説明

インフルエンザウィルスノイラミニダーゼの結晶構造およびその使用

本発明は、インフルエンザウィルスノイラミニダーゼタンパク質の結晶、その構造およびその使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インフルエンザウィルスノイラミニダーゼタンパク質の結晶、その構造およびその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
インフルエンザウィルス
A型インフルエンザウィルスは、病原性を変化させることが可能なRNAウィルスである。インフルエンザウィルスの2種の表面糖タンパク質は、赤血球凝集素(HA)およびノイラミニダーゼ(NA)である。HAは、ウィルス感染を開始するために、細胞表面シアル酸受容体の結合を媒介する。ウィルス複製に続き、ウィルスの遊離および新たな細胞に対する感染の拡大を促進するために、NAはシアル酸をウィルスおよび細胞性糖タンパク質から除去する。異なるHAおよびNA分子の区別される抗原性は、A型インフルエンザウィルスをサブタイプ:HAについて16種(H1-H16)およびNAについて9種(N1-N9)へ分類するために使用される。HAおよびNAサブタイプの異なる組み合わせが鳥類、およびヒトにおいて見出されている。20世紀の3回の感染爆発は、1918年がH1N1型、1957年がH2N2型、および1968年がH3N2型を含むウィルスによって引き起こされた。N1およびN2型NAは、系統学的に異なる群に属する。グループ-1はN1、N4、N5およびN8型を含み、一方グループ-2はN2、N3、N6、N7およびN9型を含む。
【0003】
NAは、構造に基づく酵素阻害剤設計プログラムにおいて標的とされ、リレンザ(ザナミビル)およびタミフル(オセルタミビル)という2種の薬剤の製造を導いた。これらの開発の成功は、一部には、前記酵素の触媒部位が、サブタイプ非依存型療法のために活用されうる不変的な特徴であるという提案およびそれらが阻害剤結合に関わる部位において、わずかなコンホメーション変化しか有しない比較的強固な構造であるという観察結果にあるとされている。これらの結論を支持するX線による結晶構造情報は、グループ-2のNAである、N2およびN9についてのみ利用可能であるが、グループ-1酵素の活性部位が類似であろうという考えは、より遠縁なB型インフルエンザNAの構造がグループ-2酵素の構造に類似しているという観察結果により支持された。にもかかわらず、異なる薬剤耐性NA変異ウィルスが、異なるNAサブタイプを含むウィルスに感染されたヒトのタミフル治療の後に出現した。阻害剤の構造活性相関は、サブタイプを超えて当てはまらないという指摘もある。
【0004】
高病原性のトリインフルエンザウィルスであるH5N1は、20世紀末頃極東地域で出現し、その世界的拡大の繰り返しは、このウィルスがヒトからヒトへ効率的に伝染するために必要な遺伝的変化を獲得し、新たな感染爆発が始まりうるという恐怖を起こさせた。効果的なワクチンが開発されるまでは、かかる大流行の衝撃を緩和する主たる希望は、NAの阻害剤にかかっている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、N1、N4およびN8と命名された、3種のN1グループのNAの結晶及び結晶構造に関する。前記3種のタンパク質の活性部位は実質的に相互に類似しているけれども、これらの活性部位とN2グループのNAの活性部位との間にはコンホメーションの明らかな違いがあることを発見した。これらの違いは、N1グループのノイラミニダーゼ酵素の結合ポケットに対して、現在利用可能なグループ-2のNAの構造に基づく相同性モデリングから(または類似の技術を用いて)明らかとはならない変化をもたらす。
【0006】
より詳しくは、本発明者らはN1、N4およびN8のアポ結晶だけでなく、1種以上のNA阻害剤とこれらのタンパク質との共結晶を得た。それ故ある態様において、本発明は表1〜4のいずれかに示されるようなN1グループのノイラミニダーゼの三次元構造、および本明細書の以下に記載された、表1〜3のいずれかに示されるN1グループのノイラミニダーゼの三次元構造の使用を提供する。
【0007】
本明細書における表1〜3の構造、または表1〜3のいずれかの構造の参照はそれ故表1〜3のそれぞれを含む。
【0008】
一般的な態様において、本発明はN1グループのノイラミニダーゼの構造、ならびに例えば潜在的および既存の医薬化合物(プロドラッグ、阻害剤もしくは基質を含む)、またはかかる化合物のフラグメントと本構造との分子構造の相互作用のモデリングにおける、本構造の使用を提供することに関する。
【0009】
本発明のこれらおよび他の態様ならびに実施形態を以下に説明する。
【0010】
表の簡単な説明
表1(図1)は、ノイラミニダーゼN1の構造の座標データを示す。
【0011】
表2(図2)は、ノイラミニダーゼN4の構造の座標データを示す。
【0012】
表3(図3)は、ノイラミニダーゼN8の構造の座標データを示す。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1−1】図1は、表1を示す。
【図1−2】図1は、表1を示す。
【図1−3】図1は、表1を示す。
【図1−4】図1は、表1を示す。
【図1−5】図1は、表1を示す。
【図1−6】図1は、表1を示す。
【図1−7】図1は、表1を示す。
【図1−8】図1は、表1を示す。
【図1−9】図1は、表1を示す。
【図1−10】図1は、表1を示す。
【図1−11】図1は、表1を示す。
【図1−12】図1は、表1を示す。
【図1−13】図1は、表1を示す。
【図1−14】図1は、表1を示す。
【図1−15】図1は、表1を示す。
【図1−16】図1は、表1を示す。
【図1−17】図1は、表1を示す。
【図1−18】図1は、表1を示す。
【図1−19】図1は、表1を示す。
【図1−20】図1は、表1を示す。
【図1−21】図1は、表1を示す。
【図1−22】図1は、表1を示す。
【図1−23】図1は、表1を示す。
【図1−24】図1は、表1を示す。
【図1−25】図1は、表1を示す。
【図1−26】図1は、表1を示す。
【図1−27】図1は、表1を示す。
【図1−28】図1は、表1を示す。
【図1−29】図1は、表1を示す。
【図1−30】図1は、表1を示す。
【図1−31】図1は、表1を示す。
【図1−32】図1は、表1を示す。
【図1−33】図1は、表1を示す。
【図1−34】図1は、表1を示す。
【図1−35】図1は、表1を示す。
【図1−36】図1は、表1を示す。
【図1−37】図1は、表1を示す。
【図1−38】図1は、表1を示す。
【図1−39】図1は、表1を示す。
【図1−40】図1は、表1を示す。
【図1−41】図1は、表1を示す。
【図1−42】図1は、表1を示す。
【図1−43】図1は、表1を示す。
【図1−44】図1は、表1を示す。
【図1−45】図1は、表1を示す。
【図1−46】図1は、表1を示す。
【図1−47】図1は、表1を示す。
【図1−48】図1は、表1を示す。
【図1−49】図1は、表1を示す。
【図1−50】図1は、表1を示す。
【図1−51】図1は、表1を示す。
【図1−52】図1は、表1を示す。
【図1−53】図1は、表1を示す。
【図1−54】図1は、表1を示す。
【図1−55】図1は、表1を示す。
【図1−56】図1は、表1を示す。
【図1−57】図1は、表1を示す。
【図1−58】図1は、表1を示す。
【図1−59】図1は、表1を示す。
【図1−60】図1は、表1を示す。
【図1−61】図1は、表1を示す。
【図1−62】図1は、表1を示す。
【図1−63】図1は、表1を示す。
【図1−64】図1は、表1を示す。
【図1−65】図1は、表1を示す。
【図1−66】図1は、表1を示す。
【図1−67】図1は、表1を示す。
【図1−68】図1は、表1を示す。
【図1−69】図1は、表1を示す。
【図1−70】図1は、表1を示す。
【図1−71】図1は、表1を示す。
【図1−72】図1は、表1を示す。
【図1−73】図1は、表1を示す。
【図1−74】図1は、表1を示す。
【図1−75】図1は、表1を示す。
【図1−76】図1は、表1を示す。
【図1−77】図1は、表1を示す。
【図1−78】図1は、表1を示す。
【図1−79】図1は、表1を示す。
【図1−80】図1は、表1を示す。
【図1−81】図1は、表1を示す。
【図1−82】図1は、表1を示す。
【図1−83】図1は、表1を示す。
【図1−84】図1は、表1を示す。
【図1−85】図1は、表1を示す。
【図1−86】図1は、表1を示す。
【図1−87】図1は、表1を示す。
【図1−88】図1は、表1を示す。
【図1−89】図1は、表1を示す。
【図1−90】図1は、表1を示す。
【図1−91】図1は、表1を示す。
【図1−92】図1は、表1を示す。
【図1−93】図1は、表1を示す。
【図1−94】図1は、表1を示す。
【図1−95】図1は、表1を示す。
【図1−96】図1は、表1を示す。
【図1−97】図1は、表1を示す。
【図1−98】図1は、表1を示す。
【図1−99】図1は、表1を示す。
【図1−100】図1は、表1を示す。
【図1−101】図1は、表1を示す。
【図1−102】図1は、表1を示す。
【図1−103】図1は、表1を示す。
【図1−104】図1は、表1を示す。
【図1−105】図1は、表1を示す。
【図1−106】図1は、表1を示す。
【図1−107】図1は、表1を示す。
【図1−108】図1は、表1を示す。
【図1−109】図1は、表1を示す。
【図1−110】図1は、表1を示す。
【図1−111】図1は、表1を示す。
【図1−112】図1は、表1を示す。
【図1−113】図1は、表1を示す。
【図1−114】図1は、表1を示す。
【図1−115】図1は、表1を示す。
【図1−116】図1は、表1を示す。
【図1−117】図1は、表1を示す。
【図1−118】図1は、表1を示す。
【図1−119】図1は、表1を示す。
【図1−120】図1は、表1を示す。
【図1−121】図1は、表1を示す。
【図1−122】図1は、表1を示す。
【図1−123】図1は、表1を示す。
【図1−124】図1は、表1を示す。
【図1−125】図1は、表1を示す。
【図1−126】図1は、表1を示す。
【図1−127】図1は、表1を示す。
【図1−128】図1は、表1を示す。
【図1−129】図1は、表1を示す。
【図1−130】図1は、表1を示す。
【図1−131】図1は、表1を示す。
【図1−132】図1は、表1を示す。
【図1−133】図1は、表1を示す。
【図1−134】図1は、表1を示す。
【図1−135】図1は、表1を示す。
【図1−136】図1は、表1を示す。
【図1−137】図1は、表1を示す。
【図1−138】図1は、表1を示す。
【図1−139】図1は、表1を示す。
【図1−140】図1は、表1を示す。
【図1−141】図1は、表1を示す。
【図1−142】図1は、表1を示す。
【図1−143】図1は、表1を示す。
【図1−144】図1は、表1を示す。
【図1−145】図1は、表1を示す。
【図1−146】図1は、表1を示す。
【図1−147】図1は、表1を示す。
【図1−148】図1は、表1を示す。
【図1−149】図1は、表1を示す。
【図1−150】図1は、表1を示す。
【図1−151】図1は、表1を示す。
【図1−152】図1は、表1を示す。
【図1−153】図1は、表1を示す。
【図1−154】図1は、表1を示す。
【図1−155】図1は、表1を示す。
【図1−156】図1は、表1を示す。
【図1−157】図1は、表1を示す。
【図1−158】図1は、表1を示す。
【図1−159】図1は、表1を示す。
【図1−160】図1は、表1を示す。
【図1−161】図1は、表1を示す。
【図1−162】図1は、表1を示す。
【図1−163】図1は、表1を示す。
【図1−164】図1は、表1を示す。
【図1−165】図1は、表1を示す。
【図1−166】図1は、表1を示す。
【図1−167】図1は、表1を示す。
【図1−168】図1は、表1を示す。
【図1−169】図1は、表1を示す。
【図1−170】図1は、表1を示す。
【図1−171】図1は、表1を示す。
【図1−172】図1は、表1を示す。
【図1−173】図1は、表1を示す。
【図1−174】図1は、表1を示す。
【図1−175】図1は、表1を示す。
【図1−176】図1は、表1を示す。
【図1−177】図1は、表1を示す。
【図1−178】図1は、表1を示す。
【図1−179】図1は、表1を示す。
【図1−180】図1は、表1を示す。
【図1−181】図1は、表1を示す。
【図1−182】図1は、表1を示す。
【図1−183】図1は、表1を示す。
【図1−184】図1は、表1を示す。
【図1−185】図1は、表1を示す。
【図1−186】図1は、表1を示す。
【図1−187】図1は、表1を示す。
【図1−188】図1は、表1を示す。
【図1−189】図1は、表1を示す。
【図1−190】図1は、表1を示す。
【図1−191】図1は、表1を示す。
【図1−192】図1は、表1を示す。
【図1−193】図1は、表1を示す。
【図1−194】図1は、表1を示す。
【図1−195】図1は、表1を示す。
【図1−196】図1は、表1を示す。
【図1−197】図1は、表1を示す。
【図1−198】図1は、表1を示す。
【図1−199】図1は、表1を示す。
【図1−200】図1は、表1を示す。
【図1−201】図1は、表1を示す。
【図1−202】図1は、表1を示す。
【図1−203】図1は、表1を示す。
【図1−204】図1は、表1を示す。
【図1−205】図1は、表1を示す。
【図1−206】図1は、表1を示す。
【図1−207】図1は、表1を示す。
【図1−208】図1は、表1を示す。
【図1−209】図1は、表1を示す。
【図1−210】図1は、表1を示す。
【図1−211】図1は、表1を示す。
【図1−212】図1は、表1を示す。
【図1−213】図1は、表1を示す。
【図1−214】図1は、表1を示す。
【図1−215】図1は、表1を示す。
【図1−216】図1は、表1を示す。
【図1−217】図1は、表1を示す。
【図1−218】図1は、表1を示す。
【図1−219】図1は、表1を示す。
【図1−220】図1は、表1を示す。
【図1−221】図1は、表1を示す。
【図1−222】図1は、表1を示す。
【図1−223】図1は、表1を示す。
【図1−224】図1は、表1を示す。
【図1−225】図1は、表1を示す。
【図1−226】図1は、表1を示す。
【図1−227】図1は、表1を示す。
【図1−228】図1は、表1を示す。
【図1−229】図1は、表1を示す。
【図1−230】図1は、表1を示す。
【図1−231】図1は、表1を示す。
【図1−232】図1は、表1を示す。
【図1−233】図1は、表1を示す。
【図1−234】図1は、表1を示す。
【図1−235】図1は、表1を示す。
【図1−236】図1は、表1を示す。
【図1−237】図1は、表1を示す。
【図1−238】図1は、表1を示す。
【図1−239】図1は、表1を示す。
【図1−240】図1は、表1を示す。
【図1−241】図1は、表1を示す。
【図1−242】図1は、表1を示す。
【図1−243】図1は、表1を示す。
【図1−244】図1は、表1を示す。
【図1−245】図1は、表1を示す。
【図1−246】図1は、表1を示す。
【図1−247】図1は、表1を示す。
【図1−248】図1は、表1を示す。
【図1−249】図1は、表1を示す。
【図1−250】図1は、表1を示す。
【図1−251】図1は、表1を示す。
【図1−252】図1は、表1を示す。
【図1−253】図1は、表1を示す。
【図1−254】図1は、表1を示す。
【図1−255】図1は、表1を示す。
【図1−256】図1は、表1を示す。
【図1−257】図1は、表1を示す。
【図1−258】図1は、表1を示す。
【図1−259】図1は、表1を示す。
【図1−260】図1は、表1を示す。
【図1−261】図1は、表1を示す。
【図1−262】図1は、表1を示す。
【図1−263】図1は、表1を示す。
【図1−264】図1は、表1を示す。
