説明

インシュリン組成物

インシュリンで患者を治療するための組成物及び方法を開示し、ここで、患者に経鼻放出するのに適した形状にある組成物は、治療的に有効な量のインシュリンと、透過性増強剤と、液状担体と、酸性pHであるが、4.5以下のpHを与えるのに十分な量で前記組成物中に存在する酸とを含み、該酸は、一価の無機酸、硫酸、及び酢酸からなる群から選択される。好ましくは、該組成物は本質的にシトレートを含まず、かつ本質的にホスフェートを含まない。即ち、該組成物は、本質的にフィブリル型(又はβ-シート状)インシュリン多形体を含まない組成物を与えるように設計されている。また、ヒト又は温血動物に経鼻投与するための薬理組成物をも提供し、該薬理組成物は、(A) 治療的に有効な量のインシュリン、(B) 透過性増強剤、及び(C) 液状担体を含み、更に該組成物は以下の各々又は何れかを含み、あるいは特徴として含む:(D) ノニオン性界面活性剤の組合せ、ここで該ノニオン性界面活性剤の組合せは、(i) 少なくとも1種の、糖又は糖アルコールの脂肪酸エステル及び(ii) 少なくとも1種の、糖又は糖アルコールの、ペジレート化脂肪酸エステルを含む;(E) 該組成物は、酸性pHであるが、4.5以下のpHを持つ;及び(F) 該組成物の浸透性は、<200 mOsmol/Kg H2Oである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者に対して、インシュリンを放出するための組成物及び方法に関するものであり、及びより詳しくは、患者に対して、インシュリンを経鼻放出することに関するものである。
【背景技術】
【0002】
インシュリンは、一般に糖尿病を患う患者を治療するために使用される。
インシュリンは、二種の連鎖、即ちA(21残基)及びB(30残基)を含む、球状のオリゴマータンパク質である。球状タンパクは、そのポリペプチド鎖が、緻密な球形又は球形状に、堅く折畳まれているタンパク質である。2又はそれ以上のポリペプチド鎖を持つタンパク質は、通常オリゴマータンパク質と呼ばれ、またその構成連鎖は、通常サブユニット又はプロトマーと呼ばれる。オリゴマータンパク質は、通常長さ及びアミノ酸配列において同一又は異なっていてもよい、偶数のポリペプチド鎖を含んでいる。
最も伝統的には、インシュリンは、注射によって患者に放出される。
米国特許第7,112,561号明細書は、インシュリンと透過性増強剤との組合せを含み、酸性pHに維持された、経鼻投与用の組成物を開示している。
【0003】
しかし、酸性pHにおいては、フィブリル化が起こり、このフィブリル化は、これらの活性成分が、ダイマーの形成(ダイマー化)を通して重合し、次いで一般的にフィブリル(原繊維)と呼ばれる結晶構造へと凝集する傾向を意味する。これらの「フィブリル」は、またフィブリル形(又はβ-シート)インシュリン多形体とも呼ばれている。
インシュリンのフィブリル化は、恐らく該フィブリル化-感受性のインシュリンモノマーを、より利用し易くすることによって、モノマー→ダイマー→テトラマー→ヘキサマー→より高次の本来のアセンブリーへの、古典的な自己-会合経路を不安定化するファクタにより促進されるものと考えられる(Hua, Qing-xin; Weiss, Michael A.; インシュリンフィブリル化のメカニズム:アミロイド源性条件下におけるインシュリンの構造は、タンパク質-折畳み中間体と類似する(Mechanism of Insulin Fibrillation: The Structure of Insulin Under Amyloidogenic Conditions Resembles a Protein-Folding Intermediate), J. Biol. Chem., 2004, 第279巻, 20号, pp.21449-21460, 5月14日参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本来の形状において、インシュリンは、小さなα-へリックスに富む球状のドメインを形成する。該凝集過程中に、該インシュリンのアミロイドフィブリル内において、該本来のα-へリックスに富む二次構造から、β-シートに富む構造へと転移する。該インシュリンのフィブリル形成過程は、幾つかの段階、即ち:該タンパク質のモノマー化、部分的に折畳まれた中間体の形成、核形成(疎水性表面の会合を含む)、及びフィブリルの成長を含むことが知られている(Nielsen, Liza; Khurana, Ritu; コーツ(Coats), Alisa; Frokjaer, Sven; Brange, Jens; Vyas, Sandip; Uversky, Vladimir N.; Fink, Anthony L.; インシュリンのフィブリル形成の速度論に及ぼす、環境的ファクタの効果:分子的メカニズムの解明(Effect of Environmental Factors on the Kinetics of Insulin Fibril Formation: Elucidation of the Molecular Mechanism), Biochemistry, 2001, 40(20), pp.6036-6046参照)。
【0005】
酸性pH条件が、インシュリンのモノマー/ダイマー形状にとって有利であることは、一般的に認識されているが、生理的なpH条件は、インシュリンのテトラマー/ヘキサマー形状にとって好都合である(Nielsen等; インシュリンミュータントを用いた、インシュリンのフィブリル形成メカニズムの立証(Probing the Mechanism of Insulin Fibril Formation with Insulin Mutants), Biochemistry, 2001. 40(28), pp.8397-8409参照)。該ヘキサマーオリゴマー形状は、インビボ保存中に、インシュリンがこのフィブリル化/誤った折畳みを行うことを回避するものと考えられ、また結果として該ヘキサマーは、臨床的な処方において使用されている。しかし、酸性条件は、一般的に、(恐らく、トリマー界面におけるヒスチジンのプロトン化により)ヘキサマーの生成を排除し、また室温においてインシュリンは、pH 2において本来と同様の配座を保持し、更にミリモル濃度においては、支配的にダイマー形状にある(Hua, Qing-xin; Weiss, Michael A.; インシュリンフィブリル化のメカニズム:アミロイド源性条件下におけるインシュリンの構造は、タンパク質-折畳み中間体と類似する(Mechanism of Insulin Fibrillation: The Structure of Insulin Under Amyloidogenic Conditions Resembles a Protein-Folding Intermediate), J. Biol. Chem., 2004, 第279巻, 第20号, pp.21449-21460, 5月14日参照)。
【0006】
貫膜放出される処方物の該インシュリン成分は、該処方物を患者に投与する際には、結晶(凝集した)状態にあるべきではないことが望ましく、またこのような貫膜放出される処方物が、製造、包装、保存、冷蔵、又は輸送される際に、該処方物中の該インシュリン成分は、結晶化(凝集)に対して抵抗性であるべきであることも同様に望ましい。更に、殆ど又は全く「β-プリーツシート」形状の形成を可能としないことが望ましい。というのは、このような「β-プリーツシート」形状は、結晶性(一般的に、「フィブリル型(fibrilliform)」インシュリンとして知られている)であり、また結果的に閉鎖性の沈殿を形成することができるばかりでなく、実質上生物学的な活性は低いものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、患者に経鼻放出するのに適した形状にある、薬理組成物を提供することにあり、該薬理組成物は、治療的に有効な量のインシュリン(及び/又はその類似体等)と、透過性増強剤と、液状担体とを含み、該薬理組成物は、酸性pHであるが、4.5以下のpH条件下にあり、該組成物の該酸性pHは、該組成物における更なる酸の存在によって与えられ、該酸は、一価の無機酸、硫酸、及び酢酸からなる群から選択される。
一般に、該組成物のpHは、4.5以下である。好ましくは、該組成物のpHは、4以下であり、2以上である。該pHは、好ましくは少なくとも2である。
本発明において使用できる該一価の無機酸の非-限定的な例として、塩酸(実施例において使用されているように)又は臭化水素酸を挙げることができる。
本発明によれば、また患者に経鼻放出するのに適した形状にある、薬理組成物が提供され、該薬理組成物は、治療的に有効な量のインシュリン(及び/又はその類似体等)と、透過性増強剤と、液状担体とを含み、該薬理組成物は、酸性pHであるが、4.5以下のpH条件下にあり、該組成物の該酸性pHは、該組成物における更なる酸の存在によって与えられ、該酸は、一価の無機酸、硫酸、及び酢酸からなる群から選択され、また該薬理組成物は、本質的にシトレートを含まないものである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】血漿グルコースと、平均グルコース値との関係を示す図。
【図2】血漿インシュリンと、平均インシュリン値との関係を示す図。
【0009】
本発明によれば、更に患者に経鼻放出するのに適した形状にある、薬理組成物が提供され、該薬理組成物は、治療的に有効な量のインシュリン(及び/又はその類似体等)と、透過性増強剤と、液状担体とを含み、該薬理組成物は、酸性pHであるが、4.5以下のpH条件下にあり、該組成物の該酸性pHは、該組成物における更なる酸の存在によって与えられ、該酸は、一価の無機酸、硫酸、及び酢酸からなる群から選択され、また該薬理組成物は、本質的にホスフェートを含まないものである。
