説明

インターホン装置

【課題】 ハンドセットがコードレスであってもハンドセットへの電源供給を効率良く実施でき、また音声信号の送受信回路を低コストで実現できる。
【解決手段】 親機本体2aは、電力と音声信号をハンドセット2bに送信する電力・音声送信回路11と、ハンドセット2bから送信された音声信号を受信する親機受信回路12を具備し、ハンドセット2bは、親機本体2aから電力と音声信号を受信する電力・音声受信回路16と、受信した電力を蓄電する電気二重層コンデンサ18と、親機本体2aへ音声信号を送信するハンドセット送信回路17とを具備し、電力・音声送信回路11及び電力・音声受信回路16は、ループコイルアンテナを有して455kHzの電磁波による電磁界結合で電力の送受を実施し、この電磁波を振幅変調させて親機本体2aからハンドセット2bへ音声信号の送信を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コードレスのハンドセットを備えたインターホン装置に関する。
【背景技術】
【0002】
来訪者が居住者を呼び出すためのインターホン装置は、玄関等に設置されて来訪者が居住者を呼び出すための玄関子機と、居住者が室内で応答するための居室親機を備えている。この居室親機は、ハンドセットを持たないハンズフリー対応のもが近年普及しているが、ハンドセットを使用して応答するものも周囲の騒音が大きい環境では有利であるし、双方向でスムーズに会話できるため、根強い需要がある。
このような背景から、ハンドセットを備えたものも更に使い易くするための改良が成され、例えば絡まり易いカールコードを無くしてコードレスのハンドセットとしたものがある。コードレスにした場合、ハンドセットの電源は、乾電池を用いたりハンドセットを固定する充電部(親機本体)から電磁誘導によりハンドセットに内蔵した電池を充電する等で対応していた。
ハンドセットを電磁誘導を利用して充電する構成としては、例えば特許文献1に示す電話装置がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−46671号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1のコードレスハンドセットの構成は電磁誘導により充電するため、親機本体とハンドセットの間で電極を設けて接触させる必要がなく、ハンドセットの扱いに気を遣う必要が無かった。また、二次電池を使用するため、乾電池を使用する形態ほど電池交換を頻繁に行う必要がなかった。
しかし、二次電池を電磁誘導により充電する形態は、エネルギーの伝送効率を考えると有線で電力を供給する形態に比べて大きく低下したし、親機本体には充電するための回路に加えてハンドセットと音声信号を送受する回路も必要であるためコスト高な構成となっていた。
【0005】
そこで、本発明はこのような問題点に鑑み、ハンドセットがコードレスであってもハンドセットへの電源供給を効率良く実施でき、また音声信号の送受信回路を低コストで実現できるインターホン装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する為に、請求項1の発明は、居住者を呼び出して通話する機能を備えた玄関子機と、玄関子機からの呼び出しに応答する機能を備えた居室親機とを有し、居室親機がコードレスのハンドセットと、ハンドセットと通信を実施する親機本体とで構成されるインターホン装置であって、親機本体は、電力と音声信号をハンドセットに送信する電力・音声送信回路と、ハンドセットから送信された音声信号を受信する親機受信回路を具備する一方、ハンドセットは、親機本体から電力と音声信号を受信する電力・音声受信回路と、受信した電力を蓄電する蓄電手段と、親機本体へ音声信号を送信するハンドセット送信回路とを具備し、電力・音声送信回路及び前記電力・音声受信回路は、ループコイルアンテナを備えた並列共振回路を有して、400kHz〜20MHzの間の特定の周波数の電磁波による電磁界結合で電力の送信及び受信を実施し、電磁波を振幅変調して音声信号の送信を行うことを特徴とする。