【図1−265】図1は、表1を示す。
【図1−266】図1は、表1を示す。
【図1−267】図1は、表1を示す。
【図1−268】図1は、表1を示す。
【図1−269】図1は、表1を示す。
【図1−270】図1は、表1を示す。
【図1−271】図1は、表1を示す。
【図1−272】図1は、表1を示す。
【図1−273】図1は、表1を示す。
【図1−274】図1は、表1を示す。
【図1−275】図1は、表1を示す。
【図1−276】図1は、表1を示す。
【図1−277】図1は、表1を示す。
【図1−278】図1は、表1を示す。
【図1−279】図1は、表1を示す。
【図1−280】図1は、表1を示す。
【図1−281】図1は、表1を示す。
【図1−282】図1は、表1を示す。
【図1−283】図1は、表1を示す。
【図1−284】図1は、表1を示す。
【図1−285】図1は、表1を示す。
【図1−286】図1は、表1を示す。
【図1−287】図1は、表1を示す。
【図1−288】図1は、表1を示す。
【図1−289】図1は、表1を示す。
【図1−290】図1は、表1を示す。
【図1−291】図1は、表1を示す。
【図1−292】図1は、表1を示す。
【図1−293】図1は、表1を示す。
【図1−294】図1は、表1を示す。
【図1−295】図1は、表1を示す。
【図1−296】図1は、表1を示す。
【図1−297】図1は、表1を示す。
【図1−298】図1は、表1を示す。
【図1−299】図1は、表1を示す。
【図1−300】図1は、表1を示す。
【図1−301】図1は、表1を示す。
【図1−302】図1は、表1を示す。
【図1−303】図1は、表1を示す。
【図1−304】図1は、表1を示す。
【図1−305】図1は、表1を示す。
【図1−306】図1は、表1を示す。
【図1−307】図1は、表1を示す。
【図1−308】図1は、表1を示す。
【図1−309】図1は、表1を示す。
【図1−310】図1は、表1を示す。
【図1−311】図1は、表1を示す。
【図1−312】図1は、表1を示す。
【図1−313】図1は、表1を示す。
【図1−314】図1は、表1を示す。
【図1−315】図1は、表1を示す。
【図1−316】図1は、表1を示す。
【図1−317】図1は、表1を示す。
【図1−318】図1は、表1を示す。
【図1−319】図1は、表1を示す。
【図1−320】図1は、表1を示す。
【図1−321】図1は、表1を示す。
【図1−322】図1は、表1を示す。
【図1−323】図1は、表1を示す。
【図1−324】図1は、表1を示す。
【図1−325】図1は、表1を示す。
【図1−326】図1は、表1を示す。
【図1−327】図1は、表1を示す。
【図1−328】図1は、表1を示す。
【図1−329】図1は、表1を示す。
【図1−330】図1は、表1を示す。
【図1−331】図1は、表1を示す。
【図1−332】図1は、表1を示す。
【図1−333】図1は、表1を示す。
【図1−334】図1は、表1を示す。
【図1−335】図1は、表1を示す。
【図1−336】図1は、表1を示す。
【図1−337】図1は、表1を示す。
【図1−338】図1は、表1を示す。
【図1−339】図1は、表1を示す。
【図1−340】図1は、表1を示す。
【図1−341】図1は、表1を示す。
【図1−342】図1は、表1を示す。
【図1−343】図1は、表1を示す。
【図1−344】図1は、表1を示す。
【図1−345】図1は、表1を示す。
【図1−346】図1は、表1を示す。
【図1−347】図1は、表1を示す。
【図1−348】図1は、表1を示す。
【図1−349】図1は、表1を示す。
【図1−350】図1は、表1を示す。
【図1−351】図1は、表1を示す。
【図1−352】図1は、表1を示す。
【図1−353】図1は、表1を示す。
【図1−354】図1は、表1を示す。
【図1−355】図1は、表1を示す。
【図1−356】図1は、表1を示す。
【図1−357】図1は、表1を示す。
【図1−358】図1は、表1を示す。
【図1−359】図1は、表1を示す。
【図1−360】図1は、表1を示す。
【図1−361】図1は、表1を示す。
【図1−362】図1は、表1を示す。
【図1−363】図1は、表1を示す。
【図1−364】図1は、表1を示す。
【図1−365】図1は、表1を示す。
【図1−366】図1は、表1を示す。
【図1−367】図1は、表1を示す。
【図1−368】図1は、表1を示す。
【図1−369】図1は、表1を示す。
【図1−370】図1は、表1を示す。
【図1−371】図1は、表1を示す。
【図1−372】図1は、表1を示す。
【図1−373】図1は、表1を示す。
【図1−374】図1は、表1を示す。
【図1−375】図1は、表1を示す。
【図1−376】図1は、表1を示す。
【図1−377】図1は、表1を示す。
【図1−378】図1は、表1を示す。
【図1−379】図1は、表1を示す。
【図1−380】図1は、表1を示す。
【図1−381】図1は、表1を示す。
【図1−382】図1は、表1を示す。
【図1−383】図1は、表1を示す。
【図1−384】図1は、表1を示す。
【図1−385】図1は、表1を示す。
【図1−386】図1は、表1を示す。
【図1−387】図1は、表1を示す。
【図1−388】図1は、表1を示す。
【図1−389】図1は、表1を示す。
【図1−390】図1は、表1を示す。
【図1−391】図1は、表1を示す。
【図1−392】図1は、表1を示す。
【図1−393】図1は、表1を示す。
【図1−394】図1は、表1を示す。
【図1−395】図1は、表1を示す。
【図1−396】図1は、表1を示す。
【図1−397】図1は、表1を示す。
【図1−398】図1は、表1を示す。
【図1−399】図1は、表1を示す。
【図1−400】図1は、表1を示す。
【図1−401】図1は、表1を示す。
【図1−402】図1は、表1を示す。
【図2−1】図2は、表2を示す。
【図2−2】図2は、表2を示す。
【図2−3】図2は、表2を示す。
【図2−4】図2は、表2を示す。
【図2−5】図2は、表2を示す。
【図2−6】図2は、表2を示す。
【図2−7】図2は、表2を示す。
【図2−8】図2は、表2を示す。
【図2−9】図2は、表2を示す。
【図2−10】図2は、表2を示す。
【図2−11】図2は、表2を示す。
【図2−12】図2は、表2を示す。
【図2−13】図2は、表2を示す。
【図2−14】図2は、表2を示す。
【図2−15】図2は、表2を示す。
【図2−16】図2は、表2を示す。
【図2−17】図2は、表2を示す。
【図2−18】図2は、表2を示す。
【図2−19】図2は、表2を示す。
【図2−20】図2は、表2を示す。
【図2−21】図2は、表2を示す。
【図2−22】図2は、表2を示す。
【図2−23】図2は、表2を示す。
【図2−24】図2は、表2を示す。
【図2−25】図2は、表2を示す。
【図2−26】図2は、表2を示す。
【図2−27】図2は、表2を示す。
【図2−28】図2は、表2を示す。
【図2−29】図2は、表2を示す。
【図2−30】図2は、表2を示す。
【図2−31】図2は、表2を示す。
【図2−32】図2は、表2を示す。
【図2−33】図2は、表2を示す。
【図2−34】図2は、表2を示す。
【図2−35】図2は、表2を示す。
【図2−36】図2は、表2を示す。
【図2−37】図2は、表2を示す。
【図2−38】図2は、表2を示す。
【図2−39】図2は、表2を示す。
【図2−40】図2は、表2を示す。
【図2−41】図2は、表2を示す。
【図2−42】図2は、表2を示す。
【図2−43】図2は、表2を示す。
【図2−44】図2は、表2を示す。
【図2−45】図2は、表2を示す。
【図2−46】図2は、表2を示す。
【図2−47】図2は、表2を示す。
【図2−48】図2は、表2を示す。
【図2−49】図2は、表2を示す。
【図2−50】図2は、表2を示す。
【図2−51】図2は、表2を示す。
【図2−52】図2は、表2を示す。
【図2−53】図2は、表2を示す。
【図2−54】図2は、表2を示す。
【図2−55】図2は、表2を示す。
【図2−56】図2は、表2を示す。
【図2−57】図2は、表2を示す。
【図2−58】図2は、表2を示す。
【図2−59】図2は、表2を示す。
【図2−60】図2は、表2を示す。
【図2−61】図2は、表2を示す。
【図2−62】図2は、表2を示す。
【図2−63】図2は、表2を示す。
【図2−64】図2は、表2を示す。
【図2−65】図2は、表2を示す。
【図2−66】図2は、表2を示す。
【図2−67】図2は、表2を示す。
【図2−68】図2は、表2を示す。
【図2−69】図2は、表2を示す。
【図2−70】図2は、表2を示す。
【図2−71】図2は、表2を示す。
【図2−72】図2は、表2を示す。
【図2−73】図2は、表2を示す。
【図2−74】図2は、表2を示す。
【図2−75】図2は、表2を示す。
【図2−76】図2は、表2を示す。
【図2−77】図2は、表2を示す。
【図2−78】図2は、表2を示す。
【図2−79】図2は、表2を示す。
【図2−80】図2は、表2を示す。
【図2−81】図2は、表2を示す。
【図2−82】図2は、表2を示す。
【図2−83】図2は、表2を示す。
【図2−84】図2は、表2を示す。
【図2−85】図2は、表2を示す。
【図2−86】図2は、表2を示す。
【図2−87】図2は、表2を示す。
【図2−88】図2は、表2を示す。
【図2−89】図2は、表2を示す。
【図2−90】図2は、表2を示す。
【図2−91】図2は、表2を示す。
【図2−92】図2は、表2を示す。
【図2−93】図2は、表2を示す。
【図2−94】図2は、表2を示す。
【図2−95】図2は、表2を示す。
【図2−96】図2は、表2を示す。
【図2−97】図2は、表2を示す。
【図2−98】図2は、表2を示す。
【図2−99】図2は、表2を示す。
【図2−100】図2は、表2を示す。
【図2−101】図2は、表2を示す。
【図2−102】図2は、表2を示す。
【図2−103】図2は、表2を示す。
【図2−104】図2は、表2を示す。
【図2−105】図2は、表2を示す。
【図3−1】図3は、表3を示す。
【図3−2】図3は、表3を示す。
【図3−3】図3は、表3を示す。
【図3−4】図3は、表3を示す。
【図3−5】図3は、表3を示す。
【図3−6】図3は、表3を示す。
【図3−7】図3は、表3を示す。
【図3−8】図3は、表3を示す。
【図3−9】図3は、表3を示す。
【図3−10】図3は、表3を示す。
【図3−11】図3は、表3を示す。
【図3−12】図3は、表3を示す。
【図3−13】図3は、表3を示す。
【図3−14】図3は、表3を示す。
【図3−15】図3は、表3を示す。
【図3−16】図3は、表3を示す。
【図3−17】図3は、表3を示す。
【図3−18】図3は、表3を示す。
【図3−19】図3は、表3を示す。
【図3−20】図3は、表3を示す。
【図3−21】図3は、表3を示す。
【図3−22】図3は、表3を示す。
【図3−23】図3は、表3を示す。
【図3−24】図3は、表3を示す。
【図3−25】図3は、表3を示す。
【図3−26】図3は、表3を示す。
【図3−27】図3は、表3を示す。
【図3−28】図3は、表3を示す。
【図3−29】図3は、表3を示す。
【図3−30】図3は、表3を示す。
【図3−31】図3は、表3を示す。
【図3−32】図3は、表3を示す。
【図3−33】図3は、表3を示す。
【図3−34】図3は、表3を示す。
【図3−35】図3は、表3を示す。
【図3−36】図3は、表3を示す。
【図3−37】図3は、表3を示す。
【図3−38】図3は、表3を示す。
【図3−39】図3は、表3を示す。
【図3−40】図3は、表3を示す。
【図3−41】図3は、表3を示す。
【図3−42】図3は、表3を示す。
【図3−43】図3は、表3を示す。
【図3−44】図3は、表3を示す。
【図3−45】図3は、表3を示す。
【図3−46】図3は、表3を示す。
【図3−47】図3は、表3を示す。
【図3−48】図3は、表3を示す。
【図3−49】図3は、表3を示す。
【図3−50】図3は、表3を示す。
【図3−51】図3は、表3を示す。
【図3−52】図3は、表3を示す。
【図3−53】図3は、表3を示す。
【図4】図4は、表1〜3に用いられるコンセンサス番号付けシステムにより番号付けされた、図1〜3のN1、N4およびN8タンパク質の配列比較を示す。コンセンサス番号付けは、A、Bなどと命名された169、330、342および412残基の後に挿入を含み、連続的なナンバリング(170、331、343、413)が挿入の後に続く。そのコンセンサス番号が10の倍数である残基は、配列の上部にアスタリスクにより示す。本明細書におけるアミノ酸番号の引用は、そうでないとの明示がない限り配列比較のナンバリングに対するものであって、配列番号1,2,および3の個々の配列のアミノ酸番号に対するものではない。
【図5】図5は、N1(ダークグレー)およびN9(ライトグレー)のNAの活性部位の重ね合わせを示す。グループ-1およびグループ-2のNAの間で異なるコンホメーションを取る、Glu-276、Glu-119、Asp-151のような残基ならびに149位の疎水性残基をスティック表示(stick representation)で示す。
【0014】
配列の簡単な説明
配列番号1は、結晶を作製するために用いられたN1ノイラミニダーゼの配列である。前記タンパク質は、結晶の1位アミノ酸が配列番号1のSer62となるように、61位の後で切断されている。
【0015】
配列番号2は、結晶を作製するために用いられたN4ノイラミニダーゼの配列である。前記タンパク質は、結晶の1位アミノ酸が配列番号2のSer79となるように、78位の後で切断されている。
【0016】
配列番号3は、結晶を作製するために用いられたN8ノイラミニダーゼの配列である。前記タンパク質は、結晶の1位アミノ酸が配列番号3のTyr73となるように、72位の後で切断されている。
【発明を実施するための形態】
【0017】
A. タンパク質結晶
本発明はN1グループのノイラミニダーゼタンパク質の結晶を提供する。用語「N1グループのノイラミニダーゼタンパク質」とは、N1グループのA型インフルエンザウィルスノイラミニダーゼタンパク質のメンバーを意味する。これらはN1、N4、N5およびN8タンパク質である。
【0018】
野生型ウィルスの3種の株から得られたN1、N4およびN8タンパク質の配列を、それぞれ配列番号1〜3により示す。
【0019】
結晶を作製するために、添付の実施例に記載されているような実験室で生育させたウィルス表面からのタンパク質の切断を含む、当業界で公知の手法によりタンパク質を単離した。これにより、結晶化された配列番号1〜3の実際の位置が上記の「配列の簡単な説明」の項に定義されたものとなるように、タンパク質のN末端領域の切断が起きる。
【0020】
代替として、タンパク質を組換え技術により作製し、同一サイズおよび形態の結晶を提供するために類似の様式でプロセシングしうる。
【0021】
A型インフルエンザウィルスはRNAゲノムを有しており、N1〜N4タンパク質の変異体(variant)が天然に存在することが知られている。配列番号1〜3の配列に対する改変は、天然に見出された変異体のタイプを反映しうるものであり、かかる変異体の結晶もまた本発明の範囲内にある。多くのタンパク質について、タンパク質が結晶化する能力を実質的に変化させることなく一次アミノ酸配列に対して限られた変化を起こしうることが知られている。それ故、結晶サイズもしくは形態を変化させることなく、または結晶を形成する条件の実質的な変化なく、配列番号1〜3の配列の結晶形成部位に対して例えば1〜10、1〜7のような、例えば1、2、3、4、5または6までのアミノ酸置換、欠失または挿入を行いうる。
【0022】
これは特に、かかる置換、欠失または挿入が図4の配列比較に示されたような、N1、N4およびN8タンパク質の3種全ての間で保存されていない位置(すなわち、3種の配列の少なくとも1種は異なる)で起きるような場合である。それ故、一態様において、本発明は(好ましくは上記に定義したような)1種以上の置換、欠失または挿入がN1グループのタンパク質の非保存位置に現れる結晶に及ぶ。それ故N1グループのノイラミニダーゼタンパク質(および特にN1、N4またはN8タンパク質)に対する言及は、かかる変異体を含むと理解されることになる。
