説明

ウエハーの不純物を分析するための方法および装置

【課題】ウエハーの不純物を分析するための方法および装置において、ウエハーの端部領域を分析する。
【解決手段】ウエハー1の不純物を分析するための方法は、液体の滴10を、下部滴保持器2と上部滴保持器3との間に、滴10の下面が下部滴保持器2に接触し滴10の上面が上部滴保持器3に接触するように用意するステップと、ウエハー1を滴10の一方の面に接触させながらウエハー1を滴10によって走査するステップと、滴10を吸引して分析するステップとを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体の滴をウエハーにまず接触させ、その後この液滴を分析するウエハーの不純物を分析するための方法または装置に関する。
【背景技術】
【0002】
このような方法は、特許文献1に記載されており、この方法では、ウエハーの疎水性の表面を液滴によって走査してウエハーの不純物を滴中に集める。その後、滴を吸引し、滴に取り込まれたウエハー表面の不純物を試験することができる。この場合、滴の表面張力により、滴はウエハーの表面上を動く際もまとまった形状を維持し、壊されることなく表面に対して相対的に移動可能である。この場合、滴のために使用される液体は、通常は高純度のフッ化水素溶液でできており、フッ化水素溶液はウエハーの疎水性の表面を湿らせることはない。
【0003】
このため、ウエハー表面は疎水性であることが重要である。この場合は、ウエハーの表面を疎水性にするために、ウエハーの表面をフッ化水素(HF)によってまずスチーミングしてもよく、これによって、ウエハーの表面に存在する酸化膜を除去することができる。
【0004】
特許文献1において知られている方法では、ピペットの下を通過するようにウエハーを回転させる間、通常はピペットによって液滴をウエハー表面上に塗布して保持する。相応のピペット頭部は、特許文献2および特許文献3に記載されている。もしくは、この方法は、逆の配置で行われてもよい。その場合、液滴は浅い窪みにあり、ウエハーの表面を液滴の上面に上方から接触させる。
【特許文献1】欧州特許出願公開第787981号明細書
【特許文献2】特開2003−344243号公報
【特許文献3】特開2004−170222号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、一つには、知られている方法では、柔軟性、妨害作用からの保護、および、構造的な置換についての問題がある。さらには、知られている方法は、ウエハーの表面の内部領域の分析のみを対象としており、ウエハーの縁領域すなわち端部領域については機能を発揮しない。
【0006】
したがって、本発明の目的は、ウエハーの端部領域を分析できる、ウエハーの不純物を分析するための方法および装置を提供することである。さらに、本発明の目的は、知られている方法を柔軟性および妨害作用からの保護について改善し、簡単で確実に置換可能な構造を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、請求項1に記載の方法によって本発明に基づいて達成される。ウエハーの不純物を分析するためのこの方法は、液体の滴を、下部滴保持器と上部滴保持器との間に、滴の下面が下部滴保持器に接触し、滴の上面が上部滴保持器に接触するように用意するステップと、ウエハーの端部を、滴の一方の面に接触させながら、滴によって走査するステップと、滴を吸引し、分析するステップとを含んでいる。
【0008】
本発明の方法によって初めて、ウエハーの端部を、滴によって不純物について検査できるようになる。端部を滴で走査する際に、端部は滴を貫通して動き、その結果、ウエハーの剥ぎ取られた不純物は滴の液体中に集められる。この場合、滴は、下部および上部の滴保持器の間にあり、したがって、ウエハーの端部を滴に簡単に浸すことができるようになる。この際、端部自体に繋がるウエハーの上面および下面の縁領域も滴に接触する。ウエハーの表面は、疎水性なので滴の液体に湿らされることはない。その結果、滴は、その表面張力によりそのままであり、側方の窪みを形成する。この窪みに、ウエハーの端部がある。これに対し、滴は、上部滴保持器に接触していなければ、ウエハーの下面の縁領域のみに接触するが、ウエハーの上面の縁領域に接触することはないであろう。
【0009】
さらに、上部滴保持器がなければ、滴は、本発明のように上部および下部の滴保持器の間にしっかりと保持される代わりに、滴の内部を通過するようにウエハーの端部を動かしている間に下部滴保持器のウエハーの端部から簡単に引き離されてしまうであろう。本発明では、滴が下部および上部の滴保持器に接触し、ウエハーの端部との接触点の上方でも下方でも安定化されるので、端部の動きによる滴の破壊は確実に防止される。
【0010】
