説明

ウェブの突合せ継ぎ装置

【課題】 新ウェブの前端部と旧ウェブの後端部との継ぎ合わせを高い信頼性で実現すること。
【解決手段】本発明によるウェブの突合せ継ぎ装置100は、新ウェブの前端部と旧ウェブの後端部とを両側から第1の挟み部と第2の挟み部とで挟むことで両ウェブを突き合わせた状態で継ぎ合わすウェブの突合せ継ぎ装置に関する。第1の挟み部は、新ウェブの前端部と旧ウェブの後端部とをそれぞれ独立して保持する新ウェブ保持部と旧ウェブ保持部とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新ウェブの前端部と旧ウェブの後端部とを突き合わせた状態で両者を継ぎ合わすウェブの突合せ継ぎ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、この種のウェブの突合せ継ぎ装置は知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-289640号公報
【特許文献2】特開昭60-161854号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、この種のウェブの突合せ継ぎ装置では、新ウェブの前端部と旧ウェブの後端部との継ぎ合わせが何らかの原因で失敗すると、膨大な量の資源が無駄になるという課題がある。
【0005】
そこで、本発明は、新ウェブの前端部と旧ウェブの後端部との継ぎ合わせを高い信頼性で実現するウェブの突合せ継ぎ装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の一局面によれば、互いに対して可動に構成された第1の支持部材及び第2の支持部材であって、新ウェブの前端部と旧ウェブの後端部とが突き合わせた状態で新ウェブの前端部と旧ウェブの後端部をそれぞれ独立に支持する第1の支持部材及び第2の支持部材と、
前記第2の支持部材に対して可動に構成され、前記第2の支持部材に支持された旧ウェブの後端部に対して、前記第2の支持部材に向かう方向の力を作用させる押さえ部材とを含むことを特徴とする、ウェブの突合せ継ぎ装置が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、新ウェブの前端部と旧ウェブの後端部との継ぎ合わせを高い信頼性で実現するウェブの突合せ継ぎ装置が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の一実施例によるウェブの突合せ継ぎ装置100における継ぎ合わせ準備完了状態を示す主要構成図である。
【図2】図1のウェブ突合せ継ぎ装置100におけるターレットアーム24の反転後の状態(継ぎ合わせ開始前の状態)を示す図である。
【図3】図2の要部を拡大した図である。
【図4】継ぎ合わせ動作の要部の第1ステップを示す図である。
【図5】継ぎ合わせ動作の要部の第2ステップを示す図である。
【図6】継ぎ合わせ動作の要部の第3ステップを示す図である。
【図7】継ぎ合わせ動作の要部の第4ステップを示す図である。
【図8】継ぎ合わせ動作の要部の第5ステップを示す図である。
【図9】継ぎ合わせ動作の要部の第6ステップを示す図である。
【図10】旧基材40の後端部と新基材50の前端部との間の継ぎ合わせ部分の拡大図である。
【図11】上部バキュームボックス76の代替実施例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、本発明を実施するための最良の形態の説明を行う。
【0010】
図1は、本発明の一実施例によるウェブ突合せ継ぎ装置100における継ぎ合わせ準備完了状態を示す主要構成図である。
【0011】
ウェブ突合せ継ぎ装置100は、バットスプライス装置とも称され、ロール状の基材(紙、フィルム、布、シート等のウェブ)を巻き出す巻出機20に設置される。ウェブ突合せ継ぎ装置100の後流側には、アキューム装置(図示せず)が設けられる。アキューム装置の構造自体は公知であるので、ここでの詳細な説明は省略する。
【0012】
巻出機20のターレットアーム24上にはA軸27及びB軸28が形成され、ガイドアーム26上には反転ガイドロール25が設けられる。また、ガイドアーム26上の端部には、後述の下部バキュームボックス72が設けられる。また、ガイドアーム26上の端部には、後述のランニングカッター60が設けられる。巻出機20は、回転軸21まわりに回転可能に構成される。巻出機20は、好ましくは、図1に示すように、回転軸21に関して回転対称となるように構成される。この場合、図1に示すように、反転ガイドロール25、下部バキュームボックス72及びランニングカッター60がガイドアーム26上の両端部にそれぞれ設けられる。