【0023】
本発明の結晶は、上記に定義されたように、N1グループのノイラミニダーゼタンパク質のアポ結晶またはリガンドを含む共結晶でありうる。それ故さらなる態様において、本発明はN1グループのノイラミニダーゼタンパク質ならびにオセルタミビル、ザナミビル、DANA(2-デオキシ-2,3-ジデヒドロ-N-アセチルノイラミン酸)およびペラミビル、またはそれらの誘導体の群より選択される化合物のようなリガンドの共結晶を提供する。
【0024】
代替として、前記リガンドが、N1グループのノイラミニダーゼタンパク質との相互作用が不明な化合物であっても良い。
【0025】
かかる共結晶は、共結晶化または浸漬によって得られうる。結晶および共結晶の作製方法を、実施例においてさらに示す。
【0026】
本明細書に記載の方法論を、少なくとも3.0 Å、好ましくは少なくとも約2.2〜2.8 Åの分解能で解析可能なN1グループのノイラミニダーゼタンパク質結晶を提供するために一般的に使用しうる。
【0027】
それ故本発明はさらに、少なくとも3.0 Å、好ましくは少なくとも2.8 Åの分解能を有するN1グループのノイラミニダーゼタンパク質結晶を提供する。
【0028】
より特定の実施形態において、本発明はC-斜方晶系の空間群C2221および全ての座標軸方向について5%の単位格子可変性を有するa=201.74、b=201.51、c=212.43の格子定数を有するN1の結晶を提供する。
【0029】
別の実施形態において、本発明は上記の空間群および格子定数を有するN1およびリガンドの共結晶に関する。かかる共結晶の特定の実施形態は、C-斜方晶系の空間群C2221およびa=200.62、b=200.70、c=210.48の格子定数を有するオセルタミビルおよびN1の共結晶である。
【0030】
前記N1タンパク質は、配列番号1の62〜449残基のタンパク質または1〜10個のアミノ酸置換、欠失もしくは挿入を有する該タンパク質の変異体であることが好ましい。
【0031】
別の実施形態において、本発明は立方晶系の空間群P432および全ての座標軸方向について5%の単位格子可変性を有するa=b=c=193.79 Åの格子定数を有するN4の結晶を提供する。
【0032】
さらなる実施形態において、本発明は立方晶系の空間群I432および全ての座標軸方向について5%の単位格子可変性を有するa=b=c=193.44 Åの格子定数を有するN4およびリガンドの共結晶を提供する。特定のリガンドはDANAである。
【0033】
前記N4タンパク質は、配列番号2の79〜470残基のタンパク質または1〜10個のアミノ酸置換、欠失もしくは挿入を有する該タンパク質の変異体でありうる。
【0034】
別の態様において、本発明は正方晶系の空間群I4および全ての座標軸方向について5%の単位格子可変性を有するa=b=90.67 Å、c=109.4 Å、α= 90、β=90、γ=90の格子定数を有するN8およびリガンドの共結晶を提供する。
【0035】
別の実施形態において、本発明は上記の空間群および格子定数を有するN8およびリガンドの共結晶に関する。かかる共結晶の特定の実施形態は、a=b=90.38、c=111.49の格子定数を有する正方晶系の空間群I4を有するDANAおよびN8の共結晶;a=b=90.58、c=110.78もしくはa=b=90.42、c=109.71の格子定数を有する正方晶系の空間群I4を有するオセルタミビルおよびN8の共結晶;ならびにa=b=90.41、c=109.30の格子定数を有する正方晶系の空間群I4を有するザナミビルおよびN8の共結晶であって、全ての前記共結晶は全ての座標軸方向について5%の単位格子可変性を有する。
【0036】
全ての座標軸方向について5%の単位格子可変性を有するa=b=89.78、c=93.23の格子定数を有する正方晶系の空間群I4を有するN8およびペラミビルの共結晶もまた提供される。
【0037】
前記N8タンパク質は、配列番号3の73〜470残基のタンパク質または1〜10個のアミノ酸置換、欠失もしくは挿入を有する該タンパク質の変異体でありうる。
【0038】
B. 結晶座標
さらなる態様において、本発明はまた、表1〜3のいずれか1つから得られる三次元原子座標を有するN1グループのノイラミニダーゼタンパク質の結晶を提供する。
【0039】
表1〜3の原子座標によって定義される構造の有利な特徴は、それらが約3.0 Åよりも高い分解能を有することである。
【0040】
表1〜3のN1グループのノイラミニダーゼタンパク質構造のさらなる利点は、それらがリガンドと結合していないアポ構造である点である。この利点により、前記タンパク質はリガンド中に浸漬するため、およびそれ故複合体構造を決定するために特に好適となり、該利点はコンホメーションおけるリガンドからのバイアスがないようなモデリング目的のためにも理想的である。
【0041】
表1〜3は、それぞれN1グループのノイラミニダーゼタンパク質N1、N4およびN8の原子座標データを与える。これらの表において、3列目は原子を、4列目はアミノ酸残基を、5列目はタンパク質鎖ID(chain identification)を、6列目は残基番号を(残基のナンバリングは表4の配列比較に関するものである)、7、8および9列目はそれぞれ該原子のX、Y、Z座標を、10列目は原子の占有率を、11列目は原子の温度因子を、12列目はタンパク質鎖ID名を示す。
【0042】
それぞれの表は、「TIP」と示された多数の水分子、「NAG 146x」(ここでxはNAG基が結合するタンパク質鎖ID名に対応する文字である)と示された、146位のアスパラギン残基にN結合を介して付加しているN-アセチルD-グルコサミン基、およびそれぞれの鎖に結合したカルシウムイオンを含む。
【0043】
表1〜3は、内部的に一貫した様式で示されている。例えば(表1および2の1残基目を除けば)、主鎖の窒素原子が最初で、次にCAと示された主鎖α位の炭素原子、次に側鎖残基(標準的な慣習にしたがって示される)ならびに最後にタンパク質主鎖の炭素および酸素であるように、各アミノ酸残基の原子座標は示されている。これらの原子を異なる順序で含みうる、または側鎖残基の異なる表示を含みうる、代替の(例えばEBI大分子構造データベース(Macromolecular Structure Database) (Hinxton, UK)の様式に一致するような)ファイル様式が、当業者によって用いられうるかまたは好適なものとされうる。しかしながら、前記表の座標を示すためまたは取り扱うための異なるファイル様式の使用が本発明の範囲内であることは明らかである。
【0044】
表1はN1タンパク質の8種のタンパク質ユニットを含み、表2は2種のN4タンパク質ユニットを含む。本明細書に記載された、本発明の結晶構造を用いる本発明の実施形態において、「N1グループのノイラミニダーゼ構造」に対する言及は、個々のタンパク質鎖のいずれかの構造として解釈されるべきであると理解される。2種または(N1の場合においては)2種以上のユニットの使用は除外されないが、本発明を実施するために必要とはされない。同様に、本発明の特定の用途に有用または必要でありうる場合には、溶媒、糖またはカルシウムイオンの座標の使用は除外されないけれども、「N1グループのノイラミニダーゼ構造」に対する言及はこれらの座標を含むものではない。
【0045】
タンパク質構造の類似度は、根平均二乗偏差(r.m.s.d.)によって慣習的に表されかつ測定されるが、これは2組の原子間の空間的な配置の違いを測定するものである。r.m.s.d.値は、最適な重ね合わせの後に等価原子間の距離を測定する。全ての原子について、残基主鎖の原子について(すなわちタンパク質アミノ酸残基の窒素−炭素−炭素骨格原子)、主鎖原子のみ(すなわちタンパク質アミノ酸残基の窒素−炭素−酸素−炭素骨格原子)、側鎖原子のみまたはより通常にはC-α位原子のみについて、前記r.m.s.d.値を計算することが可能である。本発明の目的のために、これらのいずれかについてr.m.s.d.値を計算することが可能であり、これらは下記に示す方法のいずれかに用いる。
【0046】
好ましくは、rmsd値はC-α位原子の参照により計算されるが、選択された座標が用いられる場合には、これらは少なくとも約5%、好ましくは少なくとも約10%のかかる原子を含むように提供される。選択された座標が前記少なくとも約5%の範囲を含まないときには、rmsd値は4種全ての骨格原子の参照により計算されうるが、これらは少なくとも約10%、好ましくは少なくとも約20%およびより好ましくは少なくとも約30%の選択された座標を含むように提供される。選択された座標が90%以上の側鎖原子を含む場合には、rmsd値は全ての選択された座標の参照により計算されうる。
【0047】
それ故表1〜3の座標は原子配置の測定結果を小数第3位まで、オングストローム単位で提供する。前記座標は、三次元的に形状を定義する一組の相対的位置であるが、異なる座標原点および/または座標軸を有する完全に異なる一組の座標は、類似または同一の形状を定義することが可能であることを当業者は理解するだろう。さらに、表1〜3に示された座標に残基主鎖原子(すなわちタンパク質アミノ酸残基の窒素−炭素−炭素骨格原子)を重ねたとき、残基主鎖原子の根平均二乗偏差が0.75 Å未満であり、好ましくは0.6 Å未満であり、より好ましくは0.5 Å未満であり、より好ましくは0.25 Å未満、もしくは0.2 Å未満のような0.3 Å未満であり、およびもっとも好ましくは0.1 Å未満であるような構造原子の相対原子配置の変動は、構造的特徴およびN1グループのノイラミニダーゼタンパク質の構造に基づく分析のための有用性ならびに分子構造の相互作用性のいずれの点からも、一般的に表1〜3の構造と実質的に同一な構造となることを当業者は理解するだろう。
【0048】
同様に、表中の水分子の数および/または位置を変化させることは、一般にN1グループのノイラミニダーゼタンパク質−相互作用構造の構造に基づく分析に対する構造の有用性に影響しないことを当業者は理解するだろう。それ故、本発明の態様として本明細書に記載された目的において:表1〜3のいずれかの座標が異なる座標原点および/または座標軸に置き換えられる;表1〜3に示された座標に残基主鎖原子を重ねたとき、残基主鎖原子の根平均二乗偏差が0.75 Å未満であり、好ましくは0.6 Å未満であり、より好ましくは0.5 Å未満であり、より好ましくは0.25 Å未満、もしくは0.2 Å未満のような0.3 Å未満であり、およびもっとも好ましくは0.1 Å未満であるように、構造原子の相対原子配置が変更される;ならびに/または水分子の数および/もしくは位置が変更される;ことは本発明の範囲内である。
【0049】
表1および2の場合において、結晶形態は8コピーのN1およびN4をそれぞれ含むが、本タンパク質のいずれか1コピーのみを用いてrmsd値計算を実施しうる。
【0050】
表1〜3の座標データの参照、その使用などは、それ故該表の1種以上の値がこの方法で変更される座標データを含み、かつそうでないとの明示がない限りそのように意味すると理解される。
【0051】
rmsd値を決定するためのプログラムは、MNYFIT(COMPOSERと呼ばれる集合プログラムの一部、Sutcliffe, M.J., Haneef, I., Carney, D.およびBlundell, T.L. (1987年) Protein Engineering, 第1巻、p. 377-384)、MAPS (Lu, G. タンパク質構造の多重配列比較のためのアプローチ(1998年、刊行物およびインターネットURL: http://bioinfo1.mbfys.lu.se/TOP/maps.html))を含む。
【0052】
C-α原子を考慮することは通常のことであり、かつその後LSQKAB(Collaborative Computational Project 4. 「The CCP4 Suite: Programs for Protein Crystallography」, Acta Crystallographica, 第D50巻、(1994年), p. 760-763)、QUANTA(Jonesら著、Acta Crystallography、 (1991年)、第A47巻、p. 110-119およびAccelerys社, San Diego, CAから市販されている)、Insight(Accelerys社, San Diego, CAから市販されている)、Sybyl(登録商標)(Tripos社, St Louisから市販されている)、O(Jonesら著、Acta Crystallographica、(1991年)、第A47巻、p. 110-119)ならびに他の座表計算プログラムのようなプログラムを用いてrmsd値を計算することが可能である。
【0053】
例えば、LSQKABおよびOプログラムにおいては、ユーザーは計算のために対となる2種のタンパク質の残基を定義することが可能である。代替として、2種のタンパク質の配列比較を作成することにより、残基の組み合わせを決定することが可能であり、配列比較のためのプログラムについては以下においてより詳細に述べる。この配列比較および計算されたr.m.s.d.値にしたがってその後原子座標を重ねることが可能である。Sequoiaプログラム(C.M. Bruns, I. Hubatsch, M. Ridderstrom, B. Mannervik,およびJ.A. Tainer著、(1999年)、「Human Glutathione Transferase A4-4 Crystal Structures and Mutagenesis Reveal the Basis of High Catalytic Efficiency with Toxic Lipid Peroxidation Products」、Journal of Molecular Biology、第288巻、第3号、p. 427-439)が、相同性のあるタンパク質配列の配列比較、および相同タンパク質原子座標の重ね合わせを行う。一度配列比較を行えば、上記に詳細を示したプログラムを用いてr.m.s.d.値を計算することが可能である。同一、または高度に同一である配列に対しては、上記に概略を示したようにタンパク質の配列比較を手動または自動で行うことが可能である。別のアプローチは、配列を考慮せずにタンパク質の原子座標の重ね合わせを作製することであろう。
【0054】
C-α原子のみについてのrmsd値を計算するために明らかに異なる座標セットを比較する場合がより通常である。全ての原子についてのrmsd値を計算するために側鎖の動きを分析する場合が特に有用であり、これをLSQKABおよび他のプログラムを用いて行うことが可能である。
【0055】
それ故、例えば、あらゆる軸方向において約0.5 Åまで、好ましくは約0.3 Åまでの表1の構造原子の原子配置の変動は、その構造的特徴および例えば分子構造に基づく分析のための有用性のいずれに関しても表1の構造と実質的に同一である構造となる。同様のことを表2および3に適用する。
【0056】
本発明の多くの用途において、表1〜3の全ての座標を利用する必要がなく、単にそれらの一部を利用すればよいことを当業者は理解することとなる。例えば、下記に示すように、N1グループのノイラミニダーゼタンパク質を用いる分子構造のモデリングの方法において、本明細書に引用されているような選択された座標を使用しうる。
【0057】
用語「選択された座標」は、N1グループのノイラミニダーゼタンパク質構造の、例えば少なくとも5、好ましくは少なくとも10、より好ましくは少なくとも50およびさらにより好ましくは少なくとも100、例えば少なくとも500または少なくとも1000個の原子を意味する。同様に、本明細書に記載された本発明の他の用途は、相同性モデリングおよび構造解析、ならびにデータ保存およびコンピューターに支援された座標の操作を含み、表1〜3の座標の全てまたは一部(すなわち選択された座標)を利用しうる。前記選択された座標は、以下に記載されているような結合ループ中に見出される原子、または以下に記載されているようなリガンドと相互作用する原子を含みうるか、または該原子からなる。
