説明

インナー・ウェア

【課題】 マッサージ効果が極めて高く、全方向に対して血行の促進効果が大きく、また保温効果も大きいインナー・ウェアを提供する。
【解決手段】 編地からなるインナー・ウェアの内面に、内方に突出する畝が形成されたマッサージ領域Aが設けられており、畝は実質的に編地のコース方向に延在し且つ同じ波長で隣合って並列した2本の第1波状畝11、12と、第1波状畝に対して半波長分ずれており且つ隣合って並列した2本の第2波状畝21、22とが交互に多数本形成されており、第1波状畝の一方12の波の山と第2波状畝の一方22の波の谷とが接しまたは接近し、他方の第1波状畝11の波の谷と他方の第2波状畝21の波の山とが接しまたは接近しており、互いに接しまたは接近する第1波状畝と第2波状畝に囲まれた凹部30がインナー・ウェアの内面に形成されているインナー・ウェアである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はインナー・ウェアに関するものである。本発明におけるインナー・ウェアは身体にフィットさせた状態で着用するものであり、例えば、パンツ部を有するインナー(ガードル、スパッツ、タイツ、パンティストッキング等)、上衣用インナー(タンクトップ、キャミソール、肌着、スリップ、チューブ・トップ、オール・イン・ワン等)、サポータ、腹巻、靴下(ソックス、ハイソックス、オーバーニー等)である。
【背景技術】
【0002】
インナー・ウェアは、肌に直接つけて衛生を保つ、体形を整える、表着との間に着て滑りをよくする、保温する等の機能の何れかを有するものであるが、最近では、身体にフィットさせた状態で着用するインナー・ウェアが多用されている。このような身体にフィットさせた状態で着用するインナー・ウェアには、伸縮性の大きい編地が少なくともフィットさせたい部分に使用されている。
【0003】
身体にフィットさせた状態で着用するインナー・ウェアにおいては、着圧を変化させることにより、血液の還流を促したり、フィットさせた部位にマッサージ効果等をもたらすことが従来から提案されている。
【0004】
本願出願人は先に下記の特許文献1において、編地からなるインナー・ウェアの内面に、内方に突出する畝が多数本形成されており、この畝が互いに平行に且つ右上がりに延在する斜めの畝と互いに平行に且つ左上がりに延在する斜めの畝とからなり、これら2種類の斜めの畝が互いに交差して菱形状の隆起部が連続して形成されていることを特徴とするインナー・ウェアを提案した。この特許文献1に開示されているものでは、菱形状の隆起部によって着圧を変化させて、マッサージ効果を得るようにしたものである。
【0005】
また、本願出願人は下記の特許文献2において、インナー・ウェアの内面に突起する畝の形状を前記特許文献1のものとは変えたものを提案している。この特許文献2においては、畝は編地のコース方向に延在する直線状の畝と、この直線状畝に接し且つ直線状畝を挟んで向い合った2つの波状の畝との組合わせからなる複合畝とし、この複合畝を多数本形成した複合畝領域をインナー・ウェアの内面に形成することが提案されている。特許文献2のインナー・ウェアも複合畝の働きによりマッサージ効果を高めようとしたものである。
【0006】
【特許文献1】特許第3415617号公報
【特許文献2】特開2004−204411号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
マッサージ効果を高めるためには皮膚との接触面積が大きい方がよいが、特許文献1に開示しているものでは、畝の幅を広くしようとすると畝の高さが高くなってしまい、着用したときに単にその高さが潰れた状態で接触するだけであるので、着圧効果が弱くなってしまう。そのため、着圧効果を保ったまま畝の幅を広くすることが困難である。また、特許文献2における複合畝においては、直線状の畝が高く、両側の波状の畝を低くしているので畝の跡が皮膚につき難いが、マッサージ効果が弱くなってしまう。また、空気を溜めるための凹部が確保されていないので保温性が十分でない。
【0008】
本発明は先に本願出願人が提案したインナー・ウェアよりも、より一層マッサージ効果が高く、全方向に対して血行の促進効果が大きく、また保温効果も大きいインナー・ウェアを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、編地からなるインナー・ウェアの内面に、内方に突出する畝が形成されており、該畝は実質的に編地のコース方向に延在し且つ同じ波長で隣接した2本の第1波状畝と、該第1波状畝に対して半波長分ずれており且つ隣接した2本の第2波状畝とからなり、前記2本の第1波状畝の一方の波の山と前記2本の第2波状畝の一方の波の谷とが接し、他方の第1波状畝の波の谷と他方の第2波状畝の波の山とが接しており、互いに接する第1波状畝と第2波状畝に囲まれた凹部がインナー・ウェアの内面に形成され、該第1および第2波状畝が多数本形成されたマッサージ領域が設けられていることを特徴とするインナー・ウェアにより上記目的を達成する。
