説明

ウレタンシステムのための流動用添加剤

【課題】2−コンポーネント型ウレタンシステムの流動性を向上させる方法を提供する。
【解決手段】ヒドロキシ官能性アクリルポリマーを添加することにより、2−コンポーネント型ウレタンシステムの流動性を向上させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概して、基体上にコーティングされて接着剤の実質的に均一なコーティングを生じさせることができるウレタンシステムのための流動用添加剤(flow additive)に関する。
【背景技術】
【0002】
2−コンポーネント(2−component)型ウレタンシステムのための流動用添加剤はよく知られている。例えば、モダフロー(MODAFLOW)流動用添加剤はこの目的のために使用されており、かつ(メタ)アクリル酸およびアルキルエステルの重合残基のみを含むことが知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、改良された特性を有する代替的な流動用添加剤についての必要性が存在している。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、ヒドロキシ官能性アクリルポリマーを添加することにより、2−コンポーネント型ウレタンシステムの流動性を向上させる方法に関する。
【発明を実施するための形態】
【0005】
他に示されない限りは、全てのパーセンテージは重量パーセンテージであり、全ての温度は℃単位である。モノマー残基のパーセンテージは固形分基準であり、すなわち溶媒を除く。「ヒドロキシ官能性アクリルポリマー」は、ポリマー鎖あたり少なくとも1つのヒドロキシル基を有するポリマーであり、そこではヒドロキシル基は脂肪族炭素原子に結合されており、かつこのポリマーはアクリルモノマー、例えば、(メタ)アクリル酸、アルキルおよび/またはヒドロキシアルキル(メタ)アクリラートの重合されたモノマー残基を少なくとも60重量%、好ましくは少なくとも70重量%、好ましくは少なくとも80重量%、好ましくは少なくとも90重量%、好ましくは少なくとも95重量%含む。「(メタ)アクリル」とは、アクリルもしくはメタクリルをいう。ヒドロキシ官能性アクリルポリマーは上記のもの以外のモノマー、例えば、スチレン、ビニルエステル、(メタ)アクリルアミドなどの重合残基を含んでいても良い。「フタル酸」とはベンゼン−1,2−ジカルボン酸をいう。フタル酸の重合残基は、ヒドロキシ末端ポリエステルポリオールの製造においてフタル酸または無水フタル酸を出発材料として使用した結果物であり得る。「脂肪族酸」は芳香環を有さないジカルボン酸、例えば、アジピン酸、アゼライン酸、グルタル酸およびコハク酸である。「トルエンジイソシアナート」とは、この名称で販売されている市販の製品をいい、これは主として2,4−異性体であり、少量の2,6−異性体およびおそらくは他の異性体を含んでいる。
【0006】
好ましくは、ヒドロキシ官能性アクリルポリマーは5,000〜70,000のMを有し、好ましくは、Mは少なくとも6,000、好ましくは少なくとも7,000、好ましくは少なくとも8,000であり;好ましくは、Mは60,000以下、好ましくは50,000以下、好ましくは40,000以下、好ましくは30,000以下、好ましくは20,000以下、好ましくは15,000以下である。好ましくは、ヒドロキシル含有モノマーはこのアクリルポリマーの10〜50モル%、好ましくは少なくとも12モル%、好ましくは少なくとも15モル%;好ましくは30モル%以下、好ましくは25モル%以下である。好ましくは、ヒドロキシル含有モノマーは(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル、好ましくは、(メタ)アクリル酸C−Cヒドロキシアルキル、好ましくは(メタ)アクリル酸C−Cヒドロキシアルキル、好ましくは(メタ)アクリル酸C−Cヒドロキシアルキルである。好ましくは、ウレタンシステムの一緒にされたコンポーネントにおけるヒドロキシ官能性アクリルポリマーの量は0.01〜5重量%、好ましくは少なくとも0.1重量%、好ましくは少なくとも0.3重量%、好ましくは少なくとも0.5重量%;好ましくは3重量%以下、好ましくは2重量%以下、好ましくは1.5重量%以下、好ましくは1重量%以下である。
【0007】