本発明の最も好ましい態様によれば、患者に経鼻放出するのに適した形状にある、薬理組成物が提供され、該薬理組成物は、治療的に有効な量のインシュリン(及び/又はその類似体等)と、透過性増強剤と、液状担体とを含み、該薬理組成物は、酸性pHであるが、4.5以下のpH条件下にあり、該組成物の該酸性pHは、該組成物における更なる酸の存在によって与えられ、該酸は、一価の無機酸、硫酸、及び酢酸からなる群から選択され、また該薬理組成物は、本質的にシトレートを含まず、かつ本質的にホスフェートを含まないものである。
【0010】
一態様において、該薬理組成物は、一価の無機酸、硫酸、及び酢酸からなる群から選択される酸(好ましくはHClにより酸性化される)により酸性化され、酸性条件が、リン酸又はクエン酸バッファーの使用によって維持されている組成物と比較して、望ましからぬフィブリル型の(又はβ-シート)インシュリン多形体の形成を減じるために、本質的にシトレートを含まず、かつ本質的にホスフェートを含まない。好ましい一態様において、該組成物は、本質的にフィブリル型インシュリンを含まないものである。
本発明によれば、患者に経鼻放出するのに適した形状にある、薬理組成物が提供され、該薬理組成物は、治療的に有効な量のインシュリンと、透過性増強剤と、液状担体とを含み、該薬理組成物は、酸性pHであるが、4.5以下のpH条件下にあり、該組成物は、酸を含み、該酸は、一価の無機酸、硫酸、及び酢酸からなる群から選択され、該酸は、該pHを調節するのに十分な量で存在し、また該薬理組成物は、本質的にシトレートを含まず、かつ該薬理組成物は、本質的にホスフェートを含まないものである。
【0011】
好ましい一態様において、本出願人は、一価の無機酸により酸性化(好ましくはHClにより酸性化)されており、本質的にシトレートを含まず、本質的にホスフェートを含まない上記薬理組成物が、酸性条件が、リン酸又はクエン酸バッファーの使用によって維持されている組成物と比較して、望ましからぬフィブリル型の(又はβ-シート)インシュリン多形体の形成を減じることを見出した。好ましい一態様において、該組成物は、本質的にフィブリル型インシュリンを含まないものである。
本発明によれば、インシュリンを必要とする患者を、患者に経鼻放出するのに適した形状にある、薬理組成物を投与することによって治療する方法が提供され、該薬理組成物は、治療的に有効な量のインシュリンと、透過性増強剤と、液状担体とを含み、該薬理組成物は、酸性pHであるが、4.5以下のpH条件下にあり、該組成物は、酸を含み、該酸は、一価の無機酸、硫酸、及び酢酸からなる群から選択され、該酸は、該pHを調節するのに十分な量で存在する。
本発明によれば、またインシュリンを必要とする患者を、患者に経鼻放出するのに適した形状にある、薬理組成物を投与することによって治療する方法が提供され、該薬理組成物は、治療的に有効な量のインシュリンと、透過性増強剤と、液状担体とを含み、該薬理組成物は、酸性pHであるが、4.5以下のpH条件下にあり、該組成物は、酸を含み、該酸は、一価の無機酸、硫酸、及び酢酸からなる群から選択され、該酸は、該pHを調節するのに十分な量で存在し、該薬理組成物は、本質的にシトレートを含まないものである。
【0012】
本発明によれば、更にインシュリンを必要とする患者を、患者に経鼻放出するのに適した形状にある、薬理組成物を投与することによって治療する方法が提供され、該薬理組成物は、治療的に有効な量のインシュリンと、透過性増強剤と、液状担体とを含み、該薬理組成物は、酸性pHであるが、4.5以下のpH条件下にあり、該組成物は、酸を含み、該酸は、一価の無機酸、硫酸、及び酢酸からなる群から選択され、該酸は、該pHを調節するのに十分な量で存在し、該薬理組成物は、本質的にホスフェートを含まないものである。
本発明の最も好ましい態様によれば、インシュリンを必要とする患者を、患者に経鼻放出するのに適した形状にある、薬理組成物を投与することによって治療する方法が提供され、該薬理組成物は、治療的に有効な量のインシュリンと、透過性増強剤と、液状担体とを含み、該薬理組成物は、酸性pHであるが、4.5以下のpH条件下にあり、該組成物は、酸を含み、該酸は、一価の無機酸、硫酸、及び酢酸からなる群から選択され、該酸は、該pHを調節するのに十分な量で存在し、該組成物は、本質的にシトレートを含まず、かつ該組成物は、本質的にホスフェートを含まないものである。
【0013】
本発明は、更にインシュリンを必要とする患者を、インシュリンと、透過性増強剤と、液状担体との組合せを用いて治療することに係り、ここで該組合せは、一価の無機酸、硫酸、及び酢酸からなる群から選択される酸を含み、該組合せは、本質的にシトレートを含まず、かつ該組合せは、本質的にホスフェートを含まず、結果として、該組合せにおいては、フィブリル型の(又はβ-シート)インシュリン多形体を本質的に含まず、該組合せは、酸性pHであるが、4.5以下のpHを持つ。該組合せは、現場外(ex situ)でその成分(又は該成分群)を併合して、該患者に投与する前に、最終組成物とし、あるいは該患者の鼻粘膜に、その成分(又は該成分群)各々を、別々に投与することによって、その場で製造することができる。
該組成物のpHは、フィブリル型の(又はβ-シート)インシュリン多形体の形成に対して実質的に寄与しない、適当な酸の使用によって維持され、また該組成物は、適当な塩基を添加することによっても、緩衝させることができる。塩基を使用する場合、これは好ましくは一価の塩基、例えば水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムである。
【0014】
本発明の他の態様によれば、ヒト、又は温血動物に経鼻投与するための薬理組成物が提供され、該薬理組成物は、(A) 治療的に有効な量のインシュリン、(B) 透過性増強剤、(C) 液状担体、及び(D) ノニオン性界面活性剤の組合せを含み、該ノニオン性界面活性剤の組合せが、(i) 少なくとも1種の、糖又は糖アルコールの脂肪酸エステル及び(ii) 少なくとも1種の、糖又は糖アルコールの、ペジレート化(pegylated)脂肪酸エステルを含み、該組成物は、酸性pHであるが、4.5以下のpH条件下にあり、該組成物の該酸性pHは、更に酸をも含む該組成物によって与えられ、該酸は、一価の無機酸、硫酸、及び酢酸からなる群から選択され、また該組成物は、本質的にシトレートを含まず、かつ該組成物は、本質的にホスフェートを含まないものである。このように、該組成物は、本質的にフィブリル型の(又はβ-シート)インシュリン多形体を含まない組成物を与える意図のもとに設計されている。
【0015】
本発明のもう一つの態様によれば、ヒト、又は温血動物に経鼻投与するための薬理組成物が提供され、該薬理組成物は、(A) 治療的に有効な量のインシュリン、(B) 透過性増強剤、(C) 液状担体を含み、ここで該組成物の浸透性は、<200 mOsmol/Kg H2O(好ましくは、該組成物の浸透性は、<150 mOsmol/Kg H2O)であり、該組成物は、酸性pHであるが、4.5以下のpH条件下にあり、該組成物の該酸性pHは、更に酸をも含む該組成物によって与えられ、該酸は、一価の無機酸、硫酸、及び酢酸からなる群から選択され、また該組成物は、本質的にシトレートを含まず、かつ該組成物は、本質的にホスフェートを含まないものである。このように、該組成物は、本質的にフィブリル型の(又はβ-シート)インシュリン多形体を含まない組成物を与える意図のもとに設計されている。
【0016】
本発明の他の態様によれば、ヒト、又は温血動物に経鼻投与するための薬理組成物が提供され、該薬理組成物は、(A) 治療的に有効な量のインシュリン、(B) 透過性増強剤、(C) 液状担体、及び(D) ノニオン性界面活性剤の組合せを含み、該ノニオン性界面活性剤の組合せが、(i) 少なくとも1種の、糖又は糖アルコールの脂肪酸エステル及び(ii) 少なくとも1種の、糖又は糖アルコールの、ペジレート化(PEGylated)脂肪酸エステルを含み、ここで該組成物の浸透性は、<200 mOsmol/Kg H2O(好ましくは、該組成物の浸透性は、<150 mOsmol/Kg H2O)であり、該組成物は、酸性pHであるが、4.5以下のpHを有し、該組成物の該酸性pHは、更に酸をも含む該組成物によって与えられ、該酸は、一価の無機酸、硫酸、及び酢酸からなる群から選択され、また該組成物は、本質的にシトレートを含まず、かつ該組成物は、本質的にホスフェートを含まないものである。このように、該組成物は、本質的にフィブリル型の(又はβ-シート)インシュリン多形体を含まない組成物を与える意図のもとに設計されている。
本発明は、このように経鼻投与可能な組成物として、また経鼻経路で実施される方法としてこれまで説明してきたが、別の態様では、該組成物は、静脈内投与、又は注入療法の一部として投与でき、また該方法は、静脈内経路で、又は注入療法の一部として実施することができる。このような別の態様においては、該組成物は、上記の及び以下に説明する形態で投与される。但し、該透過性増強剤及び界面活性剤は、該説明から排除される。これらの態様において、該低下されたフィブリル形成は、IV及び注入療法が依存している、ポンプ、針、及び管路を閉塞する恐れのある、閉鎖性の結晶性インシュリンを、より少量で与えるであろう。
【0017】
当分野において公知の如く、「PEG」又は「peg」は、ポリエチレングリコール又はエチレンオキシドのポリマー形状であるポリオキシエチレンの略号であり、そのいずれも、合成でき、又は動物又は植物源から誘導できる。上記の及び以下において使用するような、また当分野において理解されているような、上記用語「ペジレート化」とは、ポリエチレングリコール及び/又はポリオキシエチレン鎖が、分子に共有結合によって結合していることを意味する。本発明の態様の幾つかの、該糖又は糖アルコールの脂肪酸エステルの該ペジレート化部分は、約4〜約25個のオキシエチレン単位を含むポリマー鎖を含むことができる。
