説明

ウエハーレベル光学部品を用いた自動焦点/ズームモジュール

【課題】自動焦点及び/又はズーム特性を有し、汚染により強く、部品数と製造工程数がより少なく、且つより寛容な許容差で組立て可能なカメラモジュールを提供すること。
【解決手段】基板と、前記基板に取り付けられるとともに、光センサのアレイを上面に有する集積回路画像取込装置と、前記画像取込装置の前記上面に強固に固定された第1レンズユニットと、 第2レンズユニットと、前記基板に取り付けられるとともに、前記第1レンズユニットの上方に前記第2レンズユニットを調節可能に支持するレンズアクチュエータを含み、前記第1レンズユニットが前記画像取込装置の前記上面の外周を超えて延びないことを特徴とするカメラモジュール。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に電子装置に関し、より詳しくはデジタルカメラモジュールに関する。より一層詳しくは、本発明は、可変焦点/ズーム装置が内蔵されたカメラモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルカメラモジュールは、現在様々なホスト装置に内蔵されている。このようなホスト装置は、携帯電話、携帯情報端末(PDAs)及びコンピュータ等を含む。したがって、ホスト装置内デジタルカメラモジュールに対する消費者の需要は増大し続けている。
【0003】
ホスト装置の製造業者は、デジタルカメラモジュールの小型化を好み、この理由は、ホスト装置の外形寸法を増加させずにホスト装置内にデジタルカメラモジュールを内蔵することが可能となるからである。さらに、ホスト装置の製造業者は、ホスト装置の設計に及ぼす影響が最小限であるカメラモジュールを好む。これら要件を満たすために、ホスト装置の製造業者は、可能な限り高品質の画像を取り込むカメラモジュールを選択する。もちろん、カメラモジュールの製造業者にとって目下の目標は、最小減の製造原価でこれらの要件を満たすカメラモジュールを設計することである。
【0004】
従来のデジタルカメラモジュールは、一般的に、レンズアセンブリ、ハウジング、プリント回路基板(PCB:Printed Circuit Board)及び集積型画像取込装置(ICD: Image Capture Device)を含む。典型的には、部品は個別に形成され、その後の組み立てによってデジタルカメラモジュールが作り出される。即ち、ICDがPCBに取り付けられ、その後、ハウジングがPCBに取り付けられることにより、ICDがハウジング底部で覆われる。そして、レンズアセンブリは、ハウジングの反対側端部に取り付けられることにより、入射光をICDの画像取込面上に集束させる。ICDが、ICD用の複数の電気接点を含むPCBに電気的に連結されることにより、画像データがホスト装置に伝えられ、プロセシング、表示及び記憶がなされることになる。
【0005】
デジタルカメラモジュールに他に普及していることは、小型のカメラモジュールでは必ずしもというわけではないが、様々な焦点領域で取り込まれた画像の品質を向上させるための可変焦点/ズーム装置を含むことである。典型的には、可変焦点/ズーム装置は、レンズアセンブリの1つ以上のレンズに連結された電子アクチュエータを含むことによって、ICDの画像取込面に対するレンズの移動やレンズ同士の移動を変動させる。
【0006】
小型のカメラモジュールを製造する際、カメラモジュール製造業者は多くの問題に直面する。一例としては、むきだしのICDのダイは、組立前及び組立中の汚染に非常に脆い。画像取込面が埃及び/又はその他の粒子状破片にさらされると、これらの汚染物質は入射光を遮ることになり、取り込まれた画像において可視欠陥が生じてしまう。このような汚染は、頻繁に、不良の画像取込装置の廃棄処分を引き起こし、これは、特に収率損失が高い場合においては極めて高価となる可能性がある。汚染を最小限にするためには、カメラモジュールは、クラス100のクリーンルームで注意深く組立てられる必要がある。組立てられたカメラモジュールの画像取込装置は、カメラモジュール外部からの汚染物質に対して保護されているが、それでも、これら画像取込装置は内部で生じた汚染物質に対して脆い。このような内部汚染物質は、通常、カメラモジュール内の埃、部品接着剤(例えばエポキシ等)、及び/又は摩擦摩耗によって形成された粒子である。典型的には、摩擦磨耗は、部品組立時又は組立後、例えば、カメラモジュール内で可動部品(例えば可変ズーム/焦点装置等)が作動した場合等に生じる。カメラ組立後に画像センサが汚染されることは、カメラモジュール全体の廃棄処分が必要となる可能性があるため特に高価となりうる。
