説明

ウエハリング搬送装置

【課題】リング供給部から搬送目的位置まで停止することなく位置決めされた状態でウエハリングを搬送することができるウエハリング搬送装置を提供する。
【解決手段】ウエハ3が貼り付けられた粘着シート2を保持しているウエハリング1をガイドする一対のガイドレール11、12が、リング供給部と搬送目的位置との間に配設されて、ウエハリング1をリング供給部から搬送目的位置まで搬送するウエハリング搬送装置である。ガイドレール11、12は、ウエハリング1の外径面の軸心に関して180°反対の位置に配設される切欠部5、7に対してそれぞれ転動して、ウエハリング1のリング供給部から搬送目的位置までの連続搬送を許容する切欠部案内体15、16を有する。相対向するガイドレール11、12の切欠部案内体15、16が相対的に接近・離間する方向に平行移動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウエハリング搬送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
通常、半導体製造工程では、ウエハをウエハリングのウエハシートと呼ばれる粘着シートに貼り付けた状態で、個々のペレット毎に切断し、その後、ウエハリングをボンディングの引き延ばし装置に供給し、この引き延ばし装置にてウエハシートを引き延ばすことになる。
【0003】
このため、ウエハリングを引き延ばし装置に供給するためのウエハリング搬送装置が提案されている(特許文献1)。このウエハリング搬送装置は、ウエハリングの搬送路に一対の矯正レールを設けたものである。この場合、この矯正レールを、矯正レール間にウエハリングが搬入されるまでは開状態に保ち、搬入された後に閉状態となるように制御するものである。
【0004】
すなわち、搬送アームの保持部でウエハリングを保持(クランプ保持やフック掛け保持等)して、矯正レール間にウエハリングを搬入する。そして、矯正レール間にウエハリングが搬入されれば、矯正レールにて挟持してこのウエハリングの位置決めを行う。その後、この一対の矯正レールの挟持を解除して、搬送アームの保持部でウエハリングを再度保持する。そして、この状態で搬送アームにてウエハリングを引き延ばし装置まで搬送する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平5−67670号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載のものでは、回転方向のズレの修正を行った後、矯正レールの挟持を一旦解除する。このため、修正の信頼度は低下する。また、矯正レールに嵌入された状態で一旦その搬送を停止することになるので、全体としての搬送時間が長くなり、生産性の低下を招いていた。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みて、リング供給部から搬送目的位置まで停止することなく位置決めされた状態でウエハリングを搬送することができるウエハリング搬送装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のウエハリング搬送装置は、ウエハが貼り付けられた粘着シートを保持しているウエハリングをガイドする一対のガイドレールが、ウエハリングをリング供給部と搬送目的位置との間に配設されて、リング供給部から搬送目的位置まで搬送するウエハリング搬送装置であって、前記ガイドレールは、ウエハリングの外径面の軸心に関して180°反対の位置に配設される切欠部に対してそれぞれ直接又は間接に接触して、ウエハリングをリング供給部から搬送目的位置までの連続搬送を許容する切欠部案内体を有し、かつ、相対向するガイドレールの切欠部案内体が相対的に接近・離間する方向に平行移動するものである。
【0009】
本発明のウエハリング搬送装置によれば、ガイドレール間に嵌入されれば、切欠部案内体が、ウエハリングの外径面の切欠部に対して直接又は間接に接触して、ウエハリングをリング供給部から搬送目的位置までの連続搬送を許容するので、ウエハリングを停止させることなく、搬送することができる。また、相対向するガイドレールの切欠部案内体が相対的に接近・離間する方向に平行移動するので、ガイドレールの切欠部案内体の相対的な接近・離間動作にて、ウエハリングを一対のガイドレール間に安定して嵌入させることができ、しかも、嵌入されたウエハリングを確実に挟持することができる。