【0013】
図1に示す例では、新基材50は、旧基材40が上側の軸(A軸27)で巻き出されている間、下側の軸(B軸28)に対してセットされる。かかる構成では、上側でセットする場合に比べて、足場の作成等が必要でなく、また、ゴミ等の落下による不都合が無く、作業性が向上する。但し、設置方向は任意であり、例えば上下逆であってもよく、この場合、旧基材40が下側の軸で巻き出されている間、新基材50が上側の軸に対してセットされる。
【0014】
新基材50の準備は、次のように実行されてもよい。即ち、図1に示すように、新基材50は、例えば手動で巻き出され、ガイドロール29を介して下部バキュームボックス72まで巻き出される。このとき、新基材50は、下部バキュームボックス72の吸引作動により下部バキュームボックス72上に吸引保持されてもよい。新基材50の前端部の表面には、第1接着テープ30が新基材50の前端部にクロス方向に貼られる。このとき、第1接着テープ30は、その幅の約半分が新基材50の前端部の表面に接着し、残りの約半分が新基材50の前端部からはみ出す(突き出す)態様で、新基材50の前端部の表面に貼り付けられる。この準備は、旧基材40の残量が所定量未満になるまでに実行される。
【0015】
旧基材40の残量が所定量未満になると、巻出機20のターレットアーム24が図の時計方向に反転してA軸27とB軸28が入れ替わった状態になる。
【0016】
図2は、図1のウェブ突合せ継ぎ装置100におけるターレットアーム24の反転後の状態(継ぎ合わせ開始前の状態)を示す図である。このようにして、新基材50が継ぎ合わせ開始位置にセットされる。
【0017】
次に、ウェブ突合せ継ぎ装置100における継ぎ合わせ動作について説明する。尚、以下で説明する動作は、特に言及しない限り、制御装置(図示せず)により各種部品を制御することにより実現されてもよい。
【0018】
図3は、図2の要部を拡大した図である。
【0019】
ウェブ突合せ継ぎ装置100は、図1に示すように、主に、下部バキュームボックス72、バキュームテーブル74、及び、上部バキュームボックス76を備える。下部バキュームボックス72、バキュームテーブル74、及び、上部バキュームボックス76は、負圧源(図示せず)に接続される。
【0020】
下部バキュームボックス72は、ガイドアーム26に固定され、ガイドアーム26の移動時はガイドアーム26と一体となって移動する。
【0021】
バキュームテーブル74は、ぺスターロール80の回転軸まわりに回転可能に設けられる。ぺスターロール80は、回転軸75まわりに回転可能なアーム部材82に設けられる。従って、バキュームテーブル74は、ぺスターロール80の回転軸まわりに回転可能であると共に、ぺスターロール80と共に回転軸75まわりに回転可能である。尚、これらの回転のための駆動力は、モータ(図示せず)により実現されてもよい。
【0022】
上部バキュームボックス76は、回転軸77まわりに回転可能に構成される。尚、上部バキュームボックス76の回転のための駆動力は、モータ(図示せず)により実現されてもよい。
【0023】
図3に示す状態から継ぎ合わせ動作が開始される。尚、図3に示す状態では、旧基材40は、依然として、ガイドロール84を介して後流側(アキューム装置及びそれに続く装置等)に巻き出し供給されている。また、新基材50の前端部は、第1接着テープ30を上述の如く貼られた状態で下部バキュームボックス72上に支持されつつ、継ぎ合わせ位置にセットされている。尚、この際、第1接着テープ30は、新基材50の前端部からはみ出す部分が、同様に、下部バキュームボックス72の先端部からはみ出す(図3参照)。旧基材40の残量が所定量まで減少すると、継ぎ合わせ動作が開始される。
【0024】
継ぎ合わせ動作が開始されると、先ず、図4に示すように、上部バキュームボックス76が回転軸77まわりに回転して降下する。この際、上部バキュームボックス76は、下部バキュームボックス72上に支持される新基材50の前端部を、下部バキュームボックス72に向けて押さえるように機能する。これと同時に、上部バキュームボックス76は、下部バキュームボックス72上に支持された新基材50の前端部及び第1接着テープ30を吸引する。これにより、下部バキュームボックス72の先端部から前方にはみ出した第1接着テープ30の部分が垂れ下がるのが防止される。
【0025】
