説明

インモールド成形法

【課題】不織布の目付け量を増大させずにインモールド成形するに際して、成形材料の意匠不織布等の意匠シート表面(意匠面)への滲出を確実に防止することが可能なインモールド成形法を提供すること。
【解決手段】透液性の意匠シートを金型の製品キャビティ内にセットして、該製品キャビティ内に成形材料を注入して基材部の成形と同時に、該基材部と前記意匠シートとを融着一体化させるインモールド成形法。意匠シート12として、インモールド成形時における注入材料に対するバリア膜20を意匠不織布層14と裏打ち不織布層16との間に備えている。バリア膜20と各不織布層14、16とは融着作用を奏する接着膜22により結合一体化している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インモールド成形法に関し、特に、不織布等からなる透液性の意匠シートを用いてインモールド成形する場合に好適なインモールド成形法に関する。
【0002】
ここでは、適用するインモールド成形体として、不織布を意匠シートとする車両用内装品を例に採り説明するが、透液性の意匠シートを用いるインモールド成形体なら、特に限定されるものではない。
【0003】
なお、車両用内装品としては、パッケージトレイ、バックドアトリム、デッキボード等を挙げることができる。
【背景技術】
【0004】
従来から、車両用内装品として樹脂を成形した部品(樹脂成形品)が多く使用されている。車両用内装品の成形方法としては、樹脂を射出、押出し、中空、真空・圧空、パウダースラッシュ、圧縮、発泡等の手段により所定の形状を有する製品(部品)に成形するものが知られている。これらの方法によって成形された内装品は、場合によってはその表面を柔らかい布帛等で被覆し表面の意匠性を向上させることが行われている。そしてこの布帛等にはニードルパンチ加工を施して製造した不織布が使用されることが多い。
【0005】
このようなニードルパンチ加工を施した不織布を車両用内装品に貼着するものでは、品質(仕上がり性)が作業者の熟練度に依存するため、生産性が良好でなく、また、安定した品質のものを得がたかった。
【0006】
そこで、不織布からなる意匠シート(意匠不織布)を金型の製品キャビティ内にセットして、製品キャビティ内に成形材料を注入(射出)して基材部の成形と同時に、該基材部と前記意匠シートとを融着一体化させるインモールド成形法で車両用内装品を製造することが考えられる。
【0007】
しかし、当該インモールド成形に際して、製品キャビティに注入される射出材料は流動性が良好で射出圧も高いため、該意匠不織布の表面に基材部用の成形材料が滲出することがあった。
【0008】
例えば、成形材料をポリプロピレン(PP)とした場合、射出圧力は、プランジャのとき、700〜2000kg/cm2(68.6〜196MPa)、スクリューのとき500〜1500kg/cm2(49〜147MPa)である(プラスチック加工技術便覧編集委員会編「プラスチック加工技術便覧新版」日刊工業新聞社刊、昭和52年12月20日発行、p.195、表3・22参照)。
【0009】
このため、成形材料の意匠不織布表面への滲出を防止するために該不織布の目付を大幅にアップすることも考えられる。しかし、不織布の目付けを大幅にアップしたものでは、滲出の問題は解決するが、不織布の伸びが悪くなり成形時にシワが発生しやすいなどの問題があり、さらに、不織布の目付アップによる重量増大及びコストアップも問題となり好ましくない。
【0010】
本発明の発明性に影響を与えるものではないが、本発明に関連する先行技術文献として、たとえば、特許文献1「表皮一体発泡射出成形用表皮材」が存在する。
【特許文献1】特開2003−25369公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、上記にかんがみて、不織布の目付け量を増大させずにインモールド成形に際して、成形材料の意匠不織布等の意匠シート表面(意匠面)への滲出を確実に防止することが可能なインモールド成形法およびインモールド成形用意匠シートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、上記課題を解決するために、鋭意開発に努力をした結果、下記構成のインモールド成形法に想到した。
【0013】
透液性の意匠シートを金型の製品キャビティ内にセットして、該製品キャビティ内に成形材料を注入して基材部の成形と同時に、該基材部と前記意匠シートとを融着一体化させるインモールド成形法において、
