説明

エアコンベア装置用ガイド調整装置

【課題】エアコンベア装置によって搬送される搬送物を搬送ラインの両側から案内するガイドの調整を行うエアコンベア装置用ガイド調整装置を小型に構成する。
【解決手段】搬送物の胴部を案内する両側のボディガイドレール24、25、26、27をそれぞれ支持するガイドブラケット34、35が、搬送ラインと直交する横方向にスライド可能に配置されると共に、搬送ライン上で重なり合うようにして上下に対向して配置されたラック部38、39をそれぞれ備える。ラック部38、39の間には、両ラック部38、39に噛合う平歯車50が取り付けられた駆動シャフト52が配設され、駆動シャフト52には電動ロータリアクチュエータ54の出力軸が連結される。駆動シャフト52が回転することによって、ラック部38、39を介して両側のボディガイドレール24、25、26、27の間隔を調整することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアコンベア装置によって搬送される搬送物を搬送ラインの両側から案内するガイドの調整を行うエアコンベア装置用ガイド調整装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、空のPETボトルのような軽量な搬送物を圧力エアで搬送するエアコンベア装置において、搬送物の揺れを防止するために搬送物を両側から案内するガイドが設けられている。
【0003】
この両側に設けられたガイドは、多種類の寸法、形状の搬送物に対応するために、その間隔が可変となっており、この間隔を自動調整する装置として、ガイド間隔自動調整装置が特許文献1により提案されている。
【0004】
特許文献1により提案されるガイド間隔自動調整装置は、両側に対向して配設されるガイドをそれぞれ支持アームによって支持し、支持アーム間に両端に逆向き方向に螺刻された一対のネジ部が形成された駆動シャフトを配設し、駆動シャフトの逆向き方向に螺刻された一対のネジ部を支持アームに螺合している。電動機構からの回転を伝達シャフトからウォーム機構を介して駆動シャフトに伝達して駆動シャフトを回転することによって、対向する支持アームを互いに逆方向に移動させて、ガイドの間隔を自動調整するようにしている。
【0005】
【特許文献1】特開2003−276840号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1記載のガイド調整装置においては、両端に逆向き方向に螺刻された一対のネジ部が形成された駆動シャフトに、駆動源から伝達シャフトに伝達される回転を90度転換するためのウォーム機構のような伝達機構を前記ネジ部とは別に配置しなければならず、全体として小型に構成することができない、という問題がある。また、この駆動シャフトは、ガイド間隔が最大になったときに合わせた長さに設定する必要があるため、ガイド間隔を最大よりも小さい間隔に設定する場合には、支持アームから駆動シャフトが横方向に突出することになり、突出した部分が邪魔である、という問題もある。
【0007】
また、上記特許文献1記載のガイド調整装置では、ガイドの間隔調整はできるもののガイドの高さ調整はできない、という問題がある。
【0008】
本発明はかかる課題に鑑みなされたもので、その目的は、小型に構成することができるエアコンベア装置用ガイド調整装置を提供することである。
【0009】
また、本発明の他の目的は、ガイドの高さ調整も可能とするエアコンベア装置用ガイド調整装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前述した目的を達成するために、請求項1記載の発明は、エアコンベア装置によって搬送される搬送物を搬送ラインの両側から案内するガイドの調整を行うエアコンベア装置用ガイド調整装置であって、
両側のガイドをそれぞれ支持する第1ガイドブラケットと第2ガイドブラケットとを有し、該第1ガイドブラケットと第2ガイドブラケットは、搬送ラインと直交する横方向にスライド可能に配置されると共に、搬送ライン上で重なり合うようにして上下に対向して配置された第1噛合い部と第2噛合い部とをそれぞれ備えており、第1噛合い部と第2噛合い部との間に両噛合い部に噛合う駆動シャフトが配設され、駆動シャフトを回転駆動する駆動源が設けられ、該駆動源によって駆動シャフトが回転することによって、第1噛合い部及び第2噛合い部を介して第1ガイドブラケット及び第2ガイドブラケットが横方向に且つ互いに反対方向にスライドして、両側のガイドの間隔が調整可能となったことを特徴とする。