この構成によれば、電力送電のための信号を用いて音声信号を送信するので、別途音声信号をハンドセットへ送信する回路が必要ない。よって、ハンドセットへの送信回路を低コストで構成できる。また、電磁界結合により電力伝送を行うことで高効率な電力伝送が可能となるし、親機本体とハンドセット双方のループコイルを電磁誘導を利用する形態ほど近接させなくても電力の伝送が可能であり、居室親機のデザインの自由度を広げることができる。
更に、ループコイルアンテナを使用した電磁界結合で送信された信号は、距離の三乗で減衰するため、通信距離を1m程度に制限することができ、周辺に設置された電子機器に電波干渉しないよう構成できる。
【0007】
請求項2の発明は請求項1に記載の構成において、蓄電手段が、電気二重層コンデンサであることを特徴とする。
この構成によれば、乾電池やニッケル水素電池等の蓄電池に比べて寿命が長く、電源交換の必要が殆ど発生しない。
【0008】
請求項3の発明は、請求項1又は2に記載の構成において、電力・音声送信回路は、特定の周波数のパルス信号を生成する信号生成回路と、パルス幅変調により音声信号を生成したパルス信号に重畳させるPWM変調部と、並列共振回路と協調してPWM変調信号を振幅変調信号に変換するフィルタ回路とを有することを特徴とする。
この構成によれば、パルス信号を基にAM変調波を作成するため、増幅電力効率を高くでき、電力伝送の効率を上げることができる。また、フィルタ回路と並列共振回路を使用してAM変調波を作成するので専用の変調回路が必要無く、簡易な回路構成で振幅変調信号を生成できる。
【0009】
請求項4の発明は、請求項3に記載の構成において、電力・音声受信回路は、蓄電手段を充電するために、受信した電力信号を直流に変換する整流回路を並列共振回路中に具備したことを特徴とする。
この構成によれば、並列共振回路はインピーダンスが高いため、インピーダンス変換のための回路を設けることなく簡易な回路構成で蓄電手段を充電することができる。
【0010】
請求項5の発明は、請求項4に記載の構成において、整流回路が、発光ダイオードを使用したダイオードブリッジ回路で構成されたことを特徴とする。
この構成によれば、別途表示回路を設けること無く充電中であることを表示できる。
【0011】
請求項6の発明は、請求項1乃至5の何れかに記載の構成において、ハンドセット送信回路から親機受信回路への音声信号の送信は、電力を伝送する特定の周波数とは異なる20MHz以下の所定の周波数のFM変調波により実施することを特徴とする。
この構成によれば、送受信で変調方式が異なるため、信号分離回路を設けることなく互いの電波干渉を防止できる。また、双方向同時通話を実施でき、スムーズに通話することができる。
【0012】
請求項7の発明は、請求項1乃至6の何れかに記載の構成において、親機本体は、ハンドセットが所定の位置に保持された待機状態にあることを検知する待機状態検知手段を有し、電力・音声送信回路は、待機状態検知手段の検知信号を基に、ハンドセットが待機状態にある場合と、通話に使用されている場合とで、送信電力の大きさを変更することを特徴とする。
この構成によれば、ハンドセットの状態により送信電力を変更でき、待受時に大きな電力とすれば蓄電手段を短時間で充電することができる。一方、逆に通話状態に時に大きな電力とすれば、通話状態でも電力の送電を継続させることができるし、殆どの時間は待機状態であるため、その間の電力を削減することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、電力を送電するための信号を用いて音声信号を伝送するので、別途音声信号をハンドセットへ送信する回路が必要なく、ハンドセットへの送信回路を低コストで構成できる。また、電磁界結合により電力伝送を行うことで高効率な電力伝送が可能となるし、親機本体とハンドセット双方のループコイルを電磁誘導を利用する形態ほど近接させなくても電力の伝送ができるため、居室親機のデザインの自由度を広げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係るインターホン装置の実施形態の一例を示す構成図である。
【図2】電力・音声送信回路の回路ブロック図である。
【図3】親機受信回路の回路ブロック図である。
