説明

ウェブ・コンテンツ更新履歴管理システム及び方法

【課題】 更新履歴管理をリアルタイムで行いながら、ウェブ・コンテンツの更新がリアルタイムで反映されたウェブ・ページの閲覧を可能とすること。
【解決手段】 ウェブ・サーバ(WEB1、WEB2)の中にあり、コンテンツ制作者の通信端末から更新ファイルのファイル名を受信して別個の2つの保存領域のそれぞれにファイルを作成する手段と、コンテンツ制作者の通信端末から受信した更新ファイルを構成するパケット(A、B、C、D)を別個の2つの保存領域にそれぞれ作成されたファイルに上書きする手段(NFS)と、を備えていることにより、ウェブ・コンテンツの更新がリアルタイムで反映されたウェブ・ページの閲覧を可能となる。ウェブ・コンテンツ更新履歴管理システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェブ・コンテンツの更新履歴を管理するシステム及び方法に関する。更に詳しくは、本発明は、ウェブ・コンテンツ、特に、複数のコンテンツ制作者により頻繁に更新されるウェブ・コンテンツの更新履歴を一元的に管理することにより、ある特定の時点で公開されていたウェブ・コンテンツの再現を可能とするウェブ・コンテンツ更新履歴管理システム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
インターネット接続環境を有するパーソナル・コンピュータや携帯電話が広く普及した現在では、ウェブ・ページ(ウェブ・サイト、ホームページなどとも称される)を閲覧して様々な情報を入手するのは、極めて一般的なことである。ウェブ・ページは、そこで公開され閲覧されるコンテンツが更新されることにより、最新の状態に維持される。すなわち、ウェブ・ページは、継続的なコンテンツの更新により、そこで公開され閲覧されるコンテンツが時間経過と共に変化する。
【0003】
ウェブ・ページの更新は、例えば、秒単位での更新が反復的継続的になされる場合から、数日に1回程度の更新がなされる場合まで、その頻度は様々である。頻繁に更新がなされるウェブ・ページの例としては、スポーツの試合経過、証券取引や為替の実況、台風や地震など災害情報、選挙の当選情報などに関するものがある。この種の情報を提供するウェブ・ページでは、コンテンツの公開に迅速性が求められる。公開までに各種の手続きが要求され遅延が生じるのでは、公開された時点で情報が既に陳腐化してしまっている可能性がある。
【0004】
このように継続的に更新されるウェブ・コンテンツであるが、ある特定の時点で公開されていたコンテンツを再現することが必要な場合がある。例えば、2004年12月1日の日本時間午前10時の時点で、情報Aがウェブ・ページBにおいて既に公開されていたのかどうか、を知りたい場合である。また、2000年1月1日の米国東海岸時間午前0時の時点で、ウェブ・ページCではどのようなコンテンツが閲覧可能であったか、を知りたい場合である。そのウェブ・ページにおけるコンテンツの更新がただ1人のコンテンツ制作者によってなされているのであれば、再現は比較的簡単であろう。コンテンツ制作者がウェブ・ページにアップロードしたファイルのログを保存していれば、過去のある特定の時点までにどれだけの更新をしたのかは明らかであって、その特定の時点でウェブ・ページにどのようなコンテンツが公開されていたかが容易にわかるからである。しかし、コンテンツの更新を行うコンテンツ制作者が1人ではなくて多数存在する場合には、状況が異なる。
【0005】
なお、この明細書では、ウェブ・コンテンツ(単に、コンテンツとも称する)とは、ウェブ・ページ(ウェブ・サイト、ホームページなどとも称される)を構成する情報であって、ウェブ・ブラウザを用いてアクセスすることができるテキスト・データ、画像(静止画、動画)データ、音声データなどの総称を意味する。
【0006】
この出願で出願人が提案したいのは、コンテンツ制作者が複数存在し、それぞれのコンテンツ制作者から個別にアップロードされる多数のファイルの総体としてのウェブ・コンテンツの更新がなされる場合に、そのウェブ・ページにおける過去のある時点でのウェブ・コンテンツを容易に再現できるようなコンテンツ履歴更新管理を可能にするシステム及び方法である。
【0007】