【0010】
また、本発明においては、前記第1波状畝を形成する各畝および第2波状畝を形成する各畝はウェール方向において1つ保持ループに対して連続してウエルトループが4コース分以上が形成された浮き編が1〜3ウェールの間隔を開けて編成され且つ前記浮き編の開始位置が波状に順次ずらされて、前記波状畝が形成されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、インナー・ウェアの内面において内方に突出する畝が波状の畝であって、しかも同じ波長で2本の畝が隣合って並んだ状態となっている。従って、この2本並んだ畝により幅広く皮膚に接触するので、大きなマッサージ効果が生じる。しかも、この波状の畝は隣合って並列した2本の第1波状畝とその第1波状畝に対して半波長ずれ且つ隣合って並列した2本の第2波状畝とからなり、2本の第1波状畝の一方と2本の第2波状畝の一方とがそれぞれ山と谷、或いは谷と山とが接しまたは接近しており、第1波状畝の他方と第2波状畝の他方とがそれぞれ谷と山、或いは山と谷とが接しまたは接近しており、これらの第1波状畝と第2波状畝によってインナー・ウェアの内面に多数の凹部が形成されるものである。このような構成としたことにより、所定面積当たりに効率的に畝と凹部とを配置することができる。
【0012】
本発明によれば、第1の波状畝に対して半波長分ずれた第2の波状畝を接しまたは接近して設けたことにより、マッサージ効果が縦方向や横方向のみならず全方向において発揮され、着用者が体を動かすたびに全方向において血行の促進が促されるものである。そして、波状畝と凹部とを設けたことにより、着圧の強弱が生じ、より一層血行の促進が図れる。また、前記凹部において空気が溜められ、保温効果が大きなインナー・ウェアとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を図面に基いて説明する。図1は本発明のインナー・ウェアの一実施例を示すものであり、この図1に示したインナー・ウェアはハイウエストのパンツ部および脚部を有するハイウエストボトム(下衣)であり、図1(a)は正面図を示し、図1(b)は背面図を示している。
【0014】
図1に示した実施例においては、脚部1および腰部2の箇所に本発明の特徴とするマッサージ領域Aが設けられている。図2は図1において、脚部1および腰部2に形成されたマッサージ領域Aをインナー・ウェアの内面側から見た編地の平面図であり、未着用時の状態を示すものである。図3は図2に示したマッサージ領域Aにおける波状畝を模式的に表した拡大平面図である。図4は図3におけるIV−IV線に沿った断面を模式的に表した断面図である。
【0015】
図3および図4に示すように、同じ波長で隣接して並列配置された2本の第1波状畝11、12と第1波状畝と半波長ずらしているが、同じ波長で隣接して並列配置された2本の第2波状畝21、22が交互に多数本設けられている。第1波状畝11の谷と第2波状畝21の山とが接している状態となっている。また、第1波状畝12の山と第2波状畝22の谷が接している。これらの第1波状畝11、12と第2波状畝21、22の山と谷、または谷と山が接することにより両波状畝の間に凹部30が形成されている。これらの波状畝11、12、21、22はインナー・ウェアの内面において内方に突出し、すなわち着用者の肌に接する側に突出しており、インナー・ウェアは表側から見ると、その表面は略平坦である。
【0016】
本発明においては、第1波状畝11、12および第2波状畝21、22の波の波長や高さ、畝の幅などは特に限定されないが、好ましくは、図2に示すような未着用状態で、波長は0.5cm〜3cm、特に好ましくは1.5cm〜2.5cm程度であり、各1本の畝の幅は0.5mm以上であり、更に好ましくは1mm〜2mmである。
【0017】
図5は本発明のマッサージ領域Aの編地の一実施例の編組織図であり、1つの四角い枡目が1目を表し、黒く塗り潰した箇所は編成時に編針が不作動位置を取り、浮き編が行われ、白い箇所は編成時に編針が上下動して平編目を形成する。図6は図5の一部分を拡大した編目で表した編組織図である。
【0018】
図5および図6に示す実施例においては、第1波状畝11、12および第2波状畝21、22を構成する浮き編は1つの編針において(すなわち、ウェール方向Wにおいて)殆どが11コース連続して浮き編が行われたものであり、図6に示すように11個のウエルトループ41が編成され、その次のコースにおいて保持ループ42が編まれて編目が形成される。すなわちウエルトループ41と保持ループ42により浮き編40が構成されている。なお、この実施例では11コース連続してウエルトループ41が形成されているが、4コース以上連続してウエルトループ41が形成されていれば良く、10〜12コース連続してウエルトループ41が形成されていることが好ましい。
