エアクリーナ
【課題】機械的強度が高く、長寿命かつ放電能力の劣化が小さく、安価な放電電極を備えたエアクリーナを提供する。
【解決手段】放電によって気流中の粒子を荷電するイオナイザ５と、イオナイザより下流側に設置され、イオナイザにより荷電された粒子を吸着するコレクタ６と、イオナイザに粒子を荷電するのに必要な高電圧を印加するとともに、コレクタに粒子を吸着するのに必要な高電圧を印加する高電圧印加部４とを有するエアクリーナ１において、イオナイザは、気流と平行に設置される複数の対向電極板７と、対向電極板間に間隔をおいて設置される放電電極板８とで構成され、放電電極板は、中央に開口を有する枠状板材９と、枠状板材の対向電極板に対向する面に、枠状板材の長手方向に直交する向きに配置され、その先端部が枠状板材の枠部９ａから突出するように一体化構成されているワイヤ線１０とを有する。
【解決手段】放電によって気流中の粒子を荷電するイオナイザ５と、イオナイザより下流側に設置され、イオナイザにより荷電された粒子を吸着するコレクタ６と、イオナイザに粒子を荷電するのに必要な高電圧を印加するとともに、コレクタに粒子を吸着するのに必要な高電圧を印加する高電圧印加部４とを有するエアクリーナ１において、イオナイザは、気流と平行に設置される複数の対向電極板７と、対向電極板間に間隔をおいて設置される放電電極板８とで構成され、放電電極板は、中央に開口を有する枠状板材９と、枠状板材の対向電極板に対向する面に、枠状板材の長手方向に直交する向きに配置され、その先端部が枠状板材の枠部９ａから突出するように一体化構成されているワイヤ線１０とを有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
この発明は、放電により気流中の粒子を荷電し、荷電された粒子を吸着するエアクリーナに関するものである。
【背景技術】
【０００２】
従来、集塵セルとフィルタを内蔵したエアクリーナが利用されているが、この集塵セル内には上流側にイオナイザ、下流側にコレクタが順次並設されている（例えば、特許文献１参照）。このエアクリーナでは、電源が投入されると、その内部の高電圧出力装置で高電圧を発生し、この高電圧をイオナイザの入力線及びコレクタの入力線にそれぞれ供給する。すなわち、イオナイザ内の放電電極と対向電極との間及びコレクタのコレクタ電極にそれぞれ高電圧が入力される。すると、イオナイザ内に導入されたホコリの粒子はイオナイザの放電電極の放電により生じた静電界内で荷電されて正または負に帯電される。そして、正または負に帯電された粒子はコレクタの各コレクタ電極に到達して、正に帯電した粒子は接地されたコレクタ電極に、負に帯電した粒子は高電圧がコレクタ入力線を介して印加されているコレクタ電極にそれぞれ吸着される。
【０００３】
また、イオナイザに設けられる放電電極は、様々な形状のものが考案され使用されているが、大別すると線状放電電極１０１ａと板状放電電極１０１ｂに分類される（例えば、特許文献２参照）。図４（ａ）に示すような、線状放電電極１０１ａは、例えばタングステン線が用いられるが、使用初期から長期経過しても放電性能の劣化は少ないという利点を有する。一方、図４（ｂ），（ｃ）に示すような、板状放電電極１０１ｂは、線状放電電極１０１ａよりも板厚で強度を保てるため、強靭で長持ちする反面、通常、放電電極として使用される際、対向電極と平行に配置されるため、単純な板材からエッジ成形した板状電極では放電能力が低い。そこで、この板状放電電極１０１ｂに刺や針を設けることで放電能力を高めるように工夫がなされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００４】
【特許文献１】実用新案２５３９２０６号公報
【特許文献２】特開２００７−１３６２８４号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００５】
しかしながら、線状放電電極１０１ａでは、放電を繰り返すにしたがい、放電電極の線が細くなり断線し易くなるという課題がある。
【０００６】
また、刺や針を有する板状放電電極１０１ｂでは、使用し始めると、放電の度にこれらの刺や針が集中的に損耗するため、この損耗により放電能力が比較的早く劣化してしまうという課題がある。
【０００７】
このように線状放電電極１０１ａも板状放電電極１０１ｂも耐久性や放電性能の面で課題を有すると共に、市場では長寿命かつ放電能力の劣化が小さく安価な放電電極が望まれている。
