説明

ウェブ製品のための輸送装置および関連方法

紙またはフィルムの個々の物体(12、12')を縦方向(15)に輸送するための装置(40)を提供する。頂部係合部分(120)は、物体(12、12')の第1の側面(12a)と接触し、底部係合部分(130)は、第1の側面(12a)の反対側の物体(12、12')の第2の側面(12b)と接触し、それぞれ頂部係合部分(120)と協働して、物体(12、12')を把持し、縦方向(15)に移動させる。頂部係合部分(120)または底部係合部分(130)の少なくとも1つは物体(12、12')と係合するための複数の偏倚可能な要素(170)を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照
本出願は、全般的に、全て本明細書と同日付で出願され、参照によりその全体が本明細書に明確に組み込まれる、以下の同時係属の米国特許出願、すなわち「Apparatus for Guiding and Cutting Web Products and Related Methods」という名称の第12/231,739号(代理人整理番号KERI-05)、「Envelope Conveying and Positioning Apparatus and Related Methods」という名称の第12/231,755号(代理人整理番号KERI-06)、「Inserting Apparatus for Discrete Objects into Envelopes and Related Methods」という名称の第12/231,753号(代理人整理番号KERI-07)、「Transporting Apparatus for Discrete Sheets into Envelopes and Related Methods」という名称の第12/231,754号(代理人整理番号KERI-08)、および「Conveying Apparatus for Envelopes and Related Methods」という名称の第12/231,730号(代理人整理番号KERI-09)に関連する。
【0002】
本発明は、一般に、印刷物加工設備に関し、より詳細には、紙のシートへの加工、丁合、および自動封筒詰め作業のための装置に関する。
【背景技術】
【0003】
印刷物加工設備は自動封筒詰めで知られている。かかる設備は、事前に印刷された紙ウェブを供給し、こうしたウェブを1つまたは複数の個々のシートに切断して、シートを丁合し、こうした個々のシートの丁合物を封筒に入れるための構成要素を含むことができる。かかる設備は、さらに、詰め込まれた封筒を指定の場所に運搬する構成要素を含むことができる。この産業には、上記その他の機能を果たす長い間知られたデバイスがある。しかし、最終製品の信頼性、正確さ、および品質を損なわずに、大量の紙の枚数計算かつ速い速度が要求される点で改善が求められている。
【0004】
より具体的には、通常、大きい紙ロールの個々の領域に部分に固有の情報が印刷される。すなわち、最初の紙ロールは、証印に固有の情報がすでに印刷された膨大な数の個々の領域を含み、それぞれ個々の領域は単一ページまたはシートの証印に固有の情報を実際に含むべきものを規定する。この過程を複雑にするのは、シート数によって、かつ、当然、含まれたシート上の特定に証印によって、1つの封筒の内容物が他の封筒の内容物と異なるように、関連する証印を有する変数のシートを封筒内に配置しなければならないことである。一例として、複数の顧客またはアカウントに特化した財務報告書は、様々な数の顧客またはアカウントに特化したシートを切断し、それぞれ丁合し、詰め込み、配達用に出す必要がある。したがって、各封筒の内容物は、単一シート、または2から多数のシートの「丁合物」を含み、各「丁合物」は住所への郵送に固有のものである。
【0005】
こうした例示の作業では、金融機関が各顧客に請求書または送り状の情報を送ることがある。1人の顧客についての請求書情報または「証印」は、丁合して、その顧客の封筒内に配置しなければならない、1枚の最終シートから数枚のシートまでのいずれかが必要とされる。この情報全てを単一ロール上のシートの大きさの個々の領域内に印刷することができるが、こうした領域を良好に画定し、切断し、同じ住所または宛先のシートにまとめ、または丁合し、封筒内に配置し、処理し、送り出さなければならない。したがって、この過程を実行するためのシステムは、過去においては、紙ロールスタンド、駆動装置、シート切断機、まとめユニット、集積または丁合ユニット、折りたたみ機、封筒供給機、封筒挿入機、ならびに、仕上げおよび排出ユニットなど、幾つかの典型的な構成要素を含んでいた。電子制御装置を使用して、システムを作動させ、機能を相関させて、正しいシートが丁合され、正しい宛先の封筒内に配置される。
【0006】