本発明の一態様において、該糖又は糖アルコールの脂肪酸エステルの該ペジレート化部分は、約20個のオキシエチレン単位を含むポリマー鎖を含む。
【0018】
簡単な糖は、スクロース、フルクトース、グルコース、ガラクトース、マルトース、ラクトース、及びマンノースを含む。脂肪酸は、一般的に12〜20個の炭素原子を含み、また飽和又は不飽和酸であり得る。一般的な脂肪酸は、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、リノール酸及びオレイン酸を含む。当分野において公知の如く、水添又は電解還元によりグルコースから誘導されるソルビトールは、糖アルコールである。界面活性剤のスパン(SpanTM)シリーズは、ソルビトールと脂肪酸とのエステルであり、従って本発明による組成物の態様の幾つかにおける、該ノニオン性界面活性剤の組合せにおいて有用な、糖アルコールの脂肪酸エステルである。当分野において公知である如く、ソルビタンは、ソルビトールの脱水工程を通して製造され、またこの中間体は、脂肪酸でエステル化することができ、これにより、ソルビタンのエステルは、本発明による態様の幾つかの該要素を説明するために、上でまた以下において使用するような、該用語「糖又は糖アルコールの脂肪酸エステル」の意味の範囲内に含まれる。しばしばポリソルベート(Polysolbate)20と呼ばれる、ペジレート化ソルビタンモノラウレート(又はポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート)は、本発明による態様の幾つかの該要素を説明するために、上でまた以下において使用するような、該用語「糖又は糖アルコールのペジレート化脂肪酸エステル」の意味の範囲内に含まれる。一態様において、該ノニオン性界面活性剤の組合せは、少なくとも1種の、糖又は糖アルコールの脂肪酸エステル及び少なくとも1種の、糖又は糖アルコールの、ペジレート化脂肪酸エステルを含有する。一態様において、該糖アルコールは、ソルビトールである。
【0019】
該エステル化された糖又は糖アルコールは、同一でも異なっていてもよい、1種又はそれ以上の脂肪酸によってエステル化することができる。一態様において、該糖又は糖アルコールは、モノ-エステル化されている。
本発明の好ましい幾つかの態様において、(i) 少なくとも1種の、糖又は糖アルコールの脂肪酸エステル及び(ii) 少なくとも1種の、糖又は糖アルコールの、ペジレート化脂肪酸エステルを含む、該ノニオン性界面活性剤の組合せは、約7〜約14なる範囲の、結合親水親油バランス(HLB)を持つ。
特に好ましい本発明の態様において、(i) 少なくとも1種の、糖又は糖アルコールの脂肪酸エステル及び(ii) 少なくとも1種の、糖又は糖アルコールの、ペジレート化脂肪酸エステルを含む、該ノニオン性界面活性剤の組合せは、夫々ソルビタンモノラウレート及びポリソルベート20を含む。
一態様において、上記の及び以下に記載する本発明の組成物は、ヒト身体の赤血球に対して低張性である。このような態様においては、一般的に、該組成物の浸透性は、<200 mOsmol/Kg H2Oである。好ましくは、該組成物の浸透性は、<150 mOsmol/Kg H2Oである。本発明の一態様において、該組成物の浸透性は、<30 mOsmol/Kg H2Oである。別の態様において、該組成物の浸透性は、約25 mOsmol/Kg H2Oである。
【0020】
もう一つの態様において、本発明は、更にヒト又は温血動物に経鼻投与するための、上でまた以下において説明するような薬理組成物の何れかを使用して、インシュリンを必要とする患者を治療することにも係わり、該薬理組成物は、特に、インシュリン、透過性増強剤、及び液状担体を含み、該組成物は、更にノニオン性界面活性剤の組合せを含み、該ノニオン性界面活性剤の組合せは、(i) 少なくとも1種の、糖又は糖アルコールの脂肪酸エステル及び(ii) 少なくとも1種の、糖又は糖アルコールの、ペジレート化脂肪酸エステルを含み、該組成物は、酸性pHであるが、4.5以下のpHを持ち、該組成物の該酸性pHは、該組成物が更に酸を含むことにより与えられ、該酸は、一価の無機酸、硫酸、及び酢酸からなる群から選択され、該組成物は、本質的にシトレートを含まず、かつ該組成物は、本質的にホスフェートを含まないものである。このように、該組成物は、本質的にフィブリル型の(又はβ-シート)インシュリン多形体を含まない組成物を与える意図のもとに設計されている。
【0021】
別の態様において、本発明は、更にヒト、又は温血動物に経鼻投与するための、上でまた以下において説明するような薬理組成物の何れかを使用して、インシュリンを必要とする患者を治療することにも係わり、該薬理組成物は、特に、インシュリン、透過性増強剤、及び液状担体を含み、該組成物の浸透性は、<200 mOsmol/Kg H2Oであり(好ましくは、該組成物の浸透性は、<150 mOsmol/Kg H2Oである)、該組成物は、酸性pHであるが、4.5以下のpHを持ち、該組成物の該酸性pHは、該組成物が更に酸を含むことにより与えられ、該酸は、一価の無機酸、硫酸、及び酢酸からなる群から選択され、該組成物は、本質的にシトレートを含まず、かつ該組成物は、本質的にホスフェートを含まないものである。このように、該組成物は、本質的にフィブリル型の(又はβ-シート)インシュリン多形体を含まない組成物を与える意図のもとに設計されている。本発明の一態様において、該組成物の浸透性は、<30 mOsmol/Kg H2Oである。別の態様において、該組成物の浸透性は、約25 mOsmol/Kg H2Oである。
【0022】
もう一つの態様において、本発明は、更にヒト又は温血動物に経鼻投与するための、上でまた以下において説明するような薬理組成物の何れかを使用して、インシュリンを必要とする患者を治療することにも係わり、該薬理組成物は、特に、インシュリン、透過性増強剤、及び液状担体を含み、該組成物は、更にノニオン性界面活性剤の組合せを含み、該ノニオン性界面活性剤の組合せは、(i) 少なくとも1種の、糖又は糖アルコールの脂肪酸エステル及び(ii) 少なくとも1種の、糖又は糖アルコールの、ペジレート化脂肪酸エステルを含み、該組成物の浸透性は、<200 mOsmol/Kg H2Oであり(好ましくは、該組成物の浸透性は、<150 mOsmol/Kg H2Oである)、該組成物は、酸性pHであるが、4.5以下のpHを持ち、該組成物の該酸性pHは、該組成物が更に酸を含むことにより与えられ、該酸は、一価の無機酸、硫酸、及び酢酸からなる群から選択され、該組成物は、本質的にシトレートを含まず、かつ該組成物は、本質的にホスフェートを含まないものである。このように、該組成物は、本質的にフィブリル型の(又はβ-シート)インシュリン多形体を含まない組成物を与える意図のもとに設計されている。
【0023】
本発明の該薬理組成物は、このように、一般的には該組成物中の活性成分としてのインシュリンの使用に関連して、上で説明してきたが、該インシュリンなる用語は、インシュリンのあらゆる形態、例えば限定するものではないが、天然のインシュリン、組換えインシュリン、プロインシュリン、及びあらゆるインシュリン類似体、誘導体、多形体、代謝産物、プロドラッグ、塩及び/又は水和物を包含するように、広義に解釈されるべきである。
しかし、本発明の薬理組成物を、このように、一般的には該組成物中の活性成分としてのインシュリンの使用に関連して、上で説明してきたにも拘らず、更に該活性成分が、またタンパク質、あるいは任意の同様なポリペプチドで構成された分子、特にフィブリルの形成が、このようなタンパク質又は任意の同様なポリペプチドで構成された分子を、任意の生命科学関連処方物の一成分として、生物学的に活性の低いもの、あるいはさもなければ望ましくないものとしている、任意のタンパク質、あるいは同様なポリペプチドで構成された分子であり得ることも、本発明の範囲内に含まれるものと理解すべきである。
【0024】
また、更に該活性成分が、またペプチド、あるいは任意の同様に構成された分子、特にフィブリルの形成が、このようなペプチド、あるいは任意の同様に構成された分子を、任意の生命科学関連処方物の一成分として、生物学的に活性の低いもの、あるいはさもなければ望ましくないものとしている、任意のペプチド、あるいは同様に構成された分子であり得ることも、本発明の範囲内に含まれるものと理解すべきである。
更に、該活性成分が、またペプチド模擬体、あるいは任意の同様に構成された分子、特にフィブリルの形成が、このようなペプチド模擬体、あるいはこのような同様に構成された分子を、任意の生命科学関連処方物の一成分として、生物学的に活性の低いもの、あるいはさもなければ望ましくないものとしている、任意のペプチド模擬体、あるいは同様に構成された分子であり得ることも、本発明の範囲内に含まれるものと理解すべきである。
更に、該活性成分が、またペプトイド(peptoid)、あるいは任意の同様に構成された分子、特にフィブリルの形成が、このようなペプトイド、あるいはこのような同様に構成された分子を、任意の生命科学関連処方物の一成分として、生物学的に活性の低いもの、あるいはさもなければ望ましくないものとしている、任意のペプトイド、あるいは同様に構成された分子であり得ることも、本発明の範囲内に含まれるものと理解すべきである。
【0025】
好ましい一態様は、予め処方された組成物であるが、患者が、上記の及び/又は以下に記載される、予め処方されていない組成物、即ち液状担体中の該インシュリン、該増強剤、及び酸で治療できることも、本発明の範囲内に含まれ、該酸は一価の無機酸、硫酸、及び酢酸からなる群から選択され、本質的にシトレートを含まず、かつ本質的にホスフェートを含まない該成分各々は、適用時点において混合することができ、例えばこれらの混合を、該組成物をスプレイする時点において、アトマイザー中で行う。