【0058】
リガンドの結合に関与するN1グループのノイラミニダーゼタンパク質の残基は、Glu-119; Val-149, Asp-151, Arg-156; Arg-224; Tyr-252; His-274; Glu-276; Arg-292; Tyr-347およびArg-371を含む。本発明の構造についての選択された座標が用いられる本発明の好ましい態様において、該座標は1個以上の前記残基の1個以上の原子を含む。
【0059】
好ましくは、前記選択された座標は上記残基のうち例えば少なくとも3、4、5、6、7、8または9残基であるような、少なくとも2残基から選択された原子を含む。ある実施形態において、これらの各残基の少なくとも1個の原子を使用しうる。
【0060】
代替としてまたは追加として、149〜153位の結合ループの1種以上の残基に含まれる1個以上の原子を使用しうる。それ故選択された座標は本ループの例えば少なくとも3、4または5残基全てであるような、少なくとも2残基から選択された少なくとも1個の原子を含みうる。
【0061】
ある実施形態において、前記選択された座標は、Glu-119; Glu-276およびTyr-347から選択された残基から選択される少なくとも1個の原子とともに、上記に定義されたループから選択される少なくとも1個の原子を(上記に定義されたような好ましい数で)含みうる。
【0062】
C. 相同性モデリング
本発明はまた、(以下にノイラミニダーゼの標的タンパク質として言及されている)他のタンパク質の相同性モデリングのための手段を提供する。用語「相同性モデリング」は、X線結晶解析データ、または表1〜3のいずれかもしくは選択されたそれらの一部に由来する座標データの操作に基づいたコンピューターに支援されたデノボ(de novo)構造予測のいずれかに基づく、ノイラミニダーゼ関連タンパク質構造の予測を意味する。
【0063】
用語「相同領域」は、2種の配列中における、同一であるかまたは類似(例えば脂肪族、芳香族、極性、負荷電、正荷電)の側鎖化学基を有するアミノ酸残基を表す。相同領域中の同一および類似残基は、当業者により時としてそれぞれ「不変の(invariant)」および「保存された」残基として記載される。
【0064】
一般に、前記方法は、アミノ酸配列をアライメントすることにより、アミノ酸配列を配列番号1〜3のいずれかのN1グループのノイラミニダーゼタンパク質のアミノ酸配列を、ノイラミニダーゼの標的タンパク質と比較する工程を含む。前記配列のアミノ酸は比較され、相同であるアミノ酸配列の群(「対応する領域」と略称する)を一緒に分類する。本方法はポリペプチドの保存領域を検出し、かつアミノ酸挿入または欠失を明らかにする。
【0065】
アミノ酸配列の間の相同性を、商業的に利用可能なアルゴリズムを用いて検出することが可能である。本目的のために、BLAST、gapped BLAST、BLASTN、PSI-BLASTおよびBLAST 2プログラム(National Center for Biotechnology Informationにより提供される)が当業界において広く用いられ二つのアミノ酸配列の相同領域をアライメントすることができる。これらをデフォルトパラメーターと共に用いて、配列番号1〜3のタンパク質のアミノ酸配列およびモデルとされるべき他のノイラミニダーゼの標的タンパク質の間の相同性の程度を検出しうる。
【0066】
標的タンパク質は、例えばN5だけでなくN1、N4またはN8タンパク質の変異体または対立遺伝子のタンパク質のような、 N1グループのタンパク質の他のメンバーを含む。後者の場合において、かかる方法を使用して、病原性の高いインフルエンザウィルス分離株に生じるノイラミニダーゼタンパク質に対する変化またはウィルスが感染する宿主に対する変化を突き止めうる。
【0067】
ひとたび既知および未知の構造を有するポリペプチドのアミノ酸配列をアライメントすると、既知構造を用いたポリペプチドのコンピューター表示における保存アミノ酸の構造が、構造が未知であるポリペプチドの対応するアミノ酸に移動される。例えば、既知構造のアミノ酸配列におけるチロシンを、未知構造のアミノ酸配列における対応する相同アミノ酸である、フェニルアラニンによって置換しうる。
【0068】
非保存領域に位置するアミノ酸の構造を、標準ペプチドの幾何構造を用いることによりまたは分子ダイナミクスのような分子シミュレーション技術により、手動で割り当てうる。前記工程における最終ステップを、分子ダイナミクスおよび/またはエネルギー最小化を用いて完全な構造を精密化することにより達成しうる。
【0069】
かかる相同性モデリングは、当業者に周知の技術である(例えば、Greer著、Science、第228巻、(1985年)、p. 1055、およびBlundellら著、Eur. J. Biochem、第172巻、(1988年)、p. 513を参照されたい)。これらの引用文献に記載された技術だけでなく、当業界で一般に利用可能な他の相同性モデリング技術を、本発明を実施するために使用しうる。
【0070】
それ故本発明は、以下:
(a)アミノ酸配列の相同領域をマッチさせるために、未知の三次元構造を有するノイラミニダーゼの標的タンパク質のアミノ酸配列の表示を配列番号1〜3のいずれか1種のノイラミニダーゼタンパク質のアミノ酸配列とアライメントする;
(b)表1〜3のいずれか1種から選択されたノイラミニダーゼタンパク質の対応する領域またはそれらの座標において未知の構造を有する前記標的タンパク質のマッチした相同領域の構造をモデリングする;ならびに
(c)(例えば未知構造の標的タンパク質と好適な相互作用を形成するためにおよび/または低エネルギーのコンホメーションを形成するために)前記マッチした相同領域の構造を実質的に保存する未知構造の前記標的タンパク質に対するコンホメーションを決定する;
のステップを含む相同性モデリングの方法を提供する。
【0071】
好ましくは、ステップ(a)〜(c)の1つまたは全てがコンピューターモデリングによって実施される。
【0072】
N1グループのノイラミニダーゼタンパク質構造をin silicoで利用する本明細書に記載の本発明の態様を、本発明の上記態様によって得られた相同性モデルに等しく適用しうるので、本適用は本発明のさらなる態様を形成する。それ故上記の方法によってノイラミニダーゼの標的タンパク質のコンホメーションを決定すれば、かかるコンホメーションを、例えば本明細書に記載されているような合理的薬剤設計のための、コンピューターに基づく方法に使用しうる。
【0073】
D. 構造解析
N1グループのノイラミニダーゼタンパク質の原子座標データを、N1グループのノイラミニダーゼタンパク質の他の結晶形態、N1グループのノイラミニダーゼタンパク質の共複合体を含む、他のノイラミニダーゼの標的タンパク質の結晶構造を解析するために使用することも可能であって、該方法ではこれらN1グループのノイラミニダーゼの標的タンパク質のX線回折データまたはNMR分光法のデータが生成され、かつ該データは構造を提供するために解釈を必要とする。
【0074】
例えば、N1グループのノイラミニダーゼタンパク質は、1種超の結晶形態で結晶化しうる。本発明によって提供されるような、表1〜3のデータ、またはそれらの選択された座標は、他の結晶形態の構造を解析するために特に有用である。前記データを、N1グループのノイラミニダーゼタンパク質共複合体の構造を解析するためにも使用しうる。
【0075】
それ故、X線結晶解析またはNMR分光学的データが、未知の三次元構造であるN1グループノイラミニダーゼの標的タンパク質のために提供される場合、表1〜3のいずれか1つに由来する原子座標データを、例えば、X線結晶学の場合の位相化(phasing)およびNMRスペクトルの場合のピーク同定の補助のような、当業界で周知の技術により該標的に対する適切な構造を提供する該データを解釈するために使用しうる。
【0076】
これらの目的のために使用しうる一つの方法は、分子置換法である。この方法において、未知の結晶構造を、それがN1グループのノイラミニダーゼタンパク質の別の結晶形態であるかまたはそれらの共複合体であるかについて、本発明の表1〜3のいずれか1つの全てまたは一部の構造座標を用いて決定しうる。この方法は、かかる情報を最初から(ab initio)決定することを試みるよりも、より迅速かつより効率的に未知の結晶に関する的確な構造形態を提供することになる。
【0077】
分子置換法を実施するための当業界で公知のコンピュータープログラムの例は、CNX (Brunger A.T.; Adams P.D.; Rice L.M.著、Current Opinion in Structural Biology、第8巻、第5号、1998年10月、p. 606-611(Accelrys社、 San Diego, CAからも市販されている)、MOLREP(A.Vagin, A.Teplyakov著、「MOLREP: an automated program for molecular replacement」, J. Appl. Cryst., (1997年) 第30巻、p. 1022-1025, CCP4スウィートの一部である)またはAMoRe (Navaza, J.著、 (1994年)、 「AMoRe: an automated package for molecular replacement」, Acta Cryst. 第A50巻、p. 157-163)である。
【0078】
それ故、本発明のさらなる態様は、タンパク質の構造を決定するための方法であって、該方法が:
表1〜3のいずれか1つのN1グループのノイラミニダーゼタンパク質構造の座標(もしくはそれらの選択された座標)を提供する;
前記タンパク質に関する構造を提供するために、前記タンパク質の結晶単位格子中の該座標を配置する;
を含む前記方法を提供する。
【0079】
表1〜3のいずれか1つのデータの操作により、本発明を、かかるタンパク質のNMRスペクトルのピークを割り当てるためにも使用しうる。
【0080】
E. コンピューターシステム
別の態様において、本発明は、特にコンピューターシステムであって、該システムが:(a)N1グループのノイラミニダーゼタンパク質の三次元構造を定義する、表1〜3のいずれ1つの座標データ、もしくはそれらの選択された座標;(b)表1〜3のいずれか1つから得た座標データに基づく相同性モデリングによって生成された、ノイラミニダーゼの標的タンパク質の原子座標データ;または(c)表1〜3のいずれか1つから得た座標データの参照によりX線結晶解析データもしくはNMRデータを解釈することで生成された、N1グループノイラミニダーゼの標的タンパク質の原子座標データ;の1つを含むシステムを提供する。
【0081】
例えば前記コンピューターシステムは:(i)コンピューターにより読み取り可能なデータによりエンコードされたデータ保存材料を含む、コンピューターにより読み取り可能なデータ保存メディア;(ii)前記コンピューターにより読み取り可能なデータを演算処理するための指示を保存するための作業メモリー;および(iii)前記コンピューターにより読み取り可能なデータを演算処理するため、ならびにそれにより構造を生成するためおよび/もしくは合理的薬剤設計を実施するための、前記作業メモリーおよび前記コンピューターにより読み取り可能なデータ保存メディアと連結した中央演算装置;を含みうる。前記コンピューターシステムは、前記構造を表示するために、前記中央演算装置と連結したディスプレーをさらに含みうる。
【0082】
本発明は、上記に言及されているような標的タンパク質の原子座標データを含むかかるシステムであって、ここでかかるデータが、表1〜3のいずれか1つのデータもしくはそれらの選択された座標により提供される開始データに基づいて、本明細書に記載の本発明の方法にしたがって生成されたものである前記システムも提供する。
【0083】
かかるデータは、ノイラミニダーゼタンパク質の作用メカニズムを分析するため、および/またはN1グループのノイラミニダーゼタンパク質の阻害剤もしくは潜在的阻害剤である化合物のような、N1グループのノイラミニダーゼタンパク質と相互作用する化合物の合理的薬剤設計を実施するための構造の生成を含む、多くの目的にとって有用である。
【0084】
さらなる態様において、本発明は、(a)N1グループのノイラミニダーゼタンパク質の三次元構造を定義する、表1〜3のいずれか1つの座標データもしくはそれらの選択された座標;(b)表1〜3のいずれか1つから得た座標データに基づくノイラミニダーゼの標的タンパク質の相同性モデリングによって生成される該標的タンパク質の原子座標データ;(c)表1〜3のいずれか1つから得た座標データを参照することでX線結晶解析データもしくはNMRデータを解釈することにより生成されるN1グループノイラミニダーゼの標的タンパク質の原子座標データ;の少なくとも1つを含むコンピューターにより読み取り可能なメディアを提供する。
【0085】
本明細書で用いられているように、用語「コンピューターにより読みとり可能なメディア」は、コンピューターにより直接読みとりおよびアクセス可能なあらゆるメディアを表す。かかるメディアは、限定するものではないが:フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク保存メディアおよび磁気テープのような磁気保存メディア;光ディスクもしくはCD-ROMのような光学的保存メディア;RAMおよびROMのような電気的保存メディア;ならびに光/磁気保存メディアのようなこれらのカテゴリーの混成体を含む。
【0086】
かかるコンピューターにより読みとり可能なメディアを提供することにより、N1グループのノイラミニダーゼタンパク質またはその選択された座標をモデル化するために、本発明の原子座標データにルーチンにアクセスすることが可能である。例えば、RASMOL(Sayleら著、TIBS, 第20巻、(1995年)、p. 374)は、公的に利用可能なコンピューターソフトウェアパッケージであり、かつ該ソフトウェアは構造決定および/または合理的薬剤設計のために、原子座標データへのアクセスおよびその分析を可能にする。
【0087】
本明細書で用いられているように、用語「コンピューターシステム」は、本発明の原子座標データを分析するために使用されるハードウェア手段、ソフトウェア手段およびデータ保存手段を表す。本発明のコンピューターに基づくシステムの最小ハードウェア手段は、中央演算装置(CPU)、入力手段、出力手段およびデータ保存手段を含む。所望により、構造データを可視化するためにモニターが提供される。データ保存手段は、本発明のコンピューターにより読みとり可能なメディアにアクセスするためのRAMまたは手段でありうる。かかるシステムの例は、Silicon Graphics社およびSun Microsystems社より市販されている、Unix(登録商標)ベース、Windows(登録商標)NTまたはIBM OS/2オペレーティングシステムで動作するマイクロコンピューターワークステーションである。
【0088】
本発明のさらなる態様は、N1グループのノイラミニダーゼタンパク質と相互作用する構造を生成するためおよび/または化合物の最適化を実施するためのデータを提供するための方法であって、該方法が:
(i)(a)場合によりCα原子からの根平均二乗偏差が0.75 Åを超えない範囲内で変動する、表1〜3のいずれか1つから得たN1グループのノイラミニダーゼ構造もしくは選択された座標を含む、コンピューターにより読みとり可能なデータ
を含むリモートデバイスとの通信を確立する;および
(ii)前記リモートデバイスから前記コンピューターにより読みとり可能なデータを受信する;
を含む前記方法を提供する。
【0089】
それ故リモートデバイスは、例えば本発明の前記態様の1つのコンピューターシステムまたはコンピューターにより読みとり可能なメディアを含みうる。前記デバイスは、前記コンピューターにより読みとり可能なデータが受信される場所とは異なる国または法域に存在しうる。
【0090】
