インスリン産生細胞のための方法、成分並びに成長および分化因子
分化した非ホルモン産生膵臓細胞を分化したホルモン産生膵臓細胞に転換するための方法が開示される。本方法は2つのステップを具える。第1は、分化した非ホルモン産生膵臓細胞を幹細胞に転換する条件下で細胞を培養すること、第2は、ホルモン産生細胞への幹細胞の分化を提供する条件下で幹細胞を培養することである。本発明は、結果的にホルモン産生細胞、特にインスリン産生細胞への分化を行わせるために幹細胞に与える成長および分化因子を定める。本発明は、糖尿病治療などの治療用として現在では入手できない大量のインスリン産生細胞などのホルモン産生細胞の新たな供給源を提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非インスリン産生膵臓細胞を、膵臓ホルモン産生細胞に増殖および分化可能な幹細胞に転換するための培養培地、モード、条件および方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
腺房細胞や管細胞などの非インスリン産生膵臓細胞を生体外でインスリン産生細胞に拡張および転換することを選択的に制御する能力は、糖尿病のための新たな治療体制を創造し、現在の糖尿病治療の短所の多くを排除し得る。
【0003】
糖尿病は、十分なインスリンが産生されないか、またはインスリンへの反応が減少するかの理由で、グルコースを体の細胞中に移送する能力が失われることによって引き起こされる病気である。健康な人間では、血糖の僅かな上昇はインスリンの産生および分泌を刺激する。インスリンは細胞のグルコース摂取を増進させ、血糖を最適なレベルに戻す役割がある。インスリンは肝臓と骨格筋細胞を刺激し、血液からグルコースを取ってそれをエネルギー貯蔵分子であるグリコーゲンに変換させる。また、それは骨格筋線維を刺激し、血液からアミノ酸を取って、それらをタンパク質に転換するとともに、脂肪細胞に作用して脂肪の合成を刺激する。糖尿病では、血流はグルコースで飽和状態とはなり得ても、グルコースはこれを必要とし利用する細胞内の部位に到達できない。その結果、体の細胞は必要なエネルギーについて飢えることになり、不十分に制御されたインスリンに依存する糖尿病をもつ多くの患者には疲れた外見をもたらすものとなる。
【0004】
インスリンが発見され、それを糖尿病治療のために使用される前には、飢餓と、当然これに続く死とのみがもたらされるものであった。今日のインスリン治療でも、インスリンの過剰な投与によって死に至ることがある。過剰な投与は、グルコースの摂取によって反転されない場合、極端な低血糖性反応および昏睡をもたらし、死に至らしめるものである。インスリンの投与量が非常に少ない場合も死に至ることがある。適切かつ迅速に治療されない場合、投与量が非常に少ないとケトアシドーシスにつながり、昏睡と死をもたらすことになるのである。
【0005】
今日、糖尿病患者に有効な治療のおかげで糖尿病は一般的に不治の病ではなくなっているが、体の時々刻々のインスリン産生とグルコース代謝の正確な制御とに代わり得る標準的治療法はない。この結果、糖尿病患者における平均血糖レベルは概して高いままとなる。慢性的に高い血糖レベルは、時間がたつにつれて、多くの長期にわたる合併症を引き起こす。糖尿病は、失明、腎不全、心臓病や卒中の速い進行、壊疽および切断、性的不全の主な原因であり、患者の全体的な平均余命を10年から20年減らしてしまうものである。
【0006】
糖尿病は世界で最も一般的な慢性病の一つである。米国においては、糖尿病がおよそ1600万に影響を与えており、これは45歳以上の成人人口の12%を超えている。新たな患者は1年あたりおよそ15万人ずつ増加している。臨床の糖尿病患者に加えて、およそ2000万人が耐糖能異常の兆候を示している。これらの人々は、健常者と明らかな糖尿病患者との間の、ボーダーラインの糖尿病患者である。それらの多くがいずれ糖尿病になり、いくつかの推定では糖尿病の潜在的患者数は3600万、すなわち45歳以上の成人人口の25〜30%にもなるとされている。
【0007】
糖尿病およびその合併症は現代社会に多大な社会経済的衝撃を与える。今日、米国でヘルスケアに費やされるおよそ7000億ドルうち、およそ1000億ドルが糖尿病とその合併症を治療するために費やされている。糖尿病の発生率が上昇しているので、困難に対処する方法を迅速に取らない限り、ヘルスケアのコスト総額の絶えず増加する部分を糖尿病ケアのコストが占めることになろう。糖尿病の医学的、情緒的および財政的な代価は莫大であり、これは糖尿病に苦しむ者の数の増加と共に増大する。
【0008】
糖尿病は2つの異なったタイプに分けることができる。タイプ1の糖尿病とタイプ2の糖尿病である。タイプ1の糖尿病は、循環インスリンによってはほとんど、もしくは全く特徴付けられず、それは幼年期か思春期に最も一般的に現れる。それはインスリンを産生する膵島のベータ細胞が破壊することで引き起こされる。タイプ1の糖尿病にはベータ細胞に対する自己免疫性攻撃を伴う遺伝的素因がある。これがいくつかの、今のところ未知の環境的イベント、例えばウイルス感染や非感染性物質(毒素あるいは食物)などによって開始される。これらが免疫システムの引き金となり、患者の膵臓中のベータ細胞に反応して破壊する。タイプ1の糖尿病をもたらす発病のシーケンスは数ステップから成ると考えられている。まず第1に、遺伝的感受性が発病プロセスの開始のための基本的な要件であると考えられる。第2に、ウイルスや毒素あるいは食物などの非感染性物質が介在した環境的な発作が第3ステップの引き金となる。第3ステップとは、遺伝的傾向のある個体の膵島(insulitis)における炎症反応である。第4ステップはベータ細胞の交代(alteration)あるいは変質(transformation)であり、それらはもはや免疫システムによって「自己」として認められず、異質細胞すなわち「非自己」として見なされることになる。最後のステップは「標的にされる」ベータ細胞に向けられる本格的な免疫反応の進行である。このステップを通じ、細胞性免疫メカニズムが細胞傷害抗体と協働して、インスリン産生ベータ細胞の破壊を行う。この免疫の攻撃にもかかわらず、しばらくの間は、免疫システムによる破壊に対して有利な状態を保つに十分な速さで新たにベータ細胞が生成され、十分な数のベータ細胞が血糖レベルを制御するために存在している。しかしながら、徐々にベータ細胞の数は減少して行く。ベータ細胞の数が臨界レベル(通常の10%)まで下がると、もはや血糖レベルを制御することはできず、インスリン産生の完全な破綻はほとんど必然のものとなる。機能的なインスリン産生障害の後でもベータ細胞の再生は数年間は続くと考えられているが、細胞は成熟してゆく段階で破壊されてしまう。
【0009】
タイプ1の糖尿病を持つ人が生き延びるためには、毎日数回のインスリン注射を行い、1日あたり複数回の血液検査のために指を刺して血糖をテストしなければならない。日々複数回のインスリン注射を行っても、体の時々刻々のインスリン産生およびグルコース代謝の正確な制御を適切に模倣することはできない。通常、血糖値は正常値より高く、失明、心臓発作、腎不全、卒中、神経損害、および切断を含むような合併症を引き起こす。インスリンを用いてすら、糖尿病患者の平均余命は健康な人間より15〜20年は短くなってしまう。
【0010】
タイプ2の糖尿病は、通常、中年期以降に現れて、特に肥満の者に悪影響を及ぼす。しかしながら、過去数年間、若年成人のタイプ2の糖尿病の発生は劇的に増加している。ここ数年間で、タイプ2の糖尿病の兆候を示す肥満者の年齢は40歳台から30歳台まで低下し、新たにこの病気の犠牲になる者は若年化している。タイプ2の糖尿病では、通常インスリンを必要とする体細胞は、それらの感度を失い、正常にインスリンに反応しなくなる。このインスリン抵抗性は、膵臓のベータ細胞が余分にインスリンを産生することで何年もの間にわたり克服され得る。しかしながら、血糖レベルを高めるため余分なインスリン大量に産生しなければならないので、やがてベータ細胞は徐々に疲労して行く。ついには、酷使されたベータ細胞は死に、インスリン分泌が行われなくなる。これに伴い、外からのインスリン注射によってのみ、血糖を十分なレベルに高めるための制御が可能となる。通常、タイプ2の糖尿病には高血圧とコレステロール値の異常が伴う。これらの状態は、高血糖と共に、心臓発作、卒中、および、切断に至るような脚の循環系閉塞のリスクを増大させる。タイプ2の糖尿病を治療する薬剤には、腸でのグルコース吸収や肝臓その他でのグルコース産生を低減し、ベータ細胞を直接刺激してインスリン産生量を高めるよう作用するものが含まれる。しかしながら、高レベルのグルコースはベータ細胞にとって毒性があり、機能の進行的な衰弱および細胞死をもたらす。その結果、タイプ2の糖尿病患者の多くは、外からのインスリンを必要とすることになる。最近では、インスリン治療を必要とするタイプ2の糖尿病患者が20%から40%に増加すると見積もった懸念すべき調査結果もある。
【0011】
糖尿病の他の形態は若年成人発症型糖尿病(Maturity Onset Diabetes of the Young(MODY))と称されるものである。この形態の糖尿病はインスリン産生細胞における遺伝的異常に起因し、特別なグルコース受容器を通してこの細胞に入るグルコースを処理する能力が制限されているものである。MODYをもつ患者のベータ細胞は、グルコースに正常に反応してインスリンを産生することができず、この結果高血糖症がもたらされて治療を必要とし、ついにはインスリン注射を必要とすることになる。
【0012】
インスリン依存型糖尿病のために現在利用可能な医療は、インスリン投与と、膵臓全体もしくは膵臓セグメントのいずれかの膵臓移植とに限られている。インスリン療法は膵臓移植より非常に一般的であり、通常は、複数回の皮下注射または連続皮下注射によるインスリンの投与を伴う。従来のインスリン療法では、少量のレギュラー・インスリンを添加または無添加の中間作用型インスリンを1日あたり1または2回注射することで投与する。複数の皮下インスリン注射テクニックは、中間作用型または長期作用型インスリンの投与を伴う。これは、朝および/または晩に、各食前にレギュラー・インスリンとともに単回投与として行われる。連続皮下インスリン注入は、腹壁に対しインスリンを皮下供給する小型のバッテリー駆動ポンプの使用を伴い、これは通常27ゲージのバタフライ針を通して行われる。この治療方式と共に、昼夜間を通じ基礎的レートでインスリンが連続的に供給され、食前にはレートが増加するようプログラムされている。これらの方法のそれぞれで、患者は頻繁に自らの血糖レベルをモニタし、必要に応じてインスリン投与量を調整しなければならない。しかしながら、血糖を制御するのは簡単ではない。健康食、運動による養生および適当量のインスリンの常時注射を維持することに厳しい注意を払っていても、ストレス、ホルモンの変化、成長期、病気または感染、および疲労など、他の多くのファクタが血糖制御に悪影響を及ぼし得る。タイプ1の糖尿病患者は生死にかかわる低血糖反応(低血糖値による)および高血糖反応(高血糖値による)に対して絶えず備えていなければならない。インスリン依存型糖尿病は限りない警戒を要する生死にかかわる病気である。
【0013】
インスリン投与に対し、膵臓全体の移植または膵臓のセグメントの移植によって患者の糖尿病を治療することが知られている。しかしながら、一生の免疫抑制療法が必要であることに起因し、腎臓移植が必要であるときにのみ移植が行われるのが通常であり、膵臓のみの移植は比較的まれな手術となっている。インスリン依存型糖尿病をもつ人を助け、インスリン注射を必要としないレベルにまで血糖値を改善し、長期の合併症を減らす上で、膵臓移植は非常に有効であるが、膵臓全体の移植には多くの欠点がある。最も重要なことは、膵臓移植には大手術を伴い、体の免疫システムが外来の移植物である膵臓を破壊するのを防ぐために一生免疫抑制剤の使用を必要とするということである。これらの薬剤がなければ、膵臓は数日して破壊されてしまう。これらの免疫抑制薬を摂取することのリスクは感染および腫瘍の発生が増加することにあり、双方とも本来的に生命にかかわりうるものである。手術手順に固有のリスク、移植物が拒絶されるのを防ぐために患者の免疫を一生抑制しなければならないという必要性、侵襲に関連した死亡率および罹患率は、糖尿病治療のために膵臓全体の移植を行うことに関連して重大な不利益を例示するものである。従って、インスリン注射および膵臓移植の双方に代わる手段は、公共衛生に重要な必要性を満たすものとなろう。
【0014】
膵臓全体の移植を行うよりも、島移植がはるかに簡単(かつ安全)な処置であり、失われたベータ細胞を置換することによるのと同等の効果を達成することができる。インスリン産生ベータ細胞は、胃の後ろにあって横方向に位置する細長い腺である膵臓中に分散しているランゲルハンス島において見られる。膵臓は、消化のための酵素と前酵素とを含む1.5ないし3リットルのアルカリ性の流体を総胆管に分泌する。組織学的に、膵臓は3種の機能細胞で構成されている。すなわち、a)ルーメンに酵素を分泌する外分泌細胞、b)腸まで酵素を運ぶ管状細胞、およびc)血流にホルモンを分泌する内分泌細胞、である。外分泌部分は多数の小腺(腺房)に組織化され、これらは腺房細胞として知られるピラミッド状の上皮細胞に柱状の状態で含まれている。腺房細胞は、膵臓の細胞のおよそ80%を含み、消化酵素を分泌する責任を負う。消化酵素とは、膵管システムへのアミラーゼ、リパーゼ、ホスホリパーゼ、トリプシン、キモトリプシン、アミノペプチダーゼ、エラスターゼおよびその他の様々なタンパク質などである。膵管システムは、それぞれが分泌腺房につながって支流が入り組んだように相互接続されている管のネットワークからなり、徐々に大きな管にまとまり、最終的には主膵管にまとまる。膵管システムの上皮組織は管細胞からなり、細胞種類はおよそ10%の膵臓細胞を含んでいる。管細胞形態は、分泌腺房につながる細かい小根における立方体から、主管状システムにおける高い柱状の粘液分泌まで及ぶ。
【0015】
膵臓の内分泌腺部分は約100万の小内分泌腺であるランゲルハンス島で構成され膵、外分泌腺中に点在している。島細胞は膵臓細胞のおよそ2%を含むだけであるが、島細胞は適切にインスリンを分泌することによって血糖レベルを維持する責任を負い、膵臓で最も重要な細胞である。内分泌ホルモンのタイプに従って、島細胞は7種に分類される。ランゲルハンス島のベータ細胞はインスリンを産生する。上述のように、ベータ細胞の数が不十分である場合、あるいはインスリンの分泌が不十分な場合には、基本的な理由が何であれ、結果として糖尿病となる。糖尿病患者の島ベータ細胞を再構成し、グルコース感受性のあるインスリン産生を回復できるようにすれば、インスリン注射および主要な臓器移植の双方に関連した問題を解決できる。
【0016】
島移植を外来処置で行うと、2〜3mlの純粋な島細胞の同等物を小カテーテルを通して肝臓に運ぶことができる。患者は局部麻酔下で完全に意識を保ったままである。患者は処置後すぐに家あるいは普通の活動に戻ることができる。従って、膵臓全体あるいはそのセグメントを移植する代わりに島移植を行うことで、臓器全体の移植のリスクについての多くの回避策を提供できる。しかしながら、移植に利用可能な島細胞の不足は、島細胞移植における未解決の問題として残されている。膵島は膵臓全体のおよそ2%を形成しているだけであるので、インスリンを産生しない膵臓の残部からそれらを分離するにはおよそ6時間かかる。1回の移植を実施するのに以前は5または6臓器を要していたのに対し、自動分離方法によって1人の患者に移植するために十分な膵島を1つの膵臓から分離することが可能となっているが、膵島の需要量は死体から得た臓器の供給によって現在利用できる量をまだ上回っている。米国には、臓器提供者の割合が低いことと、インスリン依存型糖尿病の発症が増大していることとの関連により、移植または島細胞分離に利用可能な膵臓はおよそ6千しかないにも拘らず、毎年新たにインスリン依存型糖尿病と診断される患者はおよそ3万5千人にもなっている(非特許文献1)。
【0017】
島細胞が不足しているという厳しい問題の1つの解決策は、他の細胞の遺伝子組み替えによりインスリンを産生させることである。インスリンを産生させるために他の細胞の遺伝子を組み換えることは、筋肉および肝細胞をプロインスリン(インスリンの前駆物質)を作り出すように変質させることができたといういくつかの成功例で既に示されている。しかしながら、これらの遺伝子を組み替えられた細胞の中でインスリンの分泌を改善するには、まだかなりの調査研究の努力を必要とし、それらのインスリン産生量が低いためにそれらを移植するにはまだ不適当である。別の策として、異種移植術、すなわち一つの種から他の種への臓器(または、糖尿病の場合は組織あるいは細胞)の移植を行うことがあるが、人間の移植を行うものとしてインスリン注射に代わる実行可能な代案となるには多くの基本的な障害に直面している。異種移植術に関連するリスクには、狂牛病(牛海綿状脳症すなわちBSE)を引き起こすようなプリオンの移送、およびPoERV(ブタ内在性レトロウイルス)のような動物レトロウイルスの伝染が含まれる。別の障害は超急性拒絶の問題である。移植にかかわる2つの種が進化論的な意義において遠ければ遠いほど、一方の種の臓器が他方の種の臓器に移植される際の拒絶プロセスは急速かつ激しいものとなり、より強力で危険な免疫抑制を行う必要が生じる。動物の膵島に遺伝子組み替えを施し、免疫システムによる攻撃および破壊に屈しにくいようにするという策は、ヒトゲノム中に数千広がっている沈黙しているヒト内生レトロウイルス系列(HERVs)に干渉するという危険がある。組み換え(recombination)によるこれらの系列の起動と、これに続くHERVタンパク質の発現は、癌や免疫システムの調節不全(dysregulation)につながり得る(非特許文献2)。結局、動物および人間の器官および細胞は様々に異なっている。すなわち、生体組織や構造、ホルモンの産生、酵素およびその他化学物質の吸収、分泌および濾過のレートにおいて、また病気への抵抗力および予想される寿命において、多くの差異があるのである。
【0018】
島細胞移植のための組織の有用性の問題を解決する別の策は、胚幹細胞ないし全能性幹細胞の分離である。全能性幹細胞は体の中のいかなる他のタイプの細胞にもなることができる細胞であり、臓器全体に組み込むことができる。このタイプの幹細胞を使用し、糖尿病のための移植の需要にこたえるのに必要なだけ多くの島を育てることに関する問題は、妊娠中絶もしくは体外受精によってそれらが調達されることにあり、本来的に倫理上および政治上のリスクがある。その上、全能性幹細胞を通常のインスリン産生細胞に分化させる技術は、必要とされるだけ大量の通常のインスリン産生細胞へのルーチン分化させることに関して完成されておらず、制御することもできない。通常のベータ細胞中でインスリンの分泌の引き金となるグルコース濃度の増加に対応してインスリンを産生する能力に関して、通常の島ベータ細胞のようには振舞えないということが示されている(非特許文献3)。結局、治療目的で患者に胚幹細胞を使用することは、腫瘍が成長するという固有の危険をもたらす。マウス胚幹細胞は、これを成体マウスに注入すると発癌性を示し、ヒト胚性幹細胞を免疫のないマウス(immune incompetent mice)に注入した場合も同様に発癌の可能性がある。胚幹細胞の使用を可能とするには、発癌の可能性を排除する目的で、所望どおりに分化した子孫(desired differentiated progeny)から未分化の幹細胞を分離するという、重大にして未だ得られていない前提条件を必要としている(非特許文献4)。
【0019】
従って、全世界で数百万にも及ぶ糖尿病患者を治療するための大量の非発癌性ヒトベータ細胞に関し、重大にして未だ得られていない医学上の必要性が存在している。臨床的に関連のある幹細胞に変化する膵臓の腺房細胞や管細胞など、容易に利用可能な出発原料からヒトベータ細胞を大量に産生のための策を講じることは、現在のアプローチで直面している障害を克服し得る。
【0020】
一次膵臓細胞から始めてそれをインスリン産生細胞に変化させることに関連した従来技術を検討すると、対象とする出発細胞に基づく3カテゴリーについての実験となる。すなわち、島細胞か、管細胞か、腺房細胞か、である。島細胞から始め、体外で島細胞集団に成長および拡大するという多くの従来実験がある。本質的に、これらのアプローチのすべては、精製した島を分離し、それらを接着性の培養システムに広く置き、島が島という表現を失って単一細胞としてプレートアウトされるようになし、集団に成長してゆくようにしている。直接的に分化した島細胞複製物を体外で得ようと努力しても、分化状態を維持しながら島細胞集団を増殖させることについて限られた性能しか発揮しない場合がほとんどである。これらの研究結果をまとめたところ、ほとんどの状況では、これらの接着島細胞の培養期間後に、島という形態を失ってより原始的な細胞タイプに分化しており、特徴に乏しく、しばらくの間体外において広がるだけである。さらに、これらの細胞は培地を失うと例外なく老化を始める。
【0021】
【特許文献1】米国特許第5,834, 308号明細書
【特許文献2】米国特許第6,001, 647号明細書
【特許文献3】米国特許第6,326, 201号明細書
【特許文献4】US Patent Application (20020155598)
【非特許文献1】Hering, B. J. & Ricordi, C. (1999) Graft 2,12-27)
【非特許文献2】Romano et al., Stem Cells 2000; 18: 19-39
【非特許文献3】Vogel, Science, 2001 292: 615-617
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
これらのより原始的細胞が島に再分化するのは非常に困難であることが検証されている(Nielson(1992年)、Brelje(1993年)、Bonner Weir(1993年)、Otonkoski(1991年)、Otonkoski(1994年))。しかしながら、1つのアプローチ((Cornelius(1997年))においては、NODマウスからの島培地は、プレートティングを許容し、その後数週間媒質を変えることなくそのままとされている。同定不十分の上皮細胞型の数細胞が生き延びており、これらが増殖性を示すまでに成長し得ること、培養条件および試薬のステージが異なれば島細胞に分化し得ることが示されたに過ぎない。その結果としての特許文献1および特許文献2では、これらの不十分に記述された上皮細胞が幹細胞として特許請求の範囲に記載されており、それらの分離、成長およびインスリン産生細胞への発達にはその培養方法が必要であるとしている。その膵臓細胞接着培養によって幹細胞の存在が示されているが、細胞を飢えさせて最小限の細胞を生き延びさせ、成長させ、および島細胞に分化させるという技術には問題がある。この手順がヒト細胞に応用できること、および、かかるスケールアップを行いつつ臨床用製品としての必要性からこれらの島細胞を分化した形態に維持することを示す証拠はない。よって、本出願人は本発明のような他の代替的アプローチに転換した。これは、拡張されてインスリン産生細胞に分化可能な幹細胞を形成するために、一次島細胞からスタートするのではないという点で大きな差異がある。そのようにする代わりに、本出願人は非インスリン産生膵細胞からスタートし、これを幹細胞に変え、それを拡張して島細胞に分化させるものである。
【0023】
他の例では、接着性培地(Kerr-Conte(1996年))を使用するのではなく、島細胞はMATRIGEL、コラーゲン、またはアガロース中に置かれる。この結果、島組織の退化を伴う胆嚢管構造の形成と、管構造および管形態の細胞の成長ないし分化とがもたらされる。本願発明者らも、分離したヒトの島をMATRIGEL中に置き、分化した島細胞集団に置換する幹細胞の誘発を確かめた。特にHGFが存在していると、別の母組織もまた島細胞を管細胞に変換し得るが(Lefrbvre(1998年))、しかしここでも島を作ることはできなかった。これらの構造から島細胞を形成することがその特許請求の範囲に記載されているが、それが出発組織内に存在していた残余の島組織に由来するものか、あるいは新たなインスリン産生細胞に由来するものかに関しては明らかではない。管構造および島細胞はまた、今のところ明確に同定されていない幹細胞からも発育し得る。
【0024】
検討した次のアプローチは、膵管細胞からスタートして新たな島細胞を形成する能力を判定することである。それは、胎児の膵臓の発育と、病気や操作によって損傷した成人の膵臓とを双方観察したことに基づくものである。管状構造を出芽する新たな島を観察した者がいて、これが次のようなアイディアにつながった。すなわち、胎児の発育あるいは、成人の膵臓における島集団の損傷または損失によって活性化され得る管状構造に関連した膵臓の幹細胞があるということである。
【0025】
ヒトの膵臓からではなくマウスおよびラットの膵臓から分離精製した管構造からスタートすると(Fungの特許文献3)、単細胞は体外で単層を形成し始める。それらの大部分は線維芽細胞および間質細胞の混合物である。ついには、これらの接着培地において数個のインスリン産生細胞が現れ始めるが、しかし単層内では低レベルのままである。2,3の成長因子を加えても、単層内でのインスリン細胞の増加は最低限である。しかしながら、単細胞から非接着細胞(non-adhering cells;NAC)と称される細胞群までが出現し始め、単層培地上に浮き出る。これには島ホルモン細胞タイプが含まれている。採取前に成長因子をパルス状に用いることで、これらのNACを増加させ得る。pdx1の陽性細胞についても記載され、そのいくつかはベータ細胞にとって必要なインスリンを含んでいる。pdx1以外には、前駆細胞があることに触れているだけである。NACはまた、グルコース刺激によるインスリン放出を示すことができる。異なる成長因子を単層に加えることもでき、形態変化とともに増殖を誘発することもできる、とされている。製造時に前駆物質を精製するためにレクチンを使用することが記載されている。従ってその結果、大きな膵管から膵管細胞を精製する能力が裏付けられ、前駆細胞に脱分化させ、特定の方法でインスリン産生細胞に分化させるようにすることができるとされている。本発明はFungによるものと大きく異なって、ヒト膵細胞からスタートしており、かつ精製した管構造からの分離も行わない。実際、Fungは膵管組織からのみ管細胞を作ることを特許請求の範囲に記載しており、主膵管、副膵管、背側膵管および腹側膵管を含むものと定義している。また、小葉間導管および介在導管(intercalated duct)を別のものとして分離して定義しており、Fungに言う膵管の定義には含まれていない。本願の出発膵臓組織にはFungが膵管として定義した組織は含まれていない。これらの比較的大きな構造およびその部分は、細胞分離プロセスを通じた本願における前処理で選別除去され、出発物質の組織学的部分には見られないからである。CK19について積極的に触れた唯一の膵管組織は腺房細胞の集合内に位置する介在導管であり、腺房細胞に完全に囲まれている。
【0026】
従って、本願の出発膵臓細胞は、腺房細胞、腺房細胞に囲まれた介在導管細胞および間質細胞の混合物であり、出発細胞の混合物から島を精製した後に採取され、出発膵臓細胞内にはごく僅かな島細胞が残るだけである。加えて、本願の培養テクニックは上記したその他の培養モードとは大きく異なっており、多様な媒質や成長因子についても大きな差異がある。これらについては後述する。
【0027】
他の例としてはBonner-Weirによるもの(2000年)がある。ここでも管エンリッチの膵臓組織からスタートしている。その述べるところによると、彼らのアプローチは出発膵臓細胞とともに実際に働かせていない。本願では出発膵臓細胞を用いている。彼らの培養方法もMATRIGELに依存しているが、これは、新たな細胞をインスリン産生細胞に移動させ、形成することを許容する本願の主たるアプローチの対象ではない。
【0028】
大量のインスリン産生細胞へと進展させる第3のアプローチは、腺房細胞からスタートすることである。腺房細胞を用いる先例のほとんどは、培地においてその形態を維持し、これらをより理解しようとするものであった(Oliver(1987年)、Brannon(1988年))。そして膵臓癌細胞を理解する試みにおいては、前述したように腺房細胞が明白に数種の管細胞に変化する能力と管細胞とに注意が向けられていた。腺房細胞をタンパク質ゲル内で培養することについては、この培地内で腺房細胞が特有の細胞マーカを失い、6〜12日間の培養で管細胞と同様のマーカをピックアップする現象をLisleおよびLosdonが述べている(1990年)。ここでは自身のモノクローナル抗体が用いられているが、培養を続けるとその後は自らの元の腺房細胞マーカに戻っている。
【0029】
また、膵癌に関心を向けると、HallおよびLimoineはプラスチックの皿上での腺房細胞の培養について述べ、5〜10日以上間変化させた細胞は管細胞マーカCK19の1つを発現し始めるが、3週間で死滅するとしている(1992年)。AriasおよびBendayanは、MATRIGEL上で形態を維持させながらラットおよびモルモットの腺房細胞を培養したが、1週間で細胞が失われた(1993年)。2%のDMSOをMATRIGEL内の腺房細胞の培地に加えることで、管状細胞の形態に変化し、MATRIGEL内で嚢胞と細管を形成し始めた。加えて、嚢胞構造で細胞がCAIIを発現し始めたとき、管細胞が用いる特定の酵素が重炭酸塩と水を放出した。プロテイン・インヒビターはダクト様表現型への変化を妨げた。MATRIGELとDMSOとの組み合わせが、脱分化した島細胞を、より原始的な段階を通し、さらにそれらを分化させて、機能的なマーカおよび3次元構造を形成する能力をもつ成熟した管細胞にさせたものと思われる。そのメカニズムには、幹細胞がかかわったかどうか、またはこれが分化転移(transdifferentiation)を表したかどうかに関しての疑問が生じた。
【0030】
次に、Bouwensは、ラットの新生児における潜在的管細胞マーカについて研究し、CK7は大きな膵臓管細胞についてのマーカではあったが、CK19は腺房の房心細胞、介在管およびより小さい管に表れたことを述べている(1994年)。ラットに特有の他のマーカ、すなわちCK20はCK19と同様の細胞をマークした。またBouwensは、増殖が進行する一方で、拡張する島近傍の数細胞がCK19またはCK20を発現したことに注目した。Vilaは、プレート上で培養したマウス膵臓細胞を調べて、ヒト腺房細胞は始めはCK18を発現するが、時間がたつにつれてアミラーゼレベルが落ち、CK7およびCK19を発現するように変わったことを証明した(1994年)。また、ムチン1の表示は、管細胞の塩化物トランスポータについての他の管細胞のマーカ(CFTR)と同様に上昇した。ここでも、その変化のメカニズムが分化転移を表すのか、あるいは幹細胞がかかわっているのかに関して疑問が生じた。HGFおよびTGFa曝露の双方がこれらの細胞の増殖を引き起こしたことも見出され、幹細胞がその原因となり、また膵臓の腺管悪性腫瘍の進行によって生み出されうることが示唆されている。しかし、インスリン産生は全く観測されなかった。
【0031】
Kerr-Conteは精製したヒトの膵島をMATRIGEL内に置くことで、小さな芽のような島細胞を含んだ胆嚢管状の構造が作り出されることを証明した(1996年)。この研究からは、これらの管状細胞が何を原因として明確に増殖可能なものとなるのかについては明らかではないが、島細胞の増殖の証はがなかった。また、前述したように、これらが管状細胞に脱分化する島細胞となり得ることの示唆はあるが、分化細胞が増殖しない一方でこれらの細胞が増殖する能力は、これらの細胞が幹細胞に相当する可能性を高める。しかし、インスリン産生は全く観測されなかった。
【0032】
Bouwensは、管、腺房または島分化細胞のいずれかから脱分化した細胞の増殖を引き起こす幹細胞の役割に対する分化転移の可能性を比較した(1998年)。彼は異なる細胞タイプの表現を示す細胞マーカに起因した分化転移メカニズムを肯定しているが、その主な理由は、これらの細胞についての最も信頼できる幹細胞マーカがまだ開発されておらず、それらを明確に同定することができなかったからである。また、彼は、間接的な証拠があれば幹細胞の存在を容易に示唆できることと、特定のマーカがまだ完成していないだけであることを認めた。しかし一方、彼の検査でもインスリン産生は全く観測されなかった。
【0033】
Kerr-Conte(2000年)および特許文献4は、最終的に分化したヒト膵臓細胞をより原始的な細胞タイプに変化させる能力を主に説明するものとして「多分化能の膵臓の幹細胞」の存在を示唆している。より原始的な細胞タイプとは、拡大し、最終的に分化した他のタイプの特定の細胞に分化する能力を有するものである。この幹細胞に受容されるマーカとして、CK19およびpdx1をともに発現する管状細胞が幹細胞であることが示唆されている(Fungも同様にこれを示唆している)。ヒト腺房細胞および管細胞の混合物が接着性培地内で培養され、当該結果物である平坦にして単層とした管状細胞においてはアミラーゼの損失、CK19の増大およびpdx1の増大が見られるとされている。しかしここでは、インスリン産生細胞への変換を示すことはできず、神経内分泌細胞マーカであるクロモグラニンAの新たな発現を示し得ているだけである。事実、インスリン産生細胞の前駆細胞の証拠となるようなpdx1およびCK19で染めた細胞(pdxl and CK19 stained cells)についての請求の範囲は、Fungおよび本出願人と一致しており、幹細胞の存在についても同様である。しかし、これらがインスリン産生細胞であるとした当該特許出願におけるクレームは、それ自身の図4および図5に示されたデータでは証明されないままであり、それらの変換された細胞によってインスリン産生が増大したことの直接的な証拠を提示するものではない。よって、幹細胞の存在は証明されたものの、インスリン産生細胞への分化は証明されていないのである。これが本発明と比べられる大きな差異であり、本発明者らはインスリン産生細胞の生成を明確に証明する。これら2つの文献における方法は、島の内容で減少した単一の膵臓細胞を用い、単層内で培養して腺房表現型を腺管前駆物質と称される管状表現型に変えている。その定義によれば、これらの腺管前駆細胞はインスリン産生細胞に分化する能力を有している。腺管前駆細胞をMATRIGELまたはコラーゲンのマトリックス中に置くことで再分化を試みている。腺管前駆細胞に増殖能力があることは明らかに証明されているが、当該特許出願ではインスリン産生細胞を新たに形成することについては証明されていない。
【0034】
当該技術と本発明とは大きく異なっている。本発明において、非インスリン産生膵臓細胞の表現型(phenotype)を幹細胞に変換する第1ステップは、いくつかの異なる培養モードにおいて、いくつかの異なるタイプの成長因子を用いる接着培地に加え、いくつかの異なる媒質を用いることができる。中間物である、より根本的な細胞として複製される能力が示すように幹細胞が形成される。より根本的な細胞は、この幹細胞を同定するよう受容されるだけのマーカを運ぶ。このマーカは複製細胞におけるCK15およびpdx1発現と同様の細胞マーカである。上記技術の第2ステップではインスリン産生細胞は生成されない。本発明の第2ステップでは続いて、異なる成長因子および条件のセットによってこれらの幹細胞がインスリン産生細胞に分化し、異なる細胞培養モードにおいてもこれが証明された。本発明はまた、上記文献および特許出願に記載されたものよりも複合的な成長および分化因子を用いている(表???)。以下では、本願の新規なインスリン産生細胞が組織学的および機能的に正常であることも示される。本発明で用いる幹細胞の定義は米国国立医学図書館(National Library of Medicine)の定義に基づくものであり、ここでは最終段階まで分化しておらず、複製されるものであり、2以上の種類の分化細胞に分化可能な細胞、と定義されている。本願の一例では、出発非インスリン産生膵臓細胞は第1セットの培養条件下で幹細胞に変換され、それがCK19およびpdx1マーカを複製して搬送する。続いて、これらの幹細胞はインスリンやグルカゴンなどのホルモンを産生する島細胞へと分化可能であり、後述のように分離した分化条件下では管構造へも分化可能である。
【0035】
定義:以下の定義の多くの全体的な出所は、OMIM、全米バイオテクノロジー情報センター(National Center for Biotechnology Information)、国立医学図書館、国立衛生研究所(National Institutes of Health)である。
【0036】
腺房細胞・・・膵臓の80%を形成し、アミラーゼ、リパーゼ、トリプシン、キモトリプシン、エラスターゼおよびその他の多くのものを含む多くの異なった酵素を作り出す。腺房細胞は、酵素の内容、CK18などの特定のサイトケラチン(cytokeratins)、および表面サイログリコプロテイン(sialoglycoproteins)に対するレクチンによって特定することができる。腺房細胞は分極した細胞からなる腺房と呼ばれる膵臓内の周辺構造を形成し、各腺房の中心に位置する小さい集中介在管(centralized intercalated duct)に酵素産生物を放出する。多くの腺房細胞は、始原細胞(primary cells)の検査時にいつでも2つの核を含んでいる。
【0037】
管細胞・・・膵臓の10%をなし、より大きい小葉間の管、および小葉内管を形成する。最小の介在管と同様は腺房から膵臓酵素を排出する。また、管細胞は重炭酸塩および水を作り出して酵素を希釈し、管状構造から腸へ放出することで腸のpHを変える。管細胞はCK19などのサイトケラチンの特殊型、および重炭酸塩産生について反応する酵素によって特定することができる。
【0038】
島細胞・・・膵臓の2%をなす内分泌細胞であり、島と称される分離した細胞集合として存在し、異なるホルモンを作る異なる細胞型を含んでいる。島集団の50〜60%がベータ細胞であり、体のほとんどの細胞へのグルコースの進入を許容するインスリンを作り出す。島の30%はアルファ細胞であり、空腹時に放出されて肝臓からのグルコース供給を許容し、正常な血糖レベルを維持するグルカゴンを作り出す。デルタ細胞(島細胞の10%)はグルコースレベルの微調整を行うソマトスタチンを作り出す。膵臓ポリペプチド産生細胞(島細胞の5〜10%)はそのホルモンを放出し、外分泌および胃腸の機能を変える。これらの主要な島細胞型に加え、GIP、VIP、ガストリン、ボンベシンおよびその他を含む他のさまざまなホルモンを作る他の島細胞型がある。さらに島は、豊かな毛細血管床としての有窓内皮を含んでおり、ここを通して島細胞がそのホルモン産生物を放出する。
【0039】
膵臓細胞・・・人間のドナー(または、他の哺乳類)からの主要な膵臓細胞であり、腺房、管および島細胞型が含まれ、支持および血管細胞も含まれる。
【0040】
島枯渇膵臓細胞・・・こなされた膵臓細胞の検査液から不連続または連続の濃度勾配を用いて島を分離した後に残っている細胞。この集団は、主たる腺房細胞(>90%)と、腺房集団内の少量の介在管、血管および神経組織と、残余量の島汚染物質とを含んでいる。
【0041】
膵臓腺房・・・小さな周辺腺房細胞構造のいくつかであり、その酵素産生物を中央腺房領域に注ぎ、これは介在膵臓管に注ぎ込む。
【0042】
介在管・・・膵臓の腺房ないし細管であり、小葉内管への排出を行う。
【0043】
小葉内管・・・介在内管からの膵液を集め、小葉間導管への排出を行う。
【0044】
小葉間導管・・・小葉内管から膵液を集め、膵管への排出を行う。
【0045】
膵管・・・最大の管であり、主膵管、副膵管、背側膵管および腹側膵管を含む。
【0046】
幹細胞・・・最終段階まで分化しておらず、複製可能で、2種以上の分化細胞に分化可能な細胞。
【0047】
細胞の成長・・・細胞質分裂に続く細胞のDNAの複製であり、BrdUまたはトリチウム化したチミジン取り込み反応またはK167によって証明可能である。
【0048】
細胞の拡張・・・肥大による単なる拡大よりむしろ、細胞分裂を通じて個数および全体的な量(mass)が増加した細胞の数を定義するのに用いられる。
【0049】
増殖・・・新しい部分または子孫の急速に反復される生成(細胞分裂が急速に連続することによる細胞の量に関して)。
【0050】
細胞の肥大・・・細胞の拡大を定義するのに用いられ、細胞分裂による増殖よりもむしろ細胞の容積が増すことを言う。
【0051】
細胞のサイクル・・・細胞の成長サイクル。細胞サイクルにある細胞は、休止状態(G0フェーズ)から脱して、その内容物を複製し、2つに分裂している。
【0052】
分化・・・細胞が前駆レベルまたは基本ないしは一般的機能からより特定の機能を持つものになることを宣明するのに用いられる。
【0053】
分化転移(transdifferentiation)・・・細胞が規定機能のレベルから他のものに変化することを宣明するのに用いられる。
【0054】
脱分化・・・細胞が規定機能のレベルから、機能規定のより少ないものまたは基本細胞になることを宣明するのに用いられる。
【0055】
全能・・・完全な生命体に成長できる、またはその細胞もしくは組織のいかなるものにも分化できること。
【0056】
多分化能・・・1)発育可能性に限らず、多能性細胞または多能性胎児組織など発育柔軟性を有すること。2)2以上の器官または組織に作用する可能性。
【0057】
成長因子・・・細胞複製を引き起こす多くの成分を含む。表皮性GF(EGF)および血管内皮GF(VEGF)などの一般的なGFがある。また、作用がより特殊なGF、例えばインスリンのように作用するGF1(IGF1)や、赤血球前駆物質上の赤血球生成促進因子もある。