【図4】電力・音声受信回路の回路ブロック図である。
【図5】ハンドセット送信回路の回路ブロック図である。
【図6】電力・音声送信回路内の並列共振回路の説明図である。
【図7】電力・音声受信回路内の並列共振回路の説明図である。
【図8】ループコイルアンテナの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を具体化した実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。図1は本発明に係るインターホン装置の一例を示す構成図であり、玄関子機1と居室親機2とを備えている。居室親機2は、親機本体2aとコードレスのハンドセット2bとで構成され、玄関子機1と親機本体2aは伝送線M1で接続されている。
【0016】
親機本体2aは、玄関子機1との間で音声信号の送受を制御するインターホン回路10と、ハンドセット2bに電力及び音声信号を送信する電力・音声送信回路11と、ハンドセット2bから送信された音声信号を受信する親機受信回路12と、商用電源に接続されて居室親機2の各部に電力を供給する電源部13とを備えている。
【0017】
ハンドセット2bは、マイク及びスピーカを備えて音声の入力及び出力を制御するハンドセット通話回路15、親機本体2aから送信された電力及び音声信号を受信する電力・音声受信回路16、親機本体2aへ音声信号を送信するハンドセット送信回路17、蓄電手段としての電気二重層コンデンサ18を備えている。
【0018】
図2は親機本体2aの電力・音声送信回路11を示している。図2に示すように、発振部21、緩衝増幅部22、パルス幅変調により音声信号を重畳するPWM変調部23、高周波増幅部24、フィルタ部25、整合部26、並列共振器27、玄関子機1からの音声信号を増幅する音声増幅部30、出力電力を変化させるための動作電圧制御部31等を備えている。
【0019】
発振部21は、周波数f1(例えば、455kHz)の矩形波(パルス信号)を生成して出力する。この信号が、緩衝増幅部22で所定のレベルに増幅され、PWM変調部23において玄関子機1から伝送された音声信号がパルス幅変調により重畳される。音声信号が重畳されたPWM変調信号は、D級動作により増幅する高周波増幅部24で増幅され、バンドパスフィルタで構成されるフィルタ部25と並列共振器27とでAM変調信号に変換され、並列共振器27内に設けられたループコイルアンテナからハンドセット2bに無線送信される。
こうして、パルス信号を生成してPWM変調した後、フィルタ部25と並列共振器27でAM変調波に変換するので、増幅電力効率を高くでき、電力伝送の効率を上げることができる。また、フィルタ部25と並列共振回路27を使用してAM変調波を作成するので専用の変調回路が必要無く、簡易な回路構成で振幅変調信号を生成できる。
【0020】
並列共振器27は図6の説明図に示すように構成され、一次コイルL11と二次コイルL12とコンデンサC1とを有している。一次コイルL11と二次コイルL12とは磁気結合し、二次コイルL12とコンデンサC1とが接続されて共振回路を構成している。そして、この二次コイルL12がループコイルアンテナNとなっている。AM変調波がこのループコイルアンテナNからハンドセット2bへ送信される。
ループコイルアンテナ(二次コイルL12)Nは、断面積25平方センチメートル程度であり、図8に示すように複数巻した円型または角型のループコイルが使用される。
【0021】
尚、並列共振器27は高効率のエネルギー伝送を行うことが可能であるが、共振時は無線通信の特性インピーダンスと比較して、数kオーム以上と非常に高いインピーダンスで動作するため、無線通信の特性インピーダンス(例えば50オーム)に合わせるために、整合部26が設けられている。
【0022】
図3は親機本体2aの親機受信回路12を示している。図3に示すように、ハンドセット2bから送信された音声信号を受信する受信アンテナ35、整合部36、増幅部37、フィルタ部38、復調部39、増幅部40等を備えている。