【0010】
ウエハリングのガイドレール間への搬送前においては、ガイドレールの切欠部案内体の間隔寸法がウエハリングの切欠部間寸法よりも大きな間隔とされ、ウエハリングがガイドレール間へ搬送された際に、切欠部案内体が相互に接近してウエハリングを切欠部案内体にて挟持するように制御する制御手段を設けるのが好ましい。
【0011】
このような制御手段を設けることによって、ウエハリングのガイドレール間への搬送前においては、切欠部案内体の間隔寸法がウエハリングの切欠部間寸法よりも大きな間隔とされるので、ウエハリングを安定してガイドレール間に嵌入させることができる。また、嵌入後は、切欠部案内体が相互に接近してウエハリングを切欠部案内体にて挟持するので、安定した位置決めを行うことができる。
【0012】
切欠部案内体を、ウエハリングの搬送方向に沿って所定ピッチで配設される複数の回転ローラから構成することができる。このように、回転ローラを用いることによって、ウエハリングの切欠部に対して押圧力を負荷しても、回転ローラが転動してウエハリングの搬送(走行)を案内することができる。また、ローラとして既存のベアリングで構成できる。
【0013】
ウエハリングを引っ掛け機構にて引っ掛けてリング供給部から搬送目的位置まで引っ張る搬送手段を備えたものが好ましい。このように引っ掛け機構にて引っ掛けることによって、ウエハリングをリング供給部から搬送目的位置まで搬送することができる。
【0014】
引っ掛け機構は、ウエハリングの内径面に係止するフック部を備えたものが好ましい。
【0015】
リング供給部は、例えば複数のウエハリングが収納されたリング収納用カセットである。また、搬送目的位置は、例えばボンディング装置の引き延ばし装置である。
【発明の効果】
【0016】
本発明では、ウエハリングを停止させることなく、搬送することができるので、生産性(作業性)の向上を図ることができる。また、ウエハリングを一対のガイドレール間に安定して嵌入させることができ、しかも、嵌入されたウエハリングを確実に挟持することができるので、ウエハリングの位置決めを安定して正確に行うことができる。
【0017】
前記制御手段を設けることによって、安定した位置決めを行うことができるので、ウエハリングに対して無用の負荷が掛からず、より滑らかな搬送が可能となる。
【0018】
切欠部案内体に回転ローラを用いることによって、ウエハリングの切欠部に対して押圧力を負荷した状態でのウエハリングの搬送(走行)が可能であり、より安定してかつ正確な位置決め及び搬送を行うことができる。また、回転ローラとしては既存(市販)のベアリングを用いることができ、コスト低減を図ることができる。
【0019】
引っ掛け機構にて引っ掛けることによって、ウエハリングをリング供給部から搬送目的位置まで搬送することができ、ガイドレールによるウエハリングの搬送案内が妨げられることがない。
【0020】
フック部をウエハリングの内径面に係止することによって、ウエハリングを安定してリング供給部から搬送目的位置まで搬送することができる。
【0021】
リング供給部がリング収納用カセットであり、搬送目的位置がボンディング装置であれば、リング収納用カセットからボンディング装置まで、停止することなく、連続搬送が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施形態を示すウエハリング搬送装置の簡略平面図である。
【図2】前記ウエハリング搬送装置のガイドレールの簡略断面図である。
【図3】ウエハリングを示し、(a)は粘着シートを保持している状態の斜視図であり、(b)は粘着シートとの分離状態の斜視図であり、(c)は(a)に示す状態の断面図である。
【図4】前記ウエハリング搬送装置によるウエハリング状態を示し、(a)はウエハリングがガイドレール間に嵌入開始状態の簡略図であり、(b)はウエハリングがガイドレールに案内されている状態の簡略図であり、(c)はウエハリングがガイドレール間から排出される直前の簡略図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下本発明の実施の形態を図1〜図4に基づいて説明する。
【0024】