【0011】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の前記駆動源が電動ロータリアクチュエータであり、前記搬送ライン上に配置されることを特徴とする。
【0012】
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の前記第1ガイドブラケット及び第2ガイドブラケットが、少なくとも、ガイドが固定されるブラケット要素と、前記第1噛合い部または第2噛合い部を有するブラケット要素とを含む複数のブラケット要素からなり、該複数のブラケット要素間には、ガイドが固定されるブラケット要素を昇降する第2駆動源が設けられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、第1噛合い部と第2噛合い部とが搬送ライン上で重なり合うようにして上下に対向しており、第1噛合い部と第2噛合い部の間に駆動シャフトを配設しており、駆動シャフトが回転することによって、第1噛合い部及び第2噛合い部とを介して第1ガイドブラケット及び第2ガイドブラケットが横方向に且つ互いに反対方向にスライドするようになっているので、駆動シャフトと第1噛合い部と第2噛合い部との間の構成を簡素化することができ、また、ガイド調整装置の搬送ラインからの横方向への突出量を少なくすることができ、装置全体を小型に構成することができる。
【0014】
請求項2記載の発明によれば、駆動源をロータリアクチュエータとすることにより駆動源を小型に構成することができ、且つ、駆動源を搬送ライン上に配置することにより、ガイド調整装置の搬送ラインからの横方向への突出量を少なくすることができ、装置全体を小型に構成することができる。
【0015】
請求項3記載の発明によれば、ブラケット要素間に設けられた第2駆動源によってガイドが固定されるブラケット要素を昇降することによって、ガイドの高さを調整することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面を用いて本発明の実施の形態を説明する。本発明は、この実施形態に限定されるものではなく、種々の改変が可能である。
【0017】
図1及び図2は、本発明の実施形態によるガイド調整装置30が取り付けられたエアコンベア装置10を表す図である。図示したエアコンベア装置10は、空のPETボトルのような容器を搬送物として、適宜図示しない処理装置に向けて一列に搬送物を搬送するものである。そして、エアコンベア装置10は、搬送ラインLに沿って設けられ、その内部にブロアからの圧力エアが流れるダクト12を画成する第1フレーム13を備えている。
【0018】
第1フレーム13は、図2に示す横断面において、下面中央部のみが開放されてレール開口13aとなった閉断面形状をなしている。さらに第1フレーム13には、該レール開口13aにエア通路16を画成する第2フレーム17が取り付けられている。
【0019】
第2フレーム17の壁面には、適宜、エア吹き出し口17aが形成されており、ダクト12からの圧力エアがエア吹き出し口17aを通過してエア通路16へと流出するようになっている。
【0020】
レール開口13aには、その両側からそれぞれネックガイドレール18、19が互いに接近するように突出しており、ネックガイドレール18、19が容器のネック部に形成されたフランジを両側から支持して、容器が搬送ラインから脱落することを防止している。
【0021】
また、ネックガイドレール18、19の下方には、搬送ラインの左右両側にガイドとしてのボディガイドレール24〜27が設けられており、ボディガイドレール24〜27は各側において、上下離間して複数個(図示の例では2個)設けられている。ボディガイドレール24とボディガイドレール26が搬送ラインを挟み対向し、ボディガイドレール25とボディガイドレール27とが搬送ラインを挟み対向している。これらのボディガイドレール24〜27は、容器の胴部に両側から当接可能となっており、容器を搬送ラインに沿って案内するもので、軟質材料からなるガイドレール部分24a〜27aと、ガイドレール部分24a〜27aを保護する金属材料からなるガイドレール支持部分24b〜27bからなる。
【0022】
ボディガイドレール24〜27は本発明によるガイド調整装置30によって、搬送ラインに直交する横方向の間隔及び高さが調整可能に支持される。
【0023】