タンパク質の誤った折畳み及び凝集を減じることのできる組成物及び方法、例えば上に記載され、また以下において説明される発明は、新規なインシュリン、ペプチド、ポリペプチド、又はタンパク質処方物/治療法に導くことができ、及び/又は既存のインシュリン、ペプチド、ポリペプチド、又はタンパク質処方物/治療法の効力に改善を加えることができ、またインシュリン自身の場合には、糖尿病の治療において利用できる類似体の範囲を拡大することができるものと予想される。
【0026】
上に記載され、また以下において説明される該組成物は、本質的にフィブリル型の(又はβ-シート)インシュリン多形体を含まない組成物を与える意図のもとに、上に記載され、また以下において説明されるように設計されているが、それにも拘らず、該処方物が追加のフィブリル化阻害剤を含むことができる、上に記載され、また以下において説明される本発明の範囲内に入る。上に記載され、また以下において説明される処方物及び方法を、製造及び/又は実施する際に使用することのできるフィブリル化阻害剤の非-限定的な例として、1-アニリノナフタレン-8-スルホン酸(ANS);トリメチルアミンN-オキシド2水和物(TMAO)、1M;スクロース、10%;カルシウム又は亜鉛イオン;多価アルコール;トレハロース;ベタイン;エクトイン;及びシトルリンを挙げることができる。
本発明の別の態様によれば、ヒト、又は温血動物に経鼻投与するための薬理組成物が提供され、該薬理組成物は、(A) 治療的に有効な量のインシュリン、(B) 透過性増強剤、(C) 液状担体、及び(D) ノニオン性界面活性剤の組合せを含み、該ノニオン性界面活性剤の組合せは、(i) 少なくとも1種の、糖又は糖アルコールの脂肪酸エステル及び(ii) 少なくとも1種の、糖又は糖アルコールの、ペジレート化脂肪酸エステルを含む。このような好ましい別の態様では、該組成物は、実施例1の組成物以外の組成物である。
【0027】
本発明の更なる別の態様によれば、ヒト、又は温血動物に経鼻投与するための薬理組成物が提供され、該薬理組成物は、(A) 治療的に有効な量のインシュリン、(B) 透過性増強剤、(C) 液状担体、及び(D) ノニオン性界面活性剤の組合せを含み、該ノニオン性界面活性剤の組合せは、(i) 少なくとも1種の、糖又は糖アルコールの脂肪酸エステル及び(ii) 少なくとも1種の、糖又は糖アルコールの、ペジレート化脂肪酸エステルを含み、該組成物は、酸性pHであるが、4.5以下のpHを持つ。このような好ましい別の態様では、該組成物は、実施例1の組成物以外の組成物である。
本発明の更に別の態様によれば、ヒト、又は温血動物に経鼻投与するための薬理組成物が提供され、該薬理組成物は、(A) 治療的に有効な量のインシュリン、(B) 透過性増強剤、及び(C) 液状担体、該組成物の浸透性は、<200 mOsmol/Kg H2Oである。好ましくは、該組成物の浸透性は、<150 mOsmol/Kg H2Oである。このような好ましい別の態様では、該組成物は、実施例1の組成物以外の組成物である。
本発明の更に別の態様によれば、ヒト、又は温血動物に経鼻投与するための薬理組成物が提供され、該薬理組成物は、(A) 治療的に有効な量のインシュリン、(B) 透過性増強剤、及び(C) 液状担体、該組成物の浸透性は、<200 mOsmol/Kg H2Oであり、該組成物は、酸性pHであるが、4.5以下のpHを持つ。好ましくは、該組成物の浸透性は、<150 mOsmol/Kg H2Oである。このような好ましい別の態様では、該組成物は、実施例1の組成物以外の組成物である。
【0028】
本発明の更に別の態様によれば、ヒト、又は温血動物に経鼻投与するための薬理組成物が提供され、該薬理組成物は、(A) 治療的に有効な量のインシュリン、(B) 透過性増強剤、(C) 液状担体、及び(D) ノニオン性界面活性剤の組合せを含み、該ノニオン性界面活性剤の組合せは、(i) 少なくとも1種の、糖又は糖アルコールの脂肪酸エステル及び(ii) 少なくとも1種の、糖又は糖アルコールの、ペジレート化脂肪酸エステルを含み、該組成物の浸透性は、<200 mOsmol/Kg H2Oである。好ましくは、該組成物の浸透性は、<150 mOsmol/Kg H2Oである。このような好ましい別の態様では、該組成物は、実施例1の組成物以外の組成物である。
本発明の更に別の態様によれば、ヒト、又は温血動物に経鼻投与するための薬理組成物が提供され、該薬理組成物は、(A) 治療的に有効な量のインシュリン、(B) 透過性増強剤、(C) 液状担体、及び(D) ノニオン性界面活性剤の組合せを含み、該ノニオン性界面活性剤の組合せは、(i) 少なくとも1種の、糖又は糖アルコールの脂肪酸エステル及び(ii) 少なくとも1種の、糖又は糖アルコールの、ペジレート化脂肪酸エステルを含み、該組成物の浸透性は、<200 mOsmol/Kg H2Oであり、該組成物は、酸性pHであるが、4.5以下のpHを持つ。好ましくは、該組成物の浸透性は、<150 mOsmol/Kg H2Oである。このような好ましい別の態様では、該組成物は、実施例1の組成物以外の組成物である。
【0029】
本発明のもう一つの別の態様によれば、本発明は、更にヒト、又は温血動物に経鼻投与するための、上に記載され、また以下において説明される任意の薬理組成物で、インシュリンを必要とする患者を治療することに係り、該薬理組成物は、特にインシュリン、透過性増強剤、及び液状担体を含み、該組成物は、ノニオン性界面活性剤の組合せを含み、該ノニオン性界面活性剤の組合せは、(i) 少なくとも1種の、糖又は糖アルコールの脂肪酸エステル及び(ii) 少なくとも1種の、糖又は糖アルコールの、ペジレート化脂肪酸エステルを含む。このような好ましい別の態様では、該組成物は、実施例1の組成物以外の組成物である。
本発明の更に別の態様によれば、本発明は、更に組成物の経鼻投与によって、インシュリンを必要とする患者を治療することに係り、該薬理組成物は、特にインシュリン、透過性増強剤、及び液状担体を含み、該組成物の浸透性は、<200 mOsmol/Kg H2Oである。好ましくは、該組成物の浸透性は、<150 mOsmol/Kg H2Oである。本発明の一態様において、該組成物の浸透性は、<30 mOsmol/Kg H2Oである。本発明の別の態様において、該組成物の浸透性は、<25 mOsmol/Kg H2Oである。このような好ましい別の態様では、該組成物は、実施例1の組成物以外の組成物である。
【0030】
付随的な別の態様によれば、本発明は、更にヒト、又は温血動物に経鼻投与するための、上に記載され、また以下において説明される任意の薬理組成物で、インシュリンを必要とする患者を治療することに係り、該薬理組成物は、特にインシュリン、透過性増強剤、及び液状担体を含み、該組成物は、酸性pHであるが、4.5以下のpHを持つ。好ましくは、該組成物の酸性pHは、4以下、かつ2以上である。該pHは、好ましくは少なくとも2である。このような好ましい別の態様では、該組成物は、実施例1の組成物以外の組成物である。
これら別態様の組成物のpHは、適当なバッファーの使用により維持することができる。該所定のpHを維持するためのバッファーの選択は、本明細書に示された教示に基いた、当業者の裁量の範囲内にあると思われる。適当なバッファーの代表的な例としては、一般的に使用され、また医薬処方物に適している、クエン酸バッファー、リン酸バッファー、塩酸、塩酸と水酸化ナトリウム等を挙げることができる。しかし、好ましくは、一価の無機酸及び塩基を使用することであり、即ち塩酸又は臭化水素酸が、酸側におけるpH調節剤であり、また水酸化ナトリウム又はカリウムが、塩基側におけるpH調節剤であり、かくしてインシュリンを含む緩衝された溶液を生成する。酸塩基に関するローリー-ブレンステッド(Lowry-Bronsted)の理論によれば、インシュリンは、該pHを所定の範囲内に維持するためのバッファーに対する溜めを与える、両性電解質である。好ましい態様では、該酸性pHは、塩酸により、又は塩酸と水酸化ナトリウムにより維持され、また該組成物は、実質的にシトレート及びホスフェートを含まないものである。このような好ましい態様では、該組成物は、実質的にフィブリル型の、又はβ-シート状インシュリン多形体を含まないものである。
【0031】
一般に、使用される該透過性増強剤は、体腔の膜を介して及び特に鼻粘膜を介して、インシュリン組成物の透過を促進するものである。
有効量のインシュリンを含有する組成物において、好ましい透過性増強剤は、以下の式で表される構造を持つ化合物である:
【0032】
【化1】

【0033】
ここで、X及びYは、酸素、硫黄又は以下のような構造を持つイミノ基:
【0034】
【化2】

【0035】
又は=N-Rであり、但しYがイミノ基である場合には、Xはイミノ基であり、またYが硫黄である場合には、Xは硫黄又はイミノ基であることを条件とし、またAは以下の式で表される構造を持つ基:
【0036】
【化3】

【0037】
であり、ここでX及びYは、上記定義通りであり、m及びnは、1〜20なる範囲内の値を持つ整数であり、これらの和:m+nは25以下であり、pは、0又は1なる値の整数であり、qは、0又は1なる値の整数であり、rは、0又は1なる値の整数であり、またR、R1、R2、R3、R4、R5及びR6の各々は、独立に水素原子又は直鎖又は分岐鎖であり得る、炭素原子数1〜6のアルキル基であるが、R1〜R6の内一つだけが、アルキル基であり得ることを条件とし、但しp、q及びrが0なる値を持ち、かつYが酸素原子である場合、m+nは少なくとも11であり、また更にXがイミノ基である場合、qは1に等しく、Yは酸素原子であり、またp及びrは0であり、従ってm+nは、少なくとも11である。また該化合物は、身体の膜を横切る該薬物の通過速度を高めるであろう。以下において、これらの化合物を、増強剤と呼ぶ。R、R1、R2、R3、R4、R5又はR6がアルキル基である場合、該アルキル基は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、アミル、ヘキシル等であり得る。このような透過性増強剤は、米国特許第5,023,252号及び同第5,731,303号に記載されている。これら特許の開示事項全体を、参考としてここに組入れる。
