説明

インスタントくじ

【課題】 製造生産性が高く、ユーザーが使用する際、手間がかからず、使い易く、破れたごみや削りカスが発生せず、くじ情報の隠蔽性に優れたインスタントくじを提供する。
【解決手段】 1枚目用紙と2枚目用紙とが接着剤層を介して、接着され、1枚目用紙の接着剤層と接する面に、着色インキで全面に、ベタ印刷が施され、2枚目用紙の接着剤層と接する面に、該接着剤層と剥離性を有するインキで、パターン状に印刷が施されたインスタントくじにおいて、該剥離性インキが着色されていないか、又は前記の着色インキとは異なる色相に着色されたもので、1枚目用紙を2枚目用紙から剥離すると、2枚目用紙で、前記の剥離性インキによりパターン状の印刷部分が、接着剤層から剥離して、露出し、かつ前記の剥離性インキによりパターン状の印刷部分を除く部分で、2枚目用紙には接着剤層を介してベタ印刷部が残存し、パターン状の印刷部分が、くじ情報となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はインスタントくじに関し、特に製造上で生産性が高く、またユーザーが使用する上で、手間がかからず、使いやすく、破れたごみや削りカスが発生せず、またくじ情報の隠蔽性に優れたインスタントくじに関するものである。
【背景技術】
【0002】
インスタントくじは、その場で、すぐに当たり・はずれが分かるために、従来から多く使用されている。このインスタントくじは、コインや爪で、銀色の隠蔽部分を削りとって、隠蔽されていた印刷部分の情報(当たり・はずれ)が現れるスクラッチタイプのくじ(スクラッチくじ)や、2枚重ねで、周囲が接着されていて、ミシン目等により端を破って、2枚重なった中の印刷部分の情報(当たり・はずれ)が現れる「三角くじ」タイプが知られている。
【0003】
三角くじは、重ね合わせる工程が必要で、またミシン目の加工工程も必要であり、製造上の手間がかかる。さらに、くじの端を破る際に、ごみが生じる問題がある。また、スクラッチくじは、隠蔽性を上げるために、アルミニウム等の金属を含有した銀インキを厚く塗る必要があり、また削りカスが出るために、食品を扱うような店舗で利用する場合、衛生上好ましくない。これに対して、削りカスを発生させないようなスクラッチくじとして、例えば特許文献1には、硬貨の金属よりも硬度の大きい材料を含むインキ組成物で、画像、文字を印刷し、硬貨で摩擦、ひっかき等をすることにより硬貨の削られた金属で印刷部分を着色して画像があらわれるくじが提案されている。しかし、このくじでは、外観上、画像、文字部分が見る角度によって、判読されてしまい、情報の隠蔽性として問題がある。
【0004】
また、特許文献2には、インスタントくじにおいて、光にかざした場合に印刷された文字が見えてしまうことがなく、また、情報を出現させるために硬貨を用いることなく、ゴミを発生させないものとして、基材上に印刷層及び隠蔽層が設けられたくじであって、隠蔽層は中空ビーズ、或いはワックスを含有し、爪で擦ることにより隠蔽性を失わせ印刷層を出現させるものが、提案されている。しかし、特許文献1、2のいずれのものでも、隠蔽部分を擦る手間が必要であり、当たり・はずれの情報を知るまでに、時間を要するものである。
【0005】
インスタントくじとして、特許文献3には、上からラベル紙、粘着紙、剥離紙の3枚のシートからなり、該ラベル紙の裏面にくじが印刷されていて、該ラベル紙と粘着紙は簡単に剥がせる程度に貼り合わせてあり、該粘着紙の下面は粘着剤が塗布され、該塗布面を剥離紙で覆ってある粘着ラベルくじが提案されている。このくじは、多面付けで印刷、丁合、断裁(型抜き)が可能であり、生産する上で、効率的に有利なものであり、また隠蔽部分を擦る手間がかからない。
【0006】
しかし、このくじでは、重なったシートの形状が等しいために、ラベル紙を剥がす際に、剥がし始める部分(“きっかけ”)が見つけにくく、つまり非常に剥がしにくく、ユーザーには使用し難い。また、ラベル紙を粘着紙から剥がして、ラベル紙の裏面のくじを覗いて見て、いたずらをしようとすると、ラベル紙が粘着紙とくっつかないようなものにすると記載はしているが、具体的な手段が示されていない。また、上記のラベル紙の裏面のくじを覗いて見た後に、接着剤を塗って、ラベル紙と粘着紙を接着させることができてしまう。したがって、特許文献3に示すようなインスタントくじは、実用上、くじ情報の隠蔽性として問題がある。
