説明

ウエブ搬送方法およびウエブ搬送装置

【課題】 伸縮性のあるニット素材などのウエブを従来の搬送速度よりも高速で搬送することができるウエブ搬送方法およびウエブ搬送装置を提供すること。
【解決手段】 アキュムレータ装置から排出されたウエブを送り出すオーバーフィードロールと、オーバーフィードロールから送り出されたウエブのしわを伸ばす拡幅ロールと、拡幅ロールから送り出されたウエブを次工程に搬送する搬送ロールと、を備え、搬送ロールの速度を搬送速度とし、オーバーフィードロールによるウエブの送り速度を、搬送ロールの搬送速度よりも速く設定し、オーバーフィードロールから送り出されるウエブを搬送ロールとの間でたるませる工程と、たるまされたウエブを拡幅ロールに沿って走行させて、ウエブに発生したしわを伸ばす工程と、しわが伸ばされたウエブを搬送ロールから搬送速度で次工程に送り出す工程とを有するウエブ搬送方法およびウエブ搬送装置を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
伸縮性のあるニット素材などのウエブを搬送するウエブ搬送方法およびウエブ搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、伸縮性のあるニット素材などのウエブを搬送する場合、ウエブの走行方向両端をクリップなどで把持しながら搬送している。これは、搬送時に張力を出来る限り素材に付与しないためである。そのため、素材が伸びることが極力、無い状態、例えば、搬送速度を低速にして行われている(例えば、40m/min以下の搬送速度など)。ここで、ニット素材は、主に編物素材をいい、編物素材は織物素材と異なり伸縮性に優れている。また、ニット素材は紙やフイルムシートに比べてこし(剛性)が無く、伸縮性が高いためしわが発生しやすい素材である。
【0003】
特許文献1に示される搬送装置では、伸縮性のあるウエブを次のような方法で搬送している。まず、ロール状の原反から供給されるウエブを連続的に送り出す。次に、送り出されたウエブを、複数のフリーロールを経由して搬送する。次に、一対のオーバーフィードロールでウエブの送り出し速度を次工程の加工速度よりも高速にして送り出す。次工程でニップロール等により所定の基材をウエブに貼り付ける。この際、フリーロールを経由することにより伸びの発生したウエブを元の状態に(伸びの無い状態)にして、基材を貼り合わせる。
【0004】
このように、伸縮性のあるウエブを搬送する場合、搬送路で発生したウエブの伸びを元に戻すため、オーバーフィードロールを用いて次工程の加工速度よりも早い速度で送り出す搬送方法が行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−99477号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
これらのウエブ搬送方法では、不織布のような素材を搬送する場合は良好に働くが、例えば、ニット素材などのように伸縮率が高い素材の場合、ウエブの伸びを戻す際、ウエブにしわが入ってしまう問題がある。さらに、生産性を上げるために従来の搬送速度よりも高速で搬送するようにすると、ウエブに過度の張力がかかり、オーバーフィードロールを経て、次の工程に搬送するまでの間にウエブが元の状態に戻らない問題もある。そのため、本来のニット素材の特性(伸縮性に優れた特性など)を損なうようになる。
【0007】
そこで本発明の目的は、伸縮性のあるニット素材などのウエブを、しわが入らずに、また素材の特性を損なわずに、従来の搬送速度よりも高速で搬送することができるウエブ搬送方法およびウエブ搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、
伸縮性のあるウエブを連続的に搬送するウエブ搬送方法であって、
ウエブの搬送量を調整するアキュムレータ装置と、
アキュムレータ装置から排出されたウエブを送り出すオーバーフィードロールと、
オーバーフィードロールから送り出されたウエブのしわを伸ばす拡幅ロールと、
拡幅ロールから送り出されたウエブを次工程に搬送する搬送ロールと、を備え、
搬送ロールの速度を搬送速度とし、
オーバーフィードロールによるウエブの送り速度を、搬送ロールの搬送速度よりも速く設定し、オーバーフィードロールから送り出されるウエブを搬送ロールとの間でたるませる工程と、
たるまされたウエブを拡幅ロールに沿って走行させて、ウエブに発生したしわを伸ばす工程と、