【０００８】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、機械的強度が高く、長寿命かつ放電能力の劣化が小さく、安価な放電電極を備えたエアクリーナを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【０００９】
この発明に係るエアクリーナは、放電によって気流中の粒子を荷電するイオナイザと、イオナイザより下流側に設置され、イオナイザにより荷電された粒子を吸着するコレクタと、イオナイザに粒子を荷電するのに必要な高電圧を印加するとともに、コレクタに粒子を吸着するのに必要な高電圧を印加する高電圧印加部とを有するエアクリーナにおいて、イオナイザは、気流と平行に設置される複数の対向電極板と、対向電極板間に間隔をおいて設置される放電電極板とで構成され、放電電極板は、中央に開口を有する枠状板材と、枠状板材の対向電極板に対向する面に、枠状板材の長手方向に直交する向きに配置され、その先端部が枠状板材の枠部から突出するように一体化構成されているワイヤ線とを有するものである。
【発明の効果】
【００１０】
この発明によれば、上記のように構成したので、機械的強度が高く、また放電が繰り返されても放電特性の劣化を抑えることができ、長寿命で安価な放電電極を有するエアクリーナを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【００１１】
【図１】この発明の実施の形態１に係るエアクリーナの構成を示す断面図である。
【図２】この発明の実施の形態１における放電電極板の構成を示す図である。
【図３】この発明の実施の形態２における放電電極板の構成を示す図である。
【図４】従来の放電電極板の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【００１２】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
実施の形態１．
図１はこの発明の実施の形態１に係るエアクリーナ１の構成を示す断面図である。また、図２はこの発明の実施の形態１における放電電極板８の構成を示す図である。
図１に示すように、エアクリーナ１は、プレフィルタ２、集塵セル３及び高電圧印加部４により構成される。
【００１３】
プレフィルタ２は、エアクリーナ１内を通過する気流中の比較的大きなホコリ、塵等の粒子を除去するためのものであり、サランネットまたは不織布などにより形成される。
【００１４】
集塵セル３は、プレフィルタ２により取り除かれなかった気流中のホコリ、塵等の粒子を荷電して吸着することにより除去するものであり、図１に示すように、イオナイザ５及びコレクタ６により構成される。
【００１５】
イオナイザ５は、高電圧印加部４から高電圧を印加されることにより、放電し、静電界を発生させ、このイオナイザ５の静電界内を通過する気流中に含まれるホコリ、塵等の粒子を荷電させて、正に帯電させるものであり、図１に示すように、対向電極板７及び放電電極板８により構成される。
【００１６】
対向電極板７は、図１に示すように、イオナイザ５内を通過する気流に対してその厚み方向に垂直な面が平行になるように設置される複数の板状の電極板であり、例えばステンレスにより形成される。この対向電極板７は高圧電源４の負極側と接続されている。
【００１７】
放電電極板８は、図１に示すように、放電電極板８の厚み方向に垂直な面が対向電極板７の厚み方向に垂直な面と平行に所定の間隔をおいて配置される。この放電電極板８は、枠状板材９及び複数のワイヤ線１０とにより構成される。
【００１８】
枠状板材９は、図２に示すように、その中央に開口を有することにより２本の枠部９ａを有する枠状の板材であり、例えばステンレスやアルミニウム等により形成される。この枠状板材９は高電圧印加部４の正極側と接続されている。
【００１９】
ワイヤ線１０は、対向電極板７との間で、高電圧印加部４から印加される高電圧の強さに応じた放電を起こすものであり、例えばステンレス等により形成される。このワイヤ線１０は、図２に示すように、枠状板材９の対向電極板７に対向する面上に、枠状板材９の長手方向に直交する向きに所定の間隔で配置される。また、ワイヤ線１０の先端部が、枠状板材９の相互に対向する上下の枠部９ａの２点間から突出するようにして、カシメまたは溶接等により枠状板材９と一体化して構成されている。