【0007】
その他の問題としては、可変焦点/ズーム装置は、典型的に多数の可動光学素子を含み、これら光学素子が小型のカメラモジュールに内蔵されるために非常に小さい必要があるため、製造、組立て、及び配置に極めて精巧な工程を必要とすることである。実際に、配置工程は、カメラモジュールに必要な部品の数が増加するにつれてますます難しくなる。この理由は、レンズが、所定の許容差内でICDに対して位置付けられる必要があるためである。全体許容差は、他の仲介部品の許容差の蓄積である。理想的には、レンズは全て、平面画像取込面の中心と同軸方向に垂直であるべきである。しかしながら、これは典型的には、PCBに対するICDの許容差、ハウジングに対するPCBの許容差、焦点/ズーム装置に対するハウジングの許容差、及び焦点/ズーム装置に対するレンズの許容差の合計によって定義される所定の全体許容差内で達成されるのみである。
【0008】
カメラモジュール組立中のICDの汚染を最小減にするための一つの従来の方法は、透明な保護基板(例えばガラス板等)を、画像取込面を覆うように固定する工程を含む。典型的には、これは、透明な接着剤を用いて、透明な保護基板を画像取込面上に直接的に接着することによって実現される。その他の一般的な方法は、画像取込装置の周囲面の周りに環状部品を形成する工程と、透明基板を環状部品に接着させることによって画像取込面と透明基板との間に空間を形成する工程を含む。
【0009】
透明カバーは、カメラモジュール組立前に、幾らかの汚染物質から画像取込面を保護できる可能性はあるが、それでもカメラモジュールは汚染物質に対して非常に脆く画質の低下を引き起こすことになる。例えば、汚染物質は、まだ透明基板上にたまる可能性があり、この透明基板自体が汚染物質に対して無防備である。その他の例としては、透明カバーをICDに適用する工程は、その工程自体が汚染を引き起こす可能性がある。さらに、追加部品を用いることは、カメラモジュールの製造の全体的な費用を増大させ、製造時間を増加させる可能性が高い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、汚染物質に対してより強いカメラモジュールが必要とされている。さらに寛容な許容差で組立てが可能なカメラモジュールもまた、必要とされている。部品数と製造工程がより少ないカメラモジュールもまた、必要とされている。自動焦点及び/又はズーム特性を備える小型のカメラモジュールの組立て方法もまた、必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、自動焦点及び/又はズーム特性を有し、汚染により強く、部品数と製造工程数がより少なく、且つより寛容な許容差で組立て可能なカメラモジュールを提供することによって、従来技術に関連する問題を克服する。
【0012】
開示の実施例では、カメラモジュールは、基板と、基板に取り付けられるとともに、光センサのアレイを上面に有する集積回路画像取込装置(ICD)と、画像取込装置の上面に強固に固定された第1レンズユニットと、第2レンズユニットと、基板に取り付けられたレンズアクチュエータを含む。レンズアクチュエータは、第1レンズユニットの上方に第2レンズユニットを調節可能に支持する。第1レンズユニットは、積層された複数のレンズを含む。選択的に、第2レンズユニットもまた、積層された複数のレンズを含む。第1レンズユニットに対する第2レンズユニットの動きによって、焦点調整及び/ズーム機能が提供される。
【0013】
この開示実施例の実施形態において、第1レンズユニットは、底面を有する第1レンズ素子と、上面及び底面を有する第2レンズ素子とを含む。第2レンズ素子の上面は、第1レンズ素子の底面に接着されている。第2レンズ素子の底面は、画像取込装置の上面に接着されている。
第1レンズユニットは、光センサのアレイが画像取込装置と第1レンズユニットとの間に密閉されるように、画像取込装置の上面に接着される。第1レンズユニットは、空洞が形成された取付面を含み、この取付面は、空洞がセンサアレイを覆うように、画像取込装置の上面のセンサアレイ周囲領域に固定される。特定の実施形態では、第1レンズユニットの上面は、画像取込装置の上面から少なくとも1−2mmの位置に配される。
【0014】