しわが伸ばされたウエブを搬送ロールから搬送速度で次工程に送り出す工程とを有するウエブ搬送方法である。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、
オーバーフィードロールと拡幅ロールとの間に、ウエブの走行方向を修正する蛇行修正ロールを備え、
オーバーフィードロールから送り出され、たるまされたウエブの走行方向を蛇行修正する工程を有するウエブ搬送方法である。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、
ウエブがニット素材からなるウエブ搬送方法である。
【0011】
請求項4に記載の発明は、
伸縮性のあるウエブを連続的に搬送するウエブ搬送装置であって、
ウエブの搬送量を調整するアキュムレータ装置と、
アキュムレータ装置から排出されたウエブを送り出すオーバーフィードロールと、
オーバーフィードロールから送り出されたウエブのしわを伸ばす拡幅ロールと、
拡幅ロールから送り出されたウエブを次工程に搬送する搬送ロールと、を備え、
搬送ロールの速度を搬送速度とし、
アキュムレータ装置を経由することによりウエブが伸ばされた伸び量を、オーバーフィードロールと拡幅ロールとの間にウエブのたるみを持たせることにより伸びを元に戻す機能を有したウエブ搬送装置である。
【0012】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の発明において、
オーバーフィードロールと拡幅ロールとの間に、ウエブの走行方向を修正する蛇行修正ロールを備えているウエブ搬送装置である。
【0013】
請求項6に記載の発明は、請求項4または5に記載の発明において、
ウエブがニット素材からなるウエブ搬送装置である。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に記載の発明によれば、オーバーフィードロールから送り出されるウエブを搬送ロールとの間でたるませる工程を有しているので、オーバーフィードロールの前工程で張力がかかり伸びてしまっても、オーバーフィードロールから送り出されるウエブは伸びが元に戻る。さらに、たるまされたウエブを拡幅ロールに沿って走行させて、ウエブに発生したしわを伸ばす工程を有しているので、たるむことにより発生したウエブのしわを取ることができる。さらに、しわが伸ばされたウエブを搬送ロールから搬送速度で次工程に送り出す工程を有しているので、伸びとしわのないウエブを従来の搬送速度よりも高速で搬送することができる。
【0015】
請求項2に記載の発明によれば、オーバーフィードロールから送り出され、たるまされたウエブの走行方向を修正する工程を有しているので、前工程の張力変動により発生したウエブの蛇行を修正して搬送することが出来る。
【0016】
請求項3に記載の発明によれば、伸縮性のあるニット素材のウエブを高速で搬送することが出来る。
【0017】
請求項4に記載の発明によれば、オーバーフィードロールから送り出されるウエブを搬送ロールとの間でたるませているので、オーバーフィードロールの前工程で張力がかかり伸びてしまっても、オーバーフィードロールから送り出されるウエブは伸びが元に戻る。さらに、たるまされたウエブを拡幅ロールに沿って走行させて、ウエブに発生したしわを伸ばしているので、たるむことにより発生したウエブのしわを取ることができる。さらに、しわが伸ばされたウエブを搬送ロールから搬送速度で次工程に送り出しているので、伸びとしわのないウエブを従来の搬送速度よりも高速で搬送することができる。
【0018】
請求項5に記載の発明によれば、オーバーフィードロールから送り出され、たるまされたウエブの走行方向を修正する蛇行修正ロールを有しているので、前工程の張力変動により発生したウエブの蛇行を修正して搬送することが出来る。
【0019】
請求項6に記載の発明によれば、伸縮性のあるニット素材のウエブを高速で搬送することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明のウエブ搬送装置の概略側面図である。
【図2】本発明の蛇行修正装置の概略平面図である。
【図3】本発明のしわ取りロールの概略平面図である。
【図4】本発明のウエブ搬送装置の動作を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0022】