【００２０】
コレクタ６は、イオナイザ５により荷電され、正に帯電された気流中のホコリ、塵等の粒子を静電力により吸着するものであり、図１に示すように、高電圧印加部４の正極側に接続される複数の板状の正極コレクタ電極板６ａと、高電圧印加部４の負極側に接続される複数の板状の負極コレクタ電極板６ｂとが所定の間隔をおいて交互に、イオナイザ５の下流側に、通過する気流に対して厚み方向に垂直な面が平行になるように設置されている。
【００２１】
高電圧印加部４は、イオナイザ５に粒子を荷電するのに必要な高電圧を印加するとともに、コレクタ６に粒子を吸着するのに必要な高電圧を印加するものである。図１に示すように、この高電圧印加部４の正極側はイオナイザ５内の放電電極板８及びコレクタ６の正極コレクタ電極板６ａに接続され、高電圧印加部４の負極側はイオナイザ５内の対向電極板７及びコレクタ６の負極コレクタ電極板６ｂに接続されている。
【００２２】
次に、上記のように構成されるエアクリーナ１の動作について説明する。
エアクリーナ１に不図示の電源が投入されると、不図示の送風機によりエアクリーナ１内に空気が取り込まれる。この空気はプレフィルタ２により比較的大きなホコリ、塵等の粒子が除去され、集塵セル３内のイオナイザ５に送られる。また、高電圧印加部４では高電圧が発生し、集塵セル３内のイオナイザ５及びコレクタ６にそれぞれ供給する。イオナイザ５に設けられる放電電極板８は高電圧印加部４から高電圧が印加されると、対向電極板７と放電電極板８のワイヤ線１０との間で、高電圧印加部４から印加される高電圧に応じた強さの放電を起こし、静電界が生じる。このイオナイザ５内に発生する静電界内をプレフィルタ２により比較的大きな粒子が除去された空気が通過することにより、この空気中に残っているホコリ、塵等の粒子は荷電され、正に帯電される。このイオナイザ５内で正に帯電された粒子は、イオナイザ５の下流側に設置されるコレクタ６に送られ、高電圧印加部４の負極側に接続される負極コレクタ電極板６ｂに静電力により吸着されることにより、エアクリーナ１内に流入する空気中のホコリ、塵等の汚染物質を除去することができる。その後、集塵セル３で浄化された気体は外部に流出される。
【００２３】
ここで、放電電極板８を、中央に開口を有する枠状板材９と、枠状板材９の対向電極板７に対向する面上に、枠状板材９の長手方向に直交する向きに配置されるワイヤ線１０とにより構成したので、従来の線状の放電電極に対して、機械的強度を向上させることができ、また、放電能力の高いワイヤ線１０の先端部による放電に加えて、枠状板材９の開口部分に位置するワイヤ線１０からも放電を行うことができるので、従来の板状放電電極に対して、放電能力を向上させることができる。また、ワイヤ線１０の先端部が枠状板材９の枠部９ａから突出するように構成したので、ワイヤ線１０が放電により損耗しても、ワイヤ線１０先端の形状は変化しないため、従来の板状の放電電極に対して、放電特性の劣化を抑制することができる。
【００２４】
以上のように、この発明の実施の形態１によれば、放電電極板８を、中央に開口を有する枠状板材９と、枠状板材９の対向電極板７に対向する面上に、枠状板材９の長手方向に直交する向きにワイヤ線１０の先端部が枠状板材９の枠部９ａから突出するようにして配置されるワイヤ線１０とにより構成したので、従来の線状の放電電極に対して、機械的強度を向上させることができ、また、従来の板状の放電電極に対して、放電能力を向上させることができ、かつ、放射性能の劣化を少なくすることができる。
【００２５】
また、放電電極板８は各ワイヤ線１０を枠状板材９の相互に対向する上下の枠部９ａの２点間に所定の間隔をおいて取り付けるのみ構成できるため、この放電電極板８を容易に作成することができる。
【００２６】
また、放電電極板８に設けられるワイヤ線１０の材料としてステンレスを用いて構成したので、安価な材料で放電電極板８を構成することができる。
【００２７】
また、枠状板材９の枠部９ａに一体化して配置されるワイヤ線１０を所定の間隔をおいて配置するように構成したので、電源の容量に合わせて、放電が起こりやすい最適な配置間隔を容易に設定することができる。
【００２８】
実施の形態２．
図３はこの発明の実施の形態２における放電電極板８の構成を示す図である。
