説明

ウェットワイプスの製造方法及び製造装置

【課題】所定薬液の含浸率を増加させるとともに、所定薬液の含浸量のばらつきを無くし、1枚ずつ取り出しやすいウェットワイプスを製造する。
【解決手段】
製造装置10は、折り部5と、含浸部1と、搬送ロール2と、重ねロール6と、搬送コンベア3、9、11、12と、切断部4と、プッシャー13と、プレス装置15と、を具備している。搬送コンベア11は、搬送方向MDに交差する交差方向CDに所定の間隔をもって配置された搬送コンベア11aと搬送コンベア11bとを有する。搬送コンベア11a,11bとの間には、プッシャー13が配置されている。プッシャー13は、搬送コンベア11によって搬送されたシート710,720を搬送コンベア11a,11bの搬送面から引き離して搬送コンベア11a,11bから下方に落とすように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェットワイプスの製造方法及び製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
所定薬液を含浸させたシートの積層体からなるウェットワイプスの製造方法としては、特許文献1や特許文献2に開示されている方法が知られている。
【0003】
特許文献1に開示されている方法は、積層前の搬送中の原反に所定薬液の一部を含浸させる工程や、搬送中の原反に含浸されている余分な所定薬液を搾り取る工程や、搬送中の複数の原反を積層する工程や、積層後の搬送中の原反に所定薬液の残りを含浸させる工程を有する。
【0004】
また、特許文献2に開示されている方法は、積層前の搬送中の原反に所定薬液を含浸させる工程や、搬送中の原反を折り畳みながら積層する工程や、積層後の原反を厚み方向に圧縮しつつ搬送した後に切断する工程等を有する。
【0005】
特許文献1や特許文献2に開示されている方法で製造されるウェットワイプスは、容器から1枚のシートが取り出される際に、次の1枚のシートが共に引っ張られて容器の取り出し口から突出する形態、所謂、ポップアップタイプの形態である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平7-204118号公報
【特許文献2】特開2007-144053号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に開示されている方法では、原反の積層前及び積層後の2段階の所定薬液の含浸工程が必要となり、装置が大型化し、積層後の原反に対して所定薬液を含浸するため、シートの積層体の表面部と中心部とで、所定薬液の含浸量にばらつきが生じるという問題点があった。
【0008】
さらに、特許文献2に開示されている方法では、原反に所定薬液を含浸させた後に、折り畳んだり圧縮したりするため、原反から所定薬液が搾り取られ、所望量の所定薬品を有する製品を製造することができなくなる可能性があるという問題点があった。
【0009】
また、かかるポップアップタイプの形態のウェットワイプスでは、原反に対する所定薬液の含浸率を増加させると、原反同士が所定薬液の水膜によって連結し、容器から1枚ずつシートを取り出すことが困難になるという問題点があった。
【0010】
そこで、本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、所定薬液の含浸率を増加させるとともに、所定薬液の含浸量のばらつきを無くし、1枚ずつ取り出しやすいウェットワイプスを製造することができるウェットワイプスの製造方法及び製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第1の特徴は、所定薬液を含浸させたシートの積層体からなるウェットワイプスの製造方法であって、搬送装置によって、前記所定薬液が含浸され折り重ねられた状態で複数枚積層されている複数のシートの原反を搬送する工程と、搬送されている前記シートの原反を前記シートの表面において搬送方向に直交する方向に沿って所定間隔で切断することによってシートの積層体を生成する工程と、前記搬送装置によって、前記シートの積層体を搬送する工程と、前記シートの表面に向けて突出する突起が形成されており、前記搬送方向に交差し、かつ前記シートの表面に交差する方向に往復運動するプッシャーによって、前記シートの積層体を前記搬送装置から引き離す工程とを有することを要旨とする。
【0012】