詳細には、ガイド調整装置30は、搬送ラインに沿って適宜離間して、第1フレーム13に互いに対向して取り付けられる支持ブラケット14、14、・・・15、15、・・・にそれぞれ支持されるガイドブラケット34、35を有する。ガイドブラケット34、35は、支持ブラケット14、15の下部に取り付けられて水平方向に延設するベース28、29上に、スライダー32、33によって搬送ラインに対して直交する横方向にスライド可能となっている。ガイドブラケット34、35は、それぞれ単一の部品で構成することもできるが、この実施形態では、ガイドの高さ調整が可能なるように、複数のブラケット要素から構成され、この実施形態では、ブラケット要素として、下部ブラケット要素36、37と、上部ブラケット要素42、43とをそれぞれ有している。
【0024】
下部ブラケット要素36、37は搬送ライン方向から見て、それぞれ変形コ字形状をなしている。即ち、コ字形状の両横腕部分は一方が長い横腕部分36a、37aとなっており、他方が短い横腕部分36b、37bとなっている。下部ブラケット要素36は、長い横腕部分36aが短い横腕部分36bよりも下の位置にあるのに対して、下部ブラケット要素37は、長い横腕部分37aが短い横腕部分37bよりも上の位置にあって、長くなった横腕部分36a、37aの端部には、噛合い部としてのラック部38、39がそれぞれ設けられる。ラック部38、39は、搬送ライン上で重なり合うようにして上下に対向して配置される。
【0025】
下部ブラケット要素36、37と上部ブラケット要素42、43とは、駆動源としてのエアシリンダ40、41を介して上下に連結される。即ち、下部ブラケット要素36の短い横腕部分36bと下部ブラケット要素37の長い横腕部分37aの上側にはそれぞれエアシリンダ40、41が配設され、エアシリンダ40、41のピストンロッド40a、41aの先端には、上部ブラケット要素42、43が取り付けられる。
【0026】
上部ブラケット要素42には、ボディガイドレール24、25がクランプ44、45によって固定され、上部ブラケット要素43には、ボディガイドレール26、27がクランプ46、47によって固定される。
【0027】
ラック部38、39の間には両者に噛合う平歯車50が取り付けられた駆動シャフト52が配設されて、電動ロータリアクチュエータ54(図1)の出力軸に連結される。
【0028】
駆動シャフト52は、好ましくは、搬送ラインに沿って2個以上の隣接する支持ブラケット14、15に渡って延びており、隣接する支持ブラケット14、15に取り付けられたブラケット34、35のラック部38、39の間に配設された平歯車50同士を連結している。搬送ラインが屈曲している場合には、図5に示すように、駆動シャフト52は複数のシャフトから構成することができ、複数のシャフトをユニバーサルジョイント56によって連結するとよい。
【0029】
以上のように構成されるガイド調整装置30において、搬送物の種類が変わり、図2に示す容器よりその横幅寸法が小さい容器を搬送する場合には、電動ロータリアクチュエータ54を駆動し、駆動シャフト52を介して平歯車50を所定方向に回転させる。これによって、図3に示すように、平歯車50に噛合ったラック部38、39が設けられた下部ブラケット要素36、37のそれぞれの長い横腕部分36a、37aが、互いの重なり合う程度が多くなるように横方向に且つ互いに反対方向に移動するので、ガイドブラケット34、35が接近するように移動する。こうして、ボディガイドレール24、25とボディガイドレール26、27との間の間隔が小さくなり、容器の横幅寸法に合わせて間隔を調整することができる。
【0030】
逆に、横幅寸法が大きい容器を搬送する場合には、電動ロータリアクチュエータ54を駆動し、駆動シャフト52及び平歯車50を反対方向に回転させる。これによって、図4に示すように、平歯車50に噛合ったラック部38、39が設けられた下部ブラケット要素36、37のそれぞれの長い横腕部分36a、37aが、互いの重なり合う程度が少なくなるように、横方向に且つ互いに反対方向に移動するので、ガイドブラケット34、35が離反するように移動する。こうして、ボディガイドレール24、25とボディガイドレール26、27との間隔が大きくなり、容器の横幅寸法に合わせて間隔を調整することができる。
【0031】
また、図2に示す容器よりその高さ寸法が大きい容器を搬送する場合には、図4に示すように、エアシリンダ40、41を駆動して、シリンダロッド40a、41aを短縮させる。これによって、上部ブラケット要素42、43が下降し、容器の高さ寸法に合わせてボディガイドレール24〜27の高さを調整することができる。逆に、高さ寸法が小さい容器を搬送する場合には、シリンダロッド40a、41aを伸長させる。これによって、上部ブラケット要素42、43が上昇し、容器の高さ寸法に合わせてボディガイドレール24〜27の高さを調整することができる。
【0032】
以上の間隔調整または高さ調整は、搬送ラインに沿って配設された全電動ロータリアクチュエータ54または全エアシリンダ40、41に同時に駆動信号を送ることで、同時に動作させることができて、搬送ラインに沿って一斉に調整を行うことができる。