好ましくは、2−コンポーネント型ウレタンシステムは(a)ヒドロキシ末端ポリエステルポリオール;並びに(b)ジフェニルメタンジイソシアナートおよびトルエンジイソシアナートの少なくとも1種と、グリコールまたはポリオールとの重合残基を含むイソシアナート末端プレポリマーを含む。好ましくは、グリコールまたはポリオールは90〜1000のMを有する。好ましくは、ヒドロキシ末端ポリエステルポリオールは(i)フタル酸と、(ii)60〜150のMを有する脂肪族ジオールとの重合残基を含み、このヒドロキシ末端ポリエステルポリオールは15〜60mgKOH/gのヒドロキシル価を有する。好ましくは、ヒドロキシ末端ポリエステルポリオールは脂肪族酸の重合残基を15重量%を超えて有さない。
【0008】
好ましくは、ヒドロキシ末端ポリエステルポリオールはフタル酸と脂肪族ジオールとの重合およびエステル化残基を含み、それは他の二酸およびジオールも含むことができる。好ましくは、ヒドロキシ末端ポリエステルポリオールは脂肪族酸の重合残基を10重量%を超えて有さず、好ましくは5重量%を超えて有さず、好ましくは3重量%を超えて有さない。脂肪族ジオールは、α,ω−ジヒドロキシアルカン、またはエチレンもしくはプロピレングリコールオリゴマーでありうる。好ましい脂肪族ジオールには、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、およびトリエチレングリコールが挙げられる。特に好ましい脂肪族ジオールには、ジエチレングリコールおよび1,6−ヘキサンジオールが挙げられる。好ましくは、脂肪族ジオールは90〜150、好ましくは90〜130、好ましくは100〜125のMを有する。ヒドロキシ末端ポリエステルポリオールはヒドロキシ末端ポリエステルであって、好ましくは15〜55mgKOH/g、好ましくは20〜50mgKOH/g、好ましくは22〜35mgKOH/gのヒドロキシル価を有する。好ましくは、ヒドロキシ末端ポリエステルポリオールはフタル酸の重合残基を40%〜75%、好ましくは少なくとも45%、好ましくは少なくとも48%、好ましくは少なくとも50%、好ましくは少なくとも52%;好ましくは70%以下、好ましくは65%以下、好ましくは63%以下、好ましくは61%以下、好ましくは59%以下含む。フタル酸の他の異性体(例えば、イソフタル酸またはテレフタル酸)も、ヒドロキシ末端ポリエステルポリオールを製造するために使用されうるが、好ましくはこれらの他の異性体は二酸の全重量の20重量%以下、好ましくは15重量%以下、好ましくは10重量%以下、好ましくは7重量%以下、好ましくは5重量%以下である。好ましくは、ヒドロキシ末端ポリエステルポリオールは60〜150のMを有する脂肪族ジオールの重合残基を25%〜60%、好ましくは少なくとも30%、好ましくは少なくとも35%、好ましくは少なくとも37%、好ましくは少なくとも39%;好ましくは55%以下、好ましくは52%以下、好ましくは50%以下、好ましくは48%以下含む。分岐を増やすために、ペンタエリスリトールのような3つを超えるヒドロキシル基を有する化合物の残基の少量が存在していてよい。好ましくは、3つを超えるヒドロキシル基を有する化合物の残基の量は、ジオールの全量の5%以下、好ましくは2%以下、好ましくは1%以下、好ましくは0.5%以下、好ましくは0.2%以下、好ましくは0.1%以下である。適するトリオールには、例えば、グリセロール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパンおよびひまし油が挙げられる。添加されるジオール、トリオールおよびテトラオールの量はカルボキシル官能基の全てと反応し、結果的に15〜60mgKOH/gのヒドロキシル価を有するポリオールを生じさせるのに充分な量である。この量は他の材料の量から容易に計算されうる。
【0009】
好ましくは、ヒドロキシ末端ポリエステルポリオールは、無水フタル酸(または、フタル酸)を150℃〜260℃の温度で脂肪族ジオールと反応させる工程によって製造される。好ましくは、この反応温度は150℃〜240℃、好ましくは170℃〜235℃、好ましくは180℃〜230℃である。好ましくは、反応圧力はほぼ大気圧(約100kPa)であるが、エステル化反応において形成される水を除去するのを助けるために低減された圧力が使用されても良い。好ましくは、反応混合物は最初に約100〜130℃に加熱され、次いで、水を除去するために示された反応温度まで加熱される。当然ながら反応時間は他の条件に伴って変動するであろうし、そして当業者によって容易に決定されることができるが、典型的には5時間〜30時間、好ましくは12時間〜25時間の範囲である。好ましくは、エステル化/エステル交換触媒は0.2重量%以下、好ましくは0.05重量%以下の量で存在する。これら触媒は当該技術分野において周知であり、そしてスズ、チタン、ビスマスおよびジルコニウム触媒が挙げられる。スズ触媒が好ましく、特に、アルキルスズトリス−アルカノアート、およびヒドロキシブチルスズオキシドが好ましいが、チタナート、例えば、テトラ−アルコキシチタナートまたはビスマスアルカノアートまたはこれらの混合物が使用されても良い。