そのようなシステム及び方法を説明する前に、まず、その背景として、これまで広く利用されてきたコンテンツ履歴管理及び再現の方法を考察したい。まず第1に、複数のコンテンツ制作者のそれぞれが各自で更新履歴を管理し、コンテンツ制作者の端末で個別に管理されている履歴を用いてコンテンツを再現する方法がある。第2に、複数のコンテンツ制作者の全員が、更新のためにアップロードするコンテンツを、履歴管理のための専用サーバへいったん登録し、そのようにして履歴管理専用サーバにいったん登録されたコンテンツを、一般公開用のウェブ・サーバへ一括して登録する方法がある。そして、第3に、複数のコンテンツ制作者からアップロードされたコンテンツが登録されている公開用のサーバのコンテンツを定期的に保存する方法が存在する。
【0008】
しかし、以上のような従来の方法にはそれぞれ問題点があり、従来の方法では、過去の特定時点におけるウェブ・コンテンツの再現は必ずしも容易ではない。第1の方法では、複数のコンテンツ制作者それぞれの側に、コンテンツの更新履歴が保存されている。すなわち、制作者1のコンピュータにはどのようなファイルをいつアップロードしたかという記録が保存されていて、制作者2のコンピュータにはどのようなファイルをいつアップロードしたかという記録が保存されている、というように、コンテンツ制作者ごとの個別のアップロード履歴が残るだけである。そのような個別の履歴から特定の時点でのウェブ・コンテンツを再現するのは容易でない。また、履歴管理をコンテンツ制作者に委ねるのであるから、制作されるコンテンツの量に比例して履歴管理の負担が増える。
【0009】
次に、第2の方法では、コンテンツ制作者が更新ファイルをアップロードする宛先となる第1のサーバ(履歴管理用サーバ)と、ウェブ・ページを閲覧しようとする者がブラウザを用いてアクセスする第2のサーバ(公開用サーバ)とが分離されている。すなわち、第2のサーバで公開されることになるコンテンツは、多数のコンテンツ制作者からインターネットや専用線を介してアップロードされた多数のファイルの総体として、更新履歴を管理する第1のサーバにいったん登録される。そして、そのように第1のサーバに登録されたコンテンツを構成するファイル群が、第2のサーバに転送される。転送の際には、第1のサーバと第2のサーバとの間がどのようにして接続されているかに依存するが、基本的には、ファイル群を構成するそれぞれのファイル形式を維持した状態で転送される。ウェブ・コンテンツを構成するのは、サイズが比較的小さなテキスト・ファイルだけではない。音声ファイルや、動画を含む画像ファイルなど、サイズが比較的大きなファイルもある。従って、第1のサーバから第2のサーバへ、ウェブ・コンテンツを構成するファイルをすべて移動させるには、ある程度の時間が必要となる。このように、第2の方法によると、公開されるコンテンツを全体として再現することは可能である。しかし、コンテンツの公開には、更新管理サーバへの登録という公開前の手続きが必要となる。そのため、更新と公開との間に遅延が生じる可能性があり、これは、リアルタイムで更新されるべきコンテンツを履歴管理対象とすることに付随する問題点と言える。また、更新履歴を管理するための専用システムが必要となる。更に、更新履歴管理サーバへの登録作業は、コンテンツ制作者の負担になるため、このようなシステムを導入すること自体が困難視される場合もありうる。
【0010】
このように、第2の方法では、更新履歴管理用サーバにいったんアップロードされたコンテンツを公開用サーバに移動させるために、時間的遅延が生じうる。この遅延は、公開用サーバにアクセスしてウェブ・ページを閲覧しようとするものにとっては、ウェブ・コンテンツの更新に時間がかかるという問題として現れる。他方で、コンテンツ制作者にとっては、この遅延は、更新ファイルをアップロード作業がうまく進行しないという問題として現れる。
【0011】
最後に第3の方法であるが、この方法では、コンテンツを保存するタイミングとコンテンツが更新されるタイミングとの間に一定の条件が存在しなければ、コンテンツを完全に再生することは不可能である。例えば、コンテンツの更新1と更新2とがこの順序でなされた場合を考える。この場合、コンテンツの保存1が更新1の前になされ、保存2が更新2の後になされたとすると、すなわち、2回の保存と2回の更新とが、保存1、更新1、更新2、保存2という順序で生じたとすると、更新1が完了し更新2が開始されるまでの間のコンテンツは、保存2がなされる前に更新2によって変更されてしまうため、事後的に再現することはできない。
【発明の開示】
【0012】