【0019】
図5に示すように、多数の浮き編40がコース方向Cに並列して配置されており、図示した実施例においては、隣接した浮き編40の開始位置がコース方向Cにおいて上方または下方に2コース分ずつずらして、または同じ位置から開始されている。なお、このずらすコース数は2コースに限定されないが、2〜5コースであることが好ましい。このように浮き編40の開始位置を変化させて波状としている。また、図5および図6に示した実施例では浮き編40とその隣の浮き編40の間にはウェール方向Wに通常の平編目が連続しているウェール(以下、連続平編目ウェールと称する)45が形成されている。この実施例では隣り合う浮き編40の間の連続平編目ウェール45は1つであるが、連続平編目ウェール45はコース方向Cに1〜3本連続して配置してもよい、すなわち浮き編40が1〜3ウェール置きに形成されるようにしてもよい。
【0020】
浮き編40による保持ループ42が実際には図6に示したように長くはなく、縮んだ状態であるので、図4に模式的に示したように、保持ループ42は真直ぐに延びた状態になり、連続平編目ウェール45の編目およびウエルトループ41がインナー・ウェアの内面において内側に隆起して、コース方向に延在する畝の状態となる。
【0021】
また図5に示すように、第1波状畝11、12および第2波状畝21、22で囲まれてインナー・ウェアの内側から見た場合、凹部となる部分30の内部は殆ど平編で編まれるが、部分的に短い浮き編が形成されている。この凹部30の中に形成される浮き編は短いことおよびその形成される位置がばらばらに分散されているため、インナー・ウェアの内側に突出した畝を形成しない。
【0022】
本発明においては、編糸としては伸縮性のある糸を使用すれば特に限定されないが、弾性糸(例えば、ポリウレタンを芯糸として、これにナイロン糸をカバリングしたもの、FTY、SCY、DTYなど)、ウーリーナイロン糸、弾性糸とウーリーナイロン糸とを組合せたものなどが使用できる。
【0023】
例えば、図5に示したような編組織を8口給糸の丸編機を使用して編成する場合の糸使いの一例を説明する。第1、第3、第5、第7給糸口に給糸する糸Y1は、20デニールのポリウレタン糸を70デニール/68フィラメントのナイロン糸でカバリングした弾性糸〔SCY(シングルカバリングヤーン)〕と40デニールのポリウレタン糸を70デニール/68フィラメントのナイロン糸でカバリングしたSCYとを組合せたものとする。第2、第4、第6および第8給糸口には40デニールのポリウレタン糸を70デニール/68フィラメントのナイロン糸でカバリングした弾性糸(Y2)を供給する。この場合、図6に示した保持ループとなる糸42は糸Y1でも糸Y2でもどちらでもよい。なお、糸の組合せは前述したものに限定されるものではない。
【0024】
図5に示すように、第1波状畝11と第1波状畝12の間および第2波状畝21と第2波状畝22の間には波状の平編部13、23が存在しているが、この平編部13、23のウェール方向Wの編目の数は図5および図6に示した実施例では例えば第1波状畝11の浮き編40と第1波状畝12の浮き編40との間の平編部13の編目は3目(山および谷の箇所では7目)である。この平編部の編目は3目に限らず、2〜7目位でもよい。隣接する波状畝の間隔があまり開き過ぎると、全体としてマッサージ領域Aにおける肌に接触する面積が少なくなってしまうので、未着用状態で2つの畝が接して見える程度とすることが好ましい。
【0025】
本発明におけるマッサージ領域Aにおける第1波状畝11、12および第2波状畝21、22は、図5および図6に示したものに限られるものではない。畝の高さを決定するのは、ウェール方向Wに連続して形成されるウエルトループ41の数によって変わり、ウエルトループ41の数が多い場合は(すなわち、長い浮き編の場合は)畝が高くなり、ウエルトループ41の数が少なければ畝は低くなる。しかしながら、あまり長い、例えばウエルトループ41の数が25以上の場合はインナー・ウェアの着用時に畝が潰れてしまい、着圧が弱くなってしまう可能性がある。
【0026】