【0010】
好ましくは、イソシアナート末端プレポリマーに組み込まれる、90〜1000のMを有するグリコールまたはポリオールは、分子あたり2または3つのヒドロキシル基を有する。好ましくは、このグリコールまたはポリオールは150〜800,好ましくは少なくとも250、好ましくは少なくとも300;好ましくは700以下、好ましくは600以下のMを有する。好ましくは、このポリオールはポリエーテルまたはポリエステルポリオール、好ましくはポリエーテルポリオールである。好ましくは、イソシアナート末端プレポリマーは(i)MDIおよびTDIの少なくとも1種を50〜85重量%と、(ii)90〜1000のMを有するグリコールまたはポリオールを15〜50重量%との;好ましくはMDI/TDIを少なくとも55重量%とグリコールまたはポリオールを45重量%以下との;好ましくはMDI/TDIを少なくとも60重量%とグリコールまたはポリオールを40重量%以下との;好ましくはMDI/TDIを少なくとも65重量%とグリコールまたはポリオールを35重量%以下との;好ましくはMDI/TDIを80重量%以下とグリコールまたはポリオールを少なくとも20重量%との;重合残基を含む。
【0011】
イソシアナート末端プレポリマーはMDIおよび/またはTDIの重合残基を有する。他の二官能性イソシアナート、例えば、脂肪族ジイソシアナート、例えば、ヘキサメチレンジイソシアナートが存在していてよい。MDIは4,4’および2,4’異性体の混合物であり得る。好ましくは、イソシアナート末端プレポリマーにおけるイソシアナートの重合残基の少なくとも80重量%、好ましくは少なくとも85重量%、好ましくは少なくとも90重量%、好ましくは少なくとも95重量%がMDIおよびTDIからのものである。好ましくは、MDI残基の少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも70重量%、好ましくは少なくとも80重量%、好ましくは少なくとも90重量%、好ましくは少なくとも95重量%が4,4’異性体からのものである。二官能性芳香族イソシアナートはポリオールと混合されてイソシアナート末端プレポリマーを形成する。本発明のある実施形態においては、イソシアナート成分に混合されるポリオールはエチレンオキシド、プロピレンオキシドまたはこの組み合わせの二官能性または三官能性ポリマーの少なくとも1種である。好ましくは、イソシアナート末端プレポリマーは7%〜21%、より好ましくは11%〜15%のイソシアナート含量を有する。
【0012】
2−コンポーネント型ウレタンシステムにおいては、イソシアナート基のイソシアナート反応性基に対する相対的比率は望まれるように変化することができ、好ましくはNCO/OH基のモル比0.9:1〜2:1でありうる。好ましくは、NCO/OH基モル比は1:1〜1.8:1、あるいは1.1:1〜1.6:1、あるいは1.2:1〜1.4:1である。
【0013】
2−コンポーネント型ウレタンシステムのコンポーネントは基体上にコーティングされる前に溶媒で希釈される。本明細書においてこの用語が使用される場合、溶媒は25℃で液体であり、かつ大気圧で100℃以下の沸点を有する物質である。好ましくは、このシステムの一緒にされたコンポーネントは、基体に適用される際に、45〜60重量%、好ましくは46〜57重量%、好ましくは47〜55重量%、好ましくは48〜53重量%固形分を含む。適する溶媒には酢酸エチル、酢酸メチルおよびメチルエチルケトンが挙げられる。酢酸エチルが特に好ましい。
【0014】
このウレタンシステムの2つのコンポーネントは好ましくは、結合剤を形成するための基体への適用前または適用の際に、適切なミキサー(例えば、電気的、空気圧、または他の動力の機械式ミキサー、または静的ミキサー)を用いて混合される。よって、イソシアナートコンポーネントは典型的にはポリオールコンポーネントとは別に包装されるであろう。積層プロセスの前の任意の適切な時点で混合は行われうる。本工程の全ては、周囲室温下でまたは周囲を超える条件下で行われうる。例えば、これら2コンポーネントは混合の直前に加熱されて、コーティングおよび積層プロセスの際に高温で適用されることができる。好ましくは、この温度は65℃を超えない。望まれる場合には、得られた積層物に加熱または冷却が適用されうる。好ましくは、この混合された接着剤組成物を膜に移すためにグラビアシリンダーが使用され、この膜は次いで第2の膜に積層される。
