説明

ウォーターサーバーおよびウォーターサーバー用空気殺菌チャンバ

【課題】ウォーターサーバーの飲料水に触れる空気を効果的に殺菌する。
【解決手段】空気入口24および空気出口25を有するケース26と、ケース26内に形成された空気室27と、空気室27中の酸素をオゾンに変えるオゾン発生体30と、空気室27よりも上方に配置された入口側オゾン分解フィルタ32を介して空気入口24と空気室27の間を連通する空気流入路28と、空気室27よりも上方に配置された出口側オゾン分解フィルタ33を介して空気室27と空気出口25の間を連通する空気流出路29とを有する構成の空気殺菌チャンバ23を採用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ミネラルウォーター等の飲料水が充填された水ボトルから飲料水を供給するウォーターサーバーに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、オフィスや病院などでは、ウォーターサーバーを設置することが多い。一般に、ウォーターサーバーは、着脱可能にセットされた水ボトル内の飲料水の一部を、ウォーターサーバーに内蔵された冷水タンクに受け入れ、その冷水タンク内で冷却した飲料水を紙コップ等に注出して使用する。
【0003】
ところで、ウォーターサーバーから飲料水を注出すると、ウォーターサーバーに内蔵された冷水タンク内の水位が下がり、その水位の低下に応じて外部から冷水タンク内に空気が入る。このとき、空気と一緒に細菌が入ると、冷水タンク内の飲料水に細菌が混入するおそれがあり、衛生上好ましくない。そこで、冷水タンク内の飲料水を衛生的に保つために、本願発明の発明者は、特許文献1に記載のウォーターサーバーを提案している。
【0004】
特許文献1のウォーターサーバーは、飲料水を収容して冷却する冷水タンクと、冷水タンクから飲料水を注出する冷水注出管と、冷水タンク内の水位の低下に応じて空気を冷水タンク内に導入する空気導入管とを有し、空気導入管には、空気をオゾンで殺菌する空気殺菌チャンバが接続されている。
【0005】
そして、図5に示すように、特許文献1に記載された空気殺菌チャンバ40は、ケース41内を隔壁42で上下に区切って形成された複数段の空気室43を有する。最下段の空気室43には、外部の空気をケース41内に流入させる空気入口44が設けられている。最上段の空気室43には、空気中の酸素をオゾンに変えるオゾン発生体45と、ケース41内の空気を外部に流出させる空気出口46が設けられている。空気室43を上下に仕切る各隔壁42は交互に傾斜しており、各隔壁42の傾斜に沿って下がった部分42aには、上側の空気室43と下側の空気室43の間を連通する微小な通気孔47が形成されている。ケース41内のオゾンが外部に流出するのを防止するため、空気入口44には活性炭フィルタ48が設けられ、空気出口46にも活性炭フィルタ49が設けられている。
【0006】
この空気殺菌チャンバ40を使用すると、最上段の空気室43にあるオゾン発生体45で発生したオゾンは、空気よりも比重が大きいので、その比重差によってケース41内を下降する。一方、最下段の空気室43にある空気入口44からケース41内に流入した空気は、ケース41内を上昇して、最上段の空気室43にある空気出口46から外部に流出する。ここで、空気入口44からケース41内に流入した空気は、ケース41内を上昇しながらオゾンの下降流と接触することにより殺菌され、クリーンな状態でケース41から流出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許4317259号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、特許文献1に記載の空気殺菌チャンバ40は、最下段の空気室43に活性炭フィルタ48が配置されているので、オゾン発生体45で発生したオゾンが空気との比重差によってケース41内を下降した後、活性炭フィルタ48に接触して次々に分解されてしまう。そのため、ケース41内のオゾン濃度を高めることが難しく、ケース41内を通過する空気を十分に殺菌できない可能性がある。
【0009】
また、特許文献1に記載の空気殺菌チャンバ40は、活性炭フィルタ49が最上段の空気室43に面して配置されているので、最上段の空気室43内のオゾンが活性炭フィルタ49に接触して分解され、ケース41の内外の空気の移動がないとき(ウォーターサーバーから飲料水を注出していないとき)でも、最上段の空気室43内のオゾン濃度が低下する問題があった。
