説明

ウエストポーチ風の小物入れを兼用する簡易腰掛の構造

【課題】 見た目がお洒落で女性にも受け入れられると共に、立ち姿勢から腰掛姿勢に至る全ての動作がスムーズで使い出に優れた簡易腰掛を提供する。
【解決手段】 本体には上下が重なり合う分離型の容器を用い、上部側容器に伸縮バンドが具備されて先端側が移動自在の連結具によって腰ベルトに装着されると共に、上下の容器同士の重なりを固定するためのストッパー装置が設けられる構造とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウエストポーチのようにベルトを用いて腰に下げるタイプの簡易的な腰掛の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
各種の作業時やレジャー時の歩き疲れなど、さまざまな場面でチョット腰を掛けたいと思う事は良くある。小さな折りたたみ椅子も存在するが、一々手に持つかバックなどに入れて持ち運ぶのでは不便で、もっと実用的な用具が求められている。
【0003】
そこで「作業用補助具」及び「野良椅子」なる発明があり、前者は発泡スチロールの箱が足入れ式の腰ベルトに連結されたもの、後者は椅子を腰ベルトにぶら下げ、もう一方のチェーンでお尻に引き付けるものである。どちらも腰で保持する利便性を強調しているが、実際には腰ではなくお尻の下にぶら下がる状態であり、この致命的な不具合を問題視していない点で既に不可である。つまり、腰とお尻では使用具合は雲泥の差であり、この不具合の解消こそがこのタイプの腰掛の最も難解な課題なのである。それは、いくら作業用であっても、歩行にさえ邪魔になる鬱陶しさと不恰好さを我慢してまで使用する人は皆無だからである。しかも、前者では両太ももにベルトを通す装着の煩わしさと、一々脱ぎ取らなければ女性はトイレも出来ないものであり全く論外である。
【文献1】
特許第3502795号
【文献2】
実願2000−6138
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
先述したように、身に付けるタイプの腰掛は見た目が重要で、女性にも受けいれられる事が市場性を得るための絶対条件である。その上でお尻ではなく腰で安定する事、立ち姿勢から腰掛姿勢、腰掛姿勢から立ち姿勢の一連の動作において、体への圧迫や負担がなく速やかにお尻にあてがわれる事、腰掛時の体勢を維持したまま移動が出来る事、身長差や作業に応じて高さ調整が出来る事、などの課題の解決を得る事が重要である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本課題を解決するため請求項1に記載の発明によれば、上下が重なり合う分離型の容器を本体とし、前記本体の上部側容器に伸縮バンドが具備されると共に、前記伸縮バンドの先端側は移動自在の連結具により腰ベルトに装着される形態を為している事を特徴とする、ウエストポーチ風の小物入れを兼用する簡易腰掛の構造としたものである。
【0006】
また、請求項2に記載の発明によれば、上記本体にはストッパー機構が設けられ、上下の容器同士の重なり度合いが可変される形態を為している事を特徴とする、請求項1に記載のウエストポーチ風の小物入れを兼用する簡易腰掛の構造としたものである。
【発明の効果】
【0007】
請求項1の記載による発明の効果の第一は、本品は箱や風呂椅子型ではなく容器型であり、簡易的な腰掛と小物入れを兼用する便利用具となる。つまり、ウエストポーチ風であるから違和感なく女性にも受け入れられるのである。第二に、伸縮バンドは腰ベルトを介している構造がポイントで、伸縮バンドの伸びによりお尻の下まで容易に届く事で腰掛となり、お尻から外せば元の位置に戻るのは勿論、腰掛時に適度な引きと両腰への抵抗によりホールド状態が維持される。この時、腰ベルトが伸縮バンドを受けるため、体に圧迫や負担が掛からない仕組みである。第三に、伸縮バンドは移動自在の連結具によって腰ベルト上にあるため、通常のウエストポーチの使い方ではおへそ側に移動する事で弛みなく腰に安定され、腰掛時に両腰側に移動するとお尻の下まで無理なく届く長さが得られるのである。
【0008】
請求項2の記載による発明の効果は、使用者の身長差や作業内容によっては腰掛の高さが合わないと却って邪魔になるものであるが、本品は分離型構造を利用して重なり度合いを可変させ、ストッパー機構によって固定する方式によりこの問題は生じない。