カメラモジュールを製造する方法もまた、開示されている。開示の実施方法の例は、センサアレイを上面に含む集積回路ICDを提供する工程と、第1レンズユニットを提供す工程と、第1レンズユニットをICDの上面に強固に取り付ける工程と、画像取込装置を基板上に取り付ける工程と、第2レンズユニットが調節可能に取り付けられた電気機械アクチュエータ・アセンブリを提供する工程と、第1レンズユニットの上に空間的な間隔をあけて位置付けられる第2レンズユニットを備える電気機械アクチュエータ・アセンブリを基板に取り付ける工程を備える。特定の方法において、第1レンズユニットを提供する工程は、複数の個別レンズが形成された第1レンズ基板を提供する工程と、複数の個別レンズが形成された第2レンズ基板を提供する工程と、第1レンズ基板の底面の少なくとも一部を、第2レンズ基板の上面の少なくとも一部に接着させる工程を含む。第1レンズユニットを画像取込装置の上面に強固に取り付ける工程は、画像取込装置及び複数のその他の画像取込装置を含む集積回路基板を提供する工程と、複数の個別レンズが形成されたレンズ基板を提供するとともに、レンズの少なくとも1つが第1レンズユニットの一部を形成し、レンズのその他がその他のレンズユニット部分を形成する工程と、レンズ基板の底面の少なくとも一部を画像取込装置の上面に接着することにより、第1レンズユニットを画像取込装置に取り付けるとともにその他のレンズユニットをその他の画像取込装置に取り付ける工程を含む。本方法は、さらに、レンズ基板及び集積回路基板を分離することにより、複数の別個の画像取込装置を生成する工程をさらに備える。この複数の別個の画像取込装置のそれぞれは、該画像取込装置に取り付けられたレンズユニットを1つ有する。
【0015】
代替的な方法において、集積回路ICDを提供する工程は、上面を覆う透明カバー(例えば、ガラス板等)を有する集積回路ICDを提供する工程を含む。第1レンズユニットを画像取込装置の上面に強固に取り付ける工程は、第1レンズユニットを透明カバーに固定する工程を含む。
【0016】
開示の本実施方法の例において、第1レンズユニットは、積層された複数のレンズ素子を含む。選択的に、積層された複数のレンズ素子の少なくとも1つの素子は、内蔵型の赤外線フィルターを含む。
【0017】
その他の選択肢としては、本方法は、第1レンズユニットの少なくとも1つの光学特性を示すデータを用いて、画像取込装置をプログラミングする工程をさらに含む。
【0018】
開示の本実施例において、カメラモジュールは、基板と、基板に取り付けられるとともに、光センサのアレイを上面に有する集積回路ICDと、第1レンズユニットと、画像取込装置に対して第1レンズユニットを取り付ける手段と、第2レンズユニットと、基板に取り付けられるとともに、第1レンズユニットに対して第2レンズユニットを調節可能に位置付けるレンズアクチュエータを含むとして記載することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】ホスト装置のプリント回路基板(PCB)に取り付けられた本発明のカメラ モジュールの斜視図である。
【図2】図1のカメラモジュールの部分断面斜視図である。
【図3】図1のカメラモジュールの内部部品の部分断面斜視図である。
【図4】図2のカメラモジュールの光学素子積層体を製造するために用いられる複数 のガラスウエハーの分解斜視図である。
【図5】配置及び接着工程後の図4のガラスウエハーの一部の断面図である。
【図6】本発明に係るカメラモジュールを製造するための1つの特定の方法を要約し て示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明は以下図面を参照して詳説する。図面において、同様の参照符号は略類似の要素を意味するものとする。
本発明は、自動焦点及び/又はズーム特性を有する小型カメラモジュールを製造する新規の方法を提供することによって、従来技術に関連する問題を克服するものである。以下の記述において、多数の具体的な詳細(光学積層体におけるレンズ素子の数等)を説明することにより、本発明を完全に理解可能なものとする。当業者であれば理解できることではあるが、本発明はこれらの具体的事項とは異なって実施することも可能である。他の例では、公知の電子アセンブリの実施方法及び部品を省略することにより、本発明を不必要に不明瞭としないようにした。
【0021】
図1は、本発明の一実施形態におけるカメラモジュール(100)の斜視図である。カメラモジュール(100)は、プリント回路基板(PCB)(102)の一部に取り付けられることが図示されており、このプリント回路基板(PCB)(102)は、カメラホスト装置のPCBである。カメラモジュール(100)は、ホスト装置のその他の素子と複数の導電性配線(104)を介して連通する。装置(106)は、電子素子(例えば受動素子)を意味し、PCB(102)に直接的に取り付けられることができる。当業者であれば、PCB(102)の特定の設計は、特定の用途に基づいてなされるものであり、本発明に特に関連しないことは理解できることである。したがって、PCB(102)、配線(104)、及び装置(106)はその性質を示すものにすぎない。