また、本発明の特徴は、所定薬液を含浸させたシートの積層体からなるウェットワイプスを製造するように構成されている製造装置であって、搬送装置と、前記搬送装置によって搬送されている前記所定薬液が含浸され折り重ねられた状態で複数枚積層されている複数のシートの原反を前記シートの表面において搬送方向に直交する方向に沿って所定間隔で切断することによってシートの積層体を生成するように構成されている切断部と、前記搬送方向に交差し、かつ前記シートの表面に交差する方向に往復運動することによって、前記搬送装置によって搬送されている前記シートの積層体を前記搬送装置から引き離すように構成されている突き落とし構造とを具備し、前記突き落とし構造には、前記シートの表面に向けて突出する突起が形成されていることを要旨とする。
【発明の効果】
【0013】
そこで、本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、所定薬液の含浸率を増加させるとともに、所定薬液の含浸量のばらつきを無くし、1枚ずつ取り出しやすいウェットワイプスを製造することができるウェットワイプスの製造方法及び製造装置を提供することを目的とする。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る製造装置によって製造されたウェットワイプスの包装体の斜視図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る製造装置によって製造されたウェットワイプスが包装体内部で収容されている様子を示す図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る製造装置によって製造されたウェットワイプスが包装体内部で収容されている様子を示す図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る製造装置の概略図である。
【図5】本発明の第1の実施形態に係る製造装置の積層工程と、プレス工程に使用される装置を説明するための図である。
【図6】本発明の第1の実施形態に係る製造装置のプッシャーの構成を説明するための図である。
【図7】本発明の第1の実施形態に係る製造装置のプッシャーのブレードの構成を説明するための図である。
【図8】本発明の第1の実施形態に係る製造装置のプッシャーのブレードの変形例を説明するための図である。
【図9】本発明の第1の実施形態に係る製造装置のプッシャーの変形例の構成を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(本発明の第1の実施形態)
図1乃至図3を参照して、本発明の第1の実施形態に係る製造装置10によって製造されるウェットワイプスについて説明する。かかるウェットワイプスは、所定薬液を含浸させたシート710、720の積層体からなるものである。
【0016】
図1に示すように、かかるウェットワイプスの包装体100は、開口部21を有する包装体本体20と、包装体本体20の外面に取り付けられ開口部21を覆うラベル部材22と、包装体本体20の内部に収容されるシート710、720の積層体とを有する。
【0017】
かかるシート710、720の各々は、図2及び図3に示すように折り重ねられた状態で、包装体本体20の内部に収容されている。
【0018】
図2及び図3に示すように、シート720は、領域31Aと領域32Aと領域33Aと領域34Aと領域35Aと有し、シート710は、領域31Bと領域32Bと領域33Bと領域34Bと領域35Bと有する。
【0019】
ここで、シート720では、折り線1Aにおいて領域31Aと領域32Aとが折り重ねられ、折り線2Aにおいて領域32Aと領域33Aとが折り重ねられ、折り線3Aにおいて領域33Aと領域34Aとが折り重ねられ、折り線4Aにおいて領域34Aと領域35Aとが折り重ねられている。
【0020】
同様に、シート710では、折り線1Bにおいて領域31Bと領域32Bとが折り重ねられ、折り線2Bにおいて領域32Aと領域33Aとが折り重ねられ、折り線3Bにおいて領域33Aと領域34Aとが折り重ねられ、折り線4Bにおいて領域34Aと領域35Aとが折り重ねられている。
【0021】
なお、シート720では、折り線1A及び折り線2Aは、幅方向Wにおける折り線3Aと折り線4Aとの間に設けられており、シート710では、折り線1B及び折り線2Bは、幅方向Wにおける折り線3Bと折り線4Bとの間に設けられている。
【0022】
すなわち、シート720において、幅方向Wにおける折り線1Aと折り線2Aと間の領域は、領域31Aと領域32Aと領域33Aと領域34Aとが折り重ねられている4層構造となっており、それ以外の領域は、領域33Aと領域34Aとが折り重ねられている2層構造となっている。
【0023】