さらに、本発明では、滴と接触することになるウエハーの端部が疎水性である方がよく、このために、端部を、従来技術で既に知られているように、同じくフッ化水素によってスチーミングしてそこに存在するであろう酸化物層を除去してもよい。
【0011】
この場合、端部を滴で走査することは、ウエハーの端部を滴の一方の面に接触させながら、ウエハーの端部を滴を貫通するように動かすことによって行える。この際、滴保持器は、動かされないままでよく、一方、ウエハーを例えば回転装置によって回転させる。
【0012】
本発明の方法において滴を用意するステップは、滴を下部滴保持器上に塗布するステップと、滴の上面を上部滴保持器に接触させるステップとを含むことが有利である。
【0013】
このため、下部滴保持器上に滴をまず塗布することができ、その後、上部滴保持器を動かすことによって滴の上面と上部滴保持器の下面とを初めて接触させるように、下部滴保持器と上部滴保持器とが互いに対して相対的に移動可能であることが有利である。上部と下部の滴保持器の間の可動性によって、非常に柔軟且つ確実に滴が保持され、このことにより、滴を確実に用意し、下部および上部の滴保持器の間に保持することができる。
【0014】
さらに、上部滴保持器は、下部滴保持器に対して、特に垂直方向に移動可能であることが有利である。そうすれば、滴が置かれる下部および上部の滴保持器の間の隙間の高さを、例えば、滴の液量、ウエハーの回転速度、および、滴と接触する必要のある端部領域の大きさに関して最適に調整することができる。
【0015】
さらに、上部滴保持器は、下部滴保持器に対して、水平方向に移動可能であることが有利である。そうすれば、下部滴保持器に対する上部滴保持器の可動性により、滴は非常に簡単にアクセス可能であり、滴を例えば確実に吸引することができる。したがって、特に滴を塗布または吸引するための装置は、滴保持器に組み込まれている必要はなく、別々に構成されてもよい。それ以外にも、上部滴保持器の下部滴保持器に対する相対的な可動性によって、本方法の実施の際に柔軟性が高まる。
【0016】
この場合、滴の一方の面に対するウエハーの端部の接触は、下部滴保持器上に滴を塗布すると同時に、または、下部滴保持器上に滴を塗布した後に、または、滴の上面が上部滴保持器に接触した後に行われる。しかしながら、滴によるウエハーの端部の走査は、滴が下部滴保持器にも上部滴保持器にも接触して定位置に保持されてから初めて行われる。
【0017】
さらに、本発明の方法では、分離ピペット(separaten pipette)によって下部滴保持器上に滴を塗布することが有利である。下部および上部の滴保持器に加えて分離ピペットを使用することで、個々の構成要素をそれぞれその課題のために最適に仕立てることができるが、それにもかかわらず、個々の構成要素は比較的簡単に構成されている。さらに、動作していない要素を非動作の期間中にその都度洗浄できるようになり、このことによっても、妨害作用が最小化される。この場合、上部滴保持器の下部滴保持器に対する相対的な可動性は、重要な利点である。なぜなら、上部滴保持器が下部滴保持器から取り退けた状態で、分離ピペットを用いて非常に簡単に滴を塗布または吸引することができるからである。
【0018】
さらに、本発明の方法では、上部滴保持器を滴の上面に接触させるため、上部滴保持器を側部領域から下部滴保持器の上方の領域へ動かすことが有利である。つまり、例えば分離ピペットによって下部滴保持器上に滴を塗布する間は、上部滴保持器はまず側部領域にある。その後、上部滴保持器を、下部滴保持器の上方の領域へ動かし、そこで、例えば下へ動かすことにより滴の上面に接触させる。このやり方は、上部滴保持器が側部領域にある間に上部滴保持器を洗浄することができる、という利点をさらに有している。このことによっても、本発明の方法の測定精度および妨害作用に対する安全性が高まる。
【0019】
さらに、本発明の方法では、滴を用意するステップが、下部滴保持器の上方の領域へピペットを動かすステップと、ピペットによって下部滴保持器上に滴を塗布するステップと、ピペットを下部滴保持器の上方の領域から取り退けるステップと、上部滴保持器を下部滴保持器の上方の領域へ動かすステップと、滴の上面に上部滴保持器を接触させるステップとを含んでいることが有利である。
【0020】
つまり、本発明の方法では、ピペットと上部滴保持器とを下部滴保持器の上方の領域へ交互に動かして、下部滴保持器上に次々と滴を塗布し、滴を貫通するようにウエハーの端部を動かしている間は上部滴保持器との接触によりこの領域に滴を固定する。本発明の方法では、使用される要素の各々が、ただ1つの特定機能を実施すればよく、その結果、全ての要素をその機能のために最適に設計することができるが、それにもかかわらず、全ての要素は比較的簡単に構成され、それゆえ、低コストで信頼のおける動作が可能となる。
【0021】