【0010】
この発明が解決しようとする課題は、ウォーターサーバーの飲料水に触れる空気を効果的に殺菌することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、飲料水を収容する水タンクから飲料水を注出する水注出管と、前記水タンク内の水位の低下に応じて空気を水タンク内に導入する空気導入管とを有し、その空気導入管に空気をオゾンで殺菌する空気殺菌チャンバを接続したウォーターサーバーにおいて、前記空気殺菌チャンバが、空気入口および空気出口を有するケースと、そのケース内に形成された空気室と、その空気室中の酸素をオゾンに変えるオゾン発生体と、前記空気室よりも上方に配置された入口側オゾン分解フィルタを介して前記空気入口と前記空気室の間を連通する空気流入路と、前記空気室よりも上方に配置された出口側オゾン分解フィルタを介して前記空気室と前記空気出口の間を連通する空気流出路とを有する構成を採用した。
【0012】
このようにすると、入口側オゾン分解フィルタと出口側オゾン分解フィルタが空気室よりも上方に配置されているので、空気室内のオゾン発生体で発生したオゾンは、空気との比重差によってケース内を下降したときに、入口側オゾン分解フィルタや出口側オゾン分解フィルタと接触しない。その結果、オゾン発生体で発生したオゾンがケース内に無駄なく溜まり、ケース内のオゾン濃度が効率的に高まるので、ケース内を通過する空気を効果的に殺菌することが可能となる。
【0013】
前記空気流入路は、空気室と入口側オゾン分解フィルタの間の経路が入口側オゾン分解フィルタよりも上方を通るように形成し、前記空気流出路は、空気室と出口側オゾン分解フィルタの間の経路が出口側オゾン分解フィルタよりも上方を通るように形成すると好ましい。このようにすると、空気室から入口側オゾン分解フィルタに至る経路が高い位置を通るので、空気よりも比重が大きいオゾンは、空気室から入口側オゾン分解フィルタに到達しにくくなる。同様に、空気室から出口側オゾン分解フィルタに至る経路も高い位置を通るので、空気よりも比重が大きいオゾンは、空気室から出口側オゾン分解フィルタに到達しにくくなる。その結果、ケースの内外の空気の移動がないとき(ウォーターサーバーから飲料水を注出していないとき)に、空気室内のオゾンがオゾン分解フィルタに接触するのを防止することができ、ケース内のオゾン濃度をより効率的に高めることが可能となる。
【0014】
前記空気流入路は、前記入口側オゾン分解フィルタを囲む方形の渦巻路を有する構成とし、前記空気流出路も、前記出口側オゾン分解フィルタを囲む方形の渦巻路を有する構成とすると好ましい。このようにすると、ケース内の狭いスペースに、長さの長い空気流入路と空気流出路を得ることができ、空気室に存在するオゾンが入口側オゾン分解フィルタや出口側オゾン分解フィルタに到達して分解されるのを効果的に防止することができる。
【0015】
また、この発明では、ウォーターサーバー用の空気殺菌チャンバとして、空気入口および空気出口を有するケースと、そのケース内に形成された空気室と、その空気室中の酸素をオゾンに変えるオゾン発生体と、前記空気室よりも上方に配置された入口側オゾン分解フィルタを介して前記空気入口と前記空気室の間を連通する空気流入路と、前記空気室よりも上方に配置された出口側オゾン分解フィルタを介して前記空気室と前記空気出口の間を連通する空気流出路とを有するものを提供する。この空気殺菌チャンバでウォーターサーバーの飲料水に触れる空気を殺菌することにより、細菌が飲料水に混入するのを効果的に防止することが可能となる。
【発明の効果】
【0016】
この発明のウォーターサーバーは、空気殺菌チャンバの入口側オゾン分解フィルタと出口側オゾン分解フィルタが空気室よりも上方に配置されているので、空気室内のオゾン発生体で発生したオゾンが入口側オゾン分解フィルタや出口側オゾン分解フィルタと接触しにくい。そのため、空気殺菌チャンバのケース内のオゾン濃度を効率的に高めることができ、水タンク内の飲料水に触れる空気を効果的に殺菌することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】この発明の実施形態を示すウォーターサーバーの断面図