この発明の実施の形態１における放電電極板８では、各ワイヤ線１０は枠状板材９の相互に対向する上下の枠部９ａの２点間に突出して取り付け構成したが、この発明の実施の形態２における放電電極板８では、放電電極板８の各ワイヤ線１０を枠状板材９の枠部９ａの１点に取り付け、各ワイヤ線１０の両先端部が枠状板材９の１本の枠部９ａから突出するように構成することによっても、この発明の実施の形態１に係るエアクリーナ１と同様の効果を得ることができ、さらに、ワイヤ線１０の配置間隔をこの発明の実施の形態１における放電電極板８のワイヤ線１０の配置間隔と同一にした場合に、放電能力の高いワイヤ線１０の先端部が２倍となるので、放電能力をさらに向上させることができる。
【００２９】
また、この発明の実施の形態２における放電電極板８は、この発明の実施の形態１における放電電極板８の枠状板材９の上下枠部９ａに跨って配置されるワイヤ線１０の中心を打ち抜くことにより容易に作成することができる。
【００３０】
なお、この発明の実施の形態１，２における放電電極板８では、枠状板材９を中央に開口を有することにより２本の枠部９ａを形成して説明したが、これに限るものではなく、２本以上の多段の枠部９ａを有する枠状板材８ａを構成するようにしてもよい。
【符号の説明】
【００３１】
１ エアクリーナ
２ プレフィルタ
３ 集塵セル
４ 高電圧印加部
５ イオナイザ
６ コレクタ
６ａ 正極コレクタ電極板
６ｂ 負極コレクタ電極板
７ 対向電極板
８ 放電電極板
９ 枠状板材
９ａ 枠部
１０ ワイヤ線
【技術分野】
【０００１】
この発明は、放電により気流中の粒子を荷電し、荷電された粒子を吸着するエアクリーナに関するものである。
【背景技術】
【０００２】
従来、集塵セルとフィルタを内蔵したエアクリーナが利用されているが、この集塵セル内には上流側にイオナイザ、下流側にコレクタが順次並設されている（例えば、特許文献１参照）。このエアクリーナでは、電源が投入されると、その内部の高電圧出力装置で高電圧を発生し、この高電圧をイオナイザの入力線及びコレクタの入力線にそれぞれ供給する。すなわち、イオナイザ内の放電電極と対向電極との間及びコレクタのコレクタ電極にそれぞれ高電圧が入力される。すると、イオナイザ内に導入されたホコリの粒子はイオナイザの放電電極の放電により生じた静電界内で荷電されて正または負に帯電される。そして、正または負に帯電された粒子はコレクタの各コレクタ電極に到達して、正に帯電した粒子は接地されたコレクタ電極に、負に帯電した粒子は高電圧がコレクタ入力線を介して印加されているコレクタ電極にそれぞれ吸着される。
【０００３】
また、イオナイザに設けられる放電電極は、様々な形状のものが考案され使用されているが、大別すると線状放電電極１０１ａと板状放電電極１０１ｂに分類される（例えば、特許文献２参照）。図４（ａ）に示すような、線状放電電極１０１ａは、例えばタングステン線が用いられるが、使用初期から長期経過しても放電性能の劣化は少ないという利点を有する。一方、図４（ｂ），（ｃ）に示すような、板状放電電極１０１ｂは、線状放電電極１０１ａよりも板厚で強度を保てるため、強靭で長持ちする反面、通常、放電電極として使用される際、対向電極と平行に配置されるため、単純な板材からエッジ成形した板状電極では放電能力が低い。そこで、この板状放電電極１０１ｂに刺や針を設けることで放電能力を高めるように工夫がなされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００４】
【特許文献１】実用新案２５３９２０６号公報
【特許文献２】特開２００７−１３６２８４号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００５】
しかしながら、線状放電電極１０１ａでは、放電を繰り返すにしたがい、放電電極の線が細くなり断線し易くなるという課題がある。
【０００６】
また、刺や針を有する板状放電電極１０１ｂでは、使用し始めると、放電の度にこれらの刺や針が集中的に損耗するため、この損耗により放電能力が比較的早く劣化してしまうという課題がある。
【０００７】
このように線状放電電極１０１ａも板状放電電極１０１ｂも耐久性や放電性能の面で課題を有すると共に、市場では長寿命かつ放電能力の劣化が小さく安価な放電電極が望まれている。
【０００８】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、機械的強度が高く、長寿命かつ放電能力の劣化が小さく、安価な放電電極を備えたエアクリーナを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【０００９】