【0022】
図2は、カメラモジュール(100)の部分断面図であり、集積回路画像取込装置(ICD)(200)、PCB(202)、焦点/ズーム装置(204)、基部(206)、及びハウジング(208)を含む。ICD(202)は、当業者に公知の方法(例えば、ワイヤボンディング、リフローはんだ付け等)を用いてPCB(202)に取り付けられて電気的に連結される。焦点/ズーム装置(204)は、光学積層体(210)、レンズキャリア(212)、及びアクチュエータ(214)を含む。光学積層体(210)とレンズキャリア(212)は、光軸(216)に沿って同軸上に位置付けられる。光軸(216)は、ICD(200)の画像取込面に対して垂直であり且つ中心付けられている。光学積層体(210)は、ICD(200)上面に強固に固定されているが、レンズキャリア(212)は、軸(216)に沿って移動可能である。アクチュエータ(214)は、電子機械装置(例えば、MEMS、圧電性物質、音声コイル等)であり、電子制御信号に応答して、光学積層体(210)に対するレンズキャリア(212)の位置を決定付けるよう作動する。特に、アクチュエータ(214)が特定の焦点/ズーム領域を示す信号を受信する時には、アクチュエータ(214)は、レンズキャリア(212)を、光学積層体(210)からの該当距離に位置付ける
【0023】
基部(206)は、PCB(202)上とICD(202)の周辺端部に直接的に形成される硬質基板であり、アクチュエータ(214)とハウジング(208)を支持する。基部(206)は、幾つかの手段のうち任意の手段によって形成されることができる。例えば、基部(206)は、予め形成されてからPCB(202)に接着されることができる。代わりに、基部(206)は、ICD(200)と光学積層体(210)がPCB(202)に固定された後に、PCB(202)に直接的に成形されることもできる。他の代替手段として、基部(206)とアクチュエータ(214)は、単一部品として一体化されることができる。さらにその他の代替手段として、(光学積層体(210)が取り付けられた)ICD(200)は、基部(206)にフリップチップで取り付けられ、その後、例えばリフローはんだ付け工程によって、PCB(202)に取り付けられることができる。
【0024】
ハウジング(208)は、基部(206)とアクチュエータ(214)上に直接的に形成されることにより、カメラモジュール(100)の内部素子を保護する。ハウジング(208)は、アパチャー(218)を含み、これにより光がカメラモジュール(100)内に入ることが可能になる。アパチャー(218)は、透明材料(例えば、レンズ、赤外線フィルタ等)によって覆われることにより、外部破片がカメラモジュール(100)に入ることをさらに防ぐことが可能となる。ハウジング(208)の形成は、幾つかの手段のうち任意の手段を用いることにより実現できる。例えば、ハウジング(208)は、予め製造された後、基部(206)とアクチュエータ(214)に取り付けられることができる。その他の例として、ハウジング(208)は、基部(206)とアクチュエータ(214)上にオーバーモールディングされることができる。ICD(202)に対する光学積層体(210)とレンズキャリア(212)の配置は、ハウジング(308)が仲介部材ではないために、ICD(200)に対するハウジング(208)の配置に依存しないことに留意されたい。したがって、ハウジング(208)は、レンズ配置の許容差蓄積に関連する問題の一因とはならない。
【0025】
図3は、ICD(200)、光学積層体(210)、及びレンズキャリア(212)の部分断面図である。ICD(200)は、光軸(216)に垂直な平面の画像取込面(300)を含む。図に示す如く、光軸(216)は、光学積層体(210)、レンズキャリア(212)、及び画像取込面(200)の中心を通過する。
【0026】