図1に示したインナー・ウェアの他のマッサージ領域A以外の部分の編み方の一実施例を簡単に説明する。前身頃における腹部3の編方は図7に示した編目で表した編組織図のように編成される。すなわち、第1、第3、第5および第7給糸口で供給される糸Y1はコース方向において平編を1つ編んだ後3ウェール分連続して浮き編が行われ、この繰返しが行われている。すなわち、3ウェール分連続して編針は不作動位置をとり、糸Y1はウエルトループ41となっている。そして第2、第4、第6および第8給糸口から供給される糸Y2は全て平編で編まれる。すなわち、図7に示すように、ウェール方向Wに連続して平編目が形成されているウェール(連続平編目ウェール)45が4ウェール毎に形成されている。この連続平編目ウェール45の間においては、糸Y2により浮き編40における保持ループ42が形成され、この糸Y2による編目は平編目であり、インナー・ウェアの表側に現れる。一方、ウエルトループ41は糸Y2による編目の後側となり、インナー・ウェアの内側において横方向(コース方向C)に浮いた状態となって延びている。このため、連続平編目ウェール45と次の連続平編目45との間では、インナー・ウェアの表側は糸Y2による平編目が、裏側は横方向に浮いた感じで延びた糸Y1がウェール方向Wに連続して存在している。このため、連続平編目ウェール45はインナー・ウェアの表側から見ても裏側から見ても窪んだ状態となるので、この部分の編地は一見してリブ編風の表情を呈するものである。
【0027】
図7に示すように、連続平編目ウェール45の間においては、弾性糸Y1により編目が作られていないので、横方向(コース方向C)の糸Y1の長さが編目を形成した場合よりも短くなり、従って、伸び量が少なくなる。また、連続平編目ウェール45の間においては、1コース置きに浮き編が行われたため、保持ループ42による平編目の数は全て平編で編成した場合の約半分である。このように図7の編組織による編地は編目の数が少なくなっている部分があるので、ウェール方向Wの伸びも小さくなる。このため腹部における引締め効果が得られる。
【0028】
後身頃においてヒップ部4は平編により編成される。平編であると縦方向にも横方向にも伸びやすいので、着用者のヒップの丸みを潰さずにヒップを包み込むことができる。なお、ヒップ部4の編方は平編に限定されないが、浮き編やタック編を多用しない編方の方が、編地が伸び易いので好ましい。
【0029】
ヒップ部4の周縁部5は図8に示したような編方で編成した。図8は図7と同様に編目で表した編組織図である。図8で示した編み方は図7に示したものに類似しており、編まれた編地はリブ編風のものとなる。図7の編地と異なっている点は、連続平編目ウェール45と隣の連続平編目ウェール45との間のウェール数は、図7においては3ウェールであったが、図8では2ウェールであり、連続平編目ウェール45はコース方向Cにおいて3ウェール毎に形成されている。すなわち、糸Y1によって、コース方向Cに浮き編が2ウェール分連続して行われ、次に平編が編成されることが繰返されている。また、糸Y2により全て平編で編成が行われている。図8に示した編地はコース方向Cに連続して行われる浮き編の数が図7に示した編地よりも少ないので、コース方向Cにおける伸びは図7に示した編地よりはよい。
【0030】
ヒップ周縁部5の下方の部分から前身頃の腹部3の上方に向かってヒップサポート部6が編成されている。ヒップサポート部6の編方の一実施例が図9に示されており、図9は編組織を編目で表した編組織図である。図9の編方も図7に示した編方と類似しており、異なっている点は弾性糸Y1によりコース方向Cにおいて連続して4ウェール分浮き編が行われ、すなわち、4ウェール分連続したウエルトループ41が形成される。その後、平編が1目行われ、再び4ウェール分連続して浮き編が行われる。この繰返しとなっている。また第2、第4、第6および第8給糸口で給糸される糸Y2によって全て平編目で編成が行われている。従って、このヒップサポート部6を形成している編地もリブ編風となっているが、4ウェール分連続してコース方向Cに浮き編が行われているために、糸Y1によりコース方向Cの伸びがより一層小さくなっている。このためにヒップを下方から支える役目が行え、またヒップサポート部6の編組織が前身頃側に斜めに連続して形成されていることによりヒップアップ効果がより一層図られる。
【0031】
後身頃側において、ヒップサポート部6の下側にサポート下部7が設けられている。サポート下部7の編方は図示した実施例では図8に説明したヒップ周縁部5の編方と同じである。このサポート下部7はヒップサポート部6を補強する役目をしている。
【0032】