【0015】
好ましくは、安定性を向上させ、接着性を向上させ、および粘度発現を最小限にするために、リン酸、またはリン酸とエポキシ樹脂との混合物がこの組成物に添加される。好ましくは、エポキシ樹脂は固体エポキシ樹脂である。好ましくは、リン酸/エポキシ樹脂混合物は、一緒にしたコンポーネントの0.1〜2重量%、好ましくは0.2〜1.5重量%、好ましくは0.3〜1重量%の量で添加される。好ましくは、リン酸/エポキシ混合物は5〜40重量%、好ましくは7〜30重量%、好ましくは8〜18重量%のリン酸を含む。好ましくは、安定性を向上させるためにリン酸だけが添加される場合には、それは一緒にしたコンポーネントの0.01〜2重量%、好ましくは0.03〜1重量%、好ましくは0.04〜0.1重量%の量で添加される。好ましくは、溶媒、例えば、酢酸エチルは、溶媒を含む全混合物の30〜70重量%の量で混合物に添加される。
【0016】
2−コンポーネント型ウレタンシステムは2〜5つの基体を結合させるために有用である。複数の基体は同種材料または異種材料であってよい。好ましくは、結合剤の層が第1の基体層に適用され、得られた結合剤層が第2の基体層で覆われて、積層物品を形成し、そこでは結合剤の乾燥層によってこの2つの基体が一緒に結合されている。3層または4層積層物を形成するために、膜の第3および第4の層がこの積層物に追加されることができる。好ましくは、基体層は基体材料のロールの形態で提供される。これらシートは厚さほぼ0.5〜10milでありうる。より厚い厚さも可能であり、より薄い厚さも可能である(例えば、ほぼ5ミクロン以上)。
【0017】
本発明の組成物は、ロトグラビア印刷、フレキソグラフィック印刷、コンベンショナル(conventional)またはエアレススプレイ、ロールコーティング、ブラシコーティング、ワイヤ巻きロッドコーティング、ナイフコーティングのような従来の適用技術、またはカーテン−、フラッド−(flood−)、ベル−、ディスク−およびディップ−コーティングプロセスのようなコーティングプロセスを用いて望まれる基体に適用されることができる。結合剤でのコーティングは全表面上で、またはその一部分上のみで、例えば、エッジに沿って、または間欠的な位置で行われることができる。この結合剤は、積層用プラスチック膜、金属膜または金属化プラスチック膜についての包装および密封用途に特に魅力的である。特に好ましい膜には、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン(キャスト、ブロー配向、二軸延伸)、ナイロン、ポリスチレン、共押出膜、ポリエステル膜、セラミック(SiOx、AlOx)コート膜(ポリエステル、ナイロンなど)、ポリアクリル酸コート膜(ポリエステル、ナイロンなど)、ポリ塩化ビニリデンコート膜、金属化膜(ポリエステル、ポリプロピレンなど)が挙げられる。
【実施例】
【0018】
溶液粘度は、約25℃の温度で、測定される粘度範囲に適する付属品を用いて操作するブルックフィールド粘度計を用いて測定された。樹脂粘度はICIコーンアンドプレート粘度計で、示されるプレート温度で測定された。樹脂は以下の手順に記載されるように製造された。
【0019】
実施例1:高固形分濃度で適用されうる溶媒ベースのポリウレタン接着剤の1つの部分として使用するためのポリエステルの製造
1.ジエチレングリコール(343 lbs、156kg)、無水フタル酸(440 lbs、200kg)、および1 lb(454g)のファスカット(FASCAT)9100(アルケマからのCSnO(OH)触媒)が、ジャケット付き分留塔および凝縮器を備えた100ガロン(379L)のステンレス鋼反応器に入れられた。
2.この不均一触媒が100〜130℃に加熱され、120〜130℃で0.25〜0.50時間にわたって保持された。
3.この樹脂混合物は225℃まで徐々に加熱された。約190℃で、水が留出し始めた。理論量の90〜95%の水が集められた後で、サンプルが周期的にこの反応器から抜き出され、粘度(コーン&プレート、100℃で)および酸価について試験された。酸価が20mgKOH/gサンプル未満であった場合には、真空が適用され、そして減圧下でこの蒸留が続けられた。当初、圧力は450〜500torrに設定された。真空度は約25〜50torrまで徐々に低下させられた。