前記意匠シートとして、1)インモールド成形時における注入材料に対するバリア膜を中間部に備えたものを、又は、2)インモールド成形時における注入材料に対するバリア膜を裏面側に備え、さらに該バリア膜の成形材料注入側に融着作用を奏する接着膜を備えたものを、使用することを特徴とする。
【0014】
意匠シートの中間又は裏面側に注入材料に対するバリア膜が存在するため、成形時における材料の意匠シートの意匠面(表面)側への移動が阻止される。したがって、意匠シート(意匠不織布)等における目付け量を増大させなくても、注入材料の意匠シート表面側への滲出(しみだし)が確実に阻止できる。
【0015】
そして、意匠シートの中間にバリア膜が存在する場合は、成形材料の注入に際して、バリア膜の材料注入対向面側に緩衝層が形成される。このため、バリア膜の注入材料に対するバリア強度を、直接的に注入材料が作用する2)の場合に比して低くでき、材質の自由度が増大して、また、膜厚も薄くできる。
【0016】
なお、意匠シートの構成は、上記1)の場合、意匠不織布層と裏打ち不織布層とが複合バリアフィルムを挟持して一体化された三層構造体であり、該バリアフィルムは、前記バリア膜となる本体膜の両面に融着作用を奏する接着膜を備えたものとなり、上記2)の場合、意匠面不織布層の裏面に複合バリアフィルムが一体化された二層構造体であり、該複合バリアフィルムはバリア膜となる本体膜の両面に融着作用を奏する接着膜を備えたものとすることが望ましい。
【0017】
即ち、不織布とバリア膜となる本体膜の両面に融着作用を奏する接着膜を備えた複合バリアフィルムを使用することにより、本発明で使用するインモールド成形用意匠シートを容易に調製(製造)することができる。
【0018】
そして意匠不織布層は、短繊維ウェブにニードルパンチ加工して調製した不織布で形成することが望ましい。意匠シートをニードルパンチ不織布で形成することにより、軽量で物性的(触感も含めて)自由度の高い意匠面を備えたインモールド成形品を容易に製造(調製)することができる。
【0019】
前記バリア膜は、通常、前記基材部を形成する成形材料ベース樹脂の融点より10℃以上高い融点を有する熱可塑性樹脂で形成する。これによりバリア膜の注入材料に対するバリア性を確保し易くなる。
【0020】
上記構成は、前記基材部を熱可塑性非極性樹脂をベースとする成形材料で形成するとき、前記バリア膜を熱可塑性極性樹脂で形成することにより容易に形成できる。
【0021】
また、複合バリアフィルムにおけるバリア膜を極性熱可塑性樹脂で形成し、接着膜を極性基導入の変性非極性樹脂で形成することにより、上記意匠シーとを容易に製造することができる。
【0022】
上記製造方法に使用する各インモールド成形用意匠シートは、それぞれ各構成となる。
【0023】
意匠不織布層と裏打ち不織布層とが複合バリアフィルムを挟持して一体化された三層構造体であり、該複合バリアフィルムは、インモールド成形時における注入材料に対するバリア膜となる本体膜の両面に融着作用を奏する接着膜を備えたものであることを特徴とする。
【0024】
意匠不織布層の裏面に、バリア膜の両面に融着作用を奏する複合バリアフィルムが融着一体化されたニ層構造体であり、該複合バリアフィルムは、インモールド成形時における注入材料に対するバリア膜となる本体膜の両面に融着作用を奏する接着膜を備えたものであることを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明における最良の形態のいくつかについて説明をする。
【0026】
ここでは、図4に示すようなインモールド成形体(製品名:テールランプ蓋)Mを、図5に示すような工程を経て射出成形によりインモールド成形する場合について、説明する。本実施形態は、射出成形に限らず、他の注入(トランスファー)成形、圧縮成形等にも適用できるものである。また、通液性の意匠シート体として、不織布積層体を例に採り説明するが、織布、編物等の布帛、さらには、合成皮革(スポンジ状)のような透液性シート体においても同様である。
【0027】
まず、図1又は図2に示すような透液性の意匠シート(不織布積層体)12(12A)を調製する。
【0028】
図1に示す意匠シート12は、意匠不織布層14と裏打ち不織布層16とで複合バリアフィルム18(図3)を挟持融着一体化させた三層構造のものである。また、図2に示す意匠シート12Aは、意匠不織布層14の裏面に複合パリアフィルム18(図3)を融着一体化させ二層構造のものである。
