説明

ウィンドモール

【課題】窓枠部に装着された場合に、窓枠部の組み立てのバラツキを吸収して、コーナー部のリップに皺等の不具合を生じ難くし、コーナー部の美観を良好にすることができるウィンドモールを提供する。
【解決手段】側部にウィンドシールド嵌着溝13が形成されたモール本体部12と、前記モール本体部12から車体パネルの窓枠部へ向けて突設されたリップ17とを有するモール部材11同士が、前記リップ17を外側として所定角度で接合され、前記接合部がウィンドモールのコーナー部10Cとされたウィンドモール10であって、前記コーナー部10Cでは前記リップ17が分断されて前記リップ17間が前記モール本体部12側から前記リップ先端側へ向かって拡開すると共に、前記リップ17間には前記モール本体部12側から突出したリップ間片19を形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モール部材がウィンドガラス等のウィンドシールドのコーナー部(角部)と対応する部分で接合されたウィンドモールに関する。
【背景技術】
【0002】
図8に示すように、自動車のフロントあるいはリアのウィンドガラス等のウィンドシールドGの周囲には、ウィンドシールドGと車体パネル60の窓枠部61との間隙をシールするためにウィンドモール80が装着されている。このウィンドモール80は、図9に示すように、ポリ塩化ビニル(PVC)やオレフィン系エラストマー(TPO)等の合成樹脂材料から所定断面形状に押出成形された合成樹脂製のモール部材81を所定長及び角度に切断し、その端部82をウィンドシールドGの角部G1に対応する角度で接合することによって一連にしたものである。前記モール部材81の接合部はウィンドモール80のコーナー部80Cを構成する。
【0003】
前記モール部材81は、一方の側部にウィンドシールドが取り付けウィンドシールド嵌着溝82が形成されたモール本体部83と、モール本体部83から車体パネルの窓枠部61へ向けて突設されたリップ85を有する。符号84は脚部である。前記ウィンドモール80は、図9及図10に示すように、前記ウィンドシールド嵌着溝82にウィンドシールドGの縁が嵌められて前記ウィンドシールドGと共に車体パネルの窓枠部61に装着される。前記リップ85は、車体パネルの窓枠部61の立ち壁62に当接してウィンドシールドGと窓枠部61との間隙をシールする。
【0004】
前記ウィンドモール80をウィンドシールドGと共に車体パネル60の窓枠部61に装着すると、前記リップ85の先端側85aが車体パネルの立ち壁62に圧接して外方側へ曲げられ、ウィンドモールのコーナー部80Cにおいて前記リップ85の肉余りが起きて皺Sが発生し、該コーナー部80Cの美観が損なわれる問題を生じ易い。また、前記車体パネルの立ち壁62とリップ85の間に隙間を生じることもある。
【0005】
前記ウィンドモール80のコーナー部80Cの不具合を軽減するため、コーナー部におけるリップの先端側を予め外方側へ曲げた状態としたものが提案されている。しかしながら、車体パネルの窓枠部61には組み立て時のバラツキがあるため、コーナー部におけるリップの先端側を予め外方側へ曲げたウィンドモールであっても、車体パネルの窓枠部に装着された場合に、コーナー部でリップに僅かながら肉余りが起きて皺が発生したり、コーナー部の美観が僅かながら損なわれたりするおそれがある。なお、前記ウィンドシールド嵌着溝が無く、図11に示すようにウィンドシールドGの内面の縁に接着剤95で固着されるウィンドモール90においても前記と同様にコーナー部の問題がある。図11の符号91はモール本体部、92はリップである。
【0006】
【特許文献1】特開2000−71761号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は前記の点に鑑みなされたものであって、窓枠部に装着された場合に、窓枠部の組み立てのバラツキを吸収して、コーナー部のリップに皺等の不具合を生じ難くし、コーナー部の美観を良好にすることができるウィンドモールの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明は、車両用ウィンドシールドが取り付けられるモール本体部と、前記モール本体部から車体パネルの窓枠部へ向けて突設されたリップとを有するモール部材同士が、前記リップを外側として所定角度で接合され、前記接合部がコーナー部とされたウィンドモールにおいて、前記コーナー部では前記リップが分断されて前記リップ間が前記モール本体部側から前記リップ先端側へ向かって拡開すると共に、前記リップ間には前記モール本体部側から突出したリップ間片が形成されていることを特徴とする。