【0058】
分化因子・・・細胞型の特定の分化を引き起こしうる多くの成分が含まれる。島細胞、腺房細胞、および管細胞に対する特定分化因子がある。腺房細胞に関するものの例はデキサメタゾンである。
【0059】
脱分化因子(DDF)・・・島細胞、腺房細胞、および管細胞に対する因子があり、細胞が分化した機能を失い、系統(lineage)においてより低いレベルの機能に変化することを許容する。
【0060】
マトリックス・・・ヒドロゲルまたは重合可能な物質を定義するのに用いられ、異なる条件下で培養のために細胞を所定位置に保持する。MATRIGEL、コラーゲン、アルギネート(alginate)および他のものが含まれる。
【0061】
組織培養フラスコ、皿またはプレートの支持体・・・特別なタイプのプラスチックまたはガラス面を定義するのに用いられ、細胞を成長させるのに用いられる組織培養フラスコ、ペトリ皿または培養プレートのいずれかの形状である。これらの面は接着性または非接着性の細胞の成長を促進または阻止するために用意される。
【0062】
被覆培養フラスコ、皿またはプレートの支持体・・・化合物の薄層で被覆され細胞培養皿。
【0063】
浮遊培養・・・化合物の薄層による支持やマトリックスがない状態で組織培養媒体内に細胞を浮遊させること。
【0064】
アルファトコフェロール・・・化学的トコフェロールであるいくつかの脂溶性ビタミンのいずれであってもよく、様々な脊椎動物の食物に不可欠なものである。これがないと不妊症、筋肉の退化、血管異常につながる。特に麦芽、植物油、卵黄および緑色葉菜中に見出されるか、または人口的に作り出される。主に動物の飼料として、および酸化防止剤としても使用される。
【0065】
アポトランスフェリン(Apotransferrin)・・・希突起膠細胞によって作られるタンパク質であり、細胞生存に必要で、細胞分化にかかわる。
【0066】
心房性ナトリウム利尿ペプチド・・・有効なナトリウム利尿および血管拡張ペプチド、または、通常の前駆物質から得られる、および心房で分泌される異なるサイズの低分子量ペプチドの混合物。
【0067】
ビオチン・・・ビタミンB複合体の無色の結晶性成長ビタミン、C10H16N2O3S。特にイースト、肝臓および卵黄に見られる。
【0068】
BSA・・・(ウシ)血清アルブミンは単量体のタンパク質であり、血液の血清タンパク質のおよそ半分を含む。生体内で細胞外液量を安定させる役割を果たし、ステロイド、脂肪酸およびいくつかのホルモンのためのキャリアとして機能する。
【0069】
Cナトリウム利尿ペプチド(CNP)・・・ナトリウム利尿ペプチド族の1つである22-アミノ酸ペプチド。内皮および腎細胞オリジンから生じ、選択的心血管作用(selective cardiovascular actions)をもつ。
【0070】
CAII・・・炭酸脱水酵素タイプII。管細胞が用いる酵素であり、重炭酸塩を作るためのものである。これは膵管内に分泌されて、胃で生じた十二指腸内の酸を中和する。
【0071】
パントテン酸カルシウム・・・白い粉末状の塩、C18H32CaN2O10。人工的に作られ、パントテン酸の源として用いられる。
【0072】
カルニチン・・・第4アンモニウム化合物、C7H15NO3。特に脊椎動物の筋肉に存在し、ミトコンドリア膜を通した脂肪酸の移送にかかわる。
【0073】
カタラーゼ・・・ヘマチングループをもつタンパク質複合体からなる酵素であり、過酸化水素を水と酸素に分解する触媒作用を及ぼす。
【0074】
CCK・・・コレシストキニン。脳と腸のペプチドである。腸内における膵臓の酵素の放出および胆嚢の収縮を生じさせる。インスリン分泌を促す能力がある。CCKペプチドは多様な分子の形態で存在し(例えば硫化CCK8、非硫化CCK8およびCCK4)、それらはCCK遺伝子産物の個別のポストトランスレーショナル処理(posttranslational processing)の結果得られる。
【0075】
CFTR・・・嚢胞性線維症の膜貫通型コンダクタンスレギュレータ(CFTR)であり、クロライド・チャネルとして機能する。CFTRの遺伝子における変異が嚢胞性腺維症を引き起こすことが発見された。CFTRの変異は、膵臓、腸腺、胆管の階層(biliary tree)、気管支腺、および汗腺の外分泌機能に影響を与える。
【0076】
CGRPアルファ(カルシトニン遺伝子関連ペプチド)・・・血液の中のホルモンカルシトニンの量を測定するテスト。
【0077】
コレラ毒素Bサブユニット・・・コレラ毒素の無毒のサブユニットBはタンパク質複合体に重要であり、ガングリオシドGM1のペンタサッカライド鎖を介して細胞表面にタンパク質が結びつくことができるようにする。
【0078】
CK19・・・サイトケラチン19は既知の最小の(40−kD)酸性ケラチンであり、不水溶性中間フィラメント族の1つである。ある種の上皮および上皮性腫瘍を同定するためのマーカとして、異なるサイトケラチンが用いられる。CK19は、多くの導管上皮および腺上皮を含め多種の上皮細胞中に見られる。膵臓においては、導管上皮には存在するが、内分泌腺および外分泌腺細胞にはない。
【0079】
CK19+細胞・・・サイトケラチン19は、培養時に上皮細胞中に、特に膵臓組織からの「中間の」すなわち分化転移細胞中に現れる。
【0080】
コルチコステロイド・・・様々な副腎皮質ステロイド(コルチコステロン、コルチゾンおよびアルドステロンとしての)のいずれであってもよい。それらの主な生物活性に基づいてグルココルチコイドおよび電解質コルチコイドに分けられる。
【0081】
コルチコステロン・・・副腎皮質の無色の結晶性コルチコステロイドC21H30O4であり、タンパク質および炭水化物代謝に重要である。
【0082】
コルチコステロン(ライヒシュタイン物質H)・・・副腎皮質の無色の結晶性コルチコステロイドC21H30O4であり、タンパク質および炭水化物代謝に重要である。
【0083】
Cペプチド・・・Cペプチド("connecting" peptide)はプロインスリンから成熟した(mature)インスリンへの変換後に放出される短いポリペプチドである。その分子量は3,582Daである。
【0084】
サイクロデキストラン・・・2−ハイドロプロピル−ベータ−サイクロデキストリン。疎水性物質の可溶化を容易にする組織培養媒体添加物。
【0085】
DIF−1/ディファアニソール(Differanisole) A・・・分化誘発因子1(DIF−1)はDictyosteliumから分離した塩素化ヘキサフェノン(chlorinated hexaphenone)である。DIF−1は数種の哺乳類の腫瘍細胞に抗腫瘍活性を示すが、基本的なメカニズムは知られていない。Dictyostelium discoideumのモルフォゲン(DIF−1)の構造は、Differanisole Aのものと非常に類似している。ネズミ科およびヒト科の非分化腫瘍細胞の分化誘発因子として、単純な真核生物(Chaetomium)の代謝物質から分離された。
【0086】
DLアルファ酢酸トコフェロール・・・高いビタミンEの有効性があるトコフェロール、C29H50O2。
【0087】
DMF(n−n−ジメチルホルムアミド)・・・細胞分化に影響する。酸性化率の抑制は減退した代謝性酸生成(decreased metabolic acid production)に起因していると思われる。H+の生成および移送を変えることは細胞分化への効果に寄与する。
【0088】
DMSO−ジメチルスルホキシド、(CH3)2SO・・・細胞分化を引き起こすことが知られている物質であり、溶剤、生きた細胞の凍結に対する凍結保護物質、間質性膀胱炎の治療用の抗炎症剤物質でもある。
【0089】
DMSO(ジメチルスルホキシド)・・・間質性膀胱炎の治療に用いられる抗炎症剤物質、(CH3)2SO。
【0090】
EGF・・・上皮成長因子は外胚葉および中胚葉の双方を起源として培養した様々な細胞のための有効なマイトジェン因子であり、生体内で特定の細胞の分化に対して甚大な効果を持つ。完全なEGFは、53のアミノ酸からなり約6,000の分子量をもつ単鎖ポリペプチド(single-chain polypeptide)である。
【0091】
エンドセリン1・・・21のアミノ酸残基からなるいくつかのポリペプチドのいずれであってもよく、様々な細胞および組織で作られ、血管運動神経活動の調節、細胞増殖およびホルモン産生の役割を果たし、血管系の病気の進行にもかかわっている。
【0092】
エタノールアミン・・・特に油脂の溶剤として用いられる無色の液体アミノアルコールC2H7NO。モノエタノールアミンとも呼ばれる。
【0093】
エキセンディン4(Exendin 4)・・・長期作用するGLP−1の類似物。
【0094】
FACS・・・蛍光発色セルソーター。
【0095】
FCS・・・ウシ胎児血清。生まれる前の雌牛から回収される。
【0096】
FGF・・・FGF超科は23の既知の構成要素から成り、そのすべて保存された(conserved)120のアミノ酸領域(amino acid region)を含む。元来FGFは、増殖性活動を持つものとして認識された。現在は発生、脈管形成、造血および腫瘍発生に相当の役割を果たすものと考えられている。FGFの同形体(isoform)のほとんどすべてには、他の同形体の受容体を活性化する能力がある。これは異なるFGF亜類型によって生じた同様の効果の説明になる。
【0097】
FGF2・・・線維芽細胞成長因子2(FGF-basic)は、広域スペクトルのマイトジェン、血管由来および神経栄養因子である。これは多くの組織および細胞型において低いレベルであらわれる。FGF2は、手足の発育、脈管形成、創傷治癒および腫瘍成長を含め、多くの生理的および病理的プロセスにかかわっている。
【0098】
ガラクトース・・・光学活性の糖、C6H12O6。グルコースより可溶性がなく、また甘くなく、右施性、左施性およびラセミ化合物の形態のものが知られている。
【0099】
GLP(グルカゴン様ペプチド(Glucagon like-peptide))-1・・・プレプログルカゴン分子から得られた30のアミノ酸ペプチドである。GLP-1はグルコース糖分泌および合成を増進する。膵臓ベータ細胞のグルコース「適性(competent)」を提供し、非インスリン依存性糖尿病の治療に有用である。
【0100】
GLP-2・・・GLP-2はプレプログルカゴンから得られた33のアミノ酸ペプチドである。GLP-2は胃の運動性および栄養物吸収、隠れた細胞の増殖(crypt cell proliferation)およびアポトーシス、および腸の透過に及ぼす効果を通じ、腸の粘膜上皮の完全性を維持する。
【0101】
グルコース・・・光学活性の糖C6H12O6であり、アルデヒドカルボニル基をもつ。炭水化物、特にグルコースの分解物は、すべての動植物細胞にとっての主なエネルギー源である。糖尿病では、グルコースを体の細胞の中に運ぶ能力の減退がある。血糖レベルは異常に高い(高血糖症)。高血糖はケトアシドーシスにつながり、昏睡と死をもたし得る。軽度の(Milder)高血糖症でも目、腎臓、神経および血管に悪影響を与える長期の合併症を引き起こす。
【0102】
グルタチオン・・・ペプチドC10H17N3O6Sであり、それぞれグルタミン酸、システインおよびグリシンである1つのアミノ酸残基を含む。動植物組織に広く生じ、生物学的酸化還元に、また補酵素として重要な役割を果たす。
【0103】
成長ホルモン・・・成長ホルモン(GH)は脳下垂体前葉によって合成される。ヒトの成長ホルモンは、分子量22,005を持ち、2つのジスルフィド架橋がある191のアミノ酸残基を含んでいる。成長ホルモンの主要な生物学的役割は出生後の成長のコントロールである。その影響は主にインスリン様成長因子によって仲介される。
【0104】
GRP(Gastrin Releasing Peptide)・・・ガストリン放出ペプチド受容体(GRP-R)はそれがあらわれる多くの(すべてではない)細胞の増殖を引き起こし得る。
【0105】
Hb9・・・ホメオボックス−9はタンパク質族の1つである。この族は系列特有の方法でDNAを結び付け、成長中および成熟した組織の双方において遺伝子発現のコントロールにかかわっている。
【0106】
HGF・・・肝細胞成長因子(また、散乱(scatter factor)もしくはhepatopoietin A)は、肝細胞などの上皮細胞に加えて内皮細胞とメラニン細胞を含むターゲットのスペクトルをもつ。それはさまざまの組織に影響し、胎児における肝臓および筋肉の成長を発展的に決定する胎盤の成長と、B細胞の増殖および成長とを仲介する。
【0107】
HNF3a・・・hepatocyte nuclear factor 3, alpha。転写調節因子のフォークヘッドクラスのメンバー。HNF3aとHNF3Bの双方が内胚葉起源の組織、すなわち胃、腸、肝臓および肺にあらわれる。HNF3族のすべてのメンバーは、HNF4GおよびHNF6と同様に膵臓ベータ細胞にあらわれる。
【0108】
HNF6・・・マウスの発育を通じ、HNF6は外分泌および内分泌膵臓細胞の前駆物質である上皮細胞にあらわれる。HNF6のない胎児では、膵外分泌腺は正常であるように見えたが、内分泌腺の細胞分化は損なわれていた。neurogenin-3の発現(内分泌腺細胞の前駆物質の決定に不可欠の転写調節因子)はほとんどなかった。存命中、後になって内分泌細胞の数は増加したが、島の構造は乱れており、ベータ細胞はglucose transporter-2の発現を欠いていた。これは、HNF6が胎児の膵臓内分泌腺の前駆段階での分化を制御して、明確にproendocrine gene ngn3を調節していることを示唆する。
【0109】
HuSA・・・ヒト血清アルブミン。BSA(ウシ血清アルブミン)参照。
【0110】
IBMX・・・3-isobutyl-1-methylxanthine。ベータ細胞がインスリンを放出する周期的なAMPホスホジエステラーゼを禁止する。
【0111】
IGF1・・・インスリン様増殖因子1。IGF1およびIGF2の双方がプロインスリンに対する著しい構造的ホモロジーを持つ。
【0112】
IGF2・・・インスリン様増殖因子2。IGF1およびIGF2の双方がプロインスリンに対する著しい構造的ホモロジーを持つ。
【0113】
JoheのN2・・・多潜在性(multi-potential)CNS幹細胞の支持のために定式化された血清フリーの媒体であり、様々な成長および分化因子とともに補われる。
【0114】
KGF・・・ケラチノサイト成長因子すなわちFGF-7。28kDa、単鎖の分泌糖タンパク質であり、上皮に制限されたターゲット特異性(specificity)をもつ。FGF-7を発現する既知の成熟細胞には、線維芽細胞、T細胞、平滑筋細胞および卵巣の莢壁細胞が含まれる。胎児では、KGFは間充織全体の発育の多くの段階で見られる。
【0115】
Ki67・・・細胞増殖マーカ。未知の機能をもつこのタンパク質は、細胞サイクルのG1を通じてあらわれ、60〜90分の半減期をもつ。
【0116】
ラクトゲン・・・ホルモン(プロラクチンなど)のいずれでもよく、乳の産生を刺激する。
【0117】
ラミニン・・・結合組織基底膜のコンポーネントであり、細胞粘着を促進する糖タンパク質。
【0118】
ロイエンケファリン(Leu-Enkephalin)・・・天然のペプチド神経伝達物質。元々はブタ脳から分離された天然の鎮静剤ペンタペプチド。ロイエンケファリン(YGGFL)およびメトエンケファリン(Met-enkephalin;YGGFM)は、特にd型アヘン剤受容体に強く結び付く。
【0119】
リノール酸(Linoleic acid)・・・特に半乾性油(ピーナッツ油など)において見られる液体の不飽和脂肪酸C18H32O2であり、数種の動物の栄養摂取に不可欠である。linolic acidとも呼ばれる。
【0120】
リノレン酸・・・特に乾性油(アマニ油など)において見られる液体の不飽和脂肪酸C18H30O2であり、数種の動物の栄養摂取に不可欠である。
【0121】
メトエンケファリン・・・天然のペプチド神経伝達物質。元々はブタ脳から分離された天然の鎮静剤ペンタペプチド。ロイエンケファリン(YGGFL)およびメトエンケファリン(YGGFM)は、特にd型アヘン剤受容体に強く結び付く。
【0122】
Muc1・・・ムチン・タイプ1。通常、特別な膵管細胞によって分泌されたムコタンパク質の主要なタイプ。
【0123】
ミオイノシトール・・・光学活性ではなく、生物活性のイノシトール。ビタミンB複合体および脂肪親和物質の成分であり、植物、微生物、および人間を含む高等動物に広く生じる。Mesoinositolとも呼ばれる。
【0124】
N2・・・JoheのN2培地。
【0125】
Neuro・・・neurobasal培地。神経細胞培養培地。
【0126】
NGF・・・12.5kDa、非グルコシル化ポリペプチド120aa残基長の神経成長因子。プレプロペプチドとして合成され、その処理フォームは120aaセグメントである。NGFのための典型的なフォームは25kDa、非二硫化リンクの同質二量体(homodimer)である。神経成長因子は交感ニューロンおよびある感覚ニューロンの成長と分化を調節するものとして知られている。
【0127】
ニコチンアミド・・・ナイアシンアミド(ニコチン酸アミド)。苦い結晶性の塩基アミドC6H6N2Oは、ビタミンB複合体のメンバーであり、生体内でナイアシンから、およびナイアシンへと変換される。通常、補酵素の成分として自然に生じ、ナイアシンと同様に使用される。
【0128】
PCNA+細胞・・・反増殖細胞核抗原をもって分類される細胞。細胞核抗原を増殖させるのは元々、細胞の増殖状態に関連していた。より最近の証拠では、PCNAもDNA修復に関連することが示されている。
【0129】
PDGF・・・成長因子から得られた血小板。凝固時に血小板から放出された因子は、様々なタイプの細胞の成長を促進できることが示されている。この因子は次に、血小板から精製され、血小板由来増殖因子(PDGF)という名称が与えられた。現在PDGFは血小板以外にも多くの細胞タイプによって作られることが知られており、ほとんどすべての間葉由来細胞(mesenchymally-derived cells、すなわち血液、筋肉、骨/軟骨および結合組織細胞のマイトジェンであることがわかっている。。
【0130】
pdx−1・・・pdx−1(Pancreatic duodenal homeobox factor-1)は、膵臓の成長、島細胞分化、およびベータ細胞機能の維持に必要である。IPF1(insulin promoter factor-1)、またはIDX1、またはSTF1(somatostatin transcription factor-1)とも呼ばれる。PDX−1は、目標とした遺伝子の削除がヌルの膵臓形質発現(null pancreas phenotype)につながると言う遺伝子破壊の研究が明らかにしたように、膵外分泌腺および膵内分泌腺の成長プログラムの双方の発現のためのマスター制御スイッチとして役立っていると思われる。初めにPXDX−1が外分泌腺および内分泌腺の双方の細胞中で発現し、膵臓の形態形成が進行すると、それは島のベータおよびデルタ細胞および管細胞のいくつかに制限される。PDX−1はまた、成熟細胞においてインスリンおよびソマトスタチン遺伝子を調節する役割を果たす。PDX−1中の変異は、膵臓の無発育、若者の成人発症型糖尿病を引き起こし、タイプIIの糖尿病を引き起こす可能性もある。
【0131】
胎盤性ラクトゲン・・・このペプチドホルモンは、構造的、免疫学的および機能的に下垂体成長ホルモンと同等である。胎盤性合胞体層で合成される。
【0132】
プロゲステロン・・・女性ステロイド性ホルモン。着床のために子宮内膜を準備するべく黄体で分泌され、その後は妊娠中に、胚(embryo)および胎児(fetus)の拒絶を避けるために胎盤で分泌される。合成品は、経口避妊薬、生理不順の治療のため、および不妊症に関するいくつかのケースを軽減するために使用される。
【0133】
プロインスリン・・・インスリンの前駆物質。インスリンは、2個のジスルフィド結合によってリンクされる折り重ねった1鎖の前駆物質から得られる。プロインスリンは、A鎖のアミノ端をB鎖のカルボキシル端に接続するセグメントの酵素除去によってインスリンに変換される。
【0134】
プロラクチン・・・成長ホルモンと構造的な類似性が強い成長因子。
【0135】
PTF1・・・PDX−1参照。
【0136】
PTHRP・・・副甲状腺関連タンパク質。
【0137】
プトレッシン・・・結晶性の、僅かに有毒なプトマインC4Hl2N2である。オルニチンの脱炭酸反応によって形成され、生物に広く、しかし少量生じる。特に腐肉に見られる。
【0138】
Reg1・・・再生する島から得られたタンパク質Laosで膵石タンパク質として知られる。
【0139】
レチノイン酸(ビタミンA)・・・細胞分化の局部的調節因子(local regulator)。手足の発育に多くの機能を持ち、下等な脊椎動物の四肢再生におけるキーイベントを調節する。
【0140】
レチニル・アセテート・・・ビタミンAの派生物。
【0141】
セレン(亜セレン酸)・・・化学的に硫黄とテルルに類似した非金属元素である。これが大量に生じている土壌で生育した数種の植物を食べて摂取する動物に中毒を引き起こす。また、同素形が存在し、中間領域の安定形態(gray stable form)は照度に対して電気伝導率が変わり、電子装置で用いられる。
【0142】
ソニック・ヘッジホッグ(マウス、組換え型)・・・脳、骨、皮膚、生殖腺および肺を含む多くの細胞型の発育に重要な役割を果たす。
【0143】
ダイズトリプシン阻害因子(タイプI−S)・・・198のアミノ酸残基を含む高分子量(およそ22,500)のタンパク質。ダイズトリプシン阻害因子はエラストリシス活動(elastolytic activity)ではなくタンパク質分解活動を抑制する。
【0144】
P物質・・・P物質は侵害受容の求心性神経(nociceptive afferents)が強く刺激されたときに主求心性神経から二次ニューロンシナプスへ放出される支配的な神経ペプチドである。NK1受容体(侵害受容の章の表参照)の活性化により、P物質は二次ニューロンの緩慢で持続性のある脱分極を作り出す。これが侵害受容刺激に対する次のシナプス反応の相乗作用につながり、痛みの伝達のための強度コード化メカニズムとして機能する。
【0145】
スーパーオキシド・ジスムターゼ(SOD)・・・金属を含む抗酸化酸素であり、酸素と過酸化水素へ通常の代謝細胞プロセスを通じて形成される潜在的に有害な遊離基を減少させる。
【0146】
TGFアルファおよびベータ・・・形質転換成長因子(TGF)は生物活性のポリペプチドであり、形質転換した表現型を培養された細胞に可逆的に与える。アルファTGFは上皮成長因子とともにおよそ40%の配列ホモロジー(sequence homology)を示す。TGFベータは多くの細胞型における増殖、分化および他の機能を制御する多機能ペプチドである。TGFBは形質転換を引き起こす際にTGFAと相乗的に働く。また、負の自己分泌成長因子としても機能する。TGFBの活性化およびシグナリングの失調(dysregulation)はアポトーシスをもたらし得る。多くの細胞がTGFBを合成し、そしてそのほとんどすべてにはこのペプチドのための特定の受容体がある。TGFB1、TGFB2およびTGFB3はすべて、同じ受容体を通してシグナルシステムとして機能する。
【0147】
TGFベータsRII(可溶性の受容体タイプ2)・・・TGFベータは細胞の成長および増殖を調節し、多くの細胞型の成長を妨げる。TGFベータ受容体はタイプ1およびタイプ2のサブユニットを含む。これらはセリン・トレオニンキナーゼであり、転写調節因子(transcriptional regulator)のSMAD族を通じ警報を発する。SMADの変異を含め、TGFベータ警報の欠陥は、ヒトの癌に関連する。
【0148】
転写調節因子(Transcription Factors;TF)・・・転写調節因子は、DNAの特定の調節塩基配列に結び付き、RNAポリメラーゼの活動を調節する。これはDNAでコード化された遺伝子がメッセンジャーRNAに転写される、または複製されるプロセスを調節する主要なステップである。通常、多くの異なる転写調節因子の相互作用によって異なる細胞型の特定の表現型が決定される。TFは遺伝子発現のポジティブまたはネガティブな調節因子となり得る。PDX1、neurogenin3(ngn3)、Pax4、Pax6およびその他は膵臓の発育および分化にかかわるTFの例である。
【0149】
トランスフェリン・・・鉄イオンと結合し、体内で鉄分を運搬することができる血漿中のベータ・グロブリンである。
【0150】
トリヨードチロニン・・・結晶性のヨウ素含有ホルモンC15H12I3NO4である。チロキシンから得られるアミノ酸であり、特に可溶性のナトリウム塩の形態で甲状腺機能低下症および代謝不全の治療に用いられる。liothyronine、T3とも呼ばれる。
【0151】
トリヨードチロニン(T3)・・・結晶性のヨウ素含有ホルモンC15H12I3NO4である。チロキシンから得られるアミノ酸であり、特に可溶性のナトリウム塩の形態で甲状腺機能低下症および代謝不全の治療に用いられる。
【0152】
トロロックス(Trolox;可溶性のビタミンE)・・・細胞透過性、水溶性のあるビタミンE派生物。強い抗酸化性をもつ。ラットの胸腺細胞におけるペルオキシ亜硝酸塩媒介の酸化的ストレスおよびアポトーシスを妨げる。
【0153】
血管活性腸管ポリペプチド(VIP)・・・血清中のVIP量を測定するテスト。
【0154】
VEGF(血管内皮成長因子)・・・VEGFはヘパリン結合グリコプロテインであり、45kDAの同質二量体として分泌される。内皮にとって最も重要な成長および生存因子(survival factor)である。血小板由来増殖因子と構造的に関連する。VEGFは脈管形成および内皮細胞増殖を含み、脈管形成の調節に重要な役割を果たす。ほとんどの型の細胞がVEGFを分泌するが、普通内皮細胞自身は分泌しない。
【0155】
硫酸亜鉛・・・亜鉛は重要な微量元素であり、細胞分裂、細胞成長および創傷治癒に必要な酵素活性にとって必要である。亜鉛は炭水化物の代謝にもかかわる。膵臓のベータ細胞は高い亜鉛含有量を有している。
【課題を解決するための手段】
【0156】
一実施形態において、本発明は、分化した非ホルモン産生膵臓細胞を分化したホルモン産生膵臓細胞に転換する方法に係り、a)基礎培地を含む第1細胞培養培地をもつ第1細胞培養システム中で、血清とともにまたは血清なしに、かつ成長因子とともにまたは成長因子なしに、前記分化した非ホルモン産生膵臓細胞を培養するステップであって、前記分化した非ホルモン産生膵臓細胞の幹細胞への転換を提供する条件下で行われる当該ステップ;および、b)グループAから選択した少なくとも1つの成分およびグループBから選択した少なくとも1つの成分を含む第2細胞培養培地をもつ第2細胞培養システム中で前記幹細胞を培養するステップであって、ホルモン産生細胞への前記幹細胞の分化を提供する条件下で行われる当該ステップを含み;前記グループAは、ベータセルリン、アクチビンA、BMP−2、TGF−β、SRII、DMSO、ソニックヘッジホッグ、ラミニン、メトエンケファリン、DMFおよびコレラ毒素Aを含み;前記グループBは、アクチビンA、心房性ナトリウム利尿ペプチド、ベータセルリン、骨形成タンパク質(BMP−2)、骨形成タンパク質(BMP−4)、Cナトリウム利尿ペプチド(CNP)、セルレイン、カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP−α)、コレシストキニン(CCK8−アミド)、コレシストキニンオクタペプチド(CCK8−硫酸化)、コレラ毒素Bサブユニット、コルチコステロン(ライヒシュタイン物質H)、デキサメタゾン、DIF−1、ディファアニソールA、ジメチルスルホキシド(DMSO)、EGF、エンドセリン1、エキセンディン4、酸性FGF、FGF2、FGF7、FGFb、ガストリンI、ガストリン放出ペプチド(GRP)、グルカゴン様ペプチド1(GLP−1)、グルコース、成長ホルモン、肝細胞成長因子(HGF)、IGF−1、IGF−2、インスリン、KGF、ラクトゲン、ラミニン、ロイエンケファリン、白血病抑制因子(LIF)、メトエンケファリン、n−酪酸、神経成長因子(β−NGF)、ニコチンアミド、n−n−ジメチルホルムアミド(DMF)、副甲状腺ホルモン関連ペプチド(Pth II RP)、PDGF AA+PDGF BB MIX、PIGF(胎盤GF)、プロゲステロン、プロラクチン、プトレッシン二塩酸塩ガンマ線照射細胞培養、REG1、レチノイン酸、セレン、亜セレン酸、ソニックヘッジホッグ、大豆トリプシンインヒビター、P物質、スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)、TGF−α、TGF−β sRII、TGF−β1、トランスフェリン、トリヨードチロニン(T3)、トロロックス、血管作用性小腸ペプチド(VIP)、VEGF、ビタミンA、およびビタミンEを含む。
【0157】
好適実施形態においては、前記第2細胞培養培地は前記グループAから選択した少なくとも2つの成分および前記グループBから選択した少なくとも2つの成分を含む。
【0158】
より好適な実施形態においては、前記第2細胞培養培地は前記グループAから選択した少なくとも3つの成分および前記グループBから選択した少なくとも3つの成分を含む。
【0159】
さらに好適な実施形態においては、前記第2細胞培養培地は前記グループAから選択した少なくとも4つの成分および前記グループBから選択した少なくとも4つの成分を含む。
【0160】
さらに好適な実施形態においては、前記第2細胞培養培地は前記グループAから選択した少なくとも5つの成分および前記グループBから選択した少なくとも5つの成分を含む。
【0161】
さらに好適な実施形態においては、前記第2細胞培養培地は前記グループAから選択した少なくとも6つの成分および前記グループBから選択した少なくとも6つの成分を含む。
【0162】
一実施形態において、本発明は、幹細胞を培養してホルモン産生細胞にする方法に係り、細胞培養培地をもつ細胞培養システム中で幹細胞を培養して前記幹細胞がホルモン産生細胞に分化するようにされ、前記培養培地は、血清のない基礎培地を含むとともに、グループAから選択した少なくとも1つの成分およびグループBから選択した少なくとも1つの成分を含み、前記グループAは、ベータセルリン、アクチビンA、BMP−2、TGF−β、SRII、DMSO、ソニックヘッジホッグ、ラミニン、メトエンケファリン、DMFおよびコレラ毒素Aを含み;前記グループBは、アクチビンA、心房性ナトリウム利尿ペプチド、ベータセルリン、骨形成タンパク質(BMP−2)、骨形成タンパク質(BMP−4)、Cナトリウム利尿ペプチド(CNP)、セルレイン、カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP−α)、コレシストキニン(CCK8−アミド)、コレシストキニンオクタペプチド(CCK8−硫酸化)、コレラ毒素Bサブユニット、コルチコステロン(ライヒシュタイン物質H)、デキサメタゾン、DIF−1、ディファアニソールA、ジメチルスルホキシド(DMSO)、EGF、エンドセリン1、エキセンディン4、酸性FGF、FGF2、FGF7、FGFb、ガストリンI、ガストリン放出ペプチド(GRP)、グルカゴン様ペプチド1(GLP−1)、グルコース、成長ホルモン、肝細胞成長因子(HGF)、IGF−1、IGF−2、インスリン、KGF、ラクトゲン、ラミニン、ロイエンケファリン、白血病抑制因子(LIF)、メトエンケファリン、n−酪酸、神経成長因子(β−NGF)、ニコチンアミド、n−n−ジメチルホルムアミド(DMF)、副甲状腺ホルモン関連ペプチド(Pth II RP)、PDGF AA+PDGF BB MIX、PIGF(胎盤GF)、プロゲステロン、プロラクチン、プトレッシン二塩酸塩ガンマ線照射細胞培養、REG1、レチノイン酸、セレン、亜セレン酸、ソニックヘッジホッグ、大豆トリプシンインヒビター、P物質、スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)、TGF−α、TGF−β sRII、TGF−β1、トランスフェリン、トリヨードチロニン(T3)、トロロックス、血管作用性小腸ペプチド(VIP)、VEGF、ビタミンA、およびビタミンEを含む。
【0163】
好適実施形態においては、前記細胞培養培地は前記グループAから選択した少なくとも2つの成分および前記グループBから選択した少なくとも2つの成分を含む。
【0164】
より好適な実施形態においては、前記細胞培養培地は前記グループAから選択した少なくとも3つの成分および前記グループBから選択した少なくとも3つの成分を含む。
【0165】
さらに好適な実施形態においては、前記細胞培養培地は前記グループAから選択した少なくとも4つの成分および前記グループBから選択した少なくとも4つの成分を含む。
【0166】
さらに好適な実施形態においては、前記細胞培養培地は前記グループAから選択した少なくとも5つの成分および前記グループBから選択した少なくとも5つの成分を含む。
【0167】
さらに好適な実施形態においては、前記細胞培養培地は前記グループAから選択した少なくとも6つの成分および前記グループBから選択した少なくとも6つの成分を含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0168】
ひとつの実施形態において、本発明は、ホルモンを産生しない分化細胞型からホルモン産生細胞を生成する方法に関する。好ましくは、分化細胞型は膵臓細胞である。好ましくは、細胞はランゲルハンス島枯渇膵臓細胞である。より好ましくは、分化細胞型は非ホルモン産生膵臓細胞の細胞である。
【0169】
本発明の一つの側面において生成されるホルモン産生細胞は、好ましくはランゲルハンス島細胞によって産生される一つまたはそれ以上のホルモンを産生する。より好ましくは、ホルモン産生細胞はインスリンを産生する。
【0170】
従って、本発明の好ましい側面は、非ホルモン産生膵臓細胞の大規模増殖および非ホルモン産生膵臓細胞のホルモン産生細胞への大規模形質転換のための方法ならびに組成物である。好ましくは、産生されるホルモンはインスリンであるが、他のホルモン、具体的にはランゲルハンス島細胞由来のホルモンもまた、本発明の範囲に含まれる。
【0171】
好ましい別の実施形態において、本発明は、膵臓の非ホルモン産生膵臓細胞をホルモン産生細胞に転換する方法に有用な組成物を提供する。
【0172】
表5および6には、潜在的成長因子と潜在的分化因子とを含む培地に添加することができる因子がリストアップされている。本開示のために、「因子」、「成分」および「サプリメント」なる用語は、区別なく用いることができる。
【0173】
これらの成分、因子およびサプリメントには、限定されないが、アクチビンA、心房性ナトリウム利尿ペプチド、ベータセルリン、骨形成タンパク質(BMP−2)、骨形成タンパク質(BMP−4)、Cナトリウム利尿ペプチド(CNP)、セルレイン、カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP−α)、コレシストキニン(CCK8−アミド)、コレシストキニンオクタペプチド(CCK8−硫酸化)、コレラ毒素Bサブユニット、コルチコステロン(ライヒシュタイン物質H)、デキサメタゾン、DIF−1、ディファアニソールA、ジメチルスルホキシド(DMSO)、EGF、エンドセリン1、エキセンディン4、酸性FGF、FGF2、FGF7、FGFb、ガストリンI、ガストリン放出ペプチド(GRP)、グルカゴン様ペプチド1(GLP−1)、グルコース、成長ホルモン、肝細胞成長因子(HGF)、IGF−1、IGF−2、インスリン、KGF、ラクトゲン、ラミニン、ロイエンケファリン、白血病抑制因子(LIF)、メトエンケファリン、n−酪酸、神経成長因子(β−NGF)、ニコチンアミド、n−n−ジメチルホルムアミド(DMF)、副甲状腺ホルモン関連ペプチド(Pth II RP)、PDGF AA+PDGF BB MIX、PIGF(胎盤GF)、プロゲステロン、プロラクチン、プトレッシン二塩酸塩ガンマ線照射細胞培養、REG1、レチノイン酸、セレン、亜セレン酸、ソニックヘッジホッグ、大豆トリプシンインヒビター、P物質、スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)、TGF−α、TGF−β sRII、TGF−β1、トランスフェリン、トリヨードチロニン(T3)、トロロックス、血管作用性小腸ペプチド(VIP)、VEGF、ビタミンA、およびビタミンEが、含まれる。
【0174】
アクチビンAについては、好ましい濃度は0.125〜1.5ng/mlであり、さらに好ましい濃度は0.25〜1ng/mlであり、さらに好ましい濃度は0.375〜0.75ng/mlであり、さらに好ましい濃度は0.45〜0.6ng/mlであり、最も好ましい濃度は0.5ng/mlである。
【0175】
心房性ナトリウム利尿ペプチドについては、好ましい濃度は38.25−459ng/mlであり、さらに好ましい濃度は76.5〜306ng/mlであり、さらに好ましい濃度は114.75〜229.5ng/mlであり、さらに好ましい濃度は137.7〜183.6ng/mlであり、最も好ましい濃度は153ng/mlである。
【0176】
ベータセルリンについては、好ましい濃度は1.25〜15ng/mlであり、さらに好ましい濃度は2.5〜10ng/mlであり、さらに好ましい濃度は3.75〜7.5ng/mlであり、さらに好ましい濃度は4.5〜6ng/mlであり、最も好ましい濃度は5ng/mlである。
【0177】
骨形成タンパク質(BMP−2)については、好ましい濃度は1.25〜15ng/mlであり、さらに好ましい濃度は2.5〜10ng/mlであり、さらに好ましい濃度は3.75〜7.5ng/mlであり、さらに好ましい濃度は4.5〜6ng/mlであり、最も好ましい濃度は5ng/mlである。
【0178】
骨形成タンパク質(BMP−4)については、好ましい濃度は0.125〜1.5ng/mlであり、さらに好ましい濃度は0.25〜1ng/mlであり、さらに好ましい濃度は0.375〜0.75ng/mlであり、さらに好ましい濃度は0.45〜0.6ng/mlであり、最も好ましい濃度は0.5ng/mlである。
【0179】
Cナトリウム利尿ペプチド(CNP)については、好ましい濃度は27.4625〜329.55ng/mlであり、さらに好ましい濃度は54.925〜219.7ng/mlであり、さらに好ましい濃度は82.3875〜164.775ng/mlであり、さらに好ましい濃度は98.865〜131.82ng/mlであり、最も好ましい濃度は109.85ng/mlである。
【0180】
セルレインについては、好ましい濃度は7.5〜90ng/mlであり、さらに好ましい濃度は15〜60ng/mlであり、さらに好ましい濃度は22.5〜45ng/mlであり、さらに好ましい濃度は27〜36ng/mlであり、最も好ましい濃度は30ng/mlである。
【0181】
カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP−α)については、好ましい濃度は47.625〜571.5ng/mlであり、さらに好ましい濃度は95.25〜381ng/mlであり、さらに好ましい濃度は142.875〜285.75ng/mlであり、さらに好ましい濃度は171.45〜228.6ng/mlであり、最も好ましい濃度は190.5ng/mlである。
【0182】
コレシストキニン(CCK8−アミド)については、好ましい濃度は6.25〜75ng/mlであり、さらに好ましい濃度は12.5〜50ng/mlであり、さらに好ましい濃度は18.75〜37.5ng/mlであり、さらに好ましい濃度は22.5〜30ng/mlであり、最も好ましい濃度は25ng/mlである。
【0183】
コレシストキニンオクタペプチド(CCK8−硫酸化)については、好ましい濃度は1.425〜17.1ng/mlであり、さらに好ましい濃度は2.85〜11.4ng/mlであり、さらに好ましい濃度は4.275〜8.55ng/mlであり、さらに好ましい濃度は5.13〜6.84ng/mlであり、最も好ましい濃度は5.7ng/mlである。
【0184】
コレシストキニンオクタペプチド(CCK8−硫酸化)については、好ましい濃度は3.125〜37.5ng/mlであり、さらに好ましい濃度は6.25〜25ng/mlであり、さらに好ましい濃度は9.275〜18.75ng/mlであり、さらに好ましい濃度は11.25〜15ng/mlであり、最も好ましい濃度は12.5ng/mlである。
【0185】
コルチコステロン(ライヒシュタイン物質H)については、好ましい濃度は0.5〜6ng/mlであり、さらに好ましい濃度は1〜4ng/mlであり、さらに好ましい濃度は1.5〜3ng/mlであり、さらに好ましい濃度は1.8〜2.4ng/mlであり、最も好ましい濃度は2ng/mlである。
【0186】
デキサメタゾンについては、好ましい濃度は0.5〜6ng/mlであり、さらに好ましい濃度は1〜4ng/mlであり、さらに好ましい濃度は1.5〜3ng/mlであり、さらに好ましい濃度は1.8〜2.4ng/mlであり、最も好ましい濃度は2ng/mlである。
【0187】
DIF−1については、好ましい濃度は75〜900ng/mlであり、さらに好ましい濃度は150〜600ng/mlであり、さらに好ましい濃度は225〜450ng/mlであり、さらに好ましい濃度は270〜360ng/mlであり、最も好ましい濃度は300ng/mlである。
【0188】