光学積層体(210)は、4つのレンズ(302)(304)(306)(308)の積層を含み、これらレンズは互いに固定され、画像取込面(300)上に取り付けられる。特に、レンズ(302)の底面は直接的にICD(200)に固定され、レンズ(304)はレンズ(302)に取り付けられ、レンズ(306)はレンズ(304)に取り付けられ、レンズ(308)はレンズ(306)に取り付けられる。さらに、レンズ(302)の底面は、キャビティ(310)内の開口部を定義する。この開口部は、画像取込面(300)の領域よりも僅かに大きい領域を有していることにより、レンズ(302)と画像取込面(300)との間の接触を防ぐ。光学積層体(210)がICD(200)に固定された後に、組立後工程による汚染又は画像低下が生じることは殆ど起こりえないことを認識することが重要である。この理由は、レンズ(308)の上面にたまる破片は、収率損失に関連する欠陥を引き起こすには、画像焦点位置からあまりに離れすぎているからである。さらに、レンズ(302)をICD(200)に接着することは、空洞(310)内に画像取込面(300)を効果的に密閉するため、汚染物質が画像取込面(300)に到達することを防ぐことになる。
【0027】
レンズキャリア(212)は、キャビティ(312)と光学アパチャー(314)を定義する。キャビティ(312)は、第2光学積層体(316)を固定可能に配置させる。第2光学積層体(316)は、4つのレンズ(318)(320)(322)(324)の積層を含み、これらレンズは互いに固定される。特に、レンズ(320)はレンズ(318)に取り付けられ、レンズ(322)はレンズ(320)に取り付けられ、レンズ(324)はレンズ(322)に取り付けられる。レンズ(324)は、アパチャー(314)内に配される凸面(326)を定義する。図示されていないが、レンズキャリア(212)は、アクチュエータ(214)から提供された電気的又は機械的な力(例えば磁力、圧電性付勢力等)と反応する特性(例えば、鉄成分、磁石、ガイドレール、剛性リップ部)を含み、これにより、光学積層体(210)に対してレンズキャリア(212)を移動させる。作動力に応答して、レンズキャリア(212)と光学積層体(316)は、光軸(216)に沿って画像取込面(300)に対して移動し、これにより焦点/ズーム領域を変動させる。
【0028】
さらに、ICD(200)は、光学積層体(210)と光学積層体(306)の少なくとも1つの光学特性を示すデータを含む。本情報をICD(200)のプログラミングコードに提供することにより、被写界深度向上(EDOF:enhanced depth of field)及び光学不良補正(OFC:optical fault correction)等のソフトウェアの使用が促進される。その後、ウエハーレベル光学部品において生成された光学特性は、画像向上を目的としたソフトウェアによって使用されることができる。本特性は、画像アーチファクトを補正することによってモジュール収率も改善することができる。
【0029】
図4は、光学積層体(210)を形成するために使用される4つのガラスウエハー(400)(402)(404)(406)の分解斜視図である。ガラスウエハー(400)(402)(404)(406)は、それぞれレンズアレイ(408)(410)(412)(414)を含む。これらレンズアレイは、例えば、エッチング/複写技術等のある好適な手段によって個別に形成される。レンズアレイが形成された後、ガラスウエハーは、各個別のレンズが3つの他の個別のレンズと同軸上になるように、垂直に配列される。その後、ガラスウエハーが互いに接着されて積層関係となり、分離工程への準備が整うことになる。この分離工程によって、幾つかの個別の光学積層体(210)が生成される。
【0030】
代替的には、ガラスウエハー(400)(402)(404)(406)は、類似の複数の集積回路画像取込装置を含むウエハーへとボンディングされることができ、その後に、ウエハーは、レンズ積層体が取り付けられた個別のICDへと分離される。しかしながら、レンズウエハーとICDウエハーを同時に分離することは、より困難である可能性があり、この理由は、分離にはシリコンICDウエハーの機能領域にわたってガラスウエハーをダイシングする必要がある可能性があるからである。さらに、分離前にレンズをウエハーにボンディングすることは、ガラスウエハーからのレンズの収率を下げることになる。この理由は、レンズの積層は、ICDよりも小さい領域を占めるからである。したがって、ガラスウエハーが、ICDウエハーに接着される前にダイシングされた場合には、ICDの間隔にレンズが適合するようにレンズの間隔を設けるよりも、レンズ同士をより近くに位置付けることができる。
【0031】