この発明に係るエアクリーナは、放電によって気流中の粒子を荷電するイオナイザと、イオナイザより下流側に設置され、イオナイザにより荷電された粒子を吸着するコレクタと、イオナイザに粒子を荷電するのに必要な高電圧を印加するとともに、コレクタに粒子を吸着するのに必要な高電圧を印加する高電圧印加部とを有するエアクリーナにおいて、イオナイザは、気流と平行に設置される複数の対向電極板と、対向電極板間に間隔をおいて設置される放電電極板とで構成され、放電電極板は、中央に開口を有する枠状板材と、枠状板材の対向電極板に対向する面に、枠状板材の長手方向に直交する向きに配置され、その先端部が枠状板材の枠部から突出するように一体化構成されているワイヤ線とを有するものである。
【発明の効果】
【００１０】
この発明によれば、上記のように構成したので、機械的強度が高く、また放電が繰り返されても放電特性の劣化を抑えることができ、長寿命で安価な放電電極を有するエアクリーナを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【００１１】
【図１】この発明の実施の形態１に係るエアクリーナの構成を示す断面図である。
【図２】この発明の実施の形態１における放電電極板の構成を示す図である。
【図３】この発明の実施の形態２における放電電極板の構成を示す図である。
【図４】従来の放電電極板の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【００１２】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
実施の形態１．
図１はこの発明の実施の形態１に係るエアクリーナ１の構成を示す断面図である。また、図２はこの発明の実施の形態１における放電電極板８の構成を示す図である。
図１に示すように、エアクリーナ１は、プレフィルタ２、集塵セル３及び高電圧印加部４により構成される。
【００１３】
プレフィルタ２は、エアクリーナ１内を通過する気流中の比較的大きなホコリ、塵等の粒子を除去するためのものであり、サランネットまたは不織布などにより形成される。
【００１４】
集塵セル３は、プレフィルタ２により取り除かれなかった気流中のホコリ、塵等の粒子を荷電して吸着することにより除去するものであり、図１に示すように、イオナイザ５及びコレクタ６により構成される。
【００１５】
イオナイザ５は、高電圧印加部４から高電圧を印加されることにより、放電し、静電界を発生させ、このイオナイザ５の静電界内を通過する気流中に含まれるホコリ、塵等の粒子を荷電させて、正に帯電させるものであり、図１に示すように、対向電極板７及び放電電極板８により構成される。
【００１６】
対向電極板７は、図１に示すように、イオナイザ５内を通過する気流に対してその厚み方向に垂直な面が平行になるように設置される複数の板状の電極板であり、例えばステンレスにより形成される。この対向電極板７は高圧電源４の負極側と接続されている。
【００１７】
放電電極板８は、図１に示すように、放電電極板８の厚み方向に垂直な面が対向電極板７の厚み方向に垂直な面と平行に所定の間隔をおいて配置される。この放電電極板８は、枠状板材９及び複数のワイヤ線１０とにより構成される。
【００１８】
枠状板材９は、図２に示すように、その中央に開口を有することにより２本の枠部９ａを有する枠状の板材であり、例えばステンレスやアルミニウム等により形成される。この枠状板材９は高電圧印加部４の正極側と接続されている。
【００１９】
ワイヤ線１０は、対向電極板７との間で、高電圧印加部４から印加される高電圧の強さに応じた放電を起こすものであり、例えばステンレス等により形成される。このワイヤ線１０は、図２に示すように、枠状板材９の対向電極板７に対向する面上に、枠状板材９の長手方向に直交する向きに所定の間隔で配置される。また、ワイヤ線１０の先端部が、枠状板材９の相互に対向する上下の枠部９ａの２点間から突出するようにして、カシメまたは溶接等により枠状板材９と一体化して構成されている。
【００２０】
コレクタ６は、イオナイザ５により荷電され、正に帯電された気流中のホコリ、塵等の粒子を静電力により吸着するものであり、図１に示すように、高電圧印加部４の正極側に接続される複数の板状の正極コレクタ電極板６ａと、高電圧印加部４の負極側に接続される複数の板状の負極コレクタ電極板６ｂとが所定の間隔をおいて交互に、イオナイザ５の下流側に、通過する気流に対して厚み方向に垂直な面が平行になるように設置されている。