【図2】図1のII−II線に沿った断面図
【図3】図2のIII−III線に沿った断面図
【図4】図1のウォーターサーバーの他の例を示す一部断面図
【図5】従来のウォーターサーバーの空気殺菌チャンバを示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1に、この発明の実施形態のウォーターサーバー1を示す。ウォーターサーバー1は、筐体2と、筐体2の上部に着脱可能にセットされた水ボトル3内の飲料水の一部を受け入れて冷却する冷水タンク4と、冷水タンク4の下方に配置された温水タンク5とを有する。冷水タンク4と温水タンク5は筐体2の内部に収容されている。
【0019】
水ボトル3は、ウォーターサーバー1のボトル差込口6に差し込まれる首部3Aと、飲料水を収容する胴部3Cと、首部3Aと胴部3Cの間をつなぐ肩部3Bとからなり、内部の飲料水の減少に伴って収縮するように柔軟性を有する。水ボトル3の容量は12リットル程度である。このような水ボトル3は、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂のブロー成形によって形成することができる。水ボトル3の首部3Aには、首部3Aの先端開口を封止するキャップ7が装着されている。
【0020】
筐体2の上面には、水ボトル3の首部3Aを受け入れるボトル差込口6と、ボトル差込口6を囲むように形成された環状の座面8とが設けられている。座面8は、ボトル差込口6に向かって次第に低くなるテーパ状に形成され、水ボトル3の肩部3Bを支持している。また、筐体2の上には、水ボトル3の胴部3Cを囲む筒状に形成された支持枠9が装着されており、この支持枠9で水ボトル3の胴部3Cを支持することにより、柔軟性を有する水ボトル3の姿勢を安定させている。
【0021】
筐体2の上面のボトル差込口6の中には、水ボトル3をボトル差込口6に差し込んだときに、水ボトル3のキャップ7に設けられた通水孔10に突き刺さって水密に嵌合する通水ロッド11が設けられている。通水ロッド11は、冷水タンク4に飲料水を導入する水導入管12に接続されており、水ボトル3内の飲料水が、通水ロッド11と水導入管12を順に通って冷水タンク4に流れ込むようになっている。
【0022】
水導入管12の冷水タンク4側の端部には、フロートバルブ13が設けられている。フロートバルブ13は、冷水タンク4内の飲料水に浮かぶフロート14の昇降に連動して開閉し、冷水タンク4内の水位を一定に保つ。すなわち、冷水タンク4内の水位が予め設定された水位よりも下がったときは、フロート14の下降によってフロートバルブ13が開放し、冷水タンク4内に飲料水が流入する。そして、冷水タンク4内の水位が上昇して予め設定された水位に復帰したときは、フロート14の上昇によってフロートバルブ13が閉鎖し、水タンク内への飲料水の流入が止まるようになっている。
【0023】
冷水タンク4には、冷水タンク4内の飲料水を冷却する冷却装置15が取り付けられており、冷水タンク4内の飲料水を低温(5℃程度)に保つようになっている。冷水タンク4の容量は、水ボトル3の容量よりも小さく、2〜4リットル程度である。冷水タンク4の下部には、冷水タンク4内の飲料水を外部に注出する冷水注出管16が接続されている。冷水注出管16には、筐体2の外部から操作可能な冷水コック17が設けられ、この冷水コック17を開くことによって冷水タンク4から低温の飲料水を注出できるようになっている。
【0024】
温水タンク5には、温水タンク5内の飲料水を加熱する加熱装置18が取り付けられており、温水タンク5内の飲料水を高温(90℃程度)に保つようになっている。温水タンク5の容量は1〜2リットル程度である。温水タンク5の上部には、温水タンク5内の飲料水を外部に注出する温水注出管19が接続されている。温水注出管19には、筐体2の外部から操作可能な温水コック20が設けられ、この温水コック20を開くことによって温水タンク5から高温の飲料水を注出できるようになっている。
【0025】
冷水タンク4と温水タンク5は、タンク接続管21を介して接続されており、温水タンク5から飲料水を注出したときに、冷水タンク4内の飲料水が、タンク接続管21を通って温水タンク5に流入するようになっている。ここで、冷水タンク4の冷却装置15で冷却された低温の飲料水が、タンク接続管21を通って温水タンク5に流入するのを防止するため、タンク接続管21の上端は冷水タンク4の冷却装置15よりも上方で開口している。また、温水タンク5の加熱装置18で加熱された高温の飲料水が、タンク接続管21を通って冷水タンク4に流入するのを防止するため、タンク接続管21の下端は温水タンク5の加熱装置18よりも下方で開口している。