4.ポリエステルの酸価が2.0mgKOH/gサンプル未満となるまで、反応は225℃でかつ25〜50torrに保持された。ポリエステル樹脂粘度が(100℃で)2080mPasかつ酸価1.7となったら、反応器は冷却され、酢酸エチルが添加されて、74〜76固形分を得た。最終生成物試験結果は以下のことを示した:75.5%固形分、酸価1.2およびOH価27.2mgKOH/gサンプル、並びに粘度は750mPasであった。この方法によって製造された他のバッチは、74〜76%固形分で、1.2〜1.6の範囲の酸価、ヒドロキシル価24〜28mgKOH/グラムを示した。
【0020】
実施例2:イソシアナート末端プレポリマーの製造
5ガロンのガラスライニング反応器上のジャケットが50℃に加熱された。溶融したイソナート(ISONATE)125M(33.5 lbs、15.2kg)が反応器に入れられ、それが凍結するのを防ぐために温度が50℃より高く維持された。この反応混合物は継続的に攪拌され、乾燥窒素の雰囲気下に維持された。ボラノール(VORANOL)CP450(1.25 lbs、0.57kg)が入れられ、次いで、425分子量のポリプロピレングリコールが入れられた。このポリオールは反応器内の温度を50℃より高く維持するような流量で添加された。反応器は加熱され、そして60〜65℃で30分間保持された。温度は80℃に上げられ、そして80〜90℃で1時間にわたって保持された。反応器は60℃に冷却され、次いで9 lbs(4.1kg)の酢酸エチル、および8.2グラムのベンゾイルクロリドが添加された。生成物分析は以下のことを示した:85.7%固形分、12.8%NCOおよび粘度は394mPasであった。
【0021】
実施例3:添加剤を使用しない高速積層
積層はエガン(Egan)積層装置において行われた。ドライヤーオーブンゾーン1〜3は180(82)、170(77)および180(82)°F(℃)に設定された。ニップロール温度は180°F(82℃)であった。130〜180ライン/インチ(51〜71ライン/cm)で彫り込まれた四角形セルを有するグラビアシリンダーが使用された。試験された接着剤は、ポリエステル(実施例1)が、デスモデュア(DESMODUR)L−75(バイエルコーポレーション)と一緒にされるか、または実施例2に記載されたイソシアナート末端プレポリマーと一緒にされて製造された(100/18重量部)。この溶液は乾燥酢酸エチルで目標の%固形分に希釈された。表1は接着剤、実施固形分での接着剤粘度、添加剤、膜、使用されたグラビアシリンダー、および適用されたコーティング重量を示す。一般に、接着剤は最初にコーティングされたときには、セルパターンの転写および接着剤厚さの変動のせいで、曇った外観を有している。接着剤が硬化する間に、このロール上の膜の包みからの圧力は接着剤をならすのを助け、かつ硬化した膜のいくつかはより透明になりかつ許容可能であった。しかし、人は硬化中に向上するこの外観を常に信頼できるわけではないから、当初の曇った外観は望ましくない。より高いライン/インチ(より微細なパターン)を有するシリンダーは、より良好な外観を与えるが、より小さなシリンダー容積はより低いコーティング重量を与える。あるサンプルにおいては、接着剤が乾燥される際に、よりゆっくりと蒸発する溶媒が接着剤の流動を助けるかどうかを観察するために、ダウアノール(DOWANOL)PMA(プロピレングリコールメチルエーテルアセタート、ダウケミカルカンパニー)が添加された。このPMAは外観を向上させるのに有効ではなく、それはグリーン結合の幾分かの低下をもたらした。
【0022】
実施例4:界面活性剤または流動性および濡れ性用添加剤のラボスクリーニング試験
膜のサンプルが9”×12”(22.9×30.5cm)の部分に切り出された。コロナ処理を必要とする膜は、36ダイン以上の表面エネルギーを得るように処理された。第2の膜が積層装置のゴムパッド上に配置された(処理された面が上)。第1の膜が(処理された面を上にして)硬質平坦面に取り付けられた。50%固形分に希釈された混合接着剤のサンプルが、マイヤー(Meyer)#6ワイヤ巻きロッドによって第1の膜に適用された。コーティング重量は約2.75〜3.0g/mであった。必要な場合には、目標のコーティング重量を得るために接着剤濃度が調節された。コーティングされた膜を80℃の強制換気オーブン内に30秒間にわたって配置することにより、接着剤から溶媒が蒸発させられた。第1の膜はこのプレートから取り外され、膜の上端を(接着剤側を下にして)積層装置パッド上の第2の膜の頂部に合わせた。積層装置のオイル加熱ローラーがこの膜の上を通過し、第2の膜と接触している第1の膜を引っ張って、そしてこれら2つの膜を一緒に積層した。当初または「グリーン」結合は積層物が製造された後できるだけ早く試験された。15mmまたは25mm(1インチ)幅のストリップに切り出された積層物サンプル上で、10インチ/分(25.4cm/分)の速度で引っ張られて、T−剥離試験が行われた。必要に応じて、N/15mmで結合値を報告するのに変換係数が使用された。