ディファアニソールAについては、好ましい濃度は75〜900ng/mlであり、さらに好ましい濃度は150〜600ng/mlであり、さらに好ましい濃度は225〜450ng/mlであり、さらに好ましい濃度は270〜360ng/mlであり、最も好ましい濃度は300ng/mlである。
【0189】
ジメチルスルホキシド(DMSO)については、好ましい濃度は0.25〜3ng/mlであり、さらに好ましい濃度は0.5〜2ng/mlであり、さらに好ましい濃度は0.75〜1.5ng/mlであり、さらに好ましい濃度は0.9〜1.2ng/mlであり、最も好ましい濃度は1ng/mlである。
【0190】
EGFについては、好ましい濃度は1.25〜15ng/mlであり、さらに好ましい濃度は2.5〜10ng/mlであり、さらに好ましい濃度は3.75〜7.5ng/mlであり、さらに好ましい濃度は4.5〜6ng/mlであり、最も好ましい濃度は5ng/mlである。
【0191】
エンドセリン1については、好ましい濃度は125〜1500ng/mlであり、さらに好ましい濃度は250〜1000ng/mlであり、さらに好ましい濃度は375〜750ng/mlであり、さらに好ましい濃度は450〜600ng/mlであり、最も好ましい濃度は500ng/mlである。
【0192】
エキセンディン4については、好ましい濃度は5.25〜63ng/mlであり、さらに好ましい濃度は10.5〜42ng/mlであり、さらに好ましい濃度は15.75〜31.5ng/mlであり、さらに好ましい濃度は18.9〜25.2ng/mlであり、最も好ましい濃度は21ng/mlである。
【0193】
酸性FGFについては、好ましい濃度は0.625〜7.5ng/mlであり、さらに好ましい濃度は1.25〜5ng/mlであり、さらに好ましい濃度は1.875〜3.75ng/mlであり、さらに好ましい濃度は2.25〜3ng/mlであり、最も好ましい濃度は2.5ng/mlである。
【0194】
FGF2については、好ましい濃度は0.625〜7.5ng/mlであり、さらに好ましい濃度は1.25〜5ng/mlであり、さらに好ましい濃度は1.875〜3.75ng/mlであり、さらに好ましい濃度は2.25〜3ng/mlであり、最も好ましい濃度は2.5ng/mlである。
【0195】
FGF7については、好ましい濃度は0.625〜7.5ng/mlであり、さらに好ましい濃度は1.25〜5ng/mlであり、さらに好ましい濃度は1.875〜3.75ng/mlであり、さらに好ましい濃度は2.25〜3ng/mlであり、最も好ましい濃度は2.5ng/mlである。
【0196】
FGFbについては、好ましい濃度は0.625〜7.5ng/mlであり、さらに好ましい濃度は1.25〜5ng/mlであり、さらに好ましい濃度は1.875〜3.75ng/mlであり、さらに好ましい濃度は2.25〜3ng/mlであり、最も好ましい濃度は2.5ng/mlである。
【0197】
ガストリンIについては、好ましい濃度は0.008038〜0.09645ng/mlであり、さらに好ましい濃度は0.016075〜0.0643ng/mlであり、さらに好ましい濃度は0.024113〜0.048225ng/mlであり、さらに好ましい濃度は0.028935〜0.03858ng/mlであり、最も好ましい濃度は0.03215ng/mlである。
【0198】
ガストリン放出ペプチド(GRP)については、好ましい濃度は35.75〜429ng/mlであり、さらに好ましい濃度は71.5〜286ng/mlであり、さらに好ましい濃度は107.25〜214.5ng/mlであり、さらに好ましい濃度は128.7〜171.6ng/mlであり、最も好ましい濃度は143ng/mlである。
【0199】
グルカゴン様ペプチド1(GLP−1)については、好ましい濃度は8.25〜99ng/mlであり、さらに好ましい濃度は16.5〜66ng/mlであり、さらに好ましい濃度は24.75〜49.5ng/mlであり、さらに好ましい濃度は29.7〜39.6ng/mlであり、最も好ましい濃度は33ng/mlである。
【0200】
グルコースについては、好ましい濃度は270〜3240ng/mlであり、さらに好ましい濃度は540〜2160ng/mlであり、さらに好ましい濃度は810〜1620ng/mlであり、さらに好ましい濃度は972〜1296ng/mlであり、最も好ましい濃度は1080ng/mlである。
【0201】
成長ホルモンについては、好ましい濃度は6.25〜75ng/mlであり、さらに好ましい濃度は12.5〜50ng/mlであり、さらに好ましい濃度は18.75〜37.5ng/mlであり、さらに好ましい濃度は22.5〜30ng/mlであり、最も好ましい濃度は25ng/mlである。
【0202】
肝細胞成長因子(HGF)については、好ましい濃度は0.625〜7.5ng/mlであり、さらに好ましい濃度は1.25〜5ng/mlであり、さらに好ましい濃度は1.875〜3.75ng/mlであり、さらに好ましい濃度は2.25〜3ng/mlであり、最も好ましい濃度は2.5ng/mlである。
【0203】
IGF−1については、好ましい濃度は0.625〜7.5ng/mlであり、さらに好ましい濃度は1.25〜5ng/mlであり、さらに好ましい濃度は1.875〜3.75ng/mlであり、さらに好ましい濃度は2.25〜3ng/mlであり、最も好ましい濃度は2.5ng/mlである。
【0204】
IGF−2については、好ましい濃度は0.625〜7.5ng/mlであり、さらに好ましい濃度は1.25〜5ng/mlであり、さらに好ましい濃度は1.875〜3.75ng/mlであり、さらに好ましい濃度は2.25〜3ng/mlであり、最も好ましい濃度は2.5ng/mlである。
【0205】
インスリンについては、好ましい濃度は2375〜28500ng/mlであり、さらに好ましい濃度は4750〜19000ng/mlであり、さらに好ましい濃度は7125〜14250ng/mlであり、さらに好ましい濃度は8550〜11400ng/mlであり、最も好ましい濃度は9500ng/mlである。
【0206】
KGFについては、好ましい濃度は0.625〜7.5ng/mlであり、さらに好ましい濃度は1.25〜5ng/mlであり、さらに好ましい濃度は1.875〜3.75ng/mlであり、さらに好ましい濃度は2.25〜3ng/mlであり、最も好ましい濃度は2.5ng/mlである。
【0207】
ラクトゲンについては、好ましい濃度は12.5〜150ng/mlであり、さらに好ましい濃度は25〜100ng/mlであり、さらに好ましい濃度は37.5〜75ng/mlであり、さらに好ましい濃度は45〜60ng/mlであり、最も好ましい濃度は50ng/mlである。
【0208】
ラミニンについては、好ましい濃度は562.5〜6750ng/mlであり、さらに好ましい濃度は1125〜4500ng/mlであり、さらに好ましい濃度は1687.5〜3375ng/mlであり、さらに好ましい濃度は2025〜2700ng/mlであり、最も好ましい濃度は2250ng/mlである。
【0209】
ロイエンケファリンについては、好ましい濃度は0.75〜9ng/mlであり、さらに好ましい濃度は1.5〜6ng/mlであり、さらに好ましい濃度は2.25〜4.5ng/mlであり、さらに好ましい濃度は2.7〜3.6ng/mlであり、最も好ましい濃度は3ng/mlである。
【0210】
白血病抑制因子(LIF)については、好ましい濃度は0.625〜7.5ng/mlであり、さらに好ましい濃度は1.25〜5ng/mlであり、さらに好ましい濃度は1.875〜3.75ng/mlであり、さらに好ましい濃度は2.25〜3ng/mlであり、最も好ましい濃度は2.5ng/mlである。
【0211】
メトエンケファリンについては、好ましい濃度は0.75〜9ng/mlであり、さらに好ましい濃度は1.5〜6ng/mlであり、さらに好ましい濃度は2.25〜4.5ng/mlであり、さらに好ましい濃度は2.7〜3.6ng/mlであり、最も好ましい濃度は3ng/mlである。
【0212】
n−酪酸については、好ましい濃度は1135〜13620ng/mlであり、さらに好ましい濃度は2270〜9080ng/mlであり、さらに好ましい濃度は3405〜6810ng/mlであり、さらに好ましい濃度は4086〜5448ng/mlであり、最も好ましい濃度は4540ng/mlである。
【0213】
神経成長因子(β−NGF)については、好ましい濃度は0.625〜7.5ng/mlであり、さらに好ましい濃度は1.25〜5ng/mlであり、さらに好ましい濃度は1.875〜3.75ng/mlであり、さらに好ましい濃度は2.25〜3ng/mlであり、最も好ましい濃度は2.5ng/mlである。
【0214】
ニコチンアミドについては、好ましい濃度は152500〜1830000ng/mlであり、さらに好ましい濃度は305000〜1220000ng/mlであり、さらに好ましい濃度は457500〜915000ng/mlであり、さらに好ましい濃度は549000〜732000ng/mlであり、最も好ましい濃度は610000ng/mlである。
【0215】
n−n−ジメチルホルムアミド(DMF)については、好ましい濃度は0.25〜3×10−6ng/mlであり、さらに好ましい濃度は0.5〜2×10−6ng/mlであり、さらに好ましい濃度は0.75〜1.5×10−6ng/mlであり、さらに好ましい濃度は0.9〜1.2×10−6ng/mlであり、最も好ましい濃度は1×10−6ng/mlである。
【0216】
副甲状腺ホルモン関連ペプチド(Pth II RP)については、好ましい濃度は51.5〜618ng/mlであり、さらに好ましい濃度は103〜412ng/mlであり、さらに好ましい濃度は154.5〜309ng/mlであり、さらに好ましい濃度は185.4〜247.2ng/mlであり、最も好ましい濃度は206ng/mlである。
【0217】
PDGF AA+PDGF BB MIXについては、好ましい濃度は1.25〜15ng/mlであり、さらに好ましい濃度は2.5〜10ng/mlであり、さらに好ましい濃度は3.75〜7.5ng/mlであり、さらに好ましい濃度は4.5〜6ng/mlであり、最も好ましい濃度は5ng/mlである。
【0218】
PIGF(胎盤GF)については、好ましい濃度は0.625〜7.5ng/mlであり、さらに好ましい濃度は1.25〜5ng/mlであり、さらに好ましい濃度は1.875〜3.75ng/mlであり、さらに好ましい濃度は2.25〜3ng/mlであり、最も好ましい濃度は2.5ng/mlである。
【0219】
プロゲステロンについては、好ましい濃度は0.75〜9ng/mlであり、さらに好ましい濃度は1.5〜6ng/mlであり、さらに好ましい濃度は2.25〜4.5ng/mlであり、さらに好ましい濃度は2.7〜3.6ng/mlであり、最も好ましい濃度は3ng/mlである。
【0220】
プロラクチンについては、好ましい濃度は0.3〜3.6ng/mlであり、さらに好ましい濃度は0.6〜2.4ng/mlであり、さらに好ましい濃度は0.9〜1.8ng/mlであり、さらに好ましい濃度は1.08〜1.44ng/mlであり、最も好ましい濃度は1.2ng/mlである。
【0221】
プトレッシン二塩酸塩ガンマ線照射細胞培養については、好ましい濃度は0.025〜0.3ng/mlであり、さらに好ましい濃度は0.05〜0.2ng/mlであり、さらに好ましい濃度は0.075〜0.15ng/mlであり、さらに好ましい濃度は0.09〜0.12ng/mlであり、最も好ましい濃度は0.1ng/mlである。
【0222】
REG1については、好ましい濃度は8.1375〜97.65ng/mlであり、さらに好ましい濃度は16.275〜65.1ng/mlであり、さらに好ましい濃度は24.4125〜48.825ng/mlであり、さらに好ましい濃度は29.295〜39.06ng/mlであり、最も好ましい濃度は32.55ng/mlである。
【0223】
レチノイン酸については、好ましい濃度は6.25〜75ng/mlであり、さらに好ましい濃度は12.5〜50ng/mlであり、さらに好ましい濃度は18.75〜37.5ng/mlであり、さらに好ましい濃度は22.5〜30ng/mlであり、最も好ましい濃度は25ng/mlである。
【0224】
セレン(亜セレン酸)については、好ましい濃度は6.25〜75ng/mlであり、さらに好ましい濃度は12.5〜50ng/mlであり、さらに好ましい濃度は18.75〜37.5ng/mlであり、さらに好ましい濃度は22.5〜30ng/mlであり、最も好ましい濃度は25ng/mlである。
【0225】
ソニックヘッジホッグについては、好ましい濃度は6.25〜75ng/mlであり、さらに好ましい濃度は12.5〜50ng/mlであり、さらに好ましい濃度は18.75〜37.5ng/mlであり、さらに好ましい濃度は22.5〜30ng/mlであり、最も好ましい濃度は25ng/mlである。
【0226】
大豆トリプシンインヒビターについては、好ましい濃度は250〜3000ng/mlであり、さらに好ましい濃度は500〜2000ng/mlであり、さらに好ましい濃度は750〜1500ng/mlであり、さらに好ましい濃度は900〜1200ng/mlであり、最も好ましい濃度は1000ng/mlである。
【0227】
P物質については、好ましい濃度は1250〜15000ng/mlであり、さらに好ましい濃度は2500〜10000ng/mlであり、さらに好ましい濃度は3750〜7500ng/mlであり、さらに好ましい濃度は4500〜6000ng/mlであり、最も好ましい濃度は5000ng/mlである。
【0228】
スーパーオキシドジスムターゼについては、好ましい濃度は2.5〜30 IU/mlであり、さらに好ましい濃度は5〜20 IU/mlであり、さらに好ましい濃度は7.5〜15 IU/mlであり、さらに好ましい濃度は9〜12 IU/mlであり、最も好ましい濃度は10 IU/mlである。
【0229】
TGF−αについては、好ましい濃度は0.25〜3ng/mlであり、さらに好ましい濃度は0.5〜2ng/mlであり、さらに好ましい濃度は0.75〜1.5ng/mlであり、さらに好ましい濃度は0.9〜1.2ng/mlであり、最も好ましい濃度は1ng/mlである。
【0230】
TGF−β sRIIについては、好ましい濃度は1.25〜15ng/mlであり、さらに好ましい濃度は2.5〜10ng/mlであり、さらに好ましい濃度は3.75〜7.5ng/mlであり、さらに好ましい濃度は4.5〜6ng/mlであり、最も好ましい濃度は5ng/mlである。
【0231】
TGF−β1については、好ましい濃度は0.125〜1.5ng/mlであり、さらに好ましい濃度は0.25〜1ng/mlであり、さらに好ましい濃度は0.375〜0.75ng/mlであり、さらに好ましい濃度は0.45〜0.6ng/mlであり、最も好ましい濃度は0.5ng/mlである。
【0232】
トランスフェリンについては、好ましい濃度は687.5〜8250ng/mlであり、さらに好ましい濃度は1375〜5500ng/mlであり、さらに好ましい濃度は2062.5〜4125ng/mlであり、さらに好ましい濃度は2475〜3300ng/mlであり、最も好ましい濃度は2750ng/mlである。
【0233】
トリヨードチロニン(T3)については、好ましい濃度は8.375〜100.5ng/mlであり、さらに好ましい濃度は16.75〜67ng/mlであり、さらに好ましい濃度は25.125〜50.25ng/mlであり、さらに好ましい濃度は30.15〜40.2ng/mlであり、最も好ましい濃度は33.5ng/mlである。
【0234】
トロロックスについては、好ましい濃度は156.25〜1875ng/mlであり、さらに好ましい濃度は312.5〜1250ng/mlであり、さらに好ましい濃度は468.75〜937.5ng/mlであり、さらに好ましい濃度は562.5〜750ng/mlであり、最も好ましい濃度は625ng/mlである。
【0235】
血管活性腸管ペプチド(VIP)については、好ましい濃度は16.625〜199.5ng/mlであり、さらに好ましい濃度は33.25〜133ng/mlであり、さらに好ましい濃度は49.875〜99.75ng/mlであり、さらに好ましい濃度は59.85〜79.8ng/mlであり、最も好ましい濃度は66.5ng/mlである。
【0236】
VEGFについては、好ましい濃度は0.625〜7.5ng/mlであり、さらに好ましい濃度は1.25〜5ng/mlであり、さらに好ましい濃度は1.875〜3.75ng/mlであり、さらに好ましい濃度は2.25〜3ng/mlであり、最も好ましい濃度は2.5ng/mlである。
【0237】
ビタミンAについては、好ましい濃度は6.25〜75ng/mlであり、さらに好ましい濃度は12.5〜50ng/mlであり、さらに好ましい濃度は18.75〜37.5ng/mlであり、さらに好ましい濃度は22.5〜30ng/mlであり、最も好ましい濃度は25ng/mlである。
【0238】
可溶性ビタミンEについては、好ましい濃度は156.25〜1875ng/mlであり、さらに好ましい濃度は312.5〜1250ng/mlであり、さらに好ましい濃度は468.75〜937.5ng/mlであり、さらに好ましい濃度は562.5〜750ng/mlであり、最も好ましい濃度は625ng/mlである。
【0239】
ひとつの実施形態において、幹細胞は、表1の縦列のいずれかで表された化合物を含む細胞培養培地において、血清または無血清によって、懸濁液、接着またはマトリックスの様式で培養される。より好ましくは、培養様式は、MATRIGEL、コラーゲン、ヒドロゲル、または他の架橋性ゲルマトリックスである。より好ましい培養様式は、ヒドロゲルマトリックスである。最も好ましい培養様式は、アルギネートマトリックスである。
【0240】
ひとつの実施形態において、幹細胞は、表1の縦列Aに表された化合物を含む細胞培養培地において、血清または無血清によって培養される。好ましくは、培養培地は、表1の縦列Aに表された因子およびサプリメントの少なくとも1つを含む。より好ましくは、表1の縦列Aに表された因子およびサプリメントの少なくとも2つを含む。より好ましくは、表1の縦列Aに表された因子およびサプリメントの少なくとも3つを含む。より好ましくは、表1の縦列Aに表された因子およびサプリメントの少なくとも4つを含む。より好ましくは、表1の縦列Aに表された因子およびサプリメントの少なくとも5つを含む。より好ましくは、表1の縦列Aに表された因子およびサプリメントの少なくとも6つを含む。より好ましくは、表1の縦列Aに表された因子およびサプリメントの少なくとも7つを含む。より好ましくは、表1の縦列Aに表された因子およびサプリメントの少なくとも8つを含む。より好ましくは、表1の縦列Aに表された因子およびサプリメントの少なくとも9つを含む。より好ましくは、表1の縦列Aに表された因子およびサプリメントの少なくとも10を含む。より好ましくは、表1の縦列Aに表された因子およびサプリメントの少なくとも11を含む。より好ましくは、表1の縦列Aに表された因子およびサプリメントの少なくとも12を含む。より好ましくは、表1の縦列Aに表された因子およびサプリメントの少なくとも13を含む。より好ましくは、表1の縦列Aに表された因子およびサプリメントの少なくとも14を含む。より好ましくは、表1の縦列Aに表された因子およびサプリメントの少なくとも15を含む。より好ましくは、表1の縦列Aに表された因子およびサプリメントの少なくとも16を含む。より好ましくは、表1の縦列Aに表された因子およびサプリメントの少なくとも17を含む。より好ましくは、表1の縦列Aに表された因子およびサプリメントの少なくとも18を含む。より好ましくは、表1の縦列Aに表された因子およびサプリメントの少なくとも19を含む。より好ましくは、表1の縦列Aに表された因子およびサプリメントの少なくとも20を含む。より好ましくは、表1の縦列Aに表された因子およびサプリメントの少なくとも21を含む。より好ましくは、表1の縦列Aに表された因子およびサプリメントの少なくとも22を含む。より好ましくは、表1の縦列Aに表された因子およびサプリメントの少なくとも23を含む。より好ましくは、表1の縦列Aに表された因子およびサプリメントの少なくとも24を含む。より好ましくは、表1の縦列Aに表された因子およびサプリメントの少なくとも25を含む。より好ましくは、表1の縦列Aに表された因子およびサプリメントの少なくとも26を含む。より好ましくは、表1の縦列Aに表された因子およびサプリメントの少なくとも27を含む。より好ましくは、表1の縦列Aに表された因子およびサプリメントの少なくとも28を含む。最も好ましくは、表1の縦列Aに表された因子およびサプリメントの全てを含む。
【0241】
ひとつの実施形態において、幹細胞は、表1の縦列Bに表された化合物を含む細胞培養培地において、血清または無血清によって培養される。好ましくは、培養培地は、表1の縦列Bに表された因子およびサプリメントの少なくとも1つを含む。より好ましくは、表1の縦列Bに表された因子およびサプリメントの少なくとも2つを含む。より好ましくは、表1の縦列Bに表された因子およびサプリメントの少なくとも3つを含む。より好ましくは、表1の縦列Bに表された因子およびサプリメントの少なくとも4つを含む。より好ましくは、表1の縦列Bに表された因子およびサプリメントの少なくとも5つを含む。より好ましくは、表1の縦列Bに表された因子およびサプリメントの少なくとも6つを含む。より好ましくは、表1の縦列Bに表された因子およびサプリメントの少なくとも7つを含む。より好ましくは、表1の縦列Bに表された因子およびサプリメントの少なくとも8つを含む。より好ましくは、表1の縦列Bに表された因子およびサプリメントの少なくとも9つを含む。より好ましくは、表1の縦列Bに表された因子およびサプリメントの少なくとも10を含む。より好ましくは、表1の縦列Bに表された因子およびサプリメントの少なくとも11を含む。より好ましくは、表1の縦列Bに表された因子およびサプリメントの少なくとも12を含む。より好ましくは、表1の縦列Bに表された因子およびサプリメントの少なくとも13を含む。より好ましくは、表1の縦列Bに表された因子およびサプリメントの少なくとも14を含む。より好ましくは、表1の縦列Bに表された因子およびサプリメントの少なくとも15を含む。より好ましくは、表1の縦列Bに表された因子およびサプリメントの少なくとも16を含む。より好ましくは、表1の縦列Bに表された因子およびサプリメントの少なくとも17を含む。より好ましくは、表1の縦列Bに表された因子およびサプリメントの少なくとも18を含む。より好ましくは、表1の縦列Bに表された因子およびサプリメントの少なくとも19を含む。より好ましくは、表1の縦列Bに表された因子およびサプリメントの少なくとも20を含む。より好ましくは、表1の縦列Bに表された因子およびサプリメントの少なくとも21を含む。より好ましくは、表1の縦列Bに表された因子およびサプリメントの少なくとも22を含む。より好ましくは、表1の縦列Bに表された因子およびサプリメントの少なくとも23を含む。より好ましくは、表1の縦列Bに表された因子およびサプリメントの少なくとも24を含む。より好ましくは、表1の縦列Bに表された因子およびサプリメントの少なくとも25を含む。より好ましくは、表1の縦列Bに表された因子およびサプリメントの少なくとも26を含む。より好ましくは、表1の縦列Bに表された因子およびサプリメントの少なくとも27を含む。より好ましくは、表1の縦列Bに表された因子およびサプリメントの少なくとも28を含む。より好ましくは、表1の縦列Bに表された因子およびサプリメントの少なくとも29を含む。より好ましくは、表1の縦列Bに表された因子およびサプリメントの少なくとも30を含む。より好ましくは、表1の縦列Bに表された因子およびサプリメントの少なくとも31を含む。最も好ましくは、表1の縦列Bに表された因子およびサプリメントの全てを含む。
【0242】
ひとつの実施形態において、幹細胞は、表1の縦列Cに表された化合物を含む細胞培養培地において、血清または無血清によって培養される。好ましくは、培養培地は、表1の縦列Cに表された因子およびサプリメントの少なくとも1つを含む。より好ましくは、表1の縦列Cに表された因子およびサプリメントの少なくとも2つを含む。より好ましくは、表1の縦列Cに表された因子およびサプリメントの少なくとも3つを含む。より好ましくは、表1の縦列Cに表された因子およびサプリメントの少なくとも4つを含む。より好ましくは、表1の縦列Cに表された因子およびサプリメントの少なくとも5つを含む。より好ましくは、表1の縦列Cに表された因子およびサプリメントの少なくとも6つを含む。より好ましくは、表1の縦列Cに表された因子およびサプリメントの少なくとも7つを含む。より好ましくは、表1の縦列Cに表された因子およびサプリメントの少なくとも8つを含む。より好ましくは、表1の縦列Cに表された因子およびサプリメントの少なくとも9つを含む。より好ましくは、表1の縦列Cに表された因子およびサプリメントの少なくとも10を含む。より好ましくは、表1の縦列Cに表された因子およびサプリメントの少なくとも11を含む。より好ましくは、表1の縦列Cに表された因子およびサプリメントの少なくとも12を含む。より好ましくは、表1の縦列Cに表された因子およびサプリメントの少なくとも13を含む。より好ましくは、表1の縦列Cに表された因子およびサプリメントの少なくとも14を含む。より好ましくは、表1の縦列Cに表された因子およびサプリメントの少なくとも15を含む。より好ましくは、表1の縦列Cに表された因子およびサプリメントの少なくとも16を含む。より好ましくは、表1の縦列Cに表された因子およびサプリメントの少なくとも17を含む。より好ましくは、表1の縦列Cに表された因子およびサプリメントの少なくとも18を含む。より好ましくは、表1の縦列Cに表された因子およびサプリメントの少なくとも19を含む。より好ましくは、表1の縦列Cに表された因子およびサプリメントの少なくとも20を含む。より好ましくは、表1の縦列Cに表された因子およびサプリメントの少なくとも21を含む。より好ましくは、表1の縦列Cに表された因子およびサプリメントの少なくとも22を含む。より好ましくは、表1の縦列Cに表された因子およびサプリメントの少なくとも23を含む。より好ましくは、表1の縦列Cに表された因子およびサプリメントの少なくとも24を含む。より好ましくは、表1の縦列Cに表された因子およびサプリメントの少なくとも25を含む。より好ましくは、表1の縦列Cに表された因子およびサプリメントの少なくとも26を含む。より好ましくは、表1の縦列Cに表された因子およびサプリメントの少なくとも27を含む。最も好ましくは、表1の縦列Cに表された因子およびサプリメントの全てを含む。
【0243】
ひとつの実施形態において、幹細胞は、表1の縦列Dに表された化合物を含む細胞培養培地において、血清または無血清によって培養される。好ましくは、培養培地は、表1の縦列Dに表された因子およびサプリメントの少なくとも1つを含む。より好ましくは、表1の縦列Dに表された因子およびサプリメントの少なくとも2つを含む。より好ましくは、表1の縦列Dに表された因子およびサプリメントの少なくとも3つをふくむ。より好ましくは、表1の縦列Dに表された因子およびサプリメントの少なくとも4つを含む。より好ましくは、表1の縦列Dに表された因子およびサプリメントの少なくとも5つを含む。より好ましくは、表1の縦列Dに表された因子およびサプリメントの少なくとも6つを含む。より好ましくは、表1の縦列Dに表された因子およびサプリメントの少なくとも7つを含む。より好ましくは、表1の縦列Dに表された因子およびサプリメントの少なくとも8つを含む。より好ましくは、表1の縦列Dに表された因子およびサプリメントの少なくとも9つを含む。より好ましくは、表1の縦列Dに表された因子およびサプリメントの少なくとも10を含む。より好ましくは、表1の縦列Dに表された因子およびサプリメントの少なくとも11を含む。より好ましくは、表1の縦列Dに表された因子およびサプリメントの少なくとも12を含む。より好ましくは、表1の縦列Dに表された因子およびサプリメントの少なくとも13を含む。より好ましくは、表1の縦列Dに表された因子およびサプリメントの少なくとも14を含む。より好ましくは、表1の縦列Dに表された因子およびサプリメントの少なくとも15を含む。より好ましくは、表1の縦列Dに表された因子およびサプリメントの少なくとも16を含む。より好ましくは、表1の縦列Dに表された因子およびサプリメントの少なくとも17を含む。より好ましくは、表1の縦列Dに表された因子およびサプリメントの少なくとも18を含む。より好ましくは、表1の縦列Dに表された因子およびサプリメントの少なくとも19を含む。より好ましくは、表1の縦列Dに表された因子およびサプリメントの少なくとも20を含む。より好ましくは、表1の縦列Dに表された因子およびサプリメントの少なくとも21を含む。より好ましくは、表1の縦列Dに表された因子およびサプリメントの少なくとも22を含む。より好ましくは、表1の縦列Dに表された因子およびサプリメントの少なくとも23を含む。最も好ましくは、表1の縦列Dに表された因子およびサプリメントの全てを含む。
【0244】
ひとつの実施形態において、幹細胞は、表1の縦列Eに表された化合物を含む細胞培養培地において、血清または無血清によって培養される。好ましくは、培養培地は、表1の縦列Eに表された因子およびサプリメントの少なくとも1つを含む。より好ましくは、表1の縦列Eに表された因子およびサプリメントの少なくとも2つを含む。より好ましくは、表1の縦列Eに表された因子およびサプリメントの少なくとも3つを含む。より好ましくは、表1の縦列Eに表された因子およびサプリメントの少なくとも4つを含む。より好ましくは、表1の縦列Eに表された因子およびサプリメントの少なくとも5つを含む。より好ましくは、表1の縦列Eに表された因子およびサプリメントの少なくとも6つを含む。より好ましくは、表1の縦列Eに表された因子およびサプリメントの少なくとも7つを含む。より好ましくは、表1の縦列Eに表された因子およびサプリメントの少なくとも8つを含む。より好ましくは、表1の縦列Eに表された因子およびサプリメントの少なくとも9つを含む。より好ましくは、表1の縦列Eに表された因子およびサプリメントの少なくとも10を含む。より好ましくは、表1の縦列Eに表された因子およびサプリメントの少なくとも11を含む。より好ましくは、表1の縦列Eに表された因子およびサプリメントの少なくとも12を含む。より好ましくは、表1の縦列Eに表された因子およびサプリメントの少なくとも13を含む。より好ましくは、表1の縦列Eに表された因子およびサプリメントの少なくとも14を含む。より好ましくは、表1の縦列Eに表された因子およびサプリメントの少なくとも15を含む。より好ましくは、表1の縦列Eに表された因子およびサプリメントの少なくとも16を含む。より好ましくは、表1の縦列Eに表された因子およびサプリメントの少なくとも17を含む。より好ましくは、表1の縦列Eに表された因子およびサプリメントの少なくとも18を含む。より好ましくは、表1の縦列Eに表された因子およびサプリメントの少なくとも19を含む。より好ましくは、表1の縦列Eに表された因子およびサプリメントの少なくとも20を含む。より好ましくは、表1の縦列Eに表された因子およびサプリメントの少なくとも21を含む。より好ましくは、表1の縦列Eに表された因子およびサプリメントの少なくとも22を含む。より好ましくは、表1の縦列Eに表された因子およびサプリメントの少なくとも23を含む。より好ましくは、表1の縦列Eに表された因子およびサプリメントの少なくとも24を含む。より好ましくは、表1の縦列Eに表された因子およびサプリメントの少なくとも25を含む。より好ましくは、表1の縦列Eに表された因子およびサプリメントの少なくとも26を含む。より好ましくは、表1の縦列Eに表された因子およびサプリメントの少なくとも27を含む。より好ましくは、表1の縦列Eに表された因子およびサプリメントの少なくとも28を含む。より好ましくは、表1の縦列Eに表された因子およびサプリメントの少なくとも29を含む。より好ましくは、表1の縦列Eに表された因子およびサプリメントの少なくとも30を含む。より好ましくは、表1の縦列Eに表された因子およびサプリメントの少なくとも31を含む。より好ましくは、表1の縦列Eに表された因子およびサプリメントの少なくとも32を含む。最も好ましくは、表1の縦列Eに表された因子およびサプリメントの全てを含む。
【0245】
ひとつの実施形態において、幹細胞は、表1の縦列Fに表された化合物を含む細胞培養培地において、血清または無血清によって培養される。好ましくは、培養培地は、表1の縦列Fに表された因子およびサプリメントの少なくとも1つを含む。より好ましくは、表1の縦列Fに表された因子およびサプリメントの少なくとも2つを含む。より好ましくは、表1の縦列Fに表された因子およびサプリメントの少なくとも3つを含む。より好ましくは、表1の縦列Fに表された因子およびサプリメントの少なくとも4つを含む。より好ましくは、表1の縦列Fに表された因子およびサプリメントの少なくとも5つを含む。より好ましくは、表1の縦列Fに表された因子およびサプリメントの少なくとも6つを含む。より好ましくは、表1の縦列Fに表された因子およびサプリメントの少なくとも7つを含む。より好ましくは、表1の縦列Fに表された因子およびサプリメントの少なくとも8つを含む。より好ましくは、表1の縦列Fに表された因子およびサプリメントの少なくとも9つを含む。より好ましくは、表1の縦列Fに表された因子およびサプリメントの少なくとも10を含む。より好ましくは、表1の縦列Fに表された因子およびサプリメントの少なくとも11を含む。より好ましくは、表1の縦列Fに表された因子およびサプリメントの少なくとも12を含む。より好ましくは、表1の縦列Fに表された因子およびサプリメントの少なくとも13を含む。より好ましくは、表1の縦列Fに表された因子およびサプリメントの少なくとも14を含む。より好ましくは、表1の縦列Fに表された因子およびサプリメントの少なくとも15を含む。より好ましくは、表1の縦列Fに表された因子およびサプリメントの少なくとも16を含む。より好ましくは、表1の縦列Fに表された因子およびサプリメントの少なくとも17を含む。より好ましくは、表1の縦列Fに表された因子およびサプリメントの少なくとも18を含む。より好ましくは、表1の縦列Fに表された因子およびサプリメントの少なくとも19を含む。より好ましくは、表1の縦列Fに表された因子およびサプリメントの少なくとも20を含む。より好ましくは、表1の縦列Fに表された因子およびサプリメントの少なくとも21を含む。より好ましくは、表1の縦列Fに表された因子およびサプリメントの少なくとも22を含む。より好ましくは、表1の縦列Fに表された因子およびサプリメントの少なくとも23を含む。より好ましくは、表1の縦列Fに表された因子およびサプリメントの少なくとも24を含む。より好ましくは、表1の縦列Fに表された因子およびサプリメントの少なくとも25を含む。より好ましくは、表1の縦列Fに表された因子およびサプリメントの少なくとも26を含む。より好ましくは、表1の縦列Fに表された因子およびサプリメントの少なくとも27を含む。より好ましくは、表1の縦列Fに表された因子およびサプリメントの少なくとも28を含む。より好ましくは、表1の縦列Fに表された因子およびサプリメントの少なくとも29を含む。より好ましくは、表1の縦列Fに表された因子およびサプリメントの少なくとも30を含む。より好ましくは、表1の縦列Fに表された因子およびサプリメントの少なくとも31を含む。より好ましくは、表1の縦列Fに表された因子およびサプリメントの少なくとも32を含む。最も好ましくは、表1の縦列Fに表された因子およびサプリメントの全てを含む。
【0246】
ひとつの実施形態において、幹細胞は、表1の縦列Gに表された化合物を含む細胞培養培地において、血清または無血清によって培養される。好ましくは、培養培地は、表1の縦列Gに表された因子およびサプリメントの少なくとも1つを含む。より好ましくは、表1の縦列Gに表された因子およびサプリメントの少なくとも2つを含む。より好ましくは、表1の縦列Gに表された因子およびサプリメントの少なくとも3つを含む。より好ましくは、表1の縦列Gに表された因子およびサプリメントの少なくとも4つを含む。より好ましくは、表1の縦列Gに表された因子およびサプリメントの少なくとも5つを含む。より好ましくは、表1の縦列Gに表された因子およびサプリメントの少なくとも6つを含む。より好ましくは、表1の縦列Gに表された因子およびサプリメントの少なくとも7つを含む。より好ましくは、表1の縦列Gに表された因子およびサプリメントの少なくとも8つを含む。より好ましくは、表1の縦列Gに表された因子およびサプリメントの少なくとも9つを含む。より好ましくは、表1の縦列Gに表された因子およびサプリメントの少なくとも10を含む。より好ましくは、表1の縦列Gに表された因子およびサプリメントの少なくとも11を含む。より好ましくは、表1の縦列Gに表された因子およびサプリメントの少なくとも12を含む。より好ましくは、表1の縦列Gに表された因子およびサプリメントの少なくとも13を含む。より好ましくは、表1の縦列Gに表された因子およびサプリメントの少なくとも14を含む。より好ましくは、表1の縦列Gに表された因子およびサプリメントの少なくとも15を含む。より好ましくは、表1の縦列Gに表された因子およびサプリメントの少なくとも16を含む。より好ましくは、表1の縦列Gに表された因子およびサプリメントの少なくとも17を含む。より好ましくは、表1の縦列Gに表された因子およびサプリメントの少なくとも18を含む。より好ましくは、表1の縦列Gに表された因子およびサプリメントの少なくとも19を含む。より好ましくは、表1の縦列Gに表された因子およびサプリメントの少なくとも20を含む。より好ましくは、表1の縦列Gに表された因子およびサプリメントの少なくとも21を含む。より好ましくは、表1の縦列Gに表された因子およびサプリメントの少なくとも22を含む。より好ましくは、表1の縦列Gに表された因子およびサプリメントの少なくとも23を含む。より好ましくは、表1の縦列Gに表された因子およびサプリメントの少なくとも24を含む。より好ましくは、表1の縦列Gに表された因子およびサプリメントの少なくとも25を含む。より好ましくは、表1の縦列Gに表された因子およびサプリメントの少なくとも26を含む。より好ましくは、表1の縦列Gに表された因子およびサプリメントの少なくとも27を含む。より好ましくは、表1の縦列Gに表された因子およびサプリメントの少なくとも28を含む。より好ましくは、表1の縦列Gに表された因子およびサプリメントの少なくとも29を含む。最も好ましくは、表1の縦列Gに表された因子およびサプリメントの全てを含む。
【0247】
ひとつの実施形態において、幹細胞は、表1の縦列Hに表された化合物を含む細胞培養培地において、血清または無血清によって培養される。好ましくは、培養培地は、表1の縦列Hに表された因子およびサプリメントの少なくとも1つを含む。より好ましくは、表1の縦列Hに表された因子およびサプリメントの少なくとも2つを含む。より好ましくは、表1の縦列Hに表された因子およびサプリメントの少なくとも3つを含む。より好ましくは、表1の縦列Hに表された因子およびサプリメントの少なくとも4つを含む。より好ましくは、表1の縦列Hに表された因子およびサプリメントの少なくとも5つを含む。より好ましくは、表1の縦列Hに表された因子およびサプリメントの少なくとも6つを含む。より好ましくは、表1の縦列Hに表された因子およびサプリメントの少なくとも7つを含む。より好ましくは、表1の縦列Hに表された因子およびサプリメントの少なくとも8つを含む。より好ましくは、表1の縦列Hに表された因子およびサプリメントの少なくとも9つを含む。より好ましくは、表1の縦列Hに表された因子およびサプリメントの少なくとも10を含む。より好ましくは、表1の縦列Hに表された因子およびサプリメントの少なくとも11を含む。より好ましくは、表1の縦列Hに表された因子およびサプリメントの少なくとも12を含む。より好ましくは、表1の縦列Hに表された因子およびサプリメントの少なくとも13を含む。より好ましくは、表1の縦列Hに表された因子およびサプリメントの少なくとも14を含む。より好ましくは、表1の縦列Hに表された因子およびサプリメントの少なくとも15を含む。より好ましくは、表1の縦列Hに表された因子およびサプリメントの少なくとも16を含む。より好ましくは、表1の縦列Hに表された因子およびサプリメントの少なくとも17を含む。より好ましくは、表1の縦列Hに表された因子およびサプリメントの少なくとも18を含む。より好ましくは、表1の縦列Hに表された因子およびサプリメントの少なくとも19を含む。より好ましくは、表1の縦列Hに表された因子およびサプリメントの少なくとも20を含む。より好ましくは、表1の縦列Hに表された因子およびサプリメントの少なくとも21を含む。より好ましくは、表1の縦列Hに表された因子およびサプリメントの少なくとも22を含む。より好ましくは、表1の縦列Hに表された因子およびサプリメントの少なくとも23を含む。より好ましくは、表1の縦列Hに表された因子およびサプリメントの少なくとも24を含む。より好ましくは、表1の縦列Hに表された因子およびサプリメントの少なくとも25を含む。より好ましくは、表1の縦列Hに表された因子およびサプリメントの少なくとも26を含む。より好ましくは、表1の縦列Hに表された因子およびサプリメントの少なくとも27を含む。より好ましくは、表1の縦列Hに表された因子およびサプリメントの少なくとも28を含む。より好ましくは、表1の縦列Hに表された因子およびサプリメントの少なくとも29を含む。より好ましくは、表1の縦列Hに表された因子およびサプリメントの少なくとも30を含む。より好ましくは、表1の縦列Hに表された因子およびサプリメントの少なくとも31を含む。より好ましくは、表1の縦列Hに表された因子およびサプリメントの少なくとも32を含む。より好ましくは、表1の縦列Hに表された因子およびサプリメントの少なくとも33を含む。最も好ましくは、表1の縦列Hに表された因子およびサプリメントの全てを含む。