さらに、本発明の方法は、滴を通るようにウエハーの端部を動かした後、上部滴保持器を下部滴保持器の上方の領域から取り退けるステップと、ピペットを下部滴保持器の上方の領域へ動かすステップと、滴をピペットによって吸引するステップと、液滴を分析するステップとを含んでいることが有利である。
【0022】
これによっても、個々の要素間で最適な仕事分担を行え、これにより、信頼のおける動作とともに簡単な構成が可能になる。また、方法の測定精度を高めるために、動作していない要素をその都度洗浄することもできる。
【0023】
さらに、本発明の方法では、下部および/または上部の滴保持器を側部領域からウエハーの端部の領域へ動かすことが有利である。これによって、本発明の方法では、柔軟性が高まり、ウエハーの取り扱いが簡単になり、滴保持器が側部領域にある間にウエハーを装置へ入れることができる。滴保持器は、場合によっては必要なウエハーのセンタリング中も、依然として側部領域にある。ウエハーの端部表面上の不純物を滴によって分析しようとするときに初めて、滴保持器をウエハーの端部の領域へ動かす。
【0024】
さらに、この場合、下部および/または上部の滴保持器を使用中に洗浄することが有利である。これにより、本方法の測定精度および破壊安全性が高まる。この場合、下部および上部の滴保持器の可動性により、洗浄が特に簡単になる。なぜなら、洗浄装置を側部領域に設けることができるからである。
【0025】
本発明の方法では、ウエハーの端部は、滴による走査の際に、上部および下部の滴保持器の間の領域にあることが有利である。これにより、ウエハーの端部領域がウエハーの下面だけではなくウエハーの上面の縁領域においても滴に接触している、ということが保証される。したがって、下部滴保持器と上部滴保持器との間に支持された滴を、ウエハーの全ての端部領域を走査するように最適に使用することができる。この場合、ウエハーの端部は、有利には上部および下部の滴保持器の間の滴によって満たされた領域の最大で半分まで、さらに有利にはこの領域の直径の最大で4分の1まで側方から入り込む。したがって、滴を貫通するウエハーの端部の動きによって、滴が双方の滴保持器間の領域から引き剥がされることはなく、滴によって全ての縁領域が走査される。さらに、この場合、上部滴保持器と下部滴保持器との間隔は、ウエハーの厚みの2倍から8倍に相当し、上部滴保持器と下部滴保持器との間のほぼ中央で滴を貫通するようにウエハーを動かすことが有利である。
【0026】
さらに、本発明の方法では、上部滴保持器が小管を有し、小管の開口部は、滴の上面に接触していることが有利である。この場合、小管は、下向きに開き、その周囲の開口縁によって滴の上面と接触し、その結果、開口部は、滴によって閉じられている。この場合、滴の表面張力によって、滴は小管の中に少し入り込む。これにより、滴を貫通するようにウエハーの端部を動かしながら滴を最適に扱い、保持することができる。
【0027】
さらに、この場合、この小管は、定常波を小管中に生成することのできる音源と接続されていることが有利である。この場合、定常波の周波数認識により滴を検出することがさらに有利である。したがって、滴による小管の閉鎖部を通る定常波の異なる周波数によって、滴が上部滴保持器に適切に接触しているかどうかを認識することができる。この場合、周波数認識のために、例えばマイクロフォンを使用してもよい。この場合、マイクロフォンおよび拡声器は、チューブを介して小管と接続されていることが有利である。
【0028】
さらに、滴は、小管を介して吹き出し可能であることが有利である。つまり、滴を、風圧によって小管から押し出すことができる。したがって、本発明の方法は、滴を通るようにウエハーの端部を動かした後、小管から滴を吹き出すステップを含んでいることがさらに有利である。その結果、滴は小管に付着したままでなく、ピペットを介して吸引可能である。しかしながら、滴が吹き出されずとも、上部滴保持器を下部滴保持器の上方の領域から取り退けるけるとすぐに上部滴保持器から離れる場合は、このステップを行わなくてよい。
【0029】
さらに、下部滴保持器は、その上面に窪みを有し、滴の下面がこの窪みに落ち着くことが有利である。この窪みにより、滴を通る端部の動きの間に、または、下部滴保持器の動きの間に、滴は下部滴保持器に確実に保持される。
【0030】
本発明は、ウエハーの不純物を分析するための装置であって、下部滴保持器と、上部滴保持器と、液体の滴を用意および/または吸引するための装置と、液滴の分析のための装置とを備える。本発明の装置によって、本発明の方法によるのと同じ利点がはっきりと生じる。なお、本発明の方法は、本発明の装置によって実施できる。特に、ウエハーの端部を滴の側面に接触させて滴を貫通するように動かしている間、下部滴保持器と上部滴保持器とによって滴を確実に保持することができる。本発明の装置は、滴によって端部を走査するために、ウエハーを滴保持器に対して相対的に動かすための装置、例えば、ウエハーを回転させるための装置をさらに備えていることが有利である。