【0038】
好ましくは、本発明のこれら透過性増強剤は、環状ラクトン(上記式において、X及びY両者ともに酸素原子であり、qは1であり、またrは0である化合物)、環状ジエステル(上記式において、X及びY両者ともに酸素原子であり、q及びrが両者ともに1である化合物)、及び環状ケトン(q及びrが両者ともに0であり、かつYが酸素原子である化合物)である。該環状ジエステルにおいて、m+nは好ましくは少なくとも3である。該環状ケトンにおいて、m+nは好ましくは11〜15なる範囲にあり、またpは好ましくは0である。
上記構造式を持つ増強剤は、ここでは「シエ(Hsieh)増強剤」と呼ばれ、また例えば上記の米国特許第5,023,252号及び同第5,731,303号に記載されている(以下「シエ(Hsieh)特許」と呼ぶ)。このような増強剤は、親油性であり、また「膜-相溶性」であり、このことは、本発明の組成物が適用される膜(以下、ターゲット膜と呼ぶ)に対して、傷害を及ぼさないことを意味する。このような増強剤は、また該ターゲット膜に対して低レベルの刺激を生じ、又は全く刺激を生じず、事実軟化薬として機能する。
【0039】
本発明において使用するのに好ましい増強剤は、マクロ環式増強剤である。ここで使用する該用語「マクロ環式(macrocyclic)」とは、該リング内に少なくとも12個の炭素原子を含む環式化合物を意味するのに使用される。本発明において使用するのに好ましいマクロ環式増強剤の例は、(A) マクロ環式ケトン、例えば3-メチルシクロペンタデカノン(ムスコン)、9-シクロヘプタデセン-1-オン(シベトン)、シクロヘキサデカノン、及びシクロペンタデカノン(ノルムスコン);及び(B) マクロ環式エステル、例えばオキサシクロヘキサデカン-2-オン(シクロペンタデカノリド、ω-ペンタデカラクトン)等のペンタデカラクトンを含む。
オキサシクロヘキサデカン-2-オン及びシクロペンタデカノンが、特に好ましい。
上記の例は、好ましい透過性増強剤であるが、当業者は、この教示が他の透過性増強剤にも適用可能であるものと、認識するであろう。本発明において有用な他の透過性増強剤の非-限定的な例は、様々な薬局方概説において安全であると一般的に認識されている(Generally Recognized As Safe; GRAS)、単純な長鎖エステルである。これらは、中程度の鎖長までを包含する、簡単な脂肪族、不飽和又は飽和(しかし、好ましくは完全に飽和された)エステルを含むことができる。このようなエステルの非-限定的な例は、イソプロピルミリステート、イソプロピルパルミテート、ミリスチルミリステート、オクチルパルミテート等を包含する。該増強剤は、薬理組成物において使用するのに適した型のものである。当業者は、また粘膜と非-相溶性であり、またこれに対して刺激性である、これら材料の使用を回避すべきであることを理解するであろう。
【0040】
該増強剤は、該組成物中に、放出すべきインシュリンの、該膜を介する透過性を高めるのに十分な濃度にて存在する。使用する増強剤の濃度の決定に際しては、様々な要件を考慮すべきである。このような要件は、例えば達成されるフラックスの量(流量:該膜を介する通過速度)、及び該処方物中の諸成分の安定性及び相溶性を含む。該増強剤は、一般的に該組成物の約0.01〜約25質量%なる範囲の量、より一般的には該組成物の約0.1〜約15質量%なる範囲の量、及び好ましい態様においては、該組成物の約0.5〜約10質量%なる範囲の量で使用される。
上記液状担体は、該組成物中に、本発明の組成物に対する適当なビヒクル(賦形剤)として機能するのに効果的な濃度にて存在する。一般的に、該担体は、該組成物の約40〜約98質量%なる範囲の量、及び好ましい態様においては、該組成物の約50〜約98質量%なる範囲の量で使用される。
本発明のインシュリン組成物は、好ましくは経鼻スプレイとして放出される。このような態様においては、好ましい該液状担体は水であり、この場合該インシュリンは、治療的に有効な量で、該水中に分散又は溶解されている。
【0041】
好ましい一態様において、該透過性増強剤は、該インシュリンを含有する該水性相中で乳化されている。この乳化は、1種又はそれ以上の界面活性剤の使用によって行うことができる。適当な界面活性剤の選択は、本明細書の教示に基いた、当業者の裁量の範囲内にあるものと考えられる。本質的に、任意の適当な界面活性剤又は界面活性剤の混合物が、本発明を実施する際に使用でき、その例はアニオン性、カチオン性、及びノニオン性界面活性剤を含む。好ましい界面活性剤は、ノニオン性界面活性剤であり、約7〜約14なる範囲の親水親油バランス(HLB)を持つノニオン性界面活性剤が、特に好ましい。このようなノニオン性界面活性剤の例は、PEG-60コーングリセライド、PEG-20ソルビタンモノステアレート、フェノキシ-ポリ(エチレンオキシ)エタノール、ソルビタンモノオレエート等である。特に好ましいものは、一覧表に掲載されている界面活性剤、例えば食品化学公定処方集、ナショナルフォーミュラリー、米国薬局方、及びコードオブフェデラルレギュレーションズ(Food Chemicals Codex, National Formulary, U.S. Pharmacopeia, and the Code of Federal Regulations)等の概説書に記載されているものである。該エマルションの液滴の平均径は、好ましくは約100nm〜約20μmなる範囲、より好ましくは約400nm〜約5μmなる範囲内にある。一般に、個々の界面活性剤は、該組成物の約5質量%以下、及びより一般的には該組成物の約1.5質量%以下の量で存在する。
【0042】
好ましい一態様において、該透過性増強剤を含有する、該乳化された又は不連続な相は、液滴の形状にある。一般に、より小さな液滴は、より高い安定性を与える。より大きな液滴は、不安定性をもたらし、また保存寿命を低下する可能性がある。好ましい態様において、該液滴のサイズは、0.1μm〜20μmなる範囲、及び好ましくは0.1μm〜5μmなる範囲にある。
一般に、インシュリンを含有する組成物は、冷蔵庫内に保存され、またこのような冷蔵庫は、該透過性増強剤の結晶化をもたらす可能性がある。このような結晶化を阻害又は防止するために、好ましい態様において、該組成物は、該透過性増強剤の結晶化を阻止するために、1種又はそれ以上の結晶化阻害剤を含む。結晶化の進行を許した場合、該結晶化は、該エマルションを不安定にし、またその保存寿命に悪影響を及ぼす。好ましい結晶化阻害剤は、含まれる化合物が結晶化する温度を下げることによって、その機能を発揮する。このような結晶化阻害剤の例は、天然のオイル、油状物質、ワックス、エステル及び炭化水素を含む。天然のオイル又は油状物質の例は、ビタミンEアセテート、オクチルパルミテート、イソプロピルミリステート、ゴマ油、大豆油、ベニバナ油、アボカドオイル、パーム油、及び綿実油を含む。適当な結晶化阻害剤の選択は、本明細書の教示に基いた、当業者の裁量の範囲内にあるものと考えられる。好ましい結晶化阻害剤は、該透過性増強剤が結晶化する温度を下げることによって、その機能を発揮する。
【0043】
含まれる化合物が結晶化する温度を、約25℃以下に下げることのできる阻害剤が特に好ましく、含まれている化合物が結晶化する温度を、約5℃以下に下げることのできる阻害剤が、とりわけ好ましい。オキサシクロヘキサデカン-2-オンの結晶化を阻害する際に使用するための、特に好ましい結晶化阻害剤の例は、ヘキサデカン、イソプロピルミリステート、オクチルパルミテート、綿実油、ベニバナ油及びビタミンEアセテートを含み、これらの各々は、医薬製剤において使用することができる。
該結晶化阻害剤は、該組成物中に、該透過性増強剤の結晶化を阻害するのに有効な濃度にて存在する。一般に、該結晶化阻害剤は、該組成物の約0.001〜約5質量%なる範囲、より一般的には該組成物の約0.01〜約2質量%なる範囲の量で存在する。一態様において、該結晶化阻害剤は、該組成物の約0.1〜約1質量%なる範囲の量で存在する。該結晶化阻害剤は、該増強剤が、約0℃以上の結晶化温度を持つ場合に、好ましく使用されるものである。特に、例えば結晶化阻害剤は、該増強剤が、ペンタデカラクトン及び/又はシクロヘキサデカノンである場合に好ましく使用される。というのは、これらは、室温以上の温度にて結晶化するからである。
【0044】
本発明の組成物は、一般に経鼻スプレイアプリケータを通して放出される。鼻内投与が望まれる場合には、該組成物を、鼻内スプレイ投与デバイス又はアトマイザー内に配置し、患者鼻孔の粘膜に放出するために、該鼻孔内に該組成物をスプレイすることにより適用することができる。十分な量を適用して、所定の全身的又は局所的な薬物濃度を達成する。鼻内スプレイのためには、約200μLまでの量を適用することが典型的であり、約50〜約150μLなる量を適用することが好ましい。1又はそれ以上の鼻孔に投与することができ、また該適用は、所望の頻度で行うことができ、あるいは必要な頻度で行うことができる。好ましい態様において、該経鼻スプレイアプリケータは、約10μm〜約200μmなる範囲の平均サイズを持つ、組成物の液滴を与えるように選択される。より一般的には、該液滴のサイズは、約30μm〜約100μmなる範囲内にある。
【0045】
本発明のインシュリンスプレイ組成物は、治療すべき患者に依存した、投与方式で使用される。従って、該組成物の使用頻度及びその投与量は、患者毎に異なる。一般に、その用量は、約3 IU〜約15 IUなる範囲の量(粘膜を通して吸収された後の内部に取入れられる量)であり、またその投与頻度は、1日当たり3〜4回である。当分野において公知であるように、糖尿病等の疾患の、インシュリン療法による治療は、患者毎に異なり、また公知のインシュリン療法及び本明細書の教示に基いて、当業者は、特定の患者に対して、投与方式及び用量を選択することができる。