図1と図2は本発明にかかるウエハリング搬送装置を示している。このウエハリング搬送装置は、リング供給部である例えばリング収納用カセット(複数のウエハリングが収納されているカセット)から搬送目的位置である例えばボンディング装置の引き延ばし装置まで、図3に示すようなウエハリング1を搬送するものである。
【0025】
半導体製造工程では、ウエハ3をウエハリング1のウエハシートと呼ばれる粘着シート2に貼り付けた状態で、個々のペレット毎に切断し、その後、ウエハリング1をボンディング装置の引き延ばし装置に供給し、この引き延ばし装置にてウエハシート2を引き延ばすことになる。
【0026】
このため、リング収納用カセットの収納された粘着シート付ウエハリング1を引き延ばし装置に搬送する必要があり、この搬送に前記したように本発明に係るウエハリング搬送装置が用いられる。
【0027】
ところで、ウエハリング1は、図3に示すように、平板リング体からなり、その裏面に粘着シート2が粘着され、粘着シート2の上面にウエハ3が粘着されている。また、ウエハリング1の外径面には、周方向に沿って90°ピッチで切欠部5、6,7,8が設けられている。すなわち、第1切欠部5と第3切欠部7とが、ウエハリング1の軸心に関して180°反対位置に配設され、その切欠面5aと切欠面7aとは直線状であって、平行に配置される。また、第2切欠部6と第4切欠部8とが、ウエハリング1の軸心に関して180°反対位置に配設され、その切欠面6aと切欠面8aとは直線状であって、平行に配置される。
【0028】
ウエハリング搬送装置は、図1と図2に示すように、一対のガイドレール11,12を備える。各ガイドレール11,12は、それぞれ、平板矩形状の基板13,14と、各基板13,14に付設される切欠部案内体15,16とを備える。そして、基板13,14が相対面するように平行に配設される。
【0029】
切欠部案内体15,16は、それぞれ、基板13,14の長手方向(ウエハリング1の搬送方向)に沿って所定ピッチで配設される複数(この場合、5個)の回転ローラ17からなる。この回転ローラ17としては、鉛直軸心廻りに回転自在な外輪を有する軸受(ベアリング)を用いることができる。この場合、第1切欠部案内体15は、基板13上において反第2切欠部案内体側に配置され、第2切欠部案内体16は、基板14上において反第1切欠部案内体側に配置される。このため、基板13、14には相対向する走行面(搬送面)13a、14aが形成される。
【0030】
各ガイドレール11,12には、ガイドレール11,12を相互に接近・離間させる駆動機構21、22が連設されている。駆動機構21、22には、例えば、シリンダ機構23,24を用いることができる。すなわち、シリンダ機構23はシリンダ本体23aとピストンロッド23bとを備え、ピストンロッド23bが伸縮することによって、ガイドレール11が矢印A、Bのように、ガイドレール12に対して接近・離間する。シリンダ機構24はシリンダ本体24aとピストンロッド24bとを備え、ピストンロッド24bが伸縮することによって、ガイドレール12が矢印C、Dのように、ガイドレール11に対して接近・離間する。
【0031】
ガイドレール11には、矢印A、Bに移動する際に、このガイドレール11を平行移動させるための図示省略のガイド機構を備えている。ガイドレール12には、矢印C、Dに移動する際に、このガイドレール11を平行移動させるための図示省略のガイド機構を備えている。各ガイド機構としては、例えば、ウエハリング1の搬送方向と直交する方向に延びるレールと、このレールが嵌合する凹溝とで構成できる。すなわち、ガイドレール11、12の下面に下方に開口する凹溝を設け、この凹溝に嵌合するレールをガイドレール11、12の下方側に配置すればよい。
【0032】
ガイドレール11側には、ガイドレール11の矢印A方向の移動を規制するストッパ25が設けられる。また、ガイドレール12と駆動機構22との間に弾性部材(図示省略)が介在される。すなわち、駆動機構22を構成するシリンダ機構24のピストンロッド24bと、基板14との間に前記図示省略の弾性部材が介在されている。
【0033】
また、ウエハリング1は、搬送手段31の引っ掛け機構30(図3(c)及び図4参照)が引っ掛けられてリング供給部から搬送目的位置までの搬送路(搬送ライン)26を走行する。搬送手段31は、フック部32を有する前記引っ掛け機構30と、この引っ掛け機構30を搬送路26に沿って矢印E、F方向に往復動させる駆動機構(図示省略)とを備える。