【0248】
ひとつの実施形態において、幹細胞は、表2の縦列のいずれかに表された化合物を含む細胞培養培地において、血清または無血清によって、懸濁液、接着またはマトリックスの様式で培養される。より好ましい培養様式は、接着である。最も好ましい培養培地は、アルギネート接着である。
【0249】
ひとつの実施形態において、幹細胞は、表2の縦列Iに表された化合物を含む細胞培養培地において、血清または無血清によって培養される。好ましくは、培養培地は、表2の縦列Iに表された因子およびサプリメントの少なくとも1つを含む。より好ましくは、表2の縦列Iに表された因子およびサプリメントの少なくとも2つを含む。より好ましくは、表2の縦列Iに表された因子およびサプリメントの少なくとも3つを含む。より好ましくは、表2の縦列Iに表された因子およびサプリメントの少なくとも4つを含む。より好ましくは、表2の縦列Iに表された因子およびサプリメントの少なくとも5つを含む。より好ましくは、表2の縦列Iに表された因子およびサプリメントの少なくとも6つを含む。より好ましくは、表2の縦列Iに表された因子およびサプリメントの少なくとも7つを含む。より好ましくは、表2の縦列Iに表された因子およびサプリメントの少なくとも8つを含む。より好ましくは、表2の縦列Iに表された因子およびサプリメントの少なくとも9つを含む。より好ましくは、表2の縦列Iに表された因子およびサプリメントの少なくとも10を含む。より好ましくは、表2の縦列Iに表された因子およびサプリメントの少なくとも11を含む。より好ましくは、表2の縦列Iに表された因子およびサプリメントの少なくとも12を含む。より好ましくは、表2の縦列Iに表された因子およびサプリメントの少なくとも13を含む。より好ましくは、表2の縦列Iに表された因子およびサプリメントの少なくとも14を含む。より好ましくは、表2の縦列Iに表された因子およびサプリメントの少なくとも15を含む。より好ましくは、表2の縦列Iに表された因子およびサプリメントの少なくとも16を含む。より好ましくは、表2の縦列Iに表された因子およびサプリメントの少なくとも17を含む。より好ましくは、表2の縦列Iに表された因子およびサプリメントの少なくとも18を含む。より好ましくは、表2の縦列Iに表された因子およびサプリメントの少なくとも19を含む。より好ましくは、表2の縦列Iに表された因子およびサプリメントの少なくとも20を含む。より好ましくは、表2の縦列Iに表された因子およびサプリメントの少なくとも21を含む。より好ましくは、表2の縦列Iに表された因子およびサプリメントの少なくとも22を含む。より好ましくは、表2の縦列Iに表された因子およびサプリメントの少なくとも23を含む。より好ましくは、表2の縦列Iに表された因子およびサプリメントの少なくとも24を含む。より好ましくは、表2の縦列Iに表された因子およびサプリメントの少なくとも25を含む。より好ましくは、表2の縦列Iに表された因子およびサプリメントの少なくとも26を含む。より好ましくは、表2の縦列Iに表された因子およびサプリメントの少なくとも27を含む。より好ましくは、表2の縦列Iに表された因子およびサプリメントの少なくとも28を含む。より好ましくは、表2の縦列Iに表された因子およびサプリメントの少なくとも29を含む。より好ましくは、表2の縦列Iに表された因子およびサプリメントの少なくとも30を含む。より好ましくは、表2の縦列Iに表された因子およびサプリメントの少なくとも31を含む。より好ましくは、表2の縦列Iに表された因子およびサプリメントの少なくとも32を含む。最も好ましくは、表2の縦列Iに表された因子およびサプリメントの全てを含む。
【0250】
ひとつの実施形態において、幹細胞は、表2の縦列Jに表された化合物を含む細胞培養培地において、血清または無血清によって培養される。好ましくは、培養培地は、表2の縦列Jに表された因子およびサプリメントの少なくとも1つを含む。より好ましくは、表2の縦列Jに表された因子およびサプリメントの少なくとも2つを含む。より好ましくは、表2の縦列Jに表された因子およびサプリメントの少なくとも3つを含む。より好ましくは、表2の縦列Jに表された因子およびサプリメントの少なくとも4つを含む。より好ましくは、表2の縦列Jに表された因子およびサプリメントの少なくとも5つを含む。より好ましくは、表2の縦列Jに表された因子およびサプリメントの少なくとも6つを含む。より好ましくは、表2の縦列Jに表された因子およびサプリメントの少なくとも7つを含む。より好ましくは、表2の縦列Jに表された因子およびサプリメントの少なくとも8つを含む。より好ましくは、表2の縦列Jに表された因子およびサプリメントの少なくとも9つを含む。より好ましくは、表2の縦列Jに表された因子およびサプリメントの少なくとも10を含む。より好ましくは、表2の縦列Jに表された因子およびサプリメントの少なくとも11を含む。より好ましくは、表2の縦列Jに表された因子およびサプリメントの少なくとも12を含む。より好ましくは、表2の縦列Jに表された因子およびサプリメントの少なくとも13を含む。より好ましくは、表2の縦列Jに表された因子およびサプリメントの少なくとも14を含む。より好ましくは、表2の縦列Jに表された因子およびサプリメントの少なくとも15を含む。より好ましくは、表2の縦列Jに表された因子およびサプリメントの少なくとも16を含む。より好ましくは、表2の縦列Jに表された因子およびサプリメントの少なくとも17を含む。より好ましくは、表2の縦列Jに表された因子およびサプリメントの少なくとも18を含む。より好ましくは、表2の縦列Jに表された因子およびサプリメントの少なくとも19を含む。より好ましくは、表2の縦列Jに表された因子およびサプリメントの少なくとも20を含む。より好ましくは、表2の縦列Jに表された因子およびサプリメントの少なくとも21を含む。より好ましくは、表2の縦列Jに表された因子およびサプリメントの少なくとも22を含む。より好ましくは、表2の縦列Jに表された因子およびサプリメントの少なくとも23を含む。より好ましくは、表2の縦列Jに表された因子およびサプリメントの少なくとも24を含む。より好ましくは、表2の縦列Jに表された因子およびサプリメントの少なくとも25を含む。より好ましくは、表2の縦列Jに表された因子およびサプリメントの少なくとも26を含む。より好ましくは、表2の縦列Jに表された因子およびサプリメントの少なくとも27を含む。より好ましくは、表2の縦列Jに表された因子およびサプリメントの少なくとも28を含む。より好ましくは、表2の縦列Jに表された因子およびサプリメントの少なくとも29を含む。より好ましくは、表2の縦列Jに表された因子およびサプリメントの少なくとも30を含む。より好ましくは、表2の縦列Jに表された因子およびサプリメントの少なくとも31を含む。最も好ましくは、表2の縦列Jに表された因子およびサプリメントの全てを含む。
【0251】
ひとつの実施形態において、幹細胞は、表2の縦列Kに表された化合物を含む細胞培養培地において、血清または無血清によって培養される。好ましくは、培養培地は、表2の縦列Kに表された因子およびサプリメントの少なくとも1つを含む。より好ましくは、表2の縦列Kに表された因子およびサプリメントの少なくとも2つを含む。より好ましくは、表2の縦列Kに表された因子およびサプリメントの少なくとも3つを含む。より好ましくは、表2の縦列Kに表された因子およびサプリメントの少なくとも4つを含む。より好ましくは、表2の縦列Kに表された因子およびサプリメントの少なくとも5つを含む。より好ましくは、表2の縦列Kに表された因子およびサプリメントの少なくとも6つを含む。より好ましくは、表2の縦列Kに表された因子およびサプリメントの少なくとも7つを含む。より好ましくは、表2の縦列Kに表された因子およびサプリメントの少なくとも8つを含む。より好ましくは、表2の縦列Kに表された因子およびサプリメントの少なくとも9つを含む。より好ましくは、表2の縦列Kに表された因子およびサプリメントの少なくとも10を含む。より好ましくは、表2の縦列Kに表された因子およびサプリメントの少なくとも11を含む。より好ましくは、表2の縦列Kに表された因子およびサプリメントの少なくとも12を含む。より好ましくは、表2の縦列Kに表された因子およびサプリメントの少なくとも13を含む。より好ましくは、表2の縦列Kに表された因子およびサプリメントの少なくとも14を含む。より好ましくは、表2の縦列Kに表された因子およびサプリメントの少なくとも15を含む。より好ましくは、表2の縦列Kに表された因子およびサプリメントの少なくとも16を含む。より好ましくは、表2の縦列Kに表された因子およびサプリメントの少なくとも17を含む。より好ましくは、表2の縦列Kに表された因子およびサプリメントの少なくとも18を含む。より好ましくは、表2の縦列Kに表された因子およびサプリメントの少なくとも19を含む。より好ましくは、表2の縦列Kに表された因子およびサプリメントの少なくとも20を含む。より好ましくは、表2の縦列Kに表された因子およびサプリメントの少なくとも21を含む。より好ましくは、表2の縦列Kに表された因子およびサプリメントの少なくとも22を含む。より好ましくは、表2の縦列Kに表された因子およびサプリメントの少なくとも23を含む。より好ましくは、表2の縦列Kに表された因子およびサプリメントの少なくとも24を含む。より好ましくは、表2の縦列Kに表された因子およびサプリメントの少なくとも25を含む。より好ましくは、表2の縦列Kに表された因子およびサプリメントの少なくとも26を含む。より好ましくは、表2の縦列Kに表された因子およびサプリメントの少なくとも27を含む。より好ましくは、表2の縦列Kに表された因子およびサプリメントの少なくとも28を含む。より好ましくは、表2の縦列Kに表された因子およびサプリメントの少なくとも29を含む。より好ましくは、表2の縦列Kに表された因子およびサプリメントの少なくとも30を含む。最も好ましくは、表2の縦列Kに表された因子およびサプリメントの全てを含む。
【0252】
ひとつの実施形態において、幹細胞は、表2の縦列Lに表された化合物を含む細胞培養培地において、血清または無血清によって培養される。好ましくは、培養培地は、表2の縦列Lに表された因子およびサプリメントの少なくとも1つを含む。より好ましくは、表2の縦列Lに表された因子およびサプリメントの少なくとも2つを含む。より好ましくは、表2の縦列Lに表された因子およびサプリメントの少なくとも3つを含む。より好ましくは、表2の縦列Lに表された因子およびサプリメントの少なくとも4つを含む。より好ましくは、表2の縦列Lに表された因子およびサプリメントの少なくとも5つを含む。より好ましくは、表2の縦列Lに表された因子およびサプリメントの少なくとも6つを含む。より好ましくは、表2の縦列Lに表された因子およびサプリメントの少なくとも7つを含む。より好ましくは、表2の縦列Lに表された因子およびサプリメントの少なくとも8つを含む。より好ましくは、表2の縦列Lに表された因子およびサプリメントの少なくとも9つを含む。より好ましくは、表2の縦列Lに表された因子およびサプリメントの少なくとも10を含む。より好ましくは、表2の縦列Lに表された因子およびサプリメントの少なくとも11を含む。より好ましくは、表2の縦列Lに表された因子およびサプリメントの少なくとも12を含む。より好ましくは、表2の縦列Lに表された因子およびサプリメントの少なくとも13を含む。より好ましくは、表2の縦列Lに表された因子およびサプリメントの少なくとも14を含む。より好ましくは、表2の縦列Lに表された因子およびサプリメントの少なくとも15を含む。より好ましくは、表2の縦列Lに表された因子およびサプリメントの少なくとも16を含む。より好ましくは、表2の縦列Lに表された因子およびサプリメントの少なくとも17を含む。より好ましくは、表2の縦列Lに表された因子およびサプリメントの少なくとも18を含む。より好ましくは、表2の縦列Lに表された因子およびサプリメントの少なくとも19を含む。より好ましくは、表2の縦列Lに表された因子およびサプリメントの少なくとも20を含む。より好ましくは、表2の縦列Lに表された因子およびサプリメントの少なくとも21を含む。より好ましくは、表2の縦列Lに表された因子およびサプリメントの少なくとも22を含む。より好ましくは、表2の縦列Lに表された因子およびサプリメントの少なくとも23を含む。より好ましくは、表2の縦列Lに表された因子およびサプリメントの少なくとも24を含む。より好ましくは、表2の縦列Lに表された因子およびサプリメントの少なくとも25を含む。より好ましくは、表2の縦列Lに表された因子およびサプリメントの少なくとも26を含む。より好ましくは、表2の縦列Lに表された因子およびサプリメントの少なくとも27を含む。より好ましくは、表2の縦列Lに表された因子およびサプリメントの少なくとも28を含む。より好ましくは、表2の縦列Lに表された因子およびサプリメントの少なくとも29を含む。最も好ましくは、表2の縦列Lに表された因子およびサプリメントの全てを含む。
【実施例】
【0253】
実施例1
アルギネート、次いで懸濁培養における膵臓細胞の連続培養
膵臓細胞は、10%FBS、インスリン、トランスフェリン、セレンおよびEGFで補充されたDMEMとハムF12栄養混合物との混合物からなる培地において、1.6%のアルギネート中で6〜12日間にわたり培養され、その結果、幹細胞が生成された。幹細胞は、アルギネートビーズから脱重合によって採取され、120の無作為配列アレイにおける60の成長因子と分化因子との組み合わせによって補充された基礎培地において、超低接着プレート(Coster)中で11日間にわたり懸濁培養された。培養期間の終わりには、細胞は、基礎グルコース培地(5mMグルコース)、20mMグルコースまたは20mMグルコース+IBMXに、24時間にわたり曝露された。上清が採取され、インスリン含量についてELISAを用いて分析された。細胞が洗浄かつ溶解され、ピコグリーンアッセイを用いてウェル毎のDNA含量が測定された。「インスリン差」は、グルコース単独よるかまたはIBMXとの組み合わせにおける刺激後のウェル中の上清のインスリン含量から、基礎培地で刺激されたウェル中のインスリン含量を減算することによって、算出された。グルコース単独による刺激後に生成された上清のインスリン差は、0.007〜0.9908ng/ウェルの範囲であり、グルコースとIBMXとによる刺激後には、0.0098〜1.1523ng/ウェルの範囲であった。多くのウェルは、インスリン差によって算出されたように低レベルのインスリンを産生した。少数のウェルは、無作為配列アレイにおける因子の添加に先立ちアッセイされた対照ウェルのみならず、成長因子および分化因子の添加なしの基礎培地において培養された対照ウェルに比較しても、有意な量のインスリンを産生した。
【0254】
これらのデータは、膵臓幹細胞のインスリン産生細胞への分化を促進するためには、異なる培養様式で特定の成長因子と分化因子とを組み合わせて選択するのを用いることができるということを示している。
【0255】
実施例2
アルギネート、次いで接着培養における膵臓細胞の連続培養
膵臓細胞は、10%FBS、インスリン、トランスフェリン、セレンおよびEGFで補充されたDMEMとハムF12栄養混合物との混合物からなる培地において、1.6%のアルギネート中で6〜12日間にわたり培養され、その結果、幹細胞が生成された。幹細胞は、アルギネートビーズから脱重合によって採取され、120の無作為配列アレイにおける60の成長因子の組み合わせによって補充された基礎培地において、コラーゲン被覆プレート上で8日間にわたり接着培養で培養された。培養期間の終わりには、細胞は、基礎グルコース培地(5mMグルコース)、20mMグルコースまたは20mMグルコース+IBMXに、24時間にわたり曝露された。上清が採取され、インスリン含量についてELISAを用いて分析された。細胞が洗浄かつ溶解され、ピコグリーンアッセイを用いてウェル毎のDNA含量が測定された。「インスリン差」は、グルコース単独によるかまたはIBMXとの組み合わせおける刺激後のウェル中の上清のインスリン含量から、基礎培地で刺激されたウェル中のインスリン含量を減算することによって、算出された。グルコース単独による刺激後に生成された上清のインスリン差は、0.0019〜0.9714ng/ウェルの範囲であり、グルコースとIBMXとによる刺激後には、0.0052〜0.9524ng/ウェルの範囲であった。多くのウェルは、インスリン差によって算出されたように低レベルのインスリンを産生した。少数のウェルは、無作為配列アレイにおける因子の添加に先立ちアッセイされた対照ウェルのみならず、成長因子および分化因子の添加なしの基礎培地において培養された対照ウェルに比較しても、有意な量のインスリンを産生した。
【0256】
これらのデータは、膵臓幹細胞のインスリン産生細胞への分化を促進するためには、異なる培養様式で特定の成長因子と分化因子とを組み合わせて選択するのを用いることができるということを示している。
【0257】
実施例3
アルギネート培養における幹細胞の培養
膵臓細胞は、10%FBS、インスリン、トランスフェリン、セレンおよびEGFで補充されたDMEMとハムF12栄養混合物との混合物からなる培地において、1.6%のアルギネート中で6〜12日間にわたり培養され、その結果、幹細胞が生成された。幹細胞は、アルギネートビーズから脱重合によって採取され、1.2%のアルギネートビーズに作り直され、かつ120の無作為配列アレイにおける60の成長因子の組み合わせによって補充された基礎培地において、追加的な7〜11日間にわたり培養された。培養期の終わりには、細胞は、基礎グルコース培地(5mMグルコース)、20mMグルコースまたは20mMグルコース+IBMXに、24時間にわたり曝露された。上清が採取され、インスリンおよびC―ペプチドの含量についてELISAを用いて分析された。細胞が洗浄かつ溶解され、ピコグリーンアッセイを用いてウェル毎のDNA含量が測定された。アルギネートビーズが脱重合され、細胞が洗浄かつ溶解され、ピコグリーンアッセイを用いてウェル毎のDNA含量が測定された。
【0258】
4人の別々のヒトドナー由来の材料を用いた4回の実験から得られたインスリンおよびc−ペプチドのデータは、重複ウェルで試験された結果によって検討された。インスリン放出の一貫した刺激を示したウェルは、グルコースまたはグルコースとIBMXとの存在下でのインキュベーションによって誘導されたインスリンまたは−ペプチドのレベルと、基礎培地においてインキュベーションされたウェルによって産生されたレベルとの比較によって、同定された。どのウェルの成長因子と分化因子との組み合わせが有意に刺激されたインスリン放出を産生したかを判断するために、インスリンアッセイが全てのウェルで実行された。これらのアッセイの結果を図1にプロットする。これらのプロットは、以下の無作為配列(combinatorial)アレイにおけるウェルの各々についての基礎グルコースか、高グルコースかまたは高グルコースプラスIBMXかのいずれかのインスリン含量を示す。これらの多くは、インスリンの非常に少ないウェルを示し、ウェルのいくつかは、高い刺激と同様にインスリンの基礎レベルが高いことを示し、他のウェルは、有意な刺激された放出をともなうことを示す。最良のウェルの組み合わせを選ぶ際に補助するために、基礎で除した高グルコースかまたは基礎で除したIBMXとして、刺激インデックスが算出された。これらの結果を図2に示す。最良ウェルについての候補のいくつかが、これらの結果を用いて明らかに示される。選択される8つの最良ウェルがどれであるかを判断するために、いくつかの追加的な分析がなされた。
【0259】
4人の異なるドナー由来の細胞を用いた4つの異なる実験の検討は、これらの実験においてドナー間の変動があったことを示す。全てのドナー由来の分析によって、8つの最良ウェルが決定された。これらの個別ドナーの各々についての比較は、以下の通りである。ドナー#2212においては、基礎刺激とIBMX刺激とからのインスリン放出は、図3に示される。0日で比較すると、最良ウェルの各々は、ウェルA、DおよびEを除いて、刺激されたインスリンにおける有意な増加を有した。このドナー由来のウェルの全ては、いくぶん高い基礎インスリンを有した。刺激インデックス(図4)で結果を表すと、最良ウェルB、C、F、GおよびHが最も高い応答を有したことを示す。ドナー#2278の結果を検討すると、基礎、高グルコースまたはIBMXからのインスリン放出は、0日、7日および14日で対照ウェルを超える有意な差を示す(図5)。このドナーの最良ウェルの全ては、理由がはっきりしないけれども、結果として全ての最良ウェルについての低刺激インデックスをもたらす非常に高い基礎インスリンを有した(図6)。ドナー#3032の結果を検討すると、最良ウェル由来の基礎、高グルコースまたはグルコースとIBMXからのインスリン放出は、0日、7日または14日の対照と比較された(図7)。このドナーについての比較的低位の基礎インスリン放出によって、基本的には、最良ウェルの全てが有意な刺激されたインスリン放出を有した。刺激インデックスを計算すると(図8)、これらもまた、最良ウェルからの有意な放出を示した。しかしながら、各々が異なる因子の組み合わせからなる最良ウェルによるインスリン放出において、差が存在した。いくつかは(予期されたように)グルコースに比べ高いIBMX放出を示したが、他のものはグルコースプラスIBMXに比べ高いグルコース放出を示した。このことは、これらのウェルにおける異なる組み合わせが、異なる能力によってインスリン産生細胞がもたらすことを示唆する。4番目のドナー(3036)についての結果を検討すると、基礎インスリンレベルは、グルコースまたはグルコースプラスIBMXの曝露後の有意な刺激されたインスリン放出によって、低位であった(図9)。図2のウェルに戻ると、これらの最良ウェルは、他のドナー由来の場合のように、大部分の応答に比べ明らかに優れている。刺激インデックス(図10)を検討すると、このドナーから生成されたインスリン産生細胞は、グルコース単独に比べグルコースプラスIBMXによる方が高い応答を与えたということが示される。これらの上清は、c−ペプチド放出のための刺激インデックスとして、図11に示すようなc−ペプチド含量についてアッセイされた。
【0260】
要約すると、これらの結果は、ドナー間の変動同様に、成長因子と分化因子との異なる組み合わせを含むウェル間の顕著な差を明らかにするものである。選択された最良ウェルは、最終的な答えではなく、最適組み合わせの決定のために、更なる研究が求められる。
【0261】
表1はこれらの「最良」ウェルの成長因子組成を示す。
【0262】
【表1】
【0263】
【表2】
【0264】
実施例4
アルギネートにおいて培養された細胞の培養培地の分析
実施例3において無作為配列アレイから産生された3人のドナーが生成した上清のインスリン含量の統計分析の結果、一貫して良好な組み合わせと同様に、インスリン産生と細胞成長に影響を与えるポジティブおよびネガティブエフェクターの一覧表を得た。
【0265】
この無作為配列システムによって同定されるように、幹細胞のインスリン産生細胞への転換に潜在的ポジティブな効果を有する成長因子と分化因子とは、ベータセルリン、BMP−2、セルレイン、硫酸化CCK8、コレラ毒素Bサブユニット、CNP、コルチコステロン、DMF、DMSO、EGF、エキセンディン4、FGF−1、グルコース、GRP、IGF−1、IGF−2、インスリン、KGF、ラミニン、ロイエンケファリン、メトエンケファリン、NGFベータ、ニコチンアミド、PDGF、AA.BB、pTHRP、セレン、SHH、P物質、TGFベータsRII、トランスフェリン、vEGF、VIPである。
【0266】
この無作為配列システムによって同定されるように、幹細胞のインスリン産生細胞への転換に潜在的ネガティブ効果を有する成長因子と分化因子とは、アクチビンA、ANP、BMP−4、CCK8アミド、CGRPアルファ、デキサメタゾン、DIF−1、エンドセリン1、FGF−2、ガストリンI、GH、GLP−1、HGF、ラクトゲン、LIF、n酪酸、PIGF、プロゲステロン、プロラクチン、プトレッシン、REG−1、レチノイン酸、SOD、大豆トリプシンインヒビター、T3、TGFアルファ、TGFベータ1、トロロックスである。
【0267】
実施例5
接着、次いで接着培養における幹細胞の連続培養
PCMにおいてコラーゲン被覆プレート上での6〜12日間の接着培養によって生成された幹細胞は、120の無作為配列アレイにおける60の成長因子の組み合わせによって補充された基礎培地において、コラーゲン被覆プレート上で、さらに8日間にわたり接着培養で培養された。もう一つの選択肢として、細胞は、最初の培養期間の後にコラーゲン被覆プレートから除去され、かつ新鮮な培養プレート上に再度播種され、次に120の無作為配列アレイにおける60の成長因子の組み合わせによって補充された基礎培地において、さらに8日間にわたり培養された。培養期間の終わりには、細胞は、基礎グルコース培地または20mMグルコースに、24時間にわたり曝露された。上清が採取され、インスリンまたはC−ペプチド含量についてELISAを用いて分析された。細胞が洗浄かつ溶解され、ピコグリーンアッセイを用いてウェル毎のDNA含量が測定された。
独立した3つの調製物から安定的にインスリンを産生するかまたはインスリングルコース刺激を誘導するウェル由来のデータは、統計分析に付され、「最良ウェル」が同定された。「最良ウェル」の上位4つに存在する成長因子の組成を表2に示す。
【0268】
【表3】
【0269】
【表4】
【0270】
図12は、この実験から得られた、ポジティブ応答を示す基礎、グルコースおよびグルコースプラスIBMXの刺激からの放出を表すc−ペプチドの結果を示す。インスリンおよびDNAの様々な濃度は、個別のウェルから採取された試料において検出され、これが、幹細胞由来の膵臓細胞の成長と分化におけるそれらの効果に合わせて成長因子と分化因子との組み合わせをスクリーニングする実施可能な方法であることを示している。
【0271】
実施例6
120無作為配列アレイのさらなる最適化
上記実施例において提示されたデータは、誘導されたインスリン産生またはインスリン総産生に関して、「最良ウェル」を同定した。「最良培地」に存在する成分は、次に、第二層スクリーニングを受け、幹細胞からのインスリン産生細胞の産生を誘導する最少数の因子を単純化し、より良好に、定めることができる。
【0272】
この実施例において、培地「L」の30の成分は、60の因子アレイに配列された。コラーゲン上での7日間にわたる接着培養によって生成された幹細胞は、さらに3日、5日または10日間にわたるスクリーニング条件に付された。各時点で、細胞は、固定され、かつプロインスリン特異抗体を用いて免疫組織化学用に処理された。プロインスリンポジティブ細胞数は、自動化画像分析を用いて算出された。培地M、N、O、P、およびQを用いた3日、5日および7日でのプロインスリンポジティブ細胞数を図13に示す。これらの培地は、最も有望な第二層スクリーニングである。この図において、これらは、60因子のアレイによる有望培地の培地「L」と比較される。結論として、この実施例は、60因子の無作為配列アレイが洗練され、かつ改良することができることを示すものである。
【0273】
実施例7
遺伝子チップ研究(DNAオリゴマイクロアレイ)
「遺伝子チップ」(BD・アトラス・アレイ)を用いることによって、8,000の遺伝子の相対的な発現レベル(mRNAレベル)を測定することが可能になる。この方法を用いて、細胞型を「フィンガープリント」するかまたは同定することができる。分化している膵臓細胞におけるmRNAの発現分析は、分化転移処理に関与する遺伝子を同定する可能性を有する。この型の比較によって、始動膵臓細胞と中間幹細胞、中間幹細胞とホルモン産生細胞、およびこの最終産物と正常ヒト膵臓ランゲルハンス島を比較することが可能になる。
【0274】
ヒト膵臓において見出される異なる細胞型の遺伝子発現パターンの「フィンガープリント」を産生するこうした技術の利用は、2つの重要な機能を果たすことになる。こうした分析のおそらく最も重要な機能は、分化転移処理中に生成される細胞の遺伝子発現のプロフィールを明らかに定めることになり、かくして、これらの細胞の分子レベル上の特性を定めることになる。こうした分析の第二機能は、我々の研究方法を改良するツールを提供することになる。分析によって、いかにインスリン産生表現型が調整されるかというメカニズムについての洞察が与えられることになる。細胞表面マーカの知識によって、迅速な細胞同定が促進されるのみならず、「所望されない」細胞から所望細胞を選別する手段が提供されることにもなる。これらの細胞にある細胞情報伝達分子および転写因子の情報は、成長因子の同定を促進することになり、その同定によって、天然由来のベータ細胞と同様の方法で、始動物質からインスリン産生を可能にする細胞へと増殖および分化転移をより効率的に完了させることを求めることができる。公に利用可能な文献および論文において入手可能な膵臓細胞の遺伝子発現および表現型に関する情報のいくつかはあるが、その大部分は、非ヒトの動物モデルかまたは胚発生に関するものである。これらの遺伝子チップの研究は、我々の適用および発見に特有のものである。
【0275】
表3および4には、PCMにおける接着培養の7日間の培養後に比較された2つのランゲルハンス島枯渇ヒト膵臓細胞調製物の結果が示される。RNAは、標準的方法によって単離され、かつ比較用のマイクロアレイによってスクリーニングされた。2つの調製物は同一条件下で培養されたが、調製物のひとつが「優秀」であると判断される一方で、他方が(産生済のc−ペプチドのその後のその能力基準によって)「OK」であると判断された。これらの培養において発現した遺伝子の大部分は同じものになるが、差異的に発現される遺伝子のいくつかも存在することになる。差のいくつかはドナー特異的(例えば、MHCマーカにおける差)であるが、他のものは「優秀」対「OK」の結果において決定的である遺伝子への洞察を与えることができる。
【0276】
異なる調製物の各々によって発現した8,000の遺伝子の検討によって、含めるにはあまりにも長い広範な一覧表が、結果としてもたらされた。表3は、新規なインスリン産生細胞を得るための我々の研究および目的に特に有用になり得ると信ずるこれらの遺伝子をまとめたものである。これらの遺伝子のいくつかは、分化処理にとって機械論的に重要である一方で、他のものは、好結果の幹細胞形成に相関的であり、おそらく予測的である。表4は、約90の「強力に発現した」というメッセージ(極大が10〜100%のシグナル強度)の編集である。強力に発現したというメッセージは、異なる細胞集団(腺房細胞対ランゲルハンス島細胞または成功裡に分化されたもの対不十分に分化されたもの)を同定し、選別するのに用いることができる表面マーカを同定する際に、特に有用である。「強力に発現した」遺伝子の完全表もまた広範囲であり、省略版を提示する。
【0277】
【表5】
【0278】
【表6】
【0279】
【表7】
【0280】
【表8】
【0281】
【表9】
【0282】
【表10】
【0283】
【表11】
【0284】
【表12】
【0285】
【表13】
【0286】
【表14】
【0287】
【表15】
【0288】
【表16】
【図面の簡単な説明】
【0289】
【図1】成長因子および分化因子の無作為配列アレイの存在下でアルギネート中で培養した細胞からのインスリン放出量である(ドナー#2212、#2278および#3023)。
【図2】成長因子および分化因子の無作為配列アレイの存在下でアルギネート中で培養した細胞からのインスリン放出量の刺激インデックスである(ドナー#2212、#2278および#3023)。
【図3】上位8つの成長および分化因子の組み合わせ(A〜H)においてアルギネート中で培養した細胞からのインスリン放出量である(ドナー#2212)。
【図4】上位8つの成長および分化因子の組み合わせ(A〜H)においてアルギネート中で培養した細胞からのインスリン放出量の刺激インデックスである(ドナー#2212)。
【図5】上位8つの成長および分化因子の組み合わせ(A〜H)においてアルギネート中で培養した細胞からのインスリン放出量である(ドナー#2278)。
【図6】上位8つの成長および分化因子の組み合わせ(A〜H)においてアルギネート中で培養した細胞からのインスリン放出量の刺激インデックスである(ドナー#2278)。
【図7】上位8つの成長および分化因子の組み合わせ(A〜H)においてアルギネート中で培養した細胞からのインスリン放出量である(ドナー#3023)。
【図8】上位8つの成長および分化因子の組み合わせ(A〜H)においてアルギネート中で培養した細胞からのインスリン放出量の刺激インデックスである(ドナー#3023)。
【図9】上位8つの成長および分化因子の組み合わせ(A〜H)においてアルギネート中で培養した細胞からのインスリン放出量である(ドナー#3036)。
【図10】上位8つの成長および分化因子の組み合わせ(A〜H)においてアルギネート中で培養した細胞からのインスリン放出量の刺激インデックスである(ドナー#3036)。
【図11】上位8つの成長および分化因子の組み合わせ(A〜H)においてアルギネート中で培養した細胞からのc−ペプチド放出量の刺激インデックスである(ドナー#3036)。
【図12】上位4つの成長および分化因子の組み合わせ(I〜L)においてアルギネート中で培養した細胞からのインスリン放出量である。
【図13】第二層30因子のスクリーニングによって決定した上位6つの成長および分化因子の組み合わせにおいて接着培養によって培養した細胞のウェルあたりのプロインスリンポジティブ細胞数である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、非インスリン産生膵臓細胞を、膵臓ホルモン産生細胞に増殖および分化可能な幹細胞に転換するための培養培地、モード、条件および方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
腺房細胞や管細胞などの非インスリン産生膵臓細胞を生体外でインスリン産生細胞に拡張および転換することを選択的に制御する能力は、糖尿病のための新たな治療体制を創造し、現在の糖尿病治療の短所の多くを排除し得る。
【0003】
糖尿病は、十分なインスリンが産生されないか、またはインスリンへの反応が減少するかの理由で、グルコースを体の細胞中に移送する能力が失われることによって引き起こされる病気である。健康な人間では、血糖の僅かな上昇はインスリンの産生および分泌を刺激する。インスリンは細胞のグルコース摂取を増進させ、血糖を最適なレベルに戻す役割がある。インスリンは肝臓と骨格筋細胞を刺激し、血液からグルコースを取ってそれをエネルギー貯蔵分子であるグリコーゲンに変換させる。また、それは骨格筋線維を刺激し、血液からアミノ酸を取って、それらをタンパク質に転換するとともに、脂肪細胞に作用して脂肪の合成を刺激する。糖尿病では、血流はグルコースで飽和状態とはなり得ても、グルコースはこれを必要とし利用する細胞内の部位に到達できない。その結果、体の細胞は必要なエネルギーについて飢えることになり、不十分に制御されたインスリンに依存する糖尿病をもつ多くの患者には疲れた外見をもたらすものとなる。
【0004】
インスリンが発見され、それを糖尿病治療のために使用される前には、飢餓と、当然これに続く死とのみがもたらされるものであった。今日のインスリン治療でも、インスリンの過剰な投与によって死に至ることがある。過剰な投与は、グルコースの摂取によって反転されない場合、極端な低血糖性反応および昏睡をもたらし、死に至らしめるものである。インスリンの投与量が非常に少ない場合も死に至ることがある。適切かつ迅速に治療されない場合、投与量が非常に少ないとケトアシドーシスにつながり、昏睡と死をもたらすことになるのである。
【0005】
今日、糖尿病患者に有効な治療のおかげで糖尿病は一般的に不治の病ではなくなっているが、体の時々刻々のインスリン産生とグルコース代謝の正確な制御とに代わり得る標準的治療法はない。この結果、糖尿病患者における平均血糖レベルは概して高いままとなる。慢性的に高い血糖レベルは、時間がたつにつれて、多くの長期にわたる合併症を引き起こす。糖尿病は、失明、腎不全、心臓病や卒中の速い進行、壊疽および切断、性的不全の主な原因であり、患者の全体的な平均余命を10年から20年減らしてしまうものである。
【0006】
糖尿病は世界で最も一般的な慢性病の一つである。米国においては、糖尿病がおよそ1600万に影響を与えており、これは45歳以上の成人人口の12%を超えている。新たな患者は1年あたりおよそ15万人ずつ増加している。臨床の糖尿病患者に加えて、およそ2000万人が耐糖能異常の兆候を示している。これらの人々は、健常者と明らかな糖尿病患者との間の、ボーダーラインの糖尿病患者である。それらの多くがいずれ糖尿病になり、いくつかの推定では糖尿病の潜在的患者数は3600万、すなわち45歳以上の成人人口の25〜30%にもなるとされている。
【0007】
糖尿病およびその合併症は現代社会に多大な社会経済的衝撃を与える。今日、米国でヘルスケアに費やされるおよそ7000億ドルうち、およそ1000億ドルが糖尿病とその合併症を治療するために費やされている。糖尿病の発生率が上昇しているので、困難に対処する方法を迅速に取らない限り、ヘルスケアのコスト総額の絶えず増加する部分を糖尿病ケアのコストが占めることになろう。糖尿病の医学的、情緒的および財政的な代価は莫大であり、これは糖尿病に苦しむ者の数の増加と共に増大する。
【0008】
糖尿病は2つの異なったタイプに分けることができる。タイプ1の糖尿病とタイプ2の糖尿病である。タイプ1の糖尿病は、循環インスリンによってはほとんど、もしくは全く特徴付けられず、それは幼年期か思春期に最も一般的に現れる。それはインスリンを産生する膵島のベータ細胞が破壊することで引き起こされる。タイプ1の糖尿病にはベータ細胞に対する自己免疫性攻撃を伴う遺伝的素因がある。これがいくつかの、今のところ未知の環境的イベント、例えばウイルス感染や非感染性物質(毒素あるいは食物)などによって開始される。これらが免疫システムの引き金となり、患者の膵臓中のベータ細胞に反応して破壊する。タイプ1の糖尿病をもたらす発病のシーケンスは数ステップから成ると考えられている。まず第1に、遺伝的感受性が発病プロセスの開始のための基本的な要件であると考えられる。第2に、ウイルスや毒素あるいは食物などの非感染性物質が介在した環境的な発作が第3ステップの引き金となる。第3ステップとは、遺伝的傾向のある個体の膵島(insulitis)における炎症反応である。第4ステップはベータ細胞の交代(alteration)あるいは変質(transformation)であり、それらはもはや免疫システムによって「自己」として認められず、異質細胞すなわち「非自己」として見なされることになる。最後のステップは「標的にされる」ベータ細胞に向けられる本格的な免疫反応の進行である。このステップを通じ、細胞性免疫メカニズムが細胞傷害抗体と協働して、インスリン産生ベータ細胞の破壊を行う。この免疫の攻撃にもかかわらず、しばらくの間は、免疫システムによる破壊に対して有利な状態を保つに十分な速さで新たにベータ細胞が生成され、十分な数のベータ細胞が血糖レベルを制御するために存在している。しかしながら、徐々にベータ細胞の数は減少して行く。ベータ細胞の数が臨界レベル(通常の10%)まで下がると、もはや血糖レベルを制御することはできず、インスリン産生の完全な破綻はほとんど必然のものとなる。機能的なインスリン産生障害の後でもベータ細胞の再生は数年間は続くと考えられているが、細胞は成熟してゆく段階で破壊されてしまう。
【0009】
タイプ1の糖尿病を持つ人が生き延びるためには、毎日数回のインスリン注射を行い、1日あたり複数回の血液検査のために指を刺して血糖をテストしなければならない。日々複数回のインスリン注射を行っても、体の時々刻々のインスリン産生およびグルコース代謝の正確な制御を適切に模倣することはできない。通常、血糖値は正常値より高く、失明、心臓発作、腎不全、卒中、神経損害、および切断を含むような合併症を引き起こす。インスリンを用いてすら、糖尿病患者の平均余命は健康な人間より15〜20年は短くなってしまう。
【0010】
タイプ2の糖尿病は、通常、中年期以降に現れて、特に肥満の者に悪影響を及ぼす。しかしながら、過去数年間、若年成人のタイプ2の糖尿病の発生は劇的に増加している。ここ数年間で、タイプ2の糖尿病の兆候を示す肥満者の年齢は40歳台から30歳台まで低下し、新たにこの病気の犠牲になる者は若年化している。タイプ2の糖尿病では、通常インスリンを必要とする体細胞は、それらの感度を失い、正常にインスリンに反応しなくなる。このインスリン抵抗性は、膵臓のベータ細胞が余分にインスリンを産生することで何年もの間にわたり克服され得る。しかしながら、血糖レベルを高めるため余分なインスリン大量に産生しなければならないので、やがてベータ細胞は徐々に疲労して行く。ついには、酷使されたベータ細胞は死に、インスリン分泌が行われなくなる。これに伴い、外からのインスリン注射によってのみ、血糖を十分なレベルに高めるための制御が可能となる。通常、タイプ2の糖尿病には高血圧とコレステロール値の異常が伴う。これらの状態は、高血糖と共に、心臓発作、卒中、および、切断に至るような脚の循環系閉塞のリスクを増大させる。タイプ2の糖尿病を治療する薬剤には、腸でのグルコース吸収や肝臓その他でのグルコース産生を低減し、ベータ細胞を直接刺激してインスリン産生量を高めるよう作用するものが含まれる。しかしながら、高レベルのグルコースはベータ細胞にとって毒性があり、機能の進行的な衰弱および細胞死をもたらす。その結果、タイプ2の糖尿病患者の多くは、外からのインスリンを必要とすることになる。最近では、インスリン治療を必要とするタイプ2の糖尿病患者が20%から40%に増加すると見積もった懸念すべき調査結果もある。