【0029】
ここで、複合バリアフィルム18としては、インモールド成形時における注入材料に対するバリア膜20となる本体膜(コア膜)の両面に融着作用を奏する接着膜22が形成されたものを使用する。より具体的には、基材部(注入成形部)24の成形材料の融点(材料注入温度)より10℃以上、望ましくは20℃以上高い融点を備えた本体膜(バリア膜)20の両面に、材料注入温度で溶融する接着膜22、22を備えたものとする(図3参照)。
【0030】
基材部(注入成形部)24の成形材料をポリプロピレン(PP)(イソタクチック、融点165℃)又はポリエチレン(HDPE、高度の線状128〜135℃)等の熱可塑性非極性樹脂をベースとする成形材料で形成する場合、下記のようなポリアミドやポリエステル等の熱可塑極性樹脂で本体膜(バリア膜)20を形成する。なお、PPやPEは、プラスチック中で相対的に比重が小さく、車両用内装品を成形した場合、内装品の軽量化に寄与する。
【0031】
なお、各樹脂(プラスチック)の融点は、三田達監訳「MARUZEN 高分子大辞典」(平6−9−20)丸善、p947表4、p1015表3及びp1032表4から引用したものである。
【0032】
ポリアミド:ナイロン6(215℃)、ナイロン66(255℃)、ナイロン11(194℃)、ナイロン12(179℃)、ナイロン69(205℃)等
ポリエステル:ポリエチレンテレフタレート(PET)(256℃)等
また、接着膜22は、上記PPやPEをベースとした変性ポリオレフィンで形成する。
【0033】
このとき、本体膜20の膜厚は、成形時に注入材料の意匠面側への流入を阻止(バリア)できる膜厚で可及的に薄い方が望ましい。薄い方が、装飾シートの可撓性を阻害しないためである。例えば、芯材フィルムをナイロン6とした場合、通常、約15〜50μm、好ましくは約20〜30μmの範囲で適宜設定する。
【0034】
そして、複合バリアフィルム18の合計膜厚は、意匠シート形成材である不織布層14、16さらには成形体の基材部(注入成形部)24との融着性(接着性)を確保できる範囲の接着膜22を有して、可及的に薄い方が望ましく、例えば、50〜100μmとする。
【0035】
なお、この複合バリアフィルム18は、同時押出しインフレーション法や、別体製造フィルム相互を融着一体化して製造する。
【0036】
また、不織布14、16としては、ポリエステル(通常PET)短繊維を主原料としてニードルパンチにより形成したものを使用する。より具体的には、太さ:3.3〜11dtex、カット長:51〜76mmのポリエステル短繊維からなるクロスレイアーでウェブを形成し、ニードルロックしたものを使用する。接着剤ロック不織布に比して、意匠性及び触感に優れている。したがって、裏打ち不織布16は、接着剤結合不織布としてもよい。
【0037】
なお、この三層構成の意匠シートにおいて、裏打ち不織布層16をスポンジのような透液性シートとして、さらには、意匠不織布層14も同様にスポンジ状の合成皮革としてもよい。この場合は、スポンジ層を押出と同時に、バリア層を二色押出しすれば、本実施形態のような複合バリアフィルムを使用することが不要となる。
【0038】
そして、不織布の目付け量及び成形前の見掛け厚さは、複合バリアフィルムを挟着した図1に示すサンドイッチ構造(三層構造)とするか、不織布裏面に複合バリアフィルムを積層し図2に示すニ層構造とするかにより異なる。
【0039】
例えば、三層構造の場合、要求される表面物性(剛性、ソフト感等)や不織布形成繊維により異なるが、例えば、特性、意匠面側不織布層:100〜350g/m2の、注入成形部側不織布層:25〜150g/m2のものを使用し、合計目付け量:125〜500g/m2とで、見掛け合計厚み1〜6mmとする。
【0040】
二層構造の場合、150〜500g/m2のもので、見掛け合計厚み1〜6mmとする。
【0041】
そして、上記意匠シート(不織布積層体)12、12Aは、上記複合バリアフィルム18を不織布(意匠不織布層14及び裏打ち不織布層16)で挟着した状態で、両面から加熱して、又は、バリアフィルム18の上に不織布(意匠不織布層14)を載置した状態で、不織布側から、接着層(融着層)が接着(融着)作用を奏する温度で加熱(高周波、超音波等の内部加熱を含む。)して製造する。
【0042】
このときの加熱条件は、不織布の形成繊維が劣化しないで、かつ、接着層が融着作用を奏するに十分な温度とする。例えば、本体膜20:ナイロン6、接着膜22:PPベース変性ポリオレフィンの場合、120〜160℃とする。なお、加熱時間は、通常、1秒以内である。