こうした複数構成要素システムでは、紙ロールから完成した封筒までの通過速度が各構成要素の速度に依存し、全体の生産速度は、最も遅い、または最も弱いリンク構成要素の関数である。全体の信頼性も同様に限定される。さらに、どの機能不全または故障からでも修理までの平均作業中止時間が、最も修理が多く、最も保守消耗性の構成要素によって限定される。こうしたシステムは、資本集約的であり、かなりの間取りまたは設置面積が必要とされ、かなりの労働力、材料、および保守能力、ならびに施設が必要とされる。
【0007】
こうしたシステムでは、たとえば、切断装置と緩衝および折りたたみステーションの間に材料の単一の個々のシート、または材料の2つの並列の個々のシートが必要とされることがある。従来のシステムは、シートの係合に使用される固体構造の過剰な摩耗および断裂のために、材料のシートに損傷が与えられる傾向があり、または性能が悪化する恐れがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許出願第12/231,739号明細書
【特許文献2】米国特許出願第12/231,755号明細書
【特許文献3】米国特許出願第12/231,753号明細書
【特許文献4】米国特許出願第12/231,754号明細書
【特許文献5】米国特許出願第12/231,730号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、高速処理機械の改良型紙輸送装置を提供することが望ましい。従来の紙システムで観察される特有の問題に対処する輸送システムおよび関連方法を提供することも望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0010】
これらの目的のため、本発明の一特定の実施形態では、紙またはフィルムの個々の物体を縦方向に輸送するための装置を提供する。この装置は、物体の第1の側面と接触するための頂部係合部分および第1の側面の反対側の物体の第2の側面と接触し、それぞれ頂部係合部分と協働して、物体を縦方向に移動させるための底部係合部分を含む。頂部係合部分または底部係合部分の少なくとも1つは、物体と係合するための複数の偏倚可能な要素を含む。偏倚可能な要素は、たとえば、剛毛の形態でもよい。頂部または底部の係合部分の1つは、複数の偏倚可能な要素を含むことができるが、頂部または底部の係合部分の他方は、物体と係合するためのゴムベルトを含む。装置は、頂部または底部の係合部分の少なくとも1つに動作可能に結合されて、物体を縦方向に移動させる駆動機構を含むことができる。駆動機構を、頂部および底部の係合部分を実質的に等しい表面速度で駆動するように構成することができる。駆動機構は、追加または別法として、サーボデバイスでもよい。偏倚可能な要素を、偏倚し、それによって物体の厚さに対応するように配置することができる。底部係合部分は1対の対向するベルトアセンブリを含むことができ、装置は対向するベルトアセンブリの間に配置された支持面を含んで、物体の中央部分を支持する。
【0011】
支持面が各物体の内縁部を支持するように構成された状態で、頂部および底部の係合部分を、2つの並列の紙またはフィルムの物体を縦方向に移動させるように構成することができる。少なくとも1つのローラを物体に接触するように配置することができ、少なくとも1つのローラは、頂部係合部分または底部係合部分の少なくとも1つと協働して、物体を縦方向に案内する。頂部係合部分は第1の対の対向するベルトアセンブリを含むことができ、底部係合部分は、それぞれ第1の対の対向するベルトアセンブリと協働して物体と係合する第2の対の対向するベルトアセンブリを含むことができる。少なくとも第1の対または第2の対のベルトアセンブリは互いに対して非平行である。少なくとも第1の対または第2の対のベルトアセンブリは縦方向に広がることができる。
【0012】
他の実施形態では、1対の個々の並列の紙またはフィルムの物体を縦方向に輸送するための装置を提供する。この装置は、それぞれ各物体の第1の側面に、かつそれぞれ各物体の横方向の縁部に接触するための第1の対の対向するベルトアセンブリを含む頂部係合部分、および底部係合部分を含む。底部係合部分は、それぞれ第1の対のベルトアセンブリと協働して、第1の側面の反対側の各物体の第2の側面と接触し、それぞれ頂部係合部分と協働して、物体を縦方向に移動させる第2の対の対向するベルトアセンブリを含む。頂部係合部分または底部係合部分の1つは物体と係合するための複数の剛毛を含み、少なくとも第1の対または第2の対のベルトアセンブリは互いに対して非平行である。頂部係合部分または底部係合部分の他方は、物体と係合するためのゴムベルトを含むことができる。
【0013】