【0011】
糖尿病の他の形態は若年成人発症型糖尿病(Maturity Onset Diabetes of the Young(MODY))と称されるものである。この形態の糖尿病はインスリン産生細胞における遺伝的異常に起因し、特別なグルコース受容器を通してこの細胞に入るグルコースを処理する能力が制限されているものである。MODYをもつ患者のベータ細胞は、グルコースに正常に反応してインスリンを産生することができず、この結果高血糖症がもたらされて治療を必要とし、ついにはインスリン注射を必要とすることになる。
【0012】
インスリン依存型糖尿病のために現在利用可能な医療は、インスリン投与と、膵臓全体もしくは膵臓セグメントのいずれかの膵臓移植とに限られている。インスリン療法は膵臓移植より非常に一般的であり、通常は、複数回の皮下注射または連続皮下注射によるインスリンの投与を伴う。従来のインスリン療法では、少量のレギュラー・インスリンを添加または無添加の中間作用型インスリンを1日あたり1または2回注射することで投与する。複数の皮下インスリン注射テクニックは、中間作用型または長期作用型インスリンの投与を伴う。これは、朝および/または晩に、各食前にレギュラー・インスリンとともに単回投与として行われる。連続皮下インスリン注入は、腹壁に対しインスリンを皮下供給する小型のバッテリー駆動ポンプの使用を伴い、これは通常27ゲージのバタフライ針を通して行われる。この治療方式と共に、昼夜間を通じ基礎的レートでインスリンが連続的に供給され、食前にはレートが増加するようプログラムされている。これらの方法のそれぞれで、患者は頻繁に自らの血糖レベルをモニタし、必要に応じてインスリン投与量を調整しなければならない。しかしながら、血糖を制御するのは簡単ではない。健康食、運動による養生および適当量のインスリンの常時注射を維持することに厳しい注意を払っていても、ストレス、ホルモンの変化、成長期、病気または感染、および疲労など、他の多くのファクタが血糖制御に悪影響を及ぼし得る。タイプ1の糖尿病患者は生死にかかわる低血糖反応(低血糖値による)および高血糖反応(高血糖値による)に対して絶えず備えていなければならない。インスリン依存型糖尿病は限りない警戒を要する生死にかかわる病気である。
【0013】
インスリン投与に対し、膵臓全体の移植または膵臓のセグメントの移植によって患者の糖尿病を治療することが知られている。しかしながら、一生の免疫抑制療法が必要であることに起因し、腎臓移植が必要であるときにのみ移植が行われるのが通常であり、膵臓のみの移植は比較的まれな手術となっている。インスリン依存型糖尿病をもつ人を助け、インスリン注射を必要としないレベルにまで血糖値を改善し、長期の合併症を減らす上で、膵臓移植は非常に有効であるが、膵臓全体の移植には多くの欠点がある。最も重要なことは、膵臓移植には大手術を伴い、体の免疫システムが外来の移植物である膵臓を破壊するのを防ぐために一生免疫抑制剤の使用を必要とするということである。これらの薬剤がなければ、膵臓は数日して破壊されてしまう。これらの免疫抑制薬を摂取することのリスクは感染および腫瘍の発生が増加することにあり、双方とも本来的に生命にかかわりうるものである。手術手順に固有のリスク、移植物が拒絶されるのを防ぐために患者の免疫を一生抑制しなければならないという必要性、侵襲に関連した死亡率および罹患率は、糖尿病治療のために膵臓全体の移植を行うことに関連して重大な不利益を例示するものである。従って、インスリン注射および膵臓移植の双方に代わる手段は、公共衛生に重要な必要性を満たすものとなろう。
【0014】
膵臓全体の移植を行うよりも、島移植がはるかに簡単(かつ安全)な処置であり、失われたベータ細胞を置換することによるのと同等の効果を達成することができる。インスリン産生ベータ細胞は、胃の後ろにあって横方向に位置する細長い腺である膵臓中に分散しているランゲルハンス島において見られる。膵臓は、消化のための酵素と前酵素とを含む1.5ないし3リットルのアルカリ性の流体を総胆管に分泌する。組織学的に、膵臓は3種の機能細胞で構成されている。すなわち、a)ルーメンに酵素を分泌する外分泌細胞、b)腸まで酵素を運ぶ管状細胞、およびc)血流にホルモンを分泌する内分泌細胞、である。外分泌部分は多数の小腺(腺房)に組織化され、これらは腺房細胞として知られるピラミッド状の上皮細胞に柱状の状態で含まれている。腺房細胞は、膵臓の細胞のおよそ80%を含み、消化酵素を分泌する責任を負う。消化酵素とは、膵管システムへのアミラーゼ、リパーゼ、ホスホリパーゼ、トリプシン、キモトリプシン、アミノペプチダーゼ、エラスターゼおよびその他の様々なタンパク質などである。膵管システムは、それぞれが分泌腺房につながって支流が入り組んだように相互接続されている管のネットワークからなり、徐々に大きな管にまとまり、最終的には主膵管にまとまる。膵管システムの上皮組織は管細胞からなり、細胞種類はおよそ10%の膵臓細胞を含んでいる。管細胞形態は、分泌腺房につながる細かい小根における立方体から、主管状システムにおける高い柱状の粘液分泌まで及ぶ。
【0015】
膵臓の内分泌腺部分は約100万の小内分泌腺であるランゲルハンス島で構成され膵、外分泌腺中に点在している。島細胞は膵臓細胞のおよそ2%を含むだけであるが、島細胞は適切にインスリンを分泌することによって血糖レベルを維持する責任を負い、膵臓で最も重要な細胞である。内分泌ホルモンのタイプに従って、島細胞は7種に分類される。ランゲルハンス島のベータ細胞はインスリンを産生する。上述のように、ベータ細胞の数が不十分である場合、あるいはインスリンの分泌が不十分な場合には、基本的な理由が何であれ、結果として糖尿病となる。糖尿病患者の島ベータ細胞を再構成し、グルコース感受性のあるインスリン産生を回復できるようにすれば、インスリン注射および主要な臓器移植の双方に関連した問題を解決できる。
【0016】
島移植を外来処置で行うと、2〜3mlの純粋な島細胞の同等物を小カテーテルを通して肝臓に運ぶことができる。患者は局部麻酔下で完全に意識を保ったままである。患者は処置後すぐに家あるいは普通の活動に戻ることができる。従って、膵臓全体あるいはそのセグメントを移植する代わりに島移植を行うことで、臓器全体の移植のリスクについての多くの回避策を提供できる。しかしながら、移植に利用可能な島細胞の不足は、島細胞移植における未解決の問題として残されている。膵島は膵臓全体のおよそ2%を形成しているだけであるので、インスリンを産生しない膵臓の残部からそれらを分離するにはおよそ6時間かかる。1回の移植を実施するのに以前は5または6臓器を要していたのに対し、自動分離方法によって1人の患者に移植するために十分な膵島を1つの膵臓から分離することが可能となっているが、膵島の需要量は死体から得た臓器の供給によって現在利用できる量をまだ上回っている。米国には、臓器提供者の割合が低いことと、インスリン依存型糖尿病の発症が増大していることとの関連により、移植または島細胞分離に利用可能な膵臓はおよそ6千しかないにも拘らず、毎年新たにインスリン依存型糖尿病と診断される患者はおよそ3万5千人にもなっている(非特許文献1)。
【0017】
島細胞が不足しているという厳しい問題の1つの解決策は、他の細胞の遺伝子組み替えによりインスリンを産生させることである。インスリンを産生させるために他の細胞の遺伝子を組み換えることは、筋肉および肝細胞をプロインスリン(インスリンの前駆物質)を作り出すように変質させることができたといういくつかの成功例で既に示されている。しかしながら、これらの遺伝子を組み替えられた細胞の中でインスリンの分泌を改善するには、まだかなりの調査研究の努力を必要とし、それらのインスリン産生量が低いためにそれらを移植するにはまだ不適当である。別の策として、異種移植術、すなわち一つの種から他の種への臓器(または、糖尿病の場合は組織あるいは細胞)の移植を行うことがあるが、人間の移植を行うものとしてインスリン注射に代わる実行可能な代案となるには多くの基本的な障害に直面している。異種移植術に関連するリスクには、狂牛病(牛海綿状脳症すなわちBSE)を引き起こすようなプリオンの移送、およびPoERV(ブタ内在性レトロウイルス)のような動物レトロウイルスの伝染が含まれる。別の障害は超急性拒絶の問題である。移植にかかわる2つの種が進化論的な意義において遠ければ遠いほど、一方の種の臓器が他方の種の臓器に移植される際の拒絶プロセスは急速かつ激しいものとなり、より強力で危険な免疫抑制を行う必要が生じる。動物の膵島に遺伝子組み替えを施し、免疫システムによる攻撃および破壊に屈しにくいようにするという策は、ヒトゲノム中に数千広がっている沈黙しているヒト内生レトロウイルス系列(HERVs)に干渉するという危険がある。組み換え(recombination)によるこれらの系列の起動と、これに続くHERVタンパク質の発現は、癌や免疫システムの調節不全(dysregulation)につながり得る(非特許文献2)。結局、動物および人間の器官および細胞は様々に異なっている。すなわち、生体組織や構造、ホルモンの産生、酵素およびその他化学物質の吸収、分泌および濾過のレートにおいて、また病気への抵抗力および予想される寿命において、多くの差異があるのである。
【0018】
島細胞移植のための組織の有用性の問題を解決する別の策は、胚幹細胞ないし全能性幹細胞の分離である。全能性幹細胞は体の中のいかなる他のタイプの細胞にもなることができる細胞であり、臓器全体に組み込むことができる。このタイプの幹細胞を使用し、糖尿病のための移植の需要にこたえるのに必要なだけ多くの島を育てることに関する問題は、妊娠中絶もしくは体外受精によってそれらが調達されることにあり、本来的に倫理上および政治上のリスクがある。その上、全能性幹細胞を通常のインスリン産生細胞に分化させる技術は、必要とされるだけ大量の通常のインスリン産生細胞へのルーチン分化させることに関して完成されておらず、制御することもできない。通常のベータ細胞中でインスリンの分泌の引き金となるグルコース濃度の増加に対応してインスリンを産生する能力に関して、通常の島ベータ細胞のようには振舞えないということが示されている(非特許文献3)。結局、治療目的で患者に胚幹細胞を使用することは、腫瘍が成長するという固有の危険をもたらす。マウス胚幹細胞は、これを成体マウスに注入すると発癌性を示し、ヒト胚性幹細胞を免疫のないマウス(immune incompetent mice)に注入した場合も同様に発癌の可能性がある。胚幹細胞の使用を可能とするには、発癌の可能性を排除する目的で、所望どおりに分化した子孫(desired differentiated progeny)から未分化の幹細胞を分離するという、重大にして未だ得られていない前提条件を必要としている(非特許文献4)。
【0019】
従って、全世界で数百万にも及ぶ糖尿病患者を治療するための大量の非発癌性ヒトベータ細胞に関し、重大にして未だ得られていない医学上の必要性が存在している。臨床的に関連のある幹細胞に変化する膵臓の腺房細胞や管細胞など、容易に利用可能な出発原料からヒトベータ細胞を大量に産生のための策を講じることは、現在のアプローチで直面している障害を克服し得る。
【0020】
一次膵臓細胞から始めてそれをインスリン産生細胞に変化させることに関連した従来技術を検討すると、対象とする出発細胞に基づく3カテゴリーについての実験となる。すなわち、島細胞か、管細胞か、腺房細胞か、である。島細胞から始め、体外で島細胞集団に成長および拡大するという多くの従来実験がある。本質的に、これらのアプローチのすべては、精製した島を分離し、それらを接着性の培養システムに広く置き、島が島という表現を失って単一細胞としてプレートアウトされるようになし、集団に成長してゆくようにしている。直接的に分化した島細胞複製物を体外で得ようと努力しても、分化状態を維持しながら島細胞集団を増殖させることについて限られた性能しか発揮しない場合がほとんどである。これらの研究結果をまとめたところ、ほとんどの状況では、これらの接着島細胞の培養期間後に、島という形態を失ってより原始的な細胞タイプに分化しており、特徴に乏しく、しばらくの間体外において広がるだけである。さらに、これらの細胞は培地を失うと例外なく老化を始める。
【0021】
【特許文献1】米国特許第5,834, 308号明細書
【特許文献2】米国特許第6,001, 647号明細書
【特許文献3】米国特許第6,326, 201号明細書
【特許文献4】US Patent Application (20020155598)
【非特許文献1】Hering, B. J. & Ricordi, C. (1999) Graft 2,12-27)
【非特許文献2】Romano et al., Stem Cells 2000; 18: 19-39
【非特許文献3】Vogel, Science, 2001 292: 615-617
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
これらのより原始的細胞が島に再分化するのは非常に困難であることが検証されている(Nielson(1992年)、Brelje(1993年)、Bonner Weir(1993年)、Otonkoski(1991年)、Otonkoski(1994年))。しかしながら、1つのアプローチ((Cornelius(1997年))においては、NODマウスからの島培地は、プレートティングを許容し、その後数週間媒質を変えることなくそのままとされている。同定不十分の上皮細胞型の数細胞が生き延びており、これらが増殖性を示すまでに成長し得ること、培養条件および試薬のステージが異なれば島細胞に分化し得ることが示されたに過ぎない。その結果としての特許文献1および特許文献2では、これらの不十分に記述された上皮細胞が幹細胞として特許請求の範囲に記載されており、それらの分離、成長およびインスリン産生細胞への発達にはその培養方法が必要であるとしている。その膵臓細胞接着培養によって幹細胞の存在が示されているが、細胞を飢えさせて最小限の細胞を生き延びさせ、成長させ、および島細胞に分化させるという技術には問題がある。この手順がヒト細胞に応用できること、および、かかるスケールアップを行いつつ臨床用製品としての必要性からこれらの島細胞を分化した形態に維持することを示す証拠はない。よって、本出願人は本発明のような他の代替的アプローチに転換した。これは、拡張されてインスリン産生細胞に分化可能な幹細胞を形成するために、一次島細胞からスタートするのではないという点で大きな差異がある。そのようにする代わりに、本出願人は非インスリン産生膵細胞からスタートし、これを幹細胞に変え、それを拡張して島細胞に分化させるものである。
【0023】
他の例では、接着性培地(Kerr-Conte(1996年))を使用するのではなく、島細胞はMATRIGEL、コラーゲン、またはアガロース中に置かれる。この結果、島組織の退化を伴う胆嚢管構造の形成と、管構造および管形態の細胞の成長ないし分化とがもたらされる。本願発明者らも、分離したヒトの島をMATRIGEL中に置き、分化した島細胞集団に置換する幹細胞の誘発を確かめた。特にHGFが存在していると、別の母組織もまた島細胞を管細胞に変換し得るが(Lefrbvre(1998年))、しかしここでも島を作ることはできなかった。これらの構造から島細胞を形成することがその特許請求の範囲に記載されているが、それが出発組織内に存在していた残余の島組織に由来するものか、あるいは新たなインスリン産生細胞に由来するものかに関しては明らかではない。管構造および島細胞はまた、今のところ明確に同定されていない幹細胞からも発育し得る。
【0024】
検討した次のアプローチは、膵管細胞からスタートして新たな島細胞を形成する能力を判定することである。それは、胎児の膵臓の発育と、病気や操作によって損傷した成人の膵臓とを双方観察したことに基づくものである。管状構造を出芽する新たな島を観察した者がいて、これが次のようなアイディアにつながった。すなわち、胎児の発育あるいは、成人の膵臓における島集団の損傷または損失によって活性化され得る管状構造に関連した膵臓の幹細胞があるということである。
【0025】
ヒトの膵臓からではなくマウスおよびラットの膵臓から分離精製した管構造からスタートすると(Fungの特許文献3)、単細胞は体外で単層を形成し始める。それらの大部分は線維芽細胞および間質細胞の混合物である。ついには、これらの接着培地において数個のインスリン産生細胞が現れ始めるが、しかし単層内では低レベルのままである。2,3の成長因子を加えても、単層内でのインスリン細胞の増加は最低限である。しかしながら、単細胞から非接着細胞(non-adhering cells;NAC)と称される細胞群までが出現し始め、単層培地上に浮き出る。これには島ホルモン細胞タイプが含まれている。採取前に成長因子をパルス状に用いることで、これらのNACを増加させ得る。pdx1の陽性細胞についても記載され、そのいくつかはベータ細胞にとって必要なインスリンを含んでいる。pdx1以外には、前駆細胞があることに触れているだけである。NACはまた、グルコース刺激によるインスリン放出を示すことができる。異なる成長因子を単層に加えることもでき、形態変化とともに増殖を誘発することもできる、とされている。製造時に前駆物質を精製するためにレクチンを使用することが記載されている。従ってその結果、大きな膵管から膵管細胞を精製する能力が裏付けられ、前駆細胞に脱分化させ、特定の方法でインスリン産生細胞に分化させるようにすることができるとされている。本発明はFungによるものと大きく異なって、ヒト膵細胞からスタートしており、かつ精製した管構造からの分離も行わない。実際、Fungは膵管組織からのみ管細胞を作ることを特許請求の範囲に記載しており、主膵管、副膵管、背側膵管および腹側膵管を含むものと定義している。また、小葉間導管および介在導管(intercalated duct)を別のものとして分離して定義しており、Fungに言う膵管の定義には含まれていない。本願の出発膵臓組織にはFungが膵管として定義した組織は含まれていない。これらの比較的大きな構造およびその部分は、細胞分離プロセスを通じた本願における前処理で選別除去され、出発物質の組織学的部分には見られないからである。CK19について積極的に触れた唯一の膵管組織は腺房細胞の集合内に位置する介在導管であり、腺房細胞に完全に囲まれている。
【0026】
従って、本願の出発膵臓細胞は、腺房細胞、腺房細胞に囲まれた介在導管細胞および間質細胞の混合物であり、出発細胞の混合物から島を精製した後に採取され、出発膵臓細胞内にはごく僅かな島細胞が残るだけである。加えて、本願の培養テクニックは上記したその他の培養モードとは大きく異なっており、多様な媒質や成長因子についても大きな差異がある。これらについては後述する。
【0027】
他の例としてはBonner-Weirによるもの(2000年)がある。ここでも管エンリッチの膵臓組織からスタートしている。その述べるところによると、彼らのアプローチは出発膵臓細胞とともに実際に働かせていない。本願では出発膵臓細胞を用いている。彼らの培養方法もMATRIGELに依存しているが、これは、新たな細胞をインスリン産生細胞に移動させ、形成することを許容する本願の主たるアプローチの対象ではない。
【0028】
大量のインスリン産生細胞へと進展させる第3のアプローチは、腺房細胞からスタートすることである。腺房細胞を用いる先例のほとんどは、培地においてその形態を維持し、これらをより理解しようとするものであった(Oliver(1987年)、Brannon(1988年))。そして膵臓癌細胞を理解する試みにおいては、前述したように腺房細胞が明白に数種の管細胞に変化する能力と管細胞とに注意が向けられていた。腺房細胞をタンパク質ゲル内で培養することについては、この培地内で腺房細胞が特有の細胞マーカを失い、6〜12日間の培養で管細胞と同様のマーカをピックアップする現象をLisleおよびLosdonが述べている(1990年)。ここでは自身のモノクローナル抗体が用いられているが、培養を続けるとその後は自らの元の腺房細胞マーカに戻っている。
【0029】
また、膵癌に関心を向けると、HallおよびLimoineはプラスチックの皿上での腺房細胞の培養について述べ、5〜10日以上間変化させた細胞は管細胞マーカCK19の1つを発現し始めるが、3週間で死滅するとしている(1992年)。AriasおよびBendayanは、MATRIGEL上で形態を維持させながらラットおよびモルモットの腺房細胞を培養したが、1週間で細胞が失われた(1993年)。2%のDMSOをMATRIGEL内の腺房細胞の培地に加えることで、管状細胞の形態に変化し、MATRIGEL内で嚢胞と細管を形成し始めた。加えて、嚢胞構造で細胞がCAIIを発現し始めたとき、管細胞が用いる特定の酵素が重炭酸塩と水を放出した。プロテイン・インヒビターはダクト様表現型への変化を妨げた。MATRIGELとDMSOとの組み合わせが、脱分化した島細胞を、より原始的な段階を通し、さらにそれらを分化させて、機能的なマーカおよび3次元構造を形成する能力をもつ成熟した管細胞にさせたものと思われる。そのメカニズムには、幹細胞がかかわったかどうか、またはこれが分化転移(transdifferentiation)を表したかどうかに関しての疑問が生じた。
【0030】
次に、Bouwensは、ラットの新生児における潜在的管細胞マーカについて研究し、CK7は大きな膵臓管細胞についてのマーカではあったが、CK19は腺房の房心細胞、介在管およびより小さい管に表れたことを述べている(1994年)。ラットに特有の他のマーカ、すなわちCK20はCK19と同様の細胞をマークした。またBouwensは、増殖が進行する一方で、拡張する島近傍の数細胞がCK19またはCK20を発現したことに注目した。Vilaは、プレート上で培養したマウス膵臓細胞を調べて、ヒト腺房細胞は始めはCK18を発現するが、時間がたつにつれてアミラーゼレベルが落ち、CK7およびCK19を発現するように変わったことを証明した(1994年)。また、ムチン1の表示は、管細胞の塩化物トランスポータについての他の管細胞のマーカ(CFTR)と同様に上昇した。ここでも、その変化のメカニズムが分化転移を表すのか、あるいは幹細胞がかかわっているのかに関して疑問が生じた。HGFおよびTGFa曝露の双方がこれらの細胞の増殖を引き起こしたことも見出され、幹細胞がその原因となり、また膵臓の腺管悪性腫瘍の進行によって生み出されうることが示唆されている。しかし、インスリン産生は全く観測されなかった。
【0031】
Kerr-Conteは精製したヒトの膵島をMATRIGEL内に置くことで、小さな芽のような島細胞を含んだ胆嚢管状の構造が作り出されることを証明した(1996年)。この研究からは、これらの管状細胞が何を原因として明確に増殖可能なものとなるのかについては明らかではないが、島細胞の増殖の証はがなかった。また、前述したように、これらが管状細胞に脱分化する島細胞となり得ることの示唆はあるが、分化細胞が増殖しない一方でこれらの細胞が増殖する能力は、これらの細胞が幹細胞に相当する可能性を高める。しかし、インスリン産生は全く観測されなかった。
【0032】
Bouwensは、管、腺房または島分化細胞のいずれかから脱分化した細胞の増殖を引き起こす幹細胞の役割に対する分化転移の可能性を比較した(1998年)。彼は異なる細胞タイプの表現を示す細胞マーカに起因した分化転移メカニズムを肯定しているが、その主な理由は、これらの細胞についての最も信頼できる幹細胞マーカがまだ開発されておらず、それらを明確に同定することができなかったからである。また、彼は、間接的な証拠があれば幹細胞の存在を容易に示唆できることと、特定のマーカがまだ完成していないだけであることを認めた。しかし一方、彼の検査でもインスリン産生は全く観測されなかった。
【0033】
Kerr-Conte(2000年)および特許文献4は、最終的に分化したヒト膵臓細胞をより原始的な細胞タイプに変化させる能力を主に説明するものとして「多分化能の膵臓の幹細胞」の存在を示唆している。より原始的な細胞タイプとは、拡大し、最終的に分化した他のタイプの特定の細胞に分化する能力を有するものである。この幹細胞に受容されるマーカとして、CK19およびpdx1をともに発現する管状細胞が幹細胞であることが示唆されている(Fungも同様にこれを示唆している)。ヒト腺房細胞および管細胞の混合物が接着性培地内で培養され、当該結果物である平坦にして単層とした管状細胞においてはアミラーゼの損失、CK19の増大およびpdx1の増大が見られるとされている。しかしここでは、インスリン産生細胞への変換を示すことはできず、神経内分泌細胞マーカであるクロモグラニンAの新たな発現を示し得ているだけである。事実、インスリン産生細胞の前駆細胞の証拠となるようなpdx1およびCK19で染めた細胞(pdxl and CK19 stained cells)についての請求の範囲は、Fungおよび本出願人と一致しており、幹細胞の存在についても同様である。しかし、これらがインスリン産生細胞であるとした当該特許出願におけるクレームは、それ自身の図4および図5に示されたデータでは証明されないままであり、それらの変換された細胞によってインスリン産生が増大したことの直接的な証拠を提示するものではない。よって、幹細胞の存在は証明されたものの、インスリン産生細胞への分化は証明されていないのである。これが本発明と比べられる大きな差異であり、本発明者らはインスリン産生細胞の生成を明確に証明する。これら2つの文献における方法は、島の内容で減少した単一の膵臓細胞を用い、単層内で培養して腺房表現型を腺管前駆物質と称される管状表現型に変えている。その定義によれば、これらの腺管前駆細胞はインスリン産生細胞に分化する能力を有している。腺管前駆細胞をMATRIGELまたはコラーゲンのマトリックス中に置くことで再分化を試みている。腺管前駆細胞に増殖能力があることは明らかに証明されているが、当該特許出願ではインスリン産生細胞を新たに形成することについては証明されていない。
【0034】
当該技術と本発明とは大きく異なっている。本発明において、非インスリン産生膵臓細胞の表現型(phenotype)を幹細胞に変換する第1ステップは、いくつかの異なる培養モードにおいて、いくつかの異なるタイプの成長因子を用いる接着培地に加え、いくつかの異なる媒質を用いることができる。中間物である、より根本的な細胞として複製される能力が示すように幹細胞が形成される。より根本的な細胞は、この幹細胞を同定するよう受容されるだけのマーカを運ぶ。このマーカは複製細胞におけるCK15およびpdx1発現と同様の細胞マーカである。上記技術の第2ステップではインスリン産生細胞は生成されない。本発明の第2ステップでは続いて、異なる成長因子および条件のセットによってこれらの幹細胞がインスリン産生細胞に分化し、異なる細胞培養モードにおいてもこれが証明された。本発明はまた、上記文献および特許出願に記載されたものよりも複合的な成長および分化因子を用いている(表???)。以下では、本願の新規なインスリン産生細胞が組織学的および機能的に正常であることも示される。本発明で用いる幹細胞の定義は米国国立医学図書館(National Library of Medicine)の定義に基づくものであり、ここでは最終段階まで分化しておらず、複製されるものであり、2以上の種類の分化細胞に分化可能な細胞、と定義されている。本願の一例では、出発非インスリン産生膵臓細胞は第1セットの培養条件下で幹細胞に変換され、それがCK19およびpdx1マーカを複製して搬送する。続いて、これらの幹細胞はインスリンやグルカゴンなどのホルモンを産生する島細胞へと分化可能であり、後述のように分離した分化条件下では管構造へも分化可能である。
【0035】
定義:以下の定義の多くの全体的な出所は、OMIM、全米バイオテクノロジー情報センター(National Center for Biotechnology Information)、国立医学図書館、国立衛生研究所(National Institutes of Health)である。
【0036】
腺房細胞・・・膵臓の80%を形成し、アミラーゼ、リパーゼ、トリプシン、キモトリプシン、エラスターゼおよびその他の多くのものを含む多くの異なった酵素を作り出す。腺房細胞は、酵素の内容、CK18などの特定のサイトケラチン(cytokeratins)、および表面サイログリコプロテイン(sialoglycoproteins)に対するレクチンによって特定することができる。腺房細胞は分極した細胞からなる腺房と呼ばれる膵臓内の周辺構造を形成し、各腺房の中心に位置する小さい集中介在管(centralized intercalated duct)に酵素産生物を放出する。多くの腺房細胞は、始原細胞(primary cells)の検査時にいつでも2つの核を含んでいる。
【0037】
管細胞・・・膵臓の10%をなし、より大きい小葉間の管、および小葉内管を形成する。最小の介在管と同様は腺房から膵臓酵素を排出する。また、管細胞は重炭酸塩および水を作り出して酵素を希釈し、管状構造から腸へ放出することで腸のpHを変える。管細胞はCK19などのサイトケラチンの特殊型、および重炭酸塩産生について反応する酵素によって特定することができる。
【0038】
島細胞・・・膵臓の2%をなす内分泌細胞であり、島と称される分離した細胞集合として存在し、異なるホルモンを作る異なる細胞型を含んでいる。島集団の50〜60%がベータ細胞であり、体のほとんどの細胞へのグルコースの進入を許容するインスリンを作り出す。島の30%はアルファ細胞であり、空腹時に放出されて肝臓からのグルコース供給を許容し、正常な血糖レベルを維持するグルカゴンを作り出す。デルタ細胞(島細胞の10%)はグルコースレベルの微調整を行うソマトスタチンを作り出す。膵臓ポリペプチド産生細胞(島細胞の5〜10%)はそのホルモンを放出し、外分泌および胃腸の機能を変える。これらの主要な島細胞型に加え、GIP、VIP、ガストリン、ボンベシンおよびその他を含む他のさまざまなホルモンを作る他の島細胞型がある。さらに島は、豊かな毛細血管床としての有窓内皮を含んでおり、ここを通して島細胞がそのホルモン産生物を放出する。
【0039】
膵臓細胞・・・人間のドナー(または、他の哺乳類)からの主要な膵臓細胞であり、腺房、管および島細胞型が含まれ、支持および血管細胞も含まれる。
【0040】
島枯渇膵臓細胞・・・こなされた膵臓細胞の検査液から不連続または連続の濃度勾配を用いて島を分離した後に残っている細胞。この集団は、主たる腺房細胞(>90%)と、腺房集団内の少量の介在管、血管および神経組織と、残余量の島汚染物質とを含んでいる。
【0041】
膵臓腺房・・・小さな周辺腺房細胞構造のいくつかであり、その酵素産生物を中央腺房領域に注ぎ、これは介在膵臓管に注ぎ込む。
【0042】
介在管・・・膵臓の腺房ないし細管であり、小葉内管への排出を行う。
【0043】
小葉内管・・・介在内管からの膵液を集め、小葉間導管への排出を行う。
【0044】
小葉間導管・・・小葉内管から膵液を集め、膵管への排出を行う。
【0045】
膵管・・・最大の管であり、主膵管、副膵管、背側膵管および腹側膵管を含む。
【0046】
幹細胞・・・最終段階まで分化しておらず、複製可能で、2種以上の分化細胞に分化可能な細胞。
【0047】
細胞の成長・・・細胞質分裂に続く細胞のDNAの複製であり、BrdUまたはトリチウム化したチミジン取り込み反応またはK167によって証明可能である。
【0048】
細胞の拡張・・・肥大による単なる拡大よりむしろ、細胞分裂を通じて個数および全体的な量(mass)が増加した細胞の数を定義するのに用いられる。
【0049】
増殖・・・新しい部分または子孫の急速に反復される生成(細胞分裂が急速に連続することによる細胞の量に関して)。
【0050】
細胞の肥大・・・細胞の拡大を定義するのに用いられ、細胞分裂による増殖よりもむしろ細胞の容積が増すことを言う。
【0051】
細胞のサイクル・・・細胞の成長サイクル。細胞サイクルにある細胞は、休止状態(G0フェーズ)から脱して、その内容物を複製し、2つに分裂している。
【0052】
分化・・・細胞が前駆レベルまたは基本ないしは一般的機能からより特定の機能を持つものになることを宣明するのに用いられる。
【0053】
分化転移(transdifferentiation)・・・細胞が規定機能のレベルから他のものに変化することを宣明するのに用いられる。
【0054】
脱分化・・・細胞が規定機能のレベルから、機能規定のより少ないものまたは基本細胞になることを宣明するのに用いられる。
【0055】
全能・・・完全な生命体に成長できる、またはその細胞もしくは組織のいかなるものにも分化できること。
【0056】
多分化能・・・1)発育可能性に限らず、多能性細胞または多能性胎児組織など発育柔軟性を有すること。2)2以上の器官または組織に作用する可能性。
【0057】
成長因子・・・細胞複製を引き起こす多くの成分を含む。表皮性GF(EGF)および血管内皮GF(VEGF)などの一般的なGFがある。また、作用がより特殊なGF、例えばインスリンのように作用するGF1(IGF1)や、赤血球前駆物質上の赤血球生成促進因子もある。
【0058】
分化因子・・・細胞型の特定の分化を引き起こしうる多くの成分が含まれる。島細胞、腺房細胞、および管細胞に対する特定分化因子がある。腺房細胞に関するものの例はデキサメタゾンである。
【0059】
脱分化因子(DDF)・・・島細胞、腺房細胞、および管細胞に対する因子があり、細胞が分化した機能を失い、系統(lineage)においてより低いレベルの機能に変化することを許容する。
【0060】
マトリックス・・・ヒドロゲルまたは重合可能な物質を定義するのに用いられ、異なる条件下で培養のために細胞を所定位置に保持する。MATRIGEL、コラーゲン、アルギネート(alginate)および他のものが含まれる。
【0061】
組織培養フラスコ、皿またはプレートの支持体・・・特別なタイプのプラスチックまたはガラス面を定義するのに用いられ、細胞を成長させるのに用いられる組織培養フラスコ、ペトリ皿または培養プレートのいずれかの形状である。これらの面は接着性または非接着性の細胞の成長を促進または阻止するために用意される。
【0062】
被覆培養フラスコ、皿またはプレートの支持体・・・化合物の薄層で被覆され細胞培養皿。
【0063】
浮遊培養・・・化合物の薄層による支持やマトリックスがない状態で組織培養媒体内に細胞を浮遊させること。
【0064】
アルファトコフェロール・・・化学的トコフェロールであるいくつかの脂溶性ビタミンのいずれであってもよく、様々な脊椎動物の食物に不可欠なものである。これがないと不妊症、筋肉の退化、血管異常につながる。特に麦芽、植物油、卵黄および緑色葉菜中に見出されるか、または人口的に作り出される。主に動物の飼料として、および酸化防止剤としても使用される。
【0065】
アポトランスフェリン(Apotransferrin)・・・希突起膠細胞によって作られるタンパク質であり、細胞生存に必要で、細胞分化にかかわる。
【0066】
心房性ナトリウム利尿ペプチド・・・有効なナトリウム利尿および血管拡張ペプチド、または、通常の前駆物質から得られる、および心房で分泌される異なるサイズの低分子量ペプチドの混合物。
【0067】
ビオチン・・・ビタミンB複合体の無色の結晶性成長ビタミン、C10H16N2O3S。特にイースト、肝臓および卵黄に見られる。
【0068】
BSA・・・(ウシ)血清アルブミンは単量体のタンパク質であり、血液の血清タンパク質のおよそ半分を含む。生体内で細胞外液量を安定させる役割を果たし、ステロイド、脂肪酸およびいくつかのホルモンのためのキャリアとして機能する。
【0069】
Cナトリウム利尿ペプチド(CNP)・・・ナトリウム利尿ペプチド族の1つである22-アミノ酸ペプチド。内皮および腎細胞オリジンから生じ、選択的心血管作用(selective cardiovascular actions)をもつ。
【0070】
CAII・・・炭酸脱水酵素タイプII。管細胞が用いる酵素であり、重炭酸塩を作るためのものである。これは膵管内に分泌されて、胃で生じた十二指腸内の酸を中和する。
【0071】
パントテン酸カルシウム・・・白い粉末状の塩、C18H32CaN2O10。人工的に作られ、パントテン酸の源として用いられる。
【0072】
カルニチン・・・第4アンモニウム化合物、C7H15NO3。特に脊椎動物の筋肉に存在し、ミトコンドリア膜を通した脂肪酸の移送にかかわる。
【0073】
カタラーゼ・・・ヘマチングループをもつタンパク質複合体からなる酵素であり、過酸化水素を水と酸素に分解する触媒作用を及ぼす。
【0074】
CCK・・・コレシストキニン。脳と腸のペプチドである。腸内における膵臓の酵素の放出および胆嚢の収縮を生じさせる。インスリン分泌を促す能力がある。CCKペプチドは多様な分子の形態で存在し(例えば硫化CCK8、非硫化CCK8およびCCK4)、それらはCCK遺伝子産物の個別のポストトランスレーショナル処理(posttranslational processing)の結果得られる。
【0075】
CFTR・・・嚢胞性線維症の膜貫通型コンダクタンスレギュレータ(CFTR)であり、クロライド・チャネルとして機能する。CFTRの遺伝子における変異が嚢胞性腺維症を引き起こすことが発見された。CFTRの変異は、膵臓、腸腺、胆管の階層(biliary tree)、気管支腺、および汗腺の外分泌機能に影響を与える。
【0076】
CGRPアルファ(カルシトニン遺伝子関連ペプチド)・・・血液の中のホルモンカルシトニンの量を測定するテスト。
【0077】
コレラ毒素Bサブユニット・・・コレラ毒素の無毒のサブユニットBはタンパク質複合体に重要であり、ガングリオシドGM1のペンタサッカライド鎖を介して細胞表面にタンパク質が結びつくことができるようにする。
【0078】
CK19・・・サイトケラチン19は既知の最小の(40−kD)酸性ケラチンであり、不水溶性中間フィラメント族の1つである。ある種の上皮および上皮性腫瘍を同定するためのマーカとして、異なるサイトケラチンが用いられる。CK19は、多くの導管上皮および腺上皮を含め多種の上皮細胞中に見られる。膵臓においては、導管上皮には存在するが、内分泌腺および外分泌腺細胞にはない。
【0079】
CK19+細胞・・・サイトケラチン19は、培養時に上皮細胞中に、特に膵臓組織からの「中間の」すなわち分化転移細胞中に現れる。
【0080】
コルチコステロイド・・・様々な副腎皮質ステロイド(コルチコステロン、コルチゾンおよびアルドステロンとしての)のいずれであってもよい。それらの主な生物活性に基づいてグルココルチコイドおよび電解質コルチコイドに分けられる。
【0081】
コルチコステロン・・・副腎皮質の無色の結晶性コルチコステロイドC21H30O4であり、タンパク質および炭水化物代謝に重要である。
【0082】
コルチコステロン(ライヒシュタイン物質H)・・・副腎皮質の無色の結晶性コルチコステロイドC21H30O4であり、タンパク質および炭水化物代謝に重要である。
【0083】
Cペプチド・・・Cペプチド("connecting" peptide)はプロインスリンから成熟した(mature)インスリンへの変換後に放出される短いポリペプチドである。その分子量は3,582Daである。
【0084】
サイクロデキストラン・・・2−ハイドロプロピル−ベータ−サイクロデキストリン。疎水性物質の可溶化を容易にする組織培養媒体添加物。
【0085】
DIF−1/ディファアニソール(Differanisole) A・・・分化誘発因子1(DIF−1)はDictyosteliumから分離した塩素化ヘキサフェノン(chlorinated hexaphenone)である。DIF−1は数種の哺乳類の腫瘍細胞に抗腫瘍活性を示すが、基本的なメカニズムは知られていない。Dictyostelium discoideumのモルフォゲン(DIF−1)の構造は、Differanisole Aのものと非常に類似している。ネズミ科およびヒト科の非分化腫瘍細胞の分化誘発因子として、単純な真核生物(Chaetomium)の代謝物質から分離された。
【0086】
DLアルファ酢酸トコフェロール・・・高いビタミンEの有効性があるトコフェロール、C29H50O2。
【0087】
DMF(n−n−ジメチルホルムアミド)・・・細胞分化に影響する。酸性化率の抑制は減退した代謝性酸生成(decreased metabolic acid production)に起因していると思われる。H+の生成および移送を変えることは細胞分化への効果に寄与する。
【0088】
DMSO−ジメチルスルホキシド、(CH3)2SO・・・細胞分化を引き起こすことが知られている物質であり、溶剤、生きた細胞の凍結に対する凍結保護物質、間質性膀胱炎の治療用の抗炎症剤物質でもある。
【0089】
DMSO(ジメチルスルホキシド)・・・間質性膀胱炎の治療に用いられる抗炎症剤物質、(CH3)2SO。
【0090】
EGF・・・上皮成長因子は外胚葉および中胚葉の双方を起源として培養した様々な細胞のための有効なマイトジェン因子であり、生体内で特定の細胞の分化に対して甚大な効果を持つ。完全なEGFは、53のアミノ酸からなり約6,000の分子量をもつ単鎖ポリペプチド(single-chain polypeptide)である。
【0091】
エンドセリン1・・・21のアミノ酸残基からなるいくつかのポリペプチドのいずれであってもよく、様々な細胞および組織で作られ、血管運動神経活動の調節、細胞増殖およびホルモン産生の役割を果たし、血管系の病気の進行にもかかわっている。
【0092】
エタノールアミン・・・特に油脂の溶剤として用いられる無色の液体アミノアルコールC2H7NO。モノエタノールアミンとも呼ばれる。