受信アンテナ35はループコイルアンテナであり、ハンドセット2bから受信した信号が整合部36、増幅部37、フィルタ部38を介して復調部39に伝送され、復調部39においてFM変調信号が復調される。復調された信号は、増幅部40、インターホン回路10を介して玄関子機1へ伝送される。
【0023】
図4はハンドセット2bの電力・音声受信回路16とハンドセット2bの電源回路を示している。図4に示すように、電力・音声受信回路16は、並列共振器43、整流部44、音声信号をハンドセット通話回路15のスピーカ15aへ伝送するための音声信号受信部47等を有し、電源回路は電気二重層コンデンサ18に加え、昇圧DC/DCコンバータ部46等を備えている。
【0024】
並列共振器43は図7に示すように構成され、一次コイルL21と二次コイルL22とコンデンサC2と整流回路(整流部)44とを備えている。一次コイルL21とコンデンサC2と整流回路44とが環状に接続され、二次コイルL22は一次コイルL21に磁気結合している。そして、一次コイルL21がループコイルアンテナNで形成されている。
親機本体2aから送信されたAM波が、電磁界結合によりこの並列共振器43のループコイルアンテナNで受信される。厳密には、電力の伝送に関しては並列共振器27,43同士の共振時の電磁界結合により実施される。
一次コイルL21で受信したAM波は二次コイルL22へ伝送され、音声通信受信部47で復調されてハンドセット通話回路15のスピーカ15aから音声が出力される。
【0025】
整流部44は、4個のダイオードD11〜D14から成るダイオードブリッジ回路で構成されている。受信した周波数f1の正弦波が整流されて取り出され、この信号電力により電気二重層コンデンサ18は充電される。また、各ダイオードD1〜D4は発光ダイオードで構成され、充電時は発光動作することにより充電していることを確認可能となっている。
電気二重層コンデンサ18に充電された電力は、昇圧DC/DCコンバータ部46で昇圧されてハンドセット2bの各回路に供給される。
【0026】
こうして、並列共振器43内に整流部44を設けて共振電流を直接取り出すため、簡便な方法で電力を高効率に取り出すことができ、簡易な回路で充電できる。また、並列共振器43を備えることでインピーダンスを高くでき、インピーダンス変換のための回路を持たずに充電することができる。
また、電気二重層コンデンサ18に蓄電することで、乾電池やニッケル水素電池等の蓄電池に比べて寿命が長く、電源交換の必要が殆ど発生しない。
【0027】
図5はハンドセット2bのハンドセット送信回路17を示している。図5に示すように、ハンドセット通話回路15のマイク15bで収音された音声信号を増幅する増幅部50、周波数変調を行うFM変調部51、RF増幅部52、整合部53、送信アンテナ54等を備えている。
マイク15bで収音した音声は、FM変調部51において周波数f2(例えば、6.5MHz)で周波数変調され、送信アンテナ54から親機本体2aへ送信される。
送信アンテナ54はループコイルアンテナであり、親機本体2aの受信アンテナ35との間で電磁界結合によりFM波の送受を行う。
【0028】
このように構成されたインターホン装置は、次のように動作する。最初に、ハンドセット2bの充電を説明する。親機本体2aでは、待受時や通話時を問わず、発振部21で周波数f1の矩形波信号が作られて出力される。この信号はフィルタ部25、並列共振器27により正弦波信号としてハンドセット2bに送信される。
尚、この信号は、通話時にはPWM変調部23で音声信号が重畳され、並列共振器27の二次コイルL12からハンドセット2bに送信されるが、音声信号が重畳されない待受時は、周波数f1の正弦波信号が送信される。
【0029】
ハンドセット2bでは、並列共振器43で周波数f1の正弦波信号を受信し、並列共振回路43に設けられている整流部44で整流され、電気二重層コンデンサ18に供給されて充電される。この充電は、双方のループコイルアンテナ(L12,L21)が接近している待受状態で効率よく実施され、双方の並列共振器27,43の間の電磁界結合により電力の送受が実施される。例えば、双方のループコイルアンテナを60mmの距離に接近さると、82%の電力の伝送効率を得ることができる。
【0030】