本発明の組成物はインシュリンを含む。該インシュリンは、該組成物中に治療的に有効な量で存在する。一般に、該インシュリンは、該組成物の約0.1〜約1.5質量%なる範囲の量で存在する。好ましい態様において、該インシュリンは、該組成物の約0.25〜約1.25質量%なる範囲の量で存在する。より好ましい態様において、該インシュリンは、該組成物の約0.25〜約1.0質量%なる範囲の量で存在する。
【実施例】
【0046】
以下の実施例は、本発明の好ましい態様を例示するものであり、本発明を限定するものではない。
実施例1
4種の別々の水性インシュリンエマルション(処方物A、B、C及びD)を、以下の表に記載するような処方に従って製造する。成分CPE-215は、本出願人の専売化合物であり、またシクロペンタデカノリド(Cyclopentadecanolide)としても知られており、これは、鼻粘膜を介するインシュリンの移動を容易にする。
【0047】
【表1】

【0048】
実施例2
C-ペプチドの血中レベルは、ある人がインシュリンを生産しているか否か、及びそのおよその量の指標となり得る。インシュリンは、最初プロインシュリンとして、膵臓で合成される。この形態において、活性インシュリンのα-及びβ-鎖は、結合ペプチド又は略してC-ペプチドと呼ばれる、第三のポリペプチドによって結合されている。インシュリン及びC-ペプチド分子両者が分泌されるので、血液中のインシュリンの各分子に対して、一つのC-ペプチドがある。従って、血液中のC-ペプチドのレベルを測定して、インシュリン生産の指標として使用することができ、ここで外因性のインシュリン(注射による)が存在し、内因性のインシュリン(身体によって生産されたもの)と混合されている場合には、状況は、インシュリン自体の測定を無意味にするであろう。該C-ペプチドテストは、また高い血中グルコース濃度が、低下したインシュリン産生によるものか、あるいは細胞による低下したグルコースの取り込みによるものか、に係る評価を助けるためにも使用することができる。1型糖尿病に罹っているヒトの血液中には、殆ど又は全くC-ペプチドが存在せず、また2型糖尿病における血中C-ペプチド濃度は、減じられるか、あるいは正常であり得る。糖尿病に罹っていないヒトにおけるC-ペプチド濃度は、0.5-3.0ng/mL程度である。
本発明の組成物の評価を、以下に記載するようにインビボにて行った。
【0049】
鼻内CPE-215/インシュリン処方物のユカタン(YUCATAN)ミニブタにおける薬力学及び薬物動態学
この研究は、NIH「ガイドフォーザケア&ユースオブラボラトリーアニマルズ(Guide For the Care and Use of Laboratory Animals)」及びザフェデラルアニマルウェルフェアアクト(the Federal Animal Welfare Act)に従って、またザユニバーシティーオブニューハンプシャーインスティチューショナルアニマルケア&ユースコミッティー(the University of New Hampshire Institutional Animal Care and Use Committee)によって承認されたプロトコールに従って実施した。本研究の目的は、ユカタンミニブタに経鼻放出した後の、インシュリン処方物の薬力学及び薬物動態学有効性を評価し、かつ特徴付けすることであった。
以前、ビーグル(シエ(Hsieh)、1993)において、シクロペンタデカノリドが、鼻粘膜を介するインシュリンの移動を容易にすることが明らかにされた。ヒト志願者における評価に向けての一段階として、ミニブタにおいてこのことを明らかにするために、処方物を、インシュリン血中濃度及びグルコダイナミックス(glucodynamics)に関して評価した。
【0050】
物質、方法、及び処方物
テストした処方物は、水性インシュリンエマルションであり、これはアクゾノーベル社(Akzo Nobel, Inc.)の一部門であるディオシンス社(Diosynth, Inc.)から得た、医薬グレードのヒト組換えインシュリンを含んでいた。これらの処方物は、その組成において幾分変更されたが、各々は、1%(w/w)のインシュリンを、及び2%(w/w)のCPE-215を含んでいた。これら処方物を、バロアオブアメリカ(Valois of America)によって開発された、ヒト用の鼻内アトマイザーから投与させた。各100μLの2吹きを、留置頚静脈カテーテルを予め挿管したブタに投薬した。各100μLのスプレイは、約1mg、又はインシュリン約25IUを投与した。同様にバロアオブアメリカによって与えられた、アクチュエータへの延長部を利用した。その必要性は、(前庭及び迷路渦巻き領域の吸収性表面に、処方物を放出するために)予備的パイロット研究によって決定した。100μLを分取する同一のアクチュエータを、取り付けられた延長部を用いて、使用した。これらの鼻内放出された用量を、正のコントロールとして、皮下投与(SQ)されたインシュリン3単位と比較した。
【0051】
アニマルプロトコール
4匹の雌ユカタンミニブタ(ブタ)を、UNHミニアチャースワインリサーチファーム(the UNH Miniature Swine Research Farm)から購入した。本研究中、該ブタは、環境を制御した研究用動物飼育室(温度:25±2℃及び12時間明/暗サイクル))に収容し、市販の研究用ブタ飼料を与え、また全研究期間に渡り自由に水を摂取させた。これらのブタは、21-週齢のユカタン種雌豚であった:
ブタ#1, タグ121-5; 研究開始時点の体重: 16.8 kg; DOB 1 1/26/02;
ブタ#2, タグ121-4; 研究開始時点の体重: 22.3 kg; DOB 1 1/26/02 (注: #1及び#2 は、同腹の子である];
ブタ#3, タグ122-7; 研究開始時点の体重: 18.3 kg; DOB 12/1/02;
ブタ#4, タグ122-9; 研究開始時点の体重: 15.5 kg; DOB 12/1/02 [注: #3及び#4は、同腹の子である]。
【0052】
特徴付け方法
本研究を開始する4〜6日前に、該動物に、頚静脈カテーテルを外科的に移植することにより、本研究の準備を施した。キシラジン及びケタミンの筋肉内投与によって、強い鎮静状態にした後、該動物にマスクを掛け、イソフルオラン麻酔剤及び酸素を吸入させて深い外科的麻酔状態に維持した。背面休息状態にある該動物を用いて、皮膚の切開を、右頚静脈溝において行い、また皮下及び血管周囲結合組織の鈍的剥離を行って、該右頚静脈頭蓋から胸部上口まで露出させた。口径約1.27cm(0.050in)のタイゴン(TygonTM)静脈内カテーテルチューブを、小さな切開部を介して、クランプした静脈に挿入し、前部大静脈内(該頚静脈切開部から約12〜15cm)に後方に向けて配置した。このカテーテルは、該静脈及び深部皮下組織縫合線に突刺した。該カテーテルに対して、該頚静脈頭蓋部を、ポリプロピレン縫合糸で縛った。該カテーテルの自由末端を、該皮下組織から肩甲骨間の背部まで鈍的剥離によって巡らせ、小さな皮膚切開部から引出し、ポリプロピレン縫合糸で、該皮膚を縛った。該カテーテルを注射器ドッキングデバイスでキャップし、抗-血栓製剤で満たした。この抗-血栓製剤は、60%(w・v)のポリビニルピロリドン(Mw:10,000;PVP-10)及び生理塩水/ナトリウムへパリン(100mL当たりヘパリン50,000単位)からなっていた。該頚静脈溝部の皮下組織及び皮膚切開部は、夫々合成吸収性縫合糸及びポリプロピレン縫合糸で閉じた。該動物は、該カテーテル及び皮膚切開部を保護するように、快適性を保って包帯を巻き、イヌのカテーテル作業用のベストで覆った。筋肉内経路でブトルファノールを、鎮痛剤として、外科手術後即座に、及びその12時間後に投与した。
【0053】
研究の設計
投薬時点において、該ブタを、布製の三角巾で拘束した。該ブタを、各個別の囲い内で自由に運動させ、血液採取時点においてのみ、可動木製ゲートを備えた、該囲いの前部における、閉じられた区画内に一時的に拘束した。各ブタには、少なくとも18時間なる治療間隔で、2週間の期間に渡り、上記4種の異なる処方物の各々を、2回投与した。該鼻内投与(処方物B、C、D)は、各鼻孔当たり一回(全容量:50IU)、エーロゾル投与装置(ヒト用の鼻内アクチュエータ)によって、1%インシュリンエマルション100μLの投与を要し、また皮下投与(処方物A)は、22ゲージの針を備えた、用量1mLの無菌注射器(3 IU)を用いて、0.1%の緩衝無菌溶液120.0μLの投与を要した。ブタ同士の投薬間隔を時間調整し、約5分とした。
ベースライン静脈血検体は、鼻内又はSQインシュリン投与の直前に採取し、その後、血液を、インシュリン適用の、0(治療の直前)、15、30、45、60、90、120、及び180分後にサンプリングした。採血は、ブタ同士において約5分間隔で行われ、この間隔は、ターゲット時間の1分以内で、投薬時間との関連で調節した。各ブタを、各血液採取時点において手持ち式のグルコメータで追跡し、動物の健康状態を確認した。
【0054】
該血液は、ナトリウムへパリン処理したガラス管内に採取した。その血漿を回収し、インシュリン、C-ペプチド、及びグルコースにつき分析するまで、-20℃にて保存した。治療期間は8日間であり、4群のブタ各々を各治療日において治療した。ブタは、各治療日において異なる治療を受けるように、以下のスケジュールに従って交換させた(2つの連続する、同一のラテン方陣に従って)。
治療スケジュール
D=日 P=PJg 治療
D 1=3/25/03 Pl =ブタ121-5 A = 皮下 120 μL (3IU)
D2=3/26/03 P2=ブタ121-4 B - IN Form. 013-44-2 pH 3.5
D3=3/27/03 P3=ブタ122-7 C = IN Form. 013-44-3 pH 7.32
D4=3/28/03 P4=ブタ122-9 D = rN Form. 013-45 pH 8.0