したがって、領域31A及び領域32Aは、積層体の一方の方向Lに沿って積層体の積層方向Sに隆起している。
【0024】
すなわち、領域31A及び領域32Aは、折り線1A及び折り線2Aにおいて折り重ねられることによって、積層体において一方の方向Lに沿って積層方向Sに隆起するように形成されている隆起領域PAを構成する。
【0025】
同様に、シート710において、幅方向Wにおける折り線1Bと折り線Bと間の領域は、領域31Bと領域32Bと領域33Bと領域34Bとが折り重ねられている4層構造となっており、それ以外の領域は、領域33Bと領域34Bとが折り重ねられている2層構造となっている。
【0026】
したがって、領域31B及び領域32Bは、積層体の一方の方向Lに沿って積層体の積層方向Sに隆起している。
【0027】
すなわち、領域31B及び領域32Bは、折り線1B及び折り線2Bにおいて折り重ねられることによって、積層体において長手方向Lに沿って積層方向Sに隆起するように形成されている隆起領域PBを構成する。
【0028】
また、積層方向Sにおいて、幅方向Wにおける折り線1Bと折り線Bと間の領域(すなわち、隆起領域PA)は、他方の方向Wにおける折り線1Bと折り線Bと間の領域(すなわち、隆起領域PB)と重複しないように配置されている。
【0029】
さらに、隆起領域PA、PBにおいて、積層方向Sに隣接するシート710、720同士は、所定薬液を介して密着して積層されている。
【0030】
ここで、隆起領域PA、PBに隣接する領域RA、RB、RCでは、積層方向Sに隣接するシート710、720の間に空隙が形成されており、所定薬液を介して密着して積層されていない。
【0031】
なお、本発明の第1の実施形態に係る製造装置10によって製造されるウェットワイプスは、上述したポップアップタイプの形態ではないため、包装体本体20の開口部21からシート720が取り出された場合であっても、シート710が共に引っ張られて開口部21から突出することはない。
【0032】
すなわち、使用者は、包装体本体20の開口部21から、領域31A及び領域32A(すなわち、シート720の隆起領域PA)を摘んで引っ張ることによってシート720を取り出した後、領域31B及び領域32B(すなわち、シート70の隆起領域PB)を摘んで引っ張ることによってシート710を取り出すことができる。
【0033】
以下、図4を参照して、本実施形態に係るウェットワイプスの製造方法について簡単に説明する。
【0034】
図4に示すように、ステップS101において、折り部5は、ロール状に巻かれた状態から繰り出されたシート71、72の各々を、搬送装置非当接面側に、所定形状(具体的には、図2及び図3に示す形状)に折り重ねる。
【0035】
例えば、シート71、72は、坪量25〜100g/mであり、レーヨンやコットンやパルプ等の親水性繊維とPETやPPやPEやアクリル等の単体とからなる繊維若しくは芯鞘構造やサイドバイサイドの構造の疎水性複合繊維からなる。
【0036】
また、シート71、72は、スパンレース法やエアレイド法や直接紡糸法によりシート化された不織布であり、所定薬液の含浸時における所定薬液の浸透性の観点から親水繊維を含む必要がある。
【0037】
ステップS102において、含浸部1は、搬送装置当接面側(搬送ロール2側)から、折り重ねられたシート71、72の各々に対して、所定量の所定薬液を含浸させる。
【0038】
ステップS103において、所定薬液を含浸させたシート71、72の各々は、搬送ロール2の表面に接しながら搬送される。
【0039】
ステップS104において、搬送コンベア3は、所定薬液を含浸させたシート71、72の各々を積層する。
【0040】
具体的には、搬送コンベア3では、所定薬液が含浸された面を搬送装置当接面側に向けた状態のシート71の上に、搬送装置非当接面側から、所定薬液が含浸された面を搬送装置当接面側に向けた状態のシート72が積層される。
【0041】
ステップS105において、切断部4は、搬送コンベア3を介して搬送されたシート71、72を、所定寸法のシート710、720に切断する。
【0042】
ステップS106において、シート710,720の表面に向けて突出する突起が形成されたプッシャー13によって、切断されたシート710,720からなる積層体を搬送方向に交差し、かつシート710,720の表面に交差する方向(実施形態では、搬送面の鉛直下方)に移動させて、搬送装置から落とし、シート710、720からなる積層体を所定枚数だけ積層したシート束800を得る。その後、プレス工程S107において、切断されたシート710,720のシート束800をプレスしつつ搬送する。包装工程S108において、シート束800を包装体本体20によって包装する。