【0026】
ところで、冷水タンク4から低温の飲料水を注出したとき、冷水タンク4内の水位が一時的に下がる。温水タンク5から高温の飲料水を注出したときも、タンク接続管21を通って冷水タンク4から温水タンク5に飲料水が流れるので、冷水タンク4内の水位が一時的に下がる。また、ウォーターサーバー1にセットした水ボトル3が空になったときも、冷水タンク4内の飲料水の残量低下に伴って冷水タンク4内の水位が下がる。
【0027】
このように冷水タンク4内の水位が下がるときに、冷水タンク4内に空気を導入する空気導入管22が冷水タンク4の上部に接続されている。空気導入管22は、冷水タンク4内の水位の低下に応じて冷水タンク4内に空気を導入することにより、冷水タンク4内を大気圧に保つ。空気導入管22には、空気と一緒に細菌が侵入するのを防止するために、空気をオゾンで殺菌する空気殺菌チャンバ23が接続されている。
【0028】
図2に示すように、空気殺菌チャンバ23は、空気入口24および空気出口25を有するケース26と、ケース26内に形成された空気室27と、空気入口24と空気室27の間を連通する空気流入路28と、空気出口25と空気室27の間を連通する空気流出路29とを有する。
【0029】
ケース26は、上下に長い中空の箱体である。空気入口24はケース26の上部側面に配置され、外部に開放している。空気出口25はケース26の上面に配置され、空気導入管22に接続されている。空気室27、空気流入路28、空気流出路29は、ケース26の内部を隔壁で仕切ることにより形成されている。空気入口24は、ケース26の上面に配置することも可能であるが、図に示すように、ケース26の側面に配置すると、水やほこり等の異物が空気入口24に侵入するのを防止することができる。
【0030】
空気室27内には、空気室27中の酸素をオゾンに変えるオゾン発生体30が設けられている。オゾン発生体30としては、例えば、空気中の酸素に紫外線を照射して酸素をオゾンに変化させる低圧水銀灯や、絶縁体で覆われた対向一対の電極間に交流電圧を負荷して電極間の酸素をオゾンに変化させる無声放電装置などを使用することができる。ケース26には、オゾン発生体30の作動を制御する制御基板31が組み込まれており、この制御基板31でオゾン発生体30を間欠的に作動させることによって空気室27内のオゾン濃度を所定の範囲に保つようになっている。オゾン発生体30で発生したオゾンは、空気よりも比重が大きい(空気の約1.8倍)ので、その比重差によって空気室27の下部に溜まる。
【0031】
空気流入路28には、ケース26内のオゾンが外部に流出するのを防止するため、入口側オゾン分解フィルタ32が設けられている。入口側オゾン分解フィルタ32は、入口側オゾン分解フィルタ32を通過する空気中のオゾンを酸素に分解する。このようなフィルタとして、例えば活性炭フィルタや、ハニカム状のアルミ基材にオゾンを分解する触媒(二酸化マンガン等)を担持したフィルタを使用することができる。空気流出路29にも、入口側オゾン分解フィルタ32と同様の構成の出口側オゾン分解フィルタ33が設けられている。
【0032】
入口側オゾン分解フィルタ32は、空気室27よりも上方に組み込まれている。空気流入路28は、この入口側オゾン分解フィルタ32を囲む方形の渦巻路34と、渦巻路34からケース26の側面と底面に沿って空気室27の下部に至る連通路35とを有する。渦巻路34は、時計回りと反時計回りの一方の回り方向(図では時計回り)に沿って入口側オゾン分解フィルタ32に入ってくる経路34Aと、他方の回り方向(図では反時計回り)に沿って入口側オゾン分解フィルタ32から出ていく経路34Bとからなり、前者の経路34Aの上流側が空気入口24に接続し、後者の経路34Bの下流側が連通路35に接続している。ここで、空気流入路28の空気室27と入口側オゾン分解フィルタ32の間の経路(この実施形態では、渦巻路34の入口側オゾン分解フィルタ32から出ていく経路34B)は、入口側オゾン分解フィルタ32よりも上方を通っている。
【0033】