玄関子機1からの呼び出し、その応答動作は以下のようである。来訪者が玄関子機1を呼出操作すると、呼出信号が居室親機2に伝送されて親機本体2aのインターホン回路10に設けられている報音部(図示せず)から呼出音が報音される。この報音により、来訪者が来たことを認識した居住者によりハンドセット2bが取り上げられると、ハンドセット2bと玄関子機1との間で通話路が形成され、通話が可能となる。
また、ハンドセット2bを取り上げることで、親機本体2aの動作電圧制御部31に設けられているセンサスイッチ31aがそれを検知して、高周波増幅部24の出力を下げて電気二重層コンデンサ18へ供給する電力を低下させる。同時にインターホン回路10は、玄関子機1とハンドセット2bの間の通話路を形成する。
【0031】
こうして取り上げたハンドセット2bにより居住者が応答すると、ハンドセット2bから玄関子機1に音声信号が伝送される。具体的に、ハンドセット通話回路15のマイク15bが収音した音声は、FM変調部51でFM変調されて送信アンテナ54から親機本体2aへ送信される。この音声信号を受信アンテナ35で電磁界結合により受信した親機本体2aは、復調部39で復調し、インターホン回路10、伝送線M1を介して玄関子機1へ伝送され、玄関子機1の図示しないスピーカから報音される。
尚、親機本体2aとハンドセット2bとの通話時の通信は、約1メートル以内の距離でのみ実施される程度の弱い電波で実施される。
【0032】
一方、この居住者の音声を聞いた来訪者の音声は、玄関子機1の図示しないマイクで収音され、伝送線M1を介して居室親機2へ伝送される。親機本体2aは、この音声信号を電力・音声送信回路11でAM変調してハンドセット2bに送信する。具体的に、玄関子機1から伝送された音声信号が、PWM変調部23で電力伝送のための周波数f1のパルス信号に重畳された後、フィルタ部25と並列共振器27でAM変調に変換され、二次コイルL12からハンドセット2bに送信される。
【0033】
このAM変調信号は、ハンドセット2bの電力・音声受信回路16で受信され、音声信号が抽出されてスピーカ15aから報音される。詳しくは、並列共振器43の一次コイルL21でAM変調信号が受信され、音声通信受信部47で復調されてハンドセット通話回路15のスピーカ15aから報音される。
【0034】
通話が終了してハンドセット2bが親機本体2aの所定の位置に戻されると、動作電圧制御部31のセンサスイッチ31aがそれを検知し、高周波増幅部24は出力を上げて電気二重層コンデンサ18の充電を再開する。また、インターホン回路10が通話路を切断する。こうして、玄関子機1及び居室親機2は待受状態に戻る。
【0035】
このように、電力送電のための信号を用いて音声信号を伝送するので、別途音声信号をハンドセット2bへ送信する回路が必要ない。よって、ハンドセット2bへの送信回路を低コストで構成できる。また、共振時の電磁界結合により電力を伝送するので、高効率な電力伝送が可能となるし、親機本体2aとハンドセット2b双方のループコイルアンテナNを電磁誘導を利用する形態ほど近接させなくても電力の伝送ができるため、居室親機2のデザインの自由度を広げることができる。
また、ループコイルアンテナNを使用した電磁界結合で送信された信号は距離の三乗で減衰するため、通信距離を1m程度に制限することができ、周辺に設置された電子機器に電波干渉を及ぼさないよう構成できる。
更に、送受信で変調方式が異なるため、信号分離回路を設けることなく互いの電波干渉を防止できるし、双方向通話をスムーズに実施できる。
また、ハンドセット2bの状態により送信電力を変更し、待受時に大きな電力とすることで電気二重層コンデンサ18を短時間で充電することができる。
【0036】
尚、上記実施形態では、周波数455kHz及び6.5MHzの電磁波による電磁界結合により、電力及び音声信号の送受を実施しているが、この周波数に限定するものではなく、400kHz〜20MHzの範囲の周波数であれば電磁界結合を利用した通信を実施でき、伝送効率の良い通信を行うことが可能である。
また、パルス信号を生成してパルス幅変調した後フィルタ及び共振回路を通して振幅変調信号を作り出しているが、正弦波信号を生成して直接振幅変調信号を作り出しても良い。