図5は、ガラスウエハー(400)(402)(404)(406)のほんの一部の断面図である。ガラスウエハー(400)(402)(404)(406)は、配列され、互いに接着されている。ガラスウエハーが互いに接着された後、レンズは品質検査を受け、線(500)に沿ってダイシングされ、多数の個別の光学積層体(210)を形成する。個別の光学積層体(210)が形成された後、これらは清浄され、ICDに取り付けるための準備がなされる。ここで留意すべきは、光学積層体(316)は、光学積層体(210)を形成するために用いられたものと同様の一般的な工程を用いることによって形成されるが、もちろん異なる形状を有するレンズ素子を備える。
【0032】
図6は、本発明に係る自動焦点/ズームカメラモジュールを製造するための一つの方法を要約したフローチャートである。第1工程(602)では、画像取込装置(ICD)が提供される。そして、第2工程(604)では、第1レンズユニットが提供される。次に、第3工程(606)では、第1レンズユニットがICDに強固に取り付けられる。選択的に、工程(602)(604)(606)は、ウエハーレベルで生じる。即ち、これらの工程は、ICDがまだその他のICDとともに1つのウエハー内に組み込まれている間、そして、レンズ素子がまだ、その他のレンズ素子とともにガラスウエハーに組み込まれている間に生じるということである。
【0033】
次に、第4工程(608)では、(第1レンズユニットが取り付けられた)ICDが、基板(例えば、ホスト装置のPCB)上に取り付けられる。その後、第5工程(610)では、第2レンズユニットを備えるアクチュエータが提供される。第6工程(612)では、アクチュエータが、ICDと第1レンズユニットを覆って、基板上に取り付けられる。
【0034】
これで本発明の特定の実施形態の説明を完了する。説明された特徴の多くは、本発明の範囲を逸脱することなく、代替、変更又は省略することができる。例えば、示された光学積層体の代わりに、代替的なレンズユニットを使用することができる。その他の例としては、カメラモジュールを組立てるために、異なる電子取付工程を用いることができる。特定の示された実施形態から派生したこれら及びその他の内容は、特に先行開示内容を考慮すると、当業者にとって明らかなものであるといえる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板に取り付けられるとともに、光センサのアレイを上面に有する集積回路画像取込装置と、
前記画像取込装置の前記上面に強固に固定された第1レンズユニットと、
第2レンズユニットと、
前記基板に取り付けられるとともに、前記第1レンズユニットの上方に前記第2レンズユニットを調節可能に支持するレンズアクチュエータを含み、
前記第1レンズユニットが前記画像取込装置の前記上面の外周を超えて延びない
カメラモジュール。
【請求項2】
前記第1レンズユニットが、積層された複数のレンズを含むことを特徴とする請求項1記載のカメラモジュール。
【請求項3】
前記第2レンズユニットが、積層された複数のレンズを含むことを特徴とする請求項2記載のカメラモジュール。
【請求項4】
前記第1レンズユニットは、
底面を有する第1レンズ素子と、
上面及び底面を有する第2レンズ素子とを含み、
前記第2レンズ素子の前記上面が、前記第1レンズ素子の底面に接着し、
前記第2レンズ素子の前記底面が、前記画像取込装置の前記上面に接着することを特徴とする請求項1記載のカメラモジュール。
【請求項5】
前記第1レンズユニットに対する前記第2レンズユニットの動きによって、焦点調整機能が提供されることを特徴とする請求項1記載のカメラモジュール。
【請求項6】
前記第1レンズユニットに対する前記第2レンズユニットの動きによって、ズーム機能が提供されることを特徴とする請求項1記載のカメラモジュール。
【請求項7】
前記第1レンズユニットに対する前記第2レンズユニットの動きによって、焦点調整機能が提供されることを特徴とする請求項6記載のカメラモジュール。
【請求項8】
前記光センサのアレイが前記画像取込装置と前記第1レンズユニットとの間に挟まれて密閉されるように、前記第1レンズユニットが前記画像取込装置の上面に直接接着されることを特徴とする請求項1記載のカメラモジュール。
【請求項9】
前記第1レンズユニットの底面が、前記画像取込装置の前記上面に接着され、
前記第1レンズユニットの上面が、前記画像取込装置の前記上面から少なくとも1mmの位置に配されることを特徴とする請求項8記載のカメラモジュール。
【請求項10】
前記第1レンズユニットの前記上面が、前記画像取込装置の前記上面から少なくとも2mmの位置に配されることを特徴とする請求項9記載のカメラモジュール。
【請求項11】
前記第1レンズユニットは、空洞が形成された取付面を含み、
