説明

エアアウトレット

【課題】 空調装置のエアアウトレットにおいて、簡単な機構によりフインケースの回動に適度の節度感を与えることができるようにする。
【解決手段】 車両における空調装置のエアアウトレット1は、支持ケース2と、支軸3により回動自在のフインケース4と、支軸5によりフインケース4に回動自在に支持されたフイン6と、リング7とが軸方向に順次組み合わされ、支持ケース2におけるスカート部8の内周面に沿って多数の凹凸9が環状に形成されていて、支持ケース2に取り付けられた係止片11の腕13,14がスカート部8を挟み込んで、腕13の先端に設けられた球状体15が凹凸9に弾力的に当接している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空調装置における空調エアの吹出し部分の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の空調装置における空調エアの吹出し部分で、回動ルーバのフレームを回動させることにより空調エアの吹出し方向を変化させる際、上記フレームの回動に適度の荷重と節度感を生じさせる機構として、下記特許文献1に記載されたものが従来から知られている。
【0003】
【特許文献1】特開2004−243946号公報
【0004】
この場合、円筒状リテーナの側壁の厚さ方向に形成された段差部に多数の突状部が環状に形成され、回動ルーバの円筒フレームの支持フレームに設けられた軸方向の孔内に、コイルばね及び鋼球が組み込まれて、リテーナに回動ルーバが組み付けられたとき、鋼球が上記突状部へ弾力的に当接するように構成されている。
【0005】
しかしながら、上記鋼球及びコイルばねはそれぞれ非常に小型のものであると共に、部品点数が多くなるため、それらの管理が比較的難しく、また、組立て工数が増加するという問題があり、他方、鋼球及びコイルばねの負荷方向がリテーナに対するベゼル、カバーフレーム、可動フインの支持フレーム等の組立て方向と一致するので、各部品の組立て誤差が上記負荷の大きさに影響を与えるおそれがあった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、空調装置のエアアウトレットにおいて、簡単な機構によりフインケースの回動に適度の節度感を与えることができるようにしようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このため、本発明にかかるエアアウトレットは、円筒状支持ケースと、上記支持ケースの軸方向に延びる支軸により上記支持ケースに回動自在に支持されてフインが組み込まれているフインケースと、上記支持ケースに取り付けられた係止片とを有し、上記フインケースのスカート部内周面に沿って多数の凹凸が環状に形成されて、上記凹凸に対して上記係止片の一端が上記支持ケースの径方向に弾力的に当接するように構成されている。
【発明の効果】
【0008】
すなわち、フインケースのスカート部内周面に沿って環状に形成された多数の凹凸に対して係止片の一端が支持ケースの径方向に弾力的に当接しているので、支軸を中心として支持ケースを回動させるとき、上記凹凸と係止片との当接により支持ケースに適度の節度感を与えることができるが、係止片そのものは単品で形成させることができるので、部品点数の低減により取扱いが簡単となると同時に、組立て工数を容易に軽減させることができ、また、エアアウトレットにおける主要部品の組立て方向であるエアアウトレットの軸線方向と、上記凹凸に対する係止片の負荷方向とが一致していないため、上記各部品の組立て誤差が上記負荷の大きさに影響を与えるおそれを無くすことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
【実施例】
【0010】
以下、図面に示す本発明の各実施例について、同等部分にはそれぞれ同一符号を付けて説明する。
車両における空調装置のエアアウトレット1は、図示しない車体側へ取り付けられる円筒状支持ケース2と、支持ケース2の軸方向に延びる支軸3により支持ケース2に回動自在に支持されたフインケース4と、支持ケース2の径方向に延びる支軸5によりフインケース4に回動自在に枢支されたフイン6と、リング7とが上記軸方向に順次組み合わされて、外側からリング7が支持ケース2に嵌合することにより、フインケース4がリング7及び支持ケース2間に配置されている。
【0011】
フインケース4におけるスカート部8の内周面に沿って多数の凹凸9が環状に形成されている一方、支持ケース2端部の軸孔10内に樹脂製係止片11の二股状端部12が弾力的に取り付けられ、係止片11の他端に形成された2本の腕13、14のうち、内側の腕13の先端に球状体15が設けられていて、係止片11の腕13、14間にフインケース4のスカート部8が挟み込まれることにより、球状体15がスカート部8の凹凸9に対して支持ケース2の径方向に、すなわち、支持ケース2の軸線から放射方向へ弾力的に当接している。
【0012】
従って、支軸3を中心としてフインケース4を回動させるとき、スカート部8の凹凸9に対して係止片11における腕13先端の球状体15が支持ケース2の径方向に弾力的に当接していることにより、フインケース4に適度の節度感を与えることができるので、フインケース4を回動させてエアアウトレット1からの風向きを調整する操作フィーリングを良好にすることが可能となる。
【0013】
他方、係止片11そのものは単品で形成させることができるので、従来装置と比較すると、部品点数が低減してその取扱いが簡単となると同時に、組立て工数を容易に軽減させることができる実用的長所があり、また、エアアウトレット1における主要部品の組立て方向であるエアアウトレット1の軸線方向と、スカート部8の凹凸9に対する係止片球状体15の負荷方向とが直交していて、両者が一致していないため、上記主要部品の組立て誤差が上記負荷の大きさに影響を与えるおそれを確実に無くすことができて、エアアウトレット1における品質の安定性を確保できる利点がある。
【0014】
なお、上記実施例では、係止片11の端部に2本の腕13、14が形成されているが、スカート部8の凹凸9に対する腕13先端の弾力的負荷力さえ確保できれば、他方の腕14を省略することができ、また、必要に応じて係止片11をスカート部8の内周面に沿って複数設けるようにしてもよいことはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施例における縦断面図。
【図2】上記実施例の概略分解斜視図。
【図3】上記実施例の要部拡大斜視図。
【図4】図1のIV−IV横断面拡大図。
【符号の説明】
【0016】
1 エアアウトレット
2 支持ケース
4 フインケース
6 フイン
7 リング
8 スカート部
9 凹凸
11 係止片
13、14 腕
15 球状体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒状支持ケースと、上記支持ケースの軸方向に延びる支軸により上記支持ケースに回動自在に支持されてフインが組み込まれているフインケースと、上記支持ケースに取り付けられた係止片とを有し、上記フインケースのスカート部内周面に沿って多数の凹凸が環状に形成されて、上記凹凸に対して上記係止片の一端が上記支持ケースの径方向に弾力的に当接するように構成されたエアアウトレット。
【請求項2】
請求項1において、上記係止片の一端に2本の腕が形成され、上記両腕が上記スカート部を挟み込むように構成されたエアアウトレット。
【請求項3】
請求項1または請求項2において、上記係止片の一端または上記腕の先端に形成された球状体が上記凹凸に対して弾力的に当接するように構成されたエアアウトレット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−306125(P2006−306125A)
【公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−127535(P2005−127535)
【出願日】平成17年4月26日(2005.4.26)
【出願人】(000176811)三菱自動車エンジニアリング株式会社 (402)
【出願人】(591085927)水菱プラスチック株式会社 (5)
【出願人】(000006286)三菱自動車工業株式会社 (2,892)