ウエブ搬送装置1は、新旧のウエブを連続して供給する連続供給装置2、新旧のウエブをつなぎ合わせるつなぎ装置3、つなぎ装置でウエブをつなぎ合わせている間、ウエブの走行を滞留させるアキュムレータ装置4、アキュムレータ装置4から搬出されたウエブを所定長の距離に受け渡す渡り装置5、渡り装置5から搬出されたウエブにたるみをもたせるたるみ発生部6、たるみ発生部6を経由したウエブの蛇行を修正する蛇行修正装置7、蛇行修正されたウエブのしわを伸ばす拡幅装置8、ウエブ搬送装置1の全体を制御する制御部9とから構成されている。
【0023】
連続供給部2は、新ウエブ10が巻かれたウエブロール11と、旧ウエブ12が巻かれたウエブロール13とを対向する位置に配置したターレット装置14から構成されている。新ウエブ10は新たに供給されるウエブを呼び、旧ウエブ12は連続生産中のウエブで、消費されている側を呼ぶ。ターレット装置14は、次工程のつなぎ装置3からの信号に合わせて90°および180°旋回し、ウエブロール11,13の位置を切り換える様に構成されている。
【0024】
つなぎ装置3は、新ウエブ10と旧ウエブ12の繋ぎ合わせ作業を行う切断作業台15と、新ウエブ10と旧ウエブ12を切断しテープを貼り付ける切断貼付ユニット16と、つなぎ装置3へ新旧ウエブを導入するロール17と、つなぎ装置3から次工程にウエブ19を送り込む一対の送り込みロール18とから構成されている。送り込みロール18で旧ウエブ12の走行を停止し、停止の間に切断作業台15上で新ウエブ10および旧ウエブ12の切断及びつなぎ合わせが行われる。なお、以下の工程ではつなぎ合わされたウエブをウエブ19の符号で説明する。
【0025】
アキュムレータ装置4は、複数の昇降ガイドロール20と、複数の固定ガイドロール21と、張力検出器23とから構成されている。昇降ガイドロール20と、固定ガイドロール21は、イナーシャの低いロールで、張力検出器23はアキュムレータ装置4の出力側のウエブ19の張力を検出している(イナーシャは慣性力の意味で使用)。昇降ガイドロール20は、上下に移動可能に構成され固定ガイドロール21間の距離を可変させることが出来るよう構成されている。ウエブ19は、昇降ガイドロール20と固定ガイドロール21の間を交互に受け渡され、張力検出器23を経由して、次の渡り装置5に供給されるようになっている。アキュムレータ装置4へのウエブ19の供給が減少すると、昇降ガイドロール20を下降させて、アキュムレータ装置4から渡り装置5に供給するウエブ19の量を一定にするようにしている。従って、アキュムレータ装置4は、所定のウエブ19を蓄えることが出来るようになっている。これは、つなぎ装置3で新エブ10と旧ウエブ12のつなぎ合わせ作業が開始される際に、つなぎ装置3を通過するウエブ19を停止させる機能に使用している。昇降ガイドロール20と固定ガイドロール21の数は、ウエブ19の搬送速度と、つなぎ装置3のタクトタイムから、蓄えるウエブ19の長さが求められ、ウエブ19の長さに応じて適宜、各ロールの数を求めている。
【0026】
アキュムレータ装置4の昇降ガイドロール20と固定ガイドロール21の間のウエブ19は、たるみが発生しない程度の張力がかかるようにしている。また、昇降ガイドロール20および固定ガイドロール21は個別に駆動手段を備えておらず、ロール表面を走行するウエブ19に追従して回転するロールとなっている。そのため、低イナーシャのロールであっても、メカロス分の張力がウエブ19にかかることになる(メカロスはメカニカルロス、機械損失の意味で使用)。このようなウエブ19がアキュムレータ装置4内を走行することで、アキュムレータ装置4の入力側(搬入側で図1のA部分)と出力側(搬出側で図1のB部分)では、ウエブ19に伸びが発生することになる。制御部9は、アキュムレータ装置4の出力側に設けたウエブ19の張力検出23の信号に応じて、送り込みロール18の駆動量を制御する。この場合、アキュムレータ装置4の制御遅れ(応答遅れ)を考慮しながら制御を行っている。また、つなぎ装置3が新ウエブ10と旧ウエブ12をつなぎ合わせている最中は、ウエブ19の走行が停止し、つなぎ合わせが完了すると、ウエブ19の走行が再開される。そのため、アキュムレータ装置4内を走行するウエブ19は、加減速を短時間で行うことが求められる。制御部9は、これらのウエブ19の変化に応じて、つなぎ装置3の送り込みロール18を予め設定された加速レート(実験データ等の知見により得た加速レート)で加速した後、張力検出器23の信号に応じて送り込みロール18の速度制御をしている。
【0027】