【特許文献1】特公平6−78039号公報
【特許文献2】特開2001−130181号公報
【特許文献3】実用新案登録第3087438号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明は、製造上で生産性が高く、またユーザーが使用する上で、手間がかからず、使いやすく、破れたごみや削りカスが発生せず、またくじ情報の隠蔽性に優れたインスタントくじを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以上の状況を鑑み、鋭意研究開発を進め、本発明に到った。すなわち、請求項1に記載の発明は、1枚目用紙と2枚目用紙とが接着剤層を介して、接着され、1枚目用紙の接着剤層と接する面には、着色インキにより全面に、ベタ印刷が施され、2枚目用紙の接着剤層と接する面に、該接着剤層と剥離性を有するインキで、パターン状に印刷が施されたインスタントくじにおいて、該剥離性を有するインキが着色されていないか、あるいは前記の着色インキとは異なる色相に着色されたもので、1枚目用紙を2枚目用紙から剥離すると、2枚目用紙において、前記の剥離性を有するインキによりパターン状に印刷された部分が、接着剤層から剥離して、露出し、かつ前記の剥離性を有するインキによりパターン状に印刷された部分を除く部分において、2枚目用紙には接着剤層を介してベタ印刷部が残存して、1枚目用紙と分離し、2枚目用紙にはパターン状に印刷された部分が、ベタ印刷部を背景として、露出して、くじ情報として認識されることを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明は、1枚目用紙と2枚目用紙とが接着剤層1を介して、接着され、1枚目用紙の接着剤層と接する面には、接着剤層1と剥離性を有するインキで、パターン状に印刷が施され、かつ2枚目用紙には、該パターン状の印刷部の外縁に対応する箇所に、ハーフカット加工が施され、また前記2枚目用紙の接着剤層1が設けられた面と反対側に、3枚目用紙が接着剤層2を介して、接着されたインスタントくじにおいて、3枚目用紙を2枚目用紙から剥離しようとすると、1枚目用紙の剥離性を有するインキによりパターン状に印刷された部分が、接着剤層1から剥離して、2枚目用紙と3枚目用紙が接着された状態であり、かつ前記の剥離性を有するインキによりパターン状に印刷された部分を除く部分は、1枚目用紙と2枚目用紙が接着された状態であり、2枚目用紙と3枚目用紙との間で剥離して、前記の剥離性を有するインキによるパターン状に印刷された部分に対応する部分で、2枚目用紙または接着剤層1を有する2枚目用紙が露出し、3枚目用紙または接着剤層2を有する3枚目用紙の表面を背景として、該パターン状に印刷された部分に対応する部分が、くじ情報として認識されることを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のインスタントくじにおいて、2枚目用紙の接着剤層1と接する側が、着色されているか、または接着剤層1が着色され、また3枚目用紙の接着剤層2と接する側が着色されているか、または接着剤層2が着色され、前記の2枚目用紙または接着剤層1の着色と、3枚目用紙または接着剤層2の着色とが、異なる色相であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明のインスタントくじは、以下の2つのタイプに大別されるものである。一つは、1枚目用紙と2枚目用紙とが接着剤層を介して、接着され、1枚目用紙の接着剤層と接する面には、着色インキにより全面に、ベタ印刷が施され、2枚目用紙の接着剤層と接する面に、該接着剤層と剥離性を有するインキで、パターン状に印刷が施されたインスタントくじにおいて、該剥離性を有するインキが着色されていないか、あるいは前記の着色インキとは異なる色相に着色されたもので、1枚目用紙を2枚目用紙から剥離すると、2枚目用紙において、前記の剥離性を有するインキによりパターン状に印刷された部分が、接着剤層から剥離して、露出し、かつ前記の剥離性を有するインキによりパターン状に印刷された部分を除く部分において、2枚目用紙には接着剤層を介してベタ印刷部が残存して、1枚目用紙と分離し、2枚目用紙にはパターン状に印刷された部分が、ベタ印刷部を背景として、露出して、くじ情報として認識されるものである。