【0043】
以下、図4乃至図7を参照して、本実施形態に係る製造装置10の各機能について説明する。
【0044】
図4に示すように、製造装置10は、折り部5と、含浸部1と、搬送ロール2と、搬送コンベア3、9、11、12と、切断部4と、プッシャー13と、プレス装置15と、を具備している。ここで、製造装置10では、搬送ロール2及び搬送コンベア3、9は、複数のシート71、72を連続搬送する搬送装置を構成する。また、搬送コンベア11、12、14は、シート束800を連続搬送する搬送装置を構成する。
【0045】
折り部5は、搬送装置非当接面側に、シート71、72の各々を折り重ねるように構成されている。具体的には、折り部5は、シート71、72が図2及び図3に示す形状となるように、シート71、72の各々を折り重ねるように構成されている。
【0046】
具体的には、折り部5は、搬送方向MDの折り線3A(又は、3B)に沿って、シート72(又は、71)の一方の側縁を含む領域31A/32A/33A(又は、31B/32B/33B)を搬送装置非当接面側に折り重ね、その後、搬送方向MDの折り線2A(又は、2B)に沿って、シート72(又は、71)の一方の側縁を含む領域31A/32A(又は、31B/32B)を搬送装置非当接面側に折り重ね、その後、搬送方向MDの折り線1A(又は、1B)に沿って、シート72(又は、71)の一方の側縁を含む領域31A(又は、31B)を搬送装置非当接面側に折り重ねるように構成されている。
【0047】
また、折り部5は、搬送方向MDの折り線4A(又は、4B)に沿って、シート72(又は、71)の他方の側縁を含む領域35A(又は、35B)を搬送装置当接面側に折り重ねるように構成されている。
【0048】
含浸部1は、搬送装置当接面側から、折り重ねられたシート71、72の各々に対して所定薬液を含浸させるように構成されている。
【0049】
例えば、含浸部1は、薬液タンクから定量ポンプを用いて、所定量の所定薬液を押し出すように構成されていてもよい。その結果、所定量の所定薬液が、含浸部1に設けられている細孔より吐出され、シート71、72の各々に接触することで、シート71、72の各々に所定量の所定薬液が含浸されるように構成されている。
【0050】
また、含浸部1は、シート71、72の重量に対して、例えば、3.5(3〜4)倍の重量の所定薬液を含浸させるように構成されていてもよい。
【0051】
なお、含浸部1は、含浸させる所定薬液の重量のシート71、72の重量に対する比率(すなわち、含浸率)を、適宜、調整可能である。
【0052】
ここで、シート71、72が搬送ロール2の表面に貼りつき、かつ、シート72がシート71の上に貼りつくために必要な含浸率は、例えば、シート71、72として、レーヨン繊維主体の38g/mのスパンレース不織布が用いられる場合には、1.5倍以上である。
【0053】
また、含浸部1は、所定薬液の塗工方法として、液滴又は霧状の所定薬液をシート71、72に付着させる方法を用いてもよい。ただし、シート71、72に対する所定薬液の含浸面を搬送ロール2の表面に接触させる際の薬液含浸効率及び工程汚染を考慮すると、上述の方法が好ましい。
【0054】
搬送ロール2は、駆動源に接続されており、独自で回転している表面が平滑な駆動ロールである。
【0055】
搬送コンベア3は、搬送ロール2と実質同等の搬送速度で、シート71、72の各々を搬送するように構成されている。
【0056】
切断部4は、所定薬液を含浸させたシート71、72が折り重ねられた状態で、複数枚積層されたの積層体を切断するように構成されている。例えば、切断部4は、表面に切り刃を有するカッターロール及び表面が平滑なアンビルロールによって、連続搬送されている複数のシートを搬送方向に直交する方向に沿って所定間隔で切断するように構成されている。
【0057】
また、搬送コンベア9は、搬送コンベア3と同様に、上方と下方に設けられていてもよい。かかる場合、シート710、720の積層体は、上方に配置された上方搬送コンベアと下方に配置された下方搬送コンベアとに挟み込まれた状態で搬送される。かかる上方搬送コンベアには、凹部及び凸部が形成されていてもよい。
【0058】
この結果、切断部4によって切断された後のシート710、720の積層体の搬送コンベア9への転写性及び搬送安定性を向上することができる。
【0059】
ここで、搬送コンベア9における搬送速度は、搬送コンベア3及び切断部4における搬送速度よりも3%程度速い。
【0060】
