後2時間以内に、「対照要素Aの調製」に関して前段落に記載したのと同じ手順によって、透明層の上側に、可融性多孔質層を塗布した。
【0056】
要素1〜12及び対照Aのための透明層及び可融性多孔質層の組成物を、表1に要約する。成分はmg/ft2で挙げる。
【0057】
【表1】

【0058】
透明ボトム層の膨潤測定
透明ボトム層を塗布し、そして膨潤測定するまで0℃の冷凍庫内に保存した。4分間にわたって脱イオン水中に25℃で塗膜を浸すことにより、膨潤測定を実施し、そして透明ボトム層の厚さの増大を記録した。水に対応する密度1.0を基準として、厚さの増大を、透明ボトム層によって吸収された水の重量に換算した。膨潤は、透明ボトム層の重量に対する、吸収された水の重量の比として定義される。
【0059】
塗膜品質
7倍の拡大レンズで、肉眼によって、各要素の塗膜品質を検査した。亀裂が観察されなければ、要素は良と考えられ、また、亀裂が観察されれば、要素は不良と考えられた。
【0060】
インクジェット印刷
全ての要素を、カラーインク・カートリッジT027及びブラックインク・カートリッジT026を有するEpson(商標)Stylus Photo 820プリンター内にローディングし、そして、カラー・パッチ及びピクチャから成る前集成されたデジタル画像でこれに印刷を施した。印刷済試料がプリンターから出たら、濃厚にインク付けされた領域上を直ちに指でこすった。「瞬間乾燥」は、プリントが指触乾燥状態であり、指でこする動作によって画像が汚されたり損傷されたりしなかったものとして定義される。もし粒子が塗布後の乾燥時に凝集し、連続皮膜を形成するとしたら、インクは表面上に液滴を形成し、層を貫通することはない。従って、このような画像は光学濃度が低く、こすることによって容易に汚されることになる。
【0061】
乾燥及び溶融
印刷済要素を、16時間にわたって室内条件において空気乾燥させ、次いで、加熱・加圧された一組のローラーの間で溶融した。これらのローラーのうち少なくとも1つを150℃の温度及び1秒当たり2.5 cmの速度で加熱した。
【0062】
画質
要素を視覚的に試験し、そして下記に従って等級付けした:
良=スミアなし
可=多少のスミア
不良=重度のスミア
【0063】
マンドレルの付着試験
溶融済要素を、画像受容側がマンドレルとは反対側に向いた状態で、直径6.16 mmのマンドレルに巻き付けた。カールされた領域を、下記に従って損傷に関して試験した。
【0064】
良=損傷なし
可=僅かな曇りが観察
不良=溶融済層が支持体から剥離
評価の結果を下記表2に要約する。
【0065】
【表2】