【0012】
この場合では、1枚目用紙を2枚目用紙から剥離すると、2枚目用紙にはパターン状に印刷された部分が、ベタ印刷部を背景として、露出して、ベタ印刷部とパターン状に印刷された部分の色相の違いにより、パターン状に印刷された部分を、くじ情報として認識することができる。このインスタントくじでは、1枚目用紙を2枚目用紙から一度剥離すると、剥離性を有するインキによりパターン状に印刷された部分を除く部分において、1枚目用紙に印刷したベタ印刷部が、接着剤層を介して、2枚目用紙側にとられ、言い換えればベタ印刷部が破壊され、剥離する前の状態には戻らず、くじ情報の隠蔽性に優れたものである。また、このインスタントくじをユーザーが使用する上で、手間がかからず、使いやすく、破れたごみや削りカスが発生しない。
【0013】
また、本発明のインスタントくじの別のタイプとしては、1枚目用紙と2枚目用紙とが接着剤層1を介して、接着され、1枚目用紙の接着剤層と接する面には、接着剤層1と剥離性を有するインキで、パターン状に印刷が施され、かつ2枚目用紙には、該パターン状の印刷部の外縁に対応する箇所に、ハーフカット加工が施され、また前記2枚目用紙の接着剤層1が設けられた面と反対側に、3枚目用紙が接着剤層2を介して、接着されたインスタントくじにおいて、3枚目用紙を2枚目用紙から剥離しようとすると、1枚目用紙の剥離性を有するインキによりパターン状に印刷された部分が、接着剤層1から剥離して、2枚目用紙と3枚目用紙が接着された状態であり、かつ前記の剥離性を有するインキによりパターン状に印刷された部分を除く部分は、1枚目用紙と2枚目用紙が接着された状態であり、2枚目用紙と3枚目用紙との間で剥離して、前記の剥離性を有するインキによるパターン状に印刷された部分に対応する部分で、2枚目用紙または接着剤層1を有する2枚目用紙が露出し、3枚目用紙または接着剤層2を有する3枚目用紙の表面を背景として、該パターン状に印刷された部分に対応する部分が、くじ情報として認識されるものである。
【0014】
上記の1〜3枚目用紙を用いてインスタントくじは、2枚目用紙の接着剤層1と接する側が、着色されているか、または接着剤層1が着色され、また3枚目用紙の接着剤層2と接する側が着色されているか、または接着剤層2が着色され、前記の2枚目用紙または接着剤層1の着色と、3枚目用紙または接着剤層2の着色とが、異なる色相であることが好ましく、互いに補色の関係がより好ましい。これにより、互いの色相の差が顕著になり、一見して、くじ情報を認識しやすい。
【0015】
この場合では、3枚目用紙を2枚目用紙から剥離しようとすると、2枚目用紙または接着剤層1を有する2枚目用紙には、パターン状に印刷された部分に対応する部分が、3枚目用紙または接着剤層2を有する3枚目用紙の表面を背景として、露出して、2枚目用紙または接着剤層1を有する2枚目用紙のパターン状に印刷された部分に対応する部分の表面と、3枚目用紙または接着剤層2を有する3枚目用紙の表面の色相の違いにより、パターン状に印刷された部分に対応する部分を、くじ情報として認識することができる。このインスタントくじでは、3枚目用紙を2枚目用紙から一度剥離すると、剥離性を有するインキによりパターン状に印刷された部分を除く部分において、2枚目用紙と3枚目用紙との接着部が破壊され、剥離する前の状態には戻らず、くじ情報の隠蔽性に優れたものである。