【0034】
フック部32が図3(c)に示すように、ウエハリング1の内径面1aの一部に係止する。この場合、フック部32は矢印G、Hで示すように、上下動が可能とされ、ウエハリング1の内径面1aに係脱自在に係止する。また、駆動機構としては、シリンダ機構、ボールねじ機構、リニアモータ、リニアアクチュエータ等の往復動機構にて構成することができる。なお、フック部32がウエハリング1の内径面1aに係止した状態では、このフック部32が粘着シート2に接触しないようにする。
【0035】
このため、引っ掛け機構30のフック部32を図4に示すように、搬送路26の中心線L上に配置して、このフック部32にてウエハリング1の内径面1aに一部係止して、上流側から下流側へこのフック部32を引っ張ることによって、ウエハリング1をリング供給部から搬送目的位置まで搬送することができる。この場合、ウエハリング1は、ガイドレール11、12の基板13,14の走行面13a、14a上をスライドすることになる。
【0036】
また、搬送路26には、図1に示すように、フック部32の位置を検出する光センサ等のセンサ35が設けられる。すなわち、このセンサ35の位置を検出することによって、ウエハリング1がこの搬送路26に侵入(嵌入)したことを検出することができる。
【0037】
そして、ウエハリング1がこの搬送路26に侵入(嵌入)したことをセンサ35にて検出した際には、その検出信号が制御手段36に入力され、これに基づいて前記駆動機構21,22が制御される。なお、制御手段36はマイクロコンピュータ等にて構成できる。
【0038】
次に前記図1に示したウエハリング搬送装置を用いたウエハリング1の搬送方法を説明する。まず、リング収納用カセットに収納されたウエハリング1が押出装置(プッシャ)にて搬送路26側へ押し出される。この際、引っ掛け機構30のフック部32がウエハリング1の内径面1aの一部に係止して、上流側(リング収納用カセット側)から下流側(引き延ばし装置側)、つまり矢印E方向に引っ張られる。これによって、図4(a)に示すように、ガイドレール11,12間に進入(嵌入)することになる。なお、ウエハリング1の第1切欠部5がガイドレール11の切欠部案内体15に対応し、ウエハリング1の第3切欠部7がガイドレール12の切欠部案内体16に対応している。
【0039】
このようにウエハリング1がガイドレール11,12間に進入(嵌入)する状態では、ガイドレール11,12間、つまり切欠部案内体15,16間の寸法Wが、ウエハリング1の切欠部5,7間の寸法Hよりも大きく設定されている。このため、ウエハリング1はガイドレール11,12間に安定して進入することができる。
【0040】
図4(a)に示すように、ウエハリング1がガイドレール11,12間に進入(嵌入)した場合、センサ35にてフック部32の位置が検出され、これによって、駆動機構21,22が制御されて、シリンダ機構23,24の各ピストンロッド23b、24bが延びる。この際、ガイドレール11の基板13がストッパ25に当接するまで、シリンダ機構23のピストンロッド23bは延びる。また、シリンダ機構24のピストンロッド24bは切欠部案内体15,16がそれぞれ切欠部5、7の切欠面5a,7aに接触(圧接)して、この切欠部案内体15,16にてウエハリング1を挟持するまで延びる。
【0041】
これによって、ウエハリング1の位置決め(搬送路26の中心線Lに直交する方向の位置決め、及び、搬送路26の中心線Lに対する傾斜方向の位置決め)がなされる。また、切欠部案内体15,16にてウエハリング1を挟持した状態では、駆動機構22側に設けられた弾性部材によって、切欠部案内体16の各回転ローラ17が弾性的にウエハリング1の切欠部7の切欠面7aに圧接する。
【0042】
この状態でも、搬送機構によって連続的に、ウエハリング1がこの搬送路26において引っ張られ、切欠部案内体15,16の各回転ローラ17がウエハリング1の各切欠部5、7の切欠面5a,7aに対して転動して、このウエハリング1の矢印E方向の走行を許容する。このため、ウエハリング1は図4(b)に示すように、下流側(引き延ばし装置側)まで連続的に搬送される。この際、ウエハリング1の下面がガイドレール11、12の基板13,14の走行面13a、14a上をスライドする。そして、図4(c)に示したように、ウエハリング1がこのガイドレール11、12間から搬出されて、引き延ばし装置まで搬送される。