【0093】
エキセンディン4(Exendin 4)・・・長期作用するGLP−1の類似物。
【0094】
FACS・・・蛍光発色セルソーター。
【0095】
FCS・・・ウシ胎児血清。生まれる前の雌牛から回収される。
【0096】
FGF・・・FGF超科は23の既知の構成要素から成り、そのすべて保存された(conserved)120のアミノ酸領域(amino acid region)を含む。元来FGFは、増殖性活動を持つものとして認識された。現在は発生、脈管形成、造血および腫瘍発生に相当の役割を果たすものと考えられている。FGFの同形体(isoform)のほとんどすべてには、他の同形体の受容体を活性化する能力がある。これは異なるFGF亜類型によって生じた同様の効果の説明になる。
【0097】
FGF2・・・線維芽細胞成長因子2(FGF-basic)は、広域スペクトルのマイトジェン、血管由来および神経栄養因子である。これは多くの組織および細胞型において低いレベルであらわれる。FGF2は、手足の発育、脈管形成、創傷治癒および腫瘍成長を含め、多くの生理的および病理的プロセスにかかわっている。
【0098】
ガラクトース・・・光学活性の糖、C6H12O6。グルコースより可溶性がなく、また甘くなく、右施性、左施性およびラセミ化合物の形態のものが知られている。
【0099】
GLP(グルカゴン様ペプチド(Glucagon like-peptide))-1・・・プレプログルカゴン分子から得られた30のアミノ酸ペプチドである。GLP-1はグルコース糖分泌および合成を増進する。膵臓ベータ細胞のグルコース「適性(competent)」を提供し、非インスリン依存性糖尿病の治療に有用である。
【0100】
GLP-2・・・GLP-2はプレプログルカゴンから得られた33のアミノ酸ペプチドである。GLP-2は胃の運動性および栄養物吸収、隠れた細胞の増殖(crypt cell proliferation)およびアポトーシス、および腸の透過に及ぼす効果を通じ、腸の粘膜上皮の完全性を維持する。
【0101】
グルコース・・・光学活性の糖C6H12O6であり、アルデヒドカルボニル基をもつ。炭水化物、特にグルコースの分解物は、すべての動植物細胞にとっての主なエネルギー源である。糖尿病では、グルコースを体の細胞の中に運ぶ能力の減退がある。血糖レベルは異常に高い(高血糖症)。高血糖はケトアシドーシスにつながり、昏睡と死をもたし得る。軽度の(Milder)高血糖症でも目、腎臓、神経および血管に悪影響を与える長期の合併症を引き起こす。
【0102】
グルタチオン・・・ペプチドC10H17N3O6Sであり、それぞれグルタミン酸、システインおよびグリシンである1つのアミノ酸残基を含む。動植物組織に広く生じ、生物学的酸化還元に、また補酵素として重要な役割を果たす。
【0103】
成長ホルモン・・・成長ホルモン(GH)は脳下垂体前葉によって合成される。ヒトの成長ホルモンは、分子量22,005を持ち、2つのジスルフィド架橋がある191のアミノ酸残基を含んでいる。成長ホルモンの主要な生物学的役割は出生後の成長のコントロールである。その影響は主にインスリン様成長因子によって仲介される。
【0104】
GRP(Gastrin Releasing Peptide)・・・ガストリン放出ペプチド受容体(GRP-R)はそれがあらわれる多くの(すべてではない)細胞の増殖を引き起こし得る。
【0105】
Hb9・・・ホメオボックス−9はタンパク質族の1つである。この族は系列特有の方法でDNAを結び付け、成長中および成熟した組織の双方において遺伝子発現のコントロールにかかわっている。
【0106】
HGF・・・肝細胞成長因子(また、散乱(scatter factor)もしくはhepatopoietin A)は、肝細胞などの上皮細胞に加えて内皮細胞とメラニン細胞を含むターゲットのスペクトルをもつ。それはさまざまの組織に影響し、胎児における肝臓および筋肉の成長を発展的に決定する胎盤の成長と、B細胞の増殖および成長とを仲介する。
【0107】
HNF3a・・・hepatocyte nuclear factor 3, alpha。転写調節因子のフォークヘッドクラスのメンバー。HNF3aとHNF3Bの双方が内胚葉起源の組織、すなわち胃、腸、肝臓および肺にあらわれる。HNF3族のすべてのメンバーは、HNF4GおよびHNF6と同様に膵臓ベータ細胞にあらわれる。
【0108】
HNF6・・・マウスの発育を通じ、HNF6は外分泌および内分泌膵臓細胞の前駆物質である上皮細胞にあらわれる。HNF6のない胎児では、膵外分泌腺は正常であるように見えたが、内分泌腺の細胞分化は損なわれていた。neurogenin-3の発現(内分泌腺細胞の前駆物質の決定に不可欠の転写調節因子)はほとんどなかった。存命中、後になって内分泌細胞の数は増加したが、島の構造は乱れており、ベータ細胞はglucose transporter-2の発現を欠いていた。これは、HNF6が胎児の膵臓内分泌腺の前駆段階での分化を制御して、明確にproendocrine gene ngn3を調節していることを示唆する。
【0109】
HuSA・・・ヒト血清アルブミン。BSA(ウシ血清アルブミン)参照。
【0110】
IBMX・・・3-isobutyl-1-methylxanthine。ベータ細胞がインスリンを放出する周期的なAMPホスホジエステラーゼを禁止する。
【0111】
IGF1・・・インスリン様増殖因子1。IGF1およびIGF2の双方がプロインスリンに対する著しい構造的ホモロジーを持つ。
【0112】
IGF2・・・インスリン様増殖因子2。IGF1およびIGF2の双方がプロインスリンに対する著しい構造的ホモロジーを持つ。
【0113】
JoheのN2・・・多潜在性(multi-potential)CNS幹細胞の支持のために定式化された血清フリーの媒体であり、様々な成長および分化因子とともに補われる。
【0114】
KGF・・・ケラチノサイト成長因子すなわちFGF-7。28kDa、単鎖の分泌糖タンパク質であり、上皮に制限されたターゲット特異性(specificity)をもつ。FGF-7を発現する既知の成熟細胞には、線維芽細胞、T細胞、平滑筋細胞および卵巣の莢壁細胞が含まれる。胎児では、KGFは間充織全体の発育の多くの段階で見られる。
【0115】
Ki67・・・細胞増殖マーカ。未知の機能をもつこのタンパク質は、細胞サイクルのG1を通じてあらわれ、60〜90分の半減期をもつ。
【0116】
ラクトゲン・・・ホルモン(プロラクチンなど)のいずれでもよく、乳の産生を刺激する。
【0117】
ラミニン・・・結合組織基底膜のコンポーネントであり、細胞粘着を促進する糖タンパク質。
【0118】
ロイエンケファリン(Leu-Enkephalin)・・・天然のペプチド神経伝達物質。元々はブタ脳から分離された天然の鎮静剤ペンタペプチド。ロイエンケファリン(YGGFL)およびメトエンケファリン(Met-enkephalin;YGGFM)は、特にd型アヘン剤受容体に強く結び付く。
【0119】
リノール酸(Linoleic acid)・・・特に半乾性油(ピーナッツ油など)において見られる液体の不飽和脂肪酸C18H32O2であり、数種の動物の栄養摂取に不可欠である。linolic acidとも呼ばれる。
【0120】
リノレン酸・・・特に乾性油(アマニ油など)において見られる液体の不飽和脂肪酸C18H30O2であり、数種の動物の栄養摂取に不可欠である。
【0121】
メトエンケファリン・・・天然のペプチド神経伝達物質。元々はブタ脳から分離された天然の鎮静剤ペンタペプチド。ロイエンケファリン(YGGFL)およびメトエンケファリン(YGGFM)は、特にd型アヘン剤受容体に強く結び付く。
【0122】
Muc1・・・ムチン・タイプ1。通常、特別な膵管細胞によって分泌されたムコタンパク質の主要なタイプ。
【0123】
ミオイノシトール・・・光学活性ではなく、生物活性のイノシトール。ビタミンB複合体および脂肪親和物質の成分であり、植物、微生物、および人間を含む高等動物に広く生じる。Mesoinositolとも呼ばれる。
【0124】
N2・・・JoheのN2培地。
【0125】
Neuro・・・neurobasal培地。神経細胞培養培地。
【0126】
NGF・・・12.5kDa、非グルコシル化ポリペプチド120aa残基長の神経成長因子。プレプロペプチドとして合成され、その処理フォームは120aaセグメントである。NGFのための典型的なフォームは25kDa、非二硫化リンクの同質二量体(homodimer)である。神経成長因子は交感ニューロンおよびある感覚ニューロンの成長と分化を調節するものとして知られている。
【0127】
ニコチンアミド・・・ナイアシンアミド(ニコチン酸アミド)。苦い結晶性の塩基アミドC6H6N2Oは、ビタミンB複合体のメンバーであり、生体内でナイアシンから、およびナイアシンへと変換される。通常、補酵素の成分として自然に生じ、ナイアシンと同様に使用される。
【0128】
PCNA+細胞・・・反増殖細胞核抗原をもって分類される細胞。細胞核抗原を増殖させるのは元々、細胞の増殖状態に関連していた。より最近の証拠では、PCNAもDNA修復に関連することが示されている。
【0129】
PDGF・・・成長因子から得られた血小板。凝固時に血小板から放出された因子は、様々なタイプの細胞の成長を促進できることが示されている。この因子は次に、血小板から精製され、血小板由来増殖因子(PDGF)という名称が与えられた。現在PDGFは血小板以外にも多くの細胞タイプによって作られることが知られており、ほとんどすべての間葉由来細胞(mesenchymally-derived cells、すなわち血液、筋肉、骨/軟骨および結合組織細胞のマイトジェンであることがわかっている。。
【0130】
pdx−1・・・pdx−1(Pancreatic duodenal homeobox factor-1)は、膵臓の成長、島細胞分化、およびベータ細胞機能の維持に必要である。IPF1(insulin promoter factor-1)、またはIDX1、またはSTF1(somatostatin transcription factor-1)とも呼ばれる。PDX−1は、目標とした遺伝子の削除がヌルの膵臓形質発現(null pancreas phenotype)につながると言う遺伝子破壊の研究が明らかにしたように、膵外分泌腺および膵内分泌腺の成長プログラムの双方の発現のためのマスター制御スイッチとして役立っていると思われる。初めにPXDX−1が外分泌腺および内分泌腺の双方の細胞中で発現し、膵臓の形態形成が進行すると、それは島のベータおよびデルタ細胞および管細胞のいくつかに制限される。PDX−1はまた、成熟細胞においてインスリンおよびソマトスタチン遺伝子を調節する役割を果たす。PDX−1中の変異は、膵臓の無発育、若者の成人発症型糖尿病を引き起こし、タイプIIの糖尿病を引き起こす可能性もある。
【0131】
胎盤性ラクトゲン・・・このペプチドホルモンは、構造的、免疫学的および機能的に下垂体成長ホルモンと同等である。胎盤性合胞体層で合成される。
【0132】
プロゲステロン・・・女性ステロイド性ホルモン。着床のために子宮内膜を準備するべく黄体で分泌され、その後は妊娠中に、胚(embryo)および胎児(fetus)の拒絶を避けるために胎盤で分泌される。合成品は、経口避妊薬、生理不順の治療のため、および不妊症に関するいくつかのケースを軽減するために使用される。
【0133】
プロインスリン・・・インスリンの前駆物質。インスリンは、2個のジスルフィド結合によってリンクされる折り重ねった1鎖の前駆物質から得られる。プロインスリンは、A鎖のアミノ端をB鎖のカルボキシル端に接続するセグメントの酵素除去によってインスリンに変換される。
【0134】
プロラクチン・・・成長ホルモンと構造的な類似性が強い成長因子。
【0135】
PTF1・・・PDX−1参照。
【0136】
PTHRP・・・副甲状腺関連タンパク質。
【0137】
プトレッシン・・・結晶性の、僅かに有毒なプトマインC4Hl2N2である。オルニチンの脱炭酸反応によって形成され、生物に広く、しかし少量生じる。特に腐肉に見られる。
【0138】
Reg1・・・再生する島から得られたタンパク質Laosで膵石タンパク質として知られる。
【0139】
レチノイン酸(ビタミンA)・・・細胞分化の局部的調節因子(local regulator)。手足の発育に多くの機能を持ち、下等な脊椎動物の四肢再生におけるキーイベントを調節する。
【0140】
レチニル・アセテート・・・ビタミンAの派生物。
【0141】
セレン(亜セレン酸)・・・化学的に硫黄とテルルに類似した非金属元素である。これが大量に生じている土壌で生育した数種の植物を食べて摂取する動物に中毒を引き起こす。また、同素形が存在し、中間領域の安定形態(gray stable form)は照度に対して電気伝導率が変わり、電子装置で用いられる。
【0142】
ソニック・ヘッジホッグ(マウス、組換え型)・・・脳、骨、皮膚、生殖腺および肺を含む多くの細胞型の発育に重要な役割を果たす。
【0143】
ダイズトリプシン阻害因子(タイプI−S)・・・198のアミノ酸残基を含む高分子量(およそ22,500)のタンパク質。ダイズトリプシン阻害因子はエラストリシス活動(elastolytic activity)ではなくタンパク質分解活動を抑制する。
【0144】
P物質・・・P物質は侵害受容の求心性神経(nociceptive afferents)が強く刺激されたときに主求心性神経から二次ニューロンシナプスへ放出される支配的な神経ペプチドである。NK1受容体(侵害受容の章の表参照)の活性化により、P物質は二次ニューロンの緩慢で持続性のある脱分極を作り出す。これが侵害受容刺激に対する次のシナプス反応の相乗作用につながり、痛みの伝達のための強度コード化メカニズムとして機能する。
【0145】
スーパーオキシド・ジスムターゼ(SOD)・・・金属を含む抗酸化酸素であり、酸素と過酸化水素へ通常の代謝細胞プロセスを通じて形成される潜在的に有害な遊離基を減少させる。
【0146】
TGFアルファおよびベータ・・・形質転換成長因子(TGF)は生物活性のポリペプチドであり、形質転換した表現型を培養された細胞に可逆的に与える。アルファTGFは上皮成長因子とともにおよそ40%の配列ホモロジー(sequence homology)を示す。TGFベータは多くの細胞型における増殖、分化および他の機能を制御する多機能ペプチドである。TGFBは形質転換を引き起こす際にTGFAと相乗的に働く。また、負の自己分泌成長因子としても機能する。TGFBの活性化およびシグナリングの失調(dysregulation)はアポトーシスをもたらし得る。多くの細胞がTGFBを合成し、そしてそのほとんどすべてにはこのペプチドのための特定の受容体がある。TGFB1、TGFB2およびTGFB3はすべて、同じ受容体を通してシグナルシステムとして機能する。
【0147】
TGFベータsRII(可溶性の受容体タイプ2)・・・TGFベータは細胞の成長および増殖を調節し、多くの細胞型の成長を妨げる。TGFベータ受容体はタイプ1およびタイプ2のサブユニットを含む。これらはセリン・トレオニンキナーゼであり、転写調節因子(transcriptional regulator)のSMAD族を通じ警報を発する。SMADの変異を含め、TGFベータ警報の欠陥は、ヒトの癌に関連する。
【0148】
転写調節因子(Transcription Factors;TF)・・・転写調節因子は、DNAの特定の調節塩基配列に結び付き、RNAポリメラーゼの活動を調節する。これはDNAでコード化された遺伝子がメッセンジャーRNAに転写される、または複製されるプロセスを調節する主要なステップである。通常、多くの異なる転写調節因子の相互作用によって異なる細胞型の特定の表現型が決定される。TFは遺伝子発現のポジティブまたはネガティブな調節因子となり得る。PDX1、neurogenin3(ngn3)、Pax4、Pax6およびその他は膵臓の発育および分化にかかわるTFの例である。
【0149】
トランスフェリン・・・鉄イオンと結合し、体内で鉄分を運搬することができる血漿中のベータ・グロブリンである。
【0150】
トリヨードチロニン・・・結晶性のヨウ素含有ホルモンC15H12I3NO4である。チロキシンから得られるアミノ酸であり、特に可溶性のナトリウム塩の形態で甲状腺機能低下症および代謝不全の治療に用いられる。liothyronine、T3とも呼ばれる。
【0151】
トリヨードチロニン(T3)・・・結晶性のヨウ素含有ホルモンC15H12I3NO4である。チロキシンから得られるアミノ酸であり、特に可溶性のナトリウム塩の形態で甲状腺機能低下症および代謝不全の治療に用いられる。
【0152】
トロロックス(Trolox;可溶性のビタミンE)・・・細胞透過性、水溶性のあるビタミンE派生物。強い抗酸化性をもつ。ラットの胸腺細胞におけるペルオキシ亜硝酸塩媒介の酸化的ストレスおよびアポトーシスを妨げる。
【0153】
血管活性腸管ポリペプチド(VIP)・・・血清中のVIP量を測定するテスト。
【0154】
VEGF(血管内皮成長因子)・・・VEGFはヘパリン結合グリコプロテインであり、45kDAの同質二量体として分泌される。内皮にとって最も重要な成長および生存因子(survival factor)である。血小板由来増殖因子と構造的に関連する。VEGFは脈管形成および内皮細胞増殖を含み、脈管形成の調節に重要な役割を果たす。ほとんどの型の細胞がVEGFを分泌するが、普通内皮細胞自身は分泌しない。
【0155】
硫酸亜鉛・・・亜鉛は重要な微量元素であり、細胞分裂、細胞成長および創傷治癒に必要な酵素活性にとって必要である。亜鉛は炭水化物の代謝にもかかわる。膵臓のベータ細胞は高い亜鉛含有量を有している。
【課題を解決するための手段】
【0156】
一実施形態において、本発明は、分化した非ホルモン産生膵臓細胞を分化したホルモン産生膵臓細胞に転換する方法に係り、a)基礎培地を含む第1細胞培養培地をもつ第1細胞培養システム中で、血清とともにまたは血清なしに、かつ成長因子とともにまたは成長因子なしに、前記分化した非ホルモン産生膵臓細胞を培養するステップであって、前記分化した非ホルモン産生膵臓細胞の幹細胞への転換を提供する条件下で行われる当該ステップ;および、b)グループAから選択した少なくとも1つの成分およびグループBから選択した少なくとも1つの成分を含む第2細胞培養培地をもつ第2細胞培養システム中で前記幹細胞を培養するステップであって、ホルモン産生細胞への前記幹細胞の分化を提供する条件下で行われる当該ステップを含み;前記グループAは、ベータセルリン、アクチビンA、BMP−2、TGF−β、SRII、DMSO、ソニックヘッジホッグ、ラミニン、メトエンケファリン、DMFおよびコレラ毒素Aを含み;前記グループBは、アクチビンA、心房性ナトリウム利尿ペプチド、ベータセルリン、骨形成タンパク質(BMP−2)、骨形成タンパク質(BMP−4)、Cナトリウム利尿ペプチド(CNP)、セルレイン、カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP−α)、コレシストキニン(CCK8−アミド)、コレシストキニンオクタペプチド(CCK8−硫酸化)、コレラ毒素Bサブユニット、コルチコステロン(ライヒシュタイン物質H)、デキサメタゾン、DIF−1、ディファアニソールA、ジメチルスルホキシド(DMSO)、EGF、エンドセリン1、エキセンディン4、酸性FGF、FGF2、FGF7、FGFb、ガストリンI、ガストリン放出ペプチド(GRP)、グルカゴン様ペプチド1(GLP−1)、グルコース、成長ホルモン、肝細胞成長因子(HGF)、IGF−1、IGF−2、インスリン、KGF、ラクトゲン、ラミニン、ロイエンケファリン、白血病抑制因子(LIF)、メトエンケファリン、n−酪酸、神経成長因子(β−NGF)、ニコチンアミド、n−n−ジメチルホルムアミド(DMF)、副甲状腺ホルモン関連ペプチド(Pth II RP)、PDGF AA+PDGF BB MIX、PIGF(胎盤GF)、プロゲステロン、プロラクチン、プトレッシン二塩酸塩ガンマ線照射細胞培養、REG1、レチノイン酸、セレン、亜セレン酸、ソニックヘッジホッグ、大豆トリプシンインヒビター、P物質、スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)、TGF−α、TGF−β sRII、TGF−β1、トランスフェリン、トリヨードチロニン(T3)、トロロックス、血管作用性小腸ペプチド(VIP)、VEGF、ビタミンA、およびビタミンEを含む。
【0157】
好適実施形態においては、前記第2細胞培養培地は前記グループAから選択した少なくとも2つの成分および前記グループBから選択した少なくとも2つの成分を含む。
【0158】
より好適な実施形態においては、前記第2細胞培養培地は前記グループAから選択した少なくとも3つの成分および前記グループBから選択した少なくとも3つの成分を含む。
【0159】
さらに好適な実施形態においては、前記第2細胞培養培地は前記グループAから選択した少なくとも4つの成分および前記グループBから選択した少なくとも4つの成分を含む。
【0160】
さらに好適な実施形態においては、前記第2細胞培養培地は前記グループAから選択した少なくとも5つの成分および前記グループBから選択した少なくとも5つの成分を含む。
【0161】
さらに好適な実施形態においては、前記第2細胞培養培地は前記グループAから選択した少なくとも6つの成分および前記グループBから選択した少なくとも6つの成分を含む。
【0162】
一実施形態において、本発明は、幹細胞を培養してホルモン産生細胞にする方法に係り、細胞培養培地をもつ細胞培養システム中で幹細胞を培養して前記幹細胞がホルモン産生細胞に分化するようにされ、前記培養培地は、血清のない基礎培地を含むとともに、グループAから選択した少なくとも1つの成分およびグループBから選択した少なくとも1つの成分を含み、前記グループAは、ベータセルリン、アクチビンA、BMP−2、TGF−β、SRII、DMSO、ソニックヘッジホッグ、ラミニン、メトエンケファリン、DMFおよびコレラ毒素Aを含み;前記グループBは、アクチビンA、心房性ナトリウム利尿ペプチド、ベータセルリン、骨形成タンパク質(BMP−2)、骨形成タンパク質(BMP−4)、Cナトリウム利尿ペプチド(CNP)、セルレイン、カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP−α)、コレシストキニン(CCK8−アミド)、コレシストキニンオクタペプチド(CCK8−硫酸化)、コレラ毒素Bサブユニット、コルチコステロン(ライヒシュタイン物質H)、デキサメタゾン、DIF−1、ディファアニソールA、ジメチルスルホキシド(DMSO)、EGF、エンドセリン1、エキセンディン4、酸性FGF、FGF2、FGF7、FGFb、ガストリンI、ガストリン放出ペプチド(GRP)、グルカゴン様ペプチド1(GLP−1)、グルコース、成長ホルモン、肝細胞成長因子(HGF)、IGF−1、IGF−2、インスリン、KGF、ラクトゲン、ラミニン、ロイエンケファリン、白血病抑制因子(LIF)、メトエンケファリン、n−酪酸、神経成長因子(β−NGF)、ニコチンアミド、n−n−ジメチルホルムアミド(DMF)、副甲状腺ホルモン関連ペプチド(Pth II RP)、PDGF AA+PDGF BB MIX、PIGF(胎盤GF)、プロゲステロン、プロラクチン、プトレッシン二塩酸塩ガンマ線照射細胞培養、REG1、レチノイン酸、セレン、亜セレン酸、ソニックヘッジホッグ、大豆トリプシンインヒビター、P物質、スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)、TGF−α、TGF−β sRII、TGF−β1、トランスフェリン、トリヨードチロニン(T3)、トロロックス、血管作用性小腸ペプチド(VIP)、VEGF、ビタミンA、およびビタミンEを含む。
【0163】
好適実施形態においては、前記細胞培養培地は前記グループAから選択した少なくとも2つの成分および前記グループBから選択した少なくとも2つの成分を含む。
【0164】
より好適な実施形態においては、前記細胞培養培地は前記グループAから選択した少なくとも3つの成分および前記グループBから選択した少なくとも3つの成分を含む。
【0165】
さらに好適な実施形態においては、前記細胞培養培地は前記グループAから選択した少なくとも4つの成分および前記グループBから選択した少なくとも4つの成分を含む。
【0166】
さらに好適な実施形態においては、前記細胞培養培地は前記グループAから選択した少なくとも5つの成分および前記グループBから選択した少なくとも5つの成分を含む。
【0167】
さらに好適な実施形態においては、前記細胞培養培地は前記グループAから選択した少なくとも6つの成分および前記グループBから選択した少なくとも6つの成分を含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0168】
ひとつの実施形態において、本発明は、ホルモンを産生しない分化細胞型からホルモン産生細胞を生成する方法に関する。好ましくは、分化細胞型は膵臓細胞である。好ましくは、細胞はランゲルハンス島枯渇膵臓細胞である。より好ましくは、分化細胞型は非ホルモン産生膵臓細胞の細胞である。
【0169】
本発明の一つの側面において生成されるホルモン産生細胞は、好ましくはランゲルハンス島細胞によって産生される一つまたはそれ以上のホルモンを産生する。より好ましくは、ホルモン産生細胞はインスリンを産生する。
【0170】
従って、本発明の好ましい側面は、非ホルモン産生膵臓細胞の大規模増殖および非ホルモン産生膵臓細胞のホルモン産生細胞への大規模形質転換のための方法ならびに組成物である。好ましくは、産生されるホルモンはインスリンであるが、他のホルモン、具体的にはランゲルハンス島細胞由来のホルモンもまた、本発明の範囲に含まれる。
【0171】
好ましい別の実施形態において、本発明は、膵臓の非ホルモン産生膵臓細胞をホルモン産生細胞に転換する方法に有用な組成物を提供する。
【0172】
表5および6には、潜在的成長因子と潜在的分化因子とを含む培地に添加することができる因子がリストアップされている。本開示のために、「因子」、「成分」および「サプリメント」なる用語は、区別なく用いることができる。
【0173】
これらの成分、因子およびサプリメントには、限定されないが、アクチビンA、心房性ナトリウム利尿ペプチド、ベータセルリン、骨形成タンパク質(BMP−2)、骨形成タンパク質(BMP−4)、Cナトリウム利尿ペプチド(CNP)、セルレイン、カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP−α)、コレシストキニン(CCK8−アミド)、コレシストキニンオクタペプチド(CCK8−硫酸化)、コレラ毒素Bサブユニット、コルチコステロン(ライヒシュタイン物質H)、デキサメタゾン、DIF−1、ディファアニソールA、ジメチルスルホキシド(DMSO)、EGF、エンドセリン1、エキセンディン4、酸性FGF、FGF2、FGF7、FGFb、ガストリンI、ガストリン放出ペプチド(GRP)、グルカゴン様ペプチド1(GLP−1)、グルコース、成長ホルモン、肝細胞成長因子(HGF)、IGF−1、IGF−2、インスリン、KGF、ラクトゲン、ラミニン、ロイエンケファリン、白血病抑制因子(LIF)、メトエンケファリン、n−酪酸、神経成長因子(β−NGF)、ニコチンアミド、n−n−ジメチルホルムアミド(DMF)、副甲状腺ホルモン関連ペプチド(Pth II RP)、PDGF AA+PDGF BB MIX、PIGF(胎盤GF)、プロゲステロン、プロラクチン、プトレッシン二塩酸塩ガンマ線照射細胞培養、REG1、レチノイン酸、セレン、亜セレン酸、ソニックヘッジホッグ、大豆トリプシンインヒビター、P物質、スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)、TGF−α、TGF−β sRII、TGF−β1、トランスフェリン、トリヨードチロニン(T3)、トロロックス、血管作用性小腸ペプチド(VIP)、VEGF、ビタミンA、およびビタミンEが、含まれる。
【0174】
アクチビンAについては、好ましい濃度は0.125〜1.5ng/mlであり、さらに好ましい濃度は0.25〜1ng/mlであり、さらに好ましい濃度は0.375〜0.75ng/mlであり、さらに好ましい濃度は0.45〜0.6ng/mlであり、最も好ましい濃度は0.5ng/mlである。
【0175】
心房性ナトリウム利尿ペプチドについては、好ましい濃度は38.25−459ng/mlであり、さらに好ましい濃度は76.5〜306ng/mlであり、さらに好ましい濃度は114.75〜229.5ng/mlであり、さらに好ましい濃度は137.7〜183.6ng/mlであり、最も好ましい濃度は153ng/mlである。
【0176】
ベータセルリンについては、好ましい濃度は1.25〜15ng/mlであり、さらに好ましい濃度は2.5〜10ng/mlであり、さらに好ましい濃度は3.75〜7.5ng/mlであり、さらに好ましい濃度は4.5〜6ng/mlであり、最も好ましい濃度は5ng/mlである。
【0177】
骨形成タンパク質(BMP−2)については、好ましい濃度は1.25〜15ng/mlであり、さらに好ましい濃度は2.5〜10ng/mlであり、さらに好ましい濃度は3.75〜7.5ng/mlであり、さらに好ましい濃度は4.5〜6ng/mlであり、最も好ましい濃度は5ng/mlである。
【0178】
骨形成タンパク質(BMP−4)については、好ましい濃度は0.125〜1.5ng/mlであり、さらに好ましい濃度は0.25〜1ng/mlであり、さらに好ましい濃度は0.375〜0.75ng/mlであり、さらに好ましい濃度は0.45〜0.6ng/mlであり、最も好ましい濃度は0.5ng/mlである。
【0179】
Cナトリウム利尿ペプチド(CNP)については、好ましい濃度は27.4625〜329.55ng/mlであり、さらに好ましい濃度は54.925〜219.7ng/mlであり、さらに好ましい濃度は82.3875〜164.775ng/mlであり、さらに好ましい濃度は98.865〜131.82ng/mlであり、最も好ましい濃度は109.85ng/mlである。
【0180】
セルレインについては、好ましい濃度は7.5〜90ng/mlであり、さらに好ましい濃度は15〜60ng/mlであり、さらに好ましい濃度は22.5〜45ng/mlであり、さらに好ましい濃度は27〜36ng/mlであり、最も好ましい濃度は30ng/mlである。
【0181】
カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP−α)については、好ましい濃度は47.625〜571.5ng/mlであり、さらに好ましい濃度は95.25〜381ng/mlであり、さらに好ましい濃度は142.875〜285.75ng/mlであり、さらに好ましい濃度は171.45〜228.6ng/mlであり、最も好ましい濃度は190.5ng/mlである。
【0182】
コレシストキニン(CCK8−アミド)については、好ましい濃度は6.25〜75ng/mlであり、さらに好ましい濃度は12.5〜50ng/mlであり、さらに好ましい濃度は18.75〜37.5ng/mlであり、さらに好ましい濃度は22.5〜30ng/mlであり、最も好ましい濃度は25ng/mlである。
【0183】
コレシストキニンオクタペプチド(CCK8−硫酸化)については、好ましい濃度は1.425〜17.1ng/mlであり、さらに好ましい濃度は2.85〜11.4ng/mlであり、さらに好ましい濃度は4.275〜8.55ng/mlであり、さらに好ましい濃度は5.13〜6.84ng/mlであり、最も好ましい濃度は5.7ng/mlである。
【0184】
コレシストキニンオクタペプチド(CCK8−硫酸化)については、好ましい濃度は3.125〜37.5ng/mlであり、さらに好ましい濃度は6.25〜25ng/mlであり、さらに好ましい濃度は9.275〜18.75ng/mlであり、さらに好ましい濃度は11.25〜15ng/mlであり、最も好ましい濃度は12.5ng/mlである。
【0185】
コルチコステロン(ライヒシュタイン物質H)については、好ましい濃度は0.5〜6ng/mlであり、さらに好ましい濃度は1〜4ng/mlであり、さらに好ましい濃度は1.5〜3ng/mlであり、さらに好ましい濃度は1.8〜2.4ng/mlであり、最も好ましい濃度は2ng/mlである。
【0186】
デキサメタゾンについては、好ましい濃度は0.5〜6ng/mlであり、さらに好ましい濃度は1〜4ng/mlであり、さらに好ましい濃度は1.5〜3ng/mlであり、さらに好ましい濃度は1.8〜2.4ng/mlであり、最も好ましい濃度は2ng/mlである。
【0187】
DIF−1については、好ましい濃度は75〜900ng/mlであり、さらに好ましい濃度は150〜600ng/mlであり、さらに好ましい濃度は225〜450ng/mlであり、さらに好ましい濃度は270〜360ng/mlであり、最も好ましい濃度は300ng/mlである。
【0188】
ディファアニソールAについては、好ましい濃度は75〜900ng/mlであり、さらに好ましい濃度は150〜600ng/mlであり、さらに好ましい濃度は225〜450ng/mlであり、さらに好ましい濃度は270〜360ng/mlであり、最も好ましい濃度は300ng/mlである。
【0189】
ジメチルスルホキシド(DMSO)については、好ましい濃度は0.25〜3ng/mlであり、さらに好ましい濃度は0.5〜2ng/mlであり、さらに好ましい濃度は0.75〜1.5ng/mlであり、さらに好ましい濃度は0.9〜1.2ng/mlであり、最も好ましい濃度は1ng/mlである。
【0190】
EGFについては、好ましい濃度は1.25〜15ng/mlであり、さらに好ましい濃度は2.5〜10ng/mlであり、さらに好ましい濃度は3.75〜7.5ng/mlであり、さらに好ましい濃度は4.5〜6ng/mlであり、最も好ましい濃度は5ng/mlである。
【0191】
エンドセリン1については、好ましい濃度は125〜1500ng/mlであり、さらに好ましい濃度は250〜1000ng/mlであり、さらに好ましい濃度は375〜750ng/mlであり、さらに好ましい濃度は450〜600ng/mlであり、最も好ましい濃度は500ng/mlである。
【0192】
エキセンディン4については、好ましい濃度は5.25〜63ng/mlであり、さらに好ましい濃度は10.5〜42ng/mlであり、さらに好ましい濃度は15.75〜31.5ng/mlであり、さらに好ましい濃度は18.9〜25.2ng/mlであり、最も好ましい濃度は21ng/mlである。
【0193】
酸性FGFについては、好ましい濃度は0.625〜7.5ng/mlであり、さらに好ましい濃度は1.25〜5ng/mlであり、さらに好ましい濃度は1.875〜3.75ng/mlであり、さらに好ましい濃度は2.25〜3ng/mlであり、最も好ましい濃度は2.5ng/mlである。
【0194】
FGF2については、好ましい濃度は0.625〜7.5ng/mlであり、さらに好ましい濃度は1.25〜5ng/mlであり、さらに好ましい濃度は1.875〜3.75ng/mlであり、さらに好ましい濃度は2.25〜3ng/mlであり、最も好ましい濃度は2.5ng/mlである。
【0195】
FGF7については、好ましい濃度は0.625〜7.5ng/mlであり、さらに好ましい濃度は1.25〜5ng/mlであり、さらに好ましい濃度は1.875〜3.75ng/mlであり、さらに好ましい濃度は2.25〜3ng/mlであり、最も好ましい濃度は2.5ng/mlである。
【0196】
FGFbについては、好ましい濃度は0.625〜7.5ng/mlであり、さらに好ましい濃度は1.25〜5ng/mlであり、さらに好ましい濃度は1.875〜3.75ng/mlであり、さらに好ましい濃度は2.25〜3ng/mlであり、最も好ましい濃度は2.5ng/mlである。
【0197】
ガストリンIについては、好ましい濃度は0.008038〜0.09645ng/mlであり、さらに好ましい濃度は0.016075〜0.0643ng/mlであり、さらに好ましい濃度は0.024113〜0.048225ng/mlであり、さらに好ましい濃度は0.028935〜0.03858ng/mlであり、最も好ましい濃度は0.03215ng/mlである。
【0198】
ガストリン放出ペプチド(GRP)については、好ましい濃度は35.75〜429ng/mlであり、さらに好ましい濃度は71.5〜286ng/mlであり、さらに好ましい濃度は107.25〜214.5ng/mlであり、さらに好ましい濃度は128.7〜171.6ng/mlであり、最も好ましい濃度は143ng/mlである。
【0199】
グルカゴン様ペプチド1(GLP−1)については、好ましい濃度は8.25〜99ng/mlであり、さらに好ましい濃度は16.5〜66ng/mlであり、さらに好ましい濃度は24.75〜49.5ng/mlであり、さらに好ましい濃度は29.7〜39.6ng/mlであり、最も好ましい濃度は33ng/mlである。
【0200】
グルコースについては、好ましい濃度は270〜3240ng/mlであり、さらに好ましい濃度は540〜2160ng/mlであり、さらに好ましい濃度は810〜1620ng/mlであり、さらに好ましい濃度は972〜1296ng/mlであり、最も好ましい濃度は1080ng/mlである。
【0201】
成長ホルモンについては、好ましい濃度は6.25〜75ng/mlであり、さらに好ましい濃度は12.5〜50ng/mlであり、さらに好ましい濃度は18.75〜37.5ng/mlであり、さらに好ましい濃度は22.5〜30ng/mlであり、最も好ましい濃度は25ng/mlである。
【0202】
肝細胞成長因子(HGF)については、好ましい濃度は0.625〜7.5ng/mlであり、さらに好ましい濃度は1.25〜5ng/mlであり、さらに好ましい濃度は1.875〜3.75ng/mlであり、さらに好ましい濃度は2.25〜3ng/mlであり、最も好ましい濃度は2.5ng/mlである。
【0203】
IGF−1については、好ましい濃度は0.625〜7.5ng/mlであり、さらに好ましい濃度は1.25〜5ng/mlであり、さらに好ましい濃度は1.875〜3.75ng/mlであり、さらに好ましい濃度は2.25〜3ng/mlであり、最も好ましい濃度は2.5ng/mlである。
【0204】
IGF−2については、好ましい濃度は0.625〜7.5ng/mlであり、さらに好ましい濃度は1.25〜5ng/mlであり、さらに好ましい濃度は1.875〜3.75ng/mlであり、さらに好ましい濃度は2.25〜3ng/mlであり、最も好ましい濃度は2.5ng/mlである。
【0205】
インスリンについては、好ましい濃度は2375〜28500ng/mlであり、さらに好ましい濃度は4750〜19000ng/mlであり、さらに好ましい濃度は7125〜14250ng/mlであり、さらに好ましい濃度は8550〜11400ng/mlであり、最も好ましい濃度は9500ng/mlである。
【0206】
KGFについては、好ましい濃度は0.625〜7.5ng/mlであり、さらに好ましい濃度は1.25〜5ng/mlであり、さらに好ましい濃度は1.875〜3.75ng/mlであり、さらに好ましい濃度は2.25〜3ng/mlであり、最も好ましい濃度は2.5ng/mlである。
【0207】
ラクトゲンについては、好ましい濃度は12.5〜150ng/mlであり、さらに好ましい濃度は25〜100ng/mlであり、さらに好ましい濃度は37.5〜75ng/mlであり、さらに好ましい濃度は45〜60ng/mlであり、最も好ましい濃度は50ng/mlである。
【0208】
ラミニンについては、好ましい濃度は562.5〜6750ng/mlであり、さらに好ましい濃度は1125〜4500ng/mlであり、さらに好ましい濃度は1687.5〜3375ng/mlであり、さらに好ましい濃度は2025〜2700ng/mlであり、最も好ましい濃度は2250ng/mlである。
【0209】
ロイエンケファリンについては、好ましい濃度は0.75〜9ng/mlであり、さらに好ましい濃度は1.5〜6ng/mlであり、さらに好ましい濃度は2.25〜4.5ng/mlであり、さらに好ましい濃度は2.7〜3.6ng/mlであり、最も好ましい濃度は3ng/mlである。
【0210】
白血病抑制因子(LIF)については、好ましい濃度は0.625〜7.5ng/mlであり、さらに好ましい濃度は1.25〜5ng/mlであり、さらに好ましい濃度は1.875〜3.75ng/mlであり、さらに好ましい濃度は2.25〜3ng/mlであり、最も好ましい濃度は2.5ng/mlである。
【0211】
メトエンケファリンについては、好ましい濃度は0.75〜9ng/mlであり、さらに好ましい濃度は1.5〜6ng/mlであり、さらに好ましい濃度は2.25〜4.5ng/mlであり、さらに好ましい濃度は2.7〜3.6ng/mlであり、最も好ましい濃度は3ng/mlである。
【0212】
n−酪酸については、好ましい濃度は1135〜13620ng/mlであり、さらに好ましい濃度は2270〜9080ng/mlであり、さらに好ましい濃度は3405〜6810ng/mlであり、さらに好ましい濃度は4086〜5448ng/mlであり、最も好ましい濃度は4540ng/mlである。
【0213】
神経成長因子(β−NGF)については、好ましい濃度は0.625〜7.5ng/mlであり、さらに好ましい濃度は1.25〜5ng/mlであり、さらに好ましい濃度は1.875〜3.75ng/mlであり、さらに好ましい濃度は2.25〜3ng/mlであり、最も好ましい濃度は2.5ng/mlである。