また、このインスタントくじをユーザーが使用する上で、手間がかからず、使いやすく、破れたごみや削りカスが発生しない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図1は、本発明のインスタントくじ1の一つの実施形態を示す概略断面図であり、1枚目用紙2と2枚目用紙4とが接着剤層3を介して、接着され、1枚目用紙2の接着剤層3と接する面には、着色インキにより全面に、ベタ印刷5が施され、2枚目用紙4の接着剤層3と接する面に、該接着剤層3と剥離性を有するインキで、パターン印刷6が施されたインスタントくじ1であり、該剥離性を有するインキが着色されていないか、あるいは前記の着色インキとは異なる色相に着色されたもので、図1(b)に示すように、1枚目用紙2を2枚目用紙4から剥離すると、2枚目用紙4において、前記の剥離性を有するインキによりパターン状に印刷された部分6が、接着剤層3から剥離して、露出し、かつ前記の剥離性を有するインキによりパターン状に印刷された部分6を除く部分において、2枚目用紙4には接着剤層3を介してベタ印刷部5が残存して、1枚目用紙2と分離し、2枚目用紙4にはパターン状に印刷された部分6が、ベタ印刷部5を背景として、露出して、くじ情報として認識される。
【0017】
図2は、本発明のインスタントくじ11の他の実施形態を示す概略断面図であり、1枚目用紙12と2枚目用紙14とが接着剤層1(13)を介して、接着され、1枚目用紙12の接着剤層1(13)と接する面には、接着剤層1(13)と剥離性を有するインキで、パターン印刷16が施され、かつ2枚目用紙14には、該パターン印刷部16の外縁に対応する箇所に、ハーフカット加工17が施され、また前記2枚目用紙14の接着剤層1(13)が設けられた面と反対側に、3枚目用紙18が接着剤層2(15)を介して、接着されたインスタントくじ11において、3枚目用紙18を2枚目用紙14から剥離しようとすると、1枚目用紙12の剥離性を有するインキによりパターン状に印刷された部分16が、接着剤層1(13)から剥離して、2枚目用紙14と3枚目用紙18が接着された状態であり、かつ前記の剥離性を有するインキによりパターン状に印刷された部分16を除く部分は、1枚目用紙12と2枚目用紙14が接着された状態であり、2枚目用紙14と3枚目用紙18との間で剥離して、前記の剥離性を有するインキによるパターン状に印刷された部分16に対応する部分で、2枚目用紙14または接着剤層1(13)を有する2枚目用紙14が露出し、(図示したものは、接着剤層1(13)を有する2枚目用紙14が露出している)3枚目用紙18または接着剤層2(15)を有する3枚目用紙18の表面を背景として(図示したものは、接着剤層2(15)を有する3枚目用紙18の表面を背景としている)該パターン状に印刷された部分16に対応する部分が、くじ情報として認識されるものである。
【0018】
以下、本発明のインスタントくじを構成する各層について、説明する。
(1枚目用紙、2枚目用紙、3枚目用紙)
1枚目用紙、2枚目用紙及び3枚目用紙は、上質紙、アート紙、コート紙、キャストコート紙、合成樹脂又はエマルジョン含浸紙、合成ゴムラテックス含浸紙、合成樹脂内添紙、セルロース繊維紙等を使用することができる。また、上記の紙を原料にしたものでなく、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂等に、白色顔料や充填剤を加えて成膜した白色フィルム、あるいは上記の合成樹脂からなる基材シート内部にミクロボイドを有するシート等も用いられる。これらの1枚目用紙、2枚目用紙及び3枚目用紙の厚みは、通常3〜300μm程度であり、本発明においては、取扱い適性等を考慮し、20〜175μm程度のものを用いるのが好ましい。
【0019】
(接着剤層)