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1において、前記リップ間片が前記リップよりも短く形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ウィンドモールは、ウィンドシールドに装着されて窓枠部に装着された際に、リップが窓枠部のコーナー部の立ち壁に当接して外方側へ曲げられることとなるが、ウィンドモールのコーナー部はリップが分断されてリップ間がモール本体部側からリップ先端側へ向かって拡開しているため、窓枠部のコーナー部にバラツキがあってもリップは皺を生じることなく窓枠部のコーナー部に合わせて外方側へ曲がることができる。しかも、リップ間にはモール本体部側から突出したリップ間片が形成されているため、外方へ曲がったリップ間に隙間が残っても前記隙間部分に前記リップ間片が位置することにより、リップ間の隙間を目立たなくすることができ、コーナー部の美観を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図1は本発明の一実施例に係るウィンドモールの平面図、図2は図1のA部の平面図、図3は図1のA部の斜視図、図4は図1のA部の裏側斜視図、図5は接合前のモール部材の端部平面図、図6は同実施例のウィンドモールのコーナー部におけるリップの曲げ状態を示す斜視図、図7はウィンドシールド嵌着溝の無いウィンドモールのコーナー部におけるリップの曲げ状態を示す斜視図である。
【0012】
図1〜図4に示すウィンドモール10は、図6に示すように、自動車のフロントあるいはリアのウィンドガラス等からなるウィンドシールドGの周囲に装着されて、ウィンドシールドGと共に車体パネル60における窓枠部61に装着されるものである。前記車体パネル60および窓枠部61は、図8および図10に示した従来例と同様である。前記ウィンドモール10は、所定断面形状に押出成形されて所定長に切断された合成樹脂製のモール部材11,11,11が端部で溶着により接合されたものからなる。
【0013】
前記モール部材11は、ポリオレフィン系エラストマや塩化ビニル樹脂等の合成樹脂からなり、一方の側部にウィンドシールド嵌着溝13が形成されたモール本体部12と、前記モール本体部12から前記ウィンドシールド嵌着溝13とは反対側の車体パネルの窓枠部61へ向けて突設されたリップ17とを有する。前記モール本体部12のウィンドシールド嵌着溝13はウィンドシールドの縁が挿入される溝である。前記モール本体部12の壁部15には剛性を高めるための金属製芯材16が埋設されている。
【0014】
前記リップ17は、ウィンドモール10をウィンドシールドの縁に装着して車体パネルの窓枠部61に装着した際に、窓枠部の立ち壁62に圧接することによってリップ17が外方側に曲がり、ウィンドシールドと窓枠部の立ち62壁間の隙間をシールするものである。
【0015】
図5に示すように、モール部材11の端部11aは斜めに切断されて、前記ウィンドシールド嵌着溝13を内側、前記リップ17を外側にして溶着により接合され、接合部がウィンドモール10のコーナー部10Cを構成する。前記モール部材11の端部11aの切断は、モール本体部12の端部の角度αよりもリップ17の端部の角度βが小さくなるようにして行われる。また、前記モール部材11,11の端部11a,11aの接合は、前記モール本体部12,12側で行われ、図1〜図4に示すように、接合によって形成された前記コーナー部10Cでリップ17,17が分断された状態とされる。前記分断されたリップ17,17間は、前記モール本体部12側から前記リップ先端側Fへ向かって(すなわちリップ17の先端方向へ)拡開している。
【0016】
前記リップ17,17間には、前記モール本体部12側からリップ先端側Fへ向けてリップ間片19が突出形成されている。前記リップ間片19は、細い突起状からなる。前記リップ間片19の一例として、太さ1〜2mm、長さ5〜8mm程度のものを挙げる。図6に示すように、前記ウィンドモール10は、車体パネルの窓枠部61にウィンドシールドと共に装着された際に、窓枠部61のコーナー部61Cでリップ17,17が窓枠部の立ち壁62と当接して外方へ曲がる際に、リップの先端側同士が接近してリップ17,17の基部側(モール本体部側)で隙間17aを生じ易く、前記隙間17aをリップ間片19で塞ぐことができ、ウィンドモールのコーナー部10Cの美観を向上させることができる。