渡り装置5は、アキュムレータ装置4から供給されたウエブ19に張力を与えずに搬送するイナーシャの低い複数の送りロール26と、たるみ発生部6にウエブ19を所定の速度で送り込む一対のオーバーフィードロール27とから構成されている。送りロール26は上下に段違いに配置されており、ウエブ19が送りロール26の間を交互に送られるようになっている。送りロール26は低イナーシャのフリーロールで、走行するウエブにロール表面を接触させて回転するロールである。複数の送りロール26を所定間隔で配置することにより、ウエブ19に与える張力を極力、低張力で搬送するようにしている。渡り装置5は、ウエブ搬送装置1の装置レイアウトに合わせて適宜、送りロール26の本数と間隔が決められている。
【0028】
たるみ発生部6は、渡り装置5の一対のオーバーフィードロール27から搬出されたウエブ19が、次の蛇行修正装置7との間で、たるみをもたせている部分となる。ウエブ19は、オーバーフィードロール27から高速で搬出された後、蛇行修正装置7まで自重張力状態(ウエブの自重のみがウエブに作用している状態)となる。具体的には、オーバーフィードロール27と蛇行修正装置7との間にたるんでいる状態で、ウエブ19の自重だけが張力としてかかり、ウエブ19の走行方向には張力がほとんどかかっていない状態となっている。そのため、アキュムレータ装置4および渡り装置5でウエブ19に付与された張力が緩められ、一旦、伸ばされたウエブ19が元の形状に戻るようになっている。
【0029】
蛇行修正装置7は、蛇行修正ロール30と、ウエブ19の幅を検知する幅検知器33とから構成されている。蛇行修正ロール30は、ロール円周上に複数のゴム板31(図2の斜線部)を備えている。ゴム板31は、ロール長手方向に配置され、長手方向に移動可能になっている。蛇行修正ロール30にはガイド板32が備えられており、ゴム板31をロール長手方向に移動することが出来るようにしている。図2に示すように、蛇行修正装置7に送り込まれたウエブ19(図2では一点鎖線で表記)は、幅検知器33によって端部分が検知される。幅検知器33の検出信号に基づき、ガイド板32が蛇行修正ロール30上のゴム板31の位置を変更する。幅検知器33を通過し蛇行修正ロール30に沿って移動するウエブ19は、蛇行修正ロール30の外周のゴム板31とウエブ19との摩擦力により走行方向が修正される(図2の矢印a、b、cで示すように修正される)。このように、蛇行修正装置7は、ウエブ19の蛇行を修正するように構成されている。本発明の搬送装置1では、つなぎ装置3で旧ウエブ12と新ウエブ10のつなぎ合わせが行われ、アキュムレータ装置4でウエブ19の加減速が行われる。そのため、ウエブ19の搬送張力が変化し、これに伴いウエブ19が搬送方向の幅方向に引っ張られ走行方向がふらつくようになる。これらの移動を修正する目的で蛇行修正装置7を設けている。
【0030】
拡幅装置8は、しわ取りロール35と、次工程にウエブを送り込む搬送ロール36とから構成されている。しわ取りロール35は、ロール長手方向でロール外周に設けられた多数の棒状ゴム37(図3の斜線部)が、ロールの1回転毎にロール長手方向に伸び縮みを繰り返すように構成されている。棒状ゴム37の縮み部分から伸びの部分にかけてロール外周に沿ってウエブ19をロールに乗せると、棒状ゴム37とウエブ19との摩擦によりウエブ19のしわが取れる構成となっている。具体的には図3に示すように、ロール外周に設けられている棒状ゴム37を固定具38で固定し、固定具38を回転軸39に対して傾斜をもたせて取り付けている。拡幅装置8では、仮に、張力がかかった状態のウエブ19のしわを伸ばしても、一旦伸びたしわは、しわ取りロール30をすぎると、元に戻ってしまう。そのため、たるみ発生部7で自重張力状態となったウエブ19のしわを伸ばし、ウエブ19の特性(伸縮性に優れた特性など)を損なわないようにしている。搬送ロール36は、ウエブ搬送装置の搬送速度の基準として用いている。
【0031】
制御部9は、タッチパネル等の入出力装置、メモリチップやマイクロプロセッサなどを主体とした適当なハードウエア、このハードウエアを動作させるためのコンピュータプログラムを組み込んだハードディスク装置、及び各構成部とデータ通信を行う適当なインターフェイス回路などから構成され、ウエブ搬送装置1が一連の動作を行うための指令信号を各構成部に送るように構成される。なお、この一連の動作の一部をPLC(プログラマブルロジックコントローラ)で行うようにしてもよい。
【0032】
以上説明したウエブ搬送装置1を用いてウエブ19を搬送する手順を、図4のフローチャートを用いて説明する。
【0033】