【0214】
ニコチンアミドについては、好ましい濃度は152500〜1830000ng/mlであり、さらに好ましい濃度は305000〜1220000ng/mlであり、さらに好ましい濃度は457500〜915000ng/mlであり、さらに好ましい濃度は549000〜732000ng/mlであり、最も好ましい濃度は610000ng/mlである。
【0215】
n−n−ジメチルホルムアミド(DMF)については、好ましい濃度は0.25〜3×10−6ng/mlであり、さらに好ましい濃度は0.5〜2×10−6ng/mlであり、さらに好ましい濃度は0.75〜1.5×10−6ng/mlであり、さらに好ましい濃度は0.9〜1.2×10−6ng/mlであり、最も好ましい濃度は1×10−6ng/mlである。
【0216】
副甲状腺ホルモン関連ペプチド(Pth II RP)については、好ましい濃度は51.5〜618ng/mlであり、さらに好ましい濃度は103〜412ng/mlであり、さらに好ましい濃度は154.5〜309ng/mlであり、さらに好ましい濃度は185.4〜247.2ng/mlであり、最も好ましい濃度は206ng/mlである。
【0217】
PDGF AA+PDGF BB MIXについては、好ましい濃度は1.25〜15ng/mlであり、さらに好ましい濃度は2.5〜10ng/mlであり、さらに好ましい濃度は3.75〜7.5ng/mlであり、さらに好ましい濃度は4.5〜6ng/mlであり、最も好ましい濃度は5ng/mlである。
【0218】
PIGF(胎盤GF)については、好ましい濃度は0.625〜7.5ng/mlであり、さらに好ましい濃度は1.25〜5ng/mlであり、さらに好ましい濃度は1.875〜3.75ng/mlであり、さらに好ましい濃度は2.25〜3ng/mlであり、最も好ましい濃度は2.5ng/mlである。
【0219】
プロゲステロンについては、好ましい濃度は0.75〜9ng/mlであり、さらに好ましい濃度は1.5〜6ng/mlであり、さらに好ましい濃度は2.25〜4.5ng/mlであり、さらに好ましい濃度は2.7〜3.6ng/mlであり、最も好ましい濃度は3ng/mlである。
【0220】
プロラクチンについては、好ましい濃度は0.3〜3.6ng/mlであり、さらに好ましい濃度は0.6〜2.4ng/mlであり、さらに好ましい濃度は0.9〜1.8ng/mlであり、さらに好ましい濃度は1.08〜1.44ng/mlであり、最も好ましい濃度は1.2ng/mlである。
【0221】
プトレッシン二塩酸塩ガンマ線照射細胞培養については、好ましい濃度は0.025〜0.3ng/mlであり、さらに好ましい濃度は0.05〜0.2ng/mlであり、さらに好ましい濃度は0.075〜0.15ng/mlであり、さらに好ましい濃度は0.09〜0.12ng/mlであり、最も好ましい濃度は0.1ng/mlである。
【0222】
REG1については、好ましい濃度は8.1375〜97.65ng/mlであり、さらに好ましい濃度は16.275〜65.1ng/mlであり、さらに好ましい濃度は24.4125〜48.825ng/mlであり、さらに好ましい濃度は29.295〜39.06ng/mlであり、最も好ましい濃度は32.55ng/mlである。
【0223】
レチノイン酸については、好ましい濃度は6.25〜75ng/mlであり、さらに好ましい濃度は12.5〜50ng/mlであり、さらに好ましい濃度は18.75〜37.5ng/mlであり、さらに好ましい濃度は22.5〜30ng/mlであり、最も好ましい濃度は25ng/mlである。
【0224】
セレン(亜セレン酸)については、好ましい濃度は6.25〜75ng/mlであり、さらに好ましい濃度は12.5〜50ng/mlであり、さらに好ましい濃度は18.75〜37.5ng/mlであり、さらに好ましい濃度は22.5〜30ng/mlであり、最も好ましい濃度は25ng/mlである。
【0225】
ソニックヘッジホッグについては、好ましい濃度は6.25〜75ng/mlであり、さらに好ましい濃度は12.5〜50ng/mlであり、さらに好ましい濃度は18.75〜37.5ng/mlであり、さらに好ましい濃度は22.5〜30ng/mlであり、最も好ましい濃度は25ng/mlである。
【0226】
大豆トリプシンインヒビターについては、好ましい濃度は250〜3000ng/mlであり、さらに好ましい濃度は500〜2000ng/mlであり、さらに好ましい濃度は750〜1500ng/mlであり、さらに好ましい濃度は900〜1200ng/mlであり、最も好ましい濃度は1000ng/mlである。
【0227】
P物質については、好ましい濃度は1250〜15000ng/mlであり、さらに好ましい濃度は2500〜10000ng/mlであり、さらに好ましい濃度は3750〜7500ng/mlであり、さらに好ましい濃度は4500〜6000ng/mlであり、最も好ましい濃度は5000ng/mlである。
【0228】
スーパーオキシドジスムターゼについては、好ましい濃度は2.5〜30 IU/mlであり、さらに好ましい濃度は5〜20 IU/mlであり、さらに好ましい濃度は7.5〜15 IU/mlであり、さらに好ましい濃度は9〜12 IU/mlであり、最も好ましい濃度は10 IU/mlである。
【0229】
TGF−αについては、好ましい濃度は0.25〜3ng/mlであり、さらに好ましい濃度は0.5〜2ng/mlであり、さらに好ましい濃度は0.75〜1.5ng/mlであり、さらに好ましい濃度は0.9〜1.2ng/mlであり、最も好ましい濃度は1ng/mlである。
【0230】
TGF−β sRIIについては、好ましい濃度は1.25〜15ng/mlであり、さらに好ましい濃度は2.5〜10ng/mlであり、さらに好ましい濃度は3.75〜7.5ng/mlであり、さらに好ましい濃度は4.5〜6ng/mlであり、最も好ましい濃度は5ng/mlである。
【0231】
TGF−β1については、好ましい濃度は0.125〜1.5ng/mlであり、さらに好ましい濃度は0.25〜1ng/mlであり、さらに好ましい濃度は0.375〜0.75ng/mlであり、さらに好ましい濃度は0.45〜0.6ng/mlであり、最も好ましい濃度は0.5ng/mlである。
【0232】
トランスフェリンについては、好ましい濃度は687.5〜8250ng/mlであり、さらに好ましい濃度は1375〜5500ng/mlであり、さらに好ましい濃度は2062.5〜4125ng/mlであり、さらに好ましい濃度は2475〜3300ng/mlであり、最も好ましい濃度は2750ng/mlである。
【0233】
トリヨードチロニン(T3)については、好ましい濃度は8.375〜100.5ng/mlであり、さらに好ましい濃度は16.75〜67ng/mlであり、さらに好ましい濃度は25.125〜50.25ng/mlであり、さらに好ましい濃度は30.15〜40.2ng/mlであり、最も好ましい濃度は33.5ng/mlである。
【0234】
トロロックスについては、好ましい濃度は156.25〜1875ng/mlであり、さらに好ましい濃度は312.5〜1250ng/mlであり、さらに好ましい濃度は468.75〜937.5ng/mlであり、さらに好ましい濃度は562.5〜750ng/mlであり、最も好ましい濃度は625ng/mlである。
【0235】
血管活性腸管ペプチド(VIP)については、好ましい濃度は16.625〜199.5ng/mlであり、さらに好ましい濃度は33.25〜133ng/mlであり、さらに好ましい濃度は49.875〜99.75ng/mlであり、さらに好ましい濃度は59.85〜79.8ng/mlであり、最も好ましい濃度は66.5ng/mlである。
【0236】
VEGFについては、好ましい濃度は0.625〜7.5ng/mlであり、さらに好ましい濃度は1.25〜5ng/mlであり、さらに好ましい濃度は1.875〜3.75ng/mlであり、さらに好ましい濃度は2.25〜3ng/mlであり、最も好ましい濃度は2.5ng/mlである。
【0237】
ビタミンAについては、好ましい濃度は6.25〜75ng/mlであり、さらに好ましい濃度は12.5〜50ng/mlであり、さらに好ましい濃度は18.75〜37.5ng/mlであり、さらに好ましい濃度は22.5〜30ng/mlであり、最も好ましい濃度は25ng/mlである。
【0238】
可溶性ビタミンEについては、好ましい濃度は156.25〜1875ng/mlであり、さらに好ましい濃度は312.5〜1250ng/mlであり、さらに好ましい濃度は468.75〜937.5ng/mlであり、さらに好ましい濃度は562.5〜750ng/mlであり、最も好ましい濃度は625ng/mlである。
【0239】
ひとつの実施形態において、幹細胞は、表1の縦列のいずれかで表された化合物を含む細胞培養培地において、血清または無血清によって、懸濁液、接着またはマトリックスの様式で培養される。より好ましくは、培養様式は、MATRIGEL、コラーゲン、ヒドロゲル、または他の架橋性ゲルマトリックスである。より好ましい培養様式は、ヒドロゲルマトリックスである。最も好ましい培養様式は、アルギネートマトリックスである。
【0240】
ひとつの実施形態において、幹細胞は、表1の縦列Aに表された化合物を含む細胞培養培地において、血清または無血清によって培養される。好ましくは、培養培地は、表1の縦列Aに表された因子およびサプリメントの少なくとも1つを含む。より好ましくは、表1の縦列Aに表された因子およびサプリメントの少なくとも2つを含む。より好ましくは、表1の縦列Aに表された因子およびサプリメントの少なくとも3つを含む。より好ましくは、表1の縦列Aに表された因子およびサプリメントの少なくとも4つを含む。より好ましくは、表1の縦列Aに表された因子およびサプリメントの少なくとも5つを含む。より好ましくは、表1の縦列Aに表された因子およびサプリメントの少なくとも6つを含む。より好ましくは、表1の縦列Aに表された因子およびサプリメントの少なくとも7つを含む。より好ましくは、表1の縦列Aに表された因子およびサプリメントの少なくとも8つを含む。より好ましくは、表1の縦列Aに表された因子およびサプリメントの少なくとも9つを含む。より好ましくは、表1の縦列Aに表された因子およびサプリメントの少なくとも10を含む。より好ましくは、表1の縦列Aに表された因子およびサプリメントの少なくとも11を含む。より好ましくは、表1の縦列Aに表された因子およびサプリメントの少なくとも12を含む。より好ましくは、表1の縦列Aに表された因子およびサプリメントの少なくとも13を含む。より好ましくは、表1の縦列Aに表された因子およびサプリメントの少なくとも14を含む。より好ましくは、表1の縦列Aに表された因子およびサプリメントの少なくとも15を含む。より好ましくは、表1の縦列Aに表された因子およびサプリメントの少なくとも16を含む。より好ましくは、表1の縦列Aに表された因子およびサプリメントの少なくとも17を含む。より好ましくは、表1の縦列Aに表された因子およびサプリメントの少なくとも18を含む。より好ましくは、表1の縦列Aに表された因子およびサプリメントの少なくとも19を含む。より好ましくは、表1の縦列Aに表された因子およびサプリメントの少なくとも20を含む。より好ましくは、表1の縦列Aに表された因子およびサプリメントの少なくとも21を含む。より好ましくは、表1の縦列Aに表された因子およびサプリメントの少なくとも22を含む。より好ましくは、表1の縦列Aに表された因子およびサプリメントの少なくとも23を含む。より好ましくは、表1の縦列Aに表された因子およびサプリメントの少なくとも24を含む。より好ましくは、表1の縦列Aに表された因子およびサプリメントの少なくとも25を含む。より好ましくは、表1の縦列Aに表された因子およびサプリメントの少なくとも26を含む。より好ましくは、表1の縦列Aに表された因子およびサプリメントの少なくとも27を含む。より好ましくは、表1の縦列Aに表された因子およびサプリメントの少なくとも28を含む。最も好ましくは、表1の縦列Aに表された因子およびサプリメントの全てを含む。
【0241】
ひとつの実施形態において、幹細胞は、表1の縦列Bに表された化合物を含む細胞培養培地において、血清または無血清によって培養される。好ましくは、培養培地は、表1の縦列Bに表された因子およびサプリメントの少なくとも1つを含む。より好ましくは、表1の縦列Bに表された因子およびサプリメントの少なくとも2つを含む。より好ましくは、表1の縦列Bに表された因子およびサプリメントの少なくとも3つを含む。より好ましくは、表1の縦列Bに表された因子およびサプリメントの少なくとも4つを含む。より好ましくは、表1の縦列Bに表された因子およびサプリメントの少なくとも5つを含む。より好ましくは、表1の縦列Bに表された因子およびサプリメントの少なくとも6つを含む。より好ましくは、表1の縦列Bに表された因子およびサプリメントの少なくとも7つを含む。より好ましくは、表1の縦列Bに表された因子およびサプリメントの少なくとも8つを含む。より好ましくは、表1の縦列Bに表された因子およびサプリメントの少なくとも9つを含む。より好ましくは、表1の縦列Bに表された因子およびサプリメントの少なくとも10を含む。より好ましくは、表1の縦列Bに表された因子およびサプリメントの少なくとも11を含む。より好ましくは、表1の縦列Bに表された因子およびサプリメントの少なくとも12を含む。より好ましくは、表1の縦列Bに表された因子およびサプリメントの少なくとも13を含む。より好ましくは、表1の縦列Bに表された因子およびサプリメントの少なくとも14を含む。より好ましくは、表1の縦列Bに表された因子およびサプリメントの少なくとも15を含む。より好ましくは、表1の縦列Bに表された因子およびサプリメントの少なくとも16を含む。より好ましくは、表1の縦列Bに表された因子およびサプリメントの少なくとも17を含む。より好ましくは、表1の縦列Bに表された因子およびサプリメントの少なくとも18を含む。より好ましくは、表1の縦列Bに表された因子およびサプリメントの少なくとも19を含む。より好ましくは、表1の縦列Bに表された因子およびサプリメントの少なくとも20を含む。より好ましくは、表1の縦列Bに表された因子およびサプリメントの少なくとも21を含む。より好ましくは、表1の縦列Bに表された因子およびサプリメントの少なくとも22を含む。より好ましくは、表1の縦列Bに表された因子およびサプリメントの少なくとも23を含む。より好ましくは、表1の縦列Bに表された因子およびサプリメントの少なくとも24を含む。より好ましくは、表1の縦列Bに表された因子およびサプリメントの少なくとも25を含む。より好ましくは、表1の縦列Bに表された因子およびサプリメントの少なくとも26を含む。より好ましくは、表1の縦列Bに表された因子およびサプリメントの少なくとも27を含む。より好ましくは、表1の縦列Bに表された因子およびサプリメントの少なくとも28を含む。より好ましくは、表1の縦列Bに表された因子およびサプリメントの少なくとも29を含む。より好ましくは、表1の縦列Bに表された因子およびサプリメントの少なくとも30を含む。より好ましくは、表1の縦列Bに表された因子およびサプリメントの少なくとも31を含む。最も好ましくは、表1の縦列Bに表された因子およびサプリメントの全てを含む。
【0242】
ひとつの実施形態において、幹細胞は、表1の縦列Cに表された化合物を含む細胞培養培地において、血清または無血清によって培養される。好ましくは、培養培地は、表1の縦列Cに表された因子およびサプリメントの少なくとも1つを含む。より好ましくは、表1の縦列Cに表された因子およびサプリメントの少なくとも2つを含む。より好ましくは、表1の縦列Cに表された因子およびサプリメントの少なくとも3つを含む。より好ましくは、表1の縦列Cに表された因子およびサプリメントの少なくとも4つを含む。より好ましくは、表1の縦列Cに表された因子およびサプリメントの少なくとも5つを含む。より好ましくは、表1の縦列Cに表された因子およびサプリメントの少なくとも6つを含む。より好ましくは、表1の縦列Cに表された因子およびサプリメントの少なくとも7つを含む。より好ましくは、表1の縦列Cに表された因子およびサプリメントの少なくとも8つを含む。より好ましくは、表1の縦列Cに表された因子およびサプリメントの少なくとも9つを含む。より好ましくは、表1の縦列Cに表された因子およびサプリメントの少なくとも10を含む。より好ましくは、表1の縦列Cに表された因子およびサプリメントの少なくとも11を含む。より好ましくは、表1の縦列Cに表された因子およびサプリメントの少なくとも12を含む。より好ましくは、表1の縦列Cに表された因子およびサプリメントの少なくとも13を含む。より好ましくは、表1の縦列Cに表された因子およびサプリメントの少なくとも14を含む。より好ましくは、表1の縦列Cに表された因子およびサプリメントの少なくとも15を含む。より好ましくは、表1の縦列Cに表された因子およびサプリメントの少なくとも16を含む。より好ましくは、表1の縦列Cに表された因子およびサプリメントの少なくとも17を含む。より好ましくは、表1の縦列Cに表された因子およびサプリメントの少なくとも18を含む。より好ましくは、表1の縦列Cに表された因子およびサプリメントの少なくとも19を含む。より好ましくは、表1の縦列Cに表された因子およびサプリメントの少なくとも20を含む。より好ましくは、表1の縦列Cに表された因子およびサプリメントの少なくとも21を含む。より好ましくは、表1の縦列Cに表された因子およびサプリメントの少なくとも22を含む。より好ましくは、表1の縦列Cに表された因子およびサプリメントの少なくとも23を含む。より好ましくは、表1の縦列Cに表された因子およびサプリメントの少なくとも24を含む。より好ましくは、表1の縦列Cに表された因子およびサプリメントの少なくとも25を含む。より好ましくは、表1の縦列Cに表された因子およびサプリメントの少なくとも26を含む。より好ましくは、表1の縦列Cに表された因子およびサプリメントの少なくとも27を含む。最も好ましくは、表1の縦列Cに表された因子およびサプリメントの全てを含む。
【0243】
ひとつの実施形態において、幹細胞は、表1の縦列Dに表された化合物を含む細胞培養培地において、血清または無血清によって培養される。好ましくは、培養培地は、表1の縦列Dに表された因子およびサプリメントの少なくとも1つを含む。より好ましくは、表1の縦列Dに表された因子およびサプリメントの少なくとも2つを含む。より好ましくは、表1の縦列Dに表された因子およびサプリメントの少なくとも3つをふくむ。より好ましくは、表1の縦列Dに表された因子およびサプリメントの少なくとも4つを含む。より好ましくは、表1の縦列Dに表された因子およびサプリメントの少なくとも5つを含む。より好ましくは、表1の縦列Dに表された因子およびサプリメントの少なくとも6つを含む。より好ましくは、表1の縦列Dに表された因子およびサプリメントの少なくとも7つを含む。より好ましくは、表1の縦列Dに表された因子およびサプリメントの少なくとも8つを含む。より好ましくは、表1の縦列Dに表された因子およびサプリメントの少なくとも9つを含む。より好ましくは、表1の縦列Dに表された因子およびサプリメントの少なくとも10を含む。より好ましくは、表1の縦列Dに表された因子およびサプリメントの少なくとも11を含む。より好ましくは、表1の縦列Dに表された因子およびサプリメントの少なくとも12を含む。より好ましくは、表1の縦列Dに表された因子およびサプリメントの少なくとも13を含む。より好ましくは、表1の縦列Dに表された因子およびサプリメントの少なくとも14を含む。より好ましくは、表1の縦列Dに表された因子およびサプリメントの少なくとも15を含む。より好ましくは、表1の縦列Dに表された因子およびサプリメントの少なくとも16を含む。より好ましくは、表1の縦列Dに表された因子およびサプリメントの少なくとも17を含む。より好ましくは、表1の縦列Dに表された因子およびサプリメントの少なくとも18を含む。より好ましくは、表1の縦列Dに表された因子およびサプリメントの少なくとも19を含む。より好ましくは、表1の縦列Dに表された因子およびサプリメントの少なくとも20を含む。より好ましくは、表1の縦列Dに表された因子およびサプリメントの少なくとも21を含む。より好ましくは、表1の縦列Dに表された因子およびサプリメントの少なくとも22を含む。より好ましくは、表1の縦列Dに表された因子およびサプリメントの少なくとも23を含む。最も好ましくは、表1の縦列Dに表された因子およびサプリメントの全てを含む。
【0244】
ひとつの実施形態において、幹細胞は、表1の縦列Eに表された化合物を含む細胞培養培地において、血清または無血清によって培養される。好ましくは、培養培地は、表1の縦列Eに表された因子およびサプリメントの少なくとも1つを含む。より好ましくは、表1の縦列Eに表された因子およびサプリメントの少なくとも2つを含む。より好ましくは、表1の縦列Eに表された因子およびサプリメントの少なくとも3つを含む。より好ましくは、表1の縦列Eに表された因子およびサプリメントの少なくとも4つを含む。より好ましくは、表1の縦列Eに表された因子およびサプリメントの少なくとも5つを含む。より好ましくは、表1の縦列Eに表された因子およびサプリメントの少なくとも6つを含む。より好ましくは、表1の縦列Eに表された因子およびサプリメントの少なくとも7つを含む。より好ましくは、表1の縦列Eに表された因子およびサプリメントの少なくとも8つを含む。より好ましくは、表1の縦列Eに表された因子およびサプリメントの少なくとも9つを含む。より好ましくは、表1の縦列Eに表された因子およびサプリメントの少なくとも10を含む。より好ましくは、表1の縦列Eに表された因子およびサプリメントの少なくとも11を含む。より好ましくは、表1の縦列Eに表された因子およびサプリメントの少なくとも12を含む。より好ましくは、表1の縦列Eに表された因子およびサプリメントの少なくとも13を含む。より好ましくは、表1の縦列Eに表された因子およびサプリメントの少なくとも14を含む。より好ましくは、表1の縦列Eに表された因子およびサプリメントの少なくとも15を含む。より好ましくは、表1の縦列Eに表された因子およびサプリメントの少なくとも16を含む。より好ましくは、表1の縦列Eに表された因子およびサプリメントの少なくとも17を含む。より好ましくは、表1の縦列Eに表された因子およびサプリメントの少なくとも18を含む。より好ましくは、表1の縦列Eに表された因子およびサプリメントの少なくとも19を含む。より好ましくは、表1の縦列Eに表された因子およびサプリメントの少なくとも20を含む。より好ましくは、表1の縦列Eに表された因子およびサプリメントの少なくとも21を含む。より好ましくは、表1の縦列Eに表された因子およびサプリメントの少なくとも22を含む。より好ましくは、表1の縦列Eに表された因子およびサプリメントの少なくとも23を含む。より好ましくは、表1の縦列Eに表された因子およびサプリメントの少なくとも24を含む。より好ましくは、表1の縦列Eに表された因子およびサプリメントの少なくとも25を含む。より好ましくは、表1の縦列Eに表された因子およびサプリメントの少なくとも26を含む。より好ましくは、表1の縦列Eに表された因子およびサプリメントの少なくとも27を含む。より好ましくは、表1の縦列Eに表された因子およびサプリメントの少なくとも28を含む。より好ましくは、表1の縦列Eに表された因子およびサプリメントの少なくとも29を含む。より好ましくは、表1の縦列Eに表された因子およびサプリメントの少なくとも30を含む。より好ましくは、表1の縦列Eに表された因子およびサプリメントの少なくとも31を含む。より好ましくは、表1の縦列Eに表された因子およびサプリメントの少なくとも32を含む。最も好ましくは、表1の縦列Eに表された因子およびサプリメントの全てを含む。
【0245】
ひとつの実施形態において、幹細胞は、表1の縦列Fに表された化合物を含む細胞培養培地において、血清または無血清によって培養される。好ましくは、培養培地は、表1の縦列Fに表された因子およびサプリメントの少なくとも1つを含む。より好ましくは、表1の縦列Fに表された因子およびサプリメントの少なくとも2つを含む。より好ましくは、表1の縦列Fに表された因子およびサプリメントの少なくとも3つを含む。より好ましくは、表1の縦列Fに表された因子およびサプリメントの少なくとも4つを含む。より好ましくは、表1の縦列Fに表された因子およびサプリメントの少なくとも5つを含む。より好ましくは、表1の縦列Fに表された因子およびサプリメントの少なくとも6つを含む。より好ましくは、表1の縦列Fに表された因子およびサプリメントの少なくとも7つを含む。より好ましくは、表1の縦列Fに表された因子およびサプリメントの少なくとも8つを含む。より好ましくは、表1の縦列Fに表された因子およびサプリメントの少なくとも9つを含む。より好ましくは、表1の縦列Fに表された因子およびサプリメントの少なくとも10を含む。より好ましくは、表1の縦列Fに表された因子およびサプリメントの少なくとも11を含む。より好ましくは、表1の縦列Fに表された因子およびサプリメントの少なくとも12を含む。より好ましくは、表1の縦列Fに表された因子およびサプリメントの少なくとも13を含む。より好ましくは、表1の縦列Fに表された因子およびサプリメントの少なくとも14を含む。より好ましくは、表1の縦列Fに表された因子およびサプリメントの少なくとも15を含む。より好ましくは、表1の縦列Fに表された因子およびサプリメントの少なくとも16を含む。より好ましくは、表1の縦列Fに表された因子およびサプリメントの少なくとも17を含む。より好ましくは、表1の縦列Fに表された因子およびサプリメントの少なくとも18を含む。より好ましくは、表1の縦列Fに表された因子およびサプリメントの少なくとも19を含む。より好ましくは、表1の縦列Fに表された因子およびサプリメントの少なくとも20を含む。より好ましくは、表1の縦列Fに表された因子およびサプリメントの少なくとも21を含む。より好ましくは、表1の縦列Fに表された因子およびサプリメントの少なくとも22を含む。より好ましくは、表1の縦列Fに表された因子およびサプリメントの少なくとも23を含む。より好ましくは、表1の縦列Fに表された因子およびサプリメントの少なくとも24を含む。より好ましくは、表1の縦列Fに表された因子およびサプリメントの少なくとも25を含む。より好ましくは、表1の縦列Fに表された因子およびサプリメントの少なくとも26を含む。より好ましくは、表1の縦列Fに表された因子およびサプリメントの少なくとも27を含む。より好ましくは、表1の縦列Fに表された因子およびサプリメントの少なくとも28を含む。より好ましくは、表1の縦列Fに表された因子およびサプリメントの少なくとも29を含む。より好ましくは、表1の縦列Fに表された因子およびサプリメントの少なくとも30を含む。より好ましくは、表1の縦列Fに表された因子およびサプリメントの少なくとも31を含む。より好ましくは、表1の縦列Fに表された因子およびサプリメントの少なくとも32を含む。最も好ましくは、表1の縦列Fに表された因子およびサプリメントの全てを含む。
【0246】
ひとつの実施形態において、幹細胞は、表1の縦列Gに表された化合物を含む細胞培養培地において、血清または無血清によって培養される。好ましくは、培養培地は、表1の縦列Gに表された因子およびサプリメントの少なくとも1つを含む。より好ましくは、表1の縦列Gに表された因子およびサプリメントの少なくとも2つを含む。より好ましくは、表1の縦列Gに表された因子およびサプリメントの少なくとも3つを含む。より好ましくは、表1の縦列Gに表された因子およびサプリメントの少なくとも4つを含む。より好ましくは、表1の縦列Gに表された因子およびサプリメントの少なくとも5つを含む。より好ましくは、表1の縦列Gに表された因子およびサプリメントの少なくとも6つを含む。より好ましくは、表1の縦列Gに表された因子およびサプリメントの少なくとも7つを含む。より好ましくは、表1の縦列Gに表された因子およびサプリメントの少なくとも8つを含む。より好ましくは、表1の縦列Gに表された因子およびサプリメントの少なくとも9つを含む。より好ましくは、表1の縦列Gに表された因子およびサプリメントの少なくとも10を含む。より好ましくは、表1の縦列Gに表された因子およびサプリメントの少なくとも11を含む。より好ましくは、表1の縦列Gに表された因子およびサプリメントの少なくとも12を含む。より好ましくは、表1の縦列Gに表された因子およびサプリメントの少なくとも13を含む。より好ましくは、表1の縦列Gに表された因子およびサプリメントの少なくとも14を含む。より好ましくは、表1の縦列Gに表された因子およびサプリメントの少なくとも15を含む。より好ましくは、表1の縦列Gに表された因子およびサプリメントの少なくとも16を含む。より好ましくは、表1の縦列Gに表された因子およびサプリメントの少なくとも17を含む。より好ましくは、表1の縦列Gに表された因子およびサプリメントの少なくとも18を含む。より好ましくは、表1の縦列Gに表された因子およびサプリメントの少なくとも19を含む。より好ましくは、表1の縦列Gに表された因子およびサプリメントの少なくとも20を含む。より好ましくは、表1の縦列Gに表された因子およびサプリメントの少なくとも21を含む。より好ましくは、表1の縦列Gに表された因子およびサプリメントの少なくとも22を含む。より好ましくは、表1の縦列Gに表された因子およびサプリメントの少なくとも23を含む。より好ましくは、表1の縦列Gに表された因子およびサプリメントの少なくとも24を含む。より好ましくは、表1の縦列Gに表された因子およびサプリメントの少なくとも25を含む。より好ましくは、表1の縦列Gに表された因子およびサプリメントの少なくとも26を含む。より好ましくは、表1の縦列Gに表された因子およびサプリメントの少なくとも27を含む。より好ましくは、表1の縦列Gに表された因子およびサプリメントの少なくとも28を含む。より好ましくは、表1の縦列Gに表された因子およびサプリメントの少なくとも29を含む。最も好ましくは、表1の縦列Gに表された因子およびサプリメントの全てを含む。
【0247】
ひとつの実施形態において、幹細胞は、表1の縦列Hに表された化合物を含む細胞培養培地において、血清または無血清によって培養される。好ましくは、培養培地は、表1の縦列Hに表された因子およびサプリメントの少なくとも1つを含む。より好ましくは、表1の縦列Hに表された因子およびサプリメントの少なくとも2つを含む。より好ましくは、表1の縦列Hに表された因子およびサプリメントの少なくとも3つを含む。より好ましくは、表1の縦列Hに表された因子およびサプリメントの少なくとも4つを含む。より好ましくは、表1の縦列Hに表された因子およびサプリメントの少なくとも5つを含む。より好ましくは、表1の縦列Hに表された因子およびサプリメントの少なくとも6つを含む。より好ましくは、表1の縦列Hに表された因子およびサプリメントの少なくとも7つを含む。より好ましくは、表1の縦列Hに表された因子およびサプリメントの少なくとも8つを含む。より好ましくは、表1の縦列Hに表された因子およびサプリメントの少なくとも9つを含む。より好ましくは、表1の縦列Hに表された因子およびサプリメントの少なくとも10を含む。より好ましくは、表1の縦列Hに表された因子およびサプリメントの少なくとも11を含む。より好ましくは、表1の縦列Hに表された因子およびサプリメントの少なくとも12を含む。より好ましくは、表1の縦列Hに表された因子およびサプリメントの少なくとも13を含む。より好ましくは、表1の縦列Hに表された因子およびサプリメントの少なくとも14を含む。より好ましくは、表1の縦列Hに表された因子およびサプリメントの少なくとも15を含む。より好ましくは、表1の縦列Hに表された因子およびサプリメントの少なくとも16を含む。より好ましくは、表1の縦列Hに表された因子およびサプリメントの少なくとも17を含む。より好ましくは、表1の縦列Hに表された因子およびサプリメントの少なくとも18を含む。より好ましくは、表1の縦列Hに表された因子およびサプリメントの少なくとも19を含む。より好ましくは、表1の縦列Hに表された因子およびサプリメントの少なくとも20を含む。より好ましくは、表1の縦列Hに表された因子およびサプリメントの少なくとも21を含む。より好ましくは、表1の縦列Hに表された因子およびサプリメントの少なくとも22を含む。より好ましくは、表1の縦列Hに表された因子およびサプリメントの少なくとも23を含む。より好ましくは、表1の縦列Hに表された因子およびサプリメントの少なくとも24を含む。より好ましくは、表1の縦列Hに表された因子およびサプリメントの少なくとも25を含む。より好ましくは、表1の縦列Hに表された因子およびサプリメントの少なくとも26を含む。より好ましくは、表1の縦列Hに表された因子およびサプリメントの少なくとも27を含む。より好ましくは、表1の縦列Hに表された因子およびサプリメントの少なくとも28を含む。より好ましくは、表1の縦列Hに表された因子およびサプリメントの少なくとも29を含む。より好ましくは、表1の縦列Hに表された因子およびサプリメントの少なくとも30を含む。より好ましくは、表1の縦列Hに表された因子およびサプリメントの少なくとも31を含む。より好ましくは、表1の縦列Hに表された因子およびサプリメントの少なくとも32を含む。より好ましくは、表1の縦列Hに表された因子およびサプリメントの少なくとも33を含む。最も好ましくは、表1の縦列Hに表された因子およびサプリメントの全てを含む。
【0248】
ひとつの実施形態において、幹細胞は、表2の縦列のいずれかに表された化合物を含む細胞培養培地において、血清または無血清によって、懸濁液、接着またはマトリックスの様式で培養される。より好ましい培養様式は、接着である。最も好ましい培養培地は、アルギネート接着である。
【0249】
ひとつの実施形態において、幹細胞は、表2の縦列Iに表された化合物を含む細胞培養培地において、血清または無血清によって培養される。好ましくは、培養培地は、表2の縦列Iに表された因子およびサプリメントの少なくとも1つを含む。より好ましくは、表2の縦列Iに表された因子およびサプリメントの少なくとも2つを含む。より好ましくは、表2の縦列Iに表された因子およびサプリメントの少なくとも3つを含む。より好ましくは、表2の縦列Iに表された因子およびサプリメントの少なくとも4つを含む。より好ましくは、表2の縦列Iに表された因子およびサプリメントの少なくとも5つを含む。より好ましくは、表2の縦列Iに表された因子およびサプリメントの少なくとも6つを含む。より好ましくは、表2の縦列Iに表された因子およびサプリメントの少なくとも7つを含む。より好ましくは、表2の縦列Iに表された因子およびサプリメントの少なくとも8つを含む。より好ましくは、表2の縦列Iに表された因子およびサプリメントの少なくとも9つを含む。より好ましくは、表2の縦列Iに表された因子およびサプリメントの少なくとも10を含む。より好ましくは、表2の縦列Iに表された因子およびサプリメントの少なくとも11を含む。より好ましくは、表2の縦列Iに表された因子およびサプリメントの少なくとも12を含む。より好ましくは、表2の縦列Iに表された因子およびサプリメントの少なくとも13を含む。より好ましくは、表2の縦列Iに表された因子およびサプリメントの少なくとも14を含む。より好ましくは、表2の縦列Iに表された因子およびサプリメントの少なくとも15を含む。より好ましくは、表2の縦列Iに表された因子およびサプリメントの少なくとも16を含む。より好ましくは、表2の縦列Iに表された因子およびサプリメントの少なくとも17を含む。より好ましくは、表2の縦列Iに表された因子およびサプリメントの少なくとも18を含む。より好ましくは、表2の縦列Iに表された因子およびサプリメントの少なくとも19を含む。より好ましくは、表2の縦列Iに表された因子およびサプリメントの少なくとも20を含む。より好ましくは、表2の縦列Iに表された因子およびサプリメントの少なくとも21を含む。より好ましくは、表2の縦列Iに表された因子およびサプリメントの少なくとも22を含む。より好ましくは、表2の縦列Iに表された因子およびサプリメントの少なくとも23を含む。より好ましくは、表2の縦列Iに表された因子およびサプリメントの少なくとも24を含む。より好ましくは、表2の縦列Iに表された因子およびサプリメントの少なくとも25を含む。より好ましくは、表2の縦列Iに表された因子およびサプリメントの少なくとも26を含む。より好ましくは、表2の縦列Iに表された因子およびサプリメントの少なくとも27を含む。より好ましくは、表2の縦列Iに表された因子およびサプリメントの少なくとも28を含む。より好ましくは、表2の縦列Iに表された因子およびサプリメントの少なくとも29を含む。より好ましくは、表2の縦列Iに表された因子およびサプリメントの少なくとも30を含む。より好ましくは、表2の縦列Iに表された因子およびサプリメントの少なくとも31を含む。より好ましくは、表2の縦列Iに表された因子およびサプリメントの少なくとも32を含む。最も好ましくは、表2の縦列Iに表された因子およびサプリメントの全てを含む。
【0250】
ひとつの実施形態において、幹細胞は、表2の縦列Jに表された化合物を含む細胞培養培地において、血清または無血清によって培養される。好ましくは、培養培地は、表2の縦列Jに表された因子およびサプリメントの少なくとも1つを含む。より好ましくは、表2の縦列Jに表された因子およびサプリメントの少なくとも2つを含む。より好ましくは、表2の縦列Jに表された因子およびサプリメントの少なくとも3つを含む。より好ましくは、表2の縦列Jに表された因子およびサプリメントの少なくとも4つを含む。より好ましくは、表2の縦列Jに表された因子およびサプリメントの少なくとも5つを含む。より好ましくは、表2の縦列Jに表された因子およびサプリメントの少なくとも6つを含む。より好ましくは、表2の縦列Jに表された因子およびサプリメントの少なくとも7つを含む。より好ましくは、表2の縦列Jに表された因子およびサプリメントの少なくとも8つを含む。より好ましくは、表2の縦列Jに表された因子およびサプリメントの少なくとも9つを含む。より好ましくは、表2の縦列Jに表された因子およびサプリメントの少なくとも10を含む。より好ましくは、表2の縦列Jに表された因子およびサプリメントの少なくとも11を含む。より好ましくは、表2の縦列Jに表された因子およびサプリメントの少なくとも12を含む。より好ましくは、表2の縦列Jに表された因子およびサプリメントの少なくとも13を含む。より好ましくは、表2の縦列Jに表された因子およびサプリメントの少なくとも14を含む。より好ましくは、表2の縦列Jに表された因子およびサプリメントの少なくとも15を含む。より好ましくは、表2の縦列Jに表された因子およびサプリメントの少なくとも16を含む。より好ましくは、表2の縦列Jに表された因子およびサプリメントの少なくとも17を含む。より好ましくは、表2の縦列Jに表された因子およびサプリメントの少なくとも18を含む。より好ましくは、表2の縦列Jに表された因子およびサプリメントの少なくとも19を含む。より好ましくは、表2の縦列Jに表された因子およびサプリメントの少なくとも20を含む。より好ましくは、表2の縦列Jに表された因子およびサプリメントの少なくとも21を含む。より好ましくは、表2の縦列Jに表された因子およびサプリメントの少なくとも22を含む。より好ましくは、表2の縦列Jに表された因子およびサプリメントの少なくとも23を含む。より好ましくは、表2の縦列Jに表された因子およびサプリメントの少なくとも24を含む。より好ましくは、表2の縦列Jに表された因子およびサプリメントの少なくとも25を含む。より好ましくは、表2の縦列Jに表された因子およびサプリメントの少なくとも26を含む。より好ましくは、表2の縦列Jに表された因子およびサプリメントの少なくとも27を含む。より好ましくは、表2の縦列Jに表された因子およびサプリメントの少なくとも28を含む。より好ましくは、表2の縦列Jに表された因子およびサプリメントの少なくとも29を含む。より好ましくは、表2の縦列Jに表された因子およびサプリメントの少なくとも30を含む。より好ましくは、表2の縦列Jに表された因子およびサプリメントの少なくとも31を含む。最も好ましくは、表2の縦列Jに表された因子およびサプリメントの全てを含む。
【0251】