本発明によると、インターネット接続環境を有するクライアント端末と、前記クライアント端末において所定のURLを指定することにより閲覧可能なウェブ・ページが設置されているウェブ・サーバと、インターネットを含む通信回線を介して前記ウェブ・サーバにアクセス可能であり前記ウェブ・ページを構成するウェブ・コンテンツの更新データを提供する通信端末とを含むウェブ・コンテンツ更新履歴管理システムで提供される。このウェブ・コンテンツ更新履歴管理システムは、(a)前記ウェブ・サーバの中にあり、前記通信端末からのログインに応答して、前記通信端末から送信され前記ウェブ・コンテンツを更新するための更新ファイルのファイル名を要求する手段と、(b)前記通信端末の中にあり、前記ファイル名の要求に応答して、前記更新ファイルのファイル名を前記ウェブ・サーバに送信する手段と、(c)前記ウェブ・サーバの中にあり、前記ファイル名の受信に応答して、前記受信されたファイル名を有するファイルを前記ウェブ・サーバの中の2つの異なる領域のそれぞれに作成し、前記2つのファイルの作成終了を前記クライアントに告知する手段と、(d)前記通信端末の中にあり、前記告知の受信に応答して、前記更新ファイルを前記ウェブ・サーバに送信する手段と、(e)前記ウェブ・サーバの中にあり、前記更新ファイルを受信して、受信された更新ファイルを、前記別個の2つの保存領域のそれぞれに作成されたファイルに上書きする手段と、を備えていることにより、前記クライアント端末においては、前記通信端によるウェブ・コンテンツの更新がリアルタイムで反映されたウェブ・ページの閲覧が可能となる。
【0013】
また、本発明によるシステムにおいては、手段(c)によって作成されるファイル名に更新時刻識別情報を含ませることにより、時間的に連続して更新されるウェブ・コンテンツであっても、一意的な識別が可能となる。
【0014】
更にまた、本発明によるシステムにおいては、手段(e)が、(e1)前記更新ファイルを、当該更新ファイルを構成するパケット単位で受信する手段と、(e2)受信されたパケットを、受信された順に、前記別個の2つの保存領域のそれぞれに作成された2つのファイルの中に書き込む手段と、を更に備えているように構成することができる。
【0015】
なお、本発明は、上述のウェブ・コンテンツ更新履歴管理システムとして定義するのとは別に、そのようなシステムを構成する各手段としてコンピュータを機能させるコンピュータ・プログラムが記憶されているコンピュータ読取可能な記憶媒体として、あるいは、そのようなコンピュータ・プログラム自体として把握することも可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下では、添付の図面を参照して、本発明の実施例について、コンテンツの設置、保存ソフトウェア、保存登録、再現の順に詳細に説明する。
図1には、本発明によるコンテンツ更新履歴管理システムのシステム構成が示されている。図1の中のRは、パケットのルーティングを行うルータである。まず、ウェブ・サーバWEB1及びWEB2は、ネットワーク・ファイル・システム(NFS)を用いて、ファイル・サーバ経由で設置されたコンテンツを公開する。なお、NFSは、コンテンツをそれぞれのサーバ(ウェブ・サーバ、ファイル・サーバ、アプリケーション・サーバ)で共有するための装置であって、コンテンツ公開用の領域と、コンテンツ保存用の領域と、操作ログ蓄積用の領域とから構成されている。次に、ファイル・サーバFILE1及びFILE2は、それぞれのコンテンツ制作者がコンテンツをアップロードするために接続するサーバであり、それぞれのコンテンツ制作者の通信端末から、インターネット(図1の上側の制作者1からの接続の場合)や専用線(図1の下側の制作者2からの接続の場合)を経由したアクセスが可能である。アプリケーション・サーバAPは、別のファイル名で保存されたコンテンツをデータベース・サーバDBへ登録するためのサーバである。また、更に、アプリケーション・サーバは、過去のある時点で公開されていたコンテンツの再生を行う。最後にデータベース・サーバDBは、新規に登録されたコンテンツや、更新されたコンテンツの公開時刻などの情報を蓄積する。
【0017】
なお、図1のシステム構成では、そして、図2以降においても、ウェブ・サーバが2つ(WEB1及びWEB2)、ファイル・サーバが2つ(FILE1及びFILE2)示されている。2つずつ設置されている理由は、冗長化(二重化)することによって、万一何らかの原因によりデータが損傷した場合に備えるためである。図1は現実のシステムを想定しているためこのような冗長構成になっているが、冗長構成自体は従来から広く採用されており、本発明に特有の構成ではないことを付言しておきたい。