図2、図3に示すように、空気室27の下面には、空気室27と空気流入路28の間を連通する微小な通気孔36が複数形成されている。通気孔36から空気室27に流入した空気は、空気室27内のオゾンと接触しながら上昇する。ここで、オゾンと接触した空気は、オゾンの殺菌作用によってクリーンな状態となる。微小な通気孔36は、空気室27に流入する空気の表面積を拡大して、空気とオゾンの接触面積を大きくする効果がある。空気室27内でオゾンと接触した空気は、空気室27の上面に開口する空気流出路29を通って空気室27から流出する。
【0034】
図2に示すように、空気流出路29は、空気室27よりも上方に組み込まれた出口側オゾン分解フィルタ33を囲む方形の渦巻路37を有する。渦巻路37は、時計回りと反時計回りの一方の回り方向(図では時計回り)に沿って出口側オゾン分解フィルタ33に入ってくる経路37Aと、他方の回り方向(図では反時計回り)に沿って出口側オゾン分解フィルタ33から出ていく経路37Bとからなり、前者の経路37Aの上流側が空気室27に接続し、後者の経路37Bの下流側が空気出口25に接続している。ここで、空気流出路29の空気室27と出口側オゾン分解フィルタ33の間の経路(この実施形態では、渦巻路37の出口側オゾン分解フィルタ33に入ってくる経路37A)は、出口側オゾン分解フィルタ33よりも上方を通っている。
【0035】
ケース26は、オゾンで腐食するのを防止するため、耐オゾン性樹脂で形成されている。耐オゾン性樹脂としては、例えば、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(いわゆるPFA樹脂)や、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(いわゆるFEP樹脂)などのフッ素樹脂が挙げられる。
【0036】
このウォーターサーバー1を使用すると、空気殺菌チャンバ23の入口側オゾン分解フィルタ32と出口側オゾン分解フィルタ33が、空気室27よりも上方に配置されているので、空気室27内のオゾン発生体30で発生したオゾンは、空気との比重差によってケース26内を下降したときに、入口側オゾン分解フィルタ32や出口側オゾン分解フィルタ33と接触しない。その結果、オゾン発生体30で発生したオゾンがケース26内に無駄なく溜まり、ケース26内のオゾン濃度が効率的に高まるので、ケース26内を通過する空気が効果的に殺菌され、冷水タンク4内の飲料水に触れる空気を効果的に殺菌することができる。
【0037】
また、空気流入路28の空気室27と入口側オゾン分解フィルタ32の間の経路(すなわち、渦巻路34の入口側オゾン分解フィルタ32から出ていく経路34B)が、入口側オゾン分解フィルタ32よりも上方の高い位置を通っているので、空気よりも比重が大きいオゾンは、空気室27から入口側オゾン分解フィルタ32に到達しにくい。同様に、空気流出路29の空気室27と出口側オゾン分解フィルタ33の間の経路(すなわち、渦巻路37の出口側オゾン分解フィルタ33に入ってくる経路37A)も、出口側オゾン分解フィルタ33よりも上方の高い位置を通っているので、空気よりも比重が大きいオゾンは、空気室27から出口側オゾン分解フィルタ33に到達しにくい。その結果、ケース26の内外の空気の移動がないとき(例えば、ウォーターサーバー1から飲料水を注出していないとき)に、空気室27内のオゾンがオゾン分解フィルタ32,33に接触するのを防止することができ、ケース26内のオゾン濃度を効率的に高めることが可能である。
【0038】
また、空気流入路28が入口側オゾン分解フィルタ32を囲む方形の渦巻路34を有し、空気流出路29も出口側オゾン分解フィルタ33を囲む方形の渦巻路37を有するので、ケース26内の狭いスペースに、長さの長い空気流入路28と空気流出路29を得ることができ、空気室27に存在するオゾンが入口側オゾン分解フィルタ32や出口側オゾン分解フィルタ33に到達して分解されるのを効果的に防止することができる。
【0039】
上記実施形態では、飲料水の減少に伴って収縮する水ボトル3を使用するウォーターサーバー1を例に挙げて説明したが、この発明は、図4に示すように、飲料水の減少にかかわらず形状が変わらない硬質の水ボトル3をセットして使用するウォーターサーバーにも適用することができる。
【0040】