【0043】
そして、上記で調製した意匠シート(不織布積層体)12、12Aを使用して、下記のような工程を経るインモールド成形法によりインモールド成形体を製造する(図5)。なお、上記インモールド成形法は、従来におけるものと、実質的に同じである。
【0044】
1)型開き状態の射出成形用金型の下型(雄型)26に、意匠シート12(12A)をセットする(図3(a))
2)型閉じを行うことによりに意匠シート12(12A)の周面を、下型(雄型)24及び上型(雌型)28で挟持して、製品キャビティ28内に保持する(図3(b))。
【0045】
3)次に成形材料(注入材料)を製品キャビティ30内に射出(注入)して、射出(注入)圧により意匠シート12(12A)が上型(雌型)28の製品キャビティ30の意匠面賦形面30aに圧接される同時に、意匠シート12(12A)と基材部(注入成形部)24とを融着一体化される。
【0046】
即ち、図1に示すサンドイッチ構造の意匠シート(不織布積層体)12の場合、成形材料が裏打ち不織布層16に流入して、裏打ち側不織布層16が基材部(注入成形部)24と主として機械的に結合(部分的には融着)されて、意匠シート12が基材部24と一体化する。
【0047】
また、図2に示す二層構造の意匠シート(不織布積層体)12Aの場合、成形材料による加熱により意匠シート12Aの裏面側における複合バリアフィルム18の接着膜22が溶融して基材部(注入成形部)が意匠シート12Aと一体化する。
【0048】
このとき、各意匠シート12(12A)における複合バリアフィルム18のバリア膜(本体膜)20が、それぞれ、注入材料(成形材料)の意匠不織布層14側への浸入を阻止(バリア)する。このため、意匠不織布層14の表面に射出材料(注入材料)が滲出して(しみだして)、インモールド成形品Mの表面意匠性が阻害されることがない。
【0049】
こうしてインモールド成形した図4に示すようなインモールド成形品Mは、意匠シート(不織布積層体)をトリミング(耳切り)して製品とする。
【実施例】
【0050】
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明する。なお、実施例中における各特性値の測定は下記の方法に従った。
【0051】
(1) 目付量: 目付け量は、下記式により算定する。
【0052】
平均目付(g/m2)=W/(L×S)
但し W:1反の重量(g)、L:1反の長さ(m)、S:幅(m)を示す。
【0053】
<実施例1>
1)意匠不織布14の調製
ポリエステル繊維(繊度=3.3dtex、繊維長=51mm)を用いて、カードから出て来たウェブをクロスラッパーで積層して、平均目付が250g/m2となるように調節してウェブシートを作製し、該シートにニードルパンチ加工を施して、不織布を調製した。該不織布の平均厚さは3mmであった。
【0054】
2)裏打ち不織布16の調製
市販のPET/PE二成分構成のスパンボンド(芯部PET/鞘部PE)で目付量50g/m、厚さ0.3mmのスパンボンドを裏打ち不織布として用いた。
【0055】
3)複合バリアフィルムの仕様:
ナイロン6層(融点223℃の本体膜)の両面に変性ポリエチレン層(融点128〜135℃の接着層)を形成した合計フィルム厚75μmの市販品。なお、各膜厚は、ほぼ同じである。
【0056】
4)意匠シート(不織布積層体)の調製:
意匠不織布14の上面に複合バリアフィルム18及び裏打ち不織布16を順に積層して、両面から熱ローラで加熱圧着して(条件:ローラ表面温度50℃×0.6s)、三層構造の意匠シート12を調製した。
【0057】
5)不織布インモールド成形体の調製:
該不織布積層体を射出成形用金型にセット(インモールド)して、ポリオレフィン系成形材料を射出してインモールド成形体(全体肉厚:4mm)を成形した。このときに射出設定条件は、ノズル温度:190℃、金型温度:60℃、射出圧力:100MPaとした。
【0058】
そして、成形品の意匠不織布層表面には、基材ポリオレフィン系材料の浸出は見られなかった。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の一実施形態において使用する三層構造の意匠シート(不織布積層体)及び印モールド成形体の各モデル(概念)断面図である。
【図2】本発明の他の実施形態において使用する二層構造の意匠シート(不織布積層体)及び印モールド成形体の各モデル(概念)断面図である。