【0018】
図2は、図1のシステム構成の図において、コンテンツ制作者が更新のためにコンテンツをアップロードする様子を示す矢印を追加した図である。コンテンツは、それぞれのコンテンツ制作者から、インターネットを経由して、又は、専用線を経由して、アップロードされる。専用線を経由してアップロードされるのは、例えば、同一の組織の中において、上述したサーバ群が置かれているデータ・センタとコンテンツの作成がなされているオフィスとが専用線によって接続されているような場合である。コンテンツ制作者によってアップロードされたコンテンツは、アップロード専用のソフトウェアがインストールされた第1のファイル・サーバFILE1又は第2のファイル・サーバFILE2を経由してネットワーク・ファイル・システムNFSの上に設置される。
【0019】
次に、図3を参照しながら、それぞれのコンテンツ制作者からアップロードされたコンテンツの保存について説明する。最初に、コンテンツ制作者は、コンテンツをアップロードするために、パーソナル・コンピュータやワークステーションなど、自らの通信端末から、IDやパスワードなどを用いた認証を経て、ファイル・サーバにログインする(ステップ301)。ログインした後で、送信するコンテンツのファイル名(index.html)をファイル・サーバに送る(ステップ302)。ファイル・サーバは、ファイル名を受信すると、コンテンツ制作者が指定したファイル名を有する2つのファイルを作成する。一方は公開用ファイルであり(ステップ303)、他方は再現のための保存用のファイルである(ステップ303’)。次に、コンテンツ制作者の通信端末から、複数のTCPパケット(図3の例では、A、B、C、D)に分割されたコンテンツが、ファイル・サーバに向けて送信される(ステップ304)。ファイル・サーバは、パケットを受信し、それらのパケットを、ステップ303及びステップ303’において作成された2つのファイルそれぞれに書き込む(ステップ305)。ここで、公開用ファイルと保存用(更新履歴管理用)ファイルとの両方に、パケットA、B、C、Dが書き込まれる。図3の上側は、パケットA、B、Cが順に送られてきている様子を示しており、図3の下側は、パケットA及びBは公開用及び保存用それぞれのファイルに書き込まれ、次に、パケットC及びDが送られてきている様子を示す。ステップ305では、2つのファイルに同一のパケットがそれぞれ書き込まれるのであるから、結果的に、公開用ファイルと保存用ファイルとの2つのファイルは、同一の内容を有する。こうして、本発明では、同一内容を有する2つのファイルが別の領域に作成されることになる。
【0020】
結果的に同一内容のファイルができるという点では、従来技術として上述した第2の方法と類似するように思われるかも知れない。しかし、従来技術による第2の方法では、コンテンツ制作者が更新ファイルを更新履歴管理用サーバにアップロードすることの結果として、更新履歴管理用サーバに更新ファイルがいったん登録され、しかるのちに、そのようにして登録された更新ファイルが公開用サーバに移動されるのであった。このような方法によって2つのファイルを作成するには、時間を要する。これに対し、図3に示されている本発明の保存動作によると、コンテンツ制作者から送られてくる更新ファイルは、現実にインターネット又は専用線の中を伝送されてくるパケットのまま、既に作成されている公開用及び保存用の2つのファイルの中に書き込まれていく。従って、従来技術による第2の方法の場合のようにいったんファイルとして存在する更新データを別のサーバに移動させる際に必要とされる時間は不要であり、同時進行的に2つの同一内容の更新ファイルが作成されるのである。
【0021】
図4には、コンテンツ制作者からアップロードされたコンテンツの保存登録の様子が示されている。最初に、コンテンツ制作者によるコンテンツの設置及び操作の状況をログに記録し、そのログをユーザが転送したコンテンツなどと共にネットワーク・ファイル・システムNFS上に蓄積する(ステップ401)。そして、蓄積されたログを、アプリケーション・サーバAPが確認する(ステップ402)。アプリケーション・サーバAPによって確認された内容が、データベース・サーバDBに反映される(ステップ403)。次に、保存用に蓄積されたコンテンツは、アプリケーション・サーバAP上のハードディスクへ移動される(ステップ404)。
【0022】