まず、連続供給装置2にウエブロール13を装着し、ウエブロール13を回転させてウエブ12を送り出す。送り出されたウエブ12は、つなぎ装置3、アキュムレータ装置4、渡り装置5、たるみ発生部6、蛇行修正装置7、拡幅装置8を経由し次工程に受け渡す(ウエブ通しする)。この際、送り込みロール18、オーバーフィードロール27、搬送ロール36は停止状態である(ステップST01)。
【0034】
次に、送り込みロール18、オーバーフィードロール27、搬送ロール36を一斉に加速し生産速度に到達させる(各ロール一斉加速)。例えば、生産速度は、拡幅装置8の搬送ロール36から送り出されるウエブの搬送速度を90m/minとしたとき、渡り装置5からウエブ19を送り出すオーバーフィードロール27は、100m/minで運転される。つなぎ装置3の送り込みロール18は、予め設定された加速レートで加速され、所定の速度(生産速度よりもウエブ19の伸びだけ低い速度。例えば、オーバーフィードロール27が100m/minのとき、95m/minに設定する速度)に到達すると、アキュムレータ装置4の張力検出器23の信号に基づいてウエブ19の張力が一定になるように速度を制御する。送り込みロール18とオーバーフィードロール27の間では、アキュムレータ装置4の内部をウエブ19が走行することによる伸び(上記例では、約5m/min)が生じることになる(ステップST02)。
【0035】
次に、一旦、伸びが生じたウエブ19が、オーバーフィードロール27から搬送ロールの36の速度よりも速い速度で送り出され、たるみ発生部6でたるまされて、元の状態に戻り、蛇行修正装置7、拡幅装置8を経て搬送ロール36から次工程に供給され定常運転が続行される(ステップST03)。
【0036】
次に、ウエブロール13の旧ウエブが消費され、旧ウエブ12の巻かれたウエブロール13の巻径が設定値より小さくなると、旧ウエブ12と新ウエブ10の切り換え指令が出力される。切り換え指令が出力されるまでは定常運転が続行される(ステップST04)。
【0037】
切り換えは、つなぎ装置3の送り込みロール18の減速から行われる。送り込みロール18の減速とともに、アキュムレータ装置4の昇降ガイドロール20を下降させる。さらに、送り込みロール18が減速停止し、アキュムレータ装置4にウエブ19の供給が停止する。ウエブ19の供給が停止しても、アキュムレータ装置4の出力側は、昇降ガイドロール20を下降させることで、一定速度でウエブ19を所定時間Tだけ搬出し続ける(ステップST05)。
【0038】
所定時間Tの間に、つなぎ装置3では、停止している旧ウエブ12と、新ウエブ10を切断貼付ユニット16で切断及びテープ貼付を行い、つなぎ合わせる(ステップST06)。
【0039】
つなぎ合わせが完了すると、ウエブロール11から新ウエブ10が供給されるようになる。つなぎ合わせ装置3の送り込みロール18を定常運転速度Vs(例えば、95m/min)よりも数%〜数十%高い速度Vhまで加速し、その後、アキュムレータ装置4の昇降ガイドロール20を上昇させる(ステップST07)。
【0040】
速度Vhをしばらく持続した後、送り込みロール18を定常運転速度Vsに減速する。その後、アキュムレータ装置4の応答遅れを考慮しながら、張力検出器23の信号に基づいて送り込みロール18の速度制御を開始する。アキュムレータ装置4は、つなぎ合わせ装置3からのウエブ19の供給が停止した間、昇降ガイドロール20を下降させて蓄えているウエブ19の搬送量を調整している。つなぎ合わせ装置4からのウエブ19の供給が再開されると、停止している間に消費したウエブ19を供給しながら昇降ガイドロール20を上昇させないと、アキュムレータ装置4のウエブ19の貯蔵量が補われない。そのため、つなぎ合わせ装置3の送り込みロール18は、所定時間だけ定常運転速度Vsよりも数%〜数十%高い速度Vhで運転するようにしている(ステップST08)。
【0041】
次に、連続供給装置2のターレット装置14を旋回させ、旧ウエブ12を交換し、次のウエブ切り換えに備える。
【0042】
次に、生産続行する場合(ステップST09)はステップST03に戻り、定常運転を続行する。生産終了する場合は、各ロールを減速停止し停機する(ステップST10)。
【0043】
なお、ステップST04からステップST08のウエブ19切り換えにともなう、アキュムレータ装置4、つなぎ装置3、連続供給装置2の動作中に於いても、ウエブ19をたるみ発生部6でたるませて、切り換えにともなう張力の発生で伸びてしまったウエブ19を元に戻した後、蛇行修正装置30、拡幅装置35を用いてしわの発生および素材の特性の変化を防止する。