【0031】
上部滴保持器は、下部滴保持器に対して移動可能なように構成されていることが有利である。これにより、下部滴保持器上に確実に滴を塗布し、滴を下部滴保持器と上部滴保持器との間に同じく確実に保持することが保証される。この場合、上部滴保持器は、例えば滴保持器間の隙間の高さを調整することができるように、下部滴保持器に対して特に垂直方向に移動可能であることが有利である。また、上部滴保持器は、上部滴保持器を下部滴保持器から側方へ動かすことができ、下部滴保持器への簡単なアクセスが可能となるように、下部滴保持器に対して水平方向に移動可能であることが有利である。
【0032】
さらに、本発明の装置では、下部滴保持器と、上部滴保持器と、滴を用意および/または吸引するための装置とが、それぞれ別個の要素として構成されていることが有利である。したがって、これらの別個の要素を、そのそれぞれの課題に合わせて最適に実施することができ、それにもかかわらず、簡単で低コストで信頼のおける構成が可能となる。したがって、その都度使用されていない要素を、非動作中に洗浄することも可能である。
【0033】
さらに、本発明の装置では、滴を用意および/または吸引するための装置と、下部滴保持器とが、互いに対して相対的に移動可能なように構成されていることが有利である。これにより、滴を用意または吸引するために、滴を用意および/または吸引するための装置を下部滴保持器の方へ動かし、その後、この装置を元に戻すように取り退けることができる。これにより、例えば分離ピペットによって下部滴保持器上に滴を塗布し、このピペットを下部滴保持器から元に戻すように取り退けた後、それとは別個の滴保持器によって滴を保持することができる。
【0034】
さらに、本発明の装置では、上部滴保持器、ならびに/または、滴を用意および/もしくは吸引するための装置が、側部領域からウエハーの縁の領域へ移動可能であることが有利である。その場合、上部滴保持器、または、滴を用意および/もしくは吸引するための装置を、側部領域において洗浄すること、または、これら装置の相応の頭部に付け替えることができる。
【0035】
さらに、本発明の装置では、下部滴保持器も、側部領域からウエハーの縁の領域へ移動可能であることが有利である。その場合、下部滴保持器も、側部領域に配置された洗浄装置によって洗浄することができる。
【0036】
さらに、本発明の装置は、下部滴保持器および/または上部滴保持器のための洗浄装置を備えていることが有利である。これにより、測定精度および妨害作用に対する安全性が改善される。この場合、洗浄装置は、ウエハーの回転領域の付近の側部領域に配置されていることが有利である。
【0037】
さらに、本発明の装置は、滴を用意および/または吸引するための装置のために少なくとも1つの洗浄装置も備えていることが有利である。この場合、洗浄装置は、同じく、ウエハーの回転領域の付近の側部領域に配置されていることが有利である。
【0038】
さらに、滴を用意および/または吸引するための装置は、ピペットを備えていることが有利である。このピペットは、滴を、下部滴保持器へ塗布し、下部滴保持器から吸引することができる。
【0039】
さらに、本発明の装置では、下部および上部の滴保持器の、少なくとも滴に接触する表面は、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)でできていることが有利である。下部および上部の滴保持器が全体的にPTFEでできていることがさらに有利である。この材料は、反応性が非常に低く、表面張力が非常に低い。その結果、この材料は本発明に最も適している。この材料は非常によく洗浄もされる。なぜなら、PTFEに付着したままである材料はほとんどないからである。
【0040】
さらに、下部滴保持器は、その上面に、滴の下面を受け入れるための窪みを有していることが有利である。この窪みは、円形の隙間の形を有していることが好ましい。この隙間において、滴は、全ての方向へ側方から保持される。滴は、その表面張力により、その側面およびその上面が窪みから突出し、その結果、滴は、その側部領域において露出し、その上面において上部滴保持器に接触することができる。したがって、ウエハーの端部は、妨害されずに側部から滴の側面に接触し、滴に浸ることができる。
【0041】
さらに、下部滴保持器は、ほぼ円筒の形を有し、垂直に配置され、その上部端面に、滴が塗布されることが有利である。これにより、滴の側面は、全ての側から良好にアクセス可能である。
【0042】
さらに、本発明の装置の上部滴保持器は、開口部が下向きの小管を有していることが有利である。したがって、この小管は下向きに開口し、それゆえ、その開口部の周囲の縁部で滴に接触することができ、滴は、その表面張力により小管の内部へ少し入り込む。したがって、下部滴保持器と上部滴保持器との間に、滴を最適に保持することができる。この際、滴は、その表面張力によりその形状を安定して維持する。