通信は、有線または地上波もしくは人工衛星によるような無線手段によって伝達される、インターネット、イントラネット、e-メールなどを介しうる。典型的には、前記通信は現存の電気的手段となるが、通信経路のいくつかまたは全てが、例えば光ファイバーによる光学的手段でありうる。
【0091】
ひとたびデータがデバイスから受信されると、本発明は、本明細書に記載の本発明のモデリングシステムに該データを使用するさらなるステップを含みうる。
【0092】
F. 本発明の構造の使用
本明細書に記載の方法により得られたノイラミニダーゼ標的タンパク質の構造と同様、本発明により得られた結晶構造を薬剤設計のためのいくつかの方法に使用しうる。例えば、インフルエンザウィルスが既存の抗ウィルス薬剤に対して耐性を有するように進化するメカニズムをより十分に理解するために、本発明の構造を、変異酵素と抗ウィルス薬剤の相互作用、およびN1グループタンパク質における変化を標的化するように改変された薬剤の構造を分析するために使用しうる。
【0093】
かかる薬剤または潜在的薬剤の結合についての情報は、共結晶化、浸漬または結合ポケットへの該薬剤のコンピューター計算的な合体により得られうる。これは、タンパク質と薬剤の相互作用を媒介または制御するように、設計された化学構造に対する特異的な改変を導くことになる。かかる改変を、その治療的および/または予防的作用を改良するように設計することが可能である。
【0094】
結合した阻害剤を有する場合および有しない場合の本明細書に記載のグループ-1のNAの結晶構造は、該酵素の活性部位の1つの角を形成する150-ループが、少なくとも2種の安定コンホメーションで存在することができることを明らかにする。グループ-1のNAがグループ-2の酵素と類似の親和性でオセルタミビルのような薬剤と結合する事実は、2種のコンホメーションの間のエネルギーの差が非常に大きいものではないことを示唆する。インフルエンザウィルスノイラミニダーゼ、または少なくともグループ-2酵素の活性部位の構造における柔軟性の程度についてのこの知見は、やや予期しないものである。我々は配列上の観点から直接的な証拠を有していないけれども、もしグループ-2のNAの150-ループもまた類似の柔軟性を有していたとしても驚くべきことではないだろう。明らかに、「閉じた」コンホメーションは、既存の阻害剤の存在および非存在のいずれの場合でもグループ-2のNAにおいてエネルギー的に優先されるが、より高いエネルギー状態である「開いた」コンホメーションは、該コンホメーションとエネルギー的に有利な相互作用を形成する一方「閉じた」形態とは形成しない阻害剤に利用しうる。
【0095】
例えば、我々の構造観察に基づいて、我々は、既存の阻害剤骨格に追加の置換基部分を加えることによって新たな薬剤を設計しうることを提案する。第一の例において、グループ-1のNAに対してこれらの分子を設計および精密化することを、本明細書の以下においてさらに述べるように実施しうる。全てのウィルスサブタイプに対して作用するインフルエンザ薬剤を作製することは理想的に見えるけれども、効果的なグループ-1特異的阻害剤が現在または将来において考慮すべき価値あるものではなくなるということは、我々にとって自明ではない。あらゆる場合において、グループ-1のNAの150-ループの開いた形態との追加の相互作用を利用するように設計された新たな阻害剤が、グループ-2のNAにおける本ループと類似のコンホメーションを選択することができることは、十分ありうることである。
【0096】
それでもなおありうるのは、あらゆる新たな薬剤の臨床的使用が最終的に耐性変異体の出現を導くことである。レトロウィルス疾病を治療することから得られる教訓は、この問題を克服するための戦略は併用薬剤療法の使用であることを示唆する。
【0097】
(i)結晶複合体を得る工程および分析する工程
あるアプローチにおいて、N1グループのノイラミニダーゼタンパク質と結合した化合物の構造を実験によって決定しうる。これは、N1グループのノイラミニダーゼタンパク質と結合した化合物の分析における出発点を提供することになり、それ故、どのように特定の化合物がN1グループのノイラミニダーゼタンパク質と相互作用するのか、およびそれが機能する際のメカニズムについて詳細な洞察を当業者に提供することになる。
【0098】
上記の構造に基づく薬剤設計に対する多くの技術およびアプローチは、リガンド-タンパク質複合体においてリガンドの結合位置を同定するために、いくつかの段階でX線分析に依拠している。これを行うための共通の方法は、前記複合体においてX線結晶解析を実施すること、差フーリエ電子密度図を作成すること、および特定の電子密度パターンをリガンドと関連づけることである。しかしながら、(例えば、Blundellら著、「Protein Crystallography」, Academic Press出版, New York, LondonおよびSan Francisco, (1976年)に説明されているような)前記図を作成するために、事前にタンパク質の3D構造(または少なくとも該タンパク質の構造因子)を知ることが必要である。したがって、N1グループのノイラミニダーゼタンパク質構造の決定は、作成されるべきタンパク質−化合物複合体の差フーリエ電子密度図を提供し、かつそれ故薬剤の結合位置の決定は合理的薬剤設計の工程を大きく支援しうる。
【0099】
それ故、本発明はN1グループのノイラミニダーゼタンパク質と結合した化合物の構造を決定するための方法であって、該方法が:
本発明のN1グループのノイラミニダーゼタンパク質の結晶を提供する工程;
該結晶を前記化合物と浸漬する工程;ならびに
表1〜3のいずれか1つから得た座標データもしくはそれらの選択された座標を用いることにより、前記N1グループのノイラミニダーゼタンパク質−化合物複合体の構造を決定する工程;
を含む前記方法を提供する。
【0100】
代替として、N1グループのノイラミニダーゼタンパク質および化合物を共結晶化しうる。それ故本発明はN1グループのノイラミニダーゼタンパク質と結合した化合物の構造を決定するための方法であって、該方法が:
タンパク質を化合物と混合する工程;タンパク質−化合物複合体を結晶化する工程;ならびに表1〜3のいずれか1つから得た座標データもしくはそれらの選択された座標を参照することにより、前記タンパク質−化合物複合体の構造を決定する工程を含む前記方法を提供する。
【0101】
かかる構造の分析は、複合体の差フーリエ電子密度図を作成するために、(i)複合体のX線結晶回折データならびに(ii)表1〜3のいずれか1つの原子座標データもしくはそれらの選択された座標によって定義されたものである、N1グループのノイラミニダーゼタンパク質の三次元構造もしくは少なくともそれらの選択された座標を使用しうる。
【0102】
したがって、かかる複合体を結晶化し、かつ例えばGreerら著、J. of Medicinal Chemistry, 第37巻、(1994年), p. 1035-1054によって記載されたアプローチによるX線回折法を用いて分析することが可能であり、さらに差フーリエ電子密度図を、浸漬もしくは共結晶化されたタンパク質のX線回折パターン、および複合体化していないタンパク質の構造解析に基づいて計算することが可能である。次いで、これらの電子密度図を分析して、例えば、特定の化合物がN1グループのノイラミニダーゼタンパク質に結合するか否か、もしくはどこに結合するのか、または特定の化合物がN1グループのノイラミニダーゼタンパクのコンフォメーションを変化させるか否か、もしくはどこを変化させるのかについて調べることができる。
【0103】
電子密度図を、CCP4計算パッケージ(Collaborative Computational Project 4. 「The CCP4 Suite: Programs for Protein Crystallography」, Acta Crystallographica, 第D50巻、(1994年), p. 760-763)に含まれるようなプログラムを用いて計算することが可能である。「O」(Jonesら著、Acta Crystallographica, 第A47巻、(1991年), p. 110-119)のような電子密度図の可視化およびモデル構築プログラムを使用することが可能である。
【0104】
上記で言及した複合体の全てを、周知のX線回折技術を用いて研究し、かつCNX(Brungerら著、Current Opinion in Structural Biology, 第8巻、第5号、1998年10月、p. 606-611、およびAccelrys社、San Diego, CAから市販されている)、ならびにBlundellら(1976年)および「Methods in Enzymology」第114および115巻、H. W. Wyckoffら編、Academic Press社 (1985年)に記載されているようなコンピューターソフトウェアを用いて、1.5〜3.5 Å分解能のX線データに対して約0.30以下のR値になるように精密化しうる。
【0105】
(ii)In silico分析および設計
本発明は、N1グループのノイラミニダーゼタンパク質および該タンパク質と相互作用する化合物を含む実際の結晶構造の決定を容易にするけれども、最新のコンピューター計算技術はかかる結晶を作製する必要性ならびに回折データを生成しかつ分析する必要性に対する強力な代替手段を提供する。それ故、本発明の特に好ましい態様は、本発明のN1グループのノイラミニダーゼタンパク質構造と相互作用する化合物の分析および開発についてのin silico法に関する。
【0106】
N1グループのノイラミニダーゼタンパク質の三次元構造の決定は、特に比較値が類似タンパク質を用いて作成されたときに本タンパク質の結合部位についての重要な情報を提供する。実施例に示すように、我々は、N2グループのノイラミニダーゼタンパク質と比較して149-150ループにおけるN1タンパク質の結合ポケット内の残基のいくつかにおける明確な置換を生じる、本ポケットについての驚くべきかつ明確な相違を同定した。追加として、N1グループにおける347位のチロシンへの置換は、結果としてN2グループにおいては見出されないさらなるリガンド相互作用を生じる。それ故、次世代のノイラミニダーゼ阻害剤の設計において、現在利用可能な薬剤に対して観察される耐性を克服しうる改良された化合物を提供するために、これらの新たに同定された相違に注目を向けることが可能である。
【0107】
この情報を、例えば結合部位に対して結合する可能性のあるリガンドを同定するコンピューター計算技術により、結合フラグメントアプローチ(linked-fragment approach)で薬剤設計を可能にすることにより、ならびにX線結晶学的分析を用いて(例えば本明細書中上記のリガンドを含む)結合リガンドの同定および配置を可能にすることにより、合理的薬剤設計およびノイラミニダーゼ阻害剤の改変のためにさらに使用しうる。これらの技術を、以下においてさらに詳細に述べる。
【0108】
それ故N1グループのノイラミニダーゼタンパク質に関する三次元構造の決定の結果として、これらのグループのタンパク質との相互作用がより良く理解される構造を設計するために、合理的薬剤設計のためのより純粋なコンピューター計算技術も使用しうる(これらの技術の概要については、例えば、Waltersら著、Drug Discovery Today, 第3巻、第4号、(1998年)、 p. 160-178;Abagyan, R.; Totrov, M.著、Curr. Opin. Chem. Biol., (2001年)、第5巻、p. 375-382を参照されたい)。例えば、標的受容体の原子座標についての正確な情報を必要とする、リガンド-受容体の自動的結合プログラム(例えばJonesら著、Current Opinion in Biotechnology, 第6巻、(1995年), p. 652-656およびHalperin, I.; Ma, B.; Wolfson, H.; Nussinov, R.著、Proteins, (2002年), 第47巻, p. 409-443により述べられている)を使用しうる。
【0109】
N1グループのノイラミニダーゼタンパク質構造をin silicoで利用する本明細書に記載の本発明の態様を、表1〜3のいずれか1つもしくはそれらの選択された座標から得た構造、ならびに本発明の他の態様により得られたノイラミニダーゼの標的タンパク質のモデルのいずれにも等しく適用しうる。それ故上記の方法によってノイラミニダーゼタンパク質のコンホメーションを決定しておけば、かかるコンホメーションを、本明細書に記載されているような合理的薬剤設計のコンピューターに基づいた方法に使用しうる。加えて、N1グループのノイラミニダーゼタンパク質の構造の利用性は、仮想的なライブラリースクリーニングまたは化合物設計のための、高度に予測されたファルマコフォア(pharmacophore)モデルの生成を可能にすることとなる。
【0110】
それ故、本発明は、N1グループのノイラミニダーゼ構造との分子構造の相互作用の分析のためのコンピューターに基づいた方法であって、該方法が:
場合によりCα原子からの根平均二乗偏差が0.75 Åを超えない範囲内で変動する、表1〜3のいずれか1つから得たN1グループのノイラミニダーゼ構造またはそれらの選択された座標を提供する工程;
前記N1グループのノイラミニダーゼ構造またはそれらの選択された座標に対して適合する分子構造を提供する工程;ならびに
前記N1グループのノイラミニダーゼ構造に対して分子構造を適合させる工程;
含む前記方法を提供する。
【0111】
実際には、例えば上記Bにおいて定義されるような好ましい残基由来の原子のような、結合ポケットを表す表1〜3のいずれか1つから得た座標もしくはそれらの選択された座標によって定義されるようなN1グループのノイラミニダーゼ構造の十分な数の原子をモデル化することが望ましい。それ故本発明のこの態様において、選択された座標は上記残基のいくつかまたは全ての座標を含みうる。
【0112】
分子構造を適合させる工程に続いて、当業者は(例えば水素結合、他の非共有結合性相互作用により、もしくはその構造の一部分との間で共有結合をもたらすような反応により)該構造が互いにどの程度相互作用するかを決定するために使用された分子モデリングを探索しうる。
【0113】
当業者は、異なる方法でN1グループのノイラミニダーゼ構造と相互作用する新たな構造を設計するために、1個以上の構造を変化させるin silicoモデリング法を使用しうる。
【0114】
新たに設計された構造を合成し、かつ新たに設計された構造がN1グループのノイラミニダーゼ構造によってどのように結合されるかについて、前記N1グループのノイラミニダーゼ構造との相互作用を決定しうるかまたは予測しうる。前記構造およびN1グループのノイラミニダーゼ構造の間の相互作用をさらに変化させるために、この工程を繰り返しうる。
【0115】
用語「適合させる」は、自動的または半自動的手段により、分子構造の少なくとも1個の原子および本発明のN1グループのノイラミニダーゼ構造の少なくとも1個の原子の間の、少なくとも1つの相互作用を決定する工程、ならびにかかる相互作用がどの程度安定であるかを計算する工程を意味する。相互作用は、電荷、立体的効果などによってもたらされる引力および反発を含む。本明細書において、さまざまなコンピューターに基づいた方法をさらに述べる。
【0116】
より具体的には、N1グループのノイラミニダーゼ構造と化合物の相互作用を、GOLD (Jonesら著、J. Mol. Biol., 第245巻, p. 43-53 (1995年), Jonesら著、J. Mol. Biol., 第267巻, p. 727-748 (1997年)), GRAMM (Vakser, I.A.著、Proteins, Suppl., 第1巻、p. 226-230 (1997年)), DOCK (Kuntzら著、J.Mol.Biol., (1982年)、第161巻、p. 269-288, Makinoら著、J.Comput.Chem., (1997年)、第18巻, p. 1812-1825), AUTODOCK (Goodsellら著、Proteins, (1990年)、第8巻、p. 195-202, Morrisら著、J.Comput.Chem., (1998年)、第19巻、p. 1639-1662), FlexX, (Rareyら著、J.Mol.Biol., (1996年)、第261巻、p. 470-489)またはICM (Abagyanら著、J.Comput.Chem., (1994年)、第15巻、p. 488-506)のような結合プログラムを用いるコンピューターモデリングの使用によって試験することが可能である。この方法は、化合物の形状および化学構造がN1グループのノイラミニダーゼ構造とどのようにうまく結合することになるのかを確認するために、N1グループのノイラミニダーゼ構造に対する化合物のコンピューターによる適合を含むことが可能である。