【0023】
この方法で製造された全ての積層物は、曇りまたは不均一な外観の徴候のない接着剤の滑らかなコーティングを生じさせた。よって、高速コーティングプロセスにおいて見られたグラビアシリンダーパターンを伴って認められる問題を検出することができなかった。スクリーニング試験は、この高速プロセスにおける適用の後で接着剤の流動性を向上させ得たであろう接着剤を探すために行われた。いくつかの界面活性剤が試験された。表2はこれらが使用された場合に、グリーン結合強度に有意な低下があったことを示す。モダフロー(MODAFLOW)2100は塗料およびコーティングの流動性および濡れ性を向上させるための市販の製品である。これが試験されたときには、それは他の添加剤と同程度にはグリーン強度を低下させなかった。モダフローは酢酸エチル中に可溶性であるが、それは接着剤溶液とは混和性ではない。それは曇った混合物をもたらす。相分離はゆっくりであったが、数日で完了した。
【0024】
実施例5:流動性および濡れ性用添加剤のエガン積層装置試験
実験室試験の結果に基づいて、モダフローおよび他の関連する添加剤が、実施例3に記載される適用条件を用いて高速積層装置において試験された。チャンネルによって繋がれた四角形セルを有するシリンダーが使用され、そしてこのシリンダーは、単純な四角形シリンダーを用いて観察されたのを超える接着剤流動性および滑らかさの幾分かの改良をもたらした。表3および4はアクリル添加剤モダフロー(MODAFLOW)およびバイク(BYK)392(非ヒドロキシ官能性アクリラート)が、接着剤がシリンダーから膜に移された後で、接着剤の流動性の向上に幾分か有効であったことを示す。このコーティングはより滑らかかつより透明であった。この添加剤に関しては、55%固形分で適用された接着剤を用いてでさえ、許容可能な外観が得られることができた。また、グリーン強度は維持された。これらの添加剤に関する問題は、それらが接着剤溶液と混和性でなかったことであった。それらがパートAまたはBに添加された場合には、数時間または数日の期間の後に相分離が観察された。これらを使用するために、接着剤が混合される時点で第3の成分として少量が添加されるであろう。ミスの可能性のせいで、このような複数−コンポーネント混合が望ましい。また、これらアクリラートはイソシアナート共反応物質と反応するであろう基を有していない。それらは硬化した接着剤に結合されないであろうから、時間とともにそれらが接着を妨げる可能性が存在する。シリコーン添加剤バイク(BYK)233は効果的ではなく、かつそれはグリーン強度を低下させた。
【0025】
実施例6:ポリオールにおけるヒドロキシ官能性(ヒドロキシエチル)アクリルの製造
攪拌タンク内でミックスAおよびミックスBを調製した。少なくとも30分間にわたって各ミックスを攪拌した。ミックスBは、バゾ(VAZO)64を完全に溶かすために、必要に応じてより長く攪拌されることができる。896.8 lbs(406.8kg)のポリオールであるボラノール(VORANOL)230−238(ダウケミカルカンパニー)を、加熱/冷却のためのジャケットおよび還流凝縮器を伴う反応器に入れた。このプロセスの間中ずっと、窒素のゆっくりとした流れでこの反応器をパージした。攪拌しつつこの反応器を80℃に加熱した。このバッチを30分間にわたって80℃に保持した。ミックスBを0.25 lb/分(0.11kg/分)で供給するのを開始し、そして30分間にわたって供給を続けた。ミックスBを供給するのを続けつつ、ミックスAを0.75 lbs/分(0.34kg/分)で供給するのを開始し、そして1時間にわたって供給を続けた。依然としてミックスBを供給しつつ、ミックスAの供給量を1.5 lbs/分(0.68kg/分)に増やし、8時間にわたって供給を続けた。ミックスAおよびBの供給はほぼ同じ時点で完了した。224.2 lb(102kg)のボラノール(VORANOL)230−238をこの反応器に入れて、ミックスB供給ラインを10 lb(4.5kg)のアセトンですすいだ。還流ではなく蒸留のために反応器をセットし、反応器を真空吸引し、135℃に加熱した。真空蒸留を1時間にわたって続けた。反応器のボトムを通る窒素のフローを開始させた。真空下で10時間にわたって蒸留しつつ、窒素で反応器をスパージするのを続けた。50℃以下に冷却し、次いで包装した。生成物粘度は2000〜3000mPasであった;OH価170〜190mgKOH/グラムサンプル;Mn14,200、Mw27,000。
【0026】
【表1】