【0009】
上記の各請求項による発明の総合効果は、本来のウエストポーチは腰にあってジッパーを開ければ物を取り出す事が出来る。本品はウエストポーチ風であり、床に下ろして上部側容器を外さなければ取出しは出来ない欠点を持つ。しかし、デザイン的な装飾を施したものは作業用の腰掛に限定されず、外出時のあらゆる場面での使用に適合する。つまり、本品はこの欠点を補って余りある新たな市場が生まれるのである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本体の基材には軽量で丈夫な樹脂類が適するが、用途に応じて皮や金属、若しくはこれらの複合材を用いても構わない。また、容器の上下の重なりでは、下部側容器に対し概ね7から8割前後の深さに上部側容器が被さる形態である。
【0011】
本体は、天板面と底板面が胴体部よりも若干突出する形状が採用され、座り心地と安定性を得ながらも縦横とも18センチ前後、奥行き10センチ前後と最小限に抑えている。また、上下容器の重なりの度合いからは7センチ程度の嵩上げが可能であり、この場合では最大で25センチとなる。但し、海外向けや大柄な方向けには多少大きめの設定が良いのは言うまでもない。
【0012】
伸縮バンドは平型が用いられ、上部側容器の両側面に斜め前方向に具備され、先端側は移動自在の連結具により腰ベルトに装着される。この移動機能の機構ではさまざまな方式が可能であるが、本品では腰ベルトを通す本体をベースに、裏面にギザギザを持つ圧着板が一体に設けられ、これを指で引き固定を解除する方式を採用している。
【0013】
ストッパー機構は、上部側容器の両側面に縦長のフックが設けられ、裏面の突起ツメが下部側容器に設けられる複数の穴に填め込まれて固定される方式を採用している。但し、同様の効果を得るものであれば別方式でも構わない。
【実施例】
【0014】
本品の実施例を実際の使用図を元に詳しく説明する。先ず、図3の(A)は伸縮バンドをおへそ側に移動する事で引き力を利かし、ウエストポーチ風に本体を腰にあてがう用い方である。この時、図からも判るように、本体の天板部は腰ベルトよりも上にあって邪魔にならず、どこにでも普通に歩き回る事が出来るのは勿論、本体は体のどの向きに回すのも自在である。(B)は腰掛と立ち姿勢を繰り返す時の状態を示すもので、伸縮バンドは両腰付近に戻され本体はお尻の上あたりに垂れ下がっている。ここから本体を後ろ手で引き下ろしてお尻の下に引っ掛け、腰を下ろそうとしている状態が(C)であり、伸縮バンドは5割ほど伸ばされる。この姿勢は、その場で移動する場合や立ち上がる時もほぼ同じで、伸縮バンドの引き力と体への摩擦により本体はお尻の下で安定する。最後(D)は腰掛状態であり、伸縮バンドの伸びによる圧迫や負担を腰ベルトが受けている事が理解される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本品の全体を示す斜視図である。
【図2】本体の正面図であり、縮小時(左)と最大時(右)を示す。
【図3】上部側容器の側面図(左)と下部側容器の側面図(右)を示す。
【図4】本品の使用状態を示す。
【符号の説明】
a: 上部側容器
b: 下部側容器
c: 補強部
5: 天板面
10: 底板面
20: ストッパー機構のフック
30: 伸縮バンドを通すスリット
40: フックの突起を受ける穴
50: 伸縮バンド
60: 腰ベルト
70: 連結具本体
75: 連結部と一体の圧着板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下が重なり合う分離型の容器を本体とし、前記本体の上部側容器に伸縮バンドが具備されると共に、前記伸縮バンドの先端側は移動自在の連結具により腰ベルトに装着される形態を為している事を特徴とする、ウエストポーチ風の小物入れを兼用する簡易腰掛の構造。
【請求項2】
上記本体にはストッパー機構が設けられ、上下の容器同士の重なり度合いが可変される形態を為している事を特徴とする、請求項1に記載のウエストポーチ風の小物入れを兼用する簡易腰掛の構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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