他の実施形態では、自動封筒詰め機械を提供する。この機械は、紙ロールの縦方向の供給に関連する第1の端部を含む。機械の一部は、紙ロールを個々の紙の物体に加工するように構成される。第2の端部は、封筒を個々の紙の物体に向けて供給することに関連する。機械は、物体の第1の側面と接触するための頂部係合部分、および第1の側面の反対側の物体の第2の側面と接触し、それぞれ頂部係合部分と協働して物体を第2の端部に向けて移動させるための底部係合部分を備える輸送装置を含む。頂部係合部分または底部係合部分の少なくとも1つは物体と係合するための複数の偏倚可能な要素を含む。
【0014】
他の実施形態では、紙またはフィルムの個々の物体を縦方向に輸送するための方法を提供する。物体の第1の側面は実質的に固体の表面と係合する。第1の側面の反対側の物体の第2の側面は、物体の表面と係合したときに偏倚可能な実質的に弾性の表面と係合する。実質的に固体の表面および実質的に弾性の表面を移動させ、それによって物体を縦方向に移動させる。この方法は、実質的に固体の表面と実質的に弾性の表面を実質的に等しい表面速度で移動させる段階を含むことができる。物体の中央部分を支持面に接触させ、それによって物体が縦方向に移動するときに物体を支持し、物体を支持面に対して縦方向に移動させることができる。この方法は、あるいは、1対の並列の紙またはフィルムの物体を実質的に固体の表面および実質的に弾性の表面と係合させ、それによって対の物体を縦方向に移動させる段階を含むこともできる。方法は、物体を互いに対して外向きに縦方向に移動させる段階を追加または別法として含むこともできる。方法は、物体の横方向の縁部で物体と係合する段階を含むことができる。
【0015】
こうした装置および方法は、モジューラーベースであり、改良型紙処理装置、サーボ駆動構成要素、改善されたセンサ密度、およびシステムオペレーションを制御する改善された制御概念を有する、改良型紙加工およびシート挿入装置、ならびに方法が企図される紙加工および封筒詰めシステムで特に有用である。本発明の1つまたは複数の実施形態は、したがって、人的資本、必要な空間、必要な設備、保守、労働力、および材料、ならびに施設が同様の処理能力の従来のシステムと比較して低減されるモジュラ紙加工およびシート挿入システムのモジュールとして使用することができる改良型輸送装置の提供を企図するものである。
【0016】
より具体的には、こうした改良型装置および方法では、一連の同様のモジュール、または特定のモジュールが多機能である異なるモジュールの以下の機能を提供する複数の機能モジュールが企図される。機能には、以下が含まれる。
・印刷済み紙ロールの処理/巻き出し
・紙を細長く切り、切断すること
・シートの丁合および集積
・シートの折りたたみ
・挿入紙とインターフェースをとるための輸送
・封筒送り
・丁合インターフェースおよび挿入、ならびに、
・封筒の処理および送り出し
【0017】
より具体的には、本発明の1つまたは複数の態様は、限定的ではないが、新しい独特の以下のための装置および方法を企図することができる。
(a)印刷された証印を含む紙またはフィルムのウェブを切断装置に案内すること
(b)ウェブを細長く切断し横方向に切断する作業によって加工すること
(c)挿入紙の個々の片を輸送し、まとめること
(d)挿入紙の個々の片を所定のスタックに集積すること
(e)挿入紙の個々の片のスタックを封筒詰めステーションに向けて案内し、輸送すること
(f)個々の封筒を封筒詰めステーションに向けて輸送すること
(g)封筒詰め工程の前に、封筒のスタックを作成し、加工すること、および
(h)封筒のスタックから封筒詰めステーションを通して個々の封筒を加工すること
【0018】
特定のモジュールの特定の機能の組み合わせは、独特の組み合わせであるが、本出願の発明は主に本明細書に記載した紙輸送装置および方法である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】選択した紙またはフィルムの物体を封筒に詰めるための加工機の一部を示す斜視図である。
【図2】図1の加工機の輸送モジュールを示す斜視図である。
【図3A】図2の輸送モジュールの複数の剛毛を示す立面図である。
【図3B】図3Aで示したものと異なる方向の剛毛を示す図3Aと同様の立面図である。
【図4】図2の輸送モジュールの特徴を示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図を、より具体的には図1を参照すると、紙またはフィルムのウェブ12を加工するための例示の加工機10の一部が示されている。図に示していないが、加工機10で加工されたウェブ12は、たとえば、こうしたウェブを含む材料のロール(図示せず)に源を発する。ロールは、全般的に加工機10の第1の端部14と関連し、たとえば、ロールの芯を受ける軸を駆動することによって、またはロールの表面にベルトあるいは同様のデバイスで接触することによって、当技術分野で周知の方法で巻き出される。通常、ウェブ12は、証印が個々の領域に事前に印刷される。