搬送コンベア11は、搬送方向MDに交差する交差方向CDに所定の間隔をもって配置された搬送コンベア11aと搬送コンベア11bとを有する。搬送コンベア11a,11bには、サクション機構(不図示)が設けられており、搬送コンベア9によって搬送された、切断されたシート710,720の幅方向外側の端部を搬送面に吸着した状態で搬送することができる。搬送コンベア11aと搬送コンベア11bとの間には、プッシャー13が配置されている。
【0061】
プッシャー13は、搬送方向MDに交差し、かつシート710,720の表面に交差する方向(実施形態では、搬送面の鉛直下方)に往復運動することによって、搬送コンベア11によって搬送されたシート710,720を搬送コンベア11a,11bの搬送面から引き離して搬送コンベア11a,11bから下方に落とすように構成されている。
【0062】
プッシャー13は、図6,7に示すように、シート710,720の表面に向けて突出する突起を有する。具体的に、プッシャー13は、ブレード131〜134と、ブレードを連結する連結部135,136,137と、ブレード131〜134を支持する支持部138とを有する。
【0063】
ブレード131〜134は、複数の歯部141を有する。歯部141の1つは、搬送方向MDのシートの入口側(搬送方向MDの後方側(上流側)R)の傾斜角度θ1は、シートの出口側(搬送方向MDの前方側(下流側)F)の傾斜角度θ2よりも大きくなるように構成されている。一例として、歯部141の谷から頂点までの高さhは10mm、歯部141の頂点の間隔(ピッチ)pは15mmである。実施形態に係るプッシャー13では、θ1=90°、θ2=60°である。
【0064】
なお、プッシャー13を構成するブレードの数は、図6に示す4枚に限定されない。例えば、6枚で構成されていてもよい。
【0065】
図8,図9に、プッシャー13に形成される突起の変形例を示す。ブレード131〜134の形状は、図7に限定されない。すなわち、必ずしも、θ1=90°である必要はない。図8には、ブレードの変形例が示されている。図8に示すように、ブレード151は、複数の歯部161を有する。歯部161の搬送方向MDの後方側Rの角度θ1は、前方側Fの角度θ2よりも大きく、θ1≠90°、θ1<90°である。また、ブレード151の厚み方向において、歯部161の先端に向かって先細りになっている。実施形態では、θ3=θ4=20°に構成されている。
【0066】
また、図9に示すように、変形例として示すプッシャー130は、ベース170に突起部181が形成されている。突起部181は、歯部141と同様に、搬送方向MDのシートの入口側(搬送方向MDの後方側R)の角度θ1は、シートの出口側(搬送方向MDの前方側F)の角度θ2よりも大きくなるように構成されている。
【0067】
プッシャー13によって、搬送コンベア11a,11bから引き離されたシート710,720の積層体が所定枚数積層され、シート束800が形成される。この後、ストッパーSが解放されて、シート束800が搬送コンベア12によってプレス装置15に向けて搬送される。
【0068】
プレス装置15は、切断されたシート710,720が積層されてなるシート束800の両端部分を搬送コンベア14の非当接面側からプレス部によって、プレスしつつ搬送するように構成されている。
【0069】
本実施形態に係る製造方法及び製造装置10によれば、シート束800を作成する前段階において、搬送中のシート710,720に所定薬液の一部を含浸させる工程や、搬送中のシート710,720に含浸されている余分な所定薬液を搾り取る工程や、積層後のシート束800に所定薬液の残りを含浸させる工程などがなく、シート71、72に所定薬液を含浸させた状態を維持しながら搬送するため、シート710,720への所定薬液の含浸率を増加させるとともに、所定薬液の含浸量のばらつきを無くしたウェットワイプスを製造することができる。
【0070】
しかし、本実施形態のように、シート同士が連結されていない、いわゆる、ポップアップタイプでないウェットワイプスでは、切断されたシートの積層体を作成する工程において、搬送面から引き離されたシートが慣性によって搬送方向に流れることにより、積層体の端部がばらつくという問題が生じ得る。また、このような積層体のばらつきにより、シートが1枚ずつ取り出せない場合があった。すなわち、シートの取り出し容易性が悪化することが懸念されていた。
【0071】
これに対して、本実施形態に係る製造方法では、シート710,720を、搬送面の鉛直下方に移動させ、搬送コンベア11から落とす積層工程S106において、突起が設けられているプッシャー13が用いられる。プッシャー13が押し下げられた際に、この突起がシート710,720の表面に引っかかることにより、シート710,720の搬送方向MDへの流れを制動できる。