【0043】
さらに、この場合、小管は、定常波を小管に生成することのできる音源と接続されていることが有利である。この場合、小管は、チューブを介して拡声器と接続されていることが有利である。小管の開口部が閉じられておりそれゆえ滴と適切に接触しているかどうかを、定常波の生成時に周波数から認識することができる。
【0044】
この場合、小管は、定常波の周波数認識のための装置と接続されていることが有利である。このため、同じくチューブを介して小管に接続されたマイクロフォンを使用することが有利である。これにより、滴が小管に接触しているかどうかを簡単に認識することができる。
【0045】
さらに、滴は、上部滴保持器の小管を介して吹き出し可能であることが有利である。これにより、必要であれば上部滴保持器から滴を放つことができる。このため、小管が圧縮空気源に接続されていることが有利である。
【0046】
さらに、本発明の方法では、下部滴保持器の上端部の直径が、上部滴保持器の下端部の直径よりも大きいことが有利である。したがって、滴の上面が比較的小さい上部滴保持器と接触している間は、滴を下部滴保持器の中央に保持することができ、滴は下部滴保持器における窪みの下部領域に入っていることが有利である。
【0047】
この場合、小管として形成された上部滴保持器は、4〜8mmの外径および2〜6mmの内径を有していることが有利である。その場合、有利には、100〜200μlの滴を、下部滴保持器と上部滴保持器との間に最適に保持することができる。この場合、滴による端部の走査の際に、下部滴保持器の上端部と上部滴保持器の下端部との間隔は、1mmと4mmとの間の範囲内であることが有利である。
【0048】
本発明の装置は、上記方法の1つを実施するための制御部を有していることが有利である。この場合、制御部は、本発明の方法が実施されるように本発明の装置の構成要素を操作または作動させるための制御パルスを生成する。
【0049】
本発明は、本発明の方法の1つを実施するための手段を有した装置をさらに含んでいる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0050】
次に、実施形態および図面を参照して本発明を詳しく説明する。
【0051】
図1および図2に、ウエハー1の不純物を分析するための本発明の装置の第1実施形態を示す。ウエハー1は、その主面に対して垂直な回転軸を中心として回転できるように、垂直軸を中心として回転可能なプラットフォーム上に載っている。プラットフォームを、駆動モーターによって回転させることができる。
【0052】
ウエハー1の不純物を分析するための本発明の装置は、下部滴保持器2と、上部滴保持器3と、ピペット4とをさらに備えている。この場合、下部滴保持器2、上部滴保持器3、および、ピペット4は、互いに対して移動可能な別個の要素としてそれぞれ構成されている。このため、これらは、回転軸6を中心として回転可能なスワンネック7にそれぞれ取り付けられている。さらに、下部滴保持器2は、水平に延びるスイベルアーム上に設けられている。スイベルアームは、スワンネック7の端部の周囲において垂直軸を中心として回転可能である。さらに、下部滴保持器2、上部滴保持器3、および、ピペット4は、垂直移動可能である。
【0053】
さらに、ウエハー1の付近の装置の側部領域に、洗浄装置5が備えられている。下部滴保持器2、上部滴保持器3、および、ピペット4は、洗浄装置5上へ旋回可能であり、洗浄装置5中へ沈下可能である。
【0054】
この場合、下部滴保持器2は、側部領域からウエハー1の縁へ、回転軸6を中心とした回転によって旋回可能である。この場合、下部滴保持器2の設けられているスイベルアームを高さ調整し、回転させることにより、下部滴保持器2をウエハー1の縁領域の下へ移動させることができる。上部滴保持器3およびピペット4も、側部領域からウエハー1の縁領域へ移動可能である。この場合、下部滴保持器2、上部滴保持器3、および、ピペット4は、ウエハー1の端部領域における共通の点へ移動可能である。
【0055】