前記取付面は、前記空洞が前記センサアレイを覆うように、前記画像取込装置の前記上面の前記センサアレイ周囲領域に固定されることを特徴とする請求項1記載のカメラモジュール。
【請求項12】
前記集積回路画像取込装置が、積層された複数のレンズの少なくとも1つの光学特性を示すデータを含む請求項1記載のカメラモジュール。
【請求項13】
前記基板に結合され、前記第2レンズユニット及び前記レンズアクチュエータ上に取り付けられたハウジングをさらに備え、前記画像取込装置に関する前記第1レンズユニットと第2レンズユニットとの調節が前記ハウジングに独立である請求項1記載のカメラモジュール。
【請求項14】
センサアレイを上面に含む集積回路画像取込装置を提供する工程と、
第1レンズユニットを提供する工程と、
前記第1レンズユニットを前記画像取込装置の前記上面に強固に取り付ける工程と、
前記画像取込装置を基板上に取り付ける工程と、
第2レンズユニットが調節可能に取り付けられた電気機械アクチュエータ・アセンブリを提供する工程と、
前記第1レンズユニットの上に空間的な間隔をあけて位置付けられる前記第2レンズユニットを備える前記電気機械アクチュエータ・アセンブリを前記基板に取り付ける工程を備えるカメラモジュールの製造方法。
【請求項15】
前記第1レンズユニットを提供する工程は、
複数の個別レンズが形成された第1レンズ基板を提供する工程と、
複数の個別レンズが形成された第2レンズ基板を提供する工程と、
前記第1レンズ基板の底面の少なくとも一部を、前記第2レンズ基板の上面の少なくとも一部に接着させる工程を含むことを特徴とする請求項14記載の方法。
【請求項16】
前記第1レンズユニットを前記画像取込装置の前記上面に強固に取り付ける工程は、
前記画像取込装置及び複数のその他の画像取込装置を含む集積回路基板を提供する工程
と、
複数の個別レンズが形成されたレンズ基板を提供するとともに、前記レンズの少なくとも1つが前記第1レンズユニットの一部を形成し、前記レンズのその他がその他のレンズユニット部分を形成する工程と、
前記レンズ基板の底面の少なくとも一部を前記画像取込装置の前記上面に接着することにより、前記第1レンズユニットを前記画像取込装置に取り付けるとともに前記その他のレンズユニットを前記その他の画像取込装置に取り付ける工程を含むことを特徴とする請求項14記載の方法。
【請求項17】
前記レンズ基板及び前記集積回路基板を分離することにより、複数の別個の画像取込装置を生成する工程をさらに備え、
前記複数の別個の画像取込装置のそれぞれが、該画像取込装置に取り付けられた前記レンズユニットを1つ有することを特徴とする請求項16記載の方法。
【請求項18】
前記集積回路画像取込装置を提供する工程が、前記上面を覆う透明カバーを有する集積回路画像取込装置を提供する工程を含み、
前記第1レンズユニットを前記画像取込装置の前記上面に強固に取り付ける工程が、前記第1レンズユニットを前記透明カバーに固定する工程を含むことを特徴とする請求項14記載の方法。
【請求項19】
前記第1レンズユニットが、積層された複数のレンズ素子を含むことを特徴とする請求項14記載の方法。
【請求項20】
前記積層された複数のレンズ素子の少なくとも1つの素子が、内蔵型の赤外線フィルターを含むことを特徴とする請求項19記載の方法。
【請求項21】
前記第1レンズユニットの少なくとも1つの光学特性を示すデータを用いて、前記画像取込装置をプログラミングする工程をさらに備えることを特徴とする請求項14記載の方法。
【請求項22】
ハウジングを設ける工程と、
前記ハウジングが前記第2レンズユニットおよび前記電気機械アクチュエータ・アセンブリ上に取り付けられるように、前記ハウジングを前記基板に結合する工程を含み、前記画像取込装置に関する前記第1レンズユニットと第2レンズユニットとの調節が前記ハウジングに独立である請求項14記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−20267(P2013−20267A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−226416(P2012−226416)
【出願日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【分割の表示】特願2010−506259(P2010−506259)の分割
【原出願日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【出願人】(512263441)デジタルオプティクス コーポレーション (1)
【Fターム(参考)】