【0044】
このように、オーバーフィードロール27から送り出されるウエブ19を搬送ロール36との間でたるませる工程を有しているので、オーバーフィードロール27の前工程で張力がかかり伸びてしまっても、オーバーフィードロール27から送り出されるウエブ19は伸びが元に戻る。さらに、たるまされたウエブ19を拡幅装置8に沿って走行させて、ウエブ19に発生したしわを伸ばす工程を有しているので、たるむことにより発生したウエブ19のしわを取ることができる。さらに、しわが伸ばされたウエブ19を搬送ロール36から搬送速度で次工程に送り出す工程を有しているので、伸びとしわのないウエブ19を従来の搬送速度よりも高速で搬送することができる。
【0045】
また、オーバーフィードロール27から送り出され、たるまされたウエブ19の走行方向を修正する工程を有しているので、前工程の張力変動により発生したウエブ19の蛇行を修正して搬送することが出来る。
【符号の説明】
【0046】
1 ウエブ搬送装置
2 連続供給装置
3 つなぎ装置
4 アキュムレータ装置
5 渡り装置
6 たるみ発生部
7 蛇行修正装置
8 拡幅装置
9 制御部
10 新ウエブ
11 ウエブロール
12 旧ウエブ
13 ウエブロール
14 ターレット装置
15 切断作業台
16 切断貼付ユニット
17 ロール
18 送り込みロール
19 ウエブ
20 昇降ガイドロール
21 固定ガイドロール
23 張力検出器
26 送りロール
27 オーバーフィードロール
30 蛇行修正ロール
31 ゴム板
32 ガイド板
33 幅検知器
35 しわ取りロール
36 搬送ロール
37 ゴムコード
38 固定具
39 回転軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
伸縮性のあるウエブを連続的に搬送するウエブ搬送方法であって、
ウエブの搬送量を調整するアキュムレータ装置と、
アキュムレータ装置から排出されたウエブを送り出すオーバーフィードロールと、
オーバーフィードロールから送り出されたウエブのしわを伸ばす拡幅ロールと、
拡幅ロールから送り出されたウエブを次工程に搬送する搬送ロールと、を備え、
搬送ロールの速度を搬送速度とし、
オーバーフィードロールによるウエブの送り速度を、搬送ロールの搬送速度よりも速く設定し、オーバーフィードロールから送り出されるウエブを搬送ロールとの間でたるませる工程と、
たるまされたウエブを拡幅ロールに沿って走行させて、ウエブに発生したしわを伸ばす工程と、
しわが伸ばされたウエブを搬送ロールから搬送速度で次工程に送り出す工程とを有するウエブ搬送方法。
【請求項2】
請求項1に記載の発明において、
オーバーフィードロールと拡幅ロールとの間に、ウエブの走行方向を修正する蛇行修正ロールを備え、
オーバーフィードロールから送り出され、たるまされたウエブの走行方向を蛇行修正する工程を有するウエブ搬送方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の発明において、
ウエブがニット素材からなるウエブ搬送方法。
【請求項4】
伸縮性のあるウエブを連続的に搬送するウエブ搬送装置であって、
ウエブの搬送量を調整するアキュムレータ装置と、
アキュムレータ装置から排出されたウエブを送り出すオーバーフィードロールと、
オーバーフィードロールから送り出されたウエブのしわを伸ばす拡幅ロールと、
拡幅ロールから送り出されたウエブを次工程に搬送する搬送ロールと、を備え、
搬送ロールの速度を搬送速度とし、
アキュムレータ装置を経由することによりウエブが伸ばされた伸び量を、オーバーフィードロールと拡幅ロールとの間にウエブのたるみを持たせることにより伸びを元に戻す機能を有したウエブ搬送装置。
【請求項5】
請求項4に記載の発明において、
オーバーフィードロールと拡幅ロールとの間に、ウエブの走行方向を修正する蛇行修正ロールを備えているウエブ搬送装置。
【請求項6】
請求項4または5に記載の発明において、
ウエブがニット素材からなるウエブ搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−126607(P2011−126607A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−283733(P2009−283733)
【出願日】平成21年12月15日(2009.12.15)
【出願人】(000219314)東レエンジニアリング株式会社 (505)
【Fターム(参考)】