この場合、ウエハー1の不純物を分析するための本発明の方法の一実施形態は、以下のように行われる。最初は、下部滴保持器2、上部滴保持器3、および、ピペット4は、洗浄装置5中にある。次に、ウエハー1を本発明の装置に入れて、回転台の中央に配置する。次に、実際の方法を開始するため、下部滴保持器2を側部領域からウエハー1の端部領域へ動かす。なお、このことは、回転軸6を中心としてスワンネック7をまず旋回させ、下部滴保持器2をウエハー1の下面の位置へ下げ、下部滴保持器2の設けられているスイベルアームをウエハー1の端部の下へと旋回させることによって行われる。次に、ピペット4を、側部領域から下部滴保持器2の上方の領域へ動かし、ピペット4が、ウエハー1の端部領域においてウエハー1の端部のすぐ上方で下部滴保持器2に対向するようにする。次に、窪みの設けられた下部滴保持器2の上面に滴10を塗布する。したがって、滴10は、窪みに集まる。しかしながら、滴10は、その表面張力によって窪みから突出し、ウエハー1の端部に接触する。次に、ピペット4を、下部滴保持器2の上方の領域から元に戻すように取り退ける。必要に応じて、ピペット4を、洗浄装置5中で洗浄してもよい。ここでは、異なる3つの洗浄装置5が備えられており、ピペット4は、その非動作の期間中ずっと洗浄装置中に留まっていてもよい。ピペット4を取り退けた後、上部滴保持器3を、下部滴保持器2の上方の領域へ動かし、滴10の上面に接触させる。次に、端部における滴10の微調整がさらに必要であれば、下部および上部の滴保持器2,3を動かすことによって行ってもよい。
【0056】
上記のやり方の代わりに、下部滴保持器2をまずウエハー1の端部の下へ動かすのではなく、水平位置に関してウエハー1の付近に配置してもよい。その後、ピペット4を下部滴保持器2の上方の領域へ動かし、下部滴保持器2の上面の窪みに滴10を入れることによって、下部滴保持器2上へピペット4によって滴10を塗布する。この場合、滴10は、下部滴保持器2上に載り、その下面が窪みにある。この場合、滴10の残りの部分は、液体の表面張力によって凝集される。次に、ピペット4を、下部滴保持器2の上方の領域から取り退け、上部滴保持器3をこの領域へ動かす。次に、例えば上部滴保持器3を下げることによって、上部滴保持器3を滴10の上面に接触させることができる。このとき、下部滴保持器2は、その垂直位置に関して、ウエハー1の下方、上部滴保持器3はウエハー1の上方、滴10はウエハー1の高さにある。次に、下部および上部の滴保持器2,3を側方から動かし、滴10をウエハー1の端部に接触させることができる。この際、滴10は、ウエハー1の端部が滴10に浸り、ウエハー1の上面と下面との縁領域も滴10と接触するように変形する。
【0057】
次に、上記の双方の選択肢のどちらを使用したかに関係なく、図3および図4に記載の状況が生じる。この場合、下部滴保持器2は、ウエハー1の端部の下方にあり、上部滴保持器3は、ウエハー1の端部の上方にある。滴10は、下部滴保持器2と上部滴保持器3との間に配置され、下部滴保持器2と上部滴保持器3との双方に接触している。同様に、ウエハー1の端部は、滴10の一方の面に接触している。ウエハー1の端部は、上部滴保持器3と下部滴保持器2との間の領域にまでいくらか入り込んでいる。その結果、ウエハー1の上面および下面の小さな縁領域を含めて端部領域の全体が滴10に接触している。
【0058】
この場合、下部滴保持器2は、その水平に延びる端面に窪みの設けられた円筒の形を有している。上部滴保持器3は、垂直に配置された小管の形を有している。この場合、小管の下部開口部は、ほぼ水平な面にある。なお、この実施形態では、小管の外径は6mm、内径は4mmである。下部滴保持器2の直径は、上部滴保持器3の外径よりも大きく、窪みの直径は、小管の外径にほぼ相当している。この場合、ウエハー1の端部は、下部滴保持器2の上端部と上部滴保持器3の下端部との間のほぼ中央にある。この場合、下部滴保持器2の上端部と上部滴保持器3の下端部との間隔は、上部滴保持器3の外径よりも小さい。この場合、ウエハー1の端部は、部分的に、上部滴保持器3の下方にあり、ウエハー1と上部滴保持器3の下端部との重複領域は、水平面における投影図において、径方向の最大の長さが上部滴保持器3の外径の約20%である。
【0059】
図3および図4に示す構造によって、一方ではウエハー1の端部領域と滴10とが最適に接触し、他方では下部滴保持器2と上部滴保持器3との間に滴10が最適に保持される。次に、ウエハー1の縁を、ウエハー1の回転により滴10を貫通させて動かし、走査する。ウエハー1の端部領域における不純物は、滴10に集まり、相当して高濃度で分析され得る。
【0060】
ウエハー1の全端部領域を、例えばウエハー1を少なくとも360°回転させることによって走査した後、上部滴保持器3を下部滴保持器2の上方の領域から取り退け、さらに、この領域へピペットを動かして滴10を吸引する。この場合、ステップの順序は、同じく2つの選択肢において、滴10を塗布する際のステップ順序とは逆に行ってもよい。次に、ピペットによって吸引した滴10を、レーザーの端部領域から液体へ移った不純物について分析することができる。
【0061】
本発明の実施形態では、小管の形の上部滴保持器3が、チューブを介して拡声器とマイクロフォンとに接続されている。拡声器を介して、小管中に、定常波を生成することができる。定常波の周波数は、小管の開口部が滴10によって閉じられているかどうかに依存している。したがって、周波数を測定することで、上部滴保持器3が滴10に接触しているかどうかを確かめることができる。さらに、小管は、超過圧力を小管中に生成することのできる吹き出し装置を備えている。この超過圧力によって、必要に応じて滴10を上部滴保持器3から確実に分離することができる。