D5=4/l/03
D6=4/2/03
D7=4/3/03
D8=4/4/03
【0055】
【表2】

【0056】
サンプル採取及びアッセイ法
ヘパリン処理した血漿を、市販のインシュリン用RIAアッセイ(リンコリサーチ社(Linco Research, Inc.; ヒトインシュリンスペシフィックRISキット(Human Insulin Specific RIS Kit), Cat# HI-14K)を用いて、インシュリン濃度について分析した。インシュリンは、マイクロ国際単位(Micro International Units)/mL血漿(μU/mL)単位で報告した。C-ペプチドは、ブタC-ペプチド専用の市販のキット(リンコリサーチ社;ポルシンC-ペプチドRIAキット(Porcine C-Peptide RIA Kit), Cat# PCP-22K)を用いて分析し、ng/mL単位で報告した。
グルコースを、グルコメータ(ライフスキャン(Lifescan (J&J)、ワンタッチファーストテーク(One Touch Fast TakeTM))を用いて、採取時点において測定し、また実験室においては、市販の酵素アッセイ(シグマダイアグノスティックス(Sigma Diagnostics), プロデデュア(Procedure) 315)を利用し、またmg/dL単位にて測定した。
プロトコールからの逸脱
プロトコールからの逸脱はなかった。
【0057】
グルコースに関する結果
上記分析結果は、ヘキソキナーゼ酵素法により血液中で測定した値として、血中グルコース値における良好な減少を示し、また該正のコントロール、SQインシュリンと、歴史的に釣り合っており、該SQ用量は、平均して服用後30分において、最低のグルコースレベルに達した。鼻内投与処方物Bに関連して、優れたグルコダイナミックの低下が、より迅速な発現、即ち15分又は最低値にて、より速やかに見られたが、SQ(180分)よりも短期間(90-120分間)の発現であった。処方物Cは、Bと同様な迅速発現を示したが、その大きさは低かった。処方物Dは、検知可能なほどのグルコダイナミック活性を示さなかった。投薬(治療)間及び日毎両者の再現性は、良好であった(如何なる治療の変更も、有意な差を示さなかった;P<0.05)(図1参照)。
該酵素グルコースアッセイは、血液採取の時点において行った、対応するグルコメータによる測定結果と、良好な相関関係を示した(r=0.9575;p<0.0001)。
【0058】
インシュリンに関する結果
上記分析結果は、該処方物A、SQ正コントロールに関して良好なインシュリンの血中濃度を示し、平均値は、15分においてピーク値を示し、59.85μU/mLなる平均値Cmaxを有していた(図2参照)。
該処方物Bは、他の如何なる処方物よりも一層高い血中濃度を示し、15分においてピーク値を示し、182.4μU/mLなる平均値Cmaxを有していた(図2参照)。
該処方物Cは、該処方物A又はBよりも低い血中濃度を示し、このことは、酸性型と比較して、生理的pHにおけるインシュリンの低い放出率を示しており、15分において64.59μU/mLなる平均値Cmaxを有していた(図2参照)。
該処方物Dは、絶食させた動物のベースラインレベルを越える変化を何ら示さなかった。Cmaxは、観測されなかった(図2参照)。
C-ペプチドに関する結果
絶食、未処置動物(時間ゼロ)に関するC-ペプチドは、平均0.35ng/mL(n=36)であった。該4種の治療の作用開始は、該グルコダイナミックに関して得られた各曲線と類似していた。治療Bは、C-ペプチド減少のより迅速な開始を示し、次いで治療A、治療C、更に治療Dの順であった。治療Aは、C-ペプチドの最長、即ち約3時間の減少を示し、一方その他の治療は、この時点で正常なレベルにあった。このことは内因性のインシュリン生産の回復を反映している。
実施例3
以下の組成物を製造することもできる:
【0059】
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者に経鼻放出するのに適した形状にあるインシュリン組成物であって、治療的に有効な量のインシュリンと、透過性増強剤と、液状担体と、酸性pHであるが、4.5以下のpHを与えるのに十分な量で前記組成物中に存在する酸とを含み、前記酸が、一価の無機酸、硫酸、及び酢酸からなる群から選択されることを特徴とする、前記インシュリン組成物。
【請求項2】
前記酸が、一価の無機酸である、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
前記組成物が、本質的にシトレートを含まないものである、請求項2記載の組成物。
【請求項4】
前記組成物が、本質的にホスフェートを含まないものである、請求項2記載の組成物。
【請求項5】
前記組成物が、本質的にシトレートを含まず、かつ、前記組成物が本質的にホスフェートを含まないものである、請求項2記載の組成物。
【請求項6】
前記酸性pHが、約2〜約4なる範囲の値である、請求項1記載の組成物。
【請求項7】
前記酸性pHが、約3.5である、請求項1記載の組成物。
【請求項8】
更に結晶化阻害剤をも含む、請求項1記載の組成物。
【請求項9】
前記組成物が、エマルションの状態にある請求項1記載の組成物。
【請求項10】
前記組成物が、スプレイ用エマルションの状態にある請求項1記載の組成物。
【請求項11】
前記透過性増強剤が、マクロ環式透過性増強剤である、請求項1記載の組成物。
【請求項12】
前記マクロ環式透過性増強剤が、マクロ環式ケトン及びマクロ環式エステルからなる群から選択される、請求項11記載の組成物。
【請求項13】
前記マクロ環式ケトンが、3-メチルシクロペンタデカノン(ムスコン)、9-シクロヘプタデセン-1-オン(シベトン)、シクロヘキサデカノン、及びシクロペンタデカノン(ノルムスコン)からなる群から選択される、請求項12記載の組成物。
【請求項14】
前記マクロ環式エステルが、ペンタデカラクトンである、請求項12記載の組成物。
【請求項15】
前記ペンタデカラクトンが、オキサシクロヘキサデカン-2-オン(シクロペンタデカノリド、ω-ペンタデカラクトン)である、請求項14記載の組成物。
【請求項16】
請求項1記載の薬理組成物を含有する製品であって、該薬理組成物が、経鼻スプレイアプリケータ、鼻内スプレイ投与デバイス、及びアトマイザーからなる群から選択されるアプリケータ内に収容され、該アプリケータから放出できる、前記製品。
【請求項17】
前記透過性増強剤が、界面活性剤によって乳化されている、請求項1記載の組成物。
【請求項18】
前記界面活性剤が、ノニオン性界面活性剤及びその組合せからなる群から選択される請求項17記載の組成物。
【請求項19】
前記ノニオン性界面活性剤の組合せが、(i) 少なくとも1種の糖又は糖アルコールの脂肪酸エステル及び(ii) 少なくとも1種の糖又は糖アルコールの、ペジレート化脂肪酸エステルを含む、請求項18記載の組成物。
【請求項20】
(i) 少なくとも1種の糖又は糖アルコールの脂肪酸エステル及び(ii) 少なくとも1種の糖又は糖アルコールの、ペジレート化脂肪酸エステルを含む、前記ノニオン性界面活性剤の組合せが、約7〜約14なる範囲の、結合親水親油バランス(HLB)を持つ、請求項19記載の組成物。
【請求項21】
前記組成物の浸透性が、<200 mOsmol/Kg H2Oである、請求項1記載の組成物。
【請求項22】
インシュリンを必要とする患者に、請求項1記載の組成物を経鼻投与することにより、該患者を治療する工程を含む、該患者の治療方法。
【請求項23】
インシュリンを必要とする患者に、請求項2記載の組成物を経鼻投与することにより、該患者を治療する工程を含む、該患者の治療方法。
【請求項24】
インシュリンを必要とする患者に、請求項3記載の組成物を経鼻投与することにより、該患者を治療する工程を含む、該患者の治療方法。
【請求項25】
インシュリンを必要とする患者に、請求項4記載の組成物を経鼻投与することにより、該患者を治療する工程を含む、該患者の治療方法。
【請求項26】
インシュリンを必要とする患者に、請求項5記載の組成物を経鼻投与することにより、該患者を治療する工程を含む、該患者の治療方法。
【請求項27】
インシュリンを必要とする患者に、請求項6記載の組成物を経鼻投与することにより、該患者を治療する工程を含む、該患者の治療方法。
【請求項28】
インシュリンを必要とする患者に、請求項7記載の組成物を経鼻投与することにより、該患者を治療する工程を含む、該患者の治療方法。
【請求項29】
インシュリンを必要とする患者に、請求項8記載の組成物を経鼻投与することにより、該患者を治療する工程を含む、該患者の治療方法。
【請求項30】
インシュリンを必要とする患者に、請求項9記載の組成物を経鼻投与することにより、該患者を治療する工程を含む、該患者の治療方法。
【請求項31】
インシュリンを必要とする患者に、請求項10記載の組成物を経鼻投与することにより、該患者を治療する工程を含む、該患者の治療方法。
【請求項32】
インシュリンを必要とする患者に、請求項11記載の組成物を経鼻投与することにより、該患者を治療する工程を含む、該患者の治療方法。
【請求項33】
インシュリンを必要とする患者に、請求項12記載の組成物を経鼻投与することにより、該患者を治療する工程を含む、該患者の治療方法。
【請求項34】
インシュリンを必要とする患者に、請求項13記載の組成物を経鼻投与することにより、該患者を治療する工程を含む、該患者の治療方法。
【請求項35】
インシュリンを必要とする患者に、請求項14記載の組成物を経鼻投与することにより、該患者を治療する工程を含む、該患者の治療方法。
【請求項36】
インシュリンを必要とする患者に、請求項15記載の組成物を経鼻投与することにより、該患者を治療する工程を含む、該患者の治療方法。
【請求項37】
インシュリンを必要とする患者に、請求項16記載の組成物を経鼻投与することにより、該患者を治療する工程を含む、該患者の治療方法。