【0021】
したがって、ウェブ12は、加工機10を構成する幾つかのモジュールを通り、全般的に矢印15で示した縦方向に移動する。図1の例示の実施形態では、加工機10は、ウェブ材料を材料(「挿入紙」)の(その「領域」に対応する)個々のシートに切断し、それらを加工機10の反対側の端部16から全般的に供給される封筒内に送る。加工機10はさらに、後続の加工または配置のために、挿入紙を含む封筒を図で示した加工機10の部分から離れるように運搬する。例示の加工機10は、上記のように、ウェブおよびそれから得られる挿入紙の加工、ならびに封筒の加工における様々なステップを実行するための幾つかのモジュールを含む。当業者には容易に理解されるように、加工機10はこれらの本明細書に示したものに加えて、またはその代わりに、他のモジュールを含むことができる。
【0022】
たとえば、図で示したモジュールの最初のものは、加工機10の第1の端部14に比較的近接した切断モジュール30であり、切断モジュール30は、後続の加工のため、ウェブ12を挿入紙など個々の物体(図示せず)に切断する。運搬モジュール40は、切断モジュールから受取った個々の挿入紙を制御し、輸送し、それらを折りたたみおよび緩衝モジュール50に送る。モジュール50は、たとえば、意図された生産に、2つ以上の個々のシートによって画定された挿入紙を封筒に詰めることが必要とされる場合、必要に応じて、後続の加工のために個々の挿入紙のスタックを形成することができる。モジュール50は、意図された生産によって要求された場合、全般的に縦方向に沿って配置された個々の挿入紙の長手方向軸に沿って個々の挿入紙を折りたたむ。さらに、モジュール50は、特定の生産によって要求された場合、個々のシートのセットを個々に処理されたスタックに集積し、丁合し、または緩衝する。
【0023】
続いて図1を参照すると、取り込みモジュール60は、折たたみおよび緩衝モジュール50から挿入紙を取り入れ、詰め込みモジュール70の構成要素と協働して、挿入紙を輸送し、封筒内に送る。封筒は、処理され、封筒運搬機80によって詰め込みモジュール70に向けて送られる。運搬アセンブリ90は、詰め込みモジュール70および封筒運搬機80に動作可能に結合されて、詰め込まれた、または封入された封筒を後続の加工または配置のために図で示した加工機10の部分から離れるように運搬する。
【0024】
図2および3A〜3Bを参照すると、例示の輸送モジュール40がかなり詳細に示されている。モジュール40は、以下でより詳細に記載するモジュールの様々な構成要素を支持する(図でファントムで示した)支持フレームまたはハウジング100を含む。支持フレーム100は、この実施形態では金属で作製されているが、代わりに他の適した材料を選択してもよい。フードまたはカバー104(図1)は、作動しているモジュール40の構成要素へのアクセスを制限し、たとえば、ウェブ12を破片などからさらに保護することができる。フードまたはカバー104を、たとえば、透明または半透明の材料で作製して、動作中にウェブおよび作動している構成要素を見ることができるようにすることができる。
【0025】
輸送モジュール40は、それぞれウェブの第1の(たとえば頂部)側面12aおよびウェブ12の第2の(たとえば底部)側面12bと係合するための頂部係合部分120および底部係合部分130を含む。本明細書で使用されるように、輸送モジュール40の前後関係では、用語「ウェブ」は、個々の紙あるいはフィルムの物体、または並列に配置された1対の紙あるいはフィルムの物体を全般的に指す。頂部係合部分120および底部係合部分130は、互いに協働して、ウェブ12をモジュール40の第1の端部40aからモジュール40の第2の端部40bまで縦方向(矢印15)に移動させる。この点で、たとえばサーボデバイス150の形態で概略的に示した駆動機構が頂部および底部の係合部分120、130の1つまたは両方に動作可能に結合されて、それらの係合部分を移動させ、それによってウェブ12を縦方向に移動させる。
【0026】