インスタントくじにおける接着剤層としては、以下に挙げるような粘着剤から構成することができる。例えばアクリル樹脂、アクリル酸エステル樹脂、またはこれらの共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、天然ゴム、カゼイン、ゼラチン、ロジンエステル、テルペン樹脂、フェノール系樹脂、スチレン系樹脂、クロマンインデン樹脂、ポリビニルエーテル、シリコーン樹脂等が例示され、また、アルファ−シアノアクリレート系、シリコーン系、マレイミド系、スチロール系、ポリオレフィン系、レゾルシノール系、ポリビニルエーテル系、シリコーン系接着剤が例示される。これらの接着剤層は、上記の接着剤を水や溶剤に溶解、あるいは分散させた塗工液により、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、グラビア版を用いたリバースロールコーティング法等の形成手段により塗工し、乾燥して形成することができる。接着剤層の厚みとしては、乾燥時で4g/m2〜20g/m2が好ましい。
【0020】
但し、本発明のインクスタントくじの構成が、1枚目用紙、2枚目用紙及び3枚目用紙を用いた場合では、接着剤層1と接着剤層2の両方が使用され、接着剤層1、接着剤層2ともに、上記に挙げたような樹脂から構成できるが、接着剤層1の方が接着剤層2よりも接着強度を高くする必要がある。接着強度を高めるには、使用する接着剤層の樹脂の種類を変更したり、接着剤層の厚さを大きくしたりして、行なうことができる。
【0021】
(パターン印刷)
本発明では、1枚目用紙と2枚目用紙から構成されるインスタントくじでは、2枚目用紙の接着剤層と接する面に、該接着剤層と剥離性を有するインキで、パターン状に印刷が施される。つまり、接着剤層と剥離性を有するインキで、パターン印刷が施される。また、1枚目用紙、2枚目用紙及び3枚目用紙から構成されるインスタントくじでは、1枚目用紙の接着剤層1と接する面に、接着剤層1と剥離性を有するインキで、パターン状に印刷が施される。
【0022】
上記の接着剤層と剥離性を有するインキで、パターン印刷が施されるが、その使用される剥離性インキとしては、ジメチルシリコーン、フェニルメチルシリコーン、アルキル・アラルキル変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、フロロ変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン等の各種シリコーン樹脂や、フッ素系樹脂から構成することができる。また、必要に応じて、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂などの接着性を有する樹脂を加えたり、各種の染料、顔料の着色剤等を添加することができる。この着色剤を添加する場合は、1枚目用紙と2枚目用紙から構成されるインスタントくじにおいて、1枚目用紙の接着剤層と接する面の着色インキにより全面にベタ印刷された条件で、その着色インキとは異なる色相に着色されるようにする。そのべた印刷される着色インキの色相とは補色の関係になるような異なる色相にすることが、一見して目立つようになり、好ましい。
【0023】
上記の剥離性インキの印刷は、従来から知られた平版印刷(オフセット印刷)、活版印刷(凸版印刷)、グラビア印刷等、適宜選択できる。その剥離性インキにより、パターン状に印刷が施されるが、そのパターン印刷の厚さは、接着剤層との離型性が十分に発揮できれば、特に限定されるものではない。
【0024】
(ベタ印刷)
本発明のインスタントくじの1枚目用紙と2枚目用紙から構成されるものでは、1枚目用紙の接着剤層と接する面に、着色インキにより全面に、ベタ印刷が施される。その着色インキは、従来から知られた平版印刷(オフセット印刷)、活版印刷(凸版印刷)、グラビア印刷等に対応する、着色されたインキが使用できる。但し、1枚目用紙と2枚目用紙から構成されるインスタントくじで、1枚目用紙を2枚目用紙から剥離した場合、2枚目用紙に残存するベタ印刷部を背景として、パターン状に印刷された部分が露出して、くじ情報として認識される。上記のパターン印刷で着色剤を用いた場合でも、あるいは着色剤を使用しない場合のいずれにおいても、ベタ印刷部は、パターン印刷部とのコントラストが高くなるように、適宜、色相を選択することができる。
【0025】
(切取線)