【００２１】
高電圧印加部４は、イオナイザ５に粒子を荷電するのに必要な高電圧を印加するとともに、コレクタ６に粒子を吸着するのに必要な高電圧を印加するものである。図１に示すように、この高電圧印加部４の正極側はイオナイザ５内の放電電極板８及びコレクタ６の正極コレクタ電極板６ａに接続され、高電圧印加部４の負極側はイオナイザ５内の対向電極板７及びコレクタ６の負極コレクタ電極板６ｂに接続されている。
【００２２】
次に、上記のように構成されるエアクリーナ１の動作について説明する。
エアクリーナ１に不図示の電源が投入されると、不図示の送風機によりエアクリーナ１内に空気が取り込まれる。この空気はプレフィルタ２により比較的大きなホコリ、塵等の粒子が除去され、集塵セル３内のイオナイザ５に送られる。また、高電圧印加部４では高電圧が発生し、集塵セル３内のイオナイザ５及びコレクタ６にそれぞれ供給する。イオナイザ５に設けられる放電電極板８は高電圧印加部４から高電圧が印加されると、対向電極板７と放電電極板８のワイヤ線１０との間で、高電圧印加部４から印加される高電圧に応じた強さの放電を起こし、静電界が生じる。このイオナイザ５内に発生する静電界内をプレフィルタ２により比較的大きな粒子が除去された空気が通過することにより、この空気中に残っているホコリ、塵等の粒子は荷電され、正に帯電される。このイオナイザ５内で正に帯電された粒子は、イオナイザ５の下流側に設置されるコレクタ６に送られ、高電圧印加部４の負極側に接続される負極コレクタ電極板６ｂに静電力により吸着されることにより、エアクリーナ１内に流入する空気中のホコリ、塵等の汚染物質を除去することができる。その後、集塵セル３で浄化された気体は外部に流出される。
【００２３】
ここで、放電電極板８を、中央に開口を有する枠状板材９と、枠状板材９の対向電極板７に対向する面上に、枠状板材９の長手方向に直交する向きに配置されるワイヤ線１０とにより構成したので、従来の線状の放電電極に対して、機械的強度を向上させることができ、また、放電能力の高いワイヤ線１０の先端部による放電に加えて、枠状板材９の開口部分に位置するワイヤ線１０からも放電を行うことができるので、従来の板状放電電極に対して、放電能力を向上させることができる。また、ワイヤ線１０の先端部が枠状板材９の枠部９ａから突出するように構成したので、ワイヤ線１０が放電により損耗しても、ワイヤ線１０先端の形状は変化しないため、従来の板状の放電電極に対して、放電特性の劣化を抑制することができる。
【００２４】
以上のように、この発明の実施の形態１によれば、放電電極板８を、中央に開口を有する枠状板材９と、枠状板材９の対向電極板７に対向する面上に、枠状板材９の長手方向に直交する向きにワイヤ線１０の先端部が枠状板材９の枠部９ａから突出するようにして配置されるワイヤ線１０とにより構成したので、従来の線状の放電電極に対して、機械的強度を向上させることができ、また、従来の板状の放電電極に対して、放電能力を向上させることができ、かつ、放射性能の劣化を少なくすることができる。
【００２５】
また、放電電極板８は各ワイヤ線１０を枠状板材９の相互に対向する上下の枠部９ａの２点間に所定の間隔をおいて取り付けるのみ構成できるため、この放電電極板８を容易に作成することができる。
【００２６】
また、放電電極板８に設けられるワイヤ線１０の材料としてステンレスを用いて構成したので、安価な材料で放電電極板８を構成することができる。
【００２７】
また、枠状板材９の枠部９ａに一体化して配置されるワイヤ線１０を所定の間隔をおいて配置するように構成したので、電源の容量に合わせて、放電が起こりやすい最適な配置間隔を容易に設定することができる。
【００２８】
実施の形態２．
図３はこの発明の実施の形態２における放電電極板８の構成を示す図である。
この発明の実施の形態１における放電電極板８では、各ワイヤ線１０は枠状板材９の相互に対向する上下の枠部９ａの２点間に突出して取り付け構成したが、この発明の実施の形態２における放電電極板８では、放電電極板８の各ワイヤ線１０を枠状板材９の枠部９ａの１点に取り付け、各ワイヤ線１０の両先端部が枠状板材９の１本の枠部９ａから突出するように構成することによっても、この発明の実施の形態１に係るエアクリーナ１と同様の効果を得ることができ、さらに、ワイヤ線１０の配置間隔をこの発明の実施の形態１における放電電極板８のワイヤ線１０の配置間隔と同一にした場合に、放電能力の高いワイヤ線１０の先端部が２倍となるので、放電能力をさらに向上させることができる。