より具体的には、この例示の実施形態では、サーボデバイス150は、第2の端部40bに近接し、頂部係合部分120の1対のベルトアセンブリ160、164と正駆動係合(positive driving engagement)している第1の対の歯車またはスプロケット154に動作可能に結合される。図に示していないが、この実施形態では、サーボデバイス150は、駆動ベルトまたは滑車によってそれぞれ頂部係合部分120の2つのスプロケット154に結合された共通の軸を駆動する。ベルトアセンブリ160、164との正駆動係合は、この実施形態では、歯またはスプロケット154の間の空間と係合するベルト166の突起部分165(図3A)によって容易になる。スプロケット154がたとえば矢印156の方向に回転すると、スプロケット154と正駆動係合しているベルト166から延びる例示の剛毛170の形態の複数の偏倚可能な要素が縦方向に移動される。この例示の実施形態では示していないが、サーボデバイス150をモジュール40の第2の端部40bに近接したスプロケット154の1つだけに、またはモジュール40の第1の端部40aに近接して配置された第2の対のスプロケット154の1つまたは両方に追加あるいは別法として動作可能に結合できることが企図される。また、頂部および底部の係合部分120、130のどちらか、または両方が、この実施形態の例示のそれぞれ対のベルトアセンブリではなく、単一のベルトアセンブリを有することができることも企図される。本明細書で使用されるように、この実施形態および代替実施形態の偏倚可能な要素に当てはまる、用語「偏倚可能」は、力の作用を受けると屈折または変形する固体あるいは半固体の構造を指す。
【0027】
特に図2を参照すると、この例示の実施形態では、サーボデバイス150は、モジュール40の第2の端部40bに近接するように配置され、底部係合部分130の第2の対のベルトアセンブリ190、194と正駆動係合している1対のローラ182にも動作可能に結合される。ローラ182がたとえば矢印196の方向に回転すると、ローラ182と正駆動係合している1対のベルト202が縦方向に移動される。この例示の実施形態では示していないが、サーボデバイス150を、モジュール40の第2の端部40bに近接したローラ182の1つだけに、またはモジュール40の第1の端部40aに近接して配置された第2の対のローラ182の1つあるいは両方に、追加もしくは別法として動作可能に結合できることが企図される。
【0028】
この実施形態では、支持フレーム100とスプロケット154の結合を行う軸受アセンブリ210によって、頂部および底部の係合部分120、130の駆動が容易になり、底部係合部分130のローラ182と支持フレーム100の間の軸受アセンブリ(図示せず)または他のタイプの結合によって、さらに容易にすることができる。本明細書で使用されるように、用語「頂部」、「底部」、「上方」、「下方」、およびそれぞれその派生語は、限定的ではなく、図で示した例示の方向を指すものである。
【0029】
上記のように、頂部係合部分120は、ベルト166から延びる剛毛170を含む。剛毛170の一部または全てを、たとえば、ナイロン、または他の適切に選択した1つまたは複数の材料から形成することができる。剛毛170はウェブ12と緩く係合することができる。より具体的には、この実施形態では、剛毛170は4列の剛毛170のグループに配置され、そのグループが縦方向に間隔をおいて配置される。このタイプの配置は、単に例示であり、したがって限定的ではないものとするが、各個々の剛毛172によってウェブ12に比較的小さい力が加えられることになる。さらに、剛毛170が形成される材料、ならびにその構成によって、ウェブ12との係合接触に応答して、剛毛が偏倚できるようになる。したがって、この点で、剛毛170はウェブ12の厚さに従って偏倚し、それによって様々な厚さのウェブ12をモジュール40によって処理できるようになる。
【0030】
特に図3Aおよび3Bを参照すると、上記の剛毛170の偏倚が例として示されている。より具体的には、図3Aは、第1の厚さd1を有するウェブ12に対応する第1の位置にある剛毛170を示している。この点で、剛毛170は、剛毛170と係合するウェブ12が存在しないことと関連した図3Aのファントムで示した方向に対して偏倚している。図3Bは、ウェブ12(図3A)の厚さよりも大きい厚さd2を有するウェブ12'に対応するようにより大きく異なる方向に偏倚した剛毛170を示している。より具体的には、図3Bは、ウェブ12(図3A)によって生じた(図3Bのファントムで示した)偏倚と比較して、より大きく偏倚した剛毛170を示している。この剛毛170の偏倚可能な特徴は、ウェブ12が縦方向に移動中に生じる可能性があるウェブ12の任意の上方への動きにも同様に備えるものである。
【0031】
続いて図2および3A〜3Bを参照すると、底部係合部分130は、剛毛170と協働して、ウェブ12と係合し、縦方向に移動させるベルト202のベルト表面260を含む。より具体的には、ベルト表面260は全般的に平坦であり、実質的に固体の支持面を提供し、それに対して剛毛170が上記のように偏倚する。さらに、ベルト表面260は、ベルト表面260に対するウェブ12の滑りを阻止し、または最小限に抑えるように十分な係合を与えるように構成される。たとえば、限定的ではないが、ベルト202をゴムから形成して、ベルト表面260が係合した場合に、ウェブ12に対して比較的高いレベルの摩擦を与えるようにすることができる。別法として、ベルト表面260がウェブ12と係合し、ウェブ12を縦方向に移動させるように構成される限り、ベルト202を任意の材料で作製することもできる。たとえば、ベルト表面260を、テクスチャを有するように、またはベルト202上に塗布される被覆の形態に設計することができる。