【0117】
N1グループのノイラミニダーゼの活性部位構造についての、コンピューターに支援された手動の試験もまた実施しうる。GRID (Goodford著、J. Med. Chem., 第28巻、(1985年)、p. 849-857)のようなプログラム−すなわち様々な官能基を有する分子および酵素表面の間の可能性のある相互作用部位を決定するプログラム−は、例えば、化合物の代謝速度を変化させることになる改変様式を予測する目的で、活性部位を分析するためにも使用しうる。
【0118】
2個の結合パートナーの引力、反発、および立体的障害を推定するためにコンピュータープログラムを用いることが可能である。
【0119】
N1グループのノイラミニダーゼ構造に対する化合物の結合についての詳細な構造情報をさらに獲得することが可能であり、かつこの情報に鑑みて、例えばN1グループのノイラミニダーゼ構造との相互作用を変化させるために、該化合物の構造もしくは官能基に対して調節を行うことが可能である。上記のステップは繰り返しても良いし、必要に応じて再度繰り返しても良い。
【0120】
本発明において使用しうる分子構造は、たいてい医薬用途のために開発される化合物となる。かかる化合物は一般に有機化合物であり、該化合物は典型的には約100〜2000 Da、より好ましくは約100〜1000 Daの分子量である。かかる化合物は、ペプチドおよびそれらの誘導体、ならびにオセルタミビル、ザナミビル、DANAおよびペラミビルの誘導体を含むシアル酸誘導体を含む。原理的に、薬学分野において開発されるあらゆる化合物を、その性質を改良する目的でその開発を容易にするためまたはさらなる合理的薬剤設計を可能にするために、本発明に使用することが可能である。
【0121】
別の実施形態において、本発明は、N1グループのノイラミニダーゼとの相互作用を変化させるための化合物の構造を改変するための方法であって、該方法が:
本発明のN1グループのノイラミニダーゼ構造のリガンド結合領域の、少なくとも1個のアミノ酸残基の1以上の座標に出発化合物を適合させる工程;
リガンド結合領域との相互作用を増大もしくは減少させるために、出発化合物の構造を改変する工程;
を含む前記方法であり、ここで前記リガンド結合領域が、少なくとも1個、および好ましくは1個超のGlu-119; Val-149, Asp-151, Arg-156; Arg-224; Tyr-252; His-274; Glu-276; Arg-292; Tyr-347およびArg-371ならびに/または149〜152位のアミノ酸残基を含むように定義される前記方法を提供する。残基の好ましい数および組合せは上記に定義されたとおりである。
【0122】
疑問を避けるために、用語「改変する」は前記の項で定義したように使用され、ひとたびかかる化合物が開発されると該化合物は上記のように合成されかつ試験されうる。
【0123】
(iii)フラグメント結合および成長
本発明の結晶構造の提供はまた、フラグメント結合(fragment linking)またはフラグメント成長(fragment growing)アプローチに基づいて、(例えば該タンパク質の阻害剤として作用するように)N1グループのノイラミニダーゼの結合ポケット領域と相互作用する化合物の開発を可能にすることになる。
【0124】
例えば、1個以上の分子フラグメントの結合を、X線結晶解析によってタンパク質結合ポケットにおいて決定することが可能である。分子フラグメントは、典型的には100〜200 Daの分子量を有する化合物である(Carrら、2002年)。これは、薬化学に対して構造に基づくアプローチを用いて相互作用を最適化するための出発点をさらに提供することが可能である。前記フラグメントを鋳型に結合するか、またはタンパク質の他のポケットの中に阻害剤を「成長させる(growing out)」のための出発点として使用することが可能である(Blundellら、2002年)。フラグメントをN1グループのノイラミニダーゼ構造の結合ポケットの中に配置し、かつその後、分子認識に関連する静電的、ファンデルワールス力的または水素結合的相互作用を調査して、利用可能な空間を満たすために「成長」させることが可能である。それ故、結合フラグメントの元々の弱い結合能力を、反復性の構造に基づく化学合成を用いて迅速に改良することが可能である。
【0125】
フラグメント成長アプローチにおける1以上の段階で、化合物を合成し、かつ生物システムにおいてその活性を試験しうる。フラグメントのさらなる成長を導くために、これを使用することが可能である。
【0126】
2個のフラグメント結合領域が同定される場合、結合フラグメントアプローチは2個のフラグメントが直接的に結合することを試みるか、または所望の性質を有しうる、より大きな、結合された構造を得るために、上記の様式で該フラグメントの1個もしくは両方を成長させることに基づきうる。
【0127】
2以上のリガンドの結合部位が決定される場合、それらは、例えばGreerらの技術を複数回用いてさらに精密化されることが可能な潜在的なリード化合物を形成するために連結されうる。仮想的な結合フラグメントアプローチについては、Verlindeら著、J. of Computer-Aided Molecular Design, 第6巻、(1992年)、p. 131-147を、ならびにNMRおよびX線アプローチについてはShukerら著、Science, 第274巻、(1996年)、p. 1531-1534およびStoutら著、Structure, 第6巻、(1998年)、p. 839-848を参照されたい。ノイラミニダーゼ阻害剤を設計するためのこれらのアプローチの使用は、ノイラミニダーゼ構造の決定によって可能になる。
【0128】
(iv)本発明の化合物
潜在的に改変された化合物が、出発化合物を本発明のN1グループのノイラミニダーゼ構造に適合させ、かつ変化させた作用速度(遅い、速い、またはゼロの速度)を有する改変された化合物をこれから予測することによって開発された場合、本発明は、改変された化合物を合成するステップ、ならびに例えばウィルスの増殖もしくは拡散を阻害するような、該化合物が作用する活性および/もしくは速度を決定するために該化合物をin vivoもしくはin vitro生物システムにおいて試験するステップをさらに含む。
【0129】
別の態様において、本発明は、上記の本発明の方法によって同定された化合物を含む。
【0130】
かかる化合物の同定に続いて、該化合物を製造し、かつ/または調製、すなわち医薬、医薬組成物もしくは薬剤のような組成物の製造もしくは製剤に使用しうる。これらを個体に投与しうる。
【0131】
それ故、本発明はさまざまな態様において、本発明により提供されるような化合物だけでなく、かかる化合物を含む医薬組成物、医薬、薬剤、または他の組成物も含む。疾病、特にA型またはB型インフルエンザの治療(予防的治療を含みうる)に前記組成物を使用しうる。かかる治療は、例えば疾病の治療のための、かかる組成物の患者への投与;例えば疾病の治療のための投与のための組成物製造におけるかかる阻害剤の使用;ならびにかかる阻害剤を薬学的に許容しうる賦形剤、ビヒクルもしくは担体、および場合により他の成分と混合する工程を含む医薬組成物の製造方法を含みうる。
【0132】
それ故本発明のさらなる態様は、医薬、医薬組成物または薬剤を製造するための方法であって、該方法が:
(a)本明細書に開示された本発明の他の態様のいずれか1つの方法によって化合物を同定または改変する工程;
(b)分子の構造を最適化する工程;ならびに
(c)最適化された化合物を含む医薬、医薬組成物または薬剤を製造する工程;
を含む前記方法を提供する。
【0133】
改変された化合物自体がさらなる分子設計の基礎となりうる場合には、本発明の上記の工程は反復されうる。
【0134】
用語「構造を最適化する」は、モジュレーター分子の化学構造が変化する一方、該分子の元のモジュレート機能性は維持されるかもしくは増強されるように、例えば分子の足場を加える、官能基を加えるもしくは変化させる、または(例えばフラグメント結合アプローチを用いて)分子を他の分子と連結することを意味する。かかる最適化は通常、例えばリード化合物の力価を増強する、薬理学的許容性を促進する、化学的安定性を向上させるなどのための薬剤開発プログラムの間に実施される。
【0135】
改変は熟練した薬化学者に公知の当業界で一般的な改変であり、例えば、本発明のN1グループのノイラミニダーゼ構造のアミノ酸側鎖基と相互作用する残基を含む基の置換または除去を含むことになる。例えば、前記置換は、反対の電荷の基による荷電した基の置換、または親水性基による疎水性基の置換(またはその逆)のような、試験化合物中の基の電荷を減少または増加させるための基の付加または除去を含みうる。これらは新たな医薬化合物の開発において薬化学者によって考慮される置換様式の単なる例であり、出発化合物の性質およびその活性に依存して、他の改変を行いうることが理解されるだろう。
【0136】
あらゆる好適な投与のルートおよび手段のために、組成物を製剤しうる。薬学的に許容しうる担体または希釈剤は、経口、直腸内、経鼻、局所(頬側および舌下を含む)、腟内または非経口(皮下、筋肉内、静脈内、皮内、髄腔内および硬膜外を含む)投与のために好適な製剤に使用されるものを含む。前記製剤は単位剤形で都合よく存在し、かつ薬学分野において周知のいずれかの方法によって製造しうる。
【0137】
固体組成物のために、例えば医薬等級のマンニトール、ラクトース、セルロース、セルロース誘導体、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、滑石(talcum)、グルコース、スクロース、炭酸マグネシウムなどを含む通常の無毒性固体担体を使用しうる。薬学的に投与可能な液体の組成物は、それにより溶液または懸濁液を形成するために、例えば上記に定義されているような活性化合物および追加の医薬アジュバントを、例えば水、ブドウ糖添加生理食塩水、グリセロール、エタノールなどのような担体中に溶解、分散などをすることによって調製することが可能である。所望により、投与されるべき医薬組成物は、湿潤剤もしくは乳化剤、および例えば酢酸ナトリウム、モノラウリン酸ソルビタン、トリエタノールアミン酢酸ナトリウム塩、モノラウリン酸ソルビタン、トリエタノールアミンオレイン酸塩などのpH緩衝化剤などのような微量の無毒性助剤物質も含みうる。かかる投与剤形を調製する実際の方法は、当業者に公知であるか、または例えば:「Remington’s Pharmaceutical Sciences」、Mack Publishing社, Easton, Pennsylvania, 第15版, 1975年を参照すれば当業者にとって明らかとなるだろう。
【0138】
[実施例]
以下の実施例によって本発明を実証する。
【0139】
N1ノイラミニダーゼの結晶化
雌鳥の卵中で増殖させたA/Vietnam/1203/04ウィルスから、配列番号1のN1タンパク質を調製した。結晶化可能な配列番号1の62〜449残基のタンパク質を作製するために、ブロメライン消化によってNAをウィルスから遊離させ、過去の文献(Ha Y、Stevens DJ、Skehel JJおよびWiley DC著、2001年9月25日、Proc Natl Acad Sci;第98巻、第20号、p. 11181-6)に記載されるようにさらに精製した。
【0140】
前記タンパク質は、3種の条件下:(1) 20% PEG 3350、0.2 M 酢酸アンモニウム、0.1 M MES pH 6.0;(2) 20% PEG 3350、0.2 M酢酸アンモニウム、0.1 M PIPES pH 6.8;(3) 20% PEG 3350、0.2 M 硫酸リチウム、0.1 M TrisCl pH 8.5で結晶化する。
【0141】
それ故、本発明は一態様において、(1)〜(3)のいずれかの条件下で本発明のN1タンパク質を結晶化する方法であって、各試薬は各々独立して、濃度、pH、またはPEGの場合においては分子量について、5%まで異なっていてよい前記方法を提供する。
【0142】
条件1から得た結晶が回折像を与えたので、これらの条件をより大スケールにおける次なる最適化のために使用した。1 μlのN1タンパク質(9 A280/ml)に18〜23% PEG 3350、0.2 M 酢酸アンモニウム、0.1 M MES pH 6.0で平衡化した1 μlのウェル溶液を加えた溶液を用いて、ハンギングドロップを調製した。20または21% PEGを含むドロップから得た結晶を、未処理データの収集および20 μMまたは0.5 mM タミフル(登録商標)(オセルタミビル)への浸漬のために使用した。
【0143】
前記結晶のために使用された抗凍結溶液は、21% PEG 3350、0.2 M 酢酸アンモニウム、0.1 M MES pH 6.0、15%エチレングリコールであった。
【0144】
N4およびN8ノイラミニダーゼの結晶化
方法
雌鳥の卵中で増殖させたA/Mink/Sweden/E12665/84 (H10N4)およびA/Duck/Ukraine/1/63 (H3N8)ウィルスから、N4(配列番号2)およびN8(配列番号3)のNAを調製した。N4 79-470およびN8 73-470を提供するために、ブロメライン消化によってNAをウィルスから遊離させ、上記のようにさらに精製した。10 mM Tris-HCl, pH 8.0中に濃度10 mg/mlのタンパク質を回収した。
【0145】
2 μlのリザーバー溶液(0.1 M Hepes, pH 7.5、5 mM 塩化コバルト、5 mM 塩化ニッケル、5 mM 塩化カドミウム、5 mM 塩化マグネシウムおよび12重量/体積% PEG 3350)ならびに2 μlの濃縮タンパク質溶液からなるハンギングドロップの蒸気拡散法により、N4のNA結晶を成長させた。
【0146】
それ故、本発明は一態様において、上記の条件下で本発明のN4タンパク質を結晶化する方法であって、各試薬は各々独立して、濃度、pH、またはPEGの場合においては分子量について、5%まで異なっていてよい前記方法を提供する。
【0147】
2 μlのリザーバー溶液(0.1 M イミダゾール、pH 8.0および35% MPD)ならびに2 μlの濃縮タンパク質溶液(10mM Tris-HCl, pH 8.0中に10 mg/ml)からなるハンギングドロップの蒸気拡散法により、N8のNA結晶を成長させた。
【0148】
それ故、本発明は一態様において、上記の条件下で本発明のN8タンパク質を結晶化する方法であって、各試薬は各々独立して、濃度、pH、またはPEGの場合においては分子量について、5%まで異なっていてよい前記方法を提供する。
【0149】
結晶化バッファー(N4の場合、凍結保護のために20% グリセロールで増強した)中に調製した20 mM阻害剤中に、結晶を30分間浸漬した。加えて、20 mMオセルタミビル中に3日間、N8のNAの結晶を浸漬した。RaxisIIc検出器に連結したインハウスRigaku-MSC RU200回転対陽極装置において100Kでデータを収集した。回折データを、Denzoを用いて積算しScalepackを用いて数値化した。サーチモデルとしてN9のNAを用いたPhaserを用いる分子置換法によって、N4およびN8のNA構造を解析した。Oを用いるCNSおよび手動モデル構築を用いた標準的な精密化を実施した。結晶学的統計値を表4に示す。Pymolを用いて全ての図を作成した。
【0150】
N1、N4およびN8の結晶構造を分子置換法によって解析し、関連する結晶学的統計値を表4に示す。表5は得られた結晶の結晶系、格子定数および分解能を示す。リガンドと結合していないN1、N4およびN8の結晶構造を表1〜3にそれぞれ示す。
【表4】