本発明のインスタントくじでは、1枚目用紙(1枚目用紙と2枚目用紙から構成されるインスタントくじの場合)、あるいは1枚目用紙と2枚目用紙(1枚目用紙、2枚目用紙及び3枚目用紙から構成されるインスタントくじの場合)を、前者では2枚目用紙から剥離する、後者では3枚目用紙から剥離する際に、剥がし始める部分(“きっかけ”)として、ミシン目加工やハーフカット加工により切取線を設けることが好ましい。この切取線の部分で、インスタントくじの一部を破って(切断して)、剥離しやすくすることができる。上記のミシン目や、ハーフカットの形成方法は、ミシン刃(カッター刃)を取り付けた上型と台座の間に、インスタントくじを挿入して、上型を上下動させる方法や、シリンダータイプのロータリーカッター方法、レーザー加工による切断方法等、特に制限はない。
【0026】
(ハーフカット)
本発明のインクスタントくじの構成が、1枚目用紙、2枚目用紙及び3枚目用紙を用いた場合では、2枚目用紙にハーフカット加工が施されている。このインクスタントくじで、3枚目用紙を2枚目用紙から剥離すると、1枚目用紙の剥離性を有するインキによりパターン状に印刷された部分が、接着剤層1から剥離して、2枚目用紙と3枚目用紙が接着された状態であり、かつ前記の剥離性を有するインキによりパターン状に印刷された部分を除く部分は、1枚目用紙と2枚目用紙が接着された状態であり、そのハーフカットの箇所で、2枚目用紙と3枚目用紙との間で剥離して、前記の剥離性を有するインキによるパターン状に印刷された部分に対応する部分で、2枚目用紙または接着剤層1を有する2枚目用紙が露出し、3枚目用紙または接着剤層2を有する3枚目用紙の表面を背景として、該パターン状に印刷された部分に対応する部分が、くじ情報として認識される。
【0027】
上記のハーフカットの形成方法は、上記と同様にカッター刃を取り付けた上型と台座の間に、インスタントくじを挿入して、上型を上下動させる方法や、シリンダータイプのロータリーカッター方法、レーザー加工による切断方法等、特に制限はない。
【実施例】
【0028】
以下に、インスタントくじの製造方法と、その得られたインスタントくじの使用される方法について、実施例に基づいて、説明する。
(実施例1)
1枚目用紙と2枚目用紙とが接着剤層を介して、接着され、1枚目用紙の接着剤層と接する面には、黄色の着色インキにより全面に、ベタ印刷が施され、2枚目用紙の接着剤層と接する面に、該接着剤層と剥離性を有するジメチルシリコーン樹脂と青紫色の染料からなるインキで、パターン状に印刷が施されたインスタントくじにおいて、1枚目用紙を2枚目用紙から剥離すると、2枚目用紙において、前記の剥離性を有するインキにより、パターン状に印刷された部分が、接着剤層から剥離して、露出し、かつ前記の剥離性を有するインキによりパターン状に印刷された部分を除く部分において、2枚目用紙には接着剤層を介してベタ印刷部が残存して、1枚目用紙と分離し、2枚目用紙には、そのパターン状に印刷された部分が、ベタ印刷部を背景として、露出して、くじ情報として目立って認識できた。(図1を参照)
【0029】
また、上記のインスタントくじでは、1枚目用紙を2枚目用紙から一度剥離すると、剥離性を有するインキによりパターン状に印刷された部分を除く部分において、1枚目用紙に印刷したベタ印刷部が、接着剤層を介して、2枚目用紙側にとられ、言い換えればベタ印刷部が破壊され、剥離する前の状態には戻らず、くじ情報の隠蔽性に非常に優れたものであった。また、このインスタントくじをユーザーが使用する上で、手間がかからず、使いやすく、破れたごみや削りカスが発生しなかった。
【0030】
(実施例2)