【0032】
上記で論じたように、図2、3A〜3Bの例示の実施形態は、頂部または底部の係合部分120、130の1つまたは両方に動作可能に結合されて、ウェブ12を縦方向に移動させるサーボデバイス150を含む。サーボデバイス150を、頂部と底部の係合部分120、130を互いに実質的に等しい表面速度で駆動させるように構成することができる。たとえば、ベルト166の移動速度がベルト202の移動速度と異なり、それによって剛毛170の偏倚程度が計算されるように、サーボデバイス150を構成することができる。より具体的には、この実施形態では、頂部係合部分120の表面速度が、ベルト166ではなく、剛毛170がウェブ12と係合する点の速度によって規定される。したがって、スプロケット154の回転の結果、ベルト166の移動速度よりも速い表面速度(すなわち剛毛170とウェブ12の接触点の速度)になる。この点で、したがって、結果として得られる頂部係合部分120の表面速度が底部係合部分130のベルト表面260の表面速度と実質的に等しくなるように、この差をもたらすようにサーボデバイス150を構成することができる。
【0033】
ウェブ12の縦方向の移動は、この例示の実施形態では、ウェブ12をモジュール40内部で案内する助けをするモジュール40の第1の端部40aに近接した領域内に配置された1つまたは複数の(図に1つだけ示されている)案内ローラ278によってさらに容易になる。より具体的には、図2で示したように、ローラ278は、取付けブロック282および旋回アーム284によって支持フレーム100に旋回式に取り付けられる。ローラ278は、縦方向に移動中のウェブ12の不規則な上方または下方への動きを阻止する。ローラ278は、ウェブ12に対して、より具体的にはベルト202に対して、下方の圧力を加え、それによってはさみ、したがってウェブ12の上方への動きを最小限に抑える。
【0034】
特に図2を参照すると、たとえば金属で作製された支持面290もモジュール40内部でウェブ12を移動させやすくする。より具体的には、支持面290はウェブ12に対して固定され(すなわちウェブ12と共に移動せず)、単一の個々のシートの形態のウェブ12の主または中央部分を支持する。別法として、モジュール40が2つの並列の物体またはシート12L、12Rの形態のウェブを加工している場合、支持面290は各シート12L、12Rの本体の大部分、ならびにシート12L、12Rの内縁部12m、12nを支持する。
【0035】
図4を参照すると、この例示の実施形態では、頂部係合部分120の第1の対のベルトアセンブリ160、164、ならびに底部係合部分130の第2の対のベルトアセンブリ190、194がそれぞれ非平行方向に配置されている。より具体的には、ベルトアセンブリ160、164、190、194は、縦方向に広がっている。したがって、ベルトアセンブリ160、164はモジュール40の第1の端部40a近くでその間の第1の距離f1、および第2の端部40b近くでその間の第2のより大きい距離f2を画定する。同様に、ベルトアセンブリ190、194は、モジュール40の第1の端部40a近くでその間の第1の距離g1、および第2の端部40b近くでその間の第2のより大きい距離g2を画定する。当業者には容易に理解されるように、別法として、2対のベルトアセンブリの1つだけが広がってもよく、またはどちらも広がらなくてもよい。
【0036】
この例示の実施形態では、ベルトアセンブリ160、164、190、194の末広の方向付けは、ウェブ12上に広がる(たとえば、外向きの)力を誘発する。したがって、モジュール40が単一の個々の物体またはシートを加工する場合、頂部および底部の係合部分120、130はウェブ12の横方向の縁部12b、12cと係合し、それによってウェブ12を縦方向に移動させ、さらに縁部12c、12dを外向きに方向付けし、それによってウェブ12上の皺を防止または回避する。別法として、モジュール40が(ウェブ12の中央部分の破線で示唆したように)2つの並列の物体またはシート12L、12Rを加工する場合、頂部および底部の係合部分120、130はそれぞれウェブ12の横方向の縁部12b、12cと外向きに係合して、シート12L、12Rを縦方向に、さらに互いから離れるように外向きに移動させる。これは、たとえば、後続の加工のため、シート12L、12Rを折たたみおよび緩衝モジュール50(図1)の様々な部分に向けるのに望ましい。
【0037】