【表5】

【0151】
活性部位の比較
N1、N4およびN8のグループ-1のNAの構造の重ね合わせは、それらの活性部位が実質的に同一であることを明らかにする。しかしながら、活性部位に隣接した150-ループ(147〜152残基)および150-キャビティーを中心としたグループ-1およびグループ-2の間には、かなりのコンホメーションの違いがある。前記ループのコンホメーションは、グループ-1に特異的なVal-149のC-α位がそれと等価なグループ-2のイソロイシン残基から約7 Åの距離にあるようなコンホメーションである。さらに、149位の疎水性側鎖はグループ-1においては活性部位から離れて配置されるが、グループ-2においては活性部位に向かって配置される。活性部位に対して150-ループがもっとも接近する点において、触媒的に重要な151位のアスパラギン酸残基の側鎖の位置についてグループ-1およびグループ-2の間で1.5 Åの違いがある。150-ループにおけるアミノ酸残基の比較は、それらの間では保存されているが、グループ-1およびグループ-2の間では保存されていない、ループ構造の高度な保存に対して何らかの自明な説明を提供するものではない。
【0152】
異なる条件下で結晶化し、かつ異なる空間群である本発明の3種全てのグループ-1酵素の構造が類似の構造を示すので、このループコンホメーションはグループ-1に固有の特徴であって、偶発的な格子の接触の結果でないことは明らかである。
【0153】
構造上のこれらの違いの主たる結果は、グループ-1のNAにおいては活性部位に隣接する大きなキャビティーがあるがグループ-2のNAにおいてはそれがないことである。このキャビティーは、上記のAsp-151およびGlu-119の位置における違いのために活性部位から到達可能である。これらの2種の酸性残基の位置についての違いの複合的効果は、活性部位のキャビティーの幅を約5 Åまで増加させることである。側鎖が前記2種の酸性残基の間のおおよそ中間に位置する保存されているArg-156は、グループ-1およびグループ-2構造においておおよそ同一の位置を取り、かつ活性部位のキャビティーから150-キャビティーの中への侵入を規定する。150-キャビティーの広がりは、150-ループのコンホメーションについての違いおよびGln-136の位置によって決定される。グループ-2のタンパク質において、この残基の水素はループの150残基の主鎖カルボニルと結合している。グループ-1の構造においては、おそらくは異なるループ構造の結果として、この水素結合を形成できないGln-136が、キャビティーの底部においてその側鎖が約3.5 Å低く位置する結果となるコンホメーションを取る。その150-キャビティーはしたがって約10 Åの長さならびに5 Åの幅および深さである。このキャビティーおよび活性部位への到達性は、グループ-1のタンパク質に対するより特異的な薬剤の開発に重要な意味を有しうる。
【0154】
かかる違いが存在するということは、現在利用可能なグループ-2のNA構造に基づいたホモロジーモデリングまたは類似の技術からは明らかとはならない。
【0155】
リガンドと結合していないグループ-1およびグループ-2の構造の間における他に注目すべき2つの違いは、Glu-276およびGlu-119の側鎖のコンホメーションを含む。Glu-276のコンホメーションは特に興味深いが、それはB型インフルエンザおよびグループ-2から得たNAに対する薬剤の結合時に、該残基のコンホメーションが最も顕著な再配置を起こすからである。例えば、リガンドと結合していないグループ-2(N9)において、Glu-276のカルボキシル基は活性部位の中へ向かっているが、オセルタミビルの結合時には該カルボキシル基はただちにArg-224のグアニジウム基と二座相互作用を形成するために、該基は活性部位から離れて位置するコンホメーションを取る。そうなる場合において、Glu-276の疎水性CBおよびCGは、C6と結びついたオセルタミビルの疎水性置換基に向かって移動する。リガンドと結合していないグループ-1のNAにおいては、Glu-276のコンホメーションはグループ-2において見られるリガンドと結合したコンホメーションにより類似している。それ故、リガンドと結合していないN1におけるGlu-276のCD原子は、オセルタミビルと結合したN9における等価な原子の位置から約1 Å離れているけれども、そのカルボキシル基は未だ同様の、Arg-224との二座相互作用を形成することが可能である。Glu-119は、グループ-1においてはそのカルボキシル基がグループ-2の該基が位置するのとはおおよそ反対の方向に向かって位置するようなコンホメーションを取る。
【0156】
阻害剤の結合
本発明者らは、表4に要約されているようなグループ-1のN1、N4およびN8との複合体である様々な抗ノイラミニダーゼ阻害剤の結晶構造を決定した。特に本発明者らは、グループ-1のNAが、浸漬条件に依存する150-ループの「開いた」または「閉じた」コンホメーションのいずれかにおいてオセルタミビルを結合できることを発見する。それ故、あらかじめ形成した結晶への阻害剤の30分間の浸漬から生じるオセルタミビルとの複合体であるN8のNAの構造は、大規模なコンホメーション変化が全く起きず、150-ループはリガンドと結合していない構造におけるコンホメーションと同一のコンホメーションを保持することを明らかにする。おそらくはその150-ループのコンホメーションの結果として、酸性残基であるAsp-151およびGlu-119は、N9との複合体における場合よりも阻害剤のC4に付加した窒素からさらに離れて配置される。Arg-371とオセルタミビルのC1カルボキシルの通常の二座相互作用に加えて、Tyr-347が該カルボキシルと水素結合相互作用を形成するというさらなる例外を除いては、オセルタミビルおよびN8のNAの間の他の相互作用はN9において観察されたことと類似している。グループ-2において、347残基はチロシンではなくグルタミンであり、該残基はかかる水素結合を形成することができない。
【0157】
オセルタミビルが、開いたコンホメーションにおいて150-ループを用いてN8と結合することができるという観察結果は重要であると思われる。もしこの結晶においてリガンドの占有率が低ければ、この結果を得ることが可能となるだろう。しかしながら、X線データおよびモデル精密化の質は、この結果がその事例ではないと本発明者らが確信するようなものである。むしろ、N8に対するオセルタミビルの結合は、少なくとも結晶状態においては、2段階の過程であるようである。第一に、阻害剤がN8の「開いた」形態に対して結合し、その後リガンドとのより高い相互作用エネルギーを実現する該酵素の「閉じた」形態となる、遅いコンホメーション変化が起きる。本発明者らの構造観察は、この種の阻害剤はグループ-1のNAの「開いた」コンホメーションに対して結合することができることを示す。
【0158】
N8結晶をオセルタミビル中で3日間インキュベートしたとき、またはN1結晶をより高濃度の阻害剤中でインキュベートしたとき、150-ループはコンホメーションを変化させ、結果としてそれは阻害剤の存在下および非存在下のグループ-2において観察されたコンホメーションと極めて類似する。コンホメーションにおけるこの変化の2つの主要な意義が存在する。第一に、Glu-119およびAsp-151はどちらも結合したオセルタミビルに向かって配向し、かつ第二に、薬剤結合したグループ-1における活性部位キャビティーのサイズは今やグループ2のNAのそれとほぼ同一である。
【0159】
本発明者らはまた、グループ-1と結合した、DANA、ザナミビルおよびペラミビルの3種の他のノイラミニダーゼ阻害剤の構造を決定した。全体として、これらの構造はグループ-1の薬剤結合複合体はグループ-2について見られるものと非常に類似していることを示す。3種全ての場合において、グループ-1の150-ループは薬剤との結合において、Asp-151が阻害剤により近づき、かつそうなった場合に150-キャビティーを閉じるようにそのコンホメーションを変化させる。
【0160】
グループ-1構造における150-ループの「開いた」コンホメーションの発見は、これらの酵素に対して、このコンホメーションはこのループの「閉じた」コンホメーションよりも本質的に低エネルギーであることを示唆する。グループ-1(N8)はまず最初にこの「開いた」コンホメーションにおいてオセルタミビルと結合するが、最終的に閉じたコンホメーションを取る。それ故、グループ-1と結合しているオセルタミビルが、そのより高いエネルギーまたはおそらく比較的遅いコンホメーション変化を介して到達する、150-ループの「閉じた」立体配座を支持することは明らかである。したがって、「開いた」150-ループコンホメーションに選択的であり、かつそれによりオセルタミビルまたはザナミビルよりも強力に結合する能力を有することになる、グループ-1に対する新規な阻害剤を設計することが可能であるだろう。
【0161】
本発明者らの構造についての試験は、例えばある側鎖を、オセルタミビルの4-アミノ基、またはそれに相当するザナミビルのグアニジウム基から、150-キャビティーの中へ展開し、それによりグループ-2ノイラミニダーゼに関してグループ-1に対する新規阻害剤の結合を増強することが可能でありうることを示唆する。前記キャビティーは、オセルタミビルおよびザナミビルのC-4近傍に開いており、かつその底部に、新たな阻害剤に対する内部的な塩架橋または水素結合のペアに対する将来的なパートナーである、保存されているArg-156の突出したグアニジウム側鎖を含む。
【0162】
阻害剤の結合
グループ-1およびグループ-2変異型NAの異なるオセルタミビル耐性
インフルエンザに感染したヒトをタミフル治療した後に単離したA型インフルエンザウィルスに由来する、3種のオセルタミビルおよび/またはザナミビル耐性変異型NAの特徴付けを行った。1種類は、H5N1感染に由来し、His-274->Tyrのアミノ酸置換を含んでいた。その他の2種は、H3N2ウィルスに感染した患者に由来し、Glu-119->ValまたはArg-292->Lysのいずれかの置換を含んでいた。グループ-1およびグループ-2のNAの構造比較は、これらの変異がどのように阻害剤耐性を引き起こすのかを説明しうる、活性部位におけるグループ特異的な相違点を明らかにする。
【0163】
His-274->Tyr
His-274->Tyrの変異は、オセルタミビルに対するグループ-1のNAの高い耐性を引き起こすが、グループ-2のNAにはほとんど効果を有しない。オセルタミビルとの複合体であるグループ-1のNAの構造調査、および等価なグループ-2複合体との比較は、このグループ特異的な挙動に関する理由を示唆し、かつGlu-276の配向性におけるTyr-224変異体の効果によってどのように耐性が媒介されるのかを示す。グループ-2のNAによるオセルタミビルの結合に対するGlu-276のコンホメーションの重要性が確固たる形で証明された。グループ-1のNAがHis-274Tyr置換を受けることができない点に寄与する少なくとも2つの要素があるようである。第一に、グループ-1のNAにおける273残基に接近する270-ループは、グループ-2における等価なループよりもタイトなターンを形成する。第二に、グループ-2においては存在しないが、グループ-1においては、273位の主鎖カルボニル、250位のペプチドアミドおよび274位のヒスチジン側鎖と水素結合を形成する、252位に保存されたチロシン残基がある。His-274はまた、側鎖窒素を介してGlu-276と水素結合する。グループ-1酵素における274位でのよりかさ高いチロシン残基の導入は、Glu-276に向かって移動し、かつ部分的に該残基を置き換える、新たな側鎖によって受けることができるのみのようである。対照的に、グループ-2酵素においては、Glu-276を撹乱することなく274位のチロシンが占有するための空間を残す、252位のより小さい残基がある。この変異におけるグループ特異的な効果の解釈は、以前に報告された突然変異誘発研究から得た観察結果と一致する。
【0164】
Arg-292->Lys
Arg-292->Lysの変異は、オセルタミビルに対する耐性を示す、グループ-2のNAにおける最も共通した置換である。N9のNAにおいて、耐性は部分的にはArg-292からオセルタミビルのカルボキシル基への水素結合の消失に起因することを示すことは、すでに詳細な結晶学的分析の対象とされている。置換されたLys-292もまた、オセルタミビルのC6に付加された疎水性置換基を収容するためにその動きを妨害するGlu-276と相互作用する。グループ-1のNAの構造、およびオセルタミビルとそれらの複合体は、今やグループ-1酵素におけるより小さな変異の効果に対する可能性のある理由を明らかにする。グループ-1における347位の保存されたチロシン残基は、グループ-2における等価な残基によっては形成されることができない、阻害剤のカルボキシル基とのさらなる水素結合を形成する。このように、Tyr-347および阻害剤のカルボキシル基の間の追加の水素結合相互作用は、該カルボキシル基および292位の置換されたリジン残基との間のより弱い、水によって媒介される相互作用を補償するようである。
【0165】
上記の明細書において記載した全ての文献および特許は、引用により本明細書に組み入れられる。記載された発明の様々な改変および変更は、本発明の範囲および意図から逸脱することなく当業者に理解されることとなる。本発明を特定の好ましい実施形態に関連して記載したが、特許請求の範囲に係る発明は、かかる特定の実施形態に過度に限定されるものではないことが理解されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
N1グループのノイラミニダーゼ構造との分子構造の相互作用の分析のためのコンピューターに基づいた方法であって、該方法が:
必要に応じてCα原子からの根平均二乗偏差が0.75 Åを超えない範囲内で変動する、表1〜3のいずれか1つから得たN1グループのノイラミニダーゼ構造またはそれらの選択された座標を提供する工程;
該N1グループのノイラミニダーゼ構造またはそれらの選択された座標に対して適合する分子構造を提供する工程;ならびに
該N1グループのノイラミニダーゼ構造に対して該分子構造を適合させる工程;
含む前記方法。
【請求項2】
前記選択された座標が、Glu-119; Val-149, Asp-151, Arg-156; Arg-224; Tyr-252; His-274; Glu-276; Arg-292; Tyr-347およびArg-371の残基の1個以上から選択される原子を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記分子構造を有する化合物を得るもしくは合成する工程;ならびに
N1グループのノイラミニダーゼと相互作用する該化合物の能力を決定するために、該化合物をN1グループのノイラミニダーゼタンパク質と接触させる工程;
のステップをさらに含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記分子構造を有する化合物を得るもしくは合成する工程;
N1グループのノイラミニダーゼタンパク質および該化合物の複合体を形成する工程;ならびに
N1グループのノイラミニダーゼと相互作用する該化合物の能力を決定するために、X線結晶解析により該複合体を分析する工程;
のステップをさらに含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項5】
前記分子構造を有する化合物を得るもしくは合成する工程;
N1グループのノイラミニダーゼタンパク質および該化合物の複合体を形成する工程;ならびに
該化合物が該N1グループのノイラミニダーゼ構造とどの程度相互作用するかを決定もしくは予測する工程;ならびに
該化合物およびN1グループのノイラミニダーゼの間の相互作用を変化させるために、該化合物の構造を改変する工程;
のステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
請求項6に記載の方法を用いて同定された、改変された構造を有する化合物。
【請求項7】
前記選択された座標が少なくとも5、10、50、100、500または1000原子の座標である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
表1〜3のいずれか1つの選択された座標が147〜152位の各残基の少なくとも1つの側鎖原子を表している、請求項1〜5および7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記選択された座標がGlu-119; Glu-276およびTyr-347から選択されたアミノ酸の少なくとも1つの側鎖をさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
N1グループのノイラミニダーゼタンパク質と結合した化合物の構造を決定するための方法であって、該方法が:
該N1グループのノイラミニダーゼタンパク質の結晶を提供する工程;
複合体を形成するために該結晶を該化合物と浸漬する工程;ならびに
必要に応じて、Cα原子からの根平均二乗偏差が0.75 Åを超えない範囲内で変動する、表1〜3のいずれか1つから得た座標データもしくはそれらの選択された座標を用いることにより、該複合体の構造を決定する工程;
を含む前記方法。
【請求項11】
N1グループのノイラミニダーゼタンパク質と結合した化合物の構造を決定するための方法であって、該方法が:
N1グループのノイラミニダーゼタンパク質を該化合物と混合する工程;
タンパク質−化合物複合体を結晶化する工程;ならびに
必要に応じて、Cα原子からの根平均二乗偏差が0.75 Åを超えない範囲内で変動する、表1〜3のいずれか1つから得た座標データもしくはそれらの選択された座標を用いることにより、該複合体の構造を決定する工程;
を含む前記方法。
【請求項12】
N1グループのノイラミニダーゼタンパク質と相互作用する構造を生成するためおよび/または化合物の最適化のためのデータを提供するための方法であって、該方法が:
(i)(a)必要に応じて、Cα原子からの根平均二乗偏差が0.75 Åを超えない範囲内で変動する、表1〜3のいずれか1つから得たN1グループのノイラミニダーゼ構造もしくはその選択された座標を含む、コンピューターにより読みとり可能なデータ
を含むリモートデバイスとの通信を確立する工程;および
(ii)該リモートデバイスから該コンピューターにより読みとり可能なデータを受信する工程;
を含む前記方法
【請求項13】
前記データを用いて請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法を実施することをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
N1グループのノイラミニダーゼタンパク質の結晶。
【請求項15】
N1グループのノイラミニダーゼタンパク質およびリガンドの共結晶。
【請求項16】
前記リガンドがオセルタミビル、ザナミビル、DANAおよびペラミビル、またはそれらの誘導体からなる群より選択される、請求項15に記載の共結晶。
【請求項17】
前記N1グループのノイラミニダーゼタンパク質がN1、N4およびN8より選択される、請求項14〜16のいずれか1項に記載の結晶または共結晶。
【請求項18】
前記N1グループのノイラミニダーゼタンパク質が配列番号1の62〜449残基のN1タンパク質または1〜10個のアミノ酸置換、欠失もしくは挿入を有するそれらの変異体である、請求項14〜17のいずれか1項に記載の結晶または共結晶。
【請求項19】
前記N1グループのノイラミニダーゼタンパク質がC-斜方晶系の空間群C2221を有するN1タンパク質である、請求項14〜18のいずれか1項に記載の結晶または共結晶。
【請求項20】
全ての座標軸方向について5%の単位格子可変性を有するa=200.21 Å、b=200.77 Å、c=211.68 Å、α= 90、β=90、γ=90の格子定数を有する、請求項19に記載の結晶または共結晶。
【請求項21】
前記N1グループのノイラミニダーゼタンパク質が配列番号2の79〜470残基のN4タンパク質または1〜10個のアミノ酸置換、欠失もしくは挿入を有する該タンパク質の変異体である、請求項14〜17のいずれか1項に記載の結晶または共結晶。
【請求項22】
前記N1グループのノイラミニダーゼタンパク質が立方晶系の空間群P432またはI432を有するN4タンパク質である、請求項14〜17または21のいずれか1項に記載の結晶または共結晶。
【請求項23】
全ての座標軸方向について5%の単位格子可変性を有するa=b=c=193.79 Åの格子定数を有する、請求項22に記載の結晶または共結晶。
【請求項24】
前記N1グループのノイラミニダーゼタンパク質が配列番号3の73〜470残基のN8タンパク質または1〜10個のアミノ酸置換、欠失もしくは挿入を有する該タンパク質の変異体である、請求項14〜17のいずれか1項に記載の結晶または共結晶。
【請求項25】
前記N1グループのノイラミニダーゼタンパク質が正方晶系の空間群I4を有するN8タンパク質である、請求項14〜17または23のいずれか1項に記載の結晶または共結晶。
【請求項26】
全ての座標軸方向について5%の単位格子可変性を有するa=b=90.67 Å、c=109.4 Å、α= 90、β=90、γ=90の格子定数を有する、請求項25に記載の結晶または共結晶。
【請求項27】
全ての座標軸方向について5%の単位格子可変性を有するa=b=89.78 Å、c=93.23 Åの格子定数を有する正方晶系の空間群I4を有するN8およびペラミビルの共結晶。