次いで、旧基材40の巻き出しが停止される。この間、アキューム装置の吐出機能を作動させることにより下流側装置へのウェブの供給は継続されてもよい。尚、アキューム装置は、複数のガイドロールが上下に移動することで旧基材40を蓄積する機能及びそれを吐き出す吐出機能を持っている。これと同時に、図5に示すように、ぺスターロール80及びバキュームテーブル74が回転軸75まわりに回転して上昇する。この上昇位置では、ぺスターロール80は、ガイドロール84Aとの間にニップを形成する。従って、ぺスターロール80は、ガイドロール84Aとの間に旧基材40を挟みこんで保持する。また、この上昇位置では、バキュームテーブル74は、旧基材40の流れ方向に沿って旧基材40の下面を支持する位置に来る。この上昇位置では、バキュームテーブル74は、旧基材40の下面を吸引保持する。また、この上昇位置では、バキュームテーブル74は、図5に示すように、ランニングカッター60の刃先部分に略対向する位置に先端部が位置する。
【0026】
尚、上述の上部バキュームボックス76の下降は、ぺスターロール80及びバキュームテーブル74の上昇と略同一タイミングで実行されてもよい。
【0027】
次いで、図6に示すように、ランニングカッター60により旧基材40が切断される。これにより、旧基材40の後端部が形成される。尚、この際、旧基材40の後端部は、バキュームテーブル74上に支持されることになる。
【0028】
次いで、図7に示すように、バキュームテーブル74がぺスターロール80の中心軸まわりに回転して上昇する。これにより、バキュームテーブル74上に支持された旧基材40の後端部が上昇する。この上昇位置では、バキュームテーブル74は、下部バキュームボックス72の先端部に先端部が突き合う状態となる。即ち、この上昇位置では、バキュームテーブル74は、下部バキュームボックス72と略同一面の連続した支持面を提供する。これにより、バキュームテーブル74上で支持される旧基材40の後端部と、下部バキュームボックス72上で支持される新基材50の前端部とは、互いに対して突き合わせられた状態(重なり合わず端面同士が対向しあう状態)となる。また、新基材50の前端部からはみ出す第1接着テープ30の部分が、バキュームテーブル74上で支持される旧基材40の後端部の表面に接着される。また、この上昇位置では、上部バキュームボックス76は、バキュームテーブル74上に支持される旧基材40の後端部を、バキュームテーブル74に向けて押さえるように機能する。これにより、第1接着テープ30の旧基材40の後端部への接着(ひいては旧基材40の後端部と新基材50の前端部との間の第1接着テープ30による結合)が確実となる。
【0029】
このようにして旧基材40の後端部と新基材50の前端部との間の第1接着テープ30による結合が完了すると、次いで、図8に示すように、バキュームテーブル74がぺスターロール80の中心軸まわりに回転して下降する。また、図8に示すように、上部バキュームボックス76が回転軸77まわりに回転して上昇する。このようにして、バキュームテーブル74及び上部バキュームボックス76が退避される。これと同時に、停止されていた旧基材40の残り部分の供給及び旧基材40に結合された新基材50の供給(巻き出し)が開始される。
【0030】
次いで、図9に示すように、旧基材40の残り部分の移動(前進)に伴いぺスターロール80が回転し、旧基材40の後端部と新基材50の前端部との間の継ぎ合わせ部分が、ぺスターロール80とガイドロール84Aとの間にニップを通過する際に、ぺスターロール80に予め適切な周位置にセットされた第2接着テープ32が、当該継ぎ合わせ部分に貼り付けられる(図10参照)。これにより、図10に示すように、旧基材40の後端部と新基材50の前端部との間の継ぎ合わせ部分が上下の第1接着テープ30及び第2接着テープ32により確実に結合される。このようにして旧基材40の後端部と新基材50の前端部との間の継ぎ合わせ動作が完了する。
【0031】
ところで、旧基材40の後端部と新基材50の前端部との間に板厚差が存在する場合がある。この板厚差は、旧基材40と新基材50とが異なる種類の基材(例えば薄紙と厚紙)である場合は当然生じうるが、旧基材40と新基材50とが同一の種類の基材である場合でも存在しうる。この点、本実施例では、上述の如く旧基材40の後端部への第1接着テープ30の押し付けは、新基材50の前端部を支持する支持部材(下部バキュームボックス72)から独立した支持部材(バキュームテーブル74)を用いて実現される。これにより、旧基材40の後端部と新基材50の前端部との間に板厚差が存在する場合でも、両者の継ぎ合わせ部分の結合(第1接着テープ30による結合)を確実に実現することができる。即ち、高い信頼性をもって継ぎ合わせ部分の結合を実現することができる。