【００２９】
また、この発明の実施の形態２における放電電極板８は、この発明の実施の形態１における放電電極板８の枠状板材９の上下枠部９ａに跨って配置されるワイヤ線１０の中心を打ち抜くことにより容易に作成することができる。
【００３０】
なお、この発明の実施の形態１，２における放電電極板８では、枠状板材９を中央に開口を有することにより２本の枠部９ａを形成して説明したが、これに限るものではなく、２本以上の多段の枠部９ａを有する枠状板材８ａを構成するようにしてもよい。
【符号の説明】
【００３１】
１ エアクリーナ
２ プレフィルタ
３ 集塵セル
４ 高電圧印加部
５ イオナイザ
６ コレクタ
６ａ 正極コレクタ電極板
６ｂ 負極コレクタ電極板
７ 対向電極板
８ 放電電極板
９ 枠状板材
９ａ 枠部
１０ ワイヤ線
【特許請求の範囲】
【請求項１】
放電によって気流中の粒子を荷電するイオナイザと、
前記イオナイザより下流側に設置され、前記イオナイザにより荷電された前記粒子を吸着するコレクタと、
前記イオナイザに前記粒子を荷電するのに必要な高電圧を印加するとともに、前記コレクタに前記粒子を吸着するのに必要な高電圧を印加する高電圧印加部と
を有するエアクリーナにおいて、
前記イオナイザは、気流と平行に設置される複数の対向電極板と、前記対向電極板間に間隔をおいて設置される放電電極板とで構成され、
前記放電電極板は、中央に開口を有する枠状板材と、前記枠状板材の前記対向電極板に対向する面に、前記枠状板材の長手方向に直交する向きに配置され、その先端部が前記枠状板材の枠部から突出するように一体化構成されているワイヤ線とを有することを特徴とするエアクリーナ。
【請求項２】
前記各ワイヤ線は前記枠状板材の相互に対向する枠部の２点間に取り付けられていることを特徴とする請求項１記載のエアクリーナ。
【請求項３】
前記各ワイヤ線は前記枠状板材の枠部の１点に取り付けられるとともに、各ワイヤ線の両先端部が該枠部から突出していることを特徴とする請求項１記載のエアクリーナ。
【請求項１】
放電によって気流中の粒子を荷電するイオナイザと、
前記イオナイザより下流側に設置され、前記イオナイザにより荷電された前記粒子を吸着するコレクタと、
前記イオナイザに前記粒子を荷電するのに必要な高電圧を印加するとともに、前記コレクタに前記粒子を吸着するのに必要な高電圧を印加する高電圧印加部と
を有するエアクリーナにおいて、
前記イオナイザは、気流と平行に設置される複数の対向電極板と、前記対向電極板間に間隔をおいて設置される放電電極板とで構成され、
前記放電電極板は、中央に開口を有する枠状板材と、前記枠状板材の前記対向電極板に対向する面に、前記枠状板材の長手方向に直交する向きに配置され、その先端部が前記枠状板材の枠部から突出するように一体化構成されているワイヤ線とを有することを特徴とするエアクリーナ。
【請求項２】
前記各ワイヤ線は前記枠状板材の相互に対向する枠部の２点間に取り付けられていることを特徴とする請求項１記載のエアクリーナ。
【請求項３】
前記各ワイヤ線は前記枠状板材の枠部の１点に取り付けられるとともに、各ワイヤ線の両先端部が該枠部から突出していることを特徴とする請求項１記載のエアクリーナ。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図２】
【図３】
【図４】
【公開番号】特開２０１０−２３４２７０（Ｐ２０１０−２３４２７０Ａ）
【公開日】平成２２年１０月２１日（２０１０．１０．２１）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００９−８５１９３（Ｐ２００９−８５１９３）
【出願日】平成２１年３月３１日（２００９．３．３１）
【出願人】（０００００６６６６）株式会社山武 (1,808)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２２年１０月２１日（２０１０．１０．２１）
【国際特許分類】
【出願日】平成２１年３月３１日（２００９．３．３１）
【出願人】（０００００６６６６）株式会社山武 (1,808)
【Ｆターム（参考）】
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