【0027】
実施例7:溶媒中のヒドロキシ官能性(ヒドロキシプロピル)アクリル添加剤の製造
以下の表に示されたグラム数の材料を含む5つの混合物が製造された。ミックスAは1リットルの反応器に入れられ、そしてその反応器を窒素でスパージしながら82℃に加熱された。イソプロパノールが還流し始めるまで、この温度は徐々に挙げられた。この反応器にミックスBの5パーセントが添加され、次いでミックスCの10%が添加された。反応熱により2〜5℃の温度上昇があった。ミックスBおよびミックスCの残部は120分間にわたって徐々に添加された。添加速度が調節された結果、ミックスA添加が120分で完了し、ミックスCが105分で完了した。60分間にわたって還流を維持するようにこの反応器は加熱された。ミックスDが添加され、還流が15分間にわたって続けられた。ミックスEが45分間にわたって徐々に添加され、次いでこの溶液は60分間にわたって還流で維持された。60℃の水浴中での真空蒸留によって生成物から溶媒がストリップされた。生成物特性:Mn8,300、Mw17,500。
【0028】
【表2】

【0029】
実施例8:溶媒中のヒドロキシル官能性(メタクリル酸ヒドロキシエチル)アクリル添加剤の製造
以下の表に従った3つの混合物が製造された。スターラー、還流凝縮器、窒素スパージ、温度計および2つの添加口を備えた1リットルの反応フラスコに、酢酸エチル(93g)が入れられた。この溶媒は75℃に加熱された。246分間で添加を完了するような流量でミックスA供給が開始され、ミックスB供給は240分間で完了するように設定された。この添加の間中ずっと酢酸エチル還流を維持するように、この反応器に、必要に応じて熱が加えられた。ミックスAおよびBの添加が完了した後で、この反応器は2時間にわたって還流で保持された。ミックスCが添加され、そしてこの反応はさらに2時間にわたって還流で維持された。生成物は冷却され、100メッシュフィルターを通され、包装された。生成物特性:Mn65,300、Mw177,150。
【0030】
【表3】