【0072】
これにより、シート710,720が積層されてできるシート束800の端部が揃えられる。
【0073】
搬送方向MDのシートの入口側(搬送方向MDの後方側R)の角度θ1は、シートの出口側(搬送方向MDの前方側F)の角度θ2よりも大きくなるように構成されていることが好ましい。θ1>θ2とすることにより、シート710,720の表面をブレード131〜134の歯部141が滑り難くなり、シート710,720が慣性により、搬送方向に流れることを確実に抑えることができる。
【0074】
シート束800の端部を揃えられることにより、複数枚のシートが纏めて取り出されることによる取り出し容易性の低下を防止できる。
【0075】
また、本実施形態では、少なくともθ1>60°、10°<θ3<45°であれば、θ1が90°以下であっても、シート710,720の表面をブレード131〜134の歯部141(または歯部161)を滑ることがなく、シート710,720を十分に制動できる。
【0076】
以上、上述の実施形態を用いて本発明について詳細に説明したが、当業者にとっては、本発明が本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本発明は、特許請求の範囲の記載により定まる本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。従って、本明細書の記載は、例示説明を目的とするものであり、本発明に対して何ら制限的な意味を有するものではない。
【符号の説明】
【0077】
1…含浸部、 2…搬送ロール、 3…搬送コンベア、 4…切断部、 5…折り部、 9…搬送コンベア、 10…製造装置、 11…搬送コンベア、 11a,11b…搬送コンベア、 12…搬送コンベア、 13…プッシャー、 14…搬送ベルト、 15…プレス装置、 20…包装体本体、 21…開口部、 22…ラベル部材、 70…シート、 71,72…シート、 100…包装体、 800…シート束

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定薬液を含浸させたシートの積層体からなるウェットワイプスの製造方法であって、
搬送装置によって、前記所定薬液が含浸され折り重ねられた状態で複数枚積層されている複数のシートの原反を搬送する工程と、
搬送されている前記シートの原反を前記シートの表面において搬送方向に直交する方向に沿って所定間隔で切断することによってシートの積層体を生成する工程と、
前記搬送装置によって、前記シートの積層体を搬送する工程と、
前記シートの表面に向けて突出する突起が形成されており、前記搬送方向に交差し、かつ前記シートの表面に交差する方向に往復運動するプッシャーによって、前記シートの積層体を前記搬送装置から引き離す工程とを有することを特徴とするウェットワイプスの製造方法。
【請求項2】
所定薬液を含浸させたシートの積層体からなるウェットワイプスを製造するように構成されている製造装置であって、
搬送装置と、
前記搬送装置によって搬送されている前記所定薬液が含浸され折り重ねられた状態で複数枚積層されている複数のシートの原反を前記シートの表面において搬送方向に直交する方向に沿って所定間隔で切断することによってシートの積層体を生成するように構成されている切断部と、
前記搬送方向に交差し、かつ前記シートの表面に交差する方向に往復運動することによって、前記搬送装置によって搬送されている前記シートの積層体を前記搬送装置から引き離すように構成されている突き落とし構造とを具備し、
前記突き落とし構造には、前記シートの表面に向けて突出する突起が形成されていることを特徴とする製造装置。
【請求項3】
前記突起は、複数の歯部を有するブレードから形成されており、
前記ブレードの歯部における、前記搬送方向に対する入口側の傾斜角度は、出口側の傾斜角度よりも大きくなるように構成されていることを特徴とする請求項2に記載の製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−76866(P2012−76866A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−222553(P2010−222553)
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(000115108)ユニ・チャーム株式会社 (1,219)
【Fターム(参考)】