【図3】本発明の各実施形態において使用する複合バリアフィルムの一例を示す概念断面図である。
【図4】本発明を適用するインモールド成形法の一例を示す工程モデル(概略)断面図である。
【図5】本発明を適用するインモールド成形体の一例を示す裏面斜視図である。
【符号の説明】
【0060】
12、12A・・・意匠シート(不織布積層体)
14・・・意匠不織布(層)
16・・・裏打ち不織布(層)
18・・・複合バリアフィルム
20・・・バリア膜(本体膜)
22・・・接着膜
24・・・基材部(注入成形部)




【特許請求の範囲】
【請求項1】
透液性の意匠シートを金型の製品キャビティ内にセットして、該製品キャビティ内に成形材料を注入して基材部の成形と同時に、該基材部と前記意匠シートとを融着一体化させるインモールド成形法において、
前記意匠シートとして、インモールド成形時における注入材料に対するバリア膜を中間部に備えたものを使用することを特徴とするインモールド成形法。
【請求項2】
前記意匠シートが、意匠不織布層と裏打ち不織布層とが複合バリアフィルムを挟持して一体化された三層構造体であり、該バリアフィルムは、前記バリア膜となる本体膜の両面に融着作用を奏する接着膜を備えたものであることを特徴とする請求項1記載のインモールド成形法。
【請求項3】
透液性の意匠シートを金型の製品キャビティ内にセットして、前記製品キャビティ内に成形材料を注入して基材部の成形と同時に、該基材部と前記意匠シートとを融着一体化させるインモールド成形法において、
前記意匠シートとして、インモールド成形時における注入材料に対するバリア膜を裏面側に備え、さらに該バリア膜の成形材料注入側に融着作用を奏する接着膜を備えたものを使用することを特徴とするインモールド成形法。
【請求項4】
前記意匠シートが、意匠面不織布層の裏面に複合バリアフィルムが一体化され二層構造体であり、該複合バリアフィルムは前記バリア膜となる本体膜の両面に融着作用を奏する接着膜を備えたものであることを特徴とする請求項3記載のインモールド成形法。
【請求項5】
前記意匠不織布層が、短繊維ウェブにニードルパンチ加工して調製した不織布で形成されていることを特徴とする請求項2又は4記載のインモールド成形法。
【請求項6】
前記バリア膜が、前記基材部を形成するベース樹脂の融点より10℃以上高い融点を有する熱可塑性樹脂で形成されていることを特徴とする請求項1〜5いずれかに記載のインモールド成形法。
【請求項7】
前記基材部を熱可塑性非極性樹脂をベースとする成形材料で形成するとき、前記バリア膜が熱可塑性極性樹脂で形成されていることを特徴とする請求項1〜6いずれかに記載のインモールド成形法。
【請求項8】
前記複合バリアフィルムにおけるバリア膜が極性熱可塑性樹脂で形成され、前記接着膜が極性基導入の変性非極性樹脂で形成されていることを特徴とする請求項2、4〜7いずれかに記載のインモールド成形法。
【請求項9】
意匠不織布層と裏打ち不織布層とが複合バリアフィルムを挟持して一体化された三層構造体であり、該複合バリアフィルムは、インモールド成形時における注入材料に対するバリア膜となる本体膜の両面に融着作用を奏する接着膜を備えたものであることを特徴とするインモールド成形用意匠シート。
【請求項10】
意匠不織布層の裏面に、バリア膜の両面に融着作用を奏する複合バリアフィルムが融着一体化されたニ層構造体であり、該複合バリアフィルムは、インモールド成形時における注入材料に対するバリア膜となる本体膜の両面に融着作用を奏する接着膜を備えたものであることを特徴とするインモールド成形用意匠シート。
【請求項11】
前記複合バリアフィルムにおけるバリア膜が極性熱可塑性樹脂で形成され、前記融着接着膜が極性基導入の変性非極性樹脂で形成されていることを特徴とする請求項9又は10記載のインモールド成形用意匠シート。
【請求項12】
前記意匠不織布層が、短繊維ウェブにニードルパンチ加工して調製した不織布で形成されていることを特徴とする請求項9又は10記載のインモールド成形用意匠シート。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−76088(P2006−76088A)
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−261545(P2004−261545)
【出願日】平成16年9月8日(2004.9.8)
【出願人】(000149446)株式会社オーツカ (7)
【Fターム(参考)】