【0066】
上記結果は、透明ボトム層が概ね付着の改善を可能にする一方、同じ高速インク吸収特性及び画質を維持することを示す。しかし、可融性層が0.67以上の量で膨潤される場合には、可融性層の塗膜品質に多少の劣化が生じる。
【0067】
説明のために特定の好ましい実施態様を参照しながら本発明を詳細に説明してきたが、本発明の思想及び範囲を逸脱することなしに、当業者によって変更及び改変を加え得ることは言うまでもない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体上に、順に下記層:
(a) 水溶性ポリマーを含む透明無孔質層、この層は元の重量の0.67未満の量の水によって膨潤可能である;及び
(b) 可融性多孔質画像受容層
を含んで成るインクジェット記録要素。
【請求項2】
該透明無孔質層が15重量パーセント以上の水溶性ポリマーを含み、そして該透明無孔質層が、その元の重量の0.3以上の量の水によって膨潤可能である、請求項1に記載の要素。
【請求項3】
該透明無孔質層が20重量パーセント以上の水溶性ポリマーを含み、そして該透明無孔質層が、その元の重量の0.35以上の量の水によって膨潤可能である、請求項1に記載の要素。
【請求項4】
該可融性多孔質画像受容層が、ガラス転移温度が異なる2つ以上のタイプの疎水性ポリマー粒子を含み、第1のタイプの疎水性ポリマー粒子は、約60℃を上回るTgを有し、実質的に単分散であり、第2のタイプの疎水性ポリマー粒子は、約25℃を下回るTgを有する、請求項1に記載の要素。
【請求項5】
実質的に単分散である該第1のタイプの疎水性ポリマー粒子が、平均粒子サイズ約0.2 μm〜約2 μmを有し、そして該粒子サイズ分布曲線の第10パーセンタイルにおける粒子サイズに対する、該粒子サイズ分布曲線の第90パーセンタイルにおける粒子サイズの比が約2未満となるような、粒子サイズ分布を有する、請求項4に記載の要素。
【請求項6】
実質的に単分散である該第1のタイプの疎水性ポリマー粒子が、約60℃〜約140℃のTgを有する、請求項4に記載の要素。
【請求項7】
該第2のタイプの疎水性ポリマー粒子が、約-60℃〜約25℃のTgを有する、請求項4に記載の要素。
【請求項8】
該第1のタイプの疎水性ポリマー粒子と、該第2のタイプの疎水性ポリマー粒子との重量比が、約10:1〜約2.5:1である、請求項4に記載の要素。
【請求項9】
該可融性多孔質画像受容層が、約10 g/m2〜約60 g/m2の量で塗布される、請求項1に記載の要素。
【請求項10】
該透明無孔質層が、ゼラチン、ポリ(ビニルアルコール)、及びこれらの誘導体から成る群から選択された水溶性ポリマーを含む、請求項1に記載の要素。
【請求項11】
該透明無孔質層がさらに水分散性ポリマーを含む、請求項1に記載の要素。
【請求項12】
該透明無孔質層が水溶性ポリマーのための架橋剤を含む、請求項1に記載の要素。
【請求項13】
該透明無孔質層が2 μm〜20 μm厚である、請求項1に記載の要素。
【請求項14】
該水溶性ポリマーがゼラチンである、請求項1に記載の要素。
【請求項15】
該水分散性ポリマーのTgが25℃未満である、請求項11に記載の要素。
【請求項16】
該水分散性ポリマーの平均粒子サイズが1 μm未満である、請求項11に記載の要素。
【請求項17】
該水分散性ポリマーがポリウレタンである、請求項11に記載の要素。
【請求項18】
該支持体が樹脂コート紙又は透明ポリマー・フィルムである、請求項1に記載の要素。
【請求項19】
該可融性多孔質画像受容層が架橋されている、請求項1に記載の要素。
【請求項20】
該可融性多孔質画像受容層が紫外線吸収剤を含有する、請求項1に記載の要素。
【請求項21】
該可融性多孔質画像受容層の孔容積が、約5〜約50 ml/m2である、請求項1に記載の要素。
【請求項22】
支持体上に、順に下記層:
(a) その元の重量の0.67未満の量の水によって膨潤可能であり、そして水溶性ポリマー及び水分散性ポリマーの両方を含む透明無孔質層;及び
(b) 可融性多孔質画像受容層、ここで可融性多孔質画像受容層はガラス転移温度が異なる2つ以上のタイプの疎水性ポリマー粒子を含み、第1のタイプの疎水性ポリマー粒子は約60℃を上回るTgを有し、第2のタイプの疎水性ポリマー粒子は約25℃を下回るTgを有する、
を含んで成るインクジェット記録要素。
【請求項23】
該透明無孔質層がさらに、水溶性ポリマーのための架橋剤を含む、請求項22に記載の要素。
【請求項24】
該透明無孔質層がさらに色素定着剤を含む、請求項22に記載の要素。
【請求項25】
該透明無孔質層が2 μm〜20 μm厚である、請求項22に記載の要素。
【請求項26】
A)デジタルデータ信号に応答するインクジェット・プリンターを用意し;
B)請求項1に記載のインクジェット記録要素をプリンターにローディングし;
C)該プリンターにインクジェット・インクをローディングし;
D)該デジタルデータ信号に応答して、該インクジェット・インクを使用して、該インクジェット記録要素上に印刷し;そして、
E)該可融性多孔質画像受容層を溶融させる
各工程を含んで成るインクジェット印刷方法。
【請求項27】
該インクジェット・インクが、該可融性多孔質画像受容層内に実質的に保持される顔料含有インクを含む、請求項26に記載の方法。

【公表番号】特表2007−527811(P2007−527811A)
【公表日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−502832(P2007−502832)
【出願日】平成17年2月22日(2005.2.22)
【国際出願番号】PCT/US2005/005516
【国際公開番号】WO2005/092634
【国際公開日】平成17年10月6日(2005.10.6)
【出願人】(590000846)イーストマン コダック カンパニー (1,594)
【Fターム(参考)】