【0032】
尚、上述した実施例においては、下部バキュームボックス72及びバキュームテーブル74が協動して請求項に記載の「第1の挟み部」を実現し、下部バキュームボックス72及びバキュームテーブル74が、それぞれ、第1の挟み部の新ウェブ保持部及び旧ウェブ保持部として機能している。また、上述した実施例においては、上部バキュームボックス76が請求項に記載の「第2の挟み部」として機能している。
【0033】
以上、本発明の好ましい実施例について詳説したが、本発明は、上述した実施例に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、上述した実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。
【0034】
例えば、上述した実施例では、バキュームテーブル74上で支持される旧基材40の後端部と、下部バキュームボックス72上で支持される新基材50の前端部とが突き合う状態とするために、バキュームテーブル74が上部バキュームボックス76に向かって移動しているが(図7参照)、逆であってもよい。即ち、下部バキュームボックス72及び上部バキュームボックス76は、新基材50の前端部を挟持した状態で、バキュームテーブル74に向かって移動することとしてもよい。この場合、ランニングカッター60を退避させたりガイドロール84Aの位置を変更したりする等して、下部バキュームボックス72及び上部バキュームボックス76の必要な可動範囲が確保されてもよい。但し、バキュームテーブル74側を移動させる構成の方が、新基材50の前端部からはみ出す第1接着テープ30の部分を移動させる必要が無い点で有利である。これは、新基材50の前端部からはみ出す第1接着テープ30の部分を移動させる場合には、移動中に、当該第1接着テープ30の部分が上部バキュームボックス76から離れないように上部バキュームボックス76の吸引力を調整する必要があるためである。
【0035】
また、上述した実施例では、上部バキュームボックス76は、吸引機能を有しているが、吸引機能を無くしてもよい。例えば、装置の設置方向や第1接着テープ30の剛性に依存して、新基材50の前端部からはみ出す第1接着テープ30の部分の垂れ下がりが実質的に生じない場合は、上部バキュームボックス76の吸引機能を無くすことも可能である。これは、下部バキュームボックス72及びバキュームテーブル74についても同様である。
【0036】
また、上述した実施例では、上部バキュームボックス76は、バキュームテーブル74のみならず、下部バキュームボックス72に対しても押し付け力を印加するように構成されているが、例えば図11に示すように、バキュームテーブル74のみに対して押し付け力を印加するように構成されてもよい。
【符号の説明】
【0037】
20 巻出機
21 回転軸
24 ターレットアーム
25 反転ガイドロール
26 ガイドアーム
27 A軸
28 B軸
29 ガイドロール
30 第1接着テープ
32 第2接着テープ
40 旧基材
50 新基材
60 ランニングカッター
72 下部バキュームボックス
74 バキュームテーブル
75 回転軸
76 上部バキュームボックス
77 回転軸
80 ぺスターロール
82 アーム部材
84,84A ガイドロール
100 ウェブ突合せ継ぎ装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
新ウェブの前端部と旧ウェブの後端部とを両側から第1の挟み部と第2の挟み部とで挟むことで両ウェブを突き合わせた状態で継ぎ合わすウェブの突合せ継ぎ装置であって、
前記第1の挟み部は、前記新ウェブの前端部と前記旧ウェブの後端部とをそれぞれ独立して保持する新ウェブ保持部と旧ウェブ保持部とを有することを特徴とする、ウェブの突合せ継ぎ装置。
【請求項2】
前記新ウェブ保持部と前記旧ウェブ保持部とは、互いに独立して動作可能にされる、請求項1に記載のウェブの突合せ継ぎ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−35925(P2012−35925A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−174818(P2010−174818)
【出願日】平成22年8月3日(2010.8.3)
【出願人】(303050355)住友重機械モダン株式会社 (10)
【Fターム(参考)】