【0062】
この実施形態では、下部滴保持器2および上部滴保持器3が、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)でできており、PTFEは、その材料特性により本発明の滴保持器に最適である。滴10のために使用される液体は、高純度のフッ化水素溶液である。
【0063】
本発明の方法および本発明の装置によって、ウエハー1の縁領域も、不純物について分析することが可能である。この場合、下部および上部の滴保持器2,3を使用し、本発明の方法では下部および上部の滴保持器2,3の間に滴10があることで、ウエハー1の全端部領域と滴10との間の良好な接触が保証される。したがって、滴10を貫通するウエハー1の動きによって下部滴保持器2から滴が引き剥がされるのも防止される。下部滴保持器2と上部滴保持器3とが互いに対して移動可能であることにより、非常に柔軟な方法実施が可能である。この方法実施では、このため、分離ピペットを使用してもよい。さらに、本発明の装置では、全ての要素を洗浄することが可能であり、これにより測定精度が高くなる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】図1は、本発明の装置の第1実施形態の斜視図である。
【図2】図2は、本発明の装置の第1実施形態の拡大斜視図である。
【図3】図3は、本発明の方法の方法工程の斜視図である。
【図4】図4は、図3に示す図面の断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウエハー(1)の不純物を分析するための方法であって、
液体の滴(10)を、下部滴保持器(2)と上部滴保持器(3)との間に、前記滴(10)の下面が前記下部滴保持器(2)に接触し、前記滴(10)の上面が前記上部滴保持器(3)に接触するように用意するステップと、
前記ウエハー(1)の端部を、前記滴(10)の側面に前記端部を接触させながら、前記滴(10)によって走査するステップと、
前記滴(10)を吸引し分析するステップとを含む方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、
前記滴(10)を用意するステップは、
前記滴(10)を前記下部滴保持器(2)上に塗布するステップと、
前記滴(10)の前記上面を前記上部滴保持器(3)に接触させるステップとを含む方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法において、
前記滴(10)を前記下部滴保持器(2)上に塗布するステップを、分離ピペット(4)によって行う方法。
【請求項4】
請求項2に記載の方法において、
前記上部滴保持器(3)を、側部領域から下部滴保持器(2)の上方の領域へ動かす方法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法において、
前記滴(10)を用意するステップは、
前記下部滴保持器(2)の上方の領域へピペット(4)を動かすステップと、
前記ピペット(4)によって前記下部滴保持器(2)上に前記滴(10)を塗布するステップと、
前記ピペット(4)を前記下部滴保持器(2)の上方の領域から取り退けるステップと、
前記上部滴保持器(3)を前記下部滴保持器(2)の上方の領域へ動かすステップと、
前記滴(10)の前記上面に前記上部滴保持器(3)を接触させるステップとを含む方法。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法において、
前記滴(10)によって前記ウエハー(1)の前記端部を走査した後に、
前記上部滴保持器(3)を前記下部滴保持器(2)の上方の領域から取り退けるステップと、
ピペット(4)を前記下部滴保持器(2)の上方の領域へ動かすステップと、
前記滴(10)を前記ピペット(4)によって吸引するステップと、
前記滴(10)を分析するステップとを含む方法。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法において、
前記上部および/または下部滴保持器(3)を側部領域から前記ウエハー(1)の前記端部の領域へ動かす方法。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法において、
前記下部および/または上部滴保持器(2,3)を使用中に洗浄する方法。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法において、