【請求項38】
インシュリンを必要とする患者に、請求項17記載の組成物を経鼻投与することにより、該患者を治療する工程を含む、該患者の治療方法。
【請求項39】
インシュリンを必要とする患者に、請求項18記載の組成物を経鼻投与することにより、該患者を治療する工程を含む、該患者の治療方法。
【請求項40】
インシュリンを必要とする患者に、請求項19記載の組成物を経鼻投与することにより、該患者を治療する工程を含む、該患者の治療方法。
【請求項41】
インシュリンを必要とする患者に、請求項20記載の組成物を経鼻投与することにより、該患者を治療する工程を含む、該患者の治療方法。
【請求項42】
インシュリンを必要とする患者に、請求項21記載の組成物を経鼻投与することにより、該患者を治療する工程を含む、該患者の治療方法。
【請求項43】
ヒト、又は温血動物に経鼻投与するための薬理組成物であって、(A) 治療的に有効な量のインシュリン、(B) 透過性増強剤、(C) 液状担体、及び(D) ノニオン性界面活性剤の組合せを含み、該ノニオン性界面活性剤の組合せが、(i) 少なくとも1種の、糖又は糖アルコールの脂肪酸エステル及び(ii) 少なくとも1種の、糖又は糖アルコールの、ペジレート化脂肪酸エステルを含み、かつ該組成物が、実施例1の組成物以外の組成物であることを特徴とする、前記薬理組成物。
【請求項44】
(i) 少なくとも1種の糖又は糖アルコールの脂肪酸エステル及び(ii) 少なくとも1種の糖又は糖アルコールの、ペジレート化脂肪酸エステルを含む、前記ノニオン性界面活性剤の組合せが、約7〜約14なる範囲の、結合親水親油バランス(HLB)を持つ、請求項43記載の薬理組成物。
【請求項45】
ヒト、又は温血動物に経鼻投与するための薬理組成物であって、(A) 治療的に有効な量のインシュリン、(B) 透過性増強剤、(C) 液状担体、及び(D) ノニオン性界面活性剤の組合せを含み、該ノニオン性界面活性剤の組合せが、(i) 少なくとも1種の、糖又は糖アルコールの脂肪酸エステル及び(ii) 少なくとも1種の、糖又は糖アルコールの、ペジレート化脂肪酸エステルを含み、かつ該組成物が、酸性pHであるが、4.5以下のpHを持ち、また該組成物が、実施例1の組成物以外の組成物であることを特徴とする、前記薬理組成物。
【請求項46】
(i) 少なくとも1種の糖又は糖アルコールの脂肪酸エステル及び(ii) 少なくとも1種の糖又は糖アルコールの、ペジレート化脂肪酸エステルを含む、前記ノニオン性界面活性剤の組合せが、約7〜約14なる範囲の、結合親水親油バランス(HLB)を持つ、請求項45記載の薬理組成物。
【請求項47】
ヒト、又は温血動物に経鼻投与するための薬理組成物であって、(A) 治療的に有効な量のインシュリン、(B) 透過性増強剤、及び(C) 液状担体を含み、前記組成物の浸透性が、<200 mOsmol/Kg H2Oであり、また該組成物が、実施例1の組成物以外の組成物であることを特徴とする、前記薬理組成物。
【請求項48】
前記組成物の浸透性が、<150 mOsmol/Kg H2Oである、請求項47記載の薬理組成物。
【請求項49】
前記組成物の浸透性が、<30 mOsmol/Kg H2Oである、請求項47記載の薬理組成物。
【請求項50】
ヒト、又は温血動物に経鼻投与するための薬理組成物であって、(A) 治療的に有効な量のインシュリン、(B) 透過性増強剤、及び(C) 液状担体を含み、前記組成物の浸透性が、<200 mOsmol/Kg H2Oであり、また該組成物が、酸性pHであるが、4.5以下のpHを持ち、また該組成物が、実施例1の組成物以外の組成物であることを特徴とする、前記薬理組成物。
【請求項51】
前記組成物の浸透性が、<150 mOsmol/Kg H2Oである、請求項50記載の薬理組成物。
【請求項52】
前記組成物の浸透性が、<30 mOsmol/Kg H2Oである、請求項50記載の薬理組成物。
【請求項53】
ヒト、又は温血動物に経鼻投与するための薬理組成物であって、(A) 治療的に有効な量のインシュリン、(B) 透過性増強剤、(C) 液状担体、及び(D) ノニオン性界面活性剤の組合せを含み、該ノニオン性界面活性剤の組合せが、(i) 少なくとも1種の、糖又は糖アルコールの脂肪酸エステル及び(ii) 少なくとも1種の、糖又は糖アルコールの、ペジレート化脂肪酸エステルを含み、かつ該組成物の浸透性が、<200 mOsmol/Kg H2Oであり、また該組成物が、実施例1の組成物以外の組成物であることを特徴とする、前記薬理組成物。
【請求項54】
(i) 少なくとも1種の糖又は糖アルコールの脂肪酸エステル及び(ii) 少なくとも1種の糖又は糖アルコールの、ペジレート化脂肪酸エステルを含む、前記ノニオン性界面活性剤の組合せが、約7〜約14なる範囲の、結合親水親油バランス(HLB)を持つ、請求項53記載の薬理組成物。
【請求項55】
前記組成物の浸透性が、<150 mOsmol/Kg H2Oである、請求項53記載の薬理組成物。
【請求項56】
前記組成物の浸透性が、<30 mOsmol/Kg H2Oである、請求項53記載の薬理組成物。
【請求項57】
ヒト、又は温血動物に経鼻投与するための薬理組成物であって、(A) 治療的に有効な量のインシュリン、(B) 透過性増強剤、(C) 液状担体、及び(D) ノニオン性界面活性剤の組合せを含み、該ノニオン性界面活性剤の組合せが、(i) 少なくとも1種の、糖又は糖アルコールの脂肪酸エステル及び(ii) 少なくとも1種の、糖又は糖アルコールの、ペジレート化脂肪酸エステルを含み、かつ該組成物の浸透性が、<200 mOsmol/Kg H2Oであり、該組成物が、酸性pHであるが、4.5以下のpHを持ち、また該組成物が、実施例1の組成物以外の組成物であることを特徴とする、前記薬理組成物。
【請求項58】
(i) 少なくとも1種の糖又は糖アルコールの脂肪酸エステル及び(ii) 少なくとも1種の糖又は糖アルコールの、ペジレート化脂肪酸エステルを含む、前記ノニオン性界面活性剤の組合せが、約7〜約14なる範囲の、結合親水親油バランス(HLB)を持つ、請求項57記載の薬理組成物。
【請求項59】
前記組成物の浸透性が、<150 mOsmol/Kg H2Oである、請求項57記載の薬理組成物。
【請求項60】
前記組成物の浸透性が、<30 mOsmol/Kg H2Oである、請求項57記載の薬理組成物。
【請求項61】
インシュリン治療を必要とする患者に、請求項43記載の組成物を経鼻投与する工程を含む、インシュリンによる患者の治療方法。
【請求項62】
インシュリン治療を必要とする患者に、請求項44記載の組成物を経鼻投与する工程を含む、インシュリンによる患者の治療方法。
【請求項63】
インシュリン治療を必要とする患者に、請求項45記載の組成物を経鼻投与する工程を含む、インシュリンによる患者の治療方法。
【請求項64】
インシュリン治療を必要とする患者に、請求項46記載の組成物を経鼻投与する工程を含む、インシュリンによる患者の治療方法。
【請求項65】
インシュリン治療を必要とする患者に、請求項47記載の組成物を経鼻投与する工程を含む、インシュリンによる患者の治療方法。
【請求項66】
インシュリン治療を必要とする患者に、請求項48記載の組成物を経鼻投与する工程を含む、インシュリンによる患者の治療方法。
【請求項67】
インシュリン治療を必要とする患者に、請求項49記載の組成物を経鼻投与する工程を含む、インシュリンによる患者の治療方法。
【請求項68】
インシュリン治療を必要とする患者に、請求項50記載の組成物を経鼻投与する工程を含む、インシュリンによる患者の治療方法。
【請求項69】
インシュリン治療を必要とする患者に、請求項51記載の組成物を経鼻投与する工程を含む、インシュリンによる患者の治療方法。
【請求項70】
インシュリン治療を必要とする患者に、請求項52記載の組成物を経鼻投与する工程を含む、インシュリンによる患者の治療方法。
【請求項71】
インシュリン治療を必要とする患者に、請求項53記載の組成物を経鼻投与する工程を含む、インシュリンによる患者の治療方法。
【請求項72】
インシュリン治療を必要とする患者に、請求項54記載の組成物を経鼻投与する工程を含む、インシュリンによる患者の治療方法。
【請求項73】
インシュリン治療を必要とする患者に、請求項55記載の組成物を経鼻投与する工程を含む、インシュリンによる患者の治療方法。
【請求項74】
インシュリン治療を必要とする患者に、請求項56記載の組成物を経鼻投与する工程を含む、インシュリンによる患者の治療方法。
【請求項75】
インシュリン治療を必要とする患者に、請求項57記載の組成物を経鼻投与する工程を含む、インシュリンによる患者の治療方法。
【請求項76】
インシュリン治療を必要とする患者に、請求項58記載の組成物を経鼻投与する工程を含む、インシュリンによる患者の治療方法。
【請求項77】
インシュリン治療を必要とする患者に、請求項59記載の組成物を経鼻投与する工程を含む、インシュリンによる患者の治療方法。
【請求項78】
インシュリン治療を必要とする患者に、請求項60記載の組成物を経鼻投与する工程を含む、インシュリンによる患者の治療方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2009−539856(P2009−539856A)
【公表日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−514394(P2009−514394)
【出願日】平成19年6月8日(2007.6.8)
【国際出願番号】PCT/US2007/013512
【国際公開番号】WO2007/146126
【国際公開日】平成19年12月21日(2007.12.21)
【出願人】(508361818)シーペックス ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド (4)
【Fターム(参考)】