【0033】
以上のようにラック部38、39は、平歯車50と常時噛合う範囲で、常時上下で対向して重なり合っており、電動ロータリアクチュエータ54からの回転の回転方向をガイドブラケット34、35の横方向の移動に変換するための機構を簡素化することができるので、全体として小型に構成することができる。間隔調整の際に、ラック部38、39が設けられた下部ブラケット要素36、37のそれぞれの長い横腕部分36a、37aの重なり合う程度が変わるが、これら横腕部分36a、37aは、常時、対向する一対のガイドブラケット34,35の横方向内側に位置しており、容器の搬送方向と直交する横方向外側に突出することはないために、ラック部38、39が邪魔になることはない。
【0034】
また、高さ調整の際においても、エアシリンダ40、41は、対向する一対のガイドブラケットの内側に位置することができ、容器の搬送方向と直交する横方向外側に突出することはなく、小型に構成することができる。
【0035】
尚、以上の実施形態では、各ガイドブラケットが、下部ブラケット要素と上部ブラケット要素とから構成されていたが、これに限るものではなく、3つ以上のブラケット要素から構成することもでき、隣接するブラケット要素の上下間に駆動源として設けたエアシリンダを複数段に配置することで、高さ調整の調整ストロークを大きくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の実施形態によるガイド調整装置が取り付けられたエアコンベア装置の一部の側面図である。
【図2】図1のエアコンベア装置の2−2線に沿って見た図である。
【図3】図2のエアコンベア装置に対して間隔を調整したときの図2相当図である。
【図4】図2のエアコンベア装置に対して間隔及び高さを調整したときの図2相当図である。
【図5】搬送ラインが屈曲している場合のガイド調整装置を表す斜視図である。
【符号の説明】
【0037】
10 エアコンベア装置
24、25、26、27 ボディガイドレール(ガイド)
30 ガイド調整装置
34、35 ガイドブラケット
36、37 下部ブラケット要素
38、39 ラック部(噛合い部)
40、41 エアシリンダ(第2駆動源)
42、43 上部ブラケット要素
52 駆動シャフト
54 電動ロータリアクチュエータ(駆動源)
L 搬送ライン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアコンベア装置によって搬送される搬送物を搬送ラインの両側から案内するガイドの調整を行うエアコンベア装置用ガイド調整装置であって、
両側のガイドをそれぞれ支持する第1ガイドブラケットと第2ガイドブラケットとを有し、該第1ガイドブラケットと第2ガイドブラケットは、搬送ラインと直交する横方向にスライド可能に配置されると共に、搬送ライン上で重なり合うようにして上下に対向して配置された第1噛合い部と第2噛合い部とをそれぞれ備えており、第1噛合い部と第2噛合い部との間に両噛合い部に噛合う駆動シャフトが配設され、駆動シャフトを回転駆動する駆動源が設けられ、該駆動源によって駆動シャフトが回転することによって、第1噛合い部及び第2噛合い部を介して第1ガイドブラケット及び第2ガイドブラケットが横方向に且つ互いに反対方向にスライドして、両側のガイドの間隔が調整可能となったことを特徴とするエアコンベア装置用ガイド調整装置。
【請求項2】
前記駆動源は電動ロータリアクチュエータであり、前記搬送ライン上に配置されることを特徴とする請求項1記載のエアコンベア装置用ガイド調整装置。
【請求項3】
前記第1ガイドブラケット及び第2ガイドブラケットは、少なくとも、ガイドが固定されるブラケット要素と、前記第1噛合い部または第2噛合い部を有するブラケット要素とを含む複数のブラケット要素からなり、該複数のブラケット要素間には、ガイドが固定されるブラケット要素を昇降する第2駆動源が設けられることを特徴とする請求項1または2記載のエアコンベア装置用ガイド調整装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−100405(P2010−100405A)
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−273642(P2008−273642)
【出願日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【出願人】(593061802)株式会社森下機械製作所 (5)
【Fターム(参考)】