前記ウエハー(1)の前記端部は、前記滴(10)による前記走査の際に、前記上部滴保持器(2)と前記下部滴保持器(3)との間の領域にある方法。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法において、
前記上部滴保持器(3)は、小管を備え、
前記小管の開口部は、前記滴(10)の前記上面に接触している方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法において、
前記小管は、定常波を前記小管に生成可能な音源に接続されている方法。
【請求項12】
請求項11に記載の方法において、
前記滴を、前記定常波の周波数認識により検出する方法。
【請求項13】
請求項10に記載の方法において、
前記滴(10)は、前記小管を介して吹き出し可能である方法。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法において、
前記下部滴保持器(2)は、その上面に窪みを有し、
前記窪みに、前記滴(10)の前記下面が落ち着く方法。
【請求項15】
下部滴保持器(2)と、
上部滴保持器(3)と、
液体の滴(10)を用意および/または吸引するための装置(4)と、
前記滴(10)を分析するための装置とを備える、ウエハー(1)の不純物を分析するための装置。
【請求項16】
請求項15に記載の装置において、
前記上部滴保持器(3)は、前記下部滴保持器(2)に対して移動可能に構成されている装置。
【請求項17】
請求項15または16に記載の装置において、
前記下部滴保持器(2)と、前記上部滴保持器(3)と、前記滴(10)を用意および/または吸引するための前記装置(4)とは、別個の要素としてそれぞれ構成されている装置。
【請求項18】
請求項15〜17のいずれか1項に記載の装置において、
前記滴(10)を用意および/または吸引するための前記装置(4)と前記下部滴保持器(2)とは、互いに相対的に動けるように構成されている装置。
【請求項19】
請求項15〜18のいずれか1項に記載の装置において、
前記上部滴保持器(3)、ならびに/または、前記滴(10)を用意および/もしくは吸引するための前記装置(4)は、側部領域から前記ウエハー(1)の縁の領域へ移動可能である装置。
【請求項20】
請求項15〜19のいずれか1項に記載の装置において、
前記下部滴保持器(2)は、側部領域から前記ウエハー(1)の縁の領域へ移動可能である装置。
【請求項21】
請求項15〜20のいずれか1項に記載の装置において、
前記下部滴保持器(2)および/または前記上部滴保持器(3)のために、洗浄装置(5)が備えられている装置。
【請求項22】
請求項15〜21のいずれか1項に記載の装置において、
前記滴(10)を用意および/または吸引するための前記装置は、ピペット(4)を備えている装置。
【請求項23】
請求項15〜22のいずれか1項に記載の装置において、
前記下部滴保持器(2)および前記上部滴保持器(3)の、少なくとも前記滴(10)に接触する表面は、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)でできている装置。
【請求項24】
請求項15〜23のいずれか1項に記載の装置において、
前記下部滴保持器(2)は、その上面に、前記滴(10)の前記下面を受け入れるための窪みを有している装置。
【請求項25】
請求項15〜24のいずれか1項に記載の装置において、
前記下部滴保持器(2)は、実質的に円筒の形を有している装置。
【請求項26】
請求項15〜25のいずれか1項に記載の装置において、
前記上部滴保持器(3)は、小管を備え、
前記小管の開口部は、下へ向けられている装置。
【請求項27】
請求項26に記載の装置において、
前記小管は、定常波を前記小管に生成可能な音源に接続されている装置。
【請求項28】
請求項27に記載の装置において、
前記小管は、前記定常波の周波数認識のための装置に接続されている装置。
【請求項29】
請求項26に記載の装置において、
前記滴(10)は、前記小管を介して吹き出し可能である装置。
【請求項30】
請求項15〜29のいずれか1項に記載の装置において、
前記下部滴保持器(2)の上端部の直径は、前記下部滴保持器(3)の下端部の直径よりも大きい装置。
【請求項31】
請求項15〜30のいずれか1項に記載の装置において、
請求項1〜14のいずれか1項に記載の方法を実施するための制御部を備える装置。
【請求項32】
請求項15〜31のいずれか1項に記載の装置において、
請求項1〜14のいずれか1項に記載の方法を実施するための手段を備える装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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