更に、待受状態に比べて通話状態の送信電力を小さくしているが、逆に通話時に送信電力を大きくしても良く、通話状態でも電力の送電を継続させることが可能となるし、殆どの時間は待機状態であるため、その間の電力を削減することができる。
【符号の説明】
【0037】
1・・玄関子機、2・・居室親機、2a・・親機本体、2b・・ハンドセット、11・・電力・音声送信回路、12・・親機受信回路、16・・電力・音声受信回路、17・・ハンドセット送信回路、18・・電気二重層コンデンサ、21・・発振部(信号生成回路)、23・・PWM変調部、25・・フィルタ部(フィルタ回路)、27・・並列共振器(並列共振回路)、31・・動作電圧制御部、31a・・センサスイッチ(待機状態検知手段)、35・・受信アンテナ、43・・並列共振器(並列共振回路)、44・・整流部、51・・FM変調部、54・・送信アンテナ、N・・ループコイルアンテナ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
居住者を呼び出して通話する機能を備えた玄関子機と、前記玄関子機からの呼び出しに応答する機能を備えた居室親機とを有し、前記居室親機がコードレスのハンドセットと、前記ハンドセットと通信を実施する親機本体とで構成されるインターホン装置であって、
前記親機本体は、電力と音声信号を前記ハンドセットに送信する電力・音声送信回路と、前記ハンドセットから送信された音声信号を受信する親機受信回路を具備する一方、
前記ハンドセットは、前記親機本体から電力と音声信号を受信する電力・音声受信回路と、受信した電力を蓄電する蓄電手段と、前記親機本体へ音声信号を送信するハンドセット送信回路とを具備し、
前記電力・音声送信回路及び前記電力・音声受信回路は、ループコイルアンテナを備えた並列共振回路を有して、400kHz〜20MHzの間の特定の周波数の電磁波による電磁界結合で電力の送信及び受信を実施し、前記電磁波を振幅変調して音声信号の送信を行うことを特徴とするインターホン装置。
【請求項2】
前記蓄電手段が、電気二重層コンデンサであることを特徴とする請求項1記載のインターホン装置。
【請求項3】
前記電力・音声送信回路は、前記特定の周波数のパルス信号を生成する信号生成回路と、パルス幅変調により音声信号を生成したパルス信号に重畳させるPWM変調部と、前記並列共振回路と協調してPWM変調信号を振幅変調信号に変換するフィルタ回路とを有することを特徴とする請求能1又は2記載のインターホン装置。
【請求項4】
前記電力・音声受信回路は、前記蓄電手段を充電するために、受信した電力信号を直流に変換する整流回路を前記並列共振回路中に具備したことを特徴とする請求項3記載のインターホン装置。
【請求項5】
前記整流回路が、発光ダイオードを使用したダイオードブリッジ回路で構成されたことを特徴とする請求項4記載のインターホン装置。
【請求項6】
前記ハンドセット送信回路から前記親機受信回路への音声信号の送信は、前記電力を伝送する特定の周波数とは異なる20MHz以下の所定の周波数のFM変調波により実施することを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載のインターホン装置。
【請求項7】
前記親機本体は、前記ハンドセットが所定の位置に保持された待機状態にあることを検知する待機状態検知手段を有し、
前記電力・音声送信回路は、前記待機状態検知手段の検知信号を基に、前記ハンドセットが待機状態にある場合と、通話に使用されている場合とで、送信電力の大きさを変更することを特徴とする請求項1乃至6の何れかに記載のインターホン装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−176763(P2011−176763A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−40907(P2010−40907)
【出願日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【出願人】(000100908)アイホン株式会社 (777)
【Fターム(参考)】