特に図3との関係で上述したように、本発明によるシステムでは、サーバが受信した更新のためのコンテンツの保存は、受信されたパケット単位で、2つのファイルに同時に書き込むことにより行われる。一方のファイルは公開用でありネットワーク・ファイル・システムNFSの公開用領域に、他方のファイルは保存用でありネットワーク・ファイル・システムNFSの保存用領域に、設置される。コンテンツがそれぞれの領域に設置されるのと同時に、コンテンツが操作された状況は、作業ログに記録される。アプリケーション・サーバAPは、所定の周期で作業ログを参照して、一時領域に設置されている保存用コンテンツをアプリケーション・サーバAPに接続されているハードディスクHDDに移動し、同時にそのコンテンツが公開された時刻や設置したディレクトリ名などの情報をデータベース・サーバDBに登録する。登録されたログ情報とコンテンツとに基づき、ある特定の時刻に公開されていたコンテンツを再現する。
【0023】
なお、図3に示されているように、コンテンツ制作者はファイル・サーバにコンテンツをアップロードし、アップロードされたコンテンツはファイル・サーバに保存されるのであるが、その流れを表す流れ図が、図5に示されている。更に、図4に示されているように、いったんアップロードされたコンテンツが最終的にはハードディスクに記憶される流れを表す流れ図が、図6に示されている。
【0024】
以上のように、本発明によるコンテンツ更新履歴管理システムでは、一般に公開されるコンテンツが設置される一般公開用のサーバ・システムの中に、コンテンツの履歴管理を行うための機構(「登録システム」と称する)を組み込むことによって、従来技術における問題点を解決している。背景技術の説明の箇所で述べた従来技術における第2の更新履歴管理方法では、更新履歴管理用と一般公開用との別個の2つのサーバを設けていた。これに対して、本発明では、単一のサーバ・システムの内部で、コンテンツの更新履歴管理と最新コンテンツの公開との両方を行うことにより、複数のコンテンツ制作者から複数のネットワークを介してアップロードされるコンテンツをリアルタイムで保存することを可能にしている。
【0025】
従来技術による第1及び第3の方法のように、従来技術によるほとんどの更新履歴管理システムでは、コンテンツを更新する際にコンテンツ制作者からアップロードされるコンテンツは、単一のコンテンツとして、公開用のウェブ・サーバに登録されていた。これに対して、本発明では、ウェブ・サーバがコンテンツ制作者から送信された更新のためのコンテンツを受信すると、組み込まれた登録システムが2つのファイルを同時に作成し、2つのファイルのそれぞれに受信したコンテンツに対応する同一データを書き込む。こうして、公開用のファイルと保存用のファイルとが同時に作成される。保存用のファイルは、そのファイル名に作成の日時などを加えて一意的な識別を可能にしておくことにより、短時間の間に連続的に更新される同一名のコンテンツであっても、相互に識別可能な態様で保存及び再生をすることができる。なお、この登録システムを用いる場合、ウェブ・サーバにコンテンツを設置する手順は、従来と同様となり、コンテンツ登録作業やリアルタイム更新への対応も可能となる。
【0026】
なお、ウェブ・サーバにおいては、公開用のファイルと保存用のファイルとを作成する以外に、それと並行して、それぞれのコンテンツ制作者が既存のコンテンツを更新するために行うすべての操作が、専用のログとして記録される。このログを用いて、それぞれのコンテンツ制作者の動作が履歴管理システムに登録される。そして、その登録された情報を基にして、履歴を閲覧することが可能となる。
【0027】
上述したように、従来技術による第2の方法では、更新履歴管理サーバへの更新ファイルのアップロードをいったん完了しなければならない。そのため、既に指摘した通り、コンテンツ制作者にとっては、アップロード作業が円滑に進行しないという現象が生じていた。それに対して、本発明による登録システムでは、伝送されてきたパケット単位で更新の内容が2つのファイルへ書き込まれる。つまり、更新履歴の管理作業は自動的に実行され、この管理作業は、コンテンツ制作者に特に意識されずに進行するのも、著しい利点である。
【0028】