【0043】
なお、ウエハリング1がこのガイドレール11、12間から搬出されれば、ガイドレール11,12間の間隔寸法が大とされるとともに、フック部32が矢印Fに示すように搬送路26の上流側に戻って、図1に示す初期状態に戻る。これによって、次のウエハリング1の搬送が可能となる。
【0044】
本発明のウエハリング搬送装置では、ガイドレール11、12間に嵌入されれば、切欠部案内体15、16が、ウエハリング1の外径面の切欠部5,7に対して転動して、ウエハリング1のリング供給部から搬送目的位置までの連続搬送を許容するので、ウエハリング1を停止させることなく、搬送することができる。このため、生産性(作業性)の向上を図ることができる。
【0045】
また、ウエハリング1のガイドレール11、12間への搬送前においては、切欠部案内体15、16の間隔寸法Wがウエハリングの切欠部間寸法Hよりも大きな間隔とされるので、ウエハリング1を安定してガイドレール11、12間に嵌入させることができる。また、嵌入後は、切欠部案内体15、16が相互に接近してウエハリング1を切欠部案内体15、16にて挟持するので、安定した位置決めを行うことができる。このため、ウエハリング1に対して無用の負荷が掛からず、より滑らかな搬送が可能となる。
【0046】
切欠部案内体15、16を、ウエハリング1の搬送方向に沿って所定ピッチで配設される複数の回転ローラ17から構成することができる。このように、回転ローラ17を用いることによって、ウエハリング1の切欠部5,7に対して押圧力を負荷しても、回転ローラ17が転動してウエハリング1の搬送(走行)を案内することができ、より安定してかつ正確な位置決め及び搬送を行うことができる。また、回転ローラ17としては既存(市販)のベアリングを用いることができ、コスト低減を図ることができる。
【0047】
ウエハリング1を引っ掛け機構30にて引っ掛けることによって、ウエハリング1をリング供給部から搬送目的位置まで搬送することができ、ガイドレール11、12によるウエハリングの搬送案内が妨げられることがない。
【0048】
以上、本発明の実施形態につき説明したが、本発明は前記実施形態に限定されることなく種々の変形が可能であって、例えば、切欠部案内体15、16を構成する回転ローラ17の配設ピッチ、大きさ、数等は、搬送されるウエハリング1の大きさ、搬送路26の長さ等に応じて種々変更することができる。また、第1切欠部案内体15側と第2切欠部案内体16側とで回転ローラ17の数が相違するものであってもよい。すなわち、搬送中に、挟持される一対の切欠部5,7のうち、少なくも、一方が2個の回転ローラ17が転動して、他方が1個の回転ローラ17が転動するようにできればよい。
【0049】
切欠部案内体15、16としては前記実施形態では、直線上に配設される複数の回転ローラ17にて構成して、各回転ローラ17が直接的に前記ウエハリング1の切欠部5、7の切欠面5a、7aに接触しているが、各切欠部案内体15、16の複数の回転ローラ17にベルト部材を掛け回したものであってもよい。このような場合、ベルト部材がウエハリング1の切欠部5、7の切欠面5a、7aに接触して、ベルトがエンドレス状に走行して、ウエハリング1がこのガイドレール11、12間を走行することになる。しかも、ベルト部材の内側の回転ローラ17によって、ウエハリング1の切欠部の切欠面を押圧することができ、ウエハリング1が位置決めされた状態で安定して搬送することができる。
【0050】
また、回転ローラ17ではなく、切欠部5、7の切欠面5a、7aに面状に接触することなく点乃至直線状に接する接触体を直線上に配設することによって、切欠部案内体15、16を構成してもよい。この場合、接触体としては摺動性に優れた材質にて構成するのが好ましい。
【0051】
駆動機構21、22は前記実施形態ではシリンダ機構を用いたが、ボールねじ機構、リニアモータ、リニアアクチュエータ等の他の往復動機構を用いてもよい。また、ガイドレール11、12を、相互に接近・離間させる場合、両ガイドレール11、12を同時に移動させていたが、いずれか一方のみを移動させるようにしてもよい。この場合、第1ガイドレール11側を移動させて第2ガイドレール12側を固定するようにしても、第2ガイドレール12側を移動させて第1ガイドレール11側を固定するようにしてもよい。さらに、ガイドレール11、12全体が移動するのではなく、切欠部案内体15、16を相互に接近・離間させるようにしてもよい。