本発明を多様な実施形態の記載によって示し、こうした実施形態をかなり詳細に記載したが、添付の特許請求の範囲は、こうした詳細に制限され、または決して限定されないものとする。たとえば、限定的ではないが、ウェブ12と係合する実質的に弾性の表面を提供し、上記の機能の少なくとも一部を含む限り、他の代替構造を剛毛170と置き換えることができる。たとえば、限定的ではないが、こうした構造は可撓性フラップの形態でもよい。同様に、頂部係合部分120の第1の対のベルトアセンブリ160、164、および/または底部係合部分130の第2の対のベルトアセンブリ190、194を、図で示し、本明細書に記載した非平行方向ではなく、代わりにそれぞれ平行方向に配置することもできる。当業者には他の利点および修正が容易に明らかであろう。したがって、本発明は、その広範な態様において、特定の詳細、代表的な装置および方法、ならびに図で示し記載した例に限定されないものである。ゆえに、全般的な本発明の概念の精神および範囲から逸脱することなく、こうした詳細から離脱することができる。
【符号の説明】
【0038】
10 加工機
12 ウェブ
12a 物体の第1の側面
12b 物体の第2の側面
12c、12d 物体の横方向の縁部
14 加工機の第1の端部
16 加工機の反対側の端部
30 切断モジュール
40 輸送モジュール
50 折たたみおよび緩衝モジュール
60 取り込みモジュール
70 詰め込みモジュール
80 封筒運搬機
90 運搬アセンブリ
100 支持フレーム
104 フードまたはカバー
120 頂部係合部分
130 底部係合部分
150 サーボデバイス
154 スプロケット
160、164 第1の対のベルトアセンブリ
165 突起部分
166、202 ベルト
170、172 剛毛
182 ローラ
190、194 第2の対のベルトアセンブリ
210 軸受アセンブリ
260 ベルト表面
278 ローラ
282 取付けブロック
284 旋回アーム
290 支持面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙またはフィルムの個々の物体を縦方向に輸送するための装置であって、
前記物体の第1の側面と接触するための頂部係合部分と、
前記第1の側面の反対側の前記物体の第2の側面と接触し、それぞれ前記頂部係合部分と協働して前記物体を前記縦方向に移動させるための底部係合部分とを備え、
前記頂部または底部の係合部分の1つが前記物体と係合するための複数の偏倚可能な要素を含み、前記頂部または底部の係合部分の他方が前記物体に接触するための実質的に固体の表面を含む装置。
【請求項2】
前記物体に接触するための前記実質的に固体の表面がゴムベルトを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記物体を前記縦方向に移動させるための前記頂部または底部の係合部分の少なくとも1つに動作可能に結合された駆動機構をさらに含む、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記駆動機構が前記頂部および底部の係合部分を実質的に等しい表面速度で駆動させるように構成される、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記駆動機構がサーボデバイスである、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記偏倚要素が偏倚して前記物体の厚さに対応するように配置される、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記底部係合部分が1対の対向するベルトアセンブリを含み、前記装置が、前記物体の中央部分を支持するための前記対向するベルトアセンブリの間に配置された支持面をさらに含む、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記頂部および底部係合部分が2つの並列の紙またはフィルムの物体を縦方向に移動させ、前記支持面がそれぞれ前記物体の内縁部を支持するように構成される、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記物体に接触し、前記頂部係合部分または前記底部係合部分の少なくとも1つと協働して前記物体を前記縦方向に案内する少なくとも1つのローラをさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記頂部係合部分が第1の対の対向するベルトアセンブリを含み、前記底部係合部分がそれぞれ前記第1の対のベルトアセンブリと協働して前記物体と係合するための第2の対の対向するベルトアセンブリを含み、前記第1の対または前記第2の対の少なくとも1つの前記ベルトアセンブリが互いに対して非平行である、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