1枚目用紙と2枚目用紙とが赤色染料で着色された接着剤層1を介して、接着され、1枚目用紙の接着剤層1と接する面には、接着剤層1と剥離性を有するインキで、パターン状に印刷が施され、かつ2枚目用紙には、該パターン状の印刷部の外縁に対応する箇所に、ハーフカット加工が施され、また前記2枚目用紙の接着剤層1が設けられた面と反対側に、3枚目用紙が青緑色の染料で着色された接着剤層2を介して、接着されたインスタントくじにおいて、3枚目用紙を2枚目用紙から剥離しようとすると、1枚目用紙の剥離性を有するインキによりパターン状に印刷された部分が、接着剤層1から剥離して、2枚目用紙と3枚目用紙が接着された状態であり、かつ前記の剥離性を有するインキによりパターン状に印刷された部分を除く部分は、1枚目用紙と2枚目用紙が接着された状態であり、2枚目用紙と3枚目用紙との間で剥離して、前記の剥離性を有するインキによる、パターン状に印刷された部分に対応する部分で、2枚目用紙または接着剤層1を有する2枚目用紙が露出し、3枚目用紙または接着剤層2を有する3枚目用紙の表面を背景として、該パターン状に印刷された部分に対応する部分が、露出して、くじ情報として目立って認識できた。(図2を参照)
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明のインスタントくじの一つの実施形態を示す概略断面図である。
【図2】本発明のインスタントくじの他の実施形態を示す概略断面図である。
【符号の説明】
【0032】
1、11 インスタントくじ
2、12 1枚目用紙
3 接着剤層
4、14 2枚目用紙
5 ベタ印刷部
6、16 パターン印刷
10、20 切取線
13 接着剤層1
15 接着剤層2
17 ハーフカット
18 3枚目用紙


【特許請求の範囲】
【請求項1】
1枚目用紙と2枚目用紙とが接着剤層を介して、接着され、1枚目用紙の接着剤層と接する面には、着色インキにより全面に、ベタ印刷が施され、2枚目用紙の接着剤層と接する面に、該接着剤層と剥離性を有するインキで、パターン状に印刷が施されたインスタントくじにおいて、該剥離性を有するインキが着色されていないか、あるいは前記の着色インキとは異なる色相に着色されたもので、1枚目用紙を2枚目用紙から剥離すると、2枚目用紙において、前記の剥離性を有するインキによりパターン状に印刷された部分が、接着剤層から剥離して、露出し、かつ前記の剥離性を有するインキによりパターン状に印刷された部分を除く部分において、2枚目用紙には接着剤層を介してベタ印刷部が残存して、1枚目用紙と分離し、2枚目用紙にはパターン状に印刷された部分が、ベタ印刷部を背景として、露出して、くじ情報として認識されることを特徴とするインスタントくじ。
【請求項2】
1枚目用紙と2枚目用紙とが接着剤層1を介して、接着され、1枚目用紙の接着剤層と接する面には、接着剤層1と剥離性を有するインキで、パターン状に印刷が施され、かつ2枚目用紙には、該パターン状の印刷部の外縁に対応する箇所に、ハーフカット加工が施され、また前記2枚目用紙の接着剤層1が設けられた面と反対側に、3枚目用紙が接着剤層2を介して、接着されたインスタントくじにおいて、3枚目用紙を2枚目用紙から剥離しようとすると、1枚目用紙の剥離性を有するインキによりパターン状に印刷された部分が、接着剤層1から剥離して、2枚目用紙と3枚目用紙が接着された状態であり、かつ前記の剥離性を有するインキによりパターン状に印刷された部分を除く部分は、1枚目用紙と2枚目用紙が接着された状態であり、2枚目用紙と3枚目用紙との間で剥離して、前記の剥離性を有するインキによるパターン状に印刷された部分に対応する部分で、2枚目用紙または接着剤層1を有する2枚目用紙が露出し、3枚目用紙または接着剤層2を有する3枚目用紙の表面を背景として、該パターン状に印刷された部分に対応する部分が、くじ情報として認識されることを特徴とするインスタントくじ。
【請求項3】
前記の2枚目用紙の接着剤層1と接する側が、着色されているか、または接着剤層1が着色され、また3枚目用紙の接着剤層2と接する側が着色されているか、または接着剤層2が着色され、前記の2枚目用紙または接着剤層1の着色と、3枚目用紙または接着剤層2の着色とが、異なる色相であることを特徴とする請求項2に記載するインスタントくじ。


【図1】
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【図2】
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