ひとつの実施形態において、幹細胞は、表2の縦列Kに表された化合物を含む細胞培養培地において、血清または無血清によって培養される。好ましくは、培養培地は、表2の縦列Kに表された因子およびサプリメントの少なくとも1つを含む。より好ましくは、表2の縦列Kに表された因子およびサプリメントの少なくとも2つを含む。より好ましくは、表2の縦列Kに表された因子およびサプリメントの少なくとも3つを含む。より好ましくは、表2の縦列Kに表された因子およびサプリメントの少なくとも4つを含む。より好ましくは、表2の縦列Kに表された因子およびサプリメントの少なくとも5つを含む。より好ましくは、表2の縦列Kに表された因子およびサプリメントの少なくとも6つを含む。より好ましくは、表2の縦列Kに表された因子およびサプリメントの少なくとも7つを含む。より好ましくは、表2の縦列Kに表された因子およびサプリメントの少なくとも8つを含む。より好ましくは、表2の縦列Kに表された因子およびサプリメントの少なくとも9つを含む。より好ましくは、表2の縦列Kに表された因子およびサプリメントの少なくとも10を含む。より好ましくは、表2の縦列Kに表された因子およびサプリメントの少なくとも11を含む。より好ましくは、表2の縦列Kに表された因子およびサプリメントの少なくとも12を含む。より好ましくは、表2の縦列Kに表された因子およびサプリメントの少なくとも13を含む。より好ましくは、表2の縦列Kに表された因子およびサプリメントの少なくとも14を含む。より好ましくは、表2の縦列Kに表された因子およびサプリメントの少なくとも15を含む。より好ましくは、表2の縦列Kに表された因子およびサプリメントの少なくとも16を含む。より好ましくは、表2の縦列Kに表された因子およびサプリメントの少なくとも17を含む。より好ましくは、表2の縦列Kに表された因子およびサプリメントの少なくとも18を含む。より好ましくは、表2の縦列Kに表された因子およびサプリメントの少なくとも19を含む。より好ましくは、表2の縦列Kに表された因子およびサプリメントの少なくとも20を含む。より好ましくは、表2の縦列Kに表された因子およびサプリメントの少なくとも21を含む。より好ましくは、表2の縦列Kに表された因子およびサプリメントの少なくとも22を含む。より好ましくは、表2の縦列Kに表された因子およびサプリメントの少なくとも23を含む。より好ましくは、表2の縦列Kに表された因子およびサプリメントの少なくとも24を含む。より好ましくは、表2の縦列Kに表された因子およびサプリメントの少なくとも25を含む。より好ましくは、表2の縦列Kに表された因子およびサプリメントの少なくとも26を含む。より好ましくは、表2の縦列Kに表された因子およびサプリメントの少なくとも27を含む。より好ましくは、表2の縦列Kに表された因子およびサプリメントの少なくとも28を含む。より好ましくは、表2の縦列Kに表された因子およびサプリメントの少なくとも29を含む。より好ましくは、表2の縦列Kに表された因子およびサプリメントの少なくとも30を含む。最も好ましくは、表2の縦列Kに表された因子およびサプリメントの全てを含む。
【0252】
ひとつの実施形態において、幹細胞は、表2の縦列Lに表された化合物を含む細胞培養培地において、血清または無血清によって培養される。好ましくは、培養培地は、表2の縦列Lに表された因子およびサプリメントの少なくとも1つを含む。より好ましくは、表2の縦列Lに表された因子およびサプリメントの少なくとも2つを含む。より好ましくは、表2の縦列Lに表された因子およびサプリメントの少なくとも3つを含む。より好ましくは、表2の縦列Lに表された因子およびサプリメントの少なくとも4つを含む。より好ましくは、表2の縦列Lに表された因子およびサプリメントの少なくとも5つを含む。より好ましくは、表2の縦列Lに表された因子およびサプリメントの少なくとも6つを含む。より好ましくは、表2の縦列Lに表された因子およびサプリメントの少なくとも7つを含む。より好ましくは、表2の縦列Lに表された因子およびサプリメントの少なくとも8つを含む。より好ましくは、表2の縦列Lに表された因子およびサプリメントの少なくとも9つを含む。より好ましくは、表2の縦列Lに表された因子およびサプリメントの少なくとも10を含む。より好ましくは、表2の縦列Lに表された因子およびサプリメントの少なくとも11を含む。より好ましくは、表2の縦列Lに表された因子およびサプリメントの少なくとも12を含む。より好ましくは、表2の縦列Lに表された因子およびサプリメントの少なくとも13を含む。より好ましくは、表2の縦列Lに表された因子およびサプリメントの少なくとも14を含む。より好ましくは、表2の縦列Lに表された因子およびサプリメントの少なくとも15を含む。より好ましくは、表2の縦列Lに表された因子およびサプリメントの少なくとも16を含む。より好ましくは、表2の縦列Lに表された因子およびサプリメントの少なくとも17を含む。より好ましくは、表2の縦列Lに表された因子およびサプリメントの少なくとも18を含む。より好ましくは、表2の縦列Lに表された因子およびサプリメントの少なくとも19を含む。より好ましくは、表2の縦列Lに表された因子およびサプリメントの少なくとも20を含む。より好ましくは、表2の縦列Lに表された因子およびサプリメントの少なくとも21を含む。より好ましくは、表2の縦列Lに表された因子およびサプリメントの少なくとも22を含む。より好ましくは、表2の縦列Lに表された因子およびサプリメントの少なくとも23を含む。より好ましくは、表2の縦列Lに表された因子およびサプリメントの少なくとも24を含む。より好ましくは、表2の縦列Lに表された因子およびサプリメントの少なくとも25を含む。より好ましくは、表2の縦列Lに表された因子およびサプリメントの少なくとも26を含む。より好ましくは、表2の縦列Lに表された因子およびサプリメントの少なくとも27を含む。より好ましくは、表2の縦列Lに表された因子およびサプリメントの少なくとも28を含む。より好ましくは、表2の縦列Lに表された因子およびサプリメントの少なくとも29を含む。最も好ましくは、表2の縦列Lに表された因子およびサプリメントの全てを含む。
【実施例】
【0253】
実施例1
アルギネート、次いで懸濁培養における膵臓細胞の連続培養
膵臓細胞は、10%FBS、インスリン、トランスフェリン、セレンおよびEGFで補充されたDMEMとハムF12栄養混合物との混合物からなる培地において、1.6%のアルギネート中で6〜12日間にわたり培養され、その結果、幹細胞が生成された。幹細胞は、アルギネートビーズから脱重合によって採取され、120の無作為配列アレイにおける60の成長因子と分化因子との組み合わせによって補充された基礎培地において、超低接着プレート(Coster)中で11日間にわたり懸濁培養された。培養期間の終わりには、細胞は、基礎グルコース培地(5mMグルコース)、20mMグルコースまたは20mMグルコース+IBMXに、24時間にわたり曝露された。上清が採取され、インスリン含量についてELISAを用いて分析された。細胞が洗浄かつ溶解され、ピコグリーンアッセイを用いてウェル毎のDNA含量が測定された。「インスリン差」は、グルコース単独よるかまたはIBMXとの組み合わせにおける刺激後のウェル中の上清のインスリン含量から、基礎培地で刺激されたウェル中のインスリン含量を減算することによって、算出された。グルコース単独による刺激後に生成された上清のインスリン差は、0.007〜0.9908ng/ウェルの範囲であり、グルコースとIBMXとによる刺激後には、0.0098〜1.1523ng/ウェルの範囲であった。多くのウェルは、インスリン差によって算出されたように低レベルのインスリンを産生した。少数のウェルは、無作為配列アレイにおける因子の添加に先立ちアッセイされた対照ウェルのみならず、成長因子および分化因子の添加なしの基礎培地において培養された対照ウェルに比較しても、有意な量のインスリンを産生した。
【0254】
これらのデータは、膵臓幹細胞のインスリン産生細胞への分化を促進するためには、異なる培養様式で特定の成長因子と分化因子とを組み合わせて選択するのを用いることができるということを示している。
【0255】
実施例2
アルギネート、次いで接着培養における膵臓細胞の連続培養
膵臓細胞は、10%FBS、インスリン、トランスフェリン、セレンおよびEGFで補充されたDMEMとハムF12栄養混合物との混合物からなる培地において、1.6%のアルギネート中で6〜12日間にわたり培養され、その結果、幹細胞が生成された。幹細胞は、アルギネートビーズから脱重合によって採取され、120の無作為配列アレイにおける60の成長因子の組み合わせによって補充された基礎培地において、コラーゲン被覆プレート上で8日間にわたり接着培養で培養された。培養期間の終わりには、細胞は、基礎グルコース培地(5mMグルコース)、20mMグルコースまたは20mMグルコース+IBMXに、24時間にわたり曝露された。上清が採取され、インスリン含量についてELISAを用いて分析された。細胞が洗浄かつ溶解され、ピコグリーンアッセイを用いてウェル毎のDNA含量が測定された。「インスリン差」は、グルコース単独によるかまたはIBMXとの組み合わせおける刺激後のウェル中の上清のインスリン含量から、基礎培地で刺激されたウェル中のインスリン含量を減算することによって、算出された。グルコース単独による刺激後に生成された上清のインスリン差は、0.0019〜0.9714ng/ウェルの範囲であり、グルコースとIBMXとによる刺激後には、0.0052〜0.9524ng/ウェルの範囲であった。多くのウェルは、インスリン差によって算出されたように低レベルのインスリンを産生した。少数のウェルは、無作為配列アレイにおける因子の添加に先立ちアッセイされた対照ウェルのみならず、成長因子および分化因子の添加なしの基礎培地において培養された対照ウェルに比較しても、有意な量のインスリンを産生した。
【0256】
これらのデータは、膵臓幹細胞のインスリン産生細胞への分化を促進するためには、異なる培養様式で特定の成長因子と分化因子とを組み合わせて選択するのを用いることができるということを示している。
【0257】
実施例3
アルギネート培養における幹細胞の培養
膵臓細胞は、10%FBS、インスリン、トランスフェリン、セレンおよびEGFで補充されたDMEMとハムF12栄養混合物との混合物からなる培地において、1.6%のアルギネート中で6〜12日間にわたり培養され、その結果、幹細胞が生成された。幹細胞は、アルギネートビーズから脱重合によって採取され、1.2%のアルギネートビーズに作り直され、かつ120の無作為配列アレイにおける60の成長因子の組み合わせによって補充された基礎培地において、追加的な7〜11日間にわたり培養された。培養期の終わりには、細胞は、基礎グルコース培地(5mMグルコース)、20mMグルコースまたは20mMグルコース+IBMXに、24時間にわたり曝露された。上清が採取され、インスリンおよびC―ペプチドの含量についてELISAを用いて分析された。細胞が洗浄かつ溶解され、ピコグリーンアッセイを用いてウェル毎のDNA含量が測定された。アルギネートビーズが脱重合され、細胞が洗浄かつ溶解され、ピコグリーンアッセイを用いてウェル毎のDNA含量が測定された。
【0258】
4人の別々のヒトドナー由来の材料を用いた4回の実験から得られたインスリンおよびc−ペプチドのデータは、重複ウェルで試験された結果によって検討された。インスリン放出の一貫した刺激を示したウェルは、グルコースまたはグルコースとIBMXとの存在下でのインキュベーションによって誘導されたインスリンまたは−ペプチドのレベルと、基礎培地においてインキュベーションされたウェルによって産生されたレベルとの比較によって、同定された。どのウェルの成長因子と分化因子との組み合わせが有意に刺激されたインスリン放出を産生したかを判断するために、インスリンアッセイが全てのウェルで実行された。これらのアッセイの結果を図1にプロットする。これらのプロットは、以下の無作為配列(combinatorial)アレイにおけるウェルの各々についての基礎グルコースか、高グルコースかまたは高グルコースプラスIBMXかのいずれかのインスリン含量を示す。これらの多くは、インスリンの非常に少ないウェルを示し、ウェルのいくつかは、高い刺激と同様にインスリンの基礎レベルが高いことを示し、他のウェルは、有意な刺激された放出をともなうことを示す。最良のウェルの組み合わせを選ぶ際に補助するために、基礎で除した高グルコースかまたは基礎で除したIBMXとして、刺激インデックスが算出された。これらの結果を図2に示す。最良ウェルについての候補のいくつかが、これらの結果を用いて明らかに示される。選択される8つの最良ウェルがどれであるかを判断するために、いくつかの追加的な分析がなされた。
【0259】
4人の異なるドナー由来の細胞を用いた4つの異なる実験の検討は、これらの実験においてドナー間の変動があったことを示す。全てのドナー由来の分析によって、8つの最良ウェルが決定された。これらの個別ドナーの各々についての比較は、以下の通りである。ドナー#2212においては、基礎刺激とIBMX刺激とからのインスリン放出は、図3に示される。0日で比較すると、最良ウェルの各々は、ウェルA、DおよびEを除いて、刺激されたインスリンにおける有意な増加を有した。このドナー由来のウェルの全ては、いくぶん高い基礎インスリンを有した。刺激インデックス(図4)で結果を表すと、最良ウェルB、C、F、GおよびHが最も高い応答を有したことを示す。ドナー#2278の結果を検討すると、基礎、高グルコースまたはIBMXからのインスリン放出は、0日、7日および14日で対照ウェルを超える有意な差を示す(図5)。このドナーの最良ウェルの全ては、理由がはっきりしないけれども、結果として全ての最良ウェルについての低刺激インデックスをもたらす非常に高い基礎インスリンを有した(図6)。ドナー#3032の結果を検討すると、最良ウェル由来の基礎、高グルコースまたはグルコースとIBMXからのインスリン放出は、0日、7日または14日の対照と比較された(図7)。このドナーについての比較的低位の基礎インスリン放出によって、基本的には、最良ウェルの全てが有意な刺激されたインスリン放出を有した。刺激インデックスを計算すると(図8)、これらもまた、最良ウェルからの有意な放出を示した。しかしながら、各々が異なる因子の組み合わせからなる最良ウェルによるインスリン放出において、差が存在した。いくつかは(予期されたように)グルコースに比べ高いIBMX放出を示したが、他のものはグルコースプラスIBMXに比べ高いグルコース放出を示した。このことは、これらのウェルにおける異なる組み合わせが、異なる能力によってインスリン産生細胞がもたらすことを示唆する。4番目のドナー(3036)についての結果を検討すると、基礎インスリンレベルは、グルコースまたはグルコースプラスIBMXの曝露後の有意な刺激されたインスリン放出によって、低位であった(図9)。図2のウェルに戻ると、これらの最良ウェルは、他のドナー由来の場合のように、大部分の応答に比べ明らかに優れている。刺激インデックス(図10)を検討すると、このドナーから生成されたインスリン産生細胞は、グルコース単独に比べグルコースプラスIBMXによる方が高い応答を与えたということが示される。これらの上清は、c−ペプチド放出のための刺激インデックスとして、図11に示すようなc−ペプチド含量についてアッセイされた。
【0260】
要約すると、これらの結果は、ドナー間の変動同様に、成長因子と分化因子との異なる組み合わせを含むウェル間の顕著な差を明らかにするものである。選択された最良ウェルは、最終的な答えではなく、最適組み合わせの決定のために、更なる研究が求められる。
【0261】
表1はこれらの「最良」ウェルの成長因子組成を示す。
【0262】
【表1】
【0263】
【表2】
【0264】
実施例4
アルギネートにおいて培養された細胞の培養培地の分析
実施例3において無作為配列アレイから産生された3人のドナーが生成した上清のインスリン含量の統計分析の結果、一貫して良好な組み合わせと同様に、インスリン産生と細胞成長に影響を与えるポジティブおよびネガティブエフェクターの一覧表を得た。
【0265】
この無作為配列システムによって同定されるように、幹細胞のインスリン産生細胞への転換に潜在的ポジティブな効果を有する成長因子と分化因子とは、ベータセルリン、BMP−2、セルレイン、硫酸化CCK8、コレラ毒素Bサブユニット、CNP、コルチコステロン、DMF、DMSO、EGF、エキセンディン4、FGF−1、グルコース、GRP、IGF−1、IGF−2、インスリン、KGF、ラミニン、ロイエンケファリン、メトエンケファリン、NGFベータ、ニコチンアミド、PDGF、AA.BB、pTHRP、セレン、SHH、P物質、TGFベータsRII、トランスフェリン、vEGF、VIPである。
【0266】
この無作為配列システムによって同定されるように、幹細胞のインスリン産生細胞への転換に潜在的ネガティブ効果を有する成長因子と分化因子とは、アクチビンA、ANP、BMP−4、CCK8アミド、CGRPアルファ、デキサメタゾン、DIF−1、エンドセリン1、FGF−2、ガストリンI、GH、GLP−1、HGF、ラクトゲン、LIF、n酪酸、PIGF、プロゲステロン、プロラクチン、プトレッシン、REG−1、レチノイン酸、SOD、大豆トリプシンインヒビター、T3、TGFアルファ、TGFベータ1、トロロックスである。
【0267】
実施例5
接着、次いで接着培養における幹細胞の連続培養
PCMにおいてコラーゲン被覆プレート上での6〜12日間の接着培養によって生成された幹細胞は、120の無作為配列アレイにおける60の成長因子の組み合わせによって補充された基礎培地において、コラーゲン被覆プレート上で、さらに8日間にわたり接着培養で培養された。もう一つの選択肢として、細胞は、最初の培養期間の後にコラーゲン被覆プレートから除去され、かつ新鮮な培養プレート上に再度播種され、次に120の無作為配列アレイにおける60の成長因子の組み合わせによって補充された基礎培地において、さらに8日間にわたり培養された。培養期間の終わりには、細胞は、基礎グルコース培地または20mMグルコースに、24時間にわたり曝露された。上清が採取され、インスリンまたはC−ペプチド含量についてELISAを用いて分析された。細胞が洗浄かつ溶解され、ピコグリーンアッセイを用いてウェル毎のDNA含量が測定された。
独立した3つの調製物から安定的にインスリンを産生するかまたはインスリングルコース刺激を誘導するウェル由来のデータは、統計分析に付され、「最良ウェル」が同定された。「最良ウェル」の上位4つに存在する成長因子の組成を表2に示す。
【0268】
【表3】
【0269】
【表4】
【0270】
図12は、この実験から得られた、ポジティブ応答を示す基礎、グルコースおよびグルコースプラスIBMXの刺激からの放出を表すc−ペプチドの結果を示す。インスリンおよびDNAの様々な濃度は、個別のウェルから採取された試料において検出され、これが、幹細胞由来の膵臓細胞の成長と分化におけるそれらの効果に合わせて成長因子と分化因子との組み合わせをスクリーニングする実施可能な方法であることを示している。
【0271】
実施例6
120無作為配列アレイのさらなる最適化
上記実施例において提示されたデータは、誘導されたインスリン産生またはインスリン総産生に関して、「最良ウェル」を同定した。「最良培地」に存在する成分は、次に、第二層スクリーニングを受け、幹細胞からのインスリン産生細胞の産生を誘導する最少数の因子を単純化し、より良好に、定めることができる。
【0272】
この実施例において、培地「L」の30の成分は、60の因子アレイに配列された。コラーゲン上での7日間にわたる接着培養によって生成された幹細胞は、さらに3日、5日または10日間にわたるスクリーニング条件に付された。各時点で、細胞は、固定され、かつプロインスリン特異抗体を用いて免疫組織化学用に処理された。プロインスリンポジティブ細胞数は、自動化画像分析を用いて算出された。培地M、N、O、P、およびQを用いた3日、5日および7日でのプロインスリンポジティブ細胞数を図13に示す。これらの培地は、最も有望な第二層スクリーニングである。この図において、これらは、60因子のアレイによる有望培地の培地「L」と比較される。結論として、この実施例は、60因子の無作為配列アレイが洗練され、かつ改良することができることを示すものである。
【0273】
実施例7
遺伝子チップ研究(DNAオリゴマイクロアレイ)
「遺伝子チップ」(BD・アトラス・アレイ)を用いることによって、8,000の遺伝子の相対的な発現レベル(mRNAレベル)を測定することが可能になる。この方法を用いて、細胞型を「フィンガープリント」するかまたは同定することができる。分化している膵臓細胞におけるmRNAの発現分析は、分化転移処理に関与する遺伝子を同定する可能性を有する。この型の比較によって、始動膵臓細胞と中間幹細胞、中間幹細胞とホルモン産生細胞、およびこの最終産物と正常ヒト膵臓ランゲルハンス島を比較することが可能になる。
【0274】
ヒト膵臓において見出される異なる細胞型の遺伝子発現パターンの「フィンガープリント」を産生するこうした技術の利用は、2つの重要な機能を果たすことになる。こうした分析のおそらく最も重要な機能は、分化転移処理中に生成される細胞の遺伝子発現のプロフィールを明らかに定めることになり、かくして、これらの細胞の分子レベル上の特性を定めることになる。こうした分析の第二機能は、我々の研究方法を改良するツールを提供することになる。分析によって、いかにインスリン産生表現型が調整されるかというメカニズムについての洞察が与えられることになる。細胞表面マーカの知識によって、迅速な細胞同定が促進されるのみならず、「所望されない」細胞から所望細胞を選別する手段が提供されることにもなる。これらの細胞にある細胞情報伝達分子および転写因子の情報は、成長因子の同定を促進することになり、その同定によって、天然由来のベータ細胞と同様の方法で、始動物質からインスリン産生を可能にする細胞へと増殖および分化転移をより効率的に完了させることを求めることができる。公に利用可能な文献および論文において入手可能な膵臓細胞の遺伝子発現および表現型に関する情報のいくつかはあるが、その大部分は、非ヒトの動物モデルかまたは胚発生に関するものである。これらの遺伝子チップの研究は、我々の適用および発見に特有のものである。
【0275】
表3および4には、PCMにおける接着培養の7日間の培養後に比較された2つのランゲルハンス島枯渇ヒト膵臓細胞調製物の結果が示される。RNAは、標準的方法によって単離され、かつ比較用のマイクロアレイによってスクリーニングされた。2つの調製物は同一条件下で培養されたが、調製物のひとつが「優秀」であると判断される一方で、他方が(産生済のc−ペプチドのその後のその能力基準によって)「OK」であると判断された。これらの培養において発現した遺伝子の大部分は同じものになるが、差異的に発現される遺伝子のいくつかも存在することになる。差のいくつかはドナー特異的(例えば、MHCマーカにおける差)であるが、他のものは「優秀」対「OK」の結果において決定的である遺伝子への洞察を与えることができる。
【0276】
異なる調製物の各々によって発現した8,000の遺伝子の検討によって、含めるにはあまりにも長い広範な一覧表が、結果としてもたらされた。表3は、新規なインスリン産生細胞を得るための我々の研究および目的に特に有用になり得ると信ずるこれらの遺伝子をまとめたものである。これらの遺伝子のいくつかは、分化処理にとって機械論的に重要である一方で、他のものは、好結果の幹細胞形成に相関的であり、おそらく予測的である。表4は、約90の「強力に発現した」というメッセージ(極大が10〜100%のシグナル強度)の編集である。強力に発現したというメッセージは、異なる細胞集団(腺房細胞対ランゲルハンス島細胞または成功裡に分化されたもの対不十分に分化されたもの)を同定し、選別するのに用いることができる表面マーカを同定する際に、特に有用である。「強力に発現した」遺伝子の完全表もまた広範囲であり、省略版を提示する。
【0277】
【表5】
【0278】
【表6】
【0279】
【表7】
【0280】
【表8】
【0281】
【表9】
【0282】
【表10】
【0283】
【表11】
【0284】
【表12】
【0285】
【表13】
【0286】
【表14】
【0287】
【表15】
【0288】
【表16】
【図面の簡単な説明】
【0289】
【図1】成長因子および分化因子の無作為配列アレイの存在下でアルギネート中で培養した細胞からのインスリン放出量である(ドナー#2212、#2278および#3023)。
【図2】成長因子および分化因子の無作為配列アレイの存在下でアルギネート中で培養した細胞からのインスリン放出量の刺激インデックスである(ドナー#2212、#2278および#3023)。
【図3】上位8つの成長および分化因子の組み合わせ(A〜H)においてアルギネート中で培養した細胞からのインスリン放出量である(ドナー#2212)。
【図4】上位8つの成長および分化因子の組み合わせ(A〜H)においてアルギネート中で培養した細胞からのインスリン放出量の刺激インデックスである(ドナー#2212)。
【図5】上位8つの成長および分化因子の組み合わせ(A〜H)においてアルギネート中で培養した細胞からのインスリン放出量である(ドナー#2278)。
【図6】上位8つの成長および分化因子の組み合わせ(A〜H)においてアルギネート中で培養した細胞からのインスリン放出量の刺激インデックスである(ドナー#2278)。
【図7】上位8つの成長および分化因子の組み合わせ(A〜H)においてアルギネート中で培養した細胞からのインスリン放出量である(ドナー#3023)。
【図8】上位8つの成長および分化因子の組み合わせ(A〜H)においてアルギネート中で培養した細胞からのインスリン放出量の刺激インデックスである(ドナー#3023)。
【図9】上位8つの成長および分化因子の組み合わせ(A〜H)においてアルギネート中で培養した細胞からのインスリン放出量である(ドナー#3036)。
【図10】上位8つの成長および分化因子の組み合わせ(A〜H)においてアルギネート中で培養した細胞からのインスリン放出量の刺激インデックスである(ドナー#3036)。
【図11】上位8つの成長および分化因子の組み合わせ(A〜H)においてアルギネート中で培養した細胞からのc−ペプチド放出量の刺激インデックスである(ドナー#3036)。
【図12】上位4つの成長および分化因子の組み合わせ(I〜L)においてアルギネート中で培養した細胞からのインスリン放出量である。
【図13】第二層30因子のスクリーニングによって決定した上位6つの成長および分化因子の組み合わせにおいて接着培養によって培養した細胞のウェルあたりのプロインスリンポジティブ細胞数である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
分化した非ホルモン産生膵臓細胞を分化したホルモン産生膵臓細胞に転換する方法であって、
a)基礎培地を含む第1細胞培養培地をもつ第1細胞培養システム中で、血清とともにまたは血清なしに、かつ成長因子とともにまたは成長因子なしに、前記分化した非ホルモン産生膵臓細胞を培養するステップであって、前記分化した非ホルモン産生膵臓細胞の幹細胞への転換を提供する条件下で行われる当該ステップ;および、
b)グループAから選択した少なくとも1つの成分およびグループBから選択した少なくとも1つの成分を含む第2細胞培養培地をもつ第2細胞培養システム中で前記幹細胞を培養するステップであって、ホルモン産生細胞への前記幹細胞の分化を提供する条件下で行われる当該ステップ、を具え、
前記グループAの成分は、ベータセルリン、アクチビンA、BMP−2、TGF−β、SRII、DMSO、ソニックヘッジホッグ、ラミニン、メトエンケファリン、DMFおよびコレラ毒素Aからなるグループから選択され、
前記グループBの成分は、アクチビンA、心房性ナトリウム利尿ペプチド、ベータセルリン、骨形成タンパク質(BMP−2)、骨形成タンパク質(BMP−4)、Cナトリウム利尿ペプチド(CNP)、セルレイン、カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP−α)、コレシストキニン(CCK8−アミド)、コレシストキニンオクタペプチド(CCK8−硫酸化)、コレラ毒素Bサブユニット、コルチコステロン(ライヒシュタイン物質H)、デキサメタゾン、DIF−1、ディファアニソールA、ジメチルスルホキシド(DMSO)、EGF、エンドセリン1、エキセンディン4、酸性FGF、FGF2、FGF7、FGFb、ガストリンI、ガストリン放出ペプチド(GRP)、グルカゴン様ペプチド1(GLP−1)、グルコース、成長ホルモン、肝細胞成長因子(HGF)、IGF−1、IGF−2、インスリン、KGF、ラクトゲン、ラミニン、ロイエンケファリン、白血病抑制因子(LIF)、メトエンケファリン、n−酪酸、神経成長因子(β−NGF)、ニコチンアミド、n−n−ジメチルホルムアミド(DMF)、副甲状腺ホルモン関連ペプチド(Pth II RP)、PDGF AA+PDGF BB MIX、PIGF(胎盤GF)、プロゲステロン、プロラクチン、プトレッシン二塩酸塩ガンマ線照射細胞培養、REG1、レチノイン酸、セレン、亜セレン酸、ソニックヘッジホッグ、大豆トリプシンインヒビター、P物質、スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)、TGF−α、TGF−β sRII、TGF−β1、トランスフェリン、トリヨードチロニン(T3)、トロロックス、血管作用性小腸ペプチド(VIP)、VEGF、ビタミンA、およびビタミンEからなるグループから選択される、方法。
【請求項2】
前記第2細胞培養培地は前記グループAから選択した少なくとも2つの成分および前記グループBから選択した少なくとも2つの成分を具える請求項1の方法。
【請求項3】
前記第2細胞培養培地は前記グループAから選択した少なくとも3つの成分および前記グループBから選択した少なくとも3つの成分を具える請求項1の方法。
【請求項4】
前記第2細胞培養培地は前記グループAから選択した少なくとも4つの成分および前記グループBから選択した少なくとも4つの成分を具える請求項1の方法。
【請求項5】
前記第2細胞培養培地は前記グループAから選択した少なくとも5つの成分および前記グループBから選択した少なくとも5つの成分を具える請求項1の方法。
【請求項6】
前記第2細胞培養培地は前記グループAから選択した少なくとも6つの成分および前記グループBから選択した少なくとも6つの成分を具える請求項1の方法。
【請求項7】
幹細胞を培養してホルモン産生細胞にする方法であって、細胞培養培地をもつ細胞培養システム中で幹細胞を培養して前記幹細胞がホルモン産生細胞に分化するようにされ、前記培養培地は、血清のない基礎培地を含むとともに、グループAから選択した少なくとも1つの成分およびグループBから選択した少なくとも1つの成分を含み、
前記グループAの成分は、ベータセルリン、アクチビンA、BMP−2、TGF−β、SRII、DMSO、ソニックヘッジホッグ、ラミニン、メトエンケファリン、DMFおよびコレラ毒素Aからなるグループから選択され、
前記グループBの成分は、アクチビンA、心房性ナトリウム利尿ペプチド、ベータセルリン、骨形成タンパク質(BMP−2)、骨形成タンパク質(BMP−4)、Cナトリウム利尿ペプチド(CNP)、セルレイン、カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP−α)、コレシストキニン(CCK8−アミド)、コレシストキニンオクタペプチド(CCK8−硫酸化)、コレラ毒素Bサブユニット、コルチコステロン(ライヒシュタイン物質H)、デキサメタゾン、DIF−1、ディファアニソールA、ジメチルスルホキシド(DMSO)、EGF、エンドセリン1、エキセンディン4、酸性FGF、FGF2、FGF7、FGFb、ガストリンI、ガストリン放出ペプチド(GRP)、グルカゴン様ペプチド1(GLP−1)、グルコース、成長ホルモン、肝細胞成長因子(HGF)、IGF−1、IGF−2、インスリン、KGF、ラクトゲン、ラミニン、ロイエンケファリン、白血病抑制因子(LIF)、メトエンケファリン、n−酪酸、神経成長因子(β−NGF)、ニコチンアミド、n−n−ジメチルホルムアミド(DMF)、副甲状腺ホルモン関連ペプチド(Pth II RP)、PDGF AA+PDGF BB MIX、PIGF(胎盤GF)、プロゲステロン、プロラクチン、プトレッシン二塩酸塩ガンマ線照射細胞培養、REG1、レチノイン酸、セレン、亜セレン酸、ソニックヘッジホッグ、大豆トリプシンインヒビター、P物質、スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)、TGF−α、TGF−β sRII、TGF−β1、トランスフェリン、トリヨードチロニン(T3)、トロロックス、血管作用性小腸ペプチド(VIP)、VEGF、ビタミンA、およびビタミンEからなるグループから選択される、方法。
【請求項8】
前記細胞培養培地は前記グループAから選択した少なくとも2つの成分および前記グループBから選択した少なくとも2つの成分を具える請求項7の方法。
【請求項9】
前記細胞培養培地は前記グループAから選択した少なくとも3つの成分および前記グループBから選択した少なくとも3つの成分を具える請求項7の方法。
【請求項10】
前記細胞培養培地は前記グループAから選択した少なくとも4つの成分および前記グループBから選択した少なくとも4つの成分を具える請求項7の方法。
【請求項11】
前記細胞培養培地は前記グループAから選択した少なくとも5つの成分および前記グループBから選択した少なくとも5つの成分を具える請求項7の方法。
【請求項12】
前記細胞培養培地は前記グループAから選択した少なくとも6つの成分および前記グループBから選択した少なくとも6つの成分を具える請求項7の方法。
【請求項1】
分化した非ホルモン産生膵臓細胞を分化したホルモン産生膵臓細胞に転換する方法であって、
a)基礎培地を含む第1細胞培養培地をもつ第1細胞培養システム中で、血清とともにまたは血清なしに、かつ成長因子とともにまたは成長因子なしに、前記分化した非ホルモン産生膵臓細胞を培養するステップであって、前記分化した非ホルモン産生膵臓細胞の幹細胞への転換を提供する条件下で行われる当該ステップ;および、
b)グループAから選択した少なくとも1つの成分およびグループBから選択した少なくとも1つの成分を含む第2細胞培養培地をもつ第2細胞培養システム中で前記幹細胞を培養するステップであって、ホルモン産生細胞への前記幹細胞の分化を提供する条件下で行われる当該ステップ、を具え、
前記グループAの成分は、ベータセルリン、アクチビンA、BMP−2、TGF−β、SRII、DMSO、ソニックヘッジホッグ、ラミニン、メトエンケファリン、DMFおよびコレラ毒素Aからなるグループから選択され、
前記グループBの成分は、アクチビンA、心房性ナトリウム利尿ペプチド、ベータセルリン、骨形成タンパク質(BMP−2)、骨形成タンパク質(BMP−4)、Cナトリウム利尿ペプチド(CNP)、セルレイン、カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP−α)、コレシストキニン(CCK8−アミド)、コレシストキニンオクタペプチド(CCK8−硫酸化)、コレラ毒素Bサブユニット、コルチコステロン(ライヒシュタイン物質H)、デキサメタゾン、DIF−1、ディファアニソールA、ジメチルスルホキシド(DMSO)、EGF、エンドセリン1、エキセンディン4、酸性FGF、FGF2、FGF7、FGFb、ガストリンI、ガストリン放出ペプチド(GRP)、グルカゴン様ペプチド1(GLP−1)、グルコース、成長ホルモン、肝細胞成長因子(HGF)、IGF−1、IGF−2、インスリン、KGF、ラクトゲン、ラミニン、ロイエンケファリン、白血病抑制因子(LIF)、メトエンケファリン、n−酪酸、神経成長因子(β−NGF)、ニコチンアミド、n−n−ジメチルホルムアミド(DMF)、副甲状腺ホルモン関連ペプチド(Pth II RP)、PDGF AA+PDGF BB MIX、PIGF(胎盤GF)、プロゲステロン、プロラクチン、プトレッシン二塩酸塩ガンマ線照射細胞培養、REG1、レチノイン酸、セレン、亜セレン酸、ソニックヘッジホッグ、大豆トリプシンインヒビター、P物質、スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)、TGF−α、TGF−β sRII、TGF−β1、トランスフェリン、トリヨードチロニン(T3)、トロロックス、血管作用性小腸ペプチド(VIP)、VEGF、ビタミンA、およびビタミンEからなるグループから選択される、方法。
【請求項2】
前記第2細胞培養培地は前記グループAから選択した少なくとも2つの成分および前記グループBから選択した少なくとも2つの成分を具える請求項1の方法。
【請求項3】
前記第2細胞培養培地は前記グループAから選択した少なくとも3つの成分および前記グループBから選択した少なくとも3つの成分を具える請求項1の方法。
【請求項4】
前記第2細胞培養培地は前記グループAから選択した少なくとも4つの成分および前記グループBから選択した少なくとも4つの成分を具える請求項1の方法。
【請求項5】
前記第2細胞培養培地は前記グループAから選択した少なくとも5つの成分および前記グループBから選択した少なくとも5つの成分を具える請求項1の方法。
【請求項6】
前記第2細胞培養培地は前記グループAから選択した少なくとも6つの成分および前記グループBから選択した少なくとも6つの成分を具える請求項1の方法。
【請求項7】
幹細胞を培養してホルモン産生細胞にする方法であって、細胞培養培地をもつ細胞培養システム中で幹細胞を培養して前記幹細胞がホルモン産生細胞に分化するようにされ、前記培養培地は、血清のない基礎培地を含むとともに、グループAから選択した少なくとも1つの成分およびグループBから選択した少なくとも1つの成分を含み、
前記グループAの成分は、ベータセルリン、アクチビンA、BMP−2、TGF−β、SRII、DMSO、ソニックヘッジホッグ、ラミニン、メトエンケファリン、DMFおよびコレラ毒素Aからなるグループから選択され、
前記グループBの成分は、アクチビンA、心房性ナトリウム利尿ペプチド、ベータセルリン、骨形成タンパク質(BMP−2)、骨形成タンパク質(BMP−4)、Cナトリウム利尿ペプチド(CNP)、セルレイン、カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP−α)、コレシストキニン(CCK8−アミド)、コレシストキニンオクタペプチド(CCK8−硫酸化)、コレラ毒素Bサブユニット、コルチコステロン(ライヒシュタイン物質H)、デキサメタゾン、DIF−1、ディファアニソールA、ジメチルスルホキシド(DMSO)、EGF、エンドセリン1、エキセンディン4、酸性FGF、FGF2、FGF7、FGFb、ガストリンI、ガストリン放出ペプチド(GRP)、グルカゴン様ペプチド1(GLP−1)、グルコース、成長ホルモン、肝細胞成長因子(HGF)、IGF−1、IGF−2、インスリン、KGF、ラクトゲン、ラミニン、ロイエンケファリン、白血病抑制因子(LIF)、メトエンケファリン、n−酪酸、神経成長因子(β−NGF)、ニコチンアミド、n−n−ジメチルホルムアミド(DMF)、副甲状腺ホルモン関連ペプチド(Pth II RP)、PDGF AA+PDGF BB MIX、PIGF(胎盤GF)、プロゲステロン、プロラクチン、プトレッシン二塩酸塩ガンマ線照射細胞培養、REG1、レチノイン酸、セレン、亜セレン酸、ソニックヘッジホッグ、大豆トリプシンインヒビター、P物質、スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)、TGF−α、TGF−β sRII、TGF−β1、トランスフェリン、トリヨードチロニン(T3)、トロロックス、血管作用性小腸ペプチド(VIP)、VEGF、ビタミンA、およびビタミンEからなるグループから選択される、方法。
【請求項8】
前記細胞培養培地は前記グループAから選択した少なくとも2つの成分および前記グループBから選択した少なくとも2つの成分を具える請求項7の方法。
【請求項9】
前記細胞培養培地は前記グループAから選択した少なくとも3つの成分および前記グループBから選択した少なくとも3つの成分を具える請求項7の方法。
【請求項10】
前記細胞培養培地は前記グループAから選択した少なくとも4つの成分および前記グループBから選択した少なくとも4つの成分を具える請求項7の方法。
【請求項11】
前記細胞培養培地は前記グループAから選択した少なくとも5つの成分および前記グループBから選択した少なくとも5つの成分を具える請求項7の方法。
【請求項12】
前記細胞培養培地は前記グループAから選択した少なくとも6つの成分および前記グループBから選択した少なくとも6つの成分を具える請求項7の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公表番号】特表2006−506047(P2006−506047A)
【公表日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−508268(P2004−508268)
【出願日】平成15年5月28日(2003.5.28)
【国際出願番号】PCT/US2003/016734
【国際公開番号】WO2003/100026
【国際公開日】平成15年12月4日(2003.12.4)
【出願人】(504438772)ノボセル インコーポレイテッド (3)
【出願人】(595117091)ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー (539)
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
【住所又は居所原語表記】1 BECTON DRIVE, FRANKLIN LAKES, NEW JERSEY 07417−1880, UNITED STATES OF AMERICA
【Fターム(参考)】
【公表日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成15年5月28日(2003.5.28)
【国際出願番号】PCT/US2003/016734
【国際公開番号】WO2003/100026
【国際公開日】平成15年12月4日(2003.12.4)
【出願人】(504438772)ノボセル インコーポレイテッド (3)
【出願人】(595117091)ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー (539)
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
【住所又は居所原語表記】1 BECTON DRIVE, FRANKLIN LAKES, NEW JERSEY 07417−1880, UNITED STATES OF AMERICA
【Fターム(参考)】
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