【0017】
また、前記ウィンドモール10は、窓枠部のコーナー部61Cでリップ17,17が窓枠部の立ち壁62と当接して外方へ曲がることになるが、前記リップ間片19がリップ17と同じ長さであると、前記リップ間片19の先端が窓枠部のコーナー部61Cの立ち壁62と当接してリップ17,17の曲げが妨げられ、ウィンドモール10のコーナー部10Cが窓枠部のコーナー部61Cで浮き上がるおそれを生じるため、本実施例のように、前記リップ間片19は、前記リップ17よりも短く形成するのが好ましい。
【0018】
前記リップ間片19の形成は、斜めに切断したモール部材11の端部を金型にセットし、前記モール部材11の切断端面を加熱して軟化させ、前記モール本体部12の切断端面同士を押し付けて、はみ出した余剰の樹脂をリップ間位置の金型部分に形成されているリップ間片形成用凹部に収容することにより行うことができる。
【0019】
なお、前記実施例においては、図9に示した従来のウィンドモール80における脚部84に相当する部分を有していないが、実施例においても、同様の脚部、すなわち前記モール本体部をウィンドシールド嵌着溝よりも窓枠部の底部(図6に符号63で示す)側へ突出させた脚部を設けてもよい。
【0020】
また、前記実施例では、ウィンドシールド嵌着溝を有するタイプを示したが、ウィンドシールド嵌着溝が無く、ウィンドシールドの内面の縁に接着剤でモール本体部12が固着されるタイプのウィンドモールにも適用される。図7はこの発明においてウィンドシールド嵌着溝の無いウィンドモール100の例である。このウィンドモール100は、前記ウィンドシールド嵌着溝が無く、モール本体部120の上面121がウィンドシールドとの接着面とされている点を除き、前記のウィンドモール10と同様の構成からなる。符号110はモール部材、120はモール本体部、121はウィンドシールド接着面、170はリップ、170aはリップ170,170の端部間の隙間、190はリップ間片である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施例に係るウィンドモールの平面図である。
【図2】図1のA部の平面図である。
【図3】図1のA部の斜視図である。
【図4】図1のA部の裏側斜視図である。
【図5】接合前のモール部材の端部平面図である。
【図6】同実施例のウィンドモールのコーナー部におけるリップの曲げ状態を示す斜視図である。
【図7】ウィンドシールド嵌着溝の無いウィンドモールの例を示す斜視図である。
【図8】従来のウィンドモールが装着された自動車の一部を示す斜視図である。
【図9】従来のウィンドモールの一部を示す斜視図である。
【図10】図8のD部の拡大図である。
【図11】ウィンドシールド嵌着溝の無いウィンドモールが装着された窓枠部の断面図である。
【符号の説明】
【0022】
10 ウィンドモール
10C ウィンドモールのコーナー部
11 モール部材
12 モール本体部
13 ウィンドシールド嵌着溝
17 リップ
19 リップ間片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用ウィンドシールドが取り付けられるモール本体部と、前記モール本体部から車体パネルの窓枠部へ向けて突設されたリップとを有するモール部材同士が、前記リップを外側として所定角度で接合され、前記接合部がコーナー部とされたウィンドモールにおいて、
前記コーナー部では前記リップが分断されて前記リップ間が前記モール本体部側から前記リップ先端側へ向かって拡開すると共に、前記リップ間には前記モール本体部側から突出したリップ間片が形成されていることを特徴とするウィンドモール。
【請求項2】
前記リップ間片が前記リップよりも短く形成されていることを特徴とする請求項1に記載のウィンドモール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−149136(P2009−149136A)
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−326821(P2007−326821)
【出願日】平成19年12月19日(2007.12.19)
【出願人】(000119232)株式会社イノアックコーポレーション (1,145)