【0052】
ウエハリング1がガイドレール11、12間に侵入したか否かは、センサ35にてフック部32の位置を検出するものであったが、このようなセンサ35を用いることなく、フック部32の移動量に基づいて判断するようにしてもよい。
【0053】
また、前記実施形態では、粘着シート2側が下方となる状態で搬送されていたが、逆に、粘着シート2側が上方となる状態で搬送するようにしてもよい。この場合、引っ掛け機構30のフック部32を下方からウエハリング1の内径面1aに係止させることになる。さらに、前記実施形態では、切欠部5、7を切欠部案内体15,16に対応させていたが、切欠部6,8を切欠部案内体15,16に対応させるようにしてもよい。
【0054】
さらに、ガイドレール11、12の上流端に、上流側から下流側に向かって幅寸法が狭くなる導入路(導入口)を設けるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0055】
1 ウエハリング
1a 内径面
2 粘着シート
3 ウエハ
5、6、7、8 切欠部
11,12 ガイドレール
15,16 切欠部案内体
17 回転ローラ
24b ピストンロッド
30 引っ掛け機構
31 搬送手段
32 フック部
36 制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウエハが貼り付けられた粘着シートを保持しているウエハリングをガイドする一対のガイドレールが、リング供給部と搬送目的位置との間に配設されて、ウエハリングをリング供給部から搬送目的位置まで搬送するウエハリング搬送装置であって、
前記ガイドレールは、ウエハリングの外径面の軸心に関して180°反対の位置に配設される切欠部に対してそれぞれ直接又は間接に接触して、ウエハリングをリング供給部から搬送目的位置までの連続搬送を許容する切欠部案内体を有し、かつ、相対向するガイドレールの切欠部案内体が相対的に接近・離間する方向に平行移動することを特徴とするウエハリング搬送装置。
【請求項2】
ウエハリングのガイドレール間への搬送前においては、ガイドレールの切欠部案内体の間隔寸法がウエハリングの切欠部間寸法よりも大きな間隔とされ、ウエハリングがガイドレール間へ搬送された際に、切欠部案内体が相互に接近してこのウエハリングを切欠部案内体にて挟持するように制御する制御手段を設けたことを特徴とする請求項1に記載のウエハリング搬送装置。
【請求項3】
切欠部案内体は、ウエハリングの搬送方向に沿って所定ピッチで配設される複数の回転ローラから構成されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のウエハリング搬送装置。
【請求項4】
前記ローラがベアリングであることを特徴とする請求項3に記載のウエハリング搬送装置。
【請求項5】
ウエハリングを引っ掛け機構にて引っ掛けてリング供給部から搬送目的位置まで引っ張る搬送手段を備えたことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のウエハリング搬送装置。
【請求項6】
引っ掛け機構は、ウエハリングの内径面に係止するフック部を備えたことを特徴とする請求項5に記載のウエハリング搬送装置。
【請求項7】
前記リング供給部は、複数のウエハリングが収納されたリング収納用カセットであることを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載のウエハリング搬送装置。
【請求項8】
前記搬送目的位置は、ボンディング装置の引き延ばし装置であることを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載のウエハリング搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−173847(P2010−173847A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−21640(P2009−21640)
【出願日】平成21年2月2日(2009.2.2)
【出願人】(000110859)キヤノンマシナリー株式会社 (179)
【Fターム(参考)】