図4において、水導入管12の冷水タンク4側の端部は、上記実施形態のようなフロートバルブ13が無く、冷水タンク4内で下方に開口しており、水ボトル3の内部の圧力と冷水タンク4内の水面に作用する大気圧との釣り合いにより、冷水タンク4内の水位を一定に保つようになっている。すなわち、冷水タンク4内の水位が、水導入管12の冷水タンク4側の端部よりも下がったときは、水導入管12から冷水タンク4内に飲料水が流入するとともに、冷水タンク4内の空気が水導入管12を通って水ボトル3内に取り込まれる。そして、冷水タンク4内の水位が上昇して水導入管12の冷水タンク4側の端部に達したときは、水ボトル3の内部の圧力と冷水タンク4内の水面に作用する大気圧とが釣り合うことにより、水導入管12から冷水タンク4内への飲料水の流入が止まるようになっている。
【0041】
また、この発明は、水ボトル3内の水位の低下に応じて空気を水ボトル3内に導入する空気導入管を通水ロッド11から分岐して設け、その空気導入管に空気殺菌チャンバ23を接続したウォーターサーバーにも適用することができる。このようにしても、水ボトル3内の飲料水に触れる空気を空気殺菌チャンバ23で殺菌し、水ボトル3内に細菌が混入するのを効果的に防止することが可能となる。
【符号の説明】
【0042】
1 ウォーターサーバー
4 冷水タンク
16 冷水注出管
22 空気導入管
23 空気殺菌チャンバ
24 空気入口
25 空気出口
26 ケース
27 空気室
28 空気流入路
29 空気流出路
30 オゾン発生体
32 入口側オゾン分解フィルタ
33 出口側オゾン分解フィルタ
34 渦巻路
37 渦巻路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲料水を収容する水タンク(4)から飲料水を注出する水注出管(16)と、前記水タンク(4)内の水位の低下に応じて空気を水タンク(4)内に導入する空気導入管(22)とを有し、その空気導入管(22)に空気をオゾンで殺菌する空気殺菌チャンバ(23)を接続したウォーターサーバーにおいて、
前記空気殺菌チャンバ(23)が、空気入口(24)および空気出口(25)を有するケース(26)と、そのケース(26)内に形成された空気室(27)と、その空気室(27)中の酸素をオゾンに変えるオゾン発生体(30)と、前記空気室(27)よりも上方に配置された入口側オゾン分解フィルタ(32)を介して前記空気入口(24)と前記空気室(27)の間を連通する空気流入路(28)と、前記空気室(27)よりも上方に配置された出口側オゾン分解フィルタ(33)を介して前記空気室(27)と前記空気出口(25)の間を連通する空気流出路(29)とを有することを特徴とするウォーターサーバー。
【請求項2】
前記空気流入路(28)は、空気室(27)と入口側オゾン分解フィルタ(32)の間の経路(34B)が入口側オゾン分解フィルタ(32)よりも上方を通るように形成され、前記空気流出路(29)は、空気室(27)と出口側オゾン分解フィルタ(33)の間の経路(37A)が出口側オゾン分解フィルタ(33)よりも上方を通るように形成されている請求項1に記載のウォーターサーバー。
【請求項3】
前記空気流入路(28)は、前記入口側オゾン分解フィルタ(32)を囲む方形の渦巻路(34)を有し、前記空気流出路(29)も、前記出口側オゾン分解フィルタ(33)を囲む方形の渦巻路(37)を有する請求項1または2に記載のウォーターサーバー。
【請求項4】
空気入口(24)および空気出口(25)を有するケース(26)と、そのケース(26)内に形成された空気室(27)と、その空気室(27)中の酸素をオゾンに変えるオゾン発生体(30)と、前記空気室(27)よりも上方に配置された入口側オゾン分解フィルタ(32)を介して前記空気入口(24)と前記空気室(27)の間を連通する空気流入路(28)と、前記空気室(27)よりも上方に配置された出口側オゾン分解フィルタ(33)を介して前記空気室(27)と前記空気出口(25)の間を連通する空気流出路(29)とを有するウォーターサーバー用空気殺菌チャンバ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−18500(P2013−18500A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−151481(P2011−151481)
【出願日】平成23年7月8日(2011.7.8)
【出願人】(397077807)株式会社コスモライフ (15)
【Fターム(参考)】