【0031】
実施例9:高速積層におけるヒドロキシ官能性アクリラート添加剤
表5はヒドロキシ官能性アクリルである実施例6および7が、グラビアセルからの堆積後の膜上での接着剤の流出を効果的に改良したことを示す。当初外観は良好であり、かつグリーン強度は維持された。また、表5〜7は、このヒドロキシル官能性添加剤が概して、非官能性添加剤(表3〜4)よりも良好な硬化結合をもたらした(凝集破壊または接着剤破壊よりも膜引裂)ことを示す。試験された他のアクリルと同様に、これら添加剤は接着剤のポリエステルポリオール部分に非混和性であった。驚くべきことに、それらは溶媒中のポリエステルの溶液中で安定なエマルションを形成した。このエマルションは数週間または数ヶ月間安定であった。実施例6は室温で6ヶ月以上にわたって安定であった最も安定なエマルションをもたらした。また、表5〜7に示されるように、実施例6添加剤が実施例7および8よりも透明な積層物をもたらすという点でより効果的であったことを示す。表7は、実施例6のアクリルが様々な濃度にわたって外観を向上させるのに効果的であったことを示す。しかし、それはより高濃度で添加される場合にグリーン強度を低下させる。
【0032】
【表4】


【表5】

【0033】
【表6】


サーフィノール(SURFYNOL)420:エアプロダクツカンパニーからの非イオン性界面活性剤;HLB=4。
サーフィノール(SURFYNOL)440:エアプロダクツカンパニーからの非イオン性界面活性剤;HLB=8。
トライトン(TRITON)X100:ダウケミカルカンパニーからのオクチルフェノールエトキシラート;HLB=13.4。
フルオラド(FLUORAD)4430:フルオロ界面活性剤、3Mカンパニー。
モダフロー(MODAFLOW)2100:サイテックサーフェススペシャリティーズ、インコーポレーティド:アクリル酸エチル/アクリル酸エチルヘキシルコポリマー。
【0034】
【表7】

【0035】
【表8】


注:z=ジッパー状(zippy)
【0036】
【表9】

【0037】
【表10】

【0038】
【表11】

【0039】
実施例10:実施例6のアクリルポリオールから製造されたNCO末端プレポリマー
【表12】

【0040】
1.品目1がオーブン内で50℃に加熱され、スターラー、還流凝縮器および窒素入口を備えた500mLの三ツ口フラスコに入れられた。反応時間の全期間にわたって、乾燥窒素のゆっくりとした流れが反応器に通された。
2.この反応器は60〜65℃に加熱され、そして品目2が添加された。
3.温度が上げられ、70℃〜75℃で30分間保持された。
4.品目3が添加され、温度は80〜95℃で約90分間維持された。
5.温度は65℃に下げられた。品目4および5が添加された。
6.生成物はさらに冷却され、次いで包装された。
【0041】
生成物は以下の特性を有していた:酢酸エチル添加前、15.0% NCO。酢酸エチル添加後、溶媒15.4%(84.6%固形分)、粘度400mPas(ブルックフィールド粘度計、20rpmで#3スピンドル)。当初は、生成物は透明薄黄色溶液であった。数日後それは曇ったが、相分離はなかった。
【0042】
実施例4において記載されるように製造されたラミネートは、良好な流動性および濡れ性を示し、かつ以下の特性を有していた。
【0043】
【表13】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒドロキシ官能性アクリルポリマーを添加することにより、2−コンポーネント型ウレタンシステムの流動性を向上させる方法。
【請求項2】
前記ヒドロキシ官能性アクリルポリマーが5,000〜70,000のMを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ヒドロキシ官能性アクリルポリマーが、ヒドロキシル含有モノマーの重合残基を10〜50モル%含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記ヒドロキシル含有モノマーが(メタ)アクリル酸C−Cヒドロキシアルキルである、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
(メタ)アクリル酸C−Cヒドロキシアルキルの重合残基が、前記ヒドロキシ官能性アクリルポリマーの12〜30モル%を構成する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記ウレタンシステムが、(a)ヒドロキシ末端ポリエステルポリオール;並びに(b)(i)ジフェニルメタンジイソシアナートおよびトルエンジイソシアナートの少なくとも1種と、(ii)グリコールまたはポリオールとの重合残基を含むイソシアナート末端プレポリマーを含み、かつ前記ウレタンシステムが前記ヒドロキシ官能性アクリルポリマーを0.01〜5重量%含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記グリコールまたはポリオールが90〜1000のMを有し、かつ前記ヒドロキシ末端ポリエステルポリオールが(i)フタル酸と、(ii)60〜150のMを有する脂肪族ジオールとの重合残基を含み;前記ヒドロキシ末端ポリエステルポリオールが15〜60mgKOH/gのヒドロキシル価を有する、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記ヒドロキシ末端ポリエステルポリオールが(i)フタル酸40〜75重量%と、(ii)60〜150のMを有する脂肪族ジオール25〜60重量%との重合残基を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記イソシアナート末端プレポリマーが(i)ジフェニルメタンジイソシアナートおよびトルエンジイソシアナートの少なくとも1種50〜85重量%と、(ii)90〜1000のMを有するグリコールまたはポリオール15〜50重量%との重合残基を含む、請求項8に記載の方法。

【公開番号】特開2013−49833(P2013−49833A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−147056(P2012−147056)
【出願日】平成24年6月29日(2012.6.29)
【出願人】(590002035)ローム アンド ハース カンパニー (524)
【氏名又は名称原語表記】ROHM AND HAAS COMPANY
【Fターム(参考)】