少なくとも前記第1の対または前記第2の対の前記ベルトアセンブリが前記縦方向に広がる、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記複数の偏倚可能な要素が剛毛の形態である、請求項1に記載の装置。
【請求項13】
前記複数の偏倚可能な要素がナイロンから形成される、請求項1に記載の装置。
【請求項14】
前記頂部係合部分が前記物体の前記第1の側面とそれぞれ前記物体の対向する横方向の縁部で係合するように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項15】
1対の個々の並列の紙またはフィルムの物体を縦方向に輸送するための装置であって、
それぞれ各前記物体の第1の側面にそれぞれ各前記物体の横方向の縁部で接触するための第1の対の対向するベルトアセンブリを含む頂部係合部分と、
それぞれ前記第1の対のベルトアセンブリと協働して前記第1の側面の反対側の各前記物体の第2の側面に接触し、それぞれ前記頂部係合部分と協働して前記物体を前記縦方向に移動させるための第2の対の対向するベルトアセンブリを含む底部係合部分とを備え、
前記頂部係合部分または前記底部係合部分の1つが前記物体と係合するための複数の剛毛を含み、
少なくとも前記第1の対または前記第2の対の前記ベルトアセンブリが互いに対して非平行である装置。
【請求項16】
少なくとも前記第1の対または前記第2の対の前記ベルトアセンブリが縦方向に広がる、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記頂部係合部分または前記底部係合部分の他方が前記物体と係合するためのゴムベルトを含む、請求項15に記載の装置。
【請求項18】
自動封筒詰め機械であって、
紙ロールの縦方向の供給に関連する第1の端部と、
前記紙ロールを個々の紙の物体に加工するように構成された部分と、
封筒の前記個々の紙の物体に向けた供給に関連する第2の端部と、
前記物体の第1の側面と接触するための頂部係合部分、および前記第1の側面の反対側の前記物体の第2の側面と接触し、それぞれ前記頂部係合部分と協働して前記物体を前記第2の端部に向けて移動させるための底部係合部分を含む輸送装置とを備え、前記頂部係合部分または前記底部係合部分の少なくとも1つが前記物体と係合するための複数の偏倚可能な要素を含む機械。
【請求項19】
前記複数の偏倚可能な要素が剛毛の形態である、請求項18に記載の機械。
【請求項20】
紙またはフィルムの個々の物体を縦方向に輸送する方法であって、
前記物体の第1の側面を実質的に固体の表面と接触させる段階と、
前記第1の側面の反対側の前記物体の第2の側面を前記物体の表面と係合したときに偏倚可能な実質的に弾性の表面と接触させる段階と、
前記実質的に固体の表面および前記実質的に弾性の表面を移動させ、それによって前記物体を前記縦方向に移動させる段階とを含む方法。
【請求項21】
前記実質的に固体の表面と前記実質的に弾性の表面を実質的に等しい表面速度で移動させる段階をさらに含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記物体の中央部分を支持面に接触させ、それによって前記物体が前記縦方向に移動するときに前記物体を支持する段階と、
前記物体を前記支持面に対して縦方向に移動させる段階とをさらに含む、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
1対の並列の紙またはフィルムの物体を前記実質的に固体の表面および前記実質的に弾性の表面と係合させ、それによって前記対の物体を前記縦方向に移動させる段階をさらに含む、請求項20に記載の方法。
【請求項24】
前記物体を前記縦方向に互いに対して外向きに移動させる段階をさらに含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記物体の前記第1の側面に前記物体の対向する横方向の縁部で接触する段階をさらに含む、請求項20に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【公表番号】特表2012−501935(P2012−501935A)
【公表日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−526070(P2011−526070)
【出願日】平成21年1月9日(2009.1.9)
【国際出願番号】PCT/US2009/030571
【国際公開番号】WO2010/027525
【国際公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【出願人】(511058431)ケルン・インターナショナル・インコーポレーテッド (5)
【Fターム(参考)】