従って、本発明による登録システムを用いると、コンテンツ制作者によって連続的に更新される個々のウェブ・コンテンツの更新履歴の一元的な管理が可能となる。そして、そのようにして管理されている更新履歴を利用することによって、当該ウェブ・ページにおける任意の時点において公開されていたウェブ・コンテンツを、その時点において閲覧側のクライアント端末へ向けて送出されていた通りに忠実に再現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明によるコンテンツ更新履歴管理システムのシステム構成である。
【図2】図1のシステム構成の図において、コンテンツ制作者が更新のためにコンテンツをアップロードする様子を示す矢印を追加した図である。
【図3】それぞれのコンテンツ制作者からアップロードされたコンテンツが保存される態様を示す図である。
【図4】コンテンツ制作者からアップロードされたコンテンツの保存登録の様子の更なる詳細がが示されている。
【図5】図3に示されているように、コンテンツ制作者がファイル・サーバにコンテンツをアップロードし、アップロードされたコンテンツがファイル・サーバに保存される流れを表す流れ図である。
【図6】図4に示されているように、いったんアップロードされたコンテンツが最終的にはハードディスクに記憶される流れを表す流れ図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インターネット接続環境を有するクライアント端末と、前記クライアント端末において所定のURLを指定することにより閲覧可能なウェブ・ページが設置されているウェブ・サーバと、インターネットを含む通信回線を介して前記ウェブ・サーバにアクセス可能であり前記ウェブ・ページを構成するウェブ・コンテンツの更新データを提供する通信端末とを含むウェブ・コンテンツ更新履歴管理システムであって、
(a)前記ウェブ・サーバの中にあり、前記通信端末からのログインに応答して、前記通信端末から送信され前記ウェブ・コンテンツを更新するための更新ファイルのファイル名を要求する手段と、
(b)前記通信端末の中にあり、前記ファイル名の要求に応答して、前記更新ファイルのファイル名を前記ウェブ・サーバに送信する手段と、
(c)前記ウェブ・サーバの中にあり、前記ファイル名の受信に応答して、前記受信されたファイル名を有するファイルを前記ウェブ・サーバの中の2つの異なる領域のそれぞれに作成し、前記2つのファイルの作成終了を前記クライアントに告知する手段と、
(d)前記通信端末の中にあり、前記告知の受信に応答して、前記更新ファイルを前記ウェブ・サーバに送信する手段と、
(e)前記ウェブ・サーバの中にあり、前記更新ファイルを受信して、受信された更新ファイルを、前記別個の2つの保存領域のそれぞれに作成されたファイルに上書きする手段と、
を備えていることにより、ウェブ・コンテンツの更新履歴管理をリアルタイムで行いながら、前記クライアント端末において前記通信端によるウェブ・コンテンツの更新がリアルタイムで反映されたウェブ・ページの閲覧が可能となることを特徴とするウェブ・コンテンツ更新履歴管理システム。
【請求項2】
請求項1記載のシステムにおいて、手段(c)によって作成されるファイル名は更新時刻識別情報を含み、よって、時間的に連続して更新されるウェブ・コンテンツの一意的な識別が可能となることを特徴とするシステム。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載のシステムにおいて、手段(e)は、
(e1)前記更新ファイルを、当該更新ファイルを構成するパケット単位で受信する手段と、
(e2)受信されたパケットを、受信された順に、前記別個の2つの保存領域のそれぞれに作成された2つのファイルの中に書き込む手段と、
を更に備えていることを特徴とするシステム。
【請求項4】
コンピュータを、請求項1ないし請求項3記載のシステムを構成する各手段として機能させるコンピュータ・プログラムが記憶されているコンピュータ読取可能な記憶媒体。
【請求項5】
コンピュータを、請求項1ないし請求項3記載のシステムを構成する各手段として機能させるコンピュータ・プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−251892(P2006−251892A)
【公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−63939(P2005−63939)
【出願日】平成17年3月8日(2005.3.8)
【出願人】(504276185)株式会社アイアイジェイ テクノロジー (1)
【出願人】(000004352)日本放送協会 (2,206)
【Fターム(参考)】