図10は左右のヒップ4の間のヒップ中間部8の編方を示す一実施例である。図10によれば、コース方向Cには連続平編目ウェール45が1ウェールおきに形成され、すなわち、隣の連続平編目ウェール45との間は浮き編は1ウェール分行われているだけである。この浮き編が形成されているウェールにおいては、ウェール方向Wに浮き編が7回繰返され、次に1回平編が編まれている。すなわち、ウェール方向Wにおいては8コース毎に全ての編目が平編目で編成され、その間の各コースにおいては浮き編、平編の繰返しとなっている。例えば、第1から第7給糸口から供給される糸Y1およびY2によってコース方向Cに平編と浮き編が交互に繰返されており、浮き編が行われた編針では次の給糸口の箇所でも浮き編が行われている状態となっている。そして第8給糸口から供給されるY2によって全て平編が編成される。従って、ウェール方向に7つ飛んだ浮き編が形成されている。このため、ヒップ中間部8の編地は、ウェール方向Wに長さが縮まった状態となっている。このため隣接するヒップ部4は全て平編で編まれた状態であるので、長さが短いヒップ中間部8のために、ヒップ部4にひだ4aが形成されている。このようにヒップ中間部を短くしたのは、着用者のヒップの丸みが保たれるとともにヒップの形状に合うようにしているものである。
【0033】
後身頃における腰部2にはX字状に帯状の腰サポート部9が編成されている。この帯状の腰サポート部9の編方はヒップサポート部6の編方と同様のものを使用した。このため腰サポート部9は横方向の伸びがあまり大きくない状態であり、マッサージ領域Aとともに腰を曲がりにくくして、姿勢を正しく保つための補助の役目を果たしている。
【0034】
本発明によるマッサージ領域Aを有するインナー・ウェアとしては、図1に示したような下衣のみではなく上衣に適用してもよい。例えば、袖を有する上衣に適用する場合は、前身頃の腹部や背中部にマッサージ領域Aを適用するとともに、袖部の箇所にもマッサージ領域Aを適用することが好ましい。またタンクトップなどにも本発明のマッサージ領域Aの編方を適用することもできる。更に、靴下などにおいても、本発明のマッサージ領域Aを設けるようにして血行の促進を図るようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】図1(a)は本発明のインナー・ウェアの一実施例の正面図であり、(b)はその背面図である。
【図2】図1において、脚部および腰部に形成されたマッサージ領域Aを未着用時の状態のインナー・ウェアの内面側から見た編地の平面図である。
【図3】図2に示したマッサージ領域Aにおける波状畝を模式的に表した拡大平面図である。
【図4】図3におけるIV−IV線に沿った断面を模式的に表した断面図である。
【図5】本発明のマッサージ領域Aの編地の一実施例の編組織図である。
【図6】図5の一部分を拡大した編目で表した編組織図である。
【図7】腹部の編組織の一実施例を編目で表した編組織図である。
【図8】ヒップ周縁部およびサポート下部の編組織の一実施例を編目で表した編組織図である。
【図9】ヒップサポート部および腰サポート部の編組織の一実施例を編目で表した編組織図である。
【図10】ヒップ中間部の編組織の一実施例を編目で表した編組織図である。
【符号の説明】
【0036】
A マッサージ領域
Y1、Y2 編糸
C コース方向
W ウェール方向
1 脚部
2 腰部
3 腹部
4 ヒップ部
6 ヒップサポート部
11、12 第1波状畝
21、22 第2波状畝
30 凹部
40 浮き編
41 浮き編のウエルトループ
42 浮き編の保持ループ
45 連続平編目ウェール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
編地からなるインナー・ウェアの内面に、内方に突出する畝が形成されたマッサージ領域が設けられており、前記畝は実質的に編地のコース方向に延在し且つ同じ波長で隣合って並列した2本の第1波状畝と、該第1波状畝に対して半波長分ずれており且つ隣合って並列した2本の第2波状畝とが交互に多数本形成されており、前記2本の第1波状畝の一方の波の山と前記2本の第2波状畝の一方の波の谷とが接しまたは接近し、他方の第1波状畝の波の谷と他方の第2波状畝の波の山とが接しまたは接近しており、互いに接しまたは接近する第1波状畝と第2波状畝に囲まれた凹部がインナー・ウェアの内面に形成されていることを特徴とするインナー・ウェア。
【請求項2】
前記第1波状畝を形成する各畝および第2波状畝を形成する各畝はウェール方向において1つの保持ループに対して連続してウエルトループが4コース分以上が形成された浮き編が1〜3ウェールの間隔を開けて編成され且つ前記浮き編の開始位置が波状に順次ずらされて、前記波状畝が形成されていることを特徴とする請求項1記載のインナー・ウェア。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−144197(P2006−144197A)
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−339100(P2004−339100)
【出願日】平成16年11月24日(2004.11.24)
【出願人】(000000952)カネボウ株式会社 (120)
【Fターム(参考)】