【図1−1】
image rotate

【図1−2】
image rotate

【図1−3】
image rotate

【図1−4】
image rotate

【図1−5】
image rotate

【図1−6】
image rotate

【図1−7】
image rotate

【図1−8】
image rotate

【図1−9】
image rotate

【図1−10】
image rotate

【図1−11】
image rotate

【図1−12】
image rotate

【図1−13】
image rotate

【図1−14】
image rotate

【図1−15】
image rotate

【図1−16】
image rotate

【図1−17】
image rotate

【図1−18】
image rotate

【図1−19】
image rotate

【図1−20】
image rotate

【図1−21】
image rotate

【図1−22】
image rotate

【図1−23】
image rotate

【図1−24】
image rotate

【図1−25】
image rotate

【図1−26】
image rotate

【図1−27】
image rotate

【図1−28】
image rotate

【図1−29】
image rotate

【図1−30】
image rotate

【図1−31】
image rotate

【図1−32】
image rotate

【図1−33】
image rotate

【図1−34】
image rotate

【図1−35】
image rotate

【図1−36】
image rotate

【図1−37】
image rotate

【図1−38】
image rotate

【図1−39】
image rotate

【図1−40】
image rotate

【図1−41】
image rotate

【図1−42】
image rotate

【図1−43】
image rotate

【図1−44】
image rotate

【図1−45】
image rotate

【図1−46】
image rotate

【図1−47】
image rotate

【図1−48】
image rotate

【図1−49】
image rotate

【図1−50】
image rotate

【図1−51】
image rotate

【図1−52】
image rotate

【図1−53】
image rotate

【図1−54】
image rotate

【図1−55】
image rotate

【図1−56】
image rotate

【図1−57】
image rotate

【図1−58】
image rotate

【図1−59】
image rotate

【図1−60】
image rotate

【図1−61】
image rotate

【図1−62】
image rotate

【図1−63】
image rotate

【図1−64】
image rotate

【図1−65】
image rotate

【図1−66】
image rotate

【図1−67】
image rotate

【図1−68】
image rotate

【図1−69】
image rotate

【図1−70】
image rotate

【図1−71】
image rotate

【図1−72】
image rotate

【図1−73】
image rotate

【図1−74】
image rotate

【図1−75】
image rotate

【図1−76】
image rotate

【図1−77】
image rotate

【図1−78】
image rotate

【図1−79】
image rotate

【図1−80】
image rotate

【図1−81】
image rotate

【図1−82】
image rotate

【図1−83】
image rotate

【図1−84】
image rotate

【図1−85】
image rotate

【図1−86】
image rotate

【図1−87】
image rotate

【図1−88】
image rotate

【図1−89】
image rotate

【図1−90】
image rotate

【図1−91】
image rotate

【図1−92】
image rotate

【図1−93】
image rotate

【図1−94】
image rotate

【図1−95】
image rotate

【図1−96】
image rotate

【図1−97】
image rotate

【図1−98】
image rotate

【図1−99】
image rotate

【図1−100】
image rotate

【図1−101】
image rotate

【図1−102】
image rotate

【図1−103】
image rotate

【図1−104】
image rotate

【図1−105】
image rotate

【図1−106】
image rotate

【図1−107】
image rotate

【図1−108】
image rotate

【図1−109】
image rotate

【図1−110】
image rotate

【図1−111】
image rotate

【図1−112】
image rotate

【図1−113】
image rotate

【図1−114】
image rotate

【図1−115】
image rotate

【図1−116】
image rotate

【図1−117】
image rotate

【図1−118】
image rotate

【図1−119】
image rotate

【図1−120】
image rotate

【図1−121】
image rotate

【図1−122】
image rotate

【図1−123】
image rotate

【図1−124】
image rotate

【図1−125】
image rotate

【図1−126】
image rotate

【図1−127】
image rotate

【図1−128】
image rotate

【図1−129】
image rotate

【図1−130】
image rotate

【図1−131】
image rotate

【図1−132】
image rotate

【図1−133】
image rotate

【図1−134】
image rotate

【図1−135】
image rotate

【図1−136】
image rotate

【図1−137】
image rotate

【図1−138】
image rotate

【図1−139】
image rotate

【図1−140】
image rotate

【図1−141】
image rotate

【図1−142】
image rotate

【図1−143】
image rotate

【図1−144】
image rotate

【図1−145】
image rotate

【図1−146】
image rotate

【図1−147】
image rotate

【図1−148】
image rotate

【図1−149】
image rotate

【図1−150】
image rotate

【図1−151】
image rotate

【図1−152】
image rotate

【図1−153】
image rotate

【図1−154】
image rotate

【図1−155】
image rotate

【図1−156】
image rotate

【図1−157】
image rotate

【図1−158】
image rotate

【図1−159】
image rotate

【図1−160】
image rotate

【図1−161】
image rotate

【図1−162】
image rotate

【図1−163】
image rotate

【図1−164】
image rotate

【図1−165】
image rotate

【図1−166】
image rotate

【図1−167】
image rotate

【図1−168】
image rotate

【図1−169】
image rotate

【図1−170】
image rotate

【図1−171】
image rotate

【図1−172】
image rotate

【図1−173】
image rotate

【図1−174】
image rotate

【図1−175】
image rotate

【図1−176】
image rotate

【図1−177】
image rotate

【図1−178】
image rotate

【図1−179】
image rotate

【図1−180】
image rotate

【図1−181】
image rotate

【図1−182】
image rotate

【図1−183】
image rotate

【図1−184】
image rotate

【図1−185】
image rotate

【図1−186】
image rotate

【図1−187】
image rotate

【図1−188】
image rotate

【図1−189】
image rotate

【図1−190】
image rotate

【図1−191】
image rotate

【図1−192】
image rotate

【図1−193】
image rotate

【図1−194】
image rotate

【図1−195】
image rotate

【図1−196】
image rotate

【図1−197】
image rotate

【図1−198】
image rotate

【図1−199】
image rotate

【図1−200】
image rotate

【図1−201】
image rotate

【図1−202】
image rotate

【図1−203】
image rotate

【図1−204】
image rotate

【図1−205】
image rotate

【図1−206】
image rotate

【図1−207】
image rotate

【図1−208】
image rotate

【図1−209】
image rotate

【図1−210】
image rotate

【図1−211】
image rotate

【図1−212】
image rotate

【図1−213】
image rotate

【図1−214】
image rotate

【図1−215】
image rotate

【図1−216】
image rotate

【図1−217】
image rotate

【図1−218】
image rotate

【図1−219】
image rotate

【図1−220】
image rotate

【図1−221】
image rotate

【図1−222】
image rotate

【図1−223】
image rotate

【図1−224】
image rotate

【図1−225】
image rotate

【図1−226】
image rotate

【図1−227】
image rotate

【図1−228】
image rotate

【図1−229】
image rotate

【図1−230】
image rotate

【図1−231】
image rotate

【図1−232】
image rotate

【図1−233】
image rotate

【図1−234】
image rotate

【図1−235】
image rotate

【図1−236】
image rotate

【図1−237】
image rotate

【図1−238】
image rotate

【図1−239】
image rotate

【図1−240】
image rotate

【図1−241】
image rotate

【図1−242】
image rotate

【図1−243】
image rotate

【図1−244】
image rotate

【図1−245】
image rotate

【図1−246】
image rotate

【図1−247】
image rotate

【図1−248】
image rotate

【図1−249】
image rotate

【図1−250】
image rotate

【図1−251】
image rotate

【図1−252】
image rotate

【図1−253】
image rotate

【図1−254】
image rotate

【図1−255】
image rotate

【図1−256】
image rotate

【図1−257】
image rotate

【図1−258】
image rotate

【図1−259】
image rotate

【図1−260】
image rotate

【図1−261】
image rotate

【図1−262】
image rotate

【図1−263】
image rotate

【図1−264】
image rotate

【図1−265】
image rotate

【図1−266】
image rotate

【図1−267】
image rotate

【図1−268】
image rotate

【図1−269】
image rotate

【図1−270】
image rotate

【図1−271】
image rotate

【図1−272】
image rotate

【図1−273】
image rotate

【図1−274】
image rotate

【図1−275】
image rotate

【図1−276】
image rotate

【図1−277】
image rotate

【図1−278】
image rotate

【図1−279】
image rotate

【図1−280】
image rotate

【図1−281】
image rotate

【図1−282】
image rotate

【図1−283】
image rotate

【図1−284】
image rotate

【図1−285】
image rotate

【図1−286】
image rotate

【図1−287】
image rotate

【図1−288】
image rotate

【図1−289】
image rotate

【図1−290】
image rotate

【図1−291】
image rotate

【図1−292】
image rotate

【図1−293】
image rotate

【図1−294】
image rotate

【図1−295】
image rotate

【図1−296】
image rotate

【図1−297】
image rotate

【図1−298】
image rotate

【図1−299】
image rotate

【図1−300】
image rotate

【図1−301】
image rotate

【図1−302】
image rotate

【図1−303】
image rotate

【図1−304】
image rotate

【図1−305】
image rotate

【図1−306】
image rotate

【図1−307】
image rotate

【図1−308】
image rotate

【図1−309】
image rotate

【図1−310】
image rotate

【図1−311】
image rotate

【図1−312】
image rotate

【図1−313】
image rotate

【図1−314】
image rotate

【図1−315】
image rotate

【図1−316】
image rotate

【図1−317】
image rotate

【図1−318】
image rotate

【図1−319】
image rotate

【図1−320】
image rotate

【図1−321】
image rotate

【図1−322】
image rotate

【図1−323】
image rotate

【図1−324】
image rotate

【図1−325】
image rotate

【図1−326】
image rotate

【図1−327】
image rotate

【図1−328】
image rotate

【図1−329】
image rotate

【図1−330】
image rotate

【図1−331】
image rotate

【図1−332】
image rotate

【図1−333】
image rotate

【図1−334】
image rotate

【図1−335】
image rotate

【図1−336】
image rotate

【図1−337】
image rotate

【図1−338】
image rotate

【図1−339】
image rotate

【図1−340】
image rotate

【図1−341】
image rotate

【図1−342】
image rotate

【図1−343】
image rotate

【図1−344】
image rotate

【図1−345】
image rotate

【図1−346】
image rotate

【図1−347】
image rotate

【図1−348】
image rotate

【図1−349】
image rotate

【図1−350】
image rotate

【図1−351】
image rotate

【図1−352】
image rotate

【図1−353】
image rotate

【図1−354】
image rotate

【図1−355】
image rotate

【図1−356】
image rotate

【図1−357】
image rotate

【図1−358】
image rotate

【図1−359】
image rotate

【図1−360】
image rotate

【図1−361】
image rotate

【図1−362】
image rotate

【図1−363】
image rotate

【図1−364】
image rotate

【図1−365】
image rotate

【図1−366】
image rotate

【図1−367】
image rotate

【図1−368】
image rotate

【図1−369】
image rotate

【図1−370】
image rotate

【図1−371】
image rotate

【図1−372】
image rotate

【図1−373】
image rotate

【図1−374】
image rotate

【図1−375】
image rotate

【図1−376】
image rotate

【図1−377】
image rotate

【図1−378】
image rotate

【図1−379】
image rotate

【図1−380】
image rotate

【図1−381】
image rotate

【図1−382】
image rotate

【図1−383】
image rotate

【図1−384】
image rotate

【図1−385】
image rotate

【図1−386】
image rotate

【図1−387】
image rotate

【図1−388】
image rotate

【図1−389】
image rotate

【図1−390】
image rotate

【図1−391】
image rotate

【図1−392】
image rotate

【図1−393】
image rotate

【図1−394】
image rotate

【図1−395】
image rotate

【図1−396】
image rotate

【図1−397】
image rotate

【図1−398】
image rotate

【図1−399】
image rotate

【図1−400】
image rotate

【図1−401】
image rotate

【図1−402】
image rotate

【図2−1】
image rotate

【図2−2】
image rotate

【図2−3】
image rotate

【図2−4】
image rotate

【図2−5】
image rotate

【図2−6】
image rotate

【図2−7】
image rotate

【図2−8】
image rotate

【図2−9】
image rotate

【図2−10】
image rotate

【図2−11】
image rotate

【図2−12】
image rotate

【図2−13】
image rotate

【図2−14】
image rotate

【図2−15】
image rotate

【図2−16】
image rotate

【図2−17】
image rotate

【図2−18】
image rotate

【図2−19】
image rotate

【図2−20】
image rotate

【図2−21】
image rotate

【図2−22】
image rotate

【図2−23】
image rotate

【図2−24】
image rotate

【図2−25】
image rotate

【図2−26】
image rotate

【図2−27】
image rotate

【図2−28】
image rotate

【図2−29】
image rotate

【図2−30】
image rotate

【図2−31】
image rotate

【図2−32】
image rotate

【図2−33】
image rotate

【図2−34】
image rotate

【図2−35】
image rotate

【図2−36】
image rotate

【図2−37】
image rotate

【図2−38】
image rotate

【図2−39】
image rotate

【図2−40】
image rotate

【図2−41】
image rotate

【図2−42】
image rotate

【図2−43】
image rotate

【図2−44】
image rotate

【図2−45】
image rotate

【図2−46】
image rotate

【図2−47】
image rotate

【図2−48】
image rotate

【図2−49】
image rotate

【図2−50】
image rotate

【図2−51】
image rotate

【図2−52】
image rotate

【図2−53】
image rotate

【図2−54】
image rotate

【図2−55】
image rotate

【図2−56】
image rotate

【図2−57】
image rotate

【図2−58】
image rotate

【図2−59】
image rotate

【図2−60】
image rotate

【図2−61】
image rotate

【図2−62】
image rotate

【図2−63】
image rotate

【図2−64】
image rotate

【図2−65】
image rotate

【図2−66】
image rotate

【図2−67】
image rotate

【図2−68】
image rotate

【図2−69】
image rotate

【図2−70】
image rotate

【図2−71】
image rotate

【図2−72】
image rotate

【図2−73】
image rotate

【図2−74】
image rotate

【図2−75】
image rotate

【図2−76】
image rotate

【図2−77】
image rotate

【図2−78】
image rotate

【図2−79】
image rotate

【図2−80】
image rotate

【図2−81】
image rotate

【図2−82】
image rotate

【図2−83】
image rotate

【図2−84】
image rotate

【図2−85】
image rotate

【図2−86】
image rotate

【図2−87】
image rotate

【図2−88】
image rotate

【図2−89】
image rotate

【図2−90】
image rotate

【図2−91】
image rotate

【図2−92】
image rotate

【図2−93】
image rotate

【図2−94】
image rotate

【図2−95】
image rotate

【図2−96】
image rotate

【図2−97】
image rotate

【図2−98】
image rotate

【図2−99】
image rotate

【図2−100】
image rotate

【図2−101】
image rotate

【図2−102】
image rotate

【図2−103】
image rotate

【図2−104】
image rotate

【図2−105】
image rotate

【図3−1】
image rotate

【図3−2】
image rotate

【図3−3】
image rotate

【図3−4】
image rotate

【図3−5】
image rotate

【図3−6】
image rotate

【図3−7】
image rotate

【図3−8】
image rotate

【図3−9】
image rotate

【図3−10】
image rotate

【図3−11】
image rotate

【図3−12】
image rotate

【図3−13】
image rotate

【図3−14】
image rotate

【図3−15】
image rotate

【図3−16】
image rotate

【図3−17】
image rotate

【図3−18】
image rotate

【図3−19】
image rotate

【図3−20】
image rotate

【図3−21】
image rotate

【図3−22】
image rotate

【図3−23】
image rotate

【図3−24】
image rotate

【図3−25】
image rotate

【図3−26】
image rotate

【図3−27】
image rotate

【図3−28】
image rotate

【図3−29】
image rotate

【図3−30】
image rotate

【図3−31】
image rotate

【図3−32】
image rotate

【図3−33】
image rotate

【図3−34】
image rotate

【図3−35】
image rotate

【図3−36】
image rotate

【図3−37】
image rotate

【図3−38】
image rotate

【図3−39】
image rotate

【図3−40】
image rotate

【図3−41】
image rotate

【図3−42】
image rotate

【図3−43】
image rotate

【図3−44】
image rotate

【図3−45】
image rotate

【図3−46】
image rotate

【図3−47】
image rotate

【図3−48】
image rotate

【図3−49】
image rotate

【図3−50】
image rotate

【図3−51】
image rotate

【図3−52】
image rotate

【図3−53】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公表番号】特表2009−539365(P2009−539365A)
【公表日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−513757(P2009−513757)
【出願日】平成19年6月6日(2007.6.6)
【国際出願番号】PCT/GB2007/002065
【国際公開番号】WO2007/141516
【国際公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【出願人】(597166578)メディカル